説明

商品陳列装置

【課題】多量の商品の万引行為の可能性が高い行動と通常の買い物の可能性が高い行動とを識別可能な商品陳列装置を提供すること。
【解決手段】減少判定手段は、複数の陳列部アンテナのいずれかにおいて、今回検出した電磁波と、前回検出した電磁波と、が異なるものであることを条件に商品数が減少したと判定し、減少判定手段により商品数が減少したと判定したときに、今回検出した電磁波と、前回検出した電磁波と、が異なる陳列部アンテナの個数を同時減少個数nとして算出する同時減少個数算出手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗等に設置されて商品を陳列する商品陳列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品陳列棚から商品が取り出された際に報知を行うことで、万引きを事前に止めさせる商品陳列装置があり、この商品陳列装置では、各商品に取り付けられたRFIDタグを検出するためのアンテナを商品陳列棚に設け、検出されたRFIDタグの数を計数し、RFIDタグの数の計数がされる毎に、この今回計数値と前回のタグ検出動作に応じて計数された前回計数値とを比較して、今回計数値が前回計数値よりも少ない場合に、商品陳列棚から商品が万引きされたものとして報知器を鳴らすようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−79615号公報(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の商品管理装置(商品陳列装置)にあっては、所定期間に多量の商品を取り出すといった多量の商品の万引行為の可能性が高い行動だけでなく、1つもしくは少量の商品を商品陳列棚から取り出すといった通常の買い物の可能性が高い行動に対しても、今回計数値が前回計数値よりも少ないことにより報知器を鳴らしてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、多量の商品の万引行為の可能性が高い行動と通常の買い物の可能性が高い行動とを識別可能な商品陳列装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の商品陳列装置は、
個別に電磁波タグが取り付けられた複数の商品を陳列する商品陳列部と、前記電磁波タグが発する電磁波を検出するために前記商品陳列部に設けられた複数の陳列部アンテナと、該陳列部アンテナを用いて検出した前記電磁波および前回検出したときの前記電磁波に基づいて前記商品数が減少したか否かを判定する減少判定手段と、前記商品数が減少したとの判定に基づいて作動する報知手段と、を備えた商品陳列装置であって、
前記減少判定手段は、前記陳列部アンテナのいずれかにおいて、今回検出した前記電磁波と、前回検出した前記電磁波と、が異なるものであることを条件に前記商品数が減少したと判定し、
前記減少判定手段により前記商品数が減少したと判定したときに、前記今回検出した前記電磁波と、前記前回検出した電磁波と、が異なる前記陳列部アンテナの個数を同時減少個数として算出する同時減少個数算出手段と、
前記減少判定手段により前記商品が減少したと判定した回数を減少回数として算出する減少回数算出手段と、
前記減少判定手段により前記商品数が減少したと判定したときに、前記前回の商品数から前記今回の商品数を引いた値を同時減少個数として算出し、該同時減少個数を加算した値を総減少個数として算出する総減少個数算出手段と、
の少なくともいずれかを備え、
前記同時減少個数が所定の閾値以上となったとき、および/または、前記減少回数が所定の閾値以上となったとき、および/または、前記総減少個数が所定の閾値以上となったとき、に報知を行うと判定する報知判定手段をさらに備え、
前記報知手段は、前記報知判定手段が報知を行うと判定したときに作動する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、電磁波の時間変化が検出された陳列部アンテナを数えるだけの簡便な処理で商品の同時減少個数を算出でき、この同時減少個数に基づいて、商品数が所定の閾値以上減少したことを検出して報知を行うことができる。このため、所定の閾値以上の商品を離間させるといった多量の商品の万引行為の可能性が高い行動と、所定の閾値より少ない商品を離間させるといった通常の買い物の可能性が高い行動と、を識別可能な商品陳列装置を安価に提供することができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の商品陳列装置は、請求項1に記載の商品陳列装置であって、
前記商品陳列部には、複数の前記陳列部アンテナが左右方向に並設され、該各陳列部アンテナは、平面視において、その側辺が前記商品陳列部の前辺に対する垂線に交差する略角形状をなす、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、複数の商品を商品陳列部の前辺から後辺に向かって直線状に並べたときに、一部の商品の電磁波タグは陳列部アンテナの側辺を跨ぐように配置され、商品陳列部において前方側の商品が取られたときに検出する電磁波と、それよりも後方側の商品が取られたときに検出する電磁波とが異なるようになる。これにより、前方側の商品が取られても、後方側の商品が取られても、商品数が減少したと判定できるとともに、同時減少個数を一層確実に算出できる。このため、所定の閾値以上の商品を離間させるといった多量の商品の万引行為の可能性が高い行動と、所定の閾値より少ない商品を離間させるといった通常の買い物の可能性が高い行動と、を一層確実に識別可能な商品陳列装置を提供することができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の商品陳列装置は、請求項1または2に記載の商品陳列装置であって、
前記減少判定手段により前記商品数が減少したと判定したときに、該判定した時点から所定時間までの経過時間の計時を開始する計時手段と、
前記経過時間が前記所定時間に到達したときに、前記減少回数に0をセットする減少回数リセット手段と、
前記経過時間が前記所定時間に到達したときに、前記総減少個数に0をセットする総減少個数リセット手段と、
を備え、
前記減少回数算出手段は、経過時間が前記所定時間に到達する前に、前記減少判定手段により前記商品数が減少したと判定したときに、減少回数に1を加算し、
前記総減少個数算出手段は、前記経過時間が前記所定時間に到達する前に、前記減少判定手段により前記商品数が減少したと判定したときに、総減少個数に前記同時減少個数を加算する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、商品数が所定時間以下の時間間隔で所定の閾値以上減少したことを検出して報知を行うことができる。このため、所定時間以下の時間間隔で所定の閾値以上の商品を離間させるといった多量の商品の万引行為の可能性が高い行動と、所定時間より大きい時間間隔で商品を離間させるといった通常の買い物の可能性が高い行動と、所定の閾値より小さい数の商品を離間させるといった通常の買い物の可能性が高い行動と、を識別可能な商品陳列装置を提供することができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の商品陳列装置は、請求項1または2に記載の商品陳列装置であって、
前記減少判定手段により前記商品数が減少したと判定したとき、かつ、計時を開始していないときに、該判定した時点から所定時間までの経過時間の計時を開始する計時手段と、
前記減少回数算出手段は、前記経過時間が所定時間に到達するまでの間、前記減少判定手段により前記商品が減少したと判定した回数を減少回数として算出し、
前記総減少個数算出手段は、前記経過時間が前記所定時間に到達するまでの間、前記同時減少個数を加算した値を総減少個数として算出する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、商品数が所定時間以内に所定の閾値以上減少したことを検出して報知を行うことができる。このため、所定時間以内に所定の閾値以上の商品を離間させるといった多量の商品の万引行為の可能性が高い行動と、所定時間を超過して商品を離間させるといった通常の買い物の可能性が高い行動と、所定の閾値より少ない商品を離間させるといった通常の買い物の可能性が高い行動と、を識別可能な商品陳列装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る商品陳列装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の実施例1を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例1における商品陳列棚を示す斜視図であり、図2は、商品陳列棚を示す縦断側面図であり、図3は、棚板におけるアンテナユニットの陳列を示す横断平面図であり、図4は、商品の底面に取り付けられた共振タグを示す斜視図であり、図5は、共振タグの構成を示す回路図であり、図6は、商品陳列棚の構成を示すブロック図であり、図7は、検出間隔監視型の監視処理を示す図であり、図8は、検出総時間監視型の監視処理を示す図であり、図9は、検出間隔監視型の大量万引き監視処理のフローチャートであり、図10は、検出総時間監視型の大量万引き監視処理のフローチャートであり、図11は、棚制御回路で処理される各電磁波の波形を示す図であり、図12は、各種パラメータを示す図である。以下、図2の紙面左方側を商品陳列棚の正面側(前方側)とし、図3の紙面下方側を商品陳列棚の正面側(前方側)として説明する。
【0012】
図1の符号1は、本発明の商品陳列装置を構成する商品陳列棚である。この商品陳列棚1は、管理コンピュータ2に接続されている。更に、管理コンピュータ2には、商品陳列棚1の監視を行うための監視カメラ7が接続されている。これら商品陳列棚1と、管理コンピュータ2及び監視カメラ7は、主に、コンビニエンスストアやドラッグストア等の商品販売店舗等に設置されており、商品陳列棚1に陳列された単価の高い化粧品や大衆薬等の商品3が、窃盗グループ等によって多量に万引きされる大量万引きを防止するように、本実施例における商品陳列部としての各棚板4に陳列されている商品3毎に監視を行っている。
【0013】
図1に示すように、商品陳列棚1の上下方向には、複数段(本実施例では5段)の棚板4が取り付けられている。この棚板4は、木材や樹脂材等により構成されている。また、棚板4の左右に取り付けられる側板5も木材や樹脂材等により構成されている。
【0014】
図2及び図3に示すように、棚板4は、上面が平坦な平面視で長方形状に形成されており、棚板4の上面に複数の商品3を陳列可能となっている。棚板4の上面には、板状のアンテナユニット8が配置されている。このアンテナユニット8には、複数の棚アンテナ6が左右方向に並設されている。
【0015】
また、図1及び図2に示すように、背板11の上端部には、本実施例における報知手段としての警告モニタ9が設けられている。後述するように、大量万引きが発生した際には、この警告モニタ9に商品陳列棚1を監視カメラ7で「監視カメラ作動中」等のメッセージや監視カメラ7で撮影した映像等を表示することで、窃盗犯に監視している旨を表示するようになっている。尚、音によって大量万引きが発生したことを報知してもよい。
【0016】
更に、商品陳列棚1の最下段の棚板4内部が中空に形成されており、その内部には、各棚アンテナ6を制御することで大量万引きの監視処理を行う制御部10(管理コンピュータ)が設けられている。尚、商品陳列棚1の背板11は内部が中空に形成されている。背板11内部には、制御部10に接続された接続ケーブル12が、各棚板4上のアンテナユニット8と背板11の上端部の警告モニタ9に向かって延設されている。
【0017】
そして、制御部10は、接続ケーブル12を介してアンテナユニット8の各棚アンテナ6と個別に接続されている。この接続ケーブル12を介して、制御部10は各棚アンテナ6と電磁波の送受信や、電力の供給を行うことができるようになっている。
【0018】
尚、制御部10は、図1に示すように、商品陳列棚1の外方に延設される接続ケーブル13を介して管理コンピュータ2と接続されるとともに、図示しない電源ケーブルを介して屋内のコンセント等の外部電源から電力の供給を行っている。
【0019】
図3に示すように、アンテナユニット8に設けられる各棚アンテナ6は、ループ状をなすループアンテナとして構成されている。各棚アンテナ6は、平面視で略角形状をなす略台形状に形成されている。具体的には、各棚アンテナ6は、前辺L1と後辺L2とが平行となっており、その前辺L1と後辺L2の長さの比が1:2の割合、または、前辺L1と後辺L2の長さの比が2:1となっている。また、各棚アンテナ6の側辺は、棚板4の前辺から後方に向かう垂線Vに対して交差するように傾斜されている。
【0020】
尚、本実施例では、棚アンテナ6の側辺が垂線Vに対して10°〜45°の角度で交差している。この交差角度は、棚アンテナ6の側辺が垂線Vに対して少なくとも直角に交差しなければ、どのような角度で交差してもよい。また、棚板4上に陳列される商品3の寸法に合わせて棚アンテナ6の形状や大きさを適宜変更してもよい。
【0021】
更に尚、棚アンテナ6の前辺L1は、棚板4の前辺に近接されて配置されており、棚アンテナ6の後辺L2は、棚板4の後辺から商品3の1個分の間隔を空けて離間されて配置されている。
【0022】
そして、このように形成された棚アンテナ6は、アンテナユニット8において側辺同士を隣接させて配置されており、その台形形状の前後の向きが互い違いとなるように配置されている。つまり各棚アンテナ6における各前辺L1の長さと各後辺L2の長さとが互い違いとなるように配置されている。尚、アンテナユニット8の左右端に配置された2つの棚アンテナ6は、棚板4の左右側辺に対して平行な側辺を有している。
【0023】
また、アンテナユニット8の上面には、商品3が平面視で前後方向に4列、左右方向に8列になるように陳列されるようになっている。そのため全て棚アンテナ6の上面に陳列されるようになっている。但し、各棚アンテナ6は、棚板4の後辺から商品3の1個分の間隔を空けて離間されて配置されているため、平面視で最後列に陳列された商品3だけは棚アンテナ6の上面に陳列されないようになっている。
【0024】
また、図4に示すように、商品3の底面には、本実施例における電磁波タグとしての共振タグ14が貼り付けられている。この共振タグ14は、商品販売店舗において、商品3を商品陳列棚1に陳列する際に商品3に貼り付けられる。更に、この共振タグ14は、図5に示すように、コンデンサ15と、磁束の変化により誘導起電力を得るためのコイルアンテナ16が接続された共振回路17を内蔵している。
【0025】
そして、制御部10はこれら共振タグ14を各棚アンテナ6によって検出することで、商品陳列棚1に陳列されている商品3を監視している。具体的には、図11に示すように、棚アンテナ6は、制御部10の送信イネーブルに応じて高周波の電磁波(電波)である送信電磁波を断続的に出力するようになっている。この送信電磁波は共振回路17内のコイルアンテナ16が共振する共振周波数を有している。このとき、共振回路17では、棚アンテナ6から送信された送信電磁波によりコイルアンテナ16とコンデンサ15間の共振で発生する電磁誘導によって通信可能となる。
【0026】
更に、送信電磁波の送信が停止されると、コイルアンテナ16とコンデンサ15の共振現象により、共振タグ14内で電磁波である減衰振動波が誘起される。棚アンテナ6は、このタグの減衰振動波を制御部10の受信イネーブルに応じて受信可能となっており、本実施例における商品数推定情報としてのタグ検出波形の大きさと、それまでの状態とは異なるタグ検出波形を受信した棚アンテナ6の個数に基づいて、後述する監視処理を行うことで大量万引きの監視を行う。
【0027】
尚、制御部10の送信イネーブルと受信イネーブルは交互に繰り返されるようになっており、棚アンテナ6による送信と受信が一定間隔毎に交互に繰り返されている。更に尚、棚アンテナ6による送信と受信の間隔は、店舗の形態や営業時間帯、商品3の種別等で適宜変更することができる。
【0028】
前述したように、棚アンテナ6から送信電磁波を送信することによって、アンテナユニット8の上面に陳列された複数の商品3の内、前方の1列目から3列目までに並べられた商品3の共振タグ14のタグ検出波形を棚アンテナ6で検出できるようになっている。
【0029】
尚、本実施例ではアンテナユニット8上面に陳列された複数の商品3のうち、前方の1列目から3列目までに並べられた商品3の共振タグ14のタグ検出波形を棚アンテナ6で検出しているが、大量万引き対策としては、少なくとも万引きされ易い前方から2列目までに並べられた商品3の共振タグ14のタグ検出波形が棚アンテナ6で検出できれば充分である。
【0030】
棚アンテナ6の検出距離は、本実施例では、送信電磁波を微弱出力で用いるため、棚アンテナ6の上方10cm前後となっている。この棚アンテナ6の検出距離は、送信電磁波の出力を調整することで適宜変更することができる。
【0031】
更に、本実施例では、図1に示すように、商品陳列棚1の最上段の棚板4aと、上から2段目の棚板4bには同一の商品3が陳列されている。管理コンピュータ2は、最上段の棚板4と上から2段目の棚板4上面に陳列されている商品3を一括して、後述する大量万引きの監視処理を行うようになっている。尚、上から3段目、4段目、最下段は、それぞれの棚板4毎に大量万引きの監視処理を行うようになっている。更に尚、棚板4における最上段と2段目とで1つの積算グループとなっており、3段目以下はそれぞれが1つの積算グループとなっている。この積算グループとは、後述する閾値の値が適用される商品群のことを示している。本実施例では、各積算グループ毎に異なる閾値の値が設定されている。
【0032】
次に、本実施例における商品陳列装置のシステム構成を説明する。図6に示すように、制御部10は、棚アンテナ6を用いて受信したタグ検出波形をデジタル信号として記憶する記憶部22と、後述する検出時間t秒または総検出時間Tmax秒を計時するための本実施例における計時手段としてのRTC(リアルタイムクロック)18と、商品陳列棚1の各装置類の制御と各種処理を行うための棚制御回路23と、を有している。
【0033】
また、制御部10には、店舗の事務所等に設置された管理コンピュータ2と、各棚板4の上面に配置され、上面に棚アンテナ6を有するアンテナユニット8と、警告モニタ9と、が接続されている。アンテナユニット8の各棚アンテナ6は、個別に商品3の共振タグ14に送信電磁波を送信するとともに、共振タグ14からの減衰振動波を受信して、棚板4上に陳列されている商品3を監視するようになっている。
【0034】
尚、制御部10には、特に図示しないが、高周波の電磁波を発生させる高周波発生装置と、高周波発生装置で発生した送信電磁波の周波数を変調させるダイレクト・ディジタル・シンセサイザーと、送信電磁波が所定の送出電力を得るための電力増幅器と、が設けられている。
【0035】
加えて、制御部10は、特に図示しないが、棚アンテナ6で受信した複数種類の電磁波から共振タグ14の減衰振動波のみを抽出する同調回路と、同調回路で抽出された共振タグ14の減衰振動波を増幅する高周波増幅器と、高周波増幅器で増幅された共振タグ14の減衰振動波を周波数に関係なく一定の低い周波数に変換する周波数変換器と、周波数変換器で周波数変換された共振タグ14の減衰振動波を復調可能なレベルまで増幅する中間周波数増幅器と、が設けられている。
【0036】
更に、棚制御回路23には、特に図示しないが、中間周波数増幅器で復調された共振タグ14の減衰振動波を絶対値変換する絶対値変換器と、絶対値変換された共振タグ14の減衰振動波をAD変換(アナログ/デジタル変換)するAD変換器と、AD変換によりデジタル信号に変換された共振タグ14の減衰振動波のタグ検出波形を演算処理するデジタルシグナルプロセッサと、が設けられている。そのため棚制御回路23では、共振タグ14の減衰振動波のタグ検出波形をデジタル信号として取り扱うことができるようになっている。尚、棚制御回路23は、タグ検出波形の後半部(ad1,ad2)のみをAD変換するようになっている(図11参照)。
【0037】
棚アンテナ6による商品3の離間の検知の一例を説明する。図3に示すように、棚板4の上面において、領域A→領域B→領域Cの順番で、客が商品3を2個づつ取り上げると、領域Aの2つの商品3をとったときに、2つの棚アンテナ6a,6bが商品3の離間を検知し、領域Bの2つの商品3をとったときに、2つの棚アンテナ6a,6bが商品3の離間を検知し、領域Cの2つの商品3をとったときに、2つの棚アンテナ6a,6bが商品3の離間を検知する。棚アンテナ6aが3回の商品3の離間を検知し、棚アンテナ6bが3回の商品3の離間を検知するため、棚制御回路23は、これらを合計して棚板4の上面から商品3が合計6個取り上げられたと推定するようになっている。
【0038】
更に、棚アンテナ6による商品3の離間の検知の他の例を説明する。図3に示すように、棚板4の上面において、領域Dまたは領域Fの商品3が取られた場合、領域Dの2つの商品3が取られると、棚アンテナ6b,6c,6dが商品3の離間を検知し、領域Fのいずれかの商品3が取られると、棚アンテナ6cのみが商品3の離間を検知する。棚制御回路
23は、棚板4において最前列の商品3が取られたか、それよりも後列の商品3が取られたかを識別できるようになっている。
【0039】
尚、領域Fの商品3が取られた場合には、商品3が1つでも4つでも棚アンテナ6cのみの検知となるため、棚アンテナ6cの検知回数だけでは、取られた商品3の個数の推定が実際に取られた商品3の個数と異なる虞があるが、後述するように、タグ検出波形の大きさを解析することで、棚アンテナ6c上で取られた商品3の凡その個数を推定することができる。
【0040】
このように、棚制御回路23では、各棚アンテナ6上の商品3の離間を検知することによって、各棚板4、つまり各積算グループにおけるいずれの位置からいくつの商品3が客に取り上げられたかを推定することができるようになっている。尚、棚制御回路23は、棚アンテナ6の検知回数による取られた商品3の個数の推定方法と、タグ検出波形の大きさの解析による取られた商品3の個数の推定方法とを適宜用いるようになっており、棚アンテナ6の配置位置や、商品3の大きさ等によって推定方法を適宜変えるようになっている。
【0041】
次に、本実施例における制御部10の棚制御回路23が実行する大量万引きの監視処理について詳述する。
【0042】
本実施例では、各棚アンテナ6毎に、送信電磁波を商品3の共振タグ14に送信し、共振タグ14から送信される減衰振動波を受信する。各棚アンテナ6は、送信電磁波の送信と減衰振動波の受信とを一定間隔で繰り返すようになっている。そして、共振タグ14から今回受信した減衰振動波のタグ検出波形を、前回受信した減衰振動波のタグ検出波形と比較し、各棚アンテナ6での2つのタグ検出波形に差分があるか否かによって棚板4上の商品3の存在の検知を行うようになっている。
【0043】
具体的には、先ず、棚制御回路23は各棚アンテナ6からアンテナユニット8の上面に陳列されている商品3の各共振タグ14に対して送信電磁波を送信することで減衰振動波を受信し、デジタル信号として処理したタグ検出波形を前回状態として記憶部22に記憶させる。
【0044】
そして、一定間隔後に再び各棚アンテナ6から送信電磁波を商品3の共振タグ14に送信し、受信した減衰振動波のタグ検出波形のデジタル信号を今回状態として、記憶部22に記憶されている前回状態のタグ検出波形のデジタル信号との大きさを比較することで、棚制御回路23は、棚板4の上面から商品3が取り上げられたか否かを判断する。
【0045】
このとき、今回状態のタグ検出波形の大きさが前回状態のタグ検出波形の大きさよりも小さい場合には、今回状態で各棚アンテナ6に陳列されている商品3の推定数が前回状態で棚板4に陳列されていた商品3の推定数よりも少ないと棚制御回路23が判定する。そしてこのとき、棚制御回路23は、前回状態から今回状態の間に商品3が各棚アンテナ6から取り上げられたと判断し、商品3が棚板4の上面から取り上げられた回数である減少回数mに1を加算し、減少回数mを記憶部22に記憶させる。
【0046】
また、前回状態で棚板4の上面に陳列されていた推定商品数から現在状態で棚板4の上面に陳列されている推定商品数を減算した商品3の個数、即ち、今回状態のタグ検出波形の大きさが前回状態のタグ検出波形の大きさよりも小さい棚アンテナ6の合計数を同時減少個数nとして記憶部22に記憶させる。
【0047】
尚、今回状態のタグ検出波形の大きさが前回状態のタグ検出波形の大きさよりも大きい場合には、今回状態で各棚アンテナ6に陳列されている商品3の推定数が前回状態で棚板4に陳列されていた商品3の推定数よりも多いと棚制御回路23が判定する。そしてこのとき、棚制御回路23は、前回状態から今回状態の間に商品3が各棚アンテナ6に載置されたと判断し、商品3が棚板4の上面から取り上げられた回数である減少回数mから1を減算し、減少回数mを記憶部22に記憶させる。
【0048】
また、前回状態で棚板4の上面に陳列されていた推定商品数から現在状態で棚板4の上面に陳列されている推定商品数を減算した商品3の個数、即ち、今回状態のタグ検出波形の大きさが前回状態のタグ検出波形の大きさよりも大きい棚アンテナ6の合計数を同時増加個数pとして記憶部22に記憶させる。
【0049】
更に、前回状態までに同時減少個数nが既に記憶部22に記憶されている場合には、前回状態までの同時減少個数nの合計値である総減少個数Σnに今回の同時減少個数nを加算して記憶部22に記憶させる。
【0050】
そして、本実施例では、これら減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnのうち、少なくとも1つが所定の閾値以上に到達することを条件として棚制御回路23が監視カメラ7の作動と警告モニタ9の表示を行う報知を行うようになっている。尚、前述したように、棚制御回路23は、本実施例における減少判定手段、減少回数算出手段、同時減少個数算出手段、総減少算出手段、放置判定手段、同時増加個数算出手段を構成している。
【0051】
尚、本実施例では、管理コンピュータ2と制御部10の記憶部22がそれぞれ別体として構成されているが、これら管理コンピュータ2と制御部10を一体的に構成し、減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnを管理コンピュータ2に記憶させて監視処理を行うようにしてもよい。
【0052】
また、今回状態のタグ検出波形の大きさが前回状態のタグ検出波形の大きさよりも大きい場合には、今回状態で棚板4に陳列されている商品3の推定数が前回状態で棚板4に陳列されていた商品3の推定数よりも多いと棚制御回路23が判定する。そしてこのとき、棚制御回路23は、前回状態から今回状態の間に商品3が棚板4に戻されたと判断し、減少回数mから1を減算し、減少回数mを記憶部22に記憶させる。
【0053】
更に、現在状態で棚板4の上面に陳列されている推定商品数から前回状態で棚板4の上面に陳列されていた推定商品数を減算した商品3の個数、即ち、今回状態のタグ検出波形の大きさが前回状態のタグ検出波形の大きさよりも大きい棚アンテナ6の合計数(同時増加個数p)を同時減少個数n及び総減少個数Σnから減算して、同時減少個数n及び総減少越すΣnを記憶部22に記憶させる。
【0054】
尚、本実施例における減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnの閾値は、それぞれm=3、n≧3、Σn≧3に設定されている。後述するように、これらの閾値を超えることで棚制御回路23による報知が行われるが、これらの閾値は、店舗の形態や営業時間帯、商品3の種別等によって適宜変更なパラメータとなっている。尚、本実施例では、m、n、Σnの全ての閾値が同一の数「3」に設定されているが、m、n、Σnの各閾値は、それぞれ別個の数として設定してもよい。
【0055】
また、前述した大量万引きの監視の判定は、棚板4の上面から商品3が取り上げられたと棚制御回路23が判定してからRTC18によって計時される所定時間の間でのみ行なわれる。尚、本実施例の所定時間内での監視処理では、図7に示す検出間隔監視型と、図8に示す検出総時間監視型との2種類の監視処理を用いている。
【0056】
それぞれの監視処理について説明する。図7に示す検出間隔監視型の監視処理は、例えば、1つの棚板4や若しくは小さい範囲で陳列される商品3群、つまり小さな範囲の積算グループで、特定の人気商品を注視する監視に向いている監視処理である。
【0057】
棚制御回路23は、棚板4の上面から商品3が取り上げられたと判定すると(検出1)、前述したように、減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnの加減算を行うとともに、これらを記憶部22に記憶させ、その時点からRTC18による検出時間t秒の計時を開始する。
【0058】
この検出時間t秒の経過時間内に新たに同一の棚板4の上面から商品3が取り上げられると(検出2)、棚制御回路23はRTC18によるt秒の計時を停止し、再び減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnの加減算を行うとともに、これらを記憶部22に記憶させ、検出時間t秒の計時をリセットし、かつ再びRTC18による検出時間t秒の計時を開始する。
【0059】
そして、検出時間t秒の経過時間内に新たに同一の棚板4の上面から商品3が取り上げられると(検出3)、棚制御回路23はRTC18によるt秒の計時を停止し、再び減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnの加減算を行うとともに、これらを記憶部22に記憶させ、検出時間t秒の計時をリセットし、かつ再びRTC18による検出時間t秒の計時を開始する。尚、検出時間t秒の経過時間内に新たに同一の棚板4の上面から商品3が取り上げられなかった場合には、検出時間t秒の計時をリセットするとともに、減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnの各値を全て0に戻す。
【0060】
すなわち検出間隔監視型の監視処理では、減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnの加減算が行われる所定の検出時間の経過時間内に新たに商品3が取り上げられると、検出時間の延長を行うようになっている。これは大量万引きを行う際には、繰り返し同じ棚板4から商品3を取り上げるリズムが一定となる場合が多いため、検出間隔監視型の監視処理を用いることで、大量万引きと通常の買物行為との識別がし易くなっている。
【0061】
尚、本実施例における検出時間t秒は、店舗の形態や営業時間帯、商品3の種別等で適宜変更することができる。本実施例では、検出時間t秒の設定幅は、凡そ1秒から10秒までとなっている。
【0062】
また、図8に示す検出総時間監視型の監視処理は、例えば、複数段の棚板4を1つの積算グループとして設定したり、複数の商品陳列棚1の複数の棚板4を1つの積算グループとして設定した大きな範囲の積算グループで、特定の人気商品を含むスパン単位の監視に向いている監視処理である。
【0063】
棚制御回路23は、棚板4の上面から商品3が取り上げられたと判定すると(検出1)、前述したように、減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnの加減算を行うとともに、これらを記憶部22に記憶させ、その時点からRTC18による総検出時間Tmax秒の計時を開始する。
【0064】
このRTC18による総検出時間Tmax秒の計時は、検出間隔監視型の検出時間t秒よりも長い凡そ15秒から25秒まで適宜変更可能な値となっている。そして、検出間隔監視型の監視処理と異なり、総検出時間Tmax秒の経過時間内に新たに同一の棚板4の上面から商品3が取り上げられても(検出2、検出3)、棚制御回路23によるRTC18の総検出時間Tmax秒の計時がリセットされないようになっている。
【0065】
すなわち検出総時間監視型の監視処理は、所定時間が経過するまで、減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnの加減算を行うようになっている。これは、複数の商品陳列棚1や複数の棚板4からそれぞれ別個に万引きをする際には、棚板4から商品3を取り上げるリズムが不安定となる場合が多いため、検出総時間監視型の監視処理を用いることで、店内の広範囲に渡る万引きや、複数の窃盗犯による万引きを防止できるようになる。
【0066】
尚、検出間隔監視型の監視処理と検出総時間監視型の監視処理とにおける計時は、減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnが所定の閾値に到達せずに、経過時間が検出時間t秒またはTmax秒に到達すると、棚制御回路23は減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnに0をセットし、大量万引きの判定が開始状態に戻る。更に尚、前述したように、棚制御回路23は、本実施例における減少回数リセット手段と、総減少個数リセット手段とを構成している。
【0067】
次に、本実施例における制御部10の棚制御回路23が実行する大量万引きの検出間隔監視型の監視処理について、図9のフローチャートに基づいて説明する。
【0068】
図9に示すように、先ずSa01のステップにおいて、棚制御回路23は、今回状態検出処理として、各棚アンテナ6を用いて送信電磁波を各共振タグ14に向けて送信する。そして、棚アンテナ6が各共振タグ14からタグの減衰振動波を受信すると、棚制御回路23は、タグの減衰振動波を復調した後、タグの減衰振動波の波形であるタグ検出波形をデジタル信号に変換して、今回(棚アンテナ6による検出時)のタグ検出波形として、該タグ検出波形と前記所定の棚アンテナ6とを対応づけて記憶部22に記憶させてSa02のステップに進む。
【0069】
Sa02のステップにおいて、棚制御回路23は、比較処理として記憶部22に記憶された今回状態のタグ検出波形のデジタル信号と、前回受信して既に記憶部22に記憶されている前回受信したタグ検出波形のデジタル信号との大きさを比較してSa03のステップに進む。
【0070】
Sa03のステップにおいて、棚制御回路23は、棚アンテナ6において、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが、前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさとを比較して差分があるか否かを判定する。今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが、前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさに差分があればSa04のステップに進み、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが、前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさと同一であればSa01のステップに戻る。
【0071】
Sa04のステップにおいて、棚制御回路23は、既にRTC18によって検出時間t秒が計時中であるか否かを判定する。RTC18によって検出時間t秒が計時中であればSa05のステップに進み、RTC18による検出時間t秒が計時中でなければSa07のステップに進む。
【0072】
Sa05のステップにおいて、棚制御回路23は、RTC18で計時中である検出時間t秒が経過したか否かを判定する。検出時間t秒が経過していればSa06のステップに進み、検出時間t秒が経過していなければSa07のステップに進む。
【0073】
Sa06のステップにおいて、棚制御回路23は、記憶部22に記憶されている減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnに0をセットして、記憶部22に記憶させるとともに、RTC18による検出時間t秒をリセットする。そして、Sa07のステップにおいて、棚制御回路23は、RTC18に検出時間t秒の計時を開始させてSa08のステップに進む。
【0074】
Sa08のステップにおいて、棚制御回路23は、Sa01のステップにおいてデジタル信号に変換した今回状態のタグ検出波形を記憶部22に記憶させてSa09のステップに進む。
【0075】
Sa09のステップにおいて、棚制御回路23は、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさよりも小さければ、減少回数mに1を加算した後に減少回数mを記憶部22に記憶させ、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさよりも大きければ、減少回数mから1を減算した後に減少回数mを記憶部22に記憶させてSa10のステップに進む。
【0076】
Sa10のステップにおいて、棚制御回路23は、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさよりも小さければ、今回状態のタグ検出波形の大きさが前回状態のタグ検出波形の大きさよりも小さい棚アンテナ6の合計数を同時減少個数nとして記憶部22に記憶させる。また、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさよりも大きければ、今回状態のタグ検出波形の大きさが前回状態のタグ検出波形の大きさよりも大きい棚アンテナ6の合計数を同時増加個数pとして記憶部22に記憶させてSa11のステップに進む。
【0077】
Sa11のステップにおいて、棚制御回路23は、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさよりも小さければSa10のステップで記憶部22に記憶させた同時減少個数nを、総減少個数Σnに加算した後に、総減少個数Σnを記憶部22に記憶させる。また、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさよりも大きければ、Sa10のステップで記憶部22に記憶させた同時増加個数pを総減少個数Σnから減算した後に、総減少個数Σnを記憶部22に記憶させてSa12のステップに進む。
【0078】
Sa12のステップにおいて、棚制御回路23は、減少回数mがm=3であるか否かを判定する。m=3であればSa15ステップに進み、m=3でなければSa13ステップに進む。
【0079】
Sa13のステップにおいて、棚制御回路23は同時減少個数nがn≧3であるか否かを判定する。n≧3であればSa15のステップに進み、n≧3でなければSa14のステップに進む。
【0080】
Sa14のステップにおいて、棚制御回路23は、総減少個数ΣnがΣn≧3であるか否かを判定する。Σn≧3であればSa15のステップに進み、Σn≧3でなければSa01のステップに戻る。
【0081】
Sa15のステップにおいて、棚制御回路23は、減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnのうち、少なくともいずれか1つが閾値を超えたことに基づいて大量万引きが発生したと判断し、監視カメラ7の作動及び警告モニタ9の表示を行い、Sa16のステップに進む。尚、監視カメラ7の作動及び警告モニタ9の表示は所定時間が経過することで自動的に終了して待機状態に戻る。また、店舗の店員等が管理コンピュータ2から監視カメラ7及び警告モニタ9を操作して待機状態に戻るようにしてもよい。
【0082】
Sa16のステップにおいて、棚制御回路23は、記憶部22に記憶されている減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnに0をセットして、記憶部22に記憶させるとともに、RTC18の検出時間t秒の計時をリセットし、検出間隔監視型の大量万引き監視処理を終了し、Sa01のステップに戻る。
【0083】
次に、本実施例における制御部10の棚制御回路23が実行する大量万引きの検出総時間監視型の監視処理について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0084】
図10に示すように、先ずSb01のステップにおいて、棚制御回路23は、今回状態検出処理として、各棚アンテナ6を用いて送信電磁波を各共振タグ14に向けて送信する。そして、棚アンテナ6が各共振タグ14からタグの減衰振動波を受信すると、棚制御回路23は、タグの減衰振動波を復調した後、タグの減衰振動波の波形であるタグ検出波形をデジタル信号に変換して、今回(棚アンテナ6による検出時)のタグ検出波形として、該タグ検出波形と前記所定の棚アンテナ6とを対応づけて記憶部22に記憶させて、Sb02のステップに進む。
【0085】
Sb02のステップにおいて、棚制御回路23は、比較処理として記憶部22に記憶された今回状態のタグ検出波形のデジタル信号と、前回受信して既に記憶部22に記憶されている前回受信したタグ検出波形のデジタル信号との大きさを比較してSb03のステップに進む。
【0086】
Sb03のステップにおいて、棚制御回路23は、棚アンテナ6において、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが、前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさとを比較して差分があるか否かを判定する。今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが、前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさに差分があればSa04のステップに進み、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが、前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさと同一であればSb01のステップに戻る。
【0087】
Sb04のステップにおいて、棚制御回路23は、RTC18による総検出時間Tmax秒の計時を開始し、Sb05のステップに進む。
【0088】
Sb05のステップにおいて、棚制御回路23は、Sb01のステップにおいてデジタル信号に変換した今回状態のタグ検出波形を記憶部22に記憶させて、Sb06のステップに進む。
【0089】
Sb06のステップにおいて、棚制御回路23は、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさよりも小さければ、減少回数mに1を加算した後に減少回数mを記憶部22に記憶させ、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさよりも大きければ、減少回数mから1を減算した後に減少回数mを記憶部22に記憶させて、Sb07のステップに進む。
【0090】
Sb07のステップにおいて、棚制御回路23は、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさよりも小さければ、今回状態のタグ検出波形の大きさが前回状態のタグ検出波形の大きさよりも小さい棚アンテナ6の合計数を同時減少個数nとして記憶部22に記憶させる。また、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさよりも大きければ、今回状態のタグ検出波形の大きさが前回状態のタグ検出波形の大きさよりも大きい棚アンテナ6の合計数を同時増加個数pとして記憶部22に記憶させてSb08のステップに進む。
【0091】
Sb08のステップにおいて、棚制御回路23は、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさよりも小さければ、Sb07のステップで記憶部22に記憶させた同時減少個数nを総減少個数Σnに加算した後に、総減少個数Σnを記憶部22に記憶させる。また、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさよりも大きければ、Sb07のステップで記憶部22に記憶させた同時増加個数pを総減少個数Σnから減算した後に、総減少個数Σnを記憶部22に記憶させてSb09のステップに進む。
【0092】
Sb09のステップにおいて、棚制御回路23は、減少回数mがm=3であるか否かを判定する。m=3であればSb12ステップに進み、m=3でなければSb10ステップに進む。
【0093】
Sb10のステップにおいて、棚制御回路23は同時減少個数nがn≧3であるか否かを判定する。n≧3であればSb12のステップに進み、n≧3でなければSb11のステップに進む。
【0094】
Sb11のステップにおいて、棚制御回路23は、総減少個数ΣnがΣn≧3であるか否かを判定する。Σn≧3であればSb12のステップに進み、Σn≧3でなければSb14のステップに進む。
【0095】
Sb12のステップにおいて、棚制御回路23は、減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnのうち、少なくともいずれか1つが閾値を超えたことに基づいて大量万引きが発生したと判断し、監視カメラ7の作動及び警告モニタ9の表示を行い、Sb13のステップに進む。尚、監視カメラ7の作動及び警告モニタ9の表示は所定時間が経過することで自動的に終了して待機状態に戻る。また、店舗の店員等が管理コンピュータ2から監視カメラ7及び警告モニタ9を操作して待機状態に戻るようにしてもよい。
【0096】
Sb13のステップにおいて、棚制御回路23は、記憶部22に記憶されている減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnに0をセットして、記憶部22に記憶させるとともに、RTC18の検出時間t秒の計時をリセットし、検出総時間監視型の大量万引き監視処理を終了し、Sb01のステップに戻る。
【0097】
また、Sb14のステップにおいて、棚制御回路23は、総検出時間Tmaxが経過したか否かを判定する。総検出時間Tmaxが経過していなければSb15のステップに進み、総検出時間Tmaxが経過していればSb13のステップに進む。
【0098】
Sb15のステップにおいて、棚制御回路23は、今回状態検出処理として、各棚アンテナ6を用いて送信電磁波を各共振タグ14に向けて送信する。そして、棚アンテナ6が各共振タグ14からタグの減衰振動波を受信すると、棚制御回路23は、タグの減衰振動波を復調した後、タグの減衰振動波の波形であるタグ検出波形をデジタル信号に変換して、今回(棚アンテナ6による検出時)のタグ検出波形として、該タグ検出波形と前記所定の棚アンテナ6とを対応づけて記憶部22に記憶させて、Sb16のステップに進む。
【0099】
Sb16のステップにおいて、棚制御回路23は、比較処理として記憶部22に記憶された今回状態のタグ検出波形のデジタル信号と、前回受信して既に記憶部22に記憶されている前回受信したタグ検出波形のデジタル信号との大きさを比較し、Sb17のステップに進む。
【0100】
Sb17のステップにおいて、棚制御回路23は、棚アンテナ6において、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが、前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさとを比較して差分があるか否かを判定する。今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが、前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさに差分があればSb05のステップに進み、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさが、前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさと同一であればSb14のステップに進む。
【0101】
尚、本実施例では、大量万引きの監視に用いられる所定の閾値である減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σn、検出時間t、総検出時間Tmax、監視処理である検出間隔監視型、検出総時間監視型、積算グループを構成する棚アンテナ6の数は、曜日や時間帯で異なる。そのため本実施例では、図12に示すパラメータ表に従って、店舗の従業員等が予め曜日毎に減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σn、検出時間t、総検出時間Tmax、検出間隔監視型と検出総時間監視型との監視処理、各アンテナユニット8によりどのように積算グループを構成するか等を動的に変化させるようにする。尚、図12のパラメータ表中の方式(1)と方式(2)とは、それぞれ検出間隔監視型と検出総時間監視型とを表している。
【0102】
具体的には、先ず、店舗の従業者等が、営業日から基準となる曜日を決定する。この基準となった曜日と、その他の曜日で図12に示すNo.1の来店客数、No.2の販売個数、No.3の一人当たり買上げ点数、No.4のまとめ買い件数、No.5の棚に戻す件数、No.6の棚離れ件数、No.7の大量棚離れ件数の計7つの要素を比較し、基準となった曜日と7つの要素の大小を判定する。
【0103】
そして、例えば月曜日を基準にして、月曜日と日曜日を比較した場合には、日曜日は、来店客数は1.5倍、販売数は2倍、一人当たり買上げ点数は1.2倍、まとめ買い件数は3倍、棚に戻す件数は0.5倍、棚離れ件数は1.3倍、大量棚離れ件数は3倍となっている。そして、パラメータ表に示すレベルの大小で表すと、No.1が大、No.2が大、No.3が大、No.4が大、No.5が小、No.6が大、No.7が大となる。そして、更に、No.1からNo.7のレベルに対応した各パラメータに該当する+−等を数える。
【0104】
月曜日と日曜日を比較した場合、前述した比較の結果から、減少回数mの場合は、+が6個、−が1個であるので、+が−を5個上回る。このようにして、曜日毎に各パラメータの+と−の数を比較していく。そして、各曜日毎に店舗の従業者が本実施例におけるパラメータ受け付け手段としての管理コンピュータ2から制御部10の記憶部22に棚制御回路23によって変化させるパラメータ表の数値を入力していく。
【0105】
そして、棚制御回路23は、各曜日毎に記憶部22に記憶されているパラメータ表を読み込むことで、減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnの閾値の変更及び検出時間t、総検出時間Tmax等の変更が行えるようにする。
【0106】
また、特に図示はしないが、本実施例では、前述した7つの項目の他に、商品陳列棚1に陳列されている商品3の形状や重さ、価格のような商品陳列情報や、店舗の混雑具合によって変化する買物客の歩行速度や商品3を手に取る速度等の人の動作速度情報や、同じく、店舗の混雑具合によって変化する買物客の買物カゴを持つ、または床に置く等のカゴ位置情報や、監視カメラ等が実際に捉えた大量万引きの映像から得た万引き犯の犯行速度等の映像分析情報等に応じて、店舗の従業者が管理コンピュータ2より記憶部22内に記憶されているパラメータ表をその場で変更するようにしてもよい。
【0107】
更に、本実施例では、各曜日毎に減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnの閾値の変更及び検出時間t、総検出時間Tmax等の変更が行えるようにしたが、1日の営業時間中の1時間毎に減少回数m、同時減少個数n、総減少個数Σnの閾値の変更及び検出時間t、総検出時間Tmax等の変更が行えるようにしてもよい。
【0108】
尚、大量万引きとは関係のない報知が多くなってしまうと、店員は全ての報知を無視するようになってしまう可能性が高い。そのため報知はできるだけ少ない方が好ましい。パラメータ表を各店舗や販売環境に応じて適宜変更することで、関係のない報知を少なくすることができる。
【0109】
更に尚、パラメータ表を用いて検出時間t、総検出時間Tmax等を変更することで、多量の商品3の万引行為の可能性が高い行動と、通常の買い物の可能性が高い行動と、を識別することができる商品陳列棚1を提供することができる。例えば、商品陳列情報として小さくて高価な商品3が陳列されている旨が入力された場合には、商品3を取り出すのに時間がかからないことから、検出時間t、総検出時間Tmax等を短くすれば良い。また、映像分析情報として、閑散時である旨が入力された場合には、商品3の選定に時間をかけられることから、検出時間t、総検出時間Tmax等を短くすれば良い。また、カゴ位置情報として、客がカゴを床に置いている旨が入力された場合には、1つの商品3をカゴに入れるのに時間がかかることから、検出時間t、総検出時間Tmax等を長くすれば良い。また、人の動作速度情報として混雑時などのため人の動作速度が速くなっている旨が入力された場合には、検出時間t、総検出時間Tmax等を短くすれば良い。
【0110】
以上、本実施例における商品陳列棚1(商陳列装置)では、個別に共振タグ14(電磁波タグ)が取り付けられた複数の商品3を陳列する棚板4(棚板4)と、共振タグ14が発する電磁波を検出するために棚板4に設けられた複数の棚アンテナ6(棚アンテナ6)と、棚アンテナ6を用いて検出した電磁波および前回検出したときの電磁波に基づいて商品数が減少したか否かを判定する棚制御回路23(棚制御回路23)と、商品数が減少したとの判定に基づいて作動する警告モニタ9(警告モニタ9)と、を備えた商品陳列棚1(商品陳列棚1)であって、棚制御回路23は、棚アンテナ6のいずれかにおいて、今回検出した電磁波と、前回検出した電磁波と、が異なるものであることを条件に商品数が減少したと判定し、棚制御回路23により商品数が減少したと判定したときに、今回検出した電磁波と、前回検出した電磁波と、が異なる棚アンテナ6の個数を同時減少個数nとして算出する棚制御回路23(同時減少個数算出手段)と、棚制御回路23により商品3が減少したと判定した回数を減少回数mとして算出する棚制御回路23(減少回数算出手段)と、同時減少個数nを加算した値を総減少個数Σnとして算出する棚制御回路23(総減少個数算出手段)と、の少なくともいずれかを備え、同時減少個数nが所定の閾値以上となったとき、および/または、減少回数が所定の閾値以上となったとき、および/または、総減少個数Σnが所定の閾値以上となったとき、に報知を行うと判定する棚制御回路23(報知判定手段)をさらに備え、警告モニタ9は、棚制御回路23が報知を行うと判定したときに作動することで、電磁波の時間変化が検出された棚アンテナ6を数えるだけの簡便な処理で商品3の同時減少個数nを算出でき、この同時減少個数nに基づいて、商品数が所定の閾値以上減少したことを検出して報知を行うことができる。このため、所定の閾値以上の商品3を離間させるといった多量の商品3の万引行為の可能性が高い行動と、所定の閾値より少ない商品3を離間させるといった通常の買い物の可能性が高い行動と、を識別可能な商品陳列棚1を安価に提供することができる。
【0111】
また、棚板4(商品陳列部)には、複数の棚アンテナ6(陳列部アンテナ)が左右方向に並設され、各棚アンテナ6は、平面視において、その側辺が棚板4の前辺に対する垂線Vに交差する略角形状をなすことで、複数の商品3を棚板4の前辺から後辺に向かって直線状に並べたときに、一部の商品3の共振タグ14(電磁波タグ)は棚アンテナ6の側辺を跨ぐように配置され、棚板4において前方側の商品3が取られたときに検出する電磁波と、それよりも後方側の商品3が取られたときに検出する電磁波とが異なるようになる。これにより、前方側の商品3が取られても、後方側の商品3が取られても、商品数が減少したと判定できるとともに、同時減少個数nを一層確実に算出できる。このため、所定の閾値以上の商品を離間させるといった多量の商品3の万引行為の可能性が高い行動と、所定の閾値より少ない商品3を離間させるといった通常の買い物の可能性が高い行動と、を一層確実に識別可能な商品陳列棚1(商品陳列装置)を提供することができる。
【0112】
また、棚制御回路23(減少判定手段)により商品数が減少したと判定したときに、判定した時点から所定時間までの経過時間の計時を開始するRTC18(計時手段)と、経過時間が所定時間に到達したときに、減少回数mに0をセットする棚制御回路23(減少回数リセット手段)と、経過時間が所定時間に到達したときに、総減少個数Σnに0をセットする端制御回路23(総減少個数リセット手段)と、を備え、棚制御回路23(減少回数算出手段)は、経過時間が所定時間に到達する前に、棚制御回路23により商品数が減少したと判定したときに、減少回数mに1を加算し、棚制御回路23(総減少個数算出手段)は、経過時間が所定時間に到達する前に、棚制御回路23(減少判定手段)により商品数が減少したと判定したときに、総減少個数Σnに同時減少個数nを加算することで、商品数が所定時間以下の時間間隔で所定の閾値以上減少したことを検出して報知を行うことができる。このため、所定時間以下の時間間隔で所定の閾値以上の商品3を離間させるといった多量の商品3の万引行為の可能性が高い行動と、所定時間より大きい時間間隔で商品3を離間させるといった通常の買い物の可能性が高い行動と、所定の閾値より小さい数の商品3を離間させるといった通常の買い物の可能性が高い行動と、を識別可能な商品陳列棚1(商品陳列装置)を提供することができる。
【0113】
また、棚制御回路23(減少判定手段)により商品数が減少したと判定したとき、かつ、計時を開始していないときに、判定した時点から所定時間までの経過時間の計時を開始するRTC18(計時手段)と、棚制御回路23(減少回数算出手段)は、経過時間が所定時間に到達するまでの間、棚制御回路23により商品3が減少したと判定した回数を減少回数として算出し、棚制御回路23(総減少個数算出手段)は、経過時間が所定時間に到達するまでの間、同時減少個数nを加算した値を総減少個数Σnとして算出することで、商品数が所定時間以内に所定の閾値以上減少したことを検出して報知を行うことができる。このため、所定時間以内に所定の閾値以上の商品3を離間させるといった多量の商品3の万引行為の可能性が高い行動と、所定時間を超過して商品3を離間させるといった通常の買い物の可能性が高い行動と、所定の閾値より少ない商品3を離間させるといった通常の買い物の可能性が高い行動と、を識別可能な商品陳列棚1(商品陳列装置)を提供することができる。
【実施例2】
【0114】
次に、実施例2に係る商品陳列装置につき、図13から図15を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。図13は、実施例2における商品の底面に取り付けられたRFIDタグを示す斜視図であり、図14は、RFIDタグの構成を示す回路図であり、図15は、商品陳列棚に陳列される商品のタグIDが記憶されている前回状態テーブルである。
【0115】
図13に示すように、商品3の底面には、実施例2における電磁波タグとしてのRFIDタグ19が個別に貼り付けられている。このRFIDタグ19は、商品販売店舗において、商品3を商品陳列棚1に陳列する際に商品3に貼り付けられる。
【0116】
図14に示すように、RFIDタグ19は、情報が記憶されたICチップ20と、このICチップ20に記憶された情報を電磁波を用いて送受信するためのコイルアンテナ21と、を備えており、このコイルアンテナ21と棚アンテナ6との間で電磁波(電波)を用いて通信可能となっている。尚、RFIDタグ19のICチップ20には、RFIDタグ19に固有に付与されたタグIDが記憶されている。
【0117】
具体的には、棚アンテナ6から送信された送信電磁波によりコイルアンテナ21が電磁誘導により発電を行い、ICチップ20を稼動させるとともに、コイルアンテナ21を用いて返信電磁波を棚アンテナ6に向けて送信できるようになっており、ICチップ20の情報を非接触方式(無線方式)で棚アンテナ6によって読み取るパッシブ型のRFIDタグが用いられている。そして、制御部10はこれら共振タグ14を各棚アンテナ6によって検出することで、商品陳列棚1に陳列されている商品3を監視している。
【0118】
図15に示すように、実施例2における記憶部22には、前回状態のタグIDが記憶された前回状態テーブルが記憶されている。また、各アンテナユニット8には、固有のIDであるアンテナユニットIDが付与されており、アンテナユニットIDは、配置されている棚板4の位置とともに、前回状態で検出したタグIDに関連付けられて前回状態テーブルに記憶されている。
【0119】
実施例2では、今回状態検出処理として、タグIDをアンテナユニット8が有する棚アンテナ6が検出すると、検出したタグIDを今回状態として、前回状態テーブルに記憶されているタグIDと比較する比較処理を行う。このとき、前回状態と今回状態のタグIDを比較することによって、棚板4の上面に陳列されている商品3の個数を、正確に把握することができる。
【0120】
すなわち実施例2では、実施例1と同様の検出間隔監視型の監視処理(図9参照)や検出総時間監視型の監視処理(図10参照)を行う場合に、RFIDタグ19を用いることで、同時減少個数nや同時増加個数pを正確に把握できるようになっている。また、実施例1のように共振タグ14のタグ検出波形の解析をする必要もない。尚、実施例1と同様にRFIDタグ19に共振回路を内蔵させることで、棚アンテナ6がICチップ20のタグIDを読み取らずに、共振回路によるタグ検出波形の解析で商品数を推定するようにしてもよい。
【0121】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0122】
例えば、前記実施例では、棚アンテナ6の形状が平面視で略角形状に形成されているが、棚アンテナ6の平面視での形状は、略角形状ならば略三角形状や略平行四辺形状に形成されていればよく、少なくとも棚アンテナ6の側辺が垂線Vに対して交差する側辺を有す形状ならばよい。
【0123】
また、前記実施例では、各アンテナユニット8の台形形状の前後の向きが互い違いとなるように配置されているが、前辺L1が後辺L2よりも長い複数の棚アンテナ6のみを左右方向に並べるようにしてもよし、前辺L1が後辺L2よりも短い複数の棚アンテナ6のみを左右方向に並べるようにしてもよい。
【0124】
また、前記実施例では、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさと、前回状態のタグ検出波形のデジタル信号の大きさとを比較して、棚板4上から増加または減少した商品3の個数を推定するようにしたが、今回状態のタグ検出波形のデジタル信号から前回状態のタグ検出波形のデジタル信号を減算することによって差分波形を生成し、この差分波形の大きさに基づいて、棚板4上から増加または減少した商品3の個数を正確に把握するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】実施例1における商品陳列棚を示す斜視図である。
【図2】商品陳列棚を示す縦断側面図である。
【図3】棚板におけるアンテナユニットの陳列を示す横断平面図である。
【図4】商品の底面に取り付けられた共振タグを示す斜視図である。
【図5】共振タグの構成を示す回路図である。
【図6】商品陳列棚の構成を示すブロック図である。
【図7】検出間隔監視型の監視処理を示す図である。
【図8】検出総時間監視型の監視処理を示す図である。
【図9】検出間隔監視型の大量万引き監視処理のフローチャートである。
【図10】検出総時間監視型の大量万引き監視処理のフローチャートである。
【図11】棚制御回路で処理される各電磁波の波形を示す図である。
【図12】各種パラメータを示す図である。
【図13】実施例2における商品の底面に取り付けられたRFIDタグを示す斜視図である。
【図14】RFIDタグの構成を示す回路図である。
【図15】商品陳列棚に陳列される商品のタグIDが記憶されている前回状態テーブルである。
【符号の説明】
【0126】
1 商品陳列棚(商品陳列装置)
2 管理コンピュータ(パラメータ受け付け手段)
3 商品
4 棚板(商品陳列部)
4a,4b 棚板
5 側板
6 棚アンテナ(陳列部アンテナ)
6a,6b 棚アンテナ
7 監視カメラ
8 アンテナユニット
9 警告モニタ(報知手段)
10 制御部(管理コンピュータ)
11 背板
12,13 接続ケーブル
14 共振タグ(電磁波タグ)
15 コンデンサ
16 コイルアンテナ
17 共振回路
18 RTC(計時手段)
19 RFIDタグ(電磁波タグ)
20 ICチップ
21 コイルアンテナ
22 記憶部
23 棚制御回路(減少判定手段、減少回数算出手段、同時減少個数算出手段、総減少算出手段、放置判定手段、減少回数リセット手段、総減少個数リセット手段、変更手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に電磁波タグが取り付けられた複数の商品を陳列する商品陳列部と、前記電磁波タグが発する電磁波を検出するために前記商品陳列部に設けられた複数の陳列部アンテナと、該陳列部アンテナを用いて検出した前記電磁波および前回検出したときの前記電磁波に基づいて前記商品数が減少したか否かを判定する減少判定手段と、前記商品数が減少したとの判定に基づいて作動する報知手段と、を備えた商品陳列装置であって、
前記減少判定手段は、前記陳列部アンテナのいずれかにおいて、今回検出した前記電磁波と、前回検出した前記電磁波と、が異なるものであることを条件に前記商品数が減少したと判定し、
前記減少判定手段により前記商品数が減少したと判定したときに、前記今回検出した前記電磁波と、前記前回検出した電磁波と、が異なる前記陳列部アンテナの個数を同時減少個数として算出する同時減少個数算出手段と、
前記減少判定手段により前記商品が減少したと判定した回数を減少回数として算出する減少回数算出手段と、
前記減少判定手段により前記商品数が減少したと判定したときに、前記前回の商品数から前記今回の商品数を引いた値を同時減少個数として算出し、該同時減少個数を加算した値を総減少個数として算出する総減少個数算出手段と、
の少なくともいずれかを備え、
前記同時減少個数が所定の閾値以上となったとき、および/または、前記減少回数が所定の閾値以上となったとき、および/または、前記総減少個数が所定の閾値以上となったとき、に報知を行うと判定する報知判定手段をさらに備え、
前記報知手段は、前記報知判定手段が報知を行うと判定したときに作動する、
ことを特徴とする商品陳列装置。
【請求項2】
前記商品陳列部には、複数の前記陳列部アンテナが左右方向に並設され、該各陳列部アンテナは、平面視において、その側辺が前記商品陳列部の前辺に対する垂線に交差する略角形状をなす、
ことを特徴とする請求項1に記載の商品陳列装置。
【請求項3】
前記減少判定手段により前記商品数が減少したと判定したときに、該判定した時点から所定時間までの経過時間の計時を開始する計時手段と、
前記経過時間が前記所定時間に到達したときに、前記減少回数に0をセットする減少回数リセット手段と、
前記経過時間が前記所定時間に到達したときに、前記総減少個数に0をセットする総減少個数リセット手段と、
を備え、
前記減少回数算出手段は、経過時間が前記所定時間に到達する前に、前記減少判定手段により前記商品数が減少したと判定したときに、減少回数に1を加算し、
前記総減少個数算出手段は、前記経過時間が前記所定時間に到達する前に、前記減少判定手段により前記商品数が減少したと判定したときに、総減少個数に前記同時減少個数を加算する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の商品陳列装置。
【請求項4】
前記減少判定手段により前記商品数が減少したと判定したとき、かつ、計時を開始していないときに、該判定した時点から所定時間までの経過時間の計時を開始する計時手段と、
前記減少回数算出手段は、前記経過時間が所定時間に到達するまでの間、前記減少判定手段により前記商品が減少したと判定した回数を減少回数として算出し、
前記総減少個数算出手段は、前記経過時間が前記所定時間に到達するまでの間、前記同時減少個数を加算した値を総減少個数として算出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の商品陳列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−97458(P2010−97458A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268358(P2008−268358)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】