説明

固定子コネクタ

【課題】軸方向にコンパクトな構造のコネクタを提供する。
【解決手段】固定子コネクタCRは、固定子の環状中心部分に重畳され固定される環状キャリア構造体14を備え、この環状キャリア構造体14は、N個の導通部材A,B,Cのグループに電気絶縁プラスチック材料をオーバーモールドさせたもので製造され、それら導通部材A,B,Cは、そのプラスチック材料により互いに分離され電気的絶縁されると共に、一般的に弧状である。導通部材A,B,Cは、環状キャリア構造体14から延びる各々の第1突起A1−A4,B1−B4,C1−C4を有する。これらの第1突起A1−A4,B1−B4,C1−C4は、特に、溶接又は半田付けにより、固定子のコイルの端子又は端に接続される。各導通部材A,B,Cは、更に、固定子の相端子を形成するように、環状キャリア構造体14から延びる少なくとも1つの付加的な接続突起X,Y,Zを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石ブラシレス直流モータの固定子のためのコネクタに係る。
【背景技術】
【0002】
より詳細には、本発明は、固定子が回転子の内側に配置されて中心リング部分を有し、そこから複数の歯が半径方向に延びてその各々に各コイルが巻かれる形式のN相永久磁石ブラシレス直流モータの固定子のためのコネクタであって、複数の端子を有し、少なくとも1つの所定のモードにおいて、それら端子に前記コイルの少なくとも幾つかを接続して固定子のN相巻線を形成するコネクタに関する。
【0003】
モータの軸方向長さ又は高さは、設計上の重要な寸法である。モータが小さいほど、他の品目に利用できるスペースが広くなるか、又はモータにより駆動される装置を小型軽量にすることができる。固定子コネクタは、モータの軸方向スペースを占有する1つの品目である。コネクタの高さを減少することにより、モータの軸方向長さを減少することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、軸方向にコンパクトな構造のコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明は、その1つの態様において、固定子が回転子の内側に配置され、そして各コイルが各々巻かれる複数の外方に延びる固定子極又は歯を伴う中心リング部分を有する種類のN相永久磁石ブラシレス直流モータの固定子のためのコネクタであって、固定子のN相巻線を形成するために少なくとも1つの所定の仕方に基づき少なくとも幾つかのコイルを接続できる複数の端子を有するコネクタにおいて、このコネクタは、固定子の環状中心部分に並置され固定される環状キャリア構造体を備え、これは、電気絶縁プラスチック材料をN個の導通部材のグループにオーバーモールドさせて製造され、それら導通部材は、そのプラスチック材料により互いに分離され電気的絶縁されると共に、一般的に、円弧のような形状にされ、そして環状キャリア構造体の外部に延びる各々の第1突起を有し、これら第1突起は、特に、溶接又は半田付けにより、固定子のコイルの端子又は端に接続され、更に、N個の導通部材の各々には、固定子の相端子として働くように意図されて環状キャリア構造体の外部に延びる少なくとも1つの各接続突起が設けられたコネクタを提供する。
【0006】
好ましくは、導通部材は、本質的に長方形の横方向断面を有し、導通部材の少なくとも1つは、その横方向断面の長辺がコネクタの軸に平行であり、他の導通部材の少なくとも2つは、その横方向断面の長辺が軸に垂直であり、そして全ての導通部材は、重畳関係で互いに軸方向に離間されて、軸と本質的に同軸的に配置される。
【0007】
好ましくは、導通部材の接続突起は、コネクタの軸に平行な方向に第1突起より長い。
【0008】
好ましくは、環状キャリア構造体には、固定子にコネクタを固定するために部材が延びる開口が設けられる。
【0009】
好ましくは、第1突起は、コイルの各端を受け入れるためのU字型部分を有する。
【0010】
又、本発明は、第2の態様によれば、外側の回転子及び内側の固定子を有し、固定子が上述したコネクタを合体したブラシレス直流モータを提供する。
【0011】
以下、添付図面を参照し、本発明の好ましい実施形態を一例として説明する。2つ以上の図に現れる同じ構造物、要素又は部品は、一般的に、それらが現れる全ての図において同じ参照番号で示す。図示されたコンポーネント及び特徴部の寸法は、一般的に、表現の便宜上及び明瞭化のために選択されたものであって、必ずしも一定の縮尺率で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明によるコネクタを示す。
【図2】図1のコネクタの3つの導通部材を示す。
【図3】図2の個々の導通部材を示す分解図である。
【図4】図1のコネクタが設けられた3相ブラシレスモータの固定子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び4において、CRは、3相ブラシレス直流モータの固定子のためのコネクタを一般的に示す符号である。図4において、固定子は、Sで示されており、永久磁石回転子(図示せず)の内側に装着されるように設計された形式のものである。それ自体良く知られたように、固定子Sは、好ましくは、ラミネーションの積層体として実現される導磁性構造体を有し、中心のリング部分10から複数の歯11が半径方向に延び出して固定子極を形成し、各極の周りに各コイル12が巻かれている。
【0014】
コネクタCRは、固定子Sの環状部分10に動作上重畳され固定された環状キャリア構造体14を備えている。この環状構造体14は、図2及び3にA、B及びCと示されたN=3の整形された導通部材のグループに電気絶縁プラスチックをオーバーモールドすることにより製造される。導通部材A、B及びCの一般的な形状は、本質的に、円弧である。これらの部材は、成形環状キャリア構造体14を形成するプラスチックにより互いに分離され電気的に絶縁される。部材A、B及びCは、各第1突起A1−A4、B1−B4及びC1−C4を有し、これらは、本質的にU字型で、固定子コイルのリード線を取り付けるためのフックを形成する。
【0015】
第1突起は、環状絶縁キャリア構造体14から、全て、この構造体の同じ側へ延びる。即ち、第1突起は、環状キャリア構造体から半径方向外方に延びる。第1突起は、特に、半田付け又は溶接(融着)により、固定子Sのコイル12の端子又は端に接続するように意図される。
【0016】
第1突起A1−A4、B1−B4及びC1−C4は、少なくとも1つの規定のモードにおいて、個々のコイル12の端子に接続されて、固定子SのN=3相巻線を形成するように各角度位置に入れられる。特に、図示された構成では、各々4つのコイルより成る3相巻線を構成して、第1突起へ接続し、各相の巻線が、4つの直列又は並列接続コイルで構成されるか、或いは2つの直列接続コイルを各々含む2つの岐路の並列接続で構成されるようにする。
【0017】
図示された実施形態では、導通部材A、B及びBは、横方向断面が本質的に長方形であるのが好都合である。
【0018】
図2及び3を特に参照すれば、導通部材B及びCの各横方向断面の長辺は、コネクタCRの軸に直交し、一方、他の導通部材Aの各横方向断面の長辺は、この軸に平行である。3つの導通部材は、全て、コネクタの軸と本質的に同軸的である。部材Aは、図2に示すように、コネクタの軸に本質的に平行な方向に見たときに、導通部材B及びCに本質的に重畳される。
【0019】
又、導通部材A、B及びCは、各々、固定子Sの相端子として働くX、Y及びZと示された付加的な接続突起も有している。これらの接続突起X、Y及びZは、コネクタの軸に平行な方向に第1突起A1−A4、B1−B4及びC1−C4より長いのが好都合である。
【0020】
コネクタCRの環状構造体14を成形するプロセスでは、固定子Sに取り付ける対応部材16(図4)を通すために好ましくは等間隔で複数のスルーホール15が設けられるのが好都合である。
【0021】
ブラシレス直流モータという語(及びその省略形BLDCモータ並びにその変形)は、ブラシをもたず、実質的なDC電源から電力が供給されるモータを網羅するのに使用されるもので、コントローラがDC電力を慣習的な方形波ではなく正弦波に近い波形へ変換するBLDCの他の変形であるいわゆるBLACモータ、及びBLDCモータを駆動するために典型的に使用されるその変形を含む。典型的に、DC電源は、バッテリ電源又は整流型AC電源である。
【0022】
本発明の説明及び特許請求の範囲において、動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、「収容する(contain)」及び「有する(have)」並びにその変化は、各々、ここに述べたアイテムの存在を特定するために包括的な意味で使用され、付加的なアイテムの存在を除外するものではない。
【0023】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。それ故、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定されるものとする。
【符号の説明】
【0024】
10:環状部分
11:歯
12:コイル
14:環状キャリア構造体
CR:コネクタ
S:固定子
A、B、C:導通部材
A1−A4、B1−B4、C1−C4:第1突起
X、Y、Z:付加的な接続突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子が回転子の内側に配置され、そして各コイルが各々巻かれる複数の外方に延びる固定子極又は歯を伴う中心リング部分を有する種類のN相永久磁石ブラシレス直流モータの固定子のためのコネクタであって、固定子のN相巻線を形成するために少なくとも1つの所定の仕方に基づいて前記コイルの少なくとも幾つかを接続できる複数の端子を有するコネクタにおいて、
前記コネクタは、固定子の環状中心部分に並置され固定される環状キャリア構造体を備え、この環状キャリア構造体は、N個の導通部材のグループに電気絶縁プラスチック材料をオーバーモールドさせたものより成り、それら導通部材は、そのプラスチック材料により互いに分離され電気的絶縁されると共に、一般的に、円弧のような形状にされ、そして環状キャリア構造体の外部に延びる各々の第1突起を有し、これら第1突起は、特に、溶接又は半田付けにより、固定子の前記コイルの端子又は端に接続され、
N個の導通部材の各々には、更に、固定子の相端子として働くように意図されて、環状キャリア構造体の外部に延びる少なくとも1つの各接続突起が設けられた、コネクタ。
【請求項2】
前記導通部材は、本質的に長方形の横方向断面を有し、前記導通部材の少なくとも1つは、その横方向断面の長辺がコネクタの軸に平行であり、他の導通部材の少なくとも2つは、その横方向断面の長辺がその軸に垂直であり、そして全ての導通部材は、重畳関係で互いに軸方向に離間されて、その軸と本質的に同軸的に配置される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記導通部材の接続突起は、前記コネクタの軸に平行な方向に第1突起より長い、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記環状キャリア構造体には、前記固定子に前記コネクタを固定するために前記部材が延びる開口が設けられる、請求項1から3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1突起は、コイルの各端を受け入れるためのU字型部分を有する、請求項1から4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
外側の回転子及び内側の固定子を有し、固定子は、請求項1から5のいずれかに記載のコネクタを合体したものである、ブラシレス直流モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−172473(P2011−172473A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−20185(P2011−20185)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(511029154)
【Fターム(参考)】