説明

周波数変調信号の2値データの読取方法、読取装置及び読取プログラム

【課題】総ビット数を間違うことなく読取る2値データの読取方法。
【解決手段】周波数変調された2値信号の読取方法であって、基準時間を求めるステップと、前記基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定するステップと、前記2値信号の各ピーク間時間が、前記設定された各時間の下限及び上限の閾値内に含まれるまで、前記基準時間の倍数を増加させると共に、前記ピーク間時間を逐次加算してブロックを決定するステップと、前記決定されたブロックにおける基準時間の倍数を判定するビットデータ数であることを前提として、各ビットの1または0の判定するステップとを含む2値信号の読取方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気テープや磁気カードの磁気ストライプに周波数変調されて記録された2値データの読取方法、読取装置及び読取プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気テープや磁気カードの磁気ストライプに記録されている周波数変調されて記録されている2値データを読取る場合、データの書込み時または読取り時に、磁気ヘッドの接触が悪いとか磁気テープや磁気カード自身にごみが付着している等の理由で記録されているデータの全体に比べて、一部の出力が弱いまたは無い部分が生じることがある。そして、この出力が弱い又は無い部分における2値データのビットの判定が正常に行えずエラーとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−349013号公報
【特許文献2】特開2005−352549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この対策として、磁気の弱い部分がある場合には、次のビットも合わせて2値データを推定するものが知られている。(特許文献1参照)
しかし、数ビットの不良領域が連続している場合には正確に2値データを読み取ることはできない。
また、別の対策として、途中の磁気の弱い部分は読み飛ばし、あるいはとりあえず「1」と見なすことで2値データを読込み、別の情報を基にデータを補完することも行われていた。(特許文献2参照)
しかし、読み飛ばすビット数が1ビットでも間違うと、その後のデータは全て間違ってしまうことになる。
【0005】
本発明の課題(目的)は、磁気テープや磁気カード等の磁気ストライプに周波数変調されて磁気記録された2値データの読取方法、読取装置及び読取プログラムにおいて、信号(磁気)の弱い部分がある場合等で数ビットの不良領域が連続している場合においても総ビット数を間違えることなく、2値データ判別することが可能な2値データの読取方法、読取装置及び読取プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の2値信号の読取方法は、周波数変調された2値信号の読取方法であって、基準時間を求めるステップと、前記基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定するステップと、前記2値信号の各ピーク間時間が、前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限の閾値内に含まれるまで、前記基準時間の倍数を増加させると共に、前記ピーク間時間を逐次加算してブロックを決定するステップと、前記決定されたブロックにおける基準時間の倍数を判定するビットデータ数であることを前提として、各ビットの1または0の判定するステップとを含むことを特徴とする。
【0007】
上記構成によって、周波数変調された2値信号の「1」若しくは「0」の各ビット値に相当する基準時間の倍数であるブロックを決定し、決定された基準時間の倍数を判定の前提として、各ビットの「1」または「0」の判定するので、信号の弱い部分がある場合等で数ビットの不良領域が連続している場合においても総ビット数を間違うことがなく、2値データ判別することが可能になる。
【0008】
また、高低2種の周波数の組合わせによる周波数変調された2値信号の読取方法であって、前記2値信号を微分した波形をサンプリングしてピーク間時間に基づいた矩形波を取得するステップと、前記矩形波のプリアンブル部から低い周波数のピーク間時間の平均である基準時間を求めるステップと、前記基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定するステップと、前記2値信号の各ピーク間時間が、前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限に含まれるまで、前記ピーク間時間を逐次加算して判断するステップと、逐次加算されたピーク間時間が前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限の閾値内に含まれると判断された基準時間の倍数をブロックとして決定するステップと、前記決定されたブロックにおける基準時間の倍数を判定するビットデータ数であることを前提として、各ビットの1または0の判定するステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
この構成では、2値信号を微分した波形をサンプリングしてピーク間時間に基づいた矩形波を取得し、取得した矩形波のプリアンブル部から低い周波数のピーク間時間の平均として基準時間を求めているので、2値信号の読取りの度に基準時間を決定されるので、信号の弱い部分がある場合等で数ビットの不良領域が連続している場合においても総ビット数を間違うことがなく、2値データ判別することが可能になる。
【0010】
また、前記ピーク間時間に基づいた矩形波を取得するステップでは、ピーク間時間が所定の時間よりも短い場合には、次のピークまでの時間をピーク間時間とすることを特徴とする。
この構成によって、図3の(A)の第1ビット目の及び3ビット目の短い周期のノイズを微分回路における処理で除去することが可能になって、信号の弱い部分がある場合等で数ビットの不良領域が連続している場合においても総ビット数を間違うことがなく、2値データ判別することが可能になる。
【0011】
また、前記基準時間の倍数をブロックとして決定された後は、更に、継続する2値信号に対して、ブロックの決定のステップを繰り返すことを特徴とする。
この構成によって、読取った2値をブロック単位(ブロックは必ずしも同じビット数である必要はない。)に区分して、各ブロックを構成する各ビットの判定をするので、信号の弱い部分がある場合等で数ビットの不良領域が連続している場合においても総ビット数を間違うことがなく、各ブロックごとに2値データ判別することが可能になる。
【0012】
また、前記基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限の閾値の設定は、基準時間の倍数が大きくなるに従って当該閾値幅が小さくなるように設定されることを特徴とする。
この構成によって、基準時間の倍数の少ない程閾値幅が大きくなるので、ブロックの決定に要する時間を短縮することが可能になって、信号の弱い部分がある場合等で数ビットの不良領域が連続している場合においても総ビット数を間違うことがなく、より短時間で2値データ判別することが可能になる。
【0013】
また、前記高低2種の周波数の組合わせによる周波数変調された2値信号は、磁気記録媒体に記録された信号であることを特徴とする。
この構成によって、磁気テープや磁気カード等の磁気ストライプに周波数変調された2値データの判別に特に有効である。
【0014】
上記課題を解決するための本発明の2値信号の読取装置は、基準時間を求める基準時間決定部と、前記基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定するする閾値設定部と、前記2値信号の各ピーク間時間が、前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限の閾値内に含まれるまで、前記ピーク間時間を逐次加算して判断して、逐次加算されたピーク間時間が前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限の閾値内に含まれると判断された基準時間の倍数をブロックに含まれるビット数として決定するブロック決定部と、前記決定されたブロックの基準時間の倍数を、判定するビットデータ数であることを前提として各ビットの1または0の判定するビット判定部と、前記各部をコンピューターによって制御する制御部とを含むことを特徴とする。
【0015】
また、前記2値信号を微分した波形をサンプリングしてピーク間時間に基づいた矩形波を取得する矩形波取得部と、前記矩形波のプリアンブル部から低い周波数のピーク間時間の平均である基準時間を求め基準時間決定部と、前記基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定するする閾値設定部と、前記2値信号の各ピーク間時間が、前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限の閾値内に含まれるまで、前記ピーク間時間を逐次加算して判断して、逐次加算されたピーク間時間が前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限の閾値内に含まれると判断された基準時間の倍数をブロックに含まれるビット数として決定するブロック決定部と、前記決定されたブロックの基準時間の倍数を、判定するビットデータ数の前提として各ビットの1または0の判定するビット判定部と、前記各部をコンピューターによって制御する制御部とを含むことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するための本発明の2値信号の読取プログラムは、基準時間を求める基準時間決定部と、前記基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定するする閾値設定部と、前記2値信号の各ピーク間時間が、前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限の閾値内に含まれるまで、前記ピーク間時間を逐次加算して判断して、逐次加算されたピーク間時間が前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限の閾値内に含まれると判断された基準時間の倍数をブロックに含まれるビット数として決定するブロック決定部と、前記決定されたブロックの基準時間の倍数を、判定するビットデータ数であることを前提として各ビットの1または0の判定するビット判定部と、前記各手段を制御するコンピューターとを備えた2値信号の読取装置において、前記コンピューターによって前記請求項1〜6のいずれか読取方法の各ステップを、実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、磁気テープや磁気カード等の磁気ストライプに周波数変調されて磁気記録された2値データの読取において、磁気の弱い部分がある場合等で数ビットの不良領域が連続している場合でも、連続する読取りデータに対して複数のビットを含むブロックを決定して、決定されたブロックに含まれるビット数を前提にして各ビットの「1」若しくは「0」の判定を行うことによって総ビット数を間違うことが無くなるため、不良領域以降のビット列がずれること無く判定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明の2値信号の読取装置の機能ブロックを示した図である。
【図2】本願発明の高低2種の周波数の組合わせによる周波数変調された2値信号の読取処理の手順を説明するフローチャートである。
【図3】周波数変調(F2F)された2値信号を磁気ヘッドで読み出した波形について、理想的な波形と実際の波形のそれぞれの微分波形とその矩形波とを示す図である。
【図4】各ビットの「1」若しくは「0」の判定の基本的条件を示す図である。
【図5】本発明におけるブロックの検出の手順を示すフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートで処理されたブロックの検出処理で処理された理想的な矩形波波(即ち、5ビットの「01010」)と実際にヘッドで読取った信号を微分して矩形波に整形した波形との関係を示す図である。
【図7】磁気カードに記録されている磁気データのデータ構成の1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の説明に先だって、従来の磁気カードに記録されている磁気データのデータ構成について説明する。
図7は、従来の磁気カードに記録されている磁気データのデータ構成の1例を示す図であって、磁気カード60に記録された磁気データには、前後にプリアンブル61及びポストアンブル62を配置した記録・再生磁気データ63の開始位置にスタートマーク(STX)が付与している。
プリアンブル61及びポストアンブル62は、磁気データの処理の同期をとるためのデータであって、一般に論理値「0」が連続した所定数のデータ列によって構成されている。
また、STX64は、磁気データ63の記録・再生の開始位置を特定するデータであって、論理値「1」及び「0」の所定の組合わせによって構成されている。
磁気カード60は、図示しないカード処理機に矢印A方向に挿入されて磁気データの記録・再生が実行される。
【0020】
本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1を用いて本願発明の実施形態の1例である、高低2種の周波数の組合わせによる周波数変調(F2F)された2値信号の読取装置の概略の説明をする。
図1は本願発明の2値信号の読取装置の機能ブロックを示した図である。
図1において、1は本願発明の1実施形態である2値信号の読取装置であり、当該読取装置1は、以下の機能ブロックで構成されている。
1aはカード等に記録された、高低2種の周波数の組合わせによる周波数変調(F2F)された磁気データを読取る信号読取り部(読取りヘッド)であり、1bは前記磁気ヘッドで読取られた信号を微分する微分回路である。
【0021】
1cは前記微分回路で微分された信号を矩形波に整形する矩形波整形部であり、1fは前記矩形波整形部の出力矩形をサンプリングするサンプリング回路である。
1gは前記矩形波信号のプリアンブル部(ビット0が複数連続する)をサンプリングして、各ビットの「0」に相当する矩形波の立上がり及び立下がり部(変化時点)間の時間(ピーク間時間)の平均を求めて、基準時間(ZeroTyp)を決定する基準時間決定部である。
なお、基準時間決定部1gでは、ビット「1」の判定に使用する1/2基準時間(OneTyp)も決定する。
また、基準時間決定部1gでは、基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定する。
【0022】
1hは本願発明の特有の概念である後述する「複数のビットが含まれるブロック」を決定するブロック決定部であり、1iは前記ブロック決定部で決定されたブロック内の各ビットの値が「1」であるか、若しくは「0」であるかを判定するビット値判定部である。
1dは演算回路(CPU)であって、バス1eを介して接続された上述の各機能ブロックの処理を実行する。
【0023】
図2のフローチャートを用いて本願発明の高低2種の周波数の組合わせによる周波数変調された2値信号の読取処理の手順を説明する。
・先ず、信号読取部(読取りヘッド)1aで読取った2値信号を微分回路1bで微分する。(ステップS21)
・微分回路1bの出力波形をサンプリング回路1fでサンプリングし、矩形波整形部1cでピーク間時間に基づいた矩形波を取得する。(ステップS22)
・次に、基準時間決定部1gで、前記矩形波のプリアンブル部(図7の61)から低い周波数(ビット値「0」に相当)のピーク間時間の平均である基準時間を求める。(ステップS23)
・基準時間決定部1gで、決定した基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定する。(ステップS24)
・ブロック決定部1hで、前記2値信号の各ピーク間時間が、前記設定された各時間の下限及び上限の閾値内に含まれるまで、前記ピーク間時間を逐次加算して判断し、(ステップ25)、逐次加算されたピーク間時間が前記設定された各時間の下限及び上限の閾値内に含まれると判断された基準時間の倍数をブロックとして決定する。(ステップS26)
・ビット値判定部1iで、前記決定されたブロックにおける基準時間の倍数を判定するビットデータ数の前提として、各ビットの「1」または「0」の判定する。(ステップS27)
【0024】
次に、図3を用いて、高低2種の周波数の組合わせによる周波数変調(F2F)された2値信号を磁気ヘッドで読み出した波形について、理想的な波形と磁気の弱いところがある実際の波形について説明する。
図3の(A)における実線(a)の波形が理想的な波形であって、2値データの「0」の場合には図示の如く一点鎖線で示す基準時間毎にピークを示す。
また、2値データの「1」の場合には図示の如く一点鎖線で示す基準時間の中間にピークを示す。
しかし、磁気の弱いところがある実際の破線(b)波形のピークの位置が理想的な場合とはずれてくる。
【0025】
この波形(b)を微分回路を介した出力を図3の(B)に、その微分出力を整形した矩形波を図3(C)に示す。
矩形波(C)の立上がり若しくは立下がり時点(変化時点)が基準時間若しくは基準時間の中間であるか否かを1ビット単位毎に判定して2値データの各ビットが「1」若しくは「0」かを判定するため、図3(c)の如き変化時点がずれた矩形波では正確な2値データの判定をすることができない。
【0026】
なお、図3の(c)では、図3(b)の微分された波形はノイズ等の影響でピークが短い周期で連続しているので、このノイズの影響を除去するために、ピーク間時間が所定の時間よりも短い場合(例えば、基準時間/2よりも極端に短い時間)には、そのピークを無視して、次のピークまでの時間を矩形波の幅と判断して矩形波(c)を形成する。
【0027】
次に、図3示す高低2種の周波数の組合わせによる周波数変調(F2F)された2値信号を磁気ヘッドで読み出した波形についての各ビットの「1」若しくは「0」の判定処理の条件を図4を用いて説明する。
図4は、各ビットの判定の条件を示す図であって、(a)は「0」を示すビットの矩形波であり、(b)は「1」を示すビットの矩形波を示している。
矩形波(a)がビット「0」であるためには、矩形波(a)の立上がり〜立下がりまでの時間(若しくは、立下がり〜立上がりまでの時間)(矩形波幅)(理想的には、基準時間(ZeroTyp)と同じか、基準時間の下限(ZeroMin)と基準時間の上限(ZeroMax)の閾値内(1)であることが必要である。
また、矩形波(b)がビット「1」であるためには、矩形波(b)最初の立上がり〜立下がりまでの時間(矩形波幅)(理想的には、基準時間/2(OneTyp)が基準時間/2と同じか、基準時間/2下限(OneMin)と基準時間/2上限(OneMax)の閾値内(2)であることに加えて、次の立下がり〜立上がりまでの時間(矩形波幅)(理想的には、基準時間/2(OneTyp)と同じか、基準時間/2下限(OneMin)と基準時間/2上限(OneMax)の閾値内(1)(図4では、基準時間の下限(ZeroMin)と基準時間の上限(ZeroMax)と同じ)であることが必要である。
【0028】
この条件で、図3(c)の如き磁気の弱いところがある実際の波形(b)を矩形波に整形した図3の(c)の矩形波波を判定しても各1ビット毎の「1」若しくは「0」の正確な判定をすることができない
【0029】
そこで、本願発明では、図3の(c)の矩形波を数ビットからなるブロックとして扱うことによって、ブロック内の各ビットの「1」若しくは「0」の判定をよりし易くするものである。
【0030】
本発明におけるブロックの検出の手順を図5のフローチャートを用いて説明する。
・先ず、n=1,Block=0を設定(ステップS1)し、BlockにBlock=Block+Time(n)のn=1からブロックの検出の処理を始める。(ステップS2)
・ピーク間時間(矩形波幅)(Time(1))が、ZeroMin(1)より大きくZeroMax(1)より小さいか、即ち基準時間の閾値内(ZeroMin(1)<Block+Time(n)<ZeroMax(1))であるかの判断をする。(ステップS3)
ステップS3の判断がYesの場合は、1ブロックに1ビットデータ(bit数=1)のみが含まれ、このブロックはn周期(n個の矩形波)で構成されていると判断される。(ステップS4)
【0031】
ステップS3の判断がNoの場合は、更にピーク間時間(矩形波幅の合計)(Time(1〜n))が、ZeroMin(2)より大きくZeroMax(2)より小さいか、即ち基準時間の2倍の閾値内(ZeroMin(2)<Block+Time(n)<ZeroMax(2))であるかの判断をする。(ステップS5)
ステップS5の判断がYesの場合は、1ブロックに2ビットデータ(bit数=2)が含まれ、このブロックはn周期(n個の矩形波)で構成されていると判断される。(ステップS6)
【0032】
ステップS5の判断がNoの場合は、更にピーク間時間(矩形波幅の合計)(Time(1〜n))が、ZeroMin(3)より大きくZeroMax(3)より小さいか、即ち基準時間の3倍の閾値内(ZeroMin(3)<Block+Time(n)<ZeroMax(3))であるかの判断をする。(ステップS7)
ステップS7の判断がYesの場合は、このブロックには3ビットデータ(bit数=3)が含まれ、このブロックにはn周期(n個の矩形波)で構成されていると判断される。(ステップS8)
【0033】
ステップS7の判断がNoの場合は、更にピーク間時間(矩形波幅の合計)(Time(1〜n))が、ZeroMin(4)より大きくZeroMax(4)より小さいか、即ち基準時間の4倍の閾値内(ZeroMin(4)<Block+Time(n)<ZeroMax(4))であるかの判断をする。(ステップS9)
ステップS9の判断がYesの場合は、このブロックには4ビットデータ(bit数=4)が含まれ、このブロックにはn周期(n個の矩形波)で構成されていると判断される。(ステップS10)
【0034】
ステップS9の判断がNoの場合は、更にピーク間時間(矩形波幅の合計)(Time(1〜n))が、ZeroMin(5)より大きくZeroMax(5)より小さいか、即ち基準時間の5倍の閾値内(ZeroMin(5)<Block+Time(n)<ZeroMax(5))であるかの判断をする。(ステップS11)
ステップS11の判断がYesの場合は、このブロックには5ビットデータ(bit数=5)が含まれ、このブロックにはn周期(n個の矩形波)で構成されていると判断される。(ステップS12)
【0035】
ステップS11の判断がNoの場合は、更にピーク間時間(矩形波幅の合計)(Time(1〜n))が、ZeroMin(6)より大きくZeroMax(6)より小さいか、即ち基準時間の6倍の閾値内(ZeroMin(6)<Block+Time(n)<ZeroMax(6))であるかの判断をする。(ステップS13)
ステップS13の判断がYesの場合は、このブロックには6ビットデータ(bit数=6)が含まれ、このブロックにはn周期(n個の矩形波)で構成されていると判断される。(ステップS14)
【0036】
ステップS13の判断がNoの場合は、更にピーク間時間(矩形波幅の合計)(Time(1〜n))が、Zer oMin(7)より大きくZeroMax(7)より小さいか、即ち基準時間の7倍の閾値内(ZeroMin(7)<Block+Time(n)<ZeroMax(7))であるかの判断をする。(ステップS15)
ステップS15の判断がYesの場合は、このブロックには7ビットデータ(bit数=7)が含まれ、このブロックにはn周期(n個の矩形波)で構成されていると判断される。(ステップS16)
【0037】
ステップS4,S6,S8,S10,S12,S14又はS16の判断がYesの場合は、各ブロック内のビットデータが「1」若しくは「0」であるかの判定処理を実行する。(ステップS18)
各ブロック内のビットデータが「1」であるか「0」であるかの判定は、そのブロック内の存在するビット数がステップS4,S6,S8,S10,S12,S14又はS16で判定されたビット数であることを前提として判断することが本願発明の特徴である。
各ブロック内のビットデータが「1」若しくは「0」であるかの判定の手法には種々の判定手法が適用できる。
例えば、図4に記載の如き判断手法や、特許文献1又は特許文献2に記載の如き、本願出願前に公知の判断手法の適用が可能である。
【0038】
ステップS4,S6,S8,S10,S12,S14又はS16の判断がYesで、ステップS18で各ブロック内のビットデータが「1」若しくは「0」であるかの判定処理を実行した後は、Startに戻って次のブロックを見つける処理を継続する。(ステップS19)
【0039】
ステップS15の判断がNoの場合は、ブロック検出を中止する。(ステップS17)
なお、図5におけるブロックの検出処理では、1ブロックに7ビットデータが含まれるまでの処理が行われるように設定されているが、必ずしも7ビットデータである必要はなく、7ビット以上でも7ビット以下でも良いことは明らかである。
【0040】
また、図5におけるブロックの検出処理では、各ピーク間時間(矩形波幅)(Time(n))の判断の下限ZeroMin(1〜n)及び上限ZeroMax(1〜n)における「閾値」について特に数値は限定はしていないが、「閾値」は、全て同じ数値(例えば、基準時間(ZeroTyp)の2%)でも良い。
また、例えば、n=1では9%,n=2,3,4では5%,n=5,6では3%及びn=7では2%と、nが大きくなるのにしたがって、閾値を順次小さくなるように設定しても良い。
【0041】
次に図5のフローチャートでの処理手順の処理結果の1例を図6を用いて説明する。
図6は図5のフローチャートにおけるブロックの検出処理で、「閾値」を全て同じ数値とし、理想的な矩形波は、(即ち、5ビットの「01010」の(a)の波形とし、実際に読取りヘッドで読取った信号を微分して矩形波に整形した波形を(b)とする。
【0042】
図5のフローチャートにおけるステップS3では、最初の矩形波Time(1)では、Time(1)は基準時間(ZeroTyp)よりも小さく、且つその閾値の範囲にも含まれないので、ステップS3の判断はNoになる。
【0043】
次に、Time(1)にTime(2)を加えた時間(Time(1)+(Time(2))は基準時間(ZeroTyp)の上限Max(1)より大きく、2倍の下限Min(2)より小さいので、更にTime(3)及びTime(4)を加えて、基準時間の2倍に対するステップS5の判断をすると、ステップS5の判断はNoになる。
【0044】
次に、Time(1)にTime(2),Time(3),Time(4),Time (5)を加えた時間(Time(1)+Time(2)+Time(3)+Time(4)+Time (5))は基準時間の2倍の上限Max(2)よりは大きいが、3倍の下限Min(3)よりも小さいので、更にTime(6)を加えて、基準時間の3倍に対するステップS7の判断をすると、ステップS7の判断はNoになる。
【0045】
次に、Time(1)にTime(2),Time(3),Time(4),Time (5),Time(6)を加えた時間(Time(1)+Time(2)+Time(3)+Time(4)+Time (5)+time(6))は基準時間の3倍の上限Max(3)よりも大きいので、更にTime(7),Time (8)を加えて、基準時間の4倍に対するステップS9の判断をすると、ステップS9の判断はNoになる。
【0046】
次に、Time(1)にTime(2),Time(3),Time(4),Time (5),Time(7),に更にTime(8)を加えた時間(Time(1)+Time(2)+Time(3)+Time(4)+Time (5)+time(6)+Time(7)+Time(8))は基準時間の4倍の下限Min(4)よりも小さいので、更にTime(9)を加えて、基準時間の5倍に対するステップS10の判断をすると、ステップS10の判断はYesになり、この状態で本発明におけるブロックが決定される。
【0047】
決定されたこのブロックには、5ビットデータが含まれるが、本来この5ビットデータは、「01010」の(a)の波形であり理想的には7個の矩形波(周期)で構成されるはずであるが、実際には図6に示す如く、5ビットデータが9個の矩形波(周期)で構成されている。
【0048】
図6で決定されたブロックに基づいて、各ビットデータが「1」若しくは「0」であるかを判定するに際して、図6の矩形波では、単に個々の矩形波の幅(長さ)で判断する手法では、「1」若しくは「0」であるかの判定は難しい。
【0049】
そこで、本願発明では、ブロックとして決定された9個の矩形波(周期)で5ビットデータが形成されているという前提を導入することによって、ブロック内を「1」若しくは「0」の5個のビットデータとして判定することによって、個々の矩形波では「1」若しくは「0」であるかの判定が難しいという問題を解決することが可能になる。
【0050】
ブロックの決定後の「1」若しくは「0」であるかの判定には、図4に記載の如き単純な判断手法や、特許文献1〜2に記載の如き、本願出願前に公知の判断手法の適用が可能である。
【0051】
次に本発明おいて、構成する総ビット数を間違いなくブロックの検出を実行した後に、各ビットの1又は0の判定をする1例を以下に示す。
【0052】
この例では、1文字を5ビットで現した例を以下に示します。
正解ビット列 11001 10101 00111
正解文字 9 5 7
【0053】
ビット数の間違いがあった場合(最初の5ビットを6ビットと判断した場合には、正解では15ビットで3文字であるが、最初のビット数を6ビットとして間違うと、その後のビット数の判定が正解でも以下の如く全ての文字の判断が正しくなくなる。)
【0054】
ビット数間違い 11100 11010 10011 1
文字(誤読) C A 3
【0055】
しかし、本発明では、ビット数の間違いは存在しないので、例えば、最初のグループの2番目及び3番目のビットの1若しくは0の解釈が間違っていても、1文字を5ビットで表現しているので、先頭から5ビットずつ区切って文字を決定するので以下の如くなる。
【0056】
本願でビット解釈ミスの時 10101 10101 00111
本願による文字 5 5 7
【0057】
即ち、最初のグループにおける文字の判断が本来は「9」であるのに対して、「5」となるが、その後の文字の判断は「5」「7」となって、影響が後の文字判断に及ばない。
【0058】
上述の如く、2値データの読取において、磁気の弱い部分がある場合等で数ビットの不良領域が連続している場合の判定でビット数を1回でも間違った場合には、その後のビット判定が正しくとも、1文字目に1ビット余計にある(又は少ない)と解釈すると、以降のビット数の判定が正しくと、1ビットずれるので、全て違う文字となる。
【0059】
これに対して、本願によると、もしブロック内での1若しくは0の判定に失敗しても、ブロックを構成するビット数の判定には誤りがないので、それ以降の文字に影響を与えない効果が得られる。(2ビット解釈を間違えてもそれ以降の文字に影響を与えない=ビット数を間違わない為)
ビットの判定誤りに対しては、別途LRCなどの誤り訂正技術も利用すると、より正解に近いデータを得ることが出来る。
【符号の説明】
【0060】
1:2値信号読取装置,1a:信号読取り部(読取りヘッド),1b:微分回路,1c:矩形波整形部,1d:制御部(CPU),1e:バス,1f:サンプリング回路,1g:基準時間決定部(閾値設定部),1h:ブロック決定部,1i:ビット値判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数変調された2値信号の読取方法であって、
基準時間を求めるステップと、
前記基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定するステップと、
前記2値信号の各ピーク間時間が、前記設定された各時間の下限及び上限の閾値内に含まれるまで、前記基準時間の倍数を増加させると共に、前記ピーク間時間を逐次加算してブロックを決定するステップと、
前記決定されたブロックにおける基準時間の倍数を判定するビットデータ数であることを前提として、各ビットの1または0の判定するステップと、
を含むことを特徴とする2値信号の読取方法。
【請求項2】
高低2種の周波数の組合わせによる周波数変調された2値信号の読取方法であって、
前記2値信号を微分した波形をサンプリングしてピーク間時間に基づいた矩形波を取得するステップと、
前記矩形波のプリアンブル部から低い周波数のピーク間時間の平均である基準時間を求めるステップと、
前記基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定するステップと、
前記2値信号の各ピーク間時間が、前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限に含まれるまで、前記ピーク間時間を逐次加算して判断するステップと、
逐次加算されたピーク間時間が前記設定された各時間の下限及び上限の閾値内に含まれると判断された基準時間の倍数をブロックとして決定するステップと、
前記決定されたブロックにおける基準時間の倍数を判定するビットデータ数であることを前提として、各ビットの1または0の判定するステップと、
を含むことを特徴とする2値信号の読取方法。
【請求項3】
前記ピーク間時間に基づいた矩形波を取得するステップでは、
ピーク間時間が所定の時間よりも短い場合には、次のピークまでの時間をピーク間時間とする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の2値信号の読取方法。
【請求項4】
前記基準時間の倍数をブロックとして決定された後は、更に、継続する2値信号に対して、ブロックの決定のステップを繰り返す、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の2値信号の読取方法。
【請求項5】
前記基準時間の1倍〜n倍における各時間の下限及び上限の閾値の設定は、基準時間の倍数が大きくなるに従って当該閾値幅が小さくなるように設定される、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の2値信号の読取方法。
【請求項6】
前記高低2種の周波数の組合わせによる周波数変調された2値信号は、磁気記録媒体に記録された信号である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の2値信号の読取方法。
【請求項7】
基準時間を求める基準時間決定部と、
前記基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定するする閾値設定部と、
前記2値信号の各ピーク間時間が、前記設定された各時間の下限及び上限の閾値内に含まれるまで、前記ピーク間時間を逐次加算して判断して、逐次加算されたピーク間時間が前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限の閾値内に含まれると判断された基準時間の倍数をブロックに含まれるビット数として決定するブロック決定部と、
前記決定されたブロックの基準時間の倍数を、判定するビットデータ数であることを前提として各ビットの1または0の判定するビット判定部と、
前記各部をコンピューターによって制御する制御部と、
を含むことを特徴とする2値信号の読取装置。
【請求項8】
前記2値信号を微分した波形をサンプリングしてピーク間時間に基づいた矩形波を取得する矩形波取得部と、
前記矩形波のプリアンブル部から低い周波数のピーク間時間の平均である基準時間を求め基準時間決定部と、
前記基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定するする閾値設定部と、
前記2値信号の各ピーク間時間が、前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限の閾値内に含まれるまで、前記ピーク間時間を逐次加算して判断して、逐次加算されたピーク間時間が前記設定された各時間の下限及び上限の閾値内に含まれると判断された基準時間の倍数をブロックに含まれるビット数として決定するブロック決定部と、
前記決定されたブロックの基準時間の倍数を、判定するビットデータ数の前提として各ビットの1または0の判定するビット判定部と、
前記各部をコンピューターによって制御する制御部と、
を含むことを特徴とする2値信号の読取装置。
【請求項9】
基準時間を求める基準時間決定部と、
前記基準時間の1倍〜n倍における各ピーク間時間の下限及び上限をブロック判定の閾値として設定するする閾値設定部と、
前記2値信号の各ピーク間時間が、前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限の閾値内に含まれるまで、前記ピーク間時間を逐次加算して判断して、逐次加算されたピーク間時間が前記設定された各ピーク間時間の下限及び上限の閾値内に含まれると判断された基準時間の倍数をブロックに含まれるビット数として決定するブロック決定部と、
前記決定されたブロックの基準時間の倍数を、判定するビットデータ数であることを前提として各ビットの1または0の判定するビット判定部と、
前記各手段を制御するコンピューターとを備えた2値信号の読取装置において、
前記コンピューターによって前記請求項1〜6のいずれか読取方法の各ステップを、実行させることを特徴とする2値信号の読取プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−84321(P2013−84321A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222406(P2011−222406)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】