説明

回路基板検査装置および回路基板検査方法

【課題】コンタクトチェックに要する時間を短縮する。
【解決手段】処理部10は、検査対象体21〜25の電極21a,・・,25aとこれに接触させられている端子対31,・・,39との間の接触状態を検査する際に、電圧検出用ライン4a,4bを電圧検出部6から切り離す共に電流供給用ライン3a,3bに電圧検出部6を接続し、電圧検出用ライン4a,4bおよび中継ライン7を介して端子対31,・・,39を直列接続し、端子対31,・・,39の一端に配置されている電流供給端子Hcを電流供給用ライン3aに、他端に配置されている電圧検出端子Hpを電流供給用ライン3bに接続させ、直列接続された各端子対31,・・,39に検査電流Iを供給したときの電流供給用ライン3a,3b間の測定電圧と検査電流Iとに基づいて、直列接続された端子対31,・・,39と対応する電極21a,・・,25aとの間の接触状態を検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四端子法によって測定されるインピーダンスに基づいて検査対象体の検査を行う回路基板検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の回路基板検査装置では、四端子法によって検査対象体のインピーダンスを測定するために、検査対象体の各電極には、1本の電流供給端子および1本の電圧検出端子の端子対がそれぞれ接触させられる。また、この回路基板検査装置では、測定の信頼性を維持するため、下記特許文献1に開示されているように、端子対と電極との接触状態を検査するコンタクトチェックが行われている。このコンタクトチェックでは、1つの電極に接触させられる端子対(1本の電流供給端子および1本の電圧検出端子)間に定電流を供給した状態において、1本の電流供給端子および1本の電圧検出端子間に発生する電圧(つまり、1本の電流供給端子および電極間の接触抵抗と、1本の電圧検出端子および電極間の接触抵抗とにこの定電流が流れることによって発生する電圧)を検出し、検出した電圧を基準電圧と比較することにより、接触状態を検査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−111593号公報(第3−4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の回路基板検査装置には、以下の解決すべき課題が存在している。すなわち、この回路基板検査装置では、上記したコンタクトチェックが一般的に行われているが、通常、1つの検査対象体には2つ以上の電極が存在しているため、1つの検査対象体についてコンタクトチェックを複数回(電極の数だけ)実行する必要がある。このため、この回路基板検査装置には、多くの検査対象体を実装している回路基板を検査する際にはコンタクトチェックに長い時間を必要とするという解決すべき課題が存在している。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、コンタクトチェックに要する時間を短縮し得る回路基板検査装置および回路基板検査方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の回路基板検査装置は、複数の検査対象体の各電極に接触させられる電流供給端子および電圧検出端子の端子対が複数配設された端子部と、一対の電流供給用ライン間に検査電流を供給する電流供給部と、一対の電圧検出用ライン間に発生する測定電圧を検出する電圧検出部と、前記一対の電流供給用ラインと前記一対の電圧検出用ラインとの一方のラインを前記電圧検出部に選択的に接続する接続切替部と、前記電流供給用ラインおよび前記電圧検出用ラインの各ラインと前記各端子対との間の接断を行う接断部と、前記接続切替部を制御して、前記電圧検出部を前記一対の電圧検出用ラインに接続し、かつ前記接断部を制御して、1つの前記検査対象体の前記各電極に接触させられている前記各端子対の2つの前記電流供給端子を前記一対の電流供給用ラインに一対一で接続すると共に、当該各端子対の2つの前記電圧検出端子を前記一対の電圧検出用ラインに一対一で接続し、当該一対の電流供給用ラインを介して前記1つの検査対象体に流れる前記検査電流、および当該一対の電圧検出用ラインを介して前記測定電圧として検出される当該1つの検査対象体の当該各電極間に発生する電圧に基づいて、当該1つの検査対象体のインピーダンスを四端子法で測定する測定処理を実行する処理部とを備えている回路基板検査装置であって、前記処理部は、前記複数の検査対象体の前記各電極のうちの一方の電極と当該一方の電極に接触させられている前記端子対との間の接触状態を検査するコンタクトチェック処理の際に、前記接続切替部を制御して、前記一対の電圧検出用ラインを前記電圧検出部から切り離す共に前記一対の電流供給用ラインに当該電圧検出部を接続し、かつ前記接断部を制御して、前記切り離された各電圧検出用ラインを介して前記各端子対を直列接続すると共に、当該直列接続された当該各端子対の一端に配置されている前記電流供給端子および前記電圧検出端子のうちの一方を前記一対の電流供給用ラインのうちの一方に接続させ、かつ当該各端子対の他端に配置されている前記電流供給端子および前記電圧検出端子のうちの一方を当該一対の電流供給用ラインのうちの他方に接続させ、その状態において、前記直列接続された前記各端子対に前記検査電流を供給したときの前記電流供給用ライン間の前記測定電圧と当該検査電流とに基づいて、当該直列接続された当該各端子対と対応する前記各電極との間の接触状態を検査する。
【0007】
また、請求項2記載の回路基板検査装置は、請求項1記載の回路基板検査装置において、1または2以上の中継ラインを備え、前記処理部は、前記接断部を制御して、前記各電圧検出用ラインおよび前記中継ラインを介して前記各端子対を直列接続する。
【0008】
また、請求項3記載の回路基板検査装置は、複数の検査対象体の各電極に接触させられる電流供給端子および電圧検出端子の端子対が複数配設された端子部と、一対の電流供給用ライン間に検査電流を供給する電流供給部と、一対の電圧検出用ライン間に発生する測定電圧を検出する電圧検出部と、1または2以上の中継ラインと、前記電流供給用ライン、前記電圧検出用ラインおよび前記中継ラインの各ラインと前記各端子対との間の接断を行う接断部と、前記接断部を制御して、1つの前記検査対象体の前記各電極に接触させられている前記各端子対の2つの前記電流供給端子を前記一対の電流供給用ラインに一対一で接続すると共に、当該各端子対の2つの前記電圧検出端子を前記一対の電圧検出用ラインに一対一で接続し、当該一対の電流供給用ラインを介して前記1つの検査対象体に流れる前記検査電流、および当該一対の電圧検出用ラインを介して前記測定電圧として検出される当該1つの検査対象体の当該各電極間に発生する電圧に基づいて、当該1つの検査対象体のインピーダンスを四端子法で測定する測定処理を実行する処理部とを備えている回路基板検査装置であって、前記処理部は、前記複数の検査対象体の前記各電極のうちの一方の電極と当該一方の電極に接触させられている前記端子対との間の接触状態を検査するコンタクトチェック処理の際に、前記接断部を制御して、前記中継ラインを介して前記各端子対を直列接続すると共に、当該直列接続された当該各端子対の一端に配置されている前記電流供給端子および前記電圧検出端子のうちの一方を前記一対の電流供給用ラインのうちの一方と前記一対の電圧検出用ラインのうちの一方とに接続させ、かつ当該各端子対の他端に配置されている前記電流供給端子および前記電圧検出端子のうちの一方を当該一対の電流供給用ラインのうちの他方と当該一対の電圧検出用ラインのうちの他方とに接続させ、その状態において、前記直列接続された前記各端子対に前記検査電流を供給したときの前記電圧検出用ライン間の前記測定電圧と当該検査電流とに基づいて、当該直列接続された当該各端子対と対応する前記各電極との間の接触状態を検査する。
【0009】
また、請求項4の回路基板検査装置は、請求項1から3のいずれかに記載の回路基板検査装置において、前記処理部は、前記直列接続された前記各端子対と対応する前記各電極との間の接触状態を検査した結果、接触不良であると判別したときには、前記検査電流の電流値を増加させて前記直列接続された前記各端子対と対応する前記各電極との間の接触状態を再検査する。
【0010】
また、請求項5記載の回路基板検査方法は、複数の検査対象体の各電極に電流供給端子および電圧検出端子からなる端子対をそれぞれ接触させ、電流供給部から一対の電流供給用ラインを介して当該各電流供給端子間に検査電流を供給した状態において当該各電圧検出端子間に発生する電圧を一対の電圧検出用ラインを介して電圧検出部で測定し、当該測定された電圧と当該検査電流とに基づいて前記検査対象体のインピーダンスを四端子法により測定し、当該測定したインピーダンスに基づいて当該検査対象体を検査する回路基板検査方法であって、前記一対の電圧検出用ラインを前記電圧検出部から切り離すと共に前記一対の電流供給用ラインに当該電圧検出部を接続し、前記切り離された各電圧検出用ラインを介して前記各端子対を直列接続し、当該直列接続された当該各端子対に前記各電流供給用ラインを介して前記電流供給部から検査電流を供給し、当該検査電流の供給に起因して前記直列接続された前記各端子対全体に発生する電圧を前記各電流供給用ラインを介して前記電圧検出部で測定し、当該測定された電圧と当該検査電流とに基づいて、当該直列接続された当該各端子対と対応する前記各電極との間の接触状態を検査するコンタクトチェック処理を実行する。
【0011】
また、請求項6記載の回路基板検査方法は、複数の検査対象体の各電極に電流供給端子および電圧検出端子からなる端子対をそれぞれ接触させ、電流供給部から当該各電流供給端子間に検査電流を供給した状態において当該各電圧検出端子間に発生する電圧を電圧検出部で測定し、当該測定された電圧と当該検査電流とに基づいて前記検査対象体のインピーダンスを四端子法により測定し、当該測定したインピーダンスに基づいて当該検査対象体を検査する回路基板検査方法であって、前記各端子対を中継ラインを介して直列接続すると共に、当該直列接続された当該各端子対に検査電流を供給し、前記検査電流の供給に起因して前記直列接続された前記各端子対全体に発生する電圧と当該検査電流とに基づいて、当該直列接続された当該各端子対と対応する前記各電極との間の接触状態を検査するコンタクトチェック処理を実行する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の回路基板検査装置および請求項5記載の回路基板検査方法によれば、各端子対と、対応する各検査対象体の各電極との間の接触状態を検査するコンタクトチェック処理の際に、電圧検出部から切り離した電圧検出用ラインを使用して、対応する各電極に接触させられた状態の各端子対のうちの複数の端子対を直列接続し、この直列接続された複数の端子対に検査電流を供給し、この状態において直列接続された複数の端子対の両端に発生する電圧を測定し、測定した電圧と検査電流とに基づいて、直列接続された複数の端子対と対応する電極との間の接触状態を1回で検査することにより、接触状態の検査(コンタクトチェック)に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0013】
また、請求項2記載の回路基板検査装置によれば、1または2以上の中継ラインを備え、各電圧検出用ラインおよびこの中継ラインを介して各端子対を直列接続するようにしたことにより、多くの端子対を複数直列に接続することができるため、対応する電極との間の接触状態を1回で検査し得る端子対の数を増加させることができる。
【0014】
請求項3記載の回路基板検査装置および請求項6記載の回路基板検査方法によれば、各端子対と、対応する各検査対象体の各電極との間の接触状態を検査するコンタクトチェック処理の際に、中継ラインを使用して、対応する各電極に接触させられた状態の各端子対のうちの複数の端子対を直列接続し、この直列接続された複数の端子対に検査電流を供給し、この状態において直列接続された複数の端子対の両端に発生する電圧を測定し、測定した電圧と検査電流とに基づいて、直列接続された複数の端子対と対応する電極との間の接触状態を1回で検査することにより、接触状態の検査(コンタクトチェック)に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0015】
また、請求項4記載の回路基板検査装置によれば、直列接続された各端子対と、対応する電極との間の接触状態を検査した結果、接触不良であると判別したときには、検査電流の電流値が増加させられるため、接触不良であった端子対と対応する電極との接触状態を改善した状態で、再検査(再度のコンタクトチェック)をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】検査装置1の構成を示す構成図であると共に、検査装置1でのコンタクトチェック処理を説明するための説明図である。
【図2】検査装置1でのコンタクトチェック処理を説明するための他の説明図である。
【図3】検査装置1での測定処理を説明するための説明図である。
【図4】検査装置1Aの構成を示す構成図であると共に、検査装置1Aでのコンタクトチェック処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、回路基板検査装置および回路基板検査方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0018】
最初に、回路基板検査装置1の構成について、図面を参照して説明する。
【0019】
回路基板検査装置1(以下、単に「検査装置1」ともいう)は、図1に示すように、端子部2、一対の電流供給用ライン3a,3b(以下、特に区別しないときには「電流供給用ライン3」ともいう)、一対の電圧検出用ライン4a,4b(以下、特に区別しないときには「電圧検出用ライン4」ともいう)、電流供給部5、電圧検出部6、中継ライン7a,7b(以下、特に区別しないときには「中継ライン7」ともいう)、接続切替部8、接断部9、処理部10および出力部11を備え、回路基板(図示せず)に実装された電子部品、またはこの回路基板に形成された配線パターンなどの複数の検査対象体(本例では、一例として、5つの検査対象体21,22,23,24,25)のインピーダンスを測定し、測定したインピーダンスに基づいて各検査対象体21〜25を検査することにより、回路基板全体を検査可能に構成されている。なお、本例では、検査対象体21〜25のインピーダンスとして、検査対象体21〜25の純抵抗Rを測定する場合について説明する。
【0020】
端子部2は、図1に示すように、各検査対象体21,22,23,24,25の各電極21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24b,25a,25bに接触させられる端子対(1本の電流供給端子および1本の電圧検出端子で構成される端子対)31,32,33,34,35,36,37,38,39,40が複数配設されて構成されている。
【0021】
この場合、一例として、端子対31は、検査対象体21に検査電流Iを供給するための一対の電流供給端子Hc,Lcのうちの高電位側の電流供給端子Hcと、検査対象体21の電極21a,21b間に発生する電圧を検出するための一対の電圧検出端子Hp,Lpのうちの高電位側の電圧検出端子Hpとで構成されている。また、端子対32は、低電位側の電流供給端子Lcと、低電位側の電圧検出端子Lpとで構成されている。
【0022】
端子対33は、検査対象体22に検査電流Iを供給するための一対の電流供給端子Hc,Lcのうちの高電位側の電流供給端子Hcと、検査対象体22の電極22a,22b間に発生する電圧を検出するための一対の電圧検出端子Hp,Lpのうちの高電位側の電圧検出端子Hpとで構成されている。また、端子対34は、低電位側の電流供給端子Lcと、低電位側の電圧検出端子Lpとで構成されている。
【0023】
端子対35は、検査対象体23に検査電流Iを供給するための一対の電流供給端子Hc,Lcのうちの高電位側の電流供給端子Hcと、検査対象体23の電極23a,23b間に発生する電圧を検出するための一対の電圧検出端子Hp,Lpのうちの高電位側の電圧検出端子Hpとで構成されている。また、端子対36は、低電位側の電流供給端子Lcと、低電位側の電圧検出端子Lpとで構成されている。
【0024】
端子対37は、検査対象体24に検査電流Iを供給するための一対の電流供給端子Hc,Lcのうちの高電位側の電流供給端子Hcと、検査対象体24の電極24a,24b間に発生する電圧を検出するための一対の電圧検出端子Hp,Lpのうちの高電位側の電圧検出端子Hpとで構成されている。また、端子対38は、低電位側の電流供給端子Lcと、低電位側の電圧検出端子Lpとで構成されている。
【0025】
端子対39は、検査対象体25に検査電流Iを供給するための一対の電流供給端子Hc,Lcのうちの高電位側の電流供給端子Hcと、検査対象体25の電極25a,25b間に発生する電圧を検出するための一対の電圧検出端子Hp,Lpのうちの高電位側の電圧検出端子Hpとで構成されている。また、端子対40は、低電位側の電流供給端子Lcと、低電位側の電圧検出端子Lpとで構成されている。
【0026】
電流供給部5は、本例では、一例として、図1に示すように、電流源5aおよび電流検出器5bで構成されている。電流源5aは、本例では、一例として、処理部10によって制御されることにより、出力電流を変更可能に構成されている。また、電流源5aは、検査装置1の内部グランドGと一方の電流供給用ライン3aとの間に配設されて、電流供給用ライン3aに検査電流(一例として直流電流)Iを供給する。電流検出器5bは、他方の電流供給用ライン3bと内部グランドGとの間に配設されている。また、電流検出器5bは、一例として電流計で構成されて、電流供給用ライン3bを経由して内部グランドGに流れ込む検査電流Iの電流値を検出し、この電流値を示す電流データDiを処理部10に出力する。
【0027】
電圧検出部6は、接続切替部8を介して、一対の電流供給用ライン3および一対の電圧検出用ライン4のうちの一方と選択的に接続可能に構成されている。本例では、一例として、電圧検出部6は、一対の入力端子(図示せず)のうちの一方の入力端子が接続切替部8の後述する切替スイッチ8aを介して、電流供給用ライン3aおよび電圧検出用ライン4aのうちのいずれか一方に選択的に接続可能に構成され、他方の入力端子が接続切替部8の後述する切替スイッチ8bを介して、電流供給用ライン3bおよび電圧検出用ライン4bのうちのいずれか一方に選択的に接続可能に構成されている。また、電圧検出部6は、一例として電圧計で構成されて、一対の入力端子間に発生する測定電圧を検出(測定)して、その電圧値を示す電圧データDvを処理部10に出力する。
【0028】
中継ライン7は、本例では、一例として、上記したように、2本の中継ライン7a,7bで構成されている。接続切替部8は、本例では、一例として、2つの切替スイッチ8a,8bを備えて構成されている。また、接続切替部8は、各切替スイッチ8a,8bの接続状態(切替状態)が処理部10によって制御される。
【0029】
接断部9は、一例として、複数のオン・オフスイッチ(接・断スイッチ)で構成されて、一対の電流供給端子Hc,Lcおよび一対の電圧検出端子Hp,Lpと、電流供給用ライン3a,3b、電圧検出用ライン4a,4bおよび中継ライン7a,7bとの間の接断を可能に構成されている。また、接断部9は、各オン・オフスイッチのオン・オフ状態(接断状態)が処理部10によって制御される。
【0030】
処理部10は、一例として、CPUとメモリ(いずれも図示せず)を備え、電流供給部5、接続切替部8および接断部9に対する制御を実行する。また、処理部10は、各検査対象体21〜25の各電極21a,21b,・・・,25a,25bと、対応する端子対31〜40との間の接触状態を検査するコンタクトチェック処理を実行すると共に、各検査対象体21〜25のインピーダンス(本例では純抵抗R)を測定する測定処理と、測定処理によって得られた測定結果に基づいて各検査対象体21〜25を検査する検査処理とを実行する。
【0031】
出力部11は、一例として、液晶ディスプレイなどの表示装置で構成されて、コンタクトチェック処理の結果、および検査処理の結果を画面に表示する。なお、表示装置に代えて、外部装置(外部記憶媒体などの外部記憶装置を含む)とのインターフェース回路で出力部11を構成して、コンタクトチェック処理の結果、および検査処理の結果をこの外部装置に出力することもできる。
【0032】
次に、検査装置1の動作を説明すると共に、併せて回路基板検査方法(コンタクトチェック方法を含む)について説明する。なお、端子部2は、各電流供給端子Hc,Lcおよび各電圧検出端子Hp,Lpが対応する電極21a,21b,・・・,25a,25bと接触し得る位置に配置されているものとする。
【0033】
この状態において、検査装置1では、処理部10が、最初に、コンタクトチェック処理を実行する。このコンタクトチェック処理では、処理部10は、まず、接続切替部8に対する制御を実行することにより、各切替スイッチ8a,8bの接続状態を、電圧検出部6の一方の入力端子が切替スイッチ8aを介して電流供給用ライン3aに接続され、電圧検出部6の他方の入力端子が切替スイッチ8bを介して電流供給用ライン3bに接続される状態に移行させる。これにより、各電圧検出用ライン4a,4bは、電圧検出部6から切り離された状態となる。
【0034】
次いで、処理部10は、各端子対31〜40のうちの端子対31,33,35,37,39と、この端子対に対応する各電極21a,22a,23a,24a,25aとの間のコンタクトチェックを実行する。
【0035】
このコンタクトチェックに際して、処理部10は、接断部9に対する制御を実行することにより、図1に示すように、端子対31を構成する電流供給端子Hcが電流供給用ライン3aに接続され、かつ端子対31を構成する電圧検出端子Hpが電圧検出用ライン4aに接続される状態に移行させる。また、処理部10は、端子対33を構成する電流供給端子Hcが電圧検出用ライン4aに接続され、かつ端子対33を構成する電圧検出端子Hpが電圧検出用ライン4bに接続される状態に移行させる。
【0036】
また、処理部10は、端子対35を構成する電流供給端子Hcが電圧検出用ライン4bに接続され、かつ端子対35を構成する電圧検出端子Hpが中継ライン7aに接続される状態に移行させる。また、処理部10は、端子対37を構成する電流供給端子Hcが中継ライン7aに接続され、かつ端子対37を構成する電圧検出端子Hpが中継ライン7bに接続される状態に移行させる。また、処理部10は、端子対39を構成する電流供給端子Hcが中継ライン7bに接続され、かつ端子対39を構成する電圧検出端子Hpが電流供給用ライン3bに接続される状態に移行させる。図1中の●は、この位置で交差する各ライン(電流供給用ライン3、電圧検出用ライン4および中継ライン7)と各端子(電流供給端子Hc,Lcおよび電圧検出端子Hp,Lp)とが接続状態にあることを示している。後述する図2,3,4においても同様である。
【0037】
この処理部10による接断部9に対する制御により、図1に示すように、検査対象体21,22,23,24,25の各電極21a,22a,23a,24a,25aに接触させられる各端子対31,33,35,37,39(端子対を構成する電流供給端子Hcおよび電圧検出端子Hp)が、各電極21a,22a,23a,24a,25a、電圧検出用ライン4a、電圧検出用ライン4b、および中継ライン7a,7bを介して直列接続された状態に移行させられる。
【0038】
なお、図1では、一例として、端子対31の電圧検出端子Hpを次の端子対33の電流供給端子Hcに接続し、この端子対33の電圧検出端子Hpを次の端子対35の電流供給端子Hcに接続するようにして、各端子対31,33,35,37,39を直列に接続しているが、図示はしないが、端子対31の電流供給端子Hcを次の端子対33の電圧検出端子Hpに接続し、この端子対33の電流供給端子Hcを次の端子対35の電圧検出端子Hpに接続するようにして、各端子対31,33,35,37,39を直列に接続する構成を採用することもできる。さらには、図示はしないが、端子対31の電流供給端子Hcを次の端子対33の電流供給端子Hcに接続し、この端子対33の電圧検出端子Hpを次の端子対35の電圧検出端子Hpに接続し、この端子対35の電流供給端子Hcを次の端子対37の電流供給端子Hcに接続するようにして、各端子対31,33,35,37,39を直列に接続する構成を採用することもできる。図2に示す各端子対32,34,36,38,40を直列に接続する構成においても同様である。
【0039】
続いて、処理部10は、電流供給部5の電流源5aに対する制御を実行して、検査電流Iの電流供給用ライン3aへの供給を開始させる。この検査電流Iは、図1中において一点鎖線で示すように、電流供給用ライン3aから、直列接続された各端子対31,33,35,37,39を経由して、他方の電流供給用ライン3bに至り、さらには、電流検出器5bを介して内部グランドGに至る経路に流れる。この場合、各端子対31,33,35,37,39と対応する各電極21a,22a,23a,24a,25aとの間には、接触抵抗がそれぞれ存在し、これらの接触抵抗が直列に接続された状態となっている。したがって、検査電流Iは、このようにして直列に接続された複数(この場合、電極21a,22a,23a,24a,25aは5つであるため、10個)の接触抵抗を介して内部グランドGに流れる。電流検出器5bは、この検査電流Iの電流値を検出して、電流データDiを処理部10に出力する。
【0040】
電圧検出部6は、検査電流Iが電流供給部5から一対の電流供給用ライン3a,3b間に供給されているときに、この一対の電流供給用ライン3a,3b間に発生する測定電圧を検出して、電圧データDvを処理部10に出力する。この場合、上記のように、一対の電流供給用ライン3a,3b間には複数の接触抵抗が直列に接続されているため、電圧データDvは、検査電流Iがこの直列接続された複数の接触抵抗を流れることによって、複数の接触抵抗全体で発生する電圧(電圧降下)を表している。なお、この電圧データDvには、電流供給用ライン3、電圧検出用ライン4、中継ライン7、各電流供給端子Hc,Lcおよび各電圧検出端子Hp,Lpに検査電流Iが流れた際に発生する電圧降下分も実際には含まれているが、本例では、発明の理解を容易にするため、これらの電圧降下分はゼロであるものとしている。
【0041】
処理部10は、上記の電流データDiと電圧データDvとに基づいて、直列接続された複数の接触抵抗についての全体の抵抗値を算出し、予め規定された基準抵抗値と比較して、算出した抵抗値が基準抵抗値以下のときには、各端子対31,33,35,37,39が、それぞれ対応する電極21a,22a,23a,24a,25aと基準以下の低い接触抵抗値で接触している状態(すなわち接触状態が良好)であると判別する。また、処理部10は、接触状態が良好であると判別したときには、この判別結果をメモリに記憶して、端子対31,33,35,37,39と、対応する各電極21a,22a,23a,24a,25aとの間のコンタクトチェックを完了させる。この場合、複数の端子対31,33,35,37,39と、それぞれに対応する電極21a,22a,23a,24a,25aとの間の接触状態の検査(判別)が一回の抵抗値の算出(測定)で一括して行えるため、接触状態の判別に要する時間が大幅に短縮されている。
【0042】
一方、処理部10は、算出した抵抗値が基準抵抗値を超えるときには、各端子対31,33,35,37,39を構成する電流供給端子Hcおよび電圧検出端子Hpのうちの少なくとも1つが基準を超える高い接触抵抗値で対応する検査対象体の電極と接触している状態にある。このため、処理部10は、算出した抵抗値が基準抵抗値を超えるときには、各端子対31,33,35,37,39のいずれかにおいて接触不良が発生している状態(すなわち接触状態が不良である)と判別する。
【0043】
このように端子対と電極との間の接触状態が不良となる原因は様々であるが、電極21a,21b,22a,22b,・・・,25a,25bの各表面に生じた酸化皮膜が接触不良の主たる原因となっていることが知られている。また、この酸化皮膜は、端子対と電極との間に供給(印加)する電流の電流値を増加させたり、また印加する電圧の電圧値を増加させたりすることにより、破壊されることが知られている。
【0044】
このため、処理部10は、接触状態が不良であると判別したときには、電流源5aに対する制御を実行して、検査電流Iの電流値を一定時間だけ増加(例えば、数倍以上に増加)させる。この場合、直列接続された複数の接触抵抗についての全体の抵抗値は基準抵抗値を超える高い抵抗値であるため、電流源5aは、供給する検査電流Iの電流値を増加させる際に、印加する電圧についても増加させる。これにより、直列接続された複数の接触抵抗に、より電流値の大きな検査電流Iが供給されるため(言い換えれば、より電圧値の高い電圧が印加されるため)、接触不良の原因となっている酸化皮膜が破壊されて、接触状態が改善される。
【0045】
次いで、処理部10は、増加させた検査電流Iの電流値を元の電流値に戻した後に、電流データDiと電圧データDvとに基づいて、直列接続された複数の接触抵抗についての全体の抵抗値を再度算出して、基準抵抗値と比較する。この場合、上記したようにして、接触不良の原因となっていた電極上の酸化皮膜が破壊されて、各端子対31,33,35,37,39と対応する電極21a,22a,23a,24a,25aとの間の接触状態が改善されているときには、算出した抵抗値は基準抵抗値以下となる。このときには、処理部10は、各端子対31,33,35,37,39が、それぞれ対応する電極21a,22a,23a,24a,25aと基準以下の低い接触抵抗値で接触している状態(すなわち接触状態が良好)であると判別して、この判別結果をメモリに記憶し、端子対31,33,35,37,39と、対応する各電極21a,22a,23a,24a,25aとの間のコンタクトチェックを完了させる。また、電流供給部5の電流源5aに対する制御を実行して、検査電流Iの電流供給用ライン3aへの供給を停止させる。
【0046】
なお、検査電流Iの電流値を増加させたときでも、一部の酸化皮膜が破壊されずに残存しているときには、各端子対31,33,35,37,39と対応する電極21a,22a,23a,24a,25aとの間の接触状態が改善されずに、接触不良の状態が維持される。この状況では、処理部10によって算出される抵抗値は依然として基準抵抗値を超えるため、処理部10は、接触状態が改善されないと判別する。この場合、検査電流Iの電流値を再度増加させることも可能であるが、繰り返し電流値を増加させることは、各検査対象体21〜25に悪影響を与える場合がある。したがって、本例では、一例として、処理部10は、電流値を増加させた検査電流Iの再度の供給は行わずに、接触不良が発生しているとの判別結果をメモリに記憶すると共に、その旨を出力部11に表示させて、回路基板全体の検査を終了させる。
【0047】
次に、処理部10は、残りの端子対32,34,36,38,40と、対応する各電極21b,22b,23b,24b,25bとの間のコンタクトチェックを実行する。
【0048】
このコンタクトチェックに際して、処理部10は、接断部9に対する制御を実行することにより、図2に示すように、端子対32を構成する電圧検出端子Lpが電流供給用ライン3aに接続され、かつ端子対32を構成する電流供給端子Lcが電圧検出用ライン4aに接続される状態に移行させる。また、処理部10は、端子対34を構成する電圧検出端子Lpが電圧検出用ライン4aに接続され、かつ端子対34を構成する電流供給端子Lcが電圧検出用ライン4bに接続される状態に移行させる。
【0049】
また、処理部10は、端子対36を構成する電圧検出端子Lpが電圧検出用ライン4bに接続され、かつ端子対36を構成する電流供給端子Lcが中継ライン7aに接続される状態に移行させる。また、処理部10は、端子対38を構成する電圧検出端子Lpが中継ライン7aに接続され、かつ端子対38を構成する電流供給端子Lcが中継ライン7bに接続される状態に移行させる。また、処理部10は、端子対40を構成する電圧検出端子Lpが中継ライン7bに接続され、かつ端子対40を構成する電流供給端子Lcが電流供給用ライン3bに接続される状態に移行させる。
【0050】
この処理部10による接断部9に対する制御により、図2に示すように、検査対象体21,22,23,24,25の各電極21b,22b,23b,24b,25bに接触させられる各端子対32,34,36,38,40(端子対を構成する電流供給端子Lcおよび電圧検出端子Lp)が、各電極21b,22b,23b,24b,25b、電圧検出用ライン4a、電圧検出用ライン4b、および中継ライン7a,7bを介して直列接続された状態に移行させられる。
【0051】
次いで、処理部10は、電流供給部5の電流源5aに対する制御を実行して、検査電流Iの電流供給用ライン3aへの供給を開始させ、上記した各端子対31,33,35,37,39と、対応する各電極21a,22a,23a,24a,25aとの間のコンタクトチェックのときと同様にして、各端子対32,34,36,38,40と、対応する各電極21b,22b,23b,24b,25bとの間の接触状態の検査(判別)を一回の抵抗値の算出(測定)で一括して実施する。このため、接触状態の判別に要する時間が大幅に短縮されている。また、このコンタクトチェックの完了により、コンタクトチェック処理が完了する。
【0052】
このコンタクトチェック処理において、すべての端子対31,32,・・・,39,40と、それに対応する各電極21a,21b,・・・,25a,25bとの間の接触状態が良好であると判別したときには、処理部10は、次に測定処理を実行する。この測定処理では、処理部10は、各検査対象体21〜25の純抵抗Rを順次測定して、メモリに記憶する。
【0053】
具体的には、処理部10は、まず、接続切替部8に対する制御を実行することにより、図3に示すように、各切替スイッチ8a,8bの接続状態を、電圧検出部6の一方の入力端子が切替スイッチ8aを介して電圧検出用ライン4aに接続され、電圧検出部6の他方の入力端子が切替スイッチ8bを介して電圧検出用ライン4bに接続される状態に移行させる。これにより、各電圧検出用ライン4a,4bが電圧検出部6の各入力端子に接続された状態となる。
【0054】
次いで、検査対象体21の純抵抗Rを測定するときには、処理部10は、接断部9に対する制御を実行することにより、図3に示すように、端子対31を構成する電流供給端子Hcが電流供給用ライン3aに接続され、かつ端子対31を構成する電圧検出端子Hpが電圧検出用ライン4aに接続され、かつ端子対32を構成する電流供給端子Lcが電流供給用ライン3bに接続され、かつ端子対32を構成する電圧検出端子Lpが電圧検出用ライン4bに接続される状態(四端子法の接続状態)に移行させる。つまり、この状態では、各端子対31,32に含まれている一対の電流供給端子Hc,Lcが電流供給用ライン3a,3bに一対一で接続され、かつ一対の電圧検出端子Hp,Lpが電圧検出用ライン4a,4bに一対一で接続されている。
【0055】
続いて、処理部10は、電流供給部5の電流源5aに対する制御を実行して、検査電流Iの電流供給用ライン3aへの供給を開始させる。この検査電流Iは、図3中において一点鎖線で示すように、電流供給用ライン3aから、電流供給端子Hc、検査対象体21の一方の電極21a、検査対象体21、検査対象体21の他方の電極21b、電流供給端子Lc、電流供給用ライン3b、および電流検出器5bを経由して内部グランドGに至る経路に流れる。
【0056】
電流検出器5bは、この検査電流Iの電流値を検出して、電流データDiを処理部10に出力する。電圧検出部6は、検査電流Iが電流供給部5から一対の電流供給用ライン3a,3b間に供給されているときに、一対の電圧検出用ライン4a,4b間に発生する測定電圧を検出して、電圧データDvを処理部10に出力する。
【0057】
処理部10は、上記の電流データDiと電圧データDvとに基づいて、検査対象体21の純抵抗Rを算出(測定)して、メモリに記憶する。この場合、この算出された純抵抗Rは、上記したように四端子法によって測定されているため、各端子対31,32と各電極21a,21bとの間に存在する接触抵抗の影響を殆ど受けることなく、高精度に測定される。
【0058】
処理部10は、残りの検査対象体22〜25についても、検査対象体21のときと同様にして、接断部9に対する制御を実行することにより、測定を行う検査対象体に対する各電流供給端子Hc,Lcおよび各電圧検出端子Hp,Lpの接続状態が四端子法での接続状態となるように、電流供給端子Hc,Lcおよび電圧検出端子Hp,Lpを各電流供給用ライン3a,3bおよび各電圧検出用ライン4a,4bに接続しつつ、純抵抗Rを算出(測定)して、メモリに記憶する。これにより、測定処理が完了する。
【0059】
次いで、処理部10は、検査処理を実行する。この検査処理では、処理部10は、測定した各検査対象体21〜25の純抵抗Rと、各検査対象体21〜25に対して予め規定された基準値範囲とを順次比較しつつ、測定した純抵抗Rが対応する基準値範囲に含まれているときには、この純抵抗Rが測定された検査対象体が正常であると判別し、測定した純抵抗Rが対応する基準値範囲外のときには検査対象体に異常が発生している(検査対象体が不良)と判別する。処理部10は、この判別結果をメモリに記憶する。最後に、処理部10は、検査処理での判別結果を出力部11に表示させる。これにより、検査処理が完了し、併せて検査対象体21〜25が存在している回路基板についての検査処理も完了する。
【0060】
このように、この検査装置1および回路基板検査方法によれば、各端子対31,32,・・・,39,40と、対応する各検査対象体21,・・・,25の各電極21a,21b,・・・,25a,25bとの間の接触状態を検査するコンタクトチェック処理の際に、電圧検出部6から切り離した電圧検出用ライン4a,4b、および中継ライン7a,7bを使用して、対応する各電極21a,21b,・・・,25a,25bに接触させられた状態の各端子対31,32,・・・,39,40のうちの複数の端子対を直列接続し、この直列接続された複数の端子対に検査電流Iを電流供給部5から供給し、この状態において直列接続された複数の端子対の両端に発生する電圧を電圧検出部6で測定し、測定した電圧と検査電流Iとに基づいて、直列接続された複数の端子対と対応する電極との間の接触状態を1回で(一括して)検査することにより、接触状態の検査(コンタクトチェック)に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0061】
また、この検査装置1によれば、直列接続された端子対31などの各端子対と、対応する電極21aなどの電極との間の接触状態を検査した結果、接触不良であると判別したときには、処理部10が電流供給部5の電流源5aに対する制御を実行して、検査電流Iの電流値を増加させて再検査することにより、各端子対と対応する電極との間の接触状態を改善することができる。
【0062】
上記の例では、5つの検査対象体21〜25の10個の電極21a,21b,・・・,25a,25bと、各電極21a,21b,・・・,25a,25bに接触させられる10個の端子対31〜40との間の接触状態を検査するために、2回の検査が必要となるが、1つの電極に接触する1つの端子対毎に接触状態を検査する従来の検査方法において必要となる検査回数(端子対31〜40の数と同数。10回)と比較して、接触状態の検査(コンタクトチェック)に要する時間を5分の1に短縮することができる。
【0063】
なお、上記の検査装置1では、電圧検出部6から切り離した電圧検出用ライン4a,4bと共に、中継ライン7a,7bを使用して、直列接続する端子対31などの端子対の数を増やして、対応する電極との間の接触状態を1回で検査し得る端子対の数を増加させる構成を採用しているが、検査対象体の数が3つの場合(例えば、検査対象体21,22,23だけの場合)には、切り離した電圧検出用ライン4a,4bだけを用いて、図1に示すように検査対象体21,22,23の各電極21a,22a,23aに接続されている各端子対31,33,35を直列に接続することができ、また、図2に示すように、検査対象体21,22,23の各電極21b,22b,23bに接続されている各端子対32,34,36を直列に接続することができる。このため、この場合には、中継ライン7a,7bを使用しない構成を採用することができる。
【0064】
また、図4に示す検査装置1Aのように、接続切替部8の配設を省略して、電圧検出部6から各電圧検出用ライン4a,4bを切り離すことができない構成(つまり電圧検出部6と各電圧検出用ライン4a,4bとを固定的に接続した構成)とした場合であっても、中継ライン7c,7dをさらに追加する構成を採用することにより、検査対象体21,22,23,24,25の各電極21a,22a,23a,24a,25aに接続されている各端子対31,33,35,37,39を直列に接続して、コンタクトチェック処理を実行することができる。また、図示はしないが、この検査装置1Aによれば、検査対象体21,22,23,24,25の各電極21b,22b,23b,24b,25bに接続されている各端子対32,34,36,38,40についても直列に接続して、コンタクトチェック処理を実行することができる。したがって、この検査装置1Aにおいても、各端子対31〜40と、対応する各電極21a,・・・,25bとの間の接触状態の検査(コンタクトチェック)に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0065】
なお、検査装置1Aは、上記した構成以外の構成については、検査装置1と同一である。このため、同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略したが、この検査装置1Aでも、直列接続された端子対31などの各端子対と、対応する電極21aなどの電極との間の接触状態を検査した結果、接触不良であると判別したときには、処理部10が電流供給部5の電流源5aに対する制御を実行して、検査電流Iの電流値を増加させて再検査を行う。このため、検査装置1Aにおいても、各端子対と対応する電極との間の接触状態を改善することができる。
【0066】
また、上記の検査装置1,1Aでは、電流源5aが検査電流Iとして直流電流を供給し、電流検出器5bがこの検査電流Iの電流値を示す電流データDiを処理部10に出力し、電圧検出部6が検出した電圧の電圧値を示す電圧データDvを処理部10に出力し、処理部10が両データDi,Dvに基づいて、純抵抗Rを算出(測定)する構成を採用しているが、電流源5aが検査電流Iとして交流電流を供給し、電流検出器5bがこの検査電流Iの電流波形を示す電流データDiを処理部10に出力し、電圧検出部6が検出した電圧の電圧波形を示す電圧データDvを処理部10に出力し、処理部10が、両データDi,Dvに基づいて、純抵抗以外のインダクタンスやキャパシタンスを含んだインピーダンスを算出(測定)する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0067】
1 検査装置
2 端子部
3a,3b 電流供給用ライン
4a,4b 電圧検出用ライン
5 電流供給部
6 電圧検出部
7a,7b 中継ライン
8 接続切替部
9 接断部
21,22,23,24,25 検査対象体
21a〜25a,21b〜25b 電極
31〜40 端子対
Hc,Lc 電流供給端子
Hp,Lp 電圧検出端子
I 検査電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査対象体の各電極に接触させられる電流供給端子および電圧検出端子の端子対が複数配設された端子部と、
一対の電流供給用ライン間に検査電流を供給する電流供給部と、
一対の電圧検出用ライン間に発生する測定電圧を検出する電圧検出部と、
前記一対の電流供給用ラインと前記一対の電圧検出用ラインとの一方のラインを前記電圧検出部に選択的に接続する接続切替部と、
前記電流供給用ラインおよび前記電圧検出用ラインの各ラインと前記各端子対との間の接断を行う接断部と、
前記接続切替部を制御して、前記電圧検出部を前記一対の電圧検出用ラインに接続し、かつ前記接断部を制御して、1つの前記検査対象体の前記各電極に接触させられている前記各端子対の2つの前記電流供給端子を前記一対の電流供給用ラインに一対一で接続すると共に、当該各端子対の2つの前記電圧検出端子を前記一対の電圧検出用ラインに一対一で接続し、当該一対の電流供給用ラインを介して前記1つの検査対象体に流れる前記検査電流、および当該一対の電圧検出用ラインを介して前記測定電圧として検出される当該1つの検査対象体の当該各電極間に発生する電圧に基づいて、当該1つの検査対象体のインピーダンスを四端子法で測定する測定処理を実行する処理部とを備えている回路基板検査装置であって、
前記処理部は、前記複数の検査対象体の前記各電極のうちの一方の電極と当該一方の電極に接触させられている前記端子対との間の接触状態を検査するコンタクトチェック処理の際に、
前記接続切替部を制御して、前記一対の電圧検出用ラインを前記電圧検出部から切り離す共に前記一対の電流供給用ラインに当該電圧検出部を接続し、かつ前記接断部を制御して、前記切り離された各電圧検出用ラインを介して前記各端子対を直列接続すると共に、当該直列接続された当該各端子対の一端に配置されている前記電流供給端子および前記電圧検出端子のうちの一方を前記一対の電流供給用ラインのうちの一方に接続させ、かつ当該各端子対の他端に配置されている前記電流供給端子および前記電圧検出端子のうちの一方を当該一対の電流供給用ラインのうちの他方に接続させ、
その状態において、前記直列接続された前記各端子対に前記検査電流を供給したときの前記電流供給用ライン間の前記測定電圧と当該検査電流とに基づいて、当該直列接続された当該各端子対と対応する前記各電極との間の接触状態を検査する回路基板検査装置。
【請求項2】
1または2以上の中継ラインを備え、
前記処理部は、前記接断部を制御して、前記各電圧検出用ラインおよび前記中継ラインを介して前記各端子対を直列接続する請求項1記載の回路基板検査装置。
【請求項3】
複数の検査対象体の各電極に接触させられる電流供給端子および電圧検出端子の端子対が複数配設された端子部と、
一対の電流供給用ライン間に検査電流を供給する電流供給部と、
一対の電圧検出用ライン間に発生する測定電圧を検出する電圧検出部と、
1または2以上の中継ラインと、
前記電流供給用ライン、前記電圧検出用ラインおよび前記中継ラインの各ラインと前記各端子対との間の接断を行う接断部と、
前記接断部を制御して、1つの前記検査対象体の前記各電極に接触させられている前記各端子対の2つの前記電流供給端子を前記一対の電流供給用ラインに一対一で接続すると共に、当該各端子対の2つの前記電圧検出端子を前記一対の電圧検出用ラインに一対一で接続し、当該一対の電流供給用ラインを介して前記1つの検査対象体に流れる前記検査電流、および当該一対の電圧検出用ラインを介して前記測定電圧として検出される当該1つの検査対象体の当該各電極間に発生する電圧に基づいて、当該1つの検査対象体のインピーダンスを四端子法で測定する測定処理を実行する処理部とを備えている回路基板検査装置であって、
前記処理部は、前記複数の検査対象体の前記各電極のうちの一方の電極と当該一方の電極に接触させられている前記端子対との間の接触状態を検査するコンタクトチェック処理の際に、
前記接断部を制御して、前記中継ラインを介して前記各端子対を直列接続すると共に、当該直列接続された当該各端子対の一端に配置されている前記電流供給端子および前記電圧検出端子のうちの一方を前記一対の電流供給用ラインのうちの一方と前記一対の電圧検出用ラインのうちの一方とに接続させ、かつ当該各端子対の他端に配置されている前記電流供給端子および前記電圧検出端子のうちの一方を当該一対の電流供給用ラインのうちの他方と当該一対の電圧検出用ラインのうちの他方とに接続させ、
その状態において、前記直列接続された前記各端子対に前記検査電流を供給したときの前記電圧検出用ライン間の前記測定電圧と当該検査電流とに基づいて、当該直列接続された当該各端子対と対応する前記各電極との間の接触状態を検査する回路基板検査装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記直列接続された前記各端子対と対応する前記各電極との間の接触状態を検査した結果、接触不良であると判別したときには、前記検査電流の電流値を増加させて前記直列接続された前記各端子対と対応する前記各電極との間の接触状態を再検査する請求項1から3のいずれかに記載の回路基板検査装置。
【請求項5】
複数の検査対象体の各電極に電流供給端子および電圧検出端子からなる端子対をそれぞれ接触させ、電流供給部から一対の電流供給用ラインを介して当該各電流供給端子間に検査電流を供給した状態において当該各電圧検出端子間に発生する電圧を一対の電圧検出用ラインを介して電圧検出部で測定し、当該測定された電圧と当該検査電流とに基づいて前記検査対象体のインピーダンスを四端子法により測定し、当該測定したインピーダンスに基づいて当該検査対象体を検査する回路基板検査方法であって、
前記一対の電圧検出用ラインを前記電圧検出部から切り離すと共に前記一対の電流供給用ラインに当該電圧検出部を接続し、前記切り離された各電圧検出用ラインを介して前記各端子対を直列接続し、当該直列接続された当該各端子対に前記各電流供給用ラインを介して前記電流供給部から検査電流を供給し、当該検査電流の供給に起因して前記直列接続された前記各端子対全体に発生する電圧を前記各電流供給用ラインを介して前記電圧検出部で測定し、当該測定された電圧と当該検査電流とに基づいて、当該直列接続された当該各端子対と対応する前記各電極との間の接触状態を検査するコンタクトチェック処理を実行する回路基板検査方法。
【請求項6】
複数の検査対象体の各電極に電流供給端子および電圧検出端子からなる端子対をそれぞれ接触させ、電流供給部から当該各電流供給端子間に検査電流を供給した状態において当該各電圧検出端子間に発生する電圧を電圧検出部で測定し、当該測定された電圧と当該検査電流とに基づいて前記検査対象体のインピーダンスを四端子法により測定し、当該測定したインピーダンスに基づいて当該検査対象体を検査する回路基板検査方法であって、
前記各端子対を中継ラインを介して直列接続すると共に、当該直列接続された当該各端子対に検査電流を供給し、前記検査電流の供給に起因して前記直列接続された前記各端子対全体に発生する電圧と当該検査電流とに基づいて、当該直列接続された当該各端子対と対応する前記各電極との間の接触状態を検査するコンタクトチェック処理を実行する回路基板検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−24724(P2013−24724A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159747(P2011−159747)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】