説明

呼吸器疾患の治療に有用な組成物及びキット

本発明は、機器中に含有される組成物を含む透明機器に関し、前記組成物は、フェニレフリン、その遊離及び付加塩形態、並びにこれらの混合物からなる群から選択される医薬活性物質を含む。
機器中に含有される組成物を含むキットも開示し、前記組成物は、フェニレフリン、その遊離及び付加塩形態、並びにこれらの混合物からなる群から選択される医薬活性物質を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器中に含有される組成物を含む透明機器に関し、前記組成物は、フェニレフリン、その遊離及び付加塩形態、並びにこれらの混合物からなる群から選択される医薬活性物質を含む。
【背景技術】
【0002】
安定な組成物を製造できるかどうかは、組成物が位置する容器又は機器の種類によって影響を受ける場合がある。こうした容器は、組成物内に含有される成分、例えばフェニレフリン、アセトアミノフェン及び/又はデキストロメトルファンのような医薬活性物質に対して特定の親和性を有する材料から製造できる。容器又は機器が製造される材料と、組成物内に含まれる成分との相互作用により、そうした成分が沈殿し、組成物内での成分の適切な溶解が妨げられる場合がある。
【0003】
これらの活性物質は異なる特性及び安定性を有するので、組成物を送達し同時に下痢などの不都合な副作用を防止するように組成物中の成分濃度を制御する機器中で、全てが安定で有効である活性物質を含有する総合的組成物を処方するのは困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
故に、本発明は、活性物質の沈殿を防止し、アルデヒド濃度を下げ、必要とされる消費者全てに活性物質を送達する安定な組成物を好ましい機器内で形成する、好適な範囲の溶媒濃度及び比率を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、透明機器であって、機器に含有される組成物を含み、この組成物が、フェニレフリン、その遊離及び付加塩形態、並びにれらの混合物からなる群から選択される医薬活性物質を含み、及び前記機器が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール−変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、配向ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートポリエステル(PETP)、ポリフェン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む透明機器を対象とする。
【0006】
本発明は更に、機器に含有される組成物を含むキットであって、この組成物が、フェニレフリン、その遊離及び付加塩形態、並びにこれらの混合物からなる群から選択される医薬活性物質を含み、及び前記機器が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール−変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、配向ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートポリエステル(PETP)、ポリフェン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含むキットに関する。
【0007】
本発明は更に、本明細書に記載される組成物を経口投与することを含む呼吸器疾患及びそれらの症候群を治療する方法を対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、透明機器であって、機器中に含有される組成物を含み、前記組成物は、フェニレフリン、その遊離及び付加塩形態、並びにこれらの混合物からなる群から選択される医薬活性物質を含み、及び前記機器は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール−変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、配向ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートポリエステル(PETP)、ポリフェン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む透明機器を含む。
【0009】
本発明の組成物及び方法のこれらの及び他の制限事項、並びに本明細書に使用するのに好適な任意成分の多くについては、以下で詳細に説明する。
【0010】
本明細書の全ての重量、測定値及び濃度は、特に指定のない限り、組成物全体に関して25℃で測定される。
【0011】
全ての百分率、部及び比率は、本明細書で使用する時、特に指定のない限り、全組成物の重量を基準とする。列記された成分に関するこのような重量は全て、活性濃度に基づくものであり、したがって特に指定しない限り、市販材料に含まれることのある溶媒又は副産物を含まない。
【0012】
本発明の組成物及び方法は、本明細書に記載される本発明の本質的要素及び制限事項、並びに本明細書に記載されるか、又はペットの消費を目的とする組成物に有用ないずれかの追加又は任意の成分、構成成分、又は制限事項を含み、それらからなり、又はそれらから本質的になることができる。
【0013】
機器
本発明の機器は、好ましくは組成物を含有する。本発明の機器の非限定例としては、瓶、キャニスター、容器、及び組み合わせが挙げられる。好ましくは、機器は透明である。透明な機器としては、ユーザーがその機器を通して組成物を見ることができる無色のもの及び有色のものの両方を挙げることができる。機器は、ある材料を含む。本発明に使用できる材料の非限定例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、配向ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートポリエステル(PETP)、ポリフェン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、本発明の材料はPETである。
【0014】
組成物
本発明の機器は、好ましくは組成物を含有する。本発明の組成物は、本明細書に記載される材料で製造された機器中に置かれる場合に安定になる。本発明の組成物は、フェニレフリン、フェニレフリン遊離形態及び付加塩形態、並びにこれらの混合物を含む。フェニレフリンの非限定塩としては、塩酸フェニレフリン、及びフェニレフリン臭化水素酸塩が挙げられる。
【0015】
本発明の組成物は、組成物の一回用量あたり、約0.0001mg〜約60mgの範囲のフェニレフリン、約0.01〜約30mg、約0.01〜約20mg及び約5mg〜約10mgのフェニレフリンの量を含んでもよい。非限定例として、本発明の実施形態は、一回用量あたり約10mgのフェニレフリンを含んでもよい。本発明の別の実施形態は、一回用量あたり約5mgのフェニレフリンを含んでもよい。
【0016】
本発明の組成物は、組成物の約0.0001重量%〜約2重量%、約0.0001重量%〜約1重量%、約0.001重量%〜約0.5重量%、及び或いは約0.01重量%〜約0.25重量%の範囲のフェニレフリン量を含んでもよい。
【0017】
本発明の組成物は、組成物が、約2〜約6.5、約2〜約5、約3.5〜約5、及び約4〜約5のpHを有する場合に向上した安定性を達成できる。非限定例として、本発明の組成物は、こうしたpHを達成及び維持するために1以上の酸味料を含んでもよい。酸性度は、既知及び従来の方法によって必要な範囲内に調節及び維持できる。本明細書に用いられる酸味料は、組成物のpHを低下させるために組成物に添加される物質を意味する。
【0018】
有機及び無機食用酸は、本明細書の組成物のpHを調節するために使用されてもよい。酸は、その解離していない形態で、又は別の方法としては、それぞれの塩として、例えば、リン酸水素カリウム又はリン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム又はリン酸二水素ナトリウムなどの塩として存在することができる。代表的な酸は、食用有機酸であり、それらとしては、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸、グルコン酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0019】
本発明の組成物は、実質的にアルデヒドを含まないのが好ましい。本明細書で使用する時、アルデヒドを実質的に含まないとは、組成物が組成物の約0.1重量%未満、或いは約0.05重量%未満、或いは約0.01重量%未満の全アルデヒド(すなわち少なくとも1つのアルデヒド系部分を含有する化合物)を含むことを意味する。本発明者らが見出したように、本発明の組成物を製造時にアルデヒドを実質的に含まないように処方すると、保管状態にある組成物中にて、ある程度のアルデヒドが形成される可能性を相殺する。
【0020】
アルデヒドは、当業者に周知の化合物である。香味料は、消費者の受入れを改善するために健康製品に使用されることが周知であり、こうした香味料の多くは構造上アルデヒド系である。例えば、チェリーフレーバを特徴とする化合物としては、ベンズアルデヒド及びp−トリルアルデヒドが挙げられる。しかし、本発明者らは、これらの同じ香味料が、多くの場合、本明細書において使用されるフェニレフリンの分解をも引き起こすことを見出した。
【0021】
本発明者らは、本明細書に規定されるようにアルデヒドを実質的に除去することにより、得られる組成物を大いに安定化することを見出した。
【0022】
追加の医薬活性物質
本発明の組成物はまた、少なくとも1つの追加の医薬活性物質を含むことができる。医薬活性物質は、当業者が簡単に知ることのできるものであり、そのようなものとして、活性物質は、本明細書に与えられる説明に束縛されない。追加の医薬活性物質の非限定例としては、鎮咳剤、抗ヒスタミン剤、非鎮静性抗ヒスタミン剤、鬱血除去剤(decongestant)、去痰剤、鎮痛剤、解熱抗炎症剤、局所麻酔剤、抗炎症剤、鎮痛薬、薬草療法剤(herbal remedies)、ビタミン、栄養補助食品、酸化防止剤、天然成分、鉱物、エネルギー増強成分、睡眠補助薬、及び免疫系増強成分、及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0023】
追加の医薬活性物質の非限定例としては、デキストロメトルファン、アセトアミノフェン、エフェドリン、プソイドエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、イブプロフェン、アスピリン、ケトプロフェン、グアイフェネシン、アンボロキシル、ブロムヘキシン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、ドキシルアミン、トリプロリジン、クレマスチン、ピリラミン、プロメタジン、セチリジン、ロラタジン、オキシコドン、ヒドロコドン、ナプロキセン、ブロムフェニルアミン、カルビノキサミン、カフェイン、ベンゾナテート、フェニルアミン、フェンタニール、アザタジン(azatedine)、デスロラタジン、カルバマゼピン、ブプレノルフィン、ヒドロモルフォン、インドメタシン、オキシモルフォン、フェノール、コデイン、メサラミン、ジクロフェナク、スリンダク、ベクロメタゾン(beclomethaxone)、メロキシカム、フェノプロフェン(fenoproten)、モメタゾン、メントール、ベンゾカイン、ジピリダモール、メトスコポラミン、その遊離及び付加塩形態、カモミール、パッションフラワー、ビタミンC、ビタミンD、Bビタミン、エキナシア、メラトニン、緑茶、クルクミン、亜鉛、セレン、カルシウム、ガラナ、プロバイオティクス菌及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
好ましくは追加の医薬活性物質としては、デキストロメトルファン、アセトアミノフェン、ドキシルアミン、及びグアイフェネシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明の組成物は、組成物の一回用量あたり、それぞれ約0mg〜約1,000mgの範囲の少なくとも1つの追加の医薬活性物質、或いはそれぞれ約2.5mg〜約750mg及び或いは約5mg〜約650mgの範囲の少なくとも1つの追加の医薬活性物質の量を含んでもよい。
【0026】
本発明の組成物は、組成物の約0重量%〜約15重量%、或いは0.0001重量%〜約10重量%、或いは約0.001重量%〜約7重量%、及び或いは約0.01重量%〜約5重量%の範囲の量の追加の医薬活性物質を含んでもよい。
【0027】
甘味剤
本発明の組成物は、甘さを提供するために、及び医薬活性物質(単数又は複数)の味をマスキングするのを助けるために、並びにある程度のコク(body)及び濃さ(thickness)を提供するために甘味剤を含んでもよい。甘味剤が本発明の組成物に存在する場合、組成物は、組成物の約0.0001重量%〜約30重量%の甘味剤、約0.0001重量%〜約20重量%の甘味剤、或いは約0.0001重量%〜約10重量%の甘味剤、約0.0001重量%〜約2重量%の甘味剤及び或いは約0.05重量%〜約1.0重量%の甘味剤を含んでもよい。本発明の甘味剤は、人工甘味剤及び/又は天然甘味剤であることができる。
【0028】
人工甘味剤の非限定例は、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、タウマチン、ネオテーム、シクラメート(cyclamates)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一般に、こうした人工甘味剤は、本発明のような甘味組成物に使用される場合、固体である。
【0029】
人工甘味剤が本発明の組成物に存在する場合、組成物は組成物の約0.0001重量%〜約5重量%の人工甘味剤、約0.0001重量%〜約3.5重量%の人工甘味剤、或いは約0.0001重量%〜約2.0重量%の人工甘味剤、或いは約0.0001重量%〜約1.0重量%の人工甘味剤及び或いは約0.05重量%〜約1.0重量%の人工甘味剤を含んでもよい。
【0030】
天然甘味剤の非限定例としては、スクロース、フルクトース、グルコース、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、及びマンニトール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。液体形態であることが多いスクロース、又はテーブルシュガーを使用してもよい。しかし、スクロースはその構成糖、すなわちグルコース及びフルクトースに加水分解し得る。グルコースはアルデヒドであり、そのため本明細書に用いるのに望ましくない場合がある。しかし、本発明者らは、フェニレフリンに対する甘味剤の影響が従来のアルデヒド含有香味料及び香料の場合よりも小さいことを本明細書で見出した。それでもなお、審美剤(aesthetic agent)を使用する場合、非アルデヒド系審美剤(non-aldehydic aesthetic agent)を含むことに加えて、低濃度の甘味剤が使用されると、安定性が改善され得るので、本明細書に記載されるように、組成物は実質的にアルデヒドを含まないままである。単糖類に加水分解し難い相対的に高純度等級の甘味剤は、同様にアルデヒド濃度を低下させるのを助ける。高フルクトースコーンシロップもアルデヒドを含有するので望ましくはないが使用できる。
【0031】
本発明の組成物は、天然甘味剤、例えばスクロースを含有できる。天然甘味剤が液体溶液で存在する場合、天然甘味剤は天然甘味剤溶液の約5重量%〜約30重量%、及び或いは約10重量%〜約25重量%の範囲で存在し、ここで天然甘味剤溶液は、天然甘味剤溶液の約15重量%〜約20重量%を構成できる。天然甘味剤が液体溶液では存在しない場合、天然甘味剤は組成物の約4重量%〜約20重量%、及び或いは組成物の約8重量%〜約17重量%の範囲で存在し、ここで天然甘味剤溶液は組成物の約10重量%〜約13重量%を構成できる。
【0032】
追加成分
呼吸器疾患及び症状の治療製品に通常関連する幾らか又は全ての構成成分は、必要に応じて、又は本明細書において追加成分として使用することができる。追加成分の非限定例には、溶媒、還元剤、塩化物塩、非アルデヒド系審美剤、冷却剤、着色剤、防腐剤、芳香剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
溶媒
本発明の組成物は、溶媒を含むことができる。1つの実施形態では、溶媒は、水溶性又は水混和性である。本明細書で使用する時、溶媒とは、フェニレフリン及び/又は他の医薬活性物質(単数又は複数)を溶解するために使用される物質を意味する。溶媒の非限定的な例は、水、プロピレングリコール、エタノール、グリセロール、ソルビトール、及びこれらの混合物から選択され得る。
【0034】
1つの実施形態では、溶媒は、水、プロピレングリコール、エタノール、ポリエチレングリコール(PEG)、及びこれらの混合物から選択される。本発明の特定の製品形態に有用であり得る溶媒の混合物もある。例えば、製品形態が、エリキシル剤、液体充填カプセル又は液体充填トローチ剤である場合、溶媒は、所望によりプロピレングリコール、エタノール、及び水の混合物であり得る。更に、例えば、製品形態が液体充填カプセル、又は液体充填トローチ剤である場合、溶媒は所望によりPEG又は水であってよい。
【0035】
混合物を作る各溶媒のレベルは、活性物質(単数又は複数)の溶解度、及び配合者によって求められる審美的効果に依存する。例えば、本発明の組成物について、組成物は、所望により、組成物の約40重量%〜約95重量%の総溶媒、又は約50重量%〜約90重量%、又は約60重量%〜約85重量%の総溶媒を含んでよい。
【0036】
キレート剤
本組成物は、所望によりキレート剤を含んでよい。微量の重金属イオンは、最終組成物の安定性を危うくし得る自動酸化反応に触媒作用を及ぼし得ることが見出された。
【0037】
したがって、組成物は、所望によりキレート剤を含んでよい。キレート剤は、当事者には周知である。キレート剤の非限定的な例としては、これらに限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の二ナトリウム塩及びカルシウム塩、EDTA四ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)、クエン酸、リン酸(phosporic acid)、ジ(ヒドロキシエチル)グリシン、8−ヒドロキシキノリン、並びにこれらの混合物が挙げられる。鉄と錯体を形成したガラクトマンナンのような3価金属キレート剤もまた、有用であり得る。
【0038】
本明細書の組成物がキレート剤を含む場合、組成物は、所望により組成物の約0.0001重量%〜約1重量%のキレート剤、或いは約0.001重量%〜約0.5重量%、或いは約0.01重量%〜約0.3重量%のキレート剤を含んでよい。
【0039】
還元剤
本組成物はまた、所望により還元剤を含んでもよい。還元剤を含むことは、本発明において使用される医薬活性物質に対して有益な化学的安定効果を及ぼし得る。したがって、本組成物において有用な還元剤は、選択された活性物質及びその溶解度に依存する。
【0040】
本明細書で使用する時、還元剤は、酸化から保護することを目的としている医薬活性物質又は他の補助剤よりも低い酸化還元電位を有する物質である。したがって、還元剤は、医薬活性物質又は他の補助剤よりも容易に酸化し、酸化剤の存在下で有効である。
【0041】
還元剤は「電極電位値」を有する。電極電位値は、ネルンストの式によって定義され、標準電気化学の対照セルを使用して測定される。したがって、得られる値は、「標準電極電位」、又はEと呼ばれ、ボルト(V)で測定される。異なる物質について標準電極電位を比較することは、異なる還元剤の効果を評価することに使用できる。
【0042】
本発明において有用な還元剤は、所望により、約−0.119V超過、或いは約−0.119V〜+0.250VのE値を有し得る。実例となる還元剤は、ナトリウム塩及びカリウム塩を含むメタ重亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、ジチオトレイトール、チオ尿素、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸、第三級ブチルヒドロキノン(TBHQ)、アセチルシステイン、ヒドロキノン、それらの塩、並びにこれらの混合物から選択される。
【0043】
還元剤を利用する場合、本組成物は、組成物の約0.001重量%〜1重量%、或いは約0.01重量%〜約0.5重量%、或いは約0.05重量%〜約0.1重量%の還元剤を含んでよい。
【0044】

本組成物は、所望により塩化物のような塩を含んでよく、これは、電位安定性効果を提供することが更に発見された。非限定的な例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
組成物が塩を含む場合、組成物は任意に組成物の約0.0001重量%〜約2重量%、或いは約0.25重量%〜約1重量%の塩を含んでもよい。こうした塩は、医薬活性物質の塩酸塩からの医薬活性物質の解離を遅らせ得る。例えば、塩化物塩が存在することにより、塩酸フェニレフリンからのフェニレフリンの解離を遅らせる。
【0046】
非アルデヒド系審美剤
本発明の組成物はまた、任意に非アルデヒド系審美剤を含んでもよい。審美的に許容可能な組成物を提供するのが望ましい場合、本発明は更に、高濃度のアルデヒドを含有する通常の香味料及び香料に代わる選択肢を提供する。こうした選択肢は本明細書にて非アルデヒド系審美剤と呼ばれる。
【0047】
本発明者らは、チェリーやその他の所望の香味といった匂い及び味をもつ香味料を処方するために、通常の香味料及び香料を非アルデヒド系審美剤、例えばエステル、ケトン及びアルコールからなる群から選択される香味料構成成分、また更に甘味剤及びこれらの混合物で置き換えることができることを見出した。
【0048】
更なる例として、本発明の組成物は、非アルデヒド系審美剤、例えば酪酸エチル、ベンジルアセテート、ベンジルブチレート、アリルイソバレレート、アリルカプロエート、エチル−2−酪酸メチル、エチルメチルフェニルグリシデート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるエステルを含んでもよい。本発明の組成物は任意に、組成物の約0.0001重量%〜約5重量%、或いは約0.01重量%〜約2重量%、及び或いは約0.025重量%〜約1.5重量%の非アルデヒド系審美剤を含有していてもよい。これらの果物香味のエステルを利用することにより、チェリー及びベリーフレーバに似た香味を容易に生じさせることができる。香味料のコク(body)もその特性を呈し、持続させるために重要であり得る。イオノンのようなケトンを使用することはこの目的に有用である。例えば、オキサノン(4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、ラズベリーケトン)は微量のイオノンと共に使用することにより、こうしたコク(body)を提供できる。
【0049】
更なる例として、シス−3−ヘキセノール及びトランス−2−ヘキセニルアセテートのような化合物が香味料に加えられてもよい。フラネオール及びマルトールはキャンディ様のニュアンスを与えることができる。更に、本発明の組成物は任意に、着香料として低アルデヒドジュース濃縮物を含んでもよい。
【0050】
本発明の方法
更なる実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるような組成物を治療が必要な哺乳類に経口投与することを含む呼吸器疾患を治療するための方法を対象とする。本明細書で使用する時、「呼吸器疾患」という用語は、広範囲の呼吸器の病気を包含し、それにはウィルス感染、例えばインフルエンザ及び一般的な風邪、並びにアレルギー、副鼻腔炎、鼻炎などが含まれる。更に本明細書で使用する時、呼吸器疾患に関する「治療」とは、言及した組成物の投与により、呼吸器疾患の1以上の症状又は呼吸器疾患自体を予防、軽減、改善、防止又は緩和するか、或いは治療が必要な哺乳類被検体、好ましくはヒトの呼吸器疾患に関するいずれかの同様の効果を意味する。
【0051】
本発明はまた、例えば哺乳類が呼吸器疾患にかかりやすくなっているが、まだ呼吸器疾患であるとは診断されていない場合に、呼吸器疾患又はその関連する症状が哺乳類に生じるのを予防する、呼吸器疾患又はその関連する症状を防止する、及び/又は呼吸器疾患若しくはその関連する症状を軽減、逆転、若しくは治療することを含む予防方法を対象とする。本発明の方法が呼吸器疾患を予防することを対象とする限りは、「予防」という用語は呼吸器疾患を完全に妨げることを必要としないことを理解する。むしろ、本明細書で使用する時、「予防」などの用語は、言及する組成物の投与が疾患に関連する症状が出始める前に行われてもよいように、呼吸器疾患に対する感染性を(例えば、冬の間ヒトに対して)同定する当業者の能力を参照とする。
【0052】
本発明はまた、哺乳類のエネルギーを増強し、免疫系を増強する組成物を含む回復方法を対象とすることができる。
【0053】
呼吸器疾患は、種々の症状のいずれか、例えば鼻水、鼻腔及び胸部鬱血、咳、くしゃみ、圧痛(pressure)、頭痛、痛み、発熱、咽頭炎としてが現れる場合がある。治療される哺乳類はヒトであってよい。
【0054】
本明細書で使用する時、哺乳類に関して「経口投与」という用語は、哺乳類が1以上の本発明の組成物を摂取する、又は摂取するように指示される、又は実に摂取することを意味する。ヒトが組成物を摂取するように指示される場合、こうした指示は、そのヒトに組成物の使用が呼吸器疾患を和らげる(例えば、一時的又は永続的な症状緩和)、例えば鬱血を和らげ得る又は和らげるであろうことを指示又は知らせるものであってよい。例えば、そのような指示は、口頭指示(例えば、医師、薬剤師、若しくは他の保健専門家からの口頭指導を通じた指示)、ラジオやテレビ媒体(すなわち、広告)、又は書面での指示(例えば、医師、薬剤師、若しくは他の保健専門家からの書面による指示(例えば、手書きメモ)、専門販売員若しくは組織からの書面による指示(例えば、広告用チラシ、パンフレット、若しくは他の教育用品による指示)、文字媒体(例えば、インターネット、電子メール、若しくは他のコンピュータ関連媒体)を通じた指示、及び/又は、組成物に関連付けられたパッケージ(例えば、組成物を入れる容器上に存在するラベル)を通じた指示)であってよい。本明細書で使用する時、「書面」とは、言語、絵、記号、及び/又はその他の視覚的若しくは触覚的説明、例えば点字によるものを意味する。かかる情報は、本明細書で使用する例えば「呼吸器」、「疾患」又は「哺乳類」といった実際の語を使用する必要はなく、むしろそれと同一、又は類似の意味を伝達する言語、絵、記号等の使用が本発明の範囲内で考慮される。
【0055】
投与は、必要により又は所望により、例えば、1ヶ月に1回、1週間に1回、又は1日に1回であってもよく、1日に複数回を含み、例えば少なくとも1日に1回、1日に2回、1日に3回又は1日に4回以上であってもよい。
【0056】
投与される組成物の量は、哺乳類の健康の全般的な質、哺乳類の種類、年齢、性別、又は症状の重篤度を含む種々の要因に左右されてもよい。
【0057】
本明細書の1つの実施形態において、機器は哺乳類に投与される組成物を一回用量あたり、約5mL〜約50mLの組成物、或いは約10mL〜約30mLの組成物の総用量体積で送達する。
【0058】
キット
本発明はまたキットを含むことができる。本発明のキットは、機器中に含有される組成物を含むことができ、ここで前記組成物は、フェニレフリン、その遊離及び付加塩形態、並びにこれらの混合物からなる群から選択される医薬活性物質を含み、及び前記機器はポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール−変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、配向ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートポリエステル(PETP)、ポリフェン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0059】
キットは、少なくとも1つの追加の医薬活性物質を更に含んでもよい。キットはまた、フルサイズ、サンプルサイズ又はその両方で本発明の追加組成物を含んでもよい。キットは、機器内に含まれる、又は機器の外側に取り付けられる組成物と組み合わされる追加の組成物を更に含んでもよい。例えば、機器に含有される組成物が鬱血を軽減する組成物である場合、組み合わされる組成物は頭痛用であってもよい。同様に、機器中の組成物が鼻水、鼻腔及び胸部鬱血、咳、くしゃみ、圧痛(pressure)、頭痛、痛み、発熱又は咽頭炎用組成物である場合、組み合わされる組成物はビタミンであってもよい。キットは、クーポン、リベート又は広告を更に含んでもよい。キットは、一組の使用説明書を更に含んでもよい。これらの説明書はまた図を含んでもよい。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。それらは、例証の目的で与えられており、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0061】
(実施例)
以下に本発明の組成物の種々の非限定例を示す。
【表1】

米国ミズーリ州セントルイスのセンシエント・ファーマシューティカルズ・テクノロジー(Sensient Pharmaceuticals Tech)から入手可能なグリーン・シェード(Green Shade)。
【0062】
実施例1及び2は、まずプロピレングリコール、アルコール、及びグリセリンを清浄な容器に加えることによって製造できる。例えばアセトアミノフェン、デキストロメトルファン、及びドキシルアミンを含む追加の医薬活性物質(単数又は複数)、次いで香味料を加え、溶解するまで攪拌する。別の容器にて、水を添加し、フェニレフリン、着色剤、緩衝剤、甘味剤、及びEDTAを溶解する。水溶液をプロピレングリコール溶液に添加する。得られた組成物を甘味剤溶液及び追加の水と混合し、組成物が均質になるまで混合し、次いでPET材料で構成された機器中に入れる。
【表2】

日本、東京の高砂香料工業株式会社(Takasago International Corp.)から入手可能な冷却剤
米国ニュージャージー州デイトン(Dayton)のIFFから入手可能な香味料
米国ミズーリ州セントルイスのセンシエント・ファーマシューティカルズ・テクノロジー(Sensient Pharmaceuticals Tech)から入手可能な着色剤
【0063】
実施例3及び4は、まずプロピレングリコール、及びアルコールを清浄な容器に加えることによって製造できる。例えばアセトアミノフェン及びデキストロメトルファンを含む追加の医薬活性物質(単数又は複数)、次いで香味料を加え、溶解するまで攪拌する。別の容器にて、水を添加し、フェニレフリン、着色剤、緩衝剤、及び甘味剤を溶解する。水溶液をプロピレングリコール溶液に添加する。得られた組成物をスクロース甘味剤溶液及び追加の水と混合し、組成物が均質になるまで混合し、次いでPET材料で構成された機器中に入れる。
【表3】

【0064】
実施例5及び6は、まずプロピレングリコール、及び水を清浄な容器に加えることによって製造できる。例えばアセトアミノフェン及びデキストロメトルファンを含む追加の医薬活性物質(単数又は複数)、次いで香味料を加え、溶解するまで攪拌する。別の容器に、水を加えてCMCナトリウムを水和し、フェニレフリン、着色剤、緩衝剤、甘味剤、防腐剤、塩化ナトリウム及びEDTAを溶解する。水溶液をプロピレングリコール溶液に添加する。得られた組成物をスクロース甘味剤溶液、ソルビトール、グリセリン及び追加の水と混合し、組成物が均質になるまで混合し、次いでPET材料で構成された機器中に入れる。
【0065】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0066】
本発明の特定の実施形態を説明及び記述してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々なその他の変更及び修正を行えることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明機器であって、機器中に含有される組成物を含み、前記組成物が、フェニレフリン、その遊離及び付加塩形態、並びにこれらの混合物からなる群から選択される医薬活性物質を含み、及び前記機器が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール−変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、配向ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートポリエステル(PETP)、ポリフェン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含み、好ましくは前記材料がポリエチレンテレフタレート(PET)である、透明機器。
【請求項2】
前記組成物が、2〜6.5、好ましくは2〜5のpHを有する、請求項1に記載の透明機器。
【請求項3】
前記組成物の0.0001重量%〜2重量%の医薬活性物質を含む、請求項1又は2に記載の透明機器。
【請求項4】
前記組成物が甘味剤を更に含み、前記甘味剤が人工甘味剤を含み、前記人工甘味剤がサッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、タウマチン、ネオテーム、シクラメート、及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記組成物が前記組成物の0.0001重量%〜1重量%の前記人工甘味剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明機器。
【請求項5】
前記組成物が少なくとも1つの追加の医薬活性物質を更に含み、前記追加の医薬活性物質が、鎮咳剤、抗ヒスタミン剤、非鎮静性抗ヒスタミン剤、鬱血除去剤、去痰剤、鎮痛剤、解熱抗炎症剤、局所麻酔剤、抗炎症剤、粘滑剤、薬草療法剤、ビタミン、栄養補助食品、酸化防止剤、天然成分、鉱物、エネルギー増強成分、睡眠補助薬、及び免疫系増強成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明機器。
【請求項6】
前記組成物がキレート剤を更に含み、前記キレート剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA四ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)、クエン酸、リン酸、ジ(ヒドロキシエチル)グリシン、8−ヒドロキシキノリン、これらの塩及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記組成物が前記組成物の0.0001重量%〜2重量%の前記キレート剤を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明機器。
【請求項7】
前記組成物が、溶媒、還元剤、非アルデヒド系審美剤、塩化物塩、冷却剤、着色剤、防腐剤、芳香剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される追加成分を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明機器。
【請求項8】
前記機器が一回用量あたり5mL〜50mLの前記組成物を送達する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の透明機器。
【請求項9】
前記組成物が1日あたり少なくとも1回投与される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の透明機器。
【請求項10】
機器に含有される組成物を含むキットであって、前記組成物が、フェニレフリン、その遊離及び付加塩形態、並びにこれらの混合物からなる群から選択される医薬活性物質を含み、前記機器が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール−変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、配向ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートポリエステル(PETP)、ポリフェン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含むキット。
【請求項11】
一組の使用説明書を更に含む、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記組成物が少なくとも1つの追加の医薬活性物質を更に含む、請求項10又は11に記載のキット。
【請求項13】
前記キットが少なくとも1つの追加の医薬活性物質を更に含む、請求項10、11、又は12のいずれか一項に記載のキット。

【公表番号】特表2009−535305(P2009−535305A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506029(P2009−506029)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051470
【国際公開番号】WO2007/122581
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】