説明

固体酸化物形燃料電池

【課題】燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量のいずれか二つの供給流量の経時的変化を比較的簡単に検知することができる燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を供給するための水供給手段と、燃料ガスを改質用水を用いて水蒸気改質するための改質器6と、空気を供給するための空気供給手段30と、改質燃料ガス及び空気(酸素)の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルスタック8と、燃料電池セルスタック8の燃料ガス排出側に配設された燃焼室34とを備えた固体酸化物形燃料電池2であって、改質器6、燃料電池セルスタック8及び燃焼室34に関連する二個所の測定部位の温度を検出し、二個所の測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量のいずれか二つの供給流量の経時的変化を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスを燃料として発電を行う燃料電池セルスタックを備えた固体酸化物形燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスを燃料ガス供給流路を通して供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を水供給流路を通して供給するための水供給手段と、燃料ガスを改質用水を用いて水蒸気改質するための改質器と、空気を空気供給流路を通して供給するための空気供給手段と、改質燃料ガス及び空気(空気中の酸素)の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルスタックと、燃料電池セルスタックの燃料ガス排出側に配設された燃焼室とを備えた燃料電池が知られている。
【0003】
この燃料電池では、燃料ガス供給流路には、例えば燃料ガスブロアが配設され、この燃料ガスブロアにより燃料ガス供給流路を通して供給される燃料ガスの流量が制御される。また、水供給流路には、例えば水供給ポンプが配設され、この水供給ポンプにより水供給流路を通して供給される改質用水の流量が制御される。更に、空気供給流路には、例えば空気ブロアが配設され、この空気ブロアにより空気供給流路を通して供給される空気の流量が制御される。
【0004】
このような燃料電池では、燃料ガスブロア、水供給ポンプ及び空気ブロアは経時的に性能が変化し、特に長期間にわたって運転すると、燃料ガスブロアによる燃料ガスの供給流量、水供給ポンプによる改質用水の供給流量及び空気ブロアによる空気の供給流量が変動し、燃料電池セルスタックの発電反応に影響を与えるおそれが生じる。
【0005】
このようなことから、水供給ポンプの経時的性能変化に対応して改質用水の供給流量を制御するようにした燃料電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この燃料電池では、改質器に温度検知手段が配設され、この温度検知手段の検知温度が所定の負荷率により定めた所定温度となるように水供給ポンプの電圧(換言すると、水供給ポンプの回転数)を制御し、このように制御することによって、水流量計を用いることなく、水供給ポンプの経時的変化に影響されないように改質用水を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−150044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この公知の燃料電池では、改質用水の供給流量を制御するための水供給ポンプの経時的性能変動を解消することができるが、同様の問題は、燃料ガスの供給流量を制御するための燃料ガスブロアに、また酸化材としての空気の供給流量を制御するための空気ブロアにも存在し、これら燃料ガスブロア及び空気ブロアについての問題は全く解消されていない。
【0008】
例えば、燃料ガスブロアの経時的性能変化によって燃料ガスの供給流量が低下すると、燃料電池セルスタックの発電電力の低下が生じ、この電力低下が大きくなると、燃料電池セルスタックの破損の原因となり、また燃料ガスの供給流量が増大すると、改質器における水蒸気改質が所要の通りに行われず、このようなときにも燃料電池セルスタックの破損の原因となる。
【0009】
また、例えば、空気ブロアの経時的変化によって空気の供給流量が低下すると、燃料電池セルスタックの発電電力が低下し、この電力低下が大きくなると、燃料電池セルスタックの破損の原因となり、また空気の供給流量が増大すると、燃料電池セルスタックの温度が下がり、その発電効率が低下する。
【0010】
本発明の目的は、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量のいずれか二つの供給流量の経時的変化を比較的簡単に検知することができる燃料電池を提供することである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を比較的簡単に検知することができる燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池は、燃料ガス供給源からの燃料ガスを燃料ガス供給流路を通して供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を水供給流路を通して供給するための水供給手段と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを前記水供給手段からの改質用水を用いて水蒸気改質するための改質器と、酸化材としての空気を空気供給流路を通して供給するための空気供給手段と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び前記空気供給手段からの酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルを複数個備えた燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックの前記燃料ガス排出側に配設された燃焼室と、前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室を収容するための電池収容ハウジングとを備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室のいずれか一つ又は二つに関連する二個所の温度測定部位の温度を検出し、前記二個所の温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量のいずれか二つの供給流量の経時的変化を検知することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池では、前記燃料ガス供給流路には、燃料ガスの供給流量を制御するための燃料ガス流量制御手段が配設され、前記水供給流路には、改質用水の供給流量を制御するための水流量制御手段が設けられ、前記空気供給流路には、空気の供給流量を制御するための空気流量制御手段が設けられ、更に、前記燃料ガス流量制御手段、前記水流量制御手段及び前記空気流量制御手段を制御するための制御手段が設けられており、
前記二個所の温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量のいずれか二つの供給流量の経時的変化を検知し、前記制御手段は、前記検知した二つの供給流量の経時的変化量に基づいて、前記燃料ガス流量制御手段、前記水流量制御手段及び空気流量制御手段のうち対応する二つを補正制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池は、燃料ガス供給源からの燃料ガスを燃料ガス供給流路を通して供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を水供給流路を通して供給するための水供給手段と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを前記水供給手段からの改質用水を用いて水蒸気改質するための改質器と、酸化材としての空気を空気供給流路を通して供給するための空気供給手段と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び前記空気供給手段からの酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルを複数個備えた燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックの前記燃料ガス排出側に配設された燃焼室と、前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室を収容するための電池収容ハウジングとを備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室のいずれか一つ又は二つ以上に関連する三個所の温度測定部位の温度を検出し、前記三個所の温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池では、前記燃料ガス供給流路には、燃料ガスの供給流量を制御するための燃料ガス流量制御手段が配設され、前記水供給流路には、改質用水の供給流量を制御するための水流量制御手段が設けられ、前記空気供給流路には、空気の供給流量を制御するための空気流量制御手段が設けられ、更に、前記燃料ガス流量制御手段、前記水流量制御手段及び前記空気流量制御手段を制御するための制御手段が設けられており、
前記三個所の温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知し、前記制御手段は、前記検知した三つの供給流量の経時的変化量に基づいて、前記燃料ガス流量制御手段、前記水流量制御手段及び空気流量制御手段を補正制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池では、前記改質器に関連する温度測定部位の温度とは、前記改質器内の温度であり、前記燃料電池セルスタックに関連する温度測定部位の温度とは、前記燃料電池セルスタックの近傍の温度であり、また前記燃焼室に関連する温度測定部位の温度とは、前記燃焼室の温度又は前記燃焼室から排出される排気ガスの排熱を回収するための排熱回収用熱交換器内の温度であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池では、前記燃料電池セルスタックから取り出す出力電流を変化させる通常運転モードと、前記燃料電池セルスタックから取り出す出力電流を所定電流に維持する補正運転モードとに切り換えて運転可能であり、前記補正運転モードの運転において、前記供給流量についての経時的変化を検知することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項7に記載の固体酸化物形燃料電池は、燃料ガス供給源からの燃料ガスを燃料ガス供給流路を通して供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を水供給流路を通して供給するための水供給手段と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを前記水供給手段からの改質用水を用いて水蒸気改質するための改質器と、酸化材としての空気を空気供給流路を通して供給するための空気供給手段と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び前記空気供給手段からの酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルを複数個備えた燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックの前記燃料ガス排出側に配設された燃焼室と、前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室を収容するための電池収容ハウジングとを備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室の少なくともいずれか一つに関連する温度測定部位の温度を検出するとともに、前記燃料電池セルスタックに関連する電圧測定部位の出力電圧を検出し、前記温度測定部位の検知温度及び前記電圧測定部位の検知電圧に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給量の少なくともいずれか二つの経時的変化を検知することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項8に記載の固体酸化物形燃料電池では、前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室のいずれか一つ又は二つに関連する二個所の温度測定部位の温度を検出するとともに、前記燃料電池セルスタックに関連する電圧測定部位の出力電圧を検出し、前記二個所の温度測定部位の検知温度及び前記電圧測定部位の検知電圧に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項9に記載の固体酸化物形燃料電池は、燃料ガス供給源からの燃料ガスを燃料ガス供給流路を通して供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を水供給流路を通して供給するための水供給手段と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを前記水供給手段からの改質用水を用いて水蒸気改質するための改質器と、酸化材としての空気を空気供給流路を通して供給するための空気供給手段と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び前記空気供給手段からの酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルを複数個備えた燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックの前記燃料ガス排出側に配設された燃焼室と、前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室を収容するための電池収容ハウジングとを備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記燃料電池セルスタックに関連する少なくとも二個所の電圧測定部位の出力電圧を検出し、前記少なくとも二個所の電圧測定部位の検知電圧に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給量の少なくともいずれか二つの経時的変化を検知することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項10に記載の固体酸化物形燃料電池では、前記燃料電池セルスタックに関連する二個所の電圧測定部位の出力電圧を検出するとともに、前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室のいずれか一つに関連する温度測定部位の温度を検出し、前記二個所の電圧測定部位の検知電圧及び前記温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することを特徴とする。
【0022】
更に、本発明の請求項11に記載の固体酸化物形燃料電池では、前記燃料電池セルスタックに関連する三個所の電圧測定部位の出力電圧を検出し、前記三個所の電圧測定部位の検知電圧に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池によれば、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室のいずれか一つ又は二つに関連する二個所の温度測定部位の温度を検出し、これら二個所の温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量のいずれか二つの供給流量の経時的変化を検知する。燃料ガスの供給流量、改質用水の供給流量及び空気の供給流量が変動すると、改質器における水蒸気改質反応、燃料電池セルスタックにおける燃料電池反応及び燃焼室での燃焼に影響を与え、これによって、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室に関連する部位の温度が変化する。従って、このような関係を利用して、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室に関連する二個所の温度測定部位の温度を検出し、これら検知温度を利用して燃料ガス及び改質用水の供給流量の経時的変化(又は改質用水及び空気の供給流量の経時的変化、燃料ガス及び空気の供給流量の経時的変化)を検知することができる。
【0024】
また、本発明の請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池によれば、上述した二個所の温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス及び改質用水(又は改質用水及び空気、燃料ガス及び空気)の供給流量の経時的変化を検知し、制御手段は、検知した燃料ガス及び改質用水(又は改質用水及び空気、燃料ガス及び空気)の供給流量の経時的変化量に基づいて燃料ガス流量制御手段及び水流量制御手段(又は水流量制御手段及び空気流量制御手段、燃料ガス流量制御手段及び空気流量制御手段)を補正制御するので、燃料ガス流量制御手段及び水流量制御手段(又は水流量制御手段及び空気流量制御手段、燃料ガス流量制御手段及び空気流量制御手段)の経時的性能変化に伴う燃料ガス供給流量及び改質用水供給流量(又は改質用水供給流量及び空気供給流量、燃料ガス供給流量及び空気供給流量)の変動が補正され、かくして、これらの性能の経時的変化の影響を受けることなく、燃料ガス及び改質用水(又は改質用水及び空気、燃料ガス及び空気)を供給することができる。
【0025】
また、本発明の請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池によれば、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室のいずれか一つ又は二つ以上に関連する三個所の温度測定部位の温度を検出し、これら三個所の温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知する。燃料ガスの供給流量、改質用水の供給流量及び空気の供給流量が変動すると、上述したように、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室に関連する部位の温度が変化する。従って、このような関係を利用して、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室に関連する三個所の温度測定部位の温度を検出し、これら検知温度を利用して燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することができる。
【0026】
また、本発明の請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池によれば、上述した三個所の温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知し、制御手段は、検知した燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化量に基づいて燃料ガス流量制御手段、水流量制御手段及び空気流量制御手段を補正制御するので、燃料ガス流量制御手段、水流量制御手段及び空気流量制御手段の経時的性能変化に伴う燃料ガス供給流量、改質用水供給流量及び空気供給流量の変動が補正され、かくして、これら性能の経時的変化の影響を受けることなく、燃料ガス、改質用水及び空気を供給することができる。
【0027】
また、本発明の請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池によれば、改質器に関連する温度測定部位の温度とは、改質器内の温度であり、燃料電池セルスタックに関連する温度測定部位の温度とは、燃料電池セルスタックの近傍の温度であり、また燃焼室に関連する温度測定部位の温度とは、燃焼室の温度又は燃焼室から排出される排気ガスの排熱を回収するための排熱回収用熱交換器内の温度であるので、これらの温度測定部位の任意の二つを用いることにより、燃料ガス及び改質用水(又は改質用水及び空気、燃料ガス及び空気)の供給流量の経時的変化を検知することができ、またこれらの測定部位の任意の三つを用いることにより、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することができる。
【0028】
また、本発明の請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池によれば、燃料電池セルスタックから取り出す出力電流を所定電流に維持する補正運転モードの運転において、上述した供給流量についての経時的変化を検知するので、上述の供給流量の経時的変化を正確に検知することができる。
【0029】
また、本発明の請求項7に記載の固体酸化物形燃料電池によれば、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室のいずれか一つに関連する温度測定部位の温度を検出するとともに、燃料電池セルスタックに関連する電圧測定部位の出力電圧を検知し、これら温度測定部位の検知温度及び電圧測定部位の検知電圧に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量のいずれか二つの供給流量の経時的変化を検知する。燃料ガスの供給流量、改質用水の供給流量及び空気の供給流量が変動すると、改質器における水蒸気改質反応、燃料電池セルスタックにおける燃料電池反応及び燃焼室での燃焼に影響を与え、これによって、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室に関連する部位の温度が変化するとともに、燃料電池セルスタックに関連する部位の出力電圧が変化する。従って、このような関係を利用して、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室に関連する温度測定部位の温度を検出し、また燃料電池セルスタックに関連する電圧測定部位の出力電圧を検出し、これら検知温度及び検知電圧を利用して燃料ガス及び改質用水の供給流量の経時的変化(又は改質用水及び空気の供給流量の経時的変化、燃料ガス及び空気の供給流量の経時的変化)を検知することができる。
【0030】
また、本発明の請求項8に記載の固体酸化物形燃料電池によれば、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室のいずれか一つ又は二つに関連する二個所の温度測定部位の温度を検出するとともに、燃料電池セルスタックに関連する電圧測定部位の出力電圧を検出し、これら二個所の温度測定部位の検知温度及び電圧測定部位の検知電圧に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知する。燃料ガスの供給流量、改質用水の供給流量及び空気の供給流量が変動すると、上述したように、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室に関連する部位の温度が変化するとともに、燃料電池セルスタックに関連する部位の出力電圧が変化する。従って、このような関係を利用して、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室に関連する二個所の温度測定部位の温度と燃料電池セルスタックに関連する電圧測定部位の出力電圧を検出し、これら検知温度及び検知電圧を利用して燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することができる。
【0031】
また、本発明の請求項9に記載の固体酸化物形燃料電池によれば、燃料電池セルスタックに関連する少なくとも二個所の電圧測定部位の出力電圧を検出し、これら電圧測定部位の検知電圧に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量のいずれか二つの供給流量の経時的変化を検知する。燃料ガスの供給流量、改質用水の供給流量及び空気の供給流量が変動すると、改質器における水蒸気改質反応、燃料電池セルスタックにおける燃料電池反応及び燃焼室での燃焼に影響を与え、これによって、燃料電池セルスタックに関連する部位の出力電圧が変化する。従って、このような関係を利用して、燃料電池セルスタックに関連する少なくとも二個所の電圧測定部位の出力電圧を検出し、これら検知電圧を利用して燃料ガス及び改質用水の供給流量の経時的変化(又は改質用水及び空気の供給流量の経時的変化、燃料ガス及び空気の供給流量の経時的変化)を検知することができる。
【0032】
また、本発明の請求項10に記載の固体酸化物形燃料電池によれば、燃料電池セルスタックに関連する二個所の電圧測定部位の出力電圧を検出するとともに、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室のいずれか一つに関連する温度測定部位の温度を検出し、これら二個所の電圧測定部位の検知電圧及び温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知する。燃料ガスの供給流量、改質用水の供給流量及び空気の供給流量が変動すると、上述したように、改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室に関連する部位の温度が変化するとともに、燃料電池セルスタックに関連する部位の出力電圧が変化する。従って、このような関係を利用して、燃料電池セルスタックに関連する二個所の電圧測定部位の出力電圧と改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室のいずれか一つに関連する温度測定部位の温度とを検出し、これら検知電圧及び検知温度を利用して燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することができる。
【0033】
更に、本発明の請求項11に記載の固体酸化物形燃料電池によれば、燃料電池セルスタックに関連する三個所の電圧測定部位の出力電圧を検出し、これら三個所の電圧測定部位の検知電圧に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知する。燃料ガスの供給流量、改質用水の供給流量及び空気の供給流量が変動すると、上述したように、燃料電池セルスタックに関連する部位の出力電圧が変化し、この出力電圧の変動の関係を利用して、燃料電池セルスタックに関連する三個所の電圧測定部位の出力電圧を検出し、これら三個所の検知電圧を利用して燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に従う固体酸化物形燃料電池の第1の実施形態を示す概略図。
【図2】図1の固体酸化物形燃料電池の制御系を示すブロック図。
【図3】図2の制御系による制御の一部を示すフローチャート。
【図4】本発明に従う固体酸化物形燃料電池の第2の実施形態を示す概略図。
【図5】図4の固体酸化物形燃料電池の制御系を示すブロック図。
【図6】図5の制御系による制御の一部を示すフローチャート。
【図7】本発明に従う固体酸化物形燃料電池の第3の実施形態を示す概略図。
【図8】図7の固体酸化物形燃料電池の制御系を示すブロック図
【図9】本発明に従う固体酸化物形燃料電池の第4の実施形態における燃料電池セルスタック及びこれに関連する構成を示す簡略図。
【図10】本発明に従う固体酸化物形燃料電池の第5の実施形態における燃料電池セルスタック及びこれに関連する構成を示す簡略図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う固体酸化物形燃料電池の実施形態について説明する。
【0036】
〔第1の実施形態〕
まず、図1〜図3を参照して、固体酸化物形燃料電池の第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態の固体酸化物形燃料電池を示す概略図であり、図2は、図1の固体酸化物形燃料電池の制御系を示すブロック図であり、図3は、図2の制御系による制御の一部を示すフローチャートである。
【0037】
図1において、図示の固体酸化物形燃料電池2は、燃料ガス(例えば、都市ガス、LPガスなど)を消費して発電を行うものであり、改質用水を気化させて水蒸気を生成するための気化器4と、燃料ガスを水蒸気を用いて改質するための改質器6と、改質器6にて改質された改質燃料ガス及び酸化材としての空気の酸化及び還元によって発電を行う固体酸化物形の燃料電池セルスタック8と、を備えている。
【0038】
燃料電池セルスタック8は、燃料電池反応によって発電を行うための複数の固体酸化物形の燃料電池セルを集電部材を介して積層して構成されており、図示していないが、酸素イオンを伝導する固体電解質と、この固体電解質の一方側に設けられた燃料極と、固体電解質の他方側に設けられた空気極とを備え、固体電解質として例えばイットリアをドープしたジルコニアが用いられる。
【0039】
燃料電池セルスタック8の燃料極の導入側は、改質燃料ガス送給流路10を介して改質器6に接続され、この改質器6は、ガス・水蒸気送給流路12を介して気化器4に接続されている。気化器4は、燃料ガス供給流路14を介して燃料ガスを供給するための燃料ガス供給源16(例えば、埋設管や貯蔵タンクなど)に接続され、この燃料ガス供給流路14にガス流量計18及び燃料ポンプ20が配設されている。燃料ポンプ20は、燃料ガス供給源16からの燃料ガスを気化器4に送給し、ガス流量計18は燃料ガス供給流路14を流れる燃料ガスの供給流量を計測する。尚、燃料ガス供給流路14を気化器4に接続することに代えて、改質器6に直接的に接続するようにしてもよい。
【0040】
この実施形態では、燃料ポンプ20は電圧に比例して回転数が変動する形態のものであり、供給される電圧が上がる(又は下がる)と、その回転数が上昇(又は低下)し、燃料ガス供給流路14を通して供給される燃料ガスの供給流量が増大(又は減少)する。従って、この燃料ポンプ20は、燃料ガス供給流路14を通して供給される燃料ガスの供給流量を制御する燃料ガス流量制御手段としても機能し、燃料ガス供給源16、燃料ポンプ20及び燃料ガス供給流路14は、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段を構成する。
【0041】
この気化器4は、水供給流路22を介して水供給源24(例えば、水タンクなど)に接続され、この水供給流路22に水ポンプ26が配設されている。この水ポンプ26は、水供給源24からの改質用水を気化器4に供給する。
【0042】
この実施形態では、水ポンプ26も、燃料ポンプ20と同様に、電圧に比例して回転数が変動する形態のものであり、供給される電圧が上がる(又は下がる)と、その回転数が上昇(又は低下)し、水供給流路22を通して供給される改質用水の供給流量が増大(又は減少)する。従って、この水ポンプ26は、水供給流路14を通して供給される改質用水の供給流量を制御する水流量制御手段としても機能し、水供給源24、水ポンプ26及び水供給流路22は、改質用水を供給するための水供給手段を構成する。
【0043】
このように構成されているので、燃料ガス供給源16からの燃料ガスは、燃料ガス供給流路14を通して気化器4に送給され、この気化器4からガス・水蒸気送給流路12を通して改質器6に送給される。また、水供給源24からの改質用水は、水供給流路22を通して気化器4に送給され、この気化器4において気化されて水蒸気となり、この水蒸気がガス・水蒸気送給流路12を通して改質器6に送給される。改質器6では、燃料ガスが水蒸気により水蒸気改質され、水蒸気改質された改質燃料ガスが改質燃料ガス送給流路10を通して燃料電池セルスタック8の燃料極側に送給される。
【0044】
この燃料電池セルスタック8の空気極の導入側は、空気供給流路28を介して大気に開放されており、かかる空気供給流路28に空気ブロア30及び空気流量計32が配設されている。空気ブロア30は酸化材としての空気を燃料電池セルスタック8の空気極側に送給し、空気流量計32は空気供給流路28を流れる空気の供給流量を計測する。
【0045】
この実施形態では、空気ブロア30も、燃料ポンプ20及び水ポンプ26と同様に、電圧に比例して回転数が変動する形態のものであり、供給される電圧が上がる(又は下がる)と、その回転数が上昇(又は低下)し、空気供給流路28を通して供給される空気の供給流量が増大(又は減少)する。従って、この空気ブロア30は、空気供給流路28を通して供給される空気の供給流量を制御する空気流量制御手段としても機能し、空気ブロア30及び空気供給流路28は、空気を供給するための空気供給手段を構成する。
【0046】
燃料電池セルスタック8の燃料極及び空気極の排出側には燃焼室34が設けられ、燃料電池セルスタック8の一端から排出された反応燃料ガス(余剰の燃料ガスを含んでいる)と空気極側から排出された空気(酸素を含んでいる)とが、この燃焼室34に送給されて燃焼される。燃焼室34には排気ガス排出流路36が接続され、その排出側は大気に開放され、燃焼室34からの排気ガスが排気ガス排出流路36を通して大気に排出される。
【0047】
この実施形態では、気化器4、改質器6、燃料電池セルスタック8及び燃焼室34が電池収容ハウジング38に収容されている。図示の電池収容ハウジング38は、金属製(例えば、ステンレス鋼製)のハウジング本体40を備え、この電池ハウジング本体40の内面を覆うように断熱部材(図示せず)が配設され、この断熱部材の内側に高温室42が規定され、気化器4、改質器6及び燃料電池セルスタック8が高温室42内で高温状態に保たれ、高温室42内の熱を利用して、気化器4において改質用水の気化が行われ、また改質器6において燃料ガスの水蒸気改質が行われる。
【0048】
この実施形態では、燃料電池2の排熱が温水として回収されるように構成されている。即ち、燃料電池2に関連して貯湯タンク52が設けられるとともに、排気ガス排出流路36に排熱回収用熱交換器54が配設されている。貯湯タンク52には、排熱回収用熱交換器54を通して延びる循環流路56が設けられ、その一端側は貯湯タンク52の底部に接続され、その他端部は貯湯タンク52の上端部に接続され、この循環流路56に送給ポンプ58が配設されている。
【0049】
このように構成されているので、セルスタック8の発電中に送給ポンプ58が作動すると、貯湯タンク52内の水が循環流路56を通して循環され、排熱回収用熱交換器54にて排気ガス排出流路36を流れる排気ガスと循環流路56を流れる水との間で熱交換が行われ、この熱交換により加温された温水が貯湯タンク52に貯えられる。
【0050】
この燃料電池2では、燃料ポンプ20及び空気ブロア30の経時的性能変動に対応して燃料ガス及び空気の供給流量が補正制御されるように構成されている。一般的に、燃料電池2においては、燃料ガス供給流路14を通して供給される燃料ガスの供給流量と改質器6の温度及び燃料電池セルスタック8の近傍の温度とは密接な関係があり、また空気供給流路28を通して供給される空気の供給流量と改質器6の温度及び燃料電池セルスタック8の近傍の温度とは密接な関係がある。この密接な関係は、燃料電池の種類、発電電力などによって異なるが、燃料電池2を実際に稼働運転させて計測すると、一例として、表1の関係が実証実験的に得られる。
【0051】
【表1】

表1は、燃料電池2の設置初期の運転状態において、最大負荷時で稼働させて出力電流を所定電流(例えば、6A)に維持した電流制限の運転状態において、空気供給流路28を流れる空気の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8の近傍の温度及び改質器6内の温度を示すもので、例えば空気の供給流量が3%上昇すると、燃料電池セルスタック8の近傍温度は所定温度(例えば、650℃)より3.00℃下がり、改質器6内の温度は所定温度(例えば、600℃)より0.60℃下がる。また、この表1は、上述した電流制限の稼働運転状態において、燃料ガス供給流路14を流れる燃料ガスの供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8の近傍温度及び改質器6内の温度を示すもので、例えば燃料ガスの供給流量が3%上昇すると、燃料電池セルスタック8の近傍温度は所定温度(例えば、650℃)より12.0℃上がり、改質器6内の温度は所定温度(例えば、600℃)より27.0℃上がる。この表1における「R2値」とは相関係数を示している。
【0052】
設置初期の最大負荷運転時の所定出力電流を所定電流に維持した稼働運転状態における改質器6内の温度をT1(℃)、また燃料電池セルスタック8近傍の温度をT2(℃)とし、現時点の同様の稼働運転状態(最大負荷時の所定出力電流での稼働運転)での改質器6内の温度を(t1)℃、燃料電池セルスタック8近傍の温度を(t2)℃とすると、設置初期の温度を基準とする温度変化量は、
改質器6内の温度変化量ΔT1(℃)=T1−t1 ・・・(1)
燃料電池セルスタック8近傍の温度変化量ΔT2(℃)=T2−t2 ・・・(2)
となる。表1の関係を利用するとともに、式(1)及び(2)を用いると、空気の供給流量の乖離量(%)(設置初期の上述した稼働運転状態における供給流量を基準にした乖離量)及び燃料ガスの供給流量の乖離量(%)(設置初期の上述した稼働運転状態における供給流量を基準にした乖離量)は、
空気乖離量X(%)=−1.098ΔT1+0.488ΔT2 ・・・(3)
燃料ガス乖離量Y(%)=0.0244ΔT1+0.122ΔT2 ・・・(4)
となり、改質器6内の温度変化量ΔT1及び燃料電池セルスタック8近傍の温度変化量ΔT2を用いることにより、設置初期の上述した稼働運転状態を基準とした空気供給流量の乖離量X(%)及び燃料ガス供給流量の乖離量Y(%)を演算して求めることが可能となる。
【0053】
上述した関係を利用して燃料ガス及び空気の供給流量を補正するために、更に、次の通りに構成されている。改質器6の温度を検出するために、改質器6内に第1温度検出手段62が配設されている。また、燃料電池セルスタック8近傍の温度を検出するために、高温室42内の燃料電池セルスタック8に近接して第2温度検出手段64が配設されている。
【0054】
この第1及び第2温度検出手段62及び64の検知温度を利用した燃料ガス供給流量及び空気供給流量の補正は、図2に示す制御系により行われる。図1とともに図2を参照して、燃料電池2は、燃料ポンプ20、水ポンプ26及び空気ブロア30などを制御するための制御手段66を更に備え、第1及び第2温度検知手段62,64からの検知信号は制御手段66に送給され、空気流量計32及び燃料流量計18からの検知信号もこの制御手段66に送給される。
【0055】
制御手段66は、運転切換手段68、温度変化量演算手段70、空気乖離量演算手段72及び燃料乖離量演算手段74を備えている。運転切換手段68は、燃料電池の運転状態を通常運転モードと補正運転モードとに切り換える。通常運転モードの運転とは、燃料電池セルスタック8の出力電力を電力負荷に応じて変動させて出力させる運転モードであって、燃料電池セルスタック8からの発電出力が所定電力となるように制御する(電圧が変動すればそれに伴って電流も変動し、例えば電圧が低下すると、電流は上昇する)モードであり、通常の発電状態の運転時には、この通常運転モードで運転される。また、補正運転モードの運転とは、燃料電池セルスタック8を最大負荷で出力電流を所定電流に維持する運転モードであって、この補正運転モードにおいては、出力電流が一定に維持されるので、燃料ガスの供給流量もこの出力電流となる一定流量に維持され、空気供給流量及び燃料ガス供給流量を補正するときには、この補正運転モードで運転される。
【0056】
また、温度変化量演算手段70は、設置初期の最大負荷時の所定出力電流での稼働運転状態における改質器6内の温度T1(℃)、また燃料電池セルスタック8近傍の温度T2(℃)を基準に上記式(1)及び(2)を用いて改質器6内の温度変化量ΔT1及び燃料電池セルスタック8近傍の温度変化量ΔT2を演算する。
【0057】
そして、空気乖離量演算手段72は、温度変化量演算手段70により演算した温度変化量ΔT1及びΔT2に基づき、上記式(3)を用いて空気乖離量X(%)を演算し、また燃料乖離量演算手段74は、上記温度変化量ΔT1及びΔT2に基づき、上記式(4)を用いて燃料乖離量Y(%)を演算する。
【0058】
この制御手段66は、更に、空気補正量演算手段76、燃料補正量演算手段78、作動制御手段80及びメモリ手段82を含んでいる。空気補正量演算手段76は、演算した空気乖離量X(%)に基づいて空気供給流路28を通して供給される空気の補正量(増加量又は減少量)を演算し、また燃料補正量演算手段78は、演算した燃料乖離量Y(%)に基づいて燃料ガス供給流路14を通して供給される燃料ガスの補正量(増加量又は減少量)を演算する。そして、作動制御手段80は、燃料電池セルスタック8の空気極側に供給される空気の流量が演算した補正量だけ補正されるように空気ブロア30の回転数を制御し、また燃料電池セルスタック8の燃料極側に供給される燃料ガスの流量が演算した補正量だけ補正されるように燃料ポンプ20の回転数を制御する。
【0059】
メモリ手段82には、空気乖離量演算データ(上記式(3)に関する情報)及び燃料乖離量演算データ(上記式(4)に関する情報)が登録されているとともに、空気ブロア制御マップ(駆動電圧と回転数に関するマップ情報)及び燃料ポンプ制御マップ(駆動電圧と回転数に関するマップ情報)などが登録されており、更に設置初期の最大負荷時の所定出力電流での稼働運転状態における改質器6内の温度T1及び燃料電池セルスタック8近傍の温度T2などが記憶される。
【0060】
この燃料電池2における空気供給流量及び燃料ガス供給流量の補正制御は、図3に示すフローチャートに沿って行われる。主として図2及び図3を参照して、空気供給流量及び燃料ガス供給流量の補正を行うときには、運転切換手段68によって補正運転モード(最大負荷の出力電流一定のモード)の運転に切り換えられる。このような補正運転モードの運転は、例えば各起動毎に行われ、起動後その補正状態で運転される。
【0061】
この補正運転モードの運転状態においては、まず、第1温度検知手段62が改質器6の内部温度を検出し、また第2温度検出手段64が燃料電池セルスタック8の近傍温度を検出し(ステップS1)、第1及び第2温度検出手段62,64からの検知信号が制御手段66に送給される。
【0062】
このようにして温度検出が行われると、温度変化量演算手段70は、第1温度検出手段62の検知温度t1及びメモリ手段82に記憶された設定初期の改質器6の内部温度T1に基づいて、上記式(1)を用いて改質器6の温度変化量ΔT1を演算し(ステップS2)、また第2温度検出手段64の検知温度t2及びメモリ手段82に記憶された設定初期の燃料電池セルスタック8の近傍温度T2に基づいて、上記式(2)を用いて燃料電池セルスタック8の近傍温度ΔT2を演算する(ステップS3)。
【0063】
そして、空気乖離量演算手段72は、温度変化量演算手段70により演算された二個所の温度測定個所の温度変化量ΔT1,ΔT2に基づき、上記式(3)を用いて空気乖離量Xを演算し(ステップS4)、また燃料乖離量演算手段74は、これら二個所の温度測定個所の温度変化量ΔT1,ΔT2に基づき、上記式(4)を用いて燃料乖離量Yを演算する(ステップS5)。このようにして、改質器6及び燃料電池セルスタック8に関連する二個所の検出温度を用いて、空気及び燃料ガスの供給流量の経時的な変化量を検知することができる。
【0064】
その後、この空気乖離量X及び燃料乖離量Yを用いて供給流量の補正が行われる。即ち、空気補正量演算手段76は、この空気乖離量Xに基づいて空気補正量を演算し(ステップS7)、また燃料補正量演算手段78は、燃料乖離量Yに基づいて燃料補正量を演算する(ステップS7)。かくすると、作動制御手段82は、空気乖離量Xに基づき、メモリ手段82に登録された空気ブロア制御マップを用いて空気ブロア30の回転数(具体的には、最大負荷時の所定出力電流での運転状態における回転数)を演算し(ステップS8)、この回転数に基づき燃料電池2の発電出力に対応する空気ブロア30の回転数を設定する。また、作動制御手段82は、燃料乖離量Yに基づき、メモリ手段82に登録された燃料ポンプ制御マップを用いて燃料ポンプ20の回転数(具体的には、最大負荷時の所定出力電流での運転状態における回転数)を演算し(ステップS9)、この回転数に基づき燃料電池2の発電出力に対応する燃料ポンプ20の回転を設定する。
【0065】
そして、制御手段66は、空気乖離量Xに基づいて設定された回転数に基づき空気ブロア30を作動制御し(ステップS10)、また燃料乖離量Yに基づいて設定された回転数に基づき燃料ポンプ20を作動制御し(ステップS11)、このようにして空気及び燃料ガスの供給流量の補正が行われる。
【0066】
この補正が終了した後、運転切換手段66は、運転モードを補正運転モードから通常運転モードに切換え(ステップS12)、燃料電池2は、通常運転モードでもって運転され、空気ブロア30及び燃料ポンプ20は、補正設定された回転数でもって作動制御され、このように運転制御することによって、経時的変化による供給流量の変動を受けることなく、空気及び燃料ガスを燃料電池セルスタック8に供給することができる。
【0067】
この実施形態では、補正運転モードとして最大負荷の所定出力電流の運転状態としているが、このような運転状態に限定されることなく、所定負荷(例えば、定格発電出力の負荷状態など)の発電状態で発電出力電流を所定出力電流に維持した運転状態で行うようにしてもよい。
【0068】
また、この実施形態では、空気ブロア30及び燃料ポンプ20の回転数(換言すると、空気供給手段及び燃料ガス供給手段による空気供給流量及び燃料ガス供給流量)を補正しているが、これに限定されることなく、空気ブロア30及び水ポンプ26の回転数(空気供給手段及び水供給手段による空気供給流量及び水供給流量)を補正するようにしてもよく、或いは燃料ポンプ20及び水ポンプ26の回転数(燃料ガス供給手段及び水供給手段による燃料ガス供給流量及び水供給流量)を補正するようにしてもよい。
【0069】
このことに関し更に説明すると、一般的に、水供給流路22を通して供給される改質用水の供給流量と改質器6の温度及び燃料電池セルスタック8の近傍の温度とも密接な関係があり(この密接な関係については、後述の説明も参照されたい)、従って、改質用水のこのような密接な関係と、空気供給流路28を通して供給される空気の供給流量と改質器6の温度及び燃料電池セルスタック8の近傍の温度との密接な関係を利用することによって、上述したと同様にして、改質器6の内部温度(T1,t1)及び燃料電池セルスタック8の近傍温度(T2,t2)に基づいて水乖離量Z及び空気乖離量Xを検知することができ、そして、水乖離量Z及び空気乖離量Xに基づいて、上述したと同様にして、水ポンプ26及び空気ブロア30の回転数(水供給手段及び空気供給手段による水供給流量及び空気供給流量)を補正設定することができ、このようにすることによって、経時的変化による供給流量の変動を受けることなく、改質用水及び空気を所要の通りに供給することができる。
【0070】
また、上述した改質用水の密接な関係と、燃料ガス供給流路14を通して供給される燃料ガスの供給流量と改質器6の温度及び燃料電池セルスタック8の近傍の温度との密接な関係を利用することによって、上述したと同様にして、改質器6の内部温度(T1,t1)及び燃料電池セルスタック8の近傍温度(T2,t2)に基づいて水乖離量Z及び燃料乖離量Yを検知することができ、そして、水乖離量Z及び燃料乖離量Yに基づいて、上述したと同様にして、水ポンプ26及び燃料ポンプ20の回転数(水供給手段及び燃料ガス供給手段による水供給流量及び燃料ガス供給流量)を補正設定することができ、このようにすることによって、経時的変化による供給流量の変動を受けることなく、改質用水及び燃料ガスを所要の通りに供給することができる。
【0071】
〔第2の実施形態〕
次に、図4〜図6を参照して、固体酸化物形燃料電池の第2の実施形態について説明する。図4は、第2の実施形態の固体酸化物形燃料電池を示す概略図であり、図5は、図4の固体酸化物形燃料電池の制御系を示すブロック図であり、図6は、図5の制御系による制御の一部を示すフローチャートである。尚、この第2の実施形態において、上述した第1の実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0072】
この第2の実施形態においては、空気ブロア30、燃料ポンプ20及び水ポンプ26の経時的性能変動に対応して空気、燃料ガス及び改質用水の供給流量が補正制御されるように構成されている。更に、説明すると、一般的に、燃料電池においては、空気供給流路28を通して供給される空気の供給流量と改質器6の内部温度、燃料電池セルスタック8の近傍温度及び燃焼室34の温度とは密接な関係があり、また燃料ガス供給流路14を通して供給される燃料ガスの供給流量と改質器6の温度、燃料電池セルスタック8の近傍温度及び燃焼室34の温度とも密接な関係があり、更に水供給流路22を通して供給される改質用水の供給流量と改質器6の温度、燃料電池セルスタック8の近傍温度及び燃焼室34の温度とも密接な関係がある。この密接な関係は、上述したように、燃料電池の種類、発電電力などによって異なるが、燃料電池を実際に稼働運転させて計測すると、一例として、表2の関係が実証実験的に得られる。
【0073】
【表2】

表2は、燃料電池2Aの設置初期の運転状態において、最大負荷時で稼働させて出力電流を所定電流(例えば、6A)に維持した電流制限の運転状態において、空気供給流路28を流れる空気の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8の近傍温度、改質器6の内部温度及び燃焼室34の温度を示すものである。また、この表2は、上述した電流制限の稼働運転状態において、水供給流路22を流れる改質用水の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8の近傍温度、改質器6の内部温度及び燃焼室34の温度、更には燃料ガス供給流路14を流れる燃料ガスの供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8の近傍温度、改質器6の内部温度及び燃焼室34の温度を示している。
【0074】
設置初期の最大負荷運転時の所定出力電流を所定電流に維持した稼働運転状態における改質器6内の温度をT1(℃)、燃料電池セルスタック8近傍の温度をT2(℃)、また燃焼室34の温度をT3(℃)とし、現時点の同様の稼働運転状態での改質器6の内部温度をt1(℃)、燃料電池セルスタック8の近傍温度をt2(℃)、燃焼室34の温度をt3(℃)とすると、設置初期の温度を基準とする温度変化量は、改質器6内の温度変化量ΔT1及び燃料電池セルスタック8近傍の温度変化量ΔT2は、上記式(1)及び(2)となり、また燃焼室34の温度変化量ΔT3は、
燃焼室34の温度変化量ΔT3(℃)=T3−t3 ・・・(5)
となる。表2の関係を利用するとともに、式(1)、(2)及び(5)を用いると、空気の供給流量の乖離量X(%)、燃料ガスの供給流量の乖離量Y(%)及び改質用水の供給流量の乖離量Z(%)は、
空気乖離量X(%)=−2.109ΔT1+0.2284ΔT2+0.5319ΔT3 ・・・(6)
燃料ガス乖離量Y(%)=0.3594ΔT1+0.0361ΔT2+0.1761ΔT3 ・・・(7)
改質用水乖離量Z(%)=0.4688ΔT1−0.1202ΔT2+0.2464ΔT3 ・・・(8)
となり、改質器6内の温度変化量ΔT1、燃料電池セルスタック8近傍の温度変化量ΔT2及び燃焼室34の温度変化量ΔT3を用いることにより、設置初期の上述した稼働運転状態を基準とした空気供給流量の乖離量X(%)、燃料ガス供給流量の乖離量Y(%)及び改質用水の供給流量の乖離量Z(%)を演算して求めることが可能となる。
【0075】
上述した密接な関係を利用して燃料ガス、空気及び改質用水の供給流量を補正するために、第2の実施形態では、次の通りに構成されている。上述した第1の実施形態と同様に、改質器6内に第1温度検出手段62が配設され、燃料電池セルスタック8に近接して第2温度検出手段64が配設され、加えて燃焼室34の温度を検出するために、この燃焼室34に第3温度検出手段92が設けられている。尚、水供給流路22には水流量計94が設けられる。
【0076】
第1〜第3温度検出手段62,64、92の検知温度を利用した燃料ガス供給流量、空気供給流量及び改質用の水供給流量の補正は、図5に示す制御系により行われる。図5を参照して、制御手段66Aは、運転切換手段68、温度変化量演算手段70、空気乖離量演算手段72、燃料乖離量演算手段74、空気補正量演算手段76、燃料補正量演算手段78、作動制御手段80及びメモリ手段82Aに加えて、水乖離量演算手段96及び水補正量演算手段98を含んでいる。
【0077】
この第2の実施形態では、温度変化量演算手段70は、改質器6内の温度変化量ΔT1及び燃料電池セルスタック8近傍の温度変化量ΔT2に加えて、燃焼室34の温度変化量ΔT3を上記式(5)を用いて演算する。また、空気乖離量演算手段72は、温度変化量演算手段70により演算した温度変化量ΔT1、ΔT2及びΔT3に基づき、上記式(6)を用いて空気乖離量X(%)を演算し、燃料乖離量演算手段74は、上記温度変化量ΔT1、ΔT2及びΔT3に基づき、上記式(7)を用いて燃料乖離量Y(%)を演算し、また水乖離量演算手段96は、上記温度変化量ΔT1、ΔT2及びΔT3に基づき,上記式(8)を用いて水乖離量Z(%)を演算する。更に、水補正量演算手段98は、演算した水乖離量Zに基づいて水供給流路22を通して供給される改質用水の補正量(増加量又は減少量)を演算し、作動制御手段80は、空気ブロア30及び燃料ポンプ20の回転数を補正制御するとともに、気化器4に供給される改質用水の流量が演算した補正量だけ補正されるように水ポンプ26の回転数を制御する。更に、メモリ手段82Aには、空気乖離量演算データ(上記式(6)に関する情報)、燃料乖離量演算データ(上記式(7)に関する情報)及び水乖離量演算データ(上記式(8)に関する情報)が登録されているとともに、空気ブロア制御マップ及び燃料ポンプ制御マップに加えて水ポンプ制御マップ(駆動電圧と回転数に関するマップ情報)などが登録され、更に設置初期の最大負荷時の所定出力電流での稼働運転状態における改質器6内の温度T1、燃料電池セルスタック8の近傍温度T2及び燃焼室34の温度T3などが記憶される。第2の実施形態におけるその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0078】
この燃料電池2Aにおける空気供給流量、燃料ガス供給流量及び水供給流量の補正制御は、図6に示すフローチャートに沿って行われる。主として図5及び図6を参照して、空気供給流量、燃料ガス供給流量及び水供給流量の補正を行うときには、運転切換手段68によって補正運転モードの運転に切り換えられ、この補正運モードの運転制御は、上述したと略同様に行われる。
【0079】
ます、第1温度検知手段62が改質器6の内部温度を検出し、第2温度検出手段64が燃料電池セルスタック8の近傍温度を検出し、また第3温度検出手段92が燃焼室34の温度を検出する(ステップS21)、第1〜第3温度検出手段62,64,92からの検知信号が制御手段66Aに送給される。
【0080】
このようにして温度検出が行われると、温度変化量演算手段70は、上述したと同様にして改質器6の温度変化量ΔT1を演算し(ステップS22)、また燃料電池セルスタック8近傍の温度変化量ΔT2を演算し(ステップS23)、更に第3温度検出手段92の検知温度t3及びメモリ手段82Aに記憶された設定初期の燃料電池セルスタック8の近傍温度T3に基づいて、上記式(5)を用いて燃焼室34の温度変化量ΔT3を演算する(ステップS24)。
【0081】
そして、空気乖離量演算手段72は、温度変化量演算手段70により演算された三個所の温度測定個所の温度変化量ΔT1,ΔT2,ΔT3に基づき、上記式(6)を用いて空気乖離量Xを演算し(ステップS25)、燃料乖離量演算手段74は、これら三個所の温度測定個所の温度変化量ΔT1,ΔT2,ΔT3に基づき、上記式(7)を用いて燃料乖離量Yを演算し(ステップS26)、水乖離量演算手段96は、これら三個所の温度測定個所の温度変化量ΔT1,ΔT2,ΔT3に基づき、上記式(8)を用いて水乖離量Zを演算する(ステップS27)。このようにして、改質器6、燃料電池セルスタック8及び燃焼室34に関連する三個所の検出温度を用いて、空気、燃料ガス及び改質用水の経時的な変化量を検知することができる。
【0082】
その後、この空気乖離量X、燃料乖離量Y及び水乖離量Zを用いて供給流量の補正が行われる。即ち、空気補正量演算手段76は、この空気乖離量Xに基づいて空気補正量を演算し(ステップS28)、燃料補正量演算手段78は、燃料乖離量Yに基づいて燃料補正量を演算し(ステップS29)、また水補正量演算手段98は、水乖離量Zに基づいて水補正量を演算する(ステップS30)。かくすると、作動制御手段82は、上述したと同様にして、空気ブロア30の回転数を演算し(ステップS31)、この回転数に基づき燃料電池2Aの発電出力に対応する空気ブロア30の回転数を設定し、また燃料ポンプ20の回転数を演算し(ステップS32)、この回転数に基づき燃料電池2Aの発電出力に対応する燃料ポンプ20の回転数を設定する。また、作動制御手段82は、水乖離量Zに基づき、メモリ手段82Aに登録された水ポンプ制御マップを用いて水ポンプ26の回転数(具体的には、最大負荷時の所定出力電流での運転状態における回転数)を演算し(ステップS33)、この回転数に基づき燃料電池2Aの発電出力に対応する水ポンプ26の回転を設定する。
【0083】
そして、制御手段66Aは、水乖離量Xに基づいて設定された回転数に基づき空気ブロア30を作動制御し(ステップS34)、燃料乖離量Yに基づいて設定された回転数に基づき燃料ポンプ20を作動制御し(ステップS35)、また水乖離量Zに基づいて設定された回転数に基づき水ポンプ26を作動制御し(ステップS36)、このようにして空気、燃料ガス及び改質用水の供給流量の補正が行われる。
【0084】
この補正が終了した後は、上述した実施形態と同様に、運転切換手段66は、運転モードを補正運転モードから通常運転モードに切換え(ステップS37)、燃料電池2Aは、通常運転モードでもって運転され、空気ブロア30、燃料ポンプ20及び水ポンプ26は、補正された回転数条件でもって作動制御され、このように運転することによって、経時的変化による供給流量の変動を受けることなく、空気、燃料ガス及び改質用水を所要の通りに供給することができる。
【0085】
この第2の実施形態においても、所定負荷(例えば、定格発電出力の負荷状態)の発電状態で発電出力電流を所定出力電流に維持した運転状態で行うようにすることもできる。
【0086】
例えば、上述した実施形態では、空気流量の供給量、燃料ガスの供給流量及び水供給流量の変動と密接な関係のある温度の測定部位として改質器6(その内部)、燃料電池セルスタック8の近傍及び燃焼室34を選択しているが、これらの温度測定部位の一つに代えて、燃焼室34に関連する排熱回収用熱交換器54(その内部)を選択してもよい。また、改質器6、燃料電池セルスタック8及び燃焼室34に関連する温度測定部位として、上述した実施形態では、改質器6、燃料電池セルスタック8及び燃焼室34についてそれぞれ一個所としているが、改質器6、燃料電池セルスタック8及び燃焼室34のいずれか一つについて二個所とすることができ、場合により、改質器6、燃料電池セルスタック8及び燃焼室34のいずれか一つについて三個所とすることもできる。
【0087】
上述した実施形態では、改質器6、燃料電池セルスタック8及び燃焼室34に関連する温度測定部位の温度を利用しているが、このような温度測定部位の温度の一つ又は二つ、或いは全てを利用することに代えて、燃料電池セルスタック8に関連する電圧測定部位の出力電圧を利用するようにしてもよい。
【0088】
〔第3の実施形態〕
次に、図7及び図8を参照して、第3の実施形態の固体酸化物形燃料電池について説明する。図7は、第3の実施形態の固体酸化物形燃料電池を示す概略図であり、図8は、図4の固体酸化物形燃料電池の制御系を示すブロック図である。尚、以下の実施形態においても、第1の実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0089】
図7及び図8において、この第3の実施形態においては、空気ブロア30及び燃料ポンプ20の経時的性能変動に対応して空気及び燃料ガスの供給流量が補正制御されるように構成されている。更に、説明すると、燃料電池においては、上述したように、空気供給流路28を通して供給される空気の供給流量と改質器6の内部温度、燃料電池セルスタック8の近傍温度及び燃焼室34の温度に加えて燃料電池セルスタック8の出力電圧とは密接な関係があり、また燃料ガス供給流路14を通して供給される燃料ガスの供給流量と改質器6の温度、燃料電池セルスタック8の近傍温度及び燃焼室34の温度に加えて燃料電池セルスタック8の出力電圧とも密接な関係があり、更に水供給流路22を通して供給される改質用水の供給流量と改質器6の温度、燃料電池セルスタック8の近傍温度及び燃焼室34の温度に加えて燃料電池セルスタック8の出力電圧とも密接な関係がある。この密接な関係は、上述したように、燃料電池の種類、発電電力などによって異なるが、燃料電池を実際に稼働運転させて計測すると、一例として、表3の関係が実証実験的に得られる。
【0090】
この第3の実施形態においては、これらの関係のうち燃料電池セルスタック8の近傍温度と燃料電池セルスタック8の出力電圧を利用している。
【0091】
【表3】

表3は、燃料電池2Bの設置初期の運転状態において、最大負荷時で稼働させて出力電流を所定電流(例えば、6A)に維持した電流制限の運転状態において、空気供給流路28を流れる空気の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8の近傍温度及び燃料電池セルスタック8の出力電圧を示すものである。また、この表3は、上述した電流制限の稼働運転状態において、水供給流路22を流れる改質用水の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8の近傍温度及び燃料電池セルスタック8の出力電圧を示している。
【0092】
設置初期の最大負荷運転時の所定出力電流を所定電流に維持した稼働運転状態における燃料電池セルスタック8近傍の温度をT2(℃)、また燃料電池セルスタック8の出力電圧をV(V)とし、現時点の同様の稼働運転状態での燃料電池セルスタック8の近傍温度をt2(℃)、また燃料電池セルスタック8の出力電圧をv(V)とすると、設置初期の温度を基準とする燃料電池セルスタック8近傍の温度変化量ΔT2は、上記式(2)となり、また燃料電池セルスタック8の出力電圧変化量ΔVは、
燃料電池セルスタック8の出力電圧変化量ΔV(V)=V−v ・・・(9)
となる。表3の関係を利用するとともに、式(2)及び(9)を用いると、空気の供給流量の乖離量X(%)、水の供給流量の乖離量Z(%)は、
空気乖離量X(%)=ΔV−3.00ΔT2 ・・・(10)
水乖離量Z(%)=−2.50ΔV+2.50ΔT2 ・・・(11)
となり、燃料電池セルスタック8近傍の温度変化量ΔT2及び燃料電池セルスタック8の出力電圧変化量ΔVを用いることにより、設置初期の上述した稼働運転状態を基準とした空気供給流量の乖離量X(%)及び改質用水の供給流量の乖離量Z(%)を演算して求めることが可能となる。
【0093】
上述した密接な関係を利用して空気及び改質用水の供給流量を補正するために、第3の実施形態では、次の通りに構成されている。燃料電池セルスタック8に近接して温度検出手段64が配設され、更に燃料電池セルスタック8の出力電圧を検出するための電圧検出手段102が設けられる。この電圧検出手段102は、燃料電池セルスタック8の発電出力ライン104に配設され、燃料電池セルスタック8からの出力電圧を検出する。尚、水供給流路22には水流量計94が設けられる。
【0094】
温度検出手段64の検知温度及び電圧検出手段102の検知電圧を利用した空気供給流量及び改質用の水供給流量の補正は、図8に示す制御系により行われる。図8を参照して、制御手段66Bは、運転切換手段68、温度変化量演算手段70、空気乖離量演算手段72、空気補正量演算手段76、作動制御手段80及びメモリ手段82Bを備えるとともに、電圧変化量演算手段106、水乖離量演算手段96及び水補正量演算手段98を含んでいる。
【0095】
この第3の実施形態における電圧変化量演算手段106は、燃料電池セルスタック8の出力電圧の変化量ΔVを上記式(9)を用いて演算する。また、空気乖離量演算手段72は、温度変化量演算手段70により演算した温度変化量ΔT2及び電圧変化量演算手段106により演算した出力電圧変化量ΔVに基づき、上記式(10)を用いて空気乖離量X(%)を演算し、また水乖離量演算手段96は、上記温度変化量ΔT2及び出力電圧変化量ΔVに基づき,上記式(11)を用いて水乖離量Z(%)を演算する。更に、水補正量演算手段98は、演算した水乖離量Zに基づいて水供給流路22を通して供給される改質用水の補正量(増加量又は減少量)を演算し、作動制御手段80は、空気ブロア30及び水ポンプ26の回転数を補正制御する。このことに関連して、メモリ手段82Bには、空気乖離量演算データ(上記式(10)に関する情報)及び水乖離量演算データ(上記式(11)に関する情報)が登録されているとともに、空気ブロア制御マップ及び水ポンプ制御マップなどが登録され、更に設置初期の最大負荷時の所定出力電流での稼働運転状態における燃料電池セルスタック8の近傍温度T2及び燃料電池セルスタック8の出力電圧Vなどが記憶される。第3の実施形態におけるその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0096】
この燃料電池2Bにおける空気供給流量及び水供給流量の補正制御を概説すると、次の通りである。即ち、温度検知手段64及び電圧検出手段102からの検知信号が制御手段66Bに送給され、温度変化量演算手段70は、上述したと同様にして燃料電池セルスタック8近傍の温度変化量ΔT2を演算し、電圧変化量演算手段106は、燃料電池セルスタック8の出力電圧の電圧変量ΔVを演算する。
【0097】
そして、空気乖離量演算手段72は、温度変化量演算手段70による温度変化量ΔT2及び電圧変化量演算手段106による電圧変化量ΔVに基づき、上記式(10)を用いて空気乖離量Xを演算し、また水乖離量演算手段96は、上記温度変化量ΔT2及び上記電圧変化量ΔVに基づき、上記式(11)を用いて水乖離量Zを演算する。このようにして、燃料電池セルスタック8に関連する検出温度及び燃料電池セルスタック8に関連する検出出力電圧を用いて、空気及び改質用水の経時的な変化量を検知することができる。
【0098】
このようにして空気及び改質用水の乖離量X,Zを求めると、これらを用いて供給流量の補正が行われる。即ち、空気補正量演算手段76は、この空気乖離量Xに基づいて空気補正量を演算し、また水補正量演算手段98は、水乖離量Zに基づいて水補正量を演算する。そして、作動制御手段82は、上述したようにして、空気ブロア30の回転数を演算して燃料電池2Bの発電出力に対応する空気ブロア30の回転数を設定し、この設定された回転数に基づき空気ブロア30を作動制御し、また水ポンプ26の回転数を演算して燃料電池2Aの発電出力に対応する水ポンプ26の回転を設定し、この設定された回転数に基づき水ポンプ26を作動制御し、このようにして空気及び改質用水の供給流量の補正が行われ、このようにしても上述した実施形態と同様の作用効果を達成することができる。
【0099】
この第3の実施形態では、温度測定部位の温度として燃料電池セルスタック8近傍の温度を利用しているが、上述した記載から理解されるように、改質器6又は燃料室34に関連する温度測定部位の温度を利用しても同様の効果が達成される。
【0100】
また、この第3の実施形態では、空気乖離量及び水乖離量を演算して空気ブロア30及び水ポンプ26の回転数(換言すると、空気供給手段及び水供給手段による空気供給流量及び水供給流量)を補正しているが、上述したと同様に、燃料電池セルスタック8の電圧変化量ΔVを利用して空気乖離量及び燃料乖離量を演算して空気ブロア30及び燃料ポンプ20の回転数(空気供給手段及び燃料ガス供給手段による空気供給流量及び燃料ガス供給流量)を補正するようにしてもよく、或いはこの電圧変化量ΔVを利用して燃料乖離量及び水乖離量を演算して燃料ポンプ20及び水ポンプ26の回転数(燃料ガス供給手段及び水供給手段による燃料ガス供給流量及び水供給流量)を補正するようにしてもよい。
【0101】
この第3の実施形態では、燃料電池セルスタック8に関連する電圧測定部位の出力電圧の変化量ΔVと燃料電池セルスタック8近傍の温度の変化量ΔT2(又は改質器6の温度の変化量ΔT1、燃焼室34の温度の変化量ΔT3でもよい)を用いて空気供給手段及び水供給手段による空気供給流量及び水供給流量(又は燃料ガス供給手段及び水供給手段による燃料ガス供給流量及び水供給流量、空気供給手段及び燃料ガス供給手段による空気供給流量及び燃料ガス供給流量)を補正制御しているが、上述した記載から理解されるように、燃料電池セルスタック8に関連する電圧測定部位の出力電圧の変化量と改質器6、燃料電池セルスタック8及び燃焼室34に関連する二個所の温度測定部位の温度の変化量を利用して空気供給手段、燃料ガス供給手段及び水供給手段による空気供給流量、燃料ガス供給流量及び水供給流量を補正制御するようにすることもできる。
【0102】
例えば、温度として燃料電池セルスタック8及び燃焼室34に関連する温度を利用し、出力電圧として燃料電池セルスタック8に関連する電圧を利用する場合、次のようになる。更に、説明すると、燃料電池を実際に稼働運転させて計測すると、空気供給流路22を通して供給される空気の供給流量と燃料電池セルスタック8の出力電圧、燃料電池セルスタック8近傍の温度及び燃焼室34の温度との関係、燃料ガス供給流路14を通して供給される燃料ガスの供給流量と燃料電池セルスタック8の出力電圧、燃料電池セルスタック8近傍の温度及び燃焼室34の温度との関係、また水供給流路22を通して供給される改質用水の供給流量と燃料電池セルスタック8の出力電圧、燃料電池セルスタック8近傍の温度及び燃焼室34の温度との関係は、一例として、表4に示すものが実証実験的に得られる。
【0103】
【表4】

表4は、燃料電池の設置初期の運転状態において、最大負荷時で稼働させて出力電流を所定電流(例えば、6A)に維持した電流制限の運転状態において、空気供給流路28を流れる空気の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8の出力電圧、燃料電池セルスタック8の近傍温度及び燃焼室34の温度を示すものである。また、この表4は、上述した電流制限の稼働運転状態において、燃料ガス供給流路14を通して流れる燃料ガスの供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8の出力電圧、燃料電池セルスタック8の近傍温度及び燃焼室34の温度、更には水供給流路22を流れる改質用水の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8の出力電圧、燃料電池セルスタック8の近傍温度及び燃焼室34の温度を示している。
【0104】
設置初期の最大負荷運転時の所定出力電流を所定電流に維持した稼働運転状態における燃料電池セルスタック8の出力電圧をV(V)、燃料電池セルスタック8近傍の温度をT2(℃)、また燃焼室34の温度をT3(℃)とし、現時点の同様の稼働運転状態での燃料電池セルスタック8の出力電圧をv(V)、燃料電池セルスタック8の近傍温度をt2(℃)、燃焼室34の温度をt3(℃)とすると、設置初期を基準とする変化量については、燃料電池セルスタック8の出力電圧変化量ΔV、燃料電池セルスタック8近傍の温度変化量ΔT2及び燃焼室34の温度変化量ΔT3は、上記式(9)、(2)及び(5)となる。表4の関係を利用するとともに、式(9)、(2)及び(5)を用いると、空気の供給流量の乖離量X(%)、燃料ガスの供給流量の乖離量Y(%)及び改質用水の供給流量の乖離量Z(%)は、
空気乖離量X(%)=−1.22ΔV−0.73ΔT2+0.88ΔT3
・・・(12)
燃料ガス乖離量Y(%)=−0.71ΔV+0.67ΔT2−0.71ΔT3
・・・(13)
改質用水乖離量Z(%)=−0.08ΔV+0.08ΔT2+0.03ΔT3
・・・(14)
となり、燃料電池セルスタック8の出力電圧の変化量ΔV、燃料電池セルスタック8近傍の温度変化量ΔT2及び燃焼室34の温度変化量ΔT3を用いることにより、設置初期の上述した稼働運転状態を基準とした空気供給流量の乖離量X(%)、燃料ガス供給流量の乖離量Y(%)及び改質用水の供給流量の乖離量Z(%)を演算して求めることが可能となる。
【0105】
従って、これら空気供給流量の乖離量X、燃料ガス供給流量の乖離量Y及び改質用水の供給流量の乖離量Zに基づき、燃料ガス、空気及び改質用水の供給流量を所要の通りに補正することにより、経時的変化による供給流量の変動を抑え、空気、燃料ガス及び改質用水を燃料電池セルスタック8に所要の通りに供給することができる。
【0106】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明に従う固体酸化物形燃料電池の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、温度測定部位にて温度を検出するのではなく、燃料電池セルスタック8に関連する2個所の電圧測定部位の検知電圧を利用しており、これら2個所の電圧測定部位における出力電圧を検知するには、例えば図9に示すように構成することができる。
【0107】
図9において、燃料電池セルスタック8Cは、左側の第1セルスタックユニット110と、右側の第2セルスタックユニット112を備え、第1及び第2セルスタックユニット110,112の合計出力が燃料電池セルスタック8Cの出力電力となる。この形態では、第1セルスタックユニット110に関連して第1電圧検出手段114が設けられ、第2セルスタックユニット112に関連して第2電圧検出手段116が設けられ、第1電圧検出手段114は第1セルスタックユニット110の出力電圧を検知し、第2電圧検出手段116は第2セルスタックユニット112の出力電圧を検知する。
【0108】
この第4の実施形態においては、第3の実施形態と略同様の制御系(図示せず)であり、第1及び第2電圧検出手段114,116からの検知信号(検知電圧)が制御手段に送給される。また、制御手段の電圧変化量演算手段は、第1及び第2セルスタックユニット110,112の電圧変化量を演算し、空気乖離量演算手段は電圧変化量演算手段による第1セルスタックユニット110の出力電圧の変化量ΔV1及び第2セルスタックユニット112の出力電圧の変化量ΔV2に基づいて空気乖離量X(%)を演算し、水乖離量演算手段は上記電圧変化量ΔV1,ΔV2に基づいて水乖離量Z(%)を演算する.尚、この場合、温度変化量演算手段は省略される。
【0109】
燃料電池においては、上述したように、空気供給流路を通して供給される空気の供給流量、燃料ガス供給流路を通して供給される燃料ガスの供給流量及び水供給流路を通して供給される改質用水の供給流量と燃料電池セルスタック8の出力電圧(この場合、第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧)との間に密接な関係がある。この密接な関係は、上述したように、燃料電池の種類、発電電力などによって異なるが、燃料電池を実際に稼働運転させて計測すると、一例として、表5の関係が実証実験的に得られる。
【0110】
【表5】

表5は、燃料電池2Cの設置初期の運転状態において、最大負荷時で稼働させて出力電流を所定電流(例えば、6A)に維持した電流制限の運転状態において、空気供給流路を流れる空気の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8Cの第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧を示すとともに、水供給流路22を流れる改質用水の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8Cの第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧を示している。
【0111】
設置初期の最大負荷運転時の所定出力電流を所定電流に維持した稼働運転状態における燃料電池セルスタック8Cの第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧をV1(V),V2(V)とし、現時点の同様の稼働運転状態での燃料電池セルスタック8Cの第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧をv1(V),v2(V)とすると、設置初期の出力電圧を基準とする燃料電池セルスタック8Cの第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧の変化量ΔV1,ΔV2は、
第1セルスタックユニット110の出力電圧変化量ΔV1(V)=V1−v1
・・・(15)
第2セルスタックユニット110の出力電圧変化量ΔV2(V)=V2−v2
・・・(16)
となる。表5の関係を利用するとともに、式(15)及び(16)を用いると、空気の供給流量の乖離量X(%)及び水の供給流量の乖離量Z(%)は、
空気乖離量X(%)=2.97ΔV1+5.41ΔV2 ・・・(17)
水乖離量Z(%)=−4.14ΔV1−4.50ΔV2 ・・・(18)
となり、燃料電池セルスタック8Cにおける第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧変化量ΔV1,ΔV2を用いることにより、設置初期の上述した稼働運転状態を基準とした空気供給流量の乖離量X(%)及び改質用水の供給流量の乖離量Z(%)を演算して求めることが可能となる。
【0112】
従って、このようにして空気供給流量の乖離量X及び改質用水の供給流量の乖離量Zを演算し、これら空気乖離量X及び水乖離量Zに基づき、空気及び改質用水の供給流量を所要の通りに補正することにより、経時的変化による供給流量の変動を抑え、空気及び改質用水を燃料電池セルスタック8Cに所要の通りに供給することができる。
【0113】
この第4の実施形態では、空気乖離量及び水乖離量を演算して空気供給手段及び水供給手段による空気供給流量及び水供給流量を補正しているが、上述したと同様に、燃料電池セルスタック8Cにおける第1及び第2セルスタックユニット110,112の電圧変化量ΔV1,ΔV2を利用して空気乖離量及び燃料乖離量を演算して空気供給手段及び燃料ガス供給手段による空気供給流量及び燃料ガス供給流量を補正するようにしてもよく、或いはこれら電圧変化量ΔV1,ΔV2を利用して燃料乖離量及び水乖離量を演算して燃料ガス供給手段及び水供給手段による燃料ガス供給流量及び水供給流量を補正するようにしてもよい。
【0114】
この第4の実施形態では、燃料電池セルスタック8Cに関連する二個所の電圧測定部位(即ち、第1及び第2セルスタックユニット110,112)の出力電圧の変化量ΔV1,ΔV2を用いて空気供給手段及び水供給手段による空気供給流量及び水供給流量(又は燃料ガス供給手段及び水供給手段による燃料ガス供給流量及び水供給流量、空気供給手段及び燃料ガス供給手段による空気供給流量及び燃料ガス供給流量でもよい)を補正制御しているが、上述した記載から理解されるように、燃料電池セルスタック8Cに関連する二個所の電圧測定部位の出力電圧の変化量と改質器、燃料電池セルスタック及び燃焼室のいずれかに関連する温度測定部位の温度の変化量とを利用して空気供給手段、燃料ガス供給手段及び水供給手段による空気供給流量、燃料ガス供給流量及び水供給流量を補正制御するようにすることもできる。
【0115】
出力電圧として燃料電池セルスタック8Cに関連する二個所の電圧測定部位の出力電圧と温度として改質器に関連する温度測定部位(例えば、改質器内部)の温度とを利用する場合、次のようになる。更に、説明すると、燃料電池を実際に稼働運転させて計測すると、上述した記載から容易に理解されるように、空気供給流路を通して供給される空気の流量、燃料供給流路を通して供給される燃料ガス供給流量及び水供給流路を通して供給される改質用水供給流量と、燃料電池セルスタック8Cにおける二個所の電力測定部位(この場合、第1及び第2セルスタックユニット110,112)の出力電圧及び改質器内部の温度との関係は、一例として、表6に示すものが実証実験的に得られる。
【0116】
【表6】

表6は、燃料電池の設置初期の運転状態において、最大負荷時で稼働させて出力電流を所定電流(例えば、6A)に維持した電流制限の運転状態において、空気供給流路を流れる空気の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8Cの第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧及び改質器の温度と、燃料ガス供給流路を通して流れる燃料ガスの供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8Cの第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧及び改質器の温度と、水供給流路を流れる改質用水の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8Cの第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧及び改質器の温度とを示している。
【0117】
設置初期の最大負荷運転時の所定出力電流を所定電流に維持した稼働運転状態における燃料電池セルスタック8Cの第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧をV1(V),V2(V)、また改質器の温度をT1(℃)とし、現時点の同様の稼働運転状態での燃料電池セルスタック8Cの第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧をv1(V),v2(V)、改質器の温度をt1(℃)とすると、設置初期を基準とする変化量については、燃料電池セルスタック8Cの第1セルスタックユニット110の出力電圧変化量ΔV1、燃料電池セルスタック8Cの第2セルスタックユニット112の出力電圧変化量Δ2及び改質器の温度変化量ΔT1は、上記式(15)、(16)及び(1)となる。表6の関係を利用するとともに、式(15)、(16)及び(1)を用いると、空気の供給流量の乖離量X(%)、燃料ガスの供給流量の乖離量Y(%)及び改質用水の供給流量の乖離量Z(%)は、
空気乖離量X(%)=−0.92ΔV1+1.19ΔV2+0.05ΔT1
・・・(19)
燃料ガス乖離量Y(%)=−0.37ΔV1−0.46ΔV2−0.20ΔT1
・・・(20)
改質用水乖離量Z(%)=0.62ΔV1+0.62ΔV2−0.18ΔT1
・・・(21)
となり、燃料電池セルスタック8Cの第1及び第2セルスタックユニット110,112の出力電圧の変化量ΔV1,ΔV2及び改質器内の温度変化量ΔT1を用いることにより、設置初期の上述した稼働運転状態を基準とした空気供給流量の乖離量X(%)、燃料ガス供給流量の乖離量Y(%)及び改質用水の供給流量の乖離量Z(%)を演算して求めることが可能となる。
【0118】
従って、これら空気供給流量の乖離量X、燃料ガス供給流量の乖離量Y及び改質用水の供給流量の乖離量Zに基づき、上述したように燃料ガス、空気及び改質用水の供給流量を所要の通りに補正することにより、経時的変化による供給流量の変動を抑え、空気、燃料ガス及び改質用水を燃料電池セルスタック8Cに所要の通りに供給することができる。
【0119】
上述した形態では、燃料電池セルスタック8Cに関連する二個所の電圧測定部位(第1及び第2セルスタックユニット110,112)の出力電圧の変化量ΔV1,ΔV2と改質器6の温度の変化量ΔT1を用いて空気供給手段、燃料ガス供給手段及び水供給手段による空気供給流量、燃料ガス供給量及び水供給流量を補正制御するが、上述した記載から容易に理解されるように、燃料電池セルスタック8に関連する二個所の電圧測定部位の出力電圧の変化量と燃料電池セルスタック8又は燃焼室34に関連する温度測定部位の温度の変化量を利用して空気供給手段、燃料ガス供給手段及び水供給手段による空気供給流量、燃料ガス供給流量及び水供給流量を補正制御することもできる。
【0120】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明に従う固体酸化物形燃料電池の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、燃料電池セルスタックに関連する3個所の電圧測定部位の検知電圧を利用しており、3個所の電圧測定部位における出力電圧を検知するには、例えば図10に示すように構成することができる。
【0121】
図10において、燃料電池セルスタック8Dは、左側の第1セルスタックユニット122、中間の第2セルスタックユニット124及び右側の第3セルスタックユニット126を備え、第1〜第3セルスタックユニット122,124,126は燃料電池セルユニット8Dの大部分を構成している。この形態では、第1セルスタックユニット122に関連して第1電圧検出手段114が設けられ、第2セルスタックユニット124に関連して第2電圧検出手段116が設けられ、また第3セルスタックユニット126に関連して第3電圧検知手段118が設けられ、第1電圧検出手段114は、第1電圧測定部位としての第1セルスタックユニット122の出力電圧を検知し、第2電圧検出手段116は、第2電圧測定部位としての第2セルスタックユニット124の出力電圧を検知し、第3電圧検知手段126は、第3電圧測定部位としての第3セルスタックユニット126の出力電圧を検知する。
【0122】
燃料電池においては、上述したように、空気供給流路を通して供給される空気の供給流量、燃料ガス供給流路を通して供給される燃料ガスの供給流量及び水供給流路を通して供給される改質用水の供給流量と燃料電池セルスタック8に関連する三個所の電圧測定部位の出力電圧(この場合、第1〜第3セルスタックユニット122,124,126の出力電圧)との間に密接な関係がある。この密接な関係は、上述したように、燃料電池の種類、発電電力などによって異なるが、燃料電池を実際に稼働運転させて計測すると、一例として、表7に示す関係が実証実験的に得られる。
【0123】
【表7】

表7は、燃料電池2Dの設置初期の運転状態において、最大負荷時で稼働させて出力電流を所定電流(例えば、6A)に維持した電流制限の運転状態において、空気供給流路を流れる空気の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8Dの第1〜第3セルスタックユニット122,124,126の出力電圧と、燃料ガス供給流路を流れる燃料ガスの供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8Dの第1〜第3セルスタックユニット122,124,126の出力電圧と、水供給流路を流れる改質用水の供給流量が1%変動(この場合、増加)する毎に変動する燃料電池セルスタック8Dの第1〜第3セルスタックユニット122,124,126の出力電圧とを示している。
【0124】
設置初期の最大負荷運転時の所定出力電流を所定電流に維持した稼働運転状態における燃料電池セルスタック8Dの第1〜第3セルスタックユニット122,124,126の出力電圧をV1(V),V2(V)、V3(V)とし、現時点の同様の稼働運転状態での燃料電池セルスタック8Dの第1〜第3セルスタックユニット122,124,126の出力電圧をv1(V),v2(V),v3(V)とすると、設置初期の出力電圧を基準とする燃料電池セルスタック8Dの第1及び第2セルスタックユニット122,124の出力電圧の変化量ΔV1,ΔV2は、上記式(15)及び(16)で示す通りとなり、更に、第3セルスタックユニット126の出力電圧変化量ΔV3は、
第3セルスタックユニット126の出力電圧変化量ΔV3(V)=V3−v3
・・・(22)
となる。表7の関係を利用するとともに、式(15)及び(16)及び(22)を用いると、空気の供給流量の乖離量X(%)、燃料ガスの供給流量の乖離量Y(%)及び水の供給流量の乖離量Z(%)は、
空気乖離量X(%)=−1.17ΔV1−0.13ΔV2+0.77ΔV3
・・・(23)
燃料ガス乖離量Z(%)=−0.60ΔV1+4.69ΔV2−3.00ΔV3
・・・(24)
水乖離量Z(%)=1.55ΔV1+5.32ΔV2−2.74ΔV3
・・・(25)
となり、燃料電池セルスタック8Dにおける第1〜第3セルスタックユニット122,124,126の出力電圧変化量ΔV1,ΔV2,ΔV3を用いることにより、設置初期の上述した稼働運転状態を基準とした空気供給流量の乖離量X(%)、燃料ガスの供給流量の乖離量Y(%)及び改質用水の供給流量の乖離量Z(%)を演算して求めることが可能となる。
【0125】
従って、このようにして空気供給流量の乖離量X、燃料ガス供給流量の乖離量Y及び改質用水供給流量の乖離量Zを演算し、これら空気乖離量X、燃料ガス乖離量Y及び水乖離量Zに基づき、空気、燃料ガス及び改質用水の供給流量を所要の通りに補正することにより、経時的変化による供給流量の変動を抑え、空気、燃料ガス及び改質用水を燃料電池セルスタック8Dに所要の通りに供給することができる。
【0126】
以上、本発明に従う燃料電池の各種実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0127】
また、例えば、上述した実施形態では、燃料電池2(2A,2B)の排熱を温水として回収する形態のもの(換言すると、貯湯タンク52を備えるもの)に適用して説明したが、排熱を温水として回収しない形態のもの(換言すると、貯湯タンク52を省略したもの)にも同様に適用することができる。
【0128】
また、例えば、上述した実施形態では、燃料ポンプ20の回転数を変動させて燃料ガスの供給流量を制御しているが、このような構成に代えて、燃料ガス供給流路14に燃料ガス流量制御手段としての例えば燃料ガス流量制御弁を設け、かかる燃料ガス流量制御弁により流量制御するようにしてもよい。また、水ポンプ26の回転数を変動させて改質用水の供給流量を制御しているが、このような構成に代えて、水供給流路22に水流量制御手段としての例えば水流量制御弁を設け、かかる水流量制御弁により流量制御するようにしてもよい。更に、空気ブロア30の回転数を変動させて空気(酸化材)の供給流量を制御しているが、このような構成に代えて、空気供給流路28に空気流量制御手段として例えば空気流量制御弁を設け、かかる空気流量制御弁により流量制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0129】
2,2A,2B,2C,2D 燃料電池
4 気化器
6 改質器
8,8C,8D 燃料電池セルスタック
14 燃料ガス供給流路
20 燃料ポンプ
22 水供給流路
26 水ポンプ
28 空気供給流路
30 空気ブロア
34 燃焼室
52 貯湯タンク
54 排熱回収用熱交換器
62,64,92 温度検出手段
66,66A,66B 制御手段
72 空気乖離量演算手段
74 燃焼乖離量演算手段
96 水乖離量演算手段
102,114,116,118 電圧検出手段
110,112,122,124,126 セルスタックユニット




【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス供給源からの燃料ガスを燃料ガス供給流路を通して供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を水供給流路を通して供給するための水供給手段と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを前記水供給手段からの改質用水を用いて水蒸気改質するための改質器と、酸化材としての空気を空気供給流路を通して供給するための空気供給手段と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び前記空気供給手段からの酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルを複数個備えた燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックの前記燃料ガス排出側に配設された燃焼室と、前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室を収容するための電池収容ハウジングとを備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室のいずれか一つ又は二つに関連する二個所の温度測定部位の温度を検出し、前記二個所の温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量のいずれか二つの供給流量の経時的変化を検知することを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
【請求項2】
前記燃料ガス供給流路には、燃料ガスの供給流量を制御するための燃料ガス流量制御手段が配設され、前記水供給流路には、改質用水の供給流量を制御するための水流量制御手段が設けられ、前記空気供給流路には、空気の供給流量を制御するための空気流量制御手段が設けられ、更に、前記燃料ガス流量制御手段、前記水流量制御手段及び前記空気流量制御手段を制御するための制御手段が設けられており、
前記二個所の温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量のいずれか二つの供給流量の経時的変化を検知し、前記制御手段は、前記検知した二つの供給流量の経時的変化量に基づいて、前記燃料ガス流量制御手段、前記水流量制御手段及び空気流量制御手段のうち対応する二つを補正制御することを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項3】
燃料ガス供給源からの燃料ガスを燃料ガス供給流路を通して供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を水供給流路を通して供給するための水供給手段と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを前記水供給手段からの改質用水を用いて水蒸気改質するための改質器と、酸化材としての空気を空気供給流路を通して供給するための空気供給手段と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び前記空気供給手段からの酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルを複数個備えた燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックの前記燃料ガス排出側に配設された燃焼室と、前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室を収容するための電池収容ハウジングとを備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室のいずれか一つ又は二つ以上に関連する三個所の温度測定部位の温度を検出し、前記三個所の温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
【請求項4】
前記燃料ガス供給流路には、燃料ガスの供給流量を制御するための燃料ガス流量制御手段が配設され、前記水供給流路には、改質用水の供給流量を制御するための水流量制御手段が設けられ、前記空気供給流路には、空気の供給流量を制御するための空気流量制御手段が設けられ、更に、前記燃料ガス流量制御手段、前記水流量制御手段及び前記空気流量制御手段を制御するための制御手段が設けられており、
前記三個所の温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知し、前記制御手段は、前記検知した三つの供給流量の経時的変化量に基づいて、前記燃料ガス流量制御手段、前記水流量制御手段及び空気流量制御手段を補正制御することを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項5】
前記改質器に関連する温度測定部位の温度とは、前記改質器内の温度であり、前記燃料電池セルスタックに関連する温度測定部位の温度とは、前記燃料電池セルスタックの近傍の温度であり、また前記燃焼室に関連する温度測定部位の温度とは、前記燃焼室の温度又は前記燃焼室から排出される排気ガスの排熱を回収するための排熱回収用熱交換器内の温度であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項6】
前記燃料電池セルスタックから取り出す出力電流を変化させる通常運転モードと、前記燃料電池セルスタックから取り出す出力電流を所定電流に維持する補正運転モードとに切り換えて運転可能であり、前記補正運転モードの運転において、前記供給流量についての経時的変化を検知することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項7】
燃料ガス供給源からの燃料ガスを燃料ガス供給流路を通して供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を水供給流路を通して供給するための水供給手段と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを前記水供給手段からの改質用水を用いて水蒸気改質するための改質器と、酸化材としての空気を空気供給流路を通して供給するための空気供給手段と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び前記空気供給手段からの酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルを複数個備えた燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックの前記燃料ガス排出側に配設された燃焼室と、前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室を収容するための電池収容ハウジングとを備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室の少なくともいずれか一つに関連する温度測定部位の温度を検出するとともに、前記燃料電池セルスタックに関連する電圧測定部位の出力電圧を検出し、前記温度測定部位の検知温度及び前記電圧測定部位の検知電圧に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給量の少なくともいずれか二つの経時的変化を検知することを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
【請求項8】
前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室のいずれか一つ又は二つに関連する二個所の温度測定部位の温度を検出するとともに、前記燃料電池セルスタックに関連する電圧測定部位の出力電圧を検出し、前記二個所の温度測定部位の検知温度及び前記電圧測定部位の検知電圧に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することを特徴とする請求項7に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項9】
燃料ガス供給源からの燃料ガスを燃料ガス供給流路を通して供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を水供給流路を通して供給するための水供給手段と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを前記水供給手段からの改質用水を用いて水蒸気改質するための改質器と、酸化材としての空気を空気供給流路を通して供給するための空気供給手段と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び前記空気供給手段からの酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルを複数個備えた燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックの前記燃料ガス排出側に配設された燃焼室と、前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室を収容するための電池収容ハウジングとを備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記燃料電池セルスタックに関連する少なくとも二個所の電圧測定部位の出力電圧を検出し、前記少なくとも二個所の電圧測定部位の検知電圧に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給量の少なくともいずれか二つの経時的変化を検知することを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
【請求項10】
前記燃料電池セルスタックに関連する二個所の電圧測定部位の出力電圧を検出するとともに、前記改質器、前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼室のいずれか一つに関連する温度測定部位の温度を検出し、前記二個所の電圧測定部位の検知電圧及び前記温度測定部位の検知温度に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することを特徴とする請求項9に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項11】
前記燃料電池セルスタックに関連する三個所の電圧測定部位の出力電圧を検出し、前記三個所の電圧測定部位の検知電圧に基づいて、燃料ガス、改質用水及び空気の供給流量の経時的変化を検知することを特徴とする請求項9に記載の固体酸化物形燃料電池。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−222478(P2011−222478A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232196(P2010−232196)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】