説明

周辺露光装置

【課題】 分解能の高い識別記号を描画しながら周辺領域のフォトレジストを感光させることができる周辺露光装置を提供する。
【解決手段】 周辺露光装置(100)は、第1の方向に移動するとともに、一端側で被露光基板(SW)を載置し他端側で被露光基板(SW)を第1の方向から第1の方向と交差する第2の方向へ回転させるステージ(12)と、ステージの上方に配置され第2の方向に配置された躯体(13)と、躯体の一端又は他端側の一方の側面に第2の方向に移動可能に設けられ周辺領域を露光する周辺露光手段(20)と、躯体の一端又は他端側の周辺露光手段が設けられている側面とは反対側の側面に第2の方向に移動可能に設けられ周辺露光領域にパターンに関する識別記号を描画する記号描画手段(42)と、を備える。そして、被露光基板(SW)が1往復のみ移動することで、パターンの周辺領域を露光するとともに識別記号を描画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被露光基板に形成されるパターンの周辺領域に露光光を照射するとともに、その周辺領域に記号を描画する周辺露光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(液晶パネル)を製造する工程で、露光装置は、紫外線を含む光で大型のガラス基板に液晶表示装置のパターンを露光する。このパターンの露光の前後に、周辺露光装置はパターン領域外の周辺領域を露光させている。この周辺露光装置は、パターン領域外の周辺領域に存在する不要なフォトレジスト・インク(以下フォトレジスト)を予め又は後で露光させることで、露光工程など工程の支障とならないようにしている。また、周辺露光装置は周辺領域に基板を管理する記号、および分割した後のパターン領域を管理する記号等の基板管理用の識別記号を描画させている。特に、識別記号の種類の増加により、識別記号の描画用光源として紫外線レーザが使用されている。
【0003】
一般に基板に塗布されるフォトレジストは、g線(365nm)、h線(405nm)及びi線(436nm)に対して20mW/cmないし40mW/cmの光線に反応する感度特性である。パターン領域外の周辺領域の露光に使用される水銀ランプは、いわゆるg線、h線及びi線の3線を照射する。これに対して、識別記号を描画する紫外線レーザは355nmを主波長とする。そして紫外線レーザは、基板面において5mW/cmないし10mW/cm以下の数mW/cm程度の強度で描画する。このため、周辺露光装置でフォトレジストを露光する速度と紫外線レーザでフォトレジストを露光する速度とが大きく異なっている。
【0004】
このような水銀ランプと紫外線レーザとを大型のガラス基板に露光又は描画する技術として、例えば、特許文献1及び特許文献2の技術がある。特許文献1は、周辺露光を行う際の基板の移動速度と識別記号を描画する際の移動速度とを変化させ、識別記号を描画する際の基板の移動速度が遅くなるようにしている。特許文献2は、識別記号を描画するユニットの配置を段違いに配置させることにより、レーザの分岐を少なくさせ、レーザの出力を大きくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−148358
【特許文献2】特開2006−259515
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近、G10世代と呼ばれる3m級の大型のガラス基板の生産が始まろうとしている。このため、特許文献1に開示される周辺露光装置においては、識別記号を描画する光源と周辺領域を露光する光源との光量が大幅に異なるために、識別記号を描画する基板の移動速度と周辺領域を露光する基板の移動速度が大幅に異なっている。この結果、基板が大型化されるに伴って、周辺領域の露光及び識別記号の描画の作業時間が長くなるという問題が生じている。
【0007】
また、特許文献2の周辺露光装置では、識別記号を描画するユニットを段違いに斜め列となるように配置しているため、基板の移動する距離が長くなり、露光装置全体が大型になる問題がある。また、識別記号を描画する光源にレーザを用いる手法は、レーザが高価であり、しかも短期間での保守が必要な点に問題があった。
【0008】
さらに、特許文献2に開示されるレーザは基板から離れて照射されるため、レーザを振り回す角度が広がる。その結果、照射する光線の1ドットあたりのスポットサイズが基板面で微妙に変化し、形成された識別記号の分解能が低いという問題もあった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑み創案されたものであり、高速且つ分解能の高い識別記号を描画しながら周辺領域のフォトレジストを感光させることができる周辺露光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の観点の周辺露光装置は、被露光基板に形成されるパターンの周辺領域を露光することができる。この周辺露光装置は、第1の方向に移動するとともに、一端側で被露光基板を載置し他端側で被露光基板を第1の方向から第1の方向に直交する第2の方向へ回転させるステージと、ステージの上方に配置され、第2の方向に配置された躯体と、躯体の一端又は他端側の一方の側面に第2の方向に移動可能に設けられ、周辺領域を露光する周辺露光手段と、躯体の一端又は他端側で周辺露光手段が設けられている側面とは異なる側面に第2の方向に移動可能に設けられ、周辺露光領域にパターンに関する識別記号を描画する記号描画手段と、を備える。そして、周辺露光手段及び記号描画手段の下方を、被露光基板が1往復のみ移動することで、パターンの周辺領域を露光するとともに識別記号を描画する。
これらの構成を有する周辺露光装置は、周辺露光部及び記号描画部の下方を、被露光基板が1往復のみ移動することで、パターンの周辺領域を露光するとともに識別記号Mを描画することができる。
【0011】
第2の観点の周辺露光装置は、第1の観点に記載された周辺露光部が、第1光源と、第1光源からの光線を被露光基板に導く第1光学系とを含み、第1の観点に記載された記号描画部が、第2光源と、識別記号を描画するデータにて第2光源からの光線を空間変調する空間変調素子と、空間変調された光線を被露光基板に導く第2光学系とを含んでいる。そして第1光源は、高圧水銀ランプとリフレクターとが空間を介して夫々独立しており、第2光源は、高圧水銀ランプとリフレクターとが一体に固着されている。
【0012】
第3の観点の周辺露光装置は、第1の観点に記載された周辺露光部が、第1光源と第1光源からの光線を被露光基板に導く第1光学系とを含み、第1の観点に記載された記号描画部が、第2光源と、識別記号を描画するデータにて第2光源からの光線を空間変調する空間変調素子と空間変調された光線を被露光基板に導く第2光学系とを含んでいる。第2光源は、第1光源から導かれた光源である。
【0013】
第4の観点の周辺露光装置の第2光源は、第1光源から導かれた光量を調整する減光フィルターを備える。
【0014】
第5の観点の周辺露光装置は、空間変調素子と被露光基板とを共役状態にするために、被露光基板と平行に空間変調素子を移動させる移動手段を備える。
【0015】
第6の観点の周辺露光装置は、第2の観点又は第3の観点に記載される第1光学系が、第1光源からの光線を矩形形状に形成するするとともに、識別記号が形成される領域に対して第1光源からの光線を遮光する露光領域調整手段を有する。
【0016】
第7の観点の周辺露光装置は、第2の観点又は第3の観点に記載される第1光学系の光軸がステージに対して垂直に配置され、第2光学系の光軸もステージに対して垂直に配置され、空間変調素子は第2光学系の光軸に対して垂直に配されていることを特徴としている。
【0017】
第8の観点の周辺露光装置は、第2の観点に記載される周辺露光手段に搭載する高圧水銀ランプと、記号描画手段に搭載する高圧水銀ランプとの被露光基板面に照射される単位面積当たりの強度と主波長とが同一条件であることを特徴としている。
第9の観点の周辺露光装置は、ステージの移動範囲を覆い躯体の周囲に配置される天板を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明による周辺露光装置は、高圧水銀ランプを光源として、周辺露光及び識別記号の描画を行うことができるために、基板の速度を一定に保ったまま周辺領域の露光と識別記号の描画とを行うことができる。また、記号描画用の光源に小型の高圧水銀ランプを用いることにより、レーザを用いた光源と比べ、保守部品が低価格且つ容易な保守作業となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の周辺露光装置100の全形の斜視図である。
【図2】(a)は、周辺露光装置100を上面から見た構成図である。 (b)は、周辺露光装置100の側面から見た構成図である。
【図3】(a)は、基板位置SW1から基板位置SW2へ向かう第1搬送方向FD1で処理される周辺露光と識別記号Mの描画との形成方法を示した図である。 (b)は、基板位置SW2から基板位置SW1へ向かう第2搬送方向FD2で処理される周辺露光と識別記号Mの描画との形成方法を示した図である。
【図4】周辺露光部22の構成を示した側面図である。
【図5】照射領域調整機構30を模式的に示す分解斜視図である。
【図6】露光描画部42の構成を示した側面図である。
【図7】露光描画系の制御構成を示した図である。
【図8】周辺露光部22と露光描画部142との主な構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
《第1実施形態》
<周辺露光装置100の構成>
以下、周辺露光装置100の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、周辺露光装置100の全形の斜視図である。図1では、筐体11の短軸方向がY軸方向(第2方向)で、長軸方向がX軸方向(第1方向)で描かれている。また、周辺露光手段20及び識別記号描画部40の配置を見やすくするために、カバー類が一部カットして図示されている。
【0021】
周辺露光装置100の主な構成は、筐体11、門型の躯体13、天板14、周辺露光部20及び識別記号描画部40である。躯体13は筐体11の上面に門型の構造で、Y軸方向に伸びる梁とその梁の両側に設けられた脚とからなる。この躯体13は筐体11のX軸方向の中央付近に設置されている。躯体13の両側に配置される天板14は、天板14上を作業者が移動して保守作業ができる幅と強度とを有している。また、この天板14は保守作業中に発生する塵埃や工具等が落下しないように筐体11の上面を覆っている。
【0022】
周辺露光部20はガラス基板SWの周辺領域を露光する。また識別記号描画部40はガラス基板SWの周辺領域にガラス基板SW又はガラス基板SWを複数に分割した後の各分割基板を管理する基板管理用の識別記号を描画する。周辺露光部20及び識別記号描画部40については、図4から図6を使って後で説明する。
【0023】
躯体13は、Y軸方向に伸びる梁の両端面の一方に周辺露光部20を設置し、もう一方に識別記号描画部40を設置する。躯体13の梁の幅は、個々の周辺露光部20と識別記号描画部40とが互いに移動するのに支障の無い間隔を有している。
【0024】
本実施形態では図面の手前側に3つの周辺露光部20が設置され、図面の奥側に3つの識別記号描画部40が設置されている。周辺露光部20と識別記号描画部40とが逆に配置されてもよい。またガラス基板SWを何枚に分割するかによって、周辺露光部20と識別記号描画部40との設置個数が決まる。また、ガラス基板SWの種類によっては、何枚に分割するかにかかわらずガラス基板SWの1つ識別記号Mのみで足りることもある。このような場合には、識別記号描画部40が1つだけ配置される。
以下の実施形態は3つの識別記号描画部40が設置された例を説明する。また、実施形態は先に周辺露光部20が周辺露光を行い、後に識別記号描画部40が識別記号を描画する例である。
【0025】
筐体11の上部には筐体11のX軸方向に移動できるステージ12が設置される。ステージ12はその上面にガラス基板SWをθ方向に回転する回転テーブル(不図示)を有している。そして回転テーブルは基板吸着用支柱(不図示)を有し、この基板吸着用支柱の上面にガラス基板SWが吸着して載置される。
【0026】
また、ステージ12が移動する上部にはカバー15が設置される。カバー15は、筐体11の四隅と躯体13の周囲とに設けられた支柱16で支えられている。このカバー15は躯体13の周囲まで伸びておりカバー15と躯体13とにはほとんど隙間がない。このためガラス基板SW面およびステージ12の移動範囲に塵埃が落下しない。さらに、カバー15には、空気中から塵埃などを取り除くHEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルター(不図示)と、周辺露光部20および識別記号描画部40の電源(不図示)とが設置してある。つまりカバー15は、塵埃の落下を防止し且つフィルターなどの配置スペースとなっている。
【0027】
また、周辺露光装置100の筐体11は、ステージ12、周辺露光部20及び識別記号描画部40を制御するための制御部90を設置する。そして制御部90は外部からの情報に基づいてステージ12、周辺露光部20を制御して正確な周辺露光処理を行い、識別記号描画部40を制御して識別記号の描画を行っている。以下、その詳細を説明する。
【0028】
本実施形態の周辺露光装置100は高さ(Z軸方向)約3m、Y方向長さ約3m、X軸方向長さ約6mである。周辺露光装置100は、G6世代用基板からG10世代用基板までの大きさを扱うことができる。例えばG6世代用基板は1.8m級の矩形形状であり、G10世代用基板は3m級の矩形形状である。これらのガラス基板SWは、図1の手前側のX軸方向に垂直な稜線を第1基準辺VS1、同じく手前側のX軸に平行な稜線を第2基準辺VS2として規定されている。第1基準辺VS1及び第2基準辺VS2はガラスの製造過程で基準として製作され、各パターンを形成した後に複数の液晶表示装置(液晶パネル)に分割するまでの基準とされる。
【0029】
ステージ12は、例えば、ボールねじ、スライドガイド及びねじ駆動用モータ等を有している。ステージ12はボールねじなどの回転によってX軸方向に移動することができる。またステージ12は、ボールねじなどの代わりに、リニアモータやガラス基板SWを浮上させるエアベアリングなどを有していても良い。
【0030】
図2(a)は周辺露光装置100を上面から見た構成図であり、理解しやすいようにカバー15及び支柱16を除去させた図である。図2(b)は周辺露光装置100の側面から見た構成図である。
【0031】
ガラス基板SWは不図示の搬送装置により図面の左側である基板位置SW1の位置に投入される。ガラス基板SWはガラス基板SWの基準辺がステージ12の所定位置に合致させるように載置されて吸着される。ガラス基板SWはステージ12がX軸方向と平行に移動することで基板位置SW2の位置へ移動される。ガラス基板SWは基板位置SW1から基板位置SW2へ移動する際に躯体13の下部を通過し、その結果、躯体13に設置された周辺露光部20と識別記号描画部40との下部を通過する。基板位置SW2でガラス基板SWは90度回転し、基板位置SW2から基板位置SW1へ移動する。この一連のガラス基板SWの移動に伴い周辺露光部20はガラス基板SWのパターン領域外の周辺露光を行い、同時に識別記号描画部40がパターンの周辺部に識別記号を描画する。周辺露光装置100はガラス基板SWの移動速度を一定にしてパターン領域外の周辺露光と、識別記号の描画を行うことができる。
【0032】
図3はガラス基板SWの搬送方向FDに対しての周辺露光と識別記号Mの描画との形成方法を示した図である。図3(a)は基板位置SW1(図2参照)から基板位置SW2(図2参照)へ向かう第1搬送方向FD1で処理された周辺露光と識別記号M(M1、M2)の描画とを示す。図3(b)は基板位置SW2から基板位置SW1へ向かう第2搬送方向FD2で処理された周辺露光と識別記号Mの描画とを示している。
【0033】
ガラス基板SWは、例えば、1枚のガラス基板SWに2行3列で矩形のパターン領域PAが形成される。パターン領域PAは周辺露光の前後に電界トランジスタなどが形成され、液晶表示装置(液晶パネル)となる領域である。
【0034】
図3(a)に示されるように、ガラス基板SWがX軸方向である第1搬送方向FD1へ移動する際に処理される。周辺露光部20によってガラス基板SWのパターン領域PAの外周に周辺露光領域RAが形成される。また、その周辺露光領域RAの内部に識別記号描画部40によって第1識別記号M1が形成される。具体的には周辺露光部20はパターン領域PAと識別記号M1の領域を露光せず、続けて識別記号描画部40が周辺露光領域RAの中に形成された未露光の領域に識別記号M1を描画する。
【0035】
その後、図2に示された基板位置SW2でガラス基板SWは90度回転される。また3つの周辺露光部20はスライド機構21(図2参照)によってY軸方向に適切な位置へ移動する。同時に、識別記号描画部40もスライド機構41(図2参照)によってY軸方向に適切な位置へ移動する。スライド機構21及びスライド機構41については後述する。
【0036】
次に、図3(b)に示されるように、第1搬送方向FD1と反対方向の第2搬送方向FD2へ向かう。周辺露光部20によって、ガラス基板SWのパターン領域PAの周辺領域に周辺露光領域RAが形成される。また、その周辺露光領域RAの内部に識別記号描画部40で第2識別記号M2が形成される。これらの第1搬送方向FD1と第2搬送方向FD2に一定速度で1度の往復により、周辺露光装置100はガラス基板SWのパターン領域PAのすべての周辺領域を露光する。そして周辺露光装置100は、さらに2×3個のパターン領域PAに対応する認識記号M1及びM2を描画させることができる。
【0037】
具体的には、ガラス基板SWの搬送速度は250mm/secの一定速度である。また、周辺露光領域RAの周辺露光の幅は、最大70mm程度である。認識記号M1及びM2は幅1mm〜5mm程度で形成される。ガラス基板SWのフォトレジストへの周辺露光は、パターン領域PAの露光工程及びガラス基板SWの搬送工程でフォトレジストの破片が、パターン領域PA又は他の装置へ付着したり落下したりすることを防ぐ。また、次に処理されるガラス基板SWへの再付着の問題を防ぐ役目がある。以下は周辺露光部20と識別記号描画部40について説明する。
【0038】
<周辺露光部20の構成>
再び図2に戻り、周辺露光部20はスライダ機構21(スライド機構21aないしスライド機構21c)と、周辺露光部22(周辺露光部22aないし周辺露光部22c)とで構成されている。スライド機構21aないし21cは、それぞれ周辺露光部22aないし周辺露光部22cをY軸方向に移動させる。スライド機構21は、Y軸方向の位置を正確に制御可能であり、例えばボールねじ、スライドウエイ、及びねじ駆動用モータ等で構成されている。
【0039】
図4は、周辺露光部22の構成を示した側面図である。周辺露光部22は発光源、光学系及び排気系で構成される。発光源は第1高圧水銀ランプ24で構成され、光学系は楕円ミラー25、第1レンズ群27及び第2レンズ群28で構成され、排気系はファン34で構成されている。
【0040】
第1高圧水銀ランプ24は筐体23で囲まれ、筐体23は光学系以外の光が漏れない構造となっている。第1高圧水銀ランプ24は、g線(365nm)、h線(405nm)及びi線(436nm)を照射する。筐体23は、排気口32と照射口とが形成され、空気の排出と光線の射出が可能な構造となっている。筐体23の中央付近にはブラケット部23aが設置され、そのブラケット部23aは楕円ミラー25の開口径に合う開口部を有している。楕円ミラー25は、ガラス基板SWのフォトレジスト面に向けられて固定されている。楕円ミラー25の中央には第1高圧水銀ランプ24が固定されている。第1高圧水銀ランプ24の固定は、楕円ミラー25に接触しないで、大気循環が可能な空間を持って取り付けられている。また楕円ミラー25がコールドミラーで形成されていて、熱が排気口32側に逃げ易い。
【0041】
第1高圧水銀ランプ24から射出された光線は楕円ミラー25によって基板方向へ反射し、第1レンズ群27で集光される。第1レンズ群27に入射した光線は平行光に矯正され第2レンズ28群へ向け出射する。第1レンズ群27及び第2レンズ28はガラス基板SWの表面に対して垂直に配置される。第2レンズ28群は第2レンズ28aと第2レンズ28bとで構成される。
【0042】
第1高圧水銀ランプ24は発光することにより大量の熱を発する。その熱はファン34にて吸引され、ブラケット部23aの開口部からガラス基板SWと反対方向に上昇させ、排気口32からダクト33を介して工場排気に排出される。従って周辺露光部20は、筐体23内に高熱がこもることなく所定の温度で安定して発光する。なお、第1高圧水銀ランプ24の温度が安定していると、第1高圧水銀ランプ24の点光源が揺らぐことが少なくなる。したがって、第1高圧水銀ランプ24からガラス基板SWまでの光軸が一定に保たれる。
【0043】
第2レンズ群28内には、シャッタ29a及びシャッタ駆動部29bからなるシャッタ機構29と照射領域調整機構30とが設けられている。第2レンズ群28とガラス基板SWとの間に、シャッタ機構29と照射領域調整機構30とが設けられていてもよい。シャッタ機構29は第2レンズ28aからの光線を遮断する。
【0044】
シャッタ29aは、第1高圧水銀ランプ24からの光線を遮断したり通過させたりする。シャッタ駆動部29bは、シャッタ29aを光路または光路から外れた退避位置に移動させている。シャッタ29aはガラス基板SWの周辺領域を露光するときに退避位置に移動する。また、周辺露光装置100を立ち上げた際などに、第1高圧水銀ランプ24からの光線の強度を測定するためシャッタ29aは退避位置に移動する。
【0045】
照射領域調整機構30は、シャッタ機構29で光線が遮断されない場合に、光線の形状を制御する。第2レンズ群28に入射した光線は所定の形状に形成されて、ガラス基板SWのフォトレジスト面に射出される。
【0046】
図5は照射領域調整機構30を模式的に示す分解斜視図である。照射領域調整機構30は、ガラス基板SWのパターン領域PAおよび識別記号Mの位置に光線が照射されないように照射領域を調整するものである。本実施形態の照射領域調整機構30は、3枚の第1隠蔽板T1(パターン領域隠蔽板)、第2隠蔽板T2(第1識別記号隠蔽板)、及び第3隠蔽板T3(第2識別記号隠蔽板)を有している。また、照射領域調整機構30は、これら第1隠蔽板T1、第2隠蔽板T2及び第3隠蔽板T3を所定方向に移動させる隠蔽板駆動部31を有している。
【0047】
隠蔽板駆動部31は、第1隠蔽板T1をY軸方向に移動させる第1隠蔽板駆動部31a、第2隠蔽板T2をX軸方向に移動させる第2隠蔽板駆動部31b及び第3隠蔽板T3をX軸方向に移動させる第3隠蔽板駆動部31cで構成されている。必要に応じて、照射領域調整機構30の全体をY軸方向に移動させる駆動部(不図示)を備えていても良い。
【0048】
第1隠蔽板駆動部31a、第2隠蔽板駆動部31b及び第3隠蔽板駆動部31cは、移動フレームf、送りねじs、回転式モータm及びガイドgを有している。回転式モータmが回転することによりねじsが回転し、各移動フレームfが各方向にガイドgに沿って移動する。すなわち、回転式モータmの回転によって第1隠蔽板T1、第2隠蔽板T2および第3隠蔽板T3が移動する。なお、紙面の都合上、全てのガイドgが表示されていない。また、回転式モータmに代えて、リニアモータ、空気圧シリンダなどを用いてもよい。
【0049】
第1隠蔽板T1は、光線が照射されても劣化し難い金属板により形成されるとともに、第2レンズ28aからの照射領域より広い面積(遮光領域)に形成されている。また、第2隠蔽板T2,第3隠蔽板T3も光線が照射されても劣化し難い金属板により形成される。第2隠蔽板T2及び第3隠蔽板T3は、それぞれ先端側に隠蔽部t2a,t3aが形成されており、隠蔽部t2a,t3aに連続して矩形状の開口部t2b、t3bが形成されている。第1隠蔽板T1,第2隠蔽板T2及び第3隠蔽板T3は、それぞれ異なる高さに位置されており、交差して移動することができるように構成されている。
【0050】
この第2隠蔽板T2及び第3隠蔽板T3は、第2レンズ28aからの照射領域の幅より狭い幅で形成されている。隠蔽部t2a及び隠蔽部t3aは、露光される識別記号Mの大きさに対応して予め設定された寸法に形成されている。例えば認識記号M1及びM2は幅1mm〜5mmであれば、隠蔽部t2a及び隠蔽部t3aの幅は1.4mm〜6mm程度である。第2隠蔽板T2の開口部t2bおよび第3隠蔽板T3の開口部t3bが互いにZ軸方向に重なり合った開口領域が、光線がガラス基板SWに照射される形状となる。開口部t2bおよび開口部t3bは、周辺露光領域RAの周辺露光の最大70mm幅に合わせて形成されている。周辺露光領域RAが30mm幅のように狭くなるときには、第1隠蔽板T1によって一部の光線が遮られる。なお、識別記号Mの大きさが異なる場合には、第2隠蔽板T2,第3隠蔽板T3は同じ大きさに形成されている必要がなく、識別記号Mに合わせて適宜変更してよい。
【0051】
以上のように構成された照射領域調整機構30により、周辺露光装置100は周辺露光領域RAを正確に形成し、さらに周辺露光領域RAの中に配置させる第1識別記号M1及び第2識別記号M2の領域に光線が照射されるのを防ぐことができる。
【0052】
<識別記号描画部40の構成>
再び図2に戻って、識別記号描画部40の構成を説明する。識別記号描画部40は、スライド機構41(スライド機構41aないしスライド機構41c)と、露光描画部42(露光描画部42aないし露光描画部42c)とから構成されている。スライド機構41はY軸方向に移動可能であり、Y軸方向の位置が正確に制御される。
【0053】
図6は露光描画部42の構成を示した側面図である。露光描画部42は発光源、光学系及び排気系で構成される。発光源は、g線(365nm)、h線(405nm)及びi線(436nm)を照射する第2高圧水銀ランプ44で構成される。光学系は、楕円ミラー45、第1レンズ群47、第2レンズ群48、ミラー49、DMD(ディジタルマイクロミラーデバイス)50及びミラーブロック54で構成される。排気系はファン60で構成されている。
【0054】
第2高圧水銀ランプ44は筐体43で囲まれ、光学系以外へ光が漏れない構造となっている。筐体43は排気口と照射口とが形成され、空気の排出と光線の射出が可能な構造となっている。筐体43はスライド機構41に筐体ベース部43bを設置して組みつけられている。筐体23の中央付近にはブラケット部43aが設置され、そのブラケット部43aには楕円ミラー46と第1レンズ群47が取り付けられている。
【0055】
第2高圧水銀ランプ44は、周辺露光部20の第1高圧水銀ランプ24と比べ小型である。第2高圧水銀ランプ44は内面がコールドミラーで覆われた楕円ミラー45の最深部でセメント46にて固定され、水平方向を向いて筐体ベース部43bに装着されている。楕円ミラー45の射出方向には、第1レンズ群47が水平方向に設置され、その途中に光軸の方向を90度切り替えるミラー49が筐体43に取り付けられている。また楕円ミラー45と第1レンズ群47との間に紫外線光を遮光するシャッタ55が装着されている。
【0056】
ミラー49の下部(基板側)には反射ミラーとハーフミラーとを組み合わせたミラーブロック54、DMD50及び第2レンズ群48が設置されている。第2レンズ群48の光軸はガラス基板SWの表面に対して垂直に配置される。DMD50の光軸は第2レンズ群48の光軸に対して垂直に配置される。DMD50はホルダー51に固定されている。このホルダー51は、筐体ベース部43b上で移動可能である。ホルダー51はボルト53に接続され、このボルト53はブラケット部43aに対して回転可能である。このためボルト53を回転させることで、DMD50がX軸方向に移動する。
【0057】
DMD50は、可動式のマイクロミラーから構成されている。各マイクロミラーの鏡面サイズはおよそ10数μm角で、これを約70万個格子状に配列している。各マイクロミラーは鏡面をプラス/マイナス12度傾斜させることができる。マイクロミラーが「ON」のときは光線がガラス基板SW側に反射される。マイクロミラーが「OFF」のときは光線が不図示の吸収体側に反射される。従って、各マイクロミラーミラーを個別に駆動することにより、DMD50は、識別記号Mに変調された光線をガラス基板SWに対して照射することができる。
【0058】
第2高圧水銀ランプ44から射出された光線は、楕円ミラー45に反射される。光線は、開放状態のシャッタ55を経由して第1レンズ群47に入射する。光線は、第1レンズ群でコリメートされ、水平方向に射出される。第1レンズ群47から射出された光線は、ミラー49でガラス基板SW側に反射され、ミラーブロック54に入射する。ミラーブロック54に入射した光線はDMD50に照射される。DMD50で識別記号Mに変調された光線は、再びミラーブロック54に入射し、ミラーブロック54で反射されてガラス基板SW方向に向かう。第2レンズ群48に入射し第2レンズ群48を通過した光線は、ガラス基板SWのフォトレジスト面に照射される。DMD50とガラス基板SWとは共役位置に配置される。ガラス基板SWの厚さが異なる場合には、第2レンズ群48を通過した光線は、ガラス基板SWのフォトレジスト面に結像しない。このように、ガラス基板SWのフォトレジスト面へ照射される光線の焦点距離が適切でない場合は、ボルト53を回転させてホルダー51を移動させる。そして、DMD50の位置とガラス基板SWのフォトレジスト面の位置とを共役関係にさせて、第2レンズ群48の焦点位置を調節する。
【0059】
第2高圧水銀ランプ44は小型であるが、発光することにより熱を発する。発生する熱は、筐体43と筐体ベース部43bで囲まれた空間内にこもることのないように、開口部61に設置したファン60にて外部に排気される。この熱を有する空気は、ダクト62を経由して工場排気へと排出される。従って識別記号描画部40は、筐体43内に高熱がこもることなく所定の温度で安定して発光する。なお、第2高圧水銀ランプ44の温度が安定していると、第2高圧水銀ランプ44の点光源が揺らぐことが少なくなる。したがって、第4高圧水銀ランプ44からガラス基板SWまでの光軸が一定に保たれる。
【0060】
<第1高圧水銀ランプ24および第2高圧水銀ランプ44>
前述した周辺露光部20の第1高圧水銀ランプ24は露光面積が広いために、例えば1.5KWから2.5KWの高圧水銀ランプを搭載し、露光面積が狭い識別記号描画部40の第2高圧水銀ランプ44は、150Wないし250Wの高圧水銀ランプを搭載する。
【0061】
これらの高圧水銀ランプは主波長が365nm,405nm,436nmであり、フォトレジストの最適な感度に合致している。さらに、周辺露光部20と識別記号描画部40とは、単位面積あたりの光線の強度が同等に設定される。このため周辺露光装置100は周辺露光処理と識別記号Mの描画とを一定な速度で処理することが可能となる。例えば、周辺露光装置100はガラス基板SWの移動速度を250mm/secで移動させて、周辺露光処理と識別記号Mの描画とを行うことができる。
【0062】
例えば、第1高圧水銀ランプ24に2KWの高圧水銀ランプを用い、第2高圧水銀ランプ44に250Wの高圧水銀ランプを用いる組み合わせが適している。なお、第1高圧水銀ランプ24と第2高圧水銀ランプ44との出力の組み合わせはこの限りでなくフォトレジストの条件、周辺露光領域RAの大きさ、識別記号Mの大きさ及びガラス基板SWの搬送速度などの条件で適切な第1高圧水銀ランプ24と第2高圧水銀ランプ44との出力の組み合わせが求まる。
【0063】
第1高圧水銀ランプ24は出力が高いために、発光量も多いが発熱量も多い。このために第1高圧水銀ランプ24を垂直に立てて、楕円ミラー25との間に大気が循環するような空間を保ち、更にファン34で熱を強制排気させている。また、第1高圧水銀ランプ24などの保守部品が大型で、筐体23も垂直方向に大きくなる。
【0064】
一方、識別記号描画部40は識別記号Mを描画する領域が狭いので、小出力の第2高圧水銀ランプ44を用いている。第2高圧水銀ランプ44は小型である特徴を有効にするため、第1高圧水銀ランプ24にある口金等の機構部がない。このため第2高圧水銀ランプ44の光軸の調整がしづらいことを解決するために、楕円ミラー45と第2高圧水銀ランプ44の光軸を予め調整し、セメント46で固定した水銀ランプユニットとして一体に構成されている。作業者は、この水銀ランプユニットを交換するだけで常に光軸を調整した状態の識別記号描画部40を提供することができる。
【0065】
また、識別記号描画部40では、楕円ミラー45の反射面をコールドミラーにすることで、発熱源の波長の光線を水銀ランプユニットの背部に透過させる。識別記号描画部40はこの発熱をファン60にて排気することにより、水平な光軸に設置させても、第1レンズ群47以降の光学系に対する熱の影響をおさえることができる。さらに、識別記号描画部40では筐体43の高さを低く形成することができるため、保守の作業性を向上することができる。
【0066】
これらの周辺露光部20の第1高圧水銀ランプ24及び識別記号描画部40の第2高圧水銀ランプ44は、例えば1500時間ごとに交換が必要である。このために、作業者は定期的に筐体11の上部に上がって保守作業を行う必要がある。しかも保守作業にて作業者は、塵埃をガラス基板SWの上面およびステージ12の移動手段に落下させることは許されない。このため、本実施形態の周辺露光装置100は、筐体11の中央付近に天板14を設置した躯体13を門型に設置させているので、作業者は、第1高圧水銀ランプ24及び第2高圧水銀ランプ44の交換を安全且つ確実に保守作業することができる。
【0067】
<制御部90>
周辺露光装置100は制御部90で制御される。図7は露光描画系の制御構成を示した図である。露光描画系の制御部90は、露光描画制御部91、記憶装置92、DMD駆動回路93、シャッタ駆動回路94、周辺露光駆動回路95及びステージ制御回路96で構成されている。
【0068】
制御部90に投入されるガラス基板SWの描画データは、周辺露光の領域のデータ、認識記号の位置情報、ガラス基板SWのフォトレジスト感度、及びステージ12の移動速度などの条件である。描画データは外部入力部、例えば工場側LANもしくは手入力により露光描画制御部91と通信処理して記憶装置92に保存される。なお、露光描画制御部91はオペレータ入力部とも通信処理が可能であり、作業者がオペレートボード(不図示)を介して交信することができる。
【0069】
露光描画制御部91は、記憶装置92に記憶されたガラス基板SWのフォトレジスト感度又はステージ12の移動速度などの条件に基づき、ステージ制御回路96に移動速度を伝達する。ステージ制御回路96は移動速度に合致させるよう、ステージ12の位置検出センサー(不図示)の情報をフィードバックしながらステージ12を所望の移動速度で移動させる。
【0070】
また、露光描画制御部91は記憶装置92に記憶された周辺露光用のデータ、露光タイミング情報と共にシャッタ駆動回路94および隠蔽板駆動回路95に伝達する。シャッタ駆動回路94は、Y軸方向へ周辺露光部20を移動させるとともに、周辺露光部20のシャッタ機構29を駆動する。具体的にはシャッタ駆動回路94はシャッタ駆動部29b(図4)に駆動信号を送り、シャッタ29a(図4)を光路または光路から外れた退避位置に移動させている。
【0071】
同様に、隠蔽板駆動回路95は、ステージ12の位置情報に基づいて、周辺露光部20の照射領域調整機構30を駆動する。具体的には隠蔽板駆動回路95は、第1隠蔽板駆動部31a、第2隠蔽板駆動部31b及び第3隠蔽板駆動部31c(図5)に駆動信号を送り、第1隠蔽板T1、第2隠蔽板T2及び第3隠蔽板T3(図5)を所定方向に移動させる。これにより、周辺露光部20は所定の辺露光領域RAを露光できるとともに、識別記号Mの領域には光線が照射されないようにする。
【0072】
また、露光描画制御部91は記憶装置92に記憶された識別記号描画データをDVD駆動データに変換し、DMD駆動回路93に伝達する。具体的には、まず、露光描画制御部91は識別記号描画部40の露光描画部42内に設けられたシャッタ55(図6)を開放して識別記号Mを描画できる状態にする。そしてDMD駆動回路93は、適切な露光タイミングで光線を描画データに基づいた所望の識別記号MになるようにDMD50(図6)のマイクロミラーを個別に駆動する。これにより識別記号描画部40は、ガラス基板SWの未露光領域に識別記号Mを照射する。
【0073】
以上の構成により、周辺露光装置100はガラス基板SWが周辺露光部20と識別記号描画部40との下方を一定速度で1往復することにより、ガラス基板SWの周辺領域の不要なレジストを露光し、識別記号Mを描画することが可能となる。
【0074】
《第2実施形態》
第1実施形態では識別記号描画部40の光源として、周辺露光部20の1/10前後の出力をもつ第2高圧水銀ランプ44を使用していた。本実施形態では周辺露光部20の光源の光線を利用する方法を以下に示す。
【0075】
図8は本実施形態の周辺露光部20の周辺露光部22と識別記号描画部の露光描画部142との主な構成を示した図である。周辺露光部20と露光描画部142との間に配置される門型の躯体13は、図8には描かれていない。
なお、周辺露光部22の構成は第1実施形態と同じであり、露光描画部142の構成も光源以外は同じであるため、同一な構成については第1実施形態と同じ符号を用い、その説明を省く。
【0076】
周辺露光部22と露光描画部142とは複数のロッドインテグレータ73で接続されている。ロッドインテグレータ73の入射端である一端は、周辺露光部22の第1高圧水銀ランプ24と第1レンズ群27との間に設置されている。また、第1高圧水銀ランプ24と第1レンズ群27との間には、ハーフミラー71が配置されている。ハーフミラー71は第1高圧水銀ランプ24からの光線の一部をロッドインテグレータ73の一端に導く。ハーフミラー71は必ずしも必要ない。ロッドインテグレータ73の入射端が、第1高圧水銀ランプ24の光線の一部を入射できるように向けられ、必要な光量を得ることができればよい。また、ロッドインテグレータ73の射出口で光線の強度が不足する場合には、レンズなどの集光光学系を用いて集光させてもよい。
【0077】
また、ロッドインテグレータ73に代えて、レンズ、ミラーなどで光路を形成してもよいし、光ファイバを束ねた光ファイバ束を配置してもよい。
【0078】
ロッドインテグレータ73の他端である射出端には、減光(Neutral Density)フィルター75が配置される。減光フィルター75は異なる透過率のフィルターを複数有しており、減光フィルター75は単位面積あたりの周辺露光部22の光線の強度と露光描画部142の光線の強度とが同等になるように調整される。これにより、ガラス基板SWが周辺露光部22と露光描画部142との下方を一定速度で1往復するだけで、周辺露光と識別記号Mとをガラス基板SW上に形成することができる。
【0079】
第2実施形態では、第1高圧水銀ランプ24の一部または利用されていない光線を使用するため、第1高圧水銀ランプ24の光源の効率利用が可能となる。また、露光描画部142に第1実施例による小型の第2高圧ランプを設置する必要がないために、露光描画部142にファン及びダクトが不要となることで小型に設計できる。さらに、露光描画部142は第1実施例による小型の第2高圧ランプが不要となるため、保守管理費などコスト削減にメリットがある。
【符号の説明】
【0080】
11 … 筐体、12 … ステージ
13 … 躯体、14 … 天板
15 … カバー、16 … 支柱
20 … 周辺露光部
21 … スライド機構、22 … 周辺露光部
23 … 筐体(23a … ブラケット部)
24 … 第1高圧水銀ランプ、44 … 第2高圧水銀ランプ
25 … 楕円ミラー
27、47 … 第1レンズ群、28、48 … 第2レンズ群
29a … シャッタ、29b … シャッタ駆動部
30 … 照射領域調整機構
31 … 隠蔽板駆動部、32 … 排気口
33 … ダクト、34 … ファン
40 … 識別記号描画部、41 … スライド機構
42 … 露光描画部、
43 … 筐体(43a … ブラケット部、43b … 筐体ベース部)
45 … 楕円ミラー、46 … セメント
49 … ミラー
51 … ホルダー、53 … ボルト、54 … ミラーブロック
55 … シャッタ
60 … ファン、61 … 開口部、62 … ダクト
71 … ハーフミラー、73 … ロッドインテグレータ、75 … 減光フィルター
90 … 制御部
91 … 露光描画制御部、92 … 記憶装置
93 … DMD駆動回路、94 … 識別記号描画駆動回路
95 … 周辺露光駆動回路、96 … ステージ制御回路
100 … 周辺露光装置
142 … 露光描画部
FD … 搬送方向
g … ガイド
m … 回転式モータ
M … 識別記号
PA … パターン領域
RA … 周辺露光領域
SW … ガラス基板
T … 隠蔽板
t2a,t3a … 隠蔽部
t2b,t3b … 開口部
VS1 … 第1基準辺、VS2 … 第2基準辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被露光基板に形成されるパターンの周辺領域を露光する周辺露光装置において、
第1の方向に移動するとともに、一端側で前記被露光基板を載置し他端側で前記被露光基板を第1の方向から前記第1の方向に直交する第2の方向へ回転させるステージと、
前記ステージの上方に配置され、前記第2の方向に配置された躯体と、
前記躯体の一端又は他端側の一方の側面で前記第2の方向に移動可能に設けられ、前記周辺領域を露光する周辺露光手段と、
前記躯体の一端又は他端側の前記周辺露光手段が設けられている側面とは反対側の側面に前記第2の方向に移動可能に設けられ、前記周辺露光領域に前記パターンに関する識別記号を描画する記号描画手段と、を備え、
前記周辺露光手段及び記号描画手段の下方を、前記被露光基板が1往復のみ移動することで、前記パターンの周辺領域を露光するとともに前記識別記号を描画することを特徴とする周辺露光装置。
【請求項2】
前記周辺露光手段は、第1光源と、前記第1光源からの光線を前記被露光基板に導く第1光学系とを含み、
前記記号描画手段は、第2光源と、前記識別記号を描画するデータにて前記第2光源からの光線を前記識別記号に空間変調する空間変調素子と、前記空間変調された光線を前記被露光基板に導く第2光学系を含み、
前記第1光源が、高圧水銀ランプとリフレクターとが空間を介して夫々独立しており、
前記第2光源が、高圧水銀ランプとリフレクターとが一体に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の周辺露光装置。
【請求項3】
前記周辺露光手段は、第1光源と、前記第1光源からの光線を前記被露光基板に導く第1光学系とを含み、
前記記号描画手段は、第2光源と、前記識別記号を描画するデータにて前記第2光源からの光線を前記識別記号に空間変調する空間変調素子と、前記空間変調された光線を前記被露光基板に導く第2光学系を含み、
前記第2光源は、前記第1光源から導かれた光源であることを特徴とする請求項1に記載の周辺露光装置。
【請求項4】
前記第1光源から導かれた光量を調整する減光フィルターを備えることを特徴とする請求項3に記載の周辺露光装置。
【請求項5】
前記空間変調素子と前記被露光基板とを共役状態にするために、前記被露光基板と平行に前記空間変調素子を移動させる移動手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の周辺露光装置。
【請求項6】
前記第1光学系は、前記第1光源からの光線を矩形形状に形成するとともに、前記識別記号が形成される領域に対して前記第1光源からの光線を遮光する露光領域調整手段を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の周辺露光装置。
【請求項7】
前記第1光学系の光軸は前記ステージに対して垂直に配置され、
前記第2光学系の光軸は前記ステージに対して垂直に配置され、
前記空間変調素子の光軸は前記第2光学系の光軸に対して垂直に配されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の周辺露光装置。
【請求項8】
前記周辺露光手段に搭載する高圧水銀ランプと前記記号描画手段に搭載する高圧水銀ランプとは、前記被露光基板面に照射される単位面積当たりの強度と主波長とが同一条件であることを特徴とする請求項2に記載の周辺露光装置。
【請求項9】
前記ステージの移動範囲を覆い、前記躯体の周囲に配置される天板を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の周辺露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−13512(P2011−13512A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158338(P2009−158338)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000128496)株式会社オーク製作所 (175)
【Fターム(参考)】