説明

固体摺動部材注入方法及び固体摺動部材注入装置。

【課題】固体摺動部材を製品の二つの部品、例えばロッドエンドのハウジングと内輪の僅かな隙間に油圧プレス等で挿入していたが、隙間に均質に挿入できず圧入する力の加減が難しく、強く圧入すると製品自体に傷がつくか破損することがあった。このような固体摺動部材を二つの部品の隙間に、均一に注入する方法を提供する。
【解決手段】固体摺動部材6を溶解する温度まで加熱し、加熱した固体摺動部材を、射出成形の方法で、あるいは、トランスファープレス等で圧力を加えて、製品を構成する部品の一つに開けた穴15を通して、二つの部品の隙間に注入する。二つの部品はスリーブ9で固定され受け皿12の窪みに嵌められ、溶解した固体摺動部材がノズル7を通って二つの部品の隙間に注入される。製品の摺動抵抗の均一化、回転運動の均一化及び長期安定を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つの部品が他の部品を包むか覆うかしている製品、例えばロッドエンドや球面ベアリング、あるいは二枚の板状体からなる製品、例えばスライドガイド、に於いて二つの部品の隙間に、摺動特性の高い固体摺動部材を加熱溶解して注入する固体摺動部材注入方法及び固体摺動部材注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、軸受は、基本的には内輪と外輪とボール又はローラー等の転動体の三つの部品から成り立っている。転動体は内輪と外輪の間に挿入され、内輪又は外輪の回転をスムースにするためのもので、摩擦抵抗低減の役目を果たしている。しかし、用途によって、転動体を使用しない軸受、例えば、ロッドエンドや球面ベアリングもあり、この場合、内輪とハウジング(内輪を包む金属のケース)、又は内輪と外輪の二つの部品の隙間に、摺動性の高い材質の固体摺動部材を油圧プレス等で圧入している。従来、この固体摺動部材には、アラミド織布にテフロン樹脂をコーティングしたものを機械的に挟み込んだものや、あるいは、熱可塑性樹脂及びエンジニアプラスチックを射出成形等により注入したものが主流をなしている。
しかし、アラミド織布にテフロン樹脂をコーティングしたものを機械的に挟み込んだ固体摺動部材は、内輪とハウジング、又は内輪と外輪との接触面が均質でなく、ロッドエンドや球面ベアリングとして要求される摺動抵抗の均一化、回転運動の均一化及び長期安定を維持するのに難がある。
又、熱可塑性樹脂や、あるいはエンジニアプラスチックを射出成形したものは、摺動摩擦熱及び接触圧力による軟化クリープが生じやすく、その使用条件が極めて限定される。従来の機械的な挿入では内輪とハウジング、又は内輪と外輪との隙間に均質に挿入できず又挿入するために、油圧プレスなどで圧入しなければならないが、強く圧入すると製品自体が傷つくか、破損することもあり、挿入が容易でない。
特に、摺動抵抗の少ない、長期安定維持力のある固体摺動材、例えば、線間強度が高く、摩擦係数の低いPAN系アラミド繊維チョップと摺動特性に優れたテフロン樹脂、二硫化モリブデン、黒鉛等の粉末とマトリックス樹脂として耐圧性が高く、熱安定性に優れたフェノール樹脂等の熱硬化性粉末を分散混合した抄造素材を、機械的に挿入することは非常に難しく、このような固体摺動部材を溶解して均質に挿入する方法はなかった。
【先行技術文献】
【0003】
先行技術はない。
【発明の概要】

【発明が解決しょうとする課題】
【0004】
従来は、アラミド織布等の繊維素材と摺動性の高いテフロン樹脂等の固体摺動材や熱可塑性樹脂をコーティングしたものを機械的に挟み込んだものを固体摺動部材として、ロッドエンドの内輪とハウジング、又は球面ベアリングの内輪と外輪との隙間に、油圧プレス等で圧入していた。このとき、圧入する力の加減は難しく、力が弱ければうまく挿入できず、力が強すぎると製品自体に傷がつくか、破損することもあった。従来の挿入の方法では、アラミド繊維や天然繊維で作られた繊維素材とテフロン樹脂等の固体摺動材からなる固体摺動部材を、製品の二つの部品、内輪とハウジング、又は内輪と外輪との隙間に均一に、且つ、接触面を均質になるように挿入することが容易でなく、ロッドエンドや球面ベアリングとして要求される摺動抵抗の均一化、回転運動の均一化及び長期安定を維持するのに難があった。
本発明が解決しょうとする課題は、従来、二つの部品の隙間に均質的に挿入することが非常に難しい、摺動抵抗が少なく、長期安定維持力のある固体摺動部材、例えば、線間強度が高く、摩擦係数の低いPAN系アラミド繊維チョップと摺動特性に優れたテフロン樹脂からなる固体摺動部材、あるいは、PAN系アラミド繊維チョップと摺動特性に優れたテフロン樹脂、二硫化モリブデン、黒鉛等の粉末とマトリックス樹脂として耐圧性が高く熱安定性に優れたフェノール樹脂等の熱硬化性粉末を分散混合した抄造素材を、二つの部品(例えば、ロッドエンドの場合、内輪とハウジング)の隙間に、簡単に、且つ、均質的に注入成形する固体摺動部材注入方法及び固体摺動部材注入装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するためには、先ず、固体摺動部材を加熱し、溶解する状態にすることと、製品を構成する二つの部品(例えばロッドエンドの場合、ハウジングと内輪、球面ベアリングの場合は外輪と内輪)のうち、他の部品を包むか覆うかしている部品(例えばロッドエンドの場合はハウジングであり、球面ベアリングの場合は外輪)に少なくとも二個所に貫通穴をあけ、概貫通穴の一つを通して、溶解した固体摺動部材を二つの部品(例えばロッドエンドの場合、ハウジングと内輪、球面ベアリングの場合は外輪と内輪)の隙間に注入することである。
固体摺動部材の注入方法について、固体摺動部材注入装置(以下「注入装置」という)の各部品の組み立て手順を述べながら下記説明する。製品をロッドエンドの例を取り、固体摺動部材を二つの部品(内輪とハウジング)の隙間に注入する方法を説明する。
1.ロッドエンドのハウジングに、ハウジングを貫通する穴を少なくとも二つあける。
一つは固体摺動部材を溶解して注入するときの貫通穴(以下「注入口」という)で、もう一つは空気やガスなどを抜く貫通穴(以下「空気穴」という)である。二つの部品からなる製品の場合は、外側に当たる部品に注入口と空気穴を設ける。注入口と空気穴の口径比は面積比で2:1から3:1にするのが、摺動部材層の成形圧力を高く保つことができ、性能上好ましい。
2.ロッドエンドのハウジングの中に内輪を入れ、注入装置の部品の一つである製品を挟み込む部品(以下「スリーブ」という)で、ロッドエンドのハウジングと内輪を挟み込む。
3.ロッドエンドのハウジングと内輪を挟み込んだスリーブがすっぽり嵌る窪みを上面に設けた台板(以下「受け皿」という)の窪みに、ロッドエンドのハウジングと内輪を挟み込んだスリーブを嵌める。
4.溶解した固体摺動部材を注入する為のノズルが入る貫通穴を設けた蓋(以下「被せ蓋」という)を受け皿の上に載せる。
5.ノズルを被せ蓋の貫通穴に嵌めこむ。
6.ノズルの上に固体摺動部材を載せる。
7.ノズルと固体摺動部材と押し棒が嵌る貫通穴を設けた板(以下「上蓋」という)の貫通穴にノズルと固体摺動部材をはめ込み、上蓋を被せ蓋の上に載せる。
8.上蓋の貫通穴に押し棒を入れる。
9.受け皿の下に、熱源と発熱部と温度センサーを備えた熱盤(以下「下部熱盤」という)を置く。
10.押し棒の上に、熱源と発熱部と温度センサーを備えた熱盤(以下「上部熱盤」という)を押し棒の上に載せる。
11.下部熱盤と上部熱盤の電源をオンにする。温度センサーにより、熱盤の温度を固体摺動部材を溶解する温度まで加熱する。例えば、アラミド繊維とテフロン樹脂から成る固体摺動部材の場合は、約180℃まで加熱する。
12.固体摺動部材が溶解する時間をみて、油圧プレスやトランスファープレス等で上部熱源の上から圧力を加え、溶解した固体摺動部材をロッドエンドのハウジングに開けた貫通穴を通して、ハウジングと内輪の隙間に注入する。
以上が製品を構成する二つの部品(例えば、ロッドエンドの場合はハウジングと内輪)の隙間に固体摺動部材を注入する方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の固体摺動部材注入装置を使用した固体摺動部材注入方法は、アラミド繊維とテフロン樹脂をコーティングし、機械的に挟み込んだ固体摺動部材を力で挿入する方法と異なり、ロッドエンドのハウジングと内輪、又は球面ベアリングの外輪と内輪との隙間に均一に注入されるため、摺動抵抗が均一で、摺動摩擦熱や接触圧力に対する耐性に優れた、耐久寿命が長く、幅広い使用条件に対応できるロッドエンドや球面ベアリングを製造することができる。耐熱性及び機械的強度が高い固体摺動部材を使用することもできるので、このような固体摺動部材を注入した製品(ロッドエンドや球面ベアリング)は高荷重、高回転での過酷な条件下でも使用可能で、且つ、ハウジングと内輪、又は外輪と内輪との隙間に均一に充填されるので、安定した摺動抵抗の下での長期使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第一の実施例の固体摺動部材注入装置の各部品を示した部品分解断面図である。
【図2】本発明の第一の実施例の固体摺動部材を載せた固体摺動部材注入装置の各部品組立図である。
【図3】本発明の固体摺動部材注入装置のロッドエンドを挟み込んだスリーブをはめ込むための受け皿の平面図である。
【図4】本発明の固体摺動部材注入装置のロッドエンドを挟み込んだスリーブをはめ込むための受け皿の側面図である。
【図5】本発明の固体摺動部材注入装置のロッドエンドを挟み込んだスリーブをはめ込むための受け皿の別方向からの側面図である。
【図6】本発明の固体摺動部材注入装置の受け皿に、ロッドエンドのハウジングと内輪を挟み込んだスリーブをはめ込んだ平面図である
【図7】本発明の固体摺動部材注入装置の、ロッドエンドのハウジングと内輪を挟み込んだスリーブの平面図である。
【図8】本発明の固体摺動部材注入装置の、ロッドエンドのハウジングと内輪を挟み込んだスリーブの断面図である。
【図9】二個所に貫通穴を設けたロッドエンドの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の第一の実施例は、一つの部品が他の部品を包むか覆うかしている製品、例えばロッドエンドや球面ベアリングの二つの部品の隙間に固体摺動部材を注入する固体摺動部材注入装置である。図1に各部品の断面図を示す。各部品は下記の通りである。
1.製品を構成する二つの部品(ロッドエンドの場合は内輪10とハウジング11)を挟み込む筒状体のスリーブ10。
2.製品を構成する二つの部品(ロッドエンドの場合は内輪10とハウジング11)を挟み込んだスリーブ10がすっぽり嵌る窪み14を上面に設けた受け皿12。
3.溶解した固体摺動部材6を注入する為のノズル7。
4.ノズル7が入る貫通穴を設けた被せ蓋8。
5.ノズル7と固体摺動部材6と押し棒4が嵌る貫通穴を設けた上蓋5。
6.押し棒4。
7.受け皿12の下に敷くヒーター(発熱部)と温度センサーを備えた下部熱盤13。
8.上に載せるヒーター(発熱部)2と温度センサー3を備えた上部熱盤1。
上記の部品を下記のように組み合わせた固体摺動部材注入装置である。
下部熱盤13の上に受け皿12を載せ、受け皿12の窪み14に二つの部品(ロッドエンドの場合は内輪10とハウジング11)を挟み込んだスリーブ9を入れ、受け皿12に被せ蓋8を被せる。ノズル7の上に固体摺動部材6を載せ、これらを被せ蓋8の貫通穴に嵌めこみ、上蓋5を被せ蓋8の上に載せ、上蓋5の貫通穴に押し棒4を入れ、押し棒4の上に上部熱盤1を載せる。このような部品から成る固体摺動部材注入装置である。
【0009】
本発明の第二の実施例は、第一の実施例の下部熱盤13と上部熱盤1の代りに、ヒーター(発熱部)を内蔵した、固体摺動部材がすっぽり嵌る筒状体の発熱筒(図示せず)を使用したものである。
下記部品で構成される固体摺動部材注入装置である。
1.第一の実施例のスリーブ9。
2.第一の実施例の受け皿12。
3.第一の実施例のノズル7。
4.固体摺動部材6を溶解させる筒状体(図示せず)。(以下「発熱筒」という)
5.第一の実施例の被せ蓋8。
6.第一の実施例の上蓋5。
7.押し棒6。
上記の部品を下記のように組み合わせた固体摺動部材注入装置である。
受け皿12を下にして、受け皿12の窪み14に二つの部品(ロッドエンドの場合は内輪10とハウジング11)を挟み込んだスリーブ9を入れ、受け皿12に被せ蓋8を被せる。ノズル7を被せ蓋8の貫通穴に押し込み、ノズル7の上に固体摺動部材6を入れた発熱筒(図1における固体摺動部材6のところ)を載せ、上蓋5を、上蓋5の貫通穴にノズル7と固体摺動部材6を入れた発熱筒をはめ込んで、被せ蓋8の上に載せる。上蓋の貫通穴に押し棒4を入れる。このように各部品を組み込んだ固体摺動部材注入装置である。
【0010】
第三の実施例は、下記部品からなる固体摺動部材注入装置である。
1.第一の実施例の受け皿12。
2.第一の実施例のスリーブ9。
3.第一の実施例の被せ蓋8。
4.予め加熱しておいた固体摺動部材6を載せたノズル7。
5.第一実施例の上蓋5。
6.押し棒4。
上記の部品を下記のように組み合わせた固体摺動部材注入装置である。
受け皿12を下にして、受け皿12の窪み14に二つの部品(ロッドエンドの場合は内輪10とハウジング11)を挟み込んだスリーブ9を入れ、受け皿12に被せ蓋8を被せる。被せ蓋8の貫通穴にノズル7を挿入し、ノズル7の上に予め溶解するまで加熱した固体摺動部材6を載せ、上蓋5の貫通穴にノズル7と固体摺動部材6が嵌るように上蓋5を被せ蓋8の上に載せる。押し棒4を上蓋5の貫通穴に嵌めこみ、固体摺動部材6の上に載せる。
このように各部品を組みこんだ固体摺動部材注入装置である。
【0011】
固体摺動部材注入方法の第一の実施例については、下記の手順で注入装置を組み立て、固体摺動部材を製品の二つの部品の隙間に注入する方法である。
1.製品の二つの部品のうちで、外側に当たる部品に二つの貫通穴を設ける。
(ロッドエンドの場合はハウジングに二つの貫通穴、注入口と空気穴を設ける)。
上記の作業は、予め、貫通穴をあける部品(ロッドエンドの場合はハウジング)に少なくとも二つの貫通穴、注入口と空気穴をあけておき,注入装置で注入する毎に上記作業をする必要はない。
2.下部熱盤を置く。
3.下部熱盤の上に受け皿を載せる。
4.スリーブで製品の二つの部品(ロッドエンドの場合はハウジングと内輪)を挟み固定する。
5.二つの部品を挟んだスリーブを受け皿の窪みに嵌める。
6.スリーブをはめ込んだ受け皿に被せ蓋を被せる。
7.被せ蓋の貫通穴にノズルを挿入する。
8.ノズルの上に固体摺動部材を載せる。
9.上蓋の貫通穴にノズルと固体摺動部材をはめ込んで、上蓋を被せ蓋の上に載せる。
10.上蓋の貫通穴に押し棒を差し込む。
11.押し棒の上に上部熱盤を置く。
12.下部熱盤と上部熱盤に電源を入れ、下部熱盤と上部熱盤を固体摺動部材が溶解する温度まで加熱する。
13.油圧プレス等で上部熱盤を押す。
プレスする力は溶解した固体摺動部材と固体摺動部材が注入される製品によって異なる。以上が固体摺動部材注入方法の第一の実施例である。
【0012】
固体摺動部材注入方法の第二の実施例は、下記のような手順で行われる。
1.製品の二つの部品のうちで、外側に当たる部品に二つの貫通穴を設ける。
(ロッドエンドの場合はハウジングに二つの貫通穴、注入口と空気穴を設ける)。
上記の部品(ロッドエンドの場合はハウジング)に注入口と空気穴をあけておく作業は前以て行い、各注入毎に行う必要はない。
2.受け皿を置く。
3.スリーブで製品の二つの部品(ロッドエンドの場合はハウジングと内輪)を挟み固定する。
4.二つの部品を挟んだスリーブを受け皿の窪みに嵌める。
5.スリーブをはめ込んだ受け皿に被せ蓋を被せる。
6.被せ蓋の貫通穴にノズルを挿入する。
7.ヒーターを内蔵した発熱筒に固体摺動部材を挿入する。
8.ノズルの上に固体摺動部材を挿入した発熱筒を載せる。
9.上蓋の貫通穴にノズルと発熱筒が入るように、上蓋を被せ蓋の上に載せる。
10.上蓋の貫通穴に押し棒を差し込む。
11.発熱筒を加熱する。固体摺動部材が溶解する温度まで加熱する。
12.油圧プレス等で押し棒を押す。
【0013】
固体摺動部材注入方法の第三の実施例は、第二の実施例の7と8のところが下記のようになり、他の手順は第二の実施例と同じものである。
1.製品の二つの部品のうちで、外側に当たる部品に二つの貫通穴を設ける。
(ロッドエンドの場合はハウジングに二つの貫通穴、注入口と空気穴を設ける)。
上記の部品(ロッドエンドの場合はハウジング)に注入口と空気穴をあけておく作業は前以て行い、各注入毎に行う必要はない。
2.受け皿を置く。
3.スリーブで製品の二つの部品(ロッドエンドの場合はハウジングと内輪)を挟み固定する。
4.二つの部品を挟んだスリーブを受け皿の窪みに嵌める。
5.スリーブをはめ込んだ受け皿に被せ蓋を被せる。
6.被せ蓋の貫通穴にノズルを挿入する。
7.注入装置とは別のオーブンか何かのヒーターで、固体摺動部材が溶解する温度まで予め加熱した固体摺動部材をノズルの上に載せる。
8.上蓋の貫通穴にノズルと固体摺動部材が入るように、上蓋を被せ蓋の上に載せる。
9.上蓋の貫通穴に押し棒を差し込む。
10.油圧プレス等で押し棒を押す。
上記の手順で行う固体摺動部材注入方法である。
第一の実施例の固体摺動部材注入方法、第二の実施例の固体摺動部材注入方法及び第三の実施例の固体摺動部材注入方法とも、ノズルの穴と外側の部品(ロッドエンドの場合はハウジング)にあけた注入口は一直線になるように配置する。
【符号の説明】
【0014】
1 上部熱盤 2 ヒーター(発熱部)
3 温度センサー 4 押し棒
5 上蓋 6 固体摺動部材
7 ノズル 8 被せ蓋
9 スリーブ 10 ロッドエンドの内輪
11 ロッドエンドのハウジング
12 受け皿 13 下部熱盤
14 窪み 15注入口
16 空気穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を構成する二つの部品のうち、他の部品を包むか覆うかしている部品に、少なくとも二個所に貫通穴を設け、予め溶解する温度まで加熱した固体摺動部材を溶解させて、、貫通穴を設けた部品の貫通穴を通して、二つの部品の間の隙間に、射出成形の方法で、あるいはトランスファープレス等で力を加えて注入する固定摺動部材注入方法。
【請求項2】
下記部品から成る固定摺動部材注入装置。
1.製品を構成する二つの部品(例えば、ロッドエンドの場合は内輪とハウジング)を挟む筒状体、若しくは二つの半筒状体又は板状体、若しくはコの字型の板(以下「スリーブ」という)。
2.二つの部品(ロッドエンドの場合、内輪とハウジング)を挟み込んだスリーブがすっぽり嵌る窪みを上面に設けた台板(以下「受け皿」という)。
3.溶解した摺動部材を注入する為のノズル。
4.ノズルが入る貫通穴を設けた蓋(以下「被せ蓋」という)。
5.ノズルと固体摺動部材、又は溶解した摺動部材と押し棒が嵌る貫通穴を設けた板(以下「上蓋」という)。
6.押し棒。
7.ヒーター(発熱部)と温度センサーを備えた熱盤(以下「下部熱盤」という)。
8.ヒーター(発熱部)と温度センサーを備えた熱盤(以下「上部熱盤」という)。
【請求項3】
請求項2の固定摺動部材注入装置を使用して、固定摺動部材を製品の二つの部品(例えば、ロッドエンドの場合は内輪とハウジング)の間に、下記の手順で固定摺動部材を注入する固定摺動部材注入方法。
1.製品を構成する二つの部品のうち外側にある部品(例えば、ロッドエンドの場合はハウジング)に、少なくとも二個所に貫通穴を設ける。
2.スリーブで製品を構成する二つの部品(例えば、ロッドエンドの場合はハウジングと内輪)を挟み込んで固定する。
3.受け皿の窪みに、二つの部品を挟み込んだスリーブを嵌める。
4.被せ蓋を受け皿に被せる。
5.ノズルを被せ蓋の貫通穴に嵌めこむ。
6.ノズルの上に固定摺動部材を載せる。
7.上蓋の貫通穴にノズルと固定摺動部材をはめ込み、上蓋を被せ蓋の上に載せる。
8.上蓋の貫通穴に押し棒を入れる。
9.受け皿の下に下部熱盤を置く。
10.押し棒の上に上部熱盤を載せる。
11.下部熱盤と上部熱盤の電源をオンにする。温度センサーにより、熱盤の温度を摺動部材を溶解する温度に制御する。
12.油圧プレスやトランスファープレス等で上部熱源の上から圧力を加え、溶解した摺動部材を二つの部品(例えば、ロッドエンドの場合はハウジングと内輪)の隙間に注入する。
【請求項4】
下記部品からなる固定摺動部材注入装置。
1.請求項1記載の受け皿。
2.請求項1記載のスリーブ。
3.請求項1記載の被せ蓋。
4.請求項1記載のノズル。
5.摺動部材がすっぽり嵌る空間を有していて、両面が開口している筒状体で、ヒーター(発熱部)を内蔵している発熱体(以下「発熱筒」という)。
6.請求項1記載の上蓋。
7.押し棒。
【請求項5】
請求項4の固定摺動部材注入装置を使用して、固定摺動部材を製品の二つの部品(例えば、ロッドエンドの場合はハウジングと内輪)の間に、下記の手順で注入する固定摺動部材注入方法。
1.製品を構成する二つの部品のうち外側にある部品(例えば、ロッドエンドの場合はハウジング)に、少なくとも二個所に貫通穴を設ける。
2.スリーブで製品の二つの部品(例えば、ロッドエンドの場合はハウジングと内輪)を挟み込んで固定する。
3.受け皿の窪みにスリーブを嵌める。
4.被せ蓋を受け皿に被せる。
5.ノズルを被せ蓋の貫通穴に嵌めこむ。
6.固定摺動部材を発熱筒に入れる。
7.発熱筒をノズルの上に載せる。
8.上蓋の貫通穴にノズルと発熱筒をはめ込み、上蓋を被せ蓋の上に載せる。
9.上蓋の貫通穴に押し棒を入れる。
10.発熱筒の電源をオンにする。
11.油圧プレスやトランスファープレス等で押し棒を押し、溶解した固定摺動部材を二つの部品(例えば、ロッドエンドの場合はハウジングと内輪)の隙間に注入する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−224947(P2011−224947A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108732(P2010−108732)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(510128638)
【Fターム(参考)】