説明

可溶性エポキシド加水分解酵素阻害剤

可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)を阻害するウレア化合物およびチオウレア化合物および組成物、上述の化合物および組成物の調製方法、ならびにこのような化合物および組成物を用いて患者を治療する方法が開示される。上述の化合物、組成物および方法は、高血圧、心血管、炎症および糖尿病に関連する疾患を含む、sEHによって媒介される種々の疾患の治療に有用である。本発明の1つの局面によれば、式(I)を有する化合物またはその立体異性体または医薬的に許容される塩が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2006年8月1日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第60/834,902号に対する優先権を主張し、この出願は本明細書中においてその全体を参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、医薬品化学の分野に関する。本明細書には、可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)を阻害するウレア化合物およびチオウレア化合物、このような化合物を含有する医薬組成物、上述の化合物および組成物の調製方法、ならびにこのような化合物および組成物を用いて患者を治療する方法が提供される。上述の化合物、組成物および方法は、高血圧、心血管、炎症および糖尿病に関連する疾患を含む、sEHによって媒介される種々の疾患の治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
技術水準
アラキドン酸カスケードは、偏在する脂質シグナル伝達カスケードであり、このカスケードでは、アラキドン酸が、種々の細胞外シグナルおよび/または細胞間シグナルに応答して、血漿膜の脂質貯蔵部から遊離する。放出されたアラキドン酸は、種々の酸化酵素の基質として作用し、アラキドン酸は、炎症に重要な役割をはたすシグナル伝達脂質に変換される。多くの炎症性障害を治療するのに使用される多くの市販薬物にとって、脂質へと導かれる経路を阻害することは、依然として重要な戦略である。例えば、非ステロイド型抗炎症薬(NSAID)は、シクロオキシゲナーゼ(COX1およびCOX2)を阻害することによって、アラキドン酸がプロスタグランジンに変換されるのを阻害する。新規喘息薬(例えばSINGULAIRTM)は、リポキシゲナーゼ(LOX)を阻害することによって、アラキドン酸からロイコトリエンへの変換を阻害する。
【0004】
特定のP450酵素は、アラキドン酸を、エポキシエイコサトリエン酸(EET)として知られる一連のエポキシド誘導体へと変換する。これらのEETは、特に、内皮(動脈および血管床を構成する細胞)、腎臓および肺では一般的なものである。プロスタグランジン経路およびロイコトリエン経路の多くの最終産物とは対照的に、EETは、種々の抗炎症性および抗高血圧性を有し、有力な血管拡張剤および血管透過メディエーターであることが知られている。
【0005】
EETはin vivoですぐれた効果を示すが、EETのエポキシド部分は、可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)と呼ばれる酵素によって、活性の低いジヒドロキシエイコサトリエン酸(DHET)に迅速に変換される。sEHを阻害すれば、高血圧動物において血圧が顕著に低下することがわかっており(例えば、非特許文献1および非特許文献2)、リポキシンAの産生量をin vivoで高めることにより、炎症性酸化窒素(NO)、サイトカインおよび脂質メディエーターの産生量が減り、炎症を消散させる(非特許文献3)。
【0006】
sEHを阻害し、EET濃度を高める種々の低分子化合物が発見されている(非特許文献4)。sEHをもっと強力に阻害可能な化合物を利用することと、EETの不活化は、炎症および高血圧から生じる多くの障害またはsEHによって媒介される多くの障害を治療するのにきわめて望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Yuら、Circ.Res.87:992−8(2000)
【非特許文献2】Sinalら、J.Biol.Chem.275:40504−10(2000)
【非特許文献3】Schmelzerら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 102(28):9772−7(2005)
【非特許文献4】Morisseauら、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.45:311−33(2005)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明は、可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)によって媒介される疾患を治療するための、化合物およびその医薬組成物、その調製法、および使用法に関する。本発明の1つの局面によれば、式(I)を有する化合物またはその立体異性体または医薬的に許容される塩が提供される。
【0009】
【化1】

式中、
QはOまたはSであり;
WはOまたはSであり;
Aはフェニル環またはシクロヘキシル環であり;
各Rは、独立して、アルキル、シアノ、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2または3であり;
およびRは、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、上述の環は、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されているか;またはRおよびRのうち1つはアルキルであり、RおよびRのうち他方は、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルであり;
Yは、C6〜10シクロアルキル、置換C6〜10シクロアルキル、C6〜10ヘテロシクロアルキル、置換C6〜10ヘテロシクロアルキルおよび
【0010】
【化2】

からなる群から選択され、
式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換スルホニル)アミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、シアノおよびアルキルスルホニルからなる群から選択され;
但し、YNHC(=Q)NH−が、−C(=W)NRに対してパラ位にあり、Yがフェニルまたは4−ハロ−フェニルであり、QおよびWがOであり、Aがフェニルであり、nが0である場合、RとRとで、ピペリジニル環またはモルホリノ環を形成せず;
但し、YNHC(=Q)NH−が、−C(=W)NRに対してパラ位にあり、Yがフェニルであり、QがSであり、WがOであり、Aがフェニルであり、nが0である場合、RとRとで、2,6−ジメチルピペリジニル環を形成しない。
【0011】
別の実施形態では、式(Ia)または(IIa)を有する化合物またはその立体異性体または医薬的に許容される塩が提供される。
【0012】
【化3】

式中、
QはOまたはSであり;
WはOまたはSであり;
Aはフェニル環またはシクロヘキシル環であり;
各Rは、独立して、アルキル、シアノ、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2または3であり;
およびRは、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、上述の環は、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されているか;またはRおよびRのうち1つはアルキルであり、RおよびRのうち他方は、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルであり;
Yは、C6〜10シクロアルキル、置換C6〜10シクロアルキル、C6〜10ヘテロシクロアルキル、置換C6〜10ヘテロシクロアルキルおよび
【0013】
【化4】

からなる群から選択され、
式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換スルホニル)アミノ、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択され;
但し、式(Ia)において、Yがフェニルまたは4−ハロ−フェニルであり、QおよびWがOであり、Aがフェニルであり、nが0である場合、RとRとで、ピペリジニル環またはモルホリノ環を形成せず;
但し、式(Ia)において、Yがフェニルであり、QがSであり、WがOであり、Aがフェニルであり、nが0である場合、RとRとで、2,6−ジメチルピペリジニル環を形成しない。
【0014】
本発明の別の局面によれば、医薬的に許容される担体と、治療的に有効量の式(I)の化合物
【0015】
【化5】

〔式中、
QはOまたはSであり;
WはOまたはSであり;
Aはフェニル環またはシクロヘキシル環であり;
各Rは、独立して、アルキル、シアノ、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2または3であり;
およびRは、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、上述の環は、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されているか;またはRおよびRのうち1つはアルキルであり、RおよびRのうち他方は、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルであり;
Yは、C6〜10シクロアルキル、置換C6〜10シクロアルキル、C6〜10ヘテロシクロアルキル、置換C6〜10ヘテロシクロアルキルおよび
【0016】
【化6】

からなる群から選択され、
式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換スルホニル)アミノ、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。〕
またはその立体異性体または医薬的に許容される塩とを含む医薬組成物を患者に投与する工程を含む、可溶性エポキシド加水分解酵素によって媒介される疾患を治療する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(定義)
本明細書で使用される場合、他に言及されない限り、以下の定義を適用する。
【0018】
「cis−エポキシエイコサトリエン酸」(「EET」)は、シトクロムP450エポキシゲナーゼによって合成されるバイオメディエーターである。
【0019】
「エポキシド加水分解酵素」(「EH;」 EC 3.3.2.3)は、エポキシドと呼ばれる3員環環状エーテルに水を付加するα/β型折りたたみ加水分解酵素群である。
【0020】
「可溶性エポキシド加水分解酵素」(「sEH」)は、内皮、平滑筋および他の細胞種において、EETを、ジヒドロキシエイコサトリエン酸(「DHET」)と呼ばれるジヒドロキシ誘導体に変換する酵素である。マウスsEHのクローニングおよび配列は、Grantら、J.Biol.Chem.268(23):17628−17633(1993)に記載されている。ヒトsEH配列のクローニング、配列および寄託番号は、Beethamら、Arch.Biochem.Biophys.305(1):197−201(1993)に記載されている。ヒトsEHのアミノ酸配列は、米国特許第5,445,956号の配列番号2にも記載されており、ヒトsEHをコードする核酸配列は、この特許の配列番号1のヌクレオチド42〜1703に記載されている。この遺伝子の進化および命名は、Beethamら、DNA Cell Biol.14(1):61−71(1995)に記載されている。可溶性エポキシド加水分解酵素は、げっ歯類とヒトとの間で90%を超える相同性を有する、一個の高度に保存された遺伝子産物をあらわす(Arandら、FEBS Lett.,338:251−256(1994))。
【0021】
「慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)」または「COPD」は、「慢性閉塞性気道疾患」、「慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive lung disease)」および「慢性気道疾患」として知られることもある。COPDは、一般的に、最大呼気流量の低下および肺の強制排気の遅滞によって特徴付けられる障害であると定義される。COPDは、肺気腫および慢性気管支炎といった関連する2つの状態を包含したものであると考えられている。COPDは、当該技術分野で認識されている技術(例えば、患者の強制肺活量(「FVC」)、最大限に吸い込んだ後に強制的に排気可能な最大空気量)を用いて、一般的な開業医によって診断可能である。一般的な開業医のいる病院では、FVCは、典型的には、肺活量計を通る6秒間の最大呼気によって概算される。COPD、肺気腫および慢性気管支炎の定義、診断および治療は、当該技術分野で周知であり、例えば、HonigおよびIngram、Harrison’s Principles of Internal Medicine(Fauciら編)、第14版、1998、McGraw−Hill、ニューヨーク、pp.1451−1460(以下、「Harrison’s Principles of Internal Medicine」)に詳細に記載されている。名称からわかるように、「閉塞性肺疾患(obstructive pulmonary disease)」および「閉塞性肺疾患(obstructive lung disease)」は、閉塞性の疾患を指し、拘束性疾患とは対照的である。これらの疾患としては、特に、COPD、気管支喘息および抹消気道疾患が挙げられる。
【0022】
「肺気腫」は、明らかな線維症が存在せず、終末細気管支の遠位にある空隙の永久的な破壊性腫脹によって特徴付けられる肺の疾患である。
【0023】
「慢性気管支炎」は、ほとんどが数日間から1ヶ月間、3ヶ月間、1年、2年など続く慢性的な気管支分泌物によって特徴付けられる肺の疾患である。
【0024】
「抹消気道疾患」は、抹消気道が単に関与するか、または優先的に関与することによる気道閉塞によって特徴付けられる疾患を指す。抹消気道は、直径2mm未満であり、抹消気管軟骨、終末細気管支および呼吸細気管支に対応する気道であると定義されている。抹消気道疾患(SAD)は、気道の抵抗が増加する炎症および線維性変化による内腔の閉塞をあらわす。閉塞は一時的であっても永久的であってもよい。
【0025】
「間質性肺疾患(ILD)」は、肺胞の壁、肺胞周辺組織および連続的な支持構造が関与する拘束性肺疾患である。American Lung Associationのウェブサイトに記載されているように、肺の空気嚢間の組織は間質であり、疾患の線維化によって影響を受ける組織である。このような拘束性肺疾患をわずらうヒトは、肺組織が堅くなるため、呼吸が困難になるが、閉塞性肺疾患をわずらうヒトとは対照的に、息を吐くのは困難ではない。間質性肺疾患の定義、診断および治療は、当該技術分野で周知であり、例えば、Reynolds,H.Y.、Harrison’s Principles of Internal Medicine(前出)、pp.1460−1466に詳細に記載されている。Reynoldsは、ILDには種々の初期事象があるが、肺組織の免疫病理学的応答は制限され、したがって、ILDには共通の特徴があると起債している。
【0026】
「特発性肺線維症」または「IPF」は、ILDの原型であると考えられている。特発性で原因不明であるが、Reynolds(前出)は、この用語は、十分に定義された臨床単位を指すと記載している。
【0027】
「気管支肺胞洗浄」または「BAL」は、下気道由来の細胞を切り取り、調べる試験であり、IPFのような肺の障害に対する診断手技としてヒトに使用される。ヒト患者では、通常は、気管支鏡検査法中に行われる。
【0028】
「糖尿病性ニューロパチー」は、糖尿病に由来する急性および慢性の末梢神経の不全を指す。
【0029】
「糖尿病性ネフロパシー」は、糖尿病に由来する腎疾患を指す。
【0030】
「アルキル」は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語には、一例として、直鎖および分枝鎖のヒドロカルビル基、例えば、メチル(CH−)、エチル(CHCH−)、n−プロピル(CHCHCH−)、イソプロピル((CHCH−)、n−ブチル(CHCHCHCH−)、イソブチル((CHCHCH−)、sec−ブチル((CH)(CHCH)CH−)、t−ブチル((CHC−)、n−ペンチル(CHCHCHCHCH−)およびネオペンチル((CHCCH−)が挙げられる。
【0031】
「アルケニル」は、2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有し、少なくとも1箇所、好ましくは1〜2箇所のビニル(>C=C<)不飽和部を有する、直鎖または分枝鎖のヒドロカルビル基を指す。このような基の例は、例えば、ビニル、アリルおよびブタ−3−エン−1−イルである。この用語には、cis異性体およびtrans異性体およびこれらの異性体の混合物が含まれる。
【0032】
「アルキニル」は、2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜3個の炭素原子を有し、少なくとも1箇所、好ましくは1〜2箇所のアセチレン(−C≡C−)不飽和部を有する、直鎖または分枝鎖のヒドロカルビル基を指す。このようなアルキニル基の例は、例えば、アセチレニル(−C≡CH)およびプロパルギル(−CHC≡CH)が挙げられる。
【0033】
「置換アルキル」は、1〜5個、好ましくは1〜3個、またはさらに好ましくは1〜2個の置換基を有するアルキル基を指し、置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオおよび置換アルキルチオからなる群から選択され、上述の置換基は、本明細書に定義されている。
【0034】
「置換アルケニル」は、1〜3個、好ましくは1〜2個の置換基を有するアルケニル基を指し、置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオおよび置換アルキルチオからなる群から選択され、上述の置換基は、本明細書に定義されており、但し、いかなるヒドロキシ置換基も、ビニル(不飽和)炭素原子には結合していない。
【0035】
「置換アルキニル」は、1〜3個、好ましくは1〜2個の置換基を有するアルキニル基を指し、置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオおよび置換アルキルチオからなる群から選択され、上述の置換基は、本明細書に定義されており、但し、いかなるヒドロキシ置換基も、アセチレン炭素原子には結合していない。
【0036】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を指し、アルキルは本明細書に定義されている。アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、sec−ブトキシおよびn−ペントキシが挙げられる。
【0037】
用語「置換アルコキシ」は、−O−(置換アルキル)基を指し、置換アルキルは本明細書に定義されている。
【0038】
用語「アシル」は、H−C(O)−、アルキル−C(O)−、置換アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、置換アルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、置換アルキニル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−、置換シクロアルキル−C(O)−、シクロアルケニル−C(O)−、置換シクロアルケニル−C(O)−、アリール−C(O)−、置換アリール−C(O)−、ヘテロアリール−C(O)−、置換ヘテロアリール−C(O)、ヘテロ環−C(O)−および置換ヘテロ環−C(O)−の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。アシルには、「アセチル」基CHC(O)−を含む。
【0039】
「アシルアミノ」は、−NRC(O)アルキル、−NRC(O)置換アルキル、−NRC(O)シクロアルキル、−NRC(O)置換シクロアルキル、−NRC(O)シクロアルケニル、−NRC(O)置換シクロアルケニル、−NRC(O)アルケニル、−NRC(O)置換アルケニル、−NRC(O)アルキニル、−NRC(O)置換アルキニル、−NRC(O)アリール、−NRC(O)置換アリール、−NRC(O)ヘテロアリール、−NRC(O)置換ヘテロアリール、−NRC(O)ヘテロ環および−NRC(O)置換ヘテロ環の基を指し、Rは水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0040】
「アシルオキシ」は、アルキル−C(O)O−、置換アルキル−C(O)O−、アルケニル−C(O)C−、置換アルケニル−C(C)O−、アルキニル−C(O)O−、置換アルキニル−C(O)O−、アリール−C(O)O−、置換アリール−C(C)O−、シクロアルキル−C(O)O−、置換シクロアルキル−C(O)O−、シクロアルケニル−C(O)O−、置換シクロアルケニル−C(O)O−、ヘテロアリール−C(O)O−、置換ヘテロアリール−C(O)O−、ヘテロ環−C(O)O−および置換ヘテロ環−C(O)O−の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0041】
用語「アミノ」は、−NH基を指す。
【0042】
「置換アミノ」は、−NR’R”基を指し、R’およびR”は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アルケニル、−SO−置換アルケニル、−SO−シクロアルキル、−SO−置換シクロアルキル、−SO−シクロアルケニル、−SO−置換シクロアルケニル、−SO−アリール、−SO−置換アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−置換ヘテロアリール、−SO−ヘテロ環および−SO−置換ヘテロ環からなる群から選択され、R’およびR”は、場合により、これらが結合する窒素とともに、へテロ環基または置換へテロ環基を形成し、但し、R’およびR”は、両方が水素であることはなく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。R’が水素であり、R”がアルキルである場合、置換アミノ基は、本明細書ではアルキルアミノと呼ばれることもある。R’およびR”がアルキルである場合、置換アミノ基は、本明細書ではジアルキルアミノと呼ばれることもある。一置換アミノと称する場合、R’またはR”のいずれかが水素であるが、両方ともが水素ではないことを意味する。二置換アミノと称する場合、R’もR”も水素ではないことを意味する。
【0043】
「アミノカルボニル」は、−C(O)NR1011基を指し、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、これらが結合する窒素とともに、へテロ環基または置換へテロ環基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0044】
「アミノチオカルボニル」は、−C(S)NR1011基を指し、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、これらが結合する窒素とともに、へテロ環基または置換へテロ環基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0045】
「アミノカルボニルアミノ」は、−NRC(O)NR1011基を指し、Rは水素またはアルキルであり、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、これらが結合する窒素とともに、へテロ環基または置換へテロ環基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0046】
「アミノチオカルボニルアミノ」は、−NRC(S)NR1011基を指し、Rは水素またはアルキルであり、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、これらが結合する窒素とともに、へテロ環基または置換へテロ環基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0047】
「アミノカルボニルオキシ」は、−O−C(O)NR1011基を指し、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、これらが結合する窒素とともに、へテロ環基または置換へテロ環基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0048】
「アミノスルホニル」は、−SONR1011基を指し、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、これらが結合する窒素とともに、へテロ環基または置換へテロ環基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0049】
「アミノスルホニルオキシ」は、−O−SONR1011基を指し、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、これらが結合する窒素とともに、へテロ環基または置換へテロ環基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0050】
「アミノスルホニルアミノ」は、−NR−SONR1011基を指し、Rは水素またはアルキルであり、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、これらが結合する窒素とともに、へテロ環基または置換へテロ環基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0051】
「アミジノ」は、−C(=NR12)NR1011基を指し、R10、R11およびR12は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、これらが結合する窒素とともに、へテロ環基または置換へテロ環基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0052】
「アリール」または「Ar」は、単環(例えばフェニル)または複数の環が縮合した環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する、6〜14個の炭素原子を有する一価の芳香族炭素環基を指し、縮合環は、芳香族であってもよく、または芳香族でなくてもよく(例えば、2−ベンゾオキサゾリノン、2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン−7−イルなど)、但し、結合点は芳香族炭素原子上にある。好ましいアリールとしては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0053】
「置換アリール」は、1〜5個、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個の置換基で置換されたアリール基を指し、置換基は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオおよび置換アルキルチオからなる群から選択され、上述の置換基は本明細書に定義されるとおりである。
【0054】
「アリールオキシ」は、−O−アリール基を指し、アリールは、本明細書に定義されるとおりであり、例えば、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。
【0055】
「置換アリールオキシ」は、−O−(置換アリール)基を指し、置換アリールは本明細書に定義されるとおりである。
【0056】
「アリールチオ」は、−S−アリール基を指し、アリールは本明細書に定義されるとおりである。
【0057】
「置換アリールチオ」は、−S−(置換アリール)基を指し、置換アリールは本明細書に定義されるとおりである。
【0058】
「カルボニル」は、二価の−C(O)−基を指し、−C(=O)−と同じ意味である。
【0059】
「カルボキシル」または「カルボキシ」は、−COOHまたはその塩を指す。
【0060】
「カルボキシルエステル」または「カルボキシエステル」は、−C(O)O−アルキル、−C(O)O−置換アルキル、−C(O)O−アルケニル、−C(O)O−置換アルケニル、−C(O)O−アルキニル、−C(O)O−置換アルキニル、−C(O)O−アリール、−C(O)O−置換アリール、−C(O)O−シクロアルキル、−C(O)O−置換シクロアルキル、−C(O)O−シクロアルケニル、−C(O)O−置換シクロアルケニル、−C(O)O−ヘテロアリール、−C(O)O−置換ヘテロアリール、−C(O)Qヘテロ環および−C(O)O−置換ヘテロ環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書で定義されるとおりである。
【0061】
「(カルボキシルエステル)アミノ」は、−NR−C(O)O−アルキル、置換−NR−C(O)O−アルキル、−NR−C(O)O−アルケニル、−NR−C(O)O−置換アルケニル、−NR−C(O)O−アルキニル、−NR−C(O)O−置換アルキニル、−NR−C(O)O−アリール、−NR−C(O)O−置換アリール、−NR−C(O)O−シクロアルキル、−NR−C(O)O−置換シクロアルキル、−NR−C(O)O−シクロアルケニル、−NR−C(O)O−置換シクロアルケニル、−NR−C(O)O−ヘテロアリール、−NR−C(O)O−置換ヘテロアリール、−NR−C(O)O−ヘテロ環および−NR−C(O)O−置換ヘテロ環の基を指し、Rはアルキルまたは水素であり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は、本明細書に定義されるとおりである。
【0062】
「(カルボキシルエステル)オキシ」は、−O−C(O)O−アルキル、置換−O−C(O)O−アルキル、−O−C(O)O−アルケニル、−O−C(O)O−置換アルケニル、−O−C(O)O−アルキニル、−O−C(O)O−置換アルキニル、−O−C(O)O−アリール、−O−C(O)O−置換アリール、−O−C(O)O−シクロアルキル、−O−C(O)O−置換シクロアルキル、−O−C(O)O−シクロアルケニル、−O−C(O)O−置換シクロアルケニル、−O−C(O)Oヘテロアリール、−O−C(O)O−置換ヘテロアリール、−O−C(O)O−ヘテロ環および−O−C(O)O−置換ヘテロ環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0063】
「シアノ」は−CN基を指す。
【0064】
「シクロアルキル」は、単環または複数の環(縮合環系および架橋環系およびスピロ環系を含む)を有し、3〜10個の炭素原子を有する環状アルキル基を指す。1つ以上の環は、アリール環、ヘテロアリール環またはヘテロ環であってもよいが、但し、結合点は、非芳香族炭素環上、へテロ環ではない炭素環上にある。適切なシクロアルキル基の例としては、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどが挙げられる。シクロアルキル基の他の例としては、二環[2.2.2]オクタニル、ノルボルニル、およびスピロビシクロ基、例えば、スピロ[4.5]デカ−8−イル
【0065】
【化7】

が挙げられる。
【0066】
「シクロアルケニル」は、単環または複数の環を有し、少なくとも1箇所、好ましくは1〜2箇所の>C=C<不飽和部を環に有する、3〜10個の炭素原子を有する非芳香族環状アルキル基を指す。
【0067】
「置換シクロアルキル」または「置換シクロアルケニル」は、1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基を有するシクロアルキル基またはシクロアルケニル基を指し、置換基は、オキソ、チオン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオおよび置換アルキルチオからなる群から選択され、上述の置換基は本明細書に定義されるとおりである。
【0068】
「シクロアルキルオキシ」は、−O−シクロアルキル基を指す。
【0069】
「置換シクロアルキルオキシ」は、−O−(置換シクロアルキル)を指す。
【0070】
「シクロアルキルチオ」は、−S−シクロアルキルを指す。
【0071】
「置換シクロアルキルチオ」は、−S−(置換シクロアルキル)を指す。
【0072】
「シクロアルケニルオキシ」は、−O−シクロアルケニルを指す。
【0073】
「置換シクロアルケニルオキシ」は、−O−(置換シクロアルケニル)を指す。
【0074】
「シクロアルケニルチオ」は、−S−シクロアルケニルを指す。
【0075】
「置換シクロアルケニルチオ」は、−S−(置換シクロアルケニル)を指す。
【0076】
「グアニジノ」は、−NHC(=NH)NH基を指す。
【0077】
「置換グアニジノ」は、−NR13C(=NR13)N(R13基を指し、R13はそれぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群から選択され、共通のグアニジノ窒素に結合した2個のR13基は、場合により、これらが結合する窒素原子とともにヘテロ環基または置換ヘテロ環基を形成し、但し、少なくとも1個のR13は水素ではなく、上述の置換基は本明細書に定義されるとおりである。
【0078】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指し、好ましくは、フルオロまたはクロロである。
【0079】
「ハロアルキル」は、1〜5個、1〜3個または1〜2個のハロ基で置換されたアルキル基を指し、アルキルおよびハロは本明細書に定義されるとおりである。
【0080】
「ハロアルコキシ」は、1〜5個、1〜3個または1〜2個のハロ基で置換されたアルコキシ基を指し、アルコキシおよびハロは本明細書に定義されるとおりである。
【0081】
「ハロアルキルチオ」は、1〜5個、1〜3個または1〜2個のハロ基で置換されたアルキルチオ基を指し、アルキルチオおよびハロは本明細書に定義されるとおりである。
【0082】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、−OH基を指す。
【0083】
「ヘテロアリール」は、1〜10個の炭素原子と、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子とを環に有する芳香族基を指す。このようなヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジニルまたはフリル)または複数の環が縮合した環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有していてもよく、縮合環は、芳香族であっても芳香族でなくてもよく、および/またはヘテロ原子を含有していても含有していなくてもよく、但し、結合点は芳香族ヘテロアリール基の原子上にある。一実施形態では、ヘテロアリール基の窒素環原子および/または硫黄環原子は、場合により酸化され、N−オキシド(N→O)部分、スルフィニル部分またはスルホニル部分になっていてもよい。好ましいヘテロアリールとしては、ピリジニル、ピローリル、インドリル、チオフェニルおよびフラニルが挙げられる。
【0084】
「置換ヘテロアリール」は、1〜5個、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個の置換基で置換されたヘテロアリール基を指し、置換基は、置換アリールについて定義された置換基と同じ群から選択される。
【0085】
「ヘテロアリールオキシ」は、−O−ヘテロアリールを指す。
【0086】
「置換ヘテロアリールオキシ」は、−O−(置換ヘテロアリール)基を指す。
【0087】
「ヘテロアリールチオ」は、−S−ヘテロアリール基を指す。
【0088】
「置換ヘテロアリールチオ」は、−S−(置換ヘテロアリール)基を指す。
【0089】
「ヘテロ環(heterocycle)」または「ヘテロ環(heterocyclic)」または「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」は、1〜10個の炭素原子と、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子とを環に有する、飽和または部分的に不飽和の芳香族ではない基を指す。へテロ環は、単環または複数の縮合した環を包含する(縮合環系および架橋環系およびスピロ環系を含む)。縮合環系では、1つ以上の環は、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであってもよいが、但し、結合点は非芳香族環にある。一実施形態では、ヘテロ環基の窒素環原子および/または硫黄環原子は、場合により酸化され、N−オキシド(N→O)部分、スルフィニル部分またはスルホニル部分になっている。
【0090】
「置換ヘテロ環」または「置換ヘテロシクロアルキル」または「置換ヘテロシクリル」は、1〜5個、好ましくは1〜3個の置換シクロアルキルについて定義された置換基で置換されたヘテロシクリル基を指す。
【0091】
「ヘテロシクリルオキシ」は、−O−ヘテロシクリルを指す。
【0092】
「置換ヘテロシクリルオキシ」は、−O−(置換ヘテロシクリル)を指す。
【0093】
「ヘテロシクリルチオ」は、−S−ヘテロシクリル基を指す。
【0094】
「置換へテロシクリルチオ」は、−S−(置換ヘテロシクリル)基を指す。
【0095】
ヘテロ環およびヘテロアリールの例としては、限定されないが、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも称される)、1,1−ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジンおよびテトラヒドロフラニルが挙げられる。
【0096】
「ニトロ」は、−NO基を指す。
【0097】
「オキソ」は、原子(=O)または(−O)を指す。
【0098】
「スピロ環系」は、二環系であり、両方の環に共通の1個の環原子を有する環系を指す。
【0099】
「スルホニル」は、二価の−S(O)−基を指す。
【0100】
「置換スルホニル」は、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アルケニル、−SO−置換アルケニル、−SO−シクロアルキル、−SO−置換シクロアルキル、−SO−シクロアルケニル、−SO−置換シクロアルケニル、−SO−アリール、−SO−置換アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−置換ヘテロアリール、−SO−ヘテロ環、−SO−置換ヘテロ環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。置換スルホニルとしては、メチル−SO−、フェニル−SO−および4−メチルフェニル−SO−のような基が挙げられる。用語「アルキルスルホニル」は、−SO−アルキルを指す。用語「ハロアルキルスルホニル」は、−SO−ハロアルキルを指し、ハロアルキルは、本明細書に定義されている。用語「(置換スルホニル)アミノ」は、−NH(置換スルホニル)を指し、置換スルホニルは、本明細書に定義されるとおりである。
【0101】
「スルホニルオキシ」は、−OSO−アルキル、−OSO−置換アルキル、−OSO−アルケニル、−OSO−置換アルケニル、−OSO−シクロアルキル、−OSO−置換シクロアルキル、−OSO−シクロアルケニル、−OSO−置換シクロアルケニル、−OSO−アリール、−OSO−置換アリール、−OSO−ヘテロアリール、−OSO−置換ヘテロアリール、−OSO−ヘテロ環、−OSO−置換ヘテロ環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0102】
「チオアシル」は、H−C(S)−、アルキル−C(S)−、置換アルキル−C(S)−、アルケニル−C(S)−、置換アルケニル−C(S)−、アルキニル−C(S)−、置換アルキニル−C(S)−、シクロアルキル−C(S)−、置換シクロアルキル−C(S)−、シクロアルケニル−C(S)−、置換シクロアルケニル−C(S)−、アリール−C(S)−、置換アリール−C(S)−、ヘテロアリール−C(S)−、置換ヘテロアリール−C(S)−、ヘテロ環−C(S)−および置換ヘテロ環−C(S)−を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は本明細書に定義されるとおりである。
【0103】
「チオール」は、−SH基を指す。
【0104】
「チオカルボニル」は、二価の−C(S)−基を指し、−C(=S)−と同じ意味を有する。
【0105】
「チオン」は、原子(=S)を指す。
【0106】
「アルキルチオ」は、−S−アルキル基を指し、アルキルは本明細書に定義されるとおりである。
【0107】
「置換アルキルチオ」は、−S−(置換アルキル)基を指し、置換アルキルは本明細書に定義されるとおりである。
【0108】
「立体異性体(stereoisomer)」または「立体異性体(stereoisomers)」は、1つ以上の立体中心のキラリティーが異なる化合物を指す。立体異性体は、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む。
【0109】
「互変異性体」は、プロトンの位置が異なる化合物の代替形態(例えば、エノール−ケト互変異性体およびイミン−エナミン互変異性体)、または環の−NH−部分および環の=N−部分の両方に接続する環原子を含有するヘテロアリール基の互変異性形態(例えば、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾールおよびテトラゾール)を指す。
【0110】
「患者」は、哺乳動物を指し、ヒトおよび非ヒト動物を含む。
【0111】
「医薬的に許容される塩」は、当該技術分野で周知の種々の有機対イオンおよび無機対イオンから誘導される、ある化合物の医薬的に許容される塩を指し、対イオンのほんの一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびテトラアルキルアンモニウムが挙げられ、分子に塩基性官能基が含まれる場合、有機酸または無機酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩およびシュウ酸塩が挙げられる。
【0112】
患者の疾患を「治療する」または「治療」は、(1)診断前であるか、または疾患の症状がまだ出ていない患者に起こる疾患を予防すること、(2)発症を阻止することまたはその進行を止めること、または(3)疾患を軽減するか、または疾患の進行を逆行させることを指す。
【0113】
他に言及されていない限り、本明細書に明確に定義されていない置換基は、官能基の末端部分を命名し、次いで結合点に向かう方向で隣接する官能基を命名することによって命名している。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」は、(アリール)−(アルキル)−O−C(O)−基を指す。
【0114】
上に定義された全ての置換された基、置換基にさらなる置換基を有する置換基を定義することによって得られるポリマー(例えば、置換アリール基で置換された置換アリール基を置換基として有する置換アリールなど)は、本発明に含むことは意図されていないことが理解される。このような場合、置換基の最大数は3個である。つまり、例えば、2個の他の置換アリール基で置換アリール基を順に置換することは、−置換アリール−(置換アリール)−置換アリールまでに限定される。
【0115】
同様に、上述の定義は、実現不可能な置換パターン(例えば、5個のフッ素基で置換されたメチル)を含むことを意図していないと理解される。このような実現不可能な置換パターンは、当業者に周知である。
【0116】
したがって、本発明は、式(I)の化合物またはその立体異性体または医薬的に許容される塩を提供する。
【0117】
【化8】

式中、
QはOまたはSであり;
WはOまたはSであり;
Aはフェニル環またはシクロヘキシル環であり;
各Rは、独立して、アルキル、シアノ、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2または3であり;
およびRは、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、上述の環は、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されているか;またはRおよびRのうち1つはアルキルであり、RおよびRのうち他方は、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルであり;
Yは、C6〜10シクロアルキル、置換C6〜10シクロアルキル、C6〜10ヘテロシクロアルキル、置換C6〜10ヘテロシクロアルキルおよび
【0118】
【化9】

からなる群から選択され、
式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換スルホニル)アミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、シアノおよびアルキルスルホニルからなる群から選択され;
但し、YNHC(=Q)NH−が、−C(=W)NRに対してパラ位にあり、Yがフェニルまたは4−ハロ−フェニルであり、QおよびWがOであり、Aがフェニルであり、nが0である場合、RとRとで、ピペリジニル環またはモルホリノ環を形成せず;
但し、YNHC(=Q)NH−が、−C(=W)NRに対してパラ位にあり、Yがフェニルであり、QがSであり、WがOであり、Aがフェニルであり、nが0である場合、RとRとで、2,6−ジメチルピペリジニル環を形成しない。
【0119】
別の実施形態では、式(Ia)または(IIa)を有する化合物またはその立体異性体または医薬的に許容される塩が提供される。
【0120】
【化10】

式中、
QはOまたはSであり;
WはOまたはSであり;
Aはフェニル環またはシクロヘキシル環であり;
各Rは、独立して、アルキル、シアノ、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2または3であり;
およびRは、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、上述の環は、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されているか;またはRおよびRのうち1つはアルキルであり、RおよびRのうち他方は、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルであり;
Yは、C6〜10シクロアルキル、置換C6〜10シクロアルキル、C6〜10ヘテロシクロアルキル、置換C6〜10ヘテロシクロアルキルおよび
【0121】
【化11】

からなる群から選択され、
式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換スルホニル)アミノ、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択され;
但し、式(Ia)において、Yがフェニルまたは4−ハロ−フェニルであり、QおよびWがOであり、Aがフェニルであり、nが0である場合、RとRとで、ピペリジニル環またはモルホリノ環を形成せず;
但し、式(Ia)において、Yがフェニルであり、QがSであり、WがOであり、Aがフェニルであり、nが0である場合、RとRとで、2,6−ジメチルピペリジニル環を形成しない。
【0122】
いくつかの実施形態では、Aがフェニル環である式(Ia)の化合物が提供される。いくつかの局面では、QはOである。他の局面では、WはOである。
【0123】
いくつかの実施形態では、Aがシクロヘキシル環である式(Ia)の化合物が提供される。いくつかの局面では、QはOである。他の局面では、WはOである。
【0124】
いくつかの実施形態では、Aがフェニル環である式(IIa)の化合物が提供される。いくつかの局面では、QはOである。他の局面では、WはOである。
【0125】
いくつかの実施形態では、Aがシクロヘキシル環である式(IIa)の化合物が提供される。いくつかの局面では、QはOである。他の局面では、WはOである。
【0126】
いくつかの実施形態では、nが0である式(Ia)または式(IIa)の化合物が提供される。
【0127】
いくつかの実施形態では、nが1であり、Rがハロである、式(Ia)または式(IIa)の化合物が提供される。いくつかの局面では、Rはフルオロである。
【0128】
いくつかの実施形態では、RおよびRのうち1つがアルキルであり、RおよびRのうち他方が、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルである、式(Ia)または式(IIa)の化合物が提供される。いくつかの局面では、RおよびRのうち1つはメチルである。他の局面では、RおよびRのうち1つは、カルボキシメチル、2−ジメチルアミノ−エチル、2−モルホリン−4−イル−2−オキソ−エチルおよび2−モルホリン−4−イル−エチルからなる群から選択される。
【0129】
いくつかの実施形態では、RおよびRが、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、上述の環が、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されている、式(Ia)または式(IIa)の化合物が提供される。
【0130】
いくつかの実施形態では、RおよびRおよびこれらが結合する窒素原子によって形成される環が、モルホリノ、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニル、4−メチル−ピペラジニル、4−モルホリン−4−イル−ピペリジニル、4−カルボキシ−ピペリジニル、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニルおよび4−イソプロピル−ピペラジニルからなる群から選択される、式(Ia)または式(IIa)の化合物が提供される。
【0131】
いくつかの実施形態では、Yが
【0132】
【化12】

である式(Ia)または式(IIa)の化合物が提供される。
【0133】
いくつかの実施形態では、RおよびRは水素である。
【0134】
いくつかの実施形態では、RおよびRのうち1つはフルオロであり、RおよびRのうち他方は水素である。いくつかの局面では、RおよびRのうち1つはフルオロであり、RおよびRのうち他方は水素であり、R、RおよびRのうち1つは、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択され、R、RおよびRの残りが水素である。
【0135】
いくつかの実施形態では、R、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。いくつかの局面では、R、RおよびRのうち少なくとも1つは、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。他の局面では、R、RおよびRのうち少なくとも1つは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R、RおよびRのうち少なくとも1つは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。
【0136】
いくつかの実施形態では、Rは、クロロ、フルオロおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される。いくつかの局面では、R、R、RおよびRは水素である。
【0137】
いくつかの実施形態では、Yは、C6〜10シクロアルキルまたは置換C6〜10シクロアルキルである。いくつかの局面では、Yは、
【0138】
【化13】

からなる群から選択される。いくつかの局面では、Yはアダマンタン−1−イルである。他の局面では、Yは、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イルである。
【0139】
いくつかの実施形態では、Yはスピロ[4.5]デカ−8−イルである。
【0140】
【化14】

いくつかの実施形態では、YはC6〜10ヘテロシクロアルキルである。いくつかの局面では、Yは、以下の構造を有するキヌクリジン−1−イルである。
【0141】
【化15】

他の実施形態では、式(Ib)、(IIb)、(Ic)または(IIc)を有する化合物、その立体異性体または医薬的に許容される塩が提供される。
【0142】
【化16】

【0143】
【化17】

〔式中、Q、n、R、RおよびRは、上に定義している。〕
他の実施形態では、式(Id)、(IId)、(Ie)および(IIe)を有する化合物、その立体異性体または医薬的に許容される塩が提供される。
【0144】
【化18】

〔式中、Q、n、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、上に定義している。〕
式(Ib〜Id)または式(IIb〜IIe)のいくつかの実施形態では、QはOである。
【0145】
式(Ib〜Id)または式(IIb〜IIe)のいくつかの実施形態では、nは0である。
【0146】
式(Ib〜Id)または式(IIb〜IIe)のいくつかの実施形態では、nは1であり、Rはハロである。いくつかの局面では、Rはフルオロである。
【0147】
式(Ib〜Id)または式(IIb〜IIe)のいくつかの実施形態では、RおよびRのうち1つはアルキルであり、RおよびRのうち他方は、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルである。いくつかの局面では、RおよびRのうち1つはメチルである。他の局面では、RおよびRのうち1つは、カルボキシメチル、2−ジメチルアミノ−エチル、2−モルホリン−4−イル−2−オキソ−エチルおよび2−モルホリン−4−イル−エチルからなる群から選択される。
【0148】
式(Ib〜Id)または式(IIb〜IIe)のいくつかの実施形態では、RおよびRは、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、上述の環が、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されている。
【0149】
式(Ib〜Id)または式(IIb〜IIe)のいくつかの実施形態では、RおよびRおよびこれらが結合する窒素原子によって形成される環は、モルホリノ、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニル、4−メチル−ピペラジニル、4−モルホリン−4−イル−ピペリジニル、4−カルボキシ−ピペリジニル、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニルおよび4−イソプロピル−ピペラジニルからなる群から選択される。
【0150】
式(Ib〜Id)または式(IIb〜IIe)のいくつかの実施形態では、nは0である。
【0151】
式(Ib〜Id)または式(IIb〜IIe)のいくつかの実施形態では、nは1であり、Rはハロである。いくつかの局面では、Rはフルオロである。
【0152】
式(Ib〜Id)または式(IIb〜IIe)のいくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの局面では、Rはメチルである。
【0153】
式(Ib〜Id)または式(IIb〜IIe)のいくつかの実施形態では、Rは、カルボキシメチル、2−ジメチルアミノ−エチル、2−モルホリン−4−イル−2−オキソ−エチルおよび2−モルホリン−4−イル−エチルからなる群から選択される。
【0154】
式(Ib〜Id)または式(IIb〜IIe)のいくつかの実施形態では、RおよびRおよびこれらが結合する窒素原子によって形成される環は、モルホリノ、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニル、4−メチル−ピペラジニル、4−モルホリン−4−イル−ピペリジニル、4−カルボキシ−ピペリジニル、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニルおよび4−イソプロピル−ピペラジニルからなる群から選択される。
【0155】
式(Id)、(Ie)、(IId)および(IIe)のいくつかの実施形態では、RおよびRは水素である。
【0156】
式(Id)、(Ie)、(IId)および(IIe)のいくつかの実施形態では、RおよびRのうち1つはフルオロであり、RおよびRのうち他方は水素である。いくつかの局面では、RおよびRのうち1つはフルオロであり、RおよびRのうち他方は水素であり、R、RおよびRのうち1つは、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択され、R、RおよびRの残りは水素である。
【0157】
式(Id)、(Ie)、(IId)および(IIe)のいくつかの実施形態では、R、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。いくつかの局面では、R、RおよびRのうち少なくとも1つは、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。他の局面では、R、RおよびRのうち少なくとも1つは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。
【0158】
式(Id)、(Ie)、(IId)および(IIe)のいくつかの実施形態では、Rは、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。いくつかの局面では、Rは、クロロ、フルオロおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される。いくつかのこのような局面では、R、R、RおよびRは水素である。他の局面では、R、R、RおよびRのうち1つはハロであり、R、R、RおよびRのうち残りは水素である。
【0159】
他の実施形態では、式(If)、(IIf)、(Ig)または(IIg)を有する化合物、その立体異性体または医薬的に許容される塩が提供される。
【0160】
【化19】

【0161】
【化20】

〔式中、Q、n、R、RおよびRは、上に定義しており、R6’は、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。〕
式(If)、(Ig)、(IIf)および(IIg)のいくつかの実施形態では、QはOである。
【0162】
式(If)、(Ig)、(IIf)および(IIg)のいくつかの実施形態では、nは0である。
【0163】
式(If)、(Ig)、(IIf)および(IIg)のいくつかの実施形態では、nは1であり、Rはハロである。いくつかの局面では、Rはフルオロである。
【0164】
式(If)、(Ig)、(IIf)および(IIg)のいくつかの実施形態では、RおよびRのうち1つはアルキルであり、RおよびRのうち他方は、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルである。いくつかの局面では、RおよびRのうち1つはメチルである。他の局面では、RおよびRのうち1つは、カルボキシメチル、2−ジメチルアミノ−エチル、2−モルホリン−4−イル−2−オキソ−エチルおよび2−モルホリン−4−イル−エチルからなる群から選択される。
【0165】
式(If)、(Ig)、(IIf)および(IIg)のいくつかの実施形態では、RおよびRは、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、上述の環は、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されている。
【0166】
式(If)、(Ig)、(IIf)および(IIg)のいくつかの実施形態では、RおよびRおよびこれらが結合する窒素原子によって形成される環は、モルホリノ、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニル、4−メチル−ピペラジニル、4−モルホリン−4−イル−ピペリジニル、4−カルボキシ−ピペリジニル、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニルおよび4−イソプロピル−ピペラジニルからなる群から選択される。
【0167】
式(If)、(Ig)、(IIf)および(IIg)のいくつかの実施形態では、R6’は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。いくつかの局面では、R6’は、クロロ、フルオロおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される。
【0168】
本発明の化合物または組成物および本明細書で引用した但し書きのいくつかの局面では、表1から選択される化合物、その立体異性体または医薬的に許容される塩が提供される。
【0169】
【表1−1】

【0170】
【表1−2】

【0171】
【表1−3】

【0172】
【表1−4】

一実施形態では、医薬的に許容される担体と、治療的に有効量の式(Ia〜Ie)または式(IIa〜IIe)のいずれかの化合物とを含む、可溶性エポキシド加水分解酵素によって媒介される疾患を治療するための医薬組成物が提供される。
【0173】
別の実施形態では、医薬的に許容される担体と、治療的に有効量の式(I)の化合物
【0174】
【化21】

〔式中、
QはOまたはSであり;
WはOまたはSであり;
Aはフェニル環またはシクロヘキシル環であり;
各Rは、独立して、アルキル、シアノ、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2または3であり;
およびRは、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、上述の環は、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されているか;またはRおよびRのうち1つはアルキルであり、RおよびRのうち他方は、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルであり;
Yは、C6〜10シクロアルキル、置換C6〜10シクロアルキル、C6〜10ヘテロシクロアルキル、置換C6〜10ヘテロシクロアルキルおよび
【0175】
【化22】

からなる群から選択され、
式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換スルホニル)アミノ、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。〕
またはその立体異性体または医薬的に許容される塩とを含む医薬組成物を患者に投与する工程を含む、可溶性エポキシド加水分解酵素によって媒介される疾患を治療する方法が提供される。
【0176】
他の実施形態では、医薬的に許容される担体と、治療的に有効量の式(Ib〜Ie)または式(IIb〜IIe)のいずれかの化合物またはその立体異性体または医薬的に許容される塩とを含む医薬組成物を患者に投与する工程を含む、可溶性エポキシド加水分解酵素によって媒介される疾患を治療する方法が提供される。
【0177】
この方法のいくつかの局面では、上述の化合物は、表1の化合物1〜41のいずれかである。
【0178】
可溶性エポキシド加水分解酵素(「sEH」)の阻害剤が、高血圧を低下させることもすでに示されている(例えば、米国特許第6,351,506号を参照)。このような阻害剤は、望ましくない高血圧のヒトの血圧(糖尿病患者の場合を含む)を制御するのに有用であり得る。
【0179】
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、高血圧(特に、腎性高血圧、肝性高血圧または肺性高血圧);炎症(特に、腎臓の炎症、肝臓の炎症、血管の炎症および肺の炎症);成人急性呼吸窮迫症候群;糖尿病性合併症;末期腎疾患;レイノー症候群;および関節炎の治療を必要とする被検体に投与される。
【0180】
(ARDSおよびSIRSを治療する方法)
成人呼吸窮迫症候群(ARDS)は、死亡率50%の肺疾患であり、外傷患者および重篤な火傷を負った犠牲者に見られる種々の状態によって生じる肺病変から生じる。Ingram,R.H.Jr.、「Adult Respiratory Distress Syndrome」、Harrison’s Principals of Internal Medicine、13、p.1240,1995。グルココルチコイドの可能性を除き、ARDSの初期段階に起こる急性炎症に関連する組織損傷(例えば、微小血管の損傷)を予防または軽減するのに有効であることが知られている治療薬は存在しない。
【0181】
ARDS(部分的には、肺胞上皮細胞の浮腫の進行によって定義される)は、直接的および間接的な肺の損傷から生じる肺疾患の臨床症状を示す。以前の研究では、一見無関係に思われる種々の原因物質について詳細に記載しているが、ARDSの病態生理の根底にある初期事象は十分に理解されているわけではない。ARDSは、元々は臓器1箇所の機能不全とみなされていたが、現在は、多臓器不全症候群(MOFS)の一要素であると考えられている。炎症応答の薬理学的診療または予防は、現時点では、改良された換気補助技術よりも、疾患プロセスを制御する有望な方法であると考えられている。例えば、Demling、Annu.Rev.Med.、46、pp.193−203、1995を参照。
【0182】
急性炎症が関与する別の疾患(または疾患群)は、全身性炎症反応症候群(すなわちSIRS)であり、この名称は、例えば、敗血症、膵炎、多発外傷(例えば、脳に対する障害)および組織の障害(例えば、筋肉組織の裂傷)、脳の手術、出血性ショックおよび免疫介在性の障害から生じる関連する状態を記述するために、ある研究団体によって、近年確立された(JAMA、268(24):3452−3455(1992))。
【0183】
ARDSという疾患は、様々な重篤な火傷患者または敗血症患者にみられるものである。敗血症は、SIRSの症状の1つである。ARDSでは、急性炎症反応がみられ、このとき、間質および肺胞に多くの好中球が移動している。進行すると、炎症、浮腫、細胞増殖が促進され、最終的には、酸素を抽出する能力が失われる。このように、ARDSは、種々の疾患および外傷の共通の合併症である。唯一の治療は、対症療法である。1年間に150,000の症例があると概算されており、死亡率は10%〜90%である。
【0184】
ARDSの真の原因は不明である。しかし、好中球が過剰に発現することにより、ホスホリパーゼA活性によってリノレイン酸が高濃度で放出されるという仮説がある。リノレイン酸は、好中球シトクロムP−450エポキシゲナーゼおよび/または活性酸素の燃焼によって、酵素的に9,10−エポキシ−12−オクタデカノエートに変換される。この脂質エポキシドまたは白血球毒素は、火傷した皮膚および火傷患者の血清および気管支洗浄液には高濃度で存在する。さらに、ラット、マウス、イヌおよび他の哺乳動物にこの物質を注入した場合、ARDSを発症する。作用機序は不明である。しかし、可溶性エポキシド加水分解酵素の作用によって生じる白血球毒素ジオールは、ミトコンドリア内膜透過性遷移(MPT)の特定の誘発因子であると考えられる。白血球毒素ジオールによるこの誘発、シトクロムcの特徴的な放出、核凝縮、DNAの断片化およびCPP32活性化によって細胞死が導かれるが、これらはすべてシクロスポリンAによって阻害され、MPTによって誘発される細胞死に特徴的である。ミトコンドリアおよび細胞での作用は、本発明の阻害剤が、MPTを遮断する化合物とともに治療的に使用可能であることを示唆する作用機序と一致していた。
【0185】
したがって、一実施形態では、ARDSを治療する方法が提供される。別の実施形態では、SIRSを治療する方法が提供される。
【0186】
(腎機能の低下(ネフロパシー)の進行を阻害し、血圧を下げる方法)
本発明の別の局面では、本発明の化合物は、タンパク尿によって測定されるような腎臓の損傷(特に糖尿病による腎臓の損傷)を減らすことができる。本発明の化合物は、高血圧ではない個体の場合でも、糖尿病による腎機能の低下(ネフロパシー)を減らすことができる。治療的投与の条件は、上に記載したとおりである。
【0187】
cis−エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)を、本発明の化合物と組み合わせて使用し、腎臓の損傷をさらに減らすことができる。EET(アラキドン酸のエポキシド)は、血圧のエフェクターであり、炎症の制御剤であり、血管透過性の調整剤であることが知られている。sEHによってエポキシドが加水分解されると、その活性が低下する。sEHを阻害すると、EETがDHETに加水分解される速度が低下するため、EET濃度が上昇する。理論によって束縛されることを望まないが、EET濃度が上昇すると、微小血管系の変化および糖尿病性高血糖の他の病理学的影響によって、腎細胞の損傷が妨げられると考えられる。それゆえに、腎臓でEET濃度が上昇すると、腎臓が微量アルブミン尿から腎疾患の最終段階へと進行するのが抑えられると考えられる。
【0188】
EETは、当該技術分野で周知である。本発明の方法で有用なEETとしては、14,15−EET、8,9−EETおよび11,12−EETおよび5,6 EETが挙げられ、順番は好ましい順である。好ましくは、EETは、より安定なメチルエステルとして投与される。当業者は、EETが、8S,9R−EETおよび14R,15S−EETのような位置異性体であることを理解するであろう。8,9−EET、11,12−EETおよび14R,15S−EETは、例えば、Sigma−Aldrich(それぞれ、カタログ番号E5516、E5641およびE5766、Sigma−Aldrich Corp.(モントリオール州セントルイス))から市販されている。
【0189】
内皮によって産生されるEETは、抗高血圧性を有しており、11,12−EETおよび14,15−EETは、内皮由来過分極因子(EDHF)である場合がある。さらに、EET(例えば11,12−EET)は、線維素溶解促進効果、抗炎症作用を有し、平滑筋の増殖および移動を阻害する。本発明の内容で、これらの望ましい性質は、腎臓および血管の疾患状態において、血管系および臓器を保護すると考えられる。
【0190】
sEH活性の阻害は、EET濃度を上昇させることによって影響を受けることがある。このことにより、EETを1つ以上のsEH阻害剤と組み合わせて使用し、本発明の方法でネフロパシーを減らすことができる。さらに、EETを1つ以上のsEH阻害剤と組み合わせて使用し、高血圧または炎症を減らすか、または両方を減らすことができる。このように、EETの薬剤を、1つ以上のsEH阻害剤と組み合わせて投与可能なように製造してもよいか、または1つ以上のsEH阻害剤を含有する医薬が、場合により1つ以上のEETを含有してもよい。
【0191】
EETを、sEH阻害剤と同時に投与してもよいし、またはsEH阻害剤の投与に続いて投与してもよい。あらゆる薬物と同様に、阻害剤は、体内での代謝速度または排出速度によって定義される半減期を有し、阻害剤は、投与してから効果を発揮するのに十分な量で存在するまでに時間がかかることが理解される。それゆえに、阻害剤を投与した後にEETを投与する場合、阻害剤が、EETの加水分解を遅らせるのに有効な量で存在している間に、EETを投与することが望ましい。典型的には、sEH阻害剤を投与して48時間以内に、1つ以上のEETを投与する。好ましくは、阻害剤を投与して24時間以内に、1つ以上のEETを投与し、さらに好ましくは、阻害剤を投与して12時間以内に、1つ以上のEETを投与する。さらに望ましくは、阻害剤を投与して10時間以内、8時間以内、6時間以内、4時間以内、2時間以内、1時間以内、または30分以内に、1つ以上のEETを投与する。最も好ましくは、阻害剤の投与と同時に1つ以上のEETを投与する。
【0192】
好ましい実施形態では、EET、本発明の化合物またはその両方は、長時間にわたって作用させるために、時間をかけて放出可能な材料で提供される。徐放性コーティングは、医薬分野で周知であり、特定の徐放性コーティングの選択は、本発明の実施にとって重要ではない。
【0193】
EETは、酸性条件下では分解する。したがって、EETを経口投与する場合、胃で分解されないように保護することが望ましい。簡便には、EETは、経口投与の場合、胃の酸性環境を通り、腸の塩基性環境まで残るようにコーティングされてもよい。このようなコーティングは、当該技術分野で周知である。例えば、いわゆる「腸溶性コーティング」でコーティングされたアスピリンが、広く市販されている。このような腸溶性コーティングを使用し、胃を通りぬける間、EETを保護してもよい。例示的なコーティングを実施例に記載する。
【0194】
EETの抗高血圧効果が認識されているが、EETは、内因性sEHが、EETが有用な効果を示すまでにきわめて速く加水分解してしまうと考えられるため、高血圧の治療用には投与されない。驚くべきことに、本発明の元となる一連の研究で、体外から投与したsEH阻害剤が、外因性EETの投与によってさらにEET濃度を上昇させるのに十分な程度、sEHを首尾よく阻害することがわかった。これらの発見は、ネフロパシーの成長および進行の阻害に関し、sEH阻害剤および上述のEETを共に投与する根拠となる。このことは、治療の増強においても、重要な進歩である。sEH阻害剤の作用によって生じるsEH活性の阻害に伴って、内因性EETの濃度が上昇し、症状または病変に少なくともいくらか改善が認められるが、あらゆる症例で腎臓の損傷の進行を完全に食い止めるか、または目的とするレベルまで抑えるのに十分とはいえない。疾患または他の因子によって健康な個体で通常存在する濃度よりも内因性EETの濃度が低下している場合は特にそうである。それゆえに、EETをsEH阻害剤と組み合わせて体外から投与することは有益であり、糖尿病性ネフロパシーの進行を抑えるsEH阻害剤の効果を増強すると予想される。
【0195】
本発明は、腎臓の進行性損傷および腎不全に関連する程度まで、任意およびあらゆる糖尿病形態に関して使用することができる。糖尿病の慢性高血糖は、長期間にわたる損傷、機能不全および種々の臓器(特に、眼、腎臓、神経、心臓および血管)の機能不全と関係がある。長期間にわたる糖尿病の合併症としては、失明の可能性がある網膜症;腎不全を生じるネフロパシー;脚の潰瘍、切断およびシャルコー関節のリスクがある抹消性ニューロパチーが挙げられる。
【0196】
それに加え、メタボリック症候群のヒトは、2型糖尿病が進行するリスクが高く、したがって、糖尿病性ネフロパシーの平均値よりもリスクが高い。したがって、このような個体では、微量アルブミン尿を監視し、ネフロパシーの進行を減らすための診療として、sEH阻害剤を投与し、場合により、1つ以上のEETを投与することが望ましい。医師は、微量アルブミン尿が見られるまで、上述の診療を開始するのを待ってもよい。血圧が130/85以上ではなくても、メタボリック症候群であると診断されることがあるため、血圧が130/85以上のヒトにも、血圧が130/85未満のヒトにも、腎臓の損傷の進行を遅らせるために、sEH阻害剤と、場合により1つ以上のEETを投与する利益がある。いくつかの好ましい実施形態では、上述のヒトは、メタボリック症候群であり、血圧が130/85未満である。
【0197】
脂質異常症または脂質代謝障害は、心疾患の別の危険因子である。このような障害としては、LDLコレステロール濃度の上昇、HDLコレステロール濃度の低下およびトリグリセリド濃度の上昇が挙げられる。血清コレステロール(特にLDLコレステロール)濃度の上昇は、心疾患のリスク上昇と関係がある。このような高濃度では腎臓も破壊される。高濃度のトリグリセリドは、腎臓の損傷と関係があると考えられている。特に、200mg/dLを超えるコレステロール濃度、特に225mg/dLを超えるコレステロール濃度は、sEH阻害剤(および場合によりEET)を投与すべきであることを示唆する。同様に、215mg/dLを超えるトリグリセリド濃度、特に250mg/dL以上のトリグリセリド濃度は、sEH阻害剤(および場合によりEET)の投与が望ましいことを示す。本発明の化合物の投与は、EETを共に投与する場合でも投与しない場合でも、スタチン薬物(HMG−COAレダクターゼ阻害剤)を患者に投与する必要性を減らすか、またはスタチンの必要量を減らす。いくつかの実施形態では、本発明の方法、使用および組成物の候補者は、トリグリセリド濃度が215mg/dLを超え、血圧が130/85未満の者である。いくつかの実施形態では、候補者は、トリグリセリド濃度が250mg/dLを超え、血圧が130/85未満の者である。いくつかの実施形態では、本発明の方法、使用および組成物の候補者は、コレステロール濃度が200mg/dLを超え、血圧が130/85未満の者である。いくつかの実施形態では、候補者は、コレステロール濃度が225mg/dLを超え、血圧が130/85未満の者である。
【0198】
(血管平滑筋細胞の増殖を阻害する方法)
他の実施形態では、式(Ia〜Ie)および式(IIa〜IIe)の化合物は、顕著な細胞毒性(例えば、VSM細胞に特異的な)を示さずに、血管平滑筋(VSM)細胞の増殖を阻害する。VSM細胞の増殖は、アテローム性動脈硬化症の病態生理に不可欠のプロセスであり、これらの化合物は、アテローム性動脈硬化症を遅らせるかまたは抑えるのに適している。これらの化合物は、アテローム性動脈硬化症のリスクがある被検体(例えば、糖尿病患者および心臓発作患者または心臓への血液循環が低下していることが試験結果で示された個体)に有用である。治療的な投与条件は上述のとおりである。
【0199】
本発明の方法は、特に、狭くなった動脈を開かせるか、または開かせた経路が再狭窄によって狭くなるのを遅らせるための血管形成術のような経皮診療を受けた患者に有用である。いくつかの好ましい実施形態では、この動脈は冠動脈である。本発明の化合物は、ステントのポリマーコーティングに入れられ、再狭窄を減らすために局所的に放出するように制御されてもよい。移植可能な医療デバイス(例えば、ステント)用のポリマー組成物およびポリマーに放出制御状態で薬剤を埋め込む方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第6,335,029号;第6,322,847号;第6,299,604号;第6,290,722号;第6,287,285号および第5,637,113号に教示されている。好ましい実施形態では、コーティングは、阻害剤を長時間、好ましくは数日間、数週間または数ヶ月間にわたって放出する。選択される特定のポリマーまたは他のコーティングは、本発明の重要な部分ではない。
【0200】
本発明の方法は、天然または合成の血管移植片の狭窄または再狭窄を遅らせるか、または抑えるのに有用である。ステントと組み合わせて上に記載したように、望ましくは、合成血管移植片は、VSMの増殖を遅らせるかまたは阻害し、その後に続く移植片の狭窄を遅らせるかまたは阻害するために、長期間にわたって本発明の化合物を放出する材料を含む。血液透析移植片は、特に好ましい実施形態である。
【0201】
これらの用途に加え、本発明の方法を使用し、心臓発作患者または心臓発作のリスクがあることが試験結果で示された個体の血管の狭窄または再狭窄を遅らせるか、または抑えることができる。
【0202】
血管形成術または組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)を用いた治療のような血餅の除去により、再かん流障害を生じることもあり、この場合、低酸素細胞に血液および酸素を再供給することにより、酸化による損傷が起きたり、炎症事象が起きることがある。いくつかの実施形態では、本発明の化合物および組成物を再かん流障害を治療するために投与する方法が提供される。いくつかのこのような実施形態では、血管形成術またはtPA投与の前または後に、上述の化合物および組成物を投与する。
【0203】
一種の好ましい実施形態では、本発明の化合物を投与し、高血圧ではないヒトのVSM細胞の増殖を低下させる。別の種類の実施形態では、本発明の化合物を使用し、高血圧の治療対象であるが、sEH阻害剤ではない薬剤を用いて治療するヒトのVSM細胞の増殖を低下させる。
【0204】
本発明の化合物を使用し、細胞周期の調節が不適切な細胞の増殖を妨害することができる。ある重要な種類の実施形態では、上述の細胞は癌細胞である。このような細胞の増殖は、細胞と本発明の化合物とを接触させることによって、遅らせるかまたは抑えることができる。本発明の特定の化合物が、任意の種類の癌細胞の増殖を遅らせるかまたは抑えることができるか否かは、当該技術分野で一般的なアッセイを用いて決定することができる。
【0205】
本発明の化合物の使用に加え、EETを加えることによってEET濃度を上昇させることができる。EETおよび本発明の化合物と接触したVSM細胞は、EET単独または本発明の化合物単独と接触した細胞よりも増殖が遅くなる。したがって、所望な場合、本発明の化合物によってVSM細胞の増殖を遅らせることまたは抑えることは、EETを本発明の化合物とともに加えることによって改良される。ステントまたは血管移植片の場合、例えば、コーティングに本発明の化合物とともにEETを埋め込み、両者が所定の場所で一度に放出されるようにすることによって簡単に達成することができる。
【0206】
(閉塞性肺疾患、間質性肺疾患または喘息の進行を抑える方法)
慢性閉塞性肺疾患(すなわちCOPD)は、肺気腫および慢性気管支炎という2つの状態を包含し、これらは、大気汚染、化学物質への慢性的な暴露および喫煙によって肺に生じる損傷と関係がある。肺気腫は、肺胞の損傷と関係があり、肺胞間の分離不全が起こり、それにより気体交換に利用可能な全表面積が減少する。慢性気管支炎は、気管支の炎症と関係があり、ムチンが過剰産生し、そのムチンによって肺胞で気道が遮断される。肺気腫患者が慢性気管支炎である必要もなければ、慢性気管支炎患者が肺気腫である必要もないが、片方の状態を発症しているヒトの場合、もう片方および他の肺障害を有しているのが一般的である。
【0207】
COPD、肺気腫、慢性気管支炎および他の閉塞性肺障害による肺の損傷のいくつかは、可溶性エポキシド加水分解酵素(すなわち「sEH」)として知られる酵素の阻害剤を投与することによって抑えることができるか、または疾患の進行を逆行させることができる。sEH阻害剤の効果は、EETを投与することによっても増大させることができる。この効果は、2つの薬剤を別個に投与する場合と比べ、少なくとも両効果を足したものであり、実際には相乗効果を有している場合がある。
【0208】
本明細書で報告した研究によれば、EETをsEH阻害剤と組み合わせて使用し、喫煙または拡張による肺の損傷、職業的または環境的な刺激物質による肺の損傷を減らすことができる。これらの発見は、sEH阻害剤およびEETを共に投与することで、COPD、肺気腫、慢性気管支炎または肺の炎症を生じる他の慢性閉塞性肺疾患の成長および進行を抑えるか、または遅らせることができることを示す。
【0209】
COPDの動物モデルおよびCOPDのヒトでは、免疫調整作用のあるリンパ球および好中球の濃度が高くなっている。好中球は、組織損傷を起こす薬剤を放出し、制御不能な場合、長期間にわたって破壊的な影響を与える。理論によって束縛されることを望まないが、好中球の濃度低下によって、COPD、肺気腫および慢性気管支炎のような閉塞性肺疾患に起因する組織損傷が減ると考えられる。sEH阻害剤をCOPD動物モデルのラットに投与すると、肺に存在する好中球の数が減少した。sEH阻害剤に加えてEETを投与しても、好中球の濃度が低下した。sEH阻害剤およびEET存在下での好中球の濃度低下は、sEH阻害剤のみが存在する場合よりも大きかった。
【0210】
内因性EETの濃度は、sEH阻害剤の作用によってsEH活性が阻害されるにつれて上昇すると予想され、そのために、症状または病状が少なくともいくらか改善されるが、あらゆる症例で、COPDまたは他の肺疾患の進行を抑えるのに十分であるとはいえない。疾患または他の因子によって健康な個体で通常存在する濃度よりも内因性EETの濃度が低下している場合は特にそうである。EETをsEH阻害剤と組み合わせて体外から投与することは、sEH阻害剤がCOPDまたは他の肺疾患の進行を抑えるかまたは低下させる効果を増強すると予想される。
【0211】
慢性閉塞性の気道状態の進行を抑えるかまたは低下させることに加え、本発明はさらに、慢性拘束性気道疾患の重篤度を低下させるか、または進行を抑える新しい様式を提供する。拘束性気道疾患は、肺実質(特に肺胞)を破壊する傾向があり、拘束性疾患は、過剰のコラーゲンを肺実質に堆積させる傾向がある。これらの拘束性疾患は、一般的には、「間質性肺疾患」または「ILD」と称され、特発性肺線維症のような状態を含む。本発明の方法、組成物および使用は、ILD(例えば特発性肺線維症)の重篤度を低下させるか、または進行を抑えるのに有用である。マクロファージは、間質細胞(特に線維芽細胞)を刺激し、コラーゲンを形成するのに重要な役割をはたす。理論によって束縛されることを望まないが、好中球がマクロファージの活性化に関与し、本明細書で報告した研究で見られた好中球濃度の低下を、本発明の方法および使用がILDの重篤度を低下させるか、または進行を抑えるために適用可能であることを示すと考えられる。
【0212】
いくつかの好ましい実施形態では、ILDは特発性肺線維症である。他の好ましい実施形態では、ILDは、職業的または環境的な暴露と関係がある。このようなILDの例は、石綿症、珪肺、炭鉱作業員塵肺およびベリリウム中毒である。さらに、セメント粉塵、コークス炉排出物、雲母、岩粉、綿塵および穀物粉塵を含む多くの無機粉塵および有機粉塵のいずれかの職業的な暴露は、粘液過分泌および呼吸器官の疾患と関係があると考えられている(これらの状態と関連する職業的な粉塵のさらなる完全なリストは、Speizer、「Environmental Lung Diseases」、HarrisoN’s Principles of Internal Medicine(以下)、pp.1429−1436の表254−1を参照)。他の実施形態では、ILDは、肺サルコイドーシスである。ILDは、医学的治療(特に乳癌の場合)での放射線によって生じることもあり、関節リウマチおよび全身性硬化症のような接続組織またはコラーゲンの疾患によって生じることもある。本発明の方法、使用および組成物は、これらの間質性肺疾患それぞれに有用であると考えられる。
【0213】
別の種類の実施形態では、本発明を使用し、喘息の重篤度を下げるか、または進行を抑える。喘息は、典型的には、ムチンの過剰分泌を生じ、部分的な気道閉塞を生じる。さらに、気道の炎症により、気道閉塞を生じるメディエーターが放出される。喘息の肺に入り込むリンパ球および他の免疫調整細胞は、COPDまたはILDの結果生じるものとは異なっているが、本発明によって、免疫調整細胞(例えば好中球および好酸球)の流入量が減少し、閉塞度が軽減すると予想される。したがって、sEH阻害剤の投与、およびEETと組み合わせたsEH阻害剤の投与は、喘息による気道閉塞を減らすのに有用である。
【0214】
これらの疾患および状態それぞれにおいて、肺の損傷の少なくともいくつかは、肺に侵入する好中球によって放出される薬剤によるものである。したがって、気道に好中球が存在することは、上述の疾患または状態による連続的な損傷の指標であり、一方、好中球の数の減少は、損傷または疾患の進行が抑えられていることの指標である。このように、ある薬剤存在下での気道の好中球数の減少は、その薬剤が、その疾患または状態による損傷を低下させ、その疾患または状態のさらなる進行を遅らせていることのマーカーである。肺に存在する好中球の数は、例えば、気管支肺胞洗浄によって決定することができる。
【0215】
(卒中による損傷を減らすための予防方法および治療方法)
sEH阻害剤と組み合わせて投与される可溶性エポキシド加水分解酵素(「sEH」)およびEETは、卒中による損傷を減らすことが示されている。これらの結果に基づき、本願発明者らは、sEH阻害剤を虚血性卒中が起こる前に摂取すると、脳の損傷領域を減らし、その結果生じる機能障害の程度を下げると予想している。損傷領域を減らすことは、卒中の影響から迅速に回復することとも関係があるはずである。
【0216】
さまざまな副次的な分類の卒中では病態生理は異なっているが、すべて脳の損傷をひき起す。出血性卒中は、損傷が主に、血管が破裂した後に頭蓋骨内部の狭い空間に血液が蓄積するにつれて、組織が圧迫されることによるという点で、虚血性卒中とは異なっている。一方、虚血性卒中では、損傷は、主に血餅によって血管が遮断された顆粒の組織に酸素が送られないことによるものである。虚血性卒中は、血餅が脳の血管を遮断する血栓性卒中と、体内の他の部分に生成した血餅が血流にのって運ばれ、脳の血管を遮断する塞栓性卒中とに分けられる。出血性卒中であっても虚血性卒中であっても、損傷は、脳細胞の死によるものである。本願発明者らの研究によって観察された結果に基づき、本願発明者らは、あらゆる種類の卒中およびさまざまな副次的な分類の卒中において、脳の損傷を少なくともいくらか減らすと予想している。
【0217】
卒中のリスク増大には多くの因子が関係している。本発明の元になる研究結果によれば、sEH阻害剤を、高血圧、喫煙者、糖尿病、頚動脈疾患、抹消動脈疾患、心房細動、一過性脳虚血発作(TIA)、赤血球数過多および鎌状赤血球疾患のような血液障害、血中コレステロール過多、肥満、女性で1日に2回以上の飲酒または男性で1日に3回以上の飲酒、コカイン使用、卒中の家族歴、卒中歴または心臓発作歴または高齢の1つ以上のいずれかの状態を有するヒトに投与すると、卒中によって損傷する脳の領域が減る。高齢者の場合、卒中のリスクは10歳ごとに増加する。したがって、個人が60歳、70歳または80歳になると、sEH阻害剤を投与する利点は、潜在的に大きくなる。次の章で示すように、1つ以上のsEH阻害剤と組み合わせてEETを投与することは、脳の損傷をさらに減らすのに有益であり得る。
【0218】
いくつかの好ましい使用および方法では、sEH阻害剤(および場合によりEET)を、喫煙者、頚動脈疾患、抹消動脈疾患、心房細動、1つ以上の一過性脳虚血発作(TIA)、赤血球数過多および鎌状赤血球疾患のような血液障害、血中コレステロール過多、肥満、女性で1日に2回以上の飲酒または男性で1日に3回以上の飲酒、コカイン使用、卒中の家族歴を有するヒト、卒中歴または心臓発作歴があり、高血圧または糖尿ではないヒト、または年齢が60歳以上、70歳以上または80歳以上であり、高血圧または糖尿ではないヒトに投与する。
【0219】
血餅溶解剤(例えば、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA))は、卒中が起こった後数時間以内に投与すれば、虚血性卒中による損傷の程度を減らすことが示されている。例えば、tPAは、卒中後3時間以内の使用がFDAに承認されている。このように、卒中による脳の損傷の少なくともいくらかは瞬間的ではなく、卒中が起こった後に、所定時間にわたって起こるか、または卒中が起こってから所定時間経過後に起こる。sEH阻害剤を(場合によりEETとともに)投与すると、卒中が起こってから6時間以内、さらに好ましくは、卒中が起こってから5時間以内、4時間以内、3時間以内または2時間以内に投与した場合には、脳の損傷を減らすことができると考えられ、間隔が短いほうが好ましい。さらに好ましくは、上述の1つ以上の阻害剤を、卒中が起こってから2時間以内または1時間以内に投与すれば、脳の損傷を最小限にすることができる。当業者は、ある患者に卒中が起こったか否かを診断する方法を熟知している。このような判定は、典型的には、病院の緊急治療室で行われ、次いで、標準的な異なる診断プロトコルおよび造影手段で行われる。
【0220】
いくつかの好ましい使用および方法では、sEH阻害剤(および場合によりEET)を、喫煙者、頚動脈疾患、抹消動脈疾患、心房細動、1つ以上の一過性脳虚血発作(TIA)、赤血球数過多および鎌状赤血球疾患のような血液障害、血中コレステロール過多、肥満、女性で1日に2回以上の飲酒または男性で1日に3回以上の飲酒、コカイン使用、卒中の家族歴を有するヒト、卒中歴または心臓発作歴があり、高血圧または糖尿ではないヒト、または年齢が60歳以上、70歳以上または80歳以上であり、高血圧または糖尿ではないヒトに、卒中が起こってから6時間以内に投与する。
【0221】
(組み合わせ治療)
上述のように、本発明の化合物は、いくつかの場合では、所望の効果をもたらす他の治療薬と組み合わせて使用する。さらなる薬剤の選択は、大部分は、所望の標的治療に依存する(例えば、Turner,N.ら、Prog.Drug Res.(1998)51:33−94;Haffner,S.Diabetes Care(1998)21:160−178;およびDeFronzo,R.ら(編)、Diabetes Reviews(1997)、第5巻のNo.4を参照)。多くの研究によって、経口薬剤との組み合わせ治療の利点が示された(例えば、Mahler,R.、J.Clin.Endocrinol.Metab.(1999)84:1165−71;United Kingdom Prospective Diabetes Study Group:UKPDS 28、Diabetes Care(1998)21:87−92;Bardin,C.W.(編)、Current Therapy In Endocrinology And Metabolism、第6版(Mosby−Year Book,Inc.、モントリオール州セントルイス、1997);Chiasson,J.ら、Ann.Intern.Med.(1994)121:928−935;Coniff,R.ら、Clin.Ther.(1997)19:16−26;Coniff,R.ら、Am.J.Med.(1995)98:443−451;およびIwamoto,Y.ら、Diabet.Med.(1996)13 365−370;Kwiterovich,P.Am.J.Cardiol(1998)82(12A):3U−17U)。組み合わせ治療は、式(Ia〜Ie)および式(IIa〜IIe)の化合物と、1つ以上のさらなる活性薬剤とを含有する1個の医薬投薬処方物を投与すること、ならびに、上述の化合物と各活性薬剤とを別個の医薬投薬処方物で投与することを含む。例えば、式(Ia〜Ie)および式(IIa〜IIe)の化合物と、1つ以上のアンジオテンシン受容体遮断薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、カルシウムチャンネル遮断薬、利尿薬、α遮断薬、β遮断薬、中枢作用薬、バソペプチダーゼ阻害剤、レニン阻害剤、エンドセリン受容体アゴニスト、AGE(終末糖化産物)架橋破壊剤、ナトリウム/カリウムATPase阻害剤、エンドセリン受容体アゴニスト、エンドセリン受容体アンタゴニスト、アンジオテンシンワクチンなどとを、1個の経口投薬組成物(例えば、錠剤またはカプセル)で一緒にヒト被検体に投与することができ、またはそれぞれの薬剤を、別個の経口投薬処方物で投与することができる。別個の投薬処方物を用いる場合、式(Ia〜Ie)および式(IIa〜IIe)の化合物と、1つ以上のさらなる活性薬剤とを、本質的に同時期に(すなわち、同時に)、または別個に段階的に(すなわち、連続的に)投与することができる。組み合わせ治療は、これらのあらゆる投薬計画を含むと理解される。
【0222】
(投与および医薬組成物)
一般的に、本発明の化合物を、同様の有用性をもつ薬剤の許容されるいずれかの投与形態によって、治療的に有効な量投与する。本発明の化合物(すなわち活性成分)の実際量は、多くの因子(例えば、治療対象の疾患の重篤度、非検体の年齢および相対的な健康状態、使用化合物の効力、投与経路および投与形態および他の因子)に依存する。上述の薬物を、1日に1回より多く、好ましくは、1日に1回または2回投与することができる。これらの全ての因子は、当該技術分野の担当医の常識の範囲内である。
【0223】
上述の化合物の治療的に有効な量は、受容者の体重1kgあたり、約0.05〜約50mg/日であり、好ましくは、約0.1〜約25mg/kg/日、さらに好ましくは、約0.5〜約10mg/kg/日である。したがって、70kgのヒトに投与する場合、投薬範囲は、最も好ましくは、約35〜70mg/日である。
【0224】
一般的に、本発明の化合物を、以下のいずれかの経路によって、医薬組成物として投与する。経口投与、全身投与(例えば、経皮投与、経鼻投与または坐剤による投与)、非経口投与(例えば、筋肉内投与、静脈内投与または皮下投与)またはくも膜下投与。好ましい投与様式は、苦痛の程度によって調節可能な、簡便な1日投与法を用いた経口投与である。組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、半固体、粉末、徐放性処方物、溶液、懸濁物、エリキシル、エアロゾルまたは任意の他の適切な組成物の形態であってもよい。本発明の化合物の別の好ましい投与様式は、吸入である。この方法は、呼吸管に治療薬剤を直接送達するのに効果的な方法である(米国特許第5,607,915号を参照)。
【0225】
処方物の選択は、種々の因子(例えば、薬物の投与態様および薬物基質のバイオアベイラビリティー)に依存する。吸入による送達では、上述の化合物は、液体溶液、懸濁物、エアロゾル噴射剤または乾燥粉末に処方化され、適切なディスペンサーに入れて投与することができる。医薬吸入デバイス−ネブライザ吸入器、計量式吸入器(MDI)および乾燥粉末吸入器(DPI)にはいくつかの種類がある。ネブライザデバイスは、治療薬(液体形態に処方化されている)を霧として噴霧し、患者の呼吸管に運ぶ高速の空気流を作り出す。MDIは、典型的には、圧縮気体に封入された処方物である。作動させると、このデバイスは、圧縮気体によって所定量の治療薬剤を放出し、設定量の薬剤を投与する信頼性の高い方法である。DPIは、治療薬剤を自由に流動する粉末の形態で分配し、この粉末形態は、このデバイスによって呼吸する間に、患者が息を吸い込む空気流に分散させることができる。自由に流動する粉末を得るために、治療薬剤は、ラクトースのような賦形剤とともに配合される。ある所定量の治療薬剤をカプセル形態で保存し、各作動時に分配する。
【0226】
近年、特に、バイオアベイラビリティーの低い薬物のための医薬処方物が開発された。この医薬処方物は、表面積の増加(すなわち、粒径の減少)によってバイオアベイラビリティーが増加するという原理に基づいている。例えば、米国特許第4,107,288号では、粒径が10〜1,000nmの粒子を含む医薬処方物を記載している。この医薬処方物では、活性物質は、架橋した高分子マトリックスに支持されている。米国特許第5,145,684号では、表面改質剤存在下、薬物基質をナノ粒子(平均粒径400nm)に粉砕し、液体媒体に分散させて、きわめて高いバイオアベイラビリティーを示す医薬処方物を得る、医薬処方物の製造法を記載している。
【0227】
上述の組成物は、一般的には、本発明の化合物を、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤と組み合わせて含む。許容される賦形剤は、毒性がなく、投与を補助し、化合物の治療利益に悪影響を与えないものである。このような賦形剤は、任意の固体、液体、半固体であってもよく、またはエアロゾル組成物の場合には、一般的に当業者が入手可能な気体状賦形剤であってもよい。
【0228】
固体医薬賦形剤としては、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳などが挙げられる。液体および半固体の賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールおよび種々の油(石油、動物脂、植物油または合成油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油など)から選択されてもよい。好ましい液体担体(特に注射溶液用)としては、水、塩水、デキストロース水溶液およびグリコールが挙げられる。
【0229】
圧縮気体を使用し、本発明の化合物をエアロゾル形態で分配してもよい。この目的に適した不活性気体は、窒素、二酸化炭素などである。他の適切な医薬賦形剤およびその処方物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、E.W.Martin編(Mack Publishing Company、第18版、1990)に記載されている。
【0230】
処方物中の化合物の量は、当業者によって使用される全範囲の中でさまざまに変えてもよい。典型的には、処方物は、重量%(wt%)基準で、処方物合計の約0.01〜99.99wt%であり、残量は、1つ以上の適切な医薬賦形剤である。好ましくは、上述の化合物は、約1〜80wt%の濃度で存在する。式(Ia〜Ie)または式(IIa〜IIe)を含有する代表的な医薬処方物を以下に記載する。
【0231】
(一般的な合成法)
本発明の化合物は、以下の一般的な方法および手順を用いて、容易に入手可能な出発物質から調製することができる。典型的なプロセス条件または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応剤のモル比、溶媒、圧力など)が与えられているが、他に言及されていない限り、他のプロセス条件を使用してもよいことは明らかである。最適な反応条件は、使用する特定の反応剤または溶媒によって変わってもよいが、このような反応条件は、通常の最適化手順によって当業者が決定することができる。
【0232】
さらに、当業者には明らかなように、特定の官能基が望ましくない反応を受けるのを防ぐために、従来の保護基が必要になることもある。種々の官能基に適した保護基および特定の官能基の適切な保護条件および脱保護条件は、当該技術分野で周知である。例えば、T.W.GreeneおよびG.M.Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、Wileym、New York、1999およびその引用文献に多くの保護基が記載されている。
【0233】
さらに、本発明の化合物は、1個以上のキラル中心を含有していてもよい。したがって、所望な場合、このような化合物は、純粋な立体異性体(すなわち、個々のエナンチオマー)またはジアステレオマーまたはある立体異性体を豊富に含む混合物として調製または単離することができる。このような立体異性体(およびある異性体を豊富に含む混合物)は、他に言及されていない限り、すべて本発明の範囲内に含まれる。純粋な立体異性体(またはある異性体を豊富に含む混合物)は、例えば、当該技術分野で周知の光学活性を有する出発物質または立体選択的な試薬を用いて調製してもよい。あるいは、このような化合物のラセミ体混合物を、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤などを用いて分離することができる。
【0234】
以下の反応のための出発物質は、一般的に既知の化合物であるか、または既知の手順またはその明らかな改変手順によって調製することができる。例えば、出発物質の多くは、例えば、Aldrich Chemical Co.(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)、Bachem(米国カリフォルニア州トランス)、Emka−ChemceまたはSigma(米国ミズーリ州セントルイス)のような商業的な供給業者から入手可能である。それ以外のものは、標準的な参考文献、例えば、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis、第1巻〜第15巻(John Wiley and Sons、1991)、Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds、第1巻〜第5巻およびその補足資料(Elsevier Science Publishers、1989)、Organic Reactions、第1巻〜第40巻(John Wiley and Sons,1991)、March’s Advanced Organic Chemistry(John Wiley and Sons,4th Edition)およびLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989)に記載されている手順またはその明らかな改変手順によって調製してもよい。
【0235】
種々の出発物質、中間体および本発明の化合物は、適切な場合、沈殿、濾過、結晶化、エバポレーション、蒸留およびクロマトグラフィーのような従来の技術を用いて単離し、精製してもよい。これらの化合物の特性決定は、融点、質量スペクトル、核磁気共鳴および種々の他の分光分析のような従来の方法を用いて行ってもよい。
【0236】
【化23】

本発明の化合物の合成をスキーム1に示す。ここで、W、Q、Y、A、n、R、RおよびRは、すでに定義している。アミン1.1を、適切なイソシアネートまたはチオイソシアネートY−N=C=Qで処理し、対応するウレアまたはチオウレア1.2を得る。典型的には、ウレアの生成は、極性溶媒(例えばDMF(ジメチルホルムアミド))を用いて60〜85℃で行われる。標準的なアミドカップリング法を用いた酸とアミンとのカップリングにより、化合物1.3を得る。化合物1.3を、適切な合成反応を用いてさらに修飾し、所望の置換基を導入してもよい。このような方法は、当業者には明らかである。
【0237】
種々のアミドカップリング試薬を使用し、アミド結合を生成させてもよい(カルボジイミド、例えば、N−N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)および1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)の使用を含む)。カルボジイミドを、ジメチルアミノピリジン(DMAP)またはベンゾトリアゾール(例えば、7−アザ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOAt)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)および6−クロロ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(Cl−HOBt)のような添加剤と組み合わせて使用してもよい。
【0238】
アミドカップリング試薬としては、アミニウム系試薬およびホスホニウム系試薬が挙げられる。アミニウム塩としては、N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HATU)、N−[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)(ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HBTU)、N−[(1H−6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)(ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HCTU)、N−[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)(ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウムテトラフルオロボレートN−オキシド(TBTU)およびN−[(1H−6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)(ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウムテトラフルオロボレートN−オキシド(TCTU)が挙げられる。ホスホニウム塩としては、7−アザベンゾトリアゾール−1−イル−N−オキシ−トリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)およびベンゾトリアゾール−1−イル−N−オキシ−トリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)が挙げられる。
【0239】
アミド生成工程は、極性溶媒(例えばジメチルホルムアミド(DMF))を用いて行われてもよく、有機塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)またはジメチルアミノピリジン(DMAP))を含んでいてもよい。
【0240】
以下の実施例は、本発明の特定の局面を説明し、当業者が本発明を実施する一助となるように提供される。これらの実施例は、本発明の範囲をいかなる様式にも限定すると考えられるべきではない。
【実施例】
【0241】
以下の実施例および明細書全体で、以下の省略語は以下の意味を有する。定義されていない場合、その用語は一般的に受け入れられている意味を有する。
【0242】
aq.=水性
brs=幅広い一重線
d=二重線
DCM=ジクロロメタン
DMAP=ジメチルアミノピリジン
DMF=ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
EtOAc=酢酸エチル
g=グラム
LCMS=液体クロマトグラフィー質量分析
m=多重線
MHz=メガヘルツ
mL=ミリリットル
m.p.=融点
N=ノルマル
s=一重線
t=三重線
TLC=薄層クロマトグラフィー。
【0243】
(実施例1 1−アダマンタン−1−イル−3−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−シクロヘキシル]−ウレア(11))
【0244】
【化24】

アダマンチルイソシアネート(0.35g)および4−アミノシクロヘキシルカルボン酸(0.45g)のDMF(10mL)溶液を70℃で一晩加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、氷浴で冷却しながら水(5mL)および1N aq.HCl(5mL)を加え、1時間攪拌した。反応をTLCで監視した。得られた固体を濾過し、水、ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥機で乾燥した。粗生成物のウレアをアセトン/ヘキサンから再結晶させた。
【0245】
上述のウレア(0.32g)、モルホリン(0.15g)およびDMAP(0.12g)のDCM(15mL)溶液に、N−[(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、0.19g)を室温で加えた。反応混合物を一晩攪拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルで希釈し、1N aq.NaOH、1N aq.HClおよび水で洗浄した。酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して粗生成物を得て、これをEtOAc/MeOHを用いたシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、純粋な生成物を得た。白色固体;m.p.:128〜131;質量 390[M+1]。
HNMR(200MHz;CDCl)δ:1.6−2.0(m,15H,アダマンタニル);2.1(brs,2H,CH);2.5(brs,m,2H,CH);3.5−3.7(m,10H,5CH);3.9(brs,1H,CH);4.0(brs,2H,CH);4.4(brs,2H,2NH).LCMS純度:96.2%;収率:45.2%。
【0246】
(実施例2 1−{3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゾイル}−ピペリジン−4−カルボン酸(29))
【0247】
【化25】

THF:MeOH:HO(9:1:1)溶液を室温で攪拌し、これにメチル 1−{3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゾイル}−ピペリジン−4−カルボキシレート(0.35g、実施例1で調製)およびLiOH(0.1g)を加えた。反応混合物を一晩攪拌した。反応をTLCで監視した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をHOに溶解し、エーテルで洗浄した。水層を1N aq.HCl溶液を用いて酸性にし、DCMで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、1−{3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゾイル}−ピペリジン−4−カルボン酸を得た:淡褐色固体、m.p.:193〜197;質量 436[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl+DMSO−d);δ:1.6−2.0(brs,4H,2CH);3.0(brs,2H,CH);3.6(brs,2H,CH);6.9−7.5(m,8H,Ar CH);8.3および8.5(brs,2H,2NH);LCMS純度:93.8%;収率:55.5%。
【0248】
実施例4〜41は、適切なイソシアネート(例えば、アダマンチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、トリフルオロメチルフェニルイソシアネート、クロロフェニルイソシアネート、フルオロフェニルイソシアネートおよびトリフルオロメトキシフェニルイソシアネート)および適切な酸(例えば、4−アミノシクロヘキシルカルボン酸、3−アミノシクロヘキシルカルボン酸、4−アミノフェニルカルボン酸、3−アミノフェニルカルボン酸、4−アミノ−2−フルオロ−安息香酸および3−アミノ−6−フルオロ−安息香酸)を用い、上述の実施例と同様の様式で合成した。
【0249】
(実施例3 1−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−3−フェニル−ウレア(1))
白色固体、m.p.:210〜213;質量:326[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl);δ:3.40−4(m,8H,4CH);7.20−7.45(m,9H,Ar CH);7.79−7.8(brs,2H,NH);LCMS純度:99.9%;収率:50%。
【0250】
(実施例4 1−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−ウレア(2))
白色固体、m.p.:201〜205;質量:360[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:3.40−3.80(m,8H,4CH);7.20−7.6(m,8H,Ar CH)8.8−9.0(brs,2H,NH);LCMS純度:98.9%;収率:51%。
【0251】
(実施例5 1−(4−クロロ−フェニル)−3−[3−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−ウレア(3))
白色固体、m.p.:197〜201;質量:360[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:2.18−2.2(s,2H,CH);3.4−3.8(m,6H,3CH);7.0−7.6(m,8H,Ar CH);8.8−9.0(brs,2H,NH);LCMS純度:99.8%;収率:45.6%。
【0252】
(実施例6 1−アダマンタン−1−イル−3−{4−[4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジン−1−カルボニル]−フェニル}−ウレア(4))
淡黄色固体、m.p.:191〜194;質量:441[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:1.56−2.3(m,15H,アダマンタニル);2.30−2.40(m,4H,2CH);3.20(s,3H,CH);3.40−3.60(m,4H,2CH);7.2−7.4(m,4H,Ar CH);9.1および9.2(brs,2H,2NH);LCMS純度:98.1%;収率:50%。
【0253】
(実施例7 1−アダマンタン−1−イル−3−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−ウレア(5))
淡黄色固体、m.p.:190〜196;質量:397[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl);δ:1.56−2.3(m,15H,アダマンタニル);2.24−2.35(m,3H,CH);2.45−2.60(m,2H,CH);3.40−3.80(m,4H,2CH);7.2−7.4(m,5H,Ar CH);5.0(brs,1H,NH);6.90−7.0(brs,1H,NH);LCMS純度:98.7%;収率:48%。
【0254】
(実施例8 {[4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−ベンゾイル]−メチル−アミノ}−酢酸(6))
淡褐色固体、m.p.:240〜245;質量 386[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:1.56−2.1(m,15H,アダマンタニル);2.9−3.1(m,3H,CH);3.6−4.1(d,2H,CH);6.1−6.4(m,1H,CH);7.2−7.5(m,4H,Ar CH);8.6および8.9(m,1H,NH);12.0−13.7(brs,1H,COOH);LCMS純度:94.4%;収率:31.3%。
【0255】
(実施例9 {[3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−ベンゾイル]−メチル−アミノ}−酢酸(7))
白色固体、m.p.:228〜233;質量 386[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:1.56−2.1(m,15H,アダマンタニル);2.8−3.0(s,3H,CH);3.9−4.2(m,2H,CH);5.9(s,1H,NH);6.20−7.4(m,4H,Ar CH);8.3−8.5(m,1H,NH);12.8(brs,1H,COOH);LCMS純度:93.3%;収率:29.3%。
【0256】
(実施例10 1−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−カルボニル)−フェニル]−ウレア(8))
白色固体、m.p.:248〜251;質量:443[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl);δ:1.2−1.29(m,2H,CH);1.60−1.79(m,2H,CH);2.4−2.55(m,2H,CH);2.9−3.0(m,4H,2CH);3.68−3.69(m,4H,2CH);7.2−7.89(m,8H,Ar CH);8.85および9.0(brs,2H,2NH);LCMS純度:98.6%;収率:60%。
【0257】
(実施例11 1−{4−[3−(4−クロロ−フェニル)−ウレイド]−ベンゾイル}−ピペリジン−4−カルボン酸(9))
白色固体、m.p.:238〜241;質量:402[M+1]
HNMR(300MHz;CDOD);δ:1.6−2.18(m,4H,2CH);2.46−2.8(m,1H,CH);3.0−3.2(m,2H,CH);3.66−4.0(brs,1H,NH);4.20−4.7(brs,1H,NH);7.2−7.76(m,8H,Ar CH);LCMS純度:92.5%;収率:30%。
【0258】
(実施例12 1−(4−クロロ−フェニル)−3−[3−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−カルボニル)−フェニル]−ウレア(10))
白色固体、m.p.:200〜207;質量:443[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl);δ:1.39−1.42(m,2H,CH);1.80−1.89(m,2H,CH);2.0−2.2(m,2H,CH2);2.42−2.95(m,4H,2CH);3.79−3.90(m,4H,2CH2);7.2−7.89(m,8H,Ar CH);8.2および8.23(brs,2H,2NH);LCMS純度:98.4%;収率:55.5%。
【0259】
(実施例13 1−[4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−ベンゾイル]−ピペリジン−4−カルボン酸(12))
淡黄色固体、m.p.:272〜275;質量 426[M+1]
HNMR(200MHz;DMSO−d)δ:1.5−2.0(m,15H,アダマンタニル);3.0(brs,6H,3CH);7.2−7.4(2d,4H,Ar.CH);6.1および8.6(s,2H,NH);LCMS純度:94.4%;収率:39.2%。
【0260】
(実施例14 1−[3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−ベンゾイル]−ピペリジン−4−カルボン酸(13))
白色固体、m.p.:187〜190;質量 390[M+1]
HNMR(200MHz;DMSO−d)δ:1.6−2.0(m,15H,アダマンタニル);1.5(brs,2H,CH);3.0(brs,2H,CH);3.6(brs,1H,CH)4.4(brs,1H,CH);0.9−1.3(m,2H,CH);6.8−7.5(m,4H,Ar.CH);6.0および8.4(s,2H,NH);LCMS純度:90.6%;収率:30.2%。
【0261】
(実施例15 1−(4−クロロ−フェニル)−3−[3−フルオロ−4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−ウレア(14))
淡褐色固体、m.p.:221〜225;質量 378[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:3.20−3.40(m,2H,CH);3.56−3.80(m,6H,3CH);7.20−7.60(m,7H,Ar.CH);9.0および9.2(brs,2H,2NH);LCMS純度:95.2;収率:37%。
【0262】
(実施例16 1−[3−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(15))
白色固体、m.p.:167〜171;質量 394[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl);δ:3.5−3.9(brs,8H,4CH);6.94−7.5(m,8H,Ar CH);7.8および8.2(brs,2H,2NH);LCMS純度:98.2%;収率:45%。
【0263】
(実施例17 1−[4−フルオロ−3−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(16))
淡褐色固体、m.p.:200〜205;質量:412[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:3.69(m,4H,2CH);3.25−3.48(m,4H,2CH);7.23−7.82(m,8H,Ar CH);8.89−9.2(brs,H,NH);LCMS純度:93.9%;収率:29%。
【0264】
(実施例18 1−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(17))
白色固体、m.p.:271〜275;質量 394[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:3.6−3.8(brs,8H,4CH);7.4−7.8(m,8H,Ar CH);9.0および9.2(brs,2H,2NH);LCMS純度:96.7%;収率:35%。
【0265】
(実施例19 1−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(18))
白色固体、m.p.:245〜252;質量:407[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl3+DMSO−d);δ:2.9(brs,8H,4CH);3.3(brs,3H,N−CH);7.4−7.7(m,8H,Ar CH);8.7(brs,2H,2NH);LCMS純度:98%;収率:48%。
【0266】
(実施例20 1−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(19))
オフホワイト色固体、m.p.:165〜170;質量:407[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:2.2−2.4(brs,8H,4CH);3.3(s,3H,N−CH);7.0−7.7(m,8H,Ar CH);8.90−9.20(s,2H,2NH);LCMS純度:98.1%;収率:46%。
【0267】
(実施例21 1−アダマンタン−1−イル−3−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−シクロヘキシル]−ウレア(20))
白色固体、m.p.:125〜132;質量 403[M+1]
HNMR(200MHz;CDCl)δ:1.6−2.0(m,15H,アダマンタニル);2.4(s,3H,N−CH);3.5−3.7(brs,4H,2CH);3.9(m,1H,CH);4.2および4.58(brs,2H,NH);LCMS純度:99.2%;収率:62.8%。
【0268】
(実施例22 1−[4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−シクロヘキサンカルボニル]−ピペリジン−4−カルボン酸(21))
白色固体、m.p.:237〜239;質量 390[M+1]
HNMR(200MHz;CDCl)δ:1.6−2.0(m,15H,アダマンタニル);2.0=2.3(m,12H,6CH);2.6(brs,2H,CH);2.8(t,1H,CH);3.2(t,1H,CH);3.9(brs,2H,CH);4.4(brs,1H,NH);5.2(brs,1H,NH);LCMS純度:93.8%;収率:47.2%。
【0269】
(実施例23 1−[3−フルオロ−4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(22))
白色固体、m.p.:246〜249;質量 412[M+1]
HNMR(200MHz;CDCl+DMSO−d)δ:3.4(brs,s,2H,CH);3.7−3.8(brs,6H,3CH);7.1−7.7(m,7H,Ar CH);8.8(brs,2H,2NH).LCMS純度:95.9%;収率:44.9%。
【0270】
(実施例24 1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−ウレア(23))
白色固体、m.p.:235〜240;質量 344[M+1]
HNMR(200MHz;DMSO−d)δ:3.5−3.6(brs,8H,8CH);7.1−7.6(m,8H,Ar CH);8.8−8.95(s,2H,2NH);LCMS純度:97.7%;収率:70%。
【0271】
(実施例25 1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−ウレア(24))
白色固体、m.p.:245〜252;質量:356[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl+DMSO−d);δ:2.9(brs,8H,4CH);3.3(brs,3H,N−CH);7.4−7.7(m,8H,Ar CH);8.7(brs,2H,2NH);LCMS純度:98.8%;収率:47%。
【0272】
(実施例26 1−(4−フルオロ−フェニル)−3−{4−[4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジン−1−カルボニル]−フェニル}−ウレア(25))
淡黄色固体、m.p.:248〜250;質量 401[M+1]
HNMR(200MHz;CDCl)δ:2.6−2.7(m,6H,3CH);3.38(s,3H,O−CH);3.5−3.58(m,4H,2CH);3.8(brs,2H,CH);6.9−7.4(m,8H,Ar CH);8.1−8.2(brs,2H,NH);LCMS純度:99.4%;収率:55.5%。
【0273】
(実施例27 1−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ウレア(26))
白色固体、m.p.:225〜230;質量 410[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl3+DMSO−d);δ:2.9(brs,2H,CH);3.6−3.65(brs,6H,3CH);7.05−7.3(d,4H,Ar CH);7.42−7.46(m,4H,Ar CH);8.4(brs,2H,2NH);LCMS純度:97.3%;収率:66.2%。
【0274】
(実施例28 1−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ウレア(27))
白色固体、m.p.:225〜230;質量 422[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl3);δ:2.3(brs,7H,N−CH, 2CH);3.5(brs,2H,CH);3.82(brs,2H,CH);7.0−7.5(2d,m,8H,Ar CH);7.9および8.2(brs,2H,2NH);LCMS純度:99.2%;収率:40%。
【0275】
(実施例29 1−{4−[4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジン−1−カルボニル]−フェニル}−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ウレア(28))
白色固体、m.p.:235〜240;質量 467[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl3);δ:2.64(m,6H,CH);3.38(s,3H,O−CH);3.5−3.6(m,4H,2CH);3.8(brs,2H,CH);7.0−7.45(m,8H,Ar CH);8.2および8.4(brs,2H,2NH);LCMS純度:97.4%;収率:32.4%。
【0276】
(実施例30 1−[3−フルオロ−4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(30))
白色固体、m.p.:216〜219;質量 425[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl);δ:2.25(s,3H,N−CH);2.36−2.8(m,4H,2CH);3.4(brs,2H,CH);3.9(brs,2H,CH);6.6(m,1H,Ar CH);7.1−7.8(m,6H,Ar CH);8.2および8.4(brs,2H,2NH);LCMS純度:96.7%;収率:39.2%。
【0277】
(実施例31 N−エチル−4−[3−(4−フルオロ−フェニル)−ウレイド]−N−[2−(イソプロピル−メチル−アミノ)−エチル]−ベンズアミド(31))
白色固体、m.p.:198〜200;質量:385[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl);δ:1.05(d,6H,2CH);2.5−2.6(brs,4H,2CH);2.8(m,1H,CH);3.5−3.8(brs,4H,2CH);7.0−7.4(m,8H,Ar CH);7.7および7.9(brs,2H,2NH);LCMS純度:98.6%;収率:48%。
【0278】
(実施例32 1−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ウレア(32))
白色固体、m.p.:187〜188;質量:451[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl);δ:1.05(d,6H,2CH3);2.44−2.64(brs,4H,2CH);2.78(m,1H,CH);3.5−3.84(brs,4H,2CH);7.0−7.5(m,8H,Ar CH);7.8および8.2(brs,2H,2NH);LCMS純度:98%;収率:52%。
【0279】
(実施例33 1−[4−フルオロ−3−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(33))
白色固体、m.p.:130〜136;質量:425[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:2.2(s,3H,N−CH);2.26−2.36(brs,4H,2CH);3.24(brs,2H,CH);3.7(brs,2H,CH);7.2−7.7(m,7H,Ar CH);8.90−9.20(s,2H,2NH);LCMS純度:94%;収率:32.3%。
【0280】
(実施例34 1−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(34))
白色固体、m.p.:202〜206;質量:435[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl);δ:1.05(d,6H,2CH);2.5−2.6(brs,4H,2CH);2.8(m,1H,CH);3.5−3.8(brs,4H,2CH);7.0−7.6(m,8H,Ar CH);8.1および8.5(s,2H,2NH);LCMS純度:93.4%;収率:44%。
【0281】
(実施例35 1−[3−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(35))
白色固体、m.p.:226〜229;質量:435[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl);δ:1.05(d,6H,2CH);2.5−2.64(brs,4H,2CH);2.8(m,1H,CH);3.5−3.9(brs,4H,2CH);6.9−7.7(m,8H,Ar CH);8.0および8.4(s,2H,2NH);LCMS純度:93.5%;収率:43%。
【0282】
(実施例36 {[4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−シクロヘキサンカルボニル]−メチル−アミノ}−酢酸(36))
白色固体、m.p.:236〜240;質量:392[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:1.52−1.7(m,15H,アダマンタニル);3.05(s,3H,N−CH);2.8(m,2H,CH);3.7(brs,1H,CH);4.0(s,2H,CH);4.1(s,1H,CH);1.9−2.0(brs,6H,3CH);5.6−5.9(brs,2H,2NH);LCMS純度:97.1%;収率:44.5%。
【0283】
(実施例37 4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−N−メチル−ベンズアミド(37))
白色固体、m.p.:150〜156;質量:399[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:1.64(s,6H,2CH);1.9−2.1(m,15H,アダマンタニル);2.94(s,3H,N−CH);3.36(m,4H,2CH);7.24−7.4(d,4H,Ar CH);6.0−8.2(2s,2H−2NH);LCMS純度:95.4%;収率:33.3%。
【0284】
(実施例38 3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−N−メチル−ベンズアミド(38))
白色固体、m.p.:89〜94;質量:399[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:2.0−2.4(m,15H,アダマンタニル);3.2−3.4(m,4H,2CH);2.9.(brs,3H,N−CH);1.6(s,6H,2N−CH);6.8−7.5(m,4H,Ar CH);5.9−8.4(s,2H,2NH);LCMS純度:95%;収率:44.3%。
【0285】
(実施例39 N−メチル−N−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソ−エチル)−4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンズアミド(39))
白色固体、m.p.:226〜233;質量 465[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:2.9(s,3H,CH);3.1−3.7(m,4H,CH);4.1−4.3(m,2H,CH);7.0−7.7(m,8H,Ar CH);9.0および9.1(2H,2NH);LCMS純度:98.6%。
【0286】
(実施例40 1−シクロヘキシル−3−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−シクロヘキシル]−ウレア(40))
オフホワイト色固体、m.p.:159〜163;質量:338[M+1]
HNMR(300MHz;CDCl);δ:1.0−1.2(m,3H,CH);1.2−1.4(m,2H,CH);1.5−2.0(m,12H,6CH);2.4−2.6(m,1H,CH);3.4−3.08(m,6H,3CH);3.67−4.0(m,1H,CH);4.18−4.4(brs,1H,NH);4.45−4.60(brs,1H,NH);LCMS純度:95.9%;収率:40%。
【0287】
(実施例41 N−メチル−N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンズアミド(41))
白色固体、m.p.:211〜213;質量 465[M+1]
HNMR(300MHz;DMSO−d);δ:2.1−2.5(m,6H,CH);2.9(s,3H,CH);3.3−3.7(m,6H,CH);7.3−7.7(m,8H,Ar CH);8.95および9.15(2H,2NH);LCMS純度:99.2%。
【0288】
(生物学的実施例)
(生物学的実施例1。マウスおよびヒトの可溶性エポキシド加水分解酵素の蛍光アッセイ)
組み換えマウスsEH(MsEH)およびヒトsEH(HsEH)を、以前に報告されているバキュロウイルス発現系で産生した。Grantら、J.Biol.Chem.、268:17628−17633(1993);Beethamら、Arch.Biochem.Biophys.、305:197−201(1993)。アフィニティークロマトグラフィーによって、細胞溶解物から、発現したタンパク質を精製した。Wixtromら、Anal.Biochem.、169:71−80(1988)。較正標準としてウシ血清アルブミンを用いるPierce BCAアッセイを用いて、タンパク質濃縮物を定量した。調製物は、SDS−PAGEおよびスキャニングデンシトメトリーによると、純度は少なくとも97%であった。これらからは、アッセイを妨害する可能性のあるエステラーゼ活性またはグルタチオントランスフェラーゼ活性は検出されなかった。このアッセイを、粗細胞溶解物または組織均質物での同様の結果を用いて評価した。
【0289】
各阻害剤のIC50は、以下の手順によった。
【0290】
基質:
【0291】
【化26】

シアノ(2−メトキシナフタレン−6−イル)メチル(3−フェニルオキシラン−2−イル)メチルカーボネート(CMNPC;Jones P.D.ら;Analytical Biochemistry 2005;343:pp.66−75)
溶液:
BSA 0.1mg/mLを含有するビス/トリスHCl 25mM(pH7.0)(バッファーA)
DMSO中、CMNPC 0.25mM。
【0292】
酵素のバッファーA母液(マウスsEHでは6μg/mL、ヒトsEHでは5μg/mL)
阻害剤は適切な濃度でDMSOに溶解した。
【0293】
プロトコル:
黒色96ウェルプレートで、ウェルをすべてバッファーA 150μLで満たす。
【0294】
ウェルA2およびA3にDMSO 2μLを加え、A1およびA4〜A12に阻害剤溶液2μLを加える。
【0295】
A行にバッファーA 150μLを加え、数回混合し、150μLをB行に移す。
【0296】
この操作をH行まで繰り返す。H行から150μLを抜き取り、捨てる。
【0297】
第1列および第2列にバッファーA 20μLを加え、第3列〜第12列に酵素溶液20μLを加える。
【0298】
プレートリーダー中、30℃でプレートを5分間インキュベートする。
【0299】
インキュベート中、バッファーA 3.68mL(4×0.920mL)を基質溶液266μL(2×133μL)と混合し、基質の作業溶液を調製する。
【0300】
t=0に、基質の作業溶液30μLを、「Briggs 303」と書かれたマルチチャネルピペットで加え、記録を開始する([S]final:5μM)。
【0301】
ex:330nm(20nm)およびem:465nm(20nm)で30秒毎に10分間、値を記録する。
【0302】
速度を用い、分析し、IC50を算出する。
【0303】
表2は、50nM、500nM、5000nMでアッセイで試験した場合の、化合物1〜41の活性を示す。
【0304】
【表2】


【0305】
(処方例)
本発明の化合物を含有する代表的な医薬処方物を以下に示す。
【0306】
(処方例1:錠剤処方物)
以下の成分をよく混合し、1個の分割錠に圧縮成形する。
【0307】
【表3】

(処方例2:カプセル処方物)
以下の成分をよく混合し、硬質ゼラチンシェルカプセルに入れる。
【0308】
【表4】

(処方例3:懸濁処方物)
以下の成分を混合し、経口投与用の懸濁物を作成する(q.s.=十分な量)。
【0309】
【表5】

(処方例4:注射用処方物)
以下の成分を混合し、注射用処方物を作成する。
【0310】
【表6】

(処方例5:坐剤処方物)
本発明の化合物と、Witepsol(R)H−15(飽和植物脂肪酸のトリグリセリド;Riches−Nelson,Inc.ニューヨーク)とを混合することによって、合計重量2.5gの坐剤を調製する。この坐剤は、以下の組成を有する。
【0311】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその立体異性体または医薬的に許容される塩。
【化27】

〔式中、
QはOまたはSであり;
WはOまたはSであり;
Aはフェニル環またはシクロヘキシル環であり;
各Rは、独立して、アルキル、シアノ、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2または3であり;
およびRは、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、前記環は、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されているか;またはRおよびRのうち1つはアルキルであり、RおよびRのうち他方は、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルであり;
Yは、C6〜10シクロアルキル、置換C6〜10シクロアルキル、C6〜10ヘテロシクロアルキル、置換C6〜10ヘテロシクロアルキルおよび
【化28】

からなる群から選択され、
式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換スルホニル)アミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、シアノおよびアルキルスルホニルからなる群から選択され;
但し、YNHC(=Q)NH−が、−C(=W)NRに対してパラ位にあり、Yがフェニルまたは4−ハロ−フェニルであり、QおよびWがOであり、Aがフェニルであり、nが0である場合、RとRとで、ピペリジニル環またはモルホリノ環を形成せず;
但し、YNHC(=Q)NH−が、−C(=W)NRに対してパラ位にあり、Yがフェニルであり、QがSであり、WがOであり、Aがフェニルであり、nが0である場合、RとRとで、2,6−ジメチルピペリジニル環を形成しない。〕
【請求項2】
式(Ia)または(IIa)を有する請求項1に記載の化合物またはその立体異性体または医薬的に許容される塩。
【化29】

〔式中、
QはOまたはSであり;
WはOまたはSであり;
Aはフェニル環またはシクロヘキシル環であり;
各Rは、独立して、アルキル、シアノ、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2または3であり;
およびRは、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、前記環は、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されているか;またはRおよびRのうち1つはアルキルであり、RおよびRのうち他方は、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルであり;
Yは、C6〜10シクロアルキル、置換C6〜10シクロアルキル、C6〜10ヘテロシクロアルキル、置換C6〜10ヘテロシクロアルキルおよび
【化30】

からなる群から選択され、
式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換スルホニル)アミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、シアノおよびアルキルスルホニルからなる群から選択され;
但し、式(Ia)において、Yがフェニルまたは4−ハロ−フェニルであり、QおよびWがOであり、Aがフェニルであり、nが0である場合、RとRとで、ピペリジニル環またはモルホリノ環を形成せず;
但し、式(Ia)において、Yがフェニルであり、QがSであり、WがOであり、Aがフェニルであり、nが0である場合、RとRとで、2,6−ジメチルピペリジニル環を形成しない。〕
【請求項3】
WがOである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
QがOであり、Aがフェニル環である、式(Ia)を有する請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
QがOであり、Aがシクロヘキシル環である、式(Ia)を有する請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
QがOであり、Aがフェニル環である、式(IIa)を有する請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
QがOであり、Aがシクロヘキシル環である、式(IIa)を有する請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
式(Ib)、(IIb)、(Ic)または(IIc)からなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【化31】

【化32】

〔式中、Q、n、R、RおよびRは、上に定義している。〕
【請求項9】
QがOである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
nが0である、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
nが1であり、Rがハロである、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
およびRのうち1つがアルキルであり、RおよびRのうち他方が、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
およびRのうち1つがメチルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
およびRのうち1つが、カルボキシメチル、2−ジメチルアミノ−エチル、2−モルホリン−4−イル−2−オキソ−エチルおよび2−モルホリン−4−イル−エチルからなる群から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
およびRが、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、前記環が、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されている、請求項8に記載の化合物。
【請求項16】
およびRおよびこれらが結合する窒素原子によって形成される環が、モルホリノ、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニル、4−メチル−ピペラジニル、4−モルホリン−4−イル−ピペリジニル、4−カルボキシ−ピペリジニル、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニルおよび4−イソプロピル−ピペラジニルからなる群から選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
式(Id)、(IId)、(Ie)および(IIe)からなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【化33】

【請求項18】
QがOである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
nが0である、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
nが1であり、Rがハロである、請求項17に記載の化合物。
【請求項21】
およびRのうち1つがアルキルであり、RおよびRのうち他方が、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項22】
およびRのうち1つがメチルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
およびRのうち1つが、カルボキシメチル、2−ジメチルアミノ−エチル、2−モルホリン−4−イル−2−オキソ−エチルおよび2−モルホリン−4−イル−エチルからなる群から選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
およびRが、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、前記環が、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されている、請求項17に記載の化合物。
【請求項25】
およびRおよびこれらが結合する窒素原子によって形成される環が、モルホリノ、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニル、4−メチル−ピペラジニル、4−モルホリン−4−イル−ピペリジニル、4−カルボキシ−ピペリジニル、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニルおよび4−イソプロピル−ピペラジニルからなる群から選択される、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
およびRが水素である、請求項17に記載の化合物。
【請求項27】
およびRのうち1つがフルオロであり、RおよびRのうち他方が水素である、請求項17に記載の化合物。
【請求項28】
、RおよびRのうち1つが、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択され、R、RおよびRの残りが水素である、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
、RおよびRが、独立して、水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される、請求項17に記載の化合物。
【請求項30】
、RおよびRのうち少なくとも1つが、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
、RおよびRのうち少なくとも1つが、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
が、クロロ、フルオロおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
、R、RおよびRが水素である、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
以下からなる群から選択される請求項1に記載の化合物またはその立体異性体または医薬的に許容される塩:
1−(4−クロロ−フェニル)−3−[3−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル)ウレア;
1−アダマンタン−1−イル−3−{4−[4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジン−1−カルボニル]−フェニル}−ウレア;
1−アダマンタン−1−イル−3−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−ウレア;
{[4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−ベンゾイル]−メチル−アミノ}−酢酸;
{[3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−ベンゾイル]−メチル−アミノ}−酢酸;
1−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−カルボニル)−フェニル]−ウレア;
1−{4−[3−(4−クロロ−フェニル)−ウレイド]−ベンゾイル}−ピペリジン−4−カルボン酸;
1−(4−クロロ−フェニル)−3−[3−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−カルボニル)−フェニル]−ウレア;
1−アダマンタン−1−イル−3−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−シクロヘキシル]−ウレア;
1−[4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−ベンゾイル]−ピペリジン−4−カルボン酸;
1−[3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−ベンゾイル]−ピペリジン−4−カルボン酸;
1−(4−クロロ−フェニル)−3−[3−フルオロ−4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−ウレア;
1−[3−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
1−[4−フルオロ−3−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
1−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
1−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
1−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
1−アダマンタン−1−イル−3−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−シクロヘキシル]−ウレア;
1−[4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−シクロヘキサンカルボニル]ピペリジン−4−カルボン酸;
1−[3−フルオロ−4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−ウレア;
1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−ウレア;
1−(4−フルオロ−フェニル)−3−{4−[4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジン−1−カルボニル]−フェニル}−ウレア;
1−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ウレア;
1−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ウレア;
1−{4−[4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジン−1−カルボニル]−フェニル}−3−[4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ウレア;
1−{3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゾイル}−ピペリジン−4−カルボン酸;
1−[3−フルオロ−4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
N−エチル−4−[3−(4−フルオロ−フェニル)−ウレイド]−N−[2−(イソプロピル−メチル−アミノ)−エチル]−ベンズアミド;
1−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ウレア;
1−[4−フルオロ−3−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
1−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
1−[3−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−カルボニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
{[4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−シクロヘキサンカルボニル]−メチル−アミノ}−酢酸;
4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−N−メチル−ベンズアミド;
3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−N−メチル−ベンズアミド;
N−メチル−N−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソ−エチル)−4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンズアミド;
1−シクロヘキシル−3−[4−(モルホリン−4−カルボニル)−シクロヘキシル]−ウレア;および
N−メチル−N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンズアミド。
【請求項35】
医薬的に許容される担体と、治療的に有効量の請求項1〜34のいずれか1項に記載の化合物とを含む、可溶性エポキシド加水分解酵素によって媒介される疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項36】
可溶性エポキシド加水分解酵素によって媒介される疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1〜34のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項37】
医薬的に許容される担体と、治療的に有効量の式(I)の化合物
【化34】

〔式中、
QはOまたはSであり;
WはOまたはSであり;
Aはフェニル環またはシクロヘキシル環であり;
各Rは、独立して、アルキル、シアノ、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2または3であり;
およびRは、これらが結合する窒素原子とともに、4〜5個の環炭素原子ならびに場合により、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、前記環は、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されているか;またはRおよびRのうち1つはアルキルであり、RおよびRのうち他方は、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキルであり;
Yは、C6〜10シクロアルキル、置換C6〜10シクロアルキル、C6〜10ヘテロシクロアルキル、置換C6〜10ヘテロシクロアルキルおよび
【化35】

からなる群から選択され、
式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換スルホニル)アミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルおよびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。〕
またはその立体異性体または医薬的に許容される塩とを含む医薬組成物を患者に投与する工程を含む、可溶性エポキシド加水分解酵素によって媒介される疾患を治療する方法。


【公表番号】特表2009−545612(P2009−545612A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522996(P2009−522996)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/074763
【国際公開番号】WO2008/016884
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(509029335)アレテ セラピューティクス, インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】