説明

吸引破砕機及び吸引破砕機を備えた車両

【課題】効率よく安定して廃棄物(被破砕物)、特にペットボトルや空き缶などを小片化可能とする。
【解決手段】被破砕物106を吸引し破砕を行う吸引破砕機110であって、被破砕物106を吸引する力で破砕を行う位置まで被破砕物106を搬送させる搬送管部112と、搬送管部112の最小内径Dよりも長い刃とされた4つの破砕刃部126と、4つのブレード124をブレード124の回転中心軸124Bから放射状に有するファン部120と、破砕刃部126とブレード124の回転駆動に兼用され、破砕刃部126で被破砕物106の破砕を行わせるとともにファン部120で被破砕物106を吸引する力を発生させる駆動部130と、を備え、破砕刃部106のすべてが回転中心軸124Bを跨がないように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引破砕機及び吸引破砕機を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
増大する廃棄物(リサイクル可能なものを含む)を減量して回収することは、廃棄物回収効率の点から、今後ますます重要な問題となってくると考えられる。例えば、空となったペットボトルの回収作業では、従来、資源回収車に備えられた体積低減機構を用いることで、単にペットボトルをそのままの形で回収するよりも回収容量を増大させていた。しかし、このようなやり方では、十分に高い回収効率が得られず、今後増加するペットボトルの回収量に対応することが困難と考えられている。このため、例えば、特許文献1では、ペットボトルの回収時に破砕し小片化して回収効率を向上させる装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−17881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、ペットボトルを破砕するために、その破砕のための歯の部分にペットボトルを巻き込ませる必要がある。しかしながら、ペットボトルは軽いので単にその歯の部分にペットボトルを配置させるだけでは、ペットボトルをスムーズに巻き込ませることに困難を伴うおそれがある。即ち、特許文献1の装置では、効率よく安定してペットボトルを破砕することが困難とも考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、前記問題点等を解決するべくなされたもので、効率よく安定して廃棄物(被破砕物)、特にペットボトルや空き缶などを小片化可能な吸引破砕機及び吸引破砕機を備えた車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被破砕物を吸引し破砕を行う吸引破砕機であって、前記被破砕物を吸引する力で前記破砕を行う位置まで該被破砕物を搬送させる搬送管部と、該搬送管部の最小内径よりも長い刃とされた1つ以上の破砕刃部と、1つ以上のブレードを該ブレードの回転中心軸から放射状に有するファン部と、該破砕刃部とブレードの回転駆動に兼用され、該破砕刃部で前記被破砕物の破砕を行わせるとともに前記ファン部で該被破砕物を吸引する力を発生させる駆動部と、を備え、前記破砕刃部の少なくとも1つが前記回転中心軸を跨がないように配置されていることにより、前記課題を解決したものである。
【0007】
本発明は、簡易的な構成で被破砕物(廃棄物)を吸引することで、安定した破砕を実現させるようにしたものある。即ち、本発明は、ファン部で発生する被破砕物を吸引する力で破砕を行う位置まで被破砕物を搬送させる搬送管部を備えている。このため、ファン部で発生する吸引する力を効率よく被破砕物に伝えることができ、破砕を行う位置まで被破砕物を安定して搬送させることができる。このとき、搬送管部の最小内径で被破砕物の大きさが制限されている。そして、破砕を行う破砕刃部は当該最小内径よりも長い刃とされ、且つその破砕刃部がファン部のブレードの回転中心軸を跨がないように配置されて、回転している。このため、回転中心軸を除く(破砕に有効な)領域に位置する破砕刃部で、搬送管部を通過する被破砕物を一気にいわば輪切りすることができる。即ち、搬送管部で搬送される被破砕物を確実に安定して破砕することができる。
【0008】
そして、駆動部は、破砕刃部とブレードの回転駆動に兼用されているので、吸引破砕機を大型にすることなく簡易的な構成とすることができる。
【0009】
また、当然に被破砕物が小片化されることで、被破砕物をそのままの状態よりも減量することができる。
【0010】
なお、前記ブレードの端部に前記破砕刃部が一体的に設けられている場合には、更に吸引破砕機を小型で且つ簡易的な構成とすることができる。
【0011】
なお、前記破砕を行う位置で前記被破砕物が前記破砕刃部の回転範囲に移動するように、前記搬送管部が構成されている場合には、被破砕物が回転中心軸に跨らずに、確実に破砕刃部で破砕されることとなる。このため、更に安定して被破砕物を破砕することが可能となる。
【0012】
なお、前記被破砕物を吸引する方向に対する前記ブレードの角度よりも前記破砕刃部の角度の方が大きくされている場合には、被破砕物の破砕を更に容易に行うことができる。
【0013】
なお、更に、前記回転中心軸の方向で前記破砕刃部と近接して固定配置されるとともに、前記回転駆動で該破砕刃物のエッジと自身のエッジが向かい合う固定刃部を備える場合には、被破砕物を破砕刃部のエッジと固定刃部のエッジとで挟んで破砕することが可能となる。このため、更に効率的に且つ確実に被破砕物を破砕することができる。
【0014】
なお、前記破砕を行う位置における前記被破砕物の吸引方向と前記回転中心軸とが直交するように配置されている場合には、破砕された被破砕物の破砕片が破砕を行う位置にとどまりにくくなり、当該破砕片の詰りを回避することが可能となる。
【0015】
なお、前記破砕刃部が複数の回転支持体に一体的に設けられている場合には、破砕刃物における被破砕物の破砕機会を増やすことができる。このため、被破砕物をより小片化することができる。
【0016】
なお、前記被破砕物は、特に限定されていないが、空き缶若しくはペットボトルとされていてもよい。
【0017】
なお、被破砕物が空き缶若しくはペットボトルとされていて、前記最小内径が前記搬送管部の吸引口の近傍に設けられ、前記被破砕物の外径よりも大きく且つ該外径の2倍よりも小さい場合には、被破砕物である空き缶若しくはペットボトルを同時に2本吸い込むことが防止され搬送管部における詰まりを防止できる。同時、吸引する力の低下も最小限にすることができ、被破砕物の搬送を確実に行うことができる。
【0018】
なお、前記吸引破砕機を備えた車両であって、更に、前記ファン部の後段に、破砕された被破砕物の体積を低減させる体積低減機構を備える場合には、当該車両をそのまま資源回収のために使用することができる。その際に、当該体積低減機構を備えているので、破砕片を更に減量することができ、回収効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、効率よく安定して廃棄物(被破砕物)、特にペットボトルや空き缶などを小片化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る吸引破砕機を備えた車両(資源回収車)の一例を示す模式図
【図2】図1で示した吸引破砕機と体積低減機構を示す模式図
【図3】本発明の第1実施形態に係る吸引破砕機の振り分け部材を示す模式図
【図4】同じく吸引破砕機の主にファン部の第1、第2フレームを示す模式図
【図5】同じく吸引破砕機のファン部のブレードを示す模式図
【図6】同じく吸引破砕機のファン部の第1フレームとブレードとの関係を示す模式図
【図7】本発明の第2実施形態に係る吸引破砕機の一例を示す模式図
【図8】本発明の第3実施形態に係る吸引破砕機の一例を示す模式図
【図9】本発明の第4実施形態に係る吸引破砕機の一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態の一例を詳細に説明する。
【0022】
最初に、本実施形態に係る吸引破砕機を備えた車両である資源回収車について説明する。
【0023】
資源回収車100は、図1に示す如く、運転室102とコンテナ室104とを有する。コンテナ室104には、吸引破砕機110と体積低減機構134とを備える。作業者は、運転室102における操作で、資源回収車100の移動と、吸引破砕機110及び体積低減機構134の動作と、を制御することができる。なお、吸引破砕機110と体積低減機構134との間のコンテナ室104の床には凹部104Aが設けられている。また、コンテナ室104の凹部104Aの上方には吸引破砕機110の占める空間よりも広い空間104Bが設けてあり、コンテナ室104の外部に通じる図示せぬ排気口が設けてある。
【0024】
吸引破砕機110は、図2に示す如く、被破砕物106を吸引し破砕を行う装置である。そして、吸引破砕機110は、搬送管部112と破砕刃部126(図5)とファン部120と駆動部130とを備える。搬送管部112は、被破砕物106を吸引する力で破砕を行う位置まで被破砕物106を搬送させる。破砕刃部126は4つ設けられて、それぞれが搬送管部112の最小内径Dよりも長い刃L1とされている(図5)。ファン部120は、4つのブレード124をブレード124の回転中心軸124Bから放射状に有する。駆動部130は、破砕刃部126とブレード124の回転駆動に兼用され、破砕刃部126で被破砕物106の破砕を行わせるとともにファン部120で被破砕物106を吸引する力を発生させる。そして、破砕刃部126の全ては、回転中心軸124Bを跨がないように配置されている。
【0025】
なお、被破砕物106は、図1、図2に示す如く、例えばリサイクル可能なペットボトルであり、概略的には円柱形状とされている。このため、円柱形状の直径を外径D1と以下称する。なお、ペットボトルは、その内部に水分を密閉してある程度の衝撃に耐える必要があるため、単に押しつぶすだけでは大きな力をかけても完全に平面状とすることができない。しかし、ペットボトルを2つに破砕するだけで、破砕する以前のペットボトルよりもより少ない力で且つより平面状に押しつぶすことができる(空き缶等であっても同様)。
【0026】
以下、吸引破砕機110に係る各構成要素について詳細に説明する。
【0027】
前記搬送管部112は、図1に示す如く、フレキシブルホース部分114と継ぎ手部分116と振り分け部材118とを有する。フレキシブルホース部分114は、中心部分が中空とされた曲げ伸縮の自在な管であり、その一端に吸引口112Aが設けられている。吸引口112Aはラッパ形状に広がっているものの、吸引口112Aの近傍で中空とされた中心部分の内径が搬送管部112の最小とされている(最小内径D)。ここで、最小内径Dと被破砕物106の外径D1については式(1)の関係が満たされている。
【0028】
D1<D<2*D1 (1)
【0029】
式(1)の関係により、たとえ大きく被破砕物106が変形していても、安定して被破砕物106を吸引口112Aから吸引することができる。
【0030】
フレキシブルホース部分114のもう一端は、継ぎ手部分116に隙間なく接続されている。継ぎ手部分116は、外形が円錐台形状であり、その中心部分は中空とされている。継ぎ手部分116の中空とされた部分には、振り分け部材118が配置されている。振り分け部材118は、図3に示す如く、4つの開口部118Bを周方向に均等に備えるように4つの桟部118Aを有している。そして、その桟部118Aには隣接する開口部118Bから等距離で稜線が設けられている。振り分け部材118の中心位置(後述する回転中心軸124B上にくる位置)で最大に張り出すように頂部118Cが設けられている。このため、継ぎ手部分116に移動してくる被破砕物106は、開口部間で留まることなく、いずれかの開口部118Bに振り分けられる。即ち、被破砕物106の破砕を行う位置で被破砕物106が破砕刃部126の回転範囲に移動するように、搬送管部112が形成されている。なお、振り分け部材118は、後述する第1フレーム122に一体的に設けられている。
【0031】
前記ファン部120は、図2に示す如く、第1フレーム122と4つのブレード124と第2フレーム128とを有する。第1フレーム122は、図4(A)に示す如く、4つの開口部122Bを周方向に均等に備えるように4つの桟部122Aを有している。そして、第1フレーム122は、上述の如く、振り分け部材118と一体とされている。なお、第1フレーム122の桟部122Aには固定刃部122Cが固定配置されている。ブレード124は、図5に示す如く、周方向に均等に4つ設けられており、回転中心軸124Bに固定支持されている。図6に示す如く、ブレード124の第1フレーム122に近い端部124Aは、回転中心軸124Bの方向Oで、第1フレーム122の桟部122Aに接触しない程度に、近接する形状とされている。その端部124Aには、破砕刃部126が一体的に設けられている。即ち、固定刃部122Cは、回転中心軸124Bの方向Oで破砕刃部126と近接して固定配置されるとともに、回転駆動で破砕刃部126のエッジと固定刃部122Cのエッジが向かい合うようにされている。ここで、破砕刃部126の刃の長さL1と固定刃部122Cの刃の長さL2と最小内径Dとの関係は式(2)を満たしている。
【0032】
L1、L2>D (2)
【0033】
なお、図6で示す如く、回転中心軸124Bの方向O(被破砕物106を吸引する方向)に対するブレード124の角度θ1は、回転により空気の流れを作ることで被破砕物106に対して吸引する力を発生させる。このために、式(3)が成り立つ。
【0034】
0度<θ1<90度 (3)
【0035】
これに対して、破砕刃部126は、固定刃部122Cと被破砕物106を挟み込んで破砕することから、回転中心軸124Bの方向O(被破砕物106を吸引する方向)に対する破砕刃部126の角度θ2については、式(4)の関係が成り立つ。
【0036】
θ2≒90度 (4)
【0037】
即ち、本実施形態では、式(5)が成り立っている。
【0038】
θ1<θ2 (5)
【0039】
第2フレーム128は、図4(B)に示す如く、第1フレーム122の4つの開口部122Bのうちの3つに対応して、回転中心軸124Bの方向Oで同じ位置に同じ大きさで開口部128Bを備えるように2つの桟部128Aを有している。第2フレーム128の開口部が設けられていない部分の背面に駆動部130が配置される。なお、回転中心軸124Bは、第1フレーム122と第2フレーム128とに図示せぬ軸受を介して支持されている。このため、破砕等の際に生じる偏荷重が駆動部130に直接的にかかることを防止でき、駆動部130の長寿命化を促進することができる。ファン部120は、開口部以外はすべて密閉されており、コンテナ室104に固定される。
【0040】
前記駆動部130は、例えば回転中心軸124Bを出力軸とするギヤドモータであり、ファン部120とともにコンテナ室104に固定されている。
【0041】
次に、体積低減機構134について以下に説明する。
【0042】
体積低減機構134は、図2に示す如く、ファン部120の後段に配置されており、ガイド部136と上下アーム138とかき上げアーム140と強制押出板142とを有する。ガイド部136は、コンテナ室104に固定されており、上下アーム138の上下動作をガイドする。かき上げアーム140は、上下アーム138の下端に設けられた支持軸138Aを中心に回転可能とされている。強制押出板142は、コンテナ室104のガイド部136近傍まで水平に移動可能とされた隔壁である。このため、かき上げアーム140の下端部で、コンテナ室104の凹部104Aに溜まる破砕片107をかきあげて、上下アーム138の上方への移動により、かき上げられた破砕片107を強制押出板142に押圧して、破砕片107の体積を低減させることができる(圧縮板式体積低減機構)。
【0043】
次に、資源回収車100の動作について、主に図1を用いて説明する。
【0044】
最初に、作業者が資源回収車100を、被破砕物106の入った集積箱Boxのある場所に移動させる。そこで、資源回収車100を止めた状態で、吸引破砕機110と体積低減機構134とを稼働状態とする。
【0045】
次に、吸引破砕機110の搬送管部112の吸引口112Aを集積箱Boxに挿入する。そして、被破砕物106を吸引していく。この時、作業者は、吸引口112Aが特定の形状(ラッパ形状で、すぐに最小内径Dとされている)であることから、被破砕物106の方向を正確にそろえるといった手間をかけることなく、詰まりを生じさせることなく被破砕物106をスムーズに搬送管部112に送り込むことができる。
【0046】
次に、被破砕物106は、搬送管部112の継ぎ手部分116の振り分け部材118により、スムーズに各開口部118Bに振り分けられる。そして、各開口部118Bを被破砕物106が通過して、ファン部120に設けられた破砕刃部126で被破砕物106の破砕が行われる。即ち、1つの開口部118B(122B)における被破砕物106の破砕速度が遅くても、4つの開口部118B(122B)で破砕が同時に可能とされているので、破砕作業を高速に行うことができる。
【0047】
次に、破砕された被破砕物106(破砕片107)は、第2フレーム128の各開口部128Bを通過する。すると、今までよりも空間(例えば空間104B)が広くなり、ブレード124で生じていた空気の流れが弱まる。このため、破砕片107にかかっていた(吸引)力が弱まり落下して、第2フレーム128の後段に設けられたコンテナ室104の凹部104Aに破砕片107が集められる。そして、吸引口112Aから吸い込まれた空気は、コンテナ室104の上方に設けられた排気口から外部に排出される。
【0048】
次に、凹部104Aに集められた破砕片107は、かき上げアーム140でかきあげられて、強制押出板142に押圧される。かき上げアーム140でかき上げられた破砕片107が多量になり、これ以上減量ができない状態となると、強制押出板142をガイド部136から離れる方向に移動させて、かき上げアーム140による破砕片107の押圧を行う。そして、資源回収車100は、被破砕物106を破砕し減量して高い回収効率で、被破砕物106の回収を行う。
【0049】
このように、本実施形態は、ファン部120で空気の流れを発生させることで生じる被破砕物106を吸引する力で破砕を行う位置まで被破砕物106を搬送させる搬送管部112を備えている。このため、ファン部120で発生する吸引する力を効率よく被破砕物106に伝えることができ、破砕を行う位置まで被破砕物106を安定して搬送させることができる。このとき、搬送管部112の最小内径Dで被破砕物106の大きさが制限されている。そして、式(2)で示す如く、破砕を行う破砕刃部126は最小内径Dよりも長い刃とされ、且つその破砕刃部126がファン部120のブレード124の回転中心軸124Bを跨がないように配置されて、回転している。このため、回転中心軸124Bを除く(破砕に有効な)領域に位置する破砕刃部126で、搬送管部112を通過する被破砕物106を一気にいわば輪切りすることができる。即ち、搬送管部112で搬送される被破砕物106を確実に安定して破砕することができる。
【0050】
そして、駆動部130は、破砕刃部126とブレード124の回転駆動に兼用されているので、吸引破砕機110を大型にすることなく簡易的な構成とすることができる。
【0051】
また、当然に被破砕物106が小片化されることで、被破砕物106をそのままの状態よりも減量することができる。
【0052】
また、ブレード124の端部124Aに破砕刃部126が一体的に設けられているので、更に吸引破砕機110を小型で且つ簡易的な構成とすることができる。
【0053】
また、破砕を行う位置で被破砕物106が破砕刃部126の回転範囲に移動するように、搬送管部112が構成(特に振り分け部材118の配置)されているので、被破砕物106が回転中心軸124Bに跨らずに、確実に破砕刃部126で破砕されることとなる。このため、更に安定して被破砕物106を破砕することが可能となる。
【0054】
また、式(5)に示す如く、回転中心軸124Bの方向O(被破砕物106を吸引する方向)に対するブレード124の角度θ1よりも破砕刃部126の角度θ2の方が大きくされているので、被破砕物106の破砕を更に容易に行うことができる。
【0055】
また、更に、回転中心軸124Bの方向Oで破砕刃部126と近接して固定配置されるとともに、回転駆動で破砕刃部126のエッジと自身のエッジが向かい合う固定刃部122Cを備えるので、被破砕物106を破砕刃部126のエッジと固定刃部122Cのエッジとで挟んで破砕することが可能となる。このため、更に効率的に且つ確実に被破砕物106を破砕することができる。
【0056】
また、被破砕物106がペットボトルとされていて、最小内径Dが搬送管部112の吸引口112Aの近傍に設けられ、式(1)に示す如く、被破砕物106の外径D1よりも大きく且つ外径の2倍よりも小さい。このため、被破砕物106であるペットボトルを同時に2本吸い込むことが防止され搬送管部112における詰まりを防止できる。同時に、吸引する力の低下を最小限にすることができ、被破砕物106の搬送を確実に行うことができる。
【0057】
また、本実施形態は、吸引破砕機110を備える車両(資源回収車100)であって、更に、ファン部120の後段に、破砕された被破砕物106(破砕片107)の体積を低減させる体積低減機構134を備えている。このため、当該車両をそのまま資源回収のために使用することができる。その際に、体積低減機構134を備えているので、破砕片107を更に減量することができ、回収効率を向上させることができる。
【0058】
即ち、本実施形態によれば、効率よく安定して被破砕物106であるペットボトルを小片化することが可能となる。
【0059】
本発明について第1実施形態を挙げて説明したが、本発明は第1実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。
【0060】
例えば、第1実施形態においては、体積低減機構134が、圧縮板式体積低減機構であったが、本発明はこれに限定されず、他の機構を採用してもよい。例えば、体積低減機構を、回転板で破砕片を持ち上げて押し込み板により押し込むことで体積低減を行う機構(回転板式体積低減機構)としてもよいし、円形のドラムを回転させながら破砕片を巻き込むことで体積低減を行う機構(荷箱回転式体積低減機構)としてもよい。
【0061】
また、第1実施形態においては、破砕刃部126の刃はすべて搬送管部112の最小内径Dよりも長いとしたが、本発明はこれに限定されず、破砕刃部の1つ以上が搬送管部の最小内径よりも長ければよい。
【0062】
また、第1実施形態においては、ファン部120に4つのブレード124を備えていたが、本発明はこれに限定されず、ブレードは1つ以上であればよい。
【0063】
また、第1実施形態においては、破砕刃部126の全てが回転中心軸124Bを跨がないように配置されていたが、本発明はこれに限定されず、破砕刃部の少なくとも1つが回転中心軸を跨がないように配置されていればよい。
【0064】
また、第1実施形態においては、資源回収車100に吸引破砕機110が一体的に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図7に示す第2実施形態の如く、コンテナ室とは分離した別の匡体204に吸引破砕機210の各構成要素が備えられていてもよい。その際であっても、従来の資源回収車の移動先に別個に移動させて、本実施形態の吸引破砕機210を用いてもよい。あるいは、資源回収車とは独立して用いてもよい。なお、符号204Aは、破砕片207の収納部204Bに続く匡体204の開口部を表したものである。それ以外の構成要素は第1実施形態と同一なので、符号の上1桁に1を加算して説明は省略する。
【0065】
また、上記実施形態においては、破砕刃部がブレードの端部に一体的に設けられていたが、本発明はこれに限定されずに複数の回転支持体に破砕刃部が一体的に設けられていてもよい。例えば、図8(A)、(B)の第3実施形態に示す如く、破砕刃部326がブレード324とは異なる回転支持体326Aにも一体的に設けられている場合(即ち、ブレード324も回転支持体と考えられるので2つの回転支持体に一体的に設けられていることとなる)には、破砕刃部326における被破砕物306の破砕機会を増やすことができる。このため、被破砕物306をより小片化することができる。このときの回転支持体326Aは、例えば図8(B)に示す如く、傾きのない平面的な十字形状とされている。なお、中間フレーム325は、振り分け部材318が一体的に設けられていない状態の第1フレーム322と同一構成とされている。それ以外の構成要素は、第2実施形態と同一なので、符号の上1桁に1を加算して説明は省略する。
【0066】
あるいは、吸引する力を発生させるブレードには破砕刃部が設けられずに、ブレードと1つ以上の別の回転支持体とを備えて、当該回転支持体に破砕刃部が一体的に設けられていてもよい。
【0067】
また、上記実施形態においては、破砕を行う位置で被破砕物が破砕刃部の回転範囲に移動するように、特に振り分け部材を備えることで搬送管部が構成されていたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、単に振り分け部材が単にない状態であってよいし、振り分け部材がなく第1フレームの開口部が4でなく、1つとされてその開口部が回転中心軸を跨らないように設けていてもよい(あるいは回転中心軸を跨ってもよい)。なお、振り分け部材、第1フレーム、第2フレームの開口部はそれ以外の数(2、3、5など)であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態においては、回転中心軸の方向O(被破砕物を吸引する方向)に対するブレードの角度よりも破砕刃部の角度の方が大きくされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、製造する上での容易性や加工性や部品数から、2つの角度を同じ角度としてもよい。
【0069】
また、上記実施形態においては、回転中心軸の方向で破砕刃部と近接して固定配置されるとともに、回転駆動で該破砕刃部のエッジと自身のエッジが向かい合う固定刃部を備えていたが、本発明はこれに限定されず、固定刃部を設けなくてもよいし、第1フレーム自体がなくてもよい。その場合には、部品点数を低減できるので、吸引破砕機をより低コストにすることができる。
【0070】
また、上記実施形態においては、回転中心軸の方向Oと平行に被破砕物が吸引されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図9(A)、(B)の第4実施形態の如く、破砕を行う位置における被破砕物406の吸引方向Pと回転中心軸424Bの方向Oとが直交するように配置されている場合には、破砕された被破砕物406の破砕片407が破砕を行う位置(ファン部420)にとどまりにくくなり、破砕片407の詰りを回避することが可能となる。なお、このときの第1フレーム422と第2フレーム428には開口部を設けずに、匡体404の上下方向で回転中心軸424Bを跨がずに開口部404Cを設けている。このため、継ぎ手部分や振り分け部材などを用いていない。また、破砕刃部426は、ブレード424の第1フレーム422側だけでなく、回転中心軸424B近傍を除くブレード424の端部に一体的に設けられている。そのため、ブレード424や破砕刃部426の形状は上記実施形態の場合と異ならせることができる。また、固定刃部を図示しないが、匡体に設けてもよい。
【0071】
また、上記実施形態においては、被破砕物がペットボトルとされていたが、本発明はこれに限定されずに、特に体積のわりに軽量である空き缶やその他の廃棄物などであってもよい。
【0072】
また、上記実施形態においては、最小内径Dは、搬送管部の吸引口の近傍に設けられ、被破砕物の外径D1よりも大きく且つ外径D1の2倍よりも小さくされていたが、本発明はこれに限定されず、被破砕物の外径D1であればよい。
【0073】
また、上記実施形態においては、搬送管部はフレキシブルホース部分を備えていたが、本発明はこれに限定されず、吸引口が上方に開いた状態のホッパ形状とされて搬送管部全てが金属板などの剛性部材で構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、一般の廃棄物にも利用できるが、特にリサイクル可能な空き缶やペットボトルなどの回収作業に好適である。
【符号の説明】
【0075】
100…資源回収車
102…運転室
104…コンテナ室
104A…凹部
106、206、306、406…被破砕物
107、207、307、407…破砕片
110、210、310、410…吸引破砕機
112、212、312、412…搬送管部
112A、212A、312A、412A…吸引口
114、214、314、414…フレキシブルホース部分
116、216、316…継ぎ手部分
118、218、318…振り分け部材
118A、122A、128A…桟部
118B、122B、128B、204A、304A、404C…開口部
118C…頂部
120、220、320、420…ファン部
122、222、322、422…第1フレーム
122C…固定刃部
124、224、324、424…ブレード
124A…端部
124B、224B、324B、424B…回転中心軸
126、326、426…破砕刃部
128、228、328、428…第2フレーム
130、230、330、430…駆動部
134…体積低減機構
136…ガイド部
138…上下アーム
140…かき上げアーム
142…強制押出板
204、304、404…匡体
204B、304B、404B…収納部
325…中間フレーム
326A…回転支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被破砕物を吸引し破砕を行う吸引破砕機であって、
前記被破砕物を吸引する力で前記破砕を行う位置まで該被破砕物を搬送させる搬送管部と、
該搬送管部の最小内径よりも長い刃とされた1つ以上の破砕刃部と、
1つ以上のブレードを該ブレードの回転中心軸から放射状に有するファン部と、
該破砕刃部とブレードの回転駆動に兼用され、該破砕刃部で前記被破砕物の破砕を行わせるとともに前記ファン部で該被破砕物を吸引する力を発生させる駆動部と、を備え、
前記破砕刃部の少なくとも1つが前記回転中心軸を跨がないように配置されている
ことを特徴とする吸引破砕機。
【請求項2】
請求項1において、
前記ブレードの端部に前記破砕刃部が一体的に設けられている
ことを特徴とする吸引破砕機。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記破砕を行う位置で前記被破砕物が前記破砕刃部の回転範囲に移動するように、前記搬送管部が構成されている
ことを特徴とする吸引破砕機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記被破砕物を吸引する方向に対する前記ブレードの角度よりも前記破砕刃部の角度の方が大きくされている
ことを特徴とする吸引破砕機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、更に、
前記回転中心軸の方向で前記破砕刃部と近接して固定配置されるとともに、前記回転駆動で該破砕刃部のエッジと自身のエッジが向かい合う固定刃部を備える
ことを特徴とする吸引破砕機。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記破砕を行う位置における前記被破砕物の吸引方向と前記回転中心軸とが直交するように配置されている
ことを特徴とする吸引破砕機。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記破砕刃部が複数の回転支持体に一体的に設けられている
ことを特徴とする吸引破砕機。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記被破砕物は、空き缶若しくはペットボトルとされている
ことを特徴とする吸引破砕機。
【請求項9】
請求項8において、
前記最小内径は、前記搬送管部の吸引口の近傍に設けられ、前記被破砕物の外径よりも大きく且つ該外径の2倍よりも小さい
ことを特徴とする吸引破砕機。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の吸引破砕機を備え、更に、
前記ファン部の後段に、破砕された被破砕物の体積を低減させる体積低減機構を備える
ことを特徴とする吸引破砕機を備えた車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−111506(P2013−111506A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258312(P2011−258312)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(503116073)鈴健興業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】