周波数制御のためのシステム、方法、および装置
【課題】周波数制御のためのシステム、方法、および装置。
【解決手段】一実施形態によるレシーバは、送信信号の複数の受信インスタンスを含むサンプルのストリームを受信するように構成される周波数制御ユニットを、含んでいる。その周波数制御ユニットは、複数の受信インスタンスに基づいた(例えば、回転を示す)第1の補正信号と、やはり複数の受信インスタンスに基づいた(例えば、発振器を制御する)第2の補正信号と、を出力するように構成される。いくつかの実施形態においては、制御される発振器は、別の信号、例えばGPS宇宙ビークルから受信される信号など、を受信し、かつ/または送信するために使用される。他の実施形態においては、受信インスタンスは、GPS信号からのものである。さらなる実施形態においては、固定周波数発振器が使用され、第2の補正信号は、GPS信号など別の信号を受信し、かつ/または送信するために使用される。
【解決手段】一実施形態によるレシーバは、送信信号の複数の受信インスタンスを含むサンプルのストリームを受信するように構成される周波数制御ユニットを、含んでいる。その周波数制御ユニットは、複数の受信インスタンスに基づいた(例えば、回転を示す)第1の補正信号と、やはり複数の受信インスタンスに基づいた(例えば、発振器を制御する)第2の補正信号と、を出力するように構成される。いくつかの実施形態においては、制御される発振器は、別の信号、例えばGPS宇宙ビークルから受信される信号など、を受信し、かつ/または送信するために使用される。他の実施形態においては、受信インスタンスは、GPS信号からのものである。さらなる実施形態においては、固定周波数発振器が使用され、第2の補正信号は、GPS信号など別の信号を受信し、かつ/または送信するために使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2005年5月10日に出願され、「周波数制御のためのシステム、方法、および装置(SYSTEMS, METHODS, AND APPARATUS FOR FREQUENCY CONTROL)」と題された米国仮特許出願第60/679,783号と、2006年1月26日に出願され、「周波数制御のためのシステム、方法、および装置(SYSTEMS, METHODS, AND APPARATUS FOR FREQUENCY CONTROL)」と題された米国仮特許出願第60/762,958号との利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、無線通信に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
無線チャネル上の情報の送信および/または受信のためのほとんどのシステムは、ある形式の周波数制御に依存している。例えば、無線トランスミッタ(wireless transmitter)は、一般的に、情報を、発振器によって局所的に(locally)生成される周波数基準(frequency reference)から導き出される無線周波数キャリア信号(radio-frequency carrier signal)上に変調する。レシーバ(receiver)が送信信号を受信することができるようにするためには、例えば周波数基準を制御することにより、キャリア信号の周波数を実質的に一定に保つことが望ましい。
【0004】
発振器は、一般的に温度の影響を受けやすい。発振器の出力周波数に影響を及ぼす温度過渡現象(temperature transients)は、周囲温度の変化や近くのコンポーネントからの局所的な加熱などのファクタから生ずる可能性がある。発振器信号の(およびしたがってキャリア信号の)周波数が温度過渡現象に起因したドリフトをしないようにするために何らかの形式の周波数制御を適用する(apply)ことが望ましいかもしれない。
【0005】
同様に、無線レシーバ(wireless receiver)は、一般的に、発振器によって局所的に生成される周波数基準を適用すること(applying)により、情報がその上で変調されている望ましいキャリア信号を受信する。レシーバが送信信号を受信し続けるためには、周波数基準の周波数を実質的に一定に保つことが望ましいこともある。トランスミッタと同様に、レシーバ(トランシーバ中などのようにトランスミッタと一体化されていてもよい)は、温度過渡現象に起因した発振器周波数の変化に遭遇することもあり得る。しかしながら、レシーバは、受信信号中におけるドップラー効果(Doppler effect)について補償する必要があるかもしれない。
【0006】
レシーバと送信ソースとの間の相対運動(relative motion)(および/または移動する反射器(moving reflector)によって引き起こされる可能性があるような、これら2つの間の仮現運動(apparent motion))は、
【数1】
【0007】
としてヘルツで表され得るレシーバにおけるドップラー周波数誤差(Doppler frequency error)を、引き起こす、なおここで、νは、レシーバに対するソースの見かけの(apparent)相対速度であり、fは、ヘルツで表されるキャリア周波数であり、cは、光速であり、また、
【数2】
【0008】
は、レシーバの移動の方向(direction of travel)と、レシーバから送信ソースに対する方向と、の間の角度である。もしレシーバが、そのソースに向かってまっすぐに(directly)移動している場合、そのときは、
【数3】
【0009】
=0であり、そして、もしレシーバが、そのソースからまっすぐに離れて移動している場合、そのときは、
【数4】
【0010】
=πラジアン(radians)となる。ギガヘルツレンジのキャリア周波数と、時間当たり数百マイルまでの相対速度では、ドップラー誤差(Doppler error)は、数百ヘルツの大きさの可能性があり、数十ヘルツのドップラー誤差は、より低い相対速度における場合ではより一般的である。
【0011】
温度過渡現象とドップラー誤差に遭遇し得る無線通信システムにおいては、周波数制御を達成することが望ましい。
【発明の開示】
【0012】
[概要]
一実施形態による装置は、処理装置(processing unit)を備える周波数制御ユニット(frequency control unit)を含んでいる。処理装置は、送信信号の複数の受信インスタンス(received instances)を含むサンプルのストリーム(stream)を受信し、複数の周波数誤差(frequency errors)を出力するように構成される(configured)。複数の周波数誤差の各々は、送信信号の複数の受信インスタンスのうちの対応する1つに基づいている。周波数制御ユニットはまた、複数の周波数誤差のうちの複数のものに基づいた総合誤差(combined error)を出力するように構成される結合器(combiner)と、サンプルのストリームに基づいた回転信号(rotation signal)を出力するように構成される第1の利得蓄積ステージ(gain and accumulate stage)と、を備える。複数の周波数誤差の各々は、その回転信号の第1の状態(state)に基づいており、第1の利得蓄積ステージは、総合誤差に基づいて回転信号の第2の状態を計算するように構成される。
【0013】
別の実施形態によるレシーバは、発振器制御信号(oscillator control signal)に基づいた周波数を有する周波数基準(frequency reference)を出力するように構成される発振器を備える。レシーバはまた、周波数基準に基づいた第1の局部発振器(local oscillator)(LO)信号を受信し、第1のLO信号に従って第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(radio-frequency)(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号(complex digital signal)を生成するように構成される第1のダウンコンバータ(downconverter)も含んでいる。レシーバはまた、第1の複素デジタル信号に基づいた発振器制御信号を計算するように構成される周波数制御ユニットも含んでいる。レシーバはまた、周波数基準に基づいた第2のLO信号を受信し、第2のLO信号に従って第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される第2のダウンコンバータも含んでいる。さらなる実施形態によるレシーバはまた、第2の複素デジタル信号に基づいたベースバンドデジタル信号(baseband digital signal)を生成し、ベースバンドデジタル信号に基づいてレシーバの物理位置(physical position)を計算するように構成される処理装置も含んでいる。
【0014】
別の実施形態によるレシーバは、第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を出力するように構成される第1のダウンコンバータと、第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を出力するように構成される第2のダウンコンバータと、を備える。レシーバはまた、第1の複素デジタル信号に基づいた周波数補正信号(frequency correction signal)を計算するように構成される周波数制御ユニットと、周波数補正信号に従って第2の複素デジタル信号に基づいたベースバンドデジタル信号を生成するように構成される処理装置と、を含んでいる。ベースバンドデジタル信号は、第2のRF信号によって搬送される情報シンボル(information symbols)のストリームを含んでいる。さらなる実施形態によるレシーバにおいては、処理装置は、ベースバンドデジタル信号に基づいてレシーバの物理位置を計算するように構成される。
【0015】
別の実施形態によるレシーバは、第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される第1のダウンコンバータと、第1の複素デジタル信号に基づいたタイミング調整信号(timing adjustment signal)を計算するように構成される第1の処理装置と、を備える。レシーバはまた、タイミング調整信号に従ってクロック信号を生成するように構成されるクロックシンセサイザ(clock synthesizer)と;(A)クロック信号に従って第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される第2のダウンコンバータと、(B)クロック信号に従って第3の複素デジタル信号に基づいた、第1のキャリア周波数とは異なる第3のキャリア周波数を有する第3のRF信号を生成するように構成されるアップコンバータ(upconverter)と、のうちの少なくとも一方と;を含んでいる。
【0016】
別の実施形態による周波数制御の方法は、送信信号の複数の受信インスタンスを含むサンプルのストリームを受信することと、複数の誤差を取得することと、を備える。複数の周波数誤差の各々は、(A)サンプルのストリームに基づいた回転信号の第1の状態と、(B)送信信号の複数の受信インスタンスのうちの対応する1つと、に基づいている。本方法はまた、複数の周波数誤差のうちの複数のものに基づいた総合誤差を取得することと、その総合誤差に基づいて回転信号の第2の状態を計算することと、を備える。
【0017】
さらなる実施形態による周波数制御の方法は、第1の信号中における周波数誤差を決定することを備え、ここで、その第1の信号は、第1の無線周波数信号に基づいている。本方法は、周波数誤差に基づいた第1の補正信号(correction signal)と、周波数誤差に基づいた第2の補正信号と、を取得することを含み、ここでその第2の補正信号は、その第1の補正信号とは異なっている。本方法はまた、第1の補正信号に従って第1の信号を処理することと、第2の補正信号に従って第2の無線周波数信号に関するオペレーション(operation)を実行することと、を含み、ここでそのオペレーションは、(A)第2の無線周波数信号を送信することと、(B)第2の無線周波数信号を受信することと、のうちの少なくとも一方を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】一実施形態によるレシーバ10のブロック図を示す。
【図1b】レシーバ10の別のインプリメンテーション12のブロック図を示す。
【図2】RFユニット110のインプリメンテーション112のブロック図を示す。
【図3a】ダウンコンバータ120の一実施形態122のブロック図を示す。
【図3b】ダウンコンバータ120の一実施形態124のブロック図を示す。
【図3c】ダウンコンバータ122を含む配置のブロック図を示す。
【図3d】ダウンコンバータ124を含む配置のブロック図を示す。
【図4】可変周波数発振器190のインプリメンテーション192のブロック図を示す。
【図5】一実施形態による周波数制御ユニット130のインプリメンテーション132のブロック図を示す。
【図6a】ベースバンド処理装置200のインプリメンテーション200aのブロック図を示す。
【図6b】フィンガ220aのインプリメンテーション222aのブロック図を示す。
【図7】ローテータ230のインプリメンテーション232を示す。
【図8a】デコーダ240のインプリメンテーション242のブロック図を示す。
【図8b】デコーダ240のインプリメンテーション244のブロック図を示す。
【図9a】誤差計算器250のインプリメンテーション252のブロック図を示す。
【図9b】誤差計算器250のインプリメンテーション254のブロック図を示す。
【図9c】誤差計算器250のインプリメンテーション256のブロック図を示す。
【図9d】誤差計算器のインプリメンテーション258のブロック図を示す。
【図10a】ベースバンド処理装置200のインプリメンテーション200bのブロック図を示す。
【図10b】フィンガ220bのインプリメンテーション222bのブロック図を示す。
【図11a】第1の利得蓄積ステージ150のインプリメンテーション152のブロック図を示す。
【図11b】第1の利得蓄積ステージ150のインプリメンテーション154のブロック図を示す。
【図12a】フィンガ220のインプリメンテーション220cのブロック図を示す。
【図12b】ベースバンド処理装置200のインプリメンテーション200cのブロック図を示す。
【図12c】周波数制御ユニット130のインプリメンテーション134のブロック図を示す。
【図13a】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション162のブロック図を示す。
【図13b】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション164のブロック図を示す。
【図13c】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166aのブロック図を示す。
【図13d】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166bのブロック図を示す。
【図13e】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166cのブロック図を示す。
【図14a】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166dのブロック図を示す。
【図14b】スルーレートテスティングロジックブロック430のブロック図を示す。
【図15a】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション168のブロック図を示す。
【図15b】スケーリングファクタ計算器185のブロック図を示す。
【図16a】ベースバンド処理装置300のインプリメンテーション300bのブロック図を示す。
【図16b】周波数制御ユニット130のインプリメンテーション136のブロック図を示す。
【図17】フィンガ220dのインプリメンテーション222dのブロック図を示す。
【図18a】ベースバンド処理装置300のインプリメンテーション300cのブロック図を示す。
【図18b】フィンガ220eのインプリメンテーション222eのブロック図を示す。
【図19a】フィンガ220cのインプリメンテーション222fのブロック図を示す。
【図19b】周波数制御ユニット136のインプリメンテーション136aのブロック図を示す。
【図20】周波数制御ユニット130のインプリメンテーション138のブロック図を示す。
【図21a】ベースバンド処理装置310のインプリメンテーション310aのブロック図を示す。
【図21b】フィンガ320aのインプリメンテーション322aのブロック図を示す。
【図22a】ベースバンド処理装置310のインプリメンテーション310bのブロック図を示す。
【図22b】フィンガ320bのインプリメンテーション322bのブロック図を示す。
【図23a】第1の利得蓄積ステージ350のインプリメンテーション352のブロック図を示す。
【図23b】第1の利得蓄積ステージ350のインプリメンテーション354のブロック図を示す。
【図24】一実施形態によるレシーバのブロック図を示す。
【図25a】フィンガ222bのインプリメンテーション224bのブロック図を示す。
【図25b】フィンガ222cのインプリメンテーション224cのブロック図を示す。
【図26a】時間制御ユニット510のインプリメンテーション512のブロック図を示す。
【図26b】時間制御ユニット510のインプリメンテーション514のブロック図を示す。
【図27a】周波数制御ユニット130のインプリメンテーション130tのブロック図を示す。
【図27b】第1の利得蓄積ステージ150tのインプリメンテーションのブロック図を示す。
【図28】周波数制御ユニット130のインプリメンテーションP10を含むレシーバのブロック図を示す。
【図29】タイミング調整情報を転送するように構成されるレシーバの一例を示す。
【図30】一実施形態によるレシーバのブロック図を示す。
【図31】レシーバのインプリメンテーションのブロック図を示す。
【図32a】実施形態による方法M100のフローチャートを示す。
【図32b】実施形態による方法M200のフローチャートを示す。
【図33】レシーバのインプリメンテーション20のブロック図を示す。
【図34】ダウンコンバータD122を含む配置のブロック図を示す。
【図35】ダウンコンバータD124を含む配置のブロック図を示す。
【図36】レシーバのインプリメンテーション22のブロック図を示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2005年5月10日に出願され、「周波数制御のためのシステム、方法、および装置(SYSTEMS, METHODS, AND APPARATUS FOR FREQUENCY CONTROL)」と題された米国仮特許出願第60/679,783号と、2006年1月26日に出願され、「周波数制御のためのシステム、方法、および装置(SYSTEMS, METHODS, AND APPARATUS FOR FREQUENCY CONTROL)」と題された米国仮特許出願第60/762,958号との利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、無線通信に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
無線チャネル上の情報の送信および/または受信のためのほとんどのシステムは、ある形式の周波数制御に依存している。例えば、無線トランスミッタ(wireless transmitter)は、一般的に、情報を、発振器によって局所的に(locally)生成される周波数基準(frequency reference)から導き出される無線周波数キャリア信号(radio-frequency carrier signal)上に変調する。レシーバ(receiver)が送信信号を受信することができるようにするためには、例えば周波数基準を制御することにより、キャリア信号の周波数を実質的に一定に保つことが望ましい。
【0004】
発振器は、一般的に温度の影響を受けやすい。発振器の出力周波数に影響を及ぼす温度過渡現象(temperature transients)は、周囲温度の変化や近くのコンポーネントからの局所的な加熱などのファクタから生ずる可能性がある。発振器信号の(およびしたがってキャリア信号の)周波数が温度過渡現象に起因したドリフトをしないようにするために何らかの形式の周波数制御を適用する(apply)ことが望ましいかもしれない。
【0005】
同様に、無線レシーバ(wireless receiver)は、一般的に、発振器によって局所的に生成される周波数基準を適用すること(applying)により、情報がその上で変調されている望ましいキャリア信号を受信する。レシーバが送信信号を受信し続けるためには、周波数基準の周波数を実質的に一定に保つことが望ましいこともある。トランスミッタと同様に、レシーバ(トランシーバ中などのようにトランスミッタと一体化されていてもよい)は、温度過渡現象に起因した発振器周波数の変化に遭遇することもあり得る。しかしながら、レシーバは、受信信号中におけるドップラー効果(Doppler effect)について補償する必要があるかもしれない。
【0006】
レシーバと送信ソースとの間の相対運動(relative motion)(および/または移動する反射器(moving reflector)によって引き起こされる可能性があるような、これら2つの間の仮現運動(apparent motion))は、
【数1】
【0007】
としてヘルツで表され得るレシーバにおけるドップラー周波数誤差(Doppler frequency error)を、引き起こす、なおここで、νは、レシーバに対するソースの見かけの(apparent)相対速度であり、fは、ヘルツで表されるキャリア周波数であり、cは、光速であり、また、
【数2】
【0008】
は、レシーバの移動の方向(direction of travel)と、レシーバから送信ソースに対する方向と、の間の角度である。もしレシーバが、そのソースに向かってまっすぐに(directly)移動している場合、そのときは、
【数3】
【0009】
=0であり、そして、もしレシーバが、そのソースからまっすぐに離れて移動している場合、そのときは、
【数4】
【0010】
=πラジアン(radians)となる。ギガヘルツレンジのキャリア周波数と、時間当たり数百マイルまでの相対速度では、ドップラー誤差(Doppler error)は、数百ヘルツの大きさの可能性があり、数十ヘルツのドップラー誤差は、より低い相対速度における場合ではより一般的である。
【0011】
温度過渡現象とドップラー誤差に遭遇し得る無線通信システムにおいては、周波数制御を達成することが望ましい。
【発明の開示】
【0012】
[概要]
一実施形態による装置は、処理装置(processing unit)を備える周波数制御ユニット(frequency control unit)を含んでいる。処理装置は、送信信号の複数の受信インスタンス(received instances)を含むサンプルのストリーム(stream)を受信し、複数の周波数誤差(frequency errors)を出力するように構成される(configured)。複数の周波数誤差の各々は、送信信号の複数の受信インスタンスのうちの対応する1つに基づいている。周波数制御ユニットはまた、複数の周波数誤差のうちの複数のものに基づいた総合誤差(combined error)を出力するように構成される結合器(combiner)と、サンプルのストリームに基づいた回転信号(rotation signal)を出力するように構成される第1の利得蓄積ステージ(gain and accumulate stage)と、を備える。複数の周波数誤差の各々は、その回転信号の第1の状態(state)に基づいており、第1の利得蓄積ステージは、総合誤差に基づいて回転信号の第2の状態を計算するように構成される。
【0013】
別の実施形態によるレシーバは、発振器制御信号(oscillator control signal)に基づいた周波数を有する周波数基準(frequency reference)を出力するように構成される発振器を備える。レシーバはまた、周波数基準に基づいた第1の局部発振器(local oscillator)(LO)信号を受信し、第1のLO信号に従って第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(radio-frequency)(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号(complex digital signal)を生成するように構成される第1のダウンコンバータ(downconverter)も含んでいる。レシーバはまた、第1の複素デジタル信号に基づいた発振器制御信号を計算するように構成される周波数制御ユニットも含んでいる。レシーバはまた、周波数基準に基づいた第2のLO信号を受信し、第2のLO信号に従って第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される第2のダウンコンバータも含んでいる。さらなる実施形態によるレシーバはまた、第2の複素デジタル信号に基づいたベースバンドデジタル信号(baseband digital signal)を生成し、ベースバンドデジタル信号に基づいてレシーバの物理位置(physical position)を計算するように構成される処理装置も含んでいる。
【0014】
別の実施形態によるレシーバは、第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を出力するように構成される第1のダウンコンバータと、第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を出力するように構成される第2のダウンコンバータと、を備える。レシーバはまた、第1の複素デジタル信号に基づいた周波数補正信号(frequency correction signal)を計算するように構成される周波数制御ユニットと、周波数補正信号に従って第2の複素デジタル信号に基づいたベースバンドデジタル信号を生成するように構成される処理装置と、を含んでいる。ベースバンドデジタル信号は、第2のRF信号によって搬送される情報シンボル(information symbols)のストリームを含んでいる。さらなる実施形態によるレシーバにおいては、処理装置は、ベースバンドデジタル信号に基づいてレシーバの物理位置を計算するように構成される。
【0015】
別の実施形態によるレシーバは、第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される第1のダウンコンバータと、第1の複素デジタル信号に基づいたタイミング調整信号(timing adjustment signal)を計算するように構成される第1の処理装置と、を備える。レシーバはまた、タイミング調整信号に従ってクロック信号を生成するように構成されるクロックシンセサイザ(clock synthesizer)と;(A)クロック信号に従って第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される第2のダウンコンバータと、(B)クロック信号に従って第3の複素デジタル信号に基づいた、第1のキャリア周波数とは異なる第3のキャリア周波数を有する第3のRF信号を生成するように構成されるアップコンバータ(upconverter)と、のうちの少なくとも一方と;を含んでいる。
【0016】
別の実施形態による周波数制御の方法は、送信信号の複数の受信インスタンスを含むサンプルのストリームを受信することと、複数の誤差を取得することと、を備える。複数の周波数誤差の各々は、(A)サンプルのストリームに基づいた回転信号の第1の状態と、(B)送信信号の複数の受信インスタンスのうちの対応する1つと、に基づいている。本方法はまた、複数の周波数誤差のうちの複数のものに基づいた総合誤差を取得することと、その総合誤差に基づいて回転信号の第2の状態を計算することと、を備える。
【0017】
さらなる実施形態による周波数制御の方法は、第1の信号中における周波数誤差を決定することを備え、ここで、その第1の信号は、第1の無線周波数信号に基づいている。本方法は、周波数誤差に基づいた第1の補正信号(correction signal)と、周波数誤差に基づいた第2の補正信号と、を取得することを含み、ここでその第2の補正信号は、その第1の補正信号とは異なっている。本方法はまた、第1の補正信号に従って第1の信号を処理することと、第2の補正信号に従って第2の無線周波数信号に関するオペレーション(operation)を実行することと、を含み、ここでそのオペレーションは、(A)第2の無線周波数信号を送信することと、(B)第2の無線周波数信号を受信することと、のうちの少なくとも一方を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】一実施形態によるレシーバ10のブロック図を示す。
【図1b】レシーバ10の別のインプリメンテーション12のブロック図を示す。
【図2】RFユニット110のインプリメンテーション112のブロック図を示す。
【図3a】ダウンコンバータ120の一実施形態122のブロック図を示す。
【図3b】ダウンコンバータ120の一実施形態124のブロック図を示す。
【図3c】ダウンコンバータ122を含む配置のブロック図を示す。
【図3d】ダウンコンバータ124を含む配置のブロック図を示す。
【図4】可変周波数発振器190のインプリメンテーション192のブロック図を示す。
【図5】一実施形態による周波数制御ユニット130のインプリメンテーション132のブロック図を示す。
【図6a】ベースバンド処理装置200のインプリメンテーション200aのブロック図を示す。
【図6b】フィンガ220aのインプリメンテーション222aのブロック図を示す。
【図7】ローテータ230のインプリメンテーション232を示す。
【図8a】デコーダ240のインプリメンテーション242のブロック図を示す。
【図8b】デコーダ240のインプリメンテーション244のブロック図を示す。
【図9a】誤差計算器250のインプリメンテーション252のブロック図を示す。
【図9b】誤差計算器250のインプリメンテーション254のブロック図を示す。
【図9c】誤差計算器250のインプリメンテーション256のブロック図を示す。
【図9d】誤差計算器のインプリメンテーション258のブロック図を示す。
【図10a】ベースバンド処理装置200のインプリメンテーション200bのブロック図を示す。
【図10b】フィンガ220bのインプリメンテーション222bのブロック図を示す。
【図11a】第1の利得蓄積ステージ150のインプリメンテーション152のブロック図を示す。
【図11b】第1の利得蓄積ステージ150のインプリメンテーション154のブロック図を示す。
【図12a】フィンガ220のインプリメンテーション220cのブロック図を示す。
【図12b】ベースバンド処理装置200のインプリメンテーション200cのブロック図を示す。
【図12c】周波数制御ユニット130のインプリメンテーション134のブロック図を示す。
【図13a】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション162のブロック図を示す。
【図13b】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション164のブロック図を示す。
【図13c】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166aのブロック図を示す。
【図13d】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166bのブロック図を示す。
【図13e】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166cのブロック図を示す。
【図14a】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166dのブロック図を示す。
【図14b】スルーレートテスティングロジックブロック430のブロック図を示す。
【図15a】第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション168のブロック図を示す。
【図15b】スケーリングファクタ計算器185のブロック図を示す。
【図16a】ベースバンド処理装置300のインプリメンテーション300bのブロック図を示す。
【図16b】周波数制御ユニット130のインプリメンテーション136のブロック図を示す。
【図17】フィンガ220dのインプリメンテーション222dのブロック図を示す。
【図18a】ベースバンド処理装置300のインプリメンテーション300cのブロック図を示す。
【図18b】フィンガ220eのインプリメンテーション222eのブロック図を示す。
【図19a】フィンガ220cのインプリメンテーション222fのブロック図を示す。
【図19b】周波数制御ユニット136のインプリメンテーション136aのブロック図を示す。
【図20】周波数制御ユニット130のインプリメンテーション138のブロック図を示す。
【図21a】ベースバンド処理装置310のインプリメンテーション310aのブロック図を示す。
【図21b】フィンガ320aのインプリメンテーション322aのブロック図を示す。
【図22a】ベースバンド処理装置310のインプリメンテーション310bのブロック図を示す。
【図22b】フィンガ320bのインプリメンテーション322bのブロック図を示す。
【図23a】第1の利得蓄積ステージ350のインプリメンテーション352のブロック図を示す。
【図23b】第1の利得蓄積ステージ350のインプリメンテーション354のブロック図を示す。
【図24】一実施形態によるレシーバのブロック図を示す。
【図25a】フィンガ222bのインプリメンテーション224bのブロック図を示す。
【図25b】フィンガ222cのインプリメンテーション224cのブロック図を示す。
【図26a】時間制御ユニット510のインプリメンテーション512のブロック図を示す。
【図26b】時間制御ユニット510のインプリメンテーション514のブロック図を示す。
【図27a】周波数制御ユニット130のインプリメンテーション130tのブロック図を示す。
【図27b】第1の利得蓄積ステージ150tのインプリメンテーションのブロック図を示す。
【図28】周波数制御ユニット130のインプリメンテーションP10を含むレシーバのブロック図を示す。
【図29】タイミング調整情報を転送するように構成されるレシーバの一例を示す。
【図30】一実施形態によるレシーバのブロック図を示す。
【図31】レシーバのインプリメンテーションのブロック図を示す。
【図32a】実施形態による方法M100のフローチャートを示す。
【図32b】実施形態による方法M200のフローチャートを示す。
【図33】レシーバのインプリメンテーション20のブロック図を示す。
【図34】ダウンコンバータD122を含む配置のブロック図を示す。
【図35】ダウンコンバータD124を含む配置のブロック図を示す。
【図36】レシーバのインプリメンテーション22のブロック図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振器制御信号に基づいた周波数を有する周波数基準を出力するように構成される発振器と、
前記周波数基準に基づいた第1の局部発振器(LO)信号を受け取り、前記第1のLO信号に従って、第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される第1のダウンコンバータと、
前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成される周波数制御ユニットと、
前記周波数基準に基づいた第2のLO信号を受け取り、前記第2のLO信号に従って、前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される第2のダウンコンバータと、
を備えるレシーバ。
【請求項2】
前記第1の複素デジタル信号は、送信信号の複数の受信インスタンスを含んでおり、
前記周波数制御ユニットは、各々が送信信号の前記受信インスタンスのうちの異なるものに基づいた複数の周波数誤差を計算し、前記複数の周波数誤差に基づいた前記発振器制御信号を計算するように、構成されている、
請求項1に記載のレシーバ。
【請求項3】
前記周波数制御ユニットは、各々が、前記受信インスタンスのうちの異なるもののシンボルを復号化し、前記複数の周波数誤差のうちの対応するものを計算するように構成される、複数のフィンガを、含んでおり、
前記複数のフィンガの各々は、前記受信インスタンスのうちの少なくとも1つの復号化されたシンボルに基づいた前記周波数誤差を計算するように、構成されている、
請求項2に記載のレシーバ。
【請求項4】
前記複数のフィンガの各々は、前記周波数誤差に基づいた角度により前記第1の複素デジタル信号の値を回転させるように、構成されている、
請求項3に記載のレシーバ。
【請求項5】
前記複数のフィンガのうちの1つは、前記第1の複素デジタル信号の値に対して第1の回転角度を適用するように構成されており、
前記複数のフィンガのうちの別のものは、前記第1の複素デジタル信号の前記値に対して第2の回転角度を適用するように構成されており、前記第2の回転角度は、前記第1の回転角度とは異なる、
請求項4に記載のレシーバ。
【請求項6】
前記複数のフィンガのうちの少なくとも2つの各々は、前記受信インスタンスから導き出される時間補正に従って前記それぞれの受信インスタンスの符号位相を調整するように構成されている、請求項3に記載のレシーバ。
【請求項7】
前記周波数制御ユニットは、回転信号を計算するように構成される第1の利得蓄積ステージを含む第1のループを備えており、
前記周波数制御ユニットは、前記回転信号によって示される角度だけ前記第1の複素デジタル信号の値を回転させるように構成されており、
前記レシーバは、前記発振器制御信号を計算するように構成される第2の利得蓄積ステージを含む第2のループを備えている、
請求項1に記載のレシーバ。
【請求項8】
前記第2の利得蓄積ステージは、前記回転信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成されている、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項9】
前記第1のループは、各々が複数の回転信号のうちの異なるものを計算するように構成される複数の第1の利得蓄積ステージを、含んでおり、
前記第2の利得蓄積ステージは、前記複数の回転信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成されている、
請求項7に記載のレシーバ。
【請求項10】
前記回転信号は、前記第1のRF信号中におけるドップラー誤差を示し、前記発振器制御信号は、時間にわたる前記周波数基準の前記周波数の変動を示す、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項11】
前記第2のループの応答は、送信信号の複数の受信インスタンスの強度の予想される範囲にまたがってオーバーダンピングされる、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項12】
前記第2のループの帯域幅に対する前記第1のループの帯域幅の比は、送信信号の複数の受信インスタンスの強度の予想される範囲にまたがって実質的に一定である、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項13】
前記第2のループの帯域幅は、送信信号の複数の受信インスタンスの強度の予想される範囲にまたがって実質的に一定である、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項14】
前記周波数制御ユニットは、前記回転信号に独立であるように前記発振器制御信号を計算するように構成されている、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項15】
前記第2のループは、前記第1の複素デジタル信号の前記値の前記回転を逆にするように構成されるローテータを含んでいる、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項16】
前記第2の利得蓄積ステージは、(A)前記発振器制御信号の状態に対する変化をイネーブルにするモードと(B)前記発振器制御信号の状態に対する変化をディスエーブルにするモードとのうちの一方で動作するように、選択可能に構成されており、
前記第2の利得蓄積ステージの前記動作モード間の選択は、時間にわたる前記回転信号の平均値に基づいている、
請求項7に記載のレシーバ。
【請求項17】
前記第2の利得蓄積ステージは、利得ファクタに従って前記発振器制御信号を計算するように構成されており、
前記第2の利得蓄積ステージは、時間にわたる前記回転信号の平均値に従って、複数の異なる利得ファクタのうちから前記利得ファクタを選択するように構成されている、
請求項7に記載のレシーバ。
【請求項18】
前記第2の利得蓄積ステージは、前記回転信号の大きさに基づいて前記発振器制御信号の変化のレートを制限するように構成されている、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項19】
前記第2のダウンコンバータは、
前記第2のLO信号に従って、前記第2のRF信号に基づいたダウンコンバートされた信号を生成するように構成されるミキサと、
前記ダウンコンバートされた信号に基づいた前記第2の複素デジタル信号を生成するように構成されるデジタイザと、
を備える、
請求項1に記載のレシーバ。
【請求項20】
前記レシーバは、前記周波数基準に従ってサンプリングクロック信号を生成するように構成されるクロックシンセサイザを、備え、
前記デジタイザは、前記サンプリングクロック信号に従って前記ダウンコンバートされた信号をサンプリングするように構成されている、
請求項19に記載のレシーバ。
【請求項21】
前記周波数制御ユニットは、前記第1の複素デジタル信号に基づいたタイミング調整信号を生成するように構成されており、
前記クロックシンセサイザは、前記タイミング調整信号に従って前記サンプリングクロック信号を生成するように構成されている、
請求項20に記載のレシーバ。
【請求項22】
前記レシーバは、
各々が、前記周波数基準に基づいた第1のLO信号を受け取り、前記第1のLO信号に従って、前記第1のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成された、複数の第1のダウンコンバータを、
備え、
前記周波数制御ユニットは、前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成されている、
請求項1に記載のレシーバ。
【請求項23】
前記レシーバは、
各々が、前記周波数基準に基づいた第2のLO信号を受け取り、前記第2のLO信号に従って、前記第2のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される、複数の第2のダウンコンバータを、
備える、
請求項1に記載のレシーバ。
【請求項24】
前記第1のRF信号は、測位衛星システムのトランスミッタから受信される信号を備えている、請求項1に記載のレシーバ。
【請求項25】
前記第2のRF信号は、測位衛星システムのトランスミッタから受信される信号を備えている、請求項1に記載のレシーバ。
【請求項26】
発振器制御信号に基づいた周波数を有する周波数基準を出力するように構成される発振器と、
前記周波数基準に基づいた第1の局部発振器(LO)信号を受け取り、前記第1のLO信号に従って、第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される第1のダウンコンバータと、
前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成される周波数制御ユニットと、
前記周波数基準に基づいた第2のLO信号を受け取り、前記第2のLO信号に従って、前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される第2のダウンコンバータと、
前記第2の複素デジタル信号に基づいたベースバンドデジタル信号を生成し、前記ベースバンドデジタル信号に基づいて前記レシーバの物理位置を計算するように構成される処理装置と、
を備えるレシーバ。
【請求項27】
発振器制御信号に基づいた周波数を有する周波数基準を生成することと、
前記周波数基準に基づいた第1の局部発振器(LO)信号に従って、第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成することと、
前記第1の複素デジタル信号に基づいて、前記発振器制御信号を計算することと、
前記周波数基準に基づいた第2のLO信号に従って、前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成することと、
を備える信号処理の方法。
【請求項28】
請求項27に記載の信号処理の方法を記述する、機械読取り可能命令を有するデータストレージ媒体。
【請求項29】
第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を出力するように構成される第1のダウンコンバータと;
前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を出力するように構成される第2のダウンコンバータと;
前記第1の複素デジタル信号に基づいた周波数補正信号を計算するように構成される周波数制御ユニットと:
前記周波数補正信号に従って、前記第2の複素デジタル信号に基づいたベースバンドデジタル信号を生成するように構成される処理装置と、なお、前記ベースバンドデジタル信号は、前記第2のRF信号によって搬送される情報シンボルのストリームを含む;
を備えるレシーバ。
【請求項30】
前記レシーバは、周波数基準を出力するように構成される発振器を備え、
前記第2のダウンコンバータは、前記第2のRF信号を前記周波数基準に基づいた局部発振器(LO)信号と混合するように構成されるミキサを含んでおり、
前記周波数制御ユニットは、前記周波数基準の周波数誤差に基づいた前記周波数補正信号を計算するように構成されている、
請求項29に記載のレシーバ。
【請求項31】
前記周波数制御ユニットは、前記第1の複素デジタル信号に基づいた発振器制御信号を計算するように構成されており、
前記発振器は、前記発振器制御信号に従って、前記周波数基準の周波数を変化させるように構成されている、
請求項30に記載のレシーバ。
【請求項32】
前記ミキサは、前記局部発振器信号に従って、第2のRF信号に基づいたダウンコンバートされた信号を生成するように構成されており、
前記第2のダウンコンバータは、前記ダウンコンバートされた信号に基づいた前記第2の複素デジタル信号を生成するように構成されるデジタイザを備えている、
請求項30に記載のレシーバ。
【請求項33】
前記レシーバは、前記周波数基準に従ってサンプリングクロック信号を生成するように構成されるクロックシンセサイザを、備え、
前記デジタイザは、前記サンプリングクロック信号に従って前記ダウンコンバートされた信号をサンプリングするように構成されている、
請求項32に記載のレシーバ。
【請求項34】
前記周波数制御ユニットは、前記第1の複素デジタル信号に基づいたタイミング調整信号を生成するように構成されており、
前記クロックシンセサイザは、前記タイミング調整信号に従って前記サンプリングクロック信号を生成するように構成されている、
請求項33に記載のレシーバ。
【請求項35】
前記レシーバは、
各々が、前記周波数基準に基づいた別のLO信号を受け取り、他のLO信号に従って、前記第1のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される、複数の第1のダウンコンバータを、
備え、
前記周波数制御ユニットは、前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成されている、
請求項31に記載のレシーバ。
【請求項36】
前記レシーバは、
各々が、前記LO信号を受け取り、前記LO信号に従って、前記第2のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される、複数の第2のダウンコンバータを、
備える、
請求項31に記載のレシーバ。
【請求項37】
前記レシーバは、
各々が、前記周波数補正信号に従って、前記第2の複素デジタル信号のうちの対応するものに基づいたベースバンドデジタル信号を生成するように構成される、複数の処理装置を、
備える、
請求項36に記載のレシーバ。
【請求項38】
前記処理装置は、前記周波数補正信号によって示される角度だけ前記第2の複素デジタル信号の値を回転させるように構成されている、請求項29に記載のレシーバ。
【請求項39】
前記レシーバは、周波数基準を出力するように構成される発振器を備え、
前記処理装置は、前記第2のRF信号のドップラー誤差に従って前記第2の複素デジタル信号の値を回転させるように構成されており、
前記周波数制御ユニットは、前記周波数基準の時間変化する周波数誤差に従って前記周波数補正信号を計算するように構成されている、
請求項29に記載のレシーバ。
【請求項40】
前記第1の複素デジタル信号は、送信信号の複数の受信インスタンスを含んでおり、
前記周波数制御ユニットは、各々が送信信号の前記受信インスタンスのうちの異なるものに基づいた複数の周波数誤差を計算し、前記複数の周波数誤差に基づいた前記周波数補正信号を計算するように構成されている、
請求項29に記載のレシーバ。
【請求項41】
前記周波数制御ユニットは、各々が、前記受信インスタンスのうちの異なるもののシンボルを復号化し、前記複数の周波数誤差のうちの対応するものを計算するように構成される、複数のフィンガを含んでおり、
前記複数のフィンガの各々は、前記受信インスタンスの少なくとも1つの復号化されたシンボルに基づいた前記周波数誤差を計算するように構成されている、
請求項40に記載のレシーバ。
【請求項42】
前記複数のフィンガの各々は、前記周波数誤差に基づいた角度だけ前記第1の複素デジタル信号の値を回転させるように構成されている、請求項41に記載のレシーバ。
【請求項43】
前記複数のフィンガのうちの1つは、前記第1の複素デジタル信号の値に対して第1の回転角度を適用するように構成されており、
前記複数のフィンガのうちの別のものは、前記第1の複素デジタル信号の前記値に対して第2の回転角度を適用するように構成されており、前記第2の回転角度は、前記第1の回転角度とは異なる、
請求項42に記載のレシーバ。
【請求項44】
前記複数のフィンガのうちの少なくとも2つの各々は、前記受信インスタンスから導き出される時間補正に従って前記それぞれの受信インスタンスの符号位相を調整するように構成されている、請求項41に記載のレシーバ。
【請求項45】
前記周波数制御ユニットは、回転信号を計算するように構成される第1の利得蓄積ステージを含む第1のループを備えており、
前記周波数制御ユニットは、前記回転信号によって示される角度だけ前記第1の複素デジタル信号の値を回転させるように構成されており、
前記レシーバは、前記周波数補正信号を計算するように構成される第2の利得蓄積ステージを含む第2のループを備えている、
請求項29に記載のレシーバ。
【請求項46】
前記第2の利得蓄積ステージは、前記回転信号に基づいた前記周波数補正信号を計算するように構成されている、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項47】
前記第1のループは、各々が複数の回転信号のうちの異なるものを計算するように構成される、複数の第1の利得蓄積ステージを含んでおり、
前記第2の利得蓄積ステージは、前記複数の回転信号に基づいた前記周波数補正信号を計算するように構成されている、
請求項45に記載のレシーバ。
【請求項48】
前記回転信号は、前記第1のRF信号中におけるドップラー誤差を示し、前記周波数補正信号は、時間にわたる周波数基準の前記周波数の変動を示す、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項49】
前記第2のループの応答は、送信信号の複数の受信インスタンスの強度の予想される範囲にまたがってオーバーダンピングされる、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項50】
前記第2のループの帯域幅に対する前記第1のループの帯域幅の比は、送信信号の複数の受信インスタンスの強度の予想される範囲にまたがって実質的に一定である、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項51】
前記第2のループの帯域幅は、送信信号の複数の受信インスタンスの強度の予想される範囲にまたがって実質的に一定である、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項52】
前記周波数制御ユニットは、前記回転信号に独立であるように前記周波数補正信号を計算するように構成されている、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項53】
前記第2の利得蓄積ステージは、(A)前記周波数補正信号の状態に対する変化をイネーブルにするモードと(B)前記周波数補正信号の状態に対する変化をディスエーブルにするモードとのうちの一方で動作するように、選択可能に構成されており、
前記第2の利得蓄積ステージの前記動作モード間の選択は、時間にわたる前記回転信号の平均値に基づいている、
請求項45に記載のレシーバ。
【請求項54】
前記第2の利得蓄積ステージは、利得ファクタに従って前記周波数補正信号を計算するように構成されており、
前記第2の利得蓄積ステージは、時間にわたる前記回転信号の平均値に従って、複数の異なる利得ファクタのうちから前記利得ファクタを選択するように構成されている、
請求項45に記載のレシーバ。
【請求項55】
前記第2の利得蓄積ステージは、前記回転信号の大きさに基づいて、前記周波数補正信号の変化のレートを制限するように構成されている、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項56】
前記第1のRF信号は、測位衛星システムのトランスミッタから受信される信号を備えている、請求項29に記載のレシーバ。
【請求項57】
前記第2のRF信号は、測位衛星システムのトランスミッタから受信される信号を備えている、請求項29に記載のレシーバ。
【請求項58】
前記レシーバは、
前記周波数補正信号に基づいた信号に従って、前記の第1および第2の複素デジタル信号とは異なる第3の複素デジタル信号に基づいた第3のRF信号を生成するように構成されるアップコンバータを、
備える、
請求項29に記載のレシーバ。
【請求項59】
第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を出力するように構成される第1のダウンコンバータと;
前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を出力するように構成される第2のダウンコンバータと;
前記第1の複素デジタル信号に基づいた周波数補正信号を計算するように構成される周波数制御ユニットと;
前記周波数補正信号に従って、前記第2の複素デジタル信号に基づいたベースバンドデジタル信号を生成するように構成される処理装置と、なお、前記ベースバンドデジタル信号は、前記第2のRF信号によって搬送される情報シンボルのストリームを含む;
を備え、
前記処理装置が、前記ベースバンドデジタル信号に基づいて前記レシーバの物理位置を計算するように構成されている、
レシーバ。
【請求項60】
第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成することと;
前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成することと;
前記第1の複素デジタル信号に基づいた周波数補正信号を計算することと;
前記周波数補正信号に従って、前記第2の複素デジタル信号に基づいたベースバンドデジタル信号を生成することと、なお、前記ベースバンドデジタル信号は、前記第2のRF信号によって搬送されるデジタル情報を含む;
を備える信号処理の方法。
【請求項61】
請求項60に記載の信号処理の方法を記述する機械読取り可能命令を有する、データストレージ媒体。
【請求項62】
第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される第1のダウンコンバータと、
前記第1の複素デジタル信号に基づいたタイミング調整信号を計算するように構成される処理装置と、
前記タイミング調整信号に従ってサンプリングクロック信号を生成するように構成されるクロックシンセサイザと、
前記サンプリングクロック信号に従って、前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される第2のダウンコンバータと、
を備えるレシーバ。
【請求項63】
前記レシーバは、周波数基準を出力するように構成される発振器を備え、
前記クロックシンセサイザは、前記周波数基準に基づいた前記サンプリングクロック信号を生成するように構成されており、
前記タイミング調整信号は、前記周波数基準の周波数誤差を示す、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項64】
前記第1のダウンコンバータは、前記第1のRF信号を前記周波数基準に基づいた局部発振器(LO)信号と混合するように構成されている、請求項63に記載のレシーバ。
【請求項65】
前記第2のダウンコンバータは、
前記周波数基準に基づいた第2のLO信号に従って、前記第2のRF信号に基づいたダウンコンバートされた信号を生成するように構成されるミキサと;
前記第2のRF信号に基づいた前記第2の複素デジタル信号を生成するように構成されるデジタイザと、なお、前記デジタイザは、前記サンプリングクロック信号に従って前記第2の複素デジタル信号を生成するように構成される;
を含む、
請求項63に記載のレシーバ。
【請求項66】
前記第1の複素デジタル信号は、送信信号の複数の受信インスタンスを含んでおり、
前記処理装置は、各々が送信信号の前記受信インスタンスのうちの異なるものに基づいた複数のタイミング誤差を計算し、前記複数のタイミング誤差に基づいた前記タイミング調整信号を計算するように、構成されている、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項67】
前記処理装置は、各々が、前記受信インスタンスのうちの異なるもののシンボルを復号化し、前記複数のタイミング誤差のうちの対応するものを計算するように構成される、複数のフィンガを含んでおり、
前記複数のフィンガの各々は、前記受信インスタンスの少なくとも1つの復号化されたシンボルに基づいた前記タイミング誤差を計算するように構成されている、
請求項66に記載のレシーバ。
【請求項68】
前記複数のフィンガのうちの少なくとも2つの各々は、前記受信インスタンスから導き出される時間補正に従って前記それぞれの受信インスタンスの符号位相を調整するように構成されている、請求項67に記載のレシーバ。
【請求項69】
前記複数のフィンガの各々は、前記受信インスタンスのうちの異なるもののシンボルを復号化し、対応する周波数誤差を計算するように構成されており、
前記複数のフィンガの各々は、前記受信インスタンスの少なくとも1つの復号化されたシンボルに基づいた前記周波数誤差を計算するように構成されており、
前記複数のフィンガのうちの少なくとも1つは、前記対応する周波数誤差に基づいた角度だけ前記第1の複素デジタル信号の値を回転させるように構成されている、
請求項67に記載のレシーバ。
【請求項70】
前記複数のフィンガのうちの1つは、前記第1の複素デジタル信号の値に対して第1の回転角度を適用するように構成されており、
前記複数のフィンガのうちの別のものは、前記第1の複素デジタル信号の前記値に対して第2の回転角度を適用するように構成されており、前記第2の回転角度は、前記第1の回転角度とは異なる、
請求項69に記載のレシーバ。
【請求項71】
前記複数の周波数誤差のうちの少なくとも1つに基づいた角度だけ前記第2の複素デジタル信号を回転させるように構成されるローテータを備える、請求項69に記載のレシーバ。
【請求項72】
前記レシーバは、発振器制御信号に基づいた周波数を有する周波数基準を生成するように構成される発振器を備え、
前記第1のダウンコンバータは、前記周波数基準に基づいた第1の局部発振器(LO)信号を受け取り、前記第1のLO信号に従って、前記第1の複素デジタル信号を生成するように構成されており、
前記処理装置は、前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成されている、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項73】
前記レシーバは、
発振器制御信号に基づいた周波数を有する周波数基準を生成するように構成される発振器と、
各々が、前記周波数基準に基づいた第1の局部発振器(LO)信号を受け取り、前記第1のLO信号に従って、前記第1のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される、複数の第1のダウンコンバータと、
を備え、
前記処理装置は、複数の前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成されている、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項74】
前記レシーバは、
各々が前記第1のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される、複数の第1のダウンコンバータを、
備え、
前記処理装置は、複数の前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記タイミング調整信号を計算するように構成されている、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項75】
前記レシーバは、
各々が、前記サンプリングクロック信号に従って、前記第2のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される、複数の第2のダウンコンバータを、
備える、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項76】
前記レシーバは、
前記第1の複素信号に基づいた周波数補正信号に従って、前記の第1および第2の複素デジタル信号とは異なる第3の複素デジタル信号に基づいた第3のRF信号を生成するように構成されるアップコンバータを、
備える、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項77】
前記レシーバは、
各々が、前記タイミング調整信号に基づいた信号に従って、第3の複素デジタル信号に基づいた第3のRF信号を生成するように構成される、複数のアップコンバータと、
各々が、前記第3のRF信号のうちの異なるものに基づいた信号を送信するように構成される、複数のアンテナと、
を備える、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項78】
前記第1のRF信号は、測位衛星システムのトランスミッタから受信される信号を備える、請求項62に記載のレシーバ。
【請求項79】
前記第2のRF信号は、測位衛星システムのトランスミッタから受信される信号を備える、請求項62に記載のレシーバ。
【請求項80】
第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成することと、
前記第1の複素デジタル信号に基づいたタイミング調整信号を計算することと、
前記タイミング調整信号に従ってクロック信号を生成することと、
(A)前記クロック信号に従って、前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成することと、(B)前記クロック信号に従って、第3の複素デジタル信号に基づいた、前記第1のキャリア周波数とは異なる第3のキャリア周波数を有する第3のRF信号を生成することと、のうちの少なくとも一方と、
を備える、信号処理の方法。
【請求項81】
請求項80に記載の信号処理の方法を記述する機械読取り可能命令を有する、データストレージ媒体。
【請求項1】
発振器制御信号に基づいた周波数を有する周波数基準を出力するように構成される発振器と、
前記周波数基準に基づいた第1の局部発振器(LO)信号を受け取り、前記第1のLO信号に従って、第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される第1のダウンコンバータと、
前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成される周波数制御ユニットと、
前記周波数基準に基づいた第2のLO信号を受け取り、前記第2のLO信号に従って、前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される第2のダウンコンバータと、
を備えるレシーバ。
【請求項2】
前記第1の複素デジタル信号は、送信信号の複数の受信インスタンスを含んでおり、
前記周波数制御ユニットは、各々が送信信号の前記受信インスタンスのうちの異なるものに基づいた複数の周波数誤差を計算し、前記複数の周波数誤差に基づいた前記発振器制御信号を計算するように、構成されている、
請求項1に記載のレシーバ。
【請求項3】
前記周波数制御ユニットは、各々が、前記受信インスタンスのうちの異なるもののシンボルを復号化し、前記複数の周波数誤差のうちの対応するものを計算するように構成される、複数のフィンガを、含んでおり、
前記複数のフィンガの各々は、前記受信インスタンスのうちの少なくとも1つの復号化されたシンボルに基づいた前記周波数誤差を計算するように、構成されている、
請求項2に記載のレシーバ。
【請求項4】
前記複数のフィンガの各々は、前記周波数誤差に基づいた角度により前記第1の複素デジタル信号の値を回転させるように、構成されている、
請求項3に記載のレシーバ。
【請求項5】
前記複数のフィンガのうちの1つは、前記第1の複素デジタル信号の値に対して第1の回転角度を適用するように構成されており、
前記複数のフィンガのうちの別のものは、前記第1の複素デジタル信号の前記値に対して第2の回転角度を適用するように構成されており、前記第2の回転角度は、前記第1の回転角度とは異なる、
請求項4に記載のレシーバ。
【請求項6】
前記複数のフィンガのうちの少なくとも2つの各々は、前記受信インスタンスから導き出される時間補正に従って前記それぞれの受信インスタンスの符号位相を調整するように構成されている、請求項3に記載のレシーバ。
【請求項7】
前記周波数制御ユニットは、回転信号を計算するように構成される第1の利得蓄積ステージを含む第1のループを備えており、
前記周波数制御ユニットは、前記回転信号によって示される角度だけ前記第1の複素デジタル信号の値を回転させるように構成されており、
前記レシーバは、前記発振器制御信号を計算するように構成される第2の利得蓄積ステージを含む第2のループを備えている、
請求項1に記載のレシーバ。
【請求項8】
前記第2の利得蓄積ステージは、前記回転信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成されている、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項9】
前記第1のループは、各々が複数の回転信号のうちの異なるものを計算するように構成される複数の第1の利得蓄積ステージを、含んでおり、
前記第2の利得蓄積ステージは、前記複数の回転信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成されている、
請求項7に記載のレシーバ。
【請求項10】
前記回転信号は、前記第1のRF信号中におけるドップラー誤差を示し、前記発振器制御信号は、時間にわたる前記周波数基準の前記周波数の変動を示す、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項11】
前記第2のループの応答は、送信信号の複数の受信インスタンスの強度の予想される範囲にまたがってオーバーダンピングされる、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項12】
前記第2のループの帯域幅に対する前記第1のループの帯域幅の比は、送信信号の複数の受信インスタンスの強度の予想される範囲にまたがって実質的に一定である、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項13】
前記第2のループの帯域幅は、送信信号の複数の受信インスタンスの強度の予想される範囲にまたがって実質的に一定である、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項14】
前記周波数制御ユニットは、前記回転信号に独立であるように前記発振器制御信号を計算するように構成されている、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項15】
前記第2のループは、前記第1の複素デジタル信号の前記値の前記回転を逆にするように構成されるローテータを含んでいる、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項16】
前記第2の利得蓄積ステージは、(A)前記発振器制御信号の状態に対する変化をイネーブルにするモードと(B)前記発振器制御信号の状態に対する変化をディスエーブルにするモードとのうちの一方で動作するように、選択可能に構成されており、
前記第2の利得蓄積ステージの前記動作モード間の選択は、時間にわたる前記回転信号の平均値に基づいている、
請求項7に記載のレシーバ。
【請求項17】
前記第2の利得蓄積ステージは、利得ファクタに従って前記発振器制御信号を計算するように構成されており、
前記第2の利得蓄積ステージは、時間にわたる前記回転信号の平均値に従って、複数の異なる利得ファクタのうちから前記利得ファクタを選択するように構成されている、
請求項7に記載のレシーバ。
【請求項18】
前記第2の利得蓄積ステージは、前記回転信号の大きさに基づいて前記発振器制御信号の変化のレートを制限するように構成されている、請求項7に記載のレシーバ。
【請求項19】
前記第2のダウンコンバータは、
前記第2のLO信号に従って、前記第2のRF信号に基づいたダウンコンバートされた信号を生成するように構成されるミキサと、
前記ダウンコンバートされた信号に基づいた前記第2の複素デジタル信号を生成するように構成されるデジタイザと、
を備える、
請求項1に記載のレシーバ。
【請求項20】
前記レシーバは、前記周波数基準に従ってサンプリングクロック信号を生成するように構成されるクロックシンセサイザを、備え、
前記デジタイザは、前記サンプリングクロック信号に従って前記ダウンコンバートされた信号をサンプリングするように構成されている、
請求項19に記載のレシーバ。
【請求項21】
前記周波数制御ユニットは、前記第1の複素デジタル信号に基づいたタイミング調整信号を生成するように構成されており、
前記クロックシンセサイザは、前記タイミング調整信号に従って前記サンプリングクロック信号を生成するように構成されている、
請求項20に記載のレシーバ。
【請求項22】
前記レシーバは、
各々が、前記周波数基準に基づいた第1のLO信号を受け取り、前記第1のLO信号に従って、前記第1のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成された、複数の第1のダウンコンバータを、
備え、
前記周波数制御ユニットは、前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成されている、
請求項1に記載のレシーバ。
【請求項23】
前記レシーバは、
各々が、前記周波数基準に基づいた第2のLO信号を受け取り、前記第2のLO信号に従って、前記第2のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される、複数の第2のダウンコンバータを、
備える、
請求項1に記載のレシーバ。
【請求項24】
前記第1のRF信号は、測位衛星システムのトランスミッタから受信される信号を備えている、請求項1に記載のレシーバ。
【請求項25】
前記第2のRF信号は、測位衛星システムのトランスミッタから受信される信号を備えている、請求項1に記載のレシーバ。
【請求項26】
発振器制御信号に基づいた周波数を有する周波数基準を出力するように構成される発振器と、
前記周波数基準に基づいた第1の局部発振器(LO)信号を受け取り、前記第1のLO信号に従って、第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される第1のダウンコンバータと、
前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成される周波数制御ユニットと、
前記周波数基準に基づいた第2のLO信号を受け取り、前記第2のLO信号に従って、前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される第2のダウンコンバータと、
前記第2の複素デジタル信号に基づいたベースバンドデジタル信号を生成し、前記ベースバンドデジタル信号に基づいて前記レシーバの物理位置を計算するように構成される処理装置と、
を備えるレシーバ。
【請求項27】
発振器制御信号に基づいた周波数を有する周波数基準を生成することと、
前記周波数基準に基づいた第1の局部発振器(LO)信号に従って、第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成することと、
前記第1の複素デジタル信号に基づいて、前記発振器制御信号を計算することと、
前記周波数基準に基づいた第2のLO信号に従って、前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成することと、
を備える信号処理の方法。
【請求項28】
請求項27に記載の信号処理の方法を記述する、機械読取り可能命令を有するデータストレージ媒体。
【請求項29】
第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を出力するように構成される第1のダウンコンバータと;
前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を出力するように構成される第2のダウンコンバータと;
前記第1の複素デジタル信号に基づいた周波数補正信号を計算するように構成される周波数制御ユニットと:
前記周波数補正信号に従って、前記第2の複素デジタル信号に基づいたベースバンドデジタル信号を生成するように構成される処理装置と、なお、前記ベースバンドデジタル信号は、前記第2のRF信号によって搬送される情報シンボルのストリームを含む;
を備えるレシーバ。
【請求項30】
前記レシーバは、周波数基準を出力するように構成される発振器を備え、
前記第2のダウンコンバータは、前記第2のRF信号を前記周波数基準に基づいた局部発振器(LO)信号と混合するように構成されるミキサを含んでおり、
前記周波数制御ユニットは、前記周波数基準の周波数誤差に基づいた前記周波数補正信号を計算するように構成されている、
請求項29に記載のレシーバ。
【請求項31】
前記周波数制御ユニットは、前記第1の複素デジタル信号に基づいた発振器制御信号を計算するように構成されており、
前記発振器は、前記発振器制御信号に従って、前記周波数基準の周波数を変化させるように構成されている、
請求項30に記載のレシーバ。
【請求項32】
前記ミキサは、前記局部発振器信号に従って、第2のRF信号に基づいたダウンコンバートされた信号を生成するように構成されており、
前記第2のダウンコンバータは、前記ダウンコンバートされた信号に基づいた前記第2の複素デジタル信号を生成するように構成されるデジタイザを備えている、
請求項30に記載のレシーバ。
【請求項33】
前記レシーバは、前記周波数基準に従ってサンプリングクロック信号を生成するように構成されるクロックシンセサイザを、備え、
前記デジタイザは、前記サンプリングクロック信号に従って前記ダウンコンバートされた信号をサンプリングするように構成されている、
請求項32に記載のレシーバ。
【請求項34】
前記周波数制御ユニットは、前記第1の複素デジタル信号に基づいたタイミング調整信号を生成するように構成されており、
前記クロックシンセサイザは、前記タイミング調整信号に従って前記サンプリングクロック信号を生成するように構成されている、
請求項33に記載のレシーバ。
【請求項35】
前記レシーバは、
各々が、前記周波数基準に基づいた別のLO信号を受け取り、他のLO信号に従って、前記第1のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される、複数の第1のダウンコンバータを、
備え、
前記周波数制御ユニットは、前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成されている、
請求項31に記載のレシーバ。
【請求項36】
前記レシーバは、
各々が、前記LO信号を受け取り、前記LO信号に従って、前記第2のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される、複数の第2のダウンコンバータを、
備える、
請求項31に記載のレシーバ。
【請求項37】
前記レシーバは、
各々が、前記周波数補正信号に従って、前記第2の複素デジタル信号のうちの対応するものに基づいたベースバンドデジタル信号を生成するように構成される、複数の処理装置を、
備える、
請求項36に記載のレシーバ。
【請求項38】
前記処理装置は、前記周波数補正信号によって示される角度だけ前記第2の複素デジタル信号の値を回転させるように構成されている、請求項29に記載のレシーバ。
【請求項39】
前記レシーバは、周波数基準を出力するように構成される発振器を備え、
前記処理装置は、前記第2のRF信号のドップラー誤差に従って前記第2の複素デジタル信号の値を回転させるように構成されており、
前記周波数制御ユニットは、前記周波数基準の時間変化する周波数誤差に従って前記周波数補正信号を計算するように構成されている、
請求項29に記載のレシーバ。
【請求項40】
前記第1の複素デジタル信号は、送信信号の複数の受信インスタンスを含んでおり、
前記周波数制御ユニットは、各々が送信信号の前記受信インスタンスのうちの異なるものに基づいた複数の周波数誤差を計算し、前記複数の周波数誤差に基づいた前記周波数補正信号を計算するように構成されている、
請求項29に記載のレシーバ。
【請求項41】
前記周波数制御ユニットは、各々が、前記受信インスタンスのうちの異なるもののシンボルを復号化し、前記複数の周波数誤差のうちの対応するものを計算するように構成される、複数のフィンガを含んでおり、
前記複数のフィンガの各々は、前記受信インスタンスの少なくとも1つの復号化されたシンボルに基づいた前記周波数誤差を計算するように構成されている、
請求項40に記載のレシーバ。
【請求項42】
前記複数のフィンガの各々は、前記周波数誤差に基づいた角度だけ前記第1の複素デジタル信号の値を回転させるように構成されている、請求項41に記載のレシーバ。
【請求項43】
前記複数のフィンガのうちの1つは、前記第1の複素デジタル信号の値に対して第1の回転角度を適用するように構成されており、
前記複数のフィンガのうちの別のものは、前記第1の複素デジタル信号の前記値に対して第2の回転角度を適用するように構成されており、前記第2の回転角度は、前記第1の回転角度とは異なる、
請求項42に記載のレシーバ。
【請求項44】
前記複数のフィンガのうちの少なくとも2つの各々は、前記受信インスタンスから導き出される時間補正に従って前記それぞれの受信インスタンスの符号位相を調整するように構成されている、請求項41に記載のレシーバ。
【請求項45】
前記周波数制御ユニットは、回転信号を計算するように構成される第1の利得蓄積ステージを含む第1のループを備えており、
前記周波数制御ユニットは、前記回転信号によって示される角度だけ前記第1の複素デジタル信号の値を回転させるように構成されており、
前記レシーバは、前記周波数補正信号を計算するように構成される第2の利得蓄積ステージを含む第2のループを備えている、
請求項29に記載のレシーバ。
【請求項46】
前記第2の利得蓄積ステージは、前記回転信号に基づいた前記周波数補正信号を計算するように構成されている、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項47】
前記第1のループは、各々が複数の回転信号のうちの異なるものを計算するように構成される、複数の第1の利得蓄積ステージを含んでおり、
前記第2の利得蓄積ステージは、前記複数の回転信号に基づいた前記周波数補正信号を計算するように構成されている、
請求項45に記載のレシーバ。
【請求項48】
前記回転信号は、前記第1のRF信号中におけるドップラー誤差を示し、前記周波数補正信号は、時間にわたる周波数基準の前記周波数の変動を示す、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項49】
前記第2のループの応答は、送信信号の複数の受信インスタンスの強度の予想される範囲にまたがってオーバーダンピングされる、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項50】
前記第2のループの帯域幅に対する前記第1のループの帯域幅の比は、送信信号の複数の受信インスタンスの強度の予想される範囲にまたがって実質的に一定である、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項51】
前記第2のループの帯域幅は、送信信号の複数の受信インスタンスの強度の予想される範囲にまたがって実質的に一定である、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項52】
前記周波数制御ユニットは、前記回転信号に独立であるように前記周波数補正信号を計算するように構成されている、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項53】
前記第2の利得蓄積ステージは、(A)前記周波数補正信号の状態に対する変化をイネーブルにするモードと(B)前記周波数補正信号の状態に対する変化をディスエーブルにするモードとのうちの一方で動作するように、選択可能に構成されており、
前記第2の利得蓄積ステージの前記動作モード間の選択は、時間にわたる前記回転信号の平均値に基づいている、
請求項45に記載のレシーバ。
【請求項54】
前記第2の利得蓄積ステージは、利得ファクタに従って前記周波数補正信号を計算するように構成されており、
前記第2の利得蓄積ステージは、時間にわたる前記回転信号の平均値に従って、複数の異なる利得ファクタのうちから前記利得ファクタを選択するように構成されている、
請求項45に記載のレシーバ。
【請求項55】
前記第2の利得蓄積ステージは、前記回転信号の大きさに基づいて、前記周波数補正信号の変化のレートを制限するように構成されている、請求項45に記載のレシーバ。
【請求項56】
前記第1のRF信号は、測位衛星システムのトランスミッタから受信される信号を備えている、請求項29に記載のレシーバ。
【請求項57】
前記第2のRF信号は、測位衛星システムのトランスミッタから受信される信号を備えている、請求項29に記載のレシーバ。
【請求項58】
前記レシーバは、
前記周波数補正信号に基づいた信号に従って、前記の第1および第2の複素デジタル信号とは異なる第3の複素デジタル信号に基づいた第3のRF信号を生成するように構成されるアップコンバータを、
備える、
請求項29に記載のレシーバ。
【請求項59】
第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を出力するように構成される第1のダウンコンバータと;
前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を出力するように構成される第2のダウンコンバータと;
前記第1の複素デジタル信号に基づいた周波数補正信号を計算するように構成される周波数制御ユニットと;
前記周波数補正信号に従って、前記第2の複素デジタル信号に基づいたベースバンドデジタル信号を生成するように構成される処理装置と、なお、前記ベースバンドデジタル信号は、前記第2のRF信号によって搬送される情報シンボルのストリームを含む;
を備え、
前記処理装置が、前記ベースバンドデジタル信号に基づいて前記レシーバの物理位置を計算するように構成されている、
レシーバ。
【請求項60】
第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成することと;
前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成することと;
前記第1の複素デジタル信号に基づいた周波数補正信号を計算することと;
前記周波数補正信号に従って、前記第2の複素デジタル信号に基づいたベースバンドデジタル信号を生成することと、なお、前記ベースバンドデジタル信号は、前記第2のRF信号によって搬送されるデジタル情報を含む;
を備える信号処理の方法。
【請求項61】
請求項60に記載の信号処理の方法を記述する機械読取り可能命令を有する、データストレージ媒体。
【請求項62】
第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される第1のダウンコンバータと、
前記第1の複素デジタル信号に基づいたタイミング調整信号を計算するように構成される処理装置と、
前記タイミング調整信号に従ってサンプリングクロック信号を生成するように構成されるクロックシンセサイザと、
前記サンプリングクロック信号に従って、前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される第2のダウンコンバータと、
を備えるレシーバ。
【請求項63】
前記レシーバは、周波数基準を出力するように構成される発振器を備え、
前記クロックシンセサイザは、前記周波数基準に基づいた前記サンプリングクロック信号を生成するように構成されており、
前記タイミング調整信号は、前記周波数基準の周波数誤差を示す、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項64】
前記第1のダウンコンバータは、前記第1のRF信号を前記周波数基準に基づいた局部発振器(LO)信号と混合するように構成されている、請求項63に記載のレシーバ。
【請求項65】
前記第2のダウンコンバータは、
前記周波数基準に基づいた第2のLO信号に従って、前記第2のRF信号に基づいたダウンコンバートされた信号を生成するように構成されるミキサと;
前記第2のRF信号に基づいた前記第2の複素デジタル信号を生成するように構成されるデジタイザと、なお、前記デジタイザは、前記サンプリングクロック信号に従って前記第2の複素デジタル信号を生成するように構成される;
を含む、
請求項63に記載のレシーバ。
【請求項66】
前記第1の複素デジタル信号は、送信信号の複数の受信インスタンスを含んでおり、
前記処理装置は、各々が送信信号の前記受信インスタンスのうちの異なるものに基づいた複数のタイミング誤差を計算し、前記複数のタイミング誤差に基づいた前記タイミング調整信号を計算するように、構成されている、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項67】
前記処理装置は、各々が、前記受信インスタンスのうちの異なるもののシンボルを復号化し、前記複数のタイミング誤差のうちの対応するものを計算するように構成される、複数のフィンガを含んでおり、
前記複数のフィンガの各々は、前記受信インスタンスの少なくとも1つの復号化されたシンボルに基づいた前記タイミング誤差を計算するように構成されている、
請求項66に記載のレシーバ。
【請求項68】
前記複数のフィンガのうちの少なくとも2つの各々は、前記受信インスタンスから導き出される時間補正に従って前記それぞれの受信インスタンスの符号位相を調整するように構成されている、請求項67に記載のレシーバ。
【請求項69】
前記複数のフィンガの各々は、前記受信インスタンスのうちの異なるもののシンボルを復号化し、対応する周波数誤差を計算するように構成されており、
前記複数のフィンガの各々は、前記受信インスタンスの少なくとも1つの復号化されたシンボルに基づいた前記周波数誤差を計算するように構成されており、
前記複数のフィンガのうちの少なくとも1つは、前記対応する周波数誤差に基づいた角度だけ前記第1の複素デジタル信号の値を回転させるように構成されている、
請求項67に記載のレシーバ。
【請求項70】
前記複数のフィンガのうちの1つは、前記第1の複素デジタル信号の値に対して第1の回転角度を適用するように構成されており、
前記複数のフィンガのうちの別のものは、前記第1の複素デジタル信号の前記値に対して第2の回転角度を適用するように構成されており、前記第2の回転角度は、前記第1の回転角度とは異なる、
請求項69に記載のレシーバ。
【請求項71】
前記複数の周波数誤差のうちの少なくとも1つに基づいた角度だけ前記第2の複素デジタル信号を回転させるように構成されるローテータを備える、請求項69に記載のレシーバ。
【請求項72】
前記レシーバは、発振器制御信号に基づいた周波数を有する周波数基準を生成するように構成される発振器を備え、
前記第1のダウンコンバータは、前記周波数基準に基づいた第1の局部発振器(LO)信号を受け取り、前記第1のLO信号に従って、前記第1の複素デジタル信号を生成するように構成されており、
前記処理装置は、前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成されている、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項73】
前記レシーバは、
発振器制御信号に基づいた周波数を有する周波数基準を生成するように構成される発振器と、
各々が、前記周波数基準に基づいた第1の局部発振器(LO)信号を受け取り、前記第1のLO信号に従って、前記第1のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される、複数の第1のダウンコンバータと、
を備え、
前記処理装置は、複数の前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記発振器制御信号を計算するように構成されている、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項74】
前記レシーバは、
各々が前記第1のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第1の複素デジタル信号を生成するように構成される、複数の第1のダウンコンバータを、
備え、
前記処理装置は、複数の前記第1の複素デジタル信号に基づいた前記タイミング調整信号を計算するように構成されている、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項75】
前記レシーバは、
各々が、前記サンプリングクロック信号に従って、前記第2のRF信号の異なる受信インスタンスに基づいた第2の複素デジタル信号を生成するように構成される、複数の第2のダウンコンバータを、
備える、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項76】
前記レシーバは、
前記第1の複素信号に基づいた周波数補正信号に従って、前記の第1および第2の複素デジタル信号とは異なる第3の複素デジタル信号に基づいた第3のRF信号を生成するように構成されるアップコンバータを、
備える、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項77】
前記レシーバは、
各々が、前記タイミング調整信号に基づいた信号に従って、第3の複素デジタル信号に基づいた第3のRF信号を生成するように構成される、複数のアップコンバータと、
各々が、前記第3のRF信号のうちの異なるものに基づいた信号を送信するように構成される、複数のアンテナと、
を備える、
請求項62に記載のレシーバ。
【請求項78】
前記第1のRF信号は、測位衛星システムのトランスミッタから受信される信号を備える、請求項62に記載のレシーバ。
【請求項79】
前記第2のRF信号は、測位衛星システムのトランスミッタから受信される信号を備える、請求項62に記載のレシーバ。
【請求項80】
第1のキャリア周波数を有する第1の無線周波数(RF)信号に基づいた第1の複素デジタル信号を生成することと、
前記第1の複素デジタル信号に基づいたタイミング調整信号を計算することと、
前記タイミング調整信号に従ってクロック信号を生成することと、
(A)前記クロック信号に従って、前記第1のキャリア周波数とは異なる第2のキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいた第2の複素デジタル信号を生成することと、(B)前記クロック信号に従って、第3の複素デジタル信号に基づいた、前記第1のキャリア周波数とは異なる第3のキャリア周波数を有する第3のRF信号を生成することと、のうちの少なくとも一方と、
を備える、信号処理の方法。
【請求項81】
請求項80に記載の信号処理の方法を記述する機械読取り可能命令を有する、データストレージ媒体。
【図36】レシーバのインプリメンテーション22のブロック図を示す。
【図37】レシーバのインプリメンテーション24のブロック図を示す。
【図38】周波数制御ユニットD132のブロック図を示す。
【図39】レシーバのインプリメンテーション26のブロック図を示す。
【0019】
[詳細な説明]
テキスト中にそれ以外に述べられていない限り、同様な参照番号は、全体にわたって同様な構成を意味する。
【0020】
形式(form)「信号Bは信号Aから導き出される(derived)」または「信号Bは信号Aに基づいている(based)」というステートメントは、信号Bは信号Aと同じ(identical)であること、信号Bは、信号Aに対して様々なオペレーションを実行すること(ことによると、信号A、あるいはその派生信号または一部分を、別の信号と組み合わせることを含めて)からもたらされる(results)こと、および/または、信号Bは、信号A(あるいはその派生信号または一部分)を別の信号に対して適用すること(applying)からもたらされること、を示す。
【0021】
用語「チャネル(channel)」は、コンテクスト(context)から理解されるように、次のものの1つまたは複数を示すことがあり得る:無線通信のための周波数帯域、同じ周波数帯域中における他の信号から拡散符号(spreading code)によって区別される信号、および、同じ拡散符号を有する他の信号からカバリング符号(covering code)(例えば、チャネル化符号)によって区別される信号。
【0022】
実施形態は、(例えば、平均ドップラー誤差に関連する)複数のマルチパスインスタンス(multipath instance)から導き出される回転が複数のフィンガ(finger)に対して適用される(applied)マルチパスインスタンスを処理するように構成される、フィンガ受信アーキテクチャ(finger receiving architecture)を含んでいる。さらなる実施形態は、発振器を制御するように構成されるアーキテクチャを含んでいる、なおここでは、そのような制御は、受信信号中の複数のマルチパスインスタンスに基づいており、またここでは、発振器は、別の信号を受信し、かつ/または送信するために使用される周波数基準(frequency reference)を供給する。
【0023】
レシーバやトランシーバなどの無線通信デバイスは、複数のRFチェーン(RF chain)をサポートする発振器を含むことができる。例えば、発振器は、2つの別個のレシーブチェーン(receive chains)に対して、かつ/またはレシーブチェーンおよびトランスミットチェーン(transmit chain)に対して周波数基準を供給することができる。発振器の周波数は、2つのチェーンのうちの一方を経由して受信される信号に基づいて、制御されることができる。しかし、その受信信号が、他方のチェーン中には存在していない周波数誤差(frequency error)を含むときには、問題が生ずる可能性がある。
【0024】
一実施形態によるレシーバは、(例えば、全地球測位サービス信号仕様、第2版、1995年、USCGナビゲーションセンター(Navigation Center)、アレキサンドリア(Alexandria)、バージニア州(VA)、において説明されているような)NAVSTAR全地球測位システム(Global Positioning system)(GPS)、ロシア共和国(Russian Republic)により維持されているGLONASS GPS、および/または、ヨーロッパにおいて提案されているガリレオ(GALILEO)システムのような、1つまたは複数の測位衛星システムからの信号を受信するように構成されることができる。NAVSTAR GPSは、1.57542GHz(L1周波数とも呼ばれる)におけるキャリア上へとBPSK(2相位相シフトキーイング(binary phase-shift keying))変調される直接シーケンススペクトル拡散(direct sequence spread spectrum)(DSSS)信号を経由して毎秒50ビットのデータレートでナビゲーションメッセージ(navigation message)を送信する1組の衛星または「宇宙ビークル(space vehicles)」(SVs)を、含んでいる。信号を拡散するために、各SVは、1.023MHzのチップレートと1023チップの長さとを有する1組の疑似ランダム雑音(pseudo-random noise)(PN)符号(粗獲得(coarse acquisition)符号またはC/A符号とも呼ばれる)のうちの異なる符号を使用する。SVsは、1.22760GHz(L2周波数とも呼ばれる)におけるキャリア上へと変調される10.23MHz符号を経由してメッセージを送信することもできる。GPS信号は、一般に測位オペレーションをサポートするために地上レシーバによって使用される。一般的に、少なくとも4つのSVsからの信号が、3次元の位置を解明するために必要とされる。
【0025】
GPSレシーバは、一般的に周波数変動(frequency variations)の影響を非常に受けやすい(sensitive)。そのような変動は、例えば温度過渡現象および/または低周波数位相雑音(low-frequency phase noise)によって引き起こされる局部発振器中における変化から生じる可能性がある。他方、GPSレシーバは、レシーバの動き(receiver motion)に起因した著しいドップラー誤差(significant Doppler error)に遭遇する(experience)可能性はあまりない、というのは、そのような動き(motion)は、一般にレシーバとソースとの間の方向に対しておおむね直角であり、また、それらの軌道中における衛星の見かけの速度(apparent velocity)(およそ毎秒キロメートル程度)は、一般的に、レシーバの予測される速度よりもずっと速いからである。
【0026】
多数の発振器は、一般的に何らかの形式の温度補償を含んでいるが、発振器のコストおよび/またはサイズは、その温度補償の精度と共に増大する可能性がある。したがって、個々の発振器の発振器および/または仕様の間の変動についてより耐性があるレシーバ設計を得ることが望ましい可能性がある。そのような設計は、発振器の周波数に影響を及ぼす制御信号を適用することにより誤差を低減させる周波数トラッキングループ(frequency tracking loop)を含むことができる。GPSレシーバにおいては、そのような制御信号は、例えば受信信号中における連続するシンボルの間で検出される位相変動から導き出されることができる。
【0027】
一実施形態によるレシーバは、無線通信のためにネットワーク上で情報(例えば、音声および/またはデータ)を受信し、かつ/または送信するように構成されることができる。そのようなレシーバは、符号分割多元接続(code-division-multiple-access)(CDMA)システム中における1つまたは複数のチャネルを経由して情報を受信し、かつ/または送信するように構成されることができる。例えば、そのようなレシーバは、TIA、EIA、3GPP、3GPP2、CWTS(中国)、ARIB(日本)、TTC(日本)、TTA(韓国)、ITU、および/またはETSI(ヨーロッパ)によって普及されたような1つまたは複数の次の規格またはフォーマット、すなわち、CDMA、TD−SCDMA、W−CDMA(例えば、3G TS25.211/2/3/4)、UMTS、IS−95−A/B/C(cdmaOne)、IS−98、IS−835−A(cdma2000)、IS−856(cdma2000 HDR)、IS−2000.1−A、ならびに、IS−2000シリーズ(cdma2000)、IS−707−A(データサービス)、cdma2000 1xEV、cdma2000 1xEV−DO、cdma2000 1xEV−DV(1xEVフェーズ2とも呼ばれる)、cdma2000 3x、3GPP2 cdma2000(例えば、TR−45.5、C.S0005−A、C.S0024)、およびIMT−2000の他のドキュメント、の少なくとも一部分に従って、加入者ユニット(subscriber unit)、アクセス端末(access terminal)(AT)、基地局(base transceiver station)(BTS)、および/またはユーザ装置(user equipment)(UE)の機能の一部または全部を実行することができる。そのようなレシーバまたはトランシーバは、例えば800MHz、1800MHz、および/または1900MHzにおける、またはその近くの帯域上で通信するように構成されることができる。そのようなレシーバまたはトランシーバは、例えば、2相PSK(BPSK)、4相PSK(QPSK)、オフセットQPSK(OQPSK)、直交振幅変調(quadrature amplitude modulation)(QAM)、最小シフトキーイング(minimum-shift keying)(MSK)、またはガウスMSK(Gaussian MSK)(GMSK)のような、M元形式(M-ary form)の位相シフトキーイング(PSK)を経由して通信するように構成されることができる。他の例は、UBM(ユニバーサルブロードキャストメディア(Universal Broadcast Media))信号またはMediaFLO(順方向リンクのみ)信号を受信するように構成されるレシーバを含んでいる。
【0028】
CDMA信号のレシーバは、局部発振器周波数中における変化によって影響されることもあり得る。しかしながら、そのようなレシーバはまた、レシーバとソースとの間の相対運動によって引き起こされるドップラー周波数誤差に遭遇する可能性も高い。そのようなレシーバでは、例えば発振器の周波数に影響を及ぼす制御信号を適用することによって、そのような誤差を明らかにする(account for)周波数トラッキングループを含むことが望ましい。CDMA信号中において遭遇されるドップラー誤差は、一般的には、同じレシーバによって受信されるGPS信号中には存在しないであろうが、しかしながら、GPSレシーブチェーンに対して基準(reference)を同様に与える発振器を制御するために、そのような誤差をそのように適用することは、GPSチェーンに対して雑音を追加する可能性もあるであろう。
【0029】
1つのオプションは、GPSオペレーション中に、例えば、おそらく発振器の温度補償回路を動作し続けることができるようにしながら、一時的に、周波数制御信号が発振器周波数を変化しないようにすることによって、発振器周波数の調整をディスエーブルにする(disable)ことであろう。しかしながら、このオプションは、補償されない温度過渡現象(例えば、発振器の温度補償回路の補正能力を超えた過渡現象)に起因した発振器変動が、GPSレシーブチェーンの性能に影響をあたえるのを許可してしまう可能があるであろう。別のオプションは、よりよい温度補償を有する発振器を使用することであろうが、そのような発振器は、より高価で、かつ/またはより大型になってしまう可能性があるであろう。さらなるオプションは、コストおよびサイズに関して明らかな効果を備えた、CDMAチェーンおよびGPSチェーンについて別個の発振器を使用することであろう。ここにおいて説明されるような実施形態は、1つの発振器を使用したソリューションを可能にするために適用されることができる。
【0030】
図1aは、一実施形態によるレシーバ10のブロック図を示している。無線周波数(RF)フロントエンド(front end)110は、アンテナ105を経由して信号を受信し、対応するRF信号S10をダウンコンバータ(downconverter)120へと出力する。ダウンコンバータ120は、周波数基準S30に基づいた信号に従ってベースバンドにおける、またはベースバンド近くの複素信号(complex signal)S20へとRF信号S10をダウンコンバートする。周波数制御ユニット(frequency control unit)130は、複素信号S20に基づいた発振器制御信号(oscillator control signal)S70を生成する。可変周波数発振器(variable-frequency oscillator)190は、発振器制御信号S70に基づいた信号に従って周波数基準S30を生成する。
【0031】
レシーバ10は、他の回路および/または機能も含むデバイスまたはシステムの独立したユニット(おそらく、例えば、パワー管理、ユーザインターフェースサポートについての他の要素を含み、さらに、複素信号S20などによって搬送される情報の処理を行う)であっても、あるいは、他の回路および/または機能も含むデバイスあるいはシステムの一部分であってもよい。例えば、レシーバ10は、(基地局のネットワークを含み、例えば、マイクロフォン、スピーカ、キーパッド、および関連する回路を含み、そして処理しているシステムと、通信するように構成された)トランスミッタ、例えばセルラ電話のようなアクセス端末、および/または(無線チャネルと、例えばPCMCIAポートまたはUSBポートとの間の、データ転送をサポートするように構成された)無線モデムも含むトランシーバ中に、含まれていてもよい。そのようなトランシーバは、入力デバイス(例えば、マイクロフォン、キーボードまたはキーパッド)および/または出力デバイス(例えばスピーカまたはオーディオ出力のジャック、ディスプレイ画面)を含むことができるデバイス中におけるオペレーションを構成し、デバイス内の信号を処理し、かつ/またはデバイスのユーザインターフェースを制御するための1つまたは複数のプロセッサと通信することができる。
【0032】
そのようなレシーバまたはトランスミッタは、例えば、メディアプレーヤ(MP3,WMA、AAC3などのような圧縮フォーマットへと符号化された(encoded)オーディオ情報、および/またはMPEG−2、MPEG−4、WMVなどのような圧縮フォーマットへと符号化されたビデオ情報を復号化する(decode)ように構成されるもの)、携帯型個人情報端末(personal digital assistant)(PDA)、ポータブルコンピュータなどを含む、さらなる機能をサポートするデバイスの中に含められてもよい。そのようなさらなる機能は、レシーバおよび/またはトランスミッタのオペレーション、例えばレシーバを経由して受信されるマルチメディア情報の再生、無線モデムを経由したローカルに実行するアプリケーション(例えば、電子メールクライアント)と外部サーバとの間の通信、無線モデムを経由したローカルと外部とのスケジュール、連絡、または他のデータベースの同期化、と統合化されることができる。
【0033】
レシーバ10は、複数の受信経路を含むこともできる。例えば、図1bは、RFフロントエンド110の2つのインスタンス(instances)110a、110bと、ダウンコンバータ120の2つのインスタンス120a、120bとを含む、レシーバ10のインプリメンテーション(implementation)12のブロック図を示している。この例における2つの経路は、おそらく同時に異なるアナログ信号および/またはデジタル信号を受信するように構成されることができる。例えば、一方の経路は、CDMA信号(例えば、基地局からの)を受信することができるが、他方の経路は、GPS信号(例えば、SVからの)を受信する。レシーバ10の他のインプリメンテーションは、共通のアンテナを共用する別個の受信経路を含むことができる。同様に、レシーバ10のいくつかのインプリメンテーションは、RFフロントエンド(例えば、共通のLNAを有するが、異なる帯域を通過させるためのそれぞれ異なるフィルタを有するもの)の一部または全部を共用することができる。
【0034】
RFフロントエンドは、一般的に受信信号を増幅し、かつ/または条件付けする役割を果たし、1つまたは複数の増幅器(例えば、低雑音増幅器またはLNA)および/またはフィルタ(例えば、個々の周波数または帯域を減衰させるもの)を含むことができる。RF経路は、アンテナフィード内の異なる周波数帯域を分離するダイプレクサ(diplexer)(またはマルチプレクサ)および/または同じアンテナ上で受信および送信アクティビティ(receive and transmit activity)をサポートする送受切換え器(duplexer)などのような要素を含むこともできる。図2は、LNAおよびフィルタ(例えば、LCフィルタ、セラミックフィルタ、または表面音響波(surface acoustic wave)(SAW)フィルタ)を含む、RFフロントエンド110のインプリメンテーション112を示している。レシーバ10は、複数のRFフロントエンドを含むようにインプリメントされることができ、かつ/またはRFフロントエンドが複数のダウンコンバータを供給するように構成されることができる。
【0035】
ダウンコンバータ120は、RF信号10を受信し、ベースバンドにおける、またはベースバンド近くの複素信号S20を出力する。図3aは、ダウンコンバータ120のヘテロダイン(heterodyne)インプリメンテーションの一つの例122のブロック図を示している。RFミキサは、RF信号S10を例えばおよそ10MHz程度の中間周波数(intermediate frequency)(IF)に変換するために、RF局部発振器信号を適用する。IF信号は、IFステージ中において処理され、このIFステージは、この例においては、フィルタ(例えば、1つまたは複数のイメージを減衰させる)および可変利得増幅器(variable-gain amplifier)(VGA)を含んでいる。IFミキサは、そのIF信号をベースバンドへと変換するために、IF局部発振器信号を適用する。ベースバンド信号は、フィルタがかけられることができる(例えば、1つまたは複数のイメージを減衰させるために)。
【0036】
アナログデジタルコンバータ(analog-to-digital converter)(ADC)を含むデジタイザ(digitizer)は、アナログからデジタルのサンプルのストリームへとベースバンド信号を変換する。受信信号がデジタル情報によって(例えば、PSK変調、QAM変調、MSK変調、および/またはOOK変調を経由して)特定のレート(例えば、チップレート)で変調される場合には、そのADCはまた、ベースバンド信号を(例えば、チップx2、チップx4、チップx8、あるいはチップx16のレートで)オーバーサンプリングする(oversample)可能性がある。ADCは、並列に実行する(例えば、各々の一方が、ダウンコンバータの複素信号経路のそれぞれ異なる成分を受信しデジタル化する)2つのADCを含むように構成されることもできる。デジタイザは、それぞれのADCによって生成されるようなデジタルストリームを(例えば、タイミング調整信号(timing adjustment signal)に従って)補間し(interpolate)、または破壊する(decimate)ために、ここにおいて説明されるように1つまたは複数のリサンプラ(resamplers)を含むこともできる。
【0037】
図3bは、ダウンコンバータ120のホモダイン(homodyne)(またはゼロ−IF(zero-IF))インプリメンテーションの一例124のブロック図を示している。ゼロ−IF変換(直接ダウンコンバージョン(direct downconversion)とも呼ばれる)においては、RF信号は、直接にベースバンドへと変換される。そのようなダウンコンバータは、一般的にベースバンド信号中におけるDCオフセットの除去または補償のための回路も含んでいる。そのようなダウンコンバータは、局部発振器信号の振幅制御(例えば、リークを低減させるための)を含むこともできる。ゼロに近いIF(または非常に低いIFまたはVLIF)変換と呼ばれる関連した技法においては、RF信号は、数百kHz以下とすることができるベースバンドに近い周波数へと直接に変換される。VLIFダウンコンバータは、IFステージを用いて、またはIFステージなしに(例えば、IFからベースバンドへの変換が、複素信号S20の回転によって実行されて)インプリメントされることができる。
【0038】
周波数基準S30、または周波数基準S30に基づいた信号は、ダウンコンバータ120中における局部発振器信号(local oscillator signal)として使用されることができる。1つまたは複数のADCのサンプリングクロック(sampling clock)は、周波数基準S30が時間基準(time reference)としての役割も果たすことができるように、周波数基準S30から導き出されることもできる。図3cは、ダウンコンバータ122が、周波数基準S30によって導き出されるそれぞれの周波数シンセサイザ(frequency synthesizers)からRFおよびIFの局部発振器信号を受け取る配置(arrangement)のブロック図を示している。
【0039】
周波数シンセサイザは、位相ロックループ(phase-locked loop)(PLL)としてインプリメントされることができ、一般的に、望ましい固定されたあるいはプログラマブルな値(fixed or programmable value)(例えば、整数値)によって入力信号の周波数を乗算し、または除算するように構成される。周波数シンセサイザは、(例えば、ホールター(Halter)の米国特許第6,449,329号、またはセベルソン(Severson)の米国公開特許出願第2004/0263221号中において説明されるように)M/NあるいはM/N:Dカウンタとしてインプリメントされることもできる。図3cの例においては、ADCは、やはり周波数基準S30によって駆動されるクロックシンセサイザ(例えば、周波数シンセサイザ)からサンプリングクロック信号を受け取る。図3dは、ダウンコンバータ124が、周波数基準S30によって駆動される周波数シンセサイザおよびクロックシンセサイザからそれぞれ局部発振器信号およびサンプリングクロック信号を受け取る同様な配置のブロック図を示している。周波数基準S30からダウンコンバータ120への(例えば、ここにおいて図1aおよび1bならびに他の図面中に示されるような)信号経路は、1つまたは複数のそのような周波数シンセサイザおよび/またはクロックシンセサイザを含むことができることが、理解されるであろう。
【0040】
レシーバ10の別のインプリメンテーションは、1つまたは複数のD/Aコンバータ(digital-to-analog converters)、ミキサ(mixers)、および増幅器(これらは、ダウンコンバータ中において説明されるものと同様であり得る)を有し、周波数基準S30に基づいた1つまたは複数の局部発振器信号および/またはクロック信号を受け取るアップコンバータを含むトランシーバである。このアップコンバータは、RFフロントエンドおよびアンテナを経由して送信されるRF信号(上記のようなCDMAシステムまたは他のシステム上で通信するための)を生成する。
【0041】
可変周波数発振器(variable-frequency oscillator)(VFO)190は、発振器制御信号S70に従って周波数基準S30を出力する。周波数基準S30は、特定のアプリケーションについて適切な任意の波形(例えば、正弦波、方形波、三角波、のこぎり波など)を有するようにインプリメントされることができる基本周波数を有する周期的信号である。知られているか、あるいは、まだこれから開発されるべき、任意の技法を使用して、任意のチューニング可能な発振器が、VFO130として配置される(deployed)ことができる。一般的にVFO130は、クリスタル発振器(またはXO)としてインプリメントされ、このクリスタル発振器は、水晶のような材料の(温度にわたる周波数安定性のための)ATカットクリスタルを含むことができる。VFO130は、発振器出力をその負荷から分離するバッファを含むことができる。
【0042】
発振器の周波数は、温度の変化による影響を受ける可能性がある。温度過渡現象は、デバイスの動作中に、例えばコンポーネントが加熱するときに、生じる可能性がある。セルラ電話のようなコンパクトなトランシーバにおいては、トランスミッタの電力増幅器(power amplifier)が、一般的に、近くのコンポーネントに影響を及ぼし得る温度過渡現象の主要原因である。
【0043】
発振器周波数における温度に依存した変化がある程度まで補償されるように、VFO190を温度補償発振器(temperature-compensated oscillator)(TCO)としてインプリメントすることが望ましいこともある。図4は、ダイオードやサーミスタなどの局部温度センサV20を含むVFO190のTCOインプリメンテーション192のブロック図を示しており、この局部温度センサは、知られている関数に従って温度依存の信号(例えば、電圧)を生成する。補償回路V30は、温度依存の信号に基づいて、発振器V10に適用される温度補償信号を出力する。補償回路V30は、温度依存信号をデジタル化するADCを含むことができ、温度補償信号は、アナログ信号またはデジタル信号として(例えば、発振器の温度特性の逆数をモデル化するルックアップテーブル(lookup table)または多項式の使用により)供給されることができる。補償回路V30は、特定の発振器に特有のキャリブレーション値を含む補正テーブル(たぶんルックアップテーブルと一体化されている)を含むこともできる。他のインプリメンテーションにおいては、温度補償信号は、外部プロセッサから供給される。VFO190は、温度補償されたXO(TCXO)としてインプリメントされてもよく、この中では、温度補償信号は、バラクタなどのチューニング要素V40に適用され、このチューニング要素は、クリスタル(crystal)に結合される。
【0044】
発振器の出力周波数が、発振器制御信号S70によって示される電圧に従って調整されることができるように、VFO190を電圧制御発振器(voltage-controlled oscillator)(VCO)としてインプリメントすることが望ましいこともある。VCOは、ある種の極性の電圧の大きさおよび/またはデューティサイクル(duty cycle)に従って周波数を増大させ、反対極性の電圧の大きさおよび/またはデューティサイクルに従って周波数を低減させるようにインプリメントされることができる(あるいは逆もまた同様である)。VFO190は、さらに電圧制御温度補償発振器(voltage-controlled temperature-compensated oscillator)(VCTCO)としてインプリメントされることもできる。そのような場合には、発振器制御信号S70に基づいた信号は、温度補償信号とは別に適用されることもでき、あるいは発振器制御信号S70に基づいた信号は、温度補償信号と組み合わされ、共通制御信号にされることもできる。例えば、VFO190は、電圧制御温度補償クリスタル発振器(voltage-controlled temperature-compensated crystal oscillator)(VCTCXO)としてインプリメントされることができ、この発振器は、1つの特定のアプリケーションにおいては、+/−5ppmで格付けされた(rated)19.68MHzの公称出力周波数(nominal output frequency)を有する。+/−5ppmの許容範囲は、800MHzのうちの+/−4kHz、あるいは1.9GHzのうちの+/−9.5kHzの範囲に対応する。
【0045】
発振器制御信号S70は、アナログ電圧レベル、あるいは、D/Aコンバータ(DAC)または他の任意の技法を使用して電圧に変換されるデジタル信号、であってよい。1つのインプリメンテーションにおいては、パルス密度変調器(pulse density modulator)(PDM)V50が、発振器制御信号S70上のデジタル値(例えば、8−ビット値、12−ビット値、または16−ビット値)を発振器への入力についてのパルス化アナログ電圧信号へと変換するために使用される。アナログ電圧信号経路は、RCフィルタなどのフィルタを(例えば、残りの変動を抑制するために)含むこともできる。一例においては、VFO190は、発振器制御信号S70の最下位ビット当たりに約1/4から約1ヘルツの範囲(Hz/LSB)における分解能(resolution)を有する。
【0046】
発振器制御信号S70がデジタルからアナログへと変換されるインプリメンテーションにおいては、制御レジスタが、そのレジスタの出力がDAC(例えば、PDM)の入力に結合されて、発振器制御信号S70のデジタル値を記憶するために使用されることができる。そのようなレジスタは、望ましい値に(例えば、電源投入時に)初期化されることができ、かつ/または望ましい状態へと(例えば、モード変化するとすぐに)あらかじめロードされる(preloaded)ことができる。いくつかのアプリケーションにおいては、例えばGPS信号の受信の間などでは、一時的に発振器制御信号S70がVFO190の出力を変化させないようにすることが望ましいこともある。そのような制御は、制御レジスタに対するアップデート(updates)を防止することにより(例えば、制御レジスタのライトイネーブル信号(write enable signal)をディアサートする(deassert)ことにより)達成されることができる。
【0047】
局部発振器信号は、特定のアプリケーションについて適切な任意の波形(例えば、正弦波、方形波、三角波、のこぎり波など)を有するようにインプリメントされることができる基本周波数を有する周期的信号(periodic signal)である。ダウンコンバータ120中において適用される1つまたは複数の局部発振器信号は、周波数基準S30に基づいている。例えば、ダウンコンバータ120および/またはレシーバ10は、別の周波数の信号(例えば、局部発振器信号)が導き出されるタイミング基準として周波数基準S30を使用する1つまたは複数の周波数シンセサイザを含むことができる。そのようなシンセサイザは、例えば周波数逓倍器または周波数分割器としてインプリメントされることができ、位相ロックループ(PLL)などの回路を含むことができる。典型的なLO周波数は、CDMA受信では800MHzを、そしてGPS受信では1.5GHzを含んでいる。
【0048】
局部発振器信号は、90度だけ位相が分離された2つの成分(例えば、IとQ)としてダウンコンバータ120のミキサに供給されることができる、なお各成分は、複素数のダウンコンバートされた信号(complex downconverted signal)が取得されるように別個の混合経路(mixing path)において適用される。局部発振器信号の振幅は、例えば可変利得増幅器を使用して制御されることができる。周波数基準S30(または周波数基準S30に基づいた信号)は、ADCが、複素信号S20を得るためにベースバンド(またはベースバンドに近い)信号をサンプリングするサンプリングクロックとして使用されることもできる。
【0049】
周波数制御ユニット130は、複素信号S20に基づいた発振器制御信号S70を出力する。デジタル化された複素信号S20は、周波数制御ユニット130によって処理する前に、フィルタがかけられ、かつ/または、破壊されることができる。図5は、周波数制御ユニット130のインプリメンテーション132のブロック図を示している。ベースバンド処理装置(baseband processing unit)200は、(ベースバンドに、またはベースバンドの近くに存在することができる)複素信号S20と回転信号S60を受け取り、これらの2つの入力に基づいた複数の誤差信号S40を出力する。結合器140は、総合誤差S50を得るために誤差信号S40を結合する。第1の利得蓄積ステージ150は、総合誤差S50に基づいた回転信号S60を生成し、第2の利得蓄積ステージ160は、回転信号S60に基づいた発振器制御信号S70のインプリメンテーションS72を生成する。
【0050】
図6aは、ベースバンド処理装置200のインプリメンテーション200aのブロック図を示している。ローテータ(rotator)230は、回転された信号S80を生成するために回転信号S60に従って複素信号S20を回転させる。複数のフィンガ(fingers)(「復調要素(demodulation elements)」とも呼ばれる)220aの各々は、回転された信号S80(または回転された信号S80に基づいた信号)を受け取り、対応する誤差信号S40を生成する。この例においては、各フィンガは、複素信号S20に基づいた対応するオフセット信号S210も(サーチャ(searcher)210から)受け取る。
【0051】
受信信号は、例えば異なるマルチパス上で受信されるような同じ送信信号のいくつかのインスタンスを含む可能性がある。様々なマルチパスは、長さが異なる(そして変化する)こともあるので、対応するインスタンスは、異なる(そして変化する)相対的時刻に受信される可能性がある。図6aに示されるようなサーチャとフィンガのコンフィギュレーション(configuration)は、RAKEレシーバの1つの例である。そのようなコンフィギュレーションにおいては、サーチャは、時間におけるその遅延または基準に対する符号位相に従って信号のインスタンスを見出すためにサンプルストリーム(例えば、複素信号S20)を処理し(「獲得(acquisition)」とも呼ばれる)、そのインスタンスを追跡し復調するためにフィンガを割り当てる。例えば、サーチャは、信号のサンプルストリームと符号特性との間の相関関係のピークに従ってサーチされる信号のインスタンスを捜し出すことができる。サーチャ210は、フィンガ220からのフィードバック情報を受け取ることもでき、いつフィンガが再割り当てされるべきかを決定するためにこの情報を使用することができる。例えば、割り当てられたインスタンスのエネルギーおよび/またはタイミングに関するフィンガ220からの情報は、マルチパスインスタンスがフェードアウトしていること、あるいは2つのマルチパスインスタンスがマージしていることを決定するために使用されることができる。
【0052】
フィンガ220は、固定され、またはプログラムされるオフセットを適用するように構成されることもできる。例えば、サーチャ210は、符号位相空間の望ましい領域が特定の分解能でサーチされるように、プログラムされた間隔で相関を実行するために1組のフィンガ220を制御するように構成されることもできる。そのような制御は、例えばGPSオペレーションにおいて使用されることができる。様々なフィンガに割り当てられたオフセット値の間の間隔、および/またはフィンガによって適用される連続するオフセット値(consecutive offset values)の間の間隔は、1つまたは複数のファクタ、例えば、以前の結果、現在の動作モード(例えば、「コールドスタート(cold start)」モード対トラッキング(tracking)モード)、現在の受信環境についての他の情報(例えば、現在の衛星位置)など、に基づいて動的に選択されることができる。
【0053】
単一キャリアシステム中におけるベースバンド処理装置200の典型的なインプリメンテーションは、4個または6個のフィンガを含むが、他の任意数のフィンガも使用されることができる。マルチキャリアシステム(例えば、cdma2000 3xシステム)中におけるベースバンド処理装置200の典型的なインプリメンテーションは、12個または18個のフィンガ(例えば、キャリア当たりに4個または6個)を含むが、他の任意数のフィンガも使用されることができる。例えば、異なる数のフィンガは、1つまたは複数のフィンガの各々が、おそらく複数のキャリアに対して(例えば、異なる時刻に)割り当てられて、別のもの以外の1つのキャリアについて使用されることができる。
【0054】
回転信号S60は、複素信号S20が、回転されるべき角度θを示す。図7は、次の式に従って複素信号S20の時計回りの回転を実行する、ローテータ230のインプリメンテーション232のブロック図を示している。
(I+jQ)(e−jθ)=(I+jQ)(cosθ−jsinθ)=
=(Icosθ+Qsinθ)+j(−Isinθ+Qcosθ) (1)
あるいは、ローテータ230は、次の式に従って反時計回りの回転を実行するようにインプリメントされることもできる。
(I+jQ)(e+jθ)=(I+jQ)(cosθ+jsinθ)=
=(Icosθ−Qsinθ)+j(Isinθ+Qcosθ) (2)
一例においては、ローテータ230は、回転信号S60の最下位ビット当たりに37.5ヘルツの分解能(Hz/LSB)を有する。
【0055】
ローテータ230によって適用されるサイン値およびコサイン値は、離散的ロケーションに記憶されるルックアップテーブル(例えば、テーブル260)から、あるいはより大きなメモリ空間の一部分として取り出されることができ、このテーブルは、読取り専用メモリ(read-only memory)(ROM)またはランダムアクセスメモリ(random access memory)(RAM、揮発性または不揮発性)に記憶されることができる。サイン値および/またはコサイン値を使用する複数のローテータまたは他の要素を有するデバイスまたはシステムにおいては、ルックアップテーブルは、そのような複数の要素によって共用されることができる。
【0056】
ルックアップテーブルは、サイン値とコサイン値の両方を含んでもよいし、あるいは、それは、サイン値またはコサイン値の一方だけを含んでもよい、なお、その他の関数は、導き出される(例えば、式cosα=sin(α+π/2ラジアン)またはsinα=cos(α−π/2ラジアン)に従って)。同様に、ルックアップテーブルは、すべての象限についての値を含んでもよいし、あるいは、それは、座標面の一部分(例えば第1象限)だけについての値を含んでもよい、なお、他の部分についての値は、導き出される。ルックアップテーブル260の1つのインプリメンテーションは、256個のエントリのテーブルを含み、各々は第1象限中における角度(例えば、π/512ラジアンの増分の形の)についてのサイン値に対応する。そのようなテーブルに対する要求は、10ビット値:例えば象限についての2ビットとテーブルアドレスについての8ビットとしてフォーマットされることができる。ローテータ230は、対応するテーブルエントリから適切な値を導き出す回路または処理を含むことができ、かつ/またはそのような導出は、外部の回路または処理を使用して実行されることができる。
【0057】
ローテータ230は、サイン値とコサイン値のうちの一方または両方が計算されるようにインプリメントされることもできる。小さな角度では、例えばルックアップテーブルは、sinαをαとして近似し、かつ/またはcosαを(1−0.5α)として近似することにより、バイパスされ、あるいは省略されることができる。
【0058】
ダウンコンバータ120のVLIFインプリメンテーションを含むアプリケーションにおいては、ローテータ230は、低いIFからベースバンドへの複素信号S20のダウンコンバージョンを実行することもできる。そのような場合には、回転信号S60は、回転信号S60がローテータ230によって適用される前に望ましいダウンコンバージョン角度に対応する値によって調整される(例えば、その値と加算される)ことができる。
【0059】
図6bは、フィンガ220aのインプリメンテーション222aのブロック図を示している。デコーダ240は、復号化された(decoded)シンボルS90を得るためにオフセット信号S210に従って回転された信号S80を復号化する。例えば、デコーダ240は、回転された信号中の複数のチャネルのうちから回転された信号S80中における望ましいチャネルを分離することができる。誤差計算器(error calculator)250は、復号化されたシンボルS90に基づいて誤差信号S40を計算する。
【0060】
図8aは、デコーダ240のインプリメンテーション242を示している。逆拡散器(despreader)(またはデスクランブラ(descrambler))270は、オフセット信号S210に従って回転された信号S80から拡散符号(spreading code)を除去する。デチャンネライザ(dechannelizer)280は、生の(raw)パイロットシンボルS230を得るために逆拡散信号S220の一部分を蓄積する。パイロットフィルタ290は、フィルタがかけられたパイロットシンボルS240を得るために生のパイロットシンボルS230にフィルタをかける。デコーダ240は、回転された信号S80および/または逆拡散信号S220からデータシンボルを得るために同様なオペレーションを実行することができる。
【0061】
CDMA DSSSシステムにおいて、送信信号(transmitted signal)は、システムの他のすべてのユーザに割り当てられるPN符号に少なくともほぼ直交した複素疑似雑音(complex pseudonoise)(PN)符号(例えば、ゴールド符号(Gold code))を使用して(例えば、その符号によって乗算され(multiplied by)、あるいは、その符号でモジュロ−2加算されて(modulo-2 added with))、拡散されることができる。いくつかのインプリメンテーションにおいては、拡散符号のチップレートは、1.2288MHzの整数倍である。典型的なアプリケーションにおいては、逆拡散器270は、回転された信号S80に、望ましいセル、トランスミッタ、および/またはチャネルに対応するPNシーケンス(これは複素数(complex)であり得る)を乗ずる。
【0062】
オフセット信号S210は、望ましいマルチパスに関するシーケンスの適切なタイミング(符号オフセット(code offset)または「符号位相(code phase)」)を示す。オフセット信号S210は、符号オフセットを示すことができ、あるいは適切なオフセットを有する1つまたは複数のシーケンスを含むことができる。例えばサーチャ210は、特定のオフセットにおけるPNシーケンスを供給するためにPNジェネレータを制御することができ、このオフセットは、信号が変化するときに(例えば、フィンガ220によって供給されるタイミング情報に従って)アップデートされることができる。サーチャ210および/またはフィンガ220は、復号化オペレーションのタイミングを例えば少し異なるオフセット(例えば、チップのフラクション(fraction))において復号化されるシンボルのエネルギーに従って調整するように構成されるタイミング制御ループを含むこともでき、そのようなループの例は、例えば2004年5月18日に発行された米国特許第6,738,608号(ブラック(Black)ほか)において説明されている。
【0063】
一例においては、逆拡散器270は、複素乗算器(complex multiplier)としてインプリメントされる。回転された信号S80および逆拡散シーケンスが、2進表記法で表現される場合には、複素乗算(complex multiplication)は、排他的論理和(exclusive-OR)ゲートを使用して実行されることができる。逆拡散器270は、積分ダンプ回路(integrate-and-dump circuit)またはデシメータ(decimator)(例えば、回転された信号S80がオーバーサンプリングされる(oversampled)場合)を含むことができる。
【0064】
逆拡散信号S220は、各々が異なる符号を用いてカバーされるいくつかのチャネルを含むことができる。デチャンネライザ(dechannelizer)280は、逆拡散信号S220を受け取り、生のパイロットシンボルS230を得るためにカバーする符号を除去する。カバーする符号は、1つまたは複数のウォルシュ符号(Walsh code)、および/または1つまたは複数の別の組の直交(orthogonal)符号、ほぼ直交(nearly orthogonal)符号、または準直交(quasi-orthogonal)符号を含むことができる。WCDMAアプリケーションにおいては、例えばカバーする符号は、チャネルのデータレートに基づいて選択される直交可変拡散ファクタ(orthogonal variable spreading factor)(OVSF)であってもよい。
【0065】
デチャンネライザ280は、アキュムレータまたは積分ダンプ回路としてインプリメントされることができる(例えば、カバーする符号がウォルシュ符号W0であるアプリケーションの場合)。一例においては、デチャンネライザ280は、逆拡散信号S220の64個のチップを1つのパイロットシンボル中へと積分する。別の例においては、デチャンネライザ280は、256個のチップをパイロットシンボル中へと積分する。他の符号では、デチャンネライザ280は、乗算器(例えば、複素乗算器)を含むようにインプリメントされることができる。デチャンネライザ280は、(例えば、2003年9月30日に発行された米国特許第6,628,702号(ローウィッチ(Rowitch)ほか)において説明されるように)一度にシンボルの部分をデカバーする(decover)ようにインプリメントされることもできる。
【0066】
パイロットシンボルが、2つの異なるカバーする符号(covering codes)を使用して送信される場合(例えば、異なるアンテナからパイロット信号の直交符号化されたバージョンを送信する送信ダイバーシティモード(transmit diversity mode))においては、デコーダ242は、符号ごとにデチャンネライザ280の別個のインスタンスを含むことができる。送信ダイバーシティの場合(例えば、cdma2000の空間時間拡散(Space Time Spreading)(STS)モード、またはWCDMAの空間時間送信ダイバーシティ(Space Time Transmit Diversity)(STTD)モード)においては、ダイバーシティインスタンスについての結果は、パイロットフィルタリングの前に(例えば、生のパイロットシンボルS230を得るために)、あるいはその後に(例えば、フィルタがかけられたパイロットシンボルS240を得るために)組み合わされることができる。
【0067】
受信ダイバーシティアプリケーション(例えば、このアプリケーションでは、同じ送信信号が、複数のアンテナを経由して受信される)においては、ダイバーシティインスタンスからの1つまたは複数の逆拡散信号S220、生のパイロットシンボルS230、およびフィルタがかけられたパイロットシンボルS240は、さらに処理する前に、1つまたは複数の他のインスタンスからの同様な信号と組み合わされることができる。
【0068】
パイロットフィルタ(Pilot filter)290は、FIR(有限インパルス応答(finite impulse response))形式またはIIR(無限インパルス応答(infinite impulse response))形式でインプリメントされることができ、ローパスフィルタとすることができる。例えば、パイロットフィルタ290は、移動平均フィルタ(moving average filter)とすることができる。いくつかのインプリメンテーションにおいては、パイロットフィルタ290は、一次フィルタ(first-order filter)としてインプリメントされることができる。他のインプリメンテーションにおいては、パイロットフィルタ290は、可変係数(variable coefficients)を有するフィルタ、例えば2004年7月6日に発行された米国特許第6,760,362号(パテル(Patel)ほか)において説明されているような可変帯域幅フィルタ(variable-bandwidth filter)としてインプリメントされることができる。
【0069】
デコーダ240は、逆拡散信号S220からデータシンボルを得るためにデチャンネライザ280の1つまたは複数のインスタンスを含むことができる。図8bは、逆拡散信号S220を受け取り、生のパイロットシンボルS230を得るためにカバーする符号(例えば、W0などのウォルシュ符号)を除去するデチャンネライザ280のインプリメンテーション280aと、逆拡散信号S220を受け取り、復号化されたデータシンボルS250を得るためにカバーする符号(例えば、異なるウォルシュ符号)を除去するデチャンネライザ280のインプリメンテーション280bとを含む、デコーダ240のインプリメンテーション244を示している。
【0070】
デコーダ244は、フィルタがかけられたパイロットシンボルS240と復号化されたデータシンボルS250との間の同期を維持することが望ましいこともある。例えば、デコーダ244は、パイロットフィルタ290の遅延特性に従って、復号化されたデータシンボルS250のストリームを(例えば、レジスタやFIFOバッファなどの遅延要素を用いて)遅延させるようにインプリメントされることができる。
【0071】
デコーダ240またはフィンガ220は、パイロット復調器を含むこともでき、パイロット復調器においては、パイロットシンボルによって表されるチャネル推定が、復号化されたデータシンボルに適用される。そのようなパイロット復調器は、(例えば、データシンボルから位相のあいまいさを取り除くために)データとパイロットシンボルベクトルのドット積(dot product)を計算する回路を含むことができる。復号化されたデータ(またはトラフィック)シンボルS250は、1つまたは複数の畳み込み(convolutional)符号、ターボ(turbo)符号、巡回冗長検査(cyclic redundancy check)(CRC)符号、および/またはパリティ(parity)符号の、デインターリービング(deinterleaving)、伸張(decompression)、および/または復号化(decoding)などのオペレーションにおいて、さらに処理されることができる。いくつかのアプリケーションにおいては、デコーダ240は、バーストパイロット信号から復号化されたシンボルS90を出力するように構成されることができ、このバーストパイロット信号中においては、パイロットは、不連続な方法で(in a discontinuous fashion)送信され、データトラフィックと共に点在する(interspersed)ことができる。
【0072】
誤差計算器250は、復号化されたシンボルS90に基づいて誤差信号S40を出力する。復号化されたシンボルS90は、生のパイロットシンボルS230および/またはフィルタがかけられたパイロットシンボルS240を含むことができる。1つのアプリケーションにおいては、誤差計算器250は、信号の獲得中には生のパイロットシンボルから、そして獲得された信号の追跡中にはフィルタがかけられたパイロットシンボルから誤差信号S40を計算する。誤差計算器250は、異なる形式の復号化されたシンボルS90の値の幅(例えば、フィルタがかけられたパイロットシンボルについての16ビットに対する生のパイロットシンボルについての8ビット)の間の差を明らかにするようにインプリメントされることができる。
【0073】
誤差計算器250は、複数の復号化されたシンボルベクトルに基づいた周波数誤差を計算するようにインプリメントされることができる。例えば、誤差計算器250は、隣接した復号化されたシンボルベクトル、すなわち、例えば、現在のシンボルベクトル(I[n]、Q[n]としてここでは示される)、および、以前のシンボルベクトル(I[n−1]、Q[n−1]としてここでは示される)、に基づいた周波数誤差を計算するようにインプリメントされることができる。Aおよびθがベクトルの大きさおよび位相角をそれぞれ示す場合、もし、現在のベクトル(I[n]、Q[n])が、(A[n]cosθ[n]、A[n]sinθ[n])として表わされるのであれば、そのときは、有限の異なる近似を適用することにより、次式が導き出されることができる:
I[n]Q[n−1]−I[n−1]Q[n]=A[n]A[n−1]sin(θ[n]−θ[n−1]) (3)
もし、θが、sinθ≒θとなるように小さいと仮定される場合には、式(3)の左辺上の量(すなわち、現在のベクトルと以前のベクトルのクロス乗積(cross product)の大きさ)は、周波数誤差の近似として解釈されることができる。
【0074】
図9aは、誤差信号S40のインプリメンテーションS42を(−I[n]Q[n−1]+I[n−1]Q[n])として計算する、誤差計算器250のインプリメンテーション252のブロック図を示している。図9bおよび9cは、次のそれぞれの式に従ってこの値を計算する代替的なインプリメンテーション254、256のブロック図を、示している:
−Im{(I[n],−Q[n])×(I[n−1],Q[n−1])}=−I[n]Q[n−1]+I[n−1]Q[n] (4)
Im{(I[n],Q[n])×(I[n−1],−Q[n−1])}=−I[n]Q[n−1]+I[n−1]Q[n] (5)
同様な式は、追加のシンボルベクトル(例えば、ベクトルI[n−2]、Q[n−2]を含んでいる)に基づいた誤差信号S40の計算のために適用されることができる。+Aシンボルおよび−Aシンボルを(例えば、WCDMA送信ダイバーシティモード中において使用されるように)含むパイロット信号についての誤差信号S40を計算するために使用されることができる同様な式のインプリメンテーションは、2003年7月10日に公開された米国特許出願公開第2003/0128678号(サブラーマンヤ(Subrahmanya)ほか)において説明されている。
【0075】
式(3)中におけるクロス乗積による周波数誤差の近似の精度は、ベクトルの大きさ(すなわち、信号強度)と位相角の変化の大きさに応じて変化し得ることが理解されることができる。誤差計算器250の他のインプリメンテーションは、次のような式に従ってシンボルベクトルから周波数誤差を計算する(2004年4月27日に発行された米国特許第6,728,301号(クリシコス(Chrisikos))を参照):
【数5】
【0076】
そのような誤差は、式(3)に従って計算される周波数誤差に比べて、ベクトルの大きさ、あるいは位相角の大きさに、より少なく依存する可能性がある。
【0077】
式(6)の左辺中におけるようなアークタンジェント(arctangent)を計算するための様々な最適化が知られている。例えば、第1オクテットまたは第8オクテット中における任意の角度(−45度から+45度)について、アークタンジェントは、次の式に従って、0.26度の最大誤差まで近似されることができる:
【数6】
【0078】
ここで、ファクタ1/4および1/32は、ビットごとの右シフトとして簡単にインプリメントされることができる(リチャード ライアンズ(Richard Lyons)、アークタンジェントレースにおける別の競合項(Another Contender in the Arctangent Race)、IEEE信号処理マガジン(IEEE Signal Processing Magazine)、2004年1月、109〜110頁を参照)。第4オクテットまたは第5オクテット中における角度のアークタンジェントは、式(7)を使用して得られる値にπを加えることにより、同じ精度まで近似されることができるが、第2オクテットまたは第3オクテット(第6オクテットまたは第7オクテット)中における角度のアークタンジェントは、π/2(−π/2)から式(7)を使用して得られる値を差し引くことにより、同じ精度まで近似されることができる。
【0079】
いくつかのケースにおいては、復号化されたシンボルS90は、パイロットチャネル以外のソースからの情報を含むことができる。例えば、長いパイロットシンボルは、雑音があまりないチャネル推定を提供するが、より大きい周波数範囲が、より短いパイロットシンボルを用いて取得されることができる。cdma2000チャネル上のパイロットシンボルは、64個のチップを含み、いくつかの状況(例えば、信号獲得)においては、より短いパイロットシンボルに対応する誤差信号S40を得ることが望ましいかもしれない。1つのcdma2000アプリケーションにおいては、誤差計算器250は、生のパイロットシンボルベクトルと、順方向同期チャネルから復号化されるシンボルのベクトルとのクロス乗積の大きさを計算する。誤差信号S40の結果として生じるインプリメンテーションは、長さ32のパイロットシンボルを使用して導き出されるような誤差と似ており、獲得中に、より多くの雑音を犠牲にして増大された周波数範囲を提供するものとして役に立つ可能性がある。誤差計算器250のさらなるインプリメンテーションは、(例えば、2003年5月8日に公開された米国特許出願公開第2003/0087620号(センドネイス(Sendonais))において説明されているような)復号化されたパイロットおよび非パイロットシンボル(decoded pilot and non-pilot symbols)に基づいて、かつ/または、(例えば、2001年12月11日に発行された米国特許第6,330,291号(アグラウォル(Agrawal)ほか)において説明されているような)複数のウォルシュ関数を有する相関する復号化されたシンボルS90(おそらく復号化されたデータシンボルS250を含む)の結果に基づいて、誤差信号S40のインプリメンテーションを計算する。
【0080】
「受信ダイバーシティ(receive diversity)」アプリケーションにおいては、レシーバ10は、各々が同じ送信信号の異なるインスタンスを受信する2つ以上のアンテナを含んでいる。受信ダイバーシティは、付加的ホワイトガウス雑音(additive white Gaussian noise)(AWGN)とフェーディングチャネル(fading channel)におけるよりよい平均化を提供きる。そのようなアプリケーションにおいては、誤差信号S40は、ここにおいて説明されるように誤差計算器250の複数のインスタンスを含む誤差計算器によって生成されることができる。図9dは、そのような誤差計算器の一例258のブロック図を示しており、この誤差計算器においては、誤差計算器250のインスタンス250a、250bは、異なるそれぞれのアンテナを経由して受信されるような(そして、おそらく、異なるRFフロントエンドおよび/またはダウンコンバータによって処理されるような)、(例えば、同じ拡散符号およびカバーする符号を有する)同じチャネルのインスタンスに基づいた復号化されたシンボルS90a、S90bを受け取る。この例においては、総合誤差信号は、対応する誤差信号S40を得るために、平均化される(追加され、次いで1ビットだけ右シフトされる)。
【0081】
別の受信ダイバーシティの例においては、各ダイバーシティインスタンスは、アンテナ105と、RFフロントエンド110と、ダウンコンバータ120と、ベースバンド処理装置200の対応するインスタンスを含んでいる。ダウンコンバータ120の様々なインスタンスの各々は、周波数基準S30に基づいた1つまたは複数のLO信号を受け取るように構成される。様々なダイバーシティインスタンスのうちの1つまたは複数(例えば、すべて)によって生成される誤差信号S40は、結合器140中において結合されることができる。代わりに、各ダイバーシティインスタンスはまた、回転信号S60のインスタンスが、局所的に適用され、回転信号S60の様々なインスタンスが、第2の利得蓄積ステージ160に対する入力について結合されて(おそらく、例えば、信号強度に従って重み付けされて)、結合器140と第1の利得蓄積ステージ150の対応するインスタンスを含むこともできる。そのような配置は、他の補正が様々なダイバーシティインスタンスに対して共通に適用されて、ここにおいて説明されるようなベースバンド処理装置の他の形態のインスタンスを含めて、レシーバダイバーシティアプリケーションのために適合化されることもできる。共通の周波数基準、および/または共通の周波数補正および/または時間補正のそのような原理は、送信ダイバーシティアプリケーションにも適用されることもできる。
【0082】
誤差信号S40は、送信ダイバーシティを明らかにするように調整されることもでき、この送信ダイバーシティにおいては、関連したシンボルは、複数のアンテナ上で同じ時刻に送信される。例えば、直交送信ダイバーシティ(Orthogonal Transmit Diversity)(OTD)を使用して送信されるCDMA信号に対応する誤差信号は、1ビット左シフトされることができ、空間時間拡散(Space Time Spreading)(STS)を使用して送信されるCDMA信号に対応する誤差信号は、2ビット左シフトされることができる。誤差信号S40は、(例えば、飽和要素または切捨て要素により)制限され、かつ/または特定のアプリケーションにおいてさらに処理するために必要に応じてシフトされることもできる。
【0083】
図10aは、ベースバンド処理装置200の別のインプリメンテーション200bのブロック図を示している。この例においては、各フィンガ220bは、回転信号S60を受け取り、回転信号S60と複素信号S20に基づいた誤差信号S40を出力する。図10bは、フィンガ220bのインプリメンテーション222bのブロック図を示しており、(例えば図7中に示され、ここにおいて論じられるように)このフィンガは、ローテータ230を含んでいる。そのようなインプリメンテーションにおいては、2つ以上(おそらくすべて)のフィンガのローテータは、1つのルックアップテーブルを共用することができる。
【0084】
結合器(combiner)140は、誤差信号S40を受け取り、総合誤差S50を出力する。一例においては、結合器140は、総合誤差S50を誤差信号S40の和として生成するアダー(adder)を含んでいる。別の例においては、結合器140は、総合誤差S50を誤差信号S40の重み付けされた和として生成し、ここで各誤差信号S40は、例えば、(受信信号強度指示(received signal strength indication)あるいはRSSIのような)対応する誤差信号S40がそれから導き出された信号の強度の尺度(measure of the strength of the signal)によって重み付けされる。例えば、結合器140は、最大比率結合器としてインプリメントされることができる。結合器140のアダーまたは加算器は、飽和するアダーとしてインプリメントされることができる。結合器140は、入力値または出力値を望ましいフォーマットまたは幅にパッドし、切り捨て、かつ/または丸めるようにインプリメントされることもできる。
【0085】
結合器140は、フィンガがロックしているかどうかを示す各フィンガ220に対応するロック信号を、(例えばフィンガから、またはサーチャ210から)受け取ることができる。ロック信号が1(ロック中)またはゼロ(ロックが外れた)の値を有するような場合には、結合器140は、各ロック信号を、対応する誤差信号S40に対して利得ファクタとして適用することができる。誤差信号S40が、例えば対応する信号強度に従って重み付けされる結合器140のインプリメンテーションの場合は、ロックが外れたフィンガからの誤差信号S40は、ゼロの重みを割り当てられることができる。
【0086】
第1の利得蓄積ステージ150は、1つまたは複数の利得ファクタに従って総合誤差S50をスケーリングし(scales)、1つまたは複数の以前の状態を伴う現在の状態の蓄積に基づいた回転信号S60を出力する。第1の利得蓄積ステージ150は、ループフィルタ設計(loop filter design)の原理に従ってインプリメントされることができる。図11aは、回転信号S60のインプリメンテーションS62を出力する、第1の利得蓄積ステージ150のインプリメンテーション152を示している。この例におけるアキュムレータは、遅延要素(例えば、レジスタ)とアダーとを含み、このアダーは、飽和アダーであってもよい。回転信号S60は、例えばベースバンド処理装置200および/または第2の利得蓄積ステージ160による適用(application)の前に、さらにスケーリングされ、シフトされ、かつ/または反転されることもできる。
【0087】
第1の利得蓄積ステージ150によって適用される第1の利得ファクタは、固定された利得ファクタ、および調整可能な利得ファクタを含むことができる。図11bは、乗算器が、調整可能な(例えば、プログラマブルな)利得ファクタG10を適用し、シフタ170が、固定された利得ファクタを適用する、第1の利得蓄積ステージ150のインプリメンテーション154を示している。そのような1つの例においては、固定された利得ファクタは、調整可能な利得ファクタの適用に続く左シフトとしてインプリメントされる。固定された利得ファクタは、望ましいループ特性に従って(例えば、望ましいトラッキング速度または帯域幅を得るため、安定性および/またはダンピングを保証するためなどに)選択されることができる。
【0088】
調整可能な利得ファクタは、プログラマブル値(programmable value)、例えば8ビットの符号なし整数値(unsigned integer value)としてインプリメントされることができるが、他の値(符号付きおよび/または浮動小数点)も使用されることができる。代わりに、調整可能な利得ファクタは、各々固定されまたはプログラマブルとすることができる2つ以上の値のうちからの選択としてインプリメントされることもできる。レシーバ10の制御回路またはプロセッサは、調整可能な利得ファクタをプログラムし、または選択するように構成されることができ、異なる利得値(例えば、異なる固定され、かつ/または調整可能な利得ファクタ)は、オペレーションの異なるモードにおいて望ましい動作(例えば、獲得モード(acquisition mode)ではより大きな利得ファクタと、トラッキングモード(tracking mode)ではより小さな利得ファクタ)を得るために使用されることができる。一般的に、より大きな利得ファクタは、より高速なトラッキングをもたらすことになる。回転制御ループについて十分に高速なスルーレート(slew rate)を提供する利得ファクタを得ることもまた、望ましいかもしれない。例えば、予想されるドップラー誤差の範囲上でのトラッキング損失を防止するために(例えば、ローテータ230の分解能を考慮して)十分に大きな、回転制御ループについての帯域幅を提供する利得ファクタを得ることが望ましいかもしれない。
【0089】
1つまたは複数の受信信号インスタンスに対し、別の受信インスタンスに対するものとは異なる回転を適用することが望ましいこともある。様々な信号インスタンスに関連する周波数誤差は、一般的に、例えば対応する伝搬経路に関連する異なるドップラー誤差に起因して異なるであろう。いくつかの場合においては、異なる受信インスタンスに関連するドップラー誤差は、異なる符号を有する可能性さえある。他のフィンガによって計算される周波数誤差に基づく補正を適用するのではなくて、そのフィンガによって観察される特定の周波数誤差に従って受信インスタンスを回転させることが望ましいこともある。
【0090】
図12aは、ローテータ230のインスタンスを含む、フィンガ220のインプリメンテーション220cを示している。フィンガ220cは、誤差信号S40に基づく回転信号S60のインプリメンテーションS60Iを計算するように構成される第1の利得蓄積ステージ150のインスタンスも含んでいる。フィンガ220cは、回転信号S60Iを(例えば、ここにおいて説明されるように結合器142に対して)出力し、またローテータ230に対して回転信号S60Iを適用するようにも構成される。
【0091】
図12bは、各々が回転信号S60Iの対応するインスタンスを出力するように構成される、フィンガ220cの複数のインスタンスを含む、ベースバンド処理装置200のインプリメンテーション200cを示している。図12cは、回転信号S60Iに基づく回転信号S60の結合されたインプリメンテーションS60Cを計算するように構成される結合器142を含む、周波数制御ユニット130のインプリメンテーション134のブロック図を示している。いくつかのアプリケーションにおいては、結合器142は、回転信号S60Iの和を計算するように構成されるアダーとしてインプリメントされることができる。他のアプリケーションにおいては、結合器142は、回転信号S60Iの重み付けされた和を計算するように構成される、乗算器とアダーのアレイとしてインプリメントされることができ、ここで各信号S60Iは、対応する受信インスタンスの強度の尺度によって重み付けされる。
【0092】
ローテータ230によって適用されるような、そして、結合器142に対して出力されるような回転信号S60Iのバージョンのうちの1つは、スケーリングされ、切り捨てられ、またはゲートされた他のバージョンであってもよい。例えばローテータ230は、信号S60Iのフル分解能バージョンを適用することができるが、一方、結合器142は、様々な回転信号S60Iの切り捨てられたバージョンを結合することができる。
【0093】
周波数制御ユニット134は、結合された回転信号S60Cに基づいた発振器制御信号S70のインスタンスを計算するように構成される第2の利得蓄積ステージ160のインスタンスを含んでいる。別のインプリメンテーションにおいては、周波数制御ユニット130は、最強の受信インスタンスに対応する回転信号を選択するように構成され、第2の利得蓄積ステージ160は、この選択された信号に基づいた発振器制御信号S70を計算するように構成される。
【0094】
第2の利得蓄積ステージ160は、1つまたは複数の利得ファクタに従って回転信号S60をスケーリングし、1つまたは複数の以前の状態を伴う現在の状態の蓄積に基づいた発振器制御信号S70を出力する。第2の利得蓄積ステージ160は、ループフィルタ設計の原理に従ってインプリメントされることができる。図13aは、発振器制御信号S70のインプリメンテーションS72を出力する、第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション162を示している。この例におけるアキュムレータは、遅延要素およびアダーを含んでおり、このアダーは、飽和アダーであってもよい。発振器制御信号S70は、例えばVFO190に適用される前に、さらにスケーリングされ、シフトされ、かつ/または反転されることもできる。
【0095】
第2の利得蓄積ステージ160によって適用される第2の利得ファクタは、回転ループのスルーレート、残りのVFO誤差に対するGPSの感度、検索スケジュール、および/または別のチェーンの要件(例えば、逆方向リンクまたはトランスミットチェーン)などの判断基準に基づくことができる。ドップラーおよびフェーディングに関連したダイナミクス(dynamics)にフィルタをかけて取り除くのに十分に小さく、温度過渡現象を追跡するのに十分に大きいVFOループについての帯域幅を得ることが望ましいこともある。
【0096】
第2の利得ファクタは、固定された利得ファクタと調整可能な利得ファクタとの組合せとしてインプリメントされることができる。図13bは、発振器制御信号S70のインプリメンテーションS74を生成するために、シフタ180が固定された利得ファクタを適用し、乗算器が調整可能な(例えば、プログラマブルな)利得ファクタG20を適用する、第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション164を示している。そのような一例においては、固定された利得ファクタは、調整可能な利得ファクタの適用に先立った右シフトとしてインプリメントされる。固定された利得ファクタは、望ましいループ特性に従って(例えば、望ましいトラッキング速度または帯域幅を得るために、安定性および/またはダンピングを保証するためなどに)選択されることができる。例えば、VFOループ中の過剰にダンピングされた応答を提供することが望ましいこともある。調整可能な利得ファクタは、プログラマブルな値として、例えば8ビットの符号の付いていない整数値としてインプリメントされることができるが、他の値(符号付きおよび/または浮動小数点)が使用されることもできる。代わりに、調整可能な利得ファクタは、各々固定され、またはプログラマブルとすることができる2個以上の値のうちからの選択としてインプリメントされることもできる。レシーバ10の制御回路またはプロセッサは、調整可能な利得ファクタをプログラムし、または選択するように構成されることができ、また異なる利得値(例えば、異なる固定され、かつ/または調整可能な利得ファクタ)は、異なるオペレーションモード中における望ましい動作を得るために使用されることができる(例えば、獲得モードについてのより大きな利得ファクタと、トラッキングモードについてのより小さな利得ファクタ)。一般的に、より大きな利得ファクタは、より高速なトラッキングをもたらすことになる。
【0097】
プログラマブルな利得ファクタG10とG20のうちの一方または両方は、いくつかのプリセット値のうちからの選択としてインプリメントされることができる。例えば、プログラマブルな利得ファクタG20は、低利得値と高利得値との間での選択としてインプリメントされることができる。図13cは、制御信号S100に従って低利得ファクタG30と高利得ファクタG40との間で選択するように構成されるセレクタを含み、またシフタ180も含むことができる、第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166aのブロック図を示している。レシーバ10の制御のプロセッサおよび回路は、例えばVFOループ中に周波数誤差のより多くをプルする(pull)ことが望ましいときに、制御信号S100を経由して高利得ファクタG40を動的に選択するように構成されることができる。そのような選択は、タイマ(timer)に従って、かつ/または、GPS受信オペレーションがあるとすぐに、実行されることができる。そのような選択は、高度な順方向リンク三辺測量(advanced forward link trilateration)(AFLT)オペレーションに関連したVFO誤差要件(VFO error requirements)に従って実行されることもできる。
【0098】
ローテータループ(rotator loop)が動作できるようにしながらVFOループをディスエーブルし、またはフリーズする(freeze)ことが望ましいこともある。例えば、ローテータループ上の残りの誤差がしきい値に到達し、またはしきい値を超過するときだけに、発振器制御信号S70の値をアップデートすることが望ましいこともある。図13dは、発振器制御信号S70のインプリメンテーションS76bを生成するように構成される、第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166bのブロック図を示している。この例においては、ローパスフィルタ410は、回転信号S60の長期にわたる平均を出力するように構成される。フィルタ410は、一次または他の低次のFIRフィルタまたはIIRフィルタとしてインプリメントされることができる。
【0099】
コンパレータ460は、回転信号S60の平均値としきい値T10との間の関係に応じて高レベル(high)(1)状態または低レベル(low)(0)状態を有する制御信号C102を出力するように構成される。この例においては、制御信号C102は、平均値がしきい値T10を超過するときに、高レベル状態を有し、そうでないときに低レベル状態を有する。別の例においては、制御信号C102は、平均値がしきい値T10よりも小さいときに低レベル状態を有し、そうでないときに高レベル状態を有する。
【0100】
乗算器510は、制御信号C102の状態に従って回転信号S60をゲートするように構成されるANDゲートとしてインプリメントされることができる。回転信号S60が例えばnビットの幅を有する場合には、乗算器510は、各ゲートの一方の入力が回転信号S60の対応するビットを受け取り、他方の入力が制御信号C102を受け取るn個の2入力ANDゲートの連結アレイ(ganged array)としてインプリメントされることができる。第2の利得蓄積ステージの別のインプリメンテーション166bにおいては、第2の利得ファクタは、フィルタ410および/または乗算器510の上流で(upstream)適用されることができる。
【0101】
低利得ファクタと高利得ファクタとの間の選択は、回転信号S60に基づくことができる。例えば、高利得ファクタG40は、回転信号S60の長期にわたる平均値がしきい値を超過するときに選択されることができる。この平均値は、回転信号S60上のローパスフィルタの出力の大きさによって示されることができ、このフィルタは、例えば第1の利得蓄積ステージ150の、あるいは第2の利得蓄積ステージ160の一部分としてインプリメントされることができる。図13eは、第2の利得蓄積ステージ160のそのようなインプリメンテーション166cのブロック図を示しており、この中では低利得ファクタG30と高利得ファクタG40のうちの一方は、回転信号S60の長期にわたる平均値としきい値T20との間の関係に従って選択される。
【0102】
VFOループのスルーレートを制限することが望ましいこともある。例えばある種のイベントが、回転信号S60の値に突然のかなりの変化を引き起こす可能性がある。そのようなイベントの例は、ロックを外れるフィンガと、ロックを獲得する異なるドップラー誤差を有するフィンガと、レシーバとトランスミッタの相対速度の突然の大きな変化を含む。発振器制御信号S70上におけるそのような過渡現象の影響を低減させることが望ましいかもしれない。
【0103】
図14aは、第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166dのブロック図を示している。マルチプレクサ440は、回転信号S60のスケーリングされたバージョンと、リミッタ(limiter)420によって計算されるようなその信号のスルーレート制限されたバージョンを受け取る。一例においては、リミッタ420は、その入力信号の値に対して上限および下限を適用するように構成される。そのような限界は、例えば発振器周波数の変化の最大絶対レートに基づいて選択されることができ、このレートは、毎秒10億当たりの部分(parts per billion)(ppb)などの単位で表されることができる。GPSアプリケーションでは、6.4ppb/秒、3.2ppb/秒、または1.6ppb/秒あるいはそれより低いことさえある最大レートを選択することが望ましいこともある。代わりに、5kHzの瞬間的な限界または平均的な限界など、ヘルツの表現でスルーレート限界を選択することが望ましいこともある。マルチプレクサ440は、ロジックブロック430によって生成されるように制御信号C106の状態に基づいてその入力のうちの1つを選択するように構成される。
【0104】
図14bは、ロジックブロック430の1つのインプリメンテーションのブロック図を示している。大きさ計算ブロック(magnitude calculation block)450は、回転信号S60のスケーリングされたバージョンの大きさを計算するように構成される。コンパレータ460および470は、それぞれのしきい値T30aおよびT30bに対する大きさ(magnitude)を比較するように構成され、RSラッチ480は、大きさと各しきい値との間の関係に基づいた制御信号C106を出力するように構成される。この例においては、制御信号C106の値は、大きさがしきい値T30aを超過するときに高レベルであり、大きさがしきい値T30bを超過しないときに低レベルであり、それ以外のときには変化しない。予想される発振器ドリフトよりも大きい高いしきい値T30aについての値を選択することが望ましいこともあるが、低いしきい値T30bは、望ましい感度に従って選択されることができる。第2の利得蓄積ステージ166dは、スルーレート制限オペレーションが、イネーブルされ、またはディスエーブルされることができるように構成されることもできる。例えば、GPS受信中にスルーレート制限をイネーブルにし、そうでない場合にそのようなオペレーションをディスエーブルにすることが望ましいこともある。
【0105】
回転信号S60に基づいた制御ファンクションを実行する、第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション(例えば、図13c、13d、13e、または14aに示されるようなインプリメンテーション)は、回転信号S60のスケーリングされたバージョン、または切り捨てされたバージョンに対して制御ファンクションを実行するように構成されることができることに注意すべきである。
【0106】
レシーバ10のいくつかのインプリメンテーションにおいては、第1および第2の利得蓄積ステージのうちの一方または両方は、アキュムレータとしてインプリメントされることができ、かつ/または、そのようなステージ中における利得要素は、シフトとしてインプリメントされることができる。
【0107】
ドップラー誤差および温度誤差が2つのループの間で信頼できるように分離されることができるように、第1および第2の利得蓄積ステージの利得ファクタを構成することが望ましいこともある。例えば、ループの帯域幅の間で実質的に一定の比を保持することが望ましいこともある。適切な帯域幅比は、10から1000までの範囲とすることができ、100の値が、少なくともいくつかのアプリケーションでは、望ましい。代わりに、2つのループの時定数の間で実質的に一定の比を保持することが望ましいこともある。適切な時定数比は、0.2から20までの範囲とすることができ、2の値が、少なくともいくつかのアプリケーションでは望ましい。さらなる代替案においては、VFOループの実質的に一定の帯域幅または時定数を保持することが望ましいこともある。VFOループについての適切な時定数は、0.2秒から20秒までの範囲とすることができ、2秒の値が、少なくともいくつかのアプリケーションでは望ましい。
【0108】
上記に述べたように、誤差計算器250によって計算される誤差信号S40は、受信信号の大きさに依存する可能性がある。周波数制御ユニット132のいくつかのインプリメンテーションにおいては、内側(回転)ループの利得は、ループ応答が、信号強度が増大すると共に速くなるようにEc/Io(信号および雑音の総受信パワーに対するチップ当たりのパイロットエネルギーの比)を用いてスケーリングすることができるが、外側(VFO)ループの主要な極(dominant pole)は、信号強度の影響を受けないこともある。そのような場合には、2つのループの間の帯域幅比は、信号強度と共に変化する可能性がある。
【0109】
そのような変化の潜在的な影響は、各ループ中において補償される周波数誤差の量の比が、信号強度に従ってかなり変化することである。そのような影響を回避することが望ましいこともある。例えば、Ec/Io値の予想される拡散にまたがって、2つのループの実質的に一定の帯域幅比(例えば、100%、50%、または10%の範囲内の)を実現することが望ましいこともある。1つのアプリケーションにおいては、Ec/Io値のそのような拡散(例えば、単一フィンガのロックしきい値からすべてのフィンガの飽和までの)は、約−28dBから約0dBまでの範囲を有する。1つのアプリケーションにおいては、VFOループ帯域幅に対する回転ループ帯域幅の比は、約10であるが、他の任意の比(例えば、1より大きな、または1より小さな)が、望ましいアプリケーションについて必要に応じて選択されることができる。
【0110】
第2の利得蓄積ステージ160は、信号に依存した利得ファクタを含むようにインプリメントされることができる。例えば、第2の利得ファクタは、信号強度(例えば、エネルギー)の尺度に従ってスケーリングされることができる。図15aは、スケーリングファクタG30に基づいた発振器制御信号S70のインプリメンテーションS78を出力する、第2の利得蓄積ステージ160のさらなるインプリメンテーション168を示している。
【0111】
スケーリングファクタG30は、誤差計算器250によって見られるような信号に依存したスケーリングに似ているように(例えば、現在のサンプルベクトルと以前のサンプルベクトルの大きさの積として)インプリメントされることができる。例えば、スケーリングファクタG30は、受信信号エネルギーの指示または近似として、インプリメントされることができる。図15bは、スケーリングファクタG30のインプリメンテーションG32を現在のI値およびQ値の2乗の和として計算する、スケーリングファクタ計算器185のブロック図を示している。他のインプリメンテーションにおいては、適切なスケーリングファクタが、すでに使用可能とすることができる(例えば、対応するフィンガについて計算されたRSSI値として)。いくつかのアプリケーションにおいては、その代わりに、例えばそのような値がすでに使用可能である場合に、隣接するシンボル(例えば、現在のシンボルと以前のシンボル)のドット積(dot product)を使用することが望ましいこともある。第2の利得蓄積ステージ168は、シフタ180を含むこともできる、一方、いくつかのインプリメンテーションにおいては、シフトとしてスケーリングファクタG30を適用することが十分であり得る。
【0112】
周波数制御ユニット130のいくつかのアプリケーションにおいては、回転制御ループとVFO制御ループとをデカップリングする(decouple)ことが望ましいかもしれない。例えば、回転ループの量子化雑音からVFOループを分離することが望ましいかもしれない(例えば、VFO190の分解能(Hz/LSBの単位の)がローテータ230の分解能よりも微細である場合)。デカップリングされたコンフィギュレーションは、設計し、解析するのにより簡単であり、より柔軟であり、かつ/またはそのような獲得など、特別な状況に適合させるのにより簡単なこともある。そのようなコンフィギュレーションにおいては、ループ間の任意の帯域幅比がインプリメントされることができるように、2つのループについての利得ファクタは、互いにほとんど独立して(largely independently)選択されることができる。
【0113】
図16aは、デカップリングされたコンフィギュレーション中において使用されることができる、ベースバンド処理装置300のインプリメンテーション300bのブロック図を示している。ベースバンド処理装置300bは、各々が受信信号の同じインスタンスに基づいた2つの誤差信号S40aおよびS40bを出力する、フィンガ220の1組のインプリメンテーション220dを含んでいる。誤差信号S40aは、回転が信号に適用された後に残っている周波数誤差を示し、一方、誤差信号S40bは、非回転信号中における周波数誤差を示す。
【0114】
図16bは、結合器140の2つのインスタンス140a、140bを含む周波数制御ユニット130のインプリメンテーション136のブロック図を示している。周波数制御ユニット136は、誤差信号S40aに基づいた回転信号S60の後続の状態を計算するように構成される。周波数制御ユニット136は、誤差信号S40bに基づいた発振器制御信号S70の後続の状態を計算するように構成されることもある。
【0115】
図17は、フィンガ220dのインプリメンテーション222dのブロック図を示している。フィンガ222dは、デコーダ240の2つのインスタンスと誤差計算器250の2つのインスタンスとを含んでいる。第1の信号経路においては、フィンガ222bに関連して上記されるように、デコーダ240aは、回転された信号S80を復号化し、誤差計算器250aは、誤差信号S40aを計算する。第2の信号経路においては、デコーダ240bは、複素信号S20を復号化し、誤差計算器250bは、誤差信号S40bを計算する。誤差計算器250aおよび250bは、同様にインプリメントされることができ、また、異なる時刻に異なるコンテキストで適用される同じ構成および/または命令セットとしてインプリメントされることさえできる。あるいは、誤差計算器は、異なる構成および/または命令セットとしてインプリメントされることもでき、この場合に、第1および第2の利得蓄積ステージのうちの一方または両方は、誤差計算器の応答の間の差を補償するように構成されることができる。
【0116】
フィンガ222dの2つのデコーダは、同じオフセット信号S210に従ってそれらの入力信号を復号化するように構成される。この場合に、誤差計算器250aは、回転された信号S80の周波数誤差特性を計算するが、誤差計算器250bは、(非回転の)複素信号S20の周波数誤差特性を計算する。フィンガ222dにおいては、誤差信号S40bが回転信号S80の変化によって影響されない、ということが理解されることができる。
【0117】
回転および発振器制御ループの同様なデカップリングが、ここにおいて説明されるように他のフィンガアーキテクチャを使用して達成されることができる、ということもまた理解されることができる。例えば、図18aは、各々が誤差信号S40aおよびS40bを計算するように構成される1組のフィンガ220eを含む、ベースバンド処理装置300の別のインプリメンテーション300cのブロック図を示している。図18bは、フィンガ220eのインプリメンテーション222eのブロック図を示している。
【0118】
同様に、図19aは、誤差信号S40bを計算する、フィンガ220cのインプリメンテーション222fのブロック図を示し、図19bは、周波数制御ユニット136のインプリメンテーション136aのブロック図を示しており、この中においてベースバンド処理装置300のインプリメンテーション300dは、誤差信号S40bを計算するように構成される1組のフィンガ222fを含んでいる。
【0119】
いくつかのフィンガアーキテクチャにおいては、非回転信号をデコーダに供給することは実現可能でないかもしれない。そのような場合には、回転ループと発振器制御ループとの効果的なデカップリングは、逆回転された(derotated)シンボルに基づいた発振器制御ループについての周波数誤差を計算することによって達成されることができる。図20は、周波数制御ユニット130のインプリメンテーション138のブロック図を示している。ベースバンド処理装置300のインプリメンテーション310は、複素信号S20(これは、ベースバンドまたはベースバンドの近くにある可能性がある)と回転信号S60を受け取り、これらの2つの入力に基づいた複数の誤差信号S40を出力する。ベースバンド処理装置310は、逆回転信号(derotation signal)S360に基づいた複数の誤差信号S340も出力する。結合器140は、総合誤差S50を得るために誤差信号S40を結合し、結合器340は、総合誤差S350を得るために誤差信号S340を結合する。総合誤差S50に基づいて、第1の利得蓄積ステージ150のインプリメンテーション350は、回転信号S60と逆回転信号S360を生成する。第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション360は、総合誤差S350に基づいた発振器制御信号S70のインプリメンテーションS74を生成する。
【0120】
図21aは、複数のフィンガ320aを含むベースバンド処理装置310のインプリメンテーション310aのブロック図を示している。フィンガ320aの各々は、ここにおいて説明されるようなフィンガ220aのインプリメンテーションであり、それはまた、逆回転信号S360に基づいた対応する誤差信号S340を出力するように構成される。
【0121】
図21bは、フィンガ320aのインプリメンテーション322aのブロック図を示している。ローテータ330は、逆回転されたシンボルS390を生成するために、逆回転信号S360に従って、復号化されたシンボル(decoded symbol)S90を回転させる。ローテータ330は、ここにおいて説明されるようにローテータ230の一実施形態に従ってインプリメントされることができ、ローテータ230と同じルックアップテーブルを使用することができる。一例においては、ローテータ230は、専用のハードウェア要素(例えば、乗算器)を使用してインプリメントされ、一方、ローテータ330は、ロジック要素(例えば、マイクロプロセッサまたはデジタル信号処理プロセッサ)のアレイ上で実行される複数のルーチンのうちの1つとしてインプリメントされる。
【0122】
誤差計算器350は、逆回転されたシンボルS390に基づいて誤差信号S340を計算する、ここにおいて説明されるような誤差計算器250の1つのインプリメンテーションである。誤差計算器250および350は、誤差信号S40およびS340が信号強度に対する類似した依存性を有するように同様にインプリメントされることができる。そのような一実施形態においては、回転制御ループとVFO制御ループとの間の帯域幅比は、たとえ誤差信号S40が信号振幅と共に変化するとしても保存されることができる。
【0123】
図22aは、ベースバンド処理装置310の別のインプリメンテーション310bのブロック図を示している。この例においては、各フィンガ320は、やはり逆回転信号S360に基づいた対応する誤差信号S340を出力するように構成される、ここにおいて説明されるようなフィンガ220bの1つのインプリメンテーションである。図22bは、フィンガ320bのインプリメンテーション322bのブロック図を示しており、このフィンガのインプリメンテーションは、逆回転されたシンボルS390を生成するために、逆回転信号S360に従って、復号化されたシンボルS90を回転させるように構成されるローテータ330を含んでいる。一例においては、ローテータ230は、専用のハードウェア要素(例えば、乗算器)を使用してインプリメントされ、一方、ローテータ330は、ロジック要素(例えば、マイクロプロセッサまたはデジタル信号処理プロセッサ)のアレイ上で実行される複数のルーチンのうちの1つとしてインプリメントされる。ベースバンド処理装置300のインプリメンテーションの2つ以上(おそらくすべて)のフィンガのローテータは、ルックアップテーブルを共用することができる。
【0124】
第1の利得蓄積ステージ350は、回転信号S60の以前の状態に基づいた逆回転信号S360を出力するように構成される、ここにおいて説明されるような第1の利得蓄積ステージ150の1つのインプリメンテーションである。図23aは、第1の利得蓄積ステージ350のインプリメンテーション352のブロック図を示しており、図23bは、第1の利得蓄積ステージ350のインプリメンテーション354のブロック図を示している。
【0125】
結合器340は、ここにおいて説明されるような結合器140の1つのインプリメンテーションである。結合器140が誤差信号S40を重み付けすることにより総合誤差S50を計算する場合、結合器S340は、その出力(例えば、総合誤差S350)を計算する際にその入力信号(例えば、誤差信号S340)に対して類似した対応する重みを適用することが望ましいこともある。第2の利得蓄積ステージ360は、ここにおいて説明されるような第2の利得蓄積ステージ160の1つのインプリメンテーションであり、第2の利得ファクタが、例えば、望ましいVFOループ応答に従って選択されている。
【0126】
ベースバンド処理装置310の他のインプリメンテーションは、複素信号S20の回転されていないバージョンに基づいた誤差信号S340を得ることができる。例えば、そのような装置は、それぞれの誤差計算器350が、これらの回転されていない復号化されたシンボルに基づいた誤差信号S340を計算するように構成されている、ローテータ230を通過しない複素信号S20の1バージョンからシンボル(例えば、それぞれのオフセット信号S210の現在または以前のバージョンに基づいたもの)を復号化するデコーダ240のインスタンスを有するフィンガを含むことができる。
【0127】
代替コンフィギュレーションを使用して回転制御ループとVFO制御ループとの効果的なデカップリングを得ることが望ましいこともある。例えば、フィンガ当たりの逆回転オペレーション(per-finger derotation operation)または追加のフィンガ当たりの復号化オペレーション(additional per-finger decoding operation)を実行せずに、第2の利得蓄積ステージ360に対する入力についての適切な(例えば、総合誤差S350と類似した、または等価な)誤差信号を得ることが望ましいこともある。そのようなインプリメンテーションは、復号化されたシンボルS90のフィンガ当たりの回転ではなくて1つまたは複数の結合された信号(例えば、総合誤差S50)に対して逆回転オペレーションを実行することを含むことができる。
【0128】
レシーバ10のいくつかのアプリケーションにおいては、一時的に発振器制御信号S70がVFO190の出力を変化させないようにすることが望ましいこともある。例えばレシーバ10の別のRFチェーンを経由した信号の受信や送信(例えば、GPS信号受信)など、周波数基準S30に基づいた別のオペレーションの実行中にそのような変化を禁止することが望ましいこともある。そのような制御は、発振器制御信号S70をゼロに設定することにより、第2の利得蓄積ステージ160に対する入力をゼロに設定することにより、かつ/または、発振器制御信号S70を受信するように、ここにおいて説明されるように構成される、制御レジスタに対するアップデートを防止することにより(例えば、制御レジスタのライトイネーブル信号をディアサートすることにより)、達成されることができる。そのようなアプリケーションにおいては、VFO190の温度補償を継続することを可能にすることが望ましいこともある。
【0129】
発振器制御信号S70がVFO190の出力を変化させないようにするモードは、タイマにより、あるいは受信(例えば、GPS受信)オペレーションまたは送信オペレーションの実行をするとすぐに開始されることができる。そのようなモードは、回転信号S60上の大きな変化の検出をするとすぐに(例えば、過剰な誤差がVFOループに入らないように停止するために)開始されることもできるが、VFOループ中の誤差の補償を防止することは、RF信号S10を追跡する能力に(例えば、周波数誤差が、回転ループのスルーレートを超過すべき場合に)悪影響を及ぼす可能性がある。そのような変化は、回転信号S60に対するローパスフィルタの出力の大きさによって示されることができるが、このフィルタは、例えば第1の利得蓄積ステージ150、または第2の利得蓄積ステージ160の一部分としてインプリメントされることができる。そのようなモードに入るタイミングまたは制御の決定は、例えば回転制御ループの残りの誤差の大きさ、残りのVFO誤差に対するGPSレシーブチェーンの感度、1つまたは複数の検索スケジュール、および/またはトランスミットチェーンや他のレシーブチェーンなど、レシーバ10の別のRFチェーンの要件に基づいていてもよい。
【0130】
ここにおいて指摘されるように、レシーバ10は、レシーバ(例えば、GPSレシーブチェーン)の動きから生じるドップラー誤差から比較的自由なレシーブチェーンを含むことができる。しかし、長い時間の間に、VFO制御ループは、定常状態ドップラー誤差について補償し始める可能性がある。いくつかのアプリケーションにおいては、VFO190の周波数制御は、一時的に発振器制御信号S70以外の信号に(例えば、そのようなドップラー誤差をVFOループから除くために)基づいていることが望ましいこともある。例えば、VFO190の制御をGPSレシーブチェーンなど別のレシーブチェーンから導き出された信号へとスイッチングすることが望ましいこともある。そのようなモードは、回転信号S60上の変化の大きなレートを検出するとすぐに、GPS受信オペレーションを実行するとすぐに、かつ/またはタイマに従って開始されることができる。
【0131】
ここにおいて説明されるように、2ループの周波数制御コンフィギュレーションは、VFO誤差から平均ドップラー周波数誤差を分離するために使用されることができる。しかし、他の周波数誤差について補償することも望ましいこともある。例えば平均ドップラー誤差に加えて、レシーブチェーンは、経路特有のドップラー誤差に遭遇する可能性もある。レシーバ10が高速度で移動している状況(例えば、高速の車の中または高速の列車上)においては、かつ/または複素信号S20が互いに反対の方向から(例えば、レシーバがそれに向かって移動している方向から、そしてその反対の方向から)受信される信号を含むときには、異なるフィンガは、非常に異なるドップラー誤差に出合う可能性がある。
【0132】
少なくとも1つのフィンガがローテータを含むインプリメンテーションのさらなるアプリケーションにおいては、そのような1つまたは複数のフィンガは、そのフィンガに固有の周波数誤差(例えば、ドップラー誤差)についての補償を示す追加の回転信号を、受け取る。このように、マルチパスインスタンスに対して適用される実際の回転は、回転信号S60に加えて他のファクタに基づいているかもしれない。そのような追加の補償は、対応するローテータ230によって適用されることができ(例えば、そのフィンガについての回転信号S60と結合されることができ)、かつ/またはその信号経路は、そのような追加の回転を適用するローテータ230の別のインスタンスを含んでもよい。フィンガに適用されるような逆回転信号S360がそのような追加の回転を明らかにする(account for)(例えば、除去もする)ことが望ましいかもしれない。
【0133】
さらなるアプリケーションにおいては、回転信号S60による複素信号S20の回転は、一時的にディスエーブルにされてもよい。そのようなディスエーブルにすることは、例えば、もし別のタスクのために(例えば、レシーバ10の高速移動中のように、経路特有のドップラー誤差(path-specific Doppler errors)を補償するために)1つ(または複数)のローテータ230を使用することが望まれるのであれば、使用されてもよい。レシーバ10の別のRFチェーンがアクティブでない(inactive)期間中にそのようなモードに入ることが望ましいこともある。
【0134】
回転ディスエーブル化(rotation disabling)のそのようなアプリケーションにおいては、総合誤差S50が、VFO制御のために第2の利得蓄積ステージ160に向けられ(directed)てもよく、あるいは、第1の利得蓄積ステージ150の出力(例、回転信号S60)が、異なる固定のかつ/または調整可能な利得ファクタを適用するように構成されているかもしれない関連したステージを備えた、発振器制御信号S70として機能するようにリダイレクトされ(redirected)てもよい。代わりに、VFOループの制御は、(例えば、総合誤差S50を受け取り、発振器制御信号S70を出力する)利得蓄積ステージのさらなるインスタンスを有する並列ブランチに対するそのようなアプリケーション中にスイッチングされてもよい。そのようなモードのインプリメンテーションは、例えば回転信号S60をゼロに設定すること、あるいはそうでなければ1つ(または複数)のローテータ230が回転信号S60に基づいた回転を適用しないようにすることを含んでもよい。逆回転信号S360を含むインプリメンテーションの場合、そのようなアプリケーションにおいては、同様に逆回転信号S360をゼロに設定すること、あるいはそうでなければローテータ430が逆回転信号S360を適用しないようにすること、もまた、望ましいかもしれない。
【0135】
図1bに示されるようなレシーバ12の1つのアプリケーションにおいては、RFフロントエンド110aは、CDMA信号を受信するように構成され、レシーバは、CDMA信号から発振器制御信号S70を導き出すように構成される。そのようなレシーバの別のアプリケーションにおいては、RFフロントエンド110aは、GPS信号を受信するように構成され、レシーバは、GPS信号から発振器制御信号S70を導き出すように構成される。
【0136】
レシーバ12のさらなるアプリケーションにおいては、ダウンコンバータ120aは、周波数制御ユニット130のインスタンス130aに対してCDMA信号に基づいた複素デジタル信号を出力するように構成され、ダウンコンバータ120bは、周波数制御ユニット130のインスタンス130bに対してGPS信号に基づいた複素デジタル信号を出力するように構成される。周波数制御ユニット130a、130bの各々は、それぞれの複素デジタル信号に基づいた発振器制御信号S70のインスタンスを計算するように構成され、レシーバは、発振器制御信号S70のどのインスタンスをVFO190に対して適用すべきかを決定するように構成される決定ロジックを含んでいる。
【0137】
レシーバは、レシーバの動作モードに従って発振器制御信号S70のインスタンスを選択するように構成されてもよい。そのような1つのインプリメンテーションにおいては、GPS信号に対応するS70のインスタンスは、GPS受信中にVFO190を制御するために使用され、CDMA信号に対応するS70のインスタンスは、そうでない場合に使用される。代わりに、選択は、GPS信号とCDMA信号の相対的強度(relative strengths)に基づくことができ、時間間隔または他のイベントに従って動的に再評価されることができる。例えばオープンな戸外空間において、GPS信号に基づいた受信インスタンスは、CDMA信号の最強の受信インスタンスよりも高い信号エネルギーを有することができ、レシーバは、それに基づいたGPS信号に対応するS70のインスタンスを選択するように構成されることができる。
【0138】
図24は、2つのダウンコンバータ120a、120bの各々が複素デジタル信号をそれぞれの周波数制御ユニットに対して出力する、一実施形態によるレシーバのブロック図を示している。周波数制御ユニット130aは、複素信号S20aから導き出された回転信号S60を計算するように構成される。周波数制御ユニット130bは、ここにおいて説明されるように周波数制御ユニット130のインプリメンテーションのうちの任意のものに従ってインプリメントされることができ、複素信号S20bから導き出される発振器制御信号S70を計算するように構成される。いくつかのアプリケーションにおいては、周波数制御ユニット130bは、1つの発振器制御ループだけを含むようにインプリメントされる。一例においては、RF信号S10aは、CDMA基地局から受信され、RF信号S10bは、GPS SVから受信される。
【0139】
ここにおいて指摘されるように、周波数基準S30は、レシーバ10についての時間基準としての役割を果たすこともできる。例えばデジタル信号S20を生成するためにダウンコンバータ120によって使用されるサンプリングクロックは、周波数基準S30から導き出されることができる。周波数基準S30の周波数における誤差は、したがって複素信号S20のタイミングの誤差を引き起こす可能性もある。複素信号S20中の周波数誤差は、それに応じて複素信号S20の値を回転させることにより低減させることができ、あるいは補正されることができるが、そのような回転は、タイミング中における誤差を補正するためには有効ではない。実施形態は、第1のRF信号に基づいたデジタル信号中におけるタイミング誤差を低減させるあるいは補正するために、かつ/または異なるキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいたデジタル信号中におけるタイミング誤差を低減させるあるいは補正するために、第1のキャリア周波数を有する第1のRF信号から導き出されるタイミング情報が適用される配置を、含む。
【0140】
いくつかの配置は、タイミング誤差を補正するためにデジタル信号のリサンプリングを実行するように構成される。図25aは、回転された信号S80に基づいたリサンプリングされた信号S85を計算するように構成される時間制御ユニット510を含む、フィンガ222bのインプリメンテーション224bのブロック図を示している。図25bは、そのような時間制御ユニット510を含むフィンガ220cのインプリメンテーション224cのブロック図を示している。図25cは、時間制御ユニット510を含むフィンガ222aのインプリメンテーション224aのブロック図を示している。
【0141】
時間制御ユニット510は、遅延ロックループ(delay-locked loop)(DLL)を含むようにインプリメントされることができる。図26aは、時間制御ユニット510のインプリメンテーション512のブロック図を示している。リサンプラ520は、デジタル信号(例えば、回転された信号S80または複素信号S20)を受け取り、リサンプリングされた信号S85を生成するためにフィルタがかけられた誤差信号S520に従ってその信号をリサンプリングする。デコーダ240Eおよび240Lは、リサンプリングされた信号の早期バージョン(early version)および最近バージョン(late version)をそれぞれ復号化し、復号化されたシンボルS90E、S90Lをそれぞれのエネルギー計算器530E、530Lに対して出力する。各エネルギー計算器530は、例えばそれぞれの復号化されたシンボルストリームのエネルギーの測定値を複素入力値の2乗された大きさとして計算するように構成される。ループフィルタ540は、エネルギー測定値の間の差として誤差信号S510を受け取り、フィルタがかけられた誤差信号S520を計算する。ループフィルタ540は、一次または他の低次(first- or other low-order)のIIRフィルタまたはFIRフィルタとしてインプリメントされることができる。例えば、ループフィルタ540は、ここにおいて説明されるように第1の利得蓄積ステージ150の一例に従ってインプリメントされることができる。
【0142】
リサンプラ520は、オーバーサンプリングされた入力ストリームから選択するように構成されることができる。例えばm倍のチップレートのレートでオーバーサンプリングされる入力ストリームでは、リサンプラ520は、フィルタがかけられた誤差信号S520に従って修正されるように以前に選択されたサンプルの相対的ロケーションに基づいた各チップ期間中にm個のサンプルのうちの1つを選択し出力するように構成されることができる。リサンプラ520は、選択されたサンプルの近傍におけるサンプルの平均値または重み付けされた平均値を計算するようにインプリメントされることもできる。代わりに、リサンプラ520は、フィルタがかけられた誤差信号S520に従って2つ以上のサンプルから補間された値(interpolated value)を計算するように構成されることもできる。そのような補間は、チップレートでサンプリングされるストリーム上で、あるいはオーバーサンプリングされたストリーム上で実行されることができる。
【0143】
デコーダ240Eおよび240Lは、+/−1/2チップや+/−1/4チップ(+/- 1/2chip or +/- +/- 1/4chip)のような、チップ期間のあるフラクション(some fraction)のオフセットに従ってリサンプリングされた信号S85の、早められた復号化および遅延された復号化(advanced and delayed decoding)をそれぞれ実行するように構成される。1つのインプリメンテーションにおいては、リサンプラ520は、リサンプリングされた信号S85の早期バージョンおよび最近バージョンをデコーダ240E、Lに対して出力するように構成される。この場合には、デコーダは、オフセット信号S210に従ってそれぞれのバージョンを復号化するように構成されることができる。別のインプリメンテーションにおいては、デコーダ240Eおよび240Lは、オフセット信号S210のそれぞれの早期バージョンおよび最近バージョンを、リサンプリングされた信号S85に対して適用するように構成される。
【0144】
周波数制御ユニット130のインプリメンテーションは、タイミング誤差を低減させるあるいは補正するために、回転信号S60を適用するように構成されることもできる。図26bは、時間制御ユニット510のインプリメンテーション514のブロック図を示している。この例においては、リサンプラ520は、フィルタがかけられた誤差信号S520と回転信号S60との重み付けされた和に従ってデジタル信号をリサンプリングする。1つのコンフィギュレーションにおいては、回転信号S60Iなど、特定の受信インスタンスの周波数誤差に基づいた回転信号S60が使用される。別のコンフィギュレーションにおいては、回転信号S60Cなど、結合された周波数誤差に基づいた回転信号S60が使用される。
【0145】
図27aは、周波数制御ユニット130のインプリメンテーション130tのブロック図を示している。周波数制御ユニット130tは、上記されるようにフィンガ224aまたは224bの組に結合されたサーチャ210を含んでいるベースバンド処理装置200のインプリメンテーション200tを含んでいる。(周波数制御ユニット130tの別のインプリメンテーションは、1組のフィンガ224cを含むように構成されるベースバンド処理装置200tに適合される。)ベースバンド処理装置200tは、フィンガの時間制御ユニット510からの1つまたは複数の誤差信号(例えば、フィルタがかけられた誤差信号S520)に基づいた位相補正信号(phase correction signal)S530を出力するように構成される。例えば、位相補正信号S530は、最強の受信インスタンスに対応するフィルタがかけられた誤差信号S520に基づいていてもよく、あるいはアクティブな(例えば、ロックされた)フィンガの時間制御ユニットからの誤差信号の平均値、または重み付けされた平均値であってもよい。
【0146】
ベースバンド処理装置200tのフィンガは、例えば2003年10月2日に公開された「無線通信システムのための周波数タイミング制御ループ(FREQUENCY-TIMING CONTROL LOOP FOR WIRELESS COMMUNICATION SYSTEMS)」という名称のシンデューシャヤナ(Sindhushayana)の米国公開特許出願第2003/0186666号中に説明される原理に従って構成される時間制御ユニット510の他のインプリメンテーションを含むことができる。図27bは、位相補正信号S530に基づいた回転信号S60を計算するように構成される第1の利得蓄積ステージ150tの1つのインプリメンテーションのブロック図を示している。周波数制御ユニット130のさらなるインプリメンテーションにおいては、第1の利得蓄積ステージに対して位相補正信号を適用するこれらの原理は、時間制御ユニット510を伴うフィンガを有するベースバンド処理装置300のインプリメンテーションと共に使用される。
【0147】
他の実施形態は、RF信号から導き出される情報に従ってサンプリングプロセスのタイミングを調整するように構成される。図28は、周波数制御ユニット130のインプリメンテーションP10を含むレシーバのブロック図を示している。周波数制御ユニットP10は、ここにおいて説明されるように周波数制御ユニット130のインプリメンテーションのうちの任意のものに従って構成されることができ、タイミング調整信号S550をクロックシンセサイザS550に対して出力するように構成される。いくつかのコンフィギュレーションにおいては、タイミング調整信号S550は、周波数補正信号(例えば、発振器制御信号S70)であり、あるいはそのような信号から導き出される。他のコンフィギュレーションにおいては、タイミング調整信号S550は、時間補正信号(例えば、位相補正信号S530)に基づいており、あるいはそのような信号から導き出される。
【0148】
発振器O10は、周波数基準S30のインプリメンテーションS34を出力するように構成される。発振器O10は、可変周波数発振器190として、あるいは代わりにXOやTCXOなど、固定された周波数発振器としてインプリメントされることもできる。クロックシンセサイザ550は、タイミング調整信号S550および周波数基準S34に基づいたサンプリングクロック信号CLKを生成するように構成される。例えば、クロックシンセサイザ550は、周波数基準S34からクロック信号を導き出し、タイミング調整信号S550に従ってそのクロック信号の周期を拡大または縮小するように構成されることができる。クロックシンセサイザ550がPLLとしてインプリメントされる場合については、タイミング調整信号S550は、位相補正としてループ中に加えられることができる。クロックシンセサイザ550が、(例えば、フィリポビック(Filipovic)等に対する「補償されないクリスタル発振器を有する無線デバイス(Wireless Device with a Non-Compensated Crystal Oscillator)」という名称の米国特許出願第11/269,360号中に説明されているような)動的なM/NカウンタまたはM/N:Dカウンタとしてインプリメントされる場合については、タイミング調整信号S550は、カウンタについてのMおよびNの値を計算するために使用されることができる。クロックシンセサイザ550はまた、サンプリングクロック信号CLKをダウンコンバータ120に対して(例えば、ダウンコンバータ120の1つまたは複数のADCまたはリサンプラに対して)供給するように構成される。クロックシンセサイザ550は、1つまたは複数のPLLまたは他のクロック生成回路、例えば、動的なM/NカウンタやM/N:Dカウンタなど、としてインプリメントされることができる。
【0149】
図29は、1つのレシーバチェーンから別のものへとタイミング調整情報を転送するように構成されるレシーバの一例を示している。この例においては、クロックシンセサイザ550は、クロック信号CLKをダウンコンバータ120bに対して(例えば、ダウンコンバータ120bの1つまたは複数のADCまたはリサンプラに対して)供給する。周波数制御ユニットP10によって計算されるタイミング調整信号S550は、第1のキャリア周波数を有するRF信号S10aに基づいている。クロック信号CLKに従って、ダウンコンバータ120bは、第1のキャリア周波数とは異なるキャリア周波数を有するRF信号S10bに基づいた複素信号S20bを生成するように構成される。典型的なアプリケーションにおいては、RF信号S10aおよびS10bのうちの一方は、CDMA基地局から受信され、RF信号S10aおよびS10bのうちの他方は、GPS SVから受信される。
【0150】
図29に示されるようなレシーバの別のインプリメンテーションは、ダウンコンバータ120bの代わりに、またはダウンコンバータ120bに追加して、複素信号S20bに基づいて、周波数基準S34およびクロック信号CLKに従ってRF信号を生成するように構成されるアップコンバータを含むトランシーバである。
【0151】
以上で指摘されるように、ここにおいて説明される発明の原理は、発振器が自走している構成に対して適用されることができる。図30は、周波数基準S30のインプリメンテーションS36と周波数制御ユニット130のインプリメンテーションP20とを生成するように構成される固定周波数発振器O20(XOやTCXOなど)を含む一実施形態によるレシーバのブロック図を示している。周波数制御ユニットP20は、ここにおいて説明されるように周波数制御ユニット130のインプリメンテーションのうちの任意のものに従って構成されることができ、周波数制御信号S700を出力するように構成される。第1のキャリア周波数を有するRF信号S10aに基づいて、周波数制御信号S700は、発振器O20の周波数誤差に関する。
【0152】
周波数制御ユニットP20は、長期の平均周波数誤差に基づいた周波数補正を転送するように構成されることができる。例えば、周波数制御ユニットP20は、周波数基準S36の周波数に対する温度の影響に起因した周波数補正に関連した情報を転送し、ドップラー効果に起因した、RF信号S10a中における周波数誤差にフィルタをかけて取り除くように構成されることができる。
【0153】
ベースバンド処理装置P30は、周波数制御信号S700に従ってRF信号S10bに基づいたベースバンドデジタル信号S600を生成するように構成される。ベースバンド処理装置P30は、ここにおいて説明されるようなベースバンド処理装置200または300のインプリメンテーションのうちの任意のものに従って構成されることができる。例えば、ベースバンド処理装置P30は、周波数制御信号S700に従って複素信号S20bのサンプルを回転させるように構成されることができる。ベースバンドデジタル信号S600は、ここにおいて説明されるような復号化されたデータシンボルS250のようなデータシンボルのストリームを含むことができる。一例においては、RF信号S10bは、CDMAトランスミッタから受信される。別の例においては、RF信号S10bは、GPS SVから受信される。
【0154】
図31は、ここにおいて説明されるような第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーションの出力信号が、周波数制御信号S700としてベースバンド処理装置P30に方向づけられるレシーバの1つのインプリメンテーションのブロック図を示している。ここにおいて説明されるような他のインプリメンテーションはまた、1つのレシーバチェーンの周波数制御ユニットから他のレシーバチェーンのベースバンド処理装置へと時間補正信号(例えば、位相補正信号S500)を転送するために使用されることもできる。
【0155】
図31に示されるようなレシーバの別のインプリメンテーションは、ダウンコンバータ120bの代わりに、またはダウンコンバータ120bに追加して、複素信号S20bに基づいて、周波数基準S36に従ってRF信号を生成するように構成されるアップコンバータを含むトランシーバである。この例においては、ベースバンド処理装置は、ベースバンド信号S600に基づいて(例えば拡散符号を適用することにより)、また周波数制御信号S700に従って(例えば、回転を適用することにより)複素信号S20bを生成するように構成される。自走する発振器を有するレシーバまたはトランシーバは、ここにおいて説明されるようにアップコンバータまたはダウンコンバータに対してLO信号を供給する周波数シンセサイザに対して周波数制御信号S700(または周波数制御信号S700に基づいた信号)を適用するように構成されることもできる。周波数シンセサイザが、例えばPLLを含む場合には、周波数制御信号S700またはそれに基づいた信号は、位相補正としてループ中に加えられることができる。
【0156】
説明された実施形態の上記の提示は、どのような当業者も本発明を作りまたは使用することができるようにするために提供される。これらの実施形態に対する様々な修正が可能であり、ここにおいて説明される包括的な原理は、同様に他の実施形態に対しても適用されることができる。例えば図32aおよび32bは、実施形態による、それぞれ方法M100およびM200のフローチャートを示している。そのような方法のさらなるバージョンは、追加の方法と同様に、例えば構造的な実施形態のオペレーションの説明によって、ここに明確に開示される、ということに注意が必要である。そのような方法はまた、ロジック要素(例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または他の有限状態機械)のアレイを含む機械(machine)によって読取り可能かつ/または実行可能な1つまたは複数の命令セットとして実施されることもできる。
【0157】
方法M100において、タスクT110は、第1のRF信号(例えば、複素信号S20)に基づいた信号中における周波数誤差(例えば、総合誤差S50)を決定する。タスクT120は、周波数誤差に基づいた第1および第2の補正信号(例えば、回転信号S60および発振器制御信号S70)を得る。タスクT130は、第1の補正信号に従って信号を処理する(例えば、回転させる)。タスクT140は、第2の補正信号に従って第2のRF信号を送信し、あるいは受信する。さらなる実施形態は、第2の補正信号に基づいた1つまたは複数の局部発振器信号を生成することを含んでいる。
【0158】
方法M200においては、タスクT210は、サンプルのストリーム(例えば、複素信号S20)を受信する。タスクT220は、サンプルのストリームと回転信号の第1の状態に基づいた複数の周波数誤差を得る。タスクT230は、総合誤差を(例えば、複数の周波数誤差のうちの複数に基づいて)得る。タスクT240は、回転信号の第2の状態を(例えば、総合誤差に基づいて)計算する。さらなる実施形態は、サンプルのストリームに基づいた発振器制御信号を生成することを含んでいる。
【0159】
加算、乗算、および/またはシフトなどのオペレーションを含む要素(例えば、結合器140、ローテータ230、誤差計算器250)においては、そのようなオペレーションは、固定されたゲートおよび信号経路、他の要素と共用されるゲートまたは信号経路、および/またはマイクロプロセッサやデジタル信号処理プロセッサ(その命令が他の要素と共用されるルーチンを含むことができる)などのロジック要素のアレイによって実行可能な命令を使用してインプリメントされることができる。ここにおいて説明されるような構成はまた、指定されたオペレーションを実行するルーチンまたは命令セットとしてインプリメントされることもできる、ということが明確に意図されている。
【0160】
ローテータ230、デコーダ240、誤差計算器250などの要素の複数のインスタンスを含む一実施形態においては、ここにおいて説明されるような要素の異なるインプリメンテーションが、インスタンスごとに使用されることができる。例えば、一実施形態が、回転角度の異なる分解能を有するローテータ、または異なる積分期間(コヒーレントであっても非コヒーレントであってもよい)を有するデコーダなどを含むことが望ましいこともある。要素の単一のハードウェアおよび/またはソフトウェアのインプリメンテーションは、例えば異なる時刻に要素の複数のインスタンスをサポートすることもできる。例えば、結合器のインプリメンテーションは、1期間中には結合器140として、別の期間中には結合器340として使用されることができる。
【0161】
添付された図面においては、要素およびモジュールの境界は、例および便宜のためだけに示されており、どのような物理境界も強制するようには意図されていない、ということに注意すべきである。レシーバ10の要素は、1つのチップ中において、または複数のチップにまたがってインプリメントされることができる。同様に、周波数制御ユニット130の要素は、1チップ中において、または複数のチップにまたがってインプリメントされることができる。インプリメンテーションが、複数のチップの一部分を含んでいる場合には、1つまたは複数のチップは1つまたは複数の他のオペレーション(異なる受信経路および/または送信経路についての制御、処理、局部発振器生成などのオペレーション)をサポートすることもできる。
【0162】
受信信号中におけるドップラー誤差は、キャリアドップラー誤差(carrier Doppler errors)と符号ドップラー誤差(code Doppler errors)の両方をもたらす可能性がある。正常な(successful)信号の獲得、トラッキング、復調、および/または生成のために、キャリアドップラーと符号ドップラーの両方を追跡することが望ましいかもしれない。ここに説明されるように、実施形態は、キャリアドップラー誤差のような周波数誤差を捜し出す(track out)ために1以上の回転を適用するように、また、時間および/または周波数における残りの誤差を捜し出すために(発振器制御信号S70あるいは周波数制御信号S700のような)別の制御信号を生成するように、構成されることができる。これらの補正を生成する第1のレシーバチェーンは、その受信信号上の任意の残りの符号ドップラー(residual code Doppler)を取り扱う1つまたは複数の時間トラッキングループ(例えば1つまたは複数の遅延ロックループなど)を含むこともでき、かつ/または、時間トラッキングのために1つまたは複数の回転信号を適応することができる。第2のレシーバチェーンは、それ自体のドップラー補正を含むことができるが、第1のレシーバチェーンによって適用される発振器補正から(例えば、発振器制御信号S70または周波数制御信号S700を経由して)もなお更に恩恵を受けることができる。
【0163】
ここにおいて説明されるように、CDMA信号を処理するように構成される周波数制御ユニット130のインプリメンテーションは、受信信号中における誤差について補正するように構成される1つまたは複数のローテータまたは時間制御ユニット(例えば、遅延ロックループなどの符号トラッキングループ)を含むことができる。GPS SVから受信される信号は、それ自体の雑音源を有し、GPS受信のためのレシーバチェーンは、1つまたは複数のローテータまたは時間制御ユニットを有する周波数制御ユニット130のインプリメンテーションを含むこともできる。いくつかの場合において、GPSドップラー誤差情報は、おそらくCDMAリンク上で、位置決定エンティティ(position determination entity)(PDE)などの外部ソースから受信されることができ、周波数制御ユニット130のGPSインプリメンテーションは、この情報に従ってドップラー誤差について補正するように構成されることができる。
【0164】
ここにおいて指摘されるように、周波数基準S30は、レシーバについての時間基準としての役割を果たすこともできる。図33は、複素信号S20に基づいたデジタルベースバンド信号SD10を生成するように構成されるデジタル信号処理(DSP)ユニットD10を含むレシーバ20のブロック図を示している。DSPユニットD10は、DSPユニットD10によって実行可能な1つまたは複数の命令セットとしてインプリメントされる、ここにおいて説明されるような周波数制御ユニット130のインプリメンテーションD130のインスタンスを含んでいる。DSPユニットD10は、周波数制御ユニット130のインスタンスによって出力されるようなシンボルのストリーム(例えば、図8bに関して説明されるような復号化データシンボルのストリーム)に対して1つまたは複数のオペレーション(復号化、デインターリービング、および/または伸張など)を実行することによりデジタルベースバンド信号SD10を生成するように構成されることができる。
【0165】
この例においては、DSPユニットD10は、可変周波数発振器190から周波数基準S30を受信するように構成される。例えば、周波数基準S30、または周波数基準S30に基づいたクロック信号は、DSPユニットD10のクロック入力に加えられる(applied)ことができる。別の例においては、DSPユニットD10は、1つまたは複数の基準符号シーケンスを生成しまたは取り出すために、周波数基準S30(または周波数基準S30に基づいたクロック信号)を適用するように、また、マルチパスインスタンスを獲得しまたは追跡するために、かつ/または複素信号S20によって搬送されるシンボルを逆拡散し(despread)または逆チャネル化する(dechannelize)ために、そのような1つまたは複数のシーケンスを使用するように、構成される。
【0166】
図34は、レシーバ20のインプリメンテーション22のブロック図を示しており、それはまた、複素信号SD20bに基づいたデジタルベースバンド信号SD10bを生成するように構成されるDSPユニットD10bを含む。例えば、DSPユニットD10bは、上記のようにレーキレシーバ(RAKE receiver)のオペレーションを実行するように構成されることができる。DSPユニットD10bは、逆拡散シンボルおよび/または逆チャネル化シンボルのストリームに対して1つまたは複数のオペレーション(復号化、デインターリービング、および/または伸張など)を実行することによりデジタルベースバンド信号SD10bを生成するように構成されることもできる。
【0167】
この例においては、DSPユニットD10bは、可変周波数発振器190から周波数基準S30を受信するように構成される。例えば、周波数基準S30、または周波数基準S30に基づいたクロック信号は、DSPユニットD10bのクロック入力に対して加えられることができる。別の例においては、DSPユニットD10bは、1つまたは複数の基準符号シーケンスを生成しまたは取り出すために、周波数基準S30(または周波数基準S30に基づいたクロック信号)を適用し、また、マルチパスインスタンスを獲得しまたは追跡するために、かつ/または複素信号S20bによって搬送されるシンボルを逆拡散しまたは逆チャネル化するために、そのような1つまたは複数のシーケンスを使用するように、構成される。
【0168】
図35は、レシーバ24のブロック図を示しており、その中では、DSPユニットD20上で実行されるように、そして複素信号S20を受け取るように構成される1つまたは複数の命令セットとしてインプリメントされる、符号キャリアトラッキングブロック(code and carrier tracking block)CCT1に対し、固定周波数発振器O20が周波数基準S36を供給する。符号キャリアトラッキングブロックCCT1は、ここにおいて説明されるような1つまたは複数の回転ループ、および/または他のキャリアトラッキングロジックを含むことができる。符号キャリアトラッキングブロックCCT1は、ここにおいて説明されるような1つまたは複数の遅延ロックループ、および/または他の符号トラッキングロジックも含むことができる。一例においては、ブロックCCT1は、周波数制御ユニット130のインスタンスとしてインプリメントされる。DSPユニットD20は、複素信号S20に基づいた逆拡散シンボルおよび/または逆チャネル化シンボルのストリームに対して1つまたは複数のオペレーション(復号化、デインターリービング、および/または伸張など)を実行することにより、デジタルベースバンド信号SD20を生成するように構成されることができる。いくつかのインプリメンテーションにおいては、符号キャリアトラッキングブロックCCT1は、逆拡散シンボルおよび/または逆チャネル化シンボルのストリームを出力するように構成される。
【0169】
符号キャリアトラッキングブロックCCT1はまた、固定周波数発振器O20から周波数基準S36を受け取るように構成される。例えば、符号キャリアトラッキングブロックCCT1は、1つまたは複数の基準符号シーケンスを生成しまたは取り出すために、周波数基準S36(または周波数基準S36に基づいたクロック信号)を適用するように、また、マルチパスインスタンスを獲得しまたは追跡するために、かつ/または複素信号S20によって搬送されるシンボルを逆拡散しまたは逆チャネル化するために、そのような1つまたは複数のシーケンスを使用するように、構成されることができる。
【0170】
図36は、レシーバ24のインプリメンテーション26のブロック図を示しており、それは、第2のDSPユニットD20b上で実行されるように構成され、また、RF信号S10aとは異なるキャリア周波数を有する第2のRF信号S10bに基づいた第2の複素信号S20bを受け取るように構成される、1つまたは複数の命令セットとしてインプリメントされる符号キャリアトラッキングブロックCCT2を含む。
【0171】
符号キャリアトラッキングブロックCCT2は、固定周波数発振器O20から周波数基準S36を受け取るように構成される。例えば、符号キャリアトラッキングブロックCCT2は、1つまたは複数の基準符号シーケンスを生成しまたは取り出すために、周波数基準S36(または周波数基準S36に基づいたクロック信号)を適用するように、そして、マルチパスインスタンスを獲得しまたは追跡するために、かつ/または複素信号S20bによって搬送されるシンボルを逆拡散しまたは逆チャネル化するために、そのような1つまたは複数のシーケンスを使用するように、構成されることができる。
【0172】
レシーバ26は、周波数制御信号S710を符号キャリアトラッキングブロックCCT2に対して出力するように構成される符号キャリアトラッキングブロックCCT1のインプリメンテーションCCT1aを含んでいる。ブロックCCT1aが、周波数制御ユニット132のインスタンスとしてインプリメントされる一例では、周波数制御信号S710は、ここにおいて説明されるような第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーションの出力信号としてインプリメントされることができる。
【0173】
符号キャリアブロックCCT2は、周波数制御信号S710に従って複素信号S20bのサンプルを回転させるように構成されることができる。一例においては、符号キャリアブロックCCT2は、ここにおいて説明されるようなベースバンド処理装置P30のインスタンスとしてインプリメントされる。
【0174】
実施形態は、ハードワイヤード回路として、あるいは、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit)の中に製造される回路コンフィギュレーション(circuit configuration)として、一部または全体がインプリメントされることができる。実施形態はまた、不揮発性ストレージの中へロードされるファームウェアプログラム、あるいは、機械読取り可能コード(machine-readable code)としてのデータストレージ媒体(例えば、半導体または磁気のランダムアクセスメモリ(揮発性または不揮発性、一体化され、または着脱可能な)、磁気ディスク媒体、光ディスク媒体、あるいは相変化ディスク媒体など)からまたはそのデータストレージ媒体の中へとロードされるソフトウェアプログラムとして、一部または全体がインプリメントされてもよく、そのようなコードは、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサまたは他のデジタル信号処理装置、有限状態機械(finite state machine)のような、ロジック要素の、1つまたは複数のアレイによって(そのような1つまたは複数のアレイが分離され、一体化され、かつ/または埋め込まれていようとなかろうと)実行可能な命令である。したがって、本発明は、上記に示される実施形態に限定されるようには意図されておらず、むしろ、ここにいずれかの方法で開示された原理および新規な特徴と整合する最も広い範囲が与えられるベきものである。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【図13e】
【図14a】
【図14b】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18a】
【図18b】
【図19a】
【図19b】
【図20】
【図21a】
【図21b】
【図22a】
【図22b】
【図23a】
【図23b】
【図24】
【図25a】
【図25b】
【図25c】
【図26a】
【図26b】
【図27a】
【図27b】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32a】
【図32b】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】レシーバのインプリメンテーション24のブロック図を示す。
【図38】周波数制御ユニットD132のブロック図を示す。
【図39】レシーバのインプリメンテーション26のブロック図を示す。
【0019】
[詳細な説明]
テキスト中にそれ以外に述べられていない限り、同様な参照番号は、全体にわたって同様な構成を意味する。
【0020】
形式(form)「信号Bは信号Aから導き出される(derived)」または「信号Bは信号Aに基づいている(based)」というステートメントは、信号Bは信号Aと同じ(identical)であること、信号Bは、信号Aに対して様々なオペレーションを実行すること(ことによると、信号A、あるいはその派生信号または一部分を、別の信号と組み合わせることを含めて)からもたらされる(results)こと、および/または、信号Bは、信号A(あるいはその派生信号または一部分)を別の信号に対して適用すること(applying)からもたらされること、を示す。
【0021】
用語「チャネル(channel)」は、コンテクスト(context)から理解されるように、次のものの1つまたは複数を示すことがあり得る:無線通信のための周波数帯域、同じ周波数帯域中における他の信号から拡散符号(spreading code)によって区別される信号、および、同じ拡散符号を有する他の信号からカバリング符号(covering code)(例えば、チャネル化符号)によって区別される信号。
【0022】
実施形態は、(例えば、平均ドップラー誤差に関連する)複数のマルチパスインスタンス(multipath instance)から導き出される回転が複数のフィンガ(finger)に対して適用される(applied)マルチパスインスタンスを処理するように構成される、フィンガ受信アーキテクチャ(finger receiving architecture)を含んでいる。さらなる実施形態は、発振器を制御するように構成されるアーキテクチャを含んでいる、なおここでは、そのような制御は、受信信号中の複数のマルチパスインスタンスに基づいており、またここでは、発振器は、別の信号を受信し、かつ/または送信するために使用される周波数基準(frequency reference)を供給する。
【0023】
レシーバやトランシーバなどの無線通信デバイスは、複数のRFチェーン(RF chain)をサポートする発振器を含むことができる。例えば、発振器は、2つの別個のレシーブチェーン(receive chains)に対して、かつ/またはレシーブチェーンおよびトランスミットチェーン(transmit chain)に対して周波数基準を供給することができる。発振器の周波数は、2つのチェーンのうちの一方を経由して受信される信号に基づいて、制御されることができる。しかし、その受信信号が、他方のチェーン中には存在していない周波数誤差(frequency error)を含むときには、問題が生ずる可能性がある。
【0024】
一実施形態によるレシーバは、(例えば、全地球測位サービス信号仕様、第2版、1995年、USCGナビゲーションセンター(Navigation Center)、アレキサンドリア(Alexandria)、バージニア州(VA)、において説明されているような)NAVSTAR全地球測位システム(Global Positioning system)(GPS)、ロシア共和国(Russian Republic)により維持されているGLONASS GPS、および/または、ヨーロッパにおいて提案されているガリレオ(GALILEO)システムのような、1つまたは複数の測位衛星システムからの信号を受信するように構成されることができる。NAVSTAR GPSは、1.57542GHz(L1周波数とも呼ばれる)におけるキャリア上へとBPSK(2相位相シフトキーイング(binary phase-shift keying))変調される直接シーケンススペクトル拡散(direct sequence spread spectrum)(DSSS)信号を経由して毎秒50ビットのデータレートでナビゲーションメッセージ(navigation message)を送信する1組の衛星または「宇宙ビークル(space vehicles)」(SVs)を、含んでいる。信号を拡散するために、各SVは、1.023MHzのチップレートと1023チップの長さとを有する1組の疑似ランダム雑音(pseudo-random noise)(PN)符号(粗獲得(coarse acquisition)符号またはC/A符号とも呼ばれる)のうちの異なる符号を使用する。SVsは、1.22760GHz(L2周波数とも呼ばれる)におけるキャリア上へと変調される10.23MHz符号を経由してメッセージを送信することもできる。GPS信号は、一般に測位オペレーションをサポートするために地上レシーバによって使用される。一般的に、少なくとも4つのSVsからの信号が、3次元の位置を解明するために必要とされる。
【0025】
GPSレシーバは、一般的に周波数変動(frequency variations)の影響を非常に受けやすい(sensitive)。そのような変動は、例えば温度過渡現象および/または低周波数位相雑音(low-frequency phase noise)によって引き起こされる局部発振器中における変化から生じる可能性がある。他方、GPSレシーバは、レシーバの動き(receiver motion)に起因した著しいドップラー誤差(significant Doppler error)に遭遇する(experience)可能性はあまりない、というのは、そのような動き(motion)は、一般にレシーバとソースとの間の方向に対しておおむね直角であり、また、それらの軌道中における衛星の見かけの速度(apparent velocity)(およそ毎秒キロメートル程度)は、一般的に、レシーバの予測される速度よりもずっと速いからである。
【0026】
多数の発振器は、一般的に何らかの形式の温度補償を含んでいるが、発振器のコストおよび/またはサイズは、その温度補償の精度と共に増大する可能性がある。したがって、個々の発振器の発振器および/または仕様の間の変動についてより耐性があるレシーバ設計を得ることが望ましい可能性がある。そのような設計は、発振器の周波数に影響を及ぼす制御信号を適用することにより誤差を低減させる周波数トラッキングループ(frequency tracking loop)を含むことができる。GPSレシーバにおいては、そのような制御信号は、例えば受信信号中における連続するシンボルの間で検出される位相変動から導き出されることができる。
【0027】
一実施形態によるレシーバは、無線通信のためにネットワーク上で情報(例えば、音声および/またはデータ)を受信し、かつ/または送信するように構成されることができる。そのようなレシーバは、符号分割多元接続(code-division-multiple-access)(CDMA)システム中における1つまたは複数のチャネルを経由して情報を受信し、かつ/または送信するように構成されることができる。例えば、そのようなレシーバは、TIA、EIA、3GPP、3GPP2、CWTS(中国)、ARIB(日本)、TTC(日本)、TTA(韓国)、ITU、および/またはETSI(ヨーロッパ)によって普及されたような1つまたは複数の次の規格またはフォーマット、すなわち、CDMA、TD−SCDMA、W−CDMA(例えば、3G TS25.211/2/3/4)、UMTS、IS−95−A/B/C(cdmaOne)、IS−98、IS−835−A(cdma2000)、IS−856(cdma2000 HDR)、IS−2000.1−A、ならびに、IS−2000シリーズ(cdma2000)、IS−707−A(データサービス)、cdma2000 1xEV、cdma2000 1xEV−DO、cdma2000 1xEV−DV(1xEVフェーズ2とも呼ばれる)、cdma2000 3x、3GPP2 cdma2000(例えば、TR−45.5、C.S0005−A、C.S0024)、およびIMT−2000の他のドキュメント、の少なくとも一部分に従って、加入者ユニット(subscriber unit)、アクセス端末(access terminal)(AT)、基地局(base transceiver station)(BTS)、および/またはユーザ装置(user equipment)(UE)の機能の一部または全部を実行することができる。そのようなレシーバまたはトランシーバは、例えば800MHz、1800MHz、および/または1900MHzにおける、またはその近くの帯域上で通信するように構成されることができる。そのようなレシーバまたはトランシーバは、例えば、2相PSK(BPSK)、4相PSK(QPSK)、オフセットQPSK(OQPSK)、直交振幅変調(quadrature amplitude modulation)(QAM)、最小シフトキーイング(minimum-shift keying)(MSK)、またはガウスMSK(Gaussian MSK)(GMSK)のような、M元形式(M-ary form)の位相シフトキーイング(PSK)を経由して通信するように構成されることができる。他の例は、UBM(ユニバーサルブロードキャストメディア(Universal Broadcast Media))信号またはMediaFLO(順方向リンクのみ)信号を受信するように構成されるレシーバを含んでいる。
【0028】
CDMA信号のレシーバは、局部発振器周波数中における変化によって影響されることもあり得る。しかしながら、そのようなレシーバはまた、レシーバとソースとの間の相対運動によって引き起こされるドップラー周波数誤差に遭遇する可能性も高い。そのようなレシーバでは、例えば発振器の周波数に影響を及ぼす制御信号を適用することによって、そのような誤差を明らかにする(account for)周波数トラッキングループを含むことが望ましい。CDMA信号中において遭遇されるドップラー誤差は、一般的には、同じレシーバによって受信されるGPS信号中には存在しないであろうが、しかしながら、GPSレシーブチェーンに対して基準(reference)を同様に与える発振器を制御するために、そのような誤差をそのように適用することは、GPSチェーンに対して雑音を追加する可能性もあるであろう。
【0029】
1つのオプションは、GPSオペレーション中に、例えば、おそらく発振器の温度補償回路を動作し続けることができるようにしながら、一時的に、周波数制御信号が発振器周波数を変化しないようにすることによって、発振器周波数の調整をディスエーブルにする(disable)ことであろう。しかしながら、このオプションは、補償されない温度過渡現象(例えば、発振器の温度補償回路の補正能力を超えた過渡現象)に起因した発振器変動が、GPSレシーブチェーンの性能に影響をあたえるのを許可してしまう可能があるであろう。別のオプションは、よりよい温度補償を有する発振器を使用することであろうが、そのような発振器は、より高価で、かつ/またはより大型になってしまう可能性があるであろう。さらなるオプションは、コストおよびサイズに関して明らかな効果を備えた、CDMAチェーンおよびGPSチェーンについて別個の発振器を使用することであろう。ここにおいて説明されるような実施形態は、1つの発振器を使用したソリューションを可能にするために適用されることができる。
【0030】
図1aは、一実施形態によるレシーバ10のブロック図を示している。無線周波数(RF)フロントエンド(front end)110は、アンテナ105を経由して信号を受信し、対応するRF信号S10をダウンコンバータ(downconverter)120へと出力する。ダウンコンバータ120は、周波数基準S30に基づいた信号に従ってベースバンドにおける、またはベースバンド近くの複素信号(complex signal)S20へとRF信号S10をダウンコンバートする。周波数制御ユニット(frequency control unit)130は、複素信号S20に基づいた発振器制御信号(oscillator control signal)S70を生成する。可変周波数発振器(variable-frequency oscillator)190は、発振器制御信号S70に基づいた信号に従って周波数基準S30を生成する。
【0031】
レシーバ10は、他の回路および/または機能も含むデバイスまたはシステムの独立したユニット(おそらく、例えば、パワー管理、ユーザインターフェースサポートについての他の要素を含み、さらに、複素信号S20などによって搬送される情報の処理を行う)であっても、あるいは、他の回路および/または機能も含むデバイスあるいはシステムの一部分であってもよい。例えば、レシーバ10は、(基地局のネットワークを含み、例えば、マイクロフォン、スピーカ、キーパッド、および関連する回路を含み、そして処理しているシステムと、通信するように構成された)トランスミッタ、例えばセルラ電話のようなアクセス端末、および/または(無線チャネルと、例えばPCMCIAポートまたはUSBポートとの間の、データ転送をサポートするように構成された)無線モデムも含むトランシーバ中に、含まれていてもよい。そのようなトランシーバは、入力デバイス(例えば、マイクロフォン、キーボードまたはキーパッド)および/または出力デバイス(例えばスピーカまたはオーディオ出力のジャック、ディスプレイ画面)を含むことができるデバイス中におけるオペレーションを構成し、デバイス内の信号を処理し、かつ/またはデバイスのユーザインターフェースを制御するための1つまたは複数のプロセッサと通信することができる。
【0032】
そのようなレシーバまたはトランスミッタは、例えば、メディアプレーヤ(MP3,WMA、AAC3などのような圧縮フォーマットへと符号化された(encoded)オーディオ情報、および/またはMPEG−2、MPEG−4、WMVなどのような圧縮フォーマットへと符号化されたビデオ情報を復号化する(decode)ように構成されるもの)、携帯型個人情報端末(personal digital assistant)(PDA)、ポータブルコンピュータなどを含む、さらなる機能をサポートするデバイスの中に含められてもよい。そのようなさらなる機能は、レシーバおよび/またはトランスミッタのオペレーション、例えばレシーバを経由して受信されるマルチメディア情報の再生、無線モデムを経由したローカルに実行するアプリケーション(例えば、電子メールクライアント)と外部サーバとの間の通信、無線モデムを経由したローカルと外部とのスケジュール、連絡、または他のデータベースの同期化、と統合化されることができる。
【0033】
レシーバ10は、複数の受信経路を含むこともできる。例えば、図1bは、RFフロントエンド110の2つのインスタンス(instances)110a、110bと、ダウンコンバータ120の2つのインスタンス120a、120bとを含む、レシーバ10のインプリメンテーション(implementation)12のブロック図を示している。この例における2つの経路は、おそらく同時に異なるアナログ信号および/またはデジタル信号を受信するように構成されることができる。例えば、一方の経路は、CDMA信号(例えば、基地局からの)を受信することができるが、他方の経路は、GPS信号(例えば、SVからの)を受信する。レシーバ10の他のインプリメンテーションは、共通のアンテナを共用する別個の受信経路を含むことができる。同様に、レシーバ10のいくつかのインプリメンテーションは、RFフロントエンド(例えば、共通のLNAを有するが、異なる帯域を通過させるためのそれぞれ異なるフィルタを有するもの)の一部または全部を共用することができる。
【0034】
RFフロントエンドは、一般的に受信信号を増幅し、かつ/または条件付けする役割を果たし、1つまたは複数の増幅器(例えば、低雑音増幅器またはLNA)および/またはフィルタ(例えば、個々の周波数または帯域を減衰させるもの)を含むことができる。RF経路は、アンテナフィード内の異なる周波数帯域を分離するダイプレクサ(diplexer)(またはマルチプレクサ)および/または同じアンテナ上で受信および送信アクティビティ(receive and transmit activity)をサポートする送受切換え器(duplexer)などのような要素を含むこともできる。図2は、LNAおよびフィルタ(例えば、LCフィルタ、セラミックフィルタ、または表面音響波(surface acoustic wave)(SAW)フィルタ)を含む、RFフロントエンド110のインプリメンテーション112を示している。レシーバ10は、複数のRFフロントエンドを含むようにインプリメントされることができ、かつ/またはRFフロントエンドが複数のダウンコンバータを供給するように構成されることができる。
【0035】
ダウンコンバータ120は、RF信号10を受信し、ベースバンドにおける、またはベースバンド近くの複素信号S20を出力する。図3aは、ダウンコンバータ120のヘテロダイン(heterodyne)インプリメンテーションの一つの例122のブロック図を示している。RFミキサは、RF信号S10を例えばおよそ10MHz程度の中間周波数(intermediate frequency)(IF)に変換するために、RF局部発振器信号を適用する。IF信号は、IFステージ中において処理され、このIFステージは、この例においては、フィルタ(例えば、1つまたは複数のイメージを減衰させる)および可変利得増幅器(variable-gain amplifier)(VGA)を含んでいる。IFミキサは、そのIF信号をベースバンドへと変換するために、IF局部発振器信号を適用する。ベースバンド信号は、フィルタがかけられることができる(例えば、1つまたは複数のイメージを減衰させるために)。
【0036】
アナログデジタルコンバータ(analog-to-digital converter)(ADC)を含むデジタイザ(digitizer)は、アナログからデジタルのサンプルのストリームへとベースバンド信号を変換する。受信信号がデジタル情報によって(例えば、PSK変調、QAM変調、MSK変調、および/またはOOK変調を経由して)特定のレート(例えば、チップレート)で変調される場合には、そのADCはまた、ベースバンド信号を(例えば、チップx2、チップx4、チップx8、あるいはチップx16のレートで)オーバーサンプリングする(oversample)可能性がある。ADCは、並列に実行する(例えば、各々の一方が、ダウンコンバータの複素信号経路のそれぞれ異なる成分を受信しデジタル化する)2つのADCを含むように構成されることもできる。デジタイザは、それぞれのADCによって生成されるようなデジタルストリームを(例えば、タイミング調整信号(timing adjustment signal)に従って)補間し(interpolate)、または破壊する(decimate)ために、ここにおいて説明されるように1つまたは複数のリサンプラ(resamplers)を含むこともできる。
【0037】
図3bは、ダウンコンバータ120のホモダイン(homodyne)(またはゼロ−IF(zero-IF))インプリメンテーションの一例124のブロック図を示している。ゼロ−IF変換(直接ダウンコンバージョン(direct downconversion)とも呼ばれる)においては、RF信号は、直接にベースバンドへと変換される。そのようなダウンコンバータは、一般的にベースバンド信号中におけるDCオフセットの除去または補償のための回路も含んでいる。そのようなダウンコンバータは、局部発振器信号の振幅制御(例えば、リークを低減させるための)を含むこともできる。ゼロに近いIF(または非常に低いIFまたはVLIF)変換と呼ばれる関連した技法においては、RF信号は、数百kHz以下とすることができるベースバンドに近い周波数へと直接に変換される。VLIFダウンコンバータは、IFステージを用いて、またはIFステージなしに(例えば、IFからベースバンドへの変換が、複素信号S20の回転によって実行されて)インプリメントされることができる。
【0038】
周波数基準S30、または周波数基準S30に基づいた信号は、ダウンコンバータ120中における局部発振器信号(local oscillator signal)として使用されることができる。1つまたは複数のADCのサンプリングクロック(sampling clock)は、周波数基準S30が時間基準(time reference)としての役割も果たすことができるように、周波数基準S30から導き出されることもできる。図3cは、ダウンコンバータ122が、周波数基準S30によって導き出されるそれぞれの周波数シンセサイザ(frequency synthesizers)からRFおよびIFの局部発振器信号を受け取る配置(arrangement)のブロック図を示している。
【0039】
周波数シンセサイザは、位相ロックループ(phase-locked loop)(PLL)としてインプリメントされることができ、一般的に、望ましい固定されたあるいはプログラマブルな値(fixed or programmable value)(例えば、整数値)によって入力信号の周波数を乗算し、または除算するように構成される。周波数シンセサイザは、(例えば、ホールター(Halter)の米国特許第6,449,329号、またはセベルソン(Severson)の米国公開特許出願第2004/0263221号中において説明されるように)M/NあるいはM/N:Dカウンタとしてインプリメントされることもできる。図3cの例においては、ADCは、やはり周波数基準S30によって駆動されるクロックシンセサイザ(例えば、周波数シンセサイザ)からサンプリングクロック信号を受け取る。図3dは、ダウンコンバータ124が、周波数基準S30によって駆動される周波数シンセサイザおよびクロックシンセサイザからそれぞれ局部発振器信号およびサンプリングクロック信号を受け取る同様な配置のブロック図を示している。周波数基準S30からダウンコンバータ120への(例えば、ここにおいて図1aおよび1bならびに他の図面中に示されるような)信号経路は、1つまたは複数のそのような周波数シンセサイザおよび/またはクロックシンセサイザを含むことができることが、理解されるであろう。
【0040】
レシーバ10の別のインプリメンテーションは、1つまたは複数のD/Aコンバータ(digital-to-analog converters)、ミキサ(mixers)、および増幅器(これらは、ダウンコンバータ中において説明されるものと同様であり得る)を有し、周波数基準S30に基づいた1つまたは複数の局部発振器信号および/またはクロック信号を受け取るアップコンバータを含むトランシーバである。このアップコンバータは、RFフロントエンドおよびアンテナを経由して送信されるRF信号(上記のようなCDMAシステムまたは他のシステム上で通信するための)を生成する。
【0041】
可変周波数発振器(variable-frequency oscillator)(VFO)190は、発振器制御信号S70に従って周波数基準S30を出力する。周波数基準S30は、特定のアプリケーションについて適切な任意の波形(例えば、正弦波、方形波、三角波、のこぎり波など)を有するようにインプリメントされることができる基本周波数を有する周期的信号である。知られているか、あるいは、まだこれから開発されるべき、任意の技法を使用して、任意のチューニング可能な発振器が、VFO130として配置される(deployed)ことができる。一般的にVFO130は、クリスタル発振器(またはXO)としてインプリメントされ、このクリスタル発振器は、水晶のような材料の(温度にわたる周波数安定性のための)ATカットクリスタルを含むことができる。VFO130は、発振器出力をその負荷から分離するバッファを含むことができる。
【0042】
発振器の周波数は、温度の変化による影響を受ける可能性がある。温度過渡現象は、デバイスの動作中に、例えばコンポーネントが加熱するときに、生じる可能性がある。セルラ電話のようなコンパクトなトランシーバにおいては、トランスミッタの電力増幅器(power amplifier)が、一般的に、近くのコンポーネントに影響を及ぼし得る温度過渡現象の主要原因である。
【0043】
発振器周波数における温度に依存した変化がある程度まで補償されるように、VFO190を温度補償発振器(temperature-compensated oscillator)(TCO)としてインプリメントすることが望ましいこともある。図4は、ダイオードやサーミスタなどの局部温度センサV20を含むVFO190のTCOインプリメンテーション192のブロック図を示しており、この局部温度センサは、知られている関数に従って温度依存の信号(例えば、電圧)を生成する。補償回路V30は、温度依存の信号に基づいて、発振器V10に適用される温度補償信号を出力する。補償回路V30は、温度依存信号をデジタル化するADCを含むことができ、温度補償信号は、アナログ信号またはデジタル信号として(例えば、発振器の温度特性の逆数をモデル化するルックアップテーブル(lookup table)または多項式の使用により)供給されることができる。補償回路V30は、特定の発振器に特有のキャリブレーション値を含む補正テーブル(たぶんルックアップテーブルと一体化されている)を含むこともできる。他のインプリメンテーションにおいては、温度補償信号は、外部プロセッサから供給される。VFO190は、温度補償されたXO(TCXO)としてインプリメントされてもよく、この中では、温度補償信号は、バラクタなどのチューニング要素V40に適用され、このチューニング要素は、クリスタル(crystal)に結合される。
【0044】
発振器の出力周波数が、発振器制御信号S70によって示される電圧に従って調整されることができるように、VFO190を電圧制御発振器(voltage-controlled oscillator)(VCO)としてインプリメントすることが望ましいこともある。VCOは、ある種の極性の電圧の大きさおよび/またはデューティサイクル(duty cycle)に従って周波数を増大させ、反対極性の電圧の大きさおよび/またはデューティサイクルに従って周波数を低減させるようにインプリメントされることができる(あるいは逆もまた同様である)。VFO190は、さらに電圧制御温度補償発振器(voltage-controlled temperature-compensated oscillator)(VCTCO)としてインプリメントされることもできる。そのような場合には、発振器制御信号S70に基づいた信号は、温度補償信号とは別に適用されることもでき、あるいは発振器制御信号S70に基づいた信号は、温度補償信号と組み合わされ、共通制御信号にされることもできる。例えば、VFO190は、電圧制御温度補償クリスタル発振器(voltage-controlled temperature-compensated crystal oscillator)(VCTCXO)としてインプリメントされることができ、この発振器は、1つの特定のアプリケーションにおいては、+/−5ppmで格付けされた(rated)19.68MHzの公称出力周波数(nominal output frequency)を有する。+/−5ppmの許容範囲は、800MHzのうちの+/−4kHz、あるいは1.9GHzのうちの+/−9.5kHzの範囲に対応する。
【0045】
発振器制御信号S70は、アナログ電圧レベル、あるいは、D/Aコンバータ(DAC)または他の任意の技法を使用して電圧に変換されるデジタル信号、であってよい。1つのインプリメンテーションにおいては、パルス密度変調器(pulse density modulator)(PDM)V50が、発振器制御信号S70上のデジタル値(例えば、8−ビット値、12−ビット値、または16−ビット値)を発振器への入力についてのパルス化アナログ電圧信号へと変換するために使用される。アナログ電圧信号経路は、RCフィルタなどのフィルタを(例えば、残りの変動を抑制するために)含むこともできる。一例においては、VFO190は、発振器制御信号S70の最下位ビット当たりに約1/4から約1ヘルツの範囲(Hz/LSB)における分解能(resolution)を有する。
【0046】
発振器制御信号S70がデジタルからアナログへと変換されるインプリメンテーションにおいては、制御レジスタが、そのレジスタの出力がDAC(例えば、PDM)の入力に結合されて、発振器制御信号S70のデジタル値を記憶するために使用されることができる。そのようなレジスタは、望ましい値に(例えば、電源投入時に)初期化されることができ、かつ/または望ましい状態へと(例えば、モード変化するとすぐに)あらかじめロードされる(preloaded)ことができる。いくつかのアプリケーションにおいては、例えばGPS信号の受信の間などでは、一時的に発振器制御信号S70がVFO190の出力を変化させないようにすることが望ましいこともある。そのような制御は、制御レジスタに対するアップデート(updates)を防止することにより(例えば、制御レジスタのライトイネーブル信号(write enable signal)をディアサートする(deassert)ことにより)達成されることができる。
【0047】
局部発振器信号は、特定のアプリケーションについて適切な任意の波形(例えば、正弦波、方形波、三角波、のこぎり波など)を有するようにインプリメントされることができる基本周波数を有する周期的信号(periodic signal)である。ダウンコンバータ120中において適用される1つまたは複数の局部発振器信号は、周波数基準S30に基づいている。例えば、ダウンコンバータ120および/またはレシーバ10は、別の周波数の信号(例えば、局部発振器信号)が導き出されるタイミング基準として周波数基準S30を使用する1つまたは複数の周波数シンセサイザを含むことができる。そのようなシンセサイザは、例えば周波数逓倍器または周波数分割器としてインプリメントされることができ、位相ロックループ(PLL)などの回路を含むことができる。典型的なLO周波数は、CDMA受信では800MHzを、そしてGPS受信では1.5GHzを含んでいる。
【0048】
局部発振器信号は、90度だけ位相が分離された2つの成分(例えば、IとQ)としてダウンコンバータ120のミキサに供給されることができる、なお各成分は、複素数のダウンコンバートされた信号(complex downconverted signal)が取得されるように別個の混合経路(mixing path)において適用される。局部発振器信号の振幅は、例えば可変利得増幅器を使用して制御されることができる。周波数基準S30(または周波数基準S30に基づいた信号)は、ADCが、複素信号S20を得るためにベースバンド(またはベースバンドに近い)信号をサンプリングするサンプリングクロックとして使用されることもできる。
【0049】
周波数制御ユニット130は、複素信号S20に基づいた発振器制御信号S70を出力する。デジタル化された複素信号S20は、周波数制御ユニット130によって処理する前に、フィルタがかけられ、かつ/または、破壊されることができる。図5は、周波数制御ユニット130のインプリメンテーション132のブロック図を示している。ベースバンド処理装置(baseband processing unit)200は、(ベースバンドに、またはベースバンドの近くに存在することができる)複素信号S20と回転信号S60を受け取り、これらの2つの入力に基づいた複数の誤差信号S40を出力する。結合器140は、総合誤差S50を得るために誤差信号S40を結合する。第1の利得蓄積ステージ150は、総合誤差S50に基づいた回転信号S60を生成し、第2の利得蓄積ステージ160は、回転信号S60に基づいた発振器制御信号S70のインプリメンテーションS72を生成する。
【0050】
図6aは、ベースバンド処理装置200のインプリメンテーション200aのブロック図を示している。ローテータ(rotator)230は、回転された信号S80を生成するために回転信号S60に従って複素信号S20を回転させる。複数のフィンガ(fingers)(「復調要素(demodulation elements)」とも呼ばれる)220aの各々は、回転された信号S80(または回転された信号S80に基づいた信号)を受け取り、対応する誤差信号S40を生成する。この例においては、各フィンガは、複素信号S20に基づいた対応するオフセット信号S210も(サーチャ(searcher)210から)受け取る。
【0051】
受信信号は、例えば異なるマルチパス上で受信されるような同じ送信信号のいくつかのインスタンスを含む可能性がある。様々なマルチパスは、長さが異なる(そして変化する)こともあるので、対応するインスタンスは、異なる(そして変化する)相対的時刻に受信される可能性がある。図6aに示されるようなサーチャとフィンガのコンフィギュレーション(configuration)は、RAKEレシーバの1つの例である。そのようなコンフィギュレーションにおいては、サーチャは、時間におけるその遅延または基準に対する符号位相に従って信号のインスタンスを見出すためにサンプルストリーム(例えば、複素信号S20)を処理し(「獲得(acquisition)」とも呼ばれる)、そのインスタンスを追跡し復調するためにフィンガを割り当てる。例えば、サーチャは、信号のサンプルストリームと符号特性との間の相関関係のピークに従ってサーチされる信号のインスタンスを捜し出すことができる。サーチャ210は、フィンガ220からのフィードバック情報を受け取ることもでき、いつフィンガが再割り当てされるべきかを決定するためにこの情報を使用することができる。例えば、割り当てられたインスタンスのエネルギーおよび/またはタイミングに関するフィンガ220からの情報は、マルチパスインスタンスがフェードアウトしていること、あるいは2つのマルチパスインスタンスがマージしていることを決定するために使用されることができる。
【0052】
フィンガ220は、固定され、またはプログラムされるオフセットを適用するように構成されることもできる。例えば、サーチャ210は、符号位相空間の望ましい領域が特定の分解能でサーチされるように、プログラムされた間隔で相関を実行するために1組のフィンガ220を制御するように構成されることもできる。そのような制御は、例えばGPSオペレーションにおいて使用されることができる。様々なフィンガに割り当てられたオフセット値の間の間隔、および/またはフィンガによって適用される連続するオフセット値(consecutive offset values)の間の間隔は、1つまたは複数のファクタ、例えば、以前の結果、現在の動作モード(例えば、「コールドスタート(cold start)」モード対トラッキング(tracking)モード)、現在の受信環境についての他の情報(例えば、現在の衛星位置)など、に基づいて動的に選択されることができる。
【0053】
単一キャリアシステム中におけるベースバンド処理装置200の典型的なインプリメンテーションは、4個または6個のフィンガを含むが、他の任意数のフィンガも使用されることができる。マルチキャリアシステム(例えば、cdma2000 3xシステム)中におけるベースバンド処理装置200の典型的なインプリメンテーションは、12個または18個のフィンガ(例えば、キャリア当たりに4個または6個)を含むが、他の任意数のフィンガも使用されることができる。例えば、異なる数のフィンガは、1つまたは複数のフィンガの各々が、おそらく複数のキャリアに対して(例えば、異なる時刻に)割り当てられて、別のもの以外の1つのキャリアについて使用されることができる。
【0054】
回転信号S60は、複素信号S20が、回転されるべき角度θを示す。図7は、次の式に従って複素信号S20の時計回りの回転を実行する、ローテータ230のインプリメンテーション232のブロック図を示している。
(I+jQ)(e−jθ)=(I+jQ)(cosθ−jsinθ)=
=(Icosθ+Qsinθ)+j(−Isinθ+Qcosθ) (1)
あるいは、ローテータ230は、次の式に従って反時計回りの回転を実行するようにインプリメントされることもできる。
(I+jQ)(e+jθ)=(I+jQ)(cosθ+jsinθ)=
=(Icosθ−Qsinθ)+j(Isinθ+Qcosθ) (2)
一例においては、ローテータ230は、回転信号S60の最下位ビット当たりに37.5ヘルツの分解能(Hz/LSB)を有する。
【0055】
ローテータ230によって適用されるサイン値およびコサイン値は、離散的ロケーションに記憶されるルックアップテーブル(例えば、テーブル260)から、あるいはより大きなメモリ空間の一部分として取り出されることができ、このテーブルは、読取り専用メモリ(read-only memory)(ROM)またはランダムアクセスメモリ(random access memory)(RAM、揮発性または不揮発性)に記憶されることができる。サイン値および/またはコサイン値を使用する複数のローテータまたは他の要素を有するデバイスまたはシステムにおいては、ルックアップテーブルは、そのような複数の要素によって共用されることができる。
【0056】
ルックアップテーブルは、サイン値とコサイン値の両方を含んでもよいし、あるいは、それは、サイン値またはコサイン値の一方だけを含んでもよい、なお、その他の関数は、導き出される(例えば、式cosα=sin(α+π/2ラジアン)またはsinα=cos(α−π/2ラジアン)に従って)。同様に、ルックアップテーブルは、すべての象限についての値を含んでもよいし、あるいは、それは、座標面の一部分(例えば第1象限)だけについての値を含んでもよい、なお、他の部分についての値は、導き出される。ルックアップテーブル260の1つのインプリメンテーションは、256個のエントリのテーブルを含み、各々は第1象限中における角度(例えば、π/512ラジアンの増分の形の)についてのサイン値に対応する。そのようなテーブルに対する要求は、10ビット値:例えば象限についての2ビットとテーブルアドレスについての8ビットとしてフォーマットされることができる。ローテータ230は、対応するテーブルエントリから適切な値を導き出す回路または処理を含むことができ、かつ/またはそのような導出は、外部の回路または処理を使用して実行されることができる。
【0057】
ローテータ230は、サイン値とコサイン値のうちの一方または両方が計算されるようにインプリメントされることもできる。小さな角度では、例えばルックアップテーブルは、sinαをαとして近似し、かつ/またはcosαを(1−0.5α)として近似することにより、バイパスされ、あるいは省略されることができる。
【0058】
ダウンコンバータ120のVLIFインプリメンテーションを含むアプリケーションにおいては、ローテータ230は、低いIFからベースバンドへの複素信号S20のダウンコンバージョンを実行することもできる。そのような場合には、回転信号S60は、回転信号S60がローテータ230によって適用される前に望ましいダウンコンバージョン角度に対応する値によって調整される(例えば、その値と加算される)ことができる。
【0059】
図6bは、フィンガ220aのインプリメンテーション222aのブロック図を示している。デコーダ240は、復号化された(decoded)シンボルS90を得るためにオフセット信号S210に従って回転された信号S80を復号化する。例えば、デコーダ240は、回転された信号中の複数のチャネルのうちから回転された信号S80中における望ましいチャネルを分離することができる。誤差計算器(error calculator)250は、復号化されたシンボルS90に基づいて誤差信号S40を計算する。
【0060】
図8aは、デコーダ240のインプリメンテーション242を示している。逆拡散器(despreader)(またはデスクランブラ(descrambler))270は、オフセット信号S210に従って回転された信号S80から拡散符号(spreading code)を除去する。デチャンネライザ(dechannelizer)280は、生の(raw)パイロットシンボルS230を得るために逆拡散信号S220の一部分を蓄積する。パイロットフィルタ290は、フィルタがかけられたパイロットシンボルS240を得るために生のパイロットシンボルS230にフィルタをかける。デコーダ240は、回転された信号S80および/または逆拡散信号S220からデータシンボルを得るために同様なオペレーションを実行することができる。
【0061】
CDMA DSSSシステムにおいて、送信信号(transmitted signal)は、システムの他のすべてのユーザに割り当てられるPN符号に少なくともほぼ直交した複素疑似雑音(complex pseudonoise)(PN)符号(例えば、ゴールド符号(Gold code))を使用して(例えば、その符号によって乗算され(multiplied by)、あるいは、その符号でモジュロ−2加算されて(modulo-2 added with))、拡散されることができる。いくつかのインプリメンテーションにおいては、拡散符号のチップレートは、1.2288MHzの整数倍である。典型的なアプリケーションにおいては、逆拡散器270は、回転された信号S80に、望ましいセル、トランスミッタ、および/またはチャネルに対応するPNシーケンス(これは複素数(complex)であり得る)を乗ずる。
【0062】
オフセット信号S210は、望ましいマルチパスに関するシーケンスの適切なタイミング(符号オフセット(code offset)または「符号位相(code phase)」)を示す。オフセット信号S210は、符号オフセットを示すことができ、あるいは適切なオフセットを有する1つまたは複数のシーケンスを含むことができる。例えばサーチャ210は、特定のオフセットにおけるPNシーケンスを供給するためにPNジェネレータを制御することができ、このオフセットは、信号が変化するときに(例えば、フィンガ220によって供給されるタイミング情報に従って)アップデートされることができる。サーチャ210および/またはフィンガ220は、復号化オペレーションのタイミングを例えば少し異なるオフセット(例えば、チップのフラクション(fraction))において復号化されるシンボルのエネルギーに従って調整するように構成されるタイミング制御ループを含むこともでき、そのようなループの例は、例えば2004年5月18日に発行された米国特許第6,738,608号(ブラック(Black)ほか)において説明されている。
【0063】
一例においては、逆拡散器270は、複素乗算器(complex multiplier)としてインプリメントされる。回転された信号S80および逆拡散シーケンスが、2進表記法で表現される場合には、複素乗算(complex multiplication)は、排他的論理和(exclusive-OR)ゲートを使用して実行されることができる。逆拡散器270は、積分ダンプ回路(integrate-and-dump circuit)またはデシメータ(decimator)(例えば、回転された信号S80がオーバーサンプリングされる(oversampled)場合)を含むことができる。
【0064】
逆拡散信号S220は、各々が異なる符号を用いてカバーされるいくつかのチャネルを含むことができる。デチャンネライザ(dechannelizer)280は、逆拡散信号S220を受け取り、生のパイロットシンボルS230を得るためにカバーする符号を除去する。カバーする符号は、1つまたは複数のウォルシュ符号(Walsh code)、および/または1つまたは複数の別の組の直交(orthogonal)符号、ほぼ直交(nearly orthogonal)符号、または準直交(quasi-orthogonal)符号を含むことができる。WCDMAアプリケーションにおいては、例えばカバーする符号は、チャネルのデータレートに基づいて選択される直交可変拡散ファクタ(orthogonal variable spreading factor)(OVSF)であってもよい。
【0065】
デチャンネライザ280は、アキュムレータまたは積分ダンプ回路としてインプリメントされることができる(例えば、カバーする符号がウォルシュ符号W0であるアプリケーションの場合)。一例においては、デチャンネライザ280は、逆拡散信号S220の64個のチップを1つのパイロットシンボル中へと積分する。別の例においては、デチャンネライザ280は、256個のチップをパイロットシンボル中へと積分する。他の符号では、デチャンネライザ280は、乗算器(例えば、複素乗算器)を含むようにインプリメントされることができる。デチャンネライザ280は、(例えば、2003年9月30日に発行された米国特許第6,628,702号(ローウィッチ(Rowitch)ほか)において説明されるように)一度にシンボルの部分をデカバーする(decover)ようにインプリメントされることもできる。
【0066】
パイロットシンボルが、2つの異なるカバーする符号(covering codes)を使用して送信される場合(例えば、異なるアンテナからパイロット信号の直交符号化されたバージョンを送信する送信ダイバーシティモード(transmit diversity mode))においては、デコーダ242は、符号ごとにデチャンネライザ280の別個のインスタンスを含むことができる。送信ダイバーシティの場合(例えば、cdma2000の空間時間拡散(Space Time Spreading)(STS)モード、またはWCDMAの空間時間送信ダイバーシティ(Space Time Transmit Diversity)(STTD)モード)においては、ダイバーシティインスタンスについての結果は、パイロットフィルタリングの前に(例えば、生のパイロットシンボルS230を得るために)、あるいはその後に(例えば、フィルタがかけられたパイロットシンボルS240を得るために)組み合わされることができる。
【0067】
受信ダイバーシティアプリケーション(例えば、このアプリケーションでは、同じ送信信号が、複数のアンテナを経由して受信される)においては、ダイバーシティインスタンスからの1つまたは複数の逆拡散信号S220、生のパイロットシンボルS230、およびフィルタがかけられたパイロットシンボルS240は、さらに処理する前に、1つまたは複数の他のインスタンスからの同様な信号と組み合わされることができる。
【0068】
パイロットフィルタ(Pilot filter)290は、FIR(有限インパルス応答(finite impulse response))形式またはIIR(無限インパルス応答(infinite impulse response))形式でインプリメントされることができ、ローパスフィルタとすることができる。例えば、パイロットフィルタ290は、移動平均フィルタ(moving average filter)とすることができる。いくつかのインプリメンテーションにおいては、パイロットフィルタ290は、一次フィルタ(first-order filter)としてインプリメントされることができる。他のインプリメンテーションにおいては、パイロットフィルタ290は、可変係数(variable coefficients)を有するフィルタ、例えば2004年7月6日に発行された米国特許第6,760,362号(パテル(Patel)ほか)において説明されているような可変帯域幅フィルタ(variable-bandwidth filter)としてインプリメントされることができる。
【0069】
デコーダ240は、逆拡散信号S220からデータシンボルを得るためにデチャンネライザ280の1つまたは複数のインスタンスを含むことができる。図8bは、逆拡散信号S220を受け取り、生のパイロットシンボルS230を得るためにカバーする符号(例えば、W0などのウォルシュ符号)を除去するデチャンネライザ280のインプリメンテーション280aと、逆拡散信号S220を受け取り、復号化されたデータシンボルS250を得るためにカバーする符号(例えば、異なるウォルシュ符号)を除去するデチャンネライザ280のインプリメンテーション280bとを含む、デコーダ240のインプリメンテーション244を示している。
【0070】
デコーダ244は、フィルタがかけられたパイロットシンボルS240と復号化されたデータシンボルS250との間の同期を維持することが望ましいこともある。例えば、デコーダ244は、パイロットフィルタ290の遅延特性に従って、復号化されたデータシンボルS250のストリームを(例えば、レジスタやFIFOバッファなどの遅延要素を用いて)遅延させるようにインプリメントされることができる。
【0071】
デコーダ240またはフィンガ220は、パイロット復調器を含むこともでき、パイロット復調器においては、パイロットシンボルによって表されるチャネル推定が、復号化されたデータシンボルに適用される。そのようなパイロット復調器は、(例えば、データシンボルから位相のあいまいさを取り除くために)データとパイロットシンボルベクトルのドット積(dot product)を計算する回路を含むことができる。復号化されたデータ(またはトラフィック)シンボルS250は、1つまたは複数の畳み込み(convolutional)符号、ターボ(turbo)符号、巡回冗長検査(cyclic redundancy check)(CRC)符号、および/またはパリティ(parity)符号の、デインターリービング(deinterleaving)、伸張(decompression)、および/または復号化(decoding)などのオペレーションにおいて、さらに処理されることができる。いくつかのアプリケーションにおいては、デコーダ240は、バーストパイロット信号から復号化されたシンボルS90を出力するように構成されることができ、このバーストパイロット信号中においては、パイロットは、不連続な方法で(in a discontinuous fashion)送信され、データトラフィックと共に点在する(interspersed)ことができる。
【0072】
誤差計算器250は、復号化されたシンボルS90に基づいて誤差信号S40を出力する。復号化されたシンボルS90は、生のパイロットシンボルS230および/またはフィルタがかけられたパイロットシンボルS240を含むことができる。1つのアプリケーションにおいては、誤差計算器250は、信号の獲得中には生のパイロットシンボルから、そして獲得された信号の追跡中にはフィルタがかけられたパイロットシンボルから誤差信号S40を計算する。誤差計算器250は、異なる形式の復号化されたシンボルS90の値の幅(例えば、フィルタがかけられたパイロットシンボルについての16ビットに対する生のパイロットシンボルについての8ビット)の間の差を明らかにするようにインプリメントされることができる。
【0073】
誤差計算器250は、複数の復号化されたシンボルベクトルに基づいた周波数誤差を計算するようにインプリメントされることができる。例えば、誤差計算器250は、隣接した復号化されたシンボルベクトル、すなわち、例えば、現在のシンボルベクトル(I[n]、Q[n]としてここでは示される)、および、以前のシンボルベクトル(I[n−1]、Q[n−1]としてここでは示される)、に基づいた周波数誤差を計算するようにインプリメントされることができる。Aおよびθがベクトルの大きさおよび位相角をそれぞれ示す場合、もし、現在のベクトル(I[n]、Q[n])が、(A[n]cosθ[n]、A[n]sinθ[n])として表わされるのであれば、そのときは、有限の異なる近似を適用することにより、次式が導き出されることができる:
I[n]Q[n−1]−I[n−1]Q[n]=A[n]A[n−1]sin(θ[n]−θ[n−1]) (3)
もし、θが、sinθ≒θとなるように小さいと仮定される場合には、式(3)の左辺上の量(すなわち、現在のベクトルと以前のベクトルのクロス乗積(cross product)の大きさ)は、周波数誤差の近似として解釈されることができる。
【0074】
図9aは、誤差信号S40のインプリメンテーションS42を(−I[n]Q[n−1]+I[n−1]Q[n])として計算する、誤差計算器250のインプリメンテーション252のブロック図を示している。図9bおよび9cは、次のそれぞれの式に従ってこの値を計算する代替的なインプリメンテーション254、256のブロック図を、示している:
−Im{(I[n],−Q[n])×(I[n−1],Q[n−1])}=−I[n]Q[n−1]+I[n−1]Q[n] (4)
Im{(I[n],Q[n])×(I[n−1],−Q[n−1])}=−I[n]Q[n−1]+I[n−1]Q[n] (5)
同様な式は、追加のシンボルベクトル(例えば、ベクトルI[n−2]、Q[n−2]を含んでいる)に基づいた誤差信号S40の計算のために適用されることができる。+Aシンボルおよび−Aシンボルを(例えば、WCDMA送信ダイバーシティモード中において使用されるように)含むパイロット信号についての誤差信号S40を計算するために使用されることができる同様な式のインプリメンテーションは、2003年7月10日に公開された米国特許出願公開第2003/0128678号(サブラーマンヤ(Subrahmanya)ほか)において説明されている。
【0075】
式(3)中におけるクロス乗積による周波数誤差の近似の精度は、ベクトルの大きさ(すなわち、信号強度)と位相角の変化の大きさに応じて変化し得ることが理解されることができる。誤差計算器250の他のインプリメンテーションは、次のような式に従ってシンボルベクトルから周波数誤差を計算する(2004年4月27日に発行された米国特許第6,728,301号(クリシコス(Chrisikos))を参照):
【数5】
【0076】
そのような誤差は、式(3)に従って計算される周波数誤差に比べて、ベクトルの大きさ、あるいは位相角の大きさに、より少なく依存する可能性がある。
【0077】
式(6)の左辺中におけるようなアークタンジェント(arctangent)を計算するための様々な最適化が知られている。例えば、第1オクテットまたは第8オクテット中における任意の角度(−45度から+45度)について、アークタンジェントは、次の式に従って、0.26度の最大誤差まで近似されることができる:
【数6】
【0078】
ここで、ファクタ1/4および1/32は、ビットごとの右シフトとして簡単にインプリメントされることができる(リチャード ライアンズ(Richard Lyons)、アークタンジェントレースにおける別の競合項(Another Contender in the Arctangent Race)、IEEE信号処理マガジン(IEEE Signal Processing Magazine)、2004年1月、109〜110頁を参照)。第4オクテットまたは第5オクテット中における角度のアークタンジェントは、式(7)を使用して得られる値にπを加えることにより、同じ精度まで近似されることができるが、第2オクテットまたは第3オクテット(第6オクテットまたは第7オクテット)中における角度のアークタンジェントは、π/2(−π/2)から式(7)を使用して得られる値を差し引くことにより、同じ精度まで近似されることができる。
【0079】
いくつかのケースにおいては、復号化されたシンボルS90は、パイロットチャネル以外のソースからの情報を含むことができる。例えば、長いパイロットシンボルは、雑音があまりないチャネル推定を提供するが、より大きい周波数範囲が、より短いパイロットシンボルを用いて取得されることができる。cdma2000チャネル上のパイロットシンボルは、64個のチップを含み、いくつかの状況(例えば、信号獲得)においては、より短いパイロットシンボルに対応する誤差信号S40を得ることが望ましいかもしれない。1つのcdma2000アプリケーションにおいては、誤差計算器250は、生のパイロットシンボルベクトルと、順方向同期チャネルから復号化されるシンボルのベクトルとのクロス乗積の大きさを計算する。誤差信号S40の結果として生じるインプリメンテーションは、長さ32のパイロットシンボルを使用して導き出されるような誤差と似ており、獲得中に、より多くの雑音を犠牲にして増大された周波数範囲を提供するものとして役に立つ可能性がある。誤差計算器250のさらなるインプリメンテーションは、(例えば、2003年5月8日に公開された米国特許出願公開第2003/0087620号(センドネイス(Sendonais))において説明されているような)復号化されたパイロットおよび非パイロットシンボル(decoded pilot and non-pilot symbols)に基づいて、かつ/または、(例えば、2001年12月11日に発行された米国特許第6,330,291号(アグラウォル(Agrawal)ほか)において説明されているような)複数のウォルシュ関数を有する相関する復号化されたシンボルS90(おそらく復号化されたデータシンボルS250を含む)の結果に基づいて、誤差信号S40のインプリメンテーションを計算する。
【0080】
「受信ダイバーシティ(receive diversity)」アプリケーションにおいては、レシーバ10は、各々が同じ送信信号の異なるインスタンスを受信する2つ以上のアンテナを含んでいる。受信ダイバーシティは、付加的ホワイトガウス雑音(additive white Gaussian noise)(AWGN)とフェーディングチャネル(fading channel)におけるよりよい平均化を提供きる。そのようなアプリケーションにおいては、誤差信号S40は、ここにおいて説明されるように誤差計算器250の複数のインスタンスを含む誤差計算器によって生成されることができる。図9dは、そのような誤差計算器の一例258のブロック図を示しており、この誤差計算器においては、誤差計算器250のインスタンス250a、250bは、異なるそれぞれのアンテナを経由して受信されるような(そして、おそらく、異なるRFフロントエンドおよび/またはダウンコンバータによって処理されるような)、(例えば、同じ拡散符号およびカバーする符号を有する)同じチャネルのインスタンスに基づいた復号化されたシンボルS90a、S90bを受け取る。この例においては、総合誤差信号は、対応する誤差信号S40を得るために、平均化される(追加され、次いで1ビットだけ右シフトされる)。
【0081】
別の受信ダイバーシティの例においては、各ダイバーシティインスタンスは、アンテナ105と、RFフロントエンド110と、ダウンコンバータ120と、ベースバンド処理装置200の対応するインスタンスを含んでいる。ダウンコンバータ120の様々なインスタンスの各々は、周波数基準S30に基づいた1つまたは複数のLO信号を受け取るように構成される。様々なダイバーシティインスタンスのうちの1つまたは複数(例えば、すべて)によって生成される誤差信号S40は、結合器140中において結合されることができる。代わりに、各ダイバーシティインスタンスはまた、回転信号S60のインスタンスが、局所的に適用され、回転信号S60の様々なインスタンスが、第2の利得蓄積ステージ160に対する入力について結合されて(おそらく、例えば、信号強度に従って重み付けされて)、結合器140と第1の利得蓄積ステージ150の対応するインスタンスを含むこともできる。そのような配置は、他の補正が様々なダイバーシティインスタンスに対して共通に適用されて、ここにおいて説明されるようなベースバンド処理装置の他の形態のインスタンスを含めて、レシーバダイバーシティアプリケーションのために適合化されることもできる。共通の周波数基準、および/または共通の周波数補正および/または時間補正のそのような原理は、送信ダイバーシティアプリケーションにも適用されることもできる。
【0082】
誤差信号S40は、送信ダイバーシティを明らかにするように調整されることもでき、この送信ダイバーシティにおいては、関連したシンボルは、複数のアンテナ上で同じ時刻に送信される。例えば、直交送信ダイバーシティ(Orthogonal Transmit Diversity)(OTD)を使用して送信されるCDMA信号に対応する誤差信号は、1ビット左シフトされることができ、空間時間拡散(Space Time Spreading)(STS)を使用して送信されるCDMA信号に対応する誤差信号は、2ビット左シフトされることができる。誤差信号S40は、(例えば、飽和要素または切捨て要素により)制限され、かつ/または特定のアプリケーションにおいてさらに処理するために必要に応じてシフトされることもできる。
【0083】
図10aは、ベースバンド処理装置200の別のインプリメンテーション200bのブロック図を示している。この例においては、各フィンガ220bは、回転信号S60を受け取り、回転信号S60と複素信号S20に基づいた誤差信号S40を出力する。図10bは、フィンガ220bのインプリメンテーション222bのブロック図を示しており、(例えば図7中に示され、ここにおいて論じられるように)このフィンガは、ローテータ230を含んでいる。そのようなインプリメンテーションにおいては、2つ以上(おそらくすべて)のフィンガのローテータは、1つのルックアップテーブルを共用することができる。
【0084】
結合器(combiner)140は、誤差信号S40を受け取り、総合誤差S50を出力する。一例においては、結合器140は、総合誤差S50を誤差信号S40の和として生成するアダー(adder)を含んでいる。別の例においては、結合器140は、総合誤差S50を誤差信号S40の重み付けされた和として生成し、ここで各誤差信号S40は、例えば、(受信信号強度指示(received signal strength indication)あるいはRSSIのような)対応する誤差信号S40がそれから導き出された信号の強度の尺度(measure of the strength of the signal)によって重み付けされる。例えば、結合器140は、最大比率結合器としてインプリメントされることができる。結合器140のアダーまたは加算器は、飽和するアダーとしてインプリメントされることができる。結合器140は、入力値または出力値を望ましいフォーマットまたは幅にパッドし、切り捨て、かつ/または丸めるようにインプリメントされることもできる。
【0085】
結合器140は、フィンガがロックしているかどうかを示す各フィンガ220に対応するロック信号を、(例えばフィンガから、またはサーチャ210から)受け取ることができる。ロック信号が1(ロック中)またはゼロ(ロックが外れた)の値を有するような場合には、結合器140は、各ロック信号を、対応する誤差信号S40に対して利得ファクタとして適用することができる。誤差信号S40が、例えば対応する信号強度に従って重み付けされる結合器140のインプリメンテーションの場合は、ロックが外れたフィンガからの誤差信号S40は、ゼロの重みを割り当てられることができる。
【0086】
第1の利得蓄積ステージ150は、1つまたは複数の利得ファクタに従って総合誤差S50をスケーリングし(scales)、1つまたは複数の以前の状態を伴う現在の状態の蓄積に基づいた回転信号S60を出力する。第1の利得蓄積ステージ150は、ループフィルタ設計(loop filter design)の原理に従ってインプリメントされることができる。図11aは、回転信号S60のインプリメンテーションS62を出力する、第1の利得蓄積ステージ150のインプリメンテーション152を示している。この例におけるアキュムレータは、遅延要素(例えば、レジスタ)とアダーとを含み、このアダーは、飽和アダーであってもよい。回転信号S60は、例えばベースバンド処理装置200および/または第2の利得蓄積ステージ160による適用(application)の前に、さらにスケーリングされ、シフトされ、かつ/または反転されることもできる。
【0087】
第1の利得蓄積ステージ150によって適用される第1の利得ファクタは、固定された利得ファクタ、および調整可能な利得ファクタを含むことができる。図11bは、乗算器が、調整可能な(例えば、プログラマブルな)利得ファクタG10を適用し、シフタ170が、固定された利得ファクタを適用する、第1の利得蓄積ステージ150のインプリメンテーション154を示している。そのような1つの例においては、固定された利得ファクタは、調整可能な利得ファクタの適用に続く左シフトとしてインプリメントされる。固定された利得ファクタは、望ましいループ特性に従って(例えば、望ましいトラッキング速度または帯域幅を得るため、安定性および/またはダンピングを保証するためなどに)選択されることができる。
【0088】
調整可能な利得ファクタは、プログラマブル値(programmable value)、例えば8ビットの符号なし整数値(unsigned integer value)としてインプリメントされることができるが、他の値(符号付きおよび/または浮動小数点)も使用されることができる。代わりに、調整可能な利得ファクタは、各々固定されまたはプログラマブルとすることができる2つ以上の値のうちからの選択としてインプリメントされることもできる。レシーバ10の制御回路またはプロセッサは、調整可能な利得ファクタをプログラムし、または選択するように構成されることができ、異なる利得値(例えば、異なる固定され、かつ/または調整可能な利得ファクタ)は、オペレーションの異なるモードにおいて望ましい動作(例えば、獲得モード(acquisition mode)ではより大きな利得ファクタと、トラッキングモード(tracking mode)ではより小さな利得ファクタ)を得るために使用されることができる。一般的に、より大きな利得ファクタは、より高速なトラッキングをもたらすことになる。回転制御ループについて十分に高速なスルーレート(slew rate)を提供する利得ファクタを得ることもまた、望ましいかもしれない。例えば、予想されるドップラー誤差の範囲上でのトラッキング損失を防止するために(例えば、ローテータ230の分解能を考慮して)十分に大きな、回転制御ループについての帯域幅を提供する利得ファクタを得ることが望ましいかもしれない。
【0089】
1つまたは複数の受信信号インスタンスに対し、別の受信インスタンスに対するものとは異なる回転を適用することが望ましいこともある。様々な信号インスタンスに関連する周波数誤差は、一般的に、例えば対応する伝搬経路に関連する異なるドップラー誤差に起因して異なるであろう。いくつかの場合においては、異なる受信インスタンスに関連するドップラー誤差は、異なる符号を有する可能性さえある。他のフィンガによって計算される周波数誤差に基づく補正を適用するのではなくて、そのフィンガによって観察される特定の周波数誤差に従って受信インスタンスを回転させることが望ましいこともある。
【0090】
図12aは、ローテータ230のインスタンスを含む、フィンガ220のインプリメンテーション220cを示している。フィンガ220cは、誤差信号S40に基づく回転信号S60のインプリメンテーションS60Iを計算するように構成される第1の利得蓄積ステージ150のインスタンスも含んでいる。フィンガ220cは、回転信号S60Iを(例えば、ここにおいて説明されるように結合器142に対して)出力し、またローテータ230に対して回転信号S60Iを適用するようにも構成される。
【0091】
図12bは、各々が回転信号S60Iの対応するインスタンスを出力するように構成される、フィンガ220cの複数のインスタンスを含む、ベースバンド処理装置200のインプリメンテーション200cを示している。図12cは、回転信号S60Iに基づく回転信号S60の結合されたインプリメンテーションS60Cを計算するように構成される結合器142を含む、周波数制御ユニット130のインプリメンテーション134のブロック図を示している。いくつかのアプリケーションにおいては、結合器142は、回転信号S60Iの和を計算するように構成されるアダーとしてインプリメントされることができる。他のアプリケーションにおいては、結合器142は、回転信号S60Iの重み付けされた和を計算するように構成される、乗算器とアダーのアレイとしてインプリメントされることができ、ここで各信号S60Iは、対応する受信インスタンスの強度の尺度によって重み付けされる。
【0092】
ローテータ230によって適用されるような、そして、結合器142に対して出力されるような回転信号S60Iのバージョンのうちの1つは、スケーリングされ、切り捨てられ、またはゲートされた他のバージョンであってもよい。例えばローテータ230は、信号S60Iのフル分解能バージョンを適用することができるが、一方、結合器142は、様々な回転信号S60Iの切り捨てられたバージョンを結合することができる。
【0093】
周波数制御ユニット134は、結合された回転信号S60Cに基づいた発振器制御信号S70のインスタンスを計算するように構成される第2の利得蓄積ステージ160のインスタンスを含んでいる。別のインプリメンテーションにおいては、周波数制御ユニット130は、最強の受信インスタンスに対応する回転信号を選択するように構成され、第2の利得蓄積ステージ160は、この選択された信号に基づいた発振器制御信号S70を計算するように構成される。
【0094】
第2の利得蓄積ステージ160は、1つまたは複数の利得ファクタに従って回転信号S60をスケーリングし、1つまたは複数の以前の状態を伴う現在の状態の蓄積に基づいた発振器制御信号S70を出力する。第2の利得蓄積ステージ160は、ループフィルタ設計の原理に従ってインプリメントされることができる。図13aは、発振器制御信号S70のインプリメンテーションS72を出力する、第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション162を示している。この例におけるアキュムレータは、遅延要素およびアダーを含んでおり、このアダーは、飽和アダーであってもよい。発振器制御信号S70は、例えばVFO190に適用される前に、さらにスケーリングされ、シフトされ、かつ/または反転されることもできる。
【0095】
第2の利得蓄積ステージ160によって適用される第2の利得ファクタは、回転ループのスルーレート、残りのVFO誤差に対するGPSの感度、検索スケジュール、および/または別のチェーンの要件(例えば、逆方向リンクまたはトランスミットチェーン)などの判断基準に基づくことができる。ドップラーおよびフェーディングに関連したダイナミクス(dynamics)にフィルタをかけて取り除くのに十分に小さく、温度過渡現象を追跡するのに十分に大きいVFOループについての帯域幅を得ることが望ましいこともある。
【0096】
第2の利得ファクタは、固定された利得ファクタと調整可能な利得ファクタとの組合せとしてインプリメントされることができる。図13bは、発振器制御信号S70のインプリメンテーションS74を生成するために、シフタ180が固定された利得ファクタを適用し、乗算器が調整可能な(例えば、プログラマブルな)利得ファクタG20を適用する、第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション164を示している。そのような一例においては、固定された利得ファクタは、調整可能な利得ファクタの適用に先立った右シフトとしてインプリメントされる。固定された利得ファクタは、望ましいループ特性に従って(例えば、望ましいトラッキング速度または帯域幅を得るために、安定性および/またはダンピングを保証するためなどに)選択されることができる。例えば、VFOループ中の過剰にダンピングされた応答を提供することが望ましいこともある。調整可能な利得ファクタは、プログラマブルな値として、例えば8ビットの符号の付いていない整数値としてインプリメントされることができるが、他の値(符号付きおよび/または浮動小数点)が使用されることもできる。代わりに、調整可能な利得ファクタは、各々固定され、またはプログラマブルとすることができる2個以上の値のうちからの選択としてインプリメントされることもできる。レシーバ10の制御回路またはプロセッサは、調整可能な利得ファクタをプログラムし、または選択するように構成されることができ、また異なる利得値(例えば、異なる固定され、かつ/または調整可能な利得ファクタ)は、異なるオペレーションモード中における望ましい動作を得るために使用されることができる(例えば、獲得モードについてのより大きな利得ファクタと、トラッキングモードについてのより小さな利得ファクタ)。一般的に、より大きな利得ファクタは、より高速なトラッキングをもたらすことになる。
【0097】
プログラマブルな利得ファクタG10とG20のうちの一方または両方は、いくつかのプリセット値のうちからの選択としてインプリメントされることができる。例えば、プログラマブルな利得ファクタG20は、低利得値と高利得値との間での選択としてインプリメントされることができる。図13cは、制御信号S100に従って低利得ファクタG30と高利得ファクタG40との間で選択するように構成されるセレクタを含み、またシフタ180も含むことができる、第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166aのブロック図を示している。レシーバ10の制御のプロセッサおよび回路は、例えばVFOループ中に周波数誤差のより多くをプルする(pull)ことが望ましいときに、制御信号S100を経由して高利得ファクタG40を動的に選択するように構成されることができる。そのような選択は、タイマ(timer)に従って、かつ/または、GPS受信オペレーションがあるとすぐに、実行されることができる。そのような選択は、高度な順方向リンク三辺測量(advanced forward link trilateration)(AFLT)オペレーションに関連したVFO誤差要件(VFO error requirements)に従って実行されることもできる。
【0098】
ローテータループ(rotator loop)が動作できるようにしながらVFOループをディスエーブルし、またはフリーズする(freeze)ことが望ましいこともある。例えば、ローテータループ上の残りの誤差がしきい値に到達し、またはしきい値を超過するときだけに、発振器制御信号S70の値をアップデートすることが望ましいこともある。図13dは、発振器制御信号S70のインプリメンテーションS76bを生成するように構成される、第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166bのブロック図を示している。この例においては、ローパスフィルタ410は、回転信号S60の長期にわたる平均を出力するように構成される。フィルタ410は、一次または他の低次のFIRフィルタまたはIIRフィルタとしてインプリメントされることができる。
【0099】
コンパレータ460は、回転信号S60の平均値としきい値T10との間の関係に応じて高レベル(high)(1)状態または低レベル(low)(0)状態を有する制御信号C102を出力するように構成される。この例においては、制御信号C102は、平均値がしきい値T10を超過するときに、高レベル状態を有し、そうでないときに低レベル状態を有する。別の例においては、制御信号C102は、平均値がしきい値T10よりも小さいときに低レベル状態を有し、そうでないときに高レベル状態を有する。
【0100】
乗算器510は、制御信号C102の状態に従って回転信号S60をゲートするように構成されるANDゲートとしてインプリメントされることができる。回転信号S60が例えばnビットの幅を有する場合には、乗算器510は、各ゲートの一方の入力が回転信号S60の対応するビットを受け取り、他方の入力が制御信号C102を受け取るn個の2入力ANDゲートの連結アレイ(ganged array)としてインプリメントされることができる。第2の利得蓄積ステージの別のインプリメンテーション166bにおいては、第2の利得ファクタは、フィルタ410および/または乗算器510の上流で(upstream)適用されることができる。
【0101】
低利得ファクタと高利得ファクタとの間の選択は、回転信号S60に基づくことができる。例えば、高利得ファクタG40は、回転信号S60の長期にわたる平均値がしきい値を超過するときに選択されることができる。この平均値は、回転信号S60上のローパスフィルタの出力の大きさによって示されることができ、このフィルタは、例えば第1の利得蓄積ステージ150の、あるいは第2の利得蓄積ステージ160の一部分としてインプリメントされることができる。図13eは、第2の利得蓄積ステージ160のそのようなインプリメンテーション166cのブロック図を示しており、この中では低利得ファクタG30と高利得ファクタG40のうちの一方は、回転信号S60の長期にわたる平均値としきい値T20との間の関係に従って選択される。
【0102】
VFOループのスルーレートを制限することが望ましいこともある。例えばある種のイベントが、回転信号S60の値に突然のかなりの変化を引き起こす可能性がある。そのようなイベントの例は、ロックを外れるフィンガと、ロックを獲得する異なるドップラー誤差を有するフィンガと、レシーバとトランスミッタの相対速度の突然の大きな変化を含む。発振器制御信号S70上におけるそのような過渡現象の影響を低減させることが望ましいかもしれない。
【0103】
図14aは、第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション166dのブロック図を示している。マルチプレクサ440は、回転信号S60のスケーリングされたバージョンと、リミッタ(limiter)420によって計算されるようなその信号のスルーレート制限されたバージョンを受け取る。一例においては、リミッタ420は、その入力信号の値に対して上限および下限を適用するように構成される。そのような限界は、例えば発振器周波数の変化の最大絶対レートに基づいて選択されることができ、このレートは、毎秒10億当たりの部分(parts per billion)(ppb)などの単位で表されることができる。GPSアプリケーションでは、6.4ppb/秒、3.2ppb/秒、または1.6ppb/秒あるいはそれより低いことさえある最大レートを選択することが望ましいこともある。代わりに、5kHzの瞬間的な限界または平均的な限界など、ヘルツの表現でスルーレート限界を選択することが望ましいこともある。マルチプレクサ440は、ロジックブロック430によって生成されるように制御信号C106の状態に基づいてその入力のうちの1つを選択するように構成される。
【0104】
図14bは、ロジックブロック430の1つのインプリメンテーションのブロック図を示している。大きさ計算ブロック(magnitude calculation block)450は、回転信号S60のスケーリングされたバージョンの大きさを計算するように構成される。コンパレータ460および470は、それぞれのしきい値T30aおよびT30bに対する大きさ(magnitude)を比較するように構成され、RSラッチ480は、大きさと各しきい値との間の関係に基づいた制御信号C106を出力するように構成される。この例においては、制御信号C106の値は、大きさがしきい値T30aを超過するときに高レベルであり、大きさがしきい値T30bを超過しないときに低レベルであり、それ以外のときには変化しない。予想される発振器ドリフトよりも大きい高いしきい値T30aについての値を選択することが望ましいこともあるが、低いしきい値T30bは、望ましい感度に従って選択されることができる。第2の利得蓄積ステージ166dは、スルーレート制限オペレーションが、イネーブルされ、またはディスエーブルされることができるように構成されることもできる。例えば、GPS受信中にスルーレート制限をイネーブルにし、そうでない場合にそのようなオペレーションをディスエーブルにすることが望ましいこともある。
【0105】
回転信号S60に基づいた制御ファンクションを実行する、第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション(例えば、図13c、13d、13e、または14aに示されるようなインプリメンテーション)は、回転信号S60のスケーリングされたバージョン、または切り捨てされたバージョンに対して制御ファンクションを実行するように構成されることができることに注意すべきである。
【0106】
レシーバ10のいくつかのインプリメンテーションにおいては、第1および第2の利得蓄積ステージのうちの一方または両方は、アキュムレータとしてインプリメントされることができ、かつ/または、そのようなステージ中における利得要素は、シフトとしてインプリメントされることができる。
【0107】
ドップラー誤差および温度誤差が2つのループの間で信頼できるように分離されることができるように、第1および第2の利得蓄積ステージの利得ファクタを構成することが望ましいこともある。例えば、ループの帯域幅の間で実質的に一定の比を保持することが望ましいこともある。適切な帯域幅比は、10から1000までの範囲とすることができ、100の値が、少なくともいくつかのアプリケーションでは、望ましい。代わりに、2つのループの時定数の間で実質的に一定の比を保持することが望ましいこともある。適切な時定数比は、0.2から20までの範囲とすることができ、2の値が、少なくともいくつかのアプリケーションでは望ましい。さらなる代替案においては、VFOループの実質的に一定の帯域幅または時定数を保持することが望ましいこともある。VFOループについての適切な時定数は、0.2秒から20秒までの範囲とすることができ、2秒の値が、少なくともいくつかのアプリケーションでは望ましい。
【0108】
上記に述べたように、誤差計算器250によって計算される誤差信号S40は、受信信号の大きさに依存する可能性がある。周波数制御ユニット132のいくつかのインプリメンテーションにおいては、内側(回転)ループの利得は、ループ応答が、信号強度が増大すると共に速くなるようにEc/Io(信号および雑音の総受信パワーに対するチップ当たりのパイロットエネルギーの比)を用いてスケーリングすることができるが、外側(VFO)ループの主要な極(dominant pole)は、信号強度の影響を受けないこともある。そのような場合には、2つのループの間の帯域幅比は、信号強度と共に変化する可能性がある。
【0109】
そのような変化の潜在的な影響は、各ループ中において補償される周波数誤差の量の比が、信号強度に従ってかなり変化することである。そのような影響を回避することが望ましいこともある。例えば、Ec/Io値の予想される拡散にまたがって、2つのループの実質的に一定の帯域幅比(例えば、100%、50%、または10%の範囲内の)を実現することが望ましいこともある。1つのアプリケーションにおいては、Ec/Io値のそのような拡散(例えば、単一フィンガのロックしきい値からすべてのフィンガの飽和までの)は、約−28dBから約0dBまでの範囲を有する。1つのアプリケーションにおいては、VFOループ帯域幅に対する回転ループ帯域幅の比は、約10であるが、他の任意の比(例えば、1より大きな、または1より小さな)が、望ましいアプリケーションについて必要に応じて選択されることができる。
【0110】
第2の利得蓄積ステージ160は、信号に依存した利得ファクタを含むようにインプリメントされることができる。例えば、第2の利得ファクタは、信号強度(例えば、エネルギー)の尺度に従ってスケーリングされることができる。図15aは、スケーリングファクタG30に基づいた発振器制御信号S70のインプリメンテーションS78を出力する、第2の利得蓄積ステージ160のさらなるインプリメンテーション168を示している。
【0111】
スケーリングファクタG30は、誤差計算器250によって見られるような信号に依存したスケーリングに似ているように(例えば、現在のサンプルベクトルと以前のサンプルベクトルの大きさの積として)インプリメントされることができる。例えば、スケーリングファクタG30は、受信信号エネルギーの指示または近似として、インプリメントされることができる。図15bは、スケーリングファクタG30のインプリメンテーションG32を現在のI値およびQ値の2乗の和として計算する、スケーリングファクタ計算器185のブロック図を示している。他のインプリメンテーションにおいては、適切なスケーリングファクタが、すでに使用可能とすることができる(例えば、対応するフィンガについて計算されたRSSI値として)。いくつかのアプリケーションにおいては、その代わりに、例えばそのような値がすでに使用可能である場合に、隣接するシンボル(例えば、現在のシンボルと以前のシンボル)のドット積(dot product)を使用することが望ましいこともある。第2の利得蓄積ステージ168は、シフタ180を含むこともできる、一方、いくつかのインプリメンテーションにおいては、シフトとしてスケーリングファクタG30を適用することが十分であり得る。
【0112】
周波数制御ユニット130のいくつかのアプリケーションにおいては、回転制御ループとVFO制御ループとをデカップリングする(decouple)ことが望ましいかもしれない。例えば、回転ループの量子化雑音からVFOループを分離することが望ましいかもしれない(例えば、VFO190の分解能(Hz/LSBの単位の)がローテータ230の分解能よりも微細である場合)。デカップリングされたコンフィギュレーションは、設計し、解析するのにより簡単であり、より柔軟であり、かつ/またはそのような獲得など、特別な状況に適合させるのにより簡単なこともある。そのようなコンフィギュレーションにおいては、ループ間の任意の帯域幅比がインプリメントされることができるように、2つのループについての利得ファクタは、互いにほとんど独立して(largely independently)選択されることができる。
【0113】
図16aは、デカップリングされたコンフィギュレーション中において使用されることができる、ベースバンド処理装置300のインプリメンテーション300bのブロック図を示している。ベースバンド処理装置300bは、各々が受信信号の同じインスタンスに基づいた2つの誤差信号S40aおよびS40bを出力する、フィンガ220の1組のインプリメンテーション220dを含んでいる。誤差信号S40aは、回転が信号に適用された後に残っている周波数誤差を示し、一方、誤差信号S40bは、非回転信号中における周波数誤差を示す。
【0114】
図16bは、結合器140の2つのインスタンス140a、140bを含む周波数制御ユニット130のインプリメンテーション136のブロック図を示している。周波数制御ユニット136は、誤差信号S40aに基づいた回転信号S60の後続の状態を計算するように構成される。周波数制御ユニット136は、誤差信号S40bに基づいた発振器制御信号S70の後続の状態を計算するように構成されることもある。
【0115】
図17は、フィンガ220dのインプリメンテーション222dのブロック図を示している。フィンガ222dは、デコーダ240の2つのインスタンスと誤差計算器250の2つのインスタンスとを含んでいる。第1の信号経路においては、フィンガ222bに関連して上記されるように、デコーダ240aは、回転された信号S80を復号化し、誤差計算器250aは、誤差信号S40aを計算する。第2の信号経路においては、デコーダ240bは、複素信号S20を復号化し、誤差計算器250bは、誤差信号S40bを計算する。誤差計算器250aおよび250bは、同様にインプリメントされることができ、また、異なる時刻に異なるコンテキストで適用される同じ構成および/または命令セットとしてインプリメントされることさえできる。あるいは、誤差計算器は、異なる構成および/または命令セットとしてインプリメントされることもでき、この場合に、第1および第2の利得蓄積ステージのうちの一方または両方は、誤差計算器の応答の間の差を補償するように構成されることができる。
【0116】
フィンガ222dの2つのデコーダは、同じオフセット信号S210に従ってそれらの入力信号を復号化するように構成される。この場合に、誤差計算器250aは、回転された信号S80の周波数誤差特性を計算するが、誤差計算器250bは、(非回転の)複素信号S20の周波数誤差特性を計算する。フィンガ222dにおいては、誤差信号S40bが回転信号S80の変化によって影響されない、ということが理解されることができる。
【0117】
回転および発振器制御ループの同様なデカップリングが、ここにおいて説明されるように他のフィンガアーキテクチャを使用して達成されることができる、ということもまた理解されることができる。例えば、図18aは、各々が誤差信号S40aおよびS40bを計算するように構成される1組のフィンガ220eを含む、ベースバンド処理装置300の別のインプリメンテーション300cのブロック図を示している。図18bは、フィンガ220eのインプリメンテーション222eのブロック図を示している。
【0118】
同様に、図19aは、誤差信号S40bを計算する、フィンガ220cのインプリメンテーション222fのブロック図を示し、図19bは、周波数制御ユニット136のインプリメンテーション136aのブロック図を示しており、この中においてベースバンド処理装置300のインプリメンテーション300dは、誤差信号S40bを計算するように構成される1組のフィンガ222fを含んでいる。
【0119】
いくつかのフィンガアーキテクチャにおいては、非回転信号をデコーダに供給することは実現可能でないかもしれない。そのような場合には、回転ループと発振器制御ループとの効果的なデカップリングは、逆回転された(derotated)シンボルに基づいた発振器制御ループについての周波数誤差を計算することによって達成されることができる。図20は、周波数制御ユニット130のインプリメンテーション138のブロック図を示している。ベースバンド処理装置300のインプリメンテーション310は、複素信号S20(これは、ベースバンドまたはベースバンドの近くにある可能性がある)と回転信号S60を受け取り、これらの2つの入力に基づいた複数の誤差信号S40を出力する。ベースバンド処理装置310は、逆回転信号(derotation signal)S360に基づいた複数の誤差信号S340も出力する。結合器140は、総合誤差S50を得るために誤差信号S40を結合し、結合器340は、総合誤差S350を得るために誤差信号S340を結合する。総合誤差S50に基づいて、第1の利得蓄積ステージ150のインプリメンテーション350は、回転信号S60と逆回転信号S360を生成する。第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーション360は、総合誤差S350に基づいた発振器制御信号S70のインプリメンテーションS74を生成する。
【0120】
図21aは、複数のフィンガ320aを含むベースバンド処理装置310のインプリメンテーション310aのブロック図を示している。フィンガ320aの各々は、ここにおいて説明されるようなフィンガ220aのインプリメンテーションであり、それはまた、逆回転信号S360に基づいた対応する誤差信号S340を出力するように構成される。
【0121】
図21bは、フィンガ320aのインプリメンテーション322aのブロック図を示している。ローテータ330は、逆回転されたシンボルS390を生成するために、逆回転信号S360に従って、復号化されたシンボル(decoded symbol)S90を回転させる。ローテータ330は、ここにおいて説明されるようにローテータ230の一実施形態に従ってインプリメントされることができ、ローテータ230と同じルックアップテーブルを使用することができる。一例においては、ローテータ230は、専用のハードウェア要素(例えば、乗算器)を使用してインプリメントされ、一方、ローテータ330は、ロジック要素(例えば、マイクロプロセッサまたはデジタル信号処理プロセッサ)のアレイ上で実行される複数のルーチンのうちの1つとしてインプリメントされる。
【0122】
誤差計算器350は、逆回転されたシンボルS390に基づいて誤差信号S340を計算する、ここにおいて説明されるような誤差計算器250の1つのインプリメンテーションである。誤差計算器250および350は、誤差信号S40およびS340が信号強度に対する類似した依存性を有するように同様にインプリメントされることができる。そのような一実施形態においては、回転制御ループとVFO制御ループとの間の帯域幅比は、たとえ誤差信号S40が信号振幅と共に変化するとしても保存されることができる。
【0123】
図22aは、ベースバンド処理装置310の別のインプリメンテーション310bのブロック図を示している。この例においては、各フィンガ320は、やはり逆回転信号S360に基づいた対応する誤差信号S340を出力するように構成される、ここにおいて説明されるようなフィンガ220bの1つのインプリメンテーションである。図22bは、フィンガ320bのインプリメンテーション322bのブロック図を示しており、このフィンガのインプリメンテーションは、逆回転されたシンボルS390を生成するために、逆回転信号S360に従って、復号化されたシンボルS90を回転させるように構成されるローテータ330を含んでいる。一例においては、ローテータ230は、専用のハードウェア要素(例えば、乗算器)を使用してインプリメントされ、一方、ローテータ330は、ロジック要素(例えば、マイクロプロセッサまたはデジタル信号処理プロセッサ)のアレイ上で実行される複数のルーチンのうちの1つとしてインプリメントされる。ベースバンド処理装置300のインプリメンテーションの2つ以上(おそらくすべて)のフィンガのローテータは、ルックアップテーブルを共用することができる。
【0124】
第1の利得蓄積ステージ350は、回転信号S60の以前の状態に基づいた逆回転信号S360を出力するように構成される、ここにおいて説明されるような第1の利得蓄積ステージ150の1つのインプリメンテーションである。図23aは、第1の利得蓄積ステージ350のインプリメンテーション352のブロック図を示しており、図23bは、第1の利得蓄積ステージ350のインプリメンテーション354のブロック図を示している。
【0125】
結合器340は、ここにおいて説明されるような結合器140の1つのインプリメンテーションである。結合器140が誤差信号S40を重み付けすることにより総合誤差S50を計算する場合、結合器S340は、その出力(例えば、総合誤差S350)を計算する際にその入力信号(例えば、誤差信号S340)に対して類似した対応する重みを適用することが望ましいこともある。第2の利得蓄積ステージ360は、ここにおいて説明されるような第2の利得蓄積ステージ160の1つのインプリメンテーションであり、第2の利得ファクタが、例えば、望ましいVFOループ応答に従って選択されている。
【0126】
ベースバンド処理装置310の他のインプリメンテーションは、複素信号S20の回転されていないバージョンに基づいた誤差信号S340を得ることができる。例えば、そのような装置は、それぞれの誤差計算器350が、これらの回転されていない復号化されたシンボルに基づいた誤差信号S340を計算するように構成されている、ローテータ230を通過しない複素信号S20の1バージョンからシンボル(例えば、それぞれのオフセット信号S210の現在または以前のバージョンに基づいたもの)を復号化するデコーダ240のインスタンスを有するフィンガを含むことができる。
【0127】
代替コンフィギュレーションを使用して回転制御ループとVFO制御ループとの効果的なデカップリングを得ることが望ましいこともある。例えば、フィンガ当たりの逆回転オペレーション(per-finger derotation operation)または追加のフィンガ当たりの復号化オペレーション(additional per-finger decoding operation)を実行せずに、第2の利得蓄積ステージ360に対する入力についての適切な(例えば、総合誤差S350と類似した、または等価な)誤差信号を得ることが望ましいこともある。そのようなインプリメンテーションは、復号化されたシンボルS90のフィンガ当たりの回転ではなくて1つまたは複数の結合された信号(例えば、総合誤差S50)に対して逆回転オペレーションを実行することを含むことができる。
【0128】
レシーバ10のいくつかのアプリケーションにおいては、一時的に発振器制御信号S70がVFO190の出力を変化させないようにすることが望ましいこともある。例えばレシーバ10の別のRFチェーンを経由した信号の受信や送信(例えば、GPS信号受信)など、周波数基準S30に基づいた別のオペレーションの実行中にそのような変化を禁止することが望ましいこともある。そのような制御は、発振器制御信号S70をゼロに設定することにより、第2の利得蓄積ステージ160に対する入力をゼロに設定することにより、かつ/または、発振器制御信号S70を受信するように、ここにおいて説明されるように構成される、制御レジスタに対するアップデートを防止することにより(例えば、制御レジスタのライトイネーブル信号をディアサートすることにより)、達成されることができる。そのようなアプリケーションにおいては、VFO190の温度補償を継続することを可能にすることが望ましいこともある。
【0129】
発振器制御信号S70がVFO190の出力を変化させないようにするモードは、タイマにより、あるいは受信(例えば、GPS受信)オペレーションまたは送信オペレーションの実行をするとすぐに開始されることができる。そのようなモードは、回転信号S60上の大きな変化の検出をするとすぐに(例えば、過剰な誤差がVFOループに入らないように停止するために)開始されることもできるが、VFOループ中の誤差の補償を防止することは、RF信号S10を追跡する能力に(例えば、周波数誤差が、回転ループのスルーレートを超過すべき場合に)悪影響を及ぼす可能性がある。そのような変化は、回転信号S60に対するローパスフィルタの出力の大きさによって示されることができるが、このフィルタは、例えば第1の利得蓄積ステージ150、または第2の利得蓄積ステージ160の一部分としてインプリメントされることができる。そのようなモードに入るタイミングまたは制御の決定は、例えば回転制御ループの残りの誤差の大きさ、残りのVFO誤差に対するGPSレシーブチェーンの感度、1つまたは複数の検索スケジュール、および/またはトランスミットチェーンや他のレシーブチェーンなど、レシーバ10の別のRFチェーンの要件に基づいていてもよい。
【0130】
ここにおいて指摘されるように、レシーバ10は、レシーバ(例えば、GPSレシーブチェーン)の動きから生じるドップラー誤差から比較的自由なレシーブチェーンを含むことができる。しかし、長い時間の間に、VFO制御ループは、定常状態ドップラー誤差について補償し始める可能性がある。いくつかのアプリケーションにおいては、VFO190の周波数制御は、一時的に発振器制御信号S70以外の信号に(例えば、そのようなドップラー誤差をVFOループから除くために)基づいていることが望ましいこともある。例えば、VFO190の制御をGPSレシーブチェーンなど別のレシーブチェーンから導き出された信号へとスイッチングすることが望ましいこともある。そのようなモードは、回転信号S60上の変化の大きなレートを検出するとすぐに、GPS受信オペレーションを実行するとすぐに、かつ/またはタイマに従って開始されることができる。
【0131】
ここにおいて説明されるように、2ループの周波数制御コンフィギュレーションは、VFO誤差から平均ドップラー周波数誤差を分離するために使用されることができる。しかし、他の周波数誤差について補償することも望ましいこともある。例えば平均ドップラー誤差に加えて、レシーブチェーンは、経路特有のドップラー誤差に遭遇する可能性もある。レシーバ10が高速度で移動している状況(例えば、高速の車の中または高速の列車上)においては、かつ/または複素信号S20が互いに反対の方向から(例えば、レシーバがそれに向かって移動している方向から、そしてその反対の方向から)受信される信号を含むときには、異なるフィンガは、非常に異なるドップラー誤差に出合う可能性がある。
【0132】
少なくとも1つのフィンガがローテータを含むインプリメンテーションのさらなるアプリケーションにおいては、そのような1つまたは複数のフィンガは、そのフィンガに固有の周波数誤差(例えば、ドップラー誤差)についての補償を示す追加の回転信号を、受け取る。このように、マルチパスインスタンスに対して適用される実際の回転は、回転信号S60に加えて他のファクタに基づいているかもしれない。そのような追加の補償は、対応するローテータ230によって適用されることができ(例えば、そのフィンガについての回転信号S60と結合されることができ)、かつ/またはその信号経路は、そのような追加の回転を適用するローテータ230の別のインスタンスを含んでもよい。フィンガに適用されるような逆回転信号S360がそのような追加の回転を明らかにする(account for)(例えば、除去もする)ことが望ましいかもしれない。
【0133】
さらなるアプリケーションにおいては、回転信号S60による複素信号S20の回転は、一時的にディスエーブルにされてもよい。そのようなディスエーブルにすることは、例えば、もし別のタスクのために(例えば、レシーバ10の高速移動中のように、経路特有のドップラー誤差(path-specific Doppler errors)を補償するために)1つ(または複数)のローテータ230を使用することが望まれるのであれば、使用されてもよい。レシーバ10の別のRFチェーンがアクティブでない(inactive)期間中にそのようなモードに入ることが望ましいこともある。
【0134】
回転ディスエーブル化(rotation disabling)のそのようなアプリケーションにおいては、総合誤差S50が、VFO制御のために第2の利得蓄積ステージ160に向けられ(directed)てもよく、あるいは、第1の利得蓄積ステージ150の出力(例、回転信号S60)が、異なる固定のかつ/または調整可能な利得ファクタを適用するように構成されているかもしれない関連したステージを備えた、発振器制御信号S70として機能するようにリダイレクトされ(redirected)てもよい。代わりに、VFOループの制御は、(例えば、総合誤差S50を受け取り、発振器制御信号S70を出力する)利得蓄積ステージのさらなるインスタンスを有する並列ブランチに対するそのようなアプリケーション中にスイッチングされてもよい。そのようなモードのインプリメンテーションは、例えば回転信号S60をゼロに設定すること、あるいはそうでなければ1つ(または複数)のローテータ230が回転信号S60に基づいた回転を適用しないようにすることを含んでもよい。逆回転信号S360を含むインプリメンテーションの場合、そのようなアプリケーションにおいては、同様に逆回転信号S360をゼロに設定すること、あるいはそうでなければローテータ430が逆回転信号S360を適用しないようにすること、もまた、望ましいかもしれない。
【0135】
図1bに示されるようなレシーバ12の1つのアプリケーションにおいては、RFフロントエンド110aは、CDMA信号を受信するように構成され、レシーバは、CDMA信号から発振器制御信号S70を導き出すように構成される。そのようなレシーバの別のアプリケーションにおいては、RFフロントエンド110aは、GPS信号を受信するように構成され、レシーバは、GPS信号から発振器制御信号S70を導き出すように構成される。
【0136】
レシーバ12のさらなるアプリケーションにおいては、ダウンコンバータ120aは、周波数制御ユニット130のインスタンス130aに対してCDMA信号に基づいた複素デジタル信号を出力するように構成され、ダウンコンバータ120bは、周波数制御ユニット130のインスタンス130bに対してGPS信号に基づいた複素デジタル信号を出力するように構成される。周波数制御ユニット130a、130bの各々は、それぞれの複素デジタル信号に基づいた発振器制御信号S70のインスタンスを計算するように構成され、レシーバは、発振器制御信号S70のどのインスタンスをVFO190に対して適用すべきかを決定するように構成される決定ロジックを含んでいる。
【0137】
レシーバは、レシーバの動作モードに従って発振器制御信号S70のインスタンスを選択するように構成されてもよい。そのような1つのインプリメンテーションにおいては、GPS信号に対応するS70のインスタンスは、GPS受信中にVFO190を制御するために使用され、CDMA信号に対応するS70のインスタンスは、そうでない場合に使用される。代わりに、選択は、GPS信号とCDMA信号の相対的強度(relative strengths)に基づくことができ、時間間隔または他のイベントに従って動的に再評価されることができる。例えばオープンな戸外空間において、GPS信号に基づいた受信インスタンスは、CDMA信号の最強の受信インスタンスよりも高い信号エネルギーを有することができ、レシーバは、それに基づいたGPS信号に対応するS70のインスタンスを選択するように構成されることができる。
【0138】
図24は、2つのダウンコンバータ120a、120bの各々が複素デジタル信号をそれぞれの周波数制御ユニットに対して出力する、一実施形態によるレシーバのブロック図を示している。周波数制御ユニット130aは、複素信号S20aから導き出された回転信号S60を計算するように構成される。周波数制御ユニット130bは、ここにおいて説明されるように周波数制御ユニット130のインプリメンテーションのうちの任意のものに従ってインプリメントされることができ、複素信号S20bから導き出される発振器制御信号S70を計算するように構成される。いくつかのアプリケーションにおいては、周波数制御ユニット130bは、1つの発振器制御ループだけを含むようにインプリメントされる。一例においては、RF信号S10aは、CDMA基地局から受信され、RF信号S10bは、GPS SVから受信される。
【0139】
ここにおいて指摘されるように、周波数基準S30は、レシーバ10についての時間基準としての役割を果たすこともできる。例えばデジタル信号S20を生成するためにダウンコンバータ120によって使用されるサンプリングクロックは、周波数基準S30から導き出されることができる。周波数基準S30の周波数における誤差は、したがって複素信号S20のタイミングの誤差を引き起こす可能性もある。複素信号S20中の周波数誤差は、それに応じて複素信号S20の値を回転させることにより低減させることができ、あるいは補正されることができるが、そのような回転は、タイミング中における誤差を補正するためには有効ではない。実施形態は、第1のRF信号に基づいたデジタル信号中におけるタイミング誤差を低減させるあるいは補正するために、かつ/または異なるキャリア周波数を有する第2のRF信号に基づいたデジタル信号中におけるタイミング誤差を低減させるあるいは補正するために、第1のキャリア周波数を有する第1のRF信号から導き出されるタイミング情報が適用される配置を、含む。
【0140】
いくつかの配置は、タイミング誤差を補正するためにデジタル信号のリサンプリングを実行するように構成される。図25aは、回転された信号S80に基づいたリサンプリングされた信号S85を計算するように構成される時間制御ユニット510を含む、フィンガ222bのインプリメンテーション224bのブロック図を示している。図25bは、そのような時間制御ユニット510を含むフィンガ220cのインプリメンテーション224cのブロック図を示している。図25cは、時間制御ユニット510を含むフィンガ222aのインプリメンテーション224aのブロック図を示している。
【0141】
時間制御ユニット510は、遅延ロックループ(delay-locked loop)(DLL)を含むようにインプリメントされることができる。図26aは、時間制御ユニット510のインプリメンテーション512のブロック図を示している。リサンプラ520は、デジタル信号(例えば、回転された信号S80または複素信号S20)を受け取り、リサンプリングされた信号S85を生成するためにフィルタがかけられた誤差信号S520に従ってその信号をリサンプリングする。デコーダ240Eおよび240Lは、リサンプリングされた信号の早期バージョン(early version)および最近バージョン(late version)をそれぞれ復号化し、復号化されたシンボルS90E、S90Lをそれぞれのエネルギー計算器530E、530Lに対して出力する。各エネルギー計算器530は、例えばそれぞれの復号化されたシンボルストリームのエネルギーの測定値を複素入力値の2乗された大きさとして計算するように構成される。ループフィルタ540は、エネルギー測定値の間の差として誤差信号S510を受け取り、フィルタがかけられた誤差信号S520を計算する。ループフィルタ540は、一次または他の低次(first- or other low-order)のIIRフィルタまたはFIRフィルタとしてインプリメントされることができる。例えば、ループフィルタ540は、ここにおいて説明されるように第1の利得蓄積ステージ150の一例に従ってインプリメントされることができる。
【0142】
リサンプラ520は、オーバーサンプリングされた入力ストリームから選択するように構成されることができる。例えばm倍のチップレートのレートでオーバーサンプリングされる入力ストリームでは、リサンプラ520は、フィルタがかけられた誤差信号S520に従って修正されるように以前に選択されたサンプルの相対的ロケーションに基づいた各チップ期間中にm個のサンプルのうちの1つを選択し出力するように構成されることができる。リサンプラ520は、選択されたサンプルの近傍におけるサンプルの平均値または重み付けされた平均値を計算するようにインプリメントされることもできる。代わりに、リサンプラ520は、フィルタがかけられた誤差信号S520に従って2つ以上のサンプルから補間された値(interpolated value)を計算するように構成されることもできる。そのような補間は、チップレートでサンプリングされるストリーム上で、あるいはオーバーサンプリングされたストリーム上で実行されることができる。
【0143】
デコーダ240Eおよび240Lは、+/−1/2チップや+/−1/4チップ(+/- 1/2chip or +/- +/- 1/4chip)のような、チップ期間のあるフラクション(some fraction)のオフセットに従ってリサンプリングされた信号S85の、早められた復号化および遅延された復号化(advanced and delayed decoding)をそれぞれ実行するように構成される。1つのインプリメンテーションにおいては、リサンプラ520は、リサンプリングされた信号S85の早期バージョンおよび最近バージョンをデコーダ240E、Lに対して出力するように構成される。この場合には、デコーダは、オフセット信号S210に従ってそれぞれのバージョンを復号化するように構成されることができる。別のインプリメンテーションにおいては、デコーダ240Eおよび240Lは、オフセット信号S210のそれぞれの早期バージョンおよび最近バージョンを、リサンプリングされた信号S85に対して適用するように構成される。
【0144】
周波数制御ユニット130のインプリメンテーションは、タイミング誤差を低減させるあるいは補正するために、回転信号S60を適用するように構成されることもできる。図26bは、時間制御ユニット510のインプリメンテーション514のブロック図を示している。この例においては、リサンプラ520は、フィルタがかけられた誤差信号S520と回転信号S60との重み付けされた和に従ってデジタル信号をリサンプリングする。1つのコンフィギュレーションにおいては、回転信号S60Iなど、特定の受信インスタンスの周波数誤差に基づいた回転信号S60が使用される。別のコンフィギュレーションにおいては、回転信号S60Cなど、結合された周波数誤差に基づいた回転信号S60が使用される。
【0145】
図27aは、周波数制御ユニット130のインプリメンテーション130tのブロック図を示している。周波数制御ユニット130tは、上記されるようにフィンガ224aまたは224bの組に結合されたサーチャ210を含んでいるベースバンド処理装置200のインプリメンテーション200tを含んでいる。(周波数制御ユニット130tの別のインプリメンテーションは、1組のフィンガ224cを含むように構成されるベースバンド処理装置200tに適合される。)ベースバンド処理装置200tは、フィンガの時間制御ユニット510からの1つまたは複数の誤差信号(例えば、フィルタがかけられた誤差信号S520)に基づいた位相補正信号(phase correction signal)S530を出力するように構成される。例えば、位相補正信号S530は、最強の受信インスタンスに対応するフィルタがかけられた誤差信号S520に基づいていてもよく、あるいはアクティブな(例えば、ロックされた)フィンガの時間制御ユニットからの誤差信号の平均値、または重み付けされた平均値であってもよい。
【0146】
ベースバンド処理装置200tのフィンガは、例えば2003年10月2日に公開された「無線通信システムのための周波数タイミング制御ループ(FREQUENCY-TIMING CONTROL LOOP FOR WIRELESS COMMUNICATION SYSTEMS)」という名称のシンデューシャヤナ(Sindhushayana)の米国公開特許出願第2003/0186666号中に説明される原理に従って構成される時間制御ユニット510の他のインプリメンテーションを含むことができる。図27bは、位相補正信号S530に基づいた回転信号S60を計算するように構成される第1の利得蓄積ステージ150tの1つのインプリメンテーションのブロック図を示している。周波数制御ユニット130のさらなるインプリメンテーションにおいては、第1の利得蓄積ステージに対して位相補正信号を適用するこれらの原理は、時間制御ユニット510を伴うフィンガを有するベースバンド処理装置300のインプリメンテーションと共に使用される。
【0147】
他の実施形態は、RF信号から導き出される情報に従ってサンプリングプロセスのタイミングを調整するように構成される。図28は、周波数制御ユニット130のインプリメンテーションP10を含むレシーバのブロック図を示している。周波数制御ユニットP10は、ここにおいて説明されるように周波数制御ユニット130のインプリメンテーションのうちの任意のものに従って構成されることができ、タイミング調整信号S550をクロックシンセサイザS550に対して出力するように構成される。いくつかのコンフィギュレーションにおいては、タイミング調整信号S550は、周波数補正信号(例えば、発振器制御信号S70)であり、あるいはそのような信号から導き出される。他のコンフィギュレーションにおいては、タイミング調整信号S550は、時間補正信号(例えば、位相補正信号S530)に基づいており、あるいはそのような信号から導き出される。
【0148】
発振器O10は、周波数基準S30のインプリメンテーションS34を出力するように構成される。発振器O10は、可変周波数発振器190として、あるいは代わりにXOやTCXOなど、固定された周波数発振器としてインプリメントされることもできる。クロックシンセサイザ550は、タイミング調整信号S550および周波数基準S34に基づいたサンプリングクロック信号CLKを生成するように構成される。例えば、クロックシンセサイザ550は、周波数基準S34からクロック信号を導き出し、タイミング調整信号S550に従ってそのクロック信号の周期を拡大または縮小するように構成されることができる。クロックシンセサイザ550がPLLとしてインプリメントされる場合については、タイミング調整信号S550は、位相補正としてループ中に加えられることができる。クロックシンセサイザ550が、(例えば、フィリポビック(Filipovic)等に対する「補償されないクリスタル発振器を有する無線デバイス(Wireless Device with a Non-Compensated Crystal Oscillator)」という名称の米国特許出願第11/269,360号中に説明されているような)動的なM/NカウンタまたはM/N:Dカウンタとしてインプリメントされる場合については、タイミング調整信号S550は、カウンタについてのMおよびNの値を計算するために使用されることができる。クロックシンセサイザ550はまた、サンプリングクロック信号CLKをダウンコンバータ120に対して(例えば、ダウンコンバータ120の1つまたは複数のADCまたはリサンプラに対して)供給するように構成される。クロックシンセサイザ550は、1つまたは複数のPLLまたは他のクロック生成回路、例えば、動的なM/NカウンタやM/N:Dカウンタなど、としてインプリメントされることができる。
【0149】
図29は、1つのレシーバチェーンから別のものへとタイミング調整情報を転送するように構成されるレシーバの一例を示している。この例においては、クロックシンセサイザ550は、クロック信号CLKをダウンコンバータ120bに対して(例えば、ダウンコンバータ120bの1つまたは複数のADCまたはリサンプラに対して)供給する。周波数制御ユニットP10によって計算されるタイミング調整信号S550は、第1のキャリア周波数を有するRF信号S10aに基づいている。クロック信号CLKに従って、ダウンコンバータ120bは、第1のキャリア周波数とは異なるキャリア周波数を有するRF信号S10bに基づいた複素信号S20bを生成するように構成される。典型的なアプリケーションにおいては、RF信号S10aおよびS10bのうちの一方は、CDMA基地局から受信され、RF信号S10aおよびS10bのうちの他方は、GPS SVから受信される。
【0150】
図29に示されるようなレシーバの別のインプリメンテーションは、ダウンコンバータ120bの代わりに、またはダウンコンバータ120bに追加して、複素信号S20bに基づいて、周波数基準S34およびクロック信号CLKに従ってRF信号を生成するように構成されるアップコンバータを含むトランシーバである。
【0151】
以上で指摘されるように、ここにおいて説明される発明の原理は、発振器が自走している構成に対して適用されることができる。図30は、周波数基準S30のインプリメンテーションS36と周波数制御ユニット130のインプリメンテーションP20とを生成するように構成される固定周波数発振器O20(XOやTCXOなど)を含む一実施形態によるレシーバのブロック図を示している。周波数制御ユニットP20は、ここにおいて説明されるように周波数制御ユニット130のインプリメンテーションのうちの任意のものに従って構成されることができ、周波数制御信号S700を出力するように構成される。第1のキャリア周波数を有するRF信号S10aに基づいて、周波数制御信号S700は、発振器O20の周波数誤差に関する。
【0152】
周波数制御ユニットP20は、長期の平均周波数誤差に基づいた周波数補正を転送するように構成されることができる。例えば、周波数制御ユニットP20は、周波数基準S36の周波数に対する温度の影響に起因した周波数補正に関連した情報を転送し、ドップラー効果に起因した、RF信号S10a中における周波数誤差にフィルタをかけて取り除くように構成されることができる。
【0153】
ベースバンド処理装置P30は、周波数制御信号S700に従ってRF信号S10bに基づいたベースバンドデジタル信号S600を生成するように構成される。ベースバンド処理装置P30は、ここにおいて説明されるようなベースバンド処理装置200または300のインプリメンテーションのうちの任意のものに従って構成されることができる。例えば、ベースバンド処理装置P30は、周波数制御信号S700に従って複素信号S20bのサンプルを回転させるように構成されることができる。ベースバンドデジタル信号S600は、ここにおいて説明されるような復号化されたデータシンボルS250のようなデータシンボルのストリームを含むことができる。一例においては、RF信号S10bは、CDMAトランスミッタから受信される。別の例においては、RF信号S10bは、GPS SVから受信される。
【0154】
図31は、ここにおいて説明されるような第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーションの出力信号が、周波数制御信号S700としてベースバンド処理装置P30に方向づけられるレシーバの1つのインプリメンテーションのブロック図を示している。ここにおいて説明されるような他のインプリメンテーションはまた、1つのレシーバチェーンの周波数制御ユニットから他のレシーバチェーンのベースバンド処理装置へと時間補正信号(例えば、位相補正信号S500)を転送するために使用されることもできる。
【0155】
図31に示されるようなレシーバの別のインプリメンテーションは、ダウンコンバータ120bの代わりに、またはダウンコンバータ120bに追加して、複素信号S20bに基づいて、周波数基準S36に従ってRF信号を生成するように構成されるアップコンバータを含むトランシーバである。この例においては、ベースバンド処理装置は、ベースバンド信号S600に基づいて(例えば拡散符号を適用することにより)、また周波数制御信号S700に従って(例えば、回転を適用することにより)複素信号S20bを生成するように構成される。自走する発振器を有するレシーバまたはトランシーバは、ここにおいて説明されるようにアップコンバータまたはダウンコンバータに対してLO信号を供給する周波数シンセサイザに対して周波数制御信号S700(または周波数制御信号S700に基づいた信号)を適用するように構成されることもできる。周波数シンセサイザが、例えばPLLを含む場合には、周波数制御信号S700またはそれに基づいた信号は、位相補正としてループ中に加えられることができる。
【0156】
説明された実施形態の上記の提示は、どのような当業者も本発明を作りまたは使用することができるようにするために提供される。これらの実施形態に対する様々な修正が可能であり、ここにおいて説明される包括的な原理は、同様に他の実施形態に対しても適用されることができる。例えば図32aおよび32bは、実施形態による、それぞれ方法M100およびM200のフローチャートを示している。そのような方法のさらなるバージョンは、追加の方法と同様に、例えば構造的な実施形態のオペレーションの説明によって、ここに明確に開示される、ということに注意が必要である。そのような方法はまた、ロジック要素(例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または他の有限状態機械)のアレイを含む機械(machine)によって読取り可能かつ/または実行可能な1つまたは複数の命令セットとして実施されることもできる。
【0157】
方法M100において、タスクT110は、第1のRF信号(例えば、複素信号S20)に基づいた信号中における周波数誤差(例えば、総合誤差S50)を決定する。タスクT120は、周波数誤差に基づいた第1および第2の補正信号(例えば、回転信号S60および発振器制御信号S70)を得る。タスクT130は、第1の補正信号に従って信号を処理する(例えば、回転させる)。タスクT140は、第2の補正信号に従って第2のRF信号を送信し、あるいは受信する。さらなる実施形態は、第2の補正信号に基づいた1つまたは複数の局部発振器信号を生成することを含んでいる。
【0158】
方法M200においては、タスクT210は、サンプルのストリーム(例えば、複素信号S20)を受信する。タスクT220は、サンプルのストリームと回転信号の第1の状態に基づいた複数の周波数誤差を得る。タスクT230は、総合誤差を(例えば、複数の周波数誤差のうちの複数に基づいて)得る。タスクT240は、回転信号の第2の状態を(例えば、総合誤差に基づいて)計算する。さらなる実施形態は、サンプルのストリームに基づいた発振器制御信号を生成することを含んでいる。
【0159】
加算、乗算、および/またはシフトなどのオペレーションを含む要素(例えば、結合器140、ローテータ230、誤差計算器250)においては、そのようなオペレーションは、固定されたゲートおよび信号経路、他の要素と共用されるゲートまたは信号経路、および/またはマイクロプロセッサやデジタル信号処理プロセッサ(その命令が他の要素と共用されるルーチンを含むことができる)などのロジック要素のアレイによって実行可能な命令を使用してインプリメントされることができる。ここにおいて説明されるような構成はまた、指定されたオペレーションを実行するルーチンまたは命令セットとしてインプリメントされることもできる、ということが明確に意図されている。
【0160】
ローテータ230、デコーダ240、誤差計算器250などの要素の複数のインスタンスを含む一実施形態においては、ここにおいて説明されるような要素の異なるインプリメンテーションが、インスタンスごとに使用されることができる。例えば、一実施形態が、回転角度の異なる分解能を有するローテータ、または異なる積分期間(コヒーレントであっても非コヒーレントであってもよい)を有するデコーダなどを含むことが望ましいこともある。要素の単一のハードウェアおよび/またはソフトウェアのインプリメンテーションは、例えば異なる時刻に要素の複数のインスタンスをサポートすることもできる。例えば、結合器のインプリメンテーションは、1期間中には結合器140として、別の期間中には結合器340として使用されることができる。
【0161】
添付された図面においては、要素およびモジュールの境界は、例および便宜のためだけに示されており、どのような物理境界も強制するようには意図されていない、ということに注意すべきである。レシーバ10の要素は、1つのチップ中において、または複数のチップにまたがってインプリメントされることができる。同様に、周波数制御ユニット130の要素は、1チップ中において、または複数のチップにまたがってインプリメントされることができる。インプリメンテーションが、複数のチップの一部分を含んでいる場合には、1つまたは複数のチップは1つまたは複数の他のオペレーション(異なる受信経路および/または送信経路についての制御、処理、局部発振器生成などのオペレーション)をサポートすることもできる。
【0162】
受信信号中におけるドップラー誤差は、キャリアドップラー誤差(carrier Doppler errors)と符号ドップラー誤差(code Doppler errors)の両方をもたらす可能性がある。正常な(successful)信号の獲得、トラッキング、復調、および/または生成のために、キャリアドップラーと符号ドップラーの両方を追跡することが望ましいかもしれない。ここに説明されるように、実施形態は、キャリアドップラー誤差のような周波数誤差を捜し出す(track out)ために1以上の回転を適用するように、また、時間および/または周波数における残りの誤差を捜し出すために(発振器制御信号S70あるいは周波数制御信号S700のような)別の制御信号を生成するように、構成されることができる。これらの補正を生成する第1のレシーバチェーンは、その受信信号上の任意の残りの符号ドップラー(residual code Doppler)を取り扱う1つまたは複数の時間トラッキングループ(例えば1つまたは複数の遅延ロックループなど)を含むこともでき、かつ/または、時間トラッキングのために1つまたは複数の回転信号を適応することができる。第2のレシーバチェーンは、それ自体のドップラー補正を含むことができるが、第1のレシーバチェーンによって適用される発振器補正から(例えば、発振器制御信号S70または周波数制御信号S700を経由して)もなお更に恩恵を受けることができる。
【0163】
ここにおいて説明されるように、CDMA信号を処理するように構成される周波数制御ユニット130のインプリメンテーションは、受信信号中における誤差について補正するように構成される1つまたは複数のローテータまたは時間制御ユニット(例えば、遅延ロックループなどの符号トラッキングループ)を含むことができる。GPS SVから受信される信号は、それ自体の雑音源を有し、GPS受信のためのレシーバチェーンは、1つまたは複数のローテータまたは時間制御ユニットを有する周波数制御ユニット130のインプリメンテーションを含むこともできる。いくつかの場合において、GPSドップラー誤差情報は、おそらくCDMAリンク上で、位置決定エンティティ(position determination entity)(PDE)などの外部ソースから受信されることができ、周波数制御ユニット130のGPSインプリメンテーションは、この情報に従ってドップラー誤差について補正するように構成されることができる。
【0164】
ここにおいて指摘されるように、周波数基準S30は、レシーバについての時間基準としての役割を果たすこともできる。図33は、複素信号S20に基づいたデジタルベースバンド信号SD10を生成するように構成されるデジタル信号処理(DSP)ユニットD10を含むレシーバ20のブロック図を示している。DSPユニットD10は、DSPユニットD10によって実行可能な1つまたは複数の命令セットとしてインプリメントされる、ここにおいて説明されるような周波数制御ユニット130のインプリメンテーションD130のインスタンスを含んでいる。DSPユニットD10は、周波数制御ユニット130のインスタンスによって出力されるようなシンボルのストリーム(例えば、図8bに関して説明されるような復号化データシンボルのストリーム)に対して1つまたは複数のオペレーション(復号化、デインターリービング、および/または伸張など)を実行することによりデジタルベースバンド信号SD10を生成するように構成されることができる。
【0165】
この例においては、DSPユニットD10は、可変周波数発振器190から周波数基準S30を受信するように構成される。例えば、周波数基準S30、または周波数基準S30に基づいたクロック信号は、DSPユニットD10のクロック入力に加えられる(applied)ことができる。別の例においては、DSPユニットD10は、1つまたは複数の基準符号シーケンスを生成しまたは取り出すために、周波数基準S30(または周波数基準S30に基づいたクロック信号)を適用するように、また、マルチパスインスタンスを獲得しまたは追跡するために、かつ/または複素信号S20によって搬送されるシンボルを逆拡散し(despread)または逆チャネル化する(dechannelize)ために、そのような1つまたは複数のシーケンスを使用するように、構成される。
【0166】
図34は、レシーバ20のインプリメンテーション22のブロック図を示しており、それはまた、複素信号SD20bに基づいたデジタルベースバンド信号SD10bを生成するように構成されるDSPユニットD10bを含む。例えば、DSPユニットD10bは、上記のようにレーキレシーバ(RAKE receiver)のオペレーションを実行するように構成されることができる。DSPユニットD10bは、逆拡散シンボルおよび/または逆チャネル化シンボルのストリームに対して1つまたは複数のオペレーション(復号化、デインターリービング、および/または伸張など)を実行することによりデジタルベースバンド信号SD10bを生成するように構成されることもできる。
【0167】
この例においては、DSPユニットD10bは、可変周波数発振器190から周波数基準S30を受信するように構成される。例えば、周波数基準S30、または周波数基準S30に基づいたクロック信号は、DSPユニットD10bのクロック入力に対して加えられることができる。別の例においては、DSPユニットD10bは、1つまたは複数の基準符号シーケンスを生成しまたは取り出すために、周波数基準S30(または周波数基準S30に基づいたクロック信号)を適用し、また、マルチパスインスタンスを獲得しまたは追跡するために、かつ/または複素信号S20bによって搬送されるシンボルを逆拡散しまたは逆チャネル化するために、そのような1つまたは複数のシーケンスを使用するように、構成される。
【0168】
図35は、レシーバ24のブロック図を示しており、その中では、DSPユニットD20上で実行されるように、そして複素信号S20を受け取るように構成される1つまたは複数の命令セットとしてインプリメントされる、符号キャリアトラッキングブロック(code and carrier tracking block)CCT1に対し、固定周波数発振器O20が周波数基準S36を供給する。符号キャリアトラッキングブロックCCT1は、ここにおいて説明されるような1つまたは複数の回転ループ、および/または他のキャリアトラッキングロジックを含むことができる。符号キャリアトラッキングブロックCCT1は、ここにおいて説明されるような1つまたは複数の遅延ロックループ、および/または他の符号トラッキングロジックも含むことができる。一例においては、ブロックCCT1は、周波数制御ユニット130のインスタンスとしてインプリメントされる。DSPユニットD20は、複素信号S20に基づいた逆拡散シンボルおよび/または逆チャネル化シンボルのストリームに対して1つまたは複数のオペレーション(復号化、デインターリービング、および/または伸張など)を実行することにより、デジタルベースバンド信号SD20を生成するように構成されることができる。いくつかのインプリメンテーションにおいては、符号キャリアトラッキングブロックCCT1は、逆拡散シンボルおよび/または逆チャネル化シンボルのストリームを出力するように構成される。
【0169】
符号キャリアトラッキングブロックCCT1はまた、固定周波数発振器O20から周波数基準S36を受け取るように構成される。例えば、符号キャリアトラッキングブロックCCT1は、1つまたは複数の基準符号シーケンスを生成しまたは取り出すために、周波数基準S36(または周波数基準S36に基づいたクロック信号)を適用するように、また、マルチパスインスタンスを獲得しまたは追跡するために、かつ/または複素信号S20によって搬送されるシンボルを逆拡散しまたは逆チャネル化するために、そのような1つまたは複数のシーケンスを使用するように、構成されることができる。
【0170】
図36は、レシーバ24のインプリメンテーション26のブロック図を示しており、それは、第2のDSPユニットD20b上で実行されるように構成され、また、RF信号S10aとは異なるキャリア周波数を有する第2のRF信号S10bに基づいた第2の複素信号S20bを受け取るように構成される、1つまたは複数の命令セットとしてインプリメントされる符号キャリアトラッキングブロックCCT2を含む。
【0171】
符号キャリアトラッキングブロックCCT2は、固定周波数発振器O20から周波数基準S36を受け取るように構成される。例えば、符号キャリアトラッキングブロックCCT2は、1つまたは複数の基準符号シーケンスを生成しまたは取り出すために、周波数基準S36(または周波数基準S36に基づいたクロック信号)を適用するように、そして、マルチパスインスタンスを獲得しまたは追跡するために、かつ/または複素信号S20bによって搬送されるシンボルを逆拡散しまたは逆チャネル化するために、そのような1つまたは複数のシーケンスを使用するように、構成されることができる。
【0172】
レシーバ26は、周波数制御信号S710を符号キャリアトラッキングブロックCCT2に対して出力するように構成される符号キャリアトラッキングブロックCCT1のインプリメンテーションCCT1aを含んでいる。ブロックCCT1aが、周波数制御ユニット132のインスタンスとしてインプリメントされる一例では、周波数制御信号S710は、ここにおいて説明されるような第2の利得蓄積ステージ160のインプリメンテーションの出力信号としてインプリメントされることができる。
【0173】
符号キャリアブロックCCT2は、周波数制御信号S710に従って複素信号S20bのサンプルを回転させるように構成されることができる。一例においては、符号キャリアブロックCCT2は、ここにおいて説明されるようなベースバンド処理装置P30のインスタンスとしてインプリメントされる。
【0174】
実施形態は、ハードワイヤード回路として、あるいは、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit)の中に製造される回路コンフィギュレーション(circuit configuration)として、一部または全体がインプリメントされることができる。実施形態はまた、不揮発性ストレージの中へロードされるファームウェアプログラム、あるいは、機械読取り可能コード(machine-readable code)としてのデータストレージ媒体(例えば、半導体または磁気のランダムアクセスメモリ(揮発性または不揮発性、一体化され、または着脱可能な)、磁気ディスク媒体、光ディスク媒体、あるいは相変化ディスク媒体など)からまたはそのデータストレージ媒体の中へとロードされるソフトウェアプログラムとして、一部または全体がインプリメントされてもよく、そのようなコードは、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサまたは他のデジタル信号処理装置、有限状態機械(finite state machine)のような、ロジック要素の、1つまたは複数のアレイによって(そのような1つまたは複数のアレイが分離され、一体化され、かつ/または埋め込まれていようとなかろうと)実行可能な命令である。したがって、本発明は、上記に示される実施形態に限定されるようには意図されておらず、むしろ、ここにいずれかの方法で開示された原理および新規な特徴と整合する最も広い範囲が与えられるベきものである。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【図13e】
【図14a】
【図14b】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18a】
【図18b】
【図19a】
【図19b】
【図20】
【図21a】
【図21b】
【図22a】
【図22b】
【図23a】
【図23b】
【図24】
【図25a】
【図25b】
【図25c】
【図26a】
【図26b】
【図27a】
【図27b】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32a】
【図32b】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【公開番号】特開2012−65358(P2012−65358A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−270606(P2011−270606)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【分割の表示】特願2008−511388(P2008−511388)の分割
【原出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−270606(P2011−270606)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【分割の表示】特願2008−511388(P2008−511388)の分割
【原出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]