回転電機
【課題】回転電機本体を収容するケーシング内外のシール性を簡易な構造で確保するとともに、組み付け性を向上し、かつ高圧部と低圧部との間の沿面距離を増加させた回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機本体40の電源端子92をボルト82により端子台60に締結した後、カバー部材80をケーシング46に装着することで、開口部78がシール部80cによりシールされる。シール時に電力線30の端子120とバスバー110とをケーシング46の外部で締結して導電させるナット104がケーシング46に自動的に配置される。バスバー110の組み付け後の状態において、ナット104の導電部P(高圧部)と、ケーシング46の導電部Q(接地電位)との間の沿面距離Dcが、ボルト122の締結時における応力を分散する除肉凹部96の沿面距離分長くなる。
【解決手段】回転電機本体40の電源端子92をボルト82により端子台60に締結した後、カバー部材80をケーシング46に装着することで、開口部78がシール部80cによりシールされる。シール時に電力線30の端子120とバスバー110とをケーシング46の外部で締結して導電させるナット104がケーシング46に自動的に配置される。バスバー110の組み付け後の状態において、ナット104の導電部P(高圧部)と、ケーシング46の導電部Q(接地電位)との間の沿面距離Dcが、ボルト122の締結時における応力を分散する除肉凹部96の沿面距離分長くなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動機又は発電機として動作する回転電機(モータジェネレータ)に関し、特に、電力変換器からの電力線と、ケーシングの内部に収容される回転電機本体の電源端子との間を電気的に接続する導電部材が、前記ケーシングの内部に固定される構造を有する回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1の図2に示すように、固定子コイル(10)に接続された電源端子と、電力変換器から電力が供給されるハーネス(端子)(6)に一端が締結されたバスバー状のターミナル(9)の他端と、の間をボルト(11a)により締結して導通させる導電部構造を有する回転電機(2)が提案されている。
【0003】
また、特許文献2の図2及び図3には、回転電機を収容するモータケース(21)に貫通孔(22)を設け、当該貫通孔(22)に、モータケース(21)内部の回転電機本体の端子(電源端子)(14)に連結されたバスバー(71)と、モータケース(21)外部のインバータ(130)からのパワーケーブル(電力線)(51)に接続された端子(52)と、を接続するための略円柱状の端子台(31)が装着された回転電機が提案されている。
【0004】
この場合、端子台(31)の外周側はモータケース(21)との絶縁をとるため円筒状の樹脂部(34)とされ、端子台(31)の内周側は円柱状の金属部(32)とされている。前記円柱状を呈する前記金属部(32)の上面は、軸方向にネジ溝が設けられた台座部とされている。前記台座部に電力線(51)に接続された端子(52)が重ねられ、ボルト(83)がモータケース(21)の外側から内側に向かって前記台座部の前記ネジ溝に螺合されることで、前記電力線(51)に接続された端子(52)が前記端子台(31)に締結される。そして、さらに、モータケース(21)の内部への異物の侵入を防止するため、端子台(31)の樹脂部(34)の円筒状部の外周面と貫通孔(22)の周面との間に樹脂(26)が充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−153891号公報
【特許文献2】特開2008−148409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、モータ外部からの電力線の端子と回転電機本体の電源端子とを、端子台において電気的に接続する際、電力線の端子の着脱を考慮するとともに、組み付け性の簡易性を考慮すると、電力線の端子と端子台を締結するボルトは、ケーシングの外側から内側に向かって締結されることが好ましい。
【0007】
しかしながら、特許文献1に係る回転電機では、固定子コイルに接続された電源端子、すなわち回転電機本体の電源端子と、電力変換器から電力が供給される端子との間に、ケーシングの内部からボルトを挿通し、ナットにより外部から締結する構造となっているために、組み付け性が悪いという課題がある。
【0008】
これに対して、特許文献2に係る回転電機では、ボルトがケーシングの外側から内側に向かって締結される構造であるので、ボルト自体の組み付け性は良好と思量されるが、電力線の端子から、端子台、バスバー及び回転電機本体の電源端子までの導電部構造(電力部接続構造)が複雑であり、さらにケーシングの内外を樹脂充填によりシールするので、トータルの組み付け時間が長くかかるという課題がある。
【0009】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、回転電機本体を収容するケーシングの内外のシール性を簡易な構造で確保するとともに、組み付け性を向上し、かつ電圧印加部(高圧部)とケーシング電位(低圧部であって、通常、接地電位)との間の絶縁物の表面に沿う最短距離である沿面距離を増加することを可能とする回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る回転電機は、電力変換器からの電力線と、ケーシングの内部に収容される回転電機本体の電源端子との間を電気的に接続する導電部材が、前記ケーシングの内部に固定される構造を有する回転電機であって、以下の特徴(1)〜(5)を有する。
【0011】
(1)前記回転電機本体の前記電源端子が載せられる前記導電部材の一部からなる第1台座部材と、前記第1台座部材に載せられた前記電源端子を、前記第1台座部材に係合して締結する第1締結部材と、前記ケーシングの内部と外部を連通し、前記第1締結部材を、前記第1台座部材への係合位置まで挿通可能な前記ケーシングに設けられた開口部と、前記開口部をシールするシール部を有するとともに、シール時に前記導電部材の他部が載せられる第2台座部材が設けられたカバー部材と、を備え、前記カバー部材の前記ケーシングの内部側のシール部と前記第2台座部材との間に凹部を設けたことを特徴とする。
【0012】
この特徴(1)を有する発明によれば、第1締結部材を第1台座部材まで開口部を挿通させ、前記第1締結部材により回転電機本体の電源端子と、導電部材の一部と、を締結した後、前記開口部をシールするシール部を有するカバー部材をケーシングに取り付けることで、前記開口部が前記シール部によりシールされるとともに、シール時に前記導電部材の他部が載せられる前記カバー部材中の第2台座部材が前記ケーシングに配置されるので、回転電機本体を収容するケーシングの内外のシール性が簡易な構造で確保されて、組み付け工程が簡略化され、ケーシング内外の導電部構造に係る部品点数を低減することができるとともに、組み付け性を向上し、かつ高圧が印加される前記第2台座部材(高圧部)と前記ケーシング(低圧部であって、通常、接地電位)との間の沿面距離の経路に前記凹部が設けられることになるので、凹部形状に沿う沿面距離分、全体の沿面距離(高圧部と低圧部との間の絶縁物の表面に沿う最短距離)を長くすることができる。
【0013】
(2)上記の特徴(1)を有する発明において、前記第2台座部材と前記導電部材の他部とは、雄ねじ部材及び雌ねじ部材による螺合により結合され、前記凹部は、前記雄ねじ部材及び(又は)前記雌ねじ部材の回転方向に沿って孤形状に形成されることを特徴とする。
【0014】
この特徴(2)を有する発明では、前記凹部は、前記第2台座部材と前記導電部材の他部とを螺合により結合する雄ねじ部材及び雌ねじ部材に対して、前記雄ねじ部材及び(又は)前記雌ねじ部材の回転方向に沿って孤形状に形成されているので、雌ねじ部材を支持する部位にかかる応力により孤形状が変形し、孤形状が変形すると雌ねじ部材を支持する部位の応力が分散される。
【0015】
(3)上記の特徴(2)を有する発明において、前記導電部材は、端子台と、前記端子台に一端部が連結されたバスバーとからなり、前記導電部材の前記一部からなる第1台座部材が、前記端子台とされ、前記導電部材の前記他部が、他端部が前記第2台座部材に載せられる前記バスバーとされたことを特徴とする。
【0016】
この特徴(3)を有する発明では、導電部材の一部からなる第1台座部材を、端子台とし、前記導電部材の他部を、他端部が前記第2台座部材に配されるバスバーとしたので、ケーシングの内部で、第1締結部材により前記回転電機本体の電源端子と端子台とが連結された後、カバー部材がケーシングに取り付けられると、前記バスバーの他端部が前記第2台座部材に位置決めされた状態で、前記端子台にバスバーの一端部を連結することができるので、組み付け工数を低減できる。
【0017】
(4)上記の特徴(3)を有する発明において、前記第1締結部材は、ボルトであり、前記端子台には、前記ケーシングに設けられた前記開口部を臨む位置に前記ボルトが締結されるネジ溝が形成され、前記端子台の前記ネジ溝に前記電源端子が重ねられ、前記ボルトのネジ部が前記開口部を挿通して前記ネジ溝に螺合されることにより前記端子台と前記電源端子とが締結されたことを特徴とする。
【0018】
この特徴(4)を有する発明によれば、ネジ溝が形成された端子台に電源端子がボルトにより締結されるので、締結構造を簡易にできる。
【0019】
(5)上記の特徴(4)を有する発明において、前記第2台座部材は、前記カバー部材に前記雌ねじ部材が取り付けられたインサートナットであり、前記インサートナットに、前記バスバーの前記他端部と、前記電力変換器からの電力線の端部に設けられた端子とが重ねられ、前記雄ねじ部材としての他のボルトが前記インサートナットに螺合されることにより前記電力線の前記端子と前記バスバーの他端部が締結されたことを特徴とする。
【0020】
この特徴(5)を有する発明によれば、回転電機の電源端子がケーシングの開口部から挿通されたボルトにより端子台に締結された後、ケーシングにカバー部材が装着され、さらに、端子台にバスバーの一端部が締結され、前記バスバーの他端部と前記電力線の端子が前記カバー部材のインサートナットに重ねられて他のボルトにより締結されることで、回転電機の電源端子と電力線とを簡易な構造で、かつ良好な組み付け性のもと、電気的に接続することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、第1締結部材をケーシングに設けられた開口部から第1台座部材まで挿通させ、前記第1締結部材により回転電機本体の電源端子と、導電部材の一部と、を締結した後、前記開口部をシールするシール部を有するカバー部材をケーシングに取り付けることで、前記開口部が前記シール部によりシールされるとともに、シール時に前記導電部材の他部が配される前記カバー部材中の第2台座部材が前記ケーシングに配置されるので、回転電機本体を収容するケーシングの内外のシール性を簡易な構造で確保するとともに、組み付け性を向上し、かつ高圧が印加される前記第2台座部材(高圧部)と前記ケーシング(低圧部であって、通常、接地電位)との間の沿面距離の経路に前記凹部が設けられることになるので、凹部形状に沿う沿面距離分、沿面距離を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この実施形態に係る回転電機が車体に搭載された、車両の模式的平面図である。
【図2】図1に示した車両の模式的側面図である。
【図3】回転電機(モータ)のケーシングを説明するための正面図である。
【図4】回転電機(モータ)の一部切欠一部断面正面図である。
【図5】図4中、導電部構造を含む部分の一部省略拡大断面図である。
【図6】ケーシングに設けられた開口部をシールするカバー部材を表側からみた斜視図である。
【図7】カバー部材を裏側からみた斜視図である。
【図8】除肉凹部に対応する除肉形状立体の斜視図である。
【図9】ボルトにより端子台に端子を締結した状態を示す一部切欠拡大断面図である。
【図10】高圧部と低圧部との間の沿面距離の増加の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、この実施形態に係る回転電機10{モータ(電動機)又はジェネレータ(発電機)として機能する。以下、理解の便宜のためモータともいう。}が車体12に搭載された、前輪14と後輪16とを備える4輪の車両18(電気車両)の模式的平面図を示している。図2は、車両18の模式的側面図を示している。
【0025】
車両18の図示しない座席下の床下にはバッテリ20が配置されている。車両18のダッシュボードロアパネル22より前方のモータルーム24には、モータ10と電力変換器26が搭載され、モータ10の回転軸の回転が左右前輪14を回転する車軸29に伝達されるようになっている。
【0026】
モータ10の鉛直上方に搭載される電力変換器26とバッテリ20との間には直流の2本の電力線28が接続され、電力変換器26とモータ10との間には、交流3相の3本の電力線30が接続されている。
【0027】
モータ10の力行時には、バッテリ20から電力線28、電力変換器26、及び電力線30を通じてモータ10に電力が供給される一方、モータ10がジェネレータとして機能する回生時には、モータ10から電力線30、電力変換器26、及び電力線28を通じてバッテリ20が充電される。
【0028】
電力変換器26は、マイクロコンピュータを有する制御器と、この制御器により制御されるインバータ(電力変換器本体)とを備える。
【0029】
図3は、モータ10のケーシング32(モータケース)を説明するための正面図(車両18の前方から見た図)を示している。ケーシング32は、2分割されるミッションケーシング34a、34b(ミッションケース)と、センタケーシング42(センタケース)と、左側ケーシング46(左側ケースであって、単に、ケーシング46ともいう。)と、を含む。
【0030】
ミッションケーシング34a、34bは、モータ10の回転軸の回転を車軸29に伝達するミッション(モータ10の回転軸の回転を変速するギア機構及びデファレンシャルギアを含む。)を収容する。センタケーシング42は、回転電機本体40(モータ本体)を収容する。左側ケーシング46は、回転電機本体40の3相の各コイル48と電力変換器26からの3相の各電力線30とをそれぞれ電気的に接続する導電部構造44(接続部)を収容する。
【0031】
左側ケーシング46に収容される導電部構造44の、電力変換器26との接続側は、左側ケーシング46に締結されるカバー49により覆われる。
【0032】
回転電機本体40は、コイル48(絶縁被覆電線)が巻回される固定子50と、永久磁石が固定される回転子52とを含む。3相分のコイル48の端部が引き出され導電部構造44の回転電機本体40側で接続される。
【0033】
ミッションケーシング34a、34b、センタケーシング42及び左側ケーシング46は、回転電機本体40がセンタケーシング42内に収容された状態で所定のボルトにより締結される。
【0034】
図4は、モータ10の一部切欠断面正面図を示している。
【0035】
図5は、図4中、導電部構造44を含む部分の一部省略拡大断面図を示している。
【0036】
導電部構造44は、基本的には、導電部材45と位置決め部材54とを含む。導電部材45は、端子台60(第1台座部材)とバスバー110とから構成される。位置決め部材54は、金属製の端子台60とこの端子台60を囲繞してケーシング46から絶縁保持する絶縁部材56(カラー部材ともいう。)とから構成される。
【0037】
この実施形態において、端子台60は、導電部材45の一部を構成し、バスバー110は、導電部材45の他部を構成している。
【0038】
導電部構造44の回転電機本体40側で、コイル48に接続されている電源端子92がボルト82(第1締結部材)により端子台60に締結される。また、導電部構造44の中間部で、端子台60にバスバー110の一端部110aがボルト116により締結される。さらに、導電部構造44の電力変換器26側で、バスバー110の他端部110bがボルト122とナット104により電力線30の端子120と共締めされる。このようにして、電力変換器26からの電力線30と回転電機本体40からのコイル48とが導電部構造44を中継して電気的に接続される。この意味から端子台60やナット104を含む導電部構造44は、中継構造(中継端子構造)ともいえる。
【0039】
端子台60は、直方体状の台座部60aと、この台座部60aの一端部側に拡開して形成された略円筒状のフランジ部60bとを備える。端子台60のフランジ部60bの外周面にはOリング62が嵌め込まれる。
【0040】
台座部60a(の座面)には、この座面に直交する方向にネジ溝60cが形成されている。フランジ部60b(の座面)にも、この座面に直交する方向にネジ溝60dが形成されている。
【0041】
絶縁部材56は、ネジ溝60cに締結されるボルト82を挿通するための開口部56aが設けられた円筒部56b(筒部)と、この円筒部56bの底面側に連なりフランジ部60bの座面を囲うU字状部56cとを含む。絶縁部材56の円筒部56bの外周部には、Oリング64が嵌め込まれている。
【0042】
図6は、カバー部材80を表側(ケーシング46の外側)からみた斜視図を示している。
【0043】
図7は、カバー部材80を裏側(ケーシング46の内側)からみた斜視図を示している。
【0044】
図6、図7に示すように、樹脂成型品として一体成型されるカバー部材80は、ベースプレート部80aを有し、このベースプレート部80aの表面部80Sに台座部80bが形成され、裏面部80Rにシール部80cが形成されている。
【0045】
ベースプレート部80aのシール部80cに、ケーシング46に設けられた詳細を後述する各開口部78に嵌る各円筒部80dが突出している。各円筒部80dの外周には、それぞれ、シールのためのOリング99(図5参照)が嵌め込まれる溝80eが形成されている。
【0046】
ベースプレート部80aの表面部80S側に、ナット104(第2台座部材)がインサートされた円筒部80fが突出している。各円筒部80fにナット104がインサートされることでバスバー110の他端部110bを位置決めする台座部80bが形成される(図6参照)。ベースプレート部80aの長手方向の両端には、円筒部80f側に屈曲するガイド80gが設けられている。ナット104は、インサートナットであり、カバー部材80を樹脂成形する際に同時成型してもよく、樹脂成形後に圧入してもよい。
【0047】
ベースプレート部80aの略中央部に設けられた2つの孔部には、カバー部材80をボルト112(図5参照)により左側ケーシング46に締結する際に挿通されるブッシュ114が取り付けられている。
【0048】
カバー部材80の裏面部80Rには、除肉凹部96(凹部)が3個所形成されている。
【0049】
図8は、図7に示した除肉凹部96の形状を理解し易く視認させるために拡大した除肉形状立体94の斜視図である。
【0050】
この除肉形状立体94に対応して、カバー部材80の裏面部80Rに除肉凹部96が形成される。すなわち、樹脂製のベースプレート部80aの裏面部80Rから除肉形状立体94を取り除くことで(除肉することで)、カバー部材80の裏面部80Rには除肉凹部96が形成される。実際上は、カバー部材80を樹脂成型する際に、除肉凹部96が一体的に成型される。
【0051】
除肉凹部96は、カバー部材80の裏面部80R(ケーシング46の内部側)のシール部80cと台座部80bとの間に設けられている。除肉凹部96は、ナット104がインサートされた円筒部80fの同心円上に、略半円の略円弧形状(略リング片状)に形成される。
【0052】
すなわち、除肉凹部96は、ナット104のねじ溝に螺合するボルト122の回転方向に沿って、略180度分、弧状の溝として形成される。
【0053】
図5に示すように、端子台60を保持した絶縁部材56である位置決め部材54が、左側ケーシング46の外側から左側ケーシング46の対応する開口部72に圧入された後、ボルト76が左側ケーシング46に設けられた図に現れないネジ溝に螺合されることで、位置決め部材54が左側ケーシング46に固定される。
【0054】
左側ケーシング46に位置決め部材54が固定されると、位置決め部材54に設けられたOリング62、64により、左側ケーシング46に設けられた開口部72の内外が水密にシールされる(水密性が得られる)。
【0055】
回転電機本体40の3相のコイル48の端部側のコイル48(絶縁被覆電線であって電力線)の端部には、それぞれ圧着端子である電源端子92が取り付けられている。
【0056】
図5に示すように、端子台60の台座部60aの座面のネジ溝60cの部分に電源端子92の先端の孔部が重ねられる(載せられる)ことで電源端子92が位置決め部材54に位置決めされる。
【0057】
図9は、カバー部材80がケーシング46に取り付けられていない状態の一部省略拡大断面図である。
【0058】
図9の状態において、ボルト82がケーシング46に設けられた開口部78から挿通され、台座部60aのネジ溝60cにボルト82のネジ部が螺合されることで、端子台60に電源端子92が締結され、電気的な導通が取られる。
【0059】
この実施形態において、ボルト82は、座金組み込み六角穴付きボルトを用いているが、座金組み込み六角ボルトでもよい。
【0060】
電源端子92が位置決め部材54を構成する端子台60に対してボルト82により締結された図9に示す組み付け状態において、図7のカバー部材80の円筒部80dを開口部78に指向させ、円筒部80dの外周面が開口部78に嵌るようにしてカバー部材80をケーシング46に装着した後、図5に示したように、カバー部材80をボルト112によりケーシング46に締結する。
【0061】
カバー部材80がケーシング46に締結された状態においては、ケーシング46の開口部78がシール部80cによりシールされるとともに、開口部78の周壁がOリング99により水密にシールされる。
【0062】
ケーシング46に位置決め部材54が取り付けられ、ボルト82により電源端子92が端子台60に締結され、さらに、カバー部材80がケーシング46に取り付けられた状態において、カバー部材80の台座部80bにバスバー110の他端部110bを位置決めするとともに、位置決め部材54中、U字状部56cに囲まれたネジ溝60cが形成されたフランジ部60bの座面にバスバー110の一端部110aを重ねて位置決めした状態で、バスバー110の当該一端部110aをボルト116により締結する(図5参照)。
【0063】
バスバー110の一端部110aがボルト116により締結された組み付け状態において、バスバー110の他端部110b上に、電力線30の端部に接続された圧着端子である端子120を重ねて位置決めし、ボルト122のネジ部をナット104に螺合させることで、バスバー110の他端部110bと電力線30が固着された端子120とが締結される。
【0064】
ボルト122のネジ部をナット104のネジ部に螺合させたときに、ナット104を囲む(支持する)円筒部80f(の特に内周部)にねじり応力がかかる。ナット104のネジ部に同心的に除肉凹部96を設けているので、ねじり応力がかかったときに、除肉凹部96が弾性変形する。除肉凹部96の弾性変形によりナット104を囲む(支持する)円筒部80fにかかっているねじり応力が分散される。すなわち、ナット104を支持する部位の応力が分散されるので、カバー部材80の円筒部80fの(最低)強度が上がる。
【0065】
電力線30は、ケーシング46の開口部115に装着された弾力性のあるブッシュ118により水密にシールされる。
【0066】
この後、カバー49がボルト152により締結されることで、回転電機10の内外の電気的接続が完了する。
【0067】
ここで、図5、図9に示すように、カバー部材80の各円筒部80dの外周面が嵌り込む左側ケーシング46の上部側には、開口部78が設けられ、この開口部78から左側ケーシング46の内部側に突出する障害部材130が、左側ケーシング46に一体的に設けられている。
【0068】
障害部材130は、開口部78から下側に隆起するように左側ケーシング46に一体的に円筒状部として形成されている。障害部材130は、全体を円筒状部に形成することに限らず、突出先端側を櫛形状部等として形成することができる。
【0069】
実際上、車両18は、電費(内燃機関車両の燃費に対応する。)の向上のために、グラム単位での軽量化がポイントとなるため、円筒状部を櫛形状部等とすることに意義がある。
【0070】
この実施の形態では、障害部材130を左側ケーシング46と一体に鋳造により製作しているが別体としてもよい。
【0071】
開口部78(貫通孔)を形成するこの障害部材130の上部側の内周面に前記カバー部材80の円筒部80dの外周部が嵌り込み、Oリング99により、左側ケーシング46の内部側(回転電機本体40側)と、外部側(電力変換器26側)が水密にシールされる。Oリング99が嵌り込む障害部材130の上部側(基部側)の内周面は、円筒内面である必要がある。前記の櫛形状部は、この円筒内面の下部側(突出側)に形成すればよい。
【0072】
位置決め部材54に臨む障害部材130の先端部131と位置決め部材54の直近点97との間の間隔Cは、ボルト82の座面径φ未満の距離に設定される(C<φ)。なお、ボルト82が座金組み込み六角穴付きボルトである場合には、前記座面径φは、前記座金径φaとなるが、余裕を見て、間隔Cは、ボルト82本体の座面径φ未満の距離に設定することが好ましい。
【0073】
このように設定すれば、ボルト82の締結時(図9参照)等に、ボルト82が、間隔Cを通過して、図4に矢印付き点線で例を示したボルト落下経路210を通じて、回転電機本体40側に落下することが防止される。
【0074】
[実施形態のまとめ]
上述した実施形態に係る回転電機10は、電力変換器26からの電力線30とケーシング32(センタケーシング42)の内部に収容される回転電機本体40の電源端子92との間を電気的に接続する導電部材45(端子台60、バスバー110)が、ケーシング32(左側ケーシング46)の内部に固定される構造を有する回転電機10であって、回転電機本体40の電源端子92が載せられる端子台60(導電部材45の一部からなる第1台座部材)と、端子台60(第1台座部材)に載せられた電源端子92を、端子台60(第1台座部材)に係合して締結するボルト82(第1締結部材)と、ケーシング46の内部と外部を連通し、ボルト82(第1締結部材)を端子台60(第1台座部材)まで挿通可能なケーシング46に設けられた開口部78と、開口部78をシールするシール部80cを有するとともに、シール時に導電部材45(バスバー110、端子台60)の他部(バスバー110)が載せられるナット104(第2台座部材)が設けられたカバー部材80と、を備え、カバー部材80のケーシング46の内部側のシール部80cとナット104(第2台座部材)との間に除肉凹部96を設けている。
【0075】
この回転電機10によれば、ケーシング46の外からボルト82(第1締結部材)を端子台60(第1台座部材)まで開口部78を挿通させ、ボルト82により回転電機本体40の電源端子92を端子台60(第1台座部材)に締結した後、開口部78をシールするシール部80cを有するカバー部材80をケーシング46に装着することで、開口部78がシール部80cによりシールされる(ケーシング46の内外が水密とされる)とともに、シール時に電力変換器26からの電力線30とバスバー110(導電部材45の他部)と、をケーシング46の外部で締結して導電させるカバー部材80中のナット104(第2台座部材)がケーシング46に自動的に配置されるので、回転電機本体40を収容するケーシング46の内外のシール性が簡易な構造で確保されるとともに、組み付け工程が簡略化され、ケーシング46内外の導電部構造44に係る部品点数を低減することができるとともに、組み付け性を向上する。
【0076】
図10に示す組み付け後の状態において、電力線30の端子120(力行時)又はバスバー110(回生時)から高圧がボルト122を通じて印加されるナット104の導電部P(電圧印加部:高圧部)と、ケーシング46の内部側に突出している障害部材130の導電部Q(接地電位:ケーシング電位)との間の太い一点鎖線でしめす沿面距離Dcが、除肉凹部96の沿面距離分長くなるので、電圧印加部(高圧部)とケーシング電位(低圧部であって、通常、接地電位)との間の絶縁物の表面に沿う最短距離である沿面距離を増加させることができる。
【0077】
この場合において、除肉凹部96は、ナット104(第2台座部材)とバスバー110(導電部材の他部)とを螺合により結合するボルト122(雄ねじ部材)及びナット104(雌ねじ部材)に対して、ボルト122(雄ネジ部材)の回転方向に沿って孤形状に形成されているので、ナット104(雌ねじ部材)を支持する円筒部80f(部位)にかかる応力により除肉凹部96(孤形状)が変形し、除肉凹部96(孤形状)が変形するとナット104(雌ねじ部材)を支持する円筒部80f(部位)にかかる応力が分散される。
【0078】
前記の導電部材45は、端子台60と、端子台60に連結されたバスバー110とからなり、導電部材45の前記一部からなる前記第1台座部材が端子台60とされ、導電部材45の前記他部が、他端部110bがナット104(第2台座部材)に載せられる前記バスバー110とされることが好ましい。この構成によれば、ケーシング46の内部で、ボルト82(第1締結部材)により回転電機本体40の電源端子92と端子台60とが連結され、さらに、この端子台60にバスバー110の一端部110aが連結されると、バスバー110の他端部110bがケーシング46の外部に配置されることとなる。
【0079】
さらに、前記第1締結部材は、ボルト82であり、端子台60には、ケーシング46に設けられた開口部78を臨む位置にボルト82が締結されるネジ溝60cが形成され、端子台60のネジ溝60cに電源端子92が重ねられ、ボルト82のネジ部が開口部78を挿通してネジ溝60cに螺合されることにより端子台60と電源端子92とが締結されることとなる。電源端子92が端子台60にボルト82により締結されるので、締結構造を簡易にできる。
【0080】
さらにまた、前記第2台座部材としてのナット104は、カバー部材80に雌ねじ部材として取り付けられたインサートナットとし、このインサートナットであるナット104に、バスバー110の他端部110bと、電力変換器26からの電力線30の端部に設けられた端子120とが重ねられ、雄ねじ部材としての他のボルト122がインサートナットであるナット104に螺合されることにより電力線30の端子120とバスバー110の他端部110bがナット104にボルト122により締結される。この構造によれば、回転電機10の電源端子92と電力線30とを簡易な構造かつ良好な組み付け性のもとに電気的に接続することができる。上述したように、ナット104は、カバ−部材80を樹脂成形する際に同時成型(一体成形)することができるので、ナット104(第2台座部材)及びシール部80c付きカバー部材80となるので部品点数を低減することができる。なお、ナット104を樹脂成形後に圧入するようにすれば、圧入された後のカバー部材80を一部品として管理することができる。
【0081】
この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0082】
10…回転電機 26…電力変換器
30…電力線
32、34a、34b、42、46…ケーシング
40…回転電機本体 45…導電部材
54…位置決め部材 56…絶縁部材(カラー部材)
60…端子台 78…開口部
80…カバー部材 80a…ベースプレート部
80b…台座部 80c…シール部
80d、80f…円筒部 80e…溝
80R…裏面部 80S…表面部
82、122…ボルト 92…電源端子
94…除肉形状立体 96…除肉凹部
104…ナット 130…障害部材
Dc…沿面距離
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動機又は発電機として動作する回転電機(モータジェネレータ)に関し、特に、電力変換器からの電力線と、ケーシングの内部に収容される回転電機本体の電源端子との間を電気的に接続する導電部材が、前記ケーシングの内部に固定される構造を有する回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1の図2に示すように、固定子コイル(10)に接続された電源端子と、電力変換器から電力が供給されるハーネス(端子)(6)に一端が締結されたバスバー状のターミナル(9)の他端と、の間をボルト(11a)により締結して導通させる導電部構造を有する回転電機(2)が提案されている。
【0003】
また、特許文献2の図2及び図3には、回転電機を収容するモータケース(21)に貫通孔(22)を設け、当該貫通孔(22)に、モータケース(21)内部の回転電機本体の端子(電源端子)(14)に連結されたバスバー(71)と、モータケース(21)外部のインバータ(130)からのパワーケーブル(電力線)(51)に接続された端子(52)と、を接続するための略円柱状の端子台(31)が装着された回転電機が提案されている。
【0004】
この場合、端子台(31)の外周側はモータケース(21)との絶縁をとるため円筒状の樹脂部(34)とされ、端子台(31)の内周側は円柱状の金属部(32)とされている。前記円柱状を呈する前記金属部(32)の上面は、軸方向にネジ溝が設けられた台座部とされている。前記台座部に電力線(51)に接続された端子(52)が重ねられ、ボルト(83)がモータケース(21)の外側から内側に向かって前記台座部の前記ネジ溝に螺合されることで、前記電力線(51)に接続された端子(52)が前記端子台(31)に締結される。そして、さらに、モータケース(21)の内部への異物の侵入を防止するため、端子台(31)の樹脂部(34)の円筒状部の外周面と貫通孔(22)の周面との間に樹脂(26)が充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−153891号公報
【特許文献2】特開2008−148409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、モータ外部からの電力線の端子と回転電機本体の電源端子とを、端子台において電気的に接続する際、電力線の端子の着脱を考慮するとともに、組み付け性の簡易性を考慮すると、電力線の端子と端子台を締結するボルトは、ケーシングの外側から内側に向かって締結されることが好ましい。
【0007】
しかしながら、特許文献1に係る回転電機では、固定子コイルに接続された電源端子、すなわち回転電機本体の電源端子と、電力変換器から電力が供給される端子との間に、ケーシングの内部からボルトを挿通し、ナットにより外部から締結する構造となっているために、組み付け性が悪いという課題がある。
【0008】
これに対して、特許文献2に係る回転電機では、ボルトがケーシングの外側から内側に向かって締結される構造であるので、ボルト自体の組み付け性は良好と思量されるが、電力線の端子から、端子台、バスバー及び回転電機本体の電源端子までの導電部構造(電力部接続構造)が複雑であり、さらにケーシングの内外を樹脂充填によりシールするので、トータルの組み付け時間が長くかかるという課題がある。
【0009】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、回転電機本体を収容するケーシングの内外のシール性を簡易な構造で確保するとともに、組み付け性を向上し、かつ電圧印加部(高圧部)とケーシング電位(低圧部であって、通常、接地電位)との間の絶縁物の表面に沿う最短距離である沿面距離を増加することを可能とする回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る回転電機は、電力変換器からの電力線と、ケーシングの内部に収容される回転電機本体の電源端子との間を電気的に接続する導電部材が、前記ケーシングの内部に固定される構造を有する回転電機であって、以下の特徴(1)〜(5)を有する。
【0011】
(1)前記回転電機本体の前記電源端子が載せられる前記導電部材の一部からなる第1台座部材と、前記第1台座部材に載せられた前記電源端子を、前記第1台座部材に係合して締結する第1締結部材と、前記ケーシングの内部と外部を連通し、前記第1締結部材を、前記第1台座部材への係合位置まで挿通可能な前記ケーシングに設けられた開口部と、前記開口部をシールするシール部を有するとともに、シール時に前記導電部材の他部が載せられる第2台座部材が設けられたカバー部材と、を備え、前記カバー部材の前記ケーシングの内部側のシール部と前記第2台座部材との間に凹部を設けたことを特徴とする。
【0012】
この特徴(1)を有する発明によれば、第1締結部材を第1台座部材まで開口部を挿通させ、前記第1締結部材により回転電機本体の電源端子と、導電部材の一部と、を締結した後、前記開口部をシールするシール部を有するカバー部材をケーシングに取り付けることで、前記開口部が前記シール部によりシールされるとともに、シール時に前記導電部材の他部が載せられる前記カバー部材中の第2台座部材が前記ケーシングに配置されるので、回転電機本体を収容するケーシングの内外のシール性が簡易な構造で確保されて、組み付け工程が簡略化され、ケーシング内外の導電部構造に係る部品点数を低減することができるとともに、組み付け性を向上し、かつ高圧が印加される前記第2台座部材(高圧部)と前記ケーシング(低圧部であって、通常、接地電位)との間の沿面距離の経路に前記凹部が設けられることになるので、凹部形状に沿う沿面距離分、全体の沿面距離(高圧部と低圧部との間の絶縁物の表面に沿う最短距離)を長くすることができる。
【0013】
(2)上記の特徴(1)を有する発明において、前記第2台座部材と前記導電部材の他部とは、雄ねじ部材及び雌ねじ部材による螺合により結合され、前記凹部は、前記雄ねじ部材及び(又は)前記雌ねじ部材の回転方向に沿って孤形状に形成されることを特徴とする。
【0014】
この特徴(2)を有する発明では、前記凹部は、前記第2台座部材と前記導電部材の他部とを螺合により結合する雄ねじ部材及び雌ねじ部材に対して、前記雄ねじ部材及び(又は)前記雌ねじ部材の回転方向に沿って孤形状に形成されているので、雌ねじ部材を支持する部位にかかる応力により孤形状が変形し、孤形状が変形すると雌ねじ部材を支持する部位の応力が分散される。
【0015】
(3)上記の特徴(2)を有する発明において、前記導電部材は、端子台と、前記端子台に一端部が連結されたバスバーとからなり、前記導電部材の前記一部からなる第1台座部材が、前記端子台とされ、前記導電部材の前記他部が、他端部が前記第2台座部材に載せられる前記バスバーとされたことを特徴とする。
【0016】
この特徴(3)を有する発明では、導電部材の一部からなる第1台座部材を、端子台とし、前記導電部材の他部を、他端部が前記第2台座部材に配されるバスバーとしたので、ケーシングの内部で、第1締結部材により前記回転電機本体の電源端子と端子台とが連結された後、カバー部材がケーシングに取り付けられると、前記バスバーの他端部が前記第2台座部材に位置決めされた状態で、前記端子台にバスバーの一端部を連結することができるので、組み付け工数を低減できる。
【0017】
(4)上記の特徴(3)を有する発明において、前記第1締結部材は、ボルトであり、前記端子台には、前記ケーシングに設けられた前記開口部を臨む位置に前記ボルトが締結されるネジ溝が形成され、前記端子台の前記ネジ溝に前記電源端子が重ねられ、前記ボルトのネジ部が前記開口部を挿通して前記ネジ溝に螺合されることにより前記端子台と前記電源端子とが締結されたことを特徴とする。
【0018】
この特徴(4)を有する発明によれば、ネジ溝が形成された端子台に電源端子がボルトにより締結されるので、締結構造を簡易にできる。
【0019】
(5)上記の特徴(4)を有する発明において、前記第2台座部材は、前記カバー部材に前記雌ねじ部材が取り付けられたインサートナットであり、前記インサートナットに、前記バスバーの前記他端部と、前記電力変換器からの電力線の端部に設けられた端子とが重ねられ、前記雄ねじ部材としての他のボルトが前記インサートナットに螺合されることにより前記電力線の前記端子と前記バスバーの他端部が締結されたことを特徴とする。
【0020】
この特徴(5)を有する発明によれば、回転電機の電源端子がケーシングの開口部から挿通されたボルトにより端子台に締結された後、ケーシングにカバー部材が装着され、さらに、端子台にバスバーの一端部が締結され、前記バスバーの他端部と前記電力線の端子が前記カバー部材のインサートナットに重ねられて他のボルトにより締結されることで、回転電機の電源端子と電力線とを簡易な構造で、かつ良好な組み付け性のもと、電気的に接続することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、第1締結部材をケーシングに設けられた開口部から第1台座部材まで挿通させ、前記第1締結部材により回転電機本体の電源端子と、導電部材の一部と、を締結した後、前記開口部をシールするシール部を有するカバー部材をケーシングに取り付けることで、前記開口部が前記シール部によりシールされるとともに、シール時に前記導電部材の他部が配される前記カバー部材中の第2台座部材が前記ケーシングに配置されるので、回転電機本体を収容するケーシングの内外のシール性を簡易な構造で確保するとともに、組み付け性を向上し、かつ高圧が印加される前記第2台座部材(高圧部)と前記ケーシング(低圧部であって、通常、接地電位)との間の沿面距離の経路に前記凹部が設けられることになるので、凹部形状に沿う沿面距離分、沿面距離を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この実施形態に係る回転電機が車体に搭載された、車両の模式的平面図である。
【図2】図1に示した車両の模式的側面図である。
【図3】回転電機(モータ)のケーシングを説明するための正面図である。
【図4】回転電機(モータ)の一部切欠一部断面正面図である。
【図5】図4中、導電部構造を含む部分の一部省略拡大断面図である。
【図6】ケーシングに設けられた開口部をシールするカバー部材を表側からみた斜視図である。
【図7】カバー部材を裏側からみた斜視図である。
【図8】除肉凹部に対応する除肉形状立体の斜視図である。
【図9】ボルトにより端子台に端子を締結した状態を示す一部切欠拡大断面図である。
【図10】高圧部と低圧部との間の沿面距離の増加の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、この実施形態に係る回転電機10{モータ(電動機)又はジェネレータ(発電機)として機能する。以下、理解の便宜のためモータともいう。}が車体12に搭載された、前輪14と後輪16とを備える4輪の車両18(電気車両)の模式的平面図を示している。図2は、車両18の模式的側面図を示している。
【0025】
車両18の図示しない座席下の床下にはバッテリ20が配置されている。車両18のダッシュボードロアパネル22より前方のモータルーム24には、モータ10と電力変換器26が搭載され、モータ10の回転軸の回転が左右前輪14を回転する車軸29に伝達されるようになっている。
【0026】
モータ10の鉛直上方に搭載される電力変換器26とバッテリ20との間には直流の2本の電力線28が接続され、電力変換器26とモータ10との間には、交流3相の3本の電力線30が接続されている。
【0027】
モータ10の力行時には、バッテリ20から電力線28、電力変換器26、及び電力線30を通じてモータ10に電力が供給される一方、モータ10がジェネレータとして機能する回生時には、モータ10から電力線30、電力変換器26、及び電力線28を通じてバッテリ20が充電される。
【0028】
電力変換器26は、マイクロコンピュータを有する制御器と、この制御器により制御されるインバータ(電力変換器本体)とを備える。
【0029】
図3は、モータ10のケーシング32(モータケース)を説明するための正面図(車両18の前方から見た図)を示している。ケーシング32は、2分割されるミッションケーシング34a、34b(ミッションケース)と、センタケーシング42(センタケース)と、左側ケーシング46(左側ケースであって、単に、ケーシング46ともいう。)と、を含む。
【0030】
ミッションケーシング34a、34bは、モータ10の回転軸の回転を車軸29に伝達するミッション(モータ10の回転軸の回転を変速するギア機構及びデファレンシャルギアを含む。)を収容する。センタケーシング42は、回転電機本体40(モータ本体)を収容する。左側ケーシング46は、回転電機本体40の3相の各コイル48と電力変換器26からの3相の各電力線30とをそれぞれ電気的に接続する導電部構造44(接続部)を収容する。
【0031】
左側ケーシング46に収容される導電部構造44の、電力変換器26との接続側は、左側ケーシング46に締結されるカバー49により覆われる。
【0032】
回転電機本体40は、コイル48(絶縁被覆電線)が巻回される固定子50と、永久磁石が固定される回転子52とを含む。3相分のコイル48の端部が引き出され導電部構造44の回転電機本体40側で接続される。
【0033】
ミッションケーシング34a、34b、センタケーシング42及び左側ケーシング46は、回転電機本体40がセンタケーシング42内に収容された状態で所定のボルトにより締結される。
【0034】
図4は、モータ10の一部切欠断面正面図を示している。
【0035】
図5は、図4中、導電部構造44を含む部分の一部省略拡大断面図を示している。
【0036】
導電部構造44は、基本的には、導電部材45と位置決め部材54とを含む。導電部材45は、端子台60(第1台座部材)とバスバー110とから構成される。位置決め部材54は、金属製の端子台60とこの端子台60を囲繞してケーシング46から絶縁保持する絶縁部材56(カラー部材ともいう。)とから構成される。
【0037】
この実施形態において、端子台60は、導電部材45の一部を構成し、バスバー110は、導電部材45の他部を構成している。
【0038】
導電部構造44の回転電機本体40側で、コイル48に接続されている電源端子92がボルト82(第1締結部材)により端子台60に締結される。また、導電部構造44の中間部で、端子台60にバスバー110の一端部110aがボルト116により締結される。さらに、導電部構造44の電力変換器26側で、バスバー110の他端部110bがボルト122とナット104により電力線30の端子120と共締めされる。このようにして、電力変換器26からの電力線30と回転電機本体40からのコイル48とが導電部構造44を中継して電気的に接続される。この意味から端子台60やナット104を含む導電部構造44は、中継構造(中継端子構造)ともいえる。
【0039】
端子台60は、直方体状の台座部60aと、この台座部60aの一端部側に拡開して形成された略円筒状のフランジ部60bとを備える。端子台60のフランジ部60bの外周面にはOリング62が嵌め込まれる。
【0040】
台座部60a(の座面)には、この座面に直交する方向にネジ溝60cが形成されている。フランジ部60b(の座面)にも、この座面に直交する方向にネジ溝60dが形成されている。
【0041】
絶縁部材56は、ネジ溝60cに締結されるボルト82を挿通するための開口部56aが設けられた円筒部56b(筒部)と、この円筒部56bの底面側に連なりフランジ部60bの座面を囲うU字状部56cとを含む。絶縁部材56の円筒部56bの外周部には、Oリング64が嵌め込まれている。
【0042】
図6は、カバー部材80を表側(ケーシング46の外側)からみた斜視図を示している。
【0043】
図7は、カバー部材80を裏側(ケーシング46の内側)からみた斜視図を示している。
【0044】
図6、図7に示すように、樹脂成型品として一体成型されるカバー部材80は、ベースプレート部80aを有し、このベースプレート部80aの表面部80Sに台座部80bが形成され、裏面部80Rにシール部80cが形成されている。
【0045】
ベースプレート部80aのシール部80cに、ケーシング46に設けられた詳細を後述する各開口部78に嵌る各円筒部80dが突出している。各円筒部80dの外周には、それぞれ、シールのためのOリング99(図5参照)が嵌め込まれる溝80eが形成されている。
【0046】
ベースプレート部80aの表面部80S側に、ナット104(第2台座部材)がインサートされた円筒部80fが突出している。各円筒部80fにナット104がインサートされることでバスバー110の他端部110bを位置決めする台座部80bが形成される(図6参照)。ベースプレート部80aの長手方向の両端には、円筒部80f側に屈曲するガイド80gが設けられている。ナット104は、インサートナットであり、カバー部材80を樹脂成形する際に同時成型してもよく、樹脂成形後に圧入してもよい。
【0047】
ベースプレート部80aの略中央部に設けられた2つの孔部には、カバー部材80をボルト112(図5参照)により左側ケーシング46に締結する際に挿通されるブッシュ114が取り付けられている。
【0048】
カバー部材80の裏面部80Rには、除肉凹部96(凹部)が3個所形成されている。
【0049】
図8は、図7に示した除肉凹部96の形状を理解し易く視認させるために拡大した除肉形状立体94の斜視図である。
【0050】
この除肉形状立体94に対応して、カバー部材80の裏面部80Rに除肉凹部96が形成される。すなわち、樹脂製のベースプレート部80aの裏面部80Rから除肉形状立体94を取り除くことで(除肉することで)、カバー部材80の裏面部80Rには除肉凹部96が形成される。実際上は、カバー部材80を樹脂成型する際に、除肉凹部96が一体的に成型される。
【0051】
除肉凹部96は、カバー部材80の裏面部80R(ケーシング46の内部側)のシール部80cと台座部80bとの間に設けられている。除肉凹部96は、ナット104がインサートされた円筒部80fの同心円上に、略半円の略円弧形状(略リング片状)に形成される。
【0052】
すなわち、除肉凹部96は、ナット104のねじ溝に螺合するボルト122の回転方向に沿って、略180度分、弧状の溝として形成される。
【0053】
図5に示すように、端子台60を保持した絶縁部材56である位置決め部材54が、左側ケーシング46の外側から左側ケーシング46の対応する開口部72に圧入された後、ボルト76が左側ケーシング46に設けられた図に現れないネジ溝に螺合されることで、位置決め部材54が左側ケーシング46に固定される。
【0054】
左側ケーシング46に位置決め部材54が固定されると、位置決め部材54に設けられたOリング62、64により、左側ケーシング46に設けられた開口部72の内外が水密にシールされる(水密性が得られる)。
【0055】
回転電機本体40の3相のコイル48の端部側のコイル48(絶縁被覆電線であって電力線)の端部には、それぞれ圧着端子である電源端子92が取り付けられている。
【0056】
図5に示すように、端子台60の台座部60aの座面のネジ溝60cの部分に電源端子92の先端の孔部が重ねられる(載せられる)ことで電源端子92が位置決め部材54に位置決めされる。
【0057】
図9は、カバー部材80がケーシング46に取り付けられていない状態の一部省略拡大断面図である。
【0058】
図9の状態において、ボルト82がケーシング46に設けられた開口部78から挿通され、台座部60aのネジ溝60cにボルト82のネジ部が螺合されることで、端子台60に電源端子92が締結され、電気的な導通が取られる。
【0059】
この実施形態において、ボルト82は、座金組み込み六角穴付きボルトを用いているが、座金組み込み六角ボルトでもよい。
【0060】
電源端子92が位置決め部材54を構成する端子台60に対してボルト82により締結された図9に示す組み付け状態において、図7のカバー部材80の円筒部80dを開口部78に指向させ、円筒部80dの外周面が開口部78に嵌るようにしてカバー部材80をケーシング46に装着した後、図5に示したように、カバー部材80をボルト112によりケーシング46に締結する。
【0061】
カバー部材80がケーシング46に締結された状態においては、ケーシング46の開口部78がシール部80cによりシールされるとともに、開口部78の周壁がOリング99により水密にシールされる。
【0062】
ケーシング46に位置決め部材54が取り付けられ、ボルト82により電源端子92が端子台60に締結され、さらに、カバー部材80がケーシング46に取り付けられた状態において、カバー部材80の台座部80bにバスバー110の他端部110bを位置決めするとともに、位置決め部材54中、U字状部56cに囲まれたネジ溝60cが形成されたフランジ部60bの座面にバスバー110の一端部110aを重ねて位置決めした状態で、バスバー110の当該一端部110aをボルト116により締結する(図5参照)。
【0063】
バスバー110の一端部110aがボルト116により締結された組み付け状態において、バスバー110の他端部110b上に、電力線30の端部に接続された圧着端子である端子120を重ねて位置決めし、ボルト122のネジ部をナット104に螺合させることで、バスバー110の他端部110bと電力線30が固着された端子120とが締結される。
【0064】
ボルト122のネジ部をナット104のネジ部に螺合させたときに、ナット104を囲む(支持する)円筒部80f(の特に内周部)にねじり応力がかかる。ナット104のネジ部に同心的に除肉凹部96を設けているので、ねじり応力がかかったときに、除肉凹部96が弾性変形する。除肉凹部96の弾性変形によりナット104を囲む(支持する)円筒部80fにかかっているねじり応力が分散される。すなわち、ナット104を支持する部位の応力が分散されるので、カバー部材80の円筒部80fの(最低)強度が上がる。
【0065】
電力線30は、ケーシング46の開口部115に装着された弾力性のあるブッシュ118により水密にシールされる。
【0066】
この後、カバー49がボルト152により締結されることで、回転電機10の内外の電気的接続が完了する。
【0067】
ここで、図5、図9に示すように、カバー部材80の各円筒部80dの外周面が嵌り込む左側ケーシング46の上部側には、開口部78が設けられ、この開口部78から左側ケーシング46の内部側に突出する障害部材130が、左側ケーシング46に一体的に設けられている。
【0068】
障害部材130は、開口部78から下側に隆起するように左側ケーシング46に一体的に円筒状部として形成されている。障害部材130は、全体を円筒状部に形成することに限らず、突出先端側を櫛形状部等として形成することができる。
【0069】
実際上、車両18は、電費(内燃機関車両の燃費に対応する。)の向上のために、グラム単位での軽量化がポイントとなるため、円筒状部を櫛形状部等とすることに意義がある。
【0070】
この実施の形態では、障害部材130を左側ケーシング46と一体に鋳造により製作しているが別体としてもよい。
【0071】
開口部78(貫通孔)を形成するこの障害部材130の上部側の内周面に前記カバー部材80の円筒部80dの外周部が嵌り込み、Oリング99により、左側ケーシング46の内部側(回転電機本体40側)と、外部側(電力変換器26側)が水密にシールされる。Oリング99が嵌り込む障害部材130の上部側(基部側)の内周面は、円筒内面である必要がある。前記の櫛形状部は、この円筒内面の下部側(突出側)に形成すればよい。
【0072】
位置決め部材54に臨む障害部材130の先端部131と位置決め部材54の直近点97との間の間隔Cは、ボルト82の座面径φ未満の距離に設定される(C<φ)。なお、ボルト82が座金組み込み六角穴付きボルトである場合には、前記座面径φは、前記座金径φaとなるが、余裕を見て、間隔Cは、ボルト82本体の座面径φ未満の距離に設定することが好ましい。
【0073】
このように設定すれば、ボルト82の締結時(図9参照)等に、ボルト82が、間隔Cを通過して、図4に矢印付き点線で例を示したボルト落下経路210を通じて、回転電機本体40側に落下することが防止される。
【0074】
[実施形態のまとめ]
上述した実施形態に係る回転電機10は、電力変換器26からの電力線30とケーシング32(センタケーシング42)の内部に収容される回転電機本体40の電源端子92との間を電気的に接続する導電部材45(端子台60、バスバー110)が、ケーシング32(左側ケーシング46)の内部に固定される構造を有する回転電機10であって、回転電機本体40の電源端子92が載せられる端子台60(導電部材45の一部からなる第1台座部材)と、端子台60(第1台座部材)に載せられた電源端子92を、端子台60(第1台座部材)に係合して締結するボルト82(第1締結部材)と、ケーシング46の内部と外部を連通し、ボルト82(第1締結部材)を端子台60(第1台座部材)まで挿通可能なケーシング46に設けられた開口部78と、開口部78をシールするシール部80cを有するとともに、シール時に導電部材45(バスバー110、端子台60)の他部(バスバー110)が載せられるナット104(第2台座部材)が設けられたカバー部材80と、を備え、カバー部材80のケーシング46の内部側のシール部80cとナット104(第2台座部材)との間に除肉凹部96を設けている。
【0075】
この回転電機10によれば、ケーシング46の外からボルト82(第1締結部材)を端子台60(第1台座部材)まで開口部78を挿通させ、ボルト82により回転電機本体40の電源端子92を端子台60(第1台座部材)に締結した後、開口部78をシールするシール部80cを有するカバー部材80をケーシング46に装着することで、開口部78がシール部80cによりシールされる(ケーシング46の内外が水密とされる)とともに、シール時に電力変換器26からの電力線30とバスバー110(導電部材45の他部)と、をケーシング46の外部で締結して導電させるカバー部材80中のナット104(第2台座部材)がケーシング46に自動的に配置されるので、回転電機本体40を収容するケーシング46の内外のシール性が簡易な構造で確保されるとともに、組み付け工程が簡略化され、ケーシング46内外の導電部構造44に係る部品点数を低減することができるとともに、組み付け性を向上する。
【0076】
図10に示す組み付け後の状態において、電力線30の端子120(力行時)又はバスバー110(回生時)から高圧がボルト122を通じて印加されるナット104の導電部P(電圧印加部:高圧部)と、ケーシング46の内部側に突出している障害部材130の導電部Q(接地電位:ケーシング電位)との間の太い一点鎖線でしめす沿面距離Dcが、除肉凹部96の沿面距離分長くなるので、電圧印加部(高圧部)とケーシング電位(低圧部であって、通常、接地電位)との間の絶縁物の表面に沿う最短距離である沿面距離を増加させることができる。
【0077】
この場合において、除肉凹部96は、ナット104(第2台座部材)とバスバー110(導電部材の他部)とを螺合により結合するボルト122(雄ねじ部材)及びナット104(雌ねじ部材)に対して、ボルト122(雄ネジ部材)の回転方向に沿って孤形状に形成されているので、ナット104(雌ねじ部材)を支持する円筒部80f(部位)にかかる応力により除肉凹部96(孤形状)が変形し、除肉凹部96(孤形状)が変形するとナット104(雌ねじ部材)を支持する円筒部80f(部位)にかかる応力が分散される。
【0078】
前記の導電部材45は、端子台60と、端子台60に連結されたバスバー110とからなり、導電部材45の前記一部からなる前記第1台座部材が端子台60とされ、導電部材45の前記他部が、他端部110bがナット104(第2台座部材)に載せられる前記バスバー110とされることが好ましい。この構成によれば、ケーシング46の内部で、ボルト82(第1締結部材)により回転電機本体40の電源端子92と端子台60とが連結され、さらに、この端子台60にバスバー110の一端部110aが連結されると、バスバー110の他端部110bがケーシング46の外部に配置されることとなる。
【0079】
さらに、前記第1締結部材は、ボルト82であり、端子台60には、ケーシング46に設けられた開口部78を臨む位置にボルト82が締結されるネジ溝60cが形成され、端子台60のネジ溝60cに電源端子92が重ねられ、ボルト82のネジ部が開口部78を挿通してネジ溝60cに螺合されることにより端子台60と電源端子92とが締結されることとなる。電源端子92が端子台60にボルト82により締結されるので、締結構造を簡易にできる。
【0080】
さらにまた、前記第2台座部材としてのナット104は、カバー部材80に雌ねじ部材として取り付けられたインサートナットとし、このインサートナットであるナット104に、バスバー110の他端部110bと、電力変換器26からの電力線30の端部に設けられた端子120とが重ねられ、雄ねじ部材としての他のボルト122がインサートナットであるナット104に螺合されることにより電力線30の端子120とバスバー110の他端部110bがナット104にボルト122により締結される。この構造によれば、回転電機10の電源端子92と電力線30とを簡易な構造かつ良好な組み付け性のもとに電気的に接続することができる。上述したように、ナット104は、カバ−部材80を樹脂成形する際に同時成型(一体成形)することができるので、ナット104(第2台座部材)及びシール部80c付きカバー部材80となるので部品点数を低減することができる。なお、ナット104を樹脂成形後に圧入するようにすれば、圧入された後のカバー部材80を一部品として管理することができる。
【0081】
この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0082】
10…回転電機 26…電力変換器
30…電力線
32、34a、34b、42、46…ケーシング
40…回転電機本体 45…導電部材
54…位置決め部材 56…絶縁部材(カラー部材)
60…端子台 78…開口部
80…カバー部材 80a…ベースプレート部
80b…台座部 80c…シール部
80d、80f…円筒部 80e…溝
80R…裏面部 80S…表面部
82、122…ボルト 92…電源端子
94…除肉形状立体 96…除肉凹部
104…ナット 130…障害部材
Dc…沿面距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換器からの電力線と、ケーシングの内部に収容される回転電機本体の電源端子との間を電気的に接続する導電部材が、前記ケーシングの内部に固定される構造を有する回転電機であって、
前記回転電機本体の前記電源端子が載せられる前記導電部材の一部からなる第1台座部材と、
前記第1台座部材に載せられた前記電源端子を、前記第1台座部材に係合して締結する第1締結部材と、
前記ケーシングの内部と外部を連通し、前記第1締結部材を、前記第1台座部材への係合位置まで挿通可能な前記ケーシングに設けられた開口部と、
前記開口部をシールするシール部を有するとともに、シール時に前記導電部材の他部が載せられる第2台座部材が設けられたカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材の前記ケーシングの内部側のシール部と前記第2台座部材との間に凹部を設けた
ことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1記載の回転電機において、
前記第2台座部材と前記導電部材の他部とは、雄ねじ部材及び雌ねじ部材による螺合により結合され、
前記凹部は、前記雄ねじ部材及び(又は)前記雌ねじ部材の回転方向に沿って孤形状に形成される
ことを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項2記載の回転電機において、
前記導電部材は、端子台と、前記端子台に一端部が連結されたバスバーとからなり、
前記導電部材の前記一部からなる第1台座部材が、前記端子台とされ、
前記導電部材の前記他部が、他端部が前記第2台座部材に載せられる前記バスバーとされた
ことを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項3記載の回転電機において、
前記第1締結部材は、ボルトであり、
前記端子台には、前記ケーシングに設けられた前記開口部を臨む位置に前記ボルトが締結されるネジ溝が形成され、前記端子台の前記ネジ溝に前記電源端子が重ねられ、前記ボルトのネジ部が前記開口部を挿通して前記ネジ溝に螺合されることにより前記端子台と前記電源端子とが締結された
ことを特徴とする回転電機。
【請求項5】
請求項4記載の回転電機において、
前記第2台座部材は、前記カバー部材に前記雌ねじ部材が取り付けられたインサートナットであり、
前記インサートナットに、前記バスバーの前記他端部と、前記電力変換器からの電力線の端部に設けられた端子とが重ねられ、前記雄ねじ部材としての他のボルトが前記インサートナットに螺合されることにより前記電力線の前記端子と前記バスバーの他端部が締結された
ことを特徴とする回転電機。
【請求項1】
電力変換器からの電力線と、ケーシングの内部に収容される回転電機本体の電源端子との間を電気的に接続する導電部材が、前記ケーシングの内部に固定される構造を有する回転電機であって、
前記回転電機本体の前記電源端子が載せられる前記導電部材の一部からなる第1台座部材と、
前記第1台座部材に載せられた前記電源端子を、前記第1台座部材に係合して締結する第1締結部材と、
前記ケーシングの内部と外部を連通し、前記第1締結部材を、前記第1台座部材への係合位置まで挿通可能な前記ケーシングに設けられた開口部と、
前記開口部をシールするシール部を有するとともに、シール時に前記導電部材の他部が載せられる第2台座部材が設けられたカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材の前記ケーシングの内部側のシール部と前記第2台座部材との間に凹部を設けた
ことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1記載の回転電機において、
前記第2台座部材と前記導電部材の他部とは、雄ねじ部材及び雌ねじ部材による螺合により結合され、
前記凹部は、前記雄ねじ部材及び(又は)前記雌ねじ部材の回転方向に沿って孤形状に形成される
ことを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項2記載の回転電機において、
前記導電部材は、端子台と、前記端子台に一端部が連結されたバスバーとからなり、
前記導電部材の前記一部からなる第1台座部材が、前記端子台とされ、
前記導電部材の前記他部が、他端部が前記第2台座部材に載せられる前記バスバーとされた
ことを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項3記載の回転電機において、
前記第1締結部材は、ボルトであり、
前記端子台には、前記ケーシングに設けられた前記開口部を臨む位置に前記ボルトが締結されるネジ溝が形成され、前記端子台の前記ネジ溝に前記電源端子が重ねられ、前記ボルトのネジ部が前記開口部を挿通して前記ネジ溝に螺合されることにより前記端子台と前記電源端子とが締結された
ことを特徴とする回転電機。
【請求項5】
請求項4記載の回転電機において、
前記第2台座部材は、前記カバー部材に前記雌ねじ部材が取り付けられたインサートナットであり、
前記インサートナットに、前記バスバーの前記他端部と、前記電力変換器からの電力線の端部に設けられた端子とが重ねられ、前記雄ねじ部材としての他のボルトが前記インサートナットに螺合されることにより前記電力線の前記端子と前記バスバーの他端部が締結された
ことを特徴とする回転電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−170241(P2012−170241A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29692(P2011−29692)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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