説明

含フッ素乳化剤の回収方法

【課題】 含フッ素乳化剤を効率よく回収する方法を提供する。
【解決手段】 RO(CFCFO)CFCOOA(式中、Rは炭素原子数2〜4のパーフルオロアルキル基、Aは水素原子、アルカリ金属またはNH、mは1〜3の整数である。)で表される含フッ素乳化剤の濃度が1質量ppm〜1質量%の水性液(A)を、圧力100kPa以下、温度100℃以下で減圧濃縮して得られる、該含フッ素乳化剤の濃度が高濃度化された水性液(B)から該含フッ素乳化剤を回収する、または該含フッ素乳化剤の濃度が1質量ppm〜5質量%の水性液(C)を、陰イオン交換樹脂に接触させて該含フッ素乳化剤を吸着させ、次にアルカリ性水溶液で該含フッ素乳化剤を脱着させて得られる、該含フッ素乳化剤の濃度が高濃度化された水性液(D)から該含フッ素乳化剤を回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の含フッ素乳化剤の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、含フッ素ポリマーの乳化重合に使用される含フッ素乳化剤の回収方法として、イオン交換樹脂(以下、IERという。)を用いる技術が知られている。
例えば、乳化重合のラテックスを凝集・洗浄し、乳化剤を水溶液として捕集し、得られた水溶液を蒸発乾固した後に有機溶剤で該含フッ素乳化剤を回収する方法や、陰イオン交換樹脂を用いた該含フッ素乳化剤の回収方法がある(特許文献1を参照)。
【0003】
また、パーフルオロオクタン酸アンモニウム(以下、APFOと記す。)をIERに吸着させ、ついで酸と有機溶剤との混合物を用いてパーフルオロオクタン酸を脱着し回収する方法が開示されている(特許文献2を参照)。
また、イオン交換樹脂に吸着した含フッ素乳化剤の脱着方法としては、IERに吸着した含フッ素乳化剤を水、アルカリ(特に水酸化ナトリウム)、有機溶剤(特にメタノール、エタノール、アセトニトリル)の混合液を用いて脱着する方法がある(特許文献3を参照)。
【0004】
また、含フッ素乳化剤を含む水溶液に二価金属と三価金属を添加し、層状複水酸化物を生成させることによって、該含フッ素乳化剤を回収する方法がある(特許文献4を参照)。
さらに、濃縮による回収方法としては、ヒートポンプ備えた濃縮設備による含フッ素乳化剤の回収方法がある(特許文献5を参照)。
しかしながら、これらの方法は含フッ素乳化剤として特にAPFOに限定したものであり、その他の含フッ素乳化剤の回収については議論されていない。
【0005】
【特許文献1】特公昭47−51233号公報
【特許文献2】特開昭55−104651号公報
【特許文献3】特開2002−59160号公報
【特許文献4】WO02/10104A1号国際公開パンフレット
【特許文献5】特開2004−900734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、含フッ素ポリマーの凝集排水などの、一般式(1):RO(CFCFO)CFCOOA(式中、Rは炭素原子数2〜4のパーフルオロアルキル基であり、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、mは1〜3の整数である。)で表される含フッ素乳化剤の低濃度水性液から該含フッ素乳化剤を効率よく回収する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一般式(1):RO(CFCFO)CFCOOA
(式中、Rは炭素原子数2〜4のパーフルオロアルキル基であり、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、mは1〜3の整数である。)で表される含フッ素乳化剤の濃度が1質量ppm以上1質量%以下、または1質量ppm以上5質量%以下である水性液から、該含フッ素乳化剤を減圧濃縮および/または陰イオン交換樹脂に吸着・脱着することで該含フッ素乳化剤の濃度を高くした水性液を得て、その高濃度化された該含フッ素乳化剤含有水性液から該含フッ素乳化剤を回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、一般式(1):RO(CFCFO)CFCOOA(式中、Rは炭素原子数2〜4のパーフルオロアルキル基であり、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、mは1〜3の整数である。)で表される含フッ素乳化剤の濃度が1質量ppm以上1質量%以下である水性液(A)を、圧力100kPa以下、かつ、該水性液(A)の温度100℃以下で減圧濃縮して、該含フッ素乳化剤の濃度が高濃度化された水性液(B)とし、該水性液(B)から該含フッ素乳化剤を回収することを特徴とする含フッ素乳化剤の回収方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記含フッ素乳化剤の回収方法において、前記減圧濃縮が、1段目がヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置を用いて行われ、かつ、2段目以降がヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置またはフラッシュ型濃縮装置を用いて行われる含フッ素乳化剤の回収方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、一般式(1):RO(CFCFO)CFCOOA(式中、Rは炭素原子数2〜4のパーフルオロアルキル基であり、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、mは1〜3の整数である。)で表される含フッ素乳化剤の濃度が1質量ppm以上5質量%以下である水性液(C)を、陰イオン交換樹脂に接触させて該含フッ素乳化剤を陰イオン交換樹脂に吸着させ、その後にアルカリ性水溶液で該含フッ素乳化剤を脱着させて、該含フッ素乳化剤の濃度が高濃度化された水性液(D)とし、該水性液(D)から該含フッ素乳化剤を回収することを特徴とする含フッ素乳化剤の回収方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、上記含フッ素乳化剤の回収方法において、前記陰イオン交換樹脂が弱塩基性陰イオン交換樹脂である含フッ素乳化剤の回収方法を提供する。
また、本発明は、上記含フッ素乳化剤の回収方法において、前記水性液(A)または(C)が、一般式(1):RO(CFCFO)CFCOOA(式中、Rは炭素原子数2〜4のパーフルオロアルキル基であり、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、mは1〜3の整数である。)で表される含フッ素乳化剤を含む水性媒体中で少なくとも1種の含フッ素モノマーを乳化重合または懸濁重合して得られる含フッ素ポリマーの製造工程における、該含フッ素ポリマーを分離した後の排水(A1)、および該含フッ素ポリマーの乾燥工程および/または熱処理工程の排ガスを水性液で洗浄して得られる該含フッ素乳化剤を含む水性液(A2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の水性液である含フッ素乳化剤の回収方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、上記含フッ素乳化剤の回収方法において、前記水性液(B)および/または(D)からの含フッ素乳化剤の回収が、非水溶性含フッ素有機溶媒を用いる抽出法によって行われる含フッ素乳化剤の回収方法を提供する。
また、本発明は、上記含フッ素乳化剤の回収方法において、前記該含フッ素ポリマーを分離した後の排水(A1)中の浮遊固形物および浮遊固形物になりうる物質の含有量が0.3質量%以下である含フッ素乳化剤の回収方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、上記含フッ素乳化剤の回収方法において、前記含フッ素ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン/フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/CF=CF−O−Rf1(式中、Rf1はエーテル性の酸素原子を有してもよい炭素原子数1〜20のパーフルオロアルキル基である。)共重合体およびポリフッ化ビニリデンからなる群から選ばれる少なくとも一種である含フッ素乳化剤の回収方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の含フッ素乳化剤の回収方法は、一般式(1)で表される含フッ素乳化剤を効率よく回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明においては、一般式(1):RO(CFCFO)CFCOOA(式中、Rは炭素原子数2〜4のパーフルオロアルキル基であり、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、mは1〜3の整数である。)で表される含フッ素乳化剤を含有する水性液(A)または水性液(C)を用いる。
一般式(1)において、Rは、具体的には、C−、C−、C−であり、好ましくはC−、C−であり、特に好ましくはC−である。mは、好ましくは1〜2の整数であり、特に好ましくは1である。
なお、水性液とは、溶媒または分散媒が主成分として水を含む液をいい、有機溶媒を含んでいてもよい。水性液における水の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。
【0016】
水性液(A)中の一般式(1)の含フッ素乳化剤の濃度は1質量ppm以上1質量%以下であり、10質量ppm以上1質量%以下が好ましい。
水性液(A)における該含フッ素乳化剤の濃度がこれより高濃度の場合は、本発明における特定の濃縮操作を行う意味が失われる。このような高濃度の場合には、たとえば、そのまま回収工程に用いてもよいし、pHを変化させることにより該含フッ素乳化剤を析出させるなど、より簡便で効率的な高濃度化方法により回収できる。
【0017】
本発明における水性液(A)としては、該含フッ素乳化剤を含む水性媒体中で少なくとも1種の含フッ素モノマーを乳化重合または懸濁重合して得られる含フッ素ポリマーの製造工程における、該含フッ素ポリマーを分離した後の排水(A1)、および該含フッ素ポリマーの乾燥工程および/または熱処理工程の排ガスを水性液で洗浄して得られる該含フッ素乳化剤を含む水性液(A2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の水性液であることが好ましい。
【0018】
前記含フッ素ポリマーを分離した後の排水(A1)は、通常は乳化重合後または懸濁重合後の含フッ素ポリマーの凝集排水が好ましく、特に含フッ素モノマーの重合体または含フッ素モノマーと含フッ素モノマー以外のモノマーとの共重合体の製造工程からの凝集排水が好ましい。
具体的に、前記製造工程からの凝集排水とは、含フッ素モノマーを、または含フッ素モノマーと含フッ素モノマー以外のモノマーとを、含フッ素乳化剤を含む水性媒体中で乳化重合または懸濁重合して得られた含フッ素ポリマーの水性分散液から、含フッ素ポリマーを塩析等で凝集して、該含フッ素ポリマーを分離した後の排水をいう。
【0019】
該排水には、含フッ素モノマーの重合時に使用された該含フッ素乳化剤が含有されるほか、未凝集の含フッ素ポリマーなどの浮遊固形物および浮遊固形物になりうる物質(以下、浮遊固形物および浮遊固形物になりうる物質を合わせてSS分と記す。)も含まれる。以下、該凝集排水を本発明における水性液(A)の典型例として説明する。
また、前記水性液(A2)における排ガスとしては、通常は含フッ素乳化剤を含む水性媒体中で乳化重合または懸濁重合して得られる、含フッ素ポリマーの乾燥工程および/または熱処理工程の排ガスが好ましい。
【0020】
典型的には、含フッ素モノマーを、または含フッ素モノマーと含フッ素モノマー以外のモノマーとを、含フッ素乳化剤を含む水性媒体中で乳化重合または懸濁重合して得られた含フッ素ポリマーの水性分散液から、該含フッ素ポリマーを塩析等で凝集して分離し、該分離された含フッ素ポリマーをオーブン等の熱処理装置を用いて乾燥および/または熱処理する際に、該熱処理装置から排出される微量の固体の飛沫を含む排ガスが挙げられる。以下、前記水性液(A2)については、該排ガスを水性液で洗浄して得られる含フッ素乳化剤を含む水性液で代表させて説明する。
【0021】
前記凝集排水中に含まれる未凝集の含フッ素ポリマー等の浮遊固形物、または、含フッ素ポリマーの塩析凝集に使用された金属塩、該凝集排水のpHの変化によって析出する物質、該凝集排水の温度低下もしくは温度上昇によって析出する物質などの浮遊固形物になりうる物質は、本発明における高濃度化の際に装置内部に付着して回収効率を低下させることがあるため、SS分の含有量を0.3質量%以下にするのが好ましく、特に0.05質量%以下にするのがより好ましい。
【0022】
未凝集の含フッ素ポリマー等のSS分の除去方法としては、多価金属カチオンを含有する金属塩(塩析剤)を添加してSS分を凝集させる塩析が効果的である。金属塩の具体例としては、塩化アルミニウム、塩化アルミニウム六水和物、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化第二鉄六水和物、ポリ塩化アルミニウム等の金属塩化物が挙げられる。
【0023】
前記塩析により得られる凝集物は含フッ素乳化剤を内包した状態で沈殿することがあるため、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムを添加してpHを好ましくは4以上、より好ましくは7以上に調整することにより、該含フッ素乳化剤を該凝集物から水中に再溶解させることが好ましい。
前記塩析において、凝集排水に塩析剤を添加する際に、該凝集排水を撹拌することが好ましい。撹拌方法としては、特に限定されないが、撹拌によって生成した凝集物粒子を機械的に破壊しない撹拌装置を用いる方法が好ましい。該撹拌装置の撹拌翼としては、低速回転で該凝集排水全体を均一に混合できる撹拌翼が好ましく、フルゾーン翼、マックスブレンド翼およびアンカー翼からなる群より選ばれる1種が好ましい。
【0024】
前記塩析において、凝集させたSS分の凝集物を除去する方法としては、一般的な固液分離方法が採用できる。特に、ろ過、デカンテーション、遠心分離および重力沈降からなる群より選ばれる1種以上の方法を用いることが好ましい。ろ過は、加圧下に実施することも好ましい。また、凝集物を含む排水を静置し、凝集物を沈降させて、上澄み液をろ過することにより凝集物を除去することが好ましい。
【0025】
本発明において、水性液(A)を減圧濃縮する際は圧力100kPa以下で実施される。該圧力は50kPa以下が好ましく、特に30kPa以下が好ましい。該圧力が余りに大きいと、水を主成分とする溶媒を蒸発させるのに高温が必要となり、必要なエネルギーを十分低くすることができないだけでなく、また高温のために該含フッ素乳化剤も溶媒に同伴して飛散することによりロスしてしまうことがある。
【0026】
また、本発明において、減圧濃縮する際には、水性液(A)の温度は100℃以下が採用され、80℃以下が好ましい。該温度が余りにも高いと必要なエネルギーを十分低くすることができないだけでなく、高温のために含フッ素乳化剤も溶媒に同伴して飛散することによりロスしてしまうことがある。該温度の下限は、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。
【0027】
本発明において、減圧濃縮に用いる装置としては、エネルギー効率の高い蒸発装置を用いることが好ましい。かかる濃縮装置の例としては、ヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置および/またはエジェクターを備えたフラッシュ型濃縮装置を挙げることができる。
該ヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置(以下、単に加熱蒸発缶と記すことがある。)としては、ササクラ社製のVVCC濃縮装置またはEVCC濃縮装置を例示することができる。
【0028】
本発明において、前記水性液(A)の減圧濃縮は、フラッシュ型濃縮装置(以下、単にフラッシュ蒸発缶と記すことがある。)を用いて行うこともできる。また、エジェクターを備えたフラッシュ型濃縮装置(たとえば、ササクラ社製のFTC濃縮装置等が挙げられる。)を用いることもできる。これらのフラッシュ型濃縮装置は、前記加熱蒸発缶におけるような含フッ素乳化剤の高濃度化などによる問題がないので、通常は比較的高濃度に達した含フッ素乳化剤を含む水性液の濃縮に好ましく用いられる。
【0029】
本発明における水性液(A)の減圧濃縮は、2段以上の複数段階に分けて行われるのが好ましい。たとえば、1段目がヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置を用いて行われ、かつ、2段目以降がヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置またはフラッシュ型濃縮装置を用いて行われる。特に、1段目がヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置を用いて行われ、かつ、2段目以降がフラッシュ型濃縮装置を用いて行われるのが好ましい。
【0030】
通常は、前記の加熱蒸発缶で濃縮されて比較的高濃度に達した含フッ素乳化剤の水性液は、フラッシュ蒸発缶を用いてさらに濃縮されるのが好ましい。たとえば、30kPa以下に保持されたフラッシュ蒸発缶内に、比較的高濃度に達した含フッ素乳化剤の水性液が導入されると、該フラッシュ蒸発缶内が減圧のため、導入された水性液はフラッシュ蒸発する。この場合、前記FTC濃縮装置等のエジェクターを備えたフラッシュ型濃縮装置を用いて、蒸発した蒸気の一部をエジェクターに吸引させ、エジェクターの駆動蒸気とともにヒーターにて循環液の加熱源として利用することができる。
【0031】
本発明において、前記減圧濃縮工程で得られる水性液(B)は、水性液(A)に比して含フッ素乳化剤の濃度が高濃度化されている。通常は、該水性液(B)における含フッ素乳化剤の濃度は1質量%超であることが好ましく、5質量%超であることがより好ましく、10質量%超であることが特に好ましい。水性液(B)における含フッ素乳化剤の濃度を上記範囲にすることにより、本発明における含フッ素乳化剤の回収率を90質量%以上にできる。水性液(B)における含フッ素乳化剤の濃度が余りに低いと、該含フッ素乳化剤の遊離酸の水に対する溶解度分だけは回収できないことになり、減圧濃縮工程から回収工程までを含めた含フッ素乳化剤の回収率を十分に高くできない。なお、含フッ素乳化剤の濃度の上限は、必ずしも制限はないが、50質量%以下が好ましい。
【0032】
本発明において、水性液(B)中の高濃度化された該含フッ素乳化剤は、該水性液(B)をpH4以下の酸性にすることによって、遊離酸の形で析出させることができる。析出した遊離酸はろ過によって回収することができる。また、該含フッ素乳化剤の精製のために該水性液(B)を酸性にし、析出した遊離酸などの沈殿を生成させた状態でろ過せずに、非水溶性有機溶剤で容易に抽出することもできる。
【0033】
該非水溶性有機溶剤としては、クロロホルム、ジクロロエチレン、塩化メチレン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、R−113、R−225ca、R−225cb、R−123、R−141b、C13H、C18、CFCFCFCFCFCH、CFCFCFCFCFCHCH、CFCFCHCFH、CFCFCFCFOCH、CFCFCFCFOCHCH、CFCHOCFCFH、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)およびパーフルオロ(2−プロピルテトラヒドロピラン)からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒が好ましい。
【0034】
該溶媒に抽出された遊離酸は、該溶媒と共に蒸留することによって、フッ素を含有しない不純物を除去して精製することができる。また、クロロホルム、ジクロロエチレン、塩化メチレン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、R−113、R−225ca、R−225cb、R−123、R−141b、C13H、C18、CFCFCFCFCFCH、CFCFCFCFCFCHCH、CFCFCHCFH、CFCFCFCFOCH、CFCFCFCFOCHCH、CFCHOCFCFH、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)およびパーフルオロ(2−プロピルテトラヒドロピラン)からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒を用いて、前記遊離酸を再結晶することによって、フッ素含有不純物を除去して精製することができる。また、必要ならば、これらの精製は、繰り返し行ってもよい。
【0035】
本発明において、前記水性液(B)からの含フッ素乳化剤の回収は、R−113、R−225ca、R−225cb、R−123、R−141b、C13H、C18、CFCFCFCFCFCH、CFCFCFCFCFCHCH、CFCFCHCFH、CFCFCFCFOCH、CFCFCFCFOCHCH、CFCHOCFCFH、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)およびパーフルオロ(2−プロピルテトラヒドロピラン)からなる群より選ばれる少なくとも1種である前記非水溶性含フッ素有機溶媒を用いる抽出法によって行われるのが特に好ましい。
精製された該含フッ素乳化剤は、含フッ素ポリマー重合用の乳化剤として再使用できる。
【0036】
また、本発明の陰イオン交換樹脂を用いた該含フッ素乳化剤の回収方法においては、水性液(C)は、含フッ素乳化剤の濃度が1質量ppm以上5質量%以下であり、10質量ppm以上3質量%以下が好ましい。
水性液(C)は、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムを添加してpHを好ましくは4以上、より好ましくは7以上に調整することが好ましい。
水性液(C)の具体例としては、水性液(A)と同様なものが挙げられる。
【0037】
水性液(C)は、含フッ素ポリマーの凝集排水などのように、SS分を含有する場合は、SS分を除去した後に、陰イオン交換樹脂に接触することが好ましい。
前記のSS分の除去を行った凝集排水中のSS成分の含有量は、0.01〜45質量ppmが好ましい。SS成分をあまりに少なくするには、前処理における金属塩化物の添加量が多くなり好ましくない。より好ましくは0.01〜20質量ppmであり、最も好ましくは0.01〜10質量ppmである。
【0038】
陰イオン交換樹脂としては弱塩基性陰イオン交換樹脂および/または強塩基性陰イオン交換樹脂を用いることができるが、強塩基性陰イオン交換樹脂は、該含フッ素乳化剤の吸着率が高いが、脱着率が低いので、最終的な含フッ素乳化剤の回収率では弱塩基性陰イオン交換樹脂が優れる。
弱塩基性陰イオン交換樹脂としては、イオン交換基として3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を側鎖に持ったアクリル樹脂やポリスチレン、イオン交換基としてジメチルアミノ基を側鎖に持ったポリスチレン等が挙げられる。特に、ジメチルアミノ基を側鎖に持ったポリスチレンが好ましい。
【0039】
商業的に入手可能な弱塩基性陰イオン交換樹脂の具体例としては、三菱化学社製の、ダイヤイオンWA10、WA11、WA20、WA21、WA21J、WA30、バイエル社製の、レバチットMP62、MP64、VPOC1065、VPOC1072、VPOC1094、オルガノ社製の、アンバーライトIRA67、IRA96SB、XT6050RF、XE583等が挙げられる。
【0040】
水性液(C)の陰イオン交換樹脂への空間速度(SV)は、0.1〜10が好ましく、1〜8がより好ましい。
また、水性液(C)の陰イオン交換樹脂への通液温度は、0〜80℃が好ましく、5〜60℃がより好ましい。
水性液(C)の陰イオン交換樹脂への接触により、含フッ素乳化剤を陰イオン交換樹脂に吸着させることができる。
含フッ素乳化剤を吸着させた陰イオン交換樹脂は、アルカリ性水溶液を接触させて該含フッ素乳化剤を脱着させて、該含フッ素乳化剤の濃度が高濃度化された水性液(D)とする。
【0041】
アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムを含有する水溶液が好ましくは挙げられる。アルカリ性水溶液は、水含有量が50質量%以上が好ましく、また、そのpHは9以上が好ましく、9.5〜11がより好ましい。
アルカリ性水溶液の陰イオン交換樹脂への空間速度(SV)は、0.1〜10が好ましく、1〜8がより好ましい。
陰イオン交換樹脂からの脱着温度は、0〜80℃が好ましく、5〜60℃がより好ましい。
【0042】
水性液(D)は、水性液(C)に比して含フッ素乳化剤の濃度が高濃度化されている。通常は、該水性液(D)における含フッ素乳化剤の濃度は1質量%超であることが好ましく、5質量%超であることがより好ましく、10質量%超であることが特に好ましい。水性液(D)における含フッ素乳化剤の濃度を上記範囲にすることにより、本発明における含フッ素乳化剤の回収率を90質量%以上にできる。
【0043】
水性液(D)における含フッ素乳化剤の濃度が余りに低いと、該含フッ素乳化剤の遊離酸の水に対する溶解度分だけは回収できないことになり、陰イオン交換樹脂による吸着、脱着工程から回収工程までを含めた含フッ素乳化剤の回収率を十分に高くできない。なお、含フッ素乳化剤の濃度の上限は、必ずしも制限はないが、50質量%以下が好ましい。
該水性液(D)から該含フッ素乳化剤の回収方法は、前記減圧濃縮による回収方法における回収方法と同様なものが挙げられる。
【0044】
該含フッ素乳化剤を用いる重合に使用される含フッ素モノマーとしては、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)、CF=CFCl、CFH=CF、CFH=CH、CF=CH(以下、VdFという。)等のフルオロエチレン類、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HEPという。)、CF=CHCF等のフルオロプロピレン類、CF=CFOCF(以下、PMVEという。)、CF=CFO(CFCF(以下、PPVEという。)、CF=CFO(CFCF等の炭素原子数3〜10のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類、CH=CH(CFCF等の炭素原子数4〜10の(パーフルオロアルキル)エチレン類等が挙げられる。これらの含フッ素モノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
含フッ素モノマー以外のモノマーとしては、酢酸ビニル等のビニルエステル類、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ノルボルネン、ノルボナジエン等の環状構造を有する単量体、メチルアリルエーテル等のアリルエーテル類、エチレン(以下、Eという。)、プロピレン(以下、Pという。)、イソブチレン等のオレフィン類等が挙げられる。含フッ素モノマーの以外のモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
本発明において、含フッ素ポリマーとしては特に限定されないが、好ましくはTFE重合体(以下、PTFEという。)、TFE/P共重合体、TFE/P/VdF共重合体、TFE/HFP共重合体、TFE/PMVE共重合体、TFE/PPVE共重合体、E/TFE共重合体、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体およびポリフッ化ビニリデンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。より好ましくは、PTFE、TFE/P共重合体、TFE/P/VdF共重合体、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体またはTFE/PMVE共重合体である。
【実施例】
【0047】
次に、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、該含フッ素乳化剤の濃度は、メタノールと水の混合溶液を溶媒とした高速液体クロマトグラフィーマススペクトル法を用いて測定した。この方法で検出される種はCOCOCFCOOである。
【0048】
[排水中のSS分の測定(単位:質量%)]
PTFEの水性分散液からPTFEを凝集・分離した後の凝集排水の10gをメトラートレド製ハロゲン式水分測定器HR−73に入れ、200℃で質量が一定になるまで乾燥させた後の蒸発残分をSS分とした。この温度では該含フッ素乳化剤は昇華してしまうため、SS分としてカウントされない。
なお、以下の実施例、比較例において、ppm、%などは特に断らない限り質量基準である。
【0049】
[実施例1]
OCOCFCOONH(以下、EEAという。)を乳化剤としたPTFEの乳化重合後の凝集排水(SS分2300ppm含有。以下、凝集排水1と記す。)について、該含フッ素乳化剤の濃度を測定したところ608ppmであった。凝集排水1の1000L(リットル)に、撹拌しながら、65.0gの塩化アルミニウム六水和物を添加し、未凝集PTFE粒子を凝集させ、10分間撹拌した。続いて2N水酸化ナトリウムを用いて、該凝集排水1のpHを10.0に調整し、30分間撹拌した。撹拌を停止し、15時間静置後の、該排水の上澄みは無色透明であり、SS分は20ppmであった。また、該排水の上澄み中のEEA濃度は596ppmであった。
【0050】
このようにPTFE粒子を除去して得た該含フッ素乳化剤含有排水(以下、単に該排水と記す。)を、ヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置(ササクラ社製、商品名:EVCC濃縮装置)を用いて減圧濃縮した。該排水の供給量は50L/時とし、EVCC濃縮装置内部を20kPaに保った。また、EVCC濃縮装置内部の循環液の温度を55±2℃に保った。12時間かけて該排水の500LをEVCC濃縮装置に導入し、37.5倍濃縮水の20Lを得た。蒸発した水は凝縮させて全量採取し、分析したところ、該含フッ素乳化剤濃度は1.3ppmであった。
【0051】
このEVCC濃縮装置によって濃縮した37.5倍濃縮水を、エジェクターを備えたフラッシュ型濃縮装置(ササクラ社製、商品名:FTC濃縮装置)を用いてさらに濃縮した。濃縮操作中、FTC濃縮装置内部の圧力を20kPaに保った。また、温度は45±2℃に保った。20時間かけて20Lの37.5倍濃縮水を500倍濃縮水の1.0Lまで濃縮した。このFTC濃縮装置から排出された凝縮水の全てを回収し、該含フッ素乳化剤濃度を測定したところ、1ppmであった。また、この500倍濃縮水中の該含フッ素乳化剤濃度は29.5質量%であった。
【0052】
この500倍濃縮水のpHは10.5であった。この500倍濃縮水に濃硫酸を加えて、pHを1に調整した。硫酸添加中はアンカー翼で撹拌した。pHが4を下回った時点から、該濃縮水中に無色透明の浮遊物が多く発生し始めた。pHを1に調整後30分間撹拌した。このpH1に調整した濃縮水にR−225cbの100gを添加した。濃縮水中に発生した沈殿はR−225cb相に溶解した。R−225cb相を分液し、R−225cbの全量を40℃で24時間加熱し、白色固体の290.1gを得た。13C−NMRでの分析の結果、この白色固体はCOCOCFCOOHであった。このEVCC濃縮装置とFTC濃縮装置による濃縮操作でのEEAの回収率は99.0%であった。
【0053】
[実施例2]
乳化剤としてEEAを使用してTFE/HFP/VdF共重合体を製造し、TFE/HFP/VdF共重合体を凝集、分離した後、凝集排水(SS分50ppm、EEA含有量820ppm)の200Lを、2N水酸化カリウム水溶液を用いてpHを10.0に調整した。
このEEA含有排水を、エジェクターを備えたフラッシュ型濃縮装置(ササクラ社製、商品名:FTC濃縮装置)を用いて濃縮した。濃縮操作中FTC濃縮装置内部の圧力を20kPaに保った。また、温度は60±2℃に保った。100時間かけて200LのEEA含有排水を200倍濃縮水の1.0Lまで濃縮した。このFTC濃縮装置から排出された凝縮水の全量を回収し、EEA濃度を測定したところ、1ppmであった。この200倍濃縮液のEEA濃度は16.1質量%であった。
【0054】
この200倍濃縮水のpHは10.2であった。この200倍濃縮水に濃硫酸を加えて、pHを1に調整した。硫酸添加中はアンカー翼で撹拌した。pHが4を下回った時点から、該濃縮水中に無色透明の浮遊物が多く発生し始めた。pHを1に調整後30分間撹拌した。このpH1に調整した濃縮水にR−225cbの100gを添加した。濃縮水中に発生した沈殿はR−225cb相に溶解した。R−225cb相を分液し、R−225cbの全量を40℃で12時間加熱し、白色固体151.2gを得た。赤外分光分析の結果、この白色固体はCOCOCFCOOHであった。このFTC濃縮装置による濃縮操作でのEEAの回収率は92%であった。
【0055】
[実施例3]
乳化剤としてEEAを使用してTFE/P共重合体を製造して得たTFE/P共重合体の水性分散液からTFE/P共重合体を凝集・分離した後の凝集排水には、SS成分が60ppm含有されていた。また、該排水中のEEAの濃度は868ppmであり、pHは8.6であった。フルゾーン翼をセットした2Lのガラス製ビーカーに該排水の1Lを入れ、撹拌しながら10質量%の塩酸を添加し、pHを2に調整した。pH調整後、フルゾーン翼で撹拌下に塩化アルミニウム六水和物の0.1gを添加した。塩化アルミニウム六水和物の添加量は、全排水量に対して100ppmに相当した。塩化アルミニウム六水和物添加直後からSS成分の凝集が始まり、白色のゲル状沈殿物が生成した。そのまま10分間撹拌後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を添加して、該水溶液のpHを10.0に調整した。その後30分間静置したところ、凝集物はビーカー底部に沈降し、上澄み液は無色透明となった。上澄み液を平均口径10μmのろ紙を使用してろ過した後、ろ液中のSS成分を測定したところ、5ppmであった。また、該ろ液中のEEA濃度は850ppmであった。
【0056】
該ろ液の1Lを弱塩基性IER(三菱化学社製WA30、以下、IERWA30という。)の10mLを充填した容積100mLの充填塔にSV=5の空間速度で通液させ吸着操作を実施した。該ろ液の温度は、25℃であった。該ろ液の1Lを通液させるために20時間を要した。この間、充填塔は閉塞しなかった。通液後の水溶液中のEEA濃度は5ppmであった。ついで、該充填塔に0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を20mL/時の流速で1時間通液させ、吸着されたEEAの脱着操作を実施した。該水酸化ナトリウム水溶液の温度は、23℃であった。得られた脱着液のpHは10で、20mL中のEEAの濃度は4.1質量%であった。EEAの回収率は、94.5%であった。
【0057】
[実施例4]
IERWA30に代えて、強塩基性IER(三菱化学社製ダイヤイオンPA316)を用いた以外は実施例3と同様にして吸着及び脱着操作を実施した。EEAの回収率は63.3%であった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の含フッ素乳化剤の回収方法は、一般式(1)の含フッ素乳化剤を用いる含フッ素モノマーの重合装置からの排水などの種々の含フッ素乳化剤水溶液から該含フッ素乳化剤を回収する際に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):RO(CFCFO)CFCOOA
(式中、Rは炭素原子数2〜4のパーフルオロアルキル基であり、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、mは1〜3の整数である。)で表される含フッ素乳化剤の濃度が1質量ppm以上1質量%以下である水性液(A)を、圧力100kPa以下、かつ、該水性液(A)の温度100℃以下で減圧濃縮して、該含フッ素乳化剤の濃度が高濃度化された水性液(B)とし、該水性液(B)から該含フッ素乳化剤を回収することを特徴とする含フッ素乳化剤の回収方法。
【請求項2】
前記減圧濃縮が、1段目がヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置を用いて行われ、かつ、2段目以降がヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置またはフラッシュ型濃縮装置を用いて行われる請求項1に記載の含フッ素乳化剤の回収方法。
【請求項3】
一般式(1):RO(CFCFO)CFCOOA
(式中、Rは炭素原子数2〜4のパーフルオロアルキル基であり、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、mは1〜3の整数である。)で表される含フッ素乳化剤の濃度が1質量ppm以上5質量%以下である水性液(C)を、陰イオン交換樹脂に接触させて該含フッ素乳化剤を陰イオン交換樹脂に吸着させ、その後にアルカリ性水溶液で該含フッ素乳化剤を脱着させて、該含フッ素乳化剤の濃度が高濃度化された水性液(D)とし、該水性液(D)から該含フッ素乳化剤を回収することを特徴とする含フッ素乳化剤の回収方法。
【請求項4】
前記陰イオン交換樹脂が弱塩基性陰イオン交換樹脂である請求項3に記載の含フッ素乳化剤の回収方法。
【請求項5】
前記水性液(A)または(C)が、
一般式(1):RO(CFCFO)CFCOOA
(式中、Rは炭素原子数2〜4のパーフルオロアルキル基であり、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、mは1〜3の整数である。)で表される含フッ素乳化剤を含む水性媒体中で少なくとも1種の含フッ素モノマーを乳化重合または懸濁重合して得られる含フッ素ポリマーの製造工程における、該含フッ素ポリマーを分離した後の排水(A1)、および該含フッ素ポリマーの乾燥工程および/または熱処理工程の排ガスを水性液で洗浄して得られる該含フッ素乳化剤を含む水性液(A2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の水性液である請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素乳化剤の回収方法。
【請求項6】
前記水性液(B)および/または(D)からの含フッ素乳化剤の回収が、非水溶性含フッ素有機溶媒を用いる抽出法によって行われる請求項1〜5のいずれかに記載の含フッ素乳化剤の回収方法。
【請求項7】
前記含フッ素ポリマーを分離した後の排水(A1)中の浮遊固形物および浮遊固形物になりうる物質の含有量が0.3質量%以下である請求項5または6に記載の含フッ素乳化剤の回収方法。
【請求項8】
前記含フッ素ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン/フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/CF=CF−O−Rf1(式中、Rf1はエーテル性の酸素原子を有してもよい炭素原子数1〜20のパーフルオロアルキル基である。)共重合体およびポリフッ化ビニリデンからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項5〜7のいずれかに記載の含フッ素乳化剤の回収方法。

【公開番号】特開2007−283224(P2007−283224A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114203(P2006−114203)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】