説明

圧力容器

ポット状の容器本体1とそれに載せるための蓋2とを備え、その両方が、好ましくはバヨネットキャッチの周辺ロッキング部分によって着脱可能に一体にロックされ、かつゴムやプラスチックなどの弾性緩衝材料で作られた周囲封止リングを含み、周囲封止リングは、ポットの内部8を容器本体と蓋のロック位置で圧力降下に逆らって密閉する目的で、蓋の円形縁部とポットの円形縁部6とでなる領域内に位置し、封止リングの封止リップ9、10は、蓋の縁部および容器本体の縁部と密接に接触し、その場合、自動圧力制御機構を作るために、封止リングは、封止リングの周囲の少なくとも1つの部分Lに、この少なくとも1つの部分Lが所与の値を上回る容器の内側の圧力の作用で変形させられるように形成され、それによって容器本体と蓋の間に通気ギャップを形成する、圧力容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポット状の容器本体(receptacle)とそれに載せるための蓋とを備え、その両方が、好ましくはバヨネットキャッチの周辺ロッキング部分によって着脱可能に一体にロックされる圧力容器であって、ゴムやプラスチックなどの伸縮自在な材料で作られた周囲封止リングも設けられており、周囲封止リングは、ポットの内部を容器本体と蓋のロック位置で圧力降下に逆らって密閉する目的で、蓋の円形縁部とポットの円形縁部とでなる領域内に収容される、圧力容器に関する。これは、封止リングの封止リップがそれぞれ、蓋の縁部および容器本体の縁部に緊密に寄りかかることで達成され、その場合、自動圧力制御機構を作り出すために、封止リングは、その周囲の少なくとも1つの部分に、この部分が事前設定値(応答圧力)を超える容器内部の圧力の作用で変形させられ、それによって容器本体と蓋の間に通気ギャップを形成するように形成される、圧力容器に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許第3027091A1号は、圧力調理器の周辺封止手段について開示しており、その場合、ポットおよび蓋は、ゴムの弾性材料で作られた封止リングがポットの縁部と蓋の縁部の間に介在するバヨネットロックの線に沿って形成された周辺部分によって耐圧性になるように、一体に固定されうるものであり、周囲の本質的にシリンダジャケット様周辺部分が、蓋の本体から下方に曲げられ、かつ蓋の半径方向内向きに曲げられた周辺部分によって隣接され、封止リングの外向きの後部または背骨部が蓋の内面に寄りかかり、封止リングの内向きの封止リップは、それぞれポットの内面および蓋の本体の内面に寄りかかり、その場合、さらに、封止リングの好ましくは対称的な背骨部は、封止リングの最大周囲の上半分において90°を超える角度で円形断面を有し、蓋の本体の湾曲した遷移部の内面上の対応する円形断面領域内で、蓋の本体に寄りかかっているだけである。したがって、安全および通気弁手段(独国特許(DE−PS)第1247581号)と過圧力弁装置(独国特許(DE−PS)第976952号)とに加えて、追加の、すなわち場合により第3の圧力安全装置を備える前述タイプの圧力調理器を提供するという目的は、簡単な手段によって達成される。この場合、臨界圧力または限界圧力を超えると、封止リングの回転および偏向が、開口部を形成するように起こりうる。
【0003】
スイス国特許第571335号は、円筒縁部を有する蓋を備える圧力調理器であって、円筒縁部を有する蓋が、料理用ポット上にバヨネットロックによって着脱可能に固定され、円筒縁部を有する蓋には封止リングが挿入され、封止リングが、蓋と料理用ポットの縁部とにそれぞれ寄りかかる封止リップを有するとともに、バヨネットロックの2つの隣接するラグ間の蓋の縁部に設けられた少なくとも1つの開口部を覆い、その場合、開口部を覆う封止リングの部分には、前記封止リングの横断面を縮小した弱点が存在し、ポットの縁部に寄りかかる封止リップには、この弱点の領域内のポットの縁部に凹部がある、圧力調理器を開示している。したがって、封止リングによって形成された過圧力安全装置を有する圧力調理器は、蓋の縁部が過度に弱化される必要なしに、過圧力安全装置が確実かつ着実に応答する状態で提供されるといわれている。しかし、蓋の円筒状下向き周辺部分には、開口部が、封止リングの環状部分内に設けられた凹所付近に設けられ、凹所は、弱点が作られるように、上記環状部分の横断面を縮小させるものである。上記凹所の領域には、凹部が、料理用ポットの縁部に面する封止リップの縁部に設けられる。使用時に、封止リングは料理用ポットの内部を気密密閉する。特定の理由で圧力調理器の内部の圧力が上昇する場合、この圧力が指定の過大圧力に達したときに、開口部の領域内にありかつ凹所を有する封止リングの一部が、上記開口部から外方に押しやられる。したがって、料理用ポットの縁部に関連する封止リップは、封止リップの一部がもはやポットの縁部に寄りかからなくなるまで、料理用ポットの縁部の上を外方に移動させられ、凹部は、ポットの内部と大気との間に連結部を確立し、その連結部を通じて水蒸気が逃げ始める。この設計は不利である。これは、開口部が蓋の縁部内に設けられなければならず、それにより、製造に関する追加の労務費が必要となるとともに、蓋の縁部の弱化を引き起こすからである。さらに、封止リングは、それが、圧力を解放するために設計された部分で必要な変位および変形を実現することができるように、比較的柔らかい材料で製作されなければならない。
【0004】
欧州特許第0684001B1号は、圧力容器内の圧力をシールによって自動的に制御するための装置であって、シールが、容器のポットと蓋との間に挿入されるものであり、かつ外側に凹所を有する少なくとも1つの周囲部分と縮小した横断面とを有し、したがって、シールの周囲部分が、容器の使用時に所定の値を上回ったときに発生した内部圧力の作用で変形し、上記変形が、容器からの圧力の漏れおよび解放を引き起こし、シールの横断面が、内側に少なくとも1つの切欠き部を設けると共に、外側に凹所を設けることによって縮小される、装置を開示している。この場合もまた、装置が機能すべき場合に、封止リング全体の変形が、圧力解放のために設計された部分に必要とされる。
【0005】
スイス国特許第407459号は、ポットの本体の縁部にバヨネットロックによって固着されかつポットの縁部上に封止リングを保持してもいる円筒縁部を有する蓋を備える圧力調理器であって、上記封止リングが、過圧力安全装置の一部を形成しており、蓋に挿入されるものであり、その場合、蓋の円筒縁部内に入口または凹所領域が設けられ、入口または凹所領域は、通常は封止リングによって架橋され、上記凹所領域を架橋している封止リングの一部は、気密密閉された調理ポットの中が過大圧力になった場合に、入口または凹所領域の中に押圧され、ポット本体および蓋には、封止リング用の蓋の縁部内に設けられた凹所領域に対応する場所に支持手段が設けられ、それによって、気密密閉された料理用ポット内に望ましくない蒸気の過大圧力が生じた場合に封止リングの下向き圧縮が回避され、したがって蒸気の危険な放出が回避される、圧力調理器を開示している。この場合もまた、蓋の外側円筒縁部上に隆起が設けられる必要があり、前述の不利点とともに不利である。類似の圧力解放機構が、米国特許第2,600,703号および米国特許第2,600,714号にも開示されている。
【0006】
スイス国特許第404908号は、ポットと蓋で構成された圧力調理器であって、ポットの縁部および蓋の縁部が、蓋を一方向に回転させることによってロック位置にすることができるバヨネットキャッチを一体に形成するカムを有し、蓋には、ポットの内部を気密密閉するための封止リングが設けられ、さらにカム相互間に、ポットの縁部は、封止リングが、具体的にはポット内部の危険な過大圧力の結果として半径方向外方に変形したときに、ポットの内部とポットの周囲との間の連結部を開放して内部圧力を低下させるようにするという目的で、縁部の水平部分内で延びる少なくとも1つの凹部領域を有する、圧力調理器を開示している。この設計は、ポットの縁部の特定の不利な構成を必要とし、過圧力安全装置が機能するために、封止リングは、圧力解放のための開口部が実際に作られるように、内面上でポットの縁部に対してねじれなければならない。このタイプの装置は、信頼性が低く、複製するのが困難である。
【0007】
英国特許第2208131号は、圧力調理器用の安全通気装置であって、封止リングが、料理用ポットの基部に対して蓋を密閉するとともに、封止リングの縁部の内側の真向いの領域内で延びる、蓋または基部の開口部も覆う、圧力調理器用の安全通気装置を開示している。蓋の縁部の円筒部分には溝穴が設けられており、所定の安全圧力を上回ると、封止リングがその溝穴から突出することができ、それによって開口の蓋が取り外されて圧力放出されることになる。この圧力解放機構にはいくつかの開口部が蓋の縁部の近くに設けられる必要もあり、欠点である。類似の圧力解放装置が、米国特許第4,276,990号から知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡単な手段によって圧力解放機構の信頼性のある機能が保証される、好ましくは圧力調理器として使用するための前述タイプの圧力容器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、例えば、連続的な周囲封止面を有する容器の縁部に関連する少なくとも封止リップが縮小されるかまたはテーパが付けられている、封止リングの周囲部分において、上記封止リングに、容器の内部に向かって開いている少なくとも1つの圧力解放ポケットが設けられ、したがって、使用時に、所定の応答圧力を上回ったときに、容器の縁部に緊密に寄りかかる封止リップが、蓋の縁部と容器の縁部の間の中間領域の中へ半径方向外方かつ下方に変位させられることで、本質的に達成される。実際の圧力解放ポケットの外側の封止リップの比較的大きい剛性と封止リングの周囲背骨部の剛性とに比べて、圧力解放ポケットの領域内で容器の縁部に関連する封止リングが可撓性であるおかげで、圧力解放機構の応答挙動は、もっぱら封止リップのこの領域によって決定され、したがって、封止リングの横断面全体が変形する必要はなく、圧力解放機構の応答挙動はより正確に決定されうる。
【0010】
本発明の特定の実施形態によれば、容器の内部圧力が所与の値を下回ったままであるとき、容器の縁部に関連する封止リップは、内側から、例えば容器の側面の中に注ぎ口として形成された、容器の縁部の場合により丸い遷移部に寄りかかり、容器の内部圧力が所与の圧力を上回ったとき、上記封止リップは、外方かつ下方に変位させられ、それによって外側から容器の縁部の外側周辺領域に寄りかかり、上記封止リップは、圧力解放のために、すなわち応答圧力を上回るたびに十分な圧力解放が達成されるまで、容器の縁部の外側周辺領域から間欠的に起き上がるかまたは滑り落ちる。本発明による圧力解放ポケットの形成が可能であるため、容器の縁部と組み合わせて圧力解放ギャップになったときに、圧力の比較的遅い緩やかな上昇と圧力の突然の低下とが回避される。連続的な周囲封止面を有する圧力解放ポケットの構造のおかげで、適切な高さ、直径、リップ長などの構造を有する成形封止リングが、任意のバヨネットシステムに使用されうる。圧力解放機構の製造コストは、圧力解放ポケットを設けるため、有利に純粋に低い。道具および修理に関する関連コストを伴う蓋の追加の切欠きおよび/または成形は必要ない。封止リングの背骨部には最適剛性を与えることができ、封止リングの封止リップには最適可撓性を与えることができる。
【0011】
本発明の特定の任意選択の特徴は、少なくとも容器の縁部に関連する封止リップが、好ましくは両方の封止リップが、封止リングの全周囲にわたって延びかつ封止リップの厚みに比べて先細りにされるかまたは弱化されている領域、特に溝付き領域を介して封止リングの背骨部になることにある。このようにして、凹凸およびシステム公差が補償され、ロッキングシステム全体の動きがより容易になる。これは、封止リップの高い可撓性のおかげで、システム全体に対するロッキング力が低下するからである。
【0012】
封止リングが、その後部または背骨部で蓋の縁部の連続的な円筒周辺部分に寄りかかり、その円筒周辺部分は、蓋の本体から下方に曲げられ、それによって封止リングに確実な全周支持が提供され、したがって、圧力解放機能は、容器の縁部に関連する封止リップの変形および変位によって単独で決定される場合にも有利である。
【0013】
いくつかの周囲部分が圧力解放ポケットを有する場合、これらは、封止リングの周囲に均等に分散されるように、蓋の縁部に関連する封止リップの中、かつ/または容器の縁部に関連する封止リップの中に設けることができる。
【0014】
圧力解放機構で封止機能を確実にするために、蓋の縁部に関連する封止リップの圧力解放ポケットを有する周囲部分が、容器の縁部に関連する封止リップの圧力解放ポケットを有する周囲部分に対して、円周方向に交互に配置されることが好都合となりうる。
【0015】
封止リングは、その水平正中面に対して鏡面対称である場合にも有利である。したがって、封止リングは、蓋の縁部内に、水平位置で、また蓋を、円直径を中心に180°回すことによって作られる水平位置でも、挿入されうる。したがって、側面について混乱する可能性は回避される。封止リングを挿入するときの上記封止リングの取扱いをさらに容易にするために、封止リングの構造は回転対称であることが好ましい。
【0016】
本発明の別の利点は、蓋の縁部に関連する封止リップの動作モードが悪影響を受けることなく、封止リングの外側幾何形状が蓋の縁部の内面に適合されることにある。
【0017】
本発明による圧力容器を操作するときに、圧力解放ポケットを有するいくつかの周囲部分が、好ましくはシールの周囲に均等に分散されて設けられている場合に、特に高い安全性が確保される。したがって、少なくとも1つの圧力解放ポケットが、圧力を低下させるための有利な周方向位置にあることが確実になる。
【0018】
圧力解放ポケットを有するそれぞれの周囲部分は、好ましくは蓋の2つの隣接する周辺ロッキング部分間の特に真ん中に位置しており、したがって圧力解放機能が確実に果たされる。
【0019】
さらに、圧力解放ポケットを有する少なくとも1つの周囲部分が、蓋の2つの隣接する周辺ロッキング部分間の各中間スペース内の特に真ん中に位置する場合にも有利である。ポットと蓋の間のシステム関連の径方向摺動間隙、ならびに応答圧力の結果として起こりうる変動幅とが、複数のポケットを設けることによって大幅に縮小される。
【0020】
その場合、設けられる圧力解放ポケットの数は、例えば、部分間の領域内に少なくとも1つの圧力解放ポケットが常に存在するように、容器の部分の数に応じて異なることができる。
【0021】
封止リング、具体的には容器の縁部に関連する封止リップの形および/または材料組成は、圧力解放ポケットの領域の外側の封止機能が悪影響を受けることなく、応答圧力を設定する目的で、基本形状、半径、幅、高さ、圧力解放ポケットの深さ、ならびに背骨部および/または封止リップの材料の硬度について適合されることが、本発明の実行可能性にとって有利でもある。
【0022】
本発明のさらなる目的、特徴、利点および考えられる応用例は、添付図面を参照しながらの実施例の以下の詳細な説明で明らかになる。記述されかつ/または図示されている特徴はすべて、個別であろうと任意の有意義な組合せであろうと、その特徴が個々の請求項に含まれるか、または先行請求項に戻って参照するかに関わらず本発明の主題を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を具現化した圧力容器の周辺領域の、圧力解放ポケットの領域内の3次元断面図である。
【図2】本発明を具現化した圧力容器の周辺領域の、封止リングの封止リップが厚くなっている領域の外側の3次元断面図である。
【図3】本発明を具現化した圧力容器を、周縁部の一部について下から見た図である。
【図4A】本発明を具現化した圧力容器の周辺領域の、圧力解放ポケットを有する周囲部分の外側の縦断面図である。
【図4B】本発明を具現化した圧力容器の周辺領域の、通常動作時の圧力解放ポケットの領域内の縦断面図である。
【図4C】本発明を具現化した圧力容器の周辺領域の、所定の応答圧力を上回ったときの図4Bによる断面図である。
【図5】本発明の枠内で使用されるべき封止リングの部分切欠斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜5の図示によれば、圧力調理器としての使用に適した圧力容器が、ポット状の容器本体1とそれに載せられるべき蓋2とを備える。蓋2は、容器本体1と蓋2の間に位置するバヨネットキャッチの周辺ロッキング部分3および4によって、容器本体1にロックされかつ再び解放されうる。蓋2の円形縁部5と容器1の円形縁部6とでなる領域には、ゴムやプラスチックなどの弾性緩衝材料で作られた周囲封止リング7が、容器の内部8を容器本体1と蓋2のインターロック位置で圧力降下に逆らって密閉する目的で挿入される。封止リング7の封止リップ10および9が、それぞれ蓋の縁部5および容器1の縁部6に緊密に寄りかかる。
【0025】
自動圧力制御手段を設けるために、封止リング7は、少なくとも1つの周囲部分Lに、少なくとも1つの周囲部分Lが所与の値(応答圧力)を上回る容器内部の圧力の作用で変形させられるように形成され、それによって容器本体1と蓋2の間にギャップを形成する。示されている実施例では、これは、少なくとも連続的な周囲封止面11を有する容器の縁部6に関連する封止リップ9について、隣接する領域に対して先細りにされた封止リング7の周囲部分Lにおいて、上記封止リング7には、容器の内部8に向かって開いている少なくとも1つの圧力解放ポケット12が設けられ、したがって、使用時に、所定の応答圧力を上回ったときに、容器1の縁部6に緊密に寄りかかる封止リップ9が、蓋の縁部5と容器の縁部6の間の中間領域13の中へ半径方向外方に変位させられることで達成される。これは、容器の縁部6に関連する封止リップ9は、容器の内側で所定の圧力を下回ると、内側から、容器の側面18内に注ぎ口として形成された容器の縁部6の丸い遷移部17に寄りかかり、容器の内側で所定の圧力を上回り、封止リップ9が外方かつ下方に変位すると、外側から容器の縁部6の同様に丸い外側周辺部19に寄りかかり、圧力解放のために外側周辺部19から間欠的に起き上がるかまたは滑り落ちるという方法で行われる。図示のケースでは、封止リング7の水平正中面について(使用時)、ポケットの形成を含む封止リング7は鏡面対称になるように構成され、したがって、圧力解放ポケット12の領域内では、封止リップ9、10は同じ厚みを有し、封止リング7は、封止リング7の2つの可能な水平位置のそれぞれで使用されうる。
【0026】
封止リップ9、10に比べて比較的剛性である、封止リング7の後部または背骨部14は、好ましくは蓋の縁部5の全周を走る円形円筒状周辺部16に寄りかかり、上記周辺部16は、蓋の本体15から下方に曲げられている。背骨部14は、圧力解放機構を機能させるために変形させられる必要はない。図5において特に明瞭にされているように、封止リング7の構造は、封止リング7の中央軸線に対して回転対称である。封止リング7の外側幾何形状は、封止リング7が蓋2に確実に取り付けられるように、蓋の縁部5の内面に適合するように容易になされうる。
【0027】
特に有利なのは、封止リングの全周囲にわたって、封止リップ9および10がそれぞれ、凹部領域21、22を介して比較的剛性の背骨部14になり、それによって、容器の縁部6と蓋の本体15の内面の両方に関する均一な全周シールが確実になることである。このようにして、凹凸およびシステム公差が補償される。ロッキングシステムは、封止リップ9、10の比較的大きい可撓性のためにより円滑に動作し、したがって、タルクまたは類似の滑剤を使用せずに済む。封止リップ9、10の結果として生じる可撓性と、封止リップの領域内の封止リング7の結果として生じる柔軟性とのおかげで、システム全体のロッキング力も最小限である。
【0028】
図5に具体的に示されているように、圧力解放ポケット12を有するいくつかの周囲部分2が、シールの周囲に設けられかつ均等に分散されうる。その場合、圧力解放ポケット12を有するそれぞれの周囲部分Lは、好ましくは蓋2の2つの隣接する周辺ロッキング部分4間の真ん中に位置し、さらに、圧力解放ポケット12を有する少なくとも1つの周辺部分Lは、2つの隣接する周辺ロッキング要素4間の各中間スペース内に位置する。
【0029】
図5はまた、圧力補償の目的で、封止リング7の背骨部14の外側に、軸線と実質的に平行に延び、好ましくは周囲に均等に分散された溝または溝穴20が設けられていることも示す。
【0030】
本発明による封止リング7の形および/または材料組成は、容器のサイズ、蓋と容器の縁部の構成、応答圧力などの様々な状況に容易に適合されうるのは明らかであり、具体的には、基本形状、半径、幅、高さ、圧力解放ポケット12の深さ、ならびに背骨部14および/または封止リップ9、10の材料の硬度について、容器の縁部6に関連する封止リップ9に該当する。
【符号の説明】
【0031】
1…容器本体、2…蓋、3…周辺ロッキング部分、4…周辺ロッキング部分、5…蓋の縁部、6…容器の縁部(注ぎ口)、7…封止リング、8…容器の内部、9…封止リップ、10…封止リップ、11…封止面、12…圧力解放ポケット、13…中間スペース、14…後部または背骨部、15…蓋の本体、16…蓋の縁部5の周辺部、17…遷移部、18…容器の側面、19…外側周辺部、20…溝または溝穴、21…凹部領域、22…凹部領域、L…周囲部分、SP…通気ギャップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポット状の容器本体(1)と、該容器本体に載せるための蓋(2)とを備え、
前記容器本体及び前記蓋の両方が、好ましくはバヨネットキャッチの周辺ロッキング部分(3、4)によって着脱可能に一体にロックされ、かつゴムやプラスチックなどの弾性緩衝材料で作られた周囲封止リング(7)を含み、
前記周囲封止リング(7)が、前記ポットの内部(8)を前記容器本体(1)と前記蓋(2)のロック位置で圧力降下に逆らって密閉する目的で、前記蓋の円形縁部(5)と前記ポットの円形縁部(6)とでなる領域内に位置し、
前記封止リング(7)の封止リップ(9、10)が、前記蓋の前記縁部(5)および前記容器本体の前記縁部(6)と密接に接触し、かかる場合、自動圧力制御機構を作るために、前記封止リング(7)は、前記封止リング(7)の周囲の少なくとも1つの部分(L)に、前記少なくとも1つの部分(L)が所与の値(応答圧力)を上回る前記容器の内側の圧力の作用で変形させられるように形成され、もって前記容器本体(1)と前記蓋(2)との間に通気ギャップを形成する、圧力容器であって、
連続的な周囲封止面(11)を有する当該圧力容器の前記縁部(6)に関連する少なくとも前記封止リップ(9)が縮小されるかまたはテーパが付けられている、前記封止リングの前記周囲部分(L)において、前記封止リング(7)には、当該圧力容器の内部(8)に向かって開いている少なくとも1つの圧力解放ポケット(12)が設けられ、したがって、使用時に、前記所定の応答圧力を上回ったときに、当該圧力容器の前記縁部(6)に緊密に寄りかかる前記封止リップ(9)が、前記蓋の前記縁部(5)と当該圧力容器の前記縁部(6)との間の中間スペース(13)の中へ半径方向外方かつ下方に変位させられることを特徴とする、圧力容器。
【請求項2】
当該圧力容器の縁部(6)に関連する前記封止リップ(9)が、当該圧力容器の内側で所定の圧力を下回ると、前記内側から、当該圧力容器の前記側面(18)の当該圧力容器の縁部(6)の場合により丸い遷移部(17)に寄りかかり、当該圧力容器の内側で前記所定の圧力を上回り、前記封止リップ(9)が外方に変位すると、前記外側から当該圧力容器の前記縁部(6)の前記外側周辺領域(19)に寄りかかり、前記圧力解放のために前記外側周辺領域(19)から間欠的に起き上がるかまたは滑り落ちることを特徴とする、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項3】
当該圧力容器の前記縁部(6)に関連する少なくとも前記封止リップ(9)が、好ましくは両方の封止リップ(9、10)が、前記封止リップの実際の厚みに対して先細りにされるかまたは縮小されておりかつ前記封止リングの全周囲にわたって延びる凹部領域(21、22)を介して前記封止リング(7)の背骨部(14)になることを特徴とする、請求項1または2に記載の圧力容器。
【請求項4】
前記封止リング(7)の前記背骨部(14)が、前記蓋の前記本体(15)から下方に曲げられた、前記蓋の前記縁部(5)の連続的な円筒周辺部分(16)に対して支持されることを特徴とする、請求項1または2に記載の圧力容器。
【請求項5】
圧力解放ポケット(12)を有するいくつかの周囲部分(L)が設けられる場合、前記いくつかの周囲部分(L)が、前記蓋の前記縁部(5)および/または当該圧力容器の前記縁部(6)に関連する前記封止リップ(10、9)の中に位置し、かつ前記封止リング(7)の周囲に均等に分散されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項6】
前記蓋の前記縁部(5)に関連する前記封止リップ(10)の圧力解放ポケット(12)を有する前記周囲部分(L)が、当該圧力容器の前記縁部(6)に関連する前記封止リップ(9)の圧力解放ポケット(12)を有する前記周囲部分(L)に対して、円周方向に交互に配置されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項7】
前記封止リング(7)が、その水平正中面に対して鏡面対称であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項8】
前記封止リング(7)の構造が、回転対称であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項9】
前記封止リング(7)の外側幾何形状が、前記蓋の前記縁部(5)の内面に適合されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項10】
圧力解放ポケット(12)を有するいくつかの周囲部分(L)が、好ましくは前記シールの周囲に均等に分散されて設けられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項11】
前記圧力解放ポケット(12)を有するそれぞれの周囲部分(L)が、好ましくは前記蓋(2)の2つの隣接する周辺ロッキング部分(4)間の真ん中に位置することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項12】
圧力解放ポケット(12)を有する少なくとも1つの周囲部分(L)が、好ましくは前記蓋(2)の2つの隣接する周辺ロッキング部分(4)間の各中間スペース内の真ん中に位置することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項13】
前記応答圧力を設定する場合、前記封止リング(7)、具体的には当該圧力容器の前記縁部(6)に関連する前記封止リップ(9)の形および/または材料組成が、基本形状、半径、幅、高さ、前記圧力解放ポケット(12)の深さ、ならびに背骨部(14)および/または封止リップ(9、10)の材料の硬度について適合されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の圧力容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−533276(P2010−533276A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517423(P2010−517423)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003869
【国際公開番号】WO2009/156043
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(399030679)フイスラー ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】Fissler GmbH
【住所又は居所原語表記】Harald−Fissler−Strasse 1, Idar−Oberstein, Germany
【Fターム(参考)】