説明

回転電機

【課題】主回路巻線長さを短くするとともに、主回路巻線太さを太くして発熱量を抑制するとともに、巻線エンド部とフレーム間の伝熱効果を高めて熱抵抗を小さくすることができる回転電機を提供する。
【解決手段】回転子4の外周側に対向してフレーム2の内周面に固定された固定子7に主回路巻線10が巻装された構成を有する回転電機であって、前記主回路巻線10の軸方向端部における巻線エンド部10eの外周側に、当該主回路巻線11から電気的に絶縁された冷却用線11を巻装し、当該冷却用線11を介して前記フレーム2への伝熱経路を形成した構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転子の外周側に対向して配置された固定子に巻線が配置された構成を有する回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の回転電機としては、特許文献1に記載された回転電機が知られている。この特許文献1に記載の回転電機は、複数の集中巻巻線を有する固定子と、この固定子の内周面に対向配置された回転子とでアウターステータ構成を有している。そして、巻線は予めコイル条に成形された成形コイルとされ、この成形コイル状の巻線を固定子に形成されたスロットに挿入した際、固定子鉄心の端部から突出する巻線エンド部を、固定子端部に接触するように折り曲げた構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−245089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、固定子の集中巻巻線の巻線エンド部を固定子端部に接触するように折り曲げた構成としているので、巻線エンド部からの放熱を向上して小型化が可能である。しかしながら、巻線エンド部を固定子端部に接触するように折り曲げているので、この分巻線長さが長くなる。銅線は、その長さに比例してジュール熱が発生するため、巻線エンド部を折り曲げない場合に比べて発熱量が大きい。発熱量が大きいと、銅線は過熱し易くなり、過熱すると銅線の絶縁被覆が損傷し、故障を招く。これを防ぐために、電流を低減したり、冷却納涼を向上させたりするなどの対策があるが、これらは回転電機の大型化やコストアップを招くという未解決の課題がある。
【0005】
つまり、上記特許文献1に記載された従来例は、模式的断面図で表すと図2に示す構成となる。すなわち、回転子100を形成した回転軸101を回転自在に支持するフレーム102の内周面に固定子鉄心103が保持され、この固定鉄心103の内周面に形成されたコイルを巻装するコイル装着凹部104に主回路巻線105が巻装されている。
【0006】
ここで、主回路巻線105の巻線エンド部106の折り曲げた先端と、コイル装着凹部104の底部との距離aと、コイル装着凹部104の底部と固定子鉄心103の内周面との距離bとを比較すると、冷却効果を高めるには距離aを長くして固定子鉄心103との接触面積を広くする必要がある。回転電機を大型化せずに距離aを大きくするには、距離bを短くせざるを得ない。つまり必要なターン数を確保するためには銅線を細くする必要がある。銅線は、その径の2乗に反比例してジュール熱を発生するため、巻線エンド部を折り曲げない場合に比較して発熱量が大きくなるという未解決の課題がある。
【0007】
さらに、巻線エンド部106で発生した熱は、固定子鉄心103を通ってフレーム102に伝達される。ところが、固定子鉄心102は通常鉄でできており、熱抵抗が大きい。また、巻線エンド部106から固定子鉄心103への伝熱を折り曲げ部106の接触によって行っているので、これも熱抵抗が大きい。発熱量が同じでも熱抵抗が大きいと、銅線は過熱し易いという未解決の課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記特許文献1に記載された従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、主回路巻線長さを短くするとともに、主回路巻線の線径を太くして発熱量を抑制するとともに、巻線エンド部とフレーム間の伝熱効果を高めて熱抵抗を小さくすることができる回転電機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る回転電機の第1の態様は、回転子の外周側に対向してフレーム内周面に固定された固定子に主回路巻線が巻装された構成を有する回転電機であって、前記主回路巻線の軸方向端部の外周側に、当該主回路巻線から電気的に絶縁された冷却用線を巻装し、当該冷却用巻線を介して前記フレームへの伝熱経路を形成する。
【0010】
この構成によると、固定子の主回路巻線の巻線端部の外周側に冷却用線を巻装したので、この冷却用線によって巻線端部の熱をフレーム側に逃がすことができ、巻線端部を不必要に長くすることを抑制することができる。しかも、従来例のように伝熱に必要な距離aを長くする必要がなく、この分主回路巻線長さを短くして過熱を抑制することができ、さらに熱抵抗の小さな冷却用巻線を通じて放熱すことが可能となり、熱抵抗を小さくすることができる。
【0011】
また、本発明に係る回転電機の第2の態様は、前記冷却用線が、絶縁被覆付銅線で構成されている。
この構成によると、冷却用線を主回路用巻線と同様の絶縁被覆付銅線で構成することができ別途特殊な放熱部材を設ける必要がない。
また、本発明に係る回転電機の第3の態様は、前記冷却用線が、主回路巻線とは異なる径の銅線及びアルミニウム線の何れか一方で構成されている。
この構成によると、冷却用線が銅線又はアルミニウム線で構成されているので、上記第2の態様と同様に特殊な放熱部材を設ける必要がない。
【0012】
また、本発明に係る回転電機の第4の態様は、前記冷却用線が巻装状態で外周側が切削加工されている。
この構成によると、冷却用線が巻装状態で外周側が切削加工されているので、外周面が凹凸の少ない円筒面となり、熱伝導を行う被熱伝導部材との接触面積を広くすることができ、熱伝導率を向上させることができる。
また、本発明に係る回転電機の第5の態様は、前記冷却用線が、その外周面が前記フレームの内周面にしまりばめによって固定された伝熱リングの内周面に接触されている。
この構成によると、フレームの内周面に、焼きばめ、圧入などのしばりばめによって固定された伝熱リングの内周面に冷却用線の外周面を接触されているので、フレームへの熱伝導率を高めて、大きな冷却効果を発揮することができる。
【0013】
また、本発明に係る回転電機の第6の態様は、前記伝熱リングが、前記フレームに接触する外周面に絶縁材層を形成した構成を有する。
この構成によると、伝熱リングとフレームとの間の電気的な絶縁を確実に行うことができる。
また、本発明に係る回転電機の第7の態様は、前記伝熱リングの内周面と前記冷却用線の外周面とが加熱溶融接合材を使用して接合されている。
この構成によると、冷却用線と伝熱リングとの間が加熱溶融接合材を使用して接合されているので、冷却用線と伝熱リングとの間の伝熱効率をより向上させることができる。
【0014】
また、本発明に係る回転電機の第8の態様は、前記伝熱リングと前記冷却用線とが前記加熱溶融接合材によって円周方向で部分的に接合されている。
この構成によると、伝熱リングと冷却用線とが円周方向で部分的に加熱溶融接合材によって連結されているので、伝熱リングと冷却用線との熱膨張差を吸収することができる。
【0015】
また、本発明に係る回転電機の第9の態様は、前記加熱溶融接合材は、半田及びろう材の何れか一方で形成されている。
この構成によれば、伝熱リングと冷却用線とを半田付け又はろう付けによって容易に接合することができる。
また、本発明に係る回転電機の第10の態様は、前記フレームが前記冷却用銅線と対向する円筒部内に冷却媒体通路が形成された構成を有する。
この構成によると、フレーム自体を冷却媒体で冷却するので、冷却用線を介して主回路巻線の吸熱を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、主回路巻線の巻線端部の外周側に、冷却用線を巻装して伝熱部を形成するので、主回路巻線の端部を固定子鉄心に沿って折り曲げる必要がなく、主回路巻線の長さが長くなることを防止することができる。このため、ジュール熱による発熱量を抑制することができ、過熱状態となることを防止して、主回路巻線の絶縁被覆の絶縁破壊に至ることを防止することができる。その分主回路巻線への供給電流を増加させることが可能になり、回転電機を大型化することなく大トルク化することが可能となる。逆に、主回路巻線への供給電流を増加させない場合には、冷却機構を簡素化することが可能となり、小型・低コスト化することができる。
しかも、主回路巻線の巻線端部を折り曲げないので、過熱状態となることを防止することができ、主回路巻線の径を太くすることが可能となり、この分ジュール熱を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る回転電機の一実施形態を、要部を拡大して示す模式的断面図である。
【図2】従来の回転電機を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る回転電機の一実施形態の一部を拡大して示す模式的断面図である。
図中、1は、インナーロータ形の永久磁石(PM)電動機で構成される回転電機であって、この回転電機1はアルミニウム又はアルミニウム合金を鋳造して形成されたフレーム2を有する。このフレーム2は、円筒部2aと、この円筒部2aの軸方向両端を個別に閉塞する端板部2b及び2cとを備えている。円筒部2aには、例えば水などの冷媒で満たされたステンレス管で構成される水冷パイプ2dがフレーム鋳造時に同時に鋳込まれている。また、端板部2b及び2cの中心部には中心開口2eがそれぞれ形成され、これら中心開口2eの内側に転がり軸受2fを介して回転軸3が回転自在に支持されている。
【0019】
この回転軸3には、フレーム2内の例えば中央位置に回転子4が取付けられている。この回転子4は、積層鉄心で構成される回転子コア5内に軸方向に延長する例えば平板状の永久磁石6が円周方向に隣接する磁極が互いに逆極性となるように埋設されている。
そして、回転子4の外周面に所定のギャップを介して対向するように固定子7がフレーム2の円筒部2aの内周面に固定して配置されている。この固定子7は、積層鉄心で構成された固定子コア8を有する。この固定子コア8は、円周方向に所定間隔を保って所要数例えば12本のスロット9が軸方向に形成されている。隣接するスロット9間には絶縁被覆された銅線を成形した成形コイルで構成される主回路巻線10が巻装されている。この主回路巻線10は、その巻線エンド部10eが固定子コア8の軸方向端部より軸方向に突出されている。
【0020】
そして、主回路巻線10の巻線エンド部10eの外周側すなわちフレーム2と対向する側に、図1で拡大図示するように、主回路巻線10より細径の冷却用線11が例えば2重に重ね巻きされている。この冷却用線11は、主回路巻線10と同様に、絶縁被覆された銅線で構成されている。そして、冷却用線11の外周側の1列の外周面が旋盤などによる切削加工によって例えば外周側の略半円部が絶縁被覆とともに切除され、略平坦な円筒面11aが形成されている。
【0021】
この冷却用線11の円筒面11aがフレーム2の内周面に焼きばめ、圧入などによりしばりばめで固定された伝熱リング12の内周面に嵌合されている。この伝熱リング12は、例えば銅製の円筒体で構成され、フレーム2と接触する外周面にはエポキシ等の熱硬化性樹脂による絶縁材層12aが形成されている。したがって、伝熱リング12とフレーム2とが絶縁材層12aを介して連結されることになり、両者が電気的に絶縁される。
そして、冷却用線11の円筒面11aと伝熱リング12の内周面との間が円周方向に例えば等間隔で又は不等間隔で部分的に加熱溶融接合材としての半田を使用して半田付けされている。
【0022】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
回転電機1を駆動する場合には、フレーム2の円筒部2a内に埋設した水冷パイプ2d内に冷却媒体として例えば冷却水を通水した状態で、主回路巻線10に所定順序に通電することにより、回転磁界を生じさせる。この回転磁界に伴って、回転子4の永久磁石6によって形成される磁極が移動することにより、回転子4が回転駆動され、回転軸3から回転力が出力される。
【0023】
この回転電機1の回転駆動時に、主回路巻線10に通電することにより、この主回路巻線10が発熱する。この主回路巻線10は巻線エンド部10eを除く部分は、フレーム2の円筒部2aに固定された固定子コア8のスロット9内に巻装されている。そして、固定子コア8自体はフレーム2の円筒部2aに埋設された水冷パイプ2d内を通水される冷却水によって冷却されるので、冷却された固定子コア8によって主回路巻線10の発熱が吸熱される。
【0024】
これに対して、主回路巻線10の巻線エンド部10eは、固定子コア8の軸方向端面から軸方向に突出しているので、固定子コア8による吸熱は期待できない。しかしながら、巻線エンド部10eの外周面すなわち、フレーム2の円筒部2aと対向する面に、冷却用線11が巻装されている。そして、この冷却用線11の外周側の1列が旋盤等によって切削されて円筒面11aが形成され、この円筒面11aにフレーム2の円筒部2aに焼きばめ、圧入等のすきまばめされた伝熱リング12の内周面に接触されている。さらに、冷却用線11の円筒面11aと伝熱リング12の内周面との間が部分的に半田付けされている。
【0025】
このため、巻線エンド部10eの発熱が冷却用線11、伝熱リング12を介してフレーム2の円筒部2aに達する伝熱経路が形成されて水冷パイプ2d内を通水される冷却水によって吸熱される。
このとき、冷却用線11及び伝熱リング12がともに熱伝導率の高い銅製であるので、高い伝熱効果を得ることができ、巻線エンド部10eの冷却効果を高めることができる。しかも、冷却用線11の伝熱リング12と接触する外周面が切削加工されて略半円分切除されて円筒面11aが形成されているので、冷却用線11と伝熱リング12との間の接触面積を広くして大きな伝熱効果を発揮することができる。
【0026】
また、主回路巻線10の巻線エンド部10eの外周面に巻装された冷却用線11は、絶縁被覆された銅線で構成されているので、巻線エンド部10eとの電気的絶縁を確保することができる。しかも、伝熱リング12のフレーム2の円筒部2aの内周面に接触する外周面に絶縁材層12aが形成されているので、この絶縁材層12aによってもフレーム2の円筒部2aと、伝熱リング12との間の電気的絶縁を確保することができる。したがって、巻線エンド部10eとフレーム2との間の電気的絶縁を確実に行うことができる。
【0027】
このように、上記実施形態によると、主回路巻線10の巻線エンド部10eを固定子コア8の軸方向端面より突出するだけでよく、前述した従来例のように固定子コア8の軸方向端面に沿って折り曲げる必要がないので、この分主回路巻線10の長さを短くして最短化することができる。このため、主回路巻線10で発生するジュール熱による発熱量を最小化することができる。発熱量が小さければ、前述したように主回路巻線10の過熱のリスクを減らすことができ、銅線被覆の絶縁破壊のリスクを減らすことができる。したがって、その分電流多く流すことが可能になり、回転電機1の構成を大型化や高コスト化を伴うことなく、大トルク化することが可能となる。逆に、通電電流を大きくしない場合に、発熱量の減少分だけ冷却機構を簡素化することができ、小型・低コスト化することができる。また、発熱量を最小化できることは、同時にエネルギ変換効率を最大化できることも意味する。
【0028】
また、上記実施形態によると、主回路巻線10の巻線エンド部10eを折り曲げる必要がないので、主回路巻線10を構成する巻線の径を太くすることができる。このように主回路巻線10の巻線の径を太くすることにより、前述したように、ジュール熱を減らすことに寄与することができる。
さらに、上記実施形態では、巻線エンド部10eとフレーム2の円筒部2aの内周面との間に、冷却用線11及び伝熱リング12を介挿している。このことにより、上記実施形態では、巻線エンド部10eとフレーム2との間を、熱伝導率の高い(熱抵抗の小さい)銅によって熱的に接続している。したがって、上記実施形態によると、特に一般の回転電機との冷却性能違いを大きくすることができる。一般の回転電機において巻線エンド部とフレーム間の伝熱は、空気による熱伝導に頼っている。この空気による熱伝導では、空気の熱伝導率が0.03[W/(m・K)]弱程度であるが、冷却用線11及び伝熱リング12を銅製とすることで、銅の熱伝導率は400[W/(m・K)]弱、鉄の熱伝導率は100[W/(m・K)]弱であり、空気に対して格段に高い熱伝導率とすることができる。
【0029】
もちろん、上記実施形態においては、冷却用線11の絶縁被覆や伝熱リング12の外周面の絶縁材層12aに、熱伝導率の低いエポキシ樹脂(熱伝導率:10[W/(m・K)]程度)などを用いているが、これらは厚みが薄いため、熱抵抗としての影響は小さい。
さらに、巻線エンド部10eと冷却用線11との間を半田付けし、伝熱リング12とフレーム2の円筒部2aとの間をしまりばめによってそれぞれ熱的に強固に(低熱抵抗に)接続されている。このため、巻線エンド部10eから熱を逃がし易く、巻線エンド部10eの過熱を確実に防止することができる。
【0030】
因みに、巻線エンド部10eを、冷却用線11を介さずに直接伝熱リング12に接触させたり、あるいは伝熱リング12すら用いずに直接フレーム2に接触させたりする方法もある。しかしこれらの方法では、組み立て過程において、巻線エンド部(主回路電位)の絶縁被覆が破れるリスクが非常に高い。絶縁被覆が破れれば、主回路巻線10とフレーム2とが電気的に短絡し、回転電機として機能しなくなる。ましてや熱伝導率を高めるための半田付けなどは不可能である。
【0031】
本実施形態では、主回路巻線10とは別に冷却用線11を用意することで、この冷却用線11に伝熱と絶縁との双方の機能を持たせることができる。
また、上記実施形態では、冷却用線11と伝熱リング12との半田付けは、全周は行わず、部分的に行うこととした。これは冷却用線11と伝熱リング12との熱膨張差に対応するためである。回転電機1の運転中は、冷却用線11と伝熱リング12とは温度が異なるとともに、径が異なる。これを放置すれば、半田付け部に応力が発生する。この応力は回転電機1の運転/停止の繰り返しに応じて、繰り返し応力になり、半田付け部の寿命を縮めることになる。しかし、半田付けを部分的に行うことにより、巻線エンド部10e及び冷却用線11は、卵形や菱形などに変形が可能である。このような変形がおこれば半田付け部に発生する応力を小さく抑えることができ、半田付け部分の寿命を伸ばすことができる。
【0032】
なお、上記実施形態においては、主回路巻線10及び冷却用線11に絶縁被覆した銅線を適用した場合について説明したが、これらの双方又は何れか一方を絶縁被覆したアルミニウム線に置換するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、伝熱リング12の外周面に絶縁材層12aを形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、絶縁材層12aを省略することもできる。
【0033】
また、上記実施形態においては、冷却用線11の円筒面11aと伝熱リング12の内周面との間を円周方向に部分的に加熱溶融接合材としての半田を使用した半田付けを行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、銀ろう、銅ろう、黄銅ろう、りん銅ろう、アルミニウムろう等の加熱溶融接合材を使用したろう付けを円周方向に部分的に行うようにしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、伝熱リング12を適用した場合について説明したが、伝熱リング12を省略して冷却用線11の円筒面11aを直接フレーム2の円筒部2aの内周面に接触させ、円筒面11aと円筒部2aとの間を部分的に半田付け又はろう付けするようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施形態においては、回転電機として埋込磁石構造の永久磁石(PM形)電動機に本発明を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、表面磁石構造の永久磁石電動機や他の構成を有する誘導電動機にも本発明を適用することができる。
さらに、上記実施形態においては、フレーム2を水冷する場合について説明したが、これに限らず、空冷や油冷等の他の冷却方式を採用することができる。
また、上記実施形態においては、電動機に本発明を適用したが、これに限定されるものではなく、発電機に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0035】
1…電磁接触器、2…フレーム、2a…円筒部、2b,2c…端板部、2d…水冷パイプ、2e…中心開口、2f…転がり軸受、3…回転軸、4…回転子、5…回転子コア、6…永久磁石、7…固定子、8…固定子コア、9…スロット、10…主回路巻線、10e…巻線エンド部、11…冷却用線、11a…平坦面、12…伝熱リング、12a…絶縁材層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子の外周側に対向してフレーム内周面に固定された固定子に主回路巻線が巻装された構成を有する回転電機であって、
前記主回路巻線の軸方向端部の外周側に、当該主回路巻線から電気的に絶縁された冷却用線を巻装し、当該冷却用線を介して前記フレームへの伝熱経路を形成したことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記冷却用線は、絶縁被覆付銅線で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記冷却用線は、前記主回路巻線とは異なる径の銅線及びアルミニウム線の何れか一方で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記冷却用線は巻装状態で外周側が切削加工されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記冷却用線は、前記フレームの内周面にしまりばめによって固定された伝熱リングの内周面に接触されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記伝熱リングは、前記フレームに接触する外周面に絶縁材層が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記伝熱リングの内周面と前記冷却用線の外周面とが加熱溶融接合材を使用して接合されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の回転電機。
【請求項8】
前記伝熱リングと前記冷却用線とが前記加熱溶融接合材によって円周方向で部分的に接合されていることを特徴とする請求項7に記載の回転電機。
【請求項9】
前記加熱溶融接合材は、半田及びろう材の何れか一方で形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の回転電機。
【請求項10】
前記フレームは前記冷却用銅線と対向する円筒部内に冷却媒体通路が形成されていることを特徴とする請求項5乃至9の何れか1項に記載の回転電機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−13253(P2013−13253A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144512(P2011−144512)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】