説明

回路基板、及び接続構造体

【課題】接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確保するとともに、端子の微細ピッチ化やプリント基板の省スペース化を図ることが可能な回路基板、接続構造体を提供する。
【解決手段】ベース基板30と、ベース基板30の上に互いに平行に延在して複数配置された第1端子40と、を有し、複数の第1端子40の上面に、それぞれの第1端子40の延在方向に対して斜めに交差する溝41が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板、及び接続構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の電子機器に搭載される回路基板や液晶表示装置においては、複数の第1端子が配置されたフレキシブル基板(以下、FPCという)やリジッド基板等のプリント基板を、複数の第2端子を有する接続基板に接続する技術が用いられている。例えば、液晶表示装置には、液晶パネルを駆動するためのICチップが実装されたFPCが複数の第1端子と第2端子とが重なるように位置合わせされた状態で接続される。このICチップが実装されたFPCは、液晶パネルを構成するガラス基板等のリジッド基板に直接接続される場合もあり、また、液晶パネルに実装されるFPCに接続される場合もある。
【0003】
このようなプリント基板と接続基板との接続は、それらの間に異方性導電フィルム(以下、ACFという)や異方性導電ペースト(以下、ACPという)を介在させることで行われる。また、プリント基板と接続基板とを圧接して第1端子と第2端子とを直接接触させ、プリント基板と接続基板との間に接着剤を充填し固定させることでも行われる。
【0004】
ところが、ACFやACPによる接続は、樹脂内の導電性粒子で導通を得るものであるので、プリント基板に配置される第1端子が細くなると、接続面積が小さくなるため十分な量の導電性粒子が確保されなくなり、安定した導通が得られなかったり抵抗が大きくなったりする問題がある。
一方、導電性粒子を確保するために第1端子を太くして接続面積を大きくすることも考えられるが、プリント基板に配置される第1端子の微細ピッチ化やプリント基板の省スペース化を図ることが困難となる。
また、複数の第1端子が微細ピッチで配列されたプリント基板の接続を行う場合、隣り合う2つの第1端子の間に導電性粒子が分散することによりショートが発生する可能性もある。
【0005】
このような問題を解決するための技術として、例えば特許文献1及び2では、一対の、複数の導体を略平らな部材に整列配置してなる平面多導体の重ね合わせ領域において、導体どうしが金属結合で接合されているとともにその周囲が熱硬化性接着剤で接合されている。これにより、複数の導体が細密ピッチ化された平面多導体を確実に接続可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4152196号公報
【特許文献2】特開2006−24751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2の技術にあっては、平面多導体の導体の上面に凹凸が形成されていることから、導体の凹凸の凸部が接着剤の層内を貫通可能となり、導体どうしが直接接触することができると考えられるが、以下のように問題点もある。
特許文献1及び2の技術では、導体の上面に形成された凹凸の凹部が平面多導体の接続の際に用いる接着剤の排出方向に対して直交している。このため、平面多導体の接続の際に、接着剤の排出が導体の上面に形成された前記凹部によって阻害される可能性がある。これにより、一対の導体の間に接着剤が介在し、接続不良が生じるおそれがある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確保するとともに、端子の微細ピッチ化やプリント基板の省スペース化を図ることが可能な回路基板、接続構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の回路基板は、ベース基板と、前記ベース基板の上に互いに平行に延在して複数配置された第1端子と、を有し、複数の前記第1端子の上面に、それぞれの前記第1端子の延在方向に対して斜めに交差する溝が形成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、回路基板と接続基板とを未硬化もしくは半硬化の接着部材(柔軟な接着部材)を介して接続する際に、柔軟な接着部材がスムーズに外部に排出されるようになる。具体的には、回路基板と接続基板との接続時において、柔軟な接着部材が隣り合う2つの第1端子の間の凹部(本流路)に配置される場合を考える。ここで、「本流路」とは、接着時において柔軟な接着部材の大部分が流れる経路である。また、複数の第1端子の上面において各第1端子の延在方向に対して斜めに交差して形成された複数の溝は、それぞれ本流路に連通しており、接着時における柔軟な接着部材の枝流路となっている。ここで、「枝流路」とは、接着時において本流路から溢れた柔軟な接着部材を、第1端子を挟んで隣の本流路に流す補助的な流路である。すると、柔軟な接着部材のうちの大部分が最初に配置された本流路の延在方向に沿って流れ、外部に排出される。このとき、柔軟な接着部材の一部が本流路から枝分かれした枝流路に入り込む。そして、枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材は、第1端子を挟んで隣の本流路に流れ込む。次いで、この隣の本流路に配置された柔軟な接着部材が隣の本流路の延在方向に沿って流れ、外部に排出される。以下、上述した流れを繰り返しながら、柔軟な接着部材が外部に排出される。このように、枝流路が本流路の延在方向に対して斜めに交差して形成されているため、柔軟な接着部材の流れを、特許文献1及び2に示す導体の上面に形成された凹凸の凹部が平面多導体の接続の際に用いる接着剤の排出方向に対して直交している構造に比べて、柔軟な接着部材の排出が前記凹部で阻害されることなく、外部にスムーズに排出することができる。したがって、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確保するとともに、端子の微細ピッチ化や省スペース化を図ることが可能な回路基板が提供できる。
【0011】
また、上記回路基板においては、複数の前記第1端子の上面に形成された複数の前記溝は、同一直線上に配置されており、各溝の延在方向と前記直線の延在方向とが互いに平行であってもよい。
【0012】
この構成によれば、回路基板と接続基板とを柔軟な接着部材を介して接続する際に、柔軟な接着部材がよりスムーズに外部に排出されるようになる。具体的には、回路基板と接続基板との接続時において、柔軟な接着部材が本流路に配置されると、そのうちの大部分が最初に配置された本流路の延在方向に沿って流れ、外部に排出される。このとき、柔軟な接着部材の一部が本流路から枝分かれした枝流路に入り込む。そして、枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材は、第1端子を挟んで隣の本流路に流れ込む。すると、この隣の本流路に配置された柔軟な接着部材は、隣の本流路の延在方向に沿って流れるよりも、最初に入り込んだ枝流路と同一直線上に配置された枝流路に流れ込み易くなる。この枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材は、第1端子を挟んでさらに隣の本流路に流れ込む。すると、さらに隣の本流路に配置された柔軟な接着部材は、さらに隣の本流路の延在方向に沿って流れるよりも、2番目に入り込んだ枝流路と同一直線上に配置された枝流路に流れ込み易くなる。以下、上述した流れを繰り返しながら、柔軟な接着部材が外部に排出される。これにより、柔軟な接着部材が前記本流路及び枝流路で形成される排出経路全体に行き渡るようになる。このため、複数の第1端子の上面に形成された複数の溝が不規則に配置されている場合に比べて、柔軟な接着部材を外部にスムーズに排出することができる。したがって、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確実に確保することができる。
【0013】
また、上記回路基板においては、複数の前記第1端子の上面に形成された複数の前記溝には、前記第1端子の延在方向に平行な軸を挟んで一方側に配置された複数の第1溝と他方側に配置された複数の第2溝とが含まれ、前記複数の第1溝が各第1溝の延在方向と平行に延在する同一の第1の直線上に配置され、前記複数の第2溝が各第2溝の延在方向と平行に延在する同一の第2の直線上に配置され、前記第1の直線の延在方向と前記第2の直線の延在方向とが交差して配置され、かつ、前記第1の直線と前記第2の直線とが前記軸を挟んで線対称となっていてもよい。
【0014】
この構成によれば、複数の第1端子の上面に形成された複数の溝が同一直線上に配置されている場合に比べて、回路基板と接続基板と柔軟な接着部材を介して接続する際に、柔軟な接着部材がよりスムーズに外部に排出されるようになる。具体的には、回路基板と接続基板との接続時において、柔軟な接着部材が第1端子の延在方向に平行な軸上を通る本流路の端部に配置される場合を考える。すると、そのうちの大部分が前記軸上を通る本流路の延在方向に沿って流れ、外部に排出される。このとき、柔軟な接着部材の一部が前記軸上を通る本流路から枝分かれした2方向の枝流路(第1溝及び第2溝)に入り込む。そして、2方向の枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材は、第1端子を挟んで隣の本流路に流れ込む。すると、この隣の本流路に配置された柔軟な接着部材は、隣の本流路の延在方向に沿って流れるよりも、最初に入り込んだ2方向の枝流路とそれぞれ同一直線上に配置された枝流路に流れ込み易くなる。この枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材は、第1端子を挟んでさらに隣の本流路に流れ込む。すると、さらに隣の本流路に配置された柔軟な接着部材は、さらに隣の本流路の延在方向に沿って流れるよりも、2番目に入り込んだ2方向の枝流路とそれぞれ同一直線上に配置された枝流路に流れ込み易くなる。以下、上述した流れを繰り返しながら、柔軟な接着部材が外部に排出される。これにより、柔軟な接着部材が前記軸を挟んで線対称となるように流れ、排出経路全体に行き渡るようになる。このため、複数の第1端子の上面に形成された複数の溝が同一直線上に配置されている場合に比べて、柔軟な接着部材を外部にスムーズに排出することができる。したがって、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確実に確保することができる。
【0015】
また、上記回路基板においては、複数の前記第1端子の上面に形成された複数の前記溝を、前記第1端子の延在方向に平行な軸を挟んで一方側に配置された複数の前記溝からなる第1の溝群と他方側に配置された複数の前記溝からなる第2の溝群とに分けたときに、前記第1の溝群の形状と前記第2の溝群の形状とが前記軸を挟んで線対称となっていてもよい。
【0016】
この構成によれば、回路基板と接続基板とを柔軟な接着部材を介して接続する際に、柔軟な接着部材が第1の端子の延在方向と平行な軸を挟んで線対称となるように流れ、排出経路全体に行き渡るようになる。具体的には、前記軸を挟んで一方側の第1の溝群の形状と他方側の第2の溝群の形状とが線対称であるため、前記軸を挟んで一方側と他方側との間で排出経路の形状にばらつきが生じることがないようになっている。このため、柔軟な接着部材を、前記軸を挟んで一方側と他方側との間で均一になるように、外部にスムーズに排出することができる。したがって、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確実に確保することができる。
【0017】
本発明の接続構造体は、上述した本発明に係る回路基板と、前記第1端子に対応する第2端子が設けられた接続基板と、前記回路基板と前記接続基板との間に設けられ、前記第1端子と前記第2端子とが導電接触している状態を保持する絶縁性の接着部材と、を有することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、上述した回路基板を備えているので、接続時において柔軟な接着部材が複数の第1端子で形成された本流路及び枝流路によって外部に排出されている。これにより、第1端子と第2端子との間に接着部材が介在することがなく、接続時の端子間の接触不良が生じないようになっている。また、第1端子と第2端子とが導電接触している状態が絶縁性の接着部材によって保持されるため、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態が確保されている。また、本実施形態では回路基板と接続基板とを接続する際に、従来技術のように回路基板と接続基板との間に異方性導電フィルム(以下、ACFという)や異方性導電ペースト(以下、ACPという)を介在させていない。このため、ACFやACPによる接続のように、樹脂内の導電性粒子で導通を得る必要がなく、回路基板に配置される第1端子を細くすることができる。したがって、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確保するとともに、端子の微細ピッチ化や回路基板の省スペース化を図ることが可能な接続構造体が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る接続構造体の一例である電気光学装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る回路基板の要部拡大図である。
【図3】電気光学装置の要部断面図である。
【図4】本発明に係る接続構造体の製造方法を順に示す工程図である。
【図5】接続時における接着部材の排出ルートの一例を示す平面図である。
【図6】本発明に係る回路基板の第1変形例を示す図である。
【図7】本発明に係る回路基板の第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0021】
(接続構造体)
図1は本発明に係る接続構造体を適用した液晶表示装置を示す模式図である。まず、図1を用いて本発明に係る接続構造体の適用例を説明する。
図1において符号1は液晶表示装置であり、この液晶表示装置1は、液晶パネル2と、回路基板3とを有して構成されている。なお、この液晶表示装置1には、図示しないものの、偏光板、反射シート、バックライト等の付帯部材が、必要に応じて適宜設けられるものとする。
【0022】
液晶パネル2は、ガラスや合成樹脂からなる接続基板10及び対向基板20を備えて構成されたものである。接続基板10と対向基板20とは、それぞれ平面視矩形であり相互に対向配置され、図示しないシール材によって相互に貼り合わされている。接続基板10と対向基板20の間には、電気光学物質である液晶(図示略)が封入されている。接続基板10の内面上には、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料からなる第1電極(図示略)が形成されている。対向基板20の内面上には前記第1電極に対向配置される第2電極(図示略)が形成されている。
【0023】
接続基板10及び対向基板20が対向する対向領域の中央部には表示領域Adが設けられている。表示領域Adには、X方向に延びる複数の走査線12とY方向に延びる複数のデータ線11とが平面視格子状に設けられている。走査線12とデータ線11との交差部には、赤色、緑色又は青色のいずれかの色に対応したサブ画素が設けられている。接続基板10上には、このようなサブ画素がマトリクス状に配置されており、これら複数のサブ画素によって全体としての表示領域Adが形成されている。それぞれのサブ画素にはTFT(Thin Film Transistor)等の画素スイッチング素子が設けられているが、図1ではそれらの図示は省略している。
【0024】
接続基板10には、その端部において対向基板20の外形よりも外側へ張り出された部分である張出し部10cが設けられている。張出し部10cには、不図示の引き回し配線を介して走査線12及びデータ線11と電気的に接続された複数の第2端子19が設けられている。
【0025】
張出し部10c上には、絶縁性の接着部材35を介して、本発明に係る回路基板3が接続されている。張出し部10c上の複数の第2端子19は、回路基板3のベース基板30に設けられた、それぞれに対応する第1端子40に導電接続されている。本発明では、張出し部10cとベース基板30との間に従来技術に示される異方性導電フィルム(以下、ACFという)や異方性導電ペースト(以下、ACPという)が介在しておらず、第2端子19と第1端子40とが直接導電接触している。これにより、接続基板10上に回路基板3が接続されてなる、本発明の接続構造体が形成されている。
【0026】
接着部材35の種類としては、反応性硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、光硬化型接着剤(紫外線硬化型接着剤)、嫌気硬化型接着剤、その他の各種硬化型接着剤を用いることができる。具体的には、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、天然ゴム系接着剤、ポリウレタン系接着剤、フェノール系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリアミド系接着剤等を用いることができる。また、これらを目的に合わせて変性する等しても良い。
【0027】
回路基板3には、外部から制御信号、映像信号、電源電位などが供給されるようになっている。回路基板3に供給された制御信号、映像信号、電源電位などは、回路基板3に実装された不図示の電子部品(例えば液晶パネル2を駆動する液晶駆動用ICチップ)に入力され、ここで液晶駆動用の駆動信号が生成されて、第1端子40及び第2端子19を介して液晶パネル2に供給されるようになっている。
【0028】
なお、回路基板3は、例えばフレキシブル基板(以下、FPCという)である。FPCは、ポリイミドや液晶ポリマー等可撓性を有する有機基板であり、ベース基板30上に銅やアルミニウムで回路パターンおよび第1端子40が形成されている。
【0029】
以上のように構成された液晶表示装置1によれば、回路基板3を介して第1電極と第2電極との間に適宜の電圧が印加されることにより、両電極が対向配置される部分に構成される各画素に独立して光を変調させることができる。これによって、液晶パネル2の表示領域Adに所望の画像を形成することができる。
【0030】
次に、前記液晶表示装置1に適用された、本発明の回路基板3の実施形態について説明する。
図2は、液晶表示装置1における回路基板3を拡大して示す要部拡大図である。図2(a)は、液晶表示装置1における回路基板3を拡大して示す要部拡大平面図であり、図2(b)は、図2(a)におけるA−A線矢視断面図である。
【0031】
ところで、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確保するとともに、電極の微細ピッチ化やプリント基板の省スペース化を図るために、一対の、複数の導体を略平らな部材に整列配置してなる平面多導体の重ね合わせ領域において、導体どうしが金属結合で接合されているとともにその周囲が熱硬化性接着剤で接合されている構造がある。また、接着剤の層内を貫通可能とするように平面多導体の導体の上面に凹凸が形成されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、導体の上面に形成された凹凸の凹部が平面多導体の接続の際に用いる接着剤の排出方向に対して直交しているため、平面多導体の接続の際に、接着剤の排出が導体の上面に形成された前記凹部によって阻害される可能性があった。これにより、一対の導体の間に接着剤が介在し、接続不良が生じるおそれがあった。
【0032】
そこで、本願発明者は、特許文献1及び2に示す構造に対して、ベース基板30の上に互いに平行に延在して複数の第1端子40を配置し、複数の第1端子40の上面に、それぞれの第1端子40の延在方向に対して斜めに交差する溝41を設けることで、回路基板3とベース基板30との接続時に未硬化もしくは半硬化の接着部材35を排出させ、第1端子40と第2端子19との間の接続不良を解消することを可能としている。以下、本実施形態の回路基板3について、一例を挙げて説明する。
【0033】
図2に示すように、回路基板3は、ベース基板30と、ベース基板30の上に互いに平行に延在して複数配置された第1端子40と、を有し、複数の第1端子40の上面に、それぞれの第1端子40の延在方向に対して斜めに交差する溝41が形成されている。この第1端子40の幅(短手方向の長さ)は、例えば20〜30μmになっている。
【0034】
また、複数の第1端子40は平面視において互いに平行にY方向に延在している。これら複数の第1端子40の上面に形成された複数の溝41は平面視においてそれぞれXY方向に延在している。そして、隣り合う2つの第1端子40の間の凹部42が、接着時における未硬化もしくは半硬化の柔軟な接着部材35の本流路となっている。ここで、本流路とは、接着時において柔軟な接着部材35の大部分が流れる経路である。また、複数の溝41は、それぞれ凹部42(本流路)に連通しており、接着時における柔軟な接着部材35の枝流路となっている。ここで、枝流路とは、接着時において本流路から溢れた柔軟な接着部材35を、第1端子40を挟んで隣の本流路に流す補助的な流路である。これら複数の凹部42及び複数の溝41によって、接着時において柔軟な接着部材35が外部に排出される排出経路が形成されている。
【0035】
これにより、回路基板3と接続基板10とを接続する際に、柔軟な接着部材35がスムーズに外部に排出されるようになる。具体的には、回路基板3と接続基板10との接続時において、柔軟な接着部材35が凹部42(本流路)に配置されると、そのうちの大部分が最初に配置された凹部42の延在方向(Y方向)に沿って流れ、外部に排出される。このとき、柔軟な接着部材35の一部が本流路から枝分かれした枝流路に入り込む。この枝流路に入り込む柔軟な接着部材35の量は、最初に本流路から排出される柔軟な接着部材35の量よりも少ない。そして、枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材35は、第1端子40を挟んで隣の本流路に流れ込む。次いで、この隣の本流路に配置された柔軟な接着部材35が隣の本流路の延在方向(Y方向)に沿って流れ、外部に排出される。以下、上述した流れを繰り返しながら、柔軟な接着部材35が外部に排出される。なお、枝流路に入り込む柔軟な接着部材35の量は、回路基板3と接続基板10を接続する際の加圧力、凹部42に配置される柔軟な接着部材35の量や粘度、接続時の雰囲気などの条件によって変動する。
【0036】
このように、枝流路が本流路の延在方向(Y方向)に対して斜め(XY方向)に交差して形成されているため、柔軟な接着部材35の流れを、特許文献1及び2に示す導体の上面に形成された凹凸の凹部が平面多導体の接続の際に用いる接着剤の排出方向に対して直交している構造に比べて、柔軟な接着部材35の排出が前記凹部で阻害されることなく、外部にスムーズに排出することができる。
【0037】
また、複数の第1端子40の上面に形成された複数の溝41は、同一直線SL上に配置されている。また、各溝41の延在方向(XY方向)と直線SLの延在方向(XY方向)とが互いに平行になっている。ここで、直線SLは仮想線である。具体的には、図2(a)に示すように、ベース基板30上に6本の第1端子40が互いに平行に延在しているとき、6つの溝41が同一直線SL上に形成されている。また、第1端子40の延在方向と複数の溝41が同一直線SL上に形成された方向とのなす角度は、例えば45°程度になっている。
【0038】
これにより、回路基板3と接続基板10とを接続する際に、柔軟な接着部材35がよりスムーズに外部に排出されるようになる。具体的には、回路基板3と接続基板10との接続時において、柔軟な接着部材35が凹部42(本流路)に配置されると、そのうちの大部分が最初に配置された凹部42の延在方向(Y方向)に沿って流れ、外部に排出される。このとき、柔軟な接着部材35の一部が本流路から枝分かれした枝流路に入り込む。そして、枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材35は、第1端子40を挟んで隣の本流路に流れ込む。すると、この隣の本流路に配置された柔軟な接着部材35は、隣の本流路の延在方向(Y方向)に沿って流れるよりも、最初に入り込んだ枝流路と同一直線SL上に配置された枝流路に流れ込み易くなる。この枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材35は、第1端子40を挟んでさらに隣の本流路に流れ込む。すると、さらに隣の本流路に配置された柔軟な接着部材35は、さらに隣の本流路の延在方向(Y方向)に沿って流れるよりも、2番目に入り込んだ枝流路と同一直線SL上に配置された枝流路に流れ込み易くなる。以下、上述した流れを繰り返しながら、柔軟な接着部材35が外部に排出される。これにより、柔軟な接着部材35が排出経路全体に行き渡るようになる。このため、複数の第1端子40の上面に形成された複数の溝41が同一直線上に配置されず不規則に配置されている場合に比べて、柔軟な接着部材35を外部にスムーズに排出することができる。
【0039】
また、第1端子40は、その表面に導電膜(図示略)が形成されていてもよい。導電膜は、Au、Sn、TiW、Cu、Cr、Ni、Ti、W、NiV、Al、Pd、鉛フリーハンダ等の金属や合金からなるものである。また、導電膜は、これら金属(合金)の単層であっても、複数種を積層したものであってもよい。また、このような導電膜は、スパッタ法等の公知の成膜法で成膜し、その後、本体部の形状に倣ってパターニングしたものであってもよく、無電解メッキによって選択的に形成したものであってもよい。または、スパッタ法や無電解メッキによって下地膜を形成し、その後電解メッキによって下地膜上に上層膜を形成し、これら下地膜と上層膜とからなる積層膜により、導電膜を形成してもよい。なお、金属(合金)の種類や層構造、膜厚、被覆領域については、第1端子40の形状や大きさによって適宜に選択・設計される。本実施形態では、銅からなる第1端子が形成され、その表面に金からなる導電膜が形成されている。
【0040】
図3は、本発明に係る接続構造体の一例である液晶表示装置1の要部断面図である。なお、図3においては、便宜上、液晶パネル2を構成する対向基板20の図示を省略し、接続基板10の端部(第2端子19が設けられた張出し部10cの一部)及び回路基板3の端部(第1端子40が設けられたベース基板30の一部)を示している。
【0041】
図3に示すように、液晶表示装置1は、上述した回路基板3と、接続基板10と、回路基板3と接続基板10との間に設けられ、第1端子40と第2端子19とが導電接触している状態を保持する絶縁性の接着部材35と、を有して構成されている。
【0042】
上述した回路基板3を備えているので、接続時において柔軟な接着部材35が複数の第1端子40で形成された本流路及び枝流路によって外部に排出されている。これにより、第1端子40と第2端子19との間に接着部材35が介在することがなく、接続時の端子間の接触不良が生じないようになっている。また、第1端子40と第2端子19とが導電接触している状態が絶縁性の接着部材35によって保持されるため、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態が確保されている。
【0043】
また、本実施形態では回路基板3と接続基板10とを接続する際に上述したアクリル系接着剤などからなる接着部材35を用いており、従来技術のように回路基板と接続基板との間に異方性導電フィルム(以下、ACFという)や異方性導電ペースト(以下、ACPという)を介在させていない。このため、ACFやACPによる接続のように、樹脂内の導電性粒子で導通を得る必要がなく、回路基板に配置される第1端子を細くすることができる。
【0044】
(接続構造体の製造方法)
以下、本実施形態に係る液晶表示装置1の製造方法について説明する。図4は液晶表示装置1の製造方法を順に示す工程図であり、図5は接続時における柔軟な接着部材35の排出ルートの一例を示す平面図である。図5は、図2(a)に対応する液晶表示装置における回路基板3を拡大して示す要部拡大平面図である。なお、図5において、図2(a)と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0045】
先ず、図4(a)に示すように、従来と同様の手法により製造されたベース基板30を用意する。ベース基板30としては、例えば、ポリイミドや液晶ポリマー等可撓性を有する有機基板を用いることができる。
【0046】
次に、ベース基板30の接続側に、導電材料(本実施形態では銅)からなる導電層40Aを、公知のリソグラーフィー技術やエッチング技術により、所定の形状に形成する。ここでは、ベース基板30の面内に平行に複数の導電層40Aを形成し、互いに間隔を空けて配置する。
【0047】
次に、前記導電層40Aに対して、プレス型50を押圧して第1端子40を形成する。ここでは、上述した第1端子40の延在方向に対して斜めに交差する溝41に対応する凸部51が形成されたプレス型50を用いる。
【0048】
このプレス型50を用いて、導電層40Aに対して前記凸部51が押し付けられることにより、複数の第1端子40の上面に、それぞれの第1端子40の延在方向に対して斜めに交差する溝41を形成する。その結果、銅からなる第1端子40が形成される(図4(b)参照)。
【0049】
次に、必要に応じて、ベース基板30上に形成された第1端子40の上に、上述した導電膜を、スパッタ法等の公知の成膜法で成膜し、その後、本体部の形状に倣ってパターニングしたり、無電解メッキによって選択的に配置したりすることによって形成する。または、スパッタ法や無電解メッキによって下地膜を形成し、その後電解メッキによって下地膜上に上層膜を形成し、これら下地膜と上層膜とからなる積層膜により、導電膜を形成してもよい。これにより、第1端子40の表面に導電膜(図示略)が形成される。ここでは、導電膜の形成材料として金を用いる。
【0050】
次に、図4(c)に示すように、従来と同様の手法により製造された接続基板10を用意する。接続基板10上には第1端子40に対応する位置に第2端子19が設けられている。次に、接続基板10上に上述した接着部材35を配置する。このとき、接着部材35は未硬化もしくは半硬化の状態(完全に硬化する前の状態)であり第1端子40に比べて十分に軟らかくなっている。次に、回路基板3と接続基板10とを、互いの第1端子40と第2端子19とが対向するように位置決めする。
【0051】
次に、位置決めされた状態で、第1端子40と第2端子19とが導電接触するように回路基板3と接続基板10とを互いに接合する方向に加圧する。すると、未硬化もしくは半硬化の接着部材35は、第1端子40に比べて十分に軟らかいため、加圧されたことで第1端子40の溝41の間の凸部によって押し退けられる。このとき、第1端子40の溝41の間の凸部によって押し退けられた柔軟な接着部材35は、その大部分が隣り合う2つの第1端子40の間の凹部42に流れ込み、その残りが複数の溝41に流れ込む。その後、加圧を続けることにより、柔軟な接着部材35が押し潰されていく。そして、複数の凹部42及び複数の溝41によって形成された排出経路によって、柔軟な接着部材35が外部に排出されるようになっている。
【0052】
ここで、接続時における柔軟な接着部材35の排出ルートについて図5を用いて説明する。回路基板3と接続基板10との接続時において、柔軟な接着部材35のうちの一部35a(以下、接着流体という。)が回路基板3の中央部における凹部42(本流路42a)に配置される場合を考える。すると、本流路42aの中央部に配置された接着流体35aの大部分が、本流路42aの延在方向(Y方向)に沿って流れ、外部に排出される。また、本流路42aの中央部に配置された接着流体35aは、一方向(+Y方向)と他方向(−Y方向)の2方向に分かれて排出される。ここで、このうち一方向(+Y方向)に排出される接着流体35aを考える。すると、接着流体35aの一部が本流路42aから枝分かれした枝流路41aに入り込む。そして、枝流路41aに入り込んだ接着流体35aは、第1端子40を挟んで隣の本流路42bに流れ込む。すると、この本流路42bに配置された接着流体35aは、本流路42bの延在方向(+Y方向)に沿って流れるとともに、最初に入り込んだ枝流路41aと同一直線SL上に配置された枝流路41bに流れ込む。この枝流路41bに入り込んだ接着流体35aは、第1端子40を挟んでさらに隣の本流路42cに流れ込む。以下、上述した流れを繰り返しながら、接着流体35aが外部に排出される。なお、本流路42aの中央部に配置された接着流体35aのうち他方向(−Y方向)に排出される接着流体35aについても、一方向(+Y方向)に排出される接着流体35aと同様な流れが繰り返される。これにより、接着流体35aが排出経路全体に行き渡るようになる。このため、複数の第1端子40の上面に形成された複数の溝41が不規則に配置されている場合に比べて、外部にスムーズに排出することができる。
【0053】
このようにして、図4(d)に示すように、第1端子40と第2端子19とが導電接触するように、回路基板3と接続基板10とを未硬化もしくは半硬化の接着部材35を介して互いに接合する。そして、第1端子40と第2端子19とが導電接触した状態で、上述した接着部材35を完全に硬化させる。以上の工程により、本実施形態の液晶表示装置1が得られる。
【0054】
本発明に係る回路基板3によれば、回路基板3と接続基板10とを接続する際に、柔軟な接着部材35がスムーズに外部に排出されるようになる。具体的には、回路基板3と接続基板10との接続時において、柔軟な接着部材35が凹部42(本流路)に配置されると、そのうちの大部分が最初に配置された凹部42の延在方向(Y方向)に沿って流れ、外部に排出される。このとき、柔軟な接着部材35の一部が本流路から枝分かれした枝流路に入り込む。そして、枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材35は、第1端子40を挟んで隣の本流路に流れ込む。次いで、この隣の本流路に配置された柔軟な接着部材35が隣の本流路の延在方向(Y方向)に沿って流れ、外部に排出される。以下、上述した流れを繰り返しながら、柔軟な接着部材35が外部に排出される。このように、枝流路が本流路の延在方向(Y方向)に対して斜め(XY方向)に交差して形成されているため、柔軟な接着部材35の流れを、特許文献1及び2に示す導体の上面に形成された凹凸の凹部が平面多導体の接続の際に用いる接着剤の排出方向に対して直交している構造に比べて、柔軟な接着部材35の排出が前記凹部で阻害されることなく、外部にスムーズに排出することができる。したがって、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確保するとともに、端子の微細ピッチ化や省スペース化を図ることが可能な回路基板3が提供できる。
【0055】
また、本発明に係る回路基板3によれば、複数の第1端子40の上面に形成された複数の溝41が同一直線SL上に配置されているので、回路基板3と接続基板10とを接続する際に、柔軟な接着部材35がよりスムーズに外部に排出されるようになる。具体的には、回路基板3と接続基板10との接続時において、柔軟な接着部材35が凹部42(本流路)に配置されると、そのうちの大部分が最初に配置された凹部42の延在方向(Y方向)に沿って流れ、外部に排出される。このとき、柔軟な接着部材35の一部が本流路から枝分かれした枝流路に入り込む。そして、枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材35は、第1端子40を挟んで隣の本流路に流れ込む。すると、この隣の本流路に配置された柔軟な接着部材35は、隣の本流路の延在方向(Y方向)に沿って流れるよりも、最初に入り込んだ枝流路と同一直線SL上に配置された枝流路に流れ込み易くなる。この枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材35は、第1端子40を挟んでさらに隣の本流路に流れ込む。すると、さらに隣の本流路に配置された柔軟な接着部材35は、さらに隣の本流路の延在方向(Y方向)に沿って流れるよりも、2番目に入り込んだ枝流路と同一直線SL上に配置された枝流路に流れ込み易くなる。以下、上述した流れを繰り返しながら、柔軟な接着部材35が外部に排出される。これにより、柔軟な接着部材35が排出経路全体に行き渡るようになる。このため、複数の第1端子40の上面に形成された複数の溝41が不規則に配置されている場合に比べて、柔軟な接続部材35を外部にスムーズに排出することができる。したがって、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確実に確保することができる。
【0056】
また、本発明に係る液晶表示装置1によれば、上述した回路基板3を備えているので、接続時において柔軟な接着部材35が複数の第1端子40で形成された本流路及び枝流路によって外部に排出されている。これにより、第1端子40と第2端子19との間に接着部材35が介在することがなく、接続時の端子間の接触不良が生じないようになっている。また、第1端子40と第2端子19とが導電接触している状態が絶縁性の接着部材35によって保持されるため、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態が確保されている。また、本実施形態では回路基板3と接続基板10とを接続する際に上述したアクリル系接着剤などからなる接着部材35を用いており、従来技術のように回路基板と接続基板との間に異方性導電フィルム(以下、ACFという)や異方性導電ペースト(以下、ACPという)を介在させていない。このため、ACFやACPによる接続のように、樹脂内の導電性粒子で導通を得る必要がなく、回路基板に配置される第1端子を細くすることができる。したがって、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確保するとともに、端子の微細ピッチ化や回路基板3の省スペース化を図ることが可能な液晶表示装置1が提供できる。
【0057】
なお、本実施形態では、複数の第1端子40の上面に形成された複数の溝41が同一直線上に配置されている例について説明したが、これに限らない。以下、上記実施形態とは異なる変形例について、図6及び図7を用いて説明する。
【0058】
(第1変形例)
図6は、本発明に係る回路基板の第1変形例を示す図である。図6(a)は、図2(a)に対応する液晶表示装置における回路基板3Aを拡大して示す要部拡大平面図であり、図6(b)は、図6(a)におけるB−B線矢視断面図である。図6において、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0059】
図6に示すように、本変形例の回路基板3Aにおいて、複数の第1端子140の上面に形成された複数の溝141には、第1端子140の延在方向(Y方向)に平行な軸CL1を挟んで一方側(軸CL1よりも+X方向の側)に配置された複数の第1溝141aと他方側(軸CL1よりも−X方向の側)に配置された複数の第2溝141bが含まれている。また、複数の第1溝141aが各第1溝141aの延在方向と平行に延在する同一の第1の直線SL1上に配置されている。また、複数の第2溝141bが各第2溝141bの延在方向と平行に延在する同一の第2の直線SL2上に配置されている。また、第1の直線SL1の延在方向と第2の直線SL2の延在方向とが交差し、かつ、第1の直線SL1と第2の直線SL2とが軸CL1を挟んで線対称となっている。
【0060】
本変形例の回路基板3Aによれば、複数の第1端子40の上面に形成された複数の溝41が同一直線SL上に配置されている場合に比べて、回路基板3と接続基板10とを接続する際に、柔軟な接着部材35がよりスムーズに外部に排出されるようになる。具体的には、回路基板3と接続基板10との接続時において、柔軟な接着部材35が回路基板3における軸CL1上を通る凹部142(本流路)の端部(−Y方向の側)に配置される場合を考える。すると、そのうちの大部分が軸CL1上を通る本流路の延在方向(Y方向)に沿って流れ、外部に排出される。このとき、柔軟な接着部材35の一部が軸CL1上を通る本流路から枝分かれした2方向の枝流路(第1溝141a及び第2溝141b)に入り込む。そして、2方向の枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材35は、第1端子140を挟んで隣の本流路に流れ込む。すると、この隣の本流路に配置された柔軟な接着部材35は、隣の本流路の延在方向(Y方向)に沿って流れるよりも、最初に入り込んだ2方向の枝流路とそれぞれ同一直線SL1、SL2上に配置された枝流路に流れ込み易くなる。この枝流路に入り込んだ柔軟な接着部材35は、第1端子140を挟んでさらに隣の本流路に流れ込む。すると、さらに隣の本流路に配置された柔軟な接着部材35は、さらに隣の本流路の延在方向(Y方向)に沿って流れるよりも、2番目に入り込んだ2方向の枝流路とそれぞれ同一直線SL1、SL2上に配置された枝流路に流れ込み易くなる。以下、上述した流れを繰り返しながら、柔軟な接着部材35が外部に排出される。これにより、柔軟な接着部材35が軸CL1を挟んで線対称となるように流れ、排出経路全体に行き渡るようになる。このため、複数の第1端子40の上面に形成された複数の溝41が同一直線SL上に配置されている場合に比べて、柔軟な接続部材35を外部にスムーズに排出することができる。したがって、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確実に確保することができる。
【0061】
(第2変形例)
図7は、本発明に係る回路基板の第2変形例を示す図である。図7(a)は、図2(a)に対応する液晶表示装置における回路基板3Bを拡大して示す要部拡大平面図であり、図7(b)は、図7(a)におけるC−C線矢視断面図である。図7において、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0062】
図7に示すように、本変形例の回路基板3Bにおいては、複数の第1端子240の上面に形成された複数の溝241を、第1端子240の延在方向(Y方向)に平行な軸CL2を挟んで一方側(軸CL2よりも+X方向の側)に配置された複数の溝241からなる第1の溝群241aと他方側(軸CL2よりも−X方向の側)に配置された複数の溝241からなる第2の溝群241bとに分けたときに、第1の溝群241aの形状と第2の溝群241bとの形状とが軸CL2を挟んで線対称となっている。つまり、軸CL2を挟んで一方側(軸CL2よりも+X方向の側)に配置された複数の溝241の形状と他方側(軸CL2よりも−X方向の側)に配置された複数の溝241の形状とが軸CL2を挟んでそれぞれ線対称となっている。
【0063】
本変形例の回路基板3Bによれば、回路基板3と接続基板10とを接続する際に、柔軟な接着部材35が軸CL2を挟んで線対称となるように流れ、排出経路全体に行き渡るようになる。具体的には、軸CL2を挟んで一方側の第1の溝群241aの形状と他方側の第2の溝群241bの形状とが線対称であるため、軸CL2を挟んで一方側と他方側との間で排出経路の形状にばらつきが生じることがないようになっている。このため、柔軟な接着部材35を、軸CL2を挟んで一方側と他方側との間で均一になるように、外部にスムーズに排出することができる。したがって、接続時の端子間の接続不良を解消して良好な導電接続状態を確実に確保することができる。
【符号の説明】
【0064】
1…液晶表示装置(接続構造体)、3,3A,3B…回路基板、10…接続基板、30…ベース基板、35…接着部材、40,140,240…第1端子、41,141,241…溝、42,142,242…凹部、141a…第1溝、141b…第2溝、241a…第1の溝群、241b…第2の溝群、CL1,CL2…第1端子の延在方向に平行な軸、SL…直線、SL1…第1の直線、SL2…第2の直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板の上に互いに平行に延在して複数配置された第1端子と、を有し、
複数の前記第1端子の上面に、それぞれの前記第1端子の延在方向に対して斜めに交差する溝が形成されていることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
複数の前記第1端子の上面に形成された複数の前記溝は、同一直線上に配置されており、各溝の延在方向と前記直線の延在方向とが互いに平行であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
複数の前記第1端子の上面に形成された複数の前記溝には、前記第1端子の延在方向に平行な軸を挟んで一方側に配置された複数の第1溝と他方側に配置された複数の第2溝とが含まれ、前記複数の第1溝が各第1溝の延在方向と平行に延在する同一の第1の直線上に配置され、前記複数の第2溝が各第2溝の延在方向と平行に延在する同一の第2の直線上に配置され、前記第1の直線の延在方向と前記第2の直線の延在方向とが交差して配置され、かつ、前記第1の直線と前記第2の直線とが前記軸を挟んで線対称となっていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項4】
複数の前記第1端子の上面に形成された複数の前記溝を、前記第1端子の延在方向に平行な軸を挟んで一方側に配置された複数の前記溝からなる第1の溝群と他方側に配置された複数の前記溝からなる第2の溝群とに分けたときに、前記第1の溝群の形状と前記第2の溝群の形状とが前記軸を挟んで線対称となっていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板と、
前記第1端子に対応する第2端子が設けられた接続基板と、
前記回路基板と前記接続基板との間に設けられ、前記第1端子と前記第2端子とが導電接触している状態を保持する絶縁性の接着部材と、
を有することを特徴とする接続構造体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−146502(P2011−146502A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5651(P2010−5651)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】