説明

合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置

【課題】フィーダフレームからの上層アスファルト合材のこぼれ落ちの防止、上層アスファルト合材の下層アスファルト合材の混入への防止、フレーム下カバーへのアスファルト合材の付着・成長の防止により搬送能率を向上させたチャージングフィーダ装置を提供する。
【解決手段】フルカバー構造のフィーダフレーム19にチェーンコンベヤ21を内装し、チェーンコンベヤ21における投入ホッパ11内への延在部には略水平駆動された状態でアスファルト合材を飲込み積載する合材飲込部28を形成し、チェーンコンベヤ21は往き行程ではアスファルト合材をフレーム上カバー19aの内側に沿って設けられたコンベヤプレート29上を搬送する上引き構造の搬送方式とし、戻り行程ではチェーンコンベヤ21をフレーム下カバー19b側に押さえる上がり止めガイド30を列設した合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置に関するものであり、特に、質の高い舗装の施工が可能な合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、敷均機械の一種に次のような構成を備えたものが知られている。この敷均機械は、クローラ等で走行する自走車両に下層(前側)ホッパと上層(後側)ホッパとが設けられ、下層ホッパからバーフィーダで送られてきた下層アスファルト合材を左右に広げる前側スプレッディングスクリューと、上層ホッパから排出された上層アスファルト合材を左右に広げる後側スプレッディングスクリューと、前側スプレッディングスクリューで広げられた下層アスファルト合材を敷均す前側スクリードと、後側スプレッディングスクリューで広げられた上層アスファルト合材を敷均す後側スクリードとが備えられている。そして、1回の舗装作業で上層と下層の2種類のアスファルト合材を上下に重ねて同時に路面に敷均すようにしている。
【0003】
このような敷均機械において、ダンプトラックから投入ホッパ内に受け入れた下層アスファルト合材は下層ホッパに供給し、上層アスファルト合材は上層ホッパに供給するチャージングフィーダ装置の設置が必要とされる。このチャージングフィーダ装置の第1の従来技術としては、例えば次のようなものがある。この第1の従来技術は、断面方形状で密閉型のフィーダフレームが自走車両上に斜めに起立可能に装備されている。該フィーダフレームの下端は投入ホッパ内に斜め方向から臨み、下層ホッパに対応した部位には開閉自在とされた下層ゲートが設けられ、上層ホッパに対応した上端部には上層ゲートが設けられている。
【0004】
前記フィーダフレーム内の下端側と上端側には下端側回転軸と上端側回転軸が設けられ、該下端側回転軸に取付けられた1対の下端側スプロケットと上端側回転軸に取付けられた1対の上端側スプロケット間に、1対の無端チェーンが並行して張設されている。該1対の無端チェーン間には多数のフライトバーが所定の間隔で架設され、該多数のフライトバーと1対の無端チェーンによりチェーンコンベヤが構成されている。該チェーンコンベヤは上端側回転軸がモータで駆動されることにより回転する。前記投入ホッパ内には、アスファルト合材をチェーンコンベヤの部分に掻き寄せる掻寄スクリューが設けられている。該チャージングフィーダ装置は、投入ホッパ内でチェーンコンベヤに積載されたアスファルト合材を、フライトバーがフィーダフレームの内底壁に設けられたコンベヤプレートを擦りながらフィーダフレームの上端側に運ぶいわゆる「下引き構造」の態様で搬送する。
【0005】
そして、投入ホッパで受け入れた下層アスファルト合材を下層ホッパに供給する場合は、下層ゲートを開き、モータを作動させることによりチェーンコンベヤを回転させ、フライトバーによる前記「下引き構造」の態様で下層アスファルト合材を運んで下層ゲートから下層ホッパ内に落下させる。また、投入ホッパで受け入れた上層アスファルト合材を上層ホッパに供給する場合は、下層ゲートを閉じ、上記と同様にフライトバーによる「下引き構造」の態様で上層アスファルト合材を運んで上層ゲートから上層ホッパ内に落下させる。
【0006】
上記のような構成・作用を有する第1の従来技術は、構造上チャージングフィーダ装置が密閉構造となるため、上層及び下層の各ゲート部分以外でのアスファルト合材のこぼれ
落ちが無い。そして行きと戻りのチェーンコンベヤにおけるフライトバーの間には遮るものがなく、戻りのアスファルト合材があったとしても、行きのフライトバーで押し上げられるため、下まで戻ってくることはない。
【0007】
しかし、第1の従来技術は、前記「下引き構造」の搬送態様に加え、投入ホッパ内でのアスファルト合材の掻寄せに掻寄スクリューを採用したことで、チェーンコンベヤ駆動用の動力と掻寄スクリュー駆動用の動力とが同時に必要で莫大なトルクが必要となり、負荷が大きい割には搬送能率があまり良くない。また構造も複雑になる。さらにフィーダフレームの下端が投入ホッパ内に斜め方向から臨み、これにしたがって、チェーンコンベヤが投入ホッパ後部に斜めに入り込んでいる構造となっている。このため、投入ホッパ部におけるチェーンコンベヤに対するアスファルト合材の飲込効率が悪く、搬送能率が不十分になる。これを改善するためにはチェーンコンベヤの回転速度をかなり速くする必要があった。
【0008】
上記のように、動力の低減、搬送能率の向上及び構造の単純化など、なお解決すべき課題を有する第1の従来技術に対し、これを解決するようにした第2の従来技術として、例えば図5及び図6に示すようなものがある。これらの図において、左右1対のクローラ1,1で走行する自走車両2に下層(前側)ホッパ3と上層(後側)ホッパ4とが設けられ、下層ホッパ3から図示しないバーフィーダで送られてきた下層アスファルト合材を左右に広げる前側スプレッディングスクリュー5と、上層ホッパ4から排出された上層アスファルト合材を左右に広げる後側スプレッディングスクリュー6と、前側スプレッディングスクリュー5で広げられた下層アスファルト合材を敷均す前側スクリード7と、後側スプレッディングスクリュー6で広げられた上層アスファルト合材を敷均す後側スクリード8とが備えられている。該後側スクリード8は左右1対のレベリングアーム9,9の後端に懸吊され、前側スクリード7は前、後のスプレッディングスクリュー7,8の間において前記左右1対のレベリングアーム9,9に懸吊されている。
【0009】
チャージングフィーダ装置10は、自走車両2の前部に設けられた通常の敷均機械と同様の投入ホッパ11と、フィーダフレーム12に内装された図示しないチェーンコンベヤとを主体として構成されている。前記投入ホッパ11には、図6に示すようにチェーンコンベヤの下端部を挟んで左右1対のウイング11a,11aが備えられ、該左右1対のウイング11a,11aがシリンダ13,13の駆動により開閉してアスファルト合材をチェーンコンベヤの下端部に集めるようになっている。第2の従来技術は、前記第1の従来技術における掻寄スクリューを備えた投入ホッパに代えて、左右1対のウイング11a,11aを備えた投入ホッパ11とし、フィーダフレーム12内におけるアスファルト合材の搬送を、フレーム上カバーの内側に沿って設けられた図示しないコンベヤプレート上をフライトバーで運ぶ「上引き構造」の搬送方式としたことで搬送能率の向上、動力の低減及び構造の単純化を図っている。
【0010】
前記フィーダフレーム12は自走車両2上に斜めに起立可能に装備されており、前記コンベヤプレートにおける下層ホッパ3に対応した部位には、シリンダ14,14で開閉自在とされた下層ゲート15が設けられ、該下層ホッパ3に対応した部位以下(図5中、L矢印以下)のフレーム下カバー部分は取付けが省略されてオープンのままとなっている。また、フィーダフレーム12における上層ホッパ4に対応した上端部にはシリンダ16で開閉自在とされた上層ゲート17が設けられている。
【0011】
そして、投入ホッパ11で受け入れた下層アスファルト合材を下層ホッパ3に供給する場合は、下層ゲート15を開き、モータを作動させることによりチェーンコンベヤを回転させ、フライトバーによる前記「上引き構造」の態様で下層アスファルト合材を運び、下層ゲート15から戻りのチェーンコンベヤにおける各フライトバー間の間隙及び前記オー
プンのままとなったフレーム下カバー部分を介して下層ホッパ3内に落下させる。また、投入ホッパ11で受け入れた上層アスファルト合材を上層ホッパ4に供給する場合は、下層ゲート15を閉じ、上記と同様にフライトバーによる「上引き構造」の態様で上層アスファルト合材を運んで上層ゲート17から上層ホッパ4内に落下させる。
【0012】
さらに、他の従来技術として、例えば、次のような舗装材の積込装置が知られている。この従来技術における積込装置は、積込フィーダと受入ホッパとを主体として構成されている。積込フィーダを構成している積込フレームの下端は、受入ホッパ内に斜め方向から臨んで該受入ホッパに連結され、該積込フレームにおける前側ホッパに対応した部位には、それぞれ開閉自在とされた2つの排出口が設けられ、後側ホッパに対応した上端には排出端が開口されている。
【0013】
積込フレーム内の下端と上端には下端側回転軸と上端側回転軸が設けられ、該両回転軸にそれぞれ取付けられた下端側スプロケットと上端側スプロケット間に、多数のフライトが所定の間隔で架設された無端チェーンが張設されている。該無端チェーンは、上端側回転軸に結合された駆動モータの作動により回転し、フライトで舗装材を積込フレームの下端から後側ホッパの真上に形成された排出端に向けて移送する。受入ホッパ内には、下端側回転軸と一緒に回転して舗装材を無端チェーンの部分に掻き寄せる掻寄スクリューが設けられている。
【0014】
そして、通常の舗装材を前側ホッパに入れる場合は、前記2つの排出口を開き、前記駆動モータを作動させることにより無端チェーンを回転させ、フライトで通常の舗装材を運んで前記2つの排出口から前側ホッパ内に落下させる。また耐摩耗性の大きい舗装材を後側ホッパに入れるときは、前記2つの排出口を閉じ、無端チェーンを回転させてフライトで耐摩耗性の大きい舗装材を運んで排出端から後側ホッパ内に落下させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第3471597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
第1の従来技術においては、「下引き構造」の搬送態様に加え、投入ホッパ内でのアスファルト合材の掻寄せに掻寄スクリューを採用したことで、チェーンコンベヤ駆動用の動力と掻寄スクリュー駆動用の動力とが同時に必要で莫大なトルクが必要となり、負荷が大きい割には搬送能率が良好とは言えず、また構造も複雑になっていた。さらにチェーンコンベヤが投入ホッパ後部に斜めに入り込む構造となっていたため、投入ホッパ部におけるチェーンコンベヤに対するアスファルト合材の飲込効率が悪く、搬送能率が不十分になっていた。
【0017】
第1の従来技術における課題を解決するようにした第2の従来技術においては、軽量化及び構造の単純化の観点からフィーダフレームにおける下層ホッパに対応した部位以下のフレーム下カバー部分が付いていなかった。しかしながら、上層ホッパへの上層アスファルト合材の供給時に戻りのフライトバーに付着する上層アスファルト合材量が想定以上に多く、この付着した上層アスファルト合材がフレーム下カバーの付いていない部分から下層ホッパにこぼれ落ちて高価な上層アスファルト合材の無駄が出るとともに下層アスファルト合材に上層アスファルト合材が混入し、より質の高い舗装がし得なくなるという問題が生じていた。
【0018】
特許文献1に記載の従来技術においては、舗装材をフライトで積込フレームの下端から後側ホッパの真上に形成された排出端に向けて移送する「下引き構造」の搬送態様となっており、受入ホッパ内には、下端側回転軸と一緒に回転して舗装材を掻寄せる掻寄スクリューが設けられている。また、積込フレームの下端は、受入ホッパ内に斜め方向から臨み、これにしたがって、多数のフライトが架設された無端チェーンは受入ホッパの後部に斜めに入り込んだ構造になっている。このため、特許文献1に記載の従来技術は、前記第1の従来技術における問題点と同様の問題点が生じるおそれがある。
【0019】
そこで、フィーダフレームからの上層アスファルト合材のこぼれ落ちを防止して高価な上層アスファルト合材の無駄をなくすとともに上層アスファルト合材が下層アスファルト合材に混入するのを防止して、より質の高い舗装の施工を可能とし、フレーム下カバーへのアスファルト合材の付着・成長を食い止めてフライトバーがフィーダフレームに干渉する不具合を防止し、投入ホッパ部におけるチェーンコンベヤへの飲込効率を高めて搬送能率を向上させ、さらには動力の低減及び構造の単純化を図るために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、下層ホッパと上層ホッパとが設けられた自走車両の前部に備えられてアスファルト合材を受け入れる投入ホッパと、該投入ホッパで受け入れたアスファルト合材を搬送する無端状のチェーンコンベヤと、前記下層ホッパに対応した部位に設けられた開閉自在の下層ゲートと、前記上層ホッパに対応した部位に設けられた開閉自在の上層ゲートとを有し、前記投入ホッパでそれぞれ受け入れた下層アスファルト合材は前記チェーンコンベヤで搬送して開状態に設定された前記下層ゲートから前記下層ホッパに供給し、上層アスファルト合材は前記チェーンコンベヤで搬送して開状態に設定された前記上層ゲートから前記上層ホッパに供給する合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置であって、フルカバー構造のフィーダフレームに前記チェーンコンベヤを内装し、該チェーンコンベヤにおける前記投入ホッパ内への延在部には略水平駆動された状態でアスファルト合材を飲込み積載する合材飲込部を形成し、前記チェーンコンベヤは前記フィーダフレーム内の往き行程では前記合材飲込部で積載されたアスファルト合材をフレーム上カバーの内側に沿って設けられたコンベヤプレート上を搬送する上引き構造の搬送方式とし、前記チェーンコンベヤが戻り行程となるフレーム下カバー側には前記チェーンコンベヤを当該フレーム下カバー側に押さえる上がり止めガイドを列設した合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置を提供する。
【0021】
この構成によれば、チェーンコンベヤをフルカバー構造のフィーダフレームに内装したことで、上層ホッパへの上層アスファルト合材の供給時に戻りのフライトバーに付着する上層アスファルト合材量が想定以上に多くなっても、この付着した上層アスファルト合材はフィーダフレーム外の下層ホッパ等にこぼれ落ちることがなく、投入ホッパに戻される。また、フィーダフレームをフルカバー構造にしても、チェーンコンベヤが戻り行程となるフレーム下カバー側に上がり止めガイドを列設したことで、戻り行程におけるチェーンコンベヤはフレーム下カバーからの浮上がりが抑えられる。この結果、戻りのフライトバーに付着して戻ってきたアスファルト合材がフレーム下カバーに付着して成長することが防止される。さらに、チェーンコンベヤにおける投入ホッパ内への延在部は略水平駆動される合材飲込部としたことで、該投入ホッパ部におけるチェーンコンベヤへのアスファルト合材の飲込効率が高められる。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記フィーダフレーム内の下端側と上端側には下端側回転軸と上端側回転軸が設けられ、上記チェーンコンベヤは、前記下端側回転軸に取付けられた下端側スプロケットと前記上端側回転軸に取付けられた上端
側スプロケットとの間に張設され、前記上端側回転軸がモータで駆動されることにより回転する合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置を提供する。
【0023】
この構成によれば、上端側回転軸をモータ駆動することによりチェーンコンベヤを回転させることで、該チェーンコンベヤはフレーム上カバーの内側に沿って設けられたコンベヤプレート上を確実に移動して上引き構造の搬送方式によるアスファルト合材の搬送が行われる。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、上記下層ゲートは上記フレーム下カバーに設けられた下側下層ゲートと上記コンベヤプレートに設けられ前記下側下層ゲートの開閉に連動して開閉される上側下層ゲートとで構成され、上記チェーンコンベヤは1対の上記下端側スプロケットと1対の上記上端側スプロケット間に並行して張設された1対の無端チェーンと該1対の無端チェーン間に所定の間隔で架設された多数のフライトバーとで構成され、上記下層ホッパへの上記下層アスファルト合材の供給時には、前記フライトバーによる上記上引き構造の態様で搬送された前記下層アスファルト合材を開状態の前記上側下層ゲートから戻りのチェーンコンベヤにおける各フライトバー間の間隙及び開状態の前記下側下層ゲートを介して前記下層ホッパに落下させる合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置を提供する。
【0025】
この構成によれば、下層ホッパへの下層アスファルト合材の供給時に、上側下層ゲートと下側下層ゲートの二つの下層ゲートが同時に開き、上側下層ゲートから落ちた下層アスファルト合材が戻りのチェーンコンベヤにおける各フライトバー間の間隙及び下側下層ゲートをくぐり下層ホッパに落下して、該下層ホッパに供給される。
【発明の効果】
【0026】
請求項1記載の発明は、チェーンコンベヤをフルカバー構造のフィーダフレームに内装したことで、戻りのフライトバーに付着した上層アスファルト合材がフィーダフレーム外の下層ホッパ等にこぼれ落ちることが防止されて高価な上層アスファルト合材の無駄がなくなるとともに上層アスファルト合材が下層アスファルト合材に混入するのが防止されて、より質の高い舗装を施工することができる。フレーム下カバー側に上がり止めガイドを列設したことで、戻りチェーンコンベヤのフレーム下カバーからの浮上がりを抑えることができる。これにより、フレーム下カバーへのアスファルト合材の付着・成長を食い止めることができて、フライトバーがフィーダフレームに干渉する不具合を防止することができる。また、投入ホッパ内にチェーンコンベヤの延在部が略水平駆動される合材飲込部を形成したことで、合材掻寄スクリュー等の配設を必要とすることなく、チェーンコンベヤへの飲込効率を高めることができて搬送能率を向上させることができ、さらには動力の低減及び構造の単純化を図ることができるという利点がある。
【0027】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えてさらに、投入ホッパ部の合材飲込部で効率良く積載されたアスファルト合材を上引き構造の態様で下層及び上層の各ホッパに確実に運ぶことができるという利点がある。
【0028】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の効果に加えてさらに、投入ホッパ部の合材飲込部で積載した下層アスファルト合材を上引き構造の態様で運ぶチェーンコンベヤの往き行程時に効率良く下層ホッパに供給することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例に係る合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置を搭載した敷均機械を示す図であり、(a)は全体構成の側面図、(b)は投入ホッパ部分の平面図。
【図2】図1(a)中のX−X線に沿う部分の拡大断面図。
【図3】図1(a)中の下層ゲート部分を示す図であり、(a)は下側下層ゲートの開き状態を示す平面図、(b)は下側下層ゲートの閉じ状態を示す平面図、(c)は下層ゲートの側面図。
【図4】図3(b)中のY−Y線に沿う部分の拡大断面図であり、(a)は下層ゲートの全開状態を示す図、(b)は下層ゲートの全閉状態を示す図。
【図5】従来の敷均機械の側面図。
【図6】図5の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、フィーダフレームからの上層アスファルト合材のこぼれ落ちを防止して高価な上層アスファルト合材の無駄をなくすとともに上層アスファルト合材が下層アスファルト合材に混入するのを防止して、より質の高い舗装の施工を可能とし、フレーム下カバーへのアスファルト合材の付着・成長を食い止めてフライトバーがフィーダフレームに干渉する不具合を防止し、投入ホッパ部におけるチェーンコンベヤへの飲込効率を高めて搬送能率を向上させ、さらには動力の低減及び構造の単純化を図るという目的を達成するために、下層ホッパと上層ホッパとが設けられた自走車両の前部に備えられてアスファルト合材を受け入れる投入ホッパと、該投入ホッパで受け入れたアスファルト合材を搬送する無端状のチェーンコンベヤと、前記下層ホッパに対応した部位に設けられた開閉自在の下層ゲートと、前記上層ホッパに対応した部位に設けられた開閉自在の上層ゲートとを有し、前記投入ホッパでそれぞれ受け入れた下層アスファルト合材は前記チェーンコンベヤで搬送して開状態に設定された前記下層ゲートから前記下層ホッパに供給し、上層アスファルト合材は前記チェーンコンベヤで搬送して開状態に設定された前記上層ゲートから前記上層ホッパに供給する合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置であって、フルカバー構造のフィーダフレームに前記チェーンコンベヤを内装し、該チェーンコンベヤにおける前記投入ホッパ内への延在部には略水平駆動された状態でアスファルト合材を飲込み積載する合材飲込部を形成し、前記チェーンコンベヤは前記フィーダフレーム内の往き行程では前記合材飲込部で積載されたアスファルト合材をフレーム上カバーの内側に沿って設けられたコンベヤプレート上を搬送する上引き構造の搬送方式とし、前記チェーンコンベヤが戻り行程となるフレーム下カバー側には前記チェーンコンベヤを当該フレーム下カバー側に押さえる上がり止めガイドを列設したことにより実現した。
【実施例1】
【0031】
以下、本発明の好適な実施例を図1の(a)、(b)、図2、図3の(a)、(b)、(c)及び図4の(a)、(b)を参照して説明する。なお、図1の (a)、(b)〜図4の(a)、(b)において、前記図5及び図6における構成要素と同一ないし均等のものは、前記と同一符号を以って示し、重複した説明を省略する。
【0032】
まず、本実施例に係る合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置の構成を図1の(a)、(b)を用いて説明する。本実施例に係るチャージングフィーダ装置18のフィーダフレーム19は、前記図5に示した従来技術におけるフィーダフレームではフレーム下カバーの一部がオープンになっていたのとは異なり、フルカバー構造(合材漏れ止め構造)となっている。
【0033】
該フィーダフレーム19内の下端側と上端側には図示しない下端側回転軸と上端側回転軸20が設けられ(図3(b)参照)、該フィーダフレーム19に内装されたチェーンコンベヤ21は、下端側回転軸に取付けられた1対の下端側スプロケット24,24と上端側回転軸20に取付けられた1対の上端側スプロケット25,25との間に並行して張設された1対の無端チェーン22,22と、該1対の無端チェーン22,22間に所定の間隔で架設された多数のフライトバー23,…とで構成されている。それぞれ隣り合うフラ
イトバー23,23同士の間は空隙となっている。該チェーンコンベヤ21は上端側回転軸20がローラチェーン26を介してモータ27,27で駆動されることにより回転する。
【0034】
該チェーンコンベヤ21における投入ホッパ11内への延在部には略水平駆動された状態でアスファルト合材を飲込み積載する合材飲込部28が形成されている。チェーンコンベヤ21は、フィーダフレーム19内の往き行程では合材飲込部28で積載されたアスファルト合材をフレーム上カバー19aの内側に沿って設けられたコンベヤプレート29上をフライトバー23で運ぶ「上引き構造」の搬送方式となっている。チェーンコンベヤ21が戻り行程となるフレーム下カバー19b側には、図2に示すように、無端チェーン22のローラ部分を上から押さえることで、チェーンコンベヤ21を当該フレーム下カバー19b側に押さえるための上がり止めガイド(堆積防止ガイド)30が列設されている。また、前記合材飲込部28の先端部には、フライトバー23に付着して戻ってきたアスファルト合材を該合材飲込部28の上面側に戻すためのアールの付いたカバー状ガイド31が形成されている。
【0035】
前記フレーム下カバー19b及び前記コンベヤプレート29における下層ホッパ3に対応した部位には、下層ゲート32が設けられている。該下層ゲート32は、フレーム下カバー19bに設けられた下側下層ゲート32Aとコンベヤプレート29に設けられ前記下側下層ゲート32Aの開閉に連動して開閉される上側下層ゲート32Bとで構成されている。該下側下層ゲート32Aと上側下層ゲート32Bは、図3の(a)、(b)、(c)に示すように、それぞれ左半分と右半分に分割して構成され、左側シリンダ33a,33aと右側シリンダ33b,33bにより左半分と右半分とが左右に開くように構成されている。図3(a)は、下側下層ゲート32Aが開いた状態を示しており、同図中の斜線部分が開口部である。
【0036】
下層ゲート32は、下層ホッパ3への下層アスファルト合材の供給時には、フライトバー23による「上引き構造」の態様で搬送された下層アスファルト合材を開状態の上側下層ゲート32Bから戻りのチェーンコンベヤ21における各フライトバー23,…間の間隙及び開状態の下側下層ゲート32Aを介して下層ホッパ3に落下させる。
【0037】
図4(a)は、下側下層ゲート32A及び上側下層ゲート32Bの各左半分と右半分とが左右に開いた状態を示している。上側下層ゲート32Bについては、全開時もフライトバー23の底面の両端部に、ゲート左半分の一部と右半分の一部とが左右に残るようにしてある。この左右に残った部分がフライトバー23の落ち止めの役割をする。そして、往きフライトバー23の進行動作と上側下層ゲート32Bの開閉動作とは、両者間で互いに障害になることはない。
【0038】
また、下側下層ゲート32Aについては、フィーダフレーム19の対向内側壁の下方部にチェーンコンベヤ21の左右のローラ部を下から支えるローラ部支持ガイド34,34が設けられている。このローラ部支持ガイド34,34は、下側下層ゲート32Aの開口部のみに設けられている。このローラ部支持ガイド34,34を付設したことで、開口時におけるゲート左半分と右半分とは、戻り時には往きの時と上下が逆になるフライトバー23の両端部下方からフリーになる。そして、戻りフライトバー23の進行動作と下側下層ゲート32Aの開閉動作とは、両者間で互いに障害になることはない。
【0039】
次に、上述のように構成された合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置の作用を説明する。投入ホッパ11で受け入れた下層アスファルト合材を下層ホッパ3に供給する場合は、連動している上側下層ゲート32Bと下側下層ゲート32Aとを開き、上層ゲート17は閉じて上端側回転軸20をモータ27,27駆動することに
よりチェーンコンベヤ21を回転させる。チェーンコンベヤ21は、この回転動作により合材飲込部28で効率良く積載された下層アスファルト合材をフライトバー23による前記「上引き構造」の態様で運び、上側下層ゲート32Bから戻りのチェーンコンベヤ21における各フライトバー23,…間の間隙及び下側下層ゲート32Aを介して下層ホッパ3に落下させる。
【0040】
また、投入ホッパ11で受け入れた上層アスファルト合材を上層ホッパ4に供給する場合は、上層ゲート17を開き、上側下層ゲート32Bと下側下層ゲート32Aは閉じて上端側回転軸20をモータ27,27駆動することによりチェーンコンベヤ21を回転させる。チェーンコンベヤ21は、この回転動作により合材飲込部28で効率良く積載された上層アスファルト合材を、上記と同様にフライトバー23による「上引き構造」の態様で運んで上層ゲート17から上層ホッパ4内に落下させる。
【0041】
この上層ホッパ4への上層アスファルト合材の供給時に、チェーンコンベヤ21を内装しているフィーダフレーム19をフルカバー構造としたことで、戻りのフライトバー23に付着する上層アスファルト合材量が想定以上に多くなっても、この付着した上層アスファルト合材はフィーダフレーム19外の下層ホッパ3等にこぼれ落ちることがなく、投入ホッパ11内の合材飲込部28に戻される。このため高価な上層アスファルト合材の無駄がなくなる。
【0042】
また、チェーンコンベヤ21が戻り行程となるフレーム下カバー19b側に上がり止めガイド30を列設したことで、下層ホッパ3への下層アスファルト合材の供給時及び上層ホッパ4への上層アスファルト合材の供給時のいずれの場合においても、戻り行程におけるチェーンコンベヤ21はフレーム下カバー19bからの浮上がりが抑えられる。この結果、戻りのフライトバー23に付着して戻ってきたアスファルト合材がフレーム下カバー19bに付着して成長することが食い止められて、フライトバー23がフィーダフレーム19等に干渉する不具合が防止される。
【0043】
上述したように、本実施例に係る合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置においては、チェーンコンベヤ21をフルカバー構造のフィーダフレーム19に内装したことで、上層ホッパ4への上層アスファルト合材の供給時に戻りのフライトバー23に付着した上層アスファルト合材がフィーダフレーム19外の下層ホッパ3等にこぼれ落ちることが防止されて高価な上層アスファルト合材の無駄がなくなる。また、これとともに上層アスファルト合材が下層アスファルト合材に混入するのが防止されて、より質の高い舗装を施工することができる。
【0044】
フレーム下カバー19b側に上がり止めガイド30を列設したことで、下層ホッパ3への下層アスファルト合材の供給時及び上層ホッパ4への上層アスファルト合材の供給時のいずれの場合においても、戻りチェーンコンベヤ21のフレーム下カバー19bからの浮上がりを抑えることができる。これにより、フレーム下カバー19bへのアスファルト合材の付着・成長を食い止めることができて、フライトバー23がフィーダフレーム19に干渉する不具合を防止することができる。
【0045】
投入ホッパ11内にチェーンコンベヤ21の延在部が略水平駆動される合材飲込部28を形成したことで、合材掻寄スクリュー等の配設を必要とすることなく、チェーンコンベヤ21への飲込効率を高めることができて搬送能率を向上させることができ、さらには動力の低減及び構造の単純化を図ることができる。
【0046】
上端側回転軸20をモータ27,27駆動するようにしたことで、投入ホッパ11部の合材飲込部28で効率良く積載されたアスファルト合材を「上引き構造」の態様で下層及
び上層の各ホッパ3,4に確実に運ぶことができる。
【0047】
下層ゲート32は、フレーム下カバー19bに設けられた下側下層ゲート32Aと、コンベヤプレート29に設けられ前記下側下層ゲート32Aの開閉に連動して開閉される上側下層ゲート32Bとで構成したので、合材飲込部28で積載した下層アスファルト合材を「上引き構造」の態様で運ぶチェーンコンベヤ21の往き行程時に効率良く下層ホッパ3に供給することができる。
【0048】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
フィーダフレームからの上層アスファルト合材のこぼれ落ちを防止して高価な上層アスファルト合材の無駄をなくすとともに、より質の高い舗装の施工を可能とし、また、フレーム下カバーへのアスファルト合材の付着・成長を食い止めてフライトバーがフィーダフレームに干渉する不具合を防止することが不可欠な2種類のアスファルト合材を上下に重ねて同時に路面に敷均すようにした敷均機械に広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 クローラ
2 自走車両
3 下層(前側)ホッパ
4 上層(後側)ホッパ
5 前側スプレッディングスクリュー
6 後側スプレッディングスクリュー
7 前側スクリード
8 後側スクリード
9 レベリングアーム
10 チャージングフィーダ装置
11 投入ホッパ
12 フィーダフレーム
13 シリンダ
14 シリンダ
15 下層ゲート
16 シリンダ
17 上層ゲート
18 チャージングフィーダ装置
19 フィーダフレーム
19a フレーム上カバー
19b フレーム下カバー
20 上端側回転軸
21 チェーンコンベヤ
22 無端チェーン
23 フライトバー
24 下端側スプロケット
25 上端側スプロケット
26 ローラチェーン
27 モータ
28 合材飲込部
29 コンベヤプレート
30 上がり止めガイド
31 カバー状ガイド
32 下層ゲート
32A 下側下層ゲート
32B 上側下層ゲート
33a 左側シリンダ
33b 右側シリンダ
34 ローラ部支持ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層ホッパと上層ホッパとが設けられた自走車両の前部に備えられてアスファルト合材を受け入れる投入ホッパと、該投入ホッパで受け入れたアスファルト合材を搬送する無端状のチェーンコンベヤと、前記下層ホッパに対応した部位に設けられた開閉自在の下層ゲートと、前記上層ホッパに対応した部位に設けられた開閉自在の上層ゲートとを有し、前記投入ホッパでそれぞれ受け入れた下層アスファルト合材は前記チェーンコンベヤで搬送して開状態に設定された前記下層ゲートから前記下層ホッパに供給し、上層アスファルト合材は前記チェーンコンベヤで搬送して開状態に設定された前記上層ゲートから前記上層ホッパに供給する合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置であって、
フルカバー構造のフィーダフレームに前記チェーンコンベヤを内装し、該チェーンコンベヤにおける前記投入ホッパ内への延在部には略水平駆動された状態でアスファルト合材を飲込み積載する合材飲込部を形成し、前記チェーンコンベヤは前記フィーダフレーム内の往き行程では前記合材飲込部で積載されたアスファルト合材をフレーム上カバーの内側に沿って設けられたコンベヤプレート上を搬送する上引き構造の搬送方式とし、前記チェーンコンベヤが戻り行程となるフレーム下カバー側には前記チェーンコンベヤを当該フレーム下カバー側に押さえる上がり止めガイドを列設したことを特徴とする合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置。
【請求項2】
上記フィーダフレーム内の下端側と上端側には下端側回転軸と上端側回転軸が設けられ、上記チェーンコンベヤは、前記下端側回転軸に取付けられた下端側スプロケットと前記上端側回転軸に取付けられた上端側スプロケットとの間に張設され、前記上端側回転軸がモータで駆動されることにより回転することを特徴とする請求項1記載の合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置。
【請求項3】
上記下層ゲートは上記フレーム下カバーに設けられた下側下層ゲートと上記コンベヤプレートに設けられ前記下側下層ゲートの開閉に連動して開閉される上側下層ゲートとで構成され、上記チェーンコンベヤは1対の上記下端側スプロケットと1対の上記上端側スプロケット間に並行して張設された1対の無端チェーンと該1対の無端チェーン間に所定の間隔で架設された多数のフライトバーとで構成され、上記下層ホッパへの上記下層アスファルト合材の供給時には、前記フライトバーによる上記上引き構造の態様で搬送された前記下層アスファルト合材を開状態の前記上側下層ゲートから戻りのチェーンコンベヤにおける各フライトバー間の間隙及び開状態の前記下側下層ゲートを介して前記下層ホッパに落下させることを特徴とする請求項1又は2記載の合材の漏れ止め及び堆積防止構造を持つチャージングフィーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−12784(P2012−12784A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147752(P2010−147752)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【出願人】(000208204)大林道路株式会社 (31)
【出願人】(000194516)世紀東急工業株式会社 (17)
【出願人】(390002185)大成ロテック株式会社 (90)
【出願人】(390019998)東亜道路工業株式会社 (42)
【出願人】(000239437)福田道路株式会社 (24)
【出願人】(000201515)前田道路株式会社 (61)
【Fターム(参考)】