説明

回転電機

【課題】ブレーキを容易に交換可能とした回転電機を提供すること。
【解決手段】回転電機1は、検出器8とブレーキ9とを備える。検出器8は、回転子7とともに回転して所定の負荷を駆動するシャフト5の反負荷側に配設され、シャフト5の回転位置を検出する。ブレーキ9は、検出器8の外周側に交換可能に設けられ、シャフト5の回転を制動する。また、ブレーキ9は、シャフト5とともに回転する回転部91と、回転部91の回転を制動する制動機構93,94,95とを備え、回転部91は、検出器8の反負荷側に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転子とともに回転して所定の負荷を駆動するシャフトの回転位置を検出する検出器と、シャフトの回転を制動するブレーキとを備えた回転電機がある(例えば、特許文献1参照)。かかる回転電機に設けられるブレーキは、消耗品であるため、寿命に達した場合に交換する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−95173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の回転電機では、ブレーキの交換作業の容易性について特に工夫されていなかった。開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、ブレーキを容易に交換可能とした回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の開示する回転電機は、検出器とブレーキとを備える。検出器は、回転子とともに回転して所定の負荷を駆動するシャフトの反負荷側に配設され、前記シャフトの回転位置を検出する。ブレーキは、前記検出器の外周側に交換可能に設けられ、前記シャフトの回転を制動する。
【発明の効果】
【0006】
本願の開示する回転電機の一つの形態によれば、ブレーキを容易に交換可能とした回転電機を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施形態に係る回転電機の模式的な縦断面図である。
【図2A】図2Aは、実施形態に係る回転電機におけるブレーキの交換作業を示す図である。
【図2B】図2Bは、実施形態に係る回転電機におけるブレーキの交換作業を示す図である。
【図3A】図3Aは、実施形態に係る回転電機におけるブレーキの交換作業を示す図である。
【図3B】図3Bは、実施形態に係る回転電機におけるブレーキの交換作業を示す図である。
【図4】図4は、実施形態に係るハウジングを示す断面模式図である。
【図5】図5は、変形例1に係る回転電機を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する回転電機の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態における例示で本発明が限定されるものではない。
【0009】
まず、実施形態に係る回転電機の構成について図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係る回転電機の模式的な縦断面図である。なお、図1には、回転電機1が備える回転シャフト(以下、単に「シャフト5」と記載する)の回転軸Xおよびシャフト5の直径の延長線を含む平面によって回転電機1を切断した場合における回転電機1の模式的な断面を示している。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る回転電機1は、ハウジング2、ブラケット3、軸受4A、軸受4B、シャフト5、固定子6、回転子7、検出器8、ブレーキ9およびブレーキカバー97を備える。
【0011】
なお、回転電機1は、例えば、ロボットアームの先端部等に設けられ、シャフト5における回転電機1から突出した部分の先端(図1における下端)へ負荷となるロボットハンド等のエンドエフェクタが連結される。このため、以下では、便宜上、図1におけるシャフト5の下端側を負荷側とし、図1におけるシャフト5の上端側を反負荷側として説明する。
【0012】
ハウジング2は、負荷側が開口された筒状の筐体であり、シャフト5とともに回転する回転子7および回転子7を回転駆動する固定子6を収納するケース部21を備える。また、ハウジング2は、ケース部21における反負荷側の端面に設けられ、シャフト5が挿通される孔部が中央に開口された板状のブラケット部22を備える。
【0013】
また、ブラケット部22には、中央に開口された孔部から負荷側および反負荷側へ延伸する筒部が一体に形成される。ここで、ブラケット部22中央の孔部から負荷側へ延伸する筒部(以下、「負荷側小径筒部27」と記載する)には、環状の軸受4Aが挿嵌される。
【0014】
また、ケース部21における負荷側の開口端面には、ブラケット3が取り付けられる。ブラケット3は、外周部がケース部21における負荷側の開口端部に取り付けられ、内周部で環状の軸受4Bを保持する。そして、シャフト5は、軸受4Aおよび軸受4Bによって回転軸Xを中心として回転可能に保持される。
【0015】
回転子7は、円筒状の固定子コア71の内周面にシャフト5が嵌合され、外周面に複数の永久磁石72が配置されており、シャフト5の中心を回転軸Xとして回転する。回転子コア71は、例えば、渦電流を低減するために電磁鋼板などの薄板材を多数枚積層して形成され、永久磁石72の磁束を通す機能を担う。
【0016】
また、固定子6は、環状の固定子コア61と、ボビン62と、ボビン62に巻回された固定子巻線63とを備え、ハウジング2におけるケース部21の内部へ焼嵌めされて内周面が回転子7の外周面に対して対向配置される。
【0017】
なお、ボビン62および固定子巻線63は、樹脂によってモールドされる。かかる固定子6には、シャフト5を駆動する三相電力を固定子6へ供給するための固定子配線64が接続される。かかる固定子配線64の取り回しについては、後に詳述する。
【0018】
かかる回転電機1は、固定子6の固定子巻線63に電流を流すことにより固定子6の内側に回転磁界が発生する。そして、この回転磁界と回転子7の永久磁石72が発生する磁界との相互作用により回転子7が回転し、この回転子7の回転に伴ってシャフト5が回転する。
【0019】
また、ブラケット部22中央の孔部から反負荷側へ延伸する筒部(以下、「反負荷側小径筒部28」と記載する)には、環状の検出器8が挿嵌される。かかる検出器8は、本実施形態では、シャフト5の延伸方向に貫通された円筒孔へ挿通されたシャフト5の回転位置(角度)を検出するレゾルバとしている。なお、検出器8は、光学式の検出器であってもよい。
【0020】
かかる検出器8には、検出したシャフト5の回転位置を示す信号電流を外部へ出力する検出器配線81が接続される。なお、検出器配線81の取り回しについては、後に詳述する。このように、回転電機1では、回転子7に対してシャフト5の反負荷側に検出器8が配置される。
【0021】
また、回転電機1では、検出器8の配設位置よりもシャフト5の反負荷側に、シャフト5の回転を制動するブレーキ9が取り付けられる。また、回転電機1では、検出器8の外周側にブレーキ9が交換可能に設けられている。かかるブレーキ9は、ユニット化された環状の制動装置であり、シャフト5の反負荷側端部に取り付けられた円盤状のハブ90へ嵌合されるとともに、ネジ02によってブラケット部22における反負荷側の面に装着される。
【0022】
具体的には、ブレーキ9は、非回転可動板(以下、「アマチュア93」と記載する)、電磁石94および電磁石ケース95を含む制動機構と、ブレーキディスク91と、固定ディスク(以下、「プレート92」と記載する)とを備える。かかるブレーキ9の制動機構は、ブレーキディスク91よりも負荷側におけるシャフト5からシャフト5の径方向外側へ離隔した位置に設けられる。
【0023】
また、電磁石ケース95の外周部には、突起部95aが形成される。突起部95aには、ネジ02を挿入するためのネジ穴が形成される。なお、ブラケット部22の反負荷側の面には、突起部95aと嵌合する突起部22aが形成されている。
【0024】
ブレーキディスク91は、検出器8の反負荷側に設けられる。かかるブレーキディスク91は、環状の円盤であり、内周面にスプライン加工が施されている。また、ハブ90は、外周面にスプライン加工が施されており、スプライン軸となってシャフト5とともに回転する。そして、ブレーキディスク91は、内周面がハブ90の外周面へ嵌合されてシャフト5とともに回転する回転部である。
【0025】
プレート92は、制動時にアマチュア93と協働してブレーキディスク91を挟持する円盤状の摩擦板である。かかるプレート92は、電磁石ケース95の反負荷側端面から所定の距離間隔を保持した状態で、ネジ01により電磁石ケース95へ取付け固定される。
【0026】
アマチュア93は、制動時にプレート92と協働してブレーキディスク91を挟持する円盤状の摩擦板であり、電磁石94により吸着可能な金属によって形成される。かかるアマチュア93は、電磁石ケース95の反負荷側に設けられ、ブレーキディスク91を介してプレート92に対して対向配置される。
【0027】
電磁石ケース95は、アマチュア93を反負荷側方向へ押圧するバネ(図示略)と、電磁石94を収納した容器であり、ネジ02によってブラケット部22における反負荷側の面に装着される。電磁石ケース95に収納された電磁石94には、電磁石94へ電力を供給するブレーキ配線96が接続される。かかるブレーキ配線96の取り回しについては、後に詳述する。
【0028】
そして、ブレーキ9が装着されたハウジング2における反負荷側の開口面は、ブレーキカバー97によって閉塞される。かかるブレーキカバー97は、周縁部がハウジング2における反負荷側の端縁にネジ03によって固定される。
【0029】
かかるブレーキ9は、電磁石94へ通電することによって電磁石94へアマチュア93を吸着させ、アマチュア93をブレーキディスク91から離隔させることによってブレーキディスク91の回転に対する制動を解除する。
【0030】
一方、ブレーキ9は、電磁石94への通電を遮断することによって電磁石94によるアマチュア93の吸着を解除し、バネの付勢力によってアマチュア93をブレーキディスク91へ圧接させてブレーキディスク91の回転を制動する。
【0031】
このように、回転電機1では、検出器8の外周側にブレーキ9が交換可能に設けられている。これにより、回転電機1では、検出器8を取り外すことなく、消耗品であるブレーキ9を短時間で容易に交換することができる。
【0032】
ここで、図2A、図2B、図3Aおよび図3Bを用い、回転電機1におけるブレーキ9の交換作業について説明する。図2A、図2B、図3Aおよび図3Bは、実施形態に係る回転電機1におけるブレーキ9の交換作業を示す図である。なお、図2A、図2B、図3Aおよび図3Bでは、図1に示す構成要素と同一の構成要素に対して同一の符号を付している。
【0033】
ここで、図2Aおよび図3Aには、交換作業中の回転電機1を反負荷側からみた平面模式図を示している。また、図2Bおよび図3Bには、シャフト5の回転軸Xおよびシャフト5の直径の延長線を含む平面によって交換作業中の回転電機1を切断した場合における回転電機1の断面模式図を示している。
【0034】
回転電機1のブレーキ9を交換する場合、まず、電磁石94への通電を遮断した状態でネジ03(図1参照)を取り外し、ブレーキカバー97を取り外す。これにより、図2Aおよび図2Bに示すように、ハウジング2の反負荷側からブレーキ9が視認可能な状態となる。
【0035】
より具体的には、このとき、ハウジング2の反負荷側から電磁石ケース95をハウジング2のブラケット部22へ固定したネジ02が視認可能となる。ここで、電磁石94への通電が遮断されているので、ブレーキディスク91は、プレート92およびアマチュア93によって挟持される。
【0036】
また、前述のように、プレート92は、ネジ01によって電磁石ケース95へ固定されている。したがって、電磁石ケース95をブラケット部22へ固定しているネジ02を取り外すことによって、ブレーキ9をブラケット部22から取り外すことができる。
【0037】
これにより、図3Aおよび図3Bに示すように、回転電機1には、検出器8がブラケット部22によって保持された状態で残される。なお、このとき、ハブ90は、回転電機1側に残される。
【0038】
その後、ブレーキ9を取り外した作業と逆の順序で作業を行うことにより、新品のブレーキ9を回転電機1へ取り付ける。具体的には、新品のブレーキ9におけるブレーキディスク91の内周面をハブ90の外周面へ嵌合する。
【0039】
そして、電磁石ケース95の周縁部に形成された孔とブラケット部22の周縁部に形成された孔とを位置合わせしてネジ02によって電磁石ケース95をブラケット部22へ固定する。最後に、ハウジング2における反負荷側の開口をブレーキカバー97によって閉塞し、ネジ03によってブレーキカバー97をハウジング2へ固定してブレーキ9の交換作業が完了する。
【0040】
このように、回転電機1では、精密機器である検出器8へ触れることなく、ブレーキ9を容易に短時間で交換することができる。したがって、回転電機1によれば、ブレーキ9の交換作業によってシャフト5と検出器8との相対位置にズレが生じることを防止することができる。
【0041】
また、回転電機1では、検出器8の外周側にブレーキ9が設けられている。これにより、ブレーキ9および検出器8が占める回転軸X方向の寸法(厚さ)を低減することができるため、回転軸X方向について回転電機1の薄型化が可能となる。
【0042】
また、回転電機1では、ブレーキ9の制動機構が、検出器8よりもシャフト5の径方向外側に配置される。これにより、ブレーキ9は、検出器8よりもシャフト5の径方向内側でブレーキディスク91の回転を制動する場合に比べ、弱い摩擦力によってブレーキディスク91の回転を制動することができる。
【0043】
また、回転電機1におけるブラケット部22は、制動機構における電磁石ケース95に面する検出器8の周面を包囲して検出器8を制動機構から隔離する筒状の隔離壁と、シャフト5を軸支する軸受部とを備える。
【0044】
具体的には、ブラケット部22には、シャフト5が挿通される孔部から負荷側へ延伸する負荷側小径筒部27と、シャフト5が挿通される孔部から反負荷側へ延伸する反負荷側小径筒部28が一体形成される。そして、負荷側小径筒部27の内部に軸受4Aが嵌合され、反負荷側小径筒部28の内部に検出器8が配設される。
【0045】
すなわち、回転電機1では、反負荷側小径筒部28が、電磁石ケース95から検出器8を隔離する隔離壁として機能し、負荷側小径筒部27が、シャフト5を軸支する軸受部として機能する。
【0046】
このように、回転電機1では、検出器8が反負荷側小径筒部28によってブレーキ9における電磁石ケース95から隔離される。これにより、回転電機1によれば、プレート92およびアマチュア93とブレーキディスク91との摩擦によって生じる塵等が検出器8へ侵入することを防止することができる。
【0047】
また、回転電機1では、かかるブラケット部22とケース部21とが一体形成されたハウジング2として、アルミニウム等の軽金属によって形成されたハウジング2や、磁束を遮断する鉄等の重金属によって形成されたハウジング2を採用することが可能である。
【0048】
ここで、例えば、アルミニウムによって形成されたハウジング2を回転電機1へ採用した場合、回転電機1を軽量化することができる。一方、鉄によって形成されたハウジング2を回転電機1へ採用した場合、反負荷側小径筒部28により、ブレーキ9の電磁石94から発せられた磁束が検出器8へ侵入することを防止することができる。
【0049】
また、ブラケット部22は、検出器8を収納した反負荷側小径筒部28の反負荷側における開口部を閉塞する検出器カバー82を備える。かかる検出器カバー82は、中心部にシャフト5の回転を妨げない大きさの孔が形成された円盤状の部材であり、周縁部が、反負荷側小径筒部28の反負荷側開口端へネジ04によって固定される。
【0050】
このように、回転電機1では、検出器8の反負荷側端面が検出器カバー82によって被覆される。これにより、回転電機1によれば、プレート92およびアマチュア93とブレーキディスク91との摩擦によって生じる塵等が検出器8へ侵入することを、より確実に防止することができる。
【0051】
また、検出器カバー82として、磁束を遮断する鉄等の重金属によって形成された検出器カバー82を採用した場合、ブレーキ9の電磁石94から発せられた磁束が検出器8へ侵入することを防止することができる。
【0052】
また、ブラケット部22は、回転子7および固定子6を収納する筒状のケース部21における反負荷側の端縁から反負荷側へ延伸する筒部(以下、「大径筒部26」と記載する)を備える。そして、回転電機1では、かかる大径筒部26の内部に検出器8およびブレーキ9の電磁石ケース95部分が収納される。
【0053】
これにより、回転電機1では、電磁石ケース95の外周面まで被覆するようなブレーキカバーを用意する必要がない。したがって、回転電機1によれば、ケース部21における反負荷側の端縁に大径筒部26が設けられていないハウジングを採用した場合に比べ、ブレーキカバー97の形成に用いる材料費を低減することができる。
【0054】
次に、回転電機1における配線の取り回しについて説明する。図1に示すように、ハウジング2におけるケース部21は、内部から外部へ配線を引き出す引出孔24を周面に備える。また、ハウジング2におけるブラケット部22は、検出器8およびブレーキ9と、固定子6および回転子7との間を間仕切るとともに、シャフト5を軸支する板状の部材である。
【0055】
かかるブラケット部22は、検出器8に接続された検出器配線81およびブレーキ9に接続されたブレーキ配線96のうち少なくともいずれか一方の配線または固定子6に接続された固定子配線64が挿通される挿通孔23を備える。
【0056】
なお、固定子配線64は、固定子6へ回転子7を回転させるための電力を供給する配線である。また、検出器配線81は、シャフト5の回転位置に対応する信号電流を所定の制御装置(図示略)へ出力するための配線である。また、ブレーキ配線96は、ブレーキディスク91の回転を制動するためにブレーキ9の電磁石94へ電力を供給する配線である。
【0057】
このように、回転電機1では、検出器8およびブレーキ9と固定子6との間を間仕切るブラケット部22に挿通孔23が設けられている。これにより、回転電機1では、挿通孔23を通して、ブレーキ配線96および検出器配線81をケース部21の内部へ引き込み、固定子配線64とともに引出孔24を通してケース部21の外部へ引き出すことができる。
【0058】
したがって、回転電機1によれば、ブレーキ配線96および検出器配線81をブラケット部22よりも反負荷側からハウジング2の外部へ引き出し、固定子配線64をブラケット部22の負荷側からハウジング2の外部へ引き出す場合に比べ、ブラケット部22よりも反負荷側の回転軸X方向の寸法(厚さ)を低減することができる。
【0059】
なお、引出孔24は、ケース部21の周面ではなく、大径筒部26の周面に設けられてもよい。かかる場合、固定子配線64は、挿通孔23を通してブラケット部22の反負荷側へ引き出され、ブレーキ配線96および検出器配線81とともに、引出孔24から大径筒部26の外部へ引き出される。
【0060】
かかる構成とすれば、ブレーキ配線96および検出器配線81をブラケット部22よりも反負荷側からハウジング2の外部へ引き出し、固定子配線64をブラケット部22の負荷側からハウジング2の外部へ引き出す場合に比べ、ケース部21における回転軸X方向の寸法(厚さ)を低減することができる。また、引出孔24は、ハウジング2の外周に複数設けられてもよい。なお、かかる点については、図5を用いて後述する。
【0061】
次に、図4を用いてハウジング2におけるブラケット部22の剛性について説明する。図4は、実施形態に係るハウジング2を示す断面模式図である。なお、図4には、シャフト5の回転軸Xおよびシャフト5の直径の延長線を含む平面によってハウジング2を切断した場合におけるハウジング2の模式的な断面を示している。また、図4では、図1に示す構成要素と同一の構成要素に対して同一の符号を付している。
【0062】
図4に示すように、ハウジング2では、固定子6および回転子7が収納される筒状のケース部21と、ケース部21における反負荷側の端面に設けられ、シャフト5が挿通される孔部25が開口された板状のブラケット部22とが一体に形成されている。また、ハウジング2では、ケース部21における反負荷側の端縁から反負荷側へ延伸する大径筒部26とケース部21とが一体に形成されている。
【0063】
さらに、ハウジング2では、大径筒部26よりも径が小さな負荷側小径筒部27がブラケット部22の中央に設けられた孔部25から負荷側へ延伸するように設けられ、反負荷側小径筒部28が孔部25から反負荷側へ延伸するように設けられる。これらの負荷側小径筒部27および反負荷側小径筒部28は、ブラケット部22と一体に形成されている。
【0064】
このため、ハウジング2は、シャフト5の回転軸Xおよびシャフト5の直径の延長線を含む平面によって切断した場合、図4に二点鎖線で示す第1の断面視H構造F1と、図4に点線で示す第2の断面視H構造F2という2つの断面視H構造をもつことになる。
【0065】
したがって、ハウジング2は、第1の断面視H構造F1により、ケース部21および大径筒部26と、ブラケット部22との境界部分における剛性が向上する。さらに、ハウジング2は、第2の断面視H構造F2により、ハウジング2では、負荷側小径筒部27および反負荷側小径筒部28と、ブラケット部22との境界部分における剛性がさらに向上する。
【0066】
このように、ハウジング2は、剛性が高いので、例えば、ハウジング2のケース部21へ固定子6が焼嵌めされる場合に、シャフト5が挿通される孔部25に位置ズレが起こりにくい。したがって、ブラケット部22は、検出器8およびシャフト5を適切な位置で保持することができる。
【0067】
また、上記のように、ハウジング2は、剛性が高いので、例えば、回転子7の回転にともなう振動によって、シャフト5と検出器8との相対位置に位置ズレが生じることを抑制することができる。
【0068】
次に、図5を用い、配線の取り回しを変更した変形例1に係る回転電機1aについて説明する。図5は、変形例1に係る回転電機1aを示す断面模式図である。なお、図5には、シャフト5の回転軸Xおよびシャフト5の直径の延長線を含む平面によって回転電機1aを切断した場合における回転電機1aの模式的な断面を示している。また、図5では、図1に示した構成要素と同一の構成要素に対して同一の符号を付している。
【0069】
図5に示すように、回転電機1aは、配線をハウジング2aの内部から外部へ引き出す複数の引出孔24および24aを備えている点で、図1に示した回転電機1とは構成が異なる。
【0070】
具体的には、回転電機1aの引出孔24および24aは、ケース部21における端縁からシャフト5の回転軸X方向と平行な同一方向へそれぞれ所定距離離隔した位置に複数設けられる。
【0071】
かかる回転電機1aでは、検出器配線81が引出孔24aからハウジング2aの外部へ引き出され、ブレーキ配線96および固定子配線64が引出孔24からハウジング2aの外部へ引き出される。すなわち、検出器配線81は、検出器配線81以外の配線が引き出された引出孔24とは別の引出孔24aからハウジング2aにおけるケース部21の外部へ引き出される。
【0072】
このように、回転電機1aでは、ブレーキ配線96および固定子配線64のように検出器配線81よりも大電流が流れる配線は、検出器配線81とは別経路を介して検出器配線81とは別の引出孔24からハウジング2aの外部へ引き出される。
【0073】
これにより、回転電機1aでは、ブレーキ配線96および固定子配線64を流れる大電流が検出器配線81を流れる検出器8の検出結果に対応した信号電流へ及ぼす悪影響を低減することができる。したがって、回転電機1aによれば、ブレーキ配線96および固定子配線64を流れる大電流に起因して、検出器8の検出精度が低下することを防止することができる。
【0074】
なお、引出孔24および24aは、ケース部21における反負荷側の端部から反負荷側へ延伸された大径筒部26の周面に設けられてもよい。また、引出孔24および24aは、3個以上設けられてもよい。
【0075】
なお、検出器8は、ブレーキ9の取り付け位置よりも反負荷側へ配設されてもよい。これにより、例えば、レゾルバよりも発熱量が大きく、放熱の必要性が高い光学式の検出器を採用した場合に、検出器から発せられる熱を反負荷側へ効果的に放熱させることができる。
【0076】
また、上記した実施形態および変形例1および変形例2では、ブラケット部22とケース部21とが一体に形成された場合について説明したが、ブラケット部22およびケース部21は、別体に形成されてもよい。なお、上記した回転電機は、電動機であってもよいし、発電機であってもよい。
【0077】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1,1a 回転電機
2,2a ハウジング
21 ケース部
22 ブラケット部
22a 突起部
23 挿通孔
24,24a 引出孔
25 孔部
26 大径筒部
27 負荷側小径筒部
28 反負荷側小径筒部
3 ブラケット
4A,4B 軸受
5 シャフト
6 固定子
64 固定子配線
7 回転子
8 検出器
81 検出器配線
82 検出器カバー
9 ブレーキ
90 ハブ
91 ブレーキディスク
92 プレート
93 アマチュア
94 電磁石
95 電磁石ケース
95a 突起部
96 ブレーキ配線
F1 第1の断面視H構造
F2 第2の断面視H構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子とともに回転して所定の負荷を駆動するシャフトの反負荷側に配設され、前記シャフトの回転位置を検出する検出器と、
前記検出器の外周側に交換可能に設けられ、前記シャフトの回転を制動するブレーキと
を備えたことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記ブレーキは、
前記シャフトとともに回転する回転部と、
前記回転部の回転を制動する制動機構と
を備え、
前記回転部は、
前記検出器の反負荷側に配設される
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記検出器の前記ブレーキに面する周面を包囲して該検出器を前記ブレーキから隔離する筒状の隔離壁と、前記シャフトを軸支する軸受部とを有するブラケット部
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記ブラケット部は、
磁束を遮断する材料によって形成された
ことを特徴とする請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記ブラケット部は、
前記検出器が収納された筒状の前記隔離壁における反負荷側の開口部を閉塞する検出器カバー
を備えたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の回転電機。
【請求項6】
前記検出器カバーは、
磁束を遮断する材料によって形成された
ことを特徴とする請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記ブラケット部は、
前記回転子および該回転子を駆動する固定子を収納する筒状のケース部における反負荷側の端縁から反負荷側へ延伸する筒部
を備えたことを特徴とする請求項3〜6のいずれか一つに記載の回転電機。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−59168(P2013−59168A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195074(P2011−195074)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】