説明

合成樹脂製品の梱包箱

【課題】収納、梱包される合成樹脂製品の位置ずれを効果的に防止することができ、搬送中の衝撃や、位置ずれによる摩擦によって収納された合成樹脂製品を傷付ける事態が生じない実用的な梱包箱を提供する。
【解決手段】自動車用バイザー梱包用の梱包箱1は、箱本体2の左側壁5が底板4に対して片開き可能になっているとともに、収納された自動車用バイザーB,B・・の側面を押止するための押止部22,22が設けられており、左側壁5を閉じて底板4に対して直交するように配置させた場合に、押止部22,22が、自動車用バイザーB,B・・の側面を押止するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用バイザーセット等の合成樹脂製品を収納、梱包するための梱包箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製の自動車用バイザーを収納、梱包するための梱包箱として、特許文献1の如く、直方体状の梱包箱内に仕切壁を設けて、長尺な用品を収納するための第一収納室と、短尺な用品を収納するための第一収納室とに区画するとともに、当該仕切壁の両端を第二収納室側へ屈曲させて、短尺な用品の位置ずれ用の押さえとして機能させるようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−302956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1の梱包箱は、収納された自動車用バイザーを十分に固定できないため、搬送中の衝撃、位置ずれによる摩擦によって、収納された自動車用バイザーが傷付き易い、という不具合がある。また、自動車用バイザーを固定するために仕切壁と自動車用バイザーの隙間を小さくすると、自動車用バイザーの出し入れがし難くなり作業性が悪い、という不具合がある。また、特許文献1の梱包箱は、第二収納室の上面が開口していないため、一部の自動車バイザーを梱包しながら組み付ける必要があるので、自動車用バイザーを収納する場合の作業性が悪い、という不具合がある。
【0005】
本発明の目的は、上記従来の梱包箱が有する問題点を解消し、収納、梱包される合成樹脂製品の位置ずれを効果的に防止することができ、搬送中の衝撃や、位置ずれによる摩擦によって収納された合成樹脂製品を傷付ける事態が生じない、かつ梱包の作業において、自動車用バイザーの出し入れがし易い実用的な梱包箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、横長な矩形の底面の外周に左右側壁および前後壁を立設させた幅広な直方体状の箱本体と、その箱本体の上面を覆う蓋体とを有しており、合成樹脂によって形成された長尺な製品を、その長手方向を箱本体の前後方向に合致させた状態で収納して梱包するための梱包箱であって、前記箱本体の左右側壁の内の少なくともいずれか一方が、底面に対して片開き可能になっているとともに、収納された合成樹脂製品の側面を押止するための押止手段が設けられており、前記片開き可能に設けられた側壁を閉じて底面に対して略直交するように配置させた場合に、前記押止手段が、収納された合成樹脂製品の側面を押止することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、収納された合成樹脂製品の側面に当接した状態で合成樹脂製品を固定する固定手段が、前記押止手段と所定の距離を隔てて対向するように設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の合成樹脂製品の梱包箱は、箱本体の蓋体および側壁を閉じて底面に対して直交するように配置させた場合に、押止手段によって、収納された合成樹脂製品の横ずれが防止されるので、ビニール包装された合成樹製品がビニールとの摩擦によって傷付く、という事態が生じない。それにも拘わらず、蓋体および側壁を開いた状態(箱本体を開放した状態)においては、押止手段による合成樹脂製品の側面の押止が解除されるため、合成樹脂製品の箱本体への出し入れを行い易い。
【0009】
請求項2に記載の合成樹脂製品の梱包箱は、箱本体の蓋体および側壁を閉じて、側壁を底面に対して直交するように配置させた場合に、収納された合成樹脂製品が固定手段と押止手段とによって狭持された状態となるため、合成樹脂製品の横ずれをより効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】梱包箱を示す説明図(斜視説明図)である。
【図2】固定部材を示す説明図(斜視説明図)である。
【図3】梱包箱に自動車用バイザーを収納した状態を示す説明図(平面図)である。
【図4】収納された合成樹脂製品が押止片によって押止される様子を示す説明図(梱包箱の長手方向に対して垂直な鉛直断面で切断した断面図)である。
【図5】梱包箱の変更例を示す説明図(長手方向に対して垂直な鉛直断面で切断した断面図)である(aは側壁を開放した状態であり、bは側壁を底板に対して直交した状態である)。
【図6】梱包箱の変更例を示す説明図(長手方向に対して垂直な鉛直断面で切断した断面図)である(aは側壁を開放した状態であり、bは側壁を底板に対して直交した状態である)。
【図7】梱包箱の変更例を示す説明図(長手方向に対して垂直な鉛直断面で切断した断面図)である(aは側壁を開放した状態であり、bは側壁を底板に対して直交した状態である)。
【図8】梱包箱の変更例を示す説明図(長手方向に対して垂直な鉛直断面で切断した断面図)である(aは側壁を開放した状態であり、bは側壁を底板に対して直交した状態である)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る合成樹脂製品の梱包箱の一実施形態である自動車用バイザー梱包用の梱包箱について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
<梱包箱の構造>
図1は、梱包箱を示したものであり、梱包箱1は、自動車用バイザーを収納するための箱本体2と、箱本体2内に収納された自動車用バイザーを所定の位置で固定させるための固定部材3とによって構成されている。
【0013】
箱本体2は、所定の厚みの平板状の段ボールを折り曲げることによって、縦長で扁平な直方体状に形成されている。縦長な矩形の底板4の左側には、幅狭な長方形状の左側壁5が延設されており、その左側壁5の左側には、底板4と略同一の大きさを有する蓋部6が延設されている。さらに、蓋部6の側端縁には、2つの係合片7,7が突設されており、蓋部6に対して、直交した状態になっている。そして、それらの左側壁5および蓋部6が底板4に対して片開き自在になっている。
【0014】
また、底板4の前後には、それぞれ、左側壁5と略同一幅の前壁8、後壁9が、底板4に対して直交するように折り曲げ形成されている。さらに、それらの前壁8、後壁9の両端縁には、同一幅の支持片10,10が延設されており、前壁8、後壁9と直交するように内側に折り曲げられた状態になっている。
【0015】
一方、底板4の右側には、左側壁5、前壁8、後壁9と略同一幅を有する右側壁11が、底板4に対して直交するように設けられている。右側壁11は、断面(長手方向に対して垂直な鉛直断面)コ字状に形成されており、上端縁に、所定の長さ(蓋部6の係合片7の幅と略同一の長さ)の2つのスリット13,13が設けられている。加えて、底板4の左右の側縁には、左右で対向するように、所定の長さの係合スリット12,12・・が設けられている。
【0016】
一方、図2は、固定部材3を示したものであり、固定部材3も、箱本体2と同様に、所定の厚みの平板状の段ボールを折り曲げることによって形成されている。そして、略矩形の底板21の前後において、それぞれ、左右両側に、押止手段として機能する押止部22と、固定手段として機能する固定部23とが設けられている。
【0017】
各固定部23,23は、底板21に一体的に設けられた平板状の固定部形成片の基端を谷折りし、中間部分を山折りすることによって形成されており、断面(長手方向に対して垂直な鉛直断面)が逆V字状になっている。また、各固定部23,23の先端縁には、所定幅の係合片24が外側に突出するように設けられている。
【0018】
一方、各押止部22,22は、底板21に一体的に設けられた平板状の押止部形成片の基端を谷折りし、中間の2箇所において山折りすることによって形成されており、断面(長手方向に対して垂直な鉛直断面)が略コ字状になっている。また、各押止部22,22の先端縁にも、固定部23の先端縁と同様な所定幅の係合片25が外側に突出するように設けられている。
【0019】
固定部材3は、底板21の下面を箱本体2の底板4の上面に重ね合わせるようにして、箱本体2の内部に設置されており、各固定部23,23の各係合片24,24および各押止部22,22の各係合片25,25が、箱本体2の底板4の外周に設けられた係合スリット12,12・・に嵌め込まれた状態になっている。なお、そのように係合片25が係合された押止部22においては、押止部22の上面の幅が、基端の幅に対して若干大きくなっている。また、固定部材3の底板21の中央部に穿設された係止孔26に、箱本体2の係止片14が係止されており、箱本体2に対する固定部材3の相対位置がずれないようになっている。
【0020】
<梱包箱の使用方法・作用>
上記の如く構成された梱包箱1は、自動車の窓枠の上端際に装着される合成樹脂(アクリル樹脂)製で扁平な刀身状のサイドバイザーの梱包に利用される。自動車バイザーを梱包箱1に収納する場合には、ビニールシートで被覆した自動車用バイザーB,B・・を上下に積層して、図3の如く、箱本体2の左右において、固定部23と押止部22との間に設置する。しかる後、箱本体2の左側壁5を底板4に対して直交させ、かつ、蓋部6を左側壁5に対して直交させるようにして、蓋部6を底板4の上方に配置させ、蓋部6の係止片7,7を箱本体2のスリット13,13に係止させることによって、蓋部6を閉じた状態で保持させる。
【0021】
図4は、固定部23および押止部22の設置部位を示したものであり、蓋部6を開いた状態(左側壁5を開放した状態)においては、固定部23の内面(底板4に対して略直交している)と押止部22の内面の上端際との間は、収納される自動車用バイザーの幅に対してわずかに広くなっている。しかしながら、左側壁5を底板4に対して直交させた状態に配置すると、押止部22の上面の幅が基端の幅に対して若干大きくなっていることにより、左側壁5が押止部22の外面に当接するため、押止部22に内向きに力が作用する。そのため、押止部22の内面が、収納された自動車バイザーB,B・・の側面(各自動車用バイザーB,B・・の上端縁)を押止するため、収納される自動車用バイザーB,B・・は、箱本体2内の左右において、固定部23と押止部22とによって狭持された状態となる。それゆえ、梱包箱1を搬送する場合に、衝撃を受けた場合でも、収納された自動車用バイザーB,B・・が位置ずれを起こしたりしない。
【0022】
<梱包箱の効果>
梱包箱1は、上記の如く、箱本体2の左側壁5が底板4に対して片開き可能になっているとともに、収納された自動車用バイザーB,B・・の側面を押止するための押止手段である押止部22,22が設けられており、左側壁5を閉じて底板4に対して直交するように配置させた場合に、押止部22,22が、自動車用バイザーB,B・・の側面を押止するようになっている。したがって、梱包箱1は、箱本体2の蓋部6および左側壁5を閉じた場合に、押止部22,22によって、自動車用バイザーB,B・・の横ずれが防止されるので、ビニール包装された自動車用バイザーB,B・・がビニールとの摩擦によって傷付く、という事態が生じない。それにも拘わらず、左側壁5を開いた状態(箱本体2を開放した状態)においては、押止部22,22による自動車用バイザーB,B・・の側面の押止が解除されるため、自動車用バイザーB,B・・の箱本体2への出し入れを行い易い。
【0023】
また、梱包箱1は、収納された自動車用バイザーB,B・・の側面に当接した状態で自動車用バイザーB,B・・を固定する固定手段である固定部23,23が、押止部22,22と所定の距離を隔てて対向するように設けられているため、箱本体2の蓋部6および左側壁5を閉じて左側壁5を底板4に対して直交するように配置させた場合に、収納された自動車用バイザーB,B・・が固定部23,23と押止部22,22とによって狭持された状態となるため、自動車用バイザーB,B・・の横ずれをより効果的に防止することができる。
【0024】
<梱包箱の変更例>
本発明に係る梱包箱の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、箱本体、固定部材等の材質、形状・構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0025】
たとえば、梱包箱は、上記実施形態の如く、押止手段の上面の幅が基端の幅に対して大きくなっていることによって蓋体および側壁を閉じた場合に押止手段が収納された合成樹脂製品の側面を押止するものに限定されず、図5、図6の如く、側壁あるいは押止手段の外面(側壁側の面)に、紙や発泡樹脂等によって形成された突起体31が設けられており、蓋体および側壁を閉じた場合に、当該突起体31が押止手段を内側へ押し込むことにより、押止手段が収納された合成樹脂製品の側面を押止するもの等に変更することも可能である。
【0026】
また、梱包箱は、上記実施形態の如く、箱本体の片側の側壁のみが底面に対して片開き可能に設けられたものに限定されず、図7の如く、箱本体の左右両側の側壁が底面に対して片開き可能に設けられたものに変更することも可能である。加えて、そのように箱本体の構造を変更する場合には、左右両方の側壁と隣接するように、押止手段を設けて、収納された合成樹脂製品を押止手段同士で挟持する構造とすることも可能である。
【0027】
さらに、梱包箱は、上記実施形態の如く、固定部材を箱本体と別個に設け、当該固定部材に押止手段および固定手段を設けたものに限定されず、図8の如く、押止手段のみを箱本体と別個に設けることも可能であるし、固定手段のみを箱本体と別個に設けることも可能である。また、側壁自体を固定手段とすることも可能である。
【0028】
加えて、梱包箱は、上記実施形態の如く、箱本体、固定部材を、それぞれ、単一の段ボールシートによって形成したものに限定されず、各部材を複数の段ボールシートによって形成したものや、一部を合成樹脂製のシート等の別の素材によって形成したものに変更することも可能である。また、押止手段や固定手段も、上記実施形態の如く、段ボールを折り曲げ形成したものに限定されず、発泡材等によって箱本体や固定部材とは別個に形成されたもの等とすることも可能である。
【0029】
また、梱包箱は、上記実施形態の如く、押止手段、固定手段を、それぞれ2個ずつ設けたものに限定されず、押止手段、固定手段を、それぞれ1個ずつ設けたものや、3個以上ずつ設けたものでも良い。
【0030】
さらに、梱包箱は、上記実施形態の如く、蓋体を閉じた状態において、側壁が底面に対して直交するものであることが好ましいが、かかる構成に限定されず、押止手段によって箱本体に収納される合成樹脂製品(自動車用バイザー等)の横ズレが防止されるものであれば、蓋体を閉じた状態において、側壁が底面に対して鋭角あるいは鈍角を成すものでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の梱包箱は、上記の如く優れた効果を奏するものであるから、自動車用バイザーをはじめ各種の合成樹脂製品を収納して梱包するための梱包箱として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
1・・梱包箱
2・・箱本体
4・・底板(底面)
5・・左側壁(側壁)
6・・蓋部(蓋体)
22・・押止部(押止手段)
23・・固定部(固定手段)
B・・自動車用バイザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横長な矩形の底面の外周に左右側壁および前後壁を立設させた幅広な直方体状の箱本体と、その箱本体の上面を覆う蓋体とを有しており、合成樹脂によって形成された長尺な製品を、その長手方向を箱本体の前後方向に合致させた状態で収納して梱包するための梱包箱であって、
前記箱本体の左右側壁の内の少なくともいずれか一方が、底面に対して片開き可能になっているとともに、
収納された合成樹脂製品の側面を押止するための押止手段が設けられており、
前記片開き可能に設けられた側壁を閉じて底面に対して略直交するように配置させた場合に、前記押止手段が、収納された合成樹脂製品の側面を押止することを特徴とする合成樹脂製品の梱包箱。
【請求項2】
収納された合成樹脂製品の側面に当接した状態で合成樹脂製品を固定する固定手段が、前記押止手段と所定の距離を隔てて対向するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製品の梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−232769(P2012−232769A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101863(P2011−101863)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000216531)田村プラスチック製品株式会社 (24)
【出願人】(390019493)中央紙器工業株式会社 (26)
【Fターム(参考)】