説明

呼気エタノール濃度測定システム並びに接触燃焼式ガスセンサ及び呼気採取袋

【課題】 適宜容易に移動できて、取扱いが簡単であり、被験者の呼気に含まれるエタノール濃度を正確に測定する、呼気エタノール濃度測定システム並びにこのシステムに用いる接触燃焼式ガスセンサ及び呼気採取袋を提供する。
【解決手段】 導電性コイルにエタノールに反応する第一の燃焼触媒を被覆してなる検知素子と、検知素子と同一の材質及び同一の形状の導電性コイルにエタノールに反応しない第二の燃焼触媒を被覆してなる補償素子を配置した測定素子部27を有する接触燃焼式ガスセンサ20と、被験者から採取した呼気14を収容し、保存する本体6と、本体6の外部6aから内部6bに測定素子部27を導入するための測定素子部導入路7とからなる呼気採取袋5とを備えた呼気アルコール濃度測定システム1などにより、課題を達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適宜容易に移動することができて、取扱いが簡単であり、調査対象となる被験者の呼気に含まれるエタノール濃度を正確に測定することができると共に、飲酒後の運転や機械操作をも効果的に防止することが可能となる呼気エタノール濃度測定システム並びにこのシステムに用いる接触燃焼式ガスセンサ及び呼気採取袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、警察による飲酒運転の取り締まりが強化されているにもかかわらず、自動車、飛行機、船舶、電車等の運転者が飲酒運転を行い、大惨事を巻き起こすケースが後を絶たない。また、飲酒後に機械操作を行う者も少なくなく、事故に至るケースも生じている。
【0003】
被験者の呼気に含まれるエタノールの濃度を測定する機器として、ガスクロマトグラフが挙げられる。ガスクロマトグラフは、正確であるという利点があるものの、装置が高価かつ大型であること、装置を適宜移動することが困難であること、取扱いが面倒であり、誰にでも簡単に使用することができないこと、連続的に正確な測定値を得ることができないことなどの欠点がある。
【0004】
被験者の呼気に含まれるエタノールの濃度を測定する機器として、ガスセンサも挙げられる。ガスセンサは、装置が、小型で、適宜移動することが可能であること、取扱いが容易であることなどのガスクロマトグラフにない利点がある。ガスセンサは、半導体式ガスセンサと接触燃焼式ガスセンサに大別される。
【0005】
半導体式ガスセンサは、低濃度のガス成分を高感度で測定することが可能であるという利点がある反面、感知するガス成分の選択性に劣り、使用範囲が限定されること、濃度上昇に伴い飽和に達して測定不能になること、吸着成分の除去再生が難しいこと等の欠点がある。
【0006】
一方、接触燃焼式ガスセンサは、感知するガス成分の選択性に優れ、吸着成分の除去再生も容易であるため、特定のガス成分を選択的に感知する場合には適するが、低濃度のガス成分の測定には感度が不足するため、低濃度のガス成分に対する接触燃焼式ガスセンサの感度を高める技術が種々検討されている。
【0007】
例えば、特許文献1には、Ni−Rh又はPt−Niから検知素子及び/又は補償素子に使用するコイルを形成した接触燃焼式アルコールセンサが開示され、特許文献2には、10〜40μmのFe−Pd合金線に、Ptブラック−Al又はPdO−Al或いはPtブラック・PdO−Alの触媒を電着してなる接触燃焼式センサであって、140〜160℃を設定温度として使用することを特徴とする低濃度用メタノールセンサが開示されている。
【特許文献1】特開昭62−42043号公報
【特許文献2】特許第3023832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された接触燃焼式アルコールセンサでは、依然として低濃度のエタノールガスの測定感度が不十分であるという問題点があり、特許文献2に記載された低濃度用メタノールセンサは、低濃度のメタノールを高精度で測定することは可能であるが、検知素子に使用されている触媒から予測すると、低濃度のエタノールを高精度で測定することは困難であると考えられる。
【0009】
一方、被験者がマウスピースなどに直接息を吹きかける従来の方法では、被験者の吹きかける時間や息の吹き方により、呼気の量が不安定となるため、採取可能となる呼気の量が著しく変化することから、被験者から採取した呼気に含まれるエタノール濃度を正確に測定することができなくなってしまうという問題点があった。
【0010】
また、接触燃焼式ガスセンサに用いられる検知素子は、風の影響を受けやすく、風を受けることにより、抵抗値が変動するという現象が発生する。それ故、被験者がマウスピースなどに直接息を吹きかける従来の方法では、被験者が勢いよく息を吹きかけた場合には、被験者から採取した呼気が相当の風力で検知素子に当たるため、検知素子の抵抗値が変動してしまい、被験者から採取した呼気に含まれるエタノール濃度を正確に測定することができなくなってしまうという問題点もあった。
【0011】
さらに、被験者がマウスピースなどに直接息を吹きかける従来の方法では、1つのマウスピースなどを複数人で使用する場合も多く、このような場合には、マウスピースなどを毎回しっかり洗浄しなければ、衛生的でなく、他人の残留呼気の影響を受けてしまうこともあり得るという問題点もあった。
【0012】
本発明の目的とするところは、適宜容易に移動することができて、取扱いが簡単であり、被験者の呼気に含まれるエタノール濃度を、ガスクロマトグラフと同程度に、正確に測定することができる、呼気エタノール濃度測定システム並びにこのシステムに用いる接触燃焼式ガスセンサ及び呼気採取袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発明者は、前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、導電性コイルにエタノールと反応する第一の燃焼触媒を被覆してなる検知素子と、検知素子と同一の材質及び同一の形状の導電性コイルにエタノールと反応しない第二の燃焼触媒を被覆してなる補償素子を配置した測定素子部を有する接触燃焼式ガスセンサと、被験者から採取した呼気を収容する呼気採取袋とを備えた呼気アルコール濃度測定システムなどが上記目的を達成することを見出し、本発明をするに至った。
【0014】
即ち、本発明の第一の呼気アルコール濃度測定システムは、被験者から呼気を採取するために用いる呼気採取袋と、被験者から採取した呼気に含まれるエタノールの濃度を測定する接触燃焼式ガスセンサとを備えた呼気エタノール濃度測定システムであって、前記接触燃焼式ガスセンサは、導電性コイルにエタノールと反応する第一の燃焼触媒を被覆してなる検知素子と、該検知素子と同一の材質及び同一の形状の導電性コイルにエタノールと反応しない第二の燃焼触媒を被覆してなる補償素子とを配置した測定素子部と、該検知素子と、該補償素子と、ブリッジ抵抗とを用いて形成されるブリッジ回路と、該検知素子及び該補償素子を250〜350℃の所定の温度に維持する電圧制御部とを有し、前記呼気採取袋は、被験者から採取した呼気を収容し、保存する本体と、該本体の外部と内部とを連通するように設けられ、該本体の外部から内部に前記測定素子部を導入するための測定素子部導入路とからなり、前記測定素子部導入路は、前記本体の外部から内部に被験者の呼気を導入するための呼気導入路を貫通可能とし、該呼気導入路を前記測定素子部導入路から除去した後には、前記本体の内圧により前記本体の内部から外部への前記被験者の呼気の流出を防止する逆止機能を備えたものであることを特徴とする。
【0015】
本発明の好適形態においては、前記呼気採取袋は、前記測定素子部導入路を形成する材質の厚さが前記本体を形成する材質の厚さよりも肉厚である。
【0016】
また、本発明の第二の呼気アルコール濃度測定システムは、被験者から呼気を採取するために用いる呼気採取袋と、被験者から採取した呼気に含まれるエタノールの濃度を測定する接触燃焼式ガスセンサとを備えた呼気エタノール濃度測定システムであって、前記接触燃焼式ガスセンサは、導電性コイルにエタノールと反応する第一の燃焼触媒を被覆してなる検知素子と、該検知素子と同一の材質及び同一の形状の導電性コイルにエタノールと反応しない第二の燃焼触媒を被覆してなる補償素子とを配置した測定素子部と、該検知素子と、該補償素子と、ブリッジ抵抗とを用いて形成されるブリッジ回路と、該検知素子及び該補償素子を250〜350℃の所定の温度に維持する電圧制御部とを有し、前記呼気採取袋は、被験者から採取した呼気を収容し、保存する本体と、該本体の内部と連通するように設けられ、該本体の外部から内部に被験者の呼気を導入する呼気注入路と、該本体の外部から内部に前記測定素子部を導入するための測定素子部導入口とを有することを特徴とする。
【0017】
ここにいう導電性コイルの形状とは、コイルとして成形する金属線材の直径及び長さ並びに成形されたコイルの直径、ピッチ及び巻き数を指す。
【0018】
本発明の好適形態においては、前記呼気注入路は、前記本体の内圧により前記本体の外部に被験者から採取した呼気の流出を防止する第一の流出防止手段をさらに備えている。また、前記測定素子部導入口には、前記測定素子部を導入することにより開放状態となる第二の流出防止手段を接続する。さらに、前記第一の燃焼触媒は、酸化コバルトを含有してなる。なお、酸化コバルトには酸化銅を混合してもよい。
【0019】
本発明の接触燃焼式ガスセンサは、前記呼気エタノール濃度測定システムに用いるものである。
【0020】
本発明の呼気採取袋は、前記呼気エタノール濃度測定システムに用いるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の呼気エタノール濃度測定システムによれば、本発明の呼気採取袋を使用しているため、被験者から採取した呼気に含まれるエタノール濃度を低濃度から高濃度まで、ガスクロマトグラフと同程度に正確に測定することができるという利点がある。
【0022】
本発明の呼気エタノール濃度測定システムによれば、本発明の呼気採取袋を使用しているため、マウスピースなどに直接息を吹きかける従来の方法に比べ、検知素子が風の影響を受けず、検知素子の抵抗値が変動しないため、被験者の呼気に含まれるエタノール濃度を測定する際に生じ得る誤差を効果的に抑制することができ、マウスピースなどを使い回しする必要もなく、衛生的であるという利点がある。
【0023】
本発明の接触燃焼式ガスセンサは、適宜移動することが可能で、取扱いが容易であるという利点がある。
【0024】
本発明の呼気採取袋は、被験者から強制的に一定量の呼気を採取することができるという利点があり、本発明の呼気採取袋を使用することにより、接触燃焼式ガスセンサと離れた場所であっても、被験者から呼気を採取することができるようになるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の第一の呼気エタノール濃度測定システム1は、呼気採取袋5と、接触燃焼式ガスセンサ20とを備え(図1)、本発明の第二の呼気エタノール濃度測定システム2は、呼気採取袋10と、接触燃焼式ガスセンサ20とを備える(図2)。
【0026】
呼気採取袋5,10は、被験者から呼気を採取するために用いる。呼気採取袋5は、本体6と、測定素子部導入路7とからなり(図3)、呼気採取袋10は、本体11と、呼気注入路12と、測定素子部導入口13とからなる(図4)。
【0027】
本体6,11は、被験者から採取した呼気14を収容して保存する。本体6,11は、不使用時には平らに折り畳まれるが、被験者が息を吹き込むと、容易に拡がって、被験者から採取した呼気を収容して保存する。
【0028】
本体6,11、測定素子部導入路7、呼気注入路12及び測定素子部導入口13の材質は、伸縮性がなく、可撓性があり、かつガス透過性が低いものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの適宜の合成樹脂からなるフィルム、これらの合成樹脂フィルムの積層体、これらの合成樹脂と金属箔などの他の材料との積層体を例示することができるが、袋状とするため、熱融着性に優れ、被験者から採取した呼気14を封止する必要があるため、ガスバリア性に優れ、異物の混入を容易に認識するため、透明性のあるものが好ましい。なお、本体6,11、測定素子部導入路7、呼気注入路12及び測定素子部導入口13の材質は、製作コストという点を考慮すると、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
【0029】
本体6,11の形状は、特に限定されないが、例えば、被験者から採取した呼気14を収容した状態において、卵型、円筒状、矩形状、紡錘状等となる場合が挙げられる。
【0030】
本体6,11の容量は、被験者から採取した呼気14に含まれるエタノール濃度を低濃度から高濃度まで正確に測定する目的を達成するため、1000〜3000ミリリットルが適している。
【0031】
本体6,11を構成する場合には、例えば、2枚の又は筒状の合成樹脂フィルムをヒートシールし又は接着し、袋状にすればよいが、この方法に限定されない。
【0032】
測定素子部導入路7は、接触燃焼式ガスセンサ20の測定素子部27を本体6の外部6aから内部6bへ導入するためのものであり、呼気採取袋5の本体6の外部6aから内部6bに被験者の呼気を導入するための呼気導入路(不図示)を貫通可能とし、呼気導入路(不図示)を除去した後には、本体6の内圧により本体6の内部6bから外部6aへの被験者から採取した呼気14の流出を防止する逆止機能7aを備える。
【0033】
測定素子部導入路7の形状は、例えば、測定素子部27の損傷を防止するために設けられた円筒状の保護管28を、本体6の外部6aから内部6bへ導入して、保護管28の上面28aを本体6の内部6bの任意の位置に固定することができれば、特に限定されないが、必然的に保護管28の形状に左右される。
【0034】
不図示の呼気導入路としては、中空の管状物であれば特に限定されず、例えば、ストローなどが挙げられる。
【0035】
逆止機能7aは、呼気導入路(不図示)を測定素子部導入路7から除去した後、本体6の内圧により、被験者から採取した呼気14が本体6の内部6bから外部6aへ流出するのを防止する。逆止機能7aには、例えば、被験者から採取した呼気14を収納した本体6の内圧により、押し潰されるように閉じ、被験者から採取した呼気14の流出を防止するものが挙げられる。
【0036】
逆止機能7aを備えた測定素子部導入路7を形成する材質の厚さは、本体6を形成する材質の厚さよりも肉厚であるため、測定素子部導入路7を形成する材質の厚さが本体6を形成する材質の厚さよりも肉薄である場合に発生する、本体6の内圧により逆止機能7aの部分が本体6の外部6aに飛び出して、被験者から採取した呼気14が本体6の外部6aに漏れてしまう現象を防止し、被験者から採取した呼気14の流出を非常に効果的に防止することができる。
【0037】
呼気注入路12は、呼気採取袋10の本体11の外部11aと内部11bを連通するように設けられ、被験者から採取した呼気14を本体11の外部11aから内部11bに導入する。呼気注入路12は、被験者から採取した呼気14を本体11の外部11aから内部11bに導入する目的を達成することができれば、その構造は特に限定されない。呼気注入路12は、本体11と一体に作成してもよく、別部材として作成した後、本体11と一体化させてもよい。
【0038】
呼気注入路12は、被験者から採取した呼気14を採取してから直ちにエタノールの濃度を測定することができない場合であっても、被験者から採取した呼気14に含まれるエタノール濃度を正確に測定するため、本体11の内圧により本体11の外部11aに被験者から採取した呼気14の流出を防止する第一の流出防止手段12aを有するのが好ましい。第一の流出防止手段12aとしては、本体11の内部11bにおいて筒状に延びるように形成され、充填された被験者の呼気の圧力によって押し潰されるように閉じ、被験者から採取した呼気14の流出を防止する構造を例示することができるが、これに限定されず、本体11の内圧により本体11の外部11aに被験者から採取した呼気14の流出を防止する効果を発揮するものであればよい。
【0039】
また、第一の流出防止手段12aを有する呼気注入口12としては、例えば、図2に示すように、本体11の外部11aと内部11bを結ぶ経路を第一の流出防止手段12aとし、本体11の外部11aにおいて、ストロー12bの一端付近と第一の流出防止手段12aの一端を結合する構造を採用してもよく、本体11の外部11bと内部11aを結ぶ経路をストロー12bとし、本体11の内部11aにおいて、ストロー12bの一端付近と第一の流出防止手段12aの一端を結合する構造を採用してもよい。
【0040】
測定素子部導入口13は、接触燃焼式ガスセンサの測定素子部27を本体11の外部11aから内部11bへ導入するためのものである。測定素子部導入口13は、例えば、測定素子部27の損傷を防止するために設けられた円筒状の保護管28を、本体11の外部11aから内部11bへ導入して、保護管28の上面28aを本体11の内部11bの任意の位置に固定することができれば、その構造は、特に限定されないが、必然的に保護管28の形状に左右される。測定素子部導入口13は、呼気注入路12と同様に、本体11と一体に作成してもよく、別部材として作成した後、本体11と一体化させてもよい。
【0041】
測定素子部導入口13には、接触燃焼式ガスセンサ20と離れている場所であっても、被験者から採取した呼気14に含まれるエタノール濃度を測定することができるようにするため、保護管28を本体11の外側11aに導入することにより開放状態となる第二の流出防止手段13aを有するのが好ましい。第二の流出防止手段13aは、例えば、図2に示すように、測定素子部導入口13から本体11の内部11bに収容された被験者から採取した呼気14が漏れないように、測定素子部導入口13の出口先端付近にヒートシールする構造を例示することができるが、保護管28を本体11の内部11bに導入する前には密閉状態を維持して被験者から採取した呼気14が漏れず、保護管28を本体11の内部11bに導入した後には開放状態となるものであれば、その構造は特に限定されない。
【0042】
呼気注入路12と測定素子部導入口13とは、本体11の同一側面にあってもよく、異なる側面にあってもよく、反対の側面にあってもよい。
【0043】
なお、呼気採取袋5と呼気採取袋10は、被験者が採取した呼気14を収容するという点で同等の機能を有するが、呼気採取袋5は、呼気採取袋10に比べ、部品点数が少なくなるため、呼気採取袋10よりも安いコストで製造が可能であるという利点がある。
【0044】
接触燃焼式ガスセンサ20は、被験者から採取した呼気14に含まれるエタノールの濃度を測定する。接触燃焼式ガスセンサ20は、導電性コイル22にエタノールに反応する第一の燃焼触媒23を被覆してなる検知素子21(例えば、図6(a))と、検知素子21と同一の材質及び形状の導電性コイル22にエタノールに反応しない第二の燃焼触媒26を被覆してなる補償素子25(例えば、図6(b))を配置した測定素子部27(例えば、図7)と、ブリッジ回路31(例えば、図8)と、電圧制御部(不図示)とを有する。
【0045】
導電性コイル22を形成する材質としては、例えば、白金線、ニッケル線が挙げられる。導電性コイル22の形状としては、図3に示すように、コイル本体22aと、足部22b,22bとから構成されたものを例示することができる。足部22bは、コイル本体22aとつながり、コイル本体22aの最も上方にある外縁からの延長線22cよりもコイル本体22aから距離的に離れた位置に配置され、最も上方にある外縁からの延長線22cと平行の方向に延びている。ここで、足部22bと最も上方にある外縁からの延長線22cとの間隔は、導電性コイル22の直径の2〜4倍であるのが好ましい。なお、導電性コイル22は、両端にある足部22b,22bをピンに固着させ、可燃性ガスが酸化燃焼する際の燃焼熱によって抵抗の変化が生じる金属抵抗体として用いる。
【0046】
第一の燃焼触媒23には、エタノールに活性があるものを使用する。第一の燃焼触媒23としては、例えば、酸化コバルト、酸化スズ、白金、パラジウムが挙げられるが、被験者から採取した呼気14から低濃度のアルコール濃度を高精度で感知できるようにするため、酸化コバルトを含有してなるものが好ましい。ここにいう酸化コバルトは、一酸化コバルト(CoO)、四酸化三コバルト(Co)、二酸化コバルト(CoO)、三酸化二コバルト(Co)をいう。なお、酸化コバルトには、酸化銅(CuO)を混合してもよく、例えば、四酸化三コバルトと酸化銅は、モル重量比に換算すると、Co:CuO=4:1〜1:3にあるのが望ましい。
【0047】
導電性コイル22に第一の燃焼触媒23を円筒状に被覆する方法としては、例えば、以下に示すコーティング工程を行った後、以下に示す焼成工程を行うことが挙げられる。
【0048】
コーティング工程は、導電性コイル22をコーティング液に浸し、コーティングにより、導電性コイル22に第一の燃焼触媒23、コーティング樹脂及び担体の混合物を薄膜状に付着させる。コーティング液は、第一の燃焼触媒23、担体及びコーティング樹脂を含有してなる水溶液であって、それぞれの成分を所定の割合で混合する。各成分の構成割合(重量比)は、コーティング樹脂:(第一の燃焼触媒+担体)が60:40〜85:15であることが好ましい。焼成の際に酸化して孔となるコーティング樹脂の割合を比較的大きくすることで(最大85%程度)、貫通孔を含む比較的径が大きく深い孔24が多数形成され、担体内部に存在する第一の燃焼触媒23がより有効に活用できるようになる。担体は、エタノールに対し不活性な無機化合物である必要があり、通常、アルミナ(Al)を用いるが、シリカ(SiO)や酸化亜鉛(ZnO)などを用いてもよい。コーティング樹脂としては、例えば、酢酸ビニルとアクリル酸アルキルエステル(アクリル樹脂)の混合物が挙げられる。導電性コイル22を第一の燃焼触媒23、担体、コーティング樹脂が混合されたコーティング液に浸した後、導電性コイル22を陰極とし、所定時間、所定電圧を印加してコーティングする。このとき、電圧を間欠的に印加することが好ましい。電圧を間欠的に印加するのは、コーティング中のコーティング液の成分が一定濃度を保つための拡散時間を設けることができ、一定電圧を持続的に印加する場合と比較して、コーティング液成分の濃度むらを抑えることができるからである。なお、コーティング時間は、積算電力量に基づいて決定し、積算電力量が所定量になるように調整する。
【0049】
焼成工程は、第一の燃焼触媒23、コーティング樹脂及び担体の混合物を薄膜状に付着させた導電性コイル22を焼成する。焼成することにより、導電性コイル22に付着した担体に含まれるコーティング樹脂が酸化して分離するため、導電性コイル22に付着した混合物は、複数の孔24を有し、第一の燃焼触媒23を担持した担体に変化する。焼成は、空気(酸素)雰囲気中で外部から熱を加えると同時に、導電性コイル22に通電することによりコイルを加熱することで、内部からも加熱する。焼成は、コーティング樹脂を分離させるために必要な条件が設定される。好ましい焼成条件は、雰囲気温度500〜700℃、コイル印加電圧3〜5V、焼成時間10分以上である。雰囲気温度及び印加電圧を、上記条件以上にした場合には、導電性コイル22(ニッケル線の場合)が酸化を起こし、コイルの役割を果たさなくなってしまうため、好ましくなく、逆に、上記条件以下にした場合には、コーティング樹脂の燃焼が不十分となるため、好ましくないからである。なお、焼成工程を行った後の第一の燃焼触媒23は、担体と混合された状態で導電性コイル22に担持され、担体の表面に限らず、担体の内部にもほぼ均一に存在するようになると共に、担体の厚さが、0.1mm〜0.5mmとなり、担体からコーティング樹脂が除去されて、担体の表面には、貫通孔を含み、可燃性ガスと担体の内部に存在している第一の燃焼触媒23を接触可能とするのに十分な通気性を有する程度の大きさ、深さを有する多数の孔24が形成される(図6(a))。
【0050】
導電性コイル22に第一の燃焼触媒23を円筒状に被覆した検知素子21は、第一の燃焼触媒23を担持する担体の表面のみならず、担体内部に存在する第一の燃焼触媒23の接触燃焼を効率よく行うことできるため、接触燃焼が行われる領域が飛躍的に増大して、高濃度領域における検出可能範囲が拡大すると共に、担体の熱容量も下がり、低濃度領域における感度の向上が図られる。
【0051】
第二の燃焼触媒26には、エタノールに不活性であるものを使用する。第二の燃焼触媒26としては、例えば、γアルミナ、αアルミナ、酸化ニッケルが挙げられるが、温湿度補償という点から表面状態が似たようなものがよいという理由から、酸化ニッケル(例えば、NiO、Ni)を含有してなるものが好ましい。
【0052】
導電性コイル22に第二の燃焼触媒26を円筒状に被覆する方法は、導電性コイル22に第一の燃焼触媒23を円筒状に被覆する方法と同様の方法を採用することができる。
【0053】
図7に示すように、検知素子21と補償素子25とが配置された測定素子部27は、異物などによる損傷を防止するため、円筒状の保護管28内に設置される。保護管28の上面28aには、複数の開口部28bが設けられ、複数の開口部28bの内側には網目状のフィルタ28cが取付けられる。この網目状のフィルタ28cは、測定対象となる被験者の呼気中の異物が保護管内に侵入するのを防止し、被験者の呼気のみ矢示28dの方向に導入するためのものである。保護管28の下方には、図1及び図2に示すように、呼気採取袋10の測定素子部導入口13から保護管28を導入した後、測定素子部導入口13が保護管28から抜けにくくするため、円周状の凸部28eを設けてもよい。検知素子21及び補償素子25は、両端にある足部22b,22bを一対のピン27a,27aに固着して、電気的に絶縁される。
【0054】
ブリッジ回路31は、例えば、検知素子21と、補償素子25と、ブリッジ抵抗32a,32b,32cを用いて形成される(図8)。ブリッジ回路31はガスセンサ本体30内に配置される。なお、図8には検知素子21と補償素子25を直列に配置する例を示したが、検知素子21と補償素子25を並列に配置してもよい。
【0055】
検知素子21及び補償素子25は、導電性コイル22に通電することによって発熱するが、ガスセンサ本体30内に配置された電圧制御部(不図示)において、検知素子21及び補償素子25の電圧が制御され、250〜350℃の所定の温度に維持される。検知素子21及び補償素子25の温度が250℃未満では、測定対象ガスの燃焼が不十分になるため、ガスセンサの感度が低下する一方、検知素子21及び補償素子25の温度が350℃を超えると、導電性コイル22の寿命が短くなるだけでなく、不飽和炭化水素(たとえばプロピレン等)に対しても反応し、エタノールに対する感度も低下するからである。つまり、検知素子21及び補償素子25が250〜350℃の所定の温度に到達し安定した状態になると、エタノールの濃度を高精度で測定することが可能となる。
【0056】
呼気エタノール濃度測定システム1の場合には、呼気採取袋5の測定素子部導入路7から円筒状の保護管28(プローブ)を導入すると、呼気採取袋5に収容され、被験者から採取した呼気14(測定対象ガス)は、保護管28内に設置された測定素子部27に配置された検知素子21及び補償素子25に接触する。呼気エタノール濃度測定システム2の場合には、呼気採取袋10の測定素子部導入口13から円筒状の保護管28(プローブ)を導入し、第二の流出防止手段13aとしてのヒートシールを開放状態にすると、呼気採取袋10に収容され、被験者から採取した呼気14(測定対象ガス)は、保護管28内に設置された測定素子部27に配置された検知素子21及び補償素子25に接触する。
【0057】
そして、検知素子21にある第一の燃焼触媒23はエタノールに反応するが、補償素子25にある第二の燃焼触媒26はエタノールに反応しないため、検知素子21にある第一の燃焼触媒23の表面でエタノールが燃焼して、検知素子21の温度が電圧制御部によって維持される温度よりも上昇する一方、補償素子25の温度は、電圧制御部によって一定に維持される。つまり、検知素子21と補償素子25の温度差は、エタノールが燃焼するか否かによって発生する。ここで、検知素子21の温度が変化すれば、その抵抗値も変化するため、検知素子21の温度上昇に起因する抵抗値の変化をブリッジ回路31によって検出することにより、被験者から採取した呼気14に含まれるエタノール濃度が正確に測定される。
【0058】
以上に説明した原理により、本発明の呼気エタノール濃度測定システムは、被験者から採取した呼気に含まれるエタノールの濃度を正確に測定することが可能となる。
【実施例】
【0059】
(実施例1)接触燃焼式ガスセンサの製作
直径0.018mm、長さ55mmのニッケル線を使用して、コイル径0.8mm、ピッチ0.1mm、巻き数22とし、図5に示す足部を有する導電性コイルを作成した。
【0060】
この導電性コイルに、以下のコーティング工程を行った後、以下の焼成工程を行い、円筒状(外径1.2mm、内径0.2mm、長さ2.5mm)に形成した検知素子を作成した。つまり、コーティング液は、第一の燃焼触媒8.5重量%、担体6.0重量%、コーティング樹脂55.7重量%、水29.8重量%とする水溶液とした。コーティング樹脂は、酢酸ビニルとアクリル酸アルキルエステル(アクリル樹脂)の混合物とした。第一の燃焼触媒は四酸化三コバルト及び酸化銅の混合物(モル重量比で1:3)とした。担体はアルミナとした。コーティングは電圧を間欠的に印加して行った。即ち、最大電圧20V、周波数50Hzの交流電圧を印加して、電流値は20mAとし、印加時間は30秒とした。焼成工程は、雰囲気温度を500℃とし、コイル印加電圧を3V(コイル温度300℃)として、10分間焼成した。
【0061】
補償素子は、上述した検知素子と同一の材質及び同一の形状の導電性コイルを使用し、四酸化三コバルトと酸化銅の混合物(モル重量比1:3)の第一の燃焼触媒を、γアルミナと酸化ニッケルの混合物(モル重量比1:3)の第二の燃焼触媒に変えた以外は、上述した検知素子を作成した方法と同様の操作を繰り返して作成した。
【0062】
このようにして得られた検知素子と補償素子のそれぞれについて、素子の両端にある足部を一対のピンに固着して、円筒状の保護管(プローブ)内に設置された測定素子部に配置した。測定素子部はガスセンサ本体に接続し、検知素子と補償素子とブリッジ抵抗とで、図8に示すブリッジ回路を形成した。
【0063】
ガスセンサ本体には、検知素子及び補償素子の電圧を制御することにより、検知素子及び補償素子を250〜350℃の所定の温度に維持する電圧制御部と、測定値を表示するデジタル表示部と、測定値をプリントアウトする簡易プリント部を設置して、本発明となる接触燃焼式ガスセンサを製作した。
【0064】
(実施例2)図1に示す呼気採取袋の作成
ポリエチレンフィルムを筒状にした後、筒状のポリエチレンフィルムの四隅付近を切り落とすように、ヒートシールを4箇所行って、紡錘状の筒状物を形成し、その後、この紡錘状の筒状物の一方の開放端をヒートシールして、袋状物を形成した。
【0065】
これとは別に、上述した袋状物の材質であるポリエチレンフィルムの厚さよりも肉厚となる2枚の台形形状のポリエチレンフィルムについて、接触燃焼式ガスセンサにある円筒状の保護管の胴部に密着させ、かつ保護管の先端を本体の内部に維持できるようにするため、幅方向の両端をヒートシールして筒状にした後、出口方向の先端付近を密閉するようにヒートシールをして、測定素子部導入路を作成した。
【0066】
そして、測定素子部導入路を、他方の開放端から内部へ五分の三程度挿入した後、他方の開放端をヒートシールして、図1に示す本発明となる呼気採取袋を作成した。
【0067】
(実施例3)図2に示す呼気採取袋の作成
ポリエチレンフィルムを筒状にした後、筒状のポリエチレンフィルムの四隅付近を切り落とすように、ヒートシールを4箇所行い、紡錘状の筒状物を形成した。
【0068】
これとは別に、2枚の細長い長方形状のポリエチレンフィルムについて、幅方向の両端をヒートシールして、筒状にし、第一の流出防止手段としての逆止弁を作成した。また、2枚の台形形状のポリエチレンフィルムについて、接触燃焼式ガスセンサの円筒状の保護管の胴部に密着させ、かつ保護管の先端を本体の内部に維持できるようにするため、幅方向の両端をヒートシールして筒状にすると共に、出口方向の先端付近を密閉するようにヒートシールをし、第二の流出防止手段を設けて、測定素子部導入口を作成した。
【0069】
そして、逆止弁を、紡錘状の筒状物の一方の開放端から内部へ四分の三程度挿入すると共に、測定素子部導入口を、他方の開放端から内部へ五分の三程度挿入した後、両方の開放端をヒートシールし、第一の流出防止手段及び第二の流出防止手段を備えた本体を形成した。
【0070】
その後、本体の外部にある第一の流出防止手段の一端付近に、ポリプロピレン製のストローを、ビニールテープで結合して、呼気注入口とし、図2に示す本発明となる呼気採取袋を作成した。
【0071】
(試験例1)呼気採取袋に収容した被験者の呼気の漏れ試験
20代〜60代のパネラー15名に、実施例2と同様の操作を繰り返して作成した呼気採取袋を渡し、呼気採取袋の測定素子部導入路に被験者の呼気を導入するための呼気導入路(ストロー)を貫通させて、呼気採取袋の本体の外部にあるストローの一端に息を吹き込んでもらった。その後、呼気採取袋の測定素子部導入路から呼気導入路を除去して、パネラーの呼気の採取を完了した。
【0072】
その結果、いずれの呼気採取袋も、呼気導入路を除去した後、呼気採取袋の本体の内圧により、押し潰されるように閉じて、被験者から採取した呼気の流出を防止する逆止機能の効果が働き、パネラーから採取した呼気の漏れはなかった。
【0073】
これとは別に、パネラー15名に、実施例3と同様の操作を繰り返して作成した呼気採取袋を渡して、呼気注入路に息を吹き込んでもらい、パネラーの呼気を採取した。
【0074】
その結果、パネラーの全員が、実施例3と同様の操作を繰り返して作成した呼気採取袋の本体を膨らました後、呼気注入路から口を離すと、第一の流出防止手段としての逆止弁の効果が働き、いずれの呼気採取袋からも、パネラーから採取した呼気の漏れはなかった。
【0075】
(試験例2)エタノール測定試験
20代〜60代のパネラー15名に、ビール、焼酎、日本酒、ワインなどのアルコールと、焼き鳥、煮込み、刺身、唐揚げ、枝豆、冷奴、塩辛、お新香、焼肉などのつまみを自由に飲食してもらい、飲食開始から0時間後、1時間後、2時間後のそれぞれに、実施例3と同様の操作を繰り返して作成した呼気採取袋を渡して、息を吹き込んでもらい、パネラーの呼気を採取した。
【0076】
これとは別に、実施例2と同様の操作を繰り返して作成した呼気採取袋の本体に空気を充填して膨らました後、注射器でエタノールを呼気採取袋の本体の内側に注入し、その後、ドライヤーで暖めて、エタノールを気化させた。
【0077】
実施例1で製作した接触燃焼式ガスセンサのガスセンサ本体に設置された電圧制御部で、円筒状の保護管(プローブ)内に設置された検知素子及び補償素子の電圧を制御して、検知素子及び補償素子の温度をいずれも280℃付近に維持した。その後、各々の呼気採取袋について、測定素子部導入口から保護管を導入して、第二の流出防止手段(ヒートシール)を開放状態にし、実施例1で製作した接触燃焼式ガスセンサにより、各々の呼気採取袋中のエタノール濃度を測定した。
【0078】
また、これと同時に、サンプル採取用シリンジ(注射器)を用いて、膨らんだ各呼気採取袋の本体内にあるガスを採取し、カラムとして、GLサイエンス株式会社製のParapak Q 80/100を使用し、カラム層の温度を180℃で一定とし、サンプルインジェクション及び検出器の温度を100℃として、ガスクロマトグラフ分析計(GLサイエンス株式会社製、製品名GC323)により、各々の呼気採取袋中のエタノール濃度を測定した。
【0079】
同一サンプルについて、本発明の呼気エタノール濃度測定システムを用いて測定した値を縦軸とし、ガスクロマトグラフ分析計を用いて測定した値を横軸として、グラフ化した結果を図9に示す。
【0080】
その結果、本発明の呼気エタノール濃度測定システムで測定した値は、同一サンプルをガスクロマトグラフ分析計で測定した値と対比すると、偏差は±10%以内となった。
【0081】
これにより、本発明の呼気エタノール濃度測定システムは、被験者の呼気に含まれるエタノール濃度を低濃度から高濃度まで、ガスクロマトグラフと同程度に、正確に測定することができることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第一の呼気エタノール濃度測定システムの一実施形態の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の第二の呼気エタノール濃度測定システムの一実施形態の概略を示す斜視図である。
【図3】本発明の第一の呼気エタノール濃度測定システムに用いる本発明の呼気採取袋の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第二の呼気エタノール濃度測定システムに用いる本発明の呼気採取袋の一実施形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の接触燃焼式ガスセンサで使用する導電性コイルの一例を示す図である。
【図6】(a)本発明の接触燃焼式ガスセンサで使用する検知素子の一例を示す斜視図であり、(b)本発明の接触燃焼式ガスセンサで使用する補償素子の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明の接触燃焼式ガスセンサの測定素子部の一例の一部を示す断面図である。
【図8】本発明の接触燃焼式ガスセンサに用いるブリッジ回路の一例を示す回路図である。
【図9】同一サンプルについて、本発明の呼気エタノール濃度測定システムを用いて測定した値とガスクロマトグラフ分析計を用いて測定した値の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0083】
1 呼気エタノール濃度測定システム
2 呼気エタノール濃度測定システム
5 呼気採取袋
6 本体
6a 外部
6b 内部
7 測定素子部導入路
7a 逆止機能
10 呼気採取袋
11 本体
11a 外部
11b 内部
12 呼気注入路
12a 第一の流出防止手段
12b ストロー
13 測定素子部導入口
13a 第二の流出防止手段
14 被験者から採取した呼気
20 接触燃焼式ガスセンサ
21 検知素子
22 導電性コイル
22a コイル本体
22b 足部
22c 最も上方にある外縁からの延長線
23 第一の燃焼触媒
24 孔
25 補償素子
26 第二の燃焼触媒
27 測定素子部
27a ピン
28 保護管
28a 保護管の上面
28b 開口部
28c フィルタ
28e 凸部
30 ガスセンサ本体
31 ブリッジ回路
32a,32b,32c ブリッジ抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者から呼気を採取するために用いる呼気採取袋と、被験者から採取した呼気に含まれるエタノールの濃度を測定する接触燃焼式ガスセンサとを備えた呼気エタノール濃度測定システムであって、
前記接触燃焼式ガスセンサは、導電性コイルにエタノールと反応する第一の燃焼触媒を被覆してなる検知素子と、該検知素子と同一の材質及び同一の形状の導電性コイルにエタノールと反応しない第二の燃焼触媒を被覆してなる補償素子とを配置した測定素子部と、該検知素子と、該補償素子と、ブリッジ抵抗とを用いて形成されるブリッジ回路と、該検知素子及び該補償素子を250〜350℃の所定の温度に維持する電圧制御部とを有し、
前記呼気採取袋は、被験者から採取した呼気を収容し、保存する本体と、該本体の外部と内部とを連通するように設けられ、該本体の外部から内部に前記測定素子部を導入するための測定素子部導入路とからなり、
前記測定素子部導入路は、前記本体の外部から内部に被験者の呼気を導入するための呼気導入路を貫通可能とし、該呼気導入路を前記測定素子部導入路から除去した後には、前記本体の内圧により前記本体の内部から外部への前記被験者の呼気の流出を防止する逆止機能を備えたものであることを特徴とする呼気エタノール濃度測定システム。
【請求項2】
前記呼気採取袋は、前記測定素子部導入路を形成する材質の厚さが前記本体を形成する材質の厚さよりも肉厚であることを特徴とする請求項1に記載の呼気エタノール濃度測定システム。
【請求項3】
被験者から呼気を採取するために用いる呼気採取袋と、被験者から採取した呼気に含まれるエタノールの濃度を測定する接触燃焼式ガスセンサとを備えた呼気エタノール濃度測定システムであって、
前記接触燃焼式ガスセンサは、導電性コイルにエタノールと反応する第一の燃焼触媒を被覆してなる検知素子と、該検知素子と同一の材質及び同一の形状の導電性コイルにエタノールと反応しない第二の燃焼触媒を被覆してなる補償素子とを配置した測定素子部と、該検知素子と、該補償素子と、ブリッジ抵抗とを用いて形成されるブリッジ回路と、該検知素子及び該補償素子を250〜350℃の所定の温度に維持する電圧制御部とを有し、
前記呼気採取袋は、被験者から採取した呼気を収容し、保存する本体と、該本体の外部と内部とを連通するように設けられ、該本体の外部から内部に被験者の呼気を導入する呼気注入路と、該本体の外部から内部に前記測定素子部を導入するための測定素子部導入口とを有する
ことを特徴とする呼気エタノール濃度測定システム。
【請求項4】
前記呼気注入路は、前記本体の内圧により前記本体の外部に被験者から採取した呼気の流出を防止する第一の流出防止手段を有することを特徴とする請求項3に記載の呼気エタノール濃度測定システム。
【請求項5】
前記測定素子部導入口は、前記測定素子部を導入することにより開放状態となる第二の流出防止手段を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の呼気エタノール濃度測定システム。
【請求項6】
前記第一の燃焼触媒は、酸化コバルトを含有してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の呼気エタノール濃度測定システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の呼気エタノール濃度測定システムに用いる接触燃焼式ガスセンサ。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の呼気エタノール濃度測定システムに用いる呼気採取袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−107341(P2008−107341A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257984(P2007−257984)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(592120623)株式会社坂口技研 (9)
【Fターム(参考)】