説明

合成樹脂製擬竹及びその生産方法

【課題】 断面円形にして長手方向所定間隔に竹節状微小隆起部を配置して擬竹としての剛性と胴縁への長手方向両端部に対する釘打ちによって割れやクラックの発生がなく且つ合成樹脂使用量を適正化した擬竹を提供する。
【解決手段】 熱可塑性合成樹脂製擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量を、擬竹Aの外径寸法との対比で、この外径寸法をミリメートル単位で表示したとき、その数値に対して4.4±0.5倍のグラム単位の数値による重量とし、合成樹脂使用量を該重量に設定して押出成形を行うようにする。外径寸法に応じて該倍率を順次漸増し又は段階的に増加することによって、擬竹Aの剛性と耐衝撃性を確保して、釘打ちによる割れやクラックを可及的確実に防止し且つ合成樹脂使用量を適正化した高品質の擬竹Aとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の擬竹に関し、また、これを生産する合成樹脂製擬竹の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の合成樹脂製擬竹は、例えば押出成形によって外径1〜4cmの断面円形にして長手方向所定間隔の外周面に竹節状微小隆起部を形成したものとされ、該竹節状微小隆起部は、上記押出成形直後の減圧吸引又は押出成形後のバッチ処理の減圧吸引によって形成するものとされており、例えば押出成形を断面円形厚肉の擬竹基層と表面薄肉の着色層の複層構造として、例えば天然の青竹調、枯竹調等適宜の色調のものとされ、また枯竹特有のゴマ状模様を付したものとされることもある。該合成樹脂製擬竹は、例えば天然の丸竹を用いた竹垣に代る屋外の仕切や屋内の壁面装飾に広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−186489号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この合成樹脂製擬竹は、例えば支柱間に架設した胴縁に宛がって該胴縁との交差位置で、擬竹表面から釘止めして、その固定を行なうように用いられるが、胴縁との交差位置は、擬竹長手方向両端部であることも多く、この場合、釘打ちによって擬竹に割れやクラックが入ることもあり、この場合、擬竹を交換する必要が生じるために、一般に擬竹、特にその擬竹基層の肉厚を可及的に厚くすることによって、耐衝撃性を確保して、長手方向両端部の釘打ちによる割れやクラックの発生を防止する傾向が強く、その分、合成樹脂使用量が過剰となる傾向を招いている。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、合成樹脂使用量を適正化するとともに上記釘打ちによる割れやクラックの発生を防止することができる合成樹脂製擬竹を提供し、またその生産方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って鋭意検討したところ、外径を1〜4cm程度、例えば10〜38mmの断面円形にして上記竹節状微小隆起部を備えた塩化ビニール、ABS等の熱可塑性合成樹脂製擬竹にあって、単位長さ当りの標準重量を、擬竹の外径寸法との対比で、該外径寸法をミリメートル単位で表示したとき、その数値に対して4.4±0.5倍のグラム単位の数値による重量とすることによって合成樹脂使用量の適正化と、外径の相違を問わずに釘打ちによる割れやクラックを可及的確実に防止する上で有効であることを見出して、本発明を行なうに至ったもので、即ち、請求項1に記載の発明を、押出成形と減圧吸引を併用することによって外径1〜4cmの断面円形にして長手方向所定間隔の外周面に竹節状微小隆起部を形成した塩化ビニール、ABS樹脂等の熱可塑性合成樹脂製の擬竹であって、単位長さ当りの標準重量を、外径寸法のミリメートル単位の数値に対して4.4±0.5倍のグラム単位の数値による重量としてなることを特徴とする合成樹脂製擬竹としたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記熱可塑性合成樹脂製擬竹の生産方法を提供するように、これを、押出成形工程と減圧吸引工程を併用することによって外径1〜4cmの断面円形にして長手方向所定間隔の外周面に竹節状微小隆起部を形成する塩化ビニール、ABS樹脂等の熱可塑性合成樹脂製の擬竹を生産する擬竹の生産方法であって、上記押出成形工程における合成樹脂の単位長さ当りの合成樹脂標準使用量を、外径寸法のミリメートル単位の数値に対して4.4±0.5倍のグラム単位数値の重量に設定して押出成形を行なうことを特徴とする合成樹脂製擬竹の生産方法としたものである。
【0008】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として、上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、外径を1〜4cm程度、例えば10〜38mmの断面円形にして上記竹節状微小隆起部を備えた塩化ビニール、ABS等の熱可塑性合成樹脂製擬竹にあって、単位長さ当りの標準重量を、擬竹の外径寸法との対比で、該外径寸法をミリメートル単位で表示したとき、その数値に対して4.4±0.5倍のグラム単位の数値による重量とすることによって合成樹脂使用量の適正化と、外径の相違を問わずに釘打ちによる割れやクラックを可及的確実に防止することが可能な合成樹脂製擬竹を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、該合成樹脂製擬竹の生産方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】擬竹の一部破断斜視図である。
【図2】擬竹の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは合成樹脂製擬竹であり、該擬竹Aは、押出成形と減圧吸引を併用することによって外径1〜4cmの断面円形にして長手方向所定間隔の外周面に竹節状微小隆起部12を形成した塩化ビニール、ABS樹脂等の熱可塑性合成樹脂製のものとしてある。
【0013】
本例にあって該擬竹Aは、熱可塑性樹脂を押出成形して断面円形の円筒、即ち、中空パイプ状に形成した基部をなす擬竹基層10と、該擬竹基層10の押出成形に際してこれに交差するように同じく押出成形して該擬竹基層10の表面に薄肉に形成した表面の着色層11を備えた、例えば青竹調の複層、特に2層形成のものとしてあり、その長手方向所定間隔に、例えば押出成形直後にその押出材に対して上下に一対の節形成金型に通過させて減圧吸引、例えば真空で吸引することによって表面に隆起形成した擬竹交差方向に2条の竹節状微小隆起部12を備えたものとしてある。
【0014】
このとき該擬竹Aは、その単位長さ当りの標準重量を、外径寸法のミリメートル単位の数値に対して4.4±0.5倍のグラム単位の数値による重量としてあり、これによって擬竹の合成樹脂使用量を適正化するとともに、屋外乃至屋内使用のための釘打ちによる割れやクラックの発生を可及的確実に防止したものとしてある。
【0015】
即ち、本例にあって擬竹Aは、例えば10mm、13mm、16mm、19mm、22mm、26mm、30mm、38mmの外径寸法8種類のものとして、屋外使用、屋内使用の多様な需要に対応し得るように外径寸法を設定したものとした場合、外径寸法10mmの擬竹にあって、その単位長さ当りの標準重量を41g(4.1倍)、外径寸法13mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量を55g(4.2倍)、外径寸法16mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量を69g(4.3倍)、外径寸法19mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量を83g(4.4倍)、外径寸法22mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量を97g(4.4倍)、外径寸法26mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量を116g(4.5倍)、外径寸法30mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量を135g(4.5倍)、外径寸法38mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量を172g(4.5倍)とすることによって、該標準重量の最小倍率を4.1倍、最大倍率を4.5倍とするようにしてある。
【0016】
即ち、上記10mmから38mmの外径寸法8種類の擬竹Aにあって、外径寸法の径大化に応じて、上記標準重量の倍率を漸増するとともに該径大化に応じて一部を同一倍率としたものとしたが、このように標準倍率とすることによって押出成形時に生じ得る、例えば0.1乃至0.3倍程度の重量誤差を見込んでも、各擬竹Aは、これが断面円形であることによる剛性を確保するとともに長手方向両端部近傍、例えば小口から1cm程度の位置において擬竹Aを貫通するように、その直交方向に向けて行なう釘打ちに対して割れやクラックのトラブルのない好ましい耐衝撃性を確保して、擬竹Aとして高い品質を確保したものとすることができ、また該各擬竹Aにおける過剰な樹脂を排除して、その合成樹脂使用量を可及的に適正化したものとすることができる。
【0017】
このとき、上記グラム単位の数値による標準重量が、外径寸法のミリメートル単位の数値に対して3.9倍を下回ると、合成樹脂使用量を更に減少でき、長手方向中間部においては割れやクラックのトラブルを生じることは防止し得るとしても、長手方向両端部の釘打ちに際して一部に割れやクラックのトラブルを発生する耐衝撃性が不足する傾向を招き易くなり、従って該標準重量は、少なくとも3.9倍以上とすることが必要である。一方、該標準重量が、外径寸法のミリメートル単位の数値に対して4.5倍を超えた場合、長手方向中間部及び長手方向両端部のいずれにも割れやクラックのトラブルを生じることはないが、該4.5倍を超えると、擬竹Aは剛性、釘打ちのトラブルを解消する耐衝撃性を確保しながらも、その適正な合成樹脂使用量を超えて、過剰な合成樹脂を取り込む結果となり、従って、過剰な合成樹脂使用量をもつ不適正のものとなる。
【0018】
一般に押出成形は幾分の重量誤差の発生を許容したものとなるが、その重量誤差は、上記外径寸法に対して0.1倍乃至0.3倍であり、即ち、例えば、本例の外径寸法10mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量41gに対して上限43g(プラス0.2倍)、下限39g(マイナス0.2倍)、外径寸法13mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量55gに対して上限58g(プラス0.2倍)、下限52g(マイナス0.2倍)、外径寸法16mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量69gに対して上限73g(プラス0.2倍)、下限65g(マイナス0.2倍)、外径寸法19mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量83gに対して上限87g(プラス0.2倍)、下限78g(マイナス0.2倍)、外径寸法22mmの擬竹Aにあって、該標準重量97gに対して上限102g(プラス0.2倍)、下限92g(マイナス0.2倍)、外径寸法26mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量116gに対して上限121g(プラス0.2倍)、下限110g(マイナス0.3倍)、外径寸法30mmの擬竹Aにあって、その単位長さ当りの標準重量135gに対して上限142g(プラス0.2倍)、下限128g(マイナス0.2倍)、外径寸法38mmの擬竹Aにあって、該標準重量172gに対して上限181g(プラス0.2倍)、下限163g(マイナス0.2倍)であり、いずれも0.2乃至0.3倍の範囲に納まることになる。従って、押出成形に伴って発生することある重量誤差は、上記標準重量を4.4±0.5の範囲とすることによって、該重量誤差を吸収して、上記擬竹Aとしての剛性を確保し、耐衝撃性確保により釘打ちトラブルを解消し且つ適性な合成樹脂使用量のものとすることができる。
【0019】
因みに、上記外径寸法に対する標準重量を適用した場合、擬竹Aの肉厚は、これを概ね2mm程度とすることができ、一方、この種擬竹Aの肉厚は一般に概ね3mmとされるから、その肉厚対比によれば、単純比較で略2/3の合成樹脂使用量で擬竹Aを形成することが可能になるとともに1/3の合成樹脂使用量を減少しながら高品質確保の擬竹Aとすることができる。
【0020】
該擬竹Aの生産方法は、押出成形工程とその直後の減圧吸引工程を備えることによって外径1〜4cmの断面円形にして長手方向所定間隔の外周面に竹節状微小隆起部12を形成する塩化ビニール、ABS樹脂等の熱可塑性合成樹脂製の擬竹Aを生産する擬竹の生産方法として、上記押出成形工程における合成樹脂の単位長さ当りの合成樹脂標準使用量を、外径寸法のミリメートル単位の数値に対して4.4±0.5倍のグラム単位数値の重量に設定して押出成形を行なうようにすればよく、また、本例にあっては上記擬竹基層10の押出成形工程とともにこれに着色層11の押出成形工程を併用するようにすればよい。
【0021】
押出成形工程及び減圧吸引工程は、これを一連の工程として行なうことができ、この場合、本例にあっては上記擬竹基層10と着色層11の形成のために、先行する擬竹基層10の押出成形と、後続の着色層11の2度の押出成形を行い、その直後の押出成形による溶融乃至高温にして押出材に成形可能状態な状態のまま、例えば上下に可動の節成形金型を通過させて、該節成形金型によって押出材を挟持することによって減圧吸引、例えば真空で吸引することによって該押出材表面に竹節状微小隆起部を形成すればよい。
【0022】
このとき上記押出成形工程における合成樹脂標準使用量、特に擬竹Aとして剛性と耐衝撃性を確保する擬竹基層10の押出成形に際して、その成形金型における成形溝の幅を、該合成樹脂標準使用量に応じて設定して、溶融樹脂を加圧下で通過させることによって、上記外径寸法に応じた標準重量を確保するようにすればよい。
【0023】
また上記減圧吸引工程にあって、その節成形金型を押出方向に押出材とともに等速移動して所定範囲を往復動するものとして、上記押出材の挟持と真空の吸引による減圧吸引を施すようにすれば、押出材に無理な外力を与えてこれが変形したりすることなく、該押出材にその外周面に直交した、例えば断面M字状の竹節状微小隆起部12を美麗に形成した擬竹Aとすることができる。
【0024】
また減圧吸引工程は、押出成形後に成形した押出材を再加熱して減圧吸引するバッチ処理によるものとすることができ、この場合、例えば定尺に切断した擬竹を、成形可能な高温に再加熱し、同様に節成形金型で挟持することによって同様に減圧吸引するようにすることも可能であり、この場合、再加熱の必要が生じるが、同様に美麗な竹節状微小隆起12を形成することができる。
【0025】
本例は以上のとおりとしたが、上記単位長さ当りの標準重量を、外径寸法のミリメートル単位の数値に対して4.4±0.5倍のグラム単位の数値の範囲で、その径大化に応じて段階的に適用するようにすること、外径寸法を単一乃至2〜3種類のものとして、その上記標準重量を上記4.4±0.5の数値の範囲のうちから単一の倍率又は複数の倍率を適用したものとすること、この場合、好ましくは該上記外径寸法に示した倍率に近いものとして、その高品質を確保するようにすること等を含めて、本発明の実施に当って、擬竹、竹節状微小隆起部、外径寸法、標準重量、押出成形工程、減圧吸引工程等の各具体的形状、構造、材質、方法、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0026】
A 擬竹
10 擬竹基層
11 着色層
12 竹節状微小隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形と減圧吸引を併用することによって外径1〜4cmの断面円形にして長手方向所定間隔の外周面に竹節状微小隆起部を形成した塩化ビニール、ABS樹脂等の熱可塑性合成樹脂製の擬竹であって、単位長さ当りの標準重量を、外径寸法のミリメートル単位の数値に対して4.4±0.5倍のグラム単位の数値による重量としてなることを特徴とする合成樹脂製擬竹。
【請求項2】
押出成形工程と減圧吸引工程を併用することによって外径1〜4cmの断面円形にして長手方向所定間隔の外周面に竹節状微小隆起部を形成する塩化ビニール、ABS樹脂等の熱可塑性合成樹脂製の擬竹を生産する擬竹の生産方法であって、上記押出成形工程における合成樹脂の単位長さ当りの合成樹脂標準使用量を、外径寸法のミリメートル単位の数値に対して4.4±0.5倍のグラム単位の数値の重量に設定して押出成形を行なうことを特徴とする合成樹脂製擬竹の生産方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−158872(P2010−158872A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3816(P2009−3816)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(392010142)グローベン株式会社 (3)
【Fターム(参考)】