説明

固体撮像装置

【課題】何れかの読出用配線または行選択用配線が断線している場合にも解像度が高い画像を得ることができる固体撮像装置を提供する。
【解決手段】固体撮像装置は、入射光強度に応じた量の電荷を発生するフォトダイオードPDと、このフォトダイオードと接続された読出用スイッチSWと、を各々含むM×N個の画素部P1,1〜PM,NがM行N列に2次元配列された受光部を備える。各画素部Pm,nは略正方形の領域を占めていて、その領域の殆どの部分がフォトダイオードPDの領域であり、その領域の一つの角部に読出用スイッチSWとしての電界効果トランジスタが形成されている。画素部間の領域にチャネルストッパCSが連続して形成されている。任意の互いに隣接する2個の画素部により挟まれる領域において、チャネルストッパCSにより囲まれてダミー用フォトダイオードPD2が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置として、CMOS技術を用いたものが知られており、その中でもパッシブピクセルセンサ(PPS: Passive Pixel Sensor)方式のものが知られている(特許文献1を参照)。PPS方式の固体撮像装置は、入射光強度に応じた量の電荷を発生するフォトダイオードを含むPPS型の画素部がM行N列に2次元配列されていて、各画素部において光入射に応じてフォトダイオードで発生した電荷を、積分回路において容量素子に蓄積し、その蓄積電荷量に応じた電圧値を出力するものである。
【0003】
一般に、各列のM個の画素部それぞれの出力端は、その列に対応して設けられている読出用配線を介して、その列に対応して設けられている積分回路の入力端と接続されている。そして、第1行から第M行まで順次に行毎に、画素部のフォトダイオードで発生した電荷は、対応する読出用配線を通って、対応する積分回路に入力されて、その積分回路から電荷量に応じた電圧値が出力される。
【0004】
また、各行のN個の画素部それぞれは、その行に対応して設けられている行選択用配線を介して行選択部と接続されていて、この行選択部から行選択用配線により伝えられる行選択制御信号に従って、フォトダイオードで発生した電荷を読出用配線へ出力する。
【0005】
PPS方式の固体撮像装置は、様々な用途で用いられ、例えば、シンチレータパネルと組み合わされてX線フラットパネルとして医療用途や工業用途でも用いられ、更に具体的にはX線CT装置やマイクロフォーカスX線検査装置等においても用いられる(特許文献2を参照)。このような用途で用いられる固体撮像装置は、M×N個の画素部が2次元配列される受光部が大面積であり、各辺の長さが10cmを超える大きさの半導体基板に集積化される場合がある。したがって、1枚の半導体ウェハから1個の固体撮像装置しか製造され得ない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−234557号公報
【特許文献2】特開2001−027673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような固体撮像装置において、何れかの列に対応する読出用配線が製造途中で断線した場合、その列のM個の画素部のうち、積分回路に対し断線位置より近いところにある画素部は読出用配線により積分回路と接続されているが、積分回路に対し断線位置より遠いところにある画素部は積分回路と接続されていない。したがって、積分回路に対し断線位置より遠いところにある画素部において光入射に応じてフォトダイオードで発生した電荷は、積分回路へ読み出されることがなく、該フォトダイオードの接合容量部に蓄積されていく一方である。
【0008】
同様に、何れかの行に対応する行選択用配線が製造途中で断線した場合、その行のN個の画素部のうち、行選択部に対し断線位置より近いところにある画素部は行選択用配線により行選択部と接続されているが、行選択部に対し断線位置より遠いところにある画素部は行選択部と接続されていない。したがって、行選択部に対し断線位置より遠いところにある画素部において光入射に応じてフォトダイオードで発生した電荷は、積分回路へ読み出されることがなく、該フォトダイオードの接合容量部に蓄積されていく一方である。
【0009】
フォトダイオードの接合容量部に蓄積される電荷の量が飽和レベルを越えると、飽和レベルを越えた分の電荷が隣の画素部へ溢れ出す。したがって、1本の読出用配線が断線すると、その影響は、その読出用配線と接続された列の画素部に及ぶだけでなく、両隣の列の画素部にも及び、結局、連続した3列の画素部について欠陥ラインが生じることになる。同様に、1本の行選択用配線が断線すると、その影響は、その行選択用配線と接続された行の画素部に及ぶだけでなく、両隣の行の画素部にも及び、結局、連続した3行の画素部について欠陥ラインが生じることになる。
【0010】
欠陥ラインが連続しておらず、1本の欠陥ラインの両隣が正常ラインであれば、これら両隣の正常ラインの各画素データを用いて欠陥ラインの画素データを補間することも可能である。しかし、連続した3行または3列の画素部について欠陥ラインが生じた場合には、上記のような補間をすることが困難である。特に、上述したように大面積の受光部を有する固体撮像装置は、読出用配線および行選択用配線それぞれが長いことから断線が生じる確率が高くなる。
【0011】
特許文献1には、このような問題点を解消することを意図した発明が提案されている。この発明では、欠陥ラインの隣にある隣接ラインの全画素データの平均値を求めるとともに、更に隣にある正常な数ライン分の全画素データの平均値をも求め、これら2つの平均値の差が一定値以上であれば隣接ラインも欠陥であると判定して、該隣接ラインの画素データを補正し、さらに、該隣接ラインの画素データの補正後の値に基づいて欠陥ラインの画素データを補正する。
【0012】
特許文献1に記載された発明では、欠陥であると判定された隣接ラインの画素データの補正の際には、該隣接ラインに対して両側の直近の正常ライン上の2つの画素データの平均値を求め、その平均値を該隣接ラインの画素データとする。また、欠陥ラインの画素データの補正の際には、該欠陥ラインに対して両側の隣接ライン上の2つの画素データの平均値を求め、その平均値を該欠陥ラインの画素データとする。
【0013】
しかし、特許文献1に記載された発明では、欠陥ライン(および、欠陥ラインの近傍にある欠陥と判定されたライン)の画素データを補正するために、2つの画素データの平均を求めるという処理を複数回繰り返すことになるので、補正後の画像において欠陥ライン近傍では解像度が低くなる。
【0014】
また、特許文献2にも、上記の問題点を解消することを意図した発明が提案されている。この発明では、欠陥ライン上の画素部で飽和した電荷が隣の正常ライン上の画素部へ流入することを防止するために、画素部間の領域にダミー用フォトダイオードが形成されていて、欠陥ライン上の画素部で飽和した電荷をダミー用フォトダイオードで捉えて排出する。しかし、特許文献2に記載された発明では、正常ライン上の画素部への電荷の流入を充分には抑制することができず、それ故、得られる画像において欠陥ライン近傍では解像度が低くなる。
【0015】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、何れかの読出用配線または行選択用配線が断線している場合にも解像度が高い画像を得ることができる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る固体撮像装置は、入射光強度に応じた量の電荷を発生するフォトダイオードと、このフォトダイオードと接続された読出用スイッチと、を各々含むM×N個の画素部P1,1〜PM,NがM行N列に2次元配列された受光部を備える。そして、本発明に係る固体撮像装置では、(1) 各画素部Pm,nに含まれるフォトダイオードが、第1導電型の第1半導体領域上に第2導電型の第2半導体領域が設けられて形成され、(2) 受光部における画素部間の領域に、第1半導体領域より不純物濃度が高い第1導電型の第3半導体領域からなるチャネルストッパが形成され、(3) M×N個の画素部P1,1〜PM,Nのうちの任意の互いに隣接する2個の画素部により挟まれる領域において、第1半導体領域上に第2導電型の第4半導体領域が設けられてダミー用フォトダイオードが離散的に形成され、各々のダミー用フォトダイオードがチャネルストッパにより360°囲まれている、ことを特徴とする。ただし、M,Nは2以上の整数であり、mは1以上M以下の各整数であり、nは1以上N以下の各整数である。また、第1導電型および第2導電型のうち一方はP型であり他方はN型である。
【0017】
固体撮像装置では、何れかの読出用配線または行選択用配線が断線して欠陥ラインが生じている場合、その欠陥ライン上の画素部では、光入射に応じてフォトダイオードで発生した電荷は、読み出されることがなく、該フォトダイオードの接合容量部に蓄積されていく一方である。フォトダイオードの接合容量部に蓄積される電荷の量が飽和レベルを越えると、飽和レベルを越えた分の電荷が当該画素部の外へ溢れ出す。しかし、本発明に係る固体撮像装置では、画素部間の領域においてチャネルストッパにより360°囲まれてダミー用フォトダイオードが離散的に形成されていることにより、画素部から溢れ出た電荷は、このダミー用フォトダイオードにより捉えられて排出される。これにより、この画素部の隣にある画素部へ電荷が流入することが抑制され、S/N比の低下が抑制される。したがって、何れかの読出用配線または行選択用配線が断線している場合にも解像度が高い画像を得ることができる。
【0018】
一般に各画素部は略正方形の領域を占めていて、その略正方形領域の殆どの部分がフォトダイオードの領域であり、また、その略正方形領域の一つの角部に読出用スイッチとしての電界効果トランジスタが形成されている。フォトダイオードの略正方形領域の角部では、電界強度が高いので、電荷が溢れ出し易い。また、この読出用スイッチが設けられている領域付近では、不要電荷が発生し易い。そこで、本発明では、M×N個の画素部P1,1〜PM,Nのうちの任意の互いに隣接する2×2個の画素部により囲まれる領域においても、チャネルストッパにより360°囲まれてダミー用フォトダイオードが離散的に形成されているのが好ましい。このようにすることで、フォトダイオードの略正方形領域の角部で発生した電荷は、ダミー用フォトダイオードにより更に効率的に排出され得る。
【0019】
また、本発明に係るX線CT装置は、(1) 被写体に向けてX線を出力するX線出力部と、(2) X線出力部から出力されて被写体を経て到達したX線を受光し撮像する上記の本発明に係る固体撮像装置と、(3) X線出力部および固体撮像装置を被写体に対して相対移動させる移動手段と、(4) 固体撮像装置から出力されるフレームデータを入力し、そのフレームデータに基づいて被写体の断層画像を生成する画像解析部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、何れかの読出用配線または行選択用配線が断線している場合にも解像度が高い画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る固体撮像装置1の概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る固体撮像装置1に含まれる画素部Pm,n,積分回路Sおよび保持回路Hそれぞれの回路図である。
【図3】本実施形態に係る固体撮像装置1の動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】本実施形態に係る固体撮像装置1に含まれる受光部10の構成例を示す平面図である。
【図5】本実施形態に係る固体撮像装置1に含まれる受光部10の構成例を示す平面図である。
【図6】図5におけるA-A断面図である。
【図7】図5におけるB-B断面図である。
【図8】本実施形態に係るX線CT装置100の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る固体撮像装置1の概略構成図である。本実施形態に係る固体撮像装置1は、受光部10、信号読出部20および制御部30を備える。また、X線フラットパネルとして用いられる場合、固体撮像装置1の受光面10の上にシンチレータパネルが重ねられる。
【0024】
受光部10は、M×N個の画素部P1,1〜PM,NがM行N列に2次元配列されたものである。画素部Pm,nは第m行第n列に位置する。ここで、M,Nそれぞれは2以上の整数であり、mは1以上M以下の各整数であり、nは1以上N以下の各整数である。各画素部Pm,nは、PPS方式のものであって、共通の構成を有している。
【0025】
第m行のN個の画素部Pm,1〜Pm,Nそれぞれは、第m行選択用配線LV,mにより制御部30と接続されている。第n列のM個の画素部P1,n〜PM,nそれぞれの出力端は、第n列読出用配線LO,nにより、信号読出部20に含まれる積分回路Sと接続されている。
【0026】
信号読出部20は、N個の積分回路S〜SおよびN個の保持回路H〜Hを含む。各積分回路Sは共通の構成を有している。また、各保持回路Hは共通の構成を有している。
【0027】
各積分回路Sは、読出用配線LO,nと接続された入力端を有し、この入力端に入力された電荷を蓄積して、その蓄積電荷量に応じた電圧値を出力端から保持回路Hへ出力する。N個の積分回路S〜Sそれぞれは、放電用配線Lにより制御部30と接続されている。
【0028】
各保持回路Hは、積分回路Sの出力端と接続された入力端を有し、この入力端に入力される電圧値を保持し、その保持した電圧値を出力端から出力用配線Loutへ出力する。N個の保持回路H〜Hそれぞれは、保持用配線Lにより制御部30と接続されている。また、各保持回路Hは、第n列選択用配線LH,nにより制御部30と接続されている。
【0029】
制御部30は、第m行選択制御信号Vsel(m)を第m行選択用配線LV,mへ出力して、この第m行選択制御信号Vsel(m)を第m行のN個の画素部Pm,1〜Pm,Nそれぞれに与える。M個の行選択制御信号Vsel(1)〜Vsel(M)は順次に有意値とされる。制御部30は、M個の行選択制御信号Vsel(1)〜Vsel(M)を順次に有意値として出力するためにシフトレジスタを含む。
【0030】
制御部30は、第n列選択制御信号Hsel(n)を第n列選択用配線LH,nへ出力して、この第n列選択制御信号Hsel(n)を保持回路Hに与える。N個の列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)も順次に有意値とされる。制御部30は、N個の列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)を順次に有意値として出力するためにシフトレジスタを含む。
【0031】
また、制御部30は、放電制御信号Resetを放電用配線Lへ出力して、この放電制御信号ResetをN個の積分回路S〜Sそれぞれに与える。制御部30は、保持制御信号Holdを保持用配線Lへ出力して、この保持制御信号HoldをN個の保持回路H〜Hそれぞれに与える。
【0032】
制御部30は、以上のように、受光部10における第m行のN個の画素部Pm,1〜Pm,Nそれぞれに含まれる読出用スイッチSWの開閉動作を制御するとともに、信号読出部20における電圧値の保持動作および出力動作を制御する。これにより、制御部30は、受光部10におけるM×N個の画素部P1,1〜PM,Nそれぞれに含まれるフォトダイオードPDで発生した電荷の量に応じた電圧値をフレームデータとして信号読出部20から繰り返し出力させる。
【0033】
図2は、本実施形態に係る固体撮像装置1に含まれる画素部Pm,n,積分回路Sおよび保持回路Hそれぞれの回路図である。ここでは、M×N個の画素部P1,1〜PM,Nを代表して画素部Pm,nの回路図を示し、N個の積分回路S〜Sを代表して積分回路Sの回路図を示し、また、N個の保持回路H〜Hを代表して保持回路Hの回路図を示す。すなわち、第m行第n列の画素部Pm,nおよび第n列読出用配線LO,nに関連する回路部分を示す。
【0034】
画素部Pm,nは、フォトダイオードPDおよび読出用スイッチSWを含む。フォトダイオードPDのアノード端子は接地され、フォトダイオードPDのカソード端子は読出用スイッチSWを介して第n列読出用配線LO,nと接続されている。フォトダイオードPDは、入射光強度に応じた量の電荷を発生し、その発生した電荷を接合容量部に蓄積する。読出用スイッチSWは、制御部30から第m行選択用配線LV,mを通った第m行選択制御信号が与えられる。第m行選択制御信号は、受光部10における第m行のN個の画素部Pm,1〜Pm,Nそれぞれに含まれる読出用スイッチSWの開閉動作を指示するものである。
【0035】
この画素部Pm,nでは、第m行選択制御信号Vsel(m)がローレベルであるときに、読出用スイッチSWが開いて、フォトダイオードPDで発生した電荷は、第n列読出用配線LO,nへ出力されることなく、接合容量部に蓄積される。一方、第m行選択制御信号Vsel(m)がハイレベルであるときに、読出用スイッチSWが閉じて、それまでフォトダイオードPDで発生して接合容量部に蓄積されていた電荷は、読出用スイッチSWを経て、第n列読出用配線LO,nへ出力される。
【0036】
第n列読出用配線LO,nは、受光部10における第n列のM個の画素部P1,n〜PM,nそれぞれに含まれる読出用スイッチSWと接続されている。第n列読出用配線LO,nは、M個の画素部P1,n〜PM,nのうちの何れかの画素部に含まれるフォトダイオードPDで発生した電荷を、該画素部に含まれる読出用スイッチSWを介して読み出して、積分回路Sへ転送する。
【0037】
積分回路Sは、アンプA,積分用容量素子Cおよび放電用スイッチSWを含む。積分用容量素子Cおよび放電用スイッチSWは、互いに並列的に接続されて、アンプAの入力端子と出力端子との間に設けられている。アンプAの入力端子は、第n列読出用配線LO,nと接続されている。放電用スイッチSWは、制御部30から放電用配線Lを経た放電制御信号Resetが与えられる。放電制御信号Resetは、N個の積分回路S〜Sそれぞれに含まれる放電用スイッチSWの開閉動作を指示するものである。
【0038】
この積分回路Sでは、放電制御信号Resetがハイレベルであるときに、放電用スイッチSWが閉じて、積分用容量素子Cが放電され、積分回路Sから出力される電圧値が初期化される。放電制御信号Resetがローレベルであるときに、放電用スイッチSWが開いて、入力端に入力された電荷が積分用容量素子Cに蓄積され、その蓄積電荷量に応じた電圧値が積分回路Sから出力される。
【0039】
保持回路Hは、入力用スイッチSW31,出力用スイッチSW32および保持用容量素子Cを含む。保持用容量素子Cの一端は接地されている。保持用容量素子Cの他端は、入力用スイッチSW31を介して積分回路Sの出力端と接続され、出力用スイッチSW32を介して電圧出力用配線Loutと接続されている。入力用スイッチSW31は、制御部30から保持用配線Lを通った保持制御信号Holdが与えられる。保持制御信号Holdは、N個の保持回路H〜Hそれぞれに含まれる入力用スイッチSW31の開閉動作を指示するものである。出力用スイッチSW32は、制御部30から第n列選択用配線LH,nを通った第n列選択制御信号Hsel(n)が与えられる。第n列選択制御信号Hsel(n)は、保持回路Hに含まれる出力用スイッチSW32の開閉動作を指示するものである。
【0040】
この保持回路Hでは、保持制御信号Holdがハイレベルからローレベルに転じると、入力用スイッチSW31が閉状態から開状態に転じて、そのときに入力端に入力されている電圧値が保持用容量素子Cに保持される。また、第n列選択制御信号Hsel(n)がハイレベルであるときに、出力用スイッチSW32が閉じて、保持用容量素子Cに保持されている電圧値が電圧出力用配線Loutへ出力される。
【0041】
制御部30は、受光部10における第m行のN個の画素部Pm,1〜Pm,Nそれぞれの受光強度に応じた電圧値を出力するに際して、放電制御信号Resetにより、N個の積分回路S〜Sそれぞれに含まれる放電用スイッチSWを一旦閉じた後に開くよう指示した後、第m行選択制御信号Vsel(m)により、受光部10における第m行のN個の画素部Pm,1〜Pm,Nそれぞれに含まれる読出用スイッチSWを所定期間に亘り閉じるよう指示する。制御部30は、その所定期間に、保持制御信号Holdにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれに含まれる入力用スイッチSW31を閉状態から開状態に転じるよう指示する。そして、制御部30は、その所定期間の後に、列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)により、N個の保持回路H〜Hそれぞれに含まれる出力用スイッチSW32を順次に一定期間だけ閉じるよう指示する。制御部30は、以上のような制御を各行について順次に行う。
【0042】
次に、本実施形態に係る固体撮像装置1の動作について説明する。本実施形態に係る固体撮像装置1では、制御部30による制御の下で、M個の行選択制御信号Vsel(1)〜Vsel(M),N個の列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N),放電制御信号Resetおよび保持制御信号Holdそれぞれが所定のタイミングでレベル変化することにより、受光面10に入射された光の像を撮像してフレームデータを得ることができる。
【0043】
図3は、本実施形態に係る固体撮像装置1の動作を説明するタイミングチャートである。この図には、上から順に、(a) N個の積分回路S〜Sそれぞれに含まれる放電用スイッチSWの開閉動作を指示する放電制御信号Reset、(b) 受光部10における第1行のN個の画素部P1,1〜P1,Nそれぞれに含まれる読出用スイッチSWの開閉動作を指示する第1行選択制御信号Vsel(1)、(c) 受光部10における第2行のN個の画素部P2,1〜P2,Nそれぞれに含まれる読出用スイッチSWの開閉動作を指示する第2行選択制御信号Vsel(2)、および、(d) N個の保持回路H〜Hそれぞれに含まれる入力用スイッチSW31の開閉動作を指示する保持制御信号Hold が示されている。
【0044】
また、この図には、更に続いて順に、(e) 保持回路Hに含まれる出力用スイッチSW32の開閉動作を指示する第1列選択制御信号Hsel(1)、(f) 保持回路Hに含まれる出力用スイッチSW32の開閉動作を指示する第2列選択制御信号Hsel(2)、(g) 保持回路Hに含まれる出力用スイッチSW32の開閉動作を指示する第3列選択制御信号Hsel(3)、(h) 保持回路Hに含まれる出力用スイッチSW32の開閉動作を指示する第n列選択制御信号Hsel(n)、および、(i) 保持回路Hに含まれる出力用スイッチSW32の開閉動作を指示する第N列選択制御信号Hsel(N) が示されている。
【0045】
第1行のN個の画素部P1,1〜P1,Nそれぞれに含まれるフォトダイオードPDで発生し接合容量部に蓄積された電荷の読出しは、以下のようにして行われる。時刻t10前には、M個の行選択制御信号Vsel(1)〜Vsel(M),N個の列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N),放電制御信号Resetおよび保持制御信号Holdそれぞれは、ローレベルとされている。
【0046】
時刻t10から時刻t11までの期間、制御部30から放電用配線Lに出力される放電制御信号Resetがハイレベルとなり、これにより、N個の積分回路S〜Sそれぞれにおいて、放電用スイッチSWが閉じて、積分用容量素子Cが放電される。また、時刻t11より後の時刻t12から時刻t15までの期間、制御部30から第1行選択用配線LV,1に出力される第1行選択制御信号Vsel(1)がハイレベルとなり、これにより、受光部10における第1行のN個の画素部P1,1〜P1,Nそれぞれに含まれる読出用スイッチSWが閉じる。
【0047】
この期間(t12〜t15)内において、時刻t13から時刻t14までの期間、制御部30から保持用配線Lへ出力される保持制御信号Holdがハイレベルとなり、これにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれにおいて入力用スイッチSW31が閉じる。
【0048】
期間(t12〜t15)内では、第1行の各画素部P1,nに含まれる読出用スイッチSWが閉じており、各積分回路Sの放電用スイッチSWが開いているので、それまでに各画素部P1,nのフォトダイオードPDで発生して接合容量部に蓄積されていた電荷は、その画素部P1,nの読出用スイッチSWおよび第n列読出用配線LO,nを通って、積分回路Sの積分用容量素子Cに転送されて蓄積される。そして、各積分回路Sの積分用容量素子Cに蓄積されている電荷の量に応じた電圧値が積分回路Sの出力端から出力される。
【0049】
その期間(t12〜t15)内の時刻t14に、保持制御信号Holdがハイレベルからローレベルに転じることにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれにおいて、入力用スイッチSW31が閉状態から開状態に転じ、そのときに積分回路Sの出力端から出力されて保持回路Hの入力端に入力されている電圧値が保持用容量素子Cに保持される。
【0050】
そして、期間(t12〜t15)の後に、制御部30から列選択用配線LH,1〜LH,Nに出力される列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)が順次に一定期間だけハイレベルとなり、これにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれに含まれる出力用スイッチSW32が順次に一定期間だけ閉じて、各保持回路Hの保持用容量素子Cに保持されている電圧値は出力用スイッチSW32を経て電圧出力用配線Loutへ順次に出力される。この電圧出力用配線Loutへ出力される電圧値Voutは、第1行のN個の画素部P1,1〜P1,Nそれぞれに含まれるフォトダイオードPDにおける受光強度を表すものである。
【0051】
続いて、第2行のN個の画素部P2,1〜P2,Nそれぞれに含まれるフォトダイオードPDで発生し接合容量部に蓄積された電荷の読出しが以下のようにして行われる。
【0052】
時刻t20から時刻t21までの期間、制御部30から放電用配線Lに出力される放電制御信号Resetがハイレベルとなり、これにより、N個の積分回路S〜Sそれぞれにおいて、放電用スイッチSWが閉じて、積分用容量素子Cが放電される。また、時刻t21より後の時刻t22から時刻t25までの期間、制御部30から第2行選択用配線LV,2に出力される第2行選択制御信号Vsel(2)がハイレベルとなり、これにより、受光部10における第2行のN個の画素部P2,1〜P2,Nそれぞれに含まれる読出用スイッチSWが閉じる。
【0053】
この期間(t22〜t25)内において、時刻t23から時刻t24までの期間、制御部30から保持用配線Lへ出力される保持制御信号Holdがハイレベルとなり、これにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれにおいて入力用スイッチSW31が閉じる。
【0054】
そして、期間(t22〜t25)の後に、制御部30から列選択用配線LH,1〜LH,Nに出力される列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)が順次に一定期間だけハイレベルとなり、これにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれに含まれる出力用スイッチSW32が順次に一定期間だけ閉じる。
【0055】
以上のようにして、第2行のN個の画素部P2,1〜P2,Nそれぞれに含まれるフォトダイオードPDにおける受光強度を表す電圧値Voutが電圧出力用配線Loutへ出力される。
【0056】
以上のような第1行および第2行についての動作に続いて、以降、第3行から第M行まで同様の動作が行われて、1回の撮像に得られる画像を表すフレームデータが得られる。また、第M行について動作が終了すると、再び第1行から同様の動作が行われて、次の画像を表すフレームデータが得られる。このように、一定周期で同様の動作を繰り返すことで、受光部10が受光した光の像の2次元強度分布を表す電圧値Voutが電圧出力用配線Loutへ出力されて、繰り返してフレームデータが得られる。
【0057】
ところで、第m行のN個の画素部Pm,1〜Pm,Nそれぞれに含まれる読出用スイッチSWが閉じている期間において、第m行の各画素部Pm,nのフォトダイオードPDで発生して接合容量部に蓄積されていた電荷は、その画素部Pm,nの読出用スイッチSWおよび第n列読出用配線LO,nを経て、積分回路Sの積分用容量素子Cに転送される。この際に、第m行の各画素部Pm,nのフォトダイオードPDの接合容量部の蓄積電荷が初期化される。
【0058】
しかし、或る第n列読出用配線LO,nが途中の位置で断線している場合には、その第n列のM個の画素部P1,n〜PM,nのうち、積分回路Sに対し断線位置より遠いところにある画素部は、積分回路Sと接続されておらず、積分回路Sへ電荷を転送することができないので、この電荷転送に因るフォトダイオードPDの接合容量部の蓄積電荷の初期化をすることができない。このままでは、これらの画素部において光入射に応じてフォトダイオードで発生した電荷は、該フォトダイオードの接合容量部に蓄積されていく一方であり、飽和レベルを越えると両隣の列の画素部へ溢れ出して、連続した3列の画素部について欠陥ラインを生じさせることになる。
【0059】
また、同様に、或る第m行選択用配線LV,mが途中の位置で断線している場合には、その第m行のN個の画素部Pm,1〜Pm,Nのうち制御部30に対し断線位置より遠いところにある画素部は、制御部30から第m行選択制御信号Vsel(m)が伝えられず、読出用スイッチSWが開いたままであり、積分回路Sへ電荷を転送することができないので、この電荷転送に因るフォトダイオードPDの接合容量部の蓄積電荷の初期化をすることができない。このままでは、これらの画素部において光入射に応じてフォトダイオードで発生した電荷は、該フォトダイオードの接合容量部に蓄積されていく一方であり、飽和レベルを越えると両隣の行の画素部へ溢れ出して、連続した3行の画素部について欠陥ラインを生じさせることになる。
【0060】
本実施形態に係る固体撮像装置1は、このような問題に対処すべく、図4〜図7を用いて以下に説明するように、M×N個の画素部P1,1〜PM,Nのうちの任意の互いに隣接する2×2個の画素部により囲まれる領域において、チャネルストッパにより囲まれてダミー用フォトダイオードが形成されている。
【0061】
図4および図5それぞれは、本実施形態に係る固体撮像装置1に含まれる受光部10の構成例を示す平面図である。これらの図では、受光部10における1つの画素部Pm,nを中心にして、この画素部Pm,nの隣の画素部の一部も示されている。また、これらの図では、半導体領域のレイアウトが主に示されているが、その半導体領域の上にある金属配線(行選択用配線、読出用配線)や絶縁層は示されていない。
【0062】
図4および図5それぞれに示されるレイアウト例では、各画素部Pm,nは略正方形の領域を占めている。その略正方形領域の殆どの部分がフォトダイオードPDの領域であり、また、その略正方形領域の一つの角部に読出用スイッチSWとしての電界効果トランジスタが形成されている。各画素部Pm,nの読出用スイッチSWとしての電界効果トランジスタのソース端子はフォトダイオードPDのカソード端子と接続され、この電界効果トランジスタのドレイン端子は読出用配線LO,nに接続され、また、この電界効果トランジスタのゲート端子は行選択用配線LV,mに接続されている。
【0063】
また、図4および図5それぞれに示されるレイアウト例では、画素部間の領域にチャネルストッパCSが連続して形成されている。また、任意の互いに隣接する2×2個の画素部により囲まれる領域においてダミー用フォトダイオードPD1が形成されている。このダミー用フォトダイオードPD1がチャネルストッパCSにより囲まれている。
【0064】
図4に示されるレイアウト例では、任意の互いに隣接する2×2個の画素部により囲まれる領域においてのみ、ダミー用フォトダイオードPD1が形成されている。図5に示されるレイアウト例では、任意の互いに隣接する2×2個の画素部により囲まれる領域においてダミー用フォトダイオードPD1が形成されているのに加えて、任意の互いに隣接する2個の画素部により挟まれる領域においてもダミー用フォトダイオードPD2が形成されている。
【0065】
図6は、図5におけるA-A断面図である。また、図7は、図5におけるB-B断面図である。図6および図7それぞれでは、画素部間の領域を中心にして、両隣の画素部の一部について、断面が示されている。図6では、ダミー用フォトダイオードPD1,PD2が形成されていない部分の断面が示されている。図7では、ダミー用フォトダイオードPD2が形成されている部分の断面が示されている。
【0066】
半導体領域201は、P型不純物が添加されたもので、基板および該基板上に形成されたエピタキシャル層を含んで構成される。各画素部Pm,nに含まれるフォトダイオードPDは、P型半導体領域201上にN型半導体領域202が設けられて形成されている。P型半導体領域201とN型半導体領域202との間の境界を含む領域には、空乏層203が形成される。画素部間の領域(N型半導体領域202間の領域)に、P半導体領域201よりP型不純物濃度が高いP型半導体領域204からなるチャネルストッパCSが形成されている。このP型半導体領域204は、絶縁層205に形成されたコンタクトホール206を介して、金属配線207と接続されている。
【0067】
ダミー用フォトダイオードPD1,PD2それぞれは、P型半導体領域201上にN型半導体領域212が設けられて形成されている。P型半導体領域201とN型半導体領域212との間の境界を含む領域には、空乏層213が形成される。このN型半導体領域212は、絶縁層205に形成されたコンタクトホール216を介して、金属配線207と接続されている。また、N型半導体領域212はP型半導体領域204により囲まれていて、ダミー用フォトダイオードPD1,PD2それぞれはチャネルストッパCSにより囲まれている。
【0068】
一例として、基板を含む半導体領域201の厚さは750μmである。N型半導体領域202,P型半導体領域204およびN型半導体領域212それぞれの厚さは1μmである。P型半導体領域204およびN型半導体領域212それぞれの幅は1.4μmである。ダミー用フォトダイオードPD2が形成されていない部分(図6)において、隣り合う2つのN型半導体領域202の間の間隔は3.6μmであり、金属配線207の幅は4.8μmである。また、ダミー用フォトダイオードPD2が形成されている部分(図7)において、N型半導体領域202とN型半導体領域212との間の間隔は3.6μmであり、金属配線207の幅は9.8μmである。
【0069】
前述したように、何れかの読出用配線または行選択用配線が断線している場合、この断線に因り信号読出部20または制御部30に接続されていない画素部では、光入射に応じてフォトダイオードで発生した電荷は、積分回路へ読み出されることがなく、該フォトダイオードの接合容量部に蓄積されていく一方である。フォトダイオードの接合容量部に蓄積される電荷の量が飽和レベルを越えると、飽和レベルを越えた分の電荷が当該画素部の外へ溢れ出す。
【0070】
しかし、以上のように構成される本実施形態に係る固体撮像装置1では、画素部間の領域においてチャネルストッパCSにより囲まれてダミー用フォトダイオードPD1,PD2が形成されていることにより、画素部から溢れ出た電荷は、このダミー用フォトダイオードPD1,PD2により捉えられて排出される。これにより、この画素部の隣にある画素部へ電荷が流入することが抑制され、S/N比の低下が抑制される。したがって、何れかの読出用配線または行選択用配線が断線している場合にも解像度が高い画像を得ることができる。
【0071】
また、何れかの読出用配線または行選択用配線が断線して欠陥ラインが生じている場合に、フレームデータのうち欠陥ライン上の画素部に対応する電圧値を、隣接する正常ライン上の画素部に対応する電圧値に基づいて決定することができる。この決定に際しては、両隣の隣接ライン上の画素部に対応する電圧値に基づいて補間計算をして決定するのが好ましい。
【0072】
ダミー用フォトダイオードPD1,PD2は、画素部から溢れ出た電荷を排出することを意図しており、いわゆるクロストークキャリアを積極的に収集することを意図するものではない。したがって、断線が生じていないときには空乏層213が拡がりすぎるのは好ましくない。何故なら、この固体撮像装置1がシンチレータパネルと組み合わされてX線フラットパネルとして用いられる場合、シンチレータパネルからは等方的にシンチレータ光が発生するので、画素部間の領域においても或る程度の電荷が生成されるが、この電荷がダミー用フォトダイオードPD1,PD2により排出されたのでは、出力が小さくなってしまう可能性がある。そこで、ダミー用フォトダイオードPD1,PD2は、画素部間の領域において連続的に延在するよう設けられているのではなく、離散的に(ドット状)に設けられていて、しかも、チャネルストッパCSにより囲まれている。これにより、出力の低下の抑制とS/N比の低下の抑制との適度なバランスを実現することができる。
【0073】
前述したように、各画素部Pm,nは略正方形の領域を占めていて、その略正方形領域の殆どの部分がフォトダイオードPDの領域であり、また、その略正方形領域の一つの角部に読出用スイッチSWとしての電界効果トランジスタが形成されている。フォトダイオードPDの略正方形領域の角部では、電界強度が高いので、電荷が溢れ出し易い。また、この読出用スイッチSWが設けられている領域付近では、不要電荷が発生し易い。そこで、本実施形態では、M×N個の画素部P1,1〜PM,Nのうちの任意の互いに隣接する2×2個の画素部により囲まれる領域においてダミー用フォトダイオードPD1が形成されていることで、フォトダイオードPDの略正方形領域の角部で発生した電荷は、ダミー用フォトダイオードPD1により効率的に排出され得る。
【0074】
なお、図5に示されたレイアウトと比較して、図4に示されたレイアウトでは、隣接する2個の画素部により挟まれる領域ダミー用フォトダイオードPD2が設けられておらず、隣接する2×2個の画素部により囲まれる領域にダミー用フォトダイオードPD1のみが設けられているので、各画素部のフォトダイオードPDの光感応領域を広くすることができ、開口率を高くすることができる。
【0075】
本実施形態に係る固体撮像装置1はX線CT装置において好適に用いられ得る。そこで、本実施形態に係る固体撮像装置1を備えるX線CT装置の実施形態について次に説明する。
【0076】
図8は、本実施形態に係るX線CT装置100の構成図である。この図に示されるX線CT装置100では、X線源106は被写体に向けてX線を発生する。X線源106から発生したX線の照射野は、1次スリット板106bによって制御される。X線源106は、X線管が内蔵され、そのX線管の管電圧、管電流および通電時間などの条件が調整されることによって、被写体へのX線照射量が制御される。X線撮像器107は、2次元配列された複数の画素部を有するCMOSの固体撮像装置を内蔵し、被写体を通過したX線像を検出する。X線撮像器107の前方には、X線入射領域を制限する2次スリット板107aが設けられる。
【0077】
旋回アーム104は、X線源106およびX線撮像器107を対向させるように保持して、これらをパノラマ断層撮影の際に被写体の周りに旋回させる。また、リニア断層撮影の際にはX線撮像器107を被写体に対して直線変位させるためのスライド機構113が設けられる。旋回アーム104は、回転テーブルを構成するアームモータ110によって駆動され、その回転角度が角度センサ112によって検出される。また、アームモータ110は、XYテーブル114の可動部に搭載され、回転中心が水平面内で任意に調整される。
【0078】
X線撮像器107から出力される画像信号は、AD変換器120によって例えば10ビット(=1024レベル)のデジタルデータに変換され、CPU(中央処理装置)121にいったん取り込まれた後、フレームメモリ122に格納される。フレームメモリ122に格納された画像データから、所定の演算処理によって任意の断層面に沿った断層画像が再生される。再生された断層画像は、ビデオメモリ124に出力され、DA変換器125によってアナログ信号に変換された後、CRT(陰極線管)などの画像表示部126によって表示され、各種診断に供される。
【0079】
CPU121には、信号処理に必要なワークメモリ123が接続され、さらにパネルスイッチやX線照射スイッチ等を備えた操作パネル119が接続されている。また、CPU121は、アームモータ110を駆動するモータ駆動回路111、1次スリット板106bおよび2次スリット板107aの開口範囲を制御するスリット制御回路115,116、X線源106を制御するX線制御回路118にそれぞれ接続され、さらに、X線撮像器107を駆動するためのクロック信号を出力する。
【0080】
X線制御回路118は、X線撮像器107により撮像された信号に基づいて、被写体へのX線照射量を帰還制御することが可能である。
【0081】
以上のように構成されるX線CT装置100において、X線撮像器107は、本実施形態に係る固体撮像装置1の受光部10,信号読出部20および制御部30に相当し、受光部10の前面にシンチレータパネルが設けられている。
【0082】
X線CT装置100は、本実施形態に係る固体撮像装置1を備えていることにより、欠陥ライン近傍においても解像度が高い断層画像を得ることができる。特に、X線CT装置では、短期間に多数(例えば300)のフレームデータを連続的に取得するとともに、固体撮像装置1の受光部10への入射光量がフレーム毎に変動するので、欠陥ライン上の画素部から隣接ライン上の画素部へ溢れ出す電荷の量はフレーム毎に変動する。このようなX線CT装置において、本実施形態に係る固体撮像装置1を備えることにより、フレームデータに対して有効な補正をすることができる。
【符号の説明】
【0083】
1…固体撮像装置、10,10A,10B…受光部、20,20A,20B…信号読出部、30…制御部、201…P型半導体領域、202…N型半導体領域、203…空乏層、204…P型半導体領域、205…絶縁層、206…コンタクトホール、207…金属配線、212…N型半導体領域、213…空乏層、216…コンタクトホール、P1,1〜PM,N…画素部、PD…フォトダイオード、SW…読出用スイッチ、S〜S…積分回路、C…積分用容量素子、SW…放電用スイッチ、A…アンプ、H〜H…保持回路、C…保持用容量素子、SW31…入力用スイッチ、SW32…出力用スイッチ、LV,m…第m行選択用配線、LH,n…第n列選択用配線、LO,n…第n列読出用配線、L…放電用配線、L…保持用配線、Lout…電圧出力用配線,CS…チャネルストッパ、PD1,PD2…ダミー用フォトダイオード。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光強度に応じた量の電荷を発生するフォトダイオードと、このフォトダイオードと接続された読出用スイッチと、を各々含むM×N個の画素部P1,1〜PM,NがM行N列に2次元配列された受光部を備える固体撮像装置であって、
各画素部Pm,nに含まれるフォトダイオードが、第1導電型の第1半導体領域上に第2導電型の第2半導体領域が設けられて形成され、
前記受光部における画素部間の領域に、前記第1半導体領域より不純物濃度が高い第1導電型の第3半導体領域からなるチャネルストッパが形成され、
M×N個の画素部P1,1〜PM,Nのうちの任意の互いに隣接する2個の画素部により挟まれる領域において、前記第1半導体領域上に第2導電型の第4半導体領域が設けられてダミー用フォトダイオードが離散的に形成され、各々のダミー用フォトダイオードが前記チャネルストッパにより360°囲まれている、
ことを特徴とする固体撮像装置(ただし、M,Nは2以上の整数、mは1以上M以下の各整数、nは1以上N以下の各整数)。
【請求項2】
被写体に向けてX線を出力するX線出力部と、
前記X線出力部から出力されて前記被写体を経て到達したX線を受光し撮像する請求項1に記載の固体撮像装置と、
前記X線出力部および前記固体撮像装置を前記被写体に対して相対移動させる移動手段と、
前記固体撮像装置から出力されるフレームデータを入力し、そのフレームデータに基づいて前記被写体の断層画像を生成する画像解析部と、
を備えることを特徴とするX線CT装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−84972(P2013−84972A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−264457(P2012−264457)
【出願日】平成24年12月3日(2012.12.3)
【分割の表示】特願2008−19345(P2008−19345)の分割
【原出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】