説明

向上した色安定性を有する吸水性ポリマー構造体

【解決課題】色安定性を向上させる。
【解決手段】吸水性ポリマー構造体の製造方法であって、
i)(α1)重合性モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー又はその塩と、(α2)必要に応じて前記モノマー(α1)と重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーと、(α3)必要に応じて架橋剤と、を含むモノマー水溶液を用意する工程と、ii)前記モノマー水溶液のフリーラジカル重合によってポリマーゲルを得る工程と、iii)必要に応じて前記ポリマーゲルを粉砕する工程と、iv)必要に応じて粉砕された前記ポリマーゲルを乾燥して吸水性ポリマー構造体を得る工程と、v)必要に応じて前記吸水性ポリマー構造体を粉砕及び篩い分けする工程と、vi)必要に応じて粉砕及び篩い分けされた前記吸水性ポリマー構造体を表面後架橋する工程と、を含み、スルホナート、スルホナート塩又はスルホナートとスルホナート塩の混合物を含む還元剤を、I)前記工程ii)の実施前又は実施中に前記モノマー水溶液に添加するか、II)前記工程ii)の実施後に前記ポリマーゲルに添加するか、III)前記工程iii)の実施後に必要に応じて粉砕された前記ポリマーゲルに添加するか、IV)前記工程iv)の実施後に前記吸水性ポリマー構造体に添加するか、V)前記工程v)の実施後に前記吸水性ポリマー構造体に添加するか、VI)前記工程vi)の実施後に前記吸水性ポリマー構造体に添加することを特徴とする方法に関する。また、本発明は、本発明の方法によって得られる吸水性ポリマー構造体、吸水性ポリマー構造体、複合体、複合体の製造方法、本発明の方法によって得られる複合体、発泡体、成形品、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用担体、包装材料、土壌添加剤又は建設材料等の化学製品及び吸水性ポリマー構造体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性ポリマー構造体の製造方法に関する。また、本発明は、本発明の方法によって得られる吸水性ポリマー構造体、吸水性ポリマー構造体、複合体、複合体の製造方法、本発明の方法によって得られる複合体、発泡体、成形品、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用担体、包装材料、土壌添加剤又は建設材料等の化学製品及び吸水性ポリマー構造体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
超吸収体は、膨潤してヒドロゲルを形成することにより、大量の水、水性液体、特に体液、好ましくは尿又は血液を吸収し、圧力下で保持することができる非水溶性架橋ポリマーである。超吸収体は、好ましくは超吸収体の重量の少なくとも100倍の重量の水を吸収する。超吸収体のさらなる詳細は、F.L.Buchholz及びA.T.Graham、「現代の超吸収性ポリマー技術(Modern Superabsorbent Polymer Technology)」、Wiley−VCH、1998年に記載されている。このような特性のために、吸水性ポリマーは、おむつ、失禁用品又は生理用ナプキン等の衛生用品に主として使用されている。
【0003】
現在市販されている超吸収体は、実質的に架橋ポリアクリル酸又は架橋澱粉−アクリル酸グラフトポリマーからなり、カルボキシル基の一部が水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液によって中和されている。これらのポリマーは、適当な架橋剤の存在下でアクリル酸モノマー又はその塩をフリーラジカル重合することによって得られる。この場合、溶液重合、乳化重合又は懸濁重合等の様々な重合方法を使用することができる。これらの重合方法によって150〜850μmの粒径を有する粒子状の吸水性ポリマーを得、衛生用品に導入する。
【0004】
しかしながら、そのような超吸収体は比較的長期の保管時に変色する傾向がある。また、超吸収体のきれいな白色が明るい茶色に変色する傾向があり、保管期間が長期にわたり、温度と湿度が上昇すると変色が急速に進行する。米国や欧州における温度・気候条件下では超吸収体の変色速度は遅く、肉眼で検出できるような変色が発生する前に超吸収体又は超吸収体を含む製品は使用済みとなる。しかし、南米や東南アジアなどの熱帯又は亜熱帯では超吸収体の変色は急速に進行し、超吸収体又は超吸収体を含む製品が使用される前であっても変色が発生する。
【0005】
フリーラジカル重合に使用され、ポリマー中に残留するアスコルビン酸やペルオキソ二硫酸ナトリウム等の重合開始剤及び自発重合を防止するために使用されるヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)等のアクリル酸に通常含まれる重合禁止剤が主として超吸収体の変色を引き起こす。
【0006】
超吸収体の色安定性を向上させるために、国際公開第WO2004/084962号は、過硫酸塩を含む従来の開始剤系の代わりにスルフィナート又はスルフィナート塩をモノマー溶液に添加することを提案している。具体的には、国際公開第WO2004/084962号では、Bruggemann Chemical社(ドイツ・ハイルブロン)から市販されているBRUGGOLITE(登録商標)FF6(2−ヒドロキシ−2−スルフィナート酢酸二ナトリウム塩、亜硫酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−2−スルホナート酢酸二ナトリウム塩の混合物)及びBRUGGOLITE(登録商標)FF7(純粋な2−ヒドロキシ−2−スルフィナート酢酸を含有)を開始剤系としてモノマー溶液に添加している。
【0007】
しかし、国際公開第WO2004/084962号に開示された色安定性を向上させるための方法は、開始剤系として使用するスルフィナート又はスルフィナート、スルホナート、亜硫酸塩の混合物が一定の条件下では従来の過酸化物と比較してフリーラジカル重合の開始剤として劣るという欠点がある。従って、色安定性の向上は、重合反応ひいては重合反応によって得られるポリマーの吸収特性を犠牲にすることによって得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第WO2004/084962号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術によって生じる欠点を克服することにある。
【0010】
特に、本発明の目的は、向上した色安定性と良好な臭気安定性を有する吸水性ポリマー構造体の製造方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、従来の有利な開始剤系を使用することが可能な、向上した色安定性を有する吸水性ポリマー構造体の製造方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、向上した色安定性を有しながらも従来のポリマーと同等以上の吸収特性を有する吸水性ポリマー構造体を提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の目的は、従来の衛生用品と比較して向上した色安定性を有すると共に良好な臭気安定性及び良好な使用特性を有する複合体、例えば衛生用品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、吸水性ポリマー構造体の製造方法であって、
i)(α1)重合性モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー又はその塩又は重合性モノエチレン性不飽和プロトン化又は第4級化窒素含有モノマー又はそれらのモノマーの混合物(特に好ましくは重合性モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー、最も好ましくはアクリル酸)と、(α2)必要に応じて前記モノマー(α1)と重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーと、(α3)必要に応じて架橋剤と、を含むモノマー水溶液を用意する工程と、
ii)前記モノマー水溶液のフリーラジカル重合によってポリマーゲルを得る工程と、
iii)必要に応じて前記ポリマーゲルを粉砕する工程と、
iv)必要に応じて粉砕された前記ポリマーゲルを乾燥して吸水性ポリマー構造体を得る工程と、
v)必要に応じて前記吸水性ポリマー構造体を粉砕及び篩い分けする工程と、
vi)必要に応じて粉砕及び篩い分けされた前記吸水性ポリマー構造体を表面後架橋する工程と、
を含み、
スルホナート、スルホナート塩又はスルホナートとスルホナート塩の混合物を含む還元剤を、
I)前記工程ii)の実施前又は実施中に前記モノマー水溶液に添加するか、
II)前記工程ii)の実施後に前記ポリマーゲルに添加するか、
III)前記工程iii)の実施後に必要に応じて粉砕された前記ポリマーゲルに添加するか、
IV)前記工程iv)の実施後に前記吸水性ポリマー構造体に添加するか、
V)前記工程v)の実施後に前記吸水性ポリマー構造体に添加するか、
VI)前記工程vi)の実施後に前記吸水性ポリマー構造体に添加し、
特に好ましくは、前記工程iv)又は前記工程v)の実施後であって、前記工程vi)の実施前に前記吸水性ポリマー構造体に添加する方法によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る好ましいポリマー構造体は、繊維、発泡体又は粒子であり、繊維及び粒子が好ましく、粒子が特に好ましい。
【0016】
本発明に係る好ましいポリマー繊維は、織糸として織物に織り込むか、織物に直接織り込むことができる寸法を有する。本発明では、ポリマー繊維は、1〜500mm、好ましくは2〜500mm、特に好ましくは5〜100mmの長さを有し、1〜200デニール、好ましくは3〜100デニール、特に好ましくは5〜60デニールの直径を有することが好ましい。
【0017】
本発明に係る好ましいポリマー粒子は、10〜3,000μm、好ましくは20〜2,000μm、特に好ましくは150〜850μmのERT420.2−02に準拠して測定した平均粒径を有する。この場合、300〜600μmの粒径を有するポリマー粒子の含有量は、後架橋された吸水性ポリマー粒子の総重量の少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%であることが特に好ましい。
【0018】
本発明に係る方法の一実施形態では、ポリマー粒子は、150〜710μm、特に好ましくは150〜600μmのERT420.2−02に準拠して測定した平均粒径を有する。
【0019】
本発明に係る方法の工程i)では、モノマー水溶液を用意する。
【0020】
モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、部分的又は完全に、好ましくは部分的に中和されていてもよい。好ましくは、モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーは、少なくとも25モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは50〜80モル%が中和されていることが好ましい。モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーについては、ドイツ特許出願公開第195 29 348 A1号を参照する。ドイツ特許出願公開第195 29 348 A1号の開示内容は、この参照によって本願明細書に援用する。中和は、重合後に部分的又は完全に行うこともできる。中和は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩を使用して行うことができる。酸と共に水溶性塩を生成する塩基も使用することができる。異なる塩基による中和も可能である。アンモニア及びアルカリ金属水酸化物を使用した中和が好ましく、水酸化ナトリウム及びアンモニアを使用した中和が特に好ましい。
【0021】
本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体には遊離酸基が多く含まれるため、ポリマーは酸性領域のpHを有する。酸性の吸水性ポリマー構造体は、遊離塩基性基、好ましくはアミン基を含有し、酸性ポリマー構造体と比較して塩基性であるポリマー構造体によって少なくとも部分的に中和されていてもよい。これらのポリマー構造体は、「混合床イオン交換吸収性ポリマー(MBIEAポリマー)」として文献に記載されており、特に国際公開第99/34843 A1号に開示されている。国際公開第WO99/34843 A1号の開示内容は、この参照によって本願明細書に援用する。通常、MBIEAポリマーは、アニオンを交換できる塩基性ポリマー構造体と、塩基性ポリマー構造体と比較して酸性であり、カチオンを交換できるポリマー構造体とからなる組成物である。塩基性ポリマー構造体は塩基性基を含み、通常は塩基性基又は塩基性基に変換することができる基を有するモノマー(α1)を重合することによって得られる。これらのモノマーは、第一アミン、第二アミン、又は第三アミン又は対応するホスフィン又はこれらの官能基の少なくとも2つを含有する。これらのモノマーとしては、特に、エチレンアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、4−アミノブテン、アルキルオキシシクリン、ビニルホルムアミド、5−アミノペンテン、カルボジイミド、ホルマールダシン、メラミン、それらの第二又は第三アミン誘導体が挙げられる。
【0022】
好ましいモノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、国際公開第2004/037903 A2号においてエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)として記載されている化合物である。国際公開第2004/037903 A2号の開示内容は、この参照によって本願明細書に援用する。特に好ましいモノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)はアクリル酸及びメタクリル酸であり、アクリル酸が最も好ましい。
【0023】
モノマー(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、アクリルアミド、メタクリルアミド又はビニルアミドを使用することができる。
【0024】
アクリルアミド及びメタクリルアミド以外の好ましい(メタ)アクリルアミドは、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル置換(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリルアミドのアミノアルキル置換誘導体である。ビニルアミドとしては、例えば、N−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルピロリドンが挙げられる。これらのモノマーのうち、アクリルアミドが特に好ましい。
【0025】
モノマー(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、水溶性モノマーを使用することもできる。水溶性モノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレンオキシド(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0026】
モノマー(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、水分散性モノマーを使用することもできる。好ましい水分散性モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリレート及び(メタ)アクリレートである。
【0027】
モノマー(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、メチルポリエチレングリコールアリルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、イソブチレンも挙げられる。
【0028】
架橋剤(α3)の化合物としては、好ましくは国際公開第2004/037903 A2号に架橋剤(α3)として記載されている化合物を使用する。これらの架橋剤のうち、水溶性架橋剤が特に好ましい。水溶性架橋剤としては、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、アクリル酸1モル当たり9モルのエチレンオキシドを使用して得られたアリルノナエチレングリコールアクリレートが最も好ましい。
【0029】
モノマー(α1)及び必要に応じて使用されるモノマー(α2)及び架橋剤(α3)以外に、モノマー溶液は水溶性ポリマー(α4)を含むことができる。好ましい水溶性ポリマー(α4)としては、部分的又は完全にケン化されたポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉、澱粉誘導体、ポリグリコール、ポリアクリル酸が挙げられる。これらのポリマーの分子量は、ポリマーが水溶性であれば限定されない。好ましい水溶性ポリマー(α4)は、澱粉、澱粉誘導体又はポリビニルアルコールである。水溶性ポリマー(α4)、好ましくはポリビニルアルコールなどの合成ポリマーは、重合させるモノマーのグラフト基材としても使用することができる。これらの水溶性ポリマーは、ポリマーゲル又は重合後に乾燥した吸水性ポリマーゲルに混合することができる。
【0030】
モノマー溶液は補助物質(α5)をさらに含むことができる。補助物質としては、重合に必要となる場合がある開始剤、EDTA等の錯化剤、熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーを含有する分散液が挙げられる。
【0031】
モノマー溶液のための溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合物が挙げられ、特に重合の性質と方法に応じて溶媒を選択する。
【0032】
モノマー溶液におけるモノマー(α1)及び(α2)、架橋剤(α3)、水溶性ポリマー(α4)、補助物質(α5)の相対的な量は、工程iv)で得られる吸水性ポリマー構造体が乾燥後に以下の成分からなるように選択する。
・20〜99.999重量%、好ましくは55〜98.99重量%、特に好ましくは70〜98.79重量%のモノマー(α1)
・0〜80重量%、好ましくは0〜44.99重量%、特に好ましくは0.1〜44.89重量%のモノマー(α2)
・0〜5重量%、好ましくは0.001〜3重量%、特に好ましくは0.01〜2.5重量%の架橋剤(α3)
・0〜30重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の水溶性ポリマー(α4)
・0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0.1〜8重量%の補助物質(α5)
・0.5〜25重量%、好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは3〜7重量%の水(α6)(成分(α1)〜(α6)の総量は100重量%である。)
【0033】
モノマー溶液におけるモノマー、架橋剤、水溶性ポリマーの濃度の最適値は、簡単な予備実験又は、米国特許第4,286,082号、ドイツ特許第27 06 135 A1号、米国特許第4,076,663号、ドイツ特許第35 03 458 A1号、ドイツ特許第40 20 780 C1号、ドイツ特許第42 44 548 A1号、ドイツ特許第43 33 056 A1号、ドイツ特許第44 18 818 A1号に記載された方法で決定することができる。
【0034】
本発明に係る方法の工程ii)では、工程i)で得られたモノマー水溶液のフリーラジカル重合によってポリマーゲルを得る。原則として、当業者に公知のあらゆる重合方法を使用することができる。重合方法としては、例えば、好ましくは押出機等の混錬反応器内で行う塊状重合、溶液重合、噴霧重合、逆乳化重合、逆懸濁重合が挙げられる。
【0035】
溶液重合は、好ましくは水を溶媒として使用して行う。溶液重合は連続的又は非連続的に行うことができる。開始剤及び反応溶液の温度、種類、量等の反応条件に関しては、従来技術において様々な条件が知られている。典型的な方法は、米国特許第4,286,082号、ドイツ特許第27 06 135 A1号、米国特許第4,076,663号、ドイツ特許第35 03 458 A1号、ドイツ特許第40 20 780 C1号、ドイツ特許第42 44 548 A1号、ドイツ特許第43 33 056 A1号、ドイツ特許第44 18 818 A1号に記載されている。これらの文献の開示内容は、この参照によって本願明細書に援用する。
【0036】
通常、重合は開始剤によって開始させる。重合を開始させるための開始剤としては、重合条件下でフリーラジカルを生成し、従来から超吸収体の製造に使用されている開始剤を使用することができる。また、重合性水性混合物に対する電子線の作用によって重合を開始させることもできる。また、上述した開始剤を使用せずに、光開始剤の存在下における高エネルギー放射線の作用によって重合を開始させることもできる。重合開始剤は、本発明に係るモノマー溶液に溶解又は分散させることができる。開始剤としては、フリーラジカルに解離する当業者に公知の化合物が挙げられる。特に、国際公開第WO2004/037903 A2号に開始剤として記載されている開始剤が挙げられる。
【0037】
特に好ましくは、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、アスコルビン酸を含むレドックス系を吸水性ポリマー構造体を製造するために使用する。ここで、モノマー溶液の総重量に対して、300ppmを超える過硫酸塩、特に好ましくは300ppmを超えるペルオキソ二硫酸ナトリウムをモノマー溶液に添加することが特に好ましい。
【0038】
本発明に係る方法では、逆懸濁重合及び乳化重合を使用することもできる。これらの方法では、保護コロイド及び/又は乳化剤を使用し、必要に応じて水溶性ポリマー(α4)及び補助物質(α5)を含むモノマー(α1)及び(α2)の部分的に中和された水溶液を疎水性有機溶媒中に分散させ、フリーラジカル開始剤によって重合を開始させる。架橋剤(α3)は、モノマー溶液に溶解するか、モノマー溶液と共に添加するか、重合時に必要に応じて個別に添加する。グラフト基材としての水溶性ポリマー(α4)は、必要に応じてモノマー溶液に添加するか、油相に直接添加する。次に、水を混合物から共沸除去し、ポリマーを濾別する。
【0039】
溶液重合、逆懸濁重合、乳化重合のいずれの場合にも、モノマー溶液に溶解した多官能架橋剤(α3)内での重合及び/又は重合工程時における適当な架橋剤とポリマーの官能基との反応によって架橋を行うことができる。このプロセスは、例えば米国特許第4,340,706号、ドイツ特許第37 13 601 A1号、ドイツ特許第28 40 010 A1号、国際公開第WO96/05234 A1号に記載されている。これらの文献の対応する開示内容は、この参照によって本願明細書に援用する。
【0040】
本発明に係る方法の工程iii)では、工程ii)で得られたポリマーゲルを必要に応じて粉砕する。粉砕は、溶液重合によって重合を行った場合に行う。粉砕は公知の粉砕装置(例えば肉挽機(mincing machine))を使用して行う。
【0041】
本発明に係る方法の工程iv)では、必要に応じて粉砕したポリマーゲルを乾燥する。ポリマーゲルの乾燥は、適当な乾燥機又はオーブン内で行うことが好ましい。例えば、回転式チューブ炉、流動床乾燥機、プレート乾燥機、パドル乾燥機、赤外線乾燥機が例として挙げられる。本発明では、工程iv)におけるポリマーゲルの乾燥は、水分が0.5〜25重量%、好ましくは1〜10重量%となるまで行うことが好ましく、乾燥温度は通常100〜200℃である。
【0042】
本発明に係る方法の工程v)では、工程iv)で得られた吸水性ポリマー構造体を必要に応じて粉砕し(特に吸水性ポリマー構造体を溶液重合によって得た場合)、上述した所望の粒径に篩い分ける。乾燥した吸水性ポリマー構造体の粉砕は、ボールミル等の適当な機械的粉砕装置内で行うことが好ましい。また、篩い分けは例えば適当な網目幅の篩を使用して行うことができる。
【0043】
本発明に係る方法の工程vi)では、必要に応じて粉砕し、篩い分けた吸水性ポリマー構造体を表面後架橋させる。表面後架橋では、乾燥し、必要に応じて粉砕し、篩い分けた工程iv)又はv)で得られた吸水性ポリマー構造体又は乾燥しておらず、好ましくは粉砕した工程ii)又はiii)で得られたポリマーゲルを好ましくは有機化学表面後架橋剤と接触させる。特に、後架橋剤が後架橋条件において液体ではない場合には、後架橋剤を後架橋剤と溶媒を含む流体Fとして吸水性ポリマー構造体又はポリマーゲルに接触させることが好ましい。溶媒としては、水、水混和性有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール)又はそれらの少なくとも2種の混合物を使用することが好ましく、水が溶媒として最も好ましい。流体Fは、流体Fの総重量に対して、5〜75重量%、特に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは15〜40重量%の量で後架橋剤を含むことが好ましい。
【0044】
本発明に係る方法では、吸水性ポリマー構造体又は必要に応じて粉砕したポリマーゲルと後架橋剤を含む流体Fとの接触は、流体Fをポリマー構造体又はポリマーゲルと十分に混合することによって行う。
【0045】
流体Fを塗布するための適当なミキサーとしては、パターソン・ケリー(Patterson−Kelley)ミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジ(Lodige)ミキサー、ルベルク(Ruberg)ミキサー、スクリューミキサー、パンミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高周波でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージ(Schugi)ミキサー)を挙げることができる。
【0046】
本発明に係る方法では、後架橋時に、ポリマー構造体又はポリマーゲルを、20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下の溶媒(好ましくは水)と接触させることが好ましい。
【0047】
本発明では、好ましくは球状粒子であるポリマー構造体を使用する場合には、粒子状ポリマー構造体の外部領域のみを後架橋剤又は流体Fと接触させることが好ましい。
【0048】
本発明に係る方法で使用される後架橋剤としては、縮合反応(=縮合架橋剤)、付加反応又は開環反応によってポリマー構造体の官能基と反応することができる官能基を少なくとも2つ有する化合物が好ましい。本発明に係る方法において好ましい後架橋剤は、国際公開第WO2004/037903 A2号に架橋剤IIとして記載されている化合物である。
【0049】
これらの化合物のうち、後架橋剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オン等の縮合後架橋剤が特に好ましい。
【0050】
後架橋剤又は後架橋剤を含む流体Fと接触させたポリマー構造体又はポリマーゲルは、50〜300℃、好ましくは75〜275℃、特に好ましくは150〜250℃の範囲で加熱し、好ましくはポリマー構造体の外部領域を内部領域よりも高度に架橋させる(後架橋)。ポリマーゲルを使用する場合には、後架橋と同時にポリマーゲルを乾燥する。加熱時間は、ポリマー構造体の所望の特性が熱によって損なわれる時間に応じて制限される。
【0051】
本発明に係る方法では、スルホナート、スルホナート塩又はスルホナートとスルホナート塩の混合物を含む還元剤を、
I)前記工程ii)の実施前又は実施中に前記モノマー水溶液に添加するか、
II)前記工程ii)の実施後に前記ポリマーゲルに添加するか、
III)前記工程iii)の実施後に必要に応じて粉砕された前記ポリマーゲルに添加するか、
IV)前記工程iv)の実施後に前記吸水性ポリマー構造体に添加するか、
V)前記工程v)の実施後に前記吸水性ポリマー構造体に添加するか、
VI)前記工程vi)の実施後に前記吸水性ポリマー構造体に添加する。
【0052】
上記選択肢I)、II)、III)、IV)、VI)のそれぞれは本発明に係る方法の好適な実施形態であり、還元剤は複数の異なる時点において添加することもできる。例えば、還元剤をモノマー溶液に添加する(選択肢I))と共に乾燥、粉砕、篩い分けした吸水性ポリマー構造体に添加する(選択肢V))ことができる。
【0053】
ただし、本発明に係る方法の第1の特に好ましい変形では、工程iv)又は工程v)の実施後であって、工程vi)の実施前に還元剤を吸水性ポリマー構造体に添加し、後架橋剤と溶媒を含む流体Fに還元剤を添加することが特に有利である。また、流体Fの塗布前、塗布中又は塗布後に還元剤と溶媒(例えば、水、水混和性有機溶媒(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等)又はこれらの溶媒の少なくとも2種の混合物)を含む流体Fとして還元剤を添加することもでき、流体Fの溶媒としては特に水が好ましい。このようにして2つの成分(還元剤と後架橋剤)を吸水性ポリマー構造体を接触させた後、得られた混合物を表面後架橋に関連して述べた温度に加熱することによって本発明に係る方法の工程vi)における後架橋を行う。
【0054】
本発明に係る方法の第2の特に好ましい変形では、工程vi)を実施した後に還元剤を吸水性ポリマー構造体と接触させる。この場合、還元剤は上述した流体Fとして表面後架橋された吸水性ポリマー構造体と接触させることができる。
【0055】
使用する還元剤は、還元剤の総重量に対して、10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは1重量%未満のスルホナート及びスルホナート塩以外の硫黄化合物、特に10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは1重量%未満の亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルフィナート、特に2−ヒドロキシ−2−スルフィナート酢酸又はこれらの硫黄化合物の塩、特にナトリウム塩、最も好ましくはナトリウム亜硫酸塩又は2−ヒドロキシ−2−スルフィナート酢酸の二ナトリウム塩を含むことが好ましい。特に、本発明に係る方法では、吸水性ポリマー構造体の固形分に対して、1,000ppm未満、特に好ましくは500ppm未満、さらに好ましくは100ppm未満、最も好ましくは0ppmのスルホナート及びスルホナート塩以外の硫黄化合物を、工程ii)の実施後に得られるポリマーゲル、工程iii)の実施後に得られる粉砕されたポリマーゲル、工程iv)の実施後に得られる吸水性ポリマー構造体、工程v)の実施後に得られる吸水性ポリマー構造体又は工程vi)の実施後に得られる吸水性ポリマー構造体の処理に使用する。使用する還元剤は、還元剤の総重量に対して、少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%のスルホナート、スルホナート塩又はスルホナート及びスルホナート塩の混合物からなることが好ましい。
【0056】
「10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは1重量%未満の亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルフィナート又はこれらの硫黄化合物の塩を含む」とは、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルフィナート又はこれらの硫黄化合物の塩の総量が10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは1重量%未満であることを意味する。
【0057】
本発明では、還元剤に含まれるスルホナート又はスルホナート塩は以下の構造Iを有することが好ましい。
【化1】


構造I
【0058】
(式中、Xは、水素原子、アンモニウムカチオン又はアルカリ金属カチオンであり、Rは、
飽和又は不飽和脂肪族又は芳香族C1〜20炭化水素基、特に好ましくは飽和又は不飽和脂肪族又は芳香族C2〜15炭化水素基、最も好ましくは飽和又は不飽和脂肪族又は芳香族C3〜10炭化水素基、
構造YOOC−R−で表される基(式中、Yは、水素原子、アンモニウムカチオン又は一価の金属カチオン、好ましくはアルカリ金属カチオンであり、Rは、C1〜7アルキレン基、好ましくはC1〜5アルキレン基、最も好ましくはC1〜3アルキレン基であり、YOOCは、2〜50個のアルキレンオキシド単位、4〜20個のアルキレンオキシド単位、特に好ましくはエチレンオキシド又はプロピレンオキシド単位で任意にアルコキシル化されていてもよい。)、
構造ZOOC−R−で表される基(式中、Zは、水素原子、アンモニウムカチオン又は一価の金属カチオン、好ましくはアルカリ金属カチオンであり、Rは、炭素原子の少なくとも1つに水酸基が結合したC1〜7アルキレン基、好ましくはC1〜5アルキレン基、最も好ましくはC1〜3アルキレン基であり、ZOOCは、2〜50個のアルキレンオキシド単位、4〜20個のアルキレンオキシド単位、特に好ましくはエチレンオキシド又はプロピレンオキシド単位で任意にアルコキシル化されていてもよい。)、
構造R’R’’N−R−で表される基(式中、Rは、C1〜9アルキレン基、好ましくはC2〜8アルキレン基、最も好ましくはC3〜7アルキレン基であり、R’及びR’’は、水素原子、C1〜5アルキル基又は構造R’’’−CO−で表される基(式中、R’’’は飽和又は不飽和C1〜5炭化水素である。)である。)又は
構造R−[OCHCH−O−R−で表される基又は構造R−[OCHCHCH−O−R−で表される基(式中、Rは、C1〜10アルキル基又はC1〜9アシル基であり、nは、2〜50、好ましくは4〜20の整数であり、Rは、C1〜9アルキレン基である。)である。)
【0059】
本発明において特に好適なスルホナートの例としては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2−ビニル−4−エチルベンゼンスルホン酸、2−アリルベンゼンスルホン酸、1−フェニルエチレンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシ−2−スルホナート酢酸、上記化合物の対応する塩、上記化合物の少なくとも2種の混合物が挙げられる。
【0060】
本発明では、2−ヒドロキシ−2−スルホナート酢酸、特に2−ヒドロキシ−2−スルホナート酢酸の二ナトリウム塩を使用し、2−ヒドロキシ−2−スルホナート酢酸、2−ヒドロキシ−2−スルホナート酢酸の二ナトリウム塩又は2−ヒドロキシ−2−スルホナート酢酸及び2−ヒドロキシ−2−スルホナート酢酸の二ナトリウム塩の混合物を少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%含む還元剤を使用することが特に好ましい。
【0061】
また、還元剤は、吸水性ポリマー構造体の固形分に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.005〜5重量%、最も好ましくは0.01〜1重量%の量で使用することが特に好ましい。
【0062】
工程vi)において行う表面後架橋による吸水性ポリマー構造体の表面変性の実施前、実施中又は実施後に、吸水性ポリマー構造体に対してさらなる表面変性を行うことができる。
【0063】
好ましい変性方法としては、後架橋の実施前、実施中又は実施後(工程vi)の実施前、実施中又は実施後)に、ポリマー構造体の外側領域を二価以上の金属イオン、好ましくはAl3+イオンを含有する化合物と接触させることが挙げられる。二価以上の金属イオンを含有する化合物は、吸水性ポリマー構造体の重量に対して、0.01〜30重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.3〜5重量%の量で吸水性ポリマー構造体と接触させることが好ましい。
【0064】
吸水性ポリマー構造体の外部領域と二価以上の金属イオンを含有する化合物との接触は、吸水性ポリマー構造体と化合物を乾燥条件で混合するか、溶媒、好ましくは水、メタノール又はエタノール等の水混和性有機溶媒又はそれらの少なくとも2種の混合物と二価以上の金属イオンを含有する化合物とを含む流体Fに吸水性ポリマー構造体を接触させることによって行うことが好ましく、吸水性ポリマー粒子を流体Fとともに噴霧し、混合することによって行うことが好ましい。
【0065】
二価以上の金属イオンを含有する化合物としては、二価以上の金属の塩、特に好ましくは水溶性塩、特に、アルカリ土類金属イオンの塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、アルミニウム、クロム、銅、鉄又は亜鉛の塩又はこれらのカチオンの混合塩が挙げられ、アルミニウム塩が特に好ましい。
【0066】
流体Fは、結晶水を考慮せずに、流体Fの総重量に対して、0.1〜50重量%、特に好ましくは1〜30重量%の量で二価以上の金属イオンを含有する化合物を含むことが好ましい。また、流体Fは、ポリマー構造体の重量に対して、0.01〜15重量%、特に好ましくは0.05〜6重量%の量でポリマー構造体に接触させることが好ましい。
【0067】
二価以上の金属イオンを含有する化合物としてはAl3+イオン含有化合物が特に好ましく、AlCl・6HO、NaAl(SO・12HO、KAl(SO・12HO、Al(SO・14〜18HO、乳酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウム水和物が特に好ましい。これらのアルミニウム化合物の混合物、特に乳酸アルミニウムと硫酸アルミニウムの混合物も使用することができる。二価以上の金属イオンを含有する化合物としては、アルカリ金属カチオン(特に好ましくはNa)を含む塩と脱プロトン化有機酸(特に好ましくは乳酸塩アニオン)の混合物及び上述した二価以上の金属イオンを含有する化合物がさらに好ましく、乳酸ナトリウムと硫酸アルミニウムの混合物及び乳酸ナトリウムと乳酸アルミニウムの混合物が特に好ましい。
【0068】
本発明に係る方法の一実施形態では、二価以上の金属イオンを含有する化合物による吸水性ポリマー構造体の表面変性は、工程vi)を実施する前に、工程iv)又は工程v)の実施後に得られた吸水性ポリマー構造体を、後架橋剤、還元剤、二価以上の金属イオンを含有する化合物を含む流体と接触させ、表面後架橋に関連して上述した温度に混合物を加熱することによって行う。
【0069】
表面後架橋及び二価以上の金属イオンを含有する化合物による処理以外の表面変性方法としては、吸水性ポリマー構造体を、無機粒子、例えば、好ましくは水性懸濁液として塗布する微粒子状二酸化ケイ素又はシリカゾルと接触させることが挙げられる。また、吸水性ポリマー構造体を、凝固防止剤、ポリエチレングリコール等の流動助剤、例えばドイツ特許出願公開第103 34 286号に記載されているような熱可塑性ポリマー又はシクロデキストリン又はゼオライト等の臭気結合剤によって被覆することもできる。
【0070】
また、上記目的は、上述した本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体によって達成される。本発明に係る吸水性ポリマー構造体は、吸水性ポリマー構造体の重量の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%のカルボキシレート基含有モノマーを含むことが特に好ましい。また、本発明では、本発明に係る吸水性ポリマー構造体は、好ましくは少なくとも20モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは60〜85モル%が中和されたアクリル酸を、吸水性ポリマー構造体の重量の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%の量で含むことが好ましい。
【0071】
また、上記目的は、吸水性ポリマー構造体であって、前記吸水性ポリマー構造体の固形分に対して、10〜100,000ppm、特に好ましくは50〜50,000ppm、最も好ましくは100〜10,000ppmの未重合スルホナート、未重合スルホナート塩又は未重合スルホナートと未重合スルホナート塩の混合物と、前記吸水性ポリマー構造体の固形分に対して、1,000ppm未満、特に好ましくは500ppm未満、さらに好ましくは100ppm未満の未重合亜硫酸塩、未重合重亜硫酸塩、未重合スルフィナート又はこれらの化合物の未重合塩と、を含む吸水性ポリマー構造体によって達成される。最も好ましくは、吸水性ポリマー構造体は、検出可能な量の未重合重亜硫酸塩、未重合スルフィナート又はこれらの化合物の未重合塩を含まず、「1,000ppm未満の未重合亜硫酸塩、未重合重亜硫酸塩、未重合スルフィナート又はこれらの化合物の未重合塩を含む」とは、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルフィナート及び硫黄化合物の塩の総量が1,000ppm未満、特に好ましくは500ppm未満、さらに好ましくは100ppm未満であることを意味する。
【0072】
また、上記目的は、吸水性ポリマー構造体であって、前記吸水性ポリマー構造体の固形分に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.001〜5重量%、最も好ましくは0.01〜1重量%のスルホナート、スルホナート塩又はスルホナートとスルホナート塩の混合物を含む還元剤と表面を接触させた吸水性ポリマー構造体によって達成される。
【0073】
還元剤は、還元剤の総重量に対して、10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは1重量%未満のスルホナート及びスルホナート塩以外の硫黄化合物、特に10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは1重量%未満の亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルフィナート又はこれらの硫黄化合物の塩を含むことが特に好ましい。
【0074】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体に使用する好ましいスルホナート又はスルホナート塩としては、本発明に係る方法に関連して好ましいスルホナート及びスルホナート塩として上述した化合物が好ましく、2−ヒドロキシ−2−スルホナート酢酸の二ナトリウム塩が最も好ましい。
【0075】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体又は本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体の好適な実施形態では、吸水性ポリマー構造体は以下の特性の少なくとも1つを有する。
(β1)60℃の温度及び75%の相対湿度で吸水性ポリマー構造体を20日間保管した後に本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定した白色度が、少なくとも7.5、好ましくは少なくとも8.0、さらに好ましくは少なくとも8.5、最も好ましくは少なくとも9.0。
(β2)ERT 442.2−02に準拠して50g/cm(0.7psi)の圧力下で測定した吸収率が、少なくとも18g/g、特に好ましくは少なくとも20g/g、最も好ましくは少なくとも22g/g。
(β3)26g/g未満の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC(saline flow conductivity(生理食塩水流れ誘導性))値が、少なくとも80×10−7cm/s/g−1、好ましくは少なくとも100×10−7cm/s/g−1、特に好ましくは少なくとも120×10−7cm/s/g−1
(β4)26g/g以上、27g/g未満の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC値が、少なくとも70×10−7cm/s/g−1、好ましくは少なくとも90×10−7cm/s/g−1、特に好ましくは少なくとも110×10−7cm/s/g−1
(β5)27g/g以上、28g/g未満の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC値が、少なくとも60×10−7cm/s/g−1、好ましくは少なくとも80×10−7cm/s/g−1、特に好ましくは少なくとも100×10−7cm/s/g−1
(β6)28g/g以上、29g/g未満の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC値が、少なくとも45×10−7cm/s/g−1、好ましくは少なくとも65×10−7cm/s/g−1、特に好ましくは少なくとも85×10−7cm/s/g−1
(β7)29g/g以上、30g/g未満の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC値が、少なくとも30×10−7cm/s/g−1、好ましくは少なくとも50×10−7cm/s/g−1、特に好ましくは少なくとも70×10−7cm/s/g−1
(β8)30g/g以上、31g/g未満の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC値が、少なくとも20×10−7cm/s/g−1、好ましくは少なくとも40×10−7cm/s/g−1、特に好ましくは少なくとも60×10−7cm/s/g−1
(β9)31g/g以上の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC値が、少なくとも10×10−7cm/s/g−1、好ましくは少なくとも20×10−7cm/s/g−1、特に好ましくは少なくとも30×10−7cm/s/g−1
【0076】
本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体の実施形態は上記特徴(β1)〜(β9)のあらゆる組み合わせを含み、以下の特徴の組み合わせの実施形態が好ましい:(β1)、(β1)(β2)、(β1)(β3)、(β1)(β4)、(β1)(β5)、(β1)(β6)、(β1)(β7)、(β1)(β8)、(β1)(β9)、(β1)(β2)(β3)(β4)(β5)(β6)(β7)(β8)(β9)。
【0077】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体は、本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体と同一の特性を有することが好ましい。本発明に係る方法と本発明に係る吸水性ポリマー構造体に関して上述した特性値は、下限値のみを示す場合には、上限値は最も好ましい下限値の20倍、好ましくは10倍、特に好ましくは5倍である。
【0078】
また、上記目的は、本発明に係る吸水性ポリマー構造体又は本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体と、基材と、を含む複合体によって達成される。本発明に係るポリマー構造体と基材は強固に結合されていることが好ましい。好ましい基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリアミド等のポリマーのフィルム、金属、不織布、綿毛、織物、織布、天然又は合成繊維又は発泡体である。本発明では、複合体は、複合体の総重量の約15〜100重量%、好ましくは約30〜100重量%、特に好ましくは約50〜99.99重量%、より好ましくは約60〜99.99重量%、さらに好ましくは約70〜99重量%の本発明に係る吸水性ポリマー構造体を含む少なくとも1つの領域を含み、該領域は少なくとも0.01cm3、好ましくは少なくとも0.1cm3、最も好ましくは少なくとも0.5cm3の体積を有することが好ましい。
【0079】
本発明に係る複合体の特に好ましい実施形態では、複合体は「吸収性材料」として国際公開第WO02/056812 A1号に記載されているようなフラットな複合体である。国際公開第WO02/056812 A1号の複合体の構造、構成要素の単位面積当たりの重量及び厚みに関する開示内容は、この参照によって本願明細書の一部として援用する。
【0080】
また、上記目的は、複合体の製造方法であって、本発明に係る吸水性ポリマー構造体又は本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体と、基材と、必要に応じて添加剤と、を接触させる方法によって達成される。基材としては、本発明に係る複合体に関連して上述した基材を使用することが好ましい。
【0081】
また、上記目的は、上記方法によって得られ、上述した本発明に係る複合体と同一の特性を好ましくは有する複合体によって達成される。
【0082】
また、上記目的は、本発明に係るポリマー構造体又は本発明に係る複合体を含む化学製品によって達成される。好ましい化学製品は、発泡体、成形体、繊維、フィルム、シート、ケーブル、シール材、液体吸収性衛生用品(特におむつ及び生理用ナプキン)、植物・菌類生育調節剤・植物保護活性化合物の担体、建設材料の添加剤、包装材料、土壌添加剤である。
【0083】
また、上記目的は、本発明に係るポリマー構造体又は本発明に係る複合体の、化学製品、好ましくは上述した化学製品、特におむつ及び生理用ナプキン等の衛生用品における使用及び超吸収体粒子の植物、菌類生育調節剤又は植物保護活性化合物の担体における使用によって達成される。植物、菌類生育調節剤又は植物保護活性物質の担体としての使用では、植物、菌類生育調節剤又は植物保護活性物質は、担体によって制御される時間が経過した後に放出できることが好ましい。
【実施例】
【0084】
本発明を、本発明を限定するものではない図面、試験方法及び実施例を参照してさらに詳細に説明する。
【0085】
試験方法
【0086】
SFC値及びTB値の測定
【0087】
SFC値及びTB値は、ドイツ特許出願公開第102 49 821号に記載された試験方法に準拠して測定した。
【0088】
白色度の測定
【0089】
白色度はL表色系によって定義される。L値は明度(100−0)を表し、a値は赤(+)又は緑(−)を表し、b値は黄(+)又は青(−)を表す。このスケーリングは、ASTM E 308「Standard Practice for Computing the Colours of Objects Using the CIE System」に記載された原理に基づくものである。
【0090】
色値は、「Hunter LabScan Xe」(Hunter Associates Laboratory社(米国ヴァージニア州レストン)製)を使用して以下の設定で測定した。
Mode:0/45
Area View:44.5mm
Port Size:50.8mm
UV Filter:nominal
【0091】
各測定の前に、LabScan XEを較正した。具体的には、附属品の黒色ガラスプレートをサンプルプレートと測定開口部の間に固定してシャーレ(直径:100mm、深さ:15mm)上に配置し、「OK」スイッチを押して黒色ガラスプレートによる較正を行った。次に、白色基準プレートをシャーレ上に配置し、「OK」スイッチを押して再度較正を行った。
【0092】
較正後、「Read Std」スイッチを押して測定装置の機能を確認した。基準プレートはこの時点では取り除いていない。次に、基準プレートのL色値を測定するために「Read」スイッチを押した。
【0093】
次に、標準プレートを取り除き、シャーレを測定対象の吸水性ポリマー構造体で満たし、吸水性ポリマー構造体の表面をドクターブレードで整えた。その後、「Read Sam」スイッチを押してサンプルの測定を行った。
【0094】
白色度は(L/b)=aで定義される。
【0095】
吸水性ポリマー構造体の製造
【0096】
水酸化ナトリウム溶液(497.36g、NaOH:50%)によって70モル%を中和したアクリル酸640g、水825.06g、ポリエチレングリコール−300−ジアクリレート2.102g、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル(79.8%、分子量:約440g/モル)4.010gを含むモノマー溶液から窒素パージにより溶存酸素を除去した後、モノマー溶液を開始温度である4℃に冷却した。開始温度に達した後に、開始剤溶液(水10gに溶解したペルオキソ二硫酸ナトリウム0.8g、水10gに溶解した35%過酸化水素水0.6g、水10gに溶解したアスコルビン酸0.06g)を添加した。約100℃の終了温度に達した後、得られたゲルを肉挽機で粉砕し、乾燥キャビネット内において150℃で2時間乾燥した。乾燥したポリマーを粗く砕き、5mmの網目幅の篩いを有するリングビーターミル(Retsch ZM1社製)で粉砕し、150〜850μmの粒径を有する粉末を篩い分けた。
【0097】
表面変性
【0098】
得られたポリマーを表1に示す成分を含む水溶液と混合し、混合物を180℃で30分間加熱した(数値データは使用したポリマーの量に対する重量%)。
【0099】
【表1】

1)Al(SO・14HOとして使用。
2)純粋な2−ヒドロキシ−スルホナート酢酸の二ナトリウム塩。
【0100】
このようにして得られた吸水性ポリマー構造体の透過性、保持率、白色度を測定した。結果を表2に示す。
【0101】
【表2】

【0102】
表2に示すように、本発明に係るポリマーは、従来のポリマーと同等の吸収特性を有しながらも大きく向上した白色度を有している。実施例1〜3で得られたポリマーでは、60℃の温度及び75%の相対湿度で20日間保管した後にも不快な臭気は全く感知されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性ポリマー構造体の製造方法であって、
i)(α1)重合性モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー又はその塩と、(α2)必要に応じて前記モノマー(α1)と重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーと、(α3)必要に応じて架橋剤と、を含むモノマー水溶液を用意する工程と、
ii)前記モノマー水溶液のラジカル重合によってポリマーゲルを得る工程と、
iii)必要に応じて前記ポリマーゲルを粉砕する工程と、
iv)必要に応じて粉砕された前記ポリマーゲルを乾燥して吸水性ポリマー構造体を得る工程と、
v)必要に応じて前記吸水性ポリマー構造体を粉砕及び篩い分けする工程と、
vi)必要に応じて粉砕及び篩い分けされた前記吸水性ポリマー構造体を表面後架橋する工程と、
を含み、
スルホナート、スルホナート塩又はスルホナートとスルホナート塩の混合物を含む還元剤を、
I)前記工程ii)の実施前又は実施中に前記モノマー水溶液に添加するか、
II)前記工程ii)の実施後に前記ポリマーゲルに添加するか、
III)前記工程iii)の実施後に必要に応じて粉砕された前記ポリマーゲルに添加するか、
IV)前記工程iv)の実施後に前記吸水性ポリマー構造体に添加するか、
V)前記工程v)の実施後に前記吸水性ポリマー構造体に添加するか、
VI)前記工程vi)の実施後に前記吸水性ポリマー構造体に添加することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記還元剤を、前記工程iv)又は前記工程v)の実施後であって、前記工程vi)の実施前に添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記還元剤が、前記還元剤の総重量に対して10重量%未満のスルホナート以外の硫黄化合物を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記還元剤が、前記還元剤の総重量に対して10重量%未満の亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルフィナート又はこれらの硫黄化合物の塩を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スルホナート又はスルホナート塩が以下の構造Iを有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【化1】


構造I
(式中、Xは、水素原子、アンモニウムカチオン又はアルカリ金属カチオンであり、Rは、
飽和又は不飽和脂肪族又は芳香族C1〜20炭化水素基、
構造YOOC−R−で表される基(式中、Yは水素原子、アンモニウムカチオン又は一価の金属カチオンであり、RはC1〜7アルキレン基である。)、
構造ZOOC−R−で表される基(式中、Zは水素原子、アンモニウムカチオン又は一価の金属カチオンであり、Rは炭素原子の少なくとも1つに水酸基が結合したC1〜7アルキレン基である。)、
構造R’R’’N−R−で表される基(式中、RはC1〜9アルキレン基であり、R’及びR’’は水素原子、C1〜5アルキル基又は構造R’’’−CO−で表される基(式中、R’’’は飽和又は不飽和C1〜5炭化水素である。)である。)又は
構造R−[OCHCH−O−R−で表される基又は構造R−[OCHCHCH−O−R−で表される基(式中、RはC1〜10アルキル基又はC1〜9アシル基であり、nは2〜50の整数であり、RはC1〜9アルキレン基である。)である。)
【請求項6】
前記スルホナート又はスルホナート塩が、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2−ビニル−4−エチルベンゼンスルホン酸、2−アリルベンゼンスルホン酸、1−フェニルエチレンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシ−2−スルホナート酢酸、上記化合物の対応する塩、上記化合物の少なくとも2種の混合物からなる群から選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記スルホナート塩が2−ヒドロキシ−2−スルホナート酢酸の二ナトリウム塩である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記吸水性ポリマー構造体の固形分に対して0.001〜10重量%の量で前記還元剤を使用する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記還元剤を、前記還元剤及び溶媒を含む流体として使用する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒が水である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記請求項のいずれか1項に記載の方法によって得られる吸水性ポリマー構造体。
【請求項12】
吸水性ポリマー構造体であって、前記吸水性ポリマー構造体の固形分に対して10〜100,000ppmの未重合スルホナート、未重合スルホナート塩又は未重合スルホナートと未重合スルホナート塩の混合物と、前記吸水性ポリマー構造体の固形分に対して1,000ppm未満の未重合亜硫酸塩、未重合重亜硫酸塩、未重合スルフィナート又はこれらの化合物の未重合塩と、を含む吸水性ポリマー構造体。
【請求項13】
吸水性ポリマー構造体であって、前記吸水性ポリマー構造体の固形分に対して0.001〜10重量%のスルホナート、スルホナート塩又はスルホナートとスルホナート塩の混合物を含む還元剤と表面を接触させた吸水性ポリマー構造体。
【請求項14】
前記還元剤が、前記還元剤の総重量に対して10重量%未満のスルホナート以外の硫黄化合物を含む、請求項13に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項15】
前記還元剤が、前記還元剤の総重量に対して10重量%未満の亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルフィナート又はこれらの硫黄化合物の塩を含む、請求項13に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項16】
前記スルホナート又はスルホナート塩が、請求項5〜7のいずれか1項に記載のスルホナート又はスルホナート塩である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項17】
以下の特性の少なくとも1つを有する、請求項11〜16のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体。
(β1)60℃の温度及び75%の相対湿度で吸水性ポリマー構造体を20日間保管した後に本願明細書に記載した試験方法に従って測定した白色度が少なくとも7.5。
(β2)ERT 442.2−02に準拠して50g/cm(0.7psi)の圧力下で測定した吸収率が少なくとも18g/g。
(β3)26g/g未満の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC(saline flow conductivity(生理食塩水流れ誘導性))値が少なくとも80×10−7cm/s/g−1
(β4)26g/g以上、27g/g未満の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC値が少なくとも70×10−7cm/s/g−1
(β5)27g/g以上、28g/g未満の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC値が少なくとも60×10−7cm/s/g−1
(β6)28g/g以上、29g/g未満の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC値が少なくとも45×10−7cm/s/g−1
(β7)29g/g以上、30g/g未満の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC値が少なくとも30×10−7cm/s/g−1
(β8)30g/g以上、31g/g未満の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC値が少なくとも20×10−7cm/s/g−1
(β9)31g/g以上の本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したTB値において本願明細書に記載した試験方法に準拠して測定したSFC値が少なくとも10×10−7cm/s/g−1
【請求項18】
前記吸水性ポリマー構造体の固形分に対して10〜100,000ppmの未重合スルホナート、未重合スルホナート塩又は未重合スルホナートと未重合スルホナート塩の混合物と、前記吸水性ポリマー構造体の固形分に対して1,000ppm未満の未重合亜硫酸塩、未重合重亜硫酸塩、未重合スルフィナート又はこれらの化合物の未重合塩と、を含む、請求項11、13〜17のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項19】
請求項11〜18のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体と、基材と、を含む複合体。
【請求項20】
請求項11〜18のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体と、基材と、必要に応じて補助物質とを接触させることを特徴とする複合体の製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法により得られる複合体。
【請求項22】
請求項11〜18のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体又は請求項19又は21に記載の複合体を含む、発泡体、成形品、繊維、ホイル、フィルム、ケーブル、シール材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用担体、包装材料、土壌添加剤又は建設材料。
【請求項23】
請求項11〜18のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体又は請求項19又は21に記載の複合体の、発泡体、成形品、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、吸収性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用担体、包装材料、活性化合物の制御放出のための土壌添加剤又は建設材料における使用。

【公表番号】特表2011−503282(P2011−503282A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532603(P2010−532603)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065123
【国際公開番号】WO2009/060062
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(308007985)エフォニック ストックハウゼン ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】