説明

嚢胞性線維症膜コンダクタンスレギュレーターのモジュレーター

本発明は、ATP結合カセット(「ABC」)輸送体のモジュレーターもしくはそのフラグメント(嚢胞性線維症膜コンダクタンスレギュレーター、これらの組み合わせを含む)、その組成物、およびこれを使用する方法に関する。本発明はまた、このようなCFTRモジュレーターを使用して、疾患を処置するための方法に関する。本発明の化合物によって治療される疾患、障害もしくは状態としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:嚢胞性線維症、喘息、喫煙誘発性COPD、慢性気管支炎、鼻副鼻腔炎、便秘、膵炎、膵機能不全、先天性両側精管欠損によって引き起こされる男性不妊症(CBAVD)など。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
この出願は、米国特許法§119の下、2007年12月13日に出願された表題「MODULATORS OF CYSTIC FIBROSIS TRANSMEMBRANE CONDUCTANCE REGULATOR」の米国仮出願第61/013,336号(この全体の内容は、参考として本明細書に援用される)への優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ATPカセット輸送体は、広く種々の薬理学的薬剤(潜在的には、毒性の薬物、および生体異物、ならびにアニオン)の輸送を調節する膜輸送体タンパク質のファミリーである。それらは、それらの比活性のために細胞性アデノシン三リン酸(ATP)を結合しかつ利用する相同な膜タンパク質である。これら輸送体のうちのいくつかは、化学療法剤から悪性癌細胞を防御する多剤耐性タンパク質として発見された(MDR1−P糖タンパク質、もしくは多剤耐性タンパク質(MRP1)のように)。今日まで、48個のこのような輸送体が同定されており、それらの配列同一性および機能に基づいて、7個のファミリーに分類された。
【0003】
疾患と一般に関連している上記ATPカセット輸送体ファミリーの1つのメンバーは、cAMP/ATP媒介性アニオンチャネルであるCFTRである。CFTRは、種々の細胞タイプ(吸収上皮細胞および分泌上皮細胞が挙げられる)において発現され、ここでCFTRは、膜を横断するアニオンフラックス、ならびに他のイオンチャネルおよびタンパク質の活性を調節する。上皮細胞において、CFTRの正常な機能は、身体(呼吸組織および消化組織を含む)にくまなく電解質輸送を維持するために重要である。CFTRは、膜貫通ドメインのタンデム反復(各々は、6回膜貫通ヘリックスおよびヌクレオチド結合ドメインを含む)から構成されるタンパク質をコードする、約1480アミノ酸から構成される。上記2つの膜貫通ドメインは、大きな、極性の、調節性(R)−ドメインによって、チャネル活性および細胞の行き来(cellular trafficking)を調節する複数のリン酸化部位と連結されている。
【0004】
上記CFTRをコードする遺伝子は、同定されかつ配列決定された(非特許文献1;非特許文献2、非特許文献3を参照のこと)。この遺伝子の欠損は、嚢胞性線維症(「CF」)(ヒトにおいて最も一般的な致死的遺伝疾患)を生じるCFTRの変異を引き起こす。嚢胞性線維症は、米国において、2,500名の乳児に約1名が罹患する。一般的な米国の集団内で、最大1000万人の人々が、明らかな悪影響無く、上記欠損遺伝子の1コピーを有している。対照的に、上記CF関連遺伝子の2コピーを有する個体は、慢性肺疾患を含む、CFの衰弱しかつ致死的な影響を被る。
【0005】
嚢胞性線維症を有する患者において、呼吸器上皮において内因的に発現されるCFTRにおける変異は、イオンおよび流体輸送の平衡異常を引き起こす低下した先端アニオン分泌をもたらす。アニオン輸送において生じた低下は、CF患者において最終的に死を引き起こす、肺における増強した粘液蓄積および付随する微生物感染の原因となる。呼吸器疾患に加えて、CF患者は、代表的には、胃腸系の問題、および処置されずに放置された場合、死がもたらされる膵臓の機能不全を被っている。さらに、嚢胞性線維症を有する男性の大部分は、生殖能力が無く、嚢胞性線維症を有する女性の間では、受精率が低下する。上記CF関連遺伝子の2コピーの重篤な影響とは対照的に、上記CF関連遺伝子の1コピーを有する個体は、コレラに対する抵抗性の増大および下痢から生じる脱水に対する抵抗性を示す(おそらくこのことは、上記集団内の上記CF遺伝子の比較的高頻度を説明する)。
【0006】
CF染色体の上記CFTR遺伝子の配列分析は、種々の疾患を引き起こす変異を明らかにした(非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6;非特許文献7)。今日までに、上記CF遺伝子における1000より多い疾患を引き起こす変異が、同定されてきた(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/)。最も優勢な変異は、上記CFTRアミノ酸配列の508位のフェニルアラニンの欠失であり、ΔF508−CFTRと一般に言及される。この変異は、嚢胞性線維症の症例のうちの約70%において存在し、重篤な疾患と関連する。別の変異であるG551D−CFTRは、551位においてGlyを、Aspで置換することを伴う。
【0007】
CFTRにおける変異は、上記発生しようとしているタンパク質が正確に折りたたみされないようにする。このことは、上記変異タンパク質がERを出られず、形質膜を行き来出来ないということを生じる。結果として、上記膜に存在するチャネルの数は、野生型CFTRを発現する細胞において認められるよりも遙かに少ない。損なわれた行き来に加えて、上記変異は、不完全なチャネル開閉(defective channel gating)を生じる。まとめると、上記膜におけるチャネル数の低下および上記不完全な開閉は、上皮を横断するアニオン輸送の低下をもたらし、不完全なイオンおよび流体の輸送をもたらす(Quinton,P.M.(1990),FASEB J.4:2709−2727)。しかし、研究は、上記膜中の低下した数の変異CFTRが、野生型CFTRより少ないにも拘わらず、機能的であることを示した(Dalemansら(1991),Nature Lond.354:526−528;Denningら,前出;Pasyk and Foskett(1995),J.Cell.Biochem.270:12347−50)。ΔF508−CFTRおよびG551D−CFTRに加えて、不十分な行き来、合成、および/もしくはチャネル開閉を生じる、CFTRにおける他の疾患の原因となる変異は、アップレギュレートもしくはダウンレギュレートされて、アニオン分泌を変化させ得、疾患進行および/もしくは重篤度を改変し得る。
【0008】
CFTRは、アニオンに加えて、種々の分子を輸送するが、この役割(アニオン、クロリドおよび炭酸水素イオンの輸送)が、上記上皮を横断するイオンおよび水の輸送の重要な機構においてある要素を表すことは、明らかである。他方の要素は、上皮NaチャネルであるENaC、Na/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPaseポンプおよび基底側細胞膜Kチャネル(これらは、上記細胞へのクロリドの取り込みを担う)を含む。
【0009】
これら要素は、一緒になって働いて、それらの選択的発現および細胞内での位置を介して、上記上皮を横断する指向性輸送を達成する。クロリド吸収は、先端膜に存在するENaCおよびCFTR、ならびに上記再紡の基底側表面で発現される上記Na−K−ATPaseポンプおよびCl−チャネルの調和した活性によって起こる。管腔側からのクロリドの二次的な能動的輸送は、細胞内クロリドの蓄積をもたらし、これは、次いで、Clチャネルを介して受動的に細胞から出て、ベクトル様の輸送(vectorial transport)を生じ得る。基底側表面上にNa/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPaseポンプおよび基底側膜Kチャネル、ならびに管腔側にCFTRという配置は、管腔側のCFTRを介したクロリドの分泌を調和させる。水は、おそらくそれ自体が決して能動的に輸送されないので、上皮を横断するその流れは、ナトリウムおよびクロリドのバルクフローによって生成されるわずかな経上皮浸透圧勾配に依存する。
【0010】
CFTRにおける変異に起因する欠損性の炭酸水素イオン輸送は、特定の分泌機能において欠損を引き起こすと仮定される。例えば、「Cystic fibrosis: impaired bicarbonate secretion and mucoviscidosis」,Paul M.Quinton,Lancet 2008;372:415−417を参照のこと。
【0011】
嚢胞性線維症に加えて、CFTR活性の調節は、CFTRにおける変異によって直接引き起こされない他の疾患(例えば、分泌疾患およびCFTRによって媒介される他のタンパク質折りたたみ疾患)にとって有益であり得る。CFTRは、多くの細胞の上皮を横断するクロリドおよび炭酸水素イオンフラックスを調節して、流体移動、タンパク質溶解、粘膜粘性、および酵素活性を制御する。CFTRにおける欠損は、多くの器官における気道もしくは導管(肝臓および膵臓を含む)の遮断を引き起こし得る。粘膜の肥厚化、損なわれた流体調節、損なわれた粘膜クリアランス、もしくは遮断された導管を伴って、炎症および組織破壊がもたらされる任意の疾患は、増強因子(potentiator)の候補であり得る。
【0012】
これらとしては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、喫煙誘発性COPD、慢性気管支炎、鼻副鼻腔炎、便秘、ドライアイ疾患、およびシェーグレン症候群が挙げられるが、これらに限定されない。COPDは、進行性であるが、完全には可逆性でない気流制限によって特徴付けられる。上記気流制限は、粘液過剰分泌、気腫、および細気管支炎に起因する。変異型もしくは野生型のCFTRの活性化因子は、粘液過剰分泌およびCOPDにおいて一般的な損なわれた粘膜絨毛クリアランスの潜在的な処置を提供する。具体的には、CFTRを横断するアニオン分泌が増大すると、上記粘液を水和するために、上記気道表面液体への流体輸送および最適化された絨毛周辺の流体粘性が促進され得る。このことは、増大された粘膜絨毛クリアランスおよびCOPDと関連する症状の軽減をもたらす。ドライアイ疾患は、涙の水性部分の生成の低下および異常な涙膜脂質、タンパク質およびムチンプロフィールによって特徴付けられる。空井愛には多くの原因があるが、そのうちのいくつかとしては、年齢、眼のレーシック手術、関節炎、薬物療法、化学的/熱によるやけど、アレルギー、および疾患(例えば、嚢胞性線維症およびシェーグレン症候群)が挙げられる。CFTRを介するアニオン分泌が増えると、角膜上皮細胞および眼を囲む分泌腺からの流体輸送が増強して、角膜水和を増大させる。このことは、ドライアイ疾患と関連する症状を緩和するための一助となる。シェーグレン症候群は、免疫系が、身体中の水分生成腺(眼、口、皮膚、呼吸組織、肝臓、膣、および腸が挙げられる)を攻撃する自己免疫疾患である。症状としては、ドライアイ、ドライマウス、および膣乾燥、ならびに肺疾患が挙げられる。上記疾患はまた、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、および多発性筋炎/皮膚筋炎と関連する。欠損性のタンパク質の行き来は、上記疾患を引き起こすと考えられ、上記疾患については、処置選択肢が限られている。CFTR活性のモジュレーターは、上記疾患に罹患している種々の器官を水和し得、その関連する症状を高めるのを助ける。
【0013】
CFTRにおける変異は、上記発生しようとしているタンパク質が正確に折りたたみされないようにし、この変異タンパク質がERを出ず、上記形質膜へ行き来できないようになると考えられている。結果として、上記成熟タンパク質の不十分な量しか形質膜に存在せず、上皮組織内のクロリド輸送は、顕著に低下する。事実、ER機構によるCFTRの不完全なERプロセシングというこの細胞現象は、CF疾患についてのみならず、広く種々の他の遺伝性でない(isolated)疾患および遺伝性の疾患についても根底にある基礎であることが示された。上記ER機構が、うまく機能しない可能性がある2つの点は、分解をもたらす上記タンパク質のERエクスポートに関連がないか、これら不完全な/誤って折りたたみされたタンパク質のER蓄積かのいずれかによる[Aridor M,ら,Nature Med.,5(7),pp 745−751(1999);Shastry,B.S.ら,Neurochem.International,43,pp 1−7(2003);Rutishauser,J.ら,Swiss Med Wkly,132,pp 211−222(2002);Morello,JPら,TIPS,21,pp.466−469(2000);Bross P.ら,Human Mut.,14,pp.186−198(1999)]。ER機能不全の最初のクラスと関連する疾患は、以下のものである:嚢胞性線維症(上記で議論されるように誤って折りたたみされたΔF508−CFTRに起因)、遺伝性気腫(a1−アンチトリプシン;非Piz改変体に起因)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線維素溶解欠損症(例えば、プロテインC欠損症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症(例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無ベータリポ蛋白血症)、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽ハーラー、ムコ多糖症(リソソーム処理酵素に起因)、サンドホフ/テイ−サックス(β−ヘキソサミニダーゼに起因)、クリグラー・ナジャー II型(UDP−グルクロニル−シアリック(sialyc)−トランスフェラーゼに起因)、多発性内分泌腺症/高インスリン血症(Hyperinsulemia)、真性糖尿病(インスリンレセプターに起因)、ラロン型小人症(成長ホルモンレセプターに起因)、ミエロペルオキシダーゼ欠損、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ副甲状腺ホルモンに起因)、黒色腫(チロシナーゼに起因)。ER機能不全の後者のクラスと関連する疾患は、以下のものである:グリカノシスCDG1型(Glycanosis CDG type 1)、遺伝性気腫(α1−アンチトリプシン(PiZ改変体)に起因)、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I型、II型、IV型のプロコラーゲンに起因)、遺伝性低フィブリノゲン血症(フィブリノゲンに起因)、ACT欠損症(α1−アンチキモトリプシンに起因)、尿崩症(DI)、神経生理学的DI(バソプレッシンホルモン/V2レセプターに起因)、腎性DI(アクアポリンIIに起因)、シャルコー・マリー・トゥース症候群(抹消ミエリンタンパク質22に起因)、ペリツェウス・メルツバッヘル病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンに起因)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear plasy)、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害(polyglutamine neurological disorder)(例えば、ハンチントン、脊髄小脳失調症I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubal pallidoluysian)、および筋硬直性ジストロフィー)、ならびに海綿状脳症(例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質処理欠損に起因)、ファブリー病(リソソームα−ガラクトシダーゼAに起因)、ストロイスラー−シャインカー症候群(Prp処理欠損に起因))、不妊症、膵炎、および肝臓疾患。
【0014】
CFTRにおける変異によって影響を受ける他の疾患としては、先天性両側精管欠損によって引き起こされる男性不妊症(CBAVD)、軽度肺疾患、突発性膵炎、およびアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)が挙げられる。「CFTR−opathies: disease phenotypes associated with cystic fibrosis transmembrane regulator gene mutations」,Peader G. Noone and Michael R.Knowles,Respir.Res.2001,2:328−332(本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0015】
CFTR活性のアップレギュレーションに加えて、CFTRモジュレーターによるアニオン分泌の低下は、分泌性下痢の処置に有益であり得、ここで上皮の水輸送は、分泌促進薬活性化クロリド輸送の結果として劇的に増大する。上記機構は、cAMPの上昇およびCFTRの刺激を包含する。下痢の原因は数多くあるが、過剰なクロリド輸送から生じる下痢疾患の大部分の結果は、すべてに共通しており、脱水、アシドーシス、損なわれた成長および死亡が挙げられる。急性および慢性の下痢は、世界の大部分の地域において大きな医学的問題を表している。下痢は、栄養不良の大きな要因でありかつ5歳未満の子供における死亡の大きな原因(5,000,000人死亡/年)である。
【0016】
分泌性下痢はまた、後天性免疫不全症候群(AIDS)および慢性炎症性腸疾患(IBD)を有する患者において危険な状態である。先進国から発展途上国への毎年1600万人の旅行者は、下痢を発症し、下痢の症例の重篤度および数は、旅行先の国および地域に依存して変動する。
【0017】
従って、哺乳動物の細胞膜におけるCFTRの活性を調節するために使用され得る、CFTR活性のモジュレーター、およびその組成物が必要である。
【0018】
CFTR活性のこのようなモジュレーターを使用して、CFTRにおける変異によって引き起こされる疾患を処置するための方法が必要である。
【0019】
哺乳動物のエキソビボ細胞膜におけるCFTR活性を調節するための方法が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Gregory,R.J.ら、Nature(1990)347:382−386
【非特許文献2】Rich,D.P.ら、Nature(1990)347:358−362
【非特許文献3】Riordan,J.R.ら、Science(1989)245:1066−1073
【非特許文献4】Cutting,G.R.ら、Nature(1990)346:366−369
【非特許文献5】Dean,M.ら、Cell(1990)61:863:870
【非特許文献6】Kerem,B−S.ら、Science(1989)245:1073−1080
【非特許文献7】Kerem,B−Sら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:8447−8451
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
(発明の要旨)
いまや、本発明の化合物、およびその薬学的に受容可能な組成物が、ABC輸送体活性のモジュレーターとして有用であることが見いだされた。これら化合物は、一般式I:
【0022】
【化1】

もしくはその薬学的に受容可能な塩を有し、ここでR、R、R、R、およびArは、一般に、ならびに以下のクラスおよびサブクラスにおいて記載されている。
【0023】
これら化合物および薬学的に受容可能な組成物は、種々の疾患、障害、もしくは状態を処置するかもしくはそれらの重篤度を軽減するために有用である。上記疾患、障害もしくは状態としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:嚢胞性線維症、喘息、喫煙誘発性COPD、慢性気管支炎、鼻副鼻腔炎、便秘、膵炎、膵機能不全、先天性両側精管欠損によって引き起こされる男性不妊症(CBAVD)、軽度肺疾患、突発性膵炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、肝臓疾患、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線維素溶解欠損症(例えば、プロテインC欠損症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症(例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無ベータリポ蛋白血症)、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽ハーラー、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス)、クリグラー・ナジャー II型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症(Hyperinsulemia)、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠損、尿崩症(DI)、神経生理学的(Neurophyseal)DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッヘル病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害(例えば、例えば、ハンチントン、脊髄小脳失調症I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋硬直性ジストロフィー)、ならびに海綿状脳症(例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質処理欠損に起因する)、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群)、COPD、ドライアイ疾患、およびシェーグレン病)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(発明の詳細な説明)
(I.本発明の化合物の一般的説明)
本発明は、ABC輸送体活性のモジュレーターとして有用な式Iの化合物:
【0025】
【化2】

もしくはその薬学的に受容可能な塩に関し、ここで:
Arは、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、5〜6員の芳香族単環式環であり、ここで上記環は、5〜12員の単環式もしくは二環式の、芳香族の、部分不飽和の、もしくは飽和の環に必要に応じて縮合され、ここで各々の環は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含み、ここでArは、m個の置換基を有し、各々は、−WRから独立して選択され;
Wは、結合であるか、または必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、ここでWの最大2個までのメチレンユニットは、O、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−C(O)NR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−によって、必要に応じてかつ独立して置換されており;
Zは、−CH−、−CR−、もしくはNであり、
mは、0〜5であり;
kは、0〜2であり;
の各々は、独立して、−X−Rであり;
Xは、結合であるか、または必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、ここでXの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−によって、必要に応じてかつ独立して置換されており;
は、独立して、R’、ハロ、NO、CN、CF、もしくはOCFであり;
は、水素であり;
は、水素であり;
は、水素、もしくは−X−Rで必要に応じて置換されたC1−6脂肪族基であり;
R’は、水素、あるいはC1−脂肪族基、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、3〜8員の飽和の、部分不飽和の、もしくは完全に不飽和の単環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する、8〜12員の飽和の、部分不飽和の、もしくは完全に不飽和の二環式環系から選択される必要に応じて置換された基から独立して選択され;あるいはR’の2個の存在は、それらが結合される原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された3〜12員の飽和の、部分不飽和の、もしくは完全に不飽和の単環式もしくは二環式の環を形成する。
【0026】
(2.化合物および定義)
本発明の化合物は、上記で一般に記載されるものを含み、本明細書で開示されるクラス、サブクラス、および種によってさらに例示される。本明細書で使用される場合、以下の定義が、別段示されなければ適用されるものとする。
【0027】
用語「ABC−輸送体」とは、本明細書で使用される場合、少なくとも1個の結合ドメインを含むABC−輸送体タンパク質もしくはそのフラグメントを意味する。ここで上記タンパク質もしくはそのフラグメントは、インビボもしくたインビトロで存在する。用語「結合ドメイン」とは、本明細書で使用される場合、モジュレーターに結合し得る上記ABC−輸送体上のドメインを意味する。例えば、Hwang,T.C.ら,J.Gen.Physiol.(1998):111(3),477−90を参照のこと
用語「CFTR」とは、本明細書で使用される場合、嚢胞性線維症膜コンダクタンスレギュレーターもしくはレギュレーター活性の能力があるその変異体(ΔF508 CFTRおよびG551D CFTRが挙げられるが、これらに限定されない)(CFTR変異については、例えば、http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/を参照のこと)を意味する。
【0028】
用語「調節する」とは、本明細書で使用される場合、測定可能な量で増大もしくは減少させることを意味する。
【0029】
本発明の目的で、化学元素は、元素周期表(CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed)に従って同定される。さらに、有機化学の一般原則は、「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、および「March’s Advanced Organic Chemistry」,5th Ed.,Ed.:Smith,M.B. and March,J., John Wiley & Sons,New York:2001(これらの内容全体は、本明細書に参考として援用される)に記載されている。
【0030】
本明細書で記載されるように、本発明の化合物は、必要に応じて、1個以上の置換基(例えば、上記で一般に例示されるように、または本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種によって例示されるように)で置換され得る。語句「必要に応じて置換される」とは、語句「置換されているかもしくは置換されていない」と交換可能に使用されることが認識される。一般に、用語「置換されている」とは、用語「必要に応じて」が前に付こうと付くまいと、所定の構造における水素ラジカルの、特定の置換基のラジカルでの置換に言及する。別段示されなければ、必要に応じて置換された基は、上記基の各置換可能な位置において置換基を有し得る。そして任意の所定の構造において1個より多くの位置が、特定の基から選択される1個より多い置換基で置換され得る場合、上記置換基は、あらゆる位置において同じであってもよいし、異なっていてもよい。本発明によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定であるかもしくは化学的に実現可能な化合物の形成を生じるものである。用語「安定な」とは、本明細書で使用される場合、化合物の生成、検出、ならびに好ましくは、それらの回収、精製、および本明細書で開示されている目的のうちの1つ以上の使用を可能にする条件に供される場合に実質的に変化しない化合物に言及する。いくつかの実施形態において、安定な化合物もしくは化学的に実現可能な化合物は、水分もしくは他の化学的に反応性の条件の存在下で、少なくとも1週間にわたって、40℃以下の温度で保持される場合に、実質的に変化しないものである。
【0031】
用語「脂肪族」もしくは「脂肪族基」とは、本明細書で使用される場合、直鎖(すなわち、非分枝状)もしくは分枝状の、完全に飽和されているかもしくは1個以上の不飽和ユニットを含む置換されているかもしくは置換されていない炭化水素鎖、または完全に飽和されているかもしくは1個以上の不飽和ユニットを含むが、芳香族ではない(「炭素環」、「シクロ脂肪族」もしくは「シクロアルキル」ともいわれる)単環式炭化水素もしくは二環式炭化水素を意味し、これらは、上記分子の残りに対して1個の結合点を有する。別段特定されなければ、脂肪族基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、脂肪族基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含み、さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、「シクロ脂肪族」(もしくは「炭素環」もしくは「シクロアルキル」)とは、完全に飽和しているかもしくは1個以上の不飽和ユニットを含むが、芳香族ではない、単環式C−C炭化水素または二環式もしくは三環式のC−C14炭化水素に言及し、これらは、上記分子の残りに対して1個の結合点を有し、ここで上記二環式環系中の任意のここの環は、3〜7員を有する。適切な脂肪族基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:直線状もしくは分枝状の、置換されているもしくは置換されていない、アルキル、アルケニル、アルキニル基、およびこれらのハイブリッド(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルもしくは(シクロアルキル)アルケニル)。適切なシクロ脂肪族基としては、シクロアルキル、二環式シクロアルキル(例えば、デカリン)、架橋ビシクロアルキル(例えば、ノルボルニルもしくは[2.2.2]ビシクロ−オクチル)、または架橋三環式(例えば、アダマンチル)が挙げられる。
【0032】
用語「ヘテロ脂肪族」とは、本明細書で使用される場合、脂肪族基であって、1個もしくは2個の炭素原子が、酸素、硫黄、窒素、リン、もしくはケイ素のうちの1個以上によって、独立して置換されているものを意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよく、分枝状であってもよいし、非分枝状であってもよく、環式であっても非環式であってもよく、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロ脂肪族」、もしくは「複素環式」基が挙げられる。
【0033】
用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロ脂肪族」、もしくは「複素環式」とは、本明細書で使用される場合、非芳香族の、単環式、二環式、もしくは三環式の環系であって、1個以上の環員が、独立して選択されたヘテロ原子であるものを意味する。いくつかの実施形態において、上記「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロ脂肪族」、もしくは「複素環式」基は、3〜14個の環員を有し、ここで1個以上の環員は、酸素、硫黄、窒素、もしくはリンから独立して選択されるヘテロ原子であり、上記系の各環は、3〜7個の環員を含む。
【0034】
用語「ヘテロ原子」とは、酸素、硫黄、窒素、リン、もしくはケイ素のうちの1個以上(窒素、硫黄、リン、もしくはケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形態、または;複素環式環の置換可能な窒素(例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中のような)、NH(ピロリジニル中のような)もしくはNR(N−置換されたピロリジニル中のような))が挙げられる)を意味する。
【0035】
用語「不飽和」とは、本明細書で使用される場合、ある部分が、1個以上の不飽和ユニットを有することを意味する。
【0036】
用語「アルコキシ」、もしくは「チオアルキル」とは、本明細書で使用される場合、上記で定義されるアルキル基であって、酸素原子(「アルコキシ」)もしくは硫黄原子(「チオアルキル」)を介して主炭素鎖に結合されるものをいう。
【0037】
用語「ハロ脂肪族」および「ハロアルコキシ」とは、脂肪族もしくはアルコキシであって、場合によって、1個以上のハロ原子で置換されているものを意味する。用語「ハロゲン」もしくは「ハロ」とは、F、Cl、Br、もしくはIを意味する。ハロ脂肪族の例としては、−CHF、−CHF、−CF、−CF−、もしくはペルハロアルキル(例えば、−CFCF)を含む。
【0038】
用語「アリール」とは、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、もしくは「アリールオキシアルキル」におけるようなより大きな部分の一部として使用され、合計5〜14個の環員を有する単環式、二環式、および三環式の環系であって、上記系中の少なくとも1個の環が芳香族であり、上記系における各環が、3〜7個の環員を含むものをいう。用語「アリール」とは、用語「アリール環」と交換可能に使用され得る。用語「アリール」はまた、本明細書中以下で定義されるように、ヘテロアリール環系に言及する。
【0039】
用語「ヘテロアリール」とは、単独で、または「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」におけるようなより大きな部分の一部として使用され、合計で5〜14個の環員を有する単環式、二環式、および三環式の環系であって、上記系中の少なくとも1個の環が芳香族であり、上記系における少なくとも1個の環が、1個以上のヘテロ原子を含み、上記系における各環が、3〜7個の環員を含むものをいう。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」もしくは用語「ヘテロ芳香族」と交換可能に使用され得る。
【0040】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)もしくはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含む)基は、1個以上の置換基を含み得る。上記アリールもしくはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適切な置換基は、ハロ;−R;−OR;−SR;1,2−メチレン−ジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;Rで必要に応じて置換されたフェニル(Ph);Rで必要に応じて置換された−O(Ph);Rで必要に応じて置換された−(CH1−2(Ph);Rで必要に応じて置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R);−NRC(O)R;−NRC(O)N(R);−NRCOR;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R);−NRNRCOR;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−COR;−C(O)R;−C(O)N(R);−OC(O)N(R);−S(O)R;−SON(R);−S(O)R;−NRSON(R);−NRSOR;−C(=S)N(R);−C(=NH)−N(R);もしくは−(CH0−2NHC(O)R(ここでRの各独立した存在は、水素、必要に応じて置換されたC1−6脂肪族、置換されていない5〜6員のヘテロアリール、または複素環式環、フェニル、−O(Ph)、もしくは−CH(Ph)から選択されるか、あるいは上記の定義にもかかわらず、同じ置換基もしくは異なる置換基上のRの2個の独立した存在は、各R基が結合される原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、3〜8員のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリール環を形成する)から選択される。Rの上記脂肪族基上の選択肢的置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロ、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、もしくはハロC1−4脂肪族から選択され、ここでRの前述のC1−4脂肪族基の各々は、置換されていない。
【0041】
脂肪族もしくはヘテロ脂肪族基、または非芳香族の複素環式環は、1個以上の置換基を含み得る。脂肪族もしくはヘテロ脂肪族基の、または非芳香族複素環式環の、飽和炭素上の適切な置換基は、アリールもしくはヘテロアリール基の不飽和炭素について上記で列挙されているものから選択され、さらに以下が挙げられる:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)、もしくは=NR(ここで各Rは、水素もしくは必要に応じて置換されたC1−6脂肪族から独立して選択される)。上記Rの脂肪族基上の選択肢的置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロ、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、もしくはハロ(C1−4脂肪族)から選択され、ここで前述のRのC1−4脂肪族基の各々は、置換されていない。
【0042】
上記非芳香族複素環式環の窒素上の選択肢的置換基は、−R、−N(R、−C(O)R、-CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、-SON(R、-C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R、もしくは−NRSOから選択され;ここでRは、水素、必要に応じて置換されたC1−6脂肪族、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換された−O(Ph)、必要に応じて置換された−CH(Ph)、必要に応じて置換された−(CH1−2(Ph);必要に応じて置換された−CH=CH(Ph);または酸素、窒素、もしくは硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する置換されていない5〜6員のヘテロアリールもしくは複素環式環であるか、または上記の定義にもかかわらず、同じ置換基もしくは異なる置換基上のRの2個の独立した存在は、各R基が結合される原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリール環を形成する。Rの上記脂肪族基もしくはフェニル環上の選択肢的置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロ、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、もしくはハロ(C1−4脂肪族)から選択され、ここでRの前述のC1−4脂肪族基の各々は、置換されていない。
【0043】
用語「アルキリデン鎖」とは、完全に飽和しているかまたは1個以上の不飽和ユニットを有し得、上記分子の残りに対して2個の結合点を有する直線状もしくは分枝状の炭素鎖をいう。用語「素ピロシクロアルキリデン」とは、完全に飽和しているかまたは1個以上の不飽和ユニットを有し得、上記分子の残りに対して同じ環炭素原子から2個の結合点を有する炭素環式環をいう。
【0044】
上記で詳述されるように、いくつかの実施形態において、R(またはR、もしくは本明細書で同様に定義される任意の他の変数)の2個の独立した存在は、各々の変数が結合される原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリール環を形成する。R(またはR、もしくは本明細書で同様に定義される任意の他の変数)の2個の独立した存在が、各々の変数が結合される原子と一緒になった場合に形成される例示的な環としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:a)同じ原子に結合されかつその原子と一緒になって環を形成するR(またはR、もしくは本明細書で同様に定義される任意の他の変数)の2個の独立した存在、例えば、N(R(Rの両方の存在が窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、もしくはモルホリン−4−イル基を形成する);およびb)異なる原子に結合されかつそれらの原子のうちの両方と一緒になって環を形成するR(またはR、もしくは本明細書で同様に定義される任意の他の変数)の2個の独立した存在、例えば、フェニル基が、ORの2個の存在
【0045】
【化3】

と置換される場合、これらRの2個の存在は、それらが結合される酸素原子と一緒になって、縮合した6員の酸素含有環:
【0046】
【化4】

を形成する。種々の他の環が、R(またはR、もしくは本明細書で同様に定義される任意の他の変数)の2個の独立した存在が、各々の変数が結合され原子と一緒になった場合に形成され得ること、および上記で詳述した例は、限定であることを意図しないことが認識される。
【0047】
例えば、二環式環系における置換基結合は、以下に示されるように、上記置換基が、上記二環式環系のいずれかの環上の任意の置換可能な環原子に結合され得ることを意味する:
【0048】
【化5】

別段示されなければ、本明細書で示される構造はまた、上記構造のすべての異性形態(例えば、エナンチオマー形態、ジアステレオマ−形態、および幾何異性形態(もしくは配座形態))を含むことが意味される;例えば、各不斉中心に対してR配置およびS配置、(Z)および(E)の二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)の配座異性体。従って、本発明の化合物の単一の立体化学的異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマ−、および幾何異性(もしくは配座異性)混合物は、本発明の範囲内である。別段示されなければ、本発明の化合物のすべての互変異性形態は、本発明の範囲内である。例えば、式Iの化合物におけるRが水素である場合、式Iの化合物は、互変異性体として存在し得る:
【0049】
【化6】

さらに、別段示されなければ、本明細書で示される構造はまた、1個以上の放射性同位体が富化された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことが意味される。例えば、水素の、重水素もしくはトリチウムによる置換、または炭素の、13C富化炭素もしくは14C富化炭素による置換を除いて、本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、分析ツールとして、または生物学的アッセイにおけるプローブとして有用である。
【0050】
(3.例示的化合物の説明)
本発明のいくつかの実施形態において、Arは、以下から選択される:
【0051】
【化7】

ここで環Aは、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の芳香族単環式環であるか;または
およびAは一緒になって、8〜14員の芳香族の二環式もしくは三環式のアリール環であり、ここで各環は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、Aは、0〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された6員の芳香族環であり、ここで上記ヘテロ原子は窒素である。いくつかの実施形態において、Aは、必要に応じて置換されたフェニルである。あるいは、Aは、必要に応じて置換されたピリジル、ピリミジニル、ピラジニルもしくはトリアジニルである。あるいは、Aは、必要に応じて置換されたピラジニルもしくはトリアジニルである。あるいは、Aは、必要に応じて置換されたピリジルである。
【0053】
いくつかの実施形態において、Aは、0〜3個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された5員の芳香族環であり、ここで上記ヘテロ原子は、窒素、酸素、もしくは硫黄である。いくつかの実施形態において、Aは、1〜2個の窒素原子を有する必要に応じて置換された5員の芳香族環である。
【0054】
いくつかの実施形態において、Aは、0〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された6員の芳香族環であり、ここで上記ヘテロ原子は窒素である。いくつかの実施形態において、Aは、必要に応じて置換されたフェニルである。あるいは、Aは、必要に応じて置換されたピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、もしくはトリアジニルである。
【0055】
いくつかの実施形態において、Aは、0〜3ヘテロ原子を有する必要に応じて置換された5員の芳香族環であり、ここで上記ヘテロ原子は、窒素、酸素、もしくは硫黄である。いくつかの実施形態において、Aは、1〜2個の窒素原子を有する必要に応じて置換された5員の芳香族環である。特定の実施形態において、Aは、必要に応じて置換されたピロリルである。
【0056】
いくつかの実施形態において、Aは、窒素、硫黄、もしくは酸素から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された5〜7員の、飽和もしくは不飽和の複素環式環である。例示的なこのような環としては、ピペリジル、ピペラジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニルなどが挙げられる。
【0057】
いくつかの実施形態において、Aは、必要に応じて置換された5〜10員の飽和もしくは不飽和の炭素環式環である。一実施形態において、Aは、必要に応じて置換された5〜10員の飽和炭素環式環である。例示的なこのような環としては、シクロヘキシル、シクロペンチルなどが挙げられる。
【0058】
いくつかの実施形態において、環Aは、以下から選択される:
【0059】
【化8】

【0060】
【化9】

ここで、環Aは、環Aに2個の隣接する環原子を介して縮合される。
【0061】
他の実施形態において、Wは、結合であるか、または必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、ここでWの最大2個までのメチレンユニットは、O、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−C(O)NR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−によって、必要に応じてかつ独立して置換され、Rは、R’もしくはハロである。
【0062】
なお他の実施形態において、WRの各存在は、独立して、−C1−C3アルキル、t−ブチル、C1−C3ペルハロアルキル、−OH、−O(C1−C3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、または−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換された5〜7員の複素環式環、必要に応じて置換された5〜7員のシクロ脂肪族基、必要に応じて置換された単環式もしくは二環式の芳香族環、必要に応じて置換されたアリールスルホン、必要に応じて置換された5員のヘテロアリール環、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、−C≡CCHN(R’)(R’)もしくは−(CH)N(R’)(R’)である。
【0063】
式a−i中のArの一実施形態において、環Aは、フェニル環であり、mは、2であり、各WRは、独立して、−CF、もしくは必要に応じて置換された5〜7員の複素環である。
【0064】
式a−i中のArの一実施形態において、環Aは、フェニル環であり、mは、3であり、各WRは、独立して、−OHもしくはt−ブチルである。
【0065】
式a−i中のArの一実施形態において、環Aは、フェニル環であり、mは、2もしくは3であり、各WRは、独立して、−OH、−CF、もしくは必要に応じて置換された5〜7員のシクロ脂肪族基である。
【0066】
式a−i中のArの一実施形態において、環Aは、フェニル環であり、mは、2もしくは3であり、各WRは、独立して、−OH、−F、もしくは必要に応じて置換された5〜7員のシクロ脂肪族基である。
【0067】
いくつかの実施形態において、mは、0である。あるいは、mは、1である。あるいは、mは、2である。いくつかの実施形態において、mは、3である。さらに他の実施形態において、mは、4である。
【0068】
本発明の一実施形態において、R、R、R、およびRは、同時に水素である。
【0069】
本発明の別の実施形態において、kは、1もしくは2であり、各Rは、独立して、C1−C3アルキルである。
【0070】
一実施形態において、kは、1であり、Rは、C1−C3アルキルである。
【0071】
一実施形態において、kは、1であり、Rは、メチルである。
【0072】
一実施形態において、kは、1であり、Rは、エチルである。
【0073】
一実施形態において、kは、1であり、Rは、ハロである。
【0074】
一実施形態において、kは、1であり、Rは、CFである。
【0075】
いくつかの実施形態において、Xは、結合であるか、または必要に応じて置換されたC1−6アルキリデン鎖であり、ここで1もしくは2個の隣接しないメチレンユニットは、O、NR’、S、SO、もしくはCOO、COによって、必要に応じてかつ独立して置換され、Rは、R’もしくはハロである。なお他の実施形態において、XRの各存在は、独立して、−C1−3アルキル、−O(C1−3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、OH、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されたフェニル、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、もしくは−(CH)N(R’)(R’)である。
【0076】
一実施形態において、Rは、H、C1−C4脂肪族、ハロ、もしくはC3−C6シクロ脂肪族である。
【0077】
いくつかの実施形態において、Rは、水素である。特定の他の実施形態において、Rは、C1−4直線状もしくは分枝状の脂肪族である。
【0078】
いくつかの実施形態において、Rは、ハロ、シアノ、CF、CHF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、−OH、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−メトキシフェニル、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−(アミノ−ピリジル)、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンゾイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph、NHSOMe、2−インドリル、5−インドリル、−CHCHOH、−OCF、O−(2,3−ジメチルフェニル)、5−メチルフリル、−SO−N−ピペリジル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、O−ブチル、NHCOC(Me)、COC(Me)、イソプロペニル、n−ブチル、O−(2,4−ジクロロフェニル)、NHSOPhMe、O−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)、フェニルヒドロキシメチル、2−メチルピロリル、3−フルオロピロリル、3,3−ジフルオロピロリル、3,3−ジメチルピロリル、2,5−ジメチルピロリル、NHCOCHC(Me)、O−(2−tert−ブチル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノメチルフェニル、4−イソブチルフェニル、3−ピリジル、4−ピリジル、4−イソプロピルフェニル、3−イソプロピルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−エトキシフェニル、2−メチルチオフェニル、4−メチルチオフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、5−クロロ−2−メトキシフェニル、2−OCF−フェニル、3−トリフルオロメトキシフェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、2−フェノキシフェニル、4−フェノキシフェニル、2−フルオロ−3−メトキシフェニル、2,4−ジメトキシ−5−ピリミジル、5−イソプロピル−2−メトキシフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、3−シアノフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3−メトキシカルボニルフェニル、4−メトキシカルボニルフェニル、3−イソプロピルオキシカルボニルフェニル、3−アセトアミドフェニル、4−フルオロ−3−メチルフェニル、4−メタンスルフィニル−フェニル、4−メタンスルホニル−フェニル、4−N−(2−N,N−ジメチルアミノエチル)カルバモイルフェニル、5−アセチル−2−チエニル、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル、フラン−3−イル、4−メチル−2−チエニル、5−シアノ−2−チエニル、N’−フェニルカルボニル−N−ピペラジニル、−NHCOEt、−NHCOMe、N−ピロリジニル、−NHSO(CHN−ピペラジン、−NHSO(CHN−モルホリン、−NHSO(CHN(Me)、COCHN(Me)COCHNHMe、−COEt、O−プロピル、−CHCHNHCOC(Me)、アミノメチル、ペンチル、アダマンチル、シクロペンチル、エトキシエチル、C(Me)CHOH、C(Me)COEt、−CHOHMe、CHCOEt、−C(Me)CHNHCOC(Me)、O(CHOEt、O(CHOH、COMe、ヒドロキシメチル、1−メチル−1−シクロヘキシル、1−メチル−1−シクロオクチル、1−メチル−1−シクロヘプチル、C(Et)C(Me)、C(Et)、CONHCHCH(Me)、2−アミノメチル−フェニル、エテニル、1−ピペリジニルカルボニル、エチニル、シクロヘキシル、4−メチルピペリジニル、−OCOMe、−C(Me)CHNHCOCHCH(Me)、−C(Me)CHNHCOCHCHCH3、−C(Me)CHNHCOEt、−C(Me)CHNHCOMe、−C(Me)CHNHCOCHC(Me)、−CHNHCOCF、−CHNHCOC(Me)、−C(Me)CHNHCO(CHCH、C(Me)CHNHCO(CHOMe、C(OH)(CF、−C(Me)CHNHCOCH−テトラヒドロフラン−3−イル、C(Me)CHO(CHOMe、もしくは3−エチル−2,6−ジオキソピペリジン−3−イルから選択される。
【0079】
一実施形態において、R’は、水素である。
【0080】
一実施形態において、R’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、もしくはOCHFから選択される最大3個までの置換基で必要に応じて置換されたC1−C8脂肪族基であり、ここで上記C1−C8脂肪族の最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、もしくは−N(C1−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−で必要に応じて置換されている。
【0081】
一実施形態において、R’は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和の、部分不飽和の、もしくは完全に不飽和の単環式環であり、ここでR’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、もしくはC1−C6アルキルから選択される最大3個までの置換基で必要に応じて置換されており、ここで上記C1−C6アルキルの最大2個までのメチレンユニットは、必要に応じて、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、もしくは−N(C1−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−で置換されている。
【0082】
一実施形態において、R’は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和の、部分不飽和の、もしくは完全に不飽和の二環式環系であり;ここでR’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、もしくはC1−C6アルキルから選択される最大3個までの置換基で、必要に応じて置換されており、ここで上記C1−C6アルキルの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、もしくは−N(C1−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−で必要に応じて置換されている。
【0083】
一実施形態において、R’の2個の存在は、これらが結合される原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された3〜12員の飽和の、部分不飽和の、もしくは完全に不飽和の単環式もしくは二環式の環を形成し、ここでR’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、もしくはC1−C6アルキルから選択される最大3個までの置換基で必要に応じて置換されており、ここで上記C1−C6アルキルの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、もしくは−N(C1−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−で必要に応じて置換されている。
【0084】
一実施形態によれば、本発明は、式IIAの化合物:
【0085】
【化10】

を提供する。
【0086】
一実施形態によれば、本発明は、式IIBの化合物:
【0087】
【化11】

を提供する。
【0088】
一実施形態によれば、本発明は、式IIIAの化合物:
【0089】
【化12】

を提供し、
ここでX、X、X、X、およびXの各々は、CHもしくはNから独立して選択される。
【0090】
一実施形態によれば、本発明は、式IIIBの化合物:
【0091】
【化13】

を提供し、
ここでX、X、およびXの各々は、CHもしくはNから独立して選択される。
【0092】
一実施形態によれば、本発明は、式IIICの化合物:
【0093】
【化14】

を提供し、
ここでX、X、およびXの各々は、CHもしくはNから独立して選択される。
【0094】
一実施形態によれば、本発明は、式IIIDの化合物:
【0095】
【化15】

を提供し、
ここでXは、CHもしくはNから独立して選択され、Xは、O、S、もしくはNR’である。
【0096】
一実施形態によれば、本発明は、式IIIEの化合物:
【0097】
【化16】

を提供し、
ここでXは、CHもしくはNから独立して選択され、Xは、O、S、もしくはNR’である。
【0098】
式IIIAのいくつかの実施形態において、X、X、X、X、およびXの各々は、CHである。
【0099】
式IIIAのいくつかの実施形態において、X、X、X、X、およびXは一緒になって、ピリジル、ピラジニル、もしくはピリミジニルから選択される、必要に応じて置換された環である。
【0100】
式IIIBもしくは式IIICのいくつかの実施形態において、X、X、X、もしくはXは環Aと一緒になって、以下から選択される、必要に応じて置換された環である:
【0101】
【化17】

【0102】
【化18】

【0103】
【化19】

いくつかの実施形態において、Rは、ハロ、シアノ、CF、CHF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、OH、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−メトキシフェニル、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−(アミノ−ピリジル)、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンゾイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph、もしくはNHSOMeから選択される。 いくつかの実施形態において、XおよびRは一緒になって、Me、Et、ハロ、CN、CF、OH、OMe、OEt、SON(Me)(フルオロフェニル)、SO−(4−メチル−ピペリジン−1−イル、もしくはSO−N−ピロリジニルである。
【0104】
別の実施形態によれば、本発明は、式IVAの化合物:
【0105】
【化20】

を提供する。
【0106】
別の実施形態によれば、本発明は、式IVBの化合物:
【0107】
【化21】

を提供する。
【0108】
別の実施形態によれば、本発明は、式IVCの化合物:
【0109】
【化22】

を提供する。
【0110】
一実施形態において、本発明は、式IVA、式IVB、もしくは式IVCの化合物を提供し、ここでkは、1であり、Rは、H、Me、Et、もしくはハロである。別の実施形態において、別の実施形態において、kは、1であり、Rは、Meである。別の実施形態において、kは、1であり、Rは、Etである。
【0111】
一実施形態において、本発明は、式IVB、もしくは式IVCの化合物を提供し、ここで環Aは、O、S、もしくはNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された、飽和の、不飽和の、もしくは芳香族の7員環である。例示的な環としては、アゼパニル、5,5−ジメチルアゼパニルなどが挙げられる。
【0112】
一実施形態において、本発明は、式IVB、もしくは式IVCの化合物を提供し、ここで環Aは、O、S、もしくはNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された、飽和の、不飽和の、もしくは芳香族の6員環である。例示的な環としては、ピペリジニル、4,4−ジメチルピペリジニルなどが挙げられる。
【0113】
一実施形態において、本発明は、式IVB、もしくは式IVCの化合物を提供し、ここで環Aは、O、S、もしくはNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換された、飽和の、不飽和の、もしくは芳香族の5員環である。
【0114】
一実施形態において、本発明は、式IVB、もしくは式IVCの化合物を提供し、ここで環Aは、1個の窒素原子を有する必要に応じて置換された5員環(例えば、ピロリルもしくはピロリジニル)である。
【0115】
式IVAの一実施形態によれば、式VA−1の以下の化合物:
【0116】
【化23】

が提供され、
ここでWRW2およびWRW4の各々は、水素、CN、CF、OCF、ハロ、C1−C6の直線状もしくは分枝状のアルキル、3〜12員のシクロ脂肪族、フェニル、C5−C10ヘテロアリールもしくはC3−C7複素環式から独立して選択され、ここで上記ヘテロアリールもしくは複素環式は、O、S、もしくはNから選択される最大3個までのヘテロ原子を有し、ここで上記WRW2およびWRW4は、−OR’、−CF、−OCF、SR’、S(O)R’、SOR’、−SCF、ハロ、CN、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、CHCN、必要に応じて置換されたフェニルもしくはフェノキシ、−N(R’)(R’)、−NR’C(O)OR’、−NR’C(O)R’、−(CHN(R’)(R’)、または−(CH)N(R’)(R’)から選択される最大3個までの置換基で、独立してかつ必要に応じて置換されており;そして
WRW5は、水素、ハロ、−OH、NH、CN、CHF、NHR’、N(R’)、−NHC(O)R’、−NHC(O)OR’、NHSOR’、−OR’、CHOH、CHN(R’)、C(O)OR’、C(O)N(R’)、SONHR’、SON(R’)、OSON(R’)、OSOCF、もしくはCHNHC(O)OR’から選択される。あるいは、WRW4およびWRW5は一緒になって、N、O、もしくはSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員環を形成し、ここで上記環は、最大3個までのWR置換基で必要に応じて置換されている。
【0117】
一実施形態において、本発明は、式VA−1の化合物を提供し、ここでkは0である。
【0118】
一実施形態において、本発明は、式VA−1の化合物を提供し、ここでkは1であり、Rはハロである。
【0119】
一実施形態において、本発明は、式VA−1の化合物を提供し、ここでkは1であり、RはC1−C3アルキルである。
【0120】
一実施形態において、本発明は、式VA−1の化合物を提供し、ここでkは1であり、RはMeである。
【0121】
一実施形態において、本発明は、式VA−1の化合物を提供し、ここでkは1であり、Rはエチルである。
【0122】
別の実施形態において、本発明は、式VA−2の化合物:
【0123】
【化24】

を提供し、
ここで:
環Bは、−Q−R;の最大n個までの存在で必要に応じて置換された、5〜7員の多環式もしくは二環式の、複素環式もしくはヘテロアリール環であり、
Qは、Wであり;
は、Rであり;
mは、0〜4であり;
nは、0〜4であり;そしてR、k、W、Z、およびRは、上記で定義されるとおりである。
【0124】
一実施形態において、mは、0〜2である。あるいは、mは0である。あるいは、mは1である。
【0125】
一実施形態において、nは、0〜2である。あるいは、nは0である。あるいは、nは1である。
【0126】
別の実施形態において、環Bは、−Q−Rの最大n個までの存在で必要に応じて置換された、O、S、もしくはNから選択される最大2個までのヘテロ原子を有する5〜7員の単環式の、複素環式環である。例示的な複素環式環としては、N−モルホリニル、N−ピペリジニル、4−ベンゾイル−ピペラジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、もしくは4−メチル−ピペリジン−1−イルが挙げられる。
【0127】
別の実施形態において、環Bは、−Q−Rの最大n個までの存在で必要に応じて置換された、O、S、もしくはNから選択される最大2個までのヘテロ原子を有する、5〜6員の多環式の、ヘテロアリール環である。例示的なこのような環は、ベンゾイミダゾール−2−イル、5−メチル−フラン−2−イル、2,5−ジメチル−ピロール−1−イル、ピリジン−4−イル、インドール−5−イル、インドール−2−イル、2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、2−アシル−チエン−2−イル、ベンゾチオフェン−2−イル、4−メチル−チエン−2−イル、5−シアノ−チエン−2−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルが挙げられる。
【0128】
式IVAの別の実施形態において、本発明は、式VA−3の化合物:
【0129】
【化25】

を提供し、
ここで
Qは、Wであり;
は、Rであり;
mは、0〜4であり;
nは、0〜4であり;そして
、k、W、Z、およびRは、上記で定義されるとおりである。
【0130】
一実施形態において、nは、0〜2である。
【0131】
別の実施形態において、mは、0〜2である。一実施形態において、mは、0である。一実施形態において、mは、1である。あるいは、mは、2である。
【0132】
一実施形態において、QRは一緒になって、ハロ、CF、OCF、CN、C1−C6脂肪族、O−C1−C6脂肪族、O−フェニル、NH(C1−C6脂肪族)、もしくはN(C1−C6脂肪族)であり、ここで上記脂肪族およびフェニルは、C1−C6アルキル、O−C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、OH、もしくはCFから選択される最大3個までの置換基で必要に応じて置換され、ここで上記C1−C6脂肪族もしくはC1−C6アルキルの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、SOR’、SOR’、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている。別の実施形態において、上記R’は、C1−C4アルキルである。
【0133】
例示的なQRとしては、メチル、イソプロピル、sec−ブチル、ヒドロキシメチル、CF、NMe、CN、CHCN、フルオロ、クロロ、OEt、OMe、SMe、OCF、OPh、C(O)OMe、C(O)O−iPr、S(O)Me、NHC(O)Me、もしくはS(O)Meが挙げられる。
【0134】
別の実施形態において、本発明は、式VB−1の化合物:
【0135】
【化26】

を提供し、ここで:
W1は、水素もしくはC1−C6脂肪族であり;
W3の各々は、水素もしくはC1−C6脂肪族であり;または
両方のRW3は一緒になって、C3−C6シクロアルキルもしくはO、S、もしくはNR’から選択される最大2個までのヘテロ原子を有する複素環式環を形成し、ここで上記環は、最大2個までのWR置換基で必要に応じて置換されている;
mは、0〜4であり;そして
k、R、W、Z、およびRは、上記で定義されるとおりである。
【0136】
一実施形態において、WRW1は、水素、C1−C6脂肪族、C(O)C1−C6脂肪族、もしくはC(O)OC1−C6脂肪族である。
【0137】
別の実施形態において、各RW3は、水素、C1−C4アルキルである。あるいは、両方のRW3が一緒になって、C3−C6シクロ脂肪族環もしくはO、S、もしくはNから選択される最大2個までのヘテロ原子を有する5〜7員の複素環式環を形成する。ここで上記シクロ脂肪族もしくは複素環式環は、WRW1から選択される最大3個までの置換基で、必要に応じて置換されている。例示的なこのような環としては、シクロプロピル、シクロペンチル、必要に応じて置換されたピペリジルなどが挙げられる。
【0138】
別の実施形態において、本発明は、式VB−2の化合物:
【0139】
【化27】

を提供し、ここで:
環Aは、フェニルもしくは5〜6員のヘテロアリール環であり、ここで環Aおよびこれに一緒に縮合される上記フェニル環は、WRから独立して選択された最大4個までの置換基を有し;
mは、0〜4であり;そして
W、R、Z、k、およびRは、上記で定義されるとおりである。
【0140】
一実施形態において、環Aは、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、もしくはトリアゾリルから選択される、必要に応じて置換された5員環である。
【0141】
一実施形態において、環Aは、ピロリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、もしくはトリアゾリルから選択される、必要に応じて置換された5員環である。例示的なこのような環としては、以下が挙げられ:
【0142】
【化28】

ここで上記環は、上記で記載されるように、必要に応じて置換されている。
【0143】
別の実施形態において、環Aは、必要に応じて置換された6員環である。例示的なこのような環としては、ピリジル、ピラジニル、もしくはトリアジニルが挙げられる。別の実施形態において、上記環は、必要に応じて、ピリジルである。
【0144】
一実施形態において、環Aは、フェニルである。
【0145】
別の実施形態において、環Aは、ピロリル、ピラゾリル、ピリジル、もしくはチアジアゾリルである。
【0146】
式VB−2における例示的なWは、結合、C(O)、C(O)OもしくはC1−C6アルキレンを含む。
【0147】
式VB−2における例示的なRは、シアノ、ハロ、C1−C6脂肪族、C3−C6シクロ脂肪族、アリール、O、S、もしくはNから選択される最大2個までのヘテロ原子を有する5〜7員の複素環式環を含み、ここで上記脂肪族、フェニル、および複素環式は、C1−C6アルキル、O−C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、OH、もしくはCFから選択される最大3個までの置換基で、独立してかつ必要に応じて置換されており、ここで上記C1−C6脂肪族もしくはC1−C6アルキルの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている。別の実施形態において、上記R’は、C1−C4アルキルである。
【0148】
一実施形態において、本発明は、式VB−3の化合物:
【0149】
【化29】

を提供し、
ここで:
は、水素、ハロ、CN、CF、CHF、CHF、必要に応じて置換されたC1−C6脂肪族、アリール−C1−C6アルキル、もしくはフェニルであり、ここでGは、最大4個までのWR置換基で必要に応じて置換されており;ここで上記C1−C6脂肪族もしくはC1−C6アルキルの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−で必要に応じて置換されており;
は、水素、必要に応じて置換されたC1−C6脂肪族、CF、もしくはCNであり;
ここで上記インドール環系はさらに、WRから独立して選択された最大3個までの置換基で必要に応じて置換されている。
【0150】
一実施形態において、Gは、水素である。あるいは、Gは、水素である。
【0151】
別の実施形態において、Gは、水素であり、Gは、C1−C6脂肪族、CF、もしくはCNであり、ここで上記脂肪族は、C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、もしくはCFで必要に応じて置換されており、ここで上記C1−C6脂肪族もしくはC1−C6アルキルの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている。別の実施形態において、上記R’は、C1−C4アルキルである。
【0152】
別の実施形態において、Gは、水素であり、Gは、シアノ、CF、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シアノメチル、メトキシエチル、CHC(O)OMe、(CH−NHC(O)O−tert−ブチル、もしくはシクロペンチルである。
【0153】
別の実施形態において、Gは、水素であり、Gは、ハロ、C1−C6脂肪族もしくはフェニルであり、ここで上記脂肪族もしくはフェニルは、C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、もしくはCFで必要に応じて置換されており、ここで上記C1−C6脂肪族もしくはC1−C6アルキルの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている。別の実施形態において、上記R’は、C1−C4アルキルである。
【0154】
別の実施形態において、Gは、水素であり、Gは、ハロ、CF、エトキシカルボニル、t−ブチル、2−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、(4−C(O)NH(CH−NMe)−フェニル、2−メトキシ−4−クロロ−フェニル、ピリジン−3−イル、4−イソプロピルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、sec−ブチルアミノカルボニル、エチル、t−ブチル、もしくはピペリジン−1−イルカルボニルである。
【0155】
別の実施形態において、GおよびGはともに、水素であり、上記インドール環の窒素環原子は、C1−C6脂肪族、C(O)(C1−C6脂肪族)、もしくはベンジルで置換されており、ここで上記脂肪族もしくはベンジルは、C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、もしくはCFで必要に応じて置換されており、ここで上記C1−C6脂肪族もしくはC1−C6アルキルの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている。別の実施形態において、上記R’は、C1−C4アルキルである。
【0156】
別の実施形態において、GおよびGはともに、水素であり、上記インドール環の窒素環原子は、アシル、ベンジル、C(O)CHN(Me)C(O)CHNHMe、もしくはエトキシカルボニルで置換されている。
【0157】
本発明の代表的な化合物は、以下の表1に示される。
【0158】
【表1−1】

【0159】
【表1−2】

(4.一般的合成スキーム)
本発明の化合物は、当該分野で公知の方法によって、容易に調製される。本発明の化合物の調製のための例示的方法は、本明細書以下の実施例において例示される。
【0160】
(5.使用、処方および投与)
(薬学的に受容可能な組成物)
本発明の一局面において、薬学的に受容可能な組成物が提供され、ここでこれら組成物は、本明細書で記載される化合物のうちのいずれかを含み、および必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントもしくはビヒクルを含む。特定の実施形態において、これら組成物は、必要に応じて、1種以上のさらなる治療剤をさらに含む。
【0161】
本発明の特定の化合物は、処置のために遊離形態において、または適切な場合、薬学的に受容可能な誘導体もしくはそのプロドラッグとして存在し得ることも、認識される。本発明によれば、薬学的に受容可能な誘導体もしくはプロドラッグとしては、患者への投与の際に、直接的にもしくは間接的に、他の方法において本明細書で記載される化合物、またはその代謝産物もしくは残渣を提供することができる、薬学的に受容可能な塩、エステル、このようなエステルの塩、または任意の他の付加物もしくは誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、妥当な医学的判断内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応などなく、ヒトおよび下級動物の組織と接触した状態で使用するために適しており、かつ妥当な利益/リスク比で釣り合っている塩をいう。「薬学的に受容可能な塩」は、レシピエントへの投与の際に、直接的にもしくは間接的に、本発明の化合物、またはその阻害的に活性な代謝産物もしくは残渣を提供することができる、本発明の化合物のエステルの任意の非毒性の塩を意味する。
【0163】
薬学的に受容可能な塩は、当該分やで周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19(本明細書に参考として援用される)において、詳細に薬学的に受容可能な塩を記載している。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩としては、適切な無機酸および有機酸ならびに無機塩基および有機塩基から得られるものが挙げられる。薬学的に受容可能な非毒性の酸付加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸)と、または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸)と形成されるアミノ基の塩、または当該分野で使用される他の方法(例えば、イオン交換)を使用することによって形成される塩である。他の薬学的に受容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エジシレート(edisylate)(エタンジスルホン酸塩)、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタノエート、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカノエート、吉草酸などが挙げられる。適切な塩基から得られる塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1−4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書で開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定する。水溶性もしくは油溶性または分散性の生成物は、このような四級化から得られ得る。代表的なアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらに薬学的に受容可能な塩としては、適切な場合、対イオン(例えば、ハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、低級アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート)を使用して形成される、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。
【0164】
上記のように、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、さらに、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、もしくはビヒクルを含み、これらは、本明細書で使用される場合、所望の特定の投与形態に適している場合、任意のかつすべての溶媒、希釈剤、もしくは他の液体ビヒクル、分散補助剤もしくは懸濁補助剤、界面活性剤、等張剤、濃化剤もしくは乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などを含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に受容可能な組成物を処方するにおいて使用される種々のキャリアおよびその調製のための公地の技術を開示している。任意の従来のキャリア媒体が、任意の望ましくない生物学的効果を生じるか、または別の方法で、上記薬学的に受容可能な組成物の任意の他の成分と有害な様式で相互作用することによって、本発明の化合物と不適合である場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であると企図される。薬学的に受容可能なキャリアとして働き得る物質のいくつかの例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、もしくはソルビン酸カリウム)、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩もしくは電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマー、羊毛脂、糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);デンプン(例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン);セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよびセルロースアセテート);粉末化トラガカントガム;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤(例えば、カカオ脂および坐剤用ワックス);油(例えば、ラッカセイ油、綿実油;紅花油;ごま油;オリーブ油;コーン油および大豆油);グリコール(例えば、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);寒天;緩衝化剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱物質非含有水;等張性生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびに他の非毒性の適合性滑沢剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)が挙げられるが、これらに限定されず、同様に、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤および芳香剤、保存剤および抗酸化剤もまた、処方者の判断に従って、上記組成物中に存在し得る。
【0165】
(化合物および薬学的に受容可能な組成物の使用)
さらに別の局面において、本発明は、CFTR変異によって影響を受ける状態、疾患もしくは障害を処置するかもしくはその重篤度を軽減するための方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、上記CFTR活性の欠損によって影響を受ける状態、疾患、もしくは障害を処理するための方法を提供し、上記方法は、式(I)の化合物を含む組成物を、患者(好ましくは、哺乳動物)に投与する工程を包含する。
【0166】
特定の実施形態において、本発明は、嚢胞性線維症、喘息、喫煙誘発性COPD、慢性気管支炎、鼻副鼻腔炎、便秘、膵炎、膵機能不全、先天性両側精管欠損によって引き起こされる男性不妊症(CBAVD)、軽度肺疾患、突発性膵炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、肝臓疾患、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線維素溶解欠損症(例えば、プロテインC欠損症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症(例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無ベータリポ蛋白血症)、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽ハーラー、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス)、クリグラー・ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症(Hyperinsulemia)、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠損、尿崩症(DI)、神経生理学的(Neurophyseal)DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッヘル病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害(例えば、ハンチントン、脊髄小脳失調症I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋硬直性ジストロフィー)、ならびに海綿状脳症(例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質処理欠損に起因する)、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群))、COPD、ドライアイ疾患、およびシェーグレン病)を処置するための方法を提供し、上記方法は、上記哺乳動物に、有効量の、本発明の化合物を含む組成物を投与する工程を包含する。
【0167】
代替の好ましい実施形態によれば、本発明は、嚢胞性線維症を処置するための方法を提供し、上記方法は、上記哺乳動物に、有効量の、本発明の化合物を含む組成物を投与する工程を包含する。
【0168】
本発明によれば、上記化合物もしくは薬学的に受容可能な組成物の「有効量」は、上記に記載される疾患、障害もしくは状態のうちの1つ以上を処置するか、もしくはこれらの重篤度を軽減するために有効な量である。
【0169】
上記化合物および組成物は、本発明の方法に従って、上記に記載される疾患、障害もしくは状態のうちの1つ以上を処置するか、もしくはこれらの重篤度を軽減するために有効な任意の量および投与経路を使用して、投与され得る。
【0170】
特定の実施形態において、本発明の化合物および組成物は、呼吸器および非呼吸器の上皮の先端膜において残っているCFTR活性を示す患者における嚢胞性線維症を処置するか、もしくはその重篤度を軽減するために有用である。上記上皮表面において残っているCFTR活性の存在は、当該分野で公知の方法(例えば、標準的な電気生理学的技術、生化学的技術、もしくは組織化学的技術)を使用して、容易に検出され得る。このような方法は、インビボもしくはエキソビボでの電気生理学的技術、汗もしくは唾液のCl濃度の測定、または細胞表面密度をモニターするために、エキソビボでの生化学的もしくは組織化学的技術を使用して、CFTR活性を同定する。このような方法を使用して、残っているCFTR活性は、種々の異なる変異についてヘテロ接合性もしくはホモ接合性の患者(最も一般的な変異であるΔF508についてホモ接合性もしくはヘテロ接合性の患者を含む)において容易に検出され得る。
【0171】
別の実施形態において、本発明の化合物および組成物は、薬理学的方法もしくは遺伝子治療を使用して、誘導されるかもしくは増強される、残っているCFTR活性を有する患者における嚢胞性線維症を処置するかもしくはその重篤度を軽減するために有用である。このような方法は、細胞表面に存在するCFTRの両を増大させ、それによって、これまで患者においてなかったCFTR活性を誘導するか、または患者において残っているCFTR活性の存在レベルを増強する。
【0172】
一実施形態において、本発明の化合物および組成物は、残っているCFTR活性を示す特定の遺伝子型(例えば、クラスIII変異(調節もしくはゲート開閉が損なわれている)、クラスIV変異(コンダクタンスが変化している)、もしくはクラスV変異(合成が低下している)(Lee R.Choo−Kang,Pamela L.,Zeitlin,Type I,II,III,IV,and V cystic fibrosis Tansmembrane Conductance Regulator Defects and Opportunities of Therapy;Current Opinion in Pulmonary Medicine 6:521−529,2000))内の患者における嚢胞性線維症を処置するかもしくはこれらの重篤度を軽減するために有用である。残っているCFTR活性を示す他の患者遺伝子型は、これらのクラスのうちの1つについてホモ接合性であるか、または変異の任意の他のクラス(クラスI変異、クラスII変異、もしくは分類がない変異を含む)とヘテロ接合性である患者を含む。
【0173】
一実施形態において、本発明の化合物および組成物は、特定の臨床表現型(例えば、代表的には、上皮の先端膜において残っているCFTR活性の量と相関する中程度から軽度の臨床表現型)内の患者における嚢胞性線維症を処置するかもしくはその重篤度を軽減するために有用である。このような表現型は、膵機能不全を示す患者、または突発性膵炎および先天性両側精管欠損症、または軽度の肺疾患を有すると診断された患者を含む。
【0174】
必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢、および全般的な健康状態、感染の重篤度、特定の薬剤、投与様式などに依存して、被験体間で変動する、本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投与の均質性のために、投与単位形態において処方される。表現「投与単位形態」とは、本明細書で使用される場合、処置されるべき患者にとって適切な、薬剤の物理的に別個の単位に言及する。しかし、本発明の化合物および組成物の合計1日使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で、主治医によって決定されることが理解される。任意の特定の患者もしくは生物についての特定の有効用量レベルは、種々の要因(処置されている障害および上記障害の重篤度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;上記患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別および食事;投与の時間、投与経路、および上記使用される特定の化合物の排出時間;処置の期間;上記使用される特定の化合物と組み合わせてもしくは同時に使用される薬物、ならびに医療分野において周知の類似の要因が挙げられる)に依存する。用語「患者」とは、本明細書で使用される場合、動物、好ましくは、哺乳動物、および最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0175】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、処置されている感染の重篤度に依存して、ヒトおよび他の動物に、経口的に、直腸に、非経口的に、槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏剤、点眼剤(drop)もしくはパッチによるように)、口内に、経口スプレーもしくは鼻内スプレーとしてなどで投与され得る。特定の実施形態において、本発明の化合物は、1日に1回以上、1日あたり被験体の約0.01mg/kg〜約50mg/kg、および好ましくは、約0.5mg/kg〜約25mg/kgの投与量レベルにおいて経口的にもしくは非経口的に投与されて、所望の治療的効果を得ることができる。
【0176】
経口投与のための液体投与形態としては、薬学的に受容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁物、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。上記活性化合物に加えて、上記液体投与形態は、当該分野で通常使用される不活性希釈剤(例えば、水もしくは他の溶媒)、可溶化剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド)、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤のほかに、上記経口用組成物はまた、補助剤(例えば、湿潤剤(wetting agent)、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、矯味矯臭剤、および芳香剤)を含み得る。
【0177】
注射用調製物(例えば、滅菌注射用水性懸濁物もしくは油性懸濁)は、分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術に従って処方され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に需要可能な希釈剤もしくは溶媒中の(例えば、1,3−ブタンジオール中の液剤として)滅菌注射用液剤、懸濁物もしくはエマルジョンであり得る。使用され得る上記需要可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル溶液(米国局方)、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発性油は、溶媒もしくは懸濁媒体として、従来から使用されている。この目的のために、任意の刺激の弱い不揮発性油が、合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドを含め、使用され得る。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)は、注射物の調製において使用される。
【0178】
上記注射用処方物は、例えば、細菌保持フィルタを介する濾過によって、または使用前に、滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体中に溶解もしくは分散させられ得る滅菌固体組成物の形態に滅菌剤を組み込むことによって、滅菌され得る。
【0179】
本発明の化合物の効果を長期化させるために、皮下注射もしくは筋肉内注射からの上記化合物の吸収を遅らせることは、しばしば望ましい。このことは、不十分な水溶性を有する、液体懸濁剤または結晶性もしくは不定形物質の使用によって達成され得る。次いで、上記化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、続いて、この溶解速度は、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与された化合物形態の遅延した吸収は、油ビヒクル中に上記化合物を溶解もしくは懸濁することによって達成される。注射用デポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中に上記化合物の微小被包マトリクスを形成することによって、作製される。化合物 対 ポリマーの比および上記使用される特定のポリマーの性質に依存して、上記化合物の放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用処方物はまた、身体組織と適合性であるリポシームもしくはマイクロエマルジョン中に上記化合物を捕捉することによって、調製され得る。
【0180】
直腸もしくは膣投与のための組成物は、好ましくは、本発明の化合物と、適切な非刺激性賦形剤もしくはキャリア(例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコールもしくは坐剤用ワックス)と混合することによって、調製され得る坐剤である。上記賦形剤もしくはキャリアは、周囲温度で固体であるが、体温では液体であるので、直腸もしくは膣の内腔では溶けて、上記活性化合物を放出する。
【0181】
経口投与のための固体投与形態としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が挙げられる。このような固体投与形態において、上記活性化合物は、少なくとも1種の不活性な薬学的に受容可能な賦形剤もしくはキャリア(例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム)および/またはa)充填剤もしくは増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアガム)、c)湿潤剤(humectant)(例えば、グリセロール)、d)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム)、e)溶解遅延剤(solution retarding agent)(例えば、パラフィン)、f)吸収促進剤(例えば、4級アンモニウム化合物)、g)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート)、h)吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ)、ならびにi)滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物)と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合においては、上記投与形態はまた、緩衝化剤を含み得る。
【0182】
類似のタイプの固体組成物はまた、ラクトースもしくは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールのような賦形剤を用いて、軟質充填ゼラチンカプセル剤および硬質充填ゼラチンカプセル剤において、充填剤として使用され得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の上記固体投与形態は、コーティングおよび殻(例えば、腸溶性コーティングおよび医薬処方分野において周知の他のコーティング)とともに調製され得る。これらは、必要に応じて、不透明化剤を含み得、同様に、上記活性成分のみを、または優先的に、腸管の特定の部位において、必要に応じて遅延した様式において放出し得る組成物のものであり得る。使用され得る包埋組成物(embedding composition)の例は、ポリマー物質およびワックスを含む。類似のタイプの固体組成物はまた、軟質充填ゼラチンカプセル剤および硬質充填ゼラチンカプセル剤において、ラクトースもしくは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて、充填剤として使用され得る。
【0183】
上記活性化合物はまた、上記のように、1種以上の賦形剤との微小被包形態において存在し得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の上記固体投与形態は、コーティングおよび殻(例えば、腸溶性コーティング、放出制御コーティングおよび医薬処方分野において周知の他のコーティング)とともに調製され得る。このような固体投与形態において、上記活性化合物は、少なくとも1種の不活性希釈剤(例えば、スクロース、ラクトースもしくはデンプン)と混合され得る。このような投与形態はまた、通常の慣例のように、不活性希釈剤以外のさらなる物質(例えば、錠剤化滑沢剤(tableting lubricant)および他の錠剤化補助剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロース)を含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合において、上記投与形態はまた、緩衝化剤を含み得る。上記投与形態は、必要に応じて、不透明化剤を含み得、同様に、上記活性成分のみを、または優先的に、腸管の特定の部位において、必要に応じて遅延した様式において放出し得る組成物のものであり得る。使用され得る包埋組成物(embedding composition)の例は、ポリマー物質およびワックスを含む。
【0184】
本発明の化合物の局所投与もしくは経皮的投与のための投与形態としては、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ゲル、散剤、液剤、スプレー、吸入剤もしくはパッチが挙げられる。上記活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に受容可能なキャリアおよび任意の必要とされる保存剤もしくは必要とされ得る場合は緩衝化剤と混合される。眼科的処方物、点耳剤、および点眼剤はまた、本発明の範囲内であることが企図される。さらに、本発明は、経皮的パッチの使用を企図し、経皮的パッチは、身体への化合物の制御された送達を提供するという追加の利点を有する。このような投与形態は、適切な媒体中に上記化合物を溶解もしくは分散させることによって調製される。吸収増強剤はまた、皮膚を横断する上記化合物のフラックスを増大させるために使用され得る。その速度は、速度制御膜を提供することによって、またはポリマーマトリクスもしくはフェル中に上記化合物を分散させることによって、制御され得る。
【0185】
CFTRのモジュレーターとして本発明において利用される化合物の活性は、当該分やにおいて一般に記載される方法および本明細書中の実施例に記載される方法に従って、アッセイされ得る。
【0186】
本発明の化合物および薬学的に受容可能な組成物が、併用療法において使用され得る、すなわち、上記化合物および薬学的に受容可能な組成物が、1種以上の他の所望の治療もしくは医療手順と同時に、その前に、もしくはその後に投与され得ることもまた、認識される。併用レジメンにおいて使用するための特定の治療(治療剤もしくは手順)の組み合わせは、望ましい治療剤および/もしくは手順の適合性、ならびに達成されるべき望ましい治療効果を考慮にいれる。使用される治療剤が、同じ障害に対して望ましい効果を達成し得る(例えば、本発明の化合物が、上記同じ障害を処置するために使用される別の薬剤と同時に投与され得る)か、または使用される治療剤が、異なる効果(例えば、任意の有害な効果の制御)を達成し得ることもまた、認められる。本明細書で使用される場合、特定の疾患、もしくは状態を処置もしくは予防するために通常投与されるさらなる治療剤は、「処置されている上記疾患もしくは状態に適している」として知られている。
【0187】
一実施形態において、上記さらなる薬剤は、粘液溶解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、本発明の化合物以外のCFTRモジュレーター、もしくは栄養剤から選択される。さらなる実施形態において、上記さらなる薬剤は、本発明の化合物以外のCFTRモジュレーターである。
【0188】
本発明の組成物中に存在するさらなる治療剤の量は、唯一の活性薬剤としてその治療剤を含む組成物において通常投与される量に過ぎない。好ましくは、本開示の組成物中のさらなる治療剤の量は、唯一の治療上活性な薬剤としてその薬剤を含む組成物中に通常存在する量のうちの約50%〜100%の範囲に及ぶ。
【0189】
本発明の化合物もしくはその薬学的に受容可能な組成物はまた、移植可能な医療用デバイス(例えば、プロテーゼ、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテル)をコーティングするための組成物に組み込まれ得る。従って、本発明は、別の局面において、上記で一般に、および本明細書でクラスおよびサブクラスにおいて記載される、本発明の化合物、ならびに移植可能なデバイスをコーティングするに適したキャリアを含む、移植可能なデバイスをコーティングするための組成物を提供する。さらに別の局面において、本発明は、上記で一般に、ならびに本明細書でクラスおよびサブクラスにおいて記載される本発明の化合物、ならびに上記移植可能なデバイスをコーティングするに適したキャリアを含む組成物でコーティングされた移植可能なデバイスを包含する。適切なコーティングおよびコーティングされた移植可能なデバイスの一般的な調製は、米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号に記載されている。上記コーティングは、代表的には、生体適合性ポリマー物質(例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテート、およびこれらの混合物)である。上記コーティングは、必要に応じて、フルオロシリコーン、ポリサッカリド、ポリエチレングリコール、リン脂質もしくはこれらの組み合わせの適切なトップコートによってさらに覆われて、上記組成物において制御された放出特徴を付与し得る。
【0190】
本発明の別の局面は、生物学的サンプルもしくは患者(例えば、インビトロもしくはインビボ)においてCFTR活性を調節することに関する。その方法は、式(I)の化合物もしくは上記化合物を含む組成物を、上記患者に投与するか、もしくは上記生物学的サンプルと接触させる工程を包含する。用語「生物学的サンプル」とは、本明細書で使用される場合、細胞培養物もしくはその抽出物;哺乳動物から得られた生検材料もしくはその抽出物;ならびに血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、または他の体液もしくはその抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0191】
生物学的サンプル中のCFTRの調節は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。このような目的の例としては、生物学的現象および病的現象におけるCFTRの研究;ならびにCFTRの新たなモジュレーターの比較評価が挙げられるが、これらに限定されない。
【0192】
さらに別の実施形態において、インビトロもしくはインビボでのアニオンチャネルの活性を調節するための方法が提供され、上記方法は、上記チャネルと、式(I)の化合物とを接触させる工程を包含する。好ましい実施形態において、上記アニオンチャネルは、クロリドチャネルもしくは炭酸水素イオンチャネルである。他の好ましい実施形態において、上記アニオンチャネルは、クロリドチャネルである。
【0193】
代替の実施形態によれば、本発明は、細胞の膜における機能的CFTRの数を増大させるための方法を提供し、上記方法は、上記細胞と、式(I)の化合物とを接触させる工程を包含する。
【0194】
別の好ましい実施形態によれば、上記CFTRの活性は、膜貫通電位差(transmembrane voltage potential)を測定することによって測定される。上記生物学的サンプル中の膜を横断する上記電位差を測定するための手段は、当該分野で公知の方法のうちのいずれか(例えば、光学的膜電位アッセイ(optical membrane potential assay)もしくは他の電気生理学的方法)を使用し得る。
【0195】
上記光学的膜電位アッセイは、蛍光変化を測定するための機器(例えば、Voltage/Ion Probe Reader(VIPR)(Gonzalez,J.E.,K.Oades,ら(1999)「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」Drug Discov Today 4(9):431−439を参照のこと)と組み合わせて、Gonzalez and Tsien(Gonzalez,J.E. and R.Y.Tsien(1995)「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells.」Biophys J 69(4):1272−80,およびGonzalez,J.E.and R.Y.Tsien(1997); 「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」Chem Biol 4(4):269−77を参照のこと)によって記載される電圧感受性FRETセンサを利用する。
【0196】
これら電圧感受性アッセイは、上記膜可溶性電位感受性色素DiSBAC(3)と、形質膜の外側葉状器官(outer leaflet)に結合されかつFRETドナーとして作用する蛍光リン脂質CC2−DMPEとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の変化に基づく。膜電位(V)の変化は、負に荷電したDiSBAC(3)を、上記形質膜を横断するように再分布させ、CC2−DMPEからのエネルギー移動の量は、それに応じて変化する。蛍光放出の変化は、VIPRTM II(これは、96ウェルマイクロタイタープレートもしくは384ウェルマイクロタイタープレートにおける細胞ベースのスクリーニングを行うように設計された、一体化した液体取り扱い機および蛍光検出器である)を使用してモニターされ得る。
【0197】
別の局面において、本発明は、生物学的サンプル中のCFTRもしくはそのフラグメントの活性をインビトロもしくはインビボで測定することにおいて使用するためのキットを提供し、上記キットは、(i)式(I)の化合物もしくは上記の実施形態のうちのいずれかを含む組成物;および(ii)a)上記組成物と、上記生物学的サンプルとを接触させる工程、およびb)上記CFTRもしくはそのフラグメントの活性を測定する工程のための説明書を含む。一実施形態において、上記キットは、a)さらなる組成物と、上記生物学的サンプルとを接触させる工程;b)上記CFTRもしくはそのフラグメントの活性を、上記さらなる化合物の存在下で測定する工程、ならびにc)上記CFTRの活性を、上記さらなる化合物の存在下で、式(I)の組成物の存在下で上記CFTRの密度と比較する工程のための説明書をさらに包含する。好ましい実施形態において、上記キットは、CFTRの密度を測定するために使用される。
【0198】
本明細書で記載される発明が、より十分に理解されるように、以下の実施例が示される。これら実施例は、例示目的に過ぎず、いかなる様式においても本発明を限定すると解釈されるべきではないことが理解されるものとする。
【実施例】
【0199】
(一般的合成スキーム)
本発明の化合物は、当該分野で公知の方法によって容易に調製される。本発明の化合物の調製するための例示的方法が、以下に例示される。
【0200】
以下のスキームは、本発明の式(I)の合成化合物を例示する。
【0201】
本明細書に記載される発明が、より十分に記載され得るように、以下の実施例が示される。これら実施例は、例示目的に過ぎず、いかなる様式においても本発明を限定すると解釈されるべきではないことが理解されるものとする。
【0202】
(スキーム1)
【0203】
【化30】

(実施例1:N−(2,4−ジ−tert−ブチル−5−ヒドロキシフェニル)−7−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(化合物14,表1)の調製)
【0204】
【化31】

エチル4−ヒドロキシ−2−メチルピリミジン−5−カルボキシレート(1.5g,8.234mmol)を、DME(48mL)中に懸濁し、TBAF(13.17mL,THF中1M 溶液,13.17mmol)を、0℃において滴下した。上記得られた溶液を、10分間にわたって攪拌し、DME(3mL)中の1−ブロモ−2−ブタノン(1.318g,8.728mmol)の溶液を、滴下した。上記反応系を、室温において一晩攪拌した。次いで、上記溶液を真空中で濃縮し、EtOAcと飽和NHCl水溶液との間で分配した。そのEtOAc層を分離し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、油状物を得た。上記粗製物質を、フラッシュクロマトグラフィー 0〜100% EtOAc/ヘキサンによって精製して、純粋な所望の生成物エチル2−メチル−6−オキソ−1−(2−オキソブチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレートを、灰白色固体として得た;1.73g(83%)。LC/MS(3分間にわたるHO/0.05% TFA中、10−99% CHCN/0.05% TFAの勾配において):M+H m/z 252.9,保持時間 0.76分。H NMR(400.0MHz,CDCl) δ 8.62(s,1H), 4.88(s,2H), 4.38(m,2H), 2.68(m,2H), 2.49(s,3H), 1.39(t,J=7.1Hz, 3H) and 1.18(t,J=7.3Hz,3H)。
【0205】
窒素雰囲気下のエタノール(1.906g,2.196mL,5.882mmol)中のナトリウムエトキシドの溶液に、エタノール(9.2mL)を添加し、5%w/w ナトリウムエトキシド溶液を得た。エタノール(7mL)中に溶解したエチル2−メチル−6−オキソ−1−(2−オキソブチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレート(0.74g,2.941mmol)を、上記ナトリウムエトキシド溶液に滴下した。上記反応混合物を30分間にわたって撹拌し、上記溶媒を減圧下で除去し、得られた固体を、6M HClでpH5へと処理した。得られた沈殿物、エチル 7−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキシレートを、黄褐色固体として真空濾過によって集めた;0.63g(92%)。LC/MS(3分間にわたる、HO/0.05% TFA中の10〜99% CHCN/0.05% TFA勾配): M+H m/z 235.1,保持時間 0.99分。 H NMR(400.0MHz,DMSO) δ 12.74(bs,1H), 8.37(s,1H), 7.17(t,J=0.9Hz,1H), 6.00(d,J=1.9Hz,1H), 4.20(q,J=7.1Hz,2H), 2.57−2.50(m,2H), 1.27(t,J=7.1Hz,3H) and 1.18(t,J=7.5Hz,3H)。
【0206】
エチル7−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキシレート(0.63g,2.711mmol)を、メタノール(8mL)/水酸化ナトリウム(13.56mL,2.0M,27.11mmol)の溶液中に溶解し、3時間にわたって還流下で加熱した。上記混合物を、室温へと冷却し、メタノールを、真空中で除去した。上記水溶液を0℃に冷却し、濃HClを、沈殿物が形成される(pH4)まで、ゆっくりと添加した。上記沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、7−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボン酸を得た;0.43g(77%)。LC/MS(3分間にわたる、HO/0.05% TFA中の10〜99% CHCN/0.05% TFA勾配):M+H m/z 207.1,保持時間 1.10分。H NMR(400.0MHz,DMSO) δ 13.42(bs,1H), 12.89(bs,1H), 8.51(s,1H), 7.29(t,J=0.8Hz,1H), 6.17(d,J=1.8Hz,1H), 2.61−2.50(m,2H) and 1.20(t,J=7.5Hz,3H)。
【0207】
2−メチルテトラヒドロフラン(400μL)中の7−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボン酸(32.3mg,0.1566mmol)の溶液に、1−プロパンホスホン酸環状無水物(249.1mg,233.0μL,0.3915mmol)を添加し、次にピリジン(24.77mg,25.33μL,0.3132mmol)を添加した。上記反応系をシールし、45℃において30分間にわたって加熱し、その際に、5−アミノ−2,4−ジ−tert−ブチルフェノール(41.59mg,0.1879mmol)を添加し、上記反応系を、45℃において16時間にわたって加熱した。上記溶媒を真空中で除去し、その残渣を、逆相HPLC(0.05% TFAを含む水中に0.035% TFAを含む40〜100% アセトニトリル)によって精製して、N−(2,4−ジ−tert−ブチル−5−ヒドロキシフェニル)−7−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得た。LC/MS(3分間にわたるHO/0.05% TFA中の10〜99% CHCN/0.05% TFA勾配): M+H m/z 410.5,保持時間 2.24分。H NMR(400.0MHz,DMSO) δ 13.07(d,J=6.6Hz,1H), 10.72(s,1H), 9.20(s,1H), 8.55(d,J=6.8Hz,1H), 7.32(s,1H), 7.16(s,1H), 7.11(s,1H), 6.11(d,J=1.7Hz,1H), 2.59(q,J=7.5Hz,2H), 1.36(s,18H) and 1.22(t,J=7.5Hz,3H)。
【0208】
スキーム2
【0209】
【化32】

(実施例2:N−(2,4−ジ−tert−ブチル−5−ヒドロキシフェニル)−7−オキソ−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキサミド(化合物5,表1)の調製)
【0210】
【化33】

1H−ピラゾール−5−アミン 1(2g,24.1mmol)およびジエチル2−(エトキシメチレン)マロネート(10.4g,48.2mmol)の混合物を、200℃において、上記出発物質が完全に消費されるまで加熱した。上記反応混合物を、室温へと冷却し、EtOH(10mL)を添加した。沈殿物が形成され、これを、濾過によって取り出し、EtOHで洗浄し、真空かで乾燥させて、ジエチル2−((1H−ピラゾール−5−イルアミノ)メチレン)マロネートを得た;4.0g(66%)。H NMR(300MHz,CDCl) δ 10.95(d,J=13.5Hz,1 H), 8.60(d,J=13.8Hz,1 H), 7.52(d,J=2.4Hz,1 H), 6.08(d,J=2.4Hz,1 H), 4.30(q,J=7.2Hz,2 H), 4.22(q,J=7.2Hz,2 H), 1.36(t,J=7.2Hz,3 H), 1.31(t,J=7.2Hz,3 H)。
【0211】
Dowtherm(15mL)中の上記2−((1H−ピラゾール−5−イルアミノ)メチレン)マロネート(4.0g,15.8mmol)の溶液を、250℃へと2時間にわたって加熱した。上記反応混合物を、室温へと冷却し、DMF/EtOH(10mL,1/1,v/v)を上記混合物に添加し、形成された沈殿物を濾過し、それを、EtOHで洗浄し、真空下で乾燥させて、エチル7−オキソ−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキシレートを得た;1.9g(58%)。H NMR(300MHz,DMSO) δ 13.01(brs,1 H), 8.58(s,1 H), 7.91(d,J=2.1Hz,1 H), 6.30(d,J=1.8Hz,1 H), 4.22(q,J=7.2Hz,2 H), 1.27(t,J=7.2Hz,3 H)。
【0212】
10% NaOH水溶液(12mL,30.0mmol)中のエチル7−オキソ−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキシレート(1.9g,9.2mmol)の懸濁物を、2時間にわたって還流した。上記反応混合物を室温へと冷却した;上記溶液を、6M HClでpH3〜4へと酸性化した。上記形成している沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、7−オキソ−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボン酸を得た;1.6g(97%)。H NMR(300MHz,DMSO) δ 8.53(s,1 H), 7.94(d,J=1.8Hz,1 H), 6.32(d,J=1.8Hz,1 H)。MS(ESI) m/z: 177.9[M−H]
【0213】
7−オキソ−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボン酸(50mg,0.28mmol)およびHATU(117mg,0.31mmol)を充填したバイアルに、2mLのTHF、続いて、トリエチルアミン(85mg,0.84mmol)を添加した。上記反応混合物を10分間、室温において撹拌し、その際に、5−アミノ−2,4−ジ−tert−ブチルフェノール(62mg,0.28mmol)を添加し、上記反応系を、65℃において16時間にわたって加熱した。16時間後、上記反応系を室温へと冷却し、上記溶媒を真空中で除去した。その残渣を、逆相HPLC(10%〜99% CHCN(0.035% TFA)/HO(0.05% TFA))によって精製した。LC/MS(3分間にわたる、HO/0.05% TFA中の10〜99% CHCN/0.05% TFAの勾配)によって、N−(2,4−ジ−tert−ブチル−5−ヒドロキシフェニル)−7−オキソ−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキサミドを得た;M+H m/z 383.3,保持時間 1.71分。H NMR(400.0MHz,DMSO) δ 13.48(s,1H), 10.68(s,1H), 9.24(s,1H), 8.78(s,1H), 8.06(d,J=2.0Hz,1H), 7.17(s,1H), 7.13(s,1H), 6.41(d,J=2.0Hz,1H), 1.36(d,J=4.5Hz,18H)。
【0214】
(実施例3:2−アミノ−5−シクロペンチル−4−ヒドロキシベンゾニトリルの合成)
【0215】
【化34】

酢酸(32mL)および水(16mL)中の2−シクロペンチルフェノール(7.9g,48.7mmol)の攪拌溶液に、HBr(AcOH中33%,50.45mL,292.2mmol)を添加し、続いて、DMSO(34.8g,31.6mL,445.0mmol)を10分間にわたって滴下した。上記反応を、飽和NaHCO水溶液でクエンチし、真空中で濃縮して、ガスを除去した。その残渣を、エーテル(200mL)中にとり、水(2×100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、次いで、NaSOで乾燥させた。上記溶液を濾過し、真空中で濃縮して、油状物を生成し、これを、シリカゲルクロマトグラフィー(0〜10% 酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、4−ブロモ−2−シクロペンチルフェノール(10.5g,89%収率)を無色油状物として得た。H NMR(400.0MHz,DMSO−d) δ 9.59(s,1H), 7.20(d,J=2.5Hz,1H), 7.13(dd,J=2.5,8.5Hz,1H), 6.73(d,J=8.5Hz,1H), 3.21−3.13(m,1H), 1.95−1.88(m,2H), 1.77−1.69(m,2H), 1.65−1.44(m,4H)。
【0216】
4−ブロモ−2−シクロペンチルフェノール(10.0g,41.47mmol)およびDMAP(253mg,2.07mmol)を、ジクロロメタン(50mL)およびトリエチルアミン(11.6mL,82.94mmol)中に溶解し、0℃へと冷却し、メチルクロロホルメート(4.8mL,62.20mmol)で処理した。上記反応系を、室温へと2時間にわたって加温した。上記反応系を水でクエンチし、その層を分離し、その水層を、ジクロロメタンで再抽出した。その合わせた有機抽出物を、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、油状物を得、これを、シリカゲルクロマトグラフィー(20% 酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、4−ブロモ−2−シクロペンチルフェニルメチルカーボネート(10.5g,85%収率)を得た。H NMR(400.0MHz,DMSO−d) δ 7.52(d,J=2.4Hz,1H), 7.44(dd,J=2.4,8.6Hz,1H), 7.22−7.17(m,1H), 3.84(s,3H), 3.07−2.98(m,1H), 1.95−1.88(m,2H), 1.79−1.71(m,2H), 1.66−1.46(m,4H)。
【0217】
濃HSO(115mL)を、4−ブロモ−2−シクロペンチルフェニルメチルカーボネート(26.09g,87.21mmol)に添加し、上記混合物を攪拌し、−10℃へと冷却した。次いで、KNO(13.22g,130.80mmol)を、連続して攪拌しながら少しずつ添加した。上記反応系を、−10℃において1時間にわたって撹拌し、次いで、氷でクエンチし、灰白色固体の沈殿物を得た。上記固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、上記生成物を得た。上記水相を、ジクロロメタンで抽出し(3×10mL)、その合わせた有機抽出物を、NaSOで乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィー(5〜20% 酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって、さらに4−ブロモ−2−シクロペンチル−5−ニトロフェニルメチルカーボネート(合わせて21.72g,72%収率)を得た。H NMR(400.0MHz,DMSO−d) δ 8.12(s,1H), 7.88(s,1H), 3.88(d,J=5.7Hz,3H), 3.13(dd,J=9.4,17.2Hz,1H), 1.96−1.92(m,2H), 1.80−1.75(m,2H), 1.68−1.54(m,4H)。
【0218】
雰囲気下の4−ブロモ−2−シクロペンチル−5−ニトロフェニルメチルカーボネート(102mg,0.29mmol)、シアン化亜鉛(35mg,0.30mmol)およびPd(PPh(21mg,0.02mmol)を充填したマイクロ波バイアルに、DMF(500μL)を添加した。上記反応系を、130℃において30分間にわたって、マイクロ波照射下で加熱した。上記反応系を、飽和NaCO水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した(3×10mL)。その合わせた有機抽出物を、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、褐色油状物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(0〜15% 酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって、5−シクロペンチル−4−ヒドロキシ−2−ニトロベンゾニトリルを淡黄色固体として得た(40mg,58%収率)。H NMR(400.0MHz,DMSO−d) δ 11.62(s,1H), 7.84(s,1H), 7.70(s,1H), 3.29−3.24(m,1H), 1.99−1.93(m,2H), 1.78−1.76(m,2H), 1.66−1.57(m,4H)。
【0219】
10% Pd/C(4mg)を含むフラスコを脱気してN雰囲気下に置き、エタノール(2mL)中に懸濁した。これに、5−シクロペンチル−4−ヒドロキシ−2−ニトロベンゾニトリル(42mg,0.18mmol)を、エタノール(1.5mL)中の溶液として添加した。上記反応系を、H雰囲気下で2時間にわたって攪拌し、次いで、濾過し、真空中で濃縮して、2−アミノ−5−シクロペンチル−4−ヒドロキシベンゾニトリルを、黄色油状物として得た(36mg,定量的収量)。M+H m/z 203.1。
【0220】
(実施例4:5−アミノ−2−シクロペンチル−4−メチルフェノールの合成)
【0221】
【化35】

4−ブロモ−2−シクロペンチル−5−ニトロフェニルメチルカーボネート(500mg,1.45mmol)、Pd(dppf)Cl(96mg,0.13mmol)、カリウムトリフルオロ−メチル−ボロン(177mg,1.45mmol)および炭酸セシウム(1420mg,4.36mmol)を充填したマイクロ波チューブに、テトラヒドロフラン(2.5mL)および水(1.25mL)を添加した。上記反応系を、110℃において35分間にわたって、マイクロ波照射下で加熱した。上記反応物を、酢酸エチルと水との間で分配した。その有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、褐色油状物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(0〜6% 酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって、2−シクロペンチル−4−メチル−5−ニトロ−フェノール(167mg,52%収率)を得た。H NMR(400.0MHz,DMSO−d) δ 10.08(s,1H), 7.43−7.38(m,1H), 7.22(s,1H), 3.28−3.21(m,1H), 2.43(s,3H), 1.96−1.91(m,2H), 1.80−1.51(m,6H)。
【0222】
10% Pd/C(16mg)を充填したフラスコを脱気し、N雰囲気下に置いた。これに、2−シクロペンチル−4−メチル−5−ニトロ−フェノール(160mg,0.72mmol)を、メタノール(3mL)中の溶液として添加した。上記反応混合物を、H雰囲気下で4時間にわたって撹拌し、次いで、濾過し、真空中で濃縮して、5−アミノ−2−シクロペンチル−4−メチルフェノールを、淡黄褐色固体として得た(130mg,94%収率)。H NMR(400.0MHz,DMSO−d) δ 8.47(s,1H), 6.60(s,1H), 6.08(s,1H), 4.44(s,2H), 3.02(dd,J=2.4,17.2Hz,1H), 1.91(s,3H), 1.84−1.77(m,2H), 1.71−1.66(m,2H), 1.58−1.54(m,2H), 1.44−1.39(m,2H)。
【0223】
スキーム4
【0224】
【化36】

a)トルエン、還流;b)AcO、NaOAc、加熱;c)BH、THF、加熱;d)Pd/C、H、MeOH。n=1、2、もしくは3。
【0225】
スキーム5
【0226】
【化37】

a)CHCN、EtN、加熱もしくはDMSO、NaCO、加熱;b)Pd/C,H、EtOH;g)HATU、EtN、DMFもしくはプロピルホスホン酸環状無水物(T3P(登録商標))、ピリジン、2−メチルテトラヒドロフラン。
【0227】
(実施例5:4−(ピロリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリンの合成)
【0228】
【化38】

トルエン(30mL)中の4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン(2.0g,9.7mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン−2,5−ジオン(1.2g,11.6mmol)を添加し、上記混合物を、1.5時間にわたって還流した。上記反応混合物を冷却し、濾過し、その固体を、エーテルで洗浄して、4−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)−4−オキソ酪酸(1.1g,39%収率)を得た。M+H m/z 307.3。
【0229】
酢酸無水物(15mL)中の4−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)−4−オキソ酪酸(1.1g,3.6mmol)およびNaOAc(1.6g,19.7mmol)の溶液を、16時間にわたって80℃において攪拌した。上記反応系を冷却し、濾過した。上記濾液を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。その合わせた有機層を、1N NaOHで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、1−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロリジン−2,5−ジオン(0.4g,39%収率)を得た。M+H m/z 289.1。
【0230】
THF(10mL)中の1−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロリジン−2,5−ジオン(400mg,1.39mmol)の溶液に、BH(1.39mL(THF中1M),1.39mmol)を滴下した。次いで、上記反応混合物を、N雰囲気下で16時間にわたって還流した。上記反応系を冷却し、メタノールでクエンチし、真空中で濃縮して、1−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロリジンを黄色固体として得た(360mg,定量的収量)。M+H m/z 261.1。
【0231】
不活性雰囲気下で10% Pd/C(50mg)を充填したフラスコに、エタノール中の1−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロリジン(350mg,1.34mmol)の溶液を添加した。上記反応系を、H雰囲気下で16時間にわたって撹拌し、次いで、濾過し、乾燥させて、4−(ピロリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリンを得た(300mg,97%収率)。M+H m/z 231.3。H NMR(400.0MHz,DMSO−d) δ 6.84(d,J=8.8Hz,1H), 6.72(dd,J=2.5,8.8Hz,1H), 6.53(d,J=2.7Hz,1H), 4.74(s,2H), 3.18(m,4H), 1.99−1.95(m,4H)。
【0232】
上記の実施例に従って調製した本発明の化合物のについての特徴付けデータを、以下の表2に示す。
【0233】
【表2−1】

【0234】
【表2−2】

【0235】
【表2−3】

(化合物のΔF508−CFTR増強特性を検出および測定するためのアッセイ)
(化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイするための膜電位光学的方法)
上記アッセイは、NIH 3T3細胞において機能的ΔF508−CFTRの増加についての読み取りとして、蛍光プレートリーダー(例えば、FLIPR III,Molecular Devices,Inc.)を使用して、膜電位の変化を測定するために、蛍光電圧検知色素を利用する。上記応答の駆動力は、上記細胞が、化合物で予め処理され、その後、電圧検知色素を添加した後に、単一の液体添加工程によるチャネル活性化とともに、クロリドイオン勾配を作り出すことである。
【0236】
(増強因子化合物の同定)
ΔF508−CFTRの増強因子を同定するために、二重添加HTSアッセイ形式を開発した。このHTSアッセイは、温度較正したΔF508 CFTR NIH 3T3細胞におけるΔF508 CFTRの開閉(伝導性)の増加についての測定値として、上記FLIPR IIIで膜電位の変化を測定するために、蛍光電圧検知式を利用する。上記応答についての駆動力は、上記細胞が、増強因子化合物(もしくはDMSOビヒクルコントロール)で予め処理され、その後、再分布色素を添加した後に、蛍光プレートリーダー(例えば、FLIPR III)を使用して、単一液体添加工程におけるフォルスコリンでのチャネル活性化に関連した、Clイオン勾配である。
【0237】
(溶液)
バス溶液#1:(mM単位) NaCl 160、KCl 4.5、CaCl 2、MgCl 1、HEPES 10、pH7.4(NaOHで)。
クロリド非含有バス溶液:バス溶液#1中のクロリド塩を、グルコン酸塩で置換する。
【0238】
(細胞培養)
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、膜電位の光学的測定のために使用する。上記細胞を、175cm培養フラスコにおいて、ダルベッコ改変イーグル培地(2mM グルタミン、10% ウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×pen/strep、および25mM HEPESを補充)中、5% COおよび90% 湿度の中で、37℃において維持した。すべての光学的アッセイに関して、上記細胞を、384ウェルマトリゲルコーティングプレート中、約20,000/ウェルにおいて播種し、増強因子アッセイのために27℃で24時間培養する前に、2時間にわたって37℃で培養した。較正アッセイに関して、上記細胞を、27℃もしくは37℃において、化合物ありおよびなしで、16〜24時間にわたって培養する。
【0239】
(化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイするための電気生理学的アッセイ)
(1.Ussingチャンバアッセイ)
Ussingチャンバ実験を、上記工学アッセイにおいて同定したΔF508−CFTRモジュレーターをさらに特徴付けるために、ΔF508−CFTRを発現する分極した気道上皮細胞で行った。非CF気道上皮およびCF気道上皮を、気管支組織から単離し、先に記載されるように(Galietta,L.J.V.,Lantero,S.,Gazzolo,A.,Sacco,O.,Romano,L.,Rossi,G.A.,&Zegarra−Moran,O.(1998) In Vitro Cell.Dev.Biol.34,478−481)培養し、NIH3T3順化培地で予めコーティングしたCostar(登録商標) SnapwellTM フィルタ上にプレートした。4日後、上記先端培地を除去し、上記細胞を、使用する前に、空気液体界面において>14日間にわたって増殖させた。これは、軌道上にの特徴である、十分に分化した線毛円柱細胞の単層を生じた。非CF HBEを、いかなる既知の肺疾患をも有さない非喫煙者から単離した。CF−HBEを、ΔF508−CFTRについてホモ接合性の患者から単離した。
【0240】
Costar(登録商標) SnapwellTM 細胞培養挿入物上で増殖させたHBEを、Ussingチャンバ(Physiologic Instruments,Inc.,San Diego,CA)にマウントし、基底側から先端へのCl勾配(ISC)の存在下での経上皮抵抗(transepithelial resistance)および短絡電流を、電圧−クランプシステム(Department of Bioengineering,University of Iowa,IA)を使用して測定した。簡潔には、HBEを、37℃において電圧−クランプ記録条件(Vhold=0mV)下で、試験した。上記基底側溶液は、以下を含んだ(mM単位) 145 NaCl、0.83 KHPO、3.3 KHPO、1.2 MgCl、1.2 CaCl、10 グルコース、10 HEPES(pHをNaOHで7.35に調節)。そして上記先端溶液は、以下を含んだ(mM単位) 145 グルコン酸Na、1.2 MgCl、1.2 CaCl、10 グルコース、10 HEPES(pHをNaOHで7.35に調節)。
【0241】
(増強因子タンパク質の同定)
代表的なプロトコルは、基底側から先端への膜Cl濃度勾配を利用した。この勾配を設定するために、通常のリンゲル溶液(ringers)を、上記基底側膜に対して使用したのに対して、先端NaClを、等モル量のグルコン酸ナトリウム(NaOHでpH7.4に滴定)によって置換して、上皮を横断して、大きなCl濃度勾配を得た。フォルスコリン(10μM)およびすべての試験化合物を、上記細胞培養挿入物の先端側に添加した。上記推定ΔF508−CFTR増強因子の効力を、既知の増強因子であるゲニステインのものと比較した。
【0242】
(2.パッチ−クランプ記録)
ΔF508−NIH3T3細胞における総Cl電流を、以前に記載される(Rae,J.,Cooper,K.,Gates,P.,&Watsky,M.(1991)J.Neurosci.Methods 37,15−26)ように、穿孔パッチ記録配置を使用してモニターした。電圧−クランプ記録を、Axopatch 200Bパッチ−クランプ増幅器(Axon Instruments Inc.,Foster City,CA)を用いて、22℃において行った。ピペット溶液は、以下を含んでいた(mM単位) 150 N−メチル−D−グルカミン(NMDG)−Cl、2 MgCl、2 CaCl、10 EGTA、10 HEPES、および240μg/ml アンホテリシン−B(pHをHClで7.35に調節)。細胞外培地は、以下を含んでいた(mM単位) 150 NMDG−Cl、2 MgCl、2 CaCl、10 HEPES(pHをHClで7.35に調節)。パルス発生、データ獲得、および分析を、Clampex 8(Axon Instruments Inc.)とともにDigidata 1320 A/Dインターフェースを備えたPCで行った。ΔF508−CFTRを活性化するために、10μM フォルスコリンおよび20μM ゲニステインを、上記バッチに添加し、上記電流−電圧関係を、30秒ごとにモニターした。
【0243】
(増強因子化合物の同定)
ΔF508−CFTR増強因子がΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3細胞において巨視的ΔF508−CFTR Cl電流(IΔF508)を増大する能力もまた、穿孔パッチ記録ぎ術を使用して調査した。上記光学的アッセイから同定した増強因子は、上記光学的アッセイにおいて認められた類似の有効性および抗力とともに、IΔF508における用量依存性増加を再現した。試験したすべての細胞において、増強因子適用の前およびその間の逆転電位や、約−30mVであった。これは、計算されたECl(−28mV)である。
【0244】
(細胞培養)
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、全細胞記録のために使用する。上記細胞を、175cm培養フラスコにおいて、ダルベッコ改変イーグル培地(2mM グルタミン、10% ウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×pen/strep、および25mM HEPESを補充)中、37℃において、5% COおよび90% 湿度の中で維持する。全細胞記録に関して、2,500〜5,000細胞を、ポリ−L−リジンコーティングしたガラス製カバースリップ上で播種し、増強因子の活性の試験に使用する前に、24〜48時間にわたって27℃において培養した;そして37℃において較正化合物ありまたはなしで、上記較正因子(corrector)の活性化を測定するためにインキュベートした。
【0245】
(3.単一チャネル記録)
wt−CFTRおよびNIH3T3細胞において発現される温度較正したΔF508−CFTRの開閉活性を、以前に記載(Dalemans,W.,Barbry,P.,Champigny,G.,Jallat,S.,Dott,K.,Dreyer,D.,Crystal,R.G.,Pavirani,A.,Lecocq,J−P.,Lazdunski,M.(1991) Nature 354,526−528)されるように、Axopatch 200Bパッチ−クランプ増幅器(Axon Instruments Inc.)を使用して、切り出した中表にした(inside−out)膜パッチ記録を使用して観察した。ピペットは、以下を含んでいた(mM単位):150 NMDG、150 アスパラギン酸、5 CaCl、2 MgCl、および10 HEPES(pHをトリス塩基で7.35に調節)。上記バッチは、以下を含んでいた(mM単位):150 NMDG−Cl、2 MgCl、5 EGTA、10 TES、および14 トリス塩基(pHをHClで7.35に調節)。切り出しの後、wt−CFTRおよびΔF508−CFTR両方を、1mM Mg−ATP、cAMP依存性sプロテインキナーゼの触媒ユニット75nM(PKA; Promega Corp.Madison,WI)、および10 mM NaFを添加して、プロテインホスファターゼを阻害することによって活性化した。このことは、電流停止を防止した。上記ピペット電位を、80mVにおいて維持した。チャネル活性を、≦2の活性チャネルを含む膜パッチから分析した。同時開口の最大数は、実験の過程で活性チャネルの数を決定した。単一チャネル電流の大きさを決定するために、ΔF508−CFTR活性の120秒から記録したデータを、100Hzにおいて「オフライン(off−line)」でフィルタにかけ、次いで、Bio−Patch Analysisソフトウェア(Bio−Logic Comp.France)を使用して、多重ガウス関数と適合させた全点の大きさのヒストグラムを構築するために使用した。上記全微視的電流および開口確率(P)を、チャネル活性の120秒から決定した。Pを、上記Bio−Patchソフトウェアを使用して、または関係P=I/i(N)(ここでI=平均電流、i=単一チャネル電流の大きさ、およびN=パッチにおいて活性なチャネル数)から決定した。
【0246】
(細胞培養)
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、切り出した膜パッチ−クランプ記録のために使用する。上記細胞を、175cm培養フラスコにおいて、ダルベッコ改変イーグル培地(2mM グルタミン、10% ウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×pen/strep、および25mM HEPESを補充)中、37℃において、5% COおよび90% 湿度の中で維持する。単一チャネル記録に関して、2,500〜5,000細胞を、ポリ−L−リジンコーティングしたガラス製カバースリップ上で播種し、使用前に、27℃において24〜48時間にわたって培養した。
【0247】
本発明の化合物は、ATP結合カセット輸送体のモジュレーターとして有用である。本発明の化合物の活性および有効性の例は、以下の表3に示される。上記化合物活性は、活性が5.0μM未満であると測定されるならば「+++」、活性が5μM〜20.0μMであると測定されるならば「++」、活性が20.0μMより大きいと測定されるならば「+」で示され、データなしであれば「−」を使用した。上記効力は、効力が100%より大きいと計算されれば「+++」、効力が100%〜25%であると計算されれば「++」、効力が25%未満であると計算されれば「+」で示され、データがなければ「−」を使用した。100%効力が、4−メチル−2−(5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)フェノールで得られた最大応答であることに注意すべきである。
【0248】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化39】

またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
Arは、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の芳香族単環式環であって、ここで該環は、5〜12員の単環式もしくは二環式の、芳香族の、部分不飽和の、もしくは飽和の環に必要に応じて縮合され、ここで各環は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含み、ここでArは、m個の置換基を有し、各々独立して−WRから選択され;
Wは、結合であるか、または必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、ここでWの最大2個までのメチレンユニットは、O、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、-CONR’NR’−、-CO−、-OCO-、-NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−C(O)NR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−によって必要に応じてかつ独立して置換され;
は、独立して、R’、ハロ、シアノ、CF、CHF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、OH、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−メトキシフェニル、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−(アミノ−ピリジル)、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、2−メチルピロリル、3−フルオロピロリル、3,3−ジフルオロピロリル、3,3−ジメチルピロリル、2,5−ジメチルピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンゾイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph、もしくはNHSOMeであり;
Zは、−CH−、−CR−、もしくはNであり、
mは、0〜5であり;
kは、0〜1であり;
のうちの各々は、独立して、−X−Rであり;
Xは、結合であるか、または必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であって、ここでXの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−によって必要に応じてかつ独立して置換されており;
は、独立して、R’、ハロ、NO、CN、CF、もしくはOCFであり;
は、水素であり;
は、水素であり;
は、水素、または−X−Rで必要に応じて置換されたC1−6脂肪族基であり;
R’は、水素、あるいはC1−脂肪族基、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、3〜8員の飽和の、部分不飽和の、もしくは完全に不飽和の単環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する、8〜12員の、飽和の、部分不飽和の、もしくは完全に不飽和の二環式環系から選択される必要に応じて置換された基から独立して選択されるか;あるいはR’の2個の存在が、これらが結合される原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された3〜12員の、飽和の、部分不飽和の、もしくは完全に不飽和の単環式環もしくは二環式環を形成する、
化合物またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
Arは、以下:
【化40】

から選択され、ここで環Aは、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の芳香族単環式環であるか;または
およびAは一緒になって、8〜14員の芳香族、二環式、もしくは三環式の芳香族環であり、ここで各環は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arは、0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された6員の芳香族環であり、ここで該ヘテロ原子は窒素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
は、必要に応じて置換されたフェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された6員の芳香族環である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された5員の芳香族環である、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
は、1〜2個の窒素原子を有する5員の芳香族環である、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
は、以下:
【化41】

【化42】

から選択され、
ここで環Aは、2個の隣接する環原子を介して環Aに対して縮合される、
請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
およびRは、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
は、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
は、C1−C3アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
は、メチルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
は、エチルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
WRの各存在は、独立して、−C1−C3アルキル、t−ブチル、C1−C3ペルハロアルキル、−OH、−O(C1−C3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、もしくは−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換された5〜7員の複素環式環、必要に応じて置換された5〜7員のシクロ脂肪族基、必要に応じて置換された単環式もしくは二環式の芳香族環、必要に応じて置換されたアリールスルホン、必要に応じて置換された5員のヘテロアリール環、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、−C≡CCHN(R’)(R’)もしくは−(CH)N(R’)(R’)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物は、式IIAもしくは式IIB:
【化43】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項16】
前記化合物は、式IIIA、式IIIB、式IIIC、式IIID、もしくは式IIIE:
【化44】

【化45】

を有し、
ここで:
、X、X、X、およびXのうちの各々は、CHもしくはNから独立して選択され;そして
は、O、S、もしくはNR’である、
請求項2に記載の化合物。
【請求項17】
式IIIAにおけるX、X、X、X、およびXのうちの各々は、CHである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
、X、X、X、およびXは、式IIIAの化合物において一緒になって、ピリジル、ピラジニル、もしくはピリミジニルから選択される必要に応じて置換された環である、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
、X、X、もしくはXは、式IIIB、もしくは式IIICの化合物における環Aと一緒になって、以下:
【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

から選択される必要に応じて置換された環である、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物は、式IVA:
【化50】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物は、式IVB、もしくは式IVC:
【化51】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項22】
式IVBもしくはIVCの環Aは、O、S、もしくはNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された、飽和の、不飽和の、もしくは芳香族の5〜7員環である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
前記化合物は、式VA−1:
【化52】

を有し、
ここでWRW2およびWRW4の各々は、水素、CN、CF、OCF、ハロ、C1−C6の直線状もしくは分枝状のアルキル、3〜12員のシクロ脂肪族、フェニル、C5−C10ヘテロアリールもしくはC3−C7複素環式から独立して選択され、ここで該ヘテロアリールもしくは複素環式は、O、S、もしくはNから選択される最大3個までのヘテロ原子を有し、ここで該WRW2およびWRW4は、−OR’、−CF、−OCF、SR’、S(O)R’、SOR’、−SCF、ハロ、CN、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、CHCN、必要に応じて置換されたフェニルもしくはフェノキシ、−N(R’)(R’)、−NR’C(O)OR’、−NR’C(O)R’、−(CHN(R’)(R’)、または−(CH)N(R’)(R’)から選択される最大3個までの置換基で、独立してかつ必要に応じて置換されており;そして
WRW5は、水素、ハロ、−OH、NH、CN、CHF、NHR’、N(R’)、−NHC(O)R’、−NHC(O)OR’、NHSOR’、−OR’、CHOH、CHN(R’)、C(O)OR’、C(O)N(R’)、SONHR’、SON(R’)、OSON(R’)、OSOCF、もしくはCHNHC(O)OR’から選択される、
請求項20に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物は、式VA−2:
【化53】

を有し、ここで:
環Bは、−Q−Rの最大n個までの存在で必要に応じて置換された、5〜7員の単環式もしくは二環式の、複素環式もしくはヘテロアリールの環であり、
Qは、Wであり;
は、Rであり;
mは、0〜4であり;そして
nは、0〜4である、
請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
前記化合物は、式VA−3:
【化54】

を有し、ここで:
Qは、Wであり;
は、Rであり;
mは、0〜4であり;そして
nは、0〜4である、
請求項20に記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物は、式VB−1:
【化55】

を有し、ここで:
W1は、水素もしくはC1−C6脂肪族であり;
W3の各々は、水素もしくはC1−C6脂肪族であるか;
または必要に応じて、両方のRW3は一緒になって、O、S、もしくはNR’から選択される最大2個までのヘテロ原子を有する、C3−C6シクロアルキルもしくは複素環式環を形成し、ここで該環は、最大2個までのWR置換基で必要に応じて置換され;そして
mは、0〜4である、
請求項21に記載の化合物。
【請求項27】
WRW1は、水素、C1−C6脂肪族、C(O)C1−C6脂肪族、もしくはC(O)OC1−C6脂肪族である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
各RW3は、水素、C1−C4アルキルであるか;または両方のRW3は一緒になって、O、S、もしくはNから選択される最大2個までのヘテロ原子を有する、C3−C6シクロ脂肪族環もしくは5〜7員の複素環式環を形成し、ここで該シクロ脂肪族もしくは複素環式環は、WRW1から選択される最大3個までの置換基で必要に応じて置換されている、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
前記化合物は、式VB−2:
【化56】

を有し、ここで:
環Aは、フェニルもしくは5〜6員のヘテロアリール環であり、ここで環Aおよび該環Aに一緒に縮合されたフェニル環は、WRから独立して選択される最大4個までの置換基を有し;そして
mは、0〜4である、
請求項21に記載の化合物。
【請求項30】
環Aは、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、もしくはトリアゾリルから選択される、必要に応じて置換された5員環である、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
環Aは、以下:
【化57】

【化58】

から選択され、
ここで該環は、必要に応じて置換されている、請求項29に記載の化合物。
【請求項32】
前記化合物は、式VB−3:
【化59】

を有し、ここで:
は、水素、ハロ、CN、CF、CHF、CHF、必要に応じて置換されたC1−C6脂肪族、アリール−C1−C6アルキル、もしくはフェニルであり、ここでGは、最大4個までのWR置換基で必要に応じて置換されており;ここで該C1−C6脂肪族もしくはC1−C6アルキルの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CONR’−、-CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−で必要に応じて置換されており;
は、水素、CN、もしくは必要に応じて置換されたC1−C6脂肪族であり;
ここで該インドール環系はさらに、WRから独立して選択される最大3個までの置換基で必要に応じて置換されている、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
は、水素であり、Gは、C1−C6脂肪族であり、ここで該脂肪族は、C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、もしくはCFで必要に応じて置換されており、ここで該C1−C6脂肪族もしくはC1−C6アルキルの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
は、水素であり、Gは、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シアノメチル、メトキシエチル、CHC(O)OMe、(CH−NHC(O)O−tert−But、もしくはシクロペンチルである、請求項32に記載の化合物。
【請求項35】
は、水素、CNもしくはCFであり、Gは、ハロ、C1−C6脂肪族もしくはフェニルであり、ここで該脂肪族もしくはフェニルは、C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、もしくはCFで必要に応じて置換されており、ここで該C1−C6脂肪族もしくはC1−C6アルキルの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている、請求項32に記載の化合物。
【請求項36】
は、水素、CNもしくはCFであり、Gは、ハロ、エトキシカルボニル、t−ブチル、2−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、(4−C(O)NH(CH−NMe)−フェニル、2−メトキシ−4−クロロ−フェニル、ピリジン−3−イル、4−イソプロピルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、sec−ブチルアミノカルボニル、エチル、t−ブチル、もしくはピペリジン−1−イルカルボニルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
前記化合物は、N−(2,4−ジ−tert−ブチル−5−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−7−オキソ−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキサミド、N−(3−tert−ブチル−1H−インドール−6−イル)−7−オキソ−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキサミド、N−(4−(3,3−ジメチルピロリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミド、N−(5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イル)−2−メチル−7−オキソ−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキサミド、N−(5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イル)−7−オキソ−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキサミド、N−(2,4−ジ−tert−ブチル−5−ヒドロキシフェニル)−7−オキソ−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキサミド、7−エチル−4−オキソ−N−(3−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−6−イル)−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミド、7−オキソ−N−(5−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−6−イル)−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキサミド、N−(1H−インドール−6−イル)−2−メチル−7−オキソ−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキサミド、N−(3−tert−ブチル−1H−インドール−6−イル)−7−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミド、7−エチル−4−オキソ−N−(5−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−6−イル)−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミド、7−エチル−N−(2−フルオロ−5−ヒドロキシ−4−(1−メチルシクロヘキシル)フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミド、7−オキソ−N−(4−(ピロリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキサミド、N−(2−フルオロ−5−ヒドロキシ−4−(1−メチルシクロヘキシル)フェニル)−7−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミド、N−(4−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミド、N−(2,4−ジ−tert−ブチル−5−ヒドロキシフェニル)−7−エチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミド、7−メチル−4−オキソ−N−(3−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−6−イル)−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミド、N−(4−シクロペンチル−5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−7−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミド、もしくはN−(2−シアノ−4−シクロペンチル−5−ヒドロキシフェニル)−7−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−3−カルボキサミドから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
請求項1に記載の式Iの化合物および薬学的に受容可能なキャリアもしくはアジュバントを含む、薬学的組成物。
【請求項39】
前記組成物は、粘液溶解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、CFTRモジュレーター、もしくは栄養剤から選択されるさらなる薬剤を含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
CFTR活性を調節するための方法であって、該方法は、該CFTRと、式Iの化合物:
【化60】

もしくはその薬学的に受容可能な塩とを接触させる工程を包含し、ここで:
Arは、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の芳香族単環式環であり、ここで該環は、5〜12員の単環式もしくは二環式の、芳香族の、部分不飽和の、もしくは飽和の環に必要に応じて縮合され、ここで各環は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含み、ここでArは、m個の置換基を有し、各々は、−WRから独立して選択され;
Wは、結合であるか、または必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、ここでWの最大2個までのメチレンユニットは、O、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−C(O)NR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−によって、必要に応じてかつ独立して置換されており;
は、独立して、R’、ハロ、シアノ、CF、CHF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、OH、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−メトキシフェニル、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−(アミノ−ピリジル)、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンゾイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph、もしくはNHSOMeであり;
Zは、−CH−、−CR−、もしくはNであり、
mは、0〜5であり;
kは、0〜1であり;
の各々は、独立して、−X−Rであり;
Xは、結合であるか、または必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、ここでXの最大2個までのメチレンユニットは、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、もしくは−NR’SONR’−によって、必要に応じてかつ独立して置換されており;
は、独立して、R’、ハロ、NO、CN、CF、もしくはOCFであり;
は、水素であり;
は、水素であり;
は、水素もしくは−X−Rで必要に応じて置換されたC1−6脂肪族基であり;
R’は、水素、あるいはC1−脂肪族基、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和の、部分不飽和の、もしくは完全に不飽和の単環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和の、部分不飽和の、もしくは完全に不飽和の二環式環系から選択される必要に応じて置換された基から独立して選択されるか;あるいはR’の2個の存在は、これらが結合される原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された3〜12員の飽和の、部分不飽和の、もしくは完全に不飽和の単環式もしくは二環式の環を形成する、
方法。
【請求項41】
患者における疾患を処置するか、もしくはその重篤度を軽減するための方法であって、ここで該疾患は、嚢胞性線維症、喘息、喫煙誘発性COPD、慢性気管支炎、鼻副鼻腔炎、便秘、膵炎、膵機能不全、先天性両側精管欠損によって引き起こされる男性不妊症(CBAVD)、軽度肺疾患、突発性膵炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、肝臓疾患、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線維素溶解欠損(たとえば、プロテインC欠損症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症(例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無ベータリポ蛋白血症、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽ハーラー、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス)、クリグラー・ナジャー II型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症(Hyperinsulemia)、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠損、尿崩症(DI)、神経生理学的NeurophysealDI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッヘル病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害(polyglutamine neurological disorder)(例えば、ハンチントン、脊髄小脳失調症I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋硬直性ジストロフィー)、ならびに海綿状脳症(例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質処理欠損に起因する)、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群)、COPD、ドライアイ疾患、およびシェーグレン病)から選択され、該方法は、該患者に、有効量の、請求項1に記載の式Iの化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項42】
生物学的サンプル中のCFTRもしくはそのフラグメントの活性をインビトロもしくはインビボで測定することにおいて使用するためのキットであって、該キットは、
(i)請求項1に記載の式Iの化合物を含む組成物;
(ii)以下:
a)該組成物と該生物学的サンプルとを接触させること;
b)該CFTRもしくはそのフラグメントの活性を測定すること、
のための使用説明書
を含む、キット。
【請求項43】
以下:
a)さらなる組成物と、前記生物学的サンプルとを接触させること;
b)前記CFTRもしくはそのフラグメントの活性を、さらなる化合物の存在下で測定すること、および
c)該さらなる化合物の存在下での該CFTRの活性と、式Iの組成物の存在下でのCFTRの密度とを比較すること
のための使用説明書
をさらに含む、請求項42に記載のキット。

【公表番号】特表2011−506474(P2011−506474A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538183(P2010−538183)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/086562
【国際公開番号】WO2009/076593
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】