説明

固形マルチトールの製造方法及びこれを食料及び医薬に使用

本発明は、固形マルチトールの製造方法に関する。この固形マルチトールは、マルチトール粉末を気体と共に攪拌し、ついでこれをシロップ含有マルチトールと接触させることによって製造される。この場合粉末量は≧シロップの量である。この固形マルチトールはベーカリー製品中で優れた性質を有する。これは更にその他の食品、たとえば菓子, チューインガムコーティング及びタブレット中に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形マルチトールの製造方法及びこれを飼料、食品, 医薬及び化粧料に使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチトール又はα-D-グリコピラシノシル-4-D-ソルビトールはマルトースを水素添加して得られるポリオールである。
【0003】
マルチトールが十分に豊富であり、そして十分に精製されているシロップ中でマルチトールの結晶化を誘発することによって、無水結晶性マルチトールを製造することは知られている。
【0004】
特許文献1に、過飽和濃度で種結晶の添加によって無水結晶のマルチトールを成長させるために、マルチトール溶液を使用することができる結晶化方法が記載されている。
【0005】
特許文献2に、無水結晶性マルチトールの連続製造方法が記載されている。この方法は濃縮化工程で加熱された、マルチトールが豊富なシロップに始まり、ついで種結晶を添加し、更に加熱しながら混合工程を行い, 白下砂糖(massecuite)を生じさせ、 ついで結晶熟成工程(crystal aging step)を行い、そこで白下砂糖を崩壊させ、混合し、攪拌し、ついで温度及び湿気を結晶化を進行させるために調整された雰囲気に移行させる。
【0006】
特許文献3に、粉末状又は粒状結晶性マルチトールの製造方法が記載され, この方法はマルチトールの種結晶をマルチトールの種結晶の融点よりも低い温度で、1〜15重量%の水分含量を有するマルチトール水溶液に添加し、そしてせん断力を連続的に適用する。
【0007】
特許文献4によれば、種として結晶性マルチトールを含む結晶性混合物固形粉末を添加することによって結晶性マルチトールを経済的に製造する方法が提供する。
【0008】
特許文献5及びその対応特許文献6に、レセプタクルの回転によってマルチトールシロップ及び種結晶を連続的に混合することが記載されている。
【0009】
特許文献7に、気泡の存在下にマルチトール水溶液にせん断力を付与することによってマルチトールの結晶化が記載されている。
【0010】
特許文献8及び特許文献9に、結晶性マルチトール、及び結晶マルチトール含有結晶性混合物固体の製造方法が記載されている。
【特許文献1】米国特許第 4,408,041号明細書
【特許文献2】米国特許第 6,120,612号明細書
【特許文献3】欧州特許第0 561 585号明細書
【特許文献4】米国特許第5,932,015号明細書
【特許文献5】欧州特許第1 207 164号明細書
【特許文献6】米国特許第 6,458,401号明細書
【特許文献7】欧州特許第1 300 414号明細書
【特許文献8】欧州特許第0 741 140号明細書
【特許文献9】欧州特許第0 816 373号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって高収率で及び高価な噴霧乾燥の必要なく、固形マルチトールを製造する方法に更なる要求がある。
【0012】
本発明はこのような方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の要旨
本発明は固形マルチトールの製造方法であって、この方法が次の工程:
a) 量Aのマルチトール粉末及び量Bの、シロップ含有マルチトール粉末を20°C〜第二温度の温度で攪拌 (turbulate)して、粒状生成物を得、この際第二温度はマルチトール粉末が固体であるように選ばれ、そして量Aは≧量Bであり、
b) 粒状生成物を乾燥させ,
c) 乾燥した粒状生成物の粒子サイズを減少させて、固形マルチトールを得る
工程を含む、上記製造方法に関する。
【0014】
本発明はさらに固形マルチトールのすべて又は一部をマルチトール粉末として工程 a)に再循環させる工程を更に含む方法に関する。
【0015】
本発明は工程 a)で、マルチトール粉末を気体と共に攪拌する方法に関する。この気体は窒素ガス又は空気, 好ましくは空気である。.
本発明は工程 b)で粒状生成物の乾燥を、20°C〜第二温度(マルチトール粉末が依然として固体であるように選ばれる温度)の温度を有する気体を用いて行う方法に関する。
【0016】
更に、本発明は流動床中で行われる方法に関する。
【0017】
本発明は更にマルチトールシロップが40% 〜80%の乾燥物質含量及び乾燥物質に対して70%に等しいか又は70%より大きいマルチトール含量、好ましくは乾燥物質に対して80%より高いマルチトール含量, より好ましくは乾燥物質に対して90%より高いマルチトール含量を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明は更に工程 a)での温度が50℃〜第二温度(この第二温度をマルチトール粉末が依然として固体であるように選ぶ)、好ましくは 70℃〜上記第二温度、より好ましくは80℃〜上記第二温度である方法に関する。
【0019】
更に, 本発明は、工程 c) の固形生成物のマルチトール含量が乾燥物質に対して90 % w/w 〜99.5% w/w, 好ましくは乾燥物質に対して92% w/w〜97% w/w, 乾燥物質に対してより好ましくは94% w/w〜96% w/wである方法に関する。
【0020】
さらに詳しくは, 本発明はつぎの工程:
a) マルチトール粉末を流動床バスケット中に装填し,
b) 80℃〜第二温度(この第二温度をマルチトール粉末が依然として固体であるように選ぶ), 好ましくは90℃〜95℃の気体注入口温度, 好ましくは空気注入口温度を保持し、
c) 流動床の供給バスケット中に70%の乾燥物質を有するマルチトールシロップを添加し,
d) 粒状生成物を得るためにノズルを通してこのマルチトールシロップをマルチトール粉末上に噴霧し,
e) 1%未満, 好ましくは0.5%未満の水分含量を有する乾燥粒状生成物を得るために、上記被覆された生成物を乾燥させ,,
f) 固形マルチトールを得るために、上記乾燥粒状生成物を粉砕し,
g) 工程 f) で95%〜98%, 好ましくは95%〜97%, より好ましくは95.5%〜 96.5%のマルチトール含量を有する固形マルチトールを得るまで、上記固形マルチトールのすべて又は一部を工程 a)に再循環させる工程を含む方法に関する。
【0021】
更に, 本発明は飼料, 食品, 医薬又は化粧料に上記方法にしたがって得られる固形マルチトールを使用する方法に関する。
【0022】
その食品はベーカリー製品, タブレット, 菓子, チューインガム, 及び被覆された食用コアより成る群から選ばれる。
【0023】
本発明は更に、穀粉, 油脂, 甘味料を含むベーカリー製品であって、その甘味料が上記方法にしたがって得られる25%〜100%の固形マルチトールを含む、上記製品に関する。
【0024】
さらに、本発明は上記方法にしたがって得られる2%〜100%の固形マルチトールを含むタブレットに関する。
【0025】
発明の詳細な説明
本発明は、固形マルチトールの製造方法であって、この方法が次の工程:
a) 量Aのマルチトール粉末及び量Bの、シロップ含有マルチトール粉末 を20°C〜第二温度の温度で攪拌して、粒状生成物を得、この際第二温度はマルチトール粉末が固体であるように選ばれ、そして量Aは≧量Bであり、
b) 粒状生成物を乾燥させ,
c) 乾燥した粒状生成物の粒子サイズを減少させて、固形マルチトールを得る
工程を含む、上記製造方法に関する。
【0026】
処理の開始、すなわち粉末のまさしく最初の添加の時点で, 工程 a)のマルチトール粉末は結晶性マルチトールである。結晶性マルチトール中のマルチトール含量は、99.7% w/w 〜100% w/wである。
【0027】
本発明の本質的特徴は、粉末の量が≧シロップの量であることである。本発明の方法において、粉体粒子を粒状化し, 塊状化するか及び(又は)マルチトールシロップの乾燥物質で被覆する。好ましくはシロップの乾燥物質の量は粉末の乾燥物質に対して約15〜35%である。
【0028】
マルチトール粉末を気体流中で攪拌し、 この場合この気体は窒素ガス及び(又は)空気, 好ましくは空気である。攪拌気体の温度は極めて重要であり、その温度は20℃〜第二温度(この第二温度はマルチトール粉末が固体であるように選ばれる)である。結晶性マルチトール は特定の溶融温度, すなわち約150℃を有するが, マルチトール粉末の純度が減少するやいなや, 溶融温度も低下するか及び(又は)溶融温度は特定の融点だけでなく、むしろ溶融範囲である。攪拌気体(turbulating gas) の温度は、マルチトール粉末が固体であり、そして液体シロップに変換されないように選らばれなければならない。具体的実施態様において, 温度は50℃未満, 好ましくは140℃未満, さらに好ましくは130℃未満, 最も好ましくは100℃未満である。別の具体的実施態様において、温度は80℃〜95℃, 好ましくは90℃〜95℃である。
【0029】
気体との攪拌が、マルチトールシロップとマルチトール粉末の粒子すべての良好な接触表面の存在を保証する。つまり粉体粒子がシロップと接触するようになり、そしてシロップの乾燥物質が粉体粒子を被覆し、塊状化し及び(又は)粒状化する。
【0030】
粉体粒子上に落下する液体の小滴は即座に固化し、ついで気体によって運ばれる水を遊離させる。気体は被覆, 粒状化及び(又は)塊状化のための粉体粒子を分散するばかりでなく、粒状生成物を同時に乾燥させる。
【0031】
本発明はさらに固形マルチトールのすべて又は一部を、マルチトール粉末として工程 c)から工程 a)に再循環させることからなる方法に関する。
【0032】
本発明は、上記固形マルチトールを工程 a)に少なくとも1回, 好ましくは少なくとも2回、より好ましくは少なくとも5回, 最も好ましくは7〜8回循環することからなる方法に関する。
【0033】
固形マルチトールが工程 c)で得られるとすぐに、 この生成物をこの方法の出発化合物として使用することができる。固形マルチトールの最終純度 (乾燥物質に対するマルチトール含量である)に基づき、当業者はこの方法を前の処理で製造された結晶性マルチトール又は固形マルチトールから開始することを決めることができる。好ましくは製造処理を固形マルチトールで開始し、そして結晶性マルチトールを保持することは更に必要としない。
【0034】
再循環は固形マルチトールのすべて又は一部を含む。固形マルチトールの有効な純度(これは乾燥物質に対するマルチトール含量である)に到達するために、固形マルチトールを工程 a)に完全に再循環することができるか、又はこの量が次のマルチトールシロップの量よりも依然として多いように部分的再循環することができる。
【0035】
次の乾燥工程は、乾燥した粒状生成物が1%未満, 好ましくは 0.5%未満の水分含量を有することを保証する。
【0036】
工程 c)での粒子サイズの減少は、粒子の比表面積を増加させ、そして粒子の接触表面を増加させる。これは、攪拌しながら次のマルチトールシロップとの接触を改善する。
【0037】
具体的な実施態様において, 本発明はさらに流動床中で行われる方法に関する。
【0038】
好ましくは, 本発明は工程 b)での粒状生成物の乾燥後最終生成物が得られるバッチ法に関する。更なる飽和及び(又は)結晶化は必要なく、そして次の工程 c)はまさに比表面積を増加させる。
【0039】
本発明は更にマルチトールシロップが 40% 〜80%の乾燥物質含量及び乾燥物質に対して70%に等しいか又は70%より大きいマルチトール含量を含むことを特徴とする。
【0040】
好ましくはマルチトール含量が乾燥物質に対して80%より高い, より好ましくはマルチトール含量が乾燥物質に対して90%よりを含高い。乾燥物質は好ましくは約70%である。
【0041】
本発明は更に工程 a)での温度が50℃〜第二温度(この第二温度をマルチトール粉末が依然として固体であるように選ぶ)、好ましくは 70℃〜上記第二温度、より好ましくは80℃〜上記第二温度である方法に関する。好ましくは この方法は20℃を超えた温度で行われる。 典型的な例で、温度は少なくとも90℃, より好ましくは100℃未満である。
【0042】
更に, 本発明は、工程 c) の固形生成物のマルチトール含量が乾燥物質に対して90 % w/w 〜99.5% w/w, 好ましくは乾燥物質に対して92% w/w〜97% w/w, 乾燥物質に対してより好ましくは94% w/w〜96% w/wである方法に関する。
【0043】
本発明の具体的な実施態様は、つぎの工程:
a) マルチトール粉末を流動床バスケット中に装填し,
b) 80℃〜マルチトールの溶融範囲, 好ましくは90℃〜95℃の気体注入口温度, 好ましくは空気注入口温度を保持し、
c) 流動床の供給バスケット中に70%の乾燥物質を有するマルチトールシロップを添加し,
d) 粒状生成物を得るために、ノズルを通してこのマルチトールシロップをマルチトール粉末上に噴霧し,
e) 1%未満, 好ましくは0.5%未満の水分含量を有する乾燥粒状生成物を得るために、上記被覆された生成物を乾燥させ,
f) 固形マルチトールを得るために、上記乾燥粒状生成物を粉砕し,
g) 工程 f) で95%〜98%, 好ましくは95%〜97%, より好ましくは95.5%〜 96.5%のマルチトール含量を有する固形マルチトールを得るまで、上記固形マルチトールのすべて又は一部を工程 a)に再循環させる
工程を含む方法に関する。
【0044】
マルチトールシロップをマルチヘッドノズルによって噴霧するのが好ましい。
【0045】
生成物の乾燥は約15〜40分を必要とし、そしてマルチトール含有シロップの量による。
【0046】
粉砕をあらゆるタイプのミル中で実施することができる。
【0047】
本発明は、0.5%未満の水分含量及び95% 〜98%のマルチトール含量 (乾燥物質に対して)、及び残り(0.5 〜2% w/w ソルビトール, 0.5〜3% w/w DP3 及び 0.2〜0.5% w/w DP4)を有する固形マルチトールを提供することができる。より具体的例で、本発明の方法にしたがって製造された固形マルチトールのマルチトール含量 (乾燥物質に対して) は 95.5〜96.5% であり、そして乾燥物質の残りはソルビトール, DP3 及びDP4からなる。水分含量は好ましくは0.2〜0.3%である。
【0048】
更に, 本発明は飼料, 食品, 医薬又は化粧料中に上記固形マルチトールを使用することに関する。
【0049】
その食品は、ベーカリー製品, 菓子, タブレットチューインガム及び被覆された食用コア(固形マルチトールが主にコーティングに適用される)より成る群から選ばれる。
【0050】
本発明は更に穀粉, 油脂, 甘味料を含むベーカリー製品に関し, そしてその甘味料が25%〜100% (乾燥物質に対して) の上記固形マルチトールを含むことを特徴とする。この甘味料は100%より少ないマルチトール (乾燥物質に対して)を含有する場合、の残りは、ショ糖, グルコース, フルクトース, フルクトース シロップ, 転化糖, ポリオール, 高甘味度甘味料及びそれらの混合物より成る群から選ばれる。非栄養甘味料として使用することができる高甘味度甘味料を、アスパルテーム, アセスルファム塩、たとえばアセスルファム-K, サッカリン (たとえばナトリウム塩及びカリウム塩), サクラミン酸塩 (たとえばナトリウム塩及びカリウム塩), スクラロース, アリテーム, ネオテーム, ステビオサイド, グリチルリジン, ネオヘスペリジンジヒドロカルコン, モナチン(monatin), モネリン(monellin), サウマチン(thaumatin), ブラゼイン(brazzein)及びそれらの混合物より成る群から選ぶことができる。
【0051】
固形マルチトールを用いて製造されたビスケットは、ショ糖を用いて製造されたビスケットに匹敵する性質を有する。実際、固形マルチトールは、ベーカリー製品中に結晶性マルチトールを使用したのと比較した場合、より優れた性質を与える。
【0052】
更に、本発明は2% 〜100% の上記固形マルチトールを含む, 好ましくは 2% 〜99% の上記固形マルチトールを含むタブレットに関する。タブレットは固形マルチトールをシリンダー型に圧縮することによって得られる。具体的な実施態様において、タブレットは1 cmより大きい直径を有するか及び(又は)約350 mgに重量を有する。固形マルチトール及びステアリン酸マグネシウムを用いる打錠は、硬タブレットを生じる。これらのタブレットは、一種の菓子として使用することができるか又はこれらは有効成分を含むことができ、そして医薬品として適用することができる。本発明の固形マルチトール及び0.5% ステアリン酸マグネシウムを用いて製造されたタブレットは、35 〜45 KN メインプレッシャーの最大硬度に達する。
【0053】
本発明は次の利点を有する:
-- 固形マルチトールを低費用で有効に製造する方法。
-- 固形マルチトールは、飼料, 食品, 医薬又は化粧料においてあらゆる方面での使用される。
-- 本発明の固形マルチトールは、チューインガム及びコーティング, 具体的に食用コアのコーティングに特に有用である。
-- 固形マルチトール含むベーカリー製品は、ショ糖又は結晶性マルチトールを用いて製造されたベーカリー製品に匹敵するか及び(又は)このベーカリー製品より優れた性質を有する。
-- 固形マルチトールを含むタブレットは、許容し得る硬度を有する。
【0054】
以下に、本発明を次の例によって説明する。
【実施例】
【0055】
例 1
3 kgの結晶性マルチトール (C☆Maltidex CH 16385 - セレスター 製品) を流動床抽出可能なバスケット(extractable basket) (5 kg容積)中に充填する。
【0056】
注入空気温度を88℃に設定する。
【0057】
0.9 kg d.s.のC☆Maltidex H 163K9 (セレスター製品 - 70% d.s.でのマルチトールシロップ) を供給バスケット中に入れる。液体シロップを水と空気で作動する(hydropneumatic) マルチヘッドノズルによって粉末上に噴霧する。
【0058】
粒状生成物を30分間乾燥させて、水分含量<0.5%に達する。
【0059】
生成物をRetsch SK 100 ミルを用いて粉砕する。
【0060】
ついで、3kgの生成物を、C☆Maltidex H 163K9で更に粒状化されうる粉末として流動床に再循環させる。
【0061】
粒状化される粉末中のマルチトール含量が約3.0%減少してマルチトール含量 (乾燥物質に対して)96.3%になるまで、コーティング (粒状化)/乾燥/粉砕を繰り返す。
【0062】
最終粉末のマルチトール含量をHPLCで測定する。
【0063】
例 2
ベーカリー製品に固形マルチトールを使用
レシピ:
【0064】
【表1】

【0065】
C☆Gel 20006 = 小麦澱粉
処理操作:
--穀粉, 水及びベーキングパウダー以外のすべての成分を、5分間ミディアムスピードでHobart N50ミキサー中でクリーム状にする。
--水を添加し、ついで1分間混合する。 穀粉を添加し、混合を2.5分間ミディアムスピードで続ける。
--1 kgのドウを3.5 mmまで6工程で層状にする。
--ドウピースを丸いプラグを用いてカットする。
--ドウを10分間190℃で焼く。
【0066】
ビスケットを多孔プレート上で焼く。
【0067】
ドウ調製物の評価:
クリーム調製の後、次の事項を測定する:
【0068】
【表2】

【0069】
ドウを製造した直後に、円錐を用いて及び針入度25 mm測定するStevens Texture Analyserによってドウ粘度を決定する。
【0070】
最終ドウ
【0071】
【表3】

【0072】
固形マルチトールの使用は、ショ糖を用いて製造された製品と類似する性質を有するドウ調製物及びベークド製品を生じる。
【0073】
ベークド製品の評価:
【0074】
【表4】

【0075】
底の構造:
固形マルチトール又はショ糖を用いて製造されたビスケットは同等である: すなわちレギュラー及びオープン(regular and open)。
【0076】
例 3:
タブレット中に固形マルチトールを使用
例 1 から得られた固形マルチトールを、Fette 打錠機(Type Perfecta 1000)でタブレットの製造するために使用し、マルチトール乾燥物質の乾燥物質に対して0.5% ステアリン酸マグネシウム を添加する。生成物を3 分間、低いせん断回転管状ミキサー (Twist PBI 10975)中で混合し、ついでFette打錠機に入れる。22 パンチを使用する。材料を速度20.000 タブレット/時間で圧縮する。タブレット は直径1.1cm 及び重量350mgを有する。
【0077】
製造したタブレットの特性を、圧縮力の作用としてその引張強度を測定する (Fette Checkmaster 3で測定)ことによって評価する。
引張強度は、材料が砕ける張力を示す。これをKNewton メインプレッシャーでの圧縮力の作用で硬度(Newton)として測定することができる。
【0078】
最大硬度は35 〜45 メインプレッシャーに達する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形マルチトールの製造方法であって、この方法が次の工程:
a) 量Aのマルチトール粉末及び量Bの、シロップ含有マルチトール粉末 を20℃〜第二温度の温度で攪拌して、粒状生成物を得、この際第二温度はマルチトール粉末が固体であるように選ばれ、そして量Aは≧量Bであり、ついで
b) 粒状生成物を乾燥させ,
c) 乾燥した粒状生成物の粒子サイズを減少させて、固形マルチトールを得る
工程を含む、上記製造方法。
【請求項2】
前記固形マルチトールのすべて又は一部をマルチトール粉末として工程 a)に再循環させる工程を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程 a)で、マルチトール粉末を気体, 好ましくは窒素ガス又は空気, より好ましくは 空気と共に攪拌する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
工程 b)で、被覆された生成物の乾燥を、20℃〜第二温度(マルチトール粉末が依然として固体である温度)の温度を有する気体を用いて行う、請求項1 〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
当該方法が流動床中で行われる、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
マルチトールシロップが40% 〜80%の乾燥物質含量及び乾燥物質に対して70%に等しいか又は70%より大きいマルチトール含量を含む、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
工程 a)の温度が50℃〜第二温度(マルチトール粉末が依然として固体である温度)、好ましくは 70℃〜上記第二温度、より好ましくは80℃〜上記第二温度である、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
工程 c) の固形生成物のマルチトール含量が乾燥物質に対して90 % w/w 〜99.5% w/w, 好ましくは乾燥物質に対して92% w/w〜97% w/w, より好ましくは乾燥物質に対して94% w/w〜96% w/wである、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
当該方法がつぎの工程:
a) マルチトール粉末を流動床バスケット中に装填し,
b) 80℃〜マルチトールの溶融範囲, 好ましくは90℃〜95℃の気体注入口温度, 好ましくは空気注入口温度を保持し、
c) 流動床の供給バスケット中に70%の乾燥物質を有するマルチトールシロップを添加し,
d) 粒状生成物を得るために、ノズルを通してこのマルチトールシロップをマルチトール粉末上に噴霧し,
e) 1%未満, 好ましくは0.5%未満の水分含量を有する乾燥粒状生成物を得るために、上記被覆された生成物を乾燥させ,
f) 固形マルチトールを得るために、上記乾燥粒状生成物を粉砕し,
g) 工程 f) で95%〜98%, 好ましくは95%〜97%, より好ましくは95.5%〜 96.5%のマルチトール含量を有する固形マルチトールを得るまで、上記固形マルチトールのすべて又は一部を工程 a)に再循環させる
工程を含む、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
請求項1 〜9 のいずれか1つに記載の方法にしたがって得られる固形マルチトールを飼料, 食品, 医薬又は化粧料に使用する方法。
【請求項11】
食品がベーカリー製品, タブレット, 菓子, チューインガム, 及び被覆された食用コア(coated edible cores)より成る群から選ばれる、請求項10記載の使用する方法。
【請求項12】
穀粉, 油脂, 甘味料を含むベーカリー製品であって、その甘味料が請求項1 〜9 のいずれか1つに記載の方法にしたがって得られる25%〜100%の 固形マルチトールを含む、上記ベーカリー製品。
【請求項13】
請求項1 〜9 のいずれか1つに記載の方法にしたがって得られる2%〜100%の固形マルチトールを含むタブレット。

【公表番号】特表2007−509129(P2007−509129A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536214(P2006−536214)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003644
【国際公開番号】WO2005/037849
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(397058666)カーギル インコーポレイテッド (60)
【Fターム(参考)】