説明

回転駆動装置

【課題】大きなトルクが得られるとともに摩擦面の摩耗のおそれがなく、回転速度や回転方向の制御性および負荷変動に対する応答性が良好な回転駆動装置を提供する。
【解決手段】基台2と、回転自在に支承され半径方向に延在するクランクシャフト31および一端(連結孔351)が連結されたコネクティングロッド35からなるクランク機構3と、コネクティングロッド35の他端(加振孔352)を往復駆動する往復駆動源(往復駆動装置4)と、クランクシャフト31に半径方向に変位可能にかつ回転可能に支承されたプラネタリギヤ5と、基台2に固定されかつプラネタリギヤ5が噛合可能なリングギヤ58と、基台2に回転可能に軸承された出力軸6と、出力軸6に固定されたサンギヤ(従動スプロケット部62)と、プラネタリギヤ5の回転をサンギヤ(従動スプロケット部62)に伝達する回転伝達手段(環状ベルト65)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトルクを出力する回転駆動装置に関し、より詳細には、圧電体などの往復駆動源が発生する往復運動を利用した回転駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力を機械的動力に変換して出力する駆動装置として電磁力を利用するモータが一般的に用いられるが、電子機器や精密機械などに内蔵する駆動装置には特に小形化や位置制御の高精度化が必要とされる。このような小形化、高精度化への要求に応えて、電磁力によらず、超音波振動などを利用した別の駆動方式の駆動装置が実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される超音波モータは、圧電体によって励振されて表面に進行波を発生する固定子と、固定子に当接されて相対的に可動する回転子とを有し、固定子および回転子の少なくとも一方を弾性変形する薄板円板で支持している。そして、圧電体に高周波電圧を印加すると固定子には屈曲振動によって進行波が発生し、加圧接触している回転子が回転するようになっている。
【0004】
また、特許文献2に開示される超音波リニアモータは、胴部から延びる少なくとも2本の脚部を有する振動体と、振動体に設けられて胴部および脚部の少なくとも一方に交差する方向に向けられた振動素子とを備え、振動素子として圧電素子が例示されている。そして、圧電素子に電圧を印加することにより、脚部の先端が楕円状に回転して振動体がレール上を移動するようになっている。これにより、エネルギー変換効率が高く、高速動作をさせることができ、しかも極めてコンパクトに構成することができる、とされている。
【0005】
さらに、特許文献3の超音波リードスクリューモータを含む機構には、ねじ付きシャフトおよびねじ付きナットを含み、ねじ付きナットを超音波振動に供し、それによってねじ付きシャフト回転させながら軸方向に移動させる光学アセンブリが開示されている。また、超音波振動を発生させる手段として圧電管が開示されている。この発明の目的は、従来技術よりも実質的に高い効率を有し、かつ高い精度、大きな力および速度を提供することとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−77068号公報
【特許文献2】特開平2−266881号公報
【特許文献3】特開2008−510445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の3つの特許文献に開示された技術は、駆動力・推進力に制約が生じる点、および、摩擦面の摩耗による耐久性の低下の点で問題点があった。特許文献1では、固定子と回転子とが対向する面で加圧接触しているが、加圧方向における圧電体の変形力は小さく、したがって小さな駆動力しか得られない。また、加圧接触している面が荒れると、性能が低下してしまう。特許文献2でも同様であり、振動体の脚部先端をレールに押し当てながら駆動するので、面接触による摩擦分だけの推進力しか得られず、脚部先端やレールの摩耗も懸念される。特許文献3では、ねじ付きシャフトおよびねじ付きナットが螺合面で擦れ合い摩擦力によりシャフトが回転するので、摩擦力以上の推進力は得られない。
【0008】
また、これらの技術では、回転速度や移動速度の調整制御、回転方向の切り替え制御が容易とは言えなかった。さらに、負荷変動時に圧電体などの振動発生手段に印加する電圧の周波数または大きさを制御するが、必ずしも良好な応答性が得られなかった。
【0009】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、大きなトルクが得られるとともに摩擦面の摩耗のおそれがなく、回転速度や回転方向の制御性および負荷変動に対する応答性が良好な回転駆動装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する請求項1に係る回転駆動装置の発明は、基台と、前記基台により回転軸線上に回転自在に支承され半径方向に延在するクランクシャフト、および該クランクシャフトの前記回転軸線から外れた連結位置に一端が連結されたコネクティングロッドからなるクランク機構と、前記コネクティングロッドの他端を往復駆動する往復駆動源と、 前記クランクシャフトに半径方向に変位可能にかつ前記回転軸線と平行な軸線回りに回転可能に支承されたプラネタリギヤと、前記基台に前記回転軸線を共有して固定されかつ前記プラネタリギヤが噛合可能なリングギヤと、前記基台に前記回転軸線を共有して回転可能に軸承された出力軸と、前記出力軸に前記回転軸線を共有して固定されたサンギヤと、 前記プラネタリギヤの回転を前記サンギヤに伝達する回転伝達手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、基台と、前記基台により回転軸線上に回転自在に支承され半径方向に延在するクランクシャフト、および該クランクシャフトの前記回転軸線から外れた連結位置に一端が連結されたコネクティングロッドからなるクランク機構と、前記コネクティングロッドの他端を往復駆動する往復駆動源と、前記クランクシャフトに半径方向に変位可能に設けられた押圧部材と、前記基台に前記回転軸線を共有して設けられるとともに前記クランクシャフトの回転時の遠心力の増加により半径方向外向きに変位する前記押圧部材によって可撓性外歯歯車が剛性内歯歯車に噛合される波動歯車装置と、前記基台に前記回転軸線上に回転可能に軸承された出力軸と、を備え、前記可撓性外歯歯車および前記剛性内歯歯車の一方が前記基台に保持され、他方が前記出力軸に連結されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、基台と、前記基台により回転軸線上に回転自在に支承され半径方向に延在するクランクシャフト、および該クランクシャフトの前記回転軸線から外れた連結位置に一端が連結されたコネクティングロッドからなるクランク機構と、前記コネクティングロッドの他端を往復駆動する往復駆動源と、前記クランクシャフトに半径方向に変位可能に設けられた嵌合部材と、前記基台に前記回転軸線を共有して回転可能に支承されかつ前記嵌合部材が嵌合可能な内歯を有するリングギヤと、前記リングギヤと一体に回転する出力軸と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記往復駆動源は圧電体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る回転駆動装置の発明では、クランクシャフトおよびコネクティングロッドからなるクランク機構と、往復駆動源と、クランクシャフトに半径方向に変位可能にかつ回転可能に支承されたプラネタリギヤ、リングギヤ、サンギヤ、および回転伝達手段からなるプラネタリ変速機構と、出力軸と、を備える。そして、往復駆動源がコネクティングロッドの他端を往復駆動すると、クランク機構は往復運動を回転運動に変換し、クランクシャフトの回転時の遠心力の増加によりプラネタリギヤは半径方向外向きに変位してリングギヤに噛合する。これにより、プラネタリギヤは回転軸線を中心として公転しつつ自転し、回転伝達手段によりプラネタリギヤの自転がサンギヤに伝達され、サンギヤと一体に回転する出力軸はトルクを出力する。
【0015】
ここで、往復駆動の振動数が小さくクランクシャフトが低速回転して遠心力が小さい間、プラネタリギヤは半径方向外向きに変位せずリングギヤに噛合しない。このため、クランクシャフトおよびプラネタリギヤは、フライホイールに類似した機能で回転の慣性エネルギを蓄積する。往復駆動の振動数およびクランクシャフトの遠心力が増加すると、プラネタリギヤは半径方向外向きに変位してリングギヤに噛合するので、大きな慣性エネルギを含んだ大きなトルクがプラネタリ変速機構に入力され、出力軸は大きなトルクを出力する。
【0016】
また、駆動側と従動側とが面同士で摩擦接触する従来の駆動方式とは異なり、クランク機構およびプラネタリ変速機構を組み合わせた駆動方式を用いているので、常時摩擦接触する箇所がなく摩擦面の摩耗のおそれがない。さらに、往復駆動源の振動数の制御により出力回転速度を自在に調整でき、クランクシャフトの回転方向を正逆切り替えて出力回転方向を制御できるので、制御性が良好である。また、負荷変動に対し、クランクシャフトおよびプラネタリギヤが慣性エネルギを放出および蓄積して補償する作用を有するので、応答性は従来よりも良好である。
【0017】
請求項2に係る発明では、クランクシャフトおよびコネクティングロッドからなるクランク機構と、往復駆動源と、クランクシャフトに半径方向に変位可能に設けられた押圧部材と、半径方向外向きに変位する押圧部材によって可撓性外歯歯車が剛性内歯歯車に噛合される波動歯車装置と、出力軸と、を備え、可撓性外歯歯車および剛性内歯歯車の一方が基台に保持され、他方が出力軸に連結されている。そして、往復駆動源がコネクティングロッドの他端を往復駆動すると、クランク機構は往復運動を回転運動に変換し、クランクシャフトの回転時の遠心力の増加により押圧部材は半径方向外向きに変位して波動発生器の機能を果たし波動歯車装置を駆動する。これにより、可撓性外歯歯車および剛性内歯歯車の他方に連結された出力軸はトルクを出力する。
【0018】
ここで、往復駆動の振動数が小さくクランクシャフトが低速回転して遠心力が小さい間、押圧部材は半径方向外向きに変位せず波動歯車装置を駆動しない。このため、クランクシャフトおよび押圧部材は、フライホイールに類似した機能で回転の慣性エネルギを蓄積する。往復駆動の振動数およびクランクシャフトの遠心力が増加すると、押圧部材は半径方向外向きに変位して波動歯車装置を駆動するので、大きな慣性エネルギを含んだ大きなトルクが波動歯車装置に入力される。さらに、波動歯車装置では減速によるトルク増大作用が生じるので、出力軸は大きなトルクを出力する。
【0019】
また、駆動側と従動側とが面同士で摩擦接触する従来の駆動方式とは異なり、クランク機構および波動歯車装置を組み合わせた駆動方式を用いているので、常時摩擦接触する箇所がなく摩擦面の摩耗のおそれがない。さらに、往復駆動源の振動数の制御により出力回転速度を自在に調整でき、クランクシャフトの回転方向を正逆切り替えて出力回転方向を制御できるので、制御性が良好である。また、負荷変動に対し、クランクシャフトおよび押圧部材が慣性エネルギを放出および蓄積して補償する作用を有するので、応答性は従来よりも良好である。
【0020】
請求項3に係る発明では、クランクシャフトおよびコネクティングロッドからなるクランク機構と、往復駆動源と、クランクシャフトに半径方向に変位可能に設けられた嵌合部材と、嵌合部材が嵌合可能な内歯を有するリングギヤと、リングギヤと一体に回転する出力軸と、を備えている。そして、往復駆動源がコネクティングロッドの他端を往復駆動すると、クランク機構は往復運動を回転運動に変換し、クランクシャフトの回転時の遠心力の増加により嵌合部材は半径方向外向きに変位してリングギヤに嵌合する。これにより、リングギヤが回転駆動され、出力軸はトルクを出力する。
【0021】
ここで、往復駆動の振動数が小さくクランクシャフトが低速回転して遠心力が小さい間、嵌合部材は半径方向外向きに変位せずリングギヤに嵌合しない。このため、クランクシャフトおよび嵌合部材は、フライホイールに類似した機能で回転の慣性エネルギを蓄積する。往復駆動の振動数およびクランクシャフトの遠心力が増加すると、嵌合部材は半径方向外向きに変位してリングギヤに嵌合し駆動するので、出力軸は大きな慣性エネルギを含んだ大きなトルクを出力する。
【0022】
また、駆動側と従動側とが面同士で摩擦接触する従来の駆動方式とは異なり、クランク機構を用いた駆動方式を用いているので、常時摩擦接触する箇所がなく摩擦面の摩耗のおそれがない。さらに、往復駆動源の振動数の制御により出力回転速度を自在に調整でき、クランクシャフトの回転方向を正逆切り替えて出力回転方向を制御できるので、制御性が良好である。また、負荷変動に対し、クランクシャフトおよび嵌合部材が慣性エネルギを放出および蓄積して補償する作用を有するので、応答性は従来よりも良好である。
【0023】
請求項4に係る発明では、往復駆動源を圧電体としている。圧電体では、比較的広い振動数範囲にわたって往復振動を発生でき、回転速度の制御範囲が広い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態の回転駆動装置を模式的に説明する図であり、(1)は正面図、(2)は側面図である。
【図2】本発明の第2実施形態の回転駆動装置を模式的に説明する図であり、(1)は平面図、(2)は側面断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態の回転駆動装置を模式的に説明する図であり、(1)は平面図、(2)は側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1実施形態の回転駆動装置について、図1を参考にして説明する。図1は、本発明の第1実施形態の回転駆動装置1を模式的に説明する図であり、(1)は正面図、(2)は側面図である。図示されるように、回転駆動装置1は、基台2、クランクシャフト31およびコネクティングロッド35からなるクランク機構3、往復駆動装置4、プラネタリギヤ5、リングギヤ58、出力軸6、従動スプロケット部62、環状ベルト65、などで構成されている。図1(1)においてリングギヤ58はX−X断面が示され、基台2に固定されている。図1(2)において基台2は省略されている。
【0026】
クランク機構3は、クランクシャフト31およびコネクティングロッド35で構成されている。クランクシャフト31は、軸芯部32および、軸芯部32と一体で半径方向に延在するアーム部33により形成されている。軸芯部32は、後述する出力軸6の周りに軸受321を介して回転軸線AX上に回転自在に支承されている。出力軸6は基台2に軸承されているので、クランクシャフト31の軸芯部32は間接的に基台2に回転可能に支承されることになる。また、アーム部33の回転軸線AXから外れた途中の連結位置には連結ピン331が立設されている。アーム部33の先端付近には、半径方向に延びる長孔332が形成されている。一方、図1(2)に示されるようにコネクティングロッド35の図中左側の一端付近には連結孔351が形成されている。連結孔351には、アーム部33に立設された連結ピン331が相対回転自在に係入している。コネクティングロッド35の図中右側の他端付近には加振孔352が形成されている。
【0027】
往復駆動装置4は往復駆動源に相当し、図1(2)に示されるように、固定部41および圧電式振動子42などで構成されている。固定部41は図略の基台2に固定されており、往復駆動装置4は全体として基台2に保持されている。圧電式振動子42は、電圧の印加により変形する圧電体を応用したものである。圧電式振動子42には加振ピン43が立設され、加振ピン43はコネクティングロッド35の他端付近の加振孔352に係入している。
【0028】
プラネタリギヤ5は、図1(1)に示されるように、副軸51、軸端係合部52、ギヤ部53、駆動スプロケット部56で構成されている。副軸51は、回転軸線AXと平行な軸線AX2上に配置されて回転する軸体である。副軸51の図1(1)中の右端にはフランジ状に拡がる軸端係合部52が形成されており、副軸51はアーム部33の長孔332に係入して抜け落ちないようになっている。副軸51は長孔332の中で半径方向に変位可能であり、軸線AX2は回転軸線AXと平行を保ちつつ半径方向に変位するように構成されている。さらに、副軸51は長孔332の中で回転可能に支承されている。副軸51には、ギヤ部53および駆動スプロケット部56が一体に回転するように固設されている。ギヤ部53は、図1(2)に示されるように、その外周に凹状曲面の外歯54を有し、図の例では歯数は5個である。駆動スプロケット部56は、その外周に細かい凹凸のある半径R1のベルト係合面57を有している。
【0029】
なお、プラネタリギヤ5およびクランクシャフト31は、回転の慣性エネルギを蓄積する機能を効果的とするために、過大にならない範囲で質量を大きくすることが好ましい。このため、プラネタリギヤ5およびクランクシャフト31は、比重の大きな金属で形成する。あるいは、副軸51の回りなどに適宜錘を付加するようにしてもよい。
【0030】
リングギヤ58は環状の部材であり、基台2に回転軸線AXを共有して固定されている。リングギヤ58はその内周側に、プラネタリギヤ5のギヤ部53の外歯54に対向して凸状曲面の内歯59を有し、図の例では歯数Z1=24個である。リングギヤ58の内歯59は、プラネタリギヤ5が半径方向外向きに変位したときに、プラネタリギヤ5の外歯54と噛合するようになっている。
【0031】
出力軸6は、基台2に回転軸線AXを共有して回転可能に軸承されている。図1(1)に示されるように、出力軸6の図中右側の一端は右方に延びて軸支部61となっており、クランクシャフト31の軸芯部32を回転自在に支承している。出力軸6の図中左側の他端には、負荷Lが結合されている。出力軸6の長さ方向の中間位置には、従動スプロケット部62が一体に回転するように固設されている。従動スプロケット部62はサンギヤに相当し、その外周に細かい凹凸のある半径R2のベルト係合面63を有している。従動スプロケット部62は、プラネタリギヤ5の駆動スプロケット部56に対向して配置されている。
【0032】
環状ベルト65は、プラネタリギヤ5の回転をサンギヤすなわち従動スプロケット部62に伝達する回転伝達手段に相当する。環状ベルト65は、プラネタリギヤ5の駆動スプロケット部56のベルト係合面57、および、出力軸6の従動スプロケット部62のベルト係合面63を囲んで張設されている。環状ベルト6の長さおよび張力は、プラネタリギヤ5が半径方向外向きに変位したときに、確実に回転を伝達するように調整されている。したがって、従動スプロケット部62は、プラネタリギヤ5に噛合して回転軸心AXで自転するサンギヤと同等に機能する。また、従動スプロケット部62をサンギヤとしたときの等価な歯数Z2は、駆動スプロケット部56の半径R1および従動スプロケット部62の半径R2により定まり、一例として歯数Z2=18である。
【0033】
上述したように、リングギヤ58、プラネタリギヤ5のギヤ部53と駆動スプロケット部56、従動スプロケット部62、および環状ベルト65によりプラネタリ変速機構が構成されている。すなわち、リングギヤ58が該プラネタリ変速機構のリングギヤを構成し、プラネタリギヤ5を回転可能に支承するクランクシャフト31がプラネタリギヤを支承するキャリアを構成し、プラネタリギヤ5の駆動スプロケット部56に環状ベルト6を介して回転連結された従動スプロケット部62がサンギヤを構成する。クランクシャフト31の回転に対する従動スプロケット部56の回転の変速比Raは、リングギヤ58の歯数Z1および従動スプロケット部56の等価な歯数Z2から、次式で求めることができる。
【0034】
変速比Ra=(Z2−Z1)/Z2
上式にZ2=18、Z1=24を代入して、変速比Ra=−0.33が求められる。つまり、出力軸6の回転速度はクランクシャフト31の回転の0.33倍に減速され、負号は回転方向が逆回転となることを示している。例えば、図1(2)において、クランクシャフト31が時計回りに回転すると、出力軸6が固定されたサンギヤに相当する従動スプロケット部56は減速比0.33で反時計回りに回転する。
【0035】
変速比Raは、歯数Z1、Z2、および半径R1、R2を適宜選択することで、所望する減速比または増速比とすることができ、所望するトルクを得ることができる。
【0036】
次に、上述のように構成された第1実施形態の回転駆動装置1の動作、作用について説明する。往復駆動装置4の圧電式振動子42に所定の周波数の電圧を印加すると、圧電式振動子42は圧電効果により変形し、コネクティングロッド35の他端を図中矢印Vで示されるように左右に往復駆動し、振動数は電圧の周波数に一致する。周知のように、この往復駆動は、クランク機構3のクランクシャフト31を回転駆動する。電圧の周波数を増加させると、クランクシャフト31の回転速度が増加する。このため、クランクシャフト31の遠心力が増加し、プラネタリギヤ5は軸線AX2が回転軸線AXと平行を保った状態で半径方向外向きに変位し、ギヤ部53の外歯54がリングギヤ58の内歯59に噛合する。これにより、プラネタリギヤ5は回転軸線AXを中心として公転しつつ軸線AX2の回りを自転する。さらに、プラネタリギヤ5の駆動スプロケット部56の回転は、環状ベルト65により従動スプロケット部62に伝達され、従動スプロケット部62と一体に回転する出力軸6は、負荷Lにトルクを出力する。
【0037】
ここで、圧電式振動子42による往復駆動の振動数が小さくクランクシャフト31の回転速度および遠心力が小さい間、プラネタリギヤ5は半径方向外向きに変位せずリングギヤ58に噛合しない。このため、クランクシャフト31およびプラネタリギヤ5は、フライホイールに類似した機能で回転の慣性エネルギを蓄積する。周知のように、慣性エネルギは、質量に比例し、速度の二乗に比例する。また、回転運動における速度は回転半径と回転速度の積で与えられる。したがって、本実施形態において、慣性エネルギは往復駆動の振動数の二乗に比例して増加する。また、遠心力も質量に比例し、速度の二乗に比例する。
【0038】
往復駆動の振動数が増加してクランクシャフト31の回転速度および遠心力が増加すると、プラネタリギヤ5は半径方向外向きに変位してリングギヤ58に噛合するので、大きな慣性エネルギを含んだ大きなトルクがプラネタリ変速機構に入力される。さらに、プラネタリ変速機構では減速によるトルク増大作用が生じる。これにより、出力軸6は大きなトルクを出力する。
【0039】
また、駆動側と従動側とが面同士で摩擦接触する従来の駆動方式とは異なり、クランク機構3およびプラネタリ変速機構を組み合わせた駆動方式を用いているので、常時摩擦接触する箇所がなく摩擦面の摩耗のおそれがない。さらに、圧電式振動子42による往復駆動源の振動数の制御により出力回転速度を自在に調整でき、クランクシャフト31の回転方向を正逆切り替えて出力回転方向を制御できるので、制御性が良好である。また、負荷変動に対し、クランクシャフト31およびプラネタリギヤ5が慣性エネルギを放出および蓄積して補償する作用を有するので、応答性は従来よりも良好である。
【0040】
次に、クランク機構および波動歯車装置を組み合わせた本発明の第2実施形態の回転駆動装置について、図2を参考にして、第1実施形態と異なる点を主に説明する。図2は、本発明の第2実施形態の回転駆動装置10を模式的に説明する図であり、(1)は平面図、(2)は側面断面図である。図示されるように、回転駆動装置10は、基台20、クランクシャフト37およびコネクティングロッド38からなるクランク機構30、往復駆動装置40、押圧部材7、波動歯車装置8、図略の出力軸、などで構成されている。図2(1)において基台20は省略されており、X1−AX−Y1断面が(2)に示されている。
【0041】
クランク機構30は、クランクシャフト37およびコネクティングロッド38で構成されている。クランクシャフト37は、棒状の部材で形成されており、中央に軸孔371が穿設されている。軸孔371は、基台20上に立設された固定軸21により、回転軸線AX上に回転自在に支承されている。また、クランクシャフト37の回転軸線AXから外れた途中の連結位置には連結ピン372が立設されている。クランクシャフト37の両方の先端付近には、半径方向に延びる一対の長孔373、374が形成されている。一方、図2(1)に示されるようにコネクティングロッド38の図中左側の一端付近には連結孔381が形成されている。連結孔381には、クランクシャフト37に立設された連結ピン372が相対回転自在に係入している。コネクティングロッド38の図中右側の他端付近には一対の加振突起382、383が設けられている。
【0042】
往復駆動装置40は往復駆動源に相当し、図2(2)に示されるように、圧電式振動子44などで構成されている。往復駆動装置40は図略の取り付け具により基台20に固定されている。圧電式振動子44の振動する先端45は、コネクティングロッド35の一対の加振突起382、383の間に係入している。
【0043】
押圧部材7は、図2(2)に示されるように、押圧円板部71および、押圧円板部71の中心を貫通して一体に回転する軸部72で形成されている。押圧部材7は、クランクシャフト37の一対の長孔373、374に一対配置され、軸部72が長孔373、374に係入して抜け落ちないようになっている。軸部72は、長孔373、374の中で半径方向に変位可能であり、また回転可能に支承されている。
【0044】
なお、押圧部材7およびクランクシャフト37は、回転の慣性エネルギを蓄積する機能を効果的とするために、過大にならない範囲で質量を大きくすることが好ましい。このため、押圧部材7およびクランクシャフト37は、比重の大きな金属で形成する。あるいは、適宜錘を付加するようにしてもよい。
【0045】
波動歯車装置8は、回転軸線AXを共有する内側の可撓性外歯歯車81、および外側の剛性内歯歯車85で構成されている。可撓性外歯歯車81は可撓性樹脂で形成され、その外周側に凹状曲面の外歯82を有し、図の例では歯数Z3=22個である。剛性内歯歯車85は剛性樹脂で形成され、その内周側に凸状曲面の内歯86を有し、図の例では歯数Z4=24個である。可撓性外歯歯車81の内側には、一対の押圧部材7、7が配置されている。また、可撓性外歯歯車81および外側の剛性内歯歯車85の一方を基台20に保持し、他方を図略の出力軸に連結できる。ここでは、剛性内歯歯車85を基台20に保持し、可撓性外歯歯車81を図略の出力軸に連結したものとする。出力軸には負荷が結合されている。
【0046】
上述の波動歯車装置8において、一対の押圧部材7、7は半径方向外向きに変位したとき、波動発生器として作用する。すなわち、半径方向外向きに変位した押圧部材7、7は、可撓性外歯歯車81を押圧して楕円状に撓めながら剛性内歯歯車85に噛合させる。したがって、減速比Rdを次式により求めることができる。
【0047】
減速比Rd=(Z3−Z4)/Z3
一例として、上式にZ3=22、Z4=24を代入して、減速比Rd≒−0.09が求められる。つまり、可撓性外歯歯車81および出力軸の回転速度はクランクシャフト37の0.09倍に減速され、負号は回転方向が逆回転となることを示している。例えば、図2(2)において、クランクシャフト37が時計回りに回転すると、可撓性外歯歯車81および出力軸は反時計回りに回転する。
【0048】
次に、上述のように構成された第2実施形態の回転駆動装置10の動作、作用について説明する。往復駆動装置40の圧電式振動子44に所定の周波数の電圧を印加すると、圧電式振動子44は圧電効果により変形し、コネクティングロッド38の他端を図中矢印V1で示されるように左右に往復駆動し、振動数は電圧の周波数に一致する。周知のように、この往復駆動は、クランク機構30のクランクシャフト37を回転駆動する。そして、電圧の周波数を増加させると、クランクシャフト37の回転速度が増加する。このため、クランクシャフト37の遠心力が増加し、一対の押圧部材7、7は半径方向外向きに変位し、波動歯車装置8を駆動する。これにより、可撓性外歯歯車81と一体に回転する出力軸は、負荷にトルクを出力する。
【0049】
ここで、圧電式振動子44による往復駆動の振動数が小さくクランクシャフト37の回転速度および遠心力が小さい間、押圧部材7、7は半径方向外向きに変位せず波動歯車装置8を駆動しない。このため、クランクシャフト37および押圧部材7、7は、フライホイールに類似した機能で回転の慣性エネルギを蓄積する。周知のように、慣性エネルギは、質量に比例し、速度の二乗に比例する。また、回転運動における速度は回転半径と回転速度の積で与えられる。したがって、本実施形態において、慣性エネルギは往復駆動の振動数の二乗に比例して増加する。また、遠心力も質量に比例し、速度の二乗に比例する。
【0050】
往復駆動の振動数が増加してクランクシャフト37の回転速度および遠心力が増加すると、押圧部材7、7は半径方向外向きに変位して波動歯車装置8を駆動するので、大きな慣性エネルギを含んだ大きなトルクが波動歯車装置8を駆動に入力される。さらに、波動歯車装置8では減速によるトルク増大作用が生じるので、出力軸は大きなトルクを出力する。
【0051】
また、駆動側と従動側とが面同士で摩擦接触する従来の駆動方式とは異なり、クランク機構30および波動歯車装置8を組み合わせた駆動方式を用いているので、常時摩擦接触する箇所がなく摩擦面の摩耗のおそれがない。さらに、圧電式振動子43による往復駆動源の振動数の制御により出力回転速度を自在に調整でき、クランクシャフト37の回転方向を正逆切り替えて出力回転方向を制御できるので、制御性が良好である。また、負荷変動に対し、クランクシャフト37および押圧部材7、7が慣性エネルギを放出および蓄積して補償する作用を有するので、応答性は従来よりも良好である。
【0052】
次に、増速や減速を行わないシンプルな構成の第3実施形態の回転駆動装置について、図3を参考にして、第1および第2実施形態と異なる点を主に説明する。図3は、本発明の第3実施形態の回転駆動装置11を模式的に説明する図であり、(1)は平面図、(2)は側面断面図である。図示されるように、回転駆動装置11は、基台20、クランクシャフト39およびコネクティングロッド38からなるクランク機構300、往復駆動装置40、嵌合部材91、リングギヤ95、図略の出力軸、などで構成されている。図3(1)において基台20は省略されており、X2−AX−Y2断面が(2)に示されている。
【0053】
クランク機構300は、クランクシャフト39およびコネクティングロッド38で構成されている。クランクシャフト39は、棒状の部材で形成されており、中央側の一端に軸孔391が穿設されている。軸孔391は、基台20上に立設された固定軸21により、回転軸線AX上に回転自在に支承されている。また、クランクシャフト39の回転軸線AXから外れた途中の連結位置には連結ピン392が立設されている。クランクシャフト39の先端付近には、半径方向に延びる長孔393が形成されている。一方、図3(1)に示されるようにコネクティングロッド38の図中左側の一端付近には連結孔381が形成されている。連結孔381には、クランクシャフト39に立設された連結ピン392が相対回転自在に係入している。コネクティングロッド38の図中右側の他端付近には一対の加振突起382、383が設けられている。
【0054】
往復駆動装置40は、第2実施形態と同様の構成で往復駆動源に相当し、図3(2)に示されるように、圧電式振動子43などで構成されている。往復駆動装置40は図略の取り付け具により基台200に固定されている。圧電式振動子44の振動する先端45は、コネクティングロッド38の一対の加振突起382、383の間に嵌入している。所定の電圧を印加すると、圧電式振動子43は圧電効果により変形し、コネクティングロッド38の他端を図中矢印V2で示されるように往復駆動する。
【0055】
嵌合部材91は、図3(2)に示されるように、嵌合歯部92および、嵌合歯部92を貫通する軸部93で形成されている。嵌合部材91は、クランクシャフト39の長孔393に配置され、軸部93が長孔393に係入して抜け落ちないようになっている。嵌合歯部92は、半径方向外向きに凹状曲面の嵌合歯94を有している。軸部93は長孔393中で半径方向に変位可能であり、また回転を規制されている。
【0056】
なお、嵌合部材91およびクランクシャフト39は、回転の慣性エネルギを蓄積する機能を効果的とするために、過大にならない範囲で質量を大きくすることが好ましい。このため、嵌合部材91およびクランクシャフト39は、比重の大きな金属で形成する。あるいは、適宜錘を付加するようにしてもよい。
【0057】
リングギヤ95は環状の部材であり、基台200に回転軸線AXを共有して回転可能に支承されている。リングギヤ95は、その内周側に、嵌合部材91の嵌合歯94が嵌合可能な凸状曲面の内歯96を有している。リングギヤ95には一体に回転する図略の出力軸が連結され、出力軸には負荷が結合されている。なお、別体の出力軸を設けずに、リングギヤ95自身を出力軸に兼用することもできる。例えば、リングギヤ95の外周側に出力用の外歯を形成して負荷を駆動できる。
【0058】
次に、上述のように構成された第3実施形態の回転駆動装置11の動作、作用について説明する。往復駆動装置40の圧電式振動子44に所定の周波数の電圧を印加すると、圧電式振動子44は圧電効果により変形し、コネクティングロッド38の他端を図中矢印V2で示されるように左右に往復駆動し、振動数は電圧の周波数に一致する。周知のように、この往復駆動は、クランク機構300のクランクシャフト39を回転駆動する。電圧の周波数を増加させると、クランクシャフト39の回転速度が増加する。このため、クランクシャフト39の遠心力が増加し、嵌合部材91は半径方向外向きに変位し、嵌合部材91の嵌合歯94がリングギヤ95の内歯96に嵌合する。これにより、リングギヤ95が駆動され、リングギヤ95と一体に回転する出力軸は負荷にトルクを出力する。
【0059】
ここで、圧電式振動子43による往復駆動の振動数が小さくクランクシャフト39の回転速度および遠心力が小さい間、嵌合部材91は半径方向外向きに変位せずリングギヤ95を駆動しない。このため、クランクシャフト39および嵌合部材91は、フライホイールに類似した機能で回転の慣性エネルギを蓄積する。周知のように、慣性エネルギは、質量に比例し、速度の二乗に比例する。また、回転運動における速度は回転半径と回転速度の積で与えられる。したがって、本実施形態において、慣性エネルギは往復駆動の振動数の二乗に比例して増加する。また、遠心力も質量に比例し、速度の二乗に比例する。
【0060】
往復駆動の振動数が増加してクランクシャフト39の回転速度および遠心力が増加すると、嵌合部材91は半径方向外向きに変位してリングギヤ95を駆動するので、出力軸は大きな慣性エネルギを含んだ大きなトルクを出力する。
【0061】
また、駆動側と従動側とが面同士で摩擦接触する従来の駆動方式とは異なり、クランク機構300および嵌合部材91とリングギヤ95との嵌合作用を組み合わせた駆動方式を用いているので、常時摩擦接触する箇所がなく摩擦面の摩耗のおそれがない。さらに、圧電式振動子43による往復駆動源の振動数の制御により出力回転速度を自在に調整でき、クランクシャフト39の回転方向を正逆切り替えて出力回転方向を制御できるので、制御性が良好である。また、負荷変動に対し、クランクシャフト39および嵌合部材91が慣性エネルギを放出および蓄積して補償する作用を有するので、応答性は従来よりも良好である。
【0062】
なお、各実施形態において往復駆動装置4、40を始動するときに出力軸6および負荷Lは係合されておらず、円滑な始動および加速が行える。また、各実施形態において、往復駆動装置4、40の駆動源として圧電体の他に、電流を流すことで歪みが生じる磁歪体や、電圧を印加すると内部電子が移動して歪みが発生する高分子樹脂、通電加熱による温度変化で可逆的に変形する形状記憶合金などを用いることができる。
【0063】
さらに、第1実施形態のプラネタリギヤ5、第2実施形態の押圧部材7、および第3実施形態の嵌合部材91の各部材の半径方向への変位を円滑にするために、各種の動作制御機構を付設するようにしてもよい。例えば、遠心力が所定値未満のときに半径方向への変位を禁止し、遠心力が所定値以上になると半径方向外向きの変位を許容する引き外し機構を付設するようにしてもよい。本発明は、その他様々な応用が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1、10、11:回転駆動装置
2、20:基台 21:固定軸
3、30、300:クランク機構
31、37、39:クランクシャフト 32:軸芯部 33:アーム部
35、38:コネクティングロッド
4、40:往復駆動装置(往復駆動源) 41:固定部 42、44:圧電式振動子
5:プラネタリギヤ
51:副軸 52:軸端係合部 53:ギヤ部 54:外歯
56:駆動スプロケット部 57:ベルト係合面
58:リングギヤ 59:内歯
6:出力軸
61:軸支部 62:従動スプロケット部(サンギヤ) 63:ベルト係合面
65:環状ベルト(回転伝達手段)
7:押圧部材 71:押圧円板部 72:軸部
8:波動歯車装置
81:可撓性外歯歯車 82:外歯
85:剛性内歯歯車 86:内歯
91:嵌合部材 92:嵌合歯部 93:軸部 94:嵌合歯
95:リングギヤ 96:内歯
AX:回転軸線 AX2:軸線 L:負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台により回転軸線上に回転自在に支承され半径方向に延在するクランクシャフト、および該クランクシャフトの前記回転軸線から外れた連結位置に一端が連結されたコネクティングロッドからなるクランク機構と、
前記コネクティングロッドの他端を往復駆動する往復駆動源と、
前記クランクシャフトに半径方向に変位可能にかつ前記回転軸線と平行な軸線回りに回転可能に支承されたプラネタリギヤと、
前記基台に前記回転軸線を共有して固定されかつ前記プラネタリギヤが噛合可能なリングギヤと、
前記基台に前記回転軸線を共有して回転可能に軸承された出力軸と、
前記出力軸に前記回転軸線を共有して固定されたサンギヤと、
前記プラネタリギヤの回転を前記サンギヤに伝達する回転伝達手段と、
を備えることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項2】
基台と、
前記基台により回転軸線上に回転自在に支承され半径方向に延在するクランクシャフト、および該クランクシャフトの前記回転軸線から外れた連結位置に一端が連結されたコネクティングロッドからなるクランク機構と、
前記コネクティングロッドの他端を往復駆動する往復駆動源と、
前記クランクシャフトに半径方向に変位可能に設けられた押圧部材と、
前記基台に前記回転軸線を共有して設けられるとともに前記クランクシャフトの回転時の遠心力の増加により半径方向外向きに変位する前記押圧部材によって可撓性外歯歯車が剛性内歯歯車に噛合される波動歯車装置と、
前記基台に前記回転軸線を共有して回転可能に軸承された出力軸と、を備え、
前記可撓性外歯歯車および前記剛性内歯歯車の一方が前記基台に保持され、他方が前記出力軸に連結されていることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項3】
基台と、
前記基台により回転軸線上に回転自在に支承され半径方向に延在するクランクシャフト、および該クランクシャフトの前記回転軸線から外れた連結位置に一端が連結されたコネクティングロッドからなるクランク機構と、
前記コネクティングロッドの他端を往復駆動する往復駆動源と、
前記クランクシャフトに半径方向に変位可能に設けられた嵌合部材と、
前記基台に前記回転軸線を共有して回転可能に支承されかつ前記嵌合部材が嵌合可能な内歯を有するリングギヤと、
前記リングギヤと一体に回転する出力軸と、
を備えることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、前記往復駆動源は圧電体であることを特徴とする回転駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−163521(P2011−163521A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29748(P2010−29748)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】