説明

回路基板検査装置および回路基板検査方法

【課題】検査効率を向上させる。
【解決手段】一方の面に形成されているフィデューシャルマーク102aの撮像結果および他方の面に形成されているフィデューシャルマーク103aの撮像結果に基づいてプロービング位置を補正しつつ検査用プローブをそれぞれプロービングさせる第1プロービング機構および第2プロービング機構と、各検査用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて電気的検査を実行する検査部と、一方の面におけるパターン形成領域201aと他方の面におけるパターン形成領域202aとの相対的な位置ずれ量Gr1x,Gr1yを特定する処理を実行する処理部と、位置ずれ量Gr1x,Gr1yと基準値とを比較して回路基板100の良否を判定する判定部とを備え、処理部は、撮像結果に基づいて測定した第1基準パターンおよび第2基準パターンの各測定位置に基づいて位置ずれ量Gr1x,Gr1yを特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にプロービングさせた検査用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて基板に対する電気的検査を実行する回路基板検査装置および回路基板検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の回路基板検査装置として、特開平11−344539号公報において出願人が開示した回路基板検査装置(インサーキットテスタ)が知られている。この回路基板検査装置は、回路基板保持部、検査用治具、X−Y移動機構、フォトセンサおよび制御部などを備えて、回路基板に対する電気的検査を実行可能に構成されている。この回路基板検査装置では、回路基板の上面および下面の両面にそれぞれ形成されている回路パターンにピンプローブを接触(プロービング)させ、そのピンプローブを介して回路パターンに電流を導通させることにより、回路基板の両面にそれぞれ形成されている回路パターンの電気的検査を行い、これによって回路基板の良否を判定することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−344539号公報(第5−6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の回路基板検査装置を含む従来のこの種の回路基板検査装置には、以下の課題がある。すなわち、この種の回路基板検査装置の検査対象となる両面に回路パターンが形成された回路基板では、製造過程において、上面における回路パターンの形成領域と下面における回路パターンの形成領域との間に相対的に位置ずれが生じることがある。このような位置ずれの量(位置ずれ量)が大きいときには、例えば、上面の回路パターンと下面の回路パターンとの接続(スルーホール等による接続)が困難となることがあるため、位置ずれ量が許容値以上であるか否かの検査を行う必要がある。しかしながら、従来の回路基板検査装置には、このような位置ずれを検査する機能が備えられていないため、例えば、3次元測定装置などを用いて両面の回路パターンの位置を測定して両面の回路パターンの位置ずれ量を特定し、その位置ずれ量が許容値以上であるか否かの検査を別途行う必要があり、検査効率の向上が困難となっている。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、検査効率を向上させ得る回路基板検査装置および回路基板検査方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の回路基板検査装置は、回路基板を保持する基板保持部と、当該基板保持部によって保持されている前記回路基板の一方の面に形成されている各パターンのうちの予め指定された第1基準パターンを撮像する第1撮像部と、当該回路基板の他方の面に形成されている各パターンのうちの予め指定された第2基準パターンを撮像する第2撮像部と、前記第1撮像部による撮像結果に基づいてプロービング位置を補正しつつ前記一方の面に形成されている各パターンに対して検査用プローブをプロービングさせる第1プロービング機構と、前記第2撮像部による撮像結果に基づいてプロービング位置を補正しつつ前記他方の面に形成されている各パターンに対して検査用プローブをプロービングさせる第2プロービング機構と、前記各検査用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて当該回路基板に対する電気的検査を実行する検査部とを備えた回路基板検査装置であって、前記一方の面における前記パターンの形成領域と前記他方の面における前記パターンの形成領域との相対的な位置ずれ量を特定する処理を実行する処理部と、当該特定された位置ずれ量と予め決められた基準値とを比較して前記回路基板の良否を判定する判定部とを備え、前記処理部は、前記第1撮像部による前記撮像結果に基づいて前記第1基準パターンの位置を測定すると共に前記第2撮像部による前記撮像結果に基づいて前記第2基準パターンの位置を測定し、当該測定した第1基準パターンの測定位置と第2基準パターンの測定位置とに基づいて前記位置ずれ量を特定する。
【0007】
また、請求項2記載の回路基板検査装置は、請求項1記載の回路基板検査装置において、前記処理部は、前記第1基準パターンおよび前記第2基準パターンがそれぞれ複数指定されているときに、前記各第1基準パターンの前記測定位置と前記各第2基準パターンの前記測定位置とに基づいて複数の箇所における前記位置ずれ量を特定する。
【0008】
また、請求項3記載の回路基板検査装置は、請求項1または2記載の回路基板検査装置において、前記処理部は、前記回路基板が前記基板保持部によって予め規定された位置に保持されている規定保持状態のときに前記第1基準パターンが位置すべき位置として予め決められた第1基準位置と前記第1基準パターンの前記測定位置との間の第1離間距離を算出すると共に、前記回路基板が前記規定保持状態のときに前記第2基準パターンが位置すべき位置として予め決められた第2基準位置と前記第2基準パターンの前記測定位置との間の第2離間距離を算出し、前記第1離間距離と前記第2離間距離との差分値を前記位置ずれ量として特定する。
【0009】
また、請求項4記載の回路基板検査装置は、請求項1から3のいずれかに記載の回路基板検査装置において、前記処理部は、前記回路基板に形成されているフィデューシャルマークが前記第1基準パターンおよび前記第2基準パターンの少なくとも一方として指定されているときに、前記フィデューシャルマークの前記撮像結果に基づいて前記位置ずれ量を特定する。
【0010】
また、請求項5記載の回路基板検査方法は、基板保持部によって保持されている回路基板の一方の面に形成されている各パターンのうちの予め指定された第1基準パターンを撮像し、当該回路基板の他方の面に形成されている各パターンのうちの予め指定された第2基準パターンを撮像し、前記第1基準パターンの撮像結果に基づいてプロービング位置を補正しつつ前記一方の面に形成されている各パターンに対して検査用プローブをプロービングさせ、前記第2基準パターンの撮像結果に基づいてプロービング位置を補正しつつ前記他方の面に形成されている各パターンに対して検査用プローブをプロービングさせ、前記各検査用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて当該回路基板に対する電気的検査を実行する回路基板検査方法であって、前記第1基準パターンの撮像結果に基づいて前記第1基準パターンの位置を測定すると共に、前記第2基準パターンの撮像結果に基づいて前記第2基準パターンの位置を測定し、前記一方の面における前記パターンの形成領域と前記他方の面における前記パターンの形成領域との相対的な位置ずれ量を前記測定した第1基準パターンの測定位置と第2基準パターンの測定位置とに基づいて特定し、当該特定した位置ずれ量と予め決められた基準値とを比較して前記回路基板の良否を判定する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の回路基板検査装置、および請求項5記載の回路基板検査方法では、第1基準パターンおよび第2基準パターンの撮像結果に基づいて第1基準パターンおよび第2基準パターンの位置を測定し、一方の面および他方の面におけるパターンの形成領域の相対的な位置ずれ量を第1基準パターンおよび第2基準パターンの測定位置に基づいて特定し、特定した位置ずれ量と基準値とを比較して回路基板の良否を判定する。このため、この回路基板検査装置および回路基板検査方法によれば、このような機能を備えていない従来の回路基板検査装置とは異なり、3次元測定装置などの回路基板検査装置とは別の装置を用いて第1基準パターンおよび第2基準パターンの位置を測定し、その測定結果に基づいてパターンの形成領域の相対的な位置ずれ量を特定する作業(工程・検査)を省略することができる結果、検査効率を十分に向上させることができる。
【0012】
また、請求項2記載の回路基板検査装置では、複数の第1基準パターンの測定位置と複数の第2基準パターンの測定位置とに基づいて複数の箇所における位置ずれ量を特定する。このため、この回路基板検査装置によれば、例えば、複数の箇所における各位置ずれ量の1つ以上が基準値以上のときに回路基板が不良であると判定することで、位置ずれ量の大きさが箇所によって異なる場合においても、いずれかの箇所における位置ずれ量が基準値以上のときには、回路基板が不良であるとの判定を確実に行うことができる。
【0013】
また、請求項3記載の回路基板検査装置では、第1基準位置と第1基準パターンの測定位置との間の第1離間距離を算出すると共に、第2基準位置と第2基準パターンの測定位置との間の第2離間距離を算出し、第1離間距離と第2離間距離との差分値を位置ずれ量として特定する。この場合、検査用プローブをプロービングさせて回路基板に対する電気的検査を実行する際のプロービング位置の補正は、一般的に、このようにして算出した第1離間距離および第2離間距離が用いられる。つまり、この回路基板検査装置では、プロービング位置の補正に用いる第1離間距離および第2離間距離を位置ずれ量の特定にも用いている。このため、この回路基板検査装置によれば、プロービング位置の補正に用いる第1離間距離および第2離間距離とは別に位置ずれ量の特定に用いる値を算出する構成と比較して処理を十分に簡略化することができる。
【0014】
また、請求項4記載の回路基板検査装置では、回路基板に形成されているフィデューシャルマークが第1基準パターンおよび第2基準パターンの少なくとも一方として指定されているときに、フィデューシャルマークの撮像結果に基づいて位置ずれ量を特定する。この場合、フィデューシャルマークは、パターンの形成領域内における位置が回路基板の製造時点で予め決められている。このため、この回路基板検査装置によれば、一方の面および他方の面に形成されているパターンの中からフィデューシャルマーク以外のパターン(例えば回路パターン)を第1基準パターンおよび第2基準パターンとして指定する構成とは異なり、例えば、良品の回路基板における指定したパターンの基準位置を測定する工程を省略することができる結果、検査効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】回路基板検査装置1の構成を示す構成図である。
【図2】回路基板100の表面201側の構成を示す平面図である。
【図3】回路基板100の裏面202側の構成を示す平面図である。
【図4】基板保持部11の構成を示す構成図である。
【図5】第1撮像部12a,12bおよび第1プロービング機構13a,13bの構成を示す構成図である。
【図6】回路基板100の検査方法を説明する第1の説明図である。
【図7】回路基板100の検査方法を説明する第2の説明図である。
【図8】回路基板100の検査方法を説明する第3の説明図である。
【図9】回路基板100の検査方法を説明する第4の説明図である。
【図10】回路基板100の検査方法を説明する第5の説明図である。
【図11】回路基板100の検査方法を説明する第6の説明図である。
【図12】回路基板100の検査方法を説明する第7の説明図である。
【図13】回路基板100の検査方法を説明する第8の説明図である。
【図14】回路基板100の検査方法を説明する第9の説明図である。
【図15】回路基板100の検査方法を説明する第10の説明図である。
【図16】回路基板100の検査方法を説明する第11の説明図である。
【図17】回路基板100の検査方法を説明する第12の説明図である。
【図18】回路基板100の検査方法を説明する第13の説明図である。
【図19】回路基板100の検査方法を説明する第14の説明図である。
【図20】回路基板300の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、回路基板検査装置および回路基板検査方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0017】
最初に、回路基板検査装置の一例としての回路基板検査装置1の構成について、図面を参照して説明する。図1に示す回路基板検査装置1は、回路基板の一例としての図2,3に示す回路基板100に対する電気的検査を実行可能に構成されている。
【0018】
この場合、図2,3に示すように、回路基板100における表面(一方の面)201のパターン形成領域201a(図2に一点鎖線で示す領域)、および裏面(他方の面)202のパターン形成領域202a(図3に二点鎖線で示す領域)には、複数の回路パターン101がそれぞれ形成されている。また、パターン形成領域201aにおける互いに対向する一対の角部(例えば、回路基板100における4つの角部100a〜100dのうちの互いに対向する一対の角部100a,100bに位置する角部)には、第1基準パターンに相当するフィデューシャルマーク102a,102b(以下、区別しないときには「フィデューシャルマーク102」ともいう)が形成されている。また、パターン形成領域202aにおける互いに対向する一対の角部(回路基板100における互いに対向する一対の角部100a,100bに位置する角部)には、第2基準パターンに相当するフィデューシャルマーク103a,103b(以下、区別しないときには「フィデューシャルマーク103」ともいう)が形成されている。
【0019】
この場合、フィデューシャルマーク102は、フィクスチャ31aの検査用プローブ41(図5参照)をプロービングさせる際のプロービング位置の補正などに用いられるマーク(パターン)であって、パターン形成領域201a内における位置が予め決められている。また、フィデューシャルマーク103も、フィデューシャルマーク102と同様に、フィクスチャ31bの検査用プローブ41(同図参照)をプロービングさせる際のプロービング位置の補正などに用いられるマーク(パターン)であって、パターン形成領域202a内における位置が予め決められている。
【0020】
一方、回路基板検査装置1は、図1に示すように、基板保持部11、第1撮像部12a、第2撮像部12b(以下、第1撮像部12aおよび第2撮像部12bを区別しないときには「撮像部12」ともいう)、第1プロービング機構13a、第2プロービング機構13b(以下、第1プロービング機構13aおよび第2プロービング機構13bを区別しないときには「プロービング機構13」ともいう)、検査部14、表示部15、記憶部16および制御部17を備えて構成されている。
【0021】
基板保持部11は、図4に示すように、保持板11aおよびクランプ機構11bを備えて、回路基板100を保持可能に構成されている。保持板11aは、略矩形の板状に構成されている。また、保持板11aの中央部には、略矩形の開口部11cが形成されている。
【0022】
図5に示すように、第1撮像部12aは、カメラ21aおよび移動機構22aを備えて構成され、第2撮像部12bは、カメラ21bおよび移動機構22bを備えて構成されている(以下、カメラ21a,21bを区別しないときには「カメラ21」ともいい、移動機構22a,22bを区別しないときには「移動機構22」ともいう)。第1撮像部12aは、制御部17の制御に従い、基板保持部11によって保持されている回路基板100の表面201に形成されているフィデューシャルマーク102を撮像する。また、第2撮像部12bは、制御部17の制御に従い、基板保持部11によって保持されている回路基板100の裏面202に形成されているフィデューシャルマーク103を撮像する。
【0023】
図5に示すように、第1プロービング機構13aは、フィクスチャ31aおよび移動機構32aを備えて構成され、第2プロービング機構13bは、フィクスチャ31bおよび移動機構32bを備えて構成されている(以下、フィクスチャ31a,31bを区別しないときには「フィクスチャ31」ともいい、移動機構32a,32bを区別しないときには「移動機構32」ともいう)。第1プロービング機構13aは、第1撮像部12aによる撮像結果に基づいてプロービング位置を補正しつつ回路基板100の表面201に形成されている各回路パターン101に対してフィクスチャ31aの検査用プローブ41をプロービングさせる。第2プロービング機構13bは、第2撮像部12bによる撮像結果に基づいてプロービング位置を補正しつつ回路基板100の裏面202に形成されている各回路パターン101に対してフィクスチャ31bの検査用プローブ41をプロービングさせる。
【0024】
検査部14は、制御部17の制御に従い、プロービング機構13のフィクスチャ31を介して入力する電気信号Sに基づいて回路基板100に対する電気的検査を実行する。表示部15は、制御部17の制御に従い、制御部17によって実行される回路基板100の良否判定の結果などを表示する。
【0025】
記憶部16は、良品の回路基板100(パターン形成領域201a,202aの相対的な位置ずれ量がなく、かつ各パターン形成領域201a,202aが表面201および裏面202における予め決められた位置に正確に設けられている回路基板100)が予め規定された位置に位置決めされて基板保持部11によって保持されている状態(規定保持状態)のときに、フィデューシャルマーク102a,102bがそれぞれ位置すべき位置として予め決められた第1基準位置Pr1a,Pr1b(図11,13参照:具体的には、図6に示すカメラ21aの初期位置Ps1を原点としたときの第1基準位置Pr1a,Pr1bのXY座標)を示す位置データDp1を記憶する。
【0026】
また、記憶部16は、回路基板100が規定保持状態のときに、フィデューシャルマーク103a,103bがそれぞれ位置すべき位置として予め決められた第2基準位置Pr2a,Pr2b(図12,14参照:具体的には、図6に示すカメラ21bの初期位置Ps2を原点としたときの第2基準位置Pr2a,Pr2bのXY座標)を示す位置データDp2を記憶する。この例では、図17に示すように、第1基準位置Pr1aと第2基準位置Pr2aとが同じ位置に規定され、図18に示すように、第1基準位置Pr1bと第2基準位置Pr2bとが同じ位置に規定されているものとする。つまり、良品の回路基板100では、図2,3に示すように、フィデューシャルマーク102aとフィデューシャルマーク103aとが互いに対向し、フィデューシャルマーク102bとフィデューシャルマーク103bとが互いに対向するように形成されているものとする。なお、以下の説明において、第1基準位置Pr1a,Pr1bを区別しないときには「第1基準位置Pr1」ともいい、第2基準位置Pr2a,Pr2bを区別しないときには「第2基準位置Pr2」ともいう。また、第1基準位置Pr1および第2基準位置Pr2を区別しないときには「基準位置Pr」ともいう。
【0027】
また、記憶部16は、制御部17によってそれぞれ測定される後述する測定位置Pm1a,Pm1a,Pm1b,Pm2a(以下、区別しないときには「測定位置Pm」ともいう)を記憶する。また、記憶部16は、制御部17によってそれぞれ算出される後述する第1離間距離L1ax,L1ay,L1bx,L1by,L1cx,L1cy(以下、区別しないときには「第1離間距離L1」ともいう)および第2離間距離L2ax,L2ay,L2bx,L2by,L2cx,L2cy(以下、区別しないときには「第2離間距離L2」ともいい、第1離間距離L1および第2離間距離L2を区別しないときには「離間距離L」ともいう)を記憶する。さらに、記憶部16は、制御部17によって特定される後述する位置ずれ量Grを記憶する。また、記憶部16は、制御部17によって実行される後述する判定処理において用いられる基準値Gsを記憶する。
【0028】
制御部17は、図外の操作部から出力される操作信号に従って回路基板検査装置1を構成する各構成要素を制御する。また、制御部17は、処理部として機能し、回路基板100における表面201のパターン形成領域201aと裏面202のパターン形成領域202aとの相対的な位置ずれ量Grを離間距離Lに基づいて特定する特定処理を実行する。また、制御部17は、判定部として機能し、特定処理によって特定した位置ずれ量Grと予め決められた基準値Gsとを比較して回路基板100の良否を判定する判定処理を実行する。具体的には、制御部17は、例えば、位置ずれ量Grが基準値Gs以下のとき(または未満のとき)には、回路基板100を「良」と判定し、位置ずれ量Grが基準値Gsを超えるとき(または以上のとき)には、回路基板100を「不良」と判定する。
【0029】
次に、回路基板検査装置1を用いて回路基板100を検査する方法について、添付図面を参照して説明する。
【0030】
まず、図6に示すように、検査対象の回路基板100を基板保持部11における保持板11aに載置し、次いで、基板保持部11のクランプ機構11bで回路基板100の端部を挟み込んで固定することにより、回路基板100を基板保持部11に保持させる。続いて、制御部17が、移動機構22a,22bを制御して、カメラ21aの初期位置Ps1とカメラ21bの初期位置Ps2とを一致させることにより、初期位置Ps1,Ps2間の位置ずれをキャンセルする。これにより、初期位置Ps1,Ps2間の位置ずれが後述する位置ずれ量Grに反映される事態が解消されて、位置ずれ量Grが正確に特定される。
【0031】
次いで、図外の操作部を用いて検査開始操作を行う。これに応じて、制御部17が、第1撮像部12aのカメラ21aを制御して撮像を開始させる。また、制御部17は、記憶部16から位置データDp1を読み出し、続いて、第1撮像部12aの移動機構22aを制御して、位置データDp1によって示されるフィデューシャルマーク102aの第1基準位置Pr1aに向けてカメラ21aを移動させる。次いで、制御部17は、第1撮像部12aの移動機構22aを制御して、カメラ21aによる撮像結果に基づき、図7に示すように、回路基板100の表面201に形成されているフィデューシャルマーク102aの中心とカメラ21aの中心とが一致する位置でカメラ21aの移動を停止させる。
【0032】
続いて、制御部17は、カメラ21aの初期位置Ps1(図7参照)からカメラ21aの中心とフィデューシャルマーク102aの中心とが一致した位置までのXY方向に沿った距離に基づき、フィデューシャルマーク102aの位置を測定して、その測定位置Pm1a(図11参照)を記憶部16に記憶させる。なお、図7〜図19では、回路基板100を表面201側から見た状態で図示すると共に、回路パターン101の図示を省略している。
【0033】
次いで、制御部17は、移動機構22aを制御して、位置データDp1によって示されるフィデューシャルマーク102bの第1基準位置Pr1bに向けてカメラ21aを移動させ、続いて、図8に示すように、フィデューシャルマーク102bの中心とカメラ21aの中心とが一致する位置でカメラ21aの移動を停止させる。次いで、制御部17は、カメラ21aの初期位置Ps1からカメラ21aの中心とフィデューシャルマーク102bの中心とが一致した位置までのXY方向に沿った距離に基づき、フィデューシャルマーク102bの位置を測定して、その測定位置Pm1bを記憶部16に記憶させる。
【0034】
続いて、制御部17は、記憶部16から位置データDp2を読み出し、次いで、第2撮像部12bの移動機構22bを制御して、位置データDp2によって示されるフィデューシャルマーク103aの第2基準位置Pr2aに向けてカメラ21bを移動させる。続いて、制御部17は、図9に示すように、フィデューシャルマーク103aの中心とカメラ21bの中心とが一致する位置でカメラ21bの移動を停止させる。次いで、制御部17は、カメラ21bの初期位置Ps2からカメラ21bの中心とフィデューシャルマーク103aの中心とが一致した位置までのXY方向に沿った距離に基づき、フィデューシャルマーク103aの位置を測定して、その測定位置Pm2aを記憶部16に記憶させる。
【0035】
続いて、制御部17は、移動機構22bを制御して、位置データDp2によって示されるフィデューシャルマーク103bの第2基準位置Pr2bに向けてカメラ21bを移動させ、次いで、図10に示すように、フィデューシャルマーク103bの中心とカメラ21bの中心とが一致する位置でカメラ21bの移動を停止させる。続いて、制御部17は、カメラ21bの初期位置Ps2からカメラ21bの中心とフィデューシャルマーク103bの中心とが一致した位置までのXY方向に沿った距離に基づき、フィデューシャルマーク103bの位置を測定して、その測定位置Pm2bを記憶部16に記憶させる。
【0036】
次いで、制御部17は、図11に示すように、第1基準位置Pr1aと測定位置Pm1aとの間のX方向に沿った第1離間距離L1axおよびY方向に沿った第1離間距離L1ayを算出して記憶部16に記憶させ、続いて、図12に示すように、第2基準位置Pr2aと測定位置Pm2aとの間のX方向に沿った第2離間距離L2axおよびY方向に沿った第2離間距離L2ayを算出して記憶部16に記憶させる。次いで、制御部17は、図13に示すように、第1基準位置Pr1bと測定位置Pm1bとの間のX方向に沿った第1離間距離L1bxおよびY方向に沿った第1離間距離L1byを算出して記憶部16に記憶させ、続いて、図14に示すように、第2基準位置Pr2bと測定位置Pm2bとの間のX方向に沿った第2離間距離L2bxおよびY方向に沿った第2離間距離L2byを算出して記憶部16に記憶させる。
【0037】
次いで、制御部17は、図15に示すように、第1基準位置Pr1a,Pr1bによって特定されるパターン形成領域201aの中心の基準の位置Pcs1と、測定位置Pm1a,Pm1bによって特定されるパターン形成領域201aの中心の実際の位置Pcm1との間の、X方向に沿った第1離間距離L1cxおよびY方向に沿った第1離間距離L1cyを算出して記憶部16に記憶させる。続いて、制御部17は、図16に示すように、第2基準位置Pr2a,Pr2bによって特定されるパターン形成領域202aの中心の基準の位置Pcs2と、測定位置Pm2a,Pm2bによって特定されるパターン形成領域202aの中心の実際の位置Pcm2との間の、X方向に沿った第2離間距離L2cxおよびY方向に沿った第2離間距離L2cyを算出して記憶部16に記憶させる。
【0038】
次いで、制御部17は、上記した離間距離Lに基づいてパターン形成領域201aとパターン形成領域202aとの相対的な位置ずれ量Grを特定する特定処理を実行する。なお、図11〜図19において、測定位置Pmが基準位置Prの右側に位置しているとき、および上側に位置しているときの離間距離Lをプラスの値とすると共に、測定位置Pmが基準位置Prの左側に位置しているとき、および下側に位置しているときの離間距離Lをマイナスの値として以下説明する。
【0039】
この特定処理では、制御部17は、まず、回路基板100における4つの角部100a〜100dのうちの、フィデューシャルマーク102a,103aが形成されている角部100a(図17における左上の角部)におけるパターン形成領域201a,202aのX方向に沿った位置ずれ量Gr(以下、この位置ずれ量Grを「位置ずれ量Gr1x」ともいう)を第1離間距離L1axおよび第2離間距離L2axに基づいて特定する。具体的には、制御部17は、第1離間距離L1axから第2離間距離L2axを差し引いた値(第1離間距離L1axと第2離間距離L2axとの差分値)の絶対値を位置ずれ量Gr1xとして特定する。この場合、この例では、同図に示すように、測定位置Pm1aが第1基準位置Pr1aの左側に位置しているため第1離間距離L1axがマイナスの値となり、測定位置Pm2aが第2基準位置Pr2aの右側に位置しているため、第2離間距離L2axがプラスの値となる。このため、第1離間距離L1axの絶対値と第2離間距離L2axの絶対値との合計値が位置ずれ量Gr1xとなる。
【0040】
続いて、制御部17は、角部100aにおけるパターン形成領域201a,202aのY方向に沿った位置ずれ量Gr(以下、この位置ずれ量Grを「位置ずれ量Gr1y」ともいう)を第1離間距離L1ayおよび第2離間距離L2ayに基づいて特定する。具体的には、制御部17は、第1離間距離L1ayから第2離間距離L2ayを差し引いた値(第1離間距離L1ayと第2離間距離L2ayとの差分値)の絶対値を位置ずれ量Gr1yとして特定する。この場合、この例では、図17に示すように、測定位置Pm1aが第1基準位置Pr1aの下側に位置しているため第1離間距離L1ayがマイナスの値となり、測定位置Pm2aが第2基準位置Pr2aの上側に位置しているため、第2離間距離L2ayがプラスの値となる。このため、第1離間距離L1ayの絶対値と第2離間距離L2ayの絶対値との合計値が位置ずれ量Gr1yとなる。
【0041】
次いで、制御部17は、回路基板100における各4つの角部100a〜100dのうちの、フィデューシャルマーク102b,103bが形成されている角部100b(図18における右下の角部)におけるパターン形成領域201a,202aのX方向に沿った位置ずれ量Gr(以下、この位置ずれ量Grを「位置ずれ量Gr2x」ともいう)を第1離間距離L1bxおよび第2離間距離L2bxに基づいて特定する。具体的には、第1離間距離L1bxから第2離間距離L2bxを差し引いた値(第1離間距離L1bxと第2離間距離L2bxとの差分値)の絶対値を位置ずれ量Gr2xとして特定する。続いて、制御部17は、角部100bにおけるパターン形成領域201a,202aのY方向に沿った位置ずれ量Gr(以下、この位置ずれ量Grを「位置ずれ量Gr2y」ともいう)を第1離間距離L1byおよび第2離間距離L2byに基づいて特定する。具体的には、制御部17は、第1離間距離L1byから第2離間距離L2byを差し引いた値(第1離間距離L1byと第2離間距離L2byとの差分値)の絶対値を位置ずれ量Gr2yとして特定する。
【0042】
次いで、制御部17は、回路基板100の中央部におけるパターン形成領域201a,202aのX方向に沿った位置ずれ量Gr(以下、この位置ずれ量Grを「位置ずれ量Gr3x」ともいう)を第1離間距離L1cxおよび第2離間距離L2cxに基づいて特定する。具体的には、第1離間距離L1cxから第2離間距離L2cxを差し引いた値を位置ずれ量Gr3xとして特定する。続いて、制御部17は、回路基板100の中央部におけるパターン形成領域201a,202aのY方向に沿った位置ずれ量Gr(以下、この位置ずれ量Grを「位置ずれ量Gr3y」ともいう)を第1離間距離L1cyおよび第2離間距離L2cyに基づいて特定する。具体的には、制御部17は、第1離間距離L1cyから第2離間距離L2cyを差し引いた値の絶対値を位置ずれ量Gr3yとして特定する。
【0043】
以上により、パターン形成領域201a,202aの相対的な位置ずれ量Grを特定する特定処理が終了する。次いで、制御部17は、回路基板100の良否を判定する判定処理を実行する。この判定処理では、制御部17は、記憶部16から基準値Gsを読み出す。続いて、制御部17は、上記の特定処理で特定した位置ずれ量Grと基準値Gsとを比較する。この場合、制御部17は、例えば、各位置ずれ量Gr1x,Gr1y,Gr2x,Gr2y,Gr3x,Gr3yの1つ以上が基準値Gs以上のときには、回路基板100が不良であると判定し、その旨を表示部15に表示させて検査を終了する。
【0044】
ここで、例えば、1つのフィデューシャルマーク102の第1離間距離L1と1つのフィデューシャルマーク103の第2離間距離L2とに基づいて特定した1つの位置ずれ量Grだけを特定する構成および方法では、フィデューシャルマーク102,103の形成箇所以外の他の箇所において位置ずれ量Grが大きかったとしても、フィデューシャルマーク102,103の形成箇所における位置ずれ量Grが小さいときには、その回路基板100が良好と判定されるおそれがある。これに対して、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、上記したように、複数のフィデューシャルマーク102についての複数の第1離間距離L1と複数のフィデューシャルマーク103についての複数の第2離間距離L2とに基づいて複数の箇所における位置ずれ量Grを特定し、1つ以上の位置ずれ量Grが基準値Gs以上のときに回路基板100が不良であると判定している。このため、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、位置ずれ量Grの大きさが箇所によって異なる場合においても、いずれかの箇所における位置ずれ量Grが基準値Gs以上のときには、回路基板100が不良であるとの判定を確実に行うことが可能となっている。
【0045】
一方、各位置ずれ量Gr1x,Gr1y,Gr2x,Gr2y,Gr3x,Gr3yのいずれもが基準値Gs未満のときには、制御部17は、回路基板100を良好と判定し、次いで、電気的検査を実行させる。具体的には、制御部17は、各プロービング機構13の移動機構32を制御してフィクスチャ31を移動させ各検査用プローブ41を各回路パターン101にプロービングさせる。この際に、各移動機構32は、制御部17の制御に従い、上記した第1離間距離L1(各撮像部12による撮像結果)に基づいてプロービング位置を補正しつつ各検査用プローブ41をプロービングさせる。
【0046】
続いて、検査部14が制御部17の制御に従い、フィクスチャ31a,31bの各検査用プローブ41を介して入出力する電気信号Sに基いて回路基板100に対する電気的検査を実行する。次いで、制御部17は、検査部14による電気的検査の結果を表示部15に表示させる。
【0047】
このように、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、フィデューシャルマーク102,103の撮像結果に基づいてフィデューシャルマーク102,103の測定位置Pmを測定し、表面201におけるパターン形成領域201aと裏面202におけるパターン形成領域202aとの相対的な位置ずれ量Grを各測定位置Pmに基づいて特定し、特定した位置ずれ量が予め決められた基準値以上のときに回路基板を不良と判定する。このため、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法によれば、このような機能を備えていない従来の回路基板検査装置とは異なり、3次元測定装置などの回路基板検査装置1とは別の装置を用いてフィデューシャルマーク102,103の位置を測定し、その測定結果に基づいて両面201,202の回路パターン101の相対的な位置ずれ量Grを特定する作業(工程・検査)を省略することができる結果、検査効率を十分に向上させることができる。
【0048】
また、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、複数のフィデューシャルマーク102についての複数の第1離間距離L1と複数のフィデューシャルマーク103についての複数の第2離間距離L2とに基づいて複数の箇所における位置ずれ量Grを特定する。このため、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、例えば、複数の箇所における各位置ずれ量Grの1つ以上が基準値Gs以上のときに回路基板100が不良であると判定することで、位置ずれ量Grの大きさが箇所によって異なる場合においても、いずれかの箇所における位置ずれ量Grが基準値Gs以上のときには、回路基板100が不良であるとの判定を確実に行うことができる。
【0049】
また、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、第1基準位置Pr1と測定位置Pm1との間の第1離間距離L1を算出すると共に、第2基準位置Pr2と測定位置Pm2との間の第2離間距離L2を算出し、第1離間距離L1と第2離間距離L2との差分値を位置ずれ量Grとして特定する。具体的には、例えば、第1離間距離L1axから第2離間距離L2axを差し引いた値の絶対値を位置ずれ量Gr1xとして特定する。そして、特定した量Gr1xが基準値Gs以上のときには、回路基板100を不良と判定する。この場合、検査用プローブ41をプロービングさせて回路基板100に対する電気的検査を実行する際のプロービング位置の補正は、一般的に、このようにして算出した第1離間距離L1および第2離間距離L2が用いられる。つまり、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、プロービング位置の補正に用いる第1離間距離L1および第2離間距離L2を位置ずれ量Grの特定にも用いている。このため、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法によれば、プロービング位置の補正に用いる第1離間距離L1および第2離間距離L2とは別に位置ずれ量Grの特定に用いる値を算出する構成および方法と比較して処理を十分に簡略化することができる。
【0050】
また、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、第1基準パターンおよび第2基準パターンとして指定されているフィデューシャルマーク102,103の撮像結果に基づいて位置ずれ量Grを特定する。この場合、フィデューシャルマーク102,103は、パターン形成領域201a,202a内における位置が回路基板100の製造時点で予め決められている。このため、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法によれば、表面201および裏面202に形成されている回路パターン101の中から第1基準パターンおよび第2基準パターンとして用いる回路パターン101を指定する構成および方法とは異なり、例えば、良品の回路基板100における指定した回路パターン101の基準位置Prを測定する工程を省略することができる結果、検査効率をさらに向上させることができる。
【0051】
なお、回路基板検査装置1および回路基板検査方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、表面201における2つのフィデューシャルマーク102a,102bの撮像結果と、裏面202における2つのフィデューシャルマーク103a,103bの撮像結果とに基づいてパターン形成領域201aとパターン形成領域202aとの間の相対的な位置ずれ量Grを特定する例について上記したが、表面201における1つのフィデューシャルマークの撮像結果と、裏面202における1つのフィデューシャルマークの撮像結果とに基づいて位置ずれ量Grを特定する構成および方法や、表面201における3つ以上のフィデューシャルマークの撮像結果と、裏面202における3つ以上のフィデューシャルマークの撮像結果とに基づいて位置ずれ量Grを特定する構成および方法を採用することもできる。
【0052】
また、回路基板100の中央部(つまり、第1基準パターンとしてのフィデューシャルマーク102の形成箇所、および第2基準パターンとしてのフィデューシャルマーク103の形成箇所以外の箇所)におけるパターン形成領域201a,202aの位置ずれ量Grを特定する構成および方法について上記したが、フィデューシャルマーク102,103の形成箇所における位置ずれ量Grだけを特定する構成および方法を採用することもできる。
【0053】
また、基準位置Prと測定位置Pmとの間の離間距離Lを算出し、離間距離Lに基づいて位置ずれ量Grを特定する構成および方法について上記したが、良品の回路基板100におけるフィデューシャルマーク102,103間の離間距離が予め規定されている(既知である)場合において、各フィデューシャルマーク102,103の測定位置Pmから検査対象の回路基板100におけるフィデューシャルマーク102,103間の実際の離間距離を求め、予め規定された離間距離と実際の離間距離との差分値を位置ずれ量Grとして特定する構成および方法を採用することもできる。この場合、上記した回路基板100のように、2つ(複数)のフィデューシャルマーク102a,102b、および2つ(複数)のフィデューシャルマーク103a,103bが形成されているときには、フィデューシャルマーク102a,103a間の予め規定された離間距離と実際の離間距離との差分値を位置ずれ量Grとして特定すると共に、フィデューシャルマーク102b,103b間の予め規定された離間距離と実際の離間距離との差分値を位置ずれ量Grとして特定する(つまり、複数の箇所についてこの処理を行う)こともできる。
【0054】
また、第1基準位置Pr1a,Pr2aが同じ位置に規定され、第2基準位置Pr1b,Pr2bが同じ位置に規定されている例について上記したが、第1基準位置Pr1a,Pr2aが互いに異なる位置に規定されたり、第2基準位置Pr1b,Pr2bが互いに異なる位置に規定されている回路基板100(一例として、図20に示す回路基板300)に対しても、上記と同様にして検査を行うことができる。
【0055】
さらに、フィデューシャルマーク102a,102bが第1基準パターンとして指定され、フィデューシャルマーク103a,103bが第2基準パターンとして指定されている例について上記したが、表面201に形成されている回路パターン101のうちの1つ以上が第1基準パターンとして規定されていたり、裏面202に形成されている回路パターン101のうちの1つ以上が第2基準パターンとして規定されている回路基板100に対しても、上記した回路基板検査装置1および回路基板検査方法によって検査を行うことができ、この場合においても、上記した各効果を実現することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 回路基板検査装置
11 基板保持部
12a 第1撮像部
12b 第2撮像部
13a 第1プロービング機構
13b 第2プロービング機構
14 検査部
17 制御部
41 検査用プローブ
100,300 回路基板
101 回路パターン
102a,102b フィデューシャルマーク
103a,103b フィデューシャルマーク
201 表面
201a パターン形成領域
202 裏面
202a パターン形成領域
Gr 位置ずれ量
Gs 基準値
L1ax,L1ay,L1bx,L1by,L1cx,L1cy 第1離間距離
L2ax,L2ay,L2bx,L2by,L2cx,L2cy 第2離間距離
Pm1a,Pm1b,Pm2a,Pm2b 測定位置
Pr1a,Pr1b 第1基準位置
Pr2a,Pr2b 第2基準位置
S 電気信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を保持する基板保持部と、当該基板保持部によって保持されている前記回路基板の一方の面に形成されている各パターンのうちの予め指定された第1基準パターンを撮像する第1撮像部と、当該回路基板の他方の面に形成されている各パターンのうちの予め指定された第2基準パターンを撮像する第2撮像部と、前記第1撮像部による撮像結果に基づいてプロービング位置を補正しつつ前記一方の面に形成されている各パターンに対して検査用プローブをプロービングさせる第1プロービング機構と、前記第2撮像部による撮像結果に基づいてプロービング位置を補正しつつ前記他方の面に形成されている各パターンに対して検査用プローブをプロービングさせる第2プロービング機構と、前記各検査用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて当該回路基板に対する電気的検査を実行する検査部とを備えた回路基板検査装置であって、
前記一方の面における前記パターンの形成領域と前記他方の面における前記パターンの形成領域との相対的な位置ずれ量を特定する処理を実行する処理部と、当該特定された位置ずれ量と予め決められた基準値とを比較して前記回路基板の良否を判定する判定部とを備え、
前記処理部は、前記第1撮像部による前記撮像結果に基づいて前記第1基準パターンの位置を測定すると共に前記第2撮像部による前記撮像結果に基づいて前記第2基準パターンの位置を測定し、当該測定した第1基準パターンの測定位置と第2基準パターンの測定位置とに基づいて前記位置ずれ量を特定する回路基板検査装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記第1基準パターンおよび前記第2基準パターンがそれぞれ複数指定されているときに、前記各第1基準パターンの前記測定位置と前記各第2基準パターンの前記測定位置とに基づいて複数の箇所における前記位置ずれ量を特定する請求項1記載の回路基板検査装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記回路基板が前記基板保持部によって予め規定された位置に保持されている規定保持状態のときに前記第1基準パターンが位置すべき位置として予め決められた第1基準位置と前記第1基準パターンの前記測定位置との間の第1離間距離を算出すると共に、前記回路基板が前記規定保持状態のときに前記第2基準パターンが位置すべき位置として予め決められた第2基準位置と前記第2基準パターンの前記測定位置との間の第2離間距離を算出し、前記第1離間距離と前記第2離間距離との差分値を前記位置ずれ量として特定する請求項1または2記載の回路基板検査装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記回路基板に形成されているフィデューシャルマークが前記第1基準パターンおよび前記第2基準パターンの少なくとも一方として指定されているときに、前記フィデューシャルマークの前記撮像結果に基づいて前記位置ずれ量を特定する請求項1から3のいずれかに記載の回路基板検査装置。
【請求項5】
基板保持部によって保持されている回路基板の一方の面に形成されている各パターンのうちの予め指定された第1基準パターンを撮像し、当該回路基板の他方の面に形成されている各パターンのうちの予め指定された第2基準パターンを撮像し、前記第1基準パターンの撮像結果に基づいてプロービング位置を補正しつつ前記一方の面に形成されている各パターンに対して検査用プローブをプロービングさせ、前記第2基準パターンの撮像結果に基づいてプロービング位置を補正しつつ前記他方の面に形成されている各パターンに対して検査用プローブをプロービングさせ、前記各検査用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて当該回路基板に対する電気的検査を実行する回路基板検査方法であって、
前記第1基準パターンの撮像結果に基づいて前記第1基準パターンの位置を測定すると共に、前記第2基準パターンの撮像結果に基づいて前記第2基準パターンの位置を測定し、前記一方の面における前記パターンの形成領域と前記他方の面における前記パターンの形成領域との相対的な位置ずれ量を前記測定した第1基準パターンの測定位置と第2基準パターンの測定位置とに基づいて特定し、当該特定した位置ずれ量と予め決められた基準値とを比較して前記回路基板の良否を判定する回路基板検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−225710(P2012−225710A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92098(P2011−92098)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】