説明

同心モーター発電駆動システム

【課題】シリーズ型ハイブリッド車両では発電機、電動機異なる場所に配置するのが一般的で、そのため重量がかさみ、燃費の悪化につながることから、発電機及び電動機を一体化することが望まれる。
【解決手段】第1および第2対向面20,21と、向かい合う端部において第1および第2対向面に固定されて第1および第2対向面の間に第1内部23を画定する第1側壁22と、第1および第2対向面の1つに固定されて第1内部内に第2内部25を画定する第2側壁24を含むハブ11と、第2内部内に配置され、入力された機械的エネルギーから電流を生成する第1アセンブリ12と、第1アセンブリに電気的に接続されて第1内部内に配置され、第1アセンブリにより生成された電流に関連付けられている電流から機械的エネルギーを生成する第2アセンブリ13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで開示される主題は、同心モーター発電駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの車両において、特にハイブリッド車両においては、動力伝達システムが、エンジンにおいて生成された機械的エネルギーを、蓄積するかまたは駆動用に使用する機械エネルギーに変換しなおすことができる電気エネルギーに変換するために使用されている。これらの動力伝達システムは、エンジンに回転可能に結合されている駆動シャフトにより駆動されて回転する発電機回転子と、回転子の回転を電気エネルギーに変換する発電機固定子を含むことがよくある。この電気エネルギーは、バッテリーにより蓄積されるか、または駆動固定子に伝達されて、次に例えば車両車輪に結合される駆動回転子の回転を誘起する。
【0003】
一般的に、従来の動力伝達システムにおいては、発電機要素と駆動要素は一緒には搭載されず、実際は、車両の異なる部分に配置されることがある。そのため、そのような車両においては、相対的に重量がありかつ複雑な装置にこれらの機能を分離して搭載する必要がある。これは、車両自身が相対的に重くなり、そうでないときに比べて、より燃費が悪くなるということにつながる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの形態によれば、第1および第2対向面と、向かい合った端部において第1および第2対向面に固定されて第1および第2対向面の間に第1内部を画定する第1側壁と、第1および第2対向面の1つに固定されて第1内部内に第2内部を画定する第2側壁とを有するハブと、第2内部内に配置され、入力された機械的エネルギーから電流を生成する第1アセンブリと、第1アセンブリに電気的に結合されて第1内部内に配置され、第1アセンブリにより生成された電流に関連付けられている電流から機械的エネルギーを生成する第2アセンブリと、を含む装置が提供される。
【0005】
本発明の他の形態によれば、第1および第2対向面と、向かい合った端部において第1および第2対向面に固定されて第1および第2対向面の間に第1内部を画定する第1側壁と、第1および第2対向面の1つに固定されて第1内部内に第2内部を画定する第2側壁とを有するハブと、第2内部内に配置され、入力された機械的エネルギーから電流を生成する第1アセンブリと、第1アセンブリに電気的に結合されて第1内部内に配置され、第1アセンブリにより生成された電流に関連付けられている電流から機械的エネルギーを生成する第2アセンブリと、第1および第2アセンブルの間に電気的に介在され、生成された電流から電気エネルギーを取得するエネルギー取得回路と、を含む装置が提供される。
【0006】
本発明の更に他の形態によれば、第1および第2対向面と、向かい合った端部において第1および第2対向面に固定されて第1および第2対向面の間に第1内部を画定する第1側壁と、第1および第2対向面の1つに固定されて第1内部内に第2内部を画定する第2側壁とを有するハブと、第2内部内に配置され、入力された機械的エネルギーから電流を生成する第1アセンブリと、第1アセンブリに電気的に結合されて第1内部内に配置され、第1アセンブリにより生成された電流に関連付けられている電流から機械的エネルギーを生成する第2アセンブリと、第1および第2アセンブリを、入力された機械的エネルギーが第1アセンブリから第2アセンブリに転送されるように機械的に結合する結合器と、を含む装置が提供される。
【0007】
これら利点と特徴や他の利点と特徴は、図と併せて下記の記載から、より明白になるであろう。
【0008】
本発明として見なされる主題は、本明細書の結論部における請求項において特別に指摘され明確に請求される。本発明の上記の特徴と利点や他の特徴と利点は、付随する図面と併せて下記の詳細な記載から明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】同心モーター発電駆動システム装置の透視図である。
【0010】
【図2】図1の線2−2に沿った、同心モーター発電駆動システム装置の図である。
【0011】
【図3】同心モーター発電駆動システム装置の概略回路図である。
【0012】
【図4】同心モーター発電駆動システム装置の更なる実施の形態の概略回路図である。
【0013】
【図5】同心モーター発電駆動システム装置の更なる実施の形態の概略回路図である。
【0014】
本発明の実施の形態を、その利点と特徴と共に、図を参照して、詳細な記載により、例として説明する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜3を参照すると、同心モーター発電駆動システム装置10が設けられている。装置10は、ハブ11と、第1アセンブリ12と、第2アセンブリ13を含む。ハブ11は、第1および第2対向面20、21と、その向かい合った端部において第1および第2対向面20、21に固定されて第1および第2対向面20、21の間に第1内部23を画定する第1側壁22と、第2側壁24を含む。第2側壁24は、第1および第2対向面20、21の1つに固定されて第1内部23内に第2内部25を画定する。従って、ハブ11はハウジングであってよく、エンジン、駆動力生成装置、または何か類似のタイプの搭載機構に堅く取り付けられていてよい。
【0016】
第1アセンブリ12は第2内部25内に配置され、入力された機械的エネルギーから電流を生成するように構成されている。対照的に、第1アセンブリ12に電気的に結合されている第2アセンブリ13は、全体的に第2側壁24を取り囲んでいる第1内部23内に配置され、第1アセンブリ12により生成された電流に関連付けられている電流から機械的エネルギーを生成するように構成されている。
【0017】
実施の形態に応じて、第1および第2側壁22と24はそれぞれ、ほぼ円筒形であってよく、ある場合には、お互いにほぼ同心であってよい。第1および第2アセンブリ12と13もまた、お互いにほぼ同心であってよいが、第2アセンブリ13の一部は、第1アセンブリ12の対応する部分から軸方向に変位されていてもよい。例えば、第2側壁24が第1対向面20に固定されている場合は、第2対向面21に対応する第2アセンブリ13の端部が、第1アセンブリ12の対応する端部から軸方向に突出している。
【0018】
上述した装置では、第1および第2アセンブリ12と13はそれぞれ、回転子/固定子アセンブリを含むことができる。例えば、第1アセンブリ12は、第2側壁24に固定的に接続されている発電機固定子30と、発電機固定子30により画定されている中心領域内に動作可能に配置されている外部従動発電機回転子31を含むことができる。発電機回転子31の回転は、発電機固定子30において電流を誘起する。装置10が車両に設置される場合には、装置10は、駆動力生成装置シャフト41により発電機回転子31を回転駆動する、エンジンのような駆動力生成装置40を更に含むことができる。更なる実施の形態によれば、第1および第2アセンブリ12と13はそれぞれ、例えば、種々の発達段階の回転子/固定子アセンブリを含むことができ、そしてこのような方法で、追加的駆動力、および/またはギヤシフトに等価な、駆動力の段階的な増加を提供することができるということは理解されよう。
【0019】
第2アセンブリ13は、第1側壁22に固定的に接続されている駆動固定子50と、駆動回転子51を含むことができる。駆動回転子51は、駆動固定子50により画定される中心領域内に操作可能に配置されている。そのため、駆動固定子50に加えられる電流は、駆動回転子51の回転を誘起する。駆動回転子51の回転は、速度/トルク変調を必要とする駆動可能装置や装置10が車両に設置されている場合の車輪のような外部機械部品60を、駆動シャフト61を介して駆動する。駆動固定子50に加えられる電流は、第1アセンブリ12により生成された電流と関連付けられている電流であってよい。
【0020】
図3に示されているように、装置10は更に、第1インバータ70と第2インバータ71を含む。第1インバータ70は第1アセンブリ12に電気的に結合されて、上述したように第1アセンブリ12により生成された交流電流(AC)を、直流電流(DC)に変換する。第2インバータ71は、第1インバータ70と第2アセンブリ13の間に電気的に介在され、第1インバータ70により生成された直流電流を、第2アセンブリ13の駆動動作に使用できる交流電流に変換しなおす。更なる実施の形態によれば、第1および第2インバータ70、71により提供される制御は、電流(ACまたはDC)の大きさと周波数のいずれか、または両者に影響を与えることができる。
【0021】
つまり、上記の例においては、駆動力生成装置40が駆動力生成装置シャフト41を回転させるとき、駆動力生成装置シャフト41の回転は発電機回転子31を回転駆動する。発電機回転子31の回転は、発電機固定子30において交流電流を誘起する。発電機固定子30に電気的に接続されている第1インバータ70により、この交流電流は直流電流に変換され、この直流電流は、第2インバータ71により変換されて交流電流に戻される。第2インバータ71に電気的に接続されている駆動固定子50により、この交流電流は駆動固定子50に加えられて駆動回転子51の回転を引き起こす。駆動回転子51の回転の機械的エネルギーは、その後駆動シャフト61を介して機械部品60に転送される。
【0022】
更なる実施の形態によれば、図4を参照して、装置10は、エネルギー取得回路80を更に含むことができる。エネルギー取得回路80は、第1および第2アセンブリ12と13の間に電気的に介在され、少なくとも第1アセンブリ12において生成された電流から電気エネルギーを取得するように構成されている。エネルギー取得回路80は、上述したように第1インバータ70と、上述したように第2インバータ71と、バッテリーまたはウルトラキャパシタのような蓄積装置81を含む。蓄積装置81は、第1および第2インバータ70,71と直列に配置されて、第1および第2インバータ70、71がどちらの方向に指示されたかによって、第1インバータ70または第2インバータ71の出力から得られた電気エネルギーを蓄積する。このように、一方のインバータを蓄積装置81の充電用に使用する一方、他方を駆動力用に使用することができ、または両者を充電または駆動用に使用してよい。
【0023】
通常の動作中、駆動力は駆動力生成装置40から、第1アセンブリ12と、第1および第2インバータ70、71と、エネルギー取得回路80と、第2アセンブリ13を通して、機械部品60に流れる。しかし、駆動力生成装置40の起動中は、第1インバータ70の極性は既知の方法に従って反転でき、それにより駆動力は蓄積装置81から駆動力生成装置40に流れる。この場合、蓄積装置81に蓄積された電気は第1インバータ70に伝達され、そこで直流電流から交流電流に変換される。その後、交流電流は発電機固定子30に伝達されて発電機回転子31を回転させる。発電機回転子31の回転は駆動力発生装置40を起動または起動支援する。更に、下り坂運転のようなある運転条件の間は、蓄積装置81は第2アセンブリ13から動力を受け取ることができる。この場合、第2インバータ71の極性は反転可能で、機械部品(ドライブシャフト)61の機械的エネルギーは、第2アセンブリ13により交流電流に変換可能で、その後第2インバータ71により直流電流に変換可能である。この直流電流は蓄積装置81に入力できる。
【0024】
更なる実施の形態によれば、図5を参照して、装置10は、図4を参照して上述したように、エネルギー取得回路80を更に含むことができ、それにより蓄積装置81の充電が可能であり、そして結合器90を含むことができる。結合器90は、入力された機械的エネルギーの少なくとも一部が第1アセンブリ12から第2アセンブリ13に転送されるように第1および第2アセンブリ12と13を機械的に結合する。この目的のため、結合器90は、第1および第2アセンブリ12と13にそれぞれ結合されるクラッチ91を含むことができる。これらの更なる実施の形態においては、相対的に高速の走行の間は、駆動力を第1アセンブリ12から直接第2アセンブリ13に転送する機能は装置10の効率を高める。
【0025】
本発明を、単に限られた数の実施の形態との関連において詳細に記述したが、本発明はそれらの開示された実施の形態に限定されないということは容易に理解されよう。むしろ、本発明は、これまで記述されなかったが本発明の精神および範囲からは逸脱していない、任意の数の変形、変更、置換、または等価な配置を組み込むように変形可能である。更に、本発明の種々の実施の形態が記述されたが、本発明の形態は、上述した実施の形態のいくつかのみを含むものであってもよいということは理解されるべきである。従って、本発明は、上述した記載に限定されると考えてはならず、付随する請求項の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2対向面と、向かい合った端部において前記第1および第2対向面に固定されて前記第1および第2対向面の間に第1内部を画定する第1側壁と、前記第1および第2対向面の1つに固定されて前記第1内部内に第2内部を画定する第2側壁とを含むハブと、
前記第2内部内に配置され、入力された機械的エネルギーから電流を生成する第1アセンブリと、
前記第1アセンブリに電気的に接続されて前記第1内部内に配置され、前記第1アセンブリにより生成された前記電流に関連付けられている電流から機械的エネルギーを生成する第2アセンブリと、を備える装置。
【請求項2】
前記第1および第2側壁はそれぞれほぼ円筒形である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1および第2側壁はほぼ同心である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1および第2アセンブリはほぼ同心ある、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1および第2アセンブリはそれぞれ回転子/固定子アセンブリを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1アセンブリは、
前記第2側壁に固定されている発電機固定子と、
外部から駆動される発電機回転子であって、発電機回転子の回転が前記発電機固定子において電流を誘起するように前記発電機固定子内に動作可能に配置される発電機回転子を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記発電機回転子を回転駆動する駆動力生成装置を更に備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2アセンブリが、
前記第1側壁に固定されている駆動固定子と、
外部機械部品を駆動する駆動回転子であって、前記駆動固定子に加えられる電流が前記駆動回転子の回転を誘起するように前記駆動固定子内に動作可能に配置される駆動回転子を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1アセンブリにより生成された前記電流に関連付けられている前記電流は前記駆動固定子に加えられる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記外部機械部品は速度/トルク変調を必要とする駆動可能装置を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第1アセンブリに電気的に結合され、前記第1アセンブリにより生成された交流電流を直流電流に変換する第1インバータと、
前記第1インバータと前記第2アセンブリの間に電気的に介在され、前記直流電流を交流電流に変換する第2インバータを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
第1および第2対向面と、向かい合った端部において前記第1および第2対向面に固定されて前記第1および第2対向面の間に第1内部を画定する第1側壁と、前記第1および第2対向面の1つに固定されて前記第1内部内に第2内部を画定する第2側壁を含むハブと、
前記第2内部内に配置され、入力された機械的エネルギーから電流を生成する第1アセンブリと、
前記第1アセンブリに電気的に結合されて前記第1内部内に配置され、前記第1アセンブリにより生成された前記電流に関連付けられている電流から機械的エネルギーを生成する第2アセンブリと、
前記第1および第2アセンブリの間に電気的に介在され、前記生成された電流から電気エネルギー取得するエネルギー取得回路と、を備える装置。
【請求項13】
前記エネルギー取得回路は、
前記第1アセンブリに電気的に結合され、前記第1アセンブリにより生成された交流電流を直流電流に変換する第1インバータと、
前記第1インバータと前記第2アセンブリの間に電気的に介在され、前記直流電流を交流電流に変換する第2インバータと、
前記第2インバータに平行に配置されて前記第1インバータの出力から得られた電気エネルギーを蓄積する蓄積装置を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記蓄積装置はバッテリーを備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記バッテリーは、駆動力発生装置の起動を可能にし、予備駆動力を供給するように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記バッテリーは、所定の条件の間は前記第2アセンブリから動力を受け入れ可能である、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
第1および第2対向面と、向かい合った端部において前記第1および第2対向面に固定されて前記第1および第2対向面の間に第1内部を画定する第1側壁と、前記第1および第2対向面の1つに固定されて前記第1内部内に第2内部を画定する第2側壁を含むハブと、
前記第2内部内に配置され、入力された機械的エネルギーから電流を生成する第1アセンブリと、
前記第1アセンブリに電気的に接続されて前記第1内部内に配置され、前記第1アセンブリにより生成された前記電流に関連付けられている電流から機械的エネルギーを生成する第2アセンブリと、
前記第1および第2アセンブリを、前記入力された機械的エネルギーが前記第1アセンブリから前記第2アセンブリに転送されるように機械的に結合する結合器と、を備える装置。
【請求項18】
前記結合器は前記第1および第2アセンブリにそれぞれ結合されているクラッチを備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1および第2アセンブリの間に電気的に介在され、前記生成された電流から電気エネルギーを取得するエネルギー取得回路を更に備える、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記入力された機械的エネルギーとして駆動力を提供する駆動力生成装置と、
前記第2アセンブリにより生成された前記機械的エネルギーにより駆動される、速度/トルク変調を必要とする駆動可能装置と、を更に備え、
前記駆動力は、前記結合器により、前記第1アセンブリから前記第2アセンブリに転送される、請求項17に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−115131(P2012−115131A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−234843(P2011−234843)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(511259382)レミーテクノロジーズ リミティッド ライアビリティー カンパニー (2)
【Fターム(参考)】