説明

固液分離回収装置及び厨芥処理システム

【課題】固液分離回収装置のスクリーン筒の中で厨芥が絡んで固まる前に厨芥を排出する。
【解決手段】スクリーン筒とスクリューを備えて、スラリーを固液分離する本体部3と、スラリー中の固形成分(厨芥)の排出を妨げる押さえる押さえ蓋13と、押さえ蓋13と共にヒンジ12回りに揺動するレバー15と、直動装置18を備え、レバー15と直動装置18の間にコイルばね16を架け渡す。レバー15とコイルばね16は、厨芥の排出を妨げる方向に押さえ蓋13を付勢する付勢手段として機能する。直動装置18は、コイルばね16の長さを変更するばね長さ加減手段であり、押さえ蓋13を付勢力を加減する付勢力加減手段である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨芥を含むスラリーを固液分離して固形成分(厨芥)を回収する固液分離回収装置、及びディスポーザーと固液分離回収装置を接続してなる厨芥処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスポーザーは、厨芥を粉砕して水と混合してスラリーを生成する装置である。ディスポーザーから排出されるスラリーは、一般に、他の排水と一緒に公共下水道に排出される。しかしながら、下水処理場等の処理能力を超える量のスラリーが排出されると、下水処理場の処理水の水質を維持できないと言う問題がある。また、公共下水道へのスラリーの排出が制限される地域もある。
【0003】
そこで、ディスポーザーの下流側に固液分離回収装置を配置して、スラリーを固液分離してスラリーの固形成分(厨芥)を回収することがある(例えば、特許文献1,2)。なお、回収された固形成分は、例えば、焼却、埋め立ての方法で処分される。あるいは、堆肥の原料としてリサイクルされる。
【0004】
固液分離回収装置は、ディスポーザーと1対1で組み合わせて構成される(例えば、特許文献1の図1)場合もあれば、複数のディスポーザーと1台の固液分離回収装置を組み合わせて構成される(例えば、特許文献1の図11)場合もある。また、特許文献2で開示された排水システムは、下処理シンクと下膳シンクのそれぞれにディスポーザーを備え、該2台のディスポーザーから排出されるスラリーを1台の排水処理装置(固液分離回収装置)で処理している。
【0005】
また、特許文献3には、多数の脱水孔を備えるスクリーン筒の内部にスクリューを配置した固液分離回収装置が開示されている。該固液分離回収装置のスクリーン筒の一方端には供給口が設けられ、他方端には排出口があって、排出口には押さえ蓋を設けている。供給口を通ってスクリーン筒内に流入したスラリーはスクリューで押し上げられて、押さえ蓋に当たって圧縮され、スラリー中の水分が脱水孔を通ってスクリーン筒の外に流れ出す。そして、水分を失ったスラリー、つまり固形成分は、押さえ蓋を押し上げて、排出口から排出される。
【0006】
さて、厨芥処理システムで処理される厨芥には、固いものもあれば軟らかいものもある。また、互いに絡みあって固まりやすいものも、そうでないものもある。例えば、キャベツや牛蒡などは繊維質が多いので、これらに由来する厨芥は固まりやすい。また、一般に、調理(加熱)されていない厨芥は固く、絡みやすい。一方、調理された厨芥、つまり残飯に由来する厨芥は、軟らかく、絡みにくい。
【0007】
固液分離回収装置の中で厨芥が固まると、固液分離回収装置が停止したり、破損したりすることがある。そこで、特許文献3の固液分離回収装置は、重錘の重さで押さえ蓋を付勢してスクリーン筒の排出口を塞ぐように構成するとともに、スクリュー(を駆動するモータ)に過大な負荷が加わった場合に、重錘を持ち上げて、重錘の重さが押さえ蓋に加わらないようするリフタを備える。このように構成されているので、スクリーン筒の中で厨芥が絡んで固まった場合に、押さえ蓋が開放されて、厨芥の排出が促される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−246373号公報
【特許文献2】特開2007−132078号公報
【特許文献3】特開2004−344960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、特許文献3の固液分離回収装置は、スクリーン筒の中で厨芥が絡んで固まった場合に、押さえ蓋の開放を促すように構成されている。しかしながら、繊維が絡んだ厨芥の塊は容易には崩れないので、厨芥の塊が、その先端が排出口から露出した状態で留まり、押さえ蓋は開いたままになることがある。このような場合、スラリー中の水分は塊の中を通って排出口から排出される。あるいは、厨芥の塊の一部だけが崩れて、他の部分がそのまま残って、その結果、押さえ蓋が開いたままになることもある。この場合、水分を十分に含んだスラリーが排出口から排出される。このように、特許文献3の固液分離回収装置は、厨芥が絡んで固まった後で、押さえ蓋の開放を促すので、厨芥の塊を十分に取り除くができずに、スラリー中の水分や水分を含んだスラリーがそのまま排出口から排出されると言う問題がある。つまり、スラリーから水分を分離できなくなるという問題がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、スクリーン筒の中で厨芥が絡んで固まる前に厨芥を排出できる固液分離回収装置を提供することを目的とする。また、固液分離回収装置のスクリーン筒の中で厨芥が絡んで固まる前に厨芥を排出できる厨芥処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る固液分離回収装置は、供給口、排出口及び脱水孔を有するスクリーン筒と、前記スクリーン筒の内部に配置されて、前記供給口を通って前記スクリーン筒に供給されるスラリーを前記排出口に向けて押し出すスクリューと、前記スクリーン筒の前記排出口にあって、前記排出口から排出されるスラリーを押さえる押さえ蓋と、前記押さえ蓋を、前記排出口を塞ぐ方向に付勢する付勢手段と、前記付勢手段の付勢力を任意に加減する付勢力加減手段とを備える。
【0012】
前記押さえ蓋は、ヒンジを介して前記スクリーン筒に連結されて、前記ヒンジ回りに揺動自在にとり付けられるとともに、前記付勢手段は、前記押さえ蓋に連結されて、前記押さえ蓋と共に前記ヒンジ回りに揺動するレバーと、前記レバーと支点の間に架け渡されたコイルばねであって、前記付勢力加減手段は、前記支点の位置を任意に変更して前記コイルばねの長さを変更するばね長さ加減手段であってもよい。
【0013】
また、外部装置からの入力に従って、前記付勢力加減手段に所定の動作をさせる制御手段を備えるようにしてもよい。
【0014】
本発明の第2の観点に係る厨芥処理システムは、上記の固液分離回収装置と、下処理シンクに設置されて、調理前の食材に由来する厨芥を粉砕してスラリーを生成し、前記固液分離回収装置に向けて排出する下処理用ディスポーザーと、下膳シンクに設置されて、残飯に由来する厨芥を粉砕してスラリーを生成し、前記固液分離回収装置に向けて排出する下膳用ディスポーザーと、前記下処理用ディスポーザーが運転される場合には、前記付勢手段の付勢力を小さくする方向に前記付勢力加減手段を動作させ、前記下膳用ディスポーザーが運転される場合には、前記付勢手段の付勢力を大きくする方向に前記付勢力加減手段を動作させる制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、固液分離回収装置に付勢力加減手段を備えるので、処理対象のスラリーの性状に応じて、押さえ蓋を押し付ける力を加減することができる。そのため、押さえ蓋の力の大きさを最適化して、スクリーン筒の中で厨芥が固まる前に厨芥を排出することができる。
【0016】
また、付勢手段をコイルばねとし、付勢力加減手段を前記コイルばねの長さを変更するばね長さ加減手段とすれば、前述した作用効果を有する固液分離回収装置を、簡易な構成で実現することができる。
【0017】
また、外部装置からの入力に従って、前記付勢力加減手段に所定の動作をさせる制御手段を備えれば、固液分離回収装置の自動運転が容易になる。
【0018】
また、本発明によれば、固液分離回収装置と、下処理用ディスポーザー及び下膳用ディスポーザーを備える厨芥処理システムにおいて、いずれのディスポーザーが運転されているかよって、固液分離回収装置の押さえ蓋を押し付ける力を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す固液分離回収装置の概念的な構成図である。
【図2】固液分離回収装置の本体部の詳細な構成を示す概念的な断面図である。
【図3】直動装置の作用を示す概念図であり、(a)は「前進位置」にある状態を、(b)は「後退位置」にある状態を、それぞれ示す。
【図4】固液分離回収装置の変形例示す概念的な断面図である。
【図5】厨芥処理システムの構成を示す概念図である。
【図6】厨芥処理システムの制御装置にインストールされる制御プログラムによる処理を示す概念的なフローチャートであり、(a)は下処理プログラムを、(b)は、下膳プログラムを、(c)は運転停止プログラムを、それぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
固液分離回収装置1は、本発明の実施形態の一例であり、図1に示すように、筐体2の内部に本体部3と制御装置4を備えて構成される。
【0022】
本体部3は、筐体2に斜めに固定されるとともに、図2に示すように、外筒5の内部にスクリーン筒6を備え、スクリーン筒6の内部にスクリュー7を備えて構成される。
【0023】
外筒5は、スクリーン筒6とスクリュー7を保持する円筒状の部品であり、下方に排水口8を備える。なお、排水口8には図示しない排水管が接続される。また、外筒5の素材や製造方法は特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼の管材を適宜加工して製造すればよい。
【0024】
スクリーン筒6は、多数の脱水孔(図示しない)を備える中空円筒であって、下端に供給口9、上端に排出口10をそれぞれ備える。供給口9は外筒5の外側まで連絡していて、図示しない配管に接続され、該配管を通って搬送されたスラリーが供給口9からスクリーン筒6の内部に流入し、排出口10から排出される。また、スラリー中の水分は、前記脱水孔を通ってスクリーン筒6の外側に排出され、さらに排水口8を通って外筒5の外に排出される。なお、スクリーン筒6の素材や製造方法は特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼の薄板をプレスで打ち抜いて多数の脱水孔を穿孔し、その後、円筒状に成形して、適宜加工すればよい。
【0025】
スクリュー7は、外筒5に固定されたモータ11で回転駆動される。スクリュー7が回転するとスクリーン筒6の内部のスラリーは排出口10に向かって押し出される。スクリュー7の素材や製造方法は特に限定されないが、例えば、軸となるステンレス鋼の管材の回りに、ステンレス鋼の帯板を螺旋状に巻き付け、溶接して製造することができる。あるいは、鋳造されてもよい。
【0026】
スクリーン筒6の排出口10の外側には、ヒンジ12を介して押さえ蓋13が取り付けられている。押さえ蓋13はヒンジ12回りに揺動するとともに、後述する付勢手段によって排出口10に押し付けられて、排出口10から排出されるスラリー(の固形成分)を、スクリーン筒6の中に押し返すように作用する。その結果、スラリーはスクリュー7と押さえ蓋13に挟まれて、水分が絞り出される。そして、絞り出された水分は前記脱水孔から排出される。残った固形分(正確には「水分が少なくなった厨芥」)は、排出口10から排出され、さらにダクト14を通って、固液分離回収装置1の外に出され、例えばバケツ等の容器(図示しない)に収容される。
【0027】
押さえ蓋13には、レバー15が連結されて、レバー15は押さえ蓋13と一体になって、ヒンジ12回りに揺動する。
【0028】
さて再度、図1を参照しながら、固液分離回収装置1の構成の説明を続ける。レバー15の先端はコイルばね16に連結され、コイルばね16の他端は支点17に連結されている。また、コイルばね16の張力は押さえ蓋13を排出口10に押し付ける方向に作用する。つまり、レバー15とコイルばね16は押さえ蓋13を排出口10に押し付ける付勢手段として機能する。
【0029】
また、支点17は、直動装置18のロッド19の先端にある。つまり、コイルばね16の一方の端はロッド19の先端に連結されている。直動装置18は、サーボモータ20と、図示しないラックピニオン機構を備えて、サーボモータ20でロッド19を進退させる装置である。ロッド19を前進させれば、支点17がレバー15に近づくので、コイルばね16は縮む。ロッド19を後退させれば、支点17がレバー15から遠ざかるので、コイルばね16は伸びる。また、直動装置18はサーボモータ20で駆動されるから、ロッド19を任意の位置まで進退させて、コイルばね16の長さを任意に変更できる。このように、直動装置18は支点17の位置を任意に変更してコイルばね16の長さを変更するばね長さ加減手段として機能する。また、コイルばね16が伸びると張力が大きくなり、押さえ蓋13を排出口10に押し付ける力が大きくなる。コイルばね16が縮むと張力が小さくなり、押さえ蓋13を排出口10に押し付ける力が小さくなる。このように、直動装置18は押さえ蓋13を排出口10に押し付ける付勢手段(コイルばね16)の付勢力を任意に加減する付勢力加減手段として機能すると言うこともできる。
【0030】
制御装置4は、図示しない入力装置(例えば、操作スイッチ)あるいは、上位の制御装置(例えば、後述する厨芥処理システム21を制御するコンピュータ)の指令を受けて固液分離回収装置1を運転するコンピュータである。つまり、モータ11とサーボモータ20は、制御装置4の指令を受けて動作する。
【0031】
さて、直動装置18のロッド19の進退位置は、図3(a)に示すような「前進位置」と図3(b)に示すような「後退位置」が定められていて、直動装置18は制御装置4の指令に従って、「前進位置」または「後退位置」にロッド19を位置決めする。具体的に言えば、「前進位置」および「後退位置」に相当するサーボモータ20の回転角度が、事前に、制御装置4に設定されていて、制御装置4は、該回転角度をサーボモータ20に指令して、ロッド19を位置決めする。
【0032】
なお、「前進位置」は、固液分離回収装置1において、未調理(非加熱)の野菜屑等を含む、スクリーン筒6の中で固まりやすいスラリーを処理する場合に選択され、「後退位置」は、比較的に固まりにくい、調理後(加熱後)の厨芥、つまり残飯等を含むスラリーを処理する場合に選択される。前述したように、直動装置18のロッド19が「前進位置」にある時は、押さえ蓋13を排出口10に押し付ける力は小さくなるので、未調理(非加熱)の野菜屑等を含むスラリーを処理する場合に、該スラリーがスクリーン筒6の中で固まる前に、排出口10から排出される。また、直動装置18のロッド19が「後退位置」にある時は、押さえ蓋13を排出口10に押し付ける力は大きくなるので、残飯に由来するようなスクリーン筒6の中で固まりにくいスラリーを処理するのに適している。この場合、スラリーはスクリーン筒6の中で強力に圧縮されるので、スラリー中の固形分は十分に脱水されて、排出口10から排出される。
【0033】
なお、「前進位置」および「後退位置」は、上記の効果が得られるような最適な位置が事前に設定される。これらの最適位置は実験によって決定されても、理論的に決定されてもよい。一般的には、「前進位置」および「後退位置」は、コイルばね16が引張ばね(引きばね)として機能する位置にするが、コイルばね16が圧縮ばね(押ばね)として機能する位置に「前進位置」を設定してもよい。つまりコイルばね16が自然長より短くなる位置に「前進位置」を設定してもよい。このようにすれば、直動装置18を「前進位置」にすると、押さえ蓋13が排出口10から離れて、排出口10が開放される。
【0034】
また、固液分離回収装置1は図4に示すように構成されてもよい。すなわち、レバー15を支点12の反対側に伸ばした先端に錘31を備えるようにしてもよい。このように構成すれば、錘31の重さによって押さえ蓋13を排出口10から離す方向に回転させるモーメントが発生して、押さえ蓋13を排出口10に押し付ける力を小さくできる。なお、錘31の交換や、錘31の取り付け位置の変更を可能にして、前記モーメントや押し付け力を調節(変更)できるようにしてもよい。
【0035】
次に、固液分離回収装置1を含む厨芥処理システム21の構成と作用を説明する。
【0036】
図5に示すように、厨芥処理システム21は、固液分離回収装置1、下処理用ディスポーザー22及び下膳用ディスポーザー23を配管24で接続するとともに、制御装置25を備えて、2台のディスポーザー22、23から排出されるスラリーを1台の固液分離回収装置1で固液分離処理するシステムである。なお、下処理用ディスポーザー22と下膳用ディスポーザー23は、図示しない運転スイッチを備えて、個別に起動/停止される。該運転スイッチが操作されると、下処理用ディスポーザー22あるいは下膳用ディスポーザー23は運転を開始し、該運転スイッチの操作が解除されると、下処理用ディスポーザー22あるいは下膳用ディスポーザー23は運転を停止する。
【0037】
下処理用ディスポーザー22は下処理シンク26の下に取付けられ、下膳用ディスポーザー23は下膳シンク27の下に取付けられている。下処理シンク26は、食材の下処理(例えば、野菜の皮むき)を行う作業場に置かれるシンクであり、下膳シンク27は、下膳された食器を洗浄する作業場に置かれるシンクである。そのため、下処理用ディスポーザー22には、調理(加熱)されていない野菜屑等が投入され、下膳用ディスポーザー23には、下膳された食器から排出された残飯等が投入される。
【0038】
下処理用ディスポーザー22及び下膳用ディスポーザー23が起動/停止されると、制御装置25は固液分離回収装置1を起動/停止する。また、制御装置25は、固液分離回収装置1を起動/停止する際に、固液分離回収装置1のロッド19の位置(「前進位置」/「後退位置」)を選択して、固液分離回収装置1に指令する。すなわち、下処理用ディスポーザー22が起動された場合は、制御装置25は、「前進位置」を固液分離回収装置1に指令して、その後に、固液分離回収装置1を起動する。下膳用ディスポーザー23が起動された場合は、制御装置25は、「後退位置」を固液分離回収装置1に指令して、その後に、固液分離回収装置1を起動する。
【0039】
上記機能を実現するために、制御装置25には、図6に示すような3種のプログラム、すなわち、下処理プログラム、下膳プログラム、及び運転停止プログラムがインストールされている。
【0040】
下処理プログラムは、下処理用ディスポーザー22の運転が開始された場合、つまり、下処理用ディスポーザー22の運転スイッチの操作を契機に起動され、まず、固液分離回収装置1に対して、直動装置18のロッド19を「前進位置」にするように指令する(ステップS11)。そして、固液分離回収装置1の運転開始を指令して(ステップS12)、処理を終える。
【0041】
下膳プログラムは、下膳用ディスポーザー23の運転が開始された場合、つまり、下膳用ディスポーザー23の運転スイッチの操作を契機に起動され、まず、固液分離回収装置1に対して、直動装置18のロッド19を「後退位置」にするように指令する(ステップS21)。そして、固液分離回収装置1に運転開始を指令して(ステップS22)、処理を終える。
【0042】
運転停止プログラムは、下処理用ディスポーザー22または下膳用ディスポーザー23の運転が停止された場合、つまり、下処理用ディスポーザー22または下膳用ディスポーザー23の運転スイッチの解除を契機に起動され、まず、タイマーが起動され(ステップ31)、タイマーがタイムアップするまで待機する(ステップS32)。そしてタイムアップすると、固液分離回収装置1に運転停止を指令して(ステップS33)、処理を終える。なお、タイマーによる待機時間は、下処理用ディスポーザー22及び下膳用ディスポーザー23による粉砕処理と、固液分離回収装置1による固液分離処理のタイムラグを調整するために設定される。下処理用ディスポーザー22または下膳用ディスポーザー23の運転が停止されても、下処理用ディスポーザー22または下膳用ディスポーザー23と固液分離回収装置1の間の配管24の中にはスラリーが残っているからである。つまり、待機時間は管路に残ったスラリーを固液分離回収装置1で固液分離処理するために設定される。
【0043】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、上記実施形態は例示であって、本発明の技術的範囲は、上記実施形態によっては限定されない。本発明は特許請求の範囲に記載された技術的思想の限りにおいて、自由に、応用、変形、あるいは改良して実施することができる。
【0044】
例えば、上記実施形態においては、付勢手段の具体例としてコイルばね16を例示し、付勢力加減手段の具体例として直動装置18を例示したが、付勢手段及び付勢力加減手段はこれらには限定されない。付勢手段は、空気圧や液圧の利用するもの、例えば、空気ばねやエアシリンダーなどであってもよいし、重力を利用するものであってもよい。また、電磁力を利用するもの、例えば、電動機であってもよいし、いわゆる電磁ばねであってもよい。付勢力加減手段は、例えば、空気圧や液圧を加減する装置であってもよいし、電流や電圧を加減する装置であってもよい。あるいは、レバー15と支点17の間に複数のコイルばね16を並列に張架するとともに、実際に張架されるコイルばね16の数を変更する機構を備えるようにしてもよい。また、強弱2種のコイルばね16を用意して、両者を相互に掛け替える機構を備えるようにしてもよい。なお、コイルばね16の代わりに他の形式のばねを使用できることは言うまでもない。
【0045】
また、上記実施形態においては、固液分離回収装置1、下処理用ディスポーザー22及び下膳用ディスポーザー23を、それぞれ1台ずつ備える厨芥処理システム21を例示したが、本発明の技術的範囲は、これには限定されない。固液分離回収装置1、下処理用ディスポーザー22あるいは下膳用ディスポーザー23のいずれか、あるいは全てを複数台備えていてもよい。また、厨芥処理システム21には図5に図示されていない構成要素が含まれていてもよい。例えば、配管24の途中に、各種の弁やポンプ、タンク等を備えていてもよい。
【0046】
また、上記実施形態においては、固液分離回収装置1の制御装置4とは別に、厨芥処理システム21の制御装置25を備える例を示したが、制御装置25を省いて、固液分離回収装置1の制御装置4が厨芥処理システム21全体を制御するように構成されてもよい。例えば、制御装置4に下処理プログラム等をインストールするともに、制御装置4と下処理用ディスポーザー22及び下膳用ディスポーザー23の運転スイッチのON/OFF状態が制御装置4に入力されるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、制御装置4及び制御装置25を、コンピュータに所定のソフトウェアをインストールして実現する例を示したが、制御装置4及び制御装置25は、このようなものには限定されない。制御装置4及び制御装置25の機能の一部又は全てをハードウェアで実現するようにしてもよい。例えば、制御装置4及び制御装置25をリレーとタイマーを組み合わせたシーケンス制御回路で構成することができる。
【0048】
また、上記実施形態においては、制御装置25の指令で制御装置4が動作し、更に制御装置4の指令で、直動装置18が動作する例を示したが、本発明の固液分離回収装置は、このようなものには限定されない。例えば、手動で操作される切替スイッチを筐体2に取り付けて、該切替スイッチの操作によって、直動装置18が動作するように、つまり、押さえ蓋13を排出口10に押し付ける力の大きさを手動で切替られるようにしてもよい。
【0049】
また、図1ないし図5は、あくまでも「概念図」であって、本発明の技術的範囲は、図示された形状や寸法によって限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 固液分離回収装置
2 筐体
3 本体部
4 制御装置
5 外筒
6 スクリーン筒
7 スクリュー
8 排水口
9 供給口
10 排出口
11 モータ
12 ヒンジ
13 押さえ蓋
14 ダクト
15 レバー
16 コイルばね
17 支点
18 直動装置
19 ロッド
20 サーボモータ
21 厨芥処理システム
22 下処理用ディスポーザー
23 下膳用ディスポーザー
24 配管
25 制御装置
26 下処理シンク
27 下膳シンク
31 錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給口、排出口及び脱水孔を有するスクリーン筒と、
前記スクリーン筒の内部に配置されて、前記供給口を通って前記スクリーン筒に供給されるスラリーを前記排出口に向けて押し出すスクリューと、
前記スクリーン筒の前記排出口にあって、前記排出口から排出されるスラリーを押さえる押さえ蓋と、
前記押さえ蓋を、前記排出口を塞ぐ方向に付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力を任意に加減する付勢力加減手段とを備える固液分離回収装置。
【請求項2】
前記押さえ蓋は、ヒンジを介して前記スクリーン筒に連結されて、前記ヒンジ回りに揺動自在にとり付けられるとともに、
前記付勢手段は、
前記押さえ蓋に連結されて、前記押さえ蓋と共に前記ヒンジ回りに揺動するレバーと、
前記レバーと支点の間に架け渡されたコイルばねであって、
前記付勢力加減手段は、前記支点の位置を任意に変更して前記コイルばねの長さを変更するばね長さ加減手段である
ことを特徴とする請求項1に記載の固液分離回収装置。
【請求項3】
外部装置からの入力に従って、前記付勢力加減手段に所定の動作をさせる制御手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固液分離回収装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の固液分離回収装置と、
下処理シンクに設置されて、調理前の食材に由来する厨芥を粉砕してスラリーを生成し、前記固液分離回収装置に向けて排出する下処理用ディスポーザーと、
下膳シンクに設置されて、残飯に由来する厨芥を粉砕してスラリーを生成し、前記固液分離回収装置に向けて排出する下膳用ディスポーザーと、
前記下処理用ディスポーザーが運転される場合には、前記付勢手段の付勢力を小さくする方向に前記付勢力加減手段を動作させ、前記下膳用ディスポーザーが運転される場合には、前記付勢手段の付勢力を大きくする方向に前記付勢力加減手段を動作させる制御手段とを備える厨芥処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−200708(P2012−200708A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69699(P2011−69699)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(593047552)株式会社フロム工業 (27)
【Fターム(参考)】