説明

合成樹脂製キャップ及びその製造方法並びにそれに用いるキャップ製造用成形型

【課題】キャップを製造するための成形型において、タブを規定するタブ形成用突片の破損を防止したキャップ製造用成形型を提供する。
【解決手段】第一の成形型部材2と、前記表側センターコアに対向する裏側センターコア10と、該裏側センターコアの外側に嵌合され、環状突条形成部20を有する内筒外筒形成用コア11と、該内筒外筒形成用コアの外側に嵌合され、前記外筒形成用上コアと対向する外筒形成用下コア12と、を有する第二の成形型部材3と、を備えたキャップ製造用成形型1において、タブ15を形成するためのタブ形成用突片が、タブ形成用上突片21とタブ形成用下突片22により構成され、前記タブ形成用上突片21は前記外筒形成用上コアの下面に突設され、前記タブ形成用下突片22は前記外筒形成用下コアに設けられ、その上端面22aは前記タブ形成用上突片の下端面21aと当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、瓶等の容器口部に打栓装着される、合成樹脂製キャップ及びその製造方法並びにそれに用いるキャップ用成形型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、資源の有効利用や公害防止の観点から、使用済みの容器は、回収し種々の製品の原料として再利用、所謂リサイクルされている。
【0003】
この容器とキャップは、通常互いに材質が異なり、例えば、容器はガラス製でキャップは合成樹脂製であるので、キャップを容器から外して両者を分離し、分別回収しなければならない。
【0004】
そこで、分別回収を容易にするため、従来、次の様な合成樹脂製キャップが用いられている(例えば、特開2001−146250号公報、参照)。即ち、
キャップ本体と、該キャップ本体における外筒部の内周に設けられ、容器口部の環状係合部に嵌合する環状係止部と、前記外筒部に連続する頂壁部に設けられた周方向弱化線と、前記外筒部に設けられ、人が指で摘むためのタブと、前記タブの付け根に上向き、又は、斜め上向きに設けられ、上端が前記周方向弱化線に連結されている縦弱化線と、を備えた合成樹脂製キャップ。
【特許文献1】特開2001−146250号公報
【0005】
前記キャップでは、瓶(容器)の内容品の使用後、この容器を回収して再使用する場合、前記タブを指で摘み、上向き、又は、斜め上向きに引っ張ると、前記縦弱化線が切れて前記外筒部が縦方向に切断されるので、容器口部の環状係合部に係合している環状係止部の締付け力は弱くなる。更に該タブを周方向に引っ張ると、周方向弱化線が切れ、前記外筒部の一部が容器口部から離れるので、前記締付け力は、益々弱くなる。そのため、前記キャップは、容器口部から容易に外すことができる。
【0006】
前記合成樹脂製キャップは、第一の成形型部材2Aと第二の成形型部材3Aとから構成される成形型を用いて図6に示すような型締め状態で成形空間内に溶融樹脂を射出、冷却して成形される。
【0007】
前記第一の成形型部材2Aは、中央部に位置する表側センターコア4Aと、該表側センターコア2Aの外側に順次嵌合される、第1中間コア5Aと、第2中間コア6Aと、第3中間コア7Aと、外筒形成用上コア8Aと、を備えている。前記外筒形成用上コア8Aの下面には、円弧弧状のタブ形成用突片9Aが突設されている。
【0008】
前記第二の成形型部材3Aは、前記表側センターコア4Aに対向する裏側センターコア10A、該裏側センターコア10Aの外側に順次嵌合される、環状突条形成部20Aを有する内筒外筒形成用コア11Aと、外筒形成用下コア12Aと、を備えている。前記外筒形成用下コア12Aには、前記タブ形成用突片9Aに対向する円弧状のタブ形成用凹部13Aが形成されている。
【0009】
前記第一の成形型部材2Aと第二の成形型部材3Aとを型締めして、キャップ用成形型1Aを型締めすると、前記外筒形成用上コア8Aの下面は、前記外筒形成用下コア12Aの上面と当接し、前記円弧状のタブ形成用突片9Aは前記円弧状のタブ形成用凹部13Aを閉鎖するようにしながら、その下端面を前記凹部13Aの底壁に当接させることで、タブを形成する空間が形成される。
【0010】
合成樹脂製キャップ16Aを成形するには、成形型1Aを図示しない移動手段によって図6に示す型締め状態に保持させ、図示しない射出成形機からゲート14Aを介して前記成形型1A内に溶融合成樹脂を高い圧力で射出して該キャップ16Aを形成した後、該成形型内で冷却固化する。その後、該キャップ16Aを該成形型1Aから取り出すために離型工程に移る。
前記離型工程は、該キャップに損傷を与えないようにするため、次の手順で行われている。
第一の成形型部材2Aの表側センターコア4A、下側キャビティ3Aの裏側センターコア10A、第二の成形型部材3Aの外筒形成用下コア12A、を順次、キャップ16Aから離れる方向に移動させる。
次に、下側キャビティ3Aの内筒外筒形成用コア11Aをキャップ16Aから離れる方向に移動させる。
更に、第一の成形型部材2Aの第1中間コア5A、第2中間コア6A、第3中間コア7A、外筒形成用上コア8A、を順次、キャップ16Aから離れる方向に移動させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
離型は、前述の順序で行われるため、内筒外筒形成用コア11Aが移動するときには、外筒18A(タブ15A)の外側は開放状態にある。従って、前記内筒外筒形成用コア11Aが移動するときには、外筒18Aは半径方向外側に撓むことが許容される。
このとき、外筒形成用上コア8Aの先端に形成された厚みの薄い
円弧状のタブ形成用突片9Aは、外筒18A外面とタブ15A内面の間に保持されているため、前記外筒18Aの押圧力を受けて破損や変形が生じやすい。そのため、金型部材の補修や交換等が必要となる。
【0012】
この発明は、上記事情に鑑み、タブを形成するためのタブ形成用突片の破損を防止し、生産性が改善されたキャップ製造用成形型を提供することを目的とする。他の目的は、分別回収時においてタブを引っ張ったときに、縦弱化線が容易に切れるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、中央部に位置する表側センターコアと、該表側センターコアの外側に嵌合された中間コアと、該中間コアの外側に嵌着された外筒形成用上コアと、を有する第一の成形型部材と、前記表側センターコアに対向する裏側センターコアと、該裏側センターコアの外側に嵌合され、環状突条形成部を有する内筒外筒形成用コアと、該内筒外筒形成用コアの外側に嵌合され、前記外筒形成用上コアと対向する外筒形成用下コアと、を有する第二の成形型部材と、を備えたキャップ製造用成形型において、タブを形成するためのタブ形成用突片が、タブ形成用上突片とタブ形成用下突片により構成され、前記タブ形成用上突片は前記外筒形成用上コアの下面に突設され、前記タブ形成用下突片は前記外筒形成用下コアに設けられ、その上端面は前記タブ形成用上突片の下端面と当接していることを特徴とするキャップ製造用成形型、である。
【0014】
この発明は、中央部に位置する表側センターコアと、該表側センターコアの外側に嵌合された中間コアと、該中間コアの外側に嵌合された外筒形成用上コアと、を有する第一の成形型部材と、前記表側センターコアに対向する裏側センターコアと、該裏側センターコアの外側に嵌合され、環状突条形成部を有する内筒外筒形成用コアと、該内筒外筒形成用コアの外側に嵌合され、前記外筒形成用上コアと対向する外筒形成用下コアと、を有する第二の成形型部材と、を備えたキャップ製造用成形型において、
タブを形成するためのタブ形成用突片が、タブ形成用上突片とタブ形成用下突片により構成され、前記タブ形成用上突片は前記外筒形成用上コアの下面に突設され、前記タブ形成用下突片は前記外筒形成用下コアに設けられ、その上端面は前記タブ形成用上突片の下端面と当接しており、
前記内筒外筒形成用コアには、上側傾斜弱化線形成部と下側傾斜弱化線形成部とにより形成されるV字状の縦弱化線形成部および前記縦弱化線形成部と連続する周方向弱化線形成部が設けられていることを特徴とするキャップ製造用成形型、である。
【0015】
この発明の前記タブ形成用下突片の上端面と前記タブ形成用上突片の下端面は、前記内筒外筒形成用コアの環状突条形成部の上端、又は、該上端より上方の高さ位置で当接していることを特徴とする。
【0016】
この発明は、前記キャップ製造用成形型を用いて合成樹脂製キャップを射出成形するキャップ製造方法であって、離型工程が、第一の成形型部材の表側センターコア、第二の成形型部材の裏側センターコア、第二の成形型部材の外筒形成用コア、を順次、型内のキャップから離れる方向に移動させ、前記キャップの環状突条の背面側にタブ形成用下突片が存在しない状態にする工程と、前記第二の成形型部材の内筒外筒形成用コアを引き抜く工程と、を備えていることを特徴とするキャップ製造方法、である。
【0017】
この発明は、前記キャップ製造方法により製造されたことを特徴とするタブ付の合成樹脂製キャップ、である。この発明のキャップの前記タブの付け根に沿って縦弱化線が設けられ、該縦弱化線は、V字状に交差する上側傾斜弱化線部と下側傾斜弱化線部とにより形成され、その交差部は、タブ側を向いていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、キャップの構成部材であるタブを形成するためのタブ形成用突片が、タブ形成用上突片とタブ形成用下突片により規定され、前記タブ形成用上突片は前記外筒形成用上コアの下面に設けられ、前記タブ形成用下突片は前記外筒形成用下コアに設けられているので、離型時において外筒形成用下コアが移動すると、タブの内面、外面および外筒の外面は開放状態となる。この状態において、前記外筒形成用コアを移動させると、キャップの環状突条が外方に押圧されて外筒が変位するが、タブ形成用突片は外筒形成用上コア、下コアのそれぞれに分割して形成したために、前記タブ形成用上突片に大きな負荷がかかることは無いので、タブ形成用突片の破損を防止することができる。
【0019】
この発明の合成樹脂製キャップの前記縦弱化線は、V字状に交差する上側傾斜弱化線部と下側傾斜弱化線部とにより形成され、その交差部は、タブ側を向いているので、分別時にタブを掴んで周方向に引っ張ると、最初に縦弱化線の交差部に応力がかかるが、この交差部は、尖がっているため、応力集中が発生する。そのため、容易に裂き切りを開始することが出来る。また、タブは、従来例と異なり、周方向にだけ引くため、手は自然な方向に動くので、円滑に分別作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(1)本発明者は、前記課題を解決するためには、前記タブ形成用突片の突出長さを短くすれば良いと考え、研究を重ねた。その結果、前記タブ形成用突片を上下に二分割して、タブ形成用上突片とタブ形成用下突片を形成し、前記タブ形成用上突片を前記外筒形成用上コアの下面に突設し、前記タブ形成用下突片を前記外筒形成用下コアに設け、その上端面を前記タブ形成用上コアの下端面と当接させれば良いことがわかった。
【0021】
前記両タブの当接位置は、必要に応じて適宜選択できるが、前記内筒外筒形成用コアの環状突条形成部の上端、又は、該上端より上方の高さ位置になる様にするが好適である。即ち、前記タブ形成用下突片の上端面を、前記内筒外筒形成用コアの環状突条形成部の上端、又は、該上端より上方の高さ位置になる様にすることが好ましい。
【0022】
前記当接位置が好適な理由は、離型時において、内筒外筒形成用コアが開方向に移動する際に、キャップの環状突条が内方に突出しているため、この部分が大きく外方に変位するが、タブ形成用下突片が移動した後に前記内筒外筒形成用コアが移動することになるので、キャップの環状突条の背面に対応する部分には、タブ形成用突片が存在しなくなるからである。
【0023】
(2)本発明者は、分別回収の際に、キャップの弱化部の裂き切り開始部が切れやすい様にするには、該裂き切り開始部に応力集中が発生する様にすればよい、と考え研究を重ねた。その結果、該キャップの外筒に形成される縦弱化線を、V字状に交差する上側傾斜弱化線部と下側傾斜弱化線部とにより形成し、その交差部を、タブ側に向ければよいことが分かると共に、このキャップの製造には、前記キャップ製造用成形型を用いることが好適であることを知った。
また、前記交差部の位置は、環状突条の上端、又は、その上端より上方の高さが好適であることがわかった。
この発明は、上記知見に基づいて完成されたものである。
【実施例】
【0024】
この発明の実施例を図1〜図5により説明する。
合成樹脂製キャップ16を製造するための成形型(金型)1は、互いに離接可能な第一の成形型部材(上型)2と第二の成形型部材(下型)3とから構成されている。
【0025】
前記第一の成形型部材2は、該部材2の中央部に位置する表側センターコア4と、該表側センターコア4の外側に順次嵌合された、第1中間コア5、第2中間コア6、第3中間コア7、外筒形成用上コア8と、を備えている。
【0026】
前記表側センターコア4及び第1中間コア5によりプルリング形成空間が形成され、前記第1中間コア5と第2中間コア6により注出筒形成空間が形成され、第2中間コア6と第3中間コア7により螺条筒形成空間が形成され、又、外筒形成用上コア8により外筒形成空間が形成される。
【0027】
前記第二の成形型部材3は、上記表側センターコア4と成形空間を介して対向する裏側センターコア10と、該裏側センターコア10の外側に順次嵌合された、内筒外筒形成用コア11、外筒形成用下コア12と、を備えている。
【0028】
前記裏側センターコア10と内筒外筒形成用コア11により内筒形成空間が形成され、該内筒外筒形成用コア11と外筒形成用下コア12により外筒形成空間が形成される。
【0029】
前記内筒外筒形成用コア11には、上側傾斜弱化線形成部と下側傾斜弱化線形成部とにより形成されるV字状の縦弱化線形成部および前記縦弱化線形成部と連続する周方向弱化線形成部が設けられている
【0030】
前記外筒形成用上コア8の下面の内壁側には、タブ形成用上突片21が突設されている。このタブ形成用上突片21の下端面21aは、前記内筒外筒形成用コア11の環状突条形成部20の上端20aの高さ位置にあるが、この位置は、必要に応じて適宜選択することができる。
【0031】
前記外筒形成用下コア12の上面内壁側には、タブ形成用下突片22とタブ形成用凹部23とが設けられている。このタブ形成用下突片22は前記タブ形成用上突片21と同一肉厚に形成され、その上端面22aは前記タブ形成用下突片21の下端面21aと当接している。このタブ形成用下突片22は、前記内筒外筒形成用コア11の環状突条形成部20の背面に対向する位置にあり、その上端面22aは、環状突条形成部20の上端20aの高さと同一位置にある。
【0032】
このタブ形成用下突片22の高さは、前記タブ形成用上突片21により制限を受けるが、該タブ形成用下突片22の上端面22aが、前記内筒外筒形成用コア11の環状突条形成部20の上端20a、又は、該上端20aより上方の高さ位置にすることが好適である。
【0033】
その理由は、離型時において、内筒外筒形成用コアが開方向に移動する際に、キャップの環状突条19が内方に突出しているため、この部分が押されて外筒18が外方に変位するが、前記タブ形成用突片22を前記高さ位置にすると、タブ形成用下突片22が移動した後に前記内筒外筒形成用コア11が移動することになるので、前記環状突条19の背面に対応する部分には前記タブ形成用突片が存在しない開放状態になり、破損される恐れが無いからである。
【0034】
次に、本実施例の作動について説明する。
図示しない射出成形機により、ゲート14を介して成形型1内部の成形品空間(型部)に溶融合成樹脂材料を充填し、その充填した溶融合成樹脂材料を冷却固化させた後、離型工程に移行する。
【0035】
離型工程は、次の手順で行われる。
(1)第一の成形型部材2の表側センターコア4、第二の成形型部材3の裏側センターコア10、第二の成形型部材3の外筒形成用下コア12、を順次、キャップ16から離れる方向に移動させる。
この状態では、図5に示すように、第二の成形型部材3は内筒外筒形成用コア11だけとなり、環状突条19の背面に対応する位置には、タブ形成用突片が存在しない状態となる。
【0036】
(2)次に、前記内筒外筒形成用コア11を開方向に移動させる。
前記環状突条19が押されて外筒18が外方に変位するが、その背面に対応する部分には、タブ形成用突片は存在せず、また、タブ形成用上突片21は、前記環状突条19の上端、又は、上端より上方の高さ位置にあるので、破損することはない。
【0037】
(3)更に、第一の成形型部材2の第1中間コア5、第2中間コア6、第3中間コア7、外筒形成用上コア8、を順次、抜く。
これにより離型工程は、完了し、図1〜図3に示す合成樹脂製キャップ16が取り出される。
【0038】
更に、前記離型工程を経て製造された合成樹脂性キャップ16について説明する。
合成樹脂製キャップ16は、容器口部に打栓装着されるキャップ本体40と、該キャップ本体40の螺着筒27螺合される蓋体(図示省略)と、を備えている。
【0039】
キャップ本体40は、外筒18と、該外筒18の天面を覆う天壁42と、該天壁42の上面側に設けられ、前記螺着筒27の内側に配設された注出筒26と、該注出筒26の内側に配設されているプルリング29と、を備えている。前記天壁42の下面側には、前記外筒18に対向する内筒17が突設されている。
【0040】
前記外筒18の外周面には、環状段部44が設けられ、該環状段部44の上面には、蓋体のスカートの下端が当接する。前記外筒18の内周面には、容器口部の環状係合部に係合する環状突条19が突設されている。前記環状突条19は、外筒18の前記環状段部44より下方の部分(以下、「外筒下部」という)に形成されている。前記段部44には、周方向弱化線31が設けられているが、この周方向弱化線31の形成位置は、必要に応じて適宜選択することが出来る。
【0041】
外筒18の表面側には、円弧状のタブ15が設けられている。このタブ15の内側には、円弧状の空間部28が貫通して設けられ、その先端部15aは、破断可能な薄肉のブリッジ46を介して前記外筒18に固定されている。タブ15の内周面には、滑り止め用の突起48が複数個設けられている。
【0042】
前記タブ15の上端面は、外筒18の環状段部44の上面と同一水平面上に位置しているが、該上端面には、掴みやすいようにするための切り欠き部50が設けられている。前記タブ15の径方向の長さ(肉厚)と前記空間部28の径方向の長さは、同一長さに形成されているが、それらの長さは、必要に応じて適宜選択される。
【0043】
前記タブ15の後端部側の付け根は、V字状に形成され、該付け根には、縦弱化線30が設けられている。該縦弱化線30は、V字状に交差する上側傾斜弱化線部37と下側傾斜弱化線38とにより構成され、その交差部30Pは、タブ15側を向いている。即ち、前記交差部30Pは、タブ15の先端部15aに向かって突となっている。前記両弱化線部37、38の交差角は、鋭角の範囲内で、必要に応じて適宜選択される。例えば、前記交差角として、70度が好適である。
【0044】
前記上側傾斜弱化線部37の上端は、前記周方向弱化線31の始端部に連続し、また、前記下側傾斜弱化線部38は、前記環状突条19を切断する方向に伸びながら外筒18の下端に至っている。
前記交差部30Pは、環状突条19の上端19aの高さ位置にあるが、この位置は、必要に応じて適宜選択され、例えば、上端19aから上方(但し、環状段部44の上面より下方)の高さ位置を選択することも出来る。
【0045】
次に、合成樹脂製キャップ16を図示しない容器口部から抜栓する手順について説明する。
容器の内容物を使用して、該容器が空になった後、蓋体を所定方向に回してキャップ本体40から外す。
【0046】
空間部28に指を入れてタブ15を挟持し、周方向A15に引っ張ると、ブリッジ46が切れる。そうすると、タブ15の先端部15aが自由に動くようになるので、タブ15をしっかりと掴むにことが出来る。
【0047】
前記タブ15を更に周方向A15に引っ張ると、縦弱化線30に力がかかるが、先ず最初に、その交差部30Pに力がかかる。この交差部30Pは、V字状に尖がっているため、集中応力がかかることになるので、簡単に裂き切ることができる。
【0048】
前記タブ15を更に周方向A15に引っ張ると、両傾斜弱化線部37、38には、それぞれ同等な引っ張り力がかかるので、同じような割合で切り裂かれるため、効率よく切れる。前記上側傾斜弱化線部37は下側傾斜弱化線部38に比べて短いので、該下側傾斜弱化線部38より先に切り終わるが、該上側傾斜弱化線部37が切り終わると、周方向弱化線31が裂き切れ始める。
【0049】
前記タブ15を更に周方向A15に引っ張ると、下側傾斜弱化線部38が切り終わり、その後は、周方向弱化線31だけが裂き切られる。
このようにして弱化線30、31を裂き切ると、環状係合部21に係合する環状突条19の締め付けが完全に解除されるので、キャップ本体40を、簡単に容器口部から取り外すことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本件発明の実施例を示す図であり、キャップ製造用成形型により成形されたキャップの正面図である。
【図2】図1に示すキャップの平面図である。
【図3】図1に示すキャップの縦断面図である。
【図4】図1に示すキャップ製造用成形型の要部断面図である。
【図5】離型作業中の成形型を示す要部断面図である。
【図6】従来例のキャップ製造用成形型を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 成形型
2 第一の成形型部材
3 第二の成形型部材
4 表側センターコア
5 第1中間コア
6 第2中間コア
7 第3中間コア
8 外筒形成用上コア
10 裏側センターコア
11 内筒外筒形成用コア
12 外筒形成用下コア
15 タブ
16 キャップ
18 外筒
19 環状突条
20 環状突条形成部
21 タブ形成用上突片
22 タブ形成用下突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に位置する表側センターコアと、該表側センターコアの外側に嵌合された中間コアと、該中間コアの外側に嵌合された外筒形成用上コアと、を有する第一の成形型部材と、前記表側センターコアに対向する裏側センターコアと、該裏側センターコアの外側に嵌合され、環状突条形成部を有する内筒外筒形成用コアと、該内筒外筒形成用コアの外側に嵌合され、前記外筒形成用上コアと対向する外筒形成用下コアと、を有する第二の成形型部材と、を備えたキャップ製造用成形型において、
タブを形成するためのタブ形成用突片が、タブ形成用上突片とタブ形成用下突片により構成され、前記タブ形成用上突片は前記外筒形成用上コアの下面に突設され、前記タブ形成用下突片は前記外筒形成用下コアに設けられ、その上端面は前記タブ形成用上突片の下端面と当接していることを特徴とするキャップ製造用成形型。
【請求項2】
中央部に位置する表側センターコアと、該表側センターコアの外側に嵌合された中間コアと、該中間コアの外側に嵌合された外筒形成用上コアと、を有する第一の成形型部材と、前記表側センターコアに対向する裏側センターコアと、該裏側センターコアの外側に嵌合され、環状突条形成部を有する内筒外筒形成用コアと、該内筒外筒形成用コアの外側に嵌合され、前記外筒形成用上コアと対向する外筒形成用下コアと、を有する第二の成形型部材と,を備えたキャップ製造用成形型において、
タブを形成するためのタブ形成用突片が、タブ形成用上突片とタブ形成用下突片により構成され、前記タブ形成用上突片は前記外筒形成用上コアの下面に突設され、前記タブ形成用下突片は前記外筒形成用下コアに設けられ、その上端面は前記タブ形成用上突片の下端面と当接しており、
前記内筒外筒形成用コアには、上側傾斜弱化線形成部と下側傾斜弱化線形成部とにより形成されるV字状の縦弱化線形成部および前記縦弱化線形成部と連続する周方向弱化線形成部が設けられていることを特徴とするキャップ製造用成形型。
【請求項3】
前記タブ形成用下突片の上端面と前記タブ形成用上突片の下端面は、前記内筒外筒形成用コアの環状突条形成部の上端、又は、該上端より上方の高さ位置で当接していることを特徴とする請求項1、又は、2記載のキャップ製造用成形型。
【請求項4】
前記請求項1、又は、2記載のキャップ製造用成形型を用いて合成樹脂製キャップを射出成形するキャップ製造方法であって、
離型工程が、第一の成形型部材の表側センターコア、第二の成形型部材の裏側センターコア、第二の成形型部材の外筒形成用コア、を順次、型内のキャップから離れる方向に移動させ、前記キャップの環状突条の背面側にタブ形成用下突片が存在しない状態にする工程と、
前記第二の成形型部材の内筒外筒形成用コアを引き抜く工程と、
を備えていることを特徴とするキャップ製造方法。
【請求項5】
前記請求項4記載のキャップ製造方法により製造されたことを特徴とするタブ付の合成樹脂製キャップ。
【請求項6】
前記タブの付け根に沿って縦弱化線が設けられ、該縦弱化線は、V字状に交差する上側傾斜弱化線部と下側傾斜弱化線部とにより形成され、その交差部は、タブ側を向いていることを特徴とする請求項5記載の合成樹脂製キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−602(P2010−602A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158802(P2008−158802)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000175397)三笠産業株式会社 (71)
【Fターム(参考)】