回転電機の冷媒通路構造
【課題】回転電機を設置状態のまま、回転電機に結合されている機器を取り外すことなく冷媒通路を開放でき、点検および清掃が可能な回転電機の冷媒通路構造を提供する。
【解決手段】円筒状の内胴5と、前記内胴に対し下半部が所定の間隙を介して配置された断面U字状の外胴6aと、前記内胴及び外胴の両端部に配置された前側板7及び後側板8と、前記外胴の開口部を開閉自在に覆う蓋体13と、前記蓋体の下面に取付けられるとともに、前記内胴に対し前記所定の間隙を介して配置された円弧状の整流板15とを備え、前記所定の間隙からなる通路に冷媒を供給することを特徴とする回転電機の冷媒通路構造。
【解決手段】円筒状の内胴5と、前記内胴に対し下半部が所定の間隙を介して配置された断面U字状の外胴6aと、前記内胴及び外胴の両端部に配置された前側板7及び後側板8と、前記外胴の開口部を開閉自在に覆う蓋体13と、前記蓋体の下面に取付けられるとともに、前記内胴に対し前記所定の間隙を介して配置された円弧状の整流板15とを備え、前記所定の間隙からなる通路に冷媒を供給することを特徴とする回転電機の冷媒通路構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機の固定子を冷却する冷媒通路の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
直流機、同期機や誘導機などの回転電機は、固定子と回転子によって構成され、電磁誘導の原理を利用し電気エネルギーと機械エネルギーの相互変換をおこなうものである。
【0003】
回転電機の回転子は磁界を発生し、その磁界が固定子に備えられた巻線と鎖交することにより電磁誘導によって固定子巻線に電圧を発生させる。この現象を利用したものが発電機である。また、逆に固定子巻線に電流を流すことで磁界を発生させ、これが回転子による磁界に作用することで回転子に回転力が生まれる。この現象を利用したものが電動機となる。
【0004】
上述した回転電機では通常、回転に伴う固定子等の発熱を抑えるために冷媒を用いて冷却をおこなっている。冷媒には水、油等の液体、空気、水素等の気体が用いられている。
このような回転電機では、固定子の外側に冷媒通路を持ち、その冷媒通路に冷媒を通すことで、固定子から冷媒へ熱を伝達させ固定子を冷却する。
【0005】
従来の回転電機の一例について図13〜図17を参照して説明する。なお、通常の回転電機は、回転子、回転子を支持する軸受等を備えているがここでは説明を省略する。
回転電機の固定子2は、巻線3と、薄い電磁鋼板を積層して構成した鉄心4から構成され、筐体1に収められる。
【0006】
筐体1は固定子2を取り囲み接している内胴5と、その内胴5と一定の距離を隔てて取り囲む外胴6を備えている。
内胴5と外胴6はそれぞれの両端を前側板7と後側板8で塞がれており、内胴5、外胴6、前側板7、後側板8で囲まれた空間は固定子2を冷却するための冷媒が流れる冷媒通路9となっている。
【0007】
冷媒は冷媒入口10からヘッダー11を経由して内胴5と外胴6で構成された冷媒通路9に流入し、固定子2が接している内胴5の周囲を、固定子2の鉄心4から熱を奪いながらほぼ一周した後、冷媒出口12から排出される。
【0008】
ヘッダー11は冷媒通路9へ流入する冷媒の流速を軸方向に渡って均一にするために設けているもので、ヘッダー11の外胴6における開口部は可能な限り外胴6の軸方向長さと等しい長さとする。
【0009】
これは、冷媒通路9を流れる冷媒の流速が異なると、その熱伝達の大きさも変わり、冷却能力も場所によって異なってしまうため、内胴5と外胴6の半径方向の距離は均一に保つことで、冷媒が流れる通路の断面積を均一にし、冷媒の流速を一定に保って固定子2を均一に冷却するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−149757号公報
【特許文献2】特開2010−158214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記した従来の回転電機の冷媒通路構造において、回転電機を長期間運転すると冷媒通路9に異物等が混入し詰まりを起こすことがある。冷媒通路9に異物が詰まると内部を流れる冷媒の流速が均一にならず、また、異物が詰まっている部分には冷媒が流れないため固定子2の冷却が均一におこなえなくなるという問題があった。さらに、冷媒通路9を構成する内胴5の外表面に汚れ等が付着すると、内胴5から冷媒への熱伝達率が低下し、固定子2を冷却する能力が低下するという問題があった。
【0012】
このような問題に対処するためには冷媒通路9を清掃する必要があるが、従来の回転電機の冷媒通路9の構造では、ヘッダー11、および冷媒出口12しか開口部がなく、このような開口部から冷媒通路9全体を清掃することは困難であった。
【0013】
ところで、冷媒通路9を清掃することができるように、冷媒通路の軸方向両端部を開放可能な構造が提案されている。(特許文献1、特許文献2)
これによれば、冷媒通路の端部から清掃することは可能であるが、冷却通路を開放するためには軸受や筐体を分解する必要がある。そのため、冷媒通路の点検、清掃のためには回転電機を停止し、回転電機に結合されている機器を取り外したのちに回転電機を分解し、冷媒通路を開放して点検または清掃し、その後逆の手順で復旧する必要がある。このため、冷媒通路の点検、清掃作業に時間がかかるという問題がある。
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、回転電機を設置状態のまま、回転電機に結合されている機器を取り外すことなく冷媒通路を開放でき、点検および清掃が容易な回転電機の冷媒通路構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る回転電機の冷媒通路構造は、円筒状の内胴と、前記内胴に対し下半部が所定の間隙を介して配置された断面U字状の外胴と、前記内胴及び外胴の両端部に配置された前側板及び後側板と、前記外胴の開口部を開閉自在に覆う蓋体と、前記蓋体の下面に取付けられるとともに、前記内胴に対し前記所定の間隙を介して配置された円弧状の整流板とを備え、前記所定の間隙からなる通路に冷媒を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記構成によれば、回転電機を設置状態のまま、回転電機に結合されている機器を取り外すことなく冷媒通路を開放することにより、点検および清掃が容易な回転電機の冷媒通路構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る回転電機の斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る回転電機の正面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る回転電機の側面図。
【図4】図2のC−C斜視図。
【図5】図3のF−F断面図。
【図6】図1に示す回転電機の蓋体を開状態とした斜視図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る回転電機の冷媒通路の一例を示す模式図。
【図8】図7の仕切り板を示す斜視図。
【図9】本発明の第2実施形態に係る回転電機の冷媒通路の変形例を示す模式図。
【図10】図9の仕切り板を示す斜視図。
【図11】図10に示す仕切り板のG部を拡大した図。
【図12】本発明の第3実施形態に係る回転電機の伝熱部材の一例を示す斜視図。
【図13】従来の回転電機の斜視図。
【図14】従来の回転電機の正面図。
【図15】従来の回転電機の側面図。
【図16】図14のA−A斜視図。
【図17】図15のB−B断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る各実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
(構成)
本発明の第1実施形態に係る回転電機の冷媒通路構造を、図1〜図6を用いて説明する。なお、通常の回転電機は、回転子、回転子を支持する軸受等を備えているがここでは省略する。
【0019】
図1〜図5に示すとおり、本発明の実施形態に係る回転電機は、内胴5、外胴6a等を備えた筐体1、内胴5に外接している固定子2、後述する冷媒通路9aを回転電機の軸方向の前後で塞ぐ前側板7及び後側板8、筐体1の下部に設けられた冷媒入口10、ヘッダー11、及び冷媒出口12などを備えており、特に、外胴6a及び冷媒通路9aの構造に特徴がある。
【0020】
すなわち、従来の回転電機では冷媒通路9は円筒状の内胴5と、内胴5より径の大きい外胴6とで囲まれた空間により環状の冷媒通路9が形成されていたが、本実施形態では、内胴5とこの内胴5と所定の間隙を有する外胴6aとにより略下半分の閉空間を形成するとともに、内胴5とこの内胴5と前記所定の間隙を有する整流板15とにより略上半分の閉空間を形成し、これら上半分及び下半分の閉空間を合わせることにより環状の所定の間隙を有する冷媒通路9aが形成されている。
【0021】
外胴6aは、内胴5と同心の半円状部からなる下半部と、該下半部の半円状部の両開放端部を真っ直ぐ上方へ延設した上半部と、該上半部の先端部周縁のボルト孔が形成された固定部6cからなり、全体として開放した開口部6bを有する断面略U字状となっている。
【0022】
本実施形態では、上記開口部6bを開閉自在に覆う蓋体13が設けられており、通常、開口部6bは蓋体13により覆われており、蓋体13のボルト14を用いて固定部6cと固定され、冷媒に対して密閉状態を保持している。
【0023】
整流板15は、断面半円弧状でその半円弧部の半径は、外胴6aにおける下半部の半円の半径とほぼ等しく、半円弧部の中央部に対し対称に立設された1対の整流板支持部16を介して蓋体13の裏面に取付けられている。
【0024】
以上により、外胴6aと内胴5との間隙、整流板15と内胴5との間隙、及び前側板7、後側板8によって冷媒通路9aが形成される。
なお、本実施形態では、整流板15は1対の整流板支持部16を介して蓋体13に取付けているが、1つの整流板支持部16を介して、あるいは整流板支持部16を介することなく、直接蓋体13に取付けることも可能である。
【0025】
また、蓋体13の上面には、その上部に図示しない潤滑油タンクなどを固定するための取付座、冷媒を冷媒入口10から注入する場合、冷媒通路9aや空間17から空気を抜くためのフランジ23を設けている。
【0026】
このように構成した回転電機の冷媒通路9aでは、冷媒入口10からヘッダー11を介して冷媒通路9aに流入した冷媒は、まず内胴5と外胴6aの間を通り、次に内胴5と整流板15の間を通ったのち、再び内胴5と外胴6aの間を通って冷媒出口12から排出される。
【0027】
外胴6aの半円部と整流板15の半径は同一であり、それぞれの中心は内胴5と同心であるので、内胴5と外胴6a、および内胴5と整流板15の間の間隔は常に一定となっている。
【0028】
したがって、冷媒通路9aを流れる冷媒の流速は常に一定となり、内胴5の表面から冷媒への熱伝達率は内胴5の全周にわたって均一であり、内胴5に接している固定子2の熱も均一に冷却される。
なお、回転電機には構造上、わずかな隙間が存在するが、この隙間によっても内胴5の表面から固定子2の熱を奪う本来の冷媒の役割を阻害することはない。
【0029】
すなわち、整流板15と外胴6aとの隙間あるいは、整流板15と前側板7、後側板8との隙間から、冷媒がわずかずつ、整流板15と外胴6aと整流板支持部16とで囲まれた空間17及び、整流板15と蓋板13と整流板支持部16とで囲まれた空間17に流入し、空間17は冷媒である程度満たされた状態となるが、冷媒の流圧等により、ある隙間から空間17にわずかながら冷媒が流入し異なる隙間から冷媒が流出する。
【0030】
この時、整流板支持部16等が抵抗となり、空間17内に新たな冷媒の流れが形成されるのを防止でき、冷媒通路9aの本来の冷媒の流速に影響を与えるほどのものにはならず、内胴5の表面から固定子2の熱を奪う本来の冷媒の役割を阻害することはない。
【0031】
(作用)
次に本実施形態の作用について述べる。
冷媒通路9aの点検、または清掃を実施する場合には、図6に示すように、蓋体13とU字状の外胴6a上端部を固定しているボルト14を取り外し、蓋体13をクレーン等で上方に吊り上げる。
【0032】
蓋体13には整流板15が整流板支持部16により固定されているので、蓋体13と同時に整流板15も取り外される。
したがって、蓋体13を取り外す際には、回転電機に結合されている機器を取り外したり、回転電機を分解したりする必要はなく、蓋体13を取り外す前には、冷媒通路9aに充満している冷媒をあらかじめ抜いておけば、蓋体13を取り外す作業は容易になる。
【0033】
また、整流板支持部16の一部に冷媒抜き穴18を設けることにより、前記空間17に充満した冷媒が冷媒抜き穴18から排出されるので、蓋体13を取り外す作業はさらに容易になる。
【0034】
蓋体13を取り外した状態では、内胴5の上半分は完全に露出しており、目視、または検査装置により容易に点検が可能である。また、内胴5の下半分は外胴6aに覆われてはいるが、蓋体13を取り外したあとの開口部から柔軟性のある棒状の検査器具、または清掃器具等により容易に点検、もしくは清掃が可能である。
【0035】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、回転電機を設置状態のまま、回転電機に結合されている機器を取り外すことなく、蓋体13を取り外すだけで、冷媒通路を開放することにより、点検および清掃が容易な回転電機の冷媒通路構造を提供することができる。
【0036】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る回転電機の冷媒通路構造を模式的に示した図7〜図11を用いて説明する。
【0037】
本実施形態における回転電機の冷却通路構造では、内胴5と、外胴6a、前側板7、後側板8、整流板15によって冷媒通路9aが構成されていることについては第1実施形態と同様である。
【0038】
本実施形態では、冷媒流速を高めて冷却能力を向上させるため、冷却通路9aに螺旋状の仕切り板19aを挿入し冷媒通路9aを分割した点に特徴がある。
冷媒入口10a、および冷媒出口12aは冷媒通路9aの図7に示すとおり両端に設けられ、冷媒入口10aから冷媒通路9aに冷媒を流入させると、冷媒通路9aが螺旋状の仕切り板19aによって区切られているため、仕切り板19aに沿って螺旋状に冷媒が流れ、内胴5の表面を周回しながら冷媒出口12aに向かう。
【0039】
したがって、冷媒が通過する流路の断面積は螺旋状の仕切り板19aがない場合に比べ小さくなるので、冷媒通路9aを流れる冷媒流量が同一の場合、冷媒の流速を増加させることができる。
【0040】
本実施形態では、螺旋状の仕切り板19aによって冷媒通路9aを軸方向に5分割しているので、螺旋状の仕切り板19aが無い場合と比べて同じ冷媒流量ならば5倍の冷媒流速となる。
【0041】
一般的に、内胴5から冷媒への熱伝達率は冷媒の流速が増すほど増加するため、螺旋状の仕切り板19aを入れたほうがより冷却能力が大きくなる。または、同じ冷媒流速であれば冷媒の流量を低減できるため、冷媒の搬送に要する動力を減らすことができる。
【0042】
図9は本実施形態の変形例を示し、一部が切り欠かれ不連続部分を有する環状の仕切り板19bを冷媒通路9aに挿入したものである。
この変形例では、冷媒入口10aから冷媒通路9aに流入した冷媒は、まず、環状の仕切り板19bに沿って上方に流れ、環状の仕切り板19bの切り欠き部19cから隣接する流路に流れ込み、次に下方向へ流れ、以降、同様の流れを繰り返しながら冷媒出口12aに向かう。
【0043】
このような変形例でも冷媒流速を増加させる効果は本実施形態と同様である。
なお、上述の例では仕切り板として、螺旋状、環状の場合を説明したが、冷媒の流速を増加させることができる限り、これらの例に限定するものではない。
【0044】
図11は本実施形態の異なる変形例を示し、環状の仕切り板19bと、外胴6a、整流板15、または内胴5と接する外周面に、ラビリンスシールとして溝部20を形成して、流路間で冷媒の漏れを防止するようにしたものである。
【0045】
仕切り板19bが内胴5、または外胴6a、整流板15と接している面を完全に密封できずに隙間が生じると、仕切り板19bにより隣接する流路間で冷媒の漏れが生じる。
【0046】
このような冷媒の漏れが生じると、想定した流量の冷媒が冷媒の流路に流れず、冷媒の流速が低下し、内胴5と冷媒との間の熱伝達率が低下する恐れがある。
そこで、溝部20を設けることにより、仕切り板19bと外胴6a、整流板15、または内胴5の間の隙間を通過する際の冷媒の流体抵抗が増し、仕切り板19bによって隔てられている流路間での冷媒の漏れ量を少なくできる。
【0047】
したがって、冷媒の流速は低下せず、内胴5と冷媒との間の熱伝達率が低下することを防止でき、さらに冷却効果を向上させることができる。
なお、溝部20は螺旋状の仕切り板19aやその他の形状の仕切り板であっでも設置することができる。
【0048】
以上、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に蓋板を開放し、仕切り板を除去することによって点検、または清掃が容易に行えるとともに、冷媒通路9aに仕切り板を設けることにより冷却効果をより向上させることができる。
【0049】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る回転電機の冷媒通路構造を、図12を用いて説明する。
本実施形態における回転電機の冷媒通路構造では、内胴5と、外胴6a、前側板7、後側板8、整流板15によって冷媒通路9aが構成されていることについては第1実施形態と同様である。
【0050】
本実施形態は、伝熱効果を向上させるために、第1実施形態の回転電機の冷媒通路に、金属繊維によって成形された伝熱部材21を設けた点に特徴がある。
伝熱部材21は、細線状の金属繊維を織布のように金属線同士を織って形成したり、金属線同士を絡ませて形成したりすることで柔軟性があり、冷媒通路9aの形状に合わせて円筒形状であり、その円周の一部は円筒の軸方向に切断されている。
【0051】
この伝熱部材21を図6に示すように回転電機の蓋体13を開放した開口部16aから冷媒通路9aに挿入する。
伝熱部材21は柔軟性があるので、その切断部を広げるようにして内胴5に沿って挿入し、蓋体13を元通りに固定すれば、冷媒通路9a内には伝熱部材21が収まる。
【0052】
伝熱部材21は内胴5に接しており、固定子2の熱が内胴5を通して伝熱部材21に伝導する。
このように構成された回転電機の冷媒通路9aに冷媒を流すと、冷媒は伝熱部材21の金属線の隙間を通り、その際に金属線との間でも熱伝達が行われるので、内胴5と冷媒の間でのみ熱伝達を行うよりもさらに大きな放熱効果を得ることができる。
【0053】
なお、伝熱部材21は冷媒通路9aの寸法や、作業上の都合により適宜分割してもよい。
また第2実施形態のように、冷媒通路9aに仕切り板を設けた場合には、仕切り板で仕切られた冷媒通路9aの幅に合わせて伝熱部材21を分割することができる。
【0054】
以上、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に蓋板を開放し、伝熱部材21を除去することによって点検、または清掃が容易に行えるとともに、伝熱部材21を冷媒通路9aに設置することに冷却効果をより向上することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、例えば、各実施形態の組合わせを含めて様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…筐体、2…固定子、3…巻線、4…鉄心、5…内胴、6,6a…外胴、6b…開口部、6c…固定部、7…前側板、8…後側板、9,9a…冷媒通路、10,10a…冷媒入口、11…ヘッダー、12,12a…冷媒出口、13…蓋体、14…ボルト、15…整流板、16…整流板支持部、17…空間、18…冷媒抜き穴、19a…仕切り部材(螺旋状)、19b…仕切り部材(環状)、19c…切り欠き部、20…溝部、21…伝熱部材、22…取付座、23…フランジ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機の固定子を冷却する冷媒通路の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
直流機、同期機や誘導機などの回転電機は、固定子と回転子によって構成され、電磁誘導の原理を利用し電気エネルギーと機械エネルギーの相互変換をおこなうものである。
【0003】
回転電機の回転子は磁界を発生し、その磁界が固定子に備えられた巻線と鎖交することにより電磁誘導によって固定子巻線に電圧を発生させる。この現象を利用したものが発電機である。また、逆に固定子巻線に電流を流すことで磁界を発生させ、これが回転子による磁界に作用することで回転子に回転力が生まれる。この現象を利用したものが電動機となる。
【0004】
上述した回転電機では通常、回転に伴う固定子等の発熱を抑えるために冷媒を用いて冷却をおこなっている。冷媒には水、油等の液体、空気、水素等の気体が用いられている。
このような回転電機では、固定子の外側に冷媒通路を持ち、その冷媒通路に冷媒を通すことで、固定子から冷媒へ熱を伝達させ固定子を冷却する。
【0005】
従来の回転電機の一例について図13〜図17を参照して説明する。なお、通常の回転電機は、回転子、回転子を支持する軸受等を備えているがここでは説明を省略する。
回転電機の固定子2は、巻線3と、薄い電磁鋼板を積層して構成した鉄心4から構成され、筐体1に収められる。
【0006】
筐体1は固定子2を取り囲み接している内胴5と、その内胴5と一定の距離を隔てて取り囲む外胴6を備えている。
内胴5と外胴6はそれぞれの両端を前側板7と後側板8で塞がれており、内胴5、外胴6、前側板7、後側板8で囲まれた空間は固定子2を冷却するための冷媒が流れる冷媒通路9となっている。
【0007】
冷媒は冷媒入口10からヘッダー11を経由して内胴5と外胴6で構成された冷媒通路9に流入し、固定子2が接している内胴5の周囲を、固定子2の鉄心4から熱を奪いながらほぼ一周した後、冷媒出口12から排出される。
【0008】
ヘッダー11は冷媒通路9へ流入する冷媒の流速を軸方向に渡って均一にするために設けているもので、ヘッダー11の外胴6における開口部は可能な限り外胴6の軸方向長さと等しい長さとする。
【0009】
これは、冷媒通路9を流れる冷媒の流速が異なると、その熱伝達の大きさも変わり、冷却能力も場所によって異なってしまうため、内胴5と外胴6の半径方向の距離は均一に保つことで、冷媒が流れる通路の断面積を均一にし、冷媒の流速を一定に保って固定子2を均一に冷却するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−149757号公報
【特許文献2】特開2010−158214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記した従来の回転電機の冷媒通路構造において、回転電機を長期間運転すると冷媒通路9に異物等が混入し詰まりを起こすことがある。冷媒通路9に異物が詰まると内部を流れる冷媒の流速が均一にならず、また、異物が詰まっている部分には冷媒が流れないため固定子2の冷却が均一におこなえなくなるという問題があった。さらに、冷媒通路9を構成する内胴5の外表面に汚れ等が付着すると、内胴5から冷媒への熱伝達率が低下し、固定子2を冷却する能力が低下するという問題があった。
【0012】
このような問題に対処するためには冷媒通路9を清掃する必要があるが、従来の回転電機の冷媒通路9の構造では、ヘッダー11、および冷媒出口12しか開口部がなく、このような開口部から冷媒通路9全体を清掃することは困難であった。
【0013】
ところで、冷媒通路9を清掃することができるように、冷媒通路の軸方向両端部を開放可能な構造が提案されている。(特許文献1、特許文献2)
これによれば、冷媒通路の端部から清掃することは可能であるが、冷却通路を開放するためには軸受や筐体を分解する必要がある。そのため、冷媒通路の点検、清掃のためには回転電機を停止し、回転電機に結合されている機器を取り外したのちに回転電機を分解し、冷媒通路を開放して点検または清掃し、その後逆の手順で復旧する必要がある。このため、冷媒通路の点検、清掃作業に時間がかかるという問題がある。
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、回転電機を設置状態のまま、回転電機に結合されている機器を取り外すことなく冷媒通路を開放でき、点検および清掃が容易な回転電機の冷媒通路構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る回転電機の冷媒通路構造は、円筒状の内胴と、前記内胴に対し下半部が所定の間隙を介して配置された断面U字状の外胴と、前記内胴及び外胴の両端部に配置された前側板及び後側板と、前記外胴の開口部を開閉自在に覆う蓋体と、前記蓋体の下面に取付けられるとともに、前記内胴に対し前記所定の間隙を介して配置された円弧状の整流板とを備え、前記所定の間隙からなる通路に冷媒を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記構成によれば、回転電機を設置状態のまま、回転電機に結合されている機器を取り外すことなく冷媒通路を開放することにより、点検および清掃が容易な回転電機の冷媒通路構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る回転電機の斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る回転電機の正面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る回転電機の側面図。
【図4】図2のC−C斜視図。
【図5】図3のF−F断面図。
【図6】図1に示す回転電機の蓋体を開状態とした斜視図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る回転電機の冷媒通路の一例を示す模式図。
【図8】図7の仕切り板を示す斜視図。
【図9】本発明の第2実施形態に係る回転電機の冷媒通路の変形例を示す模式図。
【図10】図9の仕切り板を示す斜視図。
【図11】図10に示す仕切り板のG部を拡大した図。
【図12】本発明の第3実施形態に係る回転電機の伝熱部材の一例を示す斜視図。
【図13】従来の回転電機の斜視図。
【図14】従来の回転電機の正面図。
【図15】従来の回転電機の側面図。
【図16】図14のA−A斜視図。
【図17】図15のB−B断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る各実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
(構成)
本発明の第1実施形態に係る回転電機の冷媒通路構造を、図1〜図6を用いて説明する。なお、通常の回転電機は、回転子、回転子を支持する軸受等を備えているがここでは省略する。
【0019】
図1〜図5に示すとおり、本発明の実施形態に係る回転電機は、内胴5、外胴6a等を備えた筐体1、内胴5に外接している固定子2、後述する冷媒通路9aを回転電機の軸方向の前後で塞ぐ前側板7及び後側板8、筐体1の下部に設けられた冷媒入口10、ヘッダー11、及び冷媒出口12などを備えており、特に、外胴6a及び冷媒通路9aの構造に特徴がある。
【0020】
すなわち、従来の回転電機では冷媒通路9は円筒状の内胴5と、内胴5より径の大きい外胴6とで囲まれた空間により環状の冷媒通路9が形成されていたが、本実施形態では、内胴5とこの内胴5と所定の間隙を有する外胴6aとにより略下半分の閉空間を形成するとともに、内胴5とこの内胴5と前記所定の間隙を有する整流板15とにより略上半分の閉空間を形成し、これら上半分及び下半分の閉空間を合わせることにより環状の所定の間隙を有する冷媒通路9aが形成されている。
【0021】
外胴6aは、内胴5と同心の半円状部からなる下半部と、該下半部の半円状部の両開放端部を真っ直ぐ上方へ延設した上半部と、該上半部の先端部周縁のボルト孔が形成された固定部6cからなり、全体として開放した開口部6bを有する断面略U字状となっている。
【0022】
本実施形態では、上記開口部6bを開閉自在に覆う蓋体13が設けられており、通常、開口部6bは蓋体13により覆われており、蓋体13のボルト14を用いて固定部6cと固定され、冷媒に対して密閉状態を保持している。
【0023】
整流板15は、断面半円弧状でその半円弧部の半径は、外胴6aにおける下半部の半円の半径とほぼ等しく、半円弧部の中央部に対し対称に立設された1対の整流板支持部16を介して蓋体13の裏面に取付けられている。
【0024】
以上により、外胴6aと内胴5との間隙、整流板15と内胴5との間隙、及び前側板7、後側板8によって冷媒通路9aが形成される。
なお、本実施形態では、整流板15は1対の整流板支持部16を介して蓋体13に取付けているが、1つの整流板支持部16を介して、あるいは整流板支持部16を介することなく、直接蓋体13に取付けることも可能である。
【0025】
また、蓋体13の上面には、その上部に図示しない潤滑油タンクなどを固定するための取付座、冷媒を冷媒入口10から注入する場合、冷媒通路9aや空間17から空気を抜くためのフランジ23を設けている。
【0026】
このように構成した回転電機の冷媒通路9aでは、冷媒入口10からヘッダー11を介して冷媒通路9aに流入した冷媒は、まず内胴5と外胴6aの間を通り、次に内胴5と整流板15の間を通ったのち、再び内胴5と外胴6aの間を通って冷媒出口12から排出される。
【0027】
外胴6aの半円部と整流板15の半径は同一であり、それぞれの中心は内胴5と同心であるので、内胴5と外胴6a、および内胴5と整流板15の間の間隔は常に一定となっている。
【0028】
したがって、冷媒通路9aを流れる冷媒の流速は常に一定となり、内胴5の表面から冷媒への熱伝達率は内胴5の全周にわたって均一であり、内胴5に接している固定子2の熱も均一に冷却される。
なお、回転電機には構造上、わずかな隙間が存在するが、この隙間によっても内胴5の表面から固定子2の熱を奪う本来の冷媒の役割を阻害することはない。
【0029】
すなわち、整流板15と外胴6aとの隙間あるいは、整流板15と前側板7、後側板8との隙間から、冷媒がわずかずつ、整流板15と外胴6aと整流板支持部16とで囲まれた空間17及び、整流板15と蓋板13と整流板支持部16とで囲まれた空間17に流入し、空間17は冷媒である程度満たされた状態となるが、冷媒の流圧等により、ある隙間から空間17にわずかながら冷媒が流入し異なる隙間から冷媒が流出する。
【0030】
この時、整流板支持部16等が抵抗となり、空間17内に新たな冷媒の流れが形成されるのを防止でき、冷媒通路9aの本来の冷媒の流速に影響を与えるほどのものにはならず、内胴5の表面から固定子2の熱を奪う本来の冷媒の役割を阻害することはない。
【0031】
(作用)
次に本実施形態の作用について述べる。
冷媒通路9aの点検、または清掃を実施する場合には、図6に示すように、蓋体13とU字状の外胴6a上端部を固定しているボルト14を取り外し、蓋体13をクレーン等で上方に吊り上げる。
【0032】
蓋体13には整流板15が整流板支持部16により固定されているので、蓋体13と同時に整流板15も取り外される。
したがって、蓋体13を取り外す際には、回転電機に結合されている機器を取り外したり、回転電機を分解したりする必要はなく、蓋体13を取り外す前には、冷媒通路9aに充満している冷媒をあらかじめ抜いておけば、蓋体13を取り外す作業は容易になる。
【0033】
また、整流板支持部16の一部に冷媒抜き穴18を設けることにより、前記空間17に充満した冷媒が冷媒抜き穴18から排出されるので、蓋体13を取り外す作業はさらに容易になる。
【0034】
蓋体13を取り外した状態では、内胴5の上半分は完全に露出しており、目視、または検査装置により容易に点検が可能である。また、内胴5の下半分は外胴6aに覆われてはいるが、蓋体13を取り外したあとの開口部から柔軟性のある棒状の検査器具、または清掃器具等により容易に点検、もしくは清掃が可能である。
【0035】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、回転電機を設置状態のまま、回転電機に結合されている機器を取り外すことなく、蓋体13を取り外すだけで、冷媒通路を開放することにより、点検および清掃が容易な回転電機の冷媒通路構造を提供することができる。
【0036】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る回転電機の冷媒通路構造を模式的に示した図7〜図11を用いて説明する。
【0037】
本実施形態における回転電機の冷却通路構造では、内胴5と、外胴6a、前側板7、後側板8、整流板15によって冷媒通路9aが構成されていることについては第1実施形態と同様である。
【0038】
本実施形態では、冷媒流速を高めて冷却能力を向上させるため、冷却通路9aに螺旋状の仕切り板19aを挿入し冷媒通路9aを分割した点に特徴がある。
冷媒入口10a、および冷媒出口12aは冷媒通路9aの図7に示すとおり両端に設けられ、冷媒入口10aから冷媒通路9aに冷媒を流入させると、冷媒通路9aが螺旋状の仕切り板19aによって区切られているため、仕切り板19aに沿って螺旋状に冷媒が流れ、内胴5の表面を周回しながら冷媒出口12aに向かう。
【0039】
したがって、冷媒が通過する流路の断面積は螺旋状の仕切り板19aがない場合に比べ小さくなるので、冷媒通路9aを流れる冷媒流量が同一の場合、冷媒の流速を増加させることができる。
【0040】
本実施形態では、螺旋状の仕切り板19aによって冷媒通路9aを軸方向に5分割しているので、螺旋状の仕切り板19aが無い場合と比べて同じ冷媒流量ならば5倍の冷媒流速となる。
【0041】
一般的に、内胴5から冷媒への熱伝達率は冷媒の流速が増すほど増加するため、螺旋状の仕切り板19aを入れたほうがより冷却能力が大きくなる。または、同じ冷媒流速であれば冷媒の流量を低減できるため、冷媒の搬送に要する動力を減らすことができる。
【0042】
図9は本実施形態の変形例を示し、一部が切り欠かれ不連続部分を有する環状の仕切り板19bを冷媒通路9aに挿入したものである。
この変形例では、冷媒入口10aから冷媒通路9aに流入した冷媒は、まず、環状の仕切り板19bに沿って上方に流れ、環状の仕切り板19bの切り欠き部19cから隣接する流路に流れ込み、次に下方向へ流れ、以降、同様の流れを繰り返しながら冷媒出口12aに向かう。
【0043】
このような変形例でも冷媒流速を増加させる効果は本実施形態と同様である。
なお、上述の例では仕切り板として、螺旋状、環状の場合を説明したが、冷媒の流速を増加させることができる限り、これらの例に限定するものではない。
【0044】
図11は本実施形態の異なる変形例を示し、環状の仕切り板19bと、外胴6a、整流板15、または内胴5と接する外周面に、ラビリンスシールとして溝部20を形成して、流路間で冷媒の漏れを防止するようにしたものである。
【0045】
仕切り板19bが内胴5、または外胴6a、整流板15と接している面を完全に密封できずに隙間が生じると、仕切り板19bにより隣接する流路間で冷媒の漏れが生じる。
【0046】
このような冷媒の漏れが生じると、想定した流量の冷媒が冷媒の流路に流れず、冷媒の流速が低下し、内胴5と冷媒との間の熱伝達率が低下する恐れがある。
そこで、溝部20を設けることにより、仕切り板19bと外胴6a、整流板15、または内胴5の間の隙間を通過する際の冷媒の流体抵抗が増し、仕切り板19bによって隔てられている流路間での冷媒の漏れ量を少なくできる。
【0047】
したがって、冷媒の流速は低下せず、内胴5と冷媒との間の熱伝達率が低下することを防止でき、さらに冷却効果を向上させることができる。
なお、溝部20は螺旋状の仕切り板19aやその他の形状の仕切り板であっでも設置することができる。
【0048】
以上、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に蓋板を開放し、仕切り板を除去することによって点検、または清掃が容易に行えるとともに、冷媒通路9aに仕切り板を設けることにより冷却効果をより向上させることができる。
【0049】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る回転電機の冷媒通路構造を、図12を用いて説明する。
本実施形態における回転電機の冷媒通路構造では、内胴5と、外胴6a、前側板7、後側板8、整流板15によって冷媒通路9aが構成されていることについては第1実施形態と同様である。
【0050】
本実施形態は、伝熱効果を向上させるために、第1実施形態の回転電機の冷媒通路に、金属繊維によって成形された伝熱部材21を設けた点に特徴がある。
伝熱部材21は、細線状の金属繊維を織布のように金属線同士を織って形成したり、金属線同士を絡ませて形成したりすることで柔軟性があり、冷媒通路9aの形状に合わせて円筒形状であり、その円周の一部は円筒の軸方向に切断されている。
【0051】
この伝熱部材21を図6に示すように回転電機の蓋体13を開放した開口部16aから冷媒通路9aに挿入する。
伝熱部材21は柔軟性があるので、その切断部を広げるようにして内胴5に沿って挿入し、蓋体13を元通りに固定すれば、冷媒通路9a内には伝熱部材21が収まる。
【0052】
伝熱部材21は内胴5に接しており、固定子2の熱が内胴5を通して伝熱部材21に伝導する。
このように構成された回転電機の冷媒通路9aに冷媒を流すと、冷媒は伝熱部材21の金属線の隙間を通り、その際に金属線との間でも熱伝達が行われるので、内胴5と冷媒の間でのみ熱伝達を行うよりもさらに大きな放熱効果を得ることができる。
【0053】
なお、伝熱部材21は冷媒通路9aの寸法や、作業上の都合により適宜分割してもよい。
また第2実施形態のように、冷媒通路9aに仕切り板を設けた場合には、仕切り板で仕切られた冷媒通路9aの幅に合わせて伝熱部材21を分割することができる。
【0054】
以上、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に蓋板を開放し、伝熱部材21を除去することによって点検、または清掃が容易に行えるとともに、伝熱部材21を冷媒通路9aに設置することに冷却効果をより向上することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、例えば、各実施形態の組合わせを含めて様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…筐体、2…固定子、3…巻線、4…鉄心、5…内胴、6,6a…外胴、6b…開口部、6c…固定部、7…前側板、8…後側板、9,9a…冷媒通路、10,10a…冷媒入口、11…ヘッダー、12,12a…冷媒出口、13…蓋体、14…ボルト、15…整流板、16…整流板支持部、17…空間、18…冷媒抜き穴、19a…仕切り部材(螺旋状)、19b…仕切り部材(環状)、19c…切り欠き部、20…溝部、21…伝熱部材、22…取付座、23…フランジ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の内胴と、前記内胴に対し下半部が所定の間隙を介して配置された断面U字状の外胴と、前記内胴及び外胴の両端部に配置された前側板及び後側板と、前記外胴の開口部を開閉自在に覆う蓋体と、前記蓋体の下面に取付けられるとともに、前記内胴に対し前記所定の間隙を介して配置された円弧状の整流板とを備え、前記所定の間隙からなる通路に冷媒を供給することを特徴とする回転電機の冷媒通路構造。
【請求項2】
前記整流板は整流板支持部を介して前記蓋体に取付けられたことを特徴とする請求項1に記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項3】
前記整流板支持部に冷媒抜き穴を設けたことを特徴とする請求項2に記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項4】
前記冷媒通路に螺旋状の仕切り部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項5】
前記仕切り部材は切り欠き部を形成したことを特徴とする請求項4に記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項6】
前記仕切り部材は外周面に溝部を形成したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項7】
前記冷媒通路に伝熱部材を挿入したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項8】
前記蓋体上面にエア抜き用フランジを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項1】
円筒状の内胴と、前記内胴に対し下半部が所定の間隙を介して配置された断面U字状の外胴と、前記内胴及び外胴の両端部に配置された前側板及び後側板と、前記外胴の開口部を開閉自在に覆う蓋体と、前記蓋体の下面に取付けられるとともに、前記内胴に対し前記所定の間隙を介して配置された円弧状の整流板とを備え、前記所定の間隙からなる通路に冷媒を供給することを特徴とする回転電機の冷媒通路構造。
【請求項2】
前記整流板は整流板支持部を介して前記蓋体に取付けられたことを特徴とする請求項1に記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項3】
前記整流板支持部に冷媒抜き穴を設けたことを特徴とする請求項2に記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項4】
前記冷媒通路に螺旋状の仕切り部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項5】
前記仕切り部材は切り欠き部を形成したことを特徴とする請求項4に記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項6】
前記仕切り部材は外周面に溝部を形成したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項7】
前記冷媒通路に伝熱部材を挿入したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された回転電機の冷媒通路構造。
【請求項8】
前記蓋体上面にエア抜き用フランジを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された回転電機の冷媒通路構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−253874(P2012−253874A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123457(P2011−123457)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000195959)西芝電機株式会社 (172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000195959)西芝電機株式会社 (172)
【Fターム(参考)】
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