説明

可搬型ナビゲーション装置

【課題】車両に搭載されたカメラと接続され、該カメラによって撮影された映像を表示部に表示できる可搬型ナビゲーション装置において、ユーザの意向にあった画像を推測して表示することが可能な可搬型ナビゲーション装置を提供することを目的としている。
【解決手段】車両に搭載されたカメラ7によって撮影された映像を表示する可搬型ナビゲーション装置10において、カメラ7によって撮影された映像を表示部13に表示するカメラ映像出力モードに設定されている場合に、ユーザーにとってカメラ映像出力が不要な状態が検出された時は、ユーザーが次に使用すると予想される画面に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可搬型ナビゲーション装置に関し、特に、車両に取り付けられたカメラによって撮影された映像を表示部に表示することができる可搬型ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるナビゲーション装置は、車両のインストルメントパネルの中央部に固定される据え置き型ナビゲーション装置や、PND(ポータブルナビゲーションデバイス)と呼ばれる、内部メモリに地図データを記憶させ、本体に内蔵した充電池によって車両から取り外した状態(例えば、歩行中)でもナビゲーションが行える可搬型ナビゲーション装置が知られている。
【0003】
また、これらナビゲーション装置を、車両に搭載されたカメラと接続すれば、ナビゲーション装置の表示部に、車両の周囲の映像を表示することが可能となる(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4376294号
【0005】
【特許文献2】特開2009−126412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、可搬型ナビゲーション装置は、本体に内蔵された充電池によって運転中以外(例えば、歩行中)でも使用可能なため、特に、車載に搭載されたカメラと接続可能な可搬型ナビゲーション装置では、車載カメラによって撮影された映像が表示されている状態で車両から取り外されると、可搬型ナビゲーション装置は、カメラからの映像を受けられる状態にあるにも関わらず、カメラからの映像が入力されないために、ブルーバック画像や砂嵐状態の画像等が表示されることになり、これによってユーザーが表示状態に対し戸惑う虞があるといった問題があった。また、ブルーバック画像や砂嵐状態の画像等が表示されると、その都度、ユーザーに対し画面を切り替える操作を要求することになるため、使い易い商品を提供できていないといった問題もあった。
【0007】
そこで本発明は、車両に搭載されたカメラと接続され、該カメラによって撮影された映像を表示部に表示できる可搬型ナビゲーション装置において、ユーザの意向にあった画像を推測して表示することが可能な可搬型ナビゲーション装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成する本発明の可搬型ナビゲーション装置は、車両に搭載されたカメラによって撮影された映像を表示する可搬型ナビゲーション装置において、前記カメラによって撮影された映像を表示部に表示するカメラ映像出力モードに設定されている場合に、ユーザーにとってカメラ映像出力が不要な状態が検出された時は、ユーザーが次に使用すると予想される画面に切り換える制御部を有することを特徴としている。
【0009】
また、前記目的を達成する本発明の可搬型ナビゲーション装置は、車両に搭載されたカメラによって撮影された映像を表示する可搬型ナビゲーション装置において、前記ナビゲーション装置は、前記カメラと接続されるクレードルに着脱可能に設置されており、前記カメラによって撮影された映像を表示している状態で、前記ナビゲーション装置が前記クレードルから外された場合、前記ナビゲーション装置の表示をナビゲーション画面またはテレビ画面に切り替えるか、或いは、前記ナビゲーション装置の電源をオフにする制御部を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本構成の可搬型ナビゲーション装置によれば、ユーザーの行動に応じて、カメラによって撮影された映像と、それ以外のユーザーが必要とする画像とを、適切に切り換えて表示することができるので、可搬型ナビゲーション装置の使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本発明の可搬型ナビゲーション装置であるポータブルナビゲーションデバイスが車両に設置された場合の電源とカメラとの接続を示す斜視図、(b)は可搬型ナビゲーション装置がクレードルを介して車両に設置された場合の電源とカメラとの接続を示す説明図である。
【図2】(a)は図1に示した可搬型ナビゲーション装置を、クレードルを介して車両に取り付ける場合の、可搬型ナビゲーション装置と後方撮影用カメラが接続されたクレードルの内部構成の一例を示すブロック回路図、(b)は(a)のクレードルのカメラインターフェイスに前方、両側面、後方の撮影を行う4台のカメラが接続された場合のブロック回路図である。
【図3】(a)は図2のようにクレードルを介して可搬型ナビゲーション装置を車両に設置した場合に、可搬型ナビゲーション装置側の制御装置が行うクレードルの設置処理の一実施例を示すフローチャートであり、 (b)は図2のようにクレードルを介して可搬型ナビゲーション装置を車両に設置した場合に、クレードル側の制御装置が行う可搬型ナビゲーション装置の搭載処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図4】(a)は図2のようにクレードルを介して可搬型ナビゲーション装置を車両に設置した場合の、可搬型ナビゲーション装置側の制御装置が行うカメラ映像表示開始処理の一実施例の動作を説明するフローチャート、(b)は図5に示すフローチャートの一部を示すフローチャートである。
【図5】図2のようにクレードルを介して可搬型ナビゲーション装置を車両に設置した場合に、可搬型ナビゲーション装置側の制御装置が行うカメラ画像表示中の処理の具体的な実施例の動作を説明するフローチャートである。
【図6】図1に示した可搬型ナビゲーション装置をクレードルを介して車両に取り付ける場合の、可搬型ナビゲーション装置とカメラインターフェイスに前方、両側面、後方の撮影を行う4台のカメラが近距離無線通信で接続された場合のブロック回路図である。
【図7】図6のようにクレードルを介して可搬型ナビゲーション装置を車両に設置した場合に、可搬型ナビゲーション装置側の制御装置が行うカメラ切り換え処理の一実施例の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を用いて本発明の可搬型ナビゲーション装置の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1(a)は、本発明の可搬型ナビゲーション装置であるポータブルナビゲーションデバイス10(以後PND10と記す)が車両に設置された場合の車載バッテリ8とカメラ7との接続を示すものである。PND10にはその正面に液晶表示部13があり、上面には内部に埋め込まれたGPSアンテナA1と本体から伸縮するDTV(デジタルテレビ)用のアンテナA2、ジャイロセンサ1及び電源スイッチ2がある。また、一方の側面にはカメラ入力端子3と電源端子9がある。カメラ入力端子3には、後方撮影用のカメラ7からの信号とパーキングブレーキスイッチ6からのパーキング信号を入力するカメラ入力プラグ5が接続される。更に、電源端子9には車載バッテリ8に接続する電源プラグ4が接続される。
【0014】
なお、図1(a)は、電源プラグ4やカメラ入力プラグ5等をPND10に接続する形態を示しているが、別の形態として、図1(b)に示すように、PND10がクレードルと呼ばれる保持装置(取り付けスタンド)20に抜き差し可能に搭載されている場合では、電源プラグ4やカメラ入力プラグ5等をクレードル20に接続することも可能である。
【0015】
以上のように構成されたPND10では、電源端子9がバッテリ8に接続された状態で車両が走行している時には、表示部13にはナビゲーション用の地図と、GPSアンテナA1、或いはジャイロセンサ1から得られた信号に基づき算出された自車位置情報とが表示される。また、車両が車庫入れ等で後退する際にシフトレバーが後退位置に操作されると、カメラ7で撮影された後方映像が表示部13に表示される。更に、車両が停車してパーキングブレーキが操作されると、パーキングブレーキスイッチ6がオンになり、この状態で表示部13にデジタルテレビの画像を表示させることができる。
【0016】
図2(a)は、図1に示したPND10を、クレードル20を介して車両に搭載する場合のそれぞれの内部構成の一実施例を示すものである。この実施例のPND10には、GPSアンテナ11、DTVアンテナA2、ナビゲーション部(図にはナビ部と略記)11、デジタルテレビ部(図にはDTV部と略記)12、表示部(図にはTFTと略記)13、内蔵バッテリ(図にはBATTと略記)14、通信インターフェイス(図にはI/Fと略記)15、操作スイッチ(図にはSWと略記)16、制御用マイクロコンピュータ(図には制御マイコンと略記)17、及び画像処理用の専用集積回路(図にはASICと記載)18及び図1(a)では符号1で示したジャイロセンサ(図にはジャイロと略記)19がある。
【0017】
また、クレードル20には、電源部21、制御用マイクロコンピュータ(図には制御マイコンと略記)22、通信インターフェイス(図にはI/Fと略記)23及びカメラインターフェイス24がある。電源部21は車載バッテリ(図にはBATTと略記)8に接続されており、制御用マイクロコンピュータ(図には制御マイコンと略記)22には、電源ライン+Bからの電源が供給されると共に、イグニッションスイッチがIGオン位置及びアクセサリ位置にあることを示すACC信号、パーキング信号P、或いは車両の後退を示すバックギヤ位置信号BGが入力される。また、カメラインターフェイス24には、この実施例では車両の後方を撮影する後方撮影用のバックカメラ(図にはBカメラと略記)7Bが接続されている。なお、カメラインターフェイス24には、後方撮影用のバックカメラ7B以外にも、図2(b)に示すように、車両の前方を撮影するカメラ(図にはFカメラと略記)7Fや、車両の左右を撮影するカメラ(図にはLカメラ、Rカメラと略記)7L,7Rが接続される構成も考えられる。
【0018】
クレードル20にPND10が搭載されると、クレードル20の電源部21に供給された電源がPND10の内蔵バッテリ14に供給され、通信インターフェイス23、15が通信を開始する。車両の走行中は、GPSアンテナ11とジャイロセンサ19からの信号に基づいてナビゲーション部11が自車位置を計算によって算出して、地図データと共に表示部13に表示する。画像処理ASIC18は表示部13に表示する画像を処理する。
【0019】
車両の停止中は、パーキング信号Pが入力されていることを制御用マイクロコンピュータ17が検出している時に、操作スイッチ16の指示に従ってDTVアンテナA2でデジタルテレビ部12が受信したデジタルテレビ放送を表示部13に表示することができる。また、車両の後退時には、バックギヤ位置信号BGの入力によって、制御用マイクロコンピュータ22がBカメラ7Bからの映像をカメラインターフェイス24、通信用インターフェイス23,25を通じてPNDに送り、表示部13に車両の後方映像を表示する。なお、Bカメラ7Bからの映像は、バックギヤ位置信号BGがない場合でも、操作スイッチ16からの手動切換で表示部13に表示させることもできる。
【0020】
ここで、クレードル20にPND10が搭載された時の、PND側の制御用マイクロコンピュータ17と、クレードル側の制御用マイクロコンピュータ22の動作について図3(a)を用いて説明する。図3(a)はPND側の制御用マイクロコンピュータ17の処理を示しており、この処理は、ACC信号がクレードル20に入力されている状態で、PND10の電源入力端子T1にクレードル20側から電圧が印加された状態で起動される。
【0021】
ステップ301ではPND10とクレードル20側装置との通信の確立が行われ、ステップ302においてクレードル20の設置状態が受信される。即ち、クレードル20にBカメラ7Bが接続されているか、ACC信号の入力があるか、或いはバッテリ8からの電源が来ているか等の、クレードル20に接続されている機器の確認が行われる。そして、ステップ303で動作モードが設定されてこのルーチンを終了する。動作モードの設定とは、カメラの接続の有無、自動車信号の供給の有無に応じた動作の設定である。
【0022】
図3(b)は、クレードル側の制御用マイクロコンピュータ22の処理を示しており、この処理は、PND10のクレードル20への搭載がトリガとなって開始される。PND10のクレードル20への搭載は、クレードル側に設けた図示しないPND重量検出スイッチや、接続時に接続端子T2に流れる電源部21からの供給電流の検出によって行うことができる。
【0023】
ステップ304ではクレードル20とPND10側装置との通信の確立が行われ、ステップ305においてクレードル20へのBカメラ7Bの接続の有無、ACC信号の入力状態やバッテリ8からの電源の入力等の自動車信号線の接続状態が検出される。そして、ステップ306でクレードル20へのBカメラ7Bの接続の有無、ACC信号の入力状態やバッテリ8からの電源の入力等の自動車信号線の接続状態がPND10側に送信されてこのルーチンを終了する。
【0024】
次に、カメラ画像表示開始時の処理について、図4を用いて説明する。この処理は自動車に後退操作状態が検出された場合、例えば車両が駐車場に駐車するために後退したような場合に実行される。
【0025】
ステップ401において、カメラ映像を表示する前のPND10が表示していた画像(ラストモード)を記憶してから、カメラ映像を表示する。ラストモードは、本実施例の場合、ナビゲーション画像の表示、デジタルテレビ画像の表示、或いは表示がオフの何れかである。ステップ402では、このカメラ映像開始からの時間経過を計測するタイマを始動して、つまり経過時間の計時を始め、処理を終える。
【0026】
次に、PND10がカメラ映像を表示している際の処理について図4(b)及び図5を用いて説明する。この図4(b)及び図5に示したカメラオフ処理は、PND10がカメラ映像を表示している時に繰り返し実行される。
【0027】
ステップ501ではPND10がクレードル20から離脱されたか否かを判定し、離脱された場合はステップ508に進むが、離脱されていない場合はステップ502に進む。ステップ508以降の処理は後述する。
【0028】
ステップ502ではACCがオフされたか否かを判定し、ACCがオフされていない場合はステップ520に進み、ACCがオフされた場合はステップ503に進む。ステップ520では車両の後退状態が解除されたかを、例えばバックギアの状態に基づき判断し、後退状態が解除されていればステップ522に進み、解除されていなければステップ521に進む。ステップ521ではカメラ映像の表示開始から所定時間経過しているか判断し、経過していればステップ522に進み、経過していなければ処理を終える。ステップ522ではPNDの表示を記憶されているラストモードの状態にして処理を終える。また、ステップ503ではPNDの表示を記憶されているラストモードの状態にしてステップ504に進む。この実施例ではラストモードは、例えば1セグ放送の受信(図には1セグと略記)、ナビゲーション画面の表示(図にはナビと略記)及び画面オフ(図にはオフと略記)の何れかであるとする。ステップ504ではPND10がカメラ画像を表示してからの時間をカウントしてステップ505に進む。
【0029】
ステップ505では、ACC信号がオフされた後にPND10がクレードル20から離脱されたか否かを判定し、離脱された場合はステップ512に進むが、離脱されていない場合はステップ506に進む。まず、離脱されていない場合について説明する。この場合はステップ506において、PND10がカメラ画像を表示してからの時間が所定時間経過したか否かを判定する。所定時間経過していない場合はステップ504に戻り、経過時間をカウントして再びステップ506で所定時間が経過したか否かの判定を繰り返し、所定時間が経過した時点でステップ507に進む。ステップ507ではPND10をオフ、即ち、PND10の画面に1セグ画面、或いはナビゲーション画面が表示されている場合はこれらをオフ、にしてこのルーチンを終了する。
【0030】
一方、ステップ505の判定でACC信号がオフされた後にPND10がクレードル20から離脱されたと判定した場合は、ステップ512においてPND10が前回オフ状態であったか否か、即ち、ラストモードがオフ状態であったか否かを判定する。PND10が前回オフ状態でなかった場合はステップ508に進み、PND10が前回オフ状態であった場合はステップ513でPND10をオンにしてからす508に進む。
【0031】
PND10がクレードル10から離脱された時に進むステップ508では、PND10に設定されている目的地を読み出す。目的地が設定されていない場合は目的地なしの状態を読み出す。そして続くステップ506において、読み出した目的地が現在地から徒歩で行ける徒歩圏か否かを判定する。徒歩圏の範囲は、例えば概ね5km以内である。目的地が設定されていない場合は徒歩圏の範囲外と判定すれば良い。
【0032】
ステップ509の判定で、目的地が徒歩圏であった場合はステップ510に進み、PND10の表示をナビゲーション画面にしてこのルーチンを終了する。この状態では読み出した目的地までのルート案内が行われる。一方、ステップ509の判定で、目的地が徒歩圏でない場合(目的地のなしも含む)はステップ511に進み、記憶されているラストモードから、PND10の表示を、1セグ放送の受信画面、ナビゲーション画面、或いはオフ状態にしてこのルーチンを終了する。
【0033】
このように、図4(a),(b)、図5に示される実施例では、PND10がカメラ映像出力モードに設定されている場合に、「ユーザーにとってカメラ映像の出力が不要な状態」になったら、「ユーザーが次に使用すると予想される画面」に切り換える処理が行われる。「ユーザーにとってカメラ映像の出力が不要な状態」は、PND10がクレードル20から外された状態、或いはACC信号がオフされた場合であり、カメラ映像を利用するのは駐車時が多いので、カメラ映像が不要になる状態は駐車が完了した時(後退操作(バックギア解除)完了、あるいは後退操作開始から所定時間経過後で推測)と考えられる。そして、「ユーザーが次に使用すると予想される画面」は、PND10を車外に持ち出して歩行モードで使用するナビゲーション画面、或いはデジタルテレビ画面、或いはPND10の電源オフであると考えられるので、これらの画面の何れかに切り換えるのである。この結果、ユーザーの行動に応じてカメラ映像とそれ以外の画面とを適切に切り換えられるので、使い勝手が良くなる。
【0034】
図6は、図2(a)に示したPND10を、クレードル20Aを介して車両に取り付ける場合のそれぞれの内部構成の別の実施例を示すものである。この実施例のPND10には、図2(a)と同様に、GPSアンテナ11、DTVアンテナA2、ナビ部11、DTV部12、表示部13、内蔵バッテリ14、通信I/F15、操作スイッチ16、制御マイコン17、及び画像処理ASIC18及びジャイロセンサ19がある。ジャイロセンサ19の代わりにGセンサ(加速度センサ)が搭載されていても良い。
【0035】
また、クレードル20Aには、電源部21、制御マイコン22、及び通信I/F23がある。一方、制御マイコン22には、車両の後退を示すバックギヤ位置信号BGの入力がなく、カメラインターフェイスの代わりにBluetooth(登録商標)インターフェイス(図にはBTインターフェイスと略記)26及びBluetooth(登録商標)アンテナ(図にはBTアンテナと略記)25がある。PND10は図2(a)と同様にクレードル20Aに搭載される。
【0036】
更にこの実施例では、車両の後方を撮影するBカメラ7B、車両の前方を撮影するFカメラ7F、及び車両の左右を撮影するLカメラとRカメラが車両に設けられているが、これらのカメラ7F,7L,7R,7Bには、Bluetooth(登録商標)送信ユニット(図示せず)が内蔵されている。そして、カメラ7F,7L,7R,7Bは撮影した映像を短距離無線通信でBTアンテナ25に送信し、BTインターフェイス26を介して撮影映像が通信I/F23に送られるようになっている。
PND10にBTアンテナを設けた場合には、そのアンテナ位置、向きが車室内へ持ち込む度に異なるため、安定して良いカメラ画像を表示することができない。しかしこの構成によれば、クレードル20Aを車両の所定位置(インストルメントパネル上等)に固定し、そしてBTアンテナ26を通信状態の良い位置・向きに調整して固定することにより、各カメラから常に良好な映像信号を受信できるので、常に良好な画像でのカメラ画像を表示できる。
【0037】
次に自動車からの信号をPNDに入力しない状態、つまり自動車に信号線をPNDに接続しない場合における自動車の状態推定方法について説明する。尚、この推定結果に基づき、上述の処理、また以降説明する処理において、自動車からの信号に基づく画像切換等の処理と同等の処理がなされる。
【0038】
車両の移動検知:車両に移動検知については、ジャイロセンサ(またはGセンサ)19による方法が可能である。具体的には、PND10をクレードル20,20A(クレードル20,20Aは車両に固定されるので、PND10をクレードルに固定した際のPND10の車両に対する向きは常に一定となる)に取り付けた際の車両に対するPND10(ジャイロセンサ19)の向きを記憶しておき、そのセンサ出力(回転角・加速度方向)から移動方向を検出するものである。
【0039】
また、GPSアンテナA1からの信号により車両位置が算出できるので、その位置移動を検知することにより移動方向を検知できる。尚、初期状態では車両の向きが判別できないが、長時間の直線移動は前方方向移動と判断できるので、長時間の直線移動時の方向を前方として設定し、以降の向き変化を積分処理することにより前方方向を補正設定することができる。
【0040】
また、画像処理により進行方向を推定することも可能である。つまり、例えば車両の前方カメラの画像をオプティカルフロー処理(映像時間差のある2画像(より多い画像でも同様に処理可能)を移動して比較し、画像が一致する移動距離/方向から車両の移動方向を検知する)により、車両方向に移動を検出することも可能である。尚、車両の側方や後方カメラの画像でも同様の方法で車両の移動方向の検出が可能である。
【0041】
よって、この実施例のPND10では以下の動作が可能である。
(1)PND10がナビゲーション画像表示状態で、車両の後方移動が検出されると、PND10の表示画面をBカメラ7Bの撮影した映像に切り換える。
(2)車両が特定位置(自宅)付近で停車したことが検出されると、PND10の表示画面をBカメラ7Bの撮影した映像に切り換える。
(3)PND10がBカメラ7Bの撮影した映像を表示している状態で、車両の前方移動が検出されると、PND10の表示画面をナビゲーション画像表示状態(あるいはラストモード表示状態)に切り換える。
【0042】
なお、(3)の切り換えは、車両の前方移動が所定時間継続して検出された場合に、前方移動と判断して行えば良い。これは、駐車時の切り返し等、車両が一時的に前方移動する場合はBカメラ7Bの映像を表示した方が好ましいからである。また、駐車時の切り返し時には、切り返し方向に応じてLカメラ7LやRカメラ7Rからの映像をPND10の表示部13に表示させることもできる。
【0043】
以上のような構成により、面倒な配線処理を行わなくても、カメラ映像、ナビ画像等の表示画像を適切に切り換えることができ、便利なPNDを実現することができる。また、カメラとクレードル間の無線通信が良好な状態(位置、向き等)でクレードルを車両に固定することにより、PNDの状態を気にすることなくクレードルにPNDを搭載することができ、常に良好なカメラ画像を入力することが可能になる。更に、PND内に通信回路等を設ける必要がないので、PNDの小型化、軽量化に効果がある。
【0044】
更にまた、クレードル側に映像記録装置を内蔵させ、前方撮影用のカメラが撮影する映像を所定時間分だけ常時記録し、所定時間を経過した映像については消去するように構成すれば、クレードルをドライビングレコーダとして使用することができる。また、クレードルにAV(音響と映像)機器の無線接続機能を設ければ、PNDのナビゲーション音声をAV機器から出力することも可能である。
【0045】
次に、自動車に状態に基づくPND10の映像切換制御について説明する。図7は、映像切換制御を示すフローチャートであり、PNDが自動車に搭載されている状態(自動車のバッテリからの電源供給有状態)で繰り返し実行される。
【0046】
ステップ701では自動車信号線の接続が有るか否かを判定する。自動車信号線とは、バックギヤ位置信号を伝える線、方向指示器の信号線、車両が走行中であることを示す線(車速パルス信号線)等である。ステップ701で自動車信号線の接続が有ると判定された時はステップ702に進み、自動車信号線接続モード時の処理、つまり自動車信号線に基づき自動車に状態(後退中、走行中、停車中、旋回中等)を判断して表示状態を変える処理を行なう。例えばバックギヤ位置の信号入力がある時にはBカメラを動作させ、方向指示器の信号入力がある時には点滅する方向指示器側のLカメラ又はRカメラを動作させ、車両が走行中であることを示す信号入力がある時には車両の走行規制を行う処理等を行って、このルーチンを終了する。
【0047】
一方、ステップ701で自動車信号線の接続が無いと判定された時はステップ703に進み、ナビ部が車両の後退を検知したか否かを判定する。尚、この判定は自動車からの信号を用いない方法による検出結果に基づき行なわれる。ステップ703において、車両の後退を検知した場合はステップ708に進み、車両の後退を検知していない時はステップ704に進む。ステップ704ではカメラ画像の表示を指示する手動操作があるか否かを判定し、この手動操作がある場合はステップ708に進み、無い場合はステップ705に進む。
【0048】
ステップ705ではナビ部が車両の走行を検知したか否かを判定する。尚、この判定は自動車からの信号を用いない方法による検出結果に基づき行なわれる。ステップ705において、車両の走行を検知した場合はステップ706でPND動作の走行規制を実行してこのルーチンを終了し、車両の走行を検知していない場合はステップ707でPND動作の走行規制を解除してこのルーチンを終了する。PND動作の走行規制とは、車両の走行中に運転者の運転に対する注意が低下しないように、例えばデジタルテレビ放送画像等の動画を表示できないようにする等の規制である。
【0049】
一方、ステップ703で車両の後退が検知された場合と、ステップ704でカメラ表示の手動操作がある場合に進むステップ708では、PNDにカメラ映像を表示させる。この場合のカメラ映像は、車両の後方を撮影するカメラからの映像である。尚、この際カメラ映像表示前のPNDの状態(例えばナビゲーション表示状態)であるラストモードを記憶する。そして、続くステップ709ではカメラ画像の表示開始からの経過時間をカウントする。続くステップ710では車両が後退を完了したか、あるいは前進したか否かを判定する。尚、車両の後退の完了は、カメラ画像の表示開始からの経過時間が所定時間を越えたか、つまりカメラ画像の表示開始からの経過時間が長くなると車両の後退は完了したと(後退操作は通常長時間続かない)推測する。また、車両の前進の検出は、自動車からの信号を用いない方法による検出結果に基づき行なわれる。そして、車両の後退動作が完了していない場合はステップ709に戻り、車両の後退完了、あるいは前進を検出するまでステップ709,710の処理を繰り返す。そして、車両の後退動作が完了、あるいは車両が前進動作になったことを検出すると、ステップ711に進んで記憶したラストモード(例えばナビゲーション表示画面)にPNDの表示を戻してこのルーチンを終了する。
【符号の説明】
【0050】
1,19 ジャイロ
6 パーキングブレーキスイッチ
7、7B,7F,7L,7R カメラ
8 バッテリ
10 可搬型ナビゲーション装置(PND)
11 ナビゲーション部(ナビ部)
12 デジタルテレビ部(DTV部)
17 制御用マイクロコンピュータ(制御マイコン)
20,20A クレードル
22 制御用マイクロコンピュータ(制御マイコン)
25 Bluetooth(登録商標)アンテナ
A1 GPSアンテナ
A2 DTV用アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたカメラによって撮影された映像を表示する可搬型ナビゲーション装置において、
前記カメラによって撮影された映像を表示部に表示するカメラ映像出力モードに設定されている場合に、ユーザーにとってカメラ映像出力が不要な状態が検出された時は、ユーザーが次に使用すると予想される画面に切り換える制御部を有することを特徴とする可搬型ナビゲーション装置。
【請求項2】
車両に搭載されたカメラによって撮影された映像を表示する可搬型ナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、前記カメラと接続されるクレードルに着脱可能に設置されており、
前記カメラによって撮影された映像を表示している状態で、前記ナビゲーション装置が前記クレードルから外された場合、前記ナビゲーション装置の表示をナビゲーション画面またはテレビ画面に切り替えるか、或いは、前記ナビゲーション装置の電源をオフにする制御部を有することを特徴とする可搬型ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ナビゲーション装置がカメラによって撮影された映像を表示している状態で、前記車両のキースイッチがオフ状態になった場合、前記ナビゲーション装置の表示をナビゲーション画面またはテレビ画面に切り替えるか、或いは、前記ナビゲーション装置の電源をオフにすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可搬型ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ナビゲーション装置が前記カメラによって撮影された映像を表示している状態で所定時間が経過した場合、前記ナビゲーション装置の表示をナビゲーション画面に切り替えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可搬型ナビゲーション装置。
【請求項5】
車両に搭載されたカメラと接続するための接続端子を有する可搬型ナビゲーション装置であって、
前記接続端子に後方撮影用カメラが接続され、前記ナビゲーション装置の後方移動検出機能によって、前記車両の後方移動が検出されたら、前記ナビゲーション装置の表示を前記カメラによって撮影された映像を表示する画面に切り換える制御部を有することを特徴とする可搬型ナビゲーション装置。
【請求項6】
前方移動検出機能によって、前記車両の後方移動後に前方移動が検出されたら、前記ナビゲーション装置の表示が、前記車両の後方移動前の表示画面に戻ることを特徴とする請求項5記載の可搬型ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記後方移動検出機能および前方移動検出機能が、前記ナビゲーション装置に備えられたGPS衛星からの信号によって車両の位置を算出して位置変化で進行方向を検出する機能、前記カメラ映像の画像処理によって車両の進行方向を検出する機能、及び加速度センサ又はジャイロの信号によって車両の進行方向を検出する機能の何れかであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の可搬型ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−52934(P2012−52934A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196256(P2010−196256)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】