説明

圧接型大電力用サイリスタモジュール

【課題】圧接型大電力用サイリスタモジュールの上下方向寸法を小型化する。
【解決手段】放熱板1、絶縁板11、コモンバー12、スペーサ181、サイリスタチップ113、スペーサ183,24及びカソード端子バー18を圧接手段19により上下方向に圧接する。四角形のサイリスタチップ113を用い、四角形のスペーサ181,183をサイリスタチップ113よりも小さくする。絶縁性ホルダ182,184とによってスペーサ181,183とを包囲する。サイリスタチップ113のゲート電極113b上に配置されたコイルバネ型ゲート電極信号線15のコイル部分15aとスペーサ14とを絶縁性ゲートスペーサ316,317によって絶縁する。コイルバネ型ゲート電極信号線15の水平方向に延ばされた部分15bを絶縁被覆し、スペーサ14の収容溝14b内に収容する。水平方向に延ばされた部分15bの根元側部分15b2を絶縁性ゲートスペーサ316,317によって狭持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アノード端子バーおよびカソード端子バーが例えばネジのような圧接手段によってサイリスタチップに対して圧接された圧接型大電力用サイリスタモジュールに関し、特には、半田を用いる必要なく、サイリスタチップのゲート電極とゲート電極信号線との電気接続の信頼性を向上させつつ、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の上下方向寸法を小型化することができる圧接型大電力用サイリスタモジュールに関する。
【0002】
更に、本発明は、コイルバネ型ゲート電極信号線の上端とカソード端子バーとが短絡してしまうおそれを回避し、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の組立性を向上させ、圧接型大電力用サイリスタモジュールの稼動中にサイリスタチップのゲート電極とコイルバネ型ゲート電極信号線との電気接続の信頼性が低下してしまうおそれを低減することができる圧接型大電力用サイリスタモジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、アノード端子バーおよびカソード端子バーが例えばネジのような圧接手段によってサイリスタチップに対して圧接された圧接型大電力用サイリスタモジュールが知られている。この種の圧接型大電力用サイリスタモジュールの例としては、例えば特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものがある。
【0004】
特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載された圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、放熱板(ベースプレート)上に絶縁板が配置され、カソード端子バーとしての機能を兼ね備えたアノード端子バーが、絶縁板上に配置されている。更に、下面にアノード電極を有し、上面の中心部分にゲート電極を有し、そのゲート電極の周りにカソード電極を有するサイリスタチップが、アノード端子バー上に配置されている。
【0005】
また、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載された圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、サイリスタチップのカソード電極上に環状の導電性カソードスペーサ(金属成形体)が配置され、サイリスタチップのゲート電極上にコイルバネ型ゲート電極信号線(コンタクトバネ)が配置されている。更に、環状の導電性カソードスペーサ(金属成形体)とコイルバネ型ゲート電極信号線(コンタクトバネ)とを絶縁するための筒状の絶縁性ゲートスペーサ(絶縁材料スリーブ)が、環状の導電性カソードスペーサ(金属成形体)とコイルバネ型ゲート電極信号線(コンタクトバネ)との間に配置されている。また、導電性カソードスペーサ(金属成形体)上にカソード端子バー(電気接続要素)が配置され、それらが圧接手段(押圧コンタクト装置)によって上下方向に圧接されている。
【0006】
詳細には、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載された圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、ゲート電極信号線(コンタクトバネ)がコイルバネ型に構成されている。そのため、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載された圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、半田を用いる必要なく、サイリスタチップのゲート電極とゲート電極信号線(コンタクトバネ)との電気接続の信頼性を向上させることができる。
【0007】
ところで、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載された圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線の上端に接続されたプラグスリーブが、水平方向に延ばされるのではなく、上下方向に延ばされている。換言すれば、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載された圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線の上端に接続されたプラグスリーブが、導電性カソードスペーサ(金属成形体)の上面よりも上側に引き出されている。詳細には、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載された圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線の上端に接続されたプラグスリーブが、カソード端子バー(電気接続要素)の上面よりも上側に引き出されている。そのため、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載された圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の上下方向寸法が大型化してしまう。
【0008】
【特許文献1】特開2006−114883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記問題点に鑑み、本発明は、半田を用いる必要なく、サイリスタチップのゲート電極とゲート電極信号線との電気接続の信頼性を向上させつつ、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の上下方向寸法を小型化することができる圧接型大電力用サイリスタモジュールを提供することを目的とする。
【0010】
更に、本発明は、コイルバネ型ゲート電極信号線の上端とカソード端子バーとが短絡してしまうおそれを回避し、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の組立性を向上させ、圧接型大電力用サイリスタモジュールの稼動中にサイリスタチップのゲート電極とコイルバネ型ゲート電極信号線との電気接続の信頼性が低下してしまうおそれを低減することができる圧接型大電力用サイリスタモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、絶縁板(11)を放熱板(1)上に配置し、アノード端子バー(12)を絶縁板(11)上に配置し、概略四角形の導電性アノードサブスペーサ(181)と、導電性アノードサブスペーサ(181)を包囲する絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)とを、アノード端子バー(12)上に配置し、下面にアノード電極(113a)を有し、上面の中心部分にゲート電極(113b)を有し、ゲート電極(113b)の周りにカソード電極(113c)を有し、アノードサブスペーサ(181)よりも大きい概略四角形のサイリスタチップ(113)を設け、サイリスタチップ(113)を導電性アノードサブスペーサ(181)および絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)の上に配置し、ゲート電極(113b)に対向する位置に円形の穴(183a)を有し、サイリスタチップ(113)よりも小さい概略四角形の導電性カソードサブスペーサ(183)を設け、導電性カソードサブスペーサ(183)と、導電性カソードサブスペーサ(183)を包囲する絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)とを、サイリスタチップ(113)のカソード電極(113c)および絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)の上に配置し、ゲート電極(113b)に対向する位置に円形の穴(14a)を有する環状の導電性カソードスペーサ(14)を、導電性カソードサブスペーサ(183)および絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)の上に配置し、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)をゲート電極(113b)上に配置し、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)と概略相補形状の円形の穴(316d)と、環状の導電性カソードスペーサ(14)の穴(14a)と嵌合する外周面(316c)とを有する環状の絶縁性第1ゲートスペーサ(316)を設け、環状の絶縁性第1ゲートスペーサ(316)を環状の導電性カソードスペーサ(14)とコイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)との間に配置し、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)の上端を水平方向に延ばすと共に、その水平方向に延ばされた部分(15b)を絶縁被覆し、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)の水平方向に延ばされた部分(15b)の先端側部分(15b1)を、導電性カソードスペーサ(14)の上面に形成された収容溝(14b)内に収容し、環状の導電性カソードスペーサ(14)の穴(14a)と嵌合する外周面(317c)を有する円形の絶縁性第2ゲートスペーサ(317)を、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)および環状の絶縁性第1ゲートスペーサ(316)の上に配置し、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)の上端および水平方向に延ばされた部分(15b)の根元側部分(15b2)を、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の下面(317b)に形成された収容溝(317d)内に収容し、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)の水平方向に延ばされた部分(15b)の根元側部分(15b2)を、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)の上面(316a)と絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の収容溝(317d)の天井面(317d1)とによって狭持し、カソード端子バー(18)を環状の導電性カソードスペーサ(14)および絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の上に配置し、それらを圧接手段(19)によって上下方向に圧接したことを特徴とする圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、概略四角形の導電性アノードサブスペーサ(181)の外周面と嵌合する穴(182a)と、係合突起(182b)とを絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)に設け、概略四角形の導電性カソードサブスペーサ(183)の外周面と嵌合する穴(184a)と、概略四角形のサイリスタチップ(113)の外周面と嵌合する突起(184b)と、絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)の係合突起(182b)と係合する係合穴(184c)とを絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)に設け、導電性アノードサブスペーサ(181)と、絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)と、サイリスタチップ(113)と、導電性カソードサブスペーサ(183)と、絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)とを組み立てた状態でアノード端子バー(12)上に載置したことを特徴とする請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)の上面(316a)に形成された係合突起(316e)または係合穴が圧入される係合穴(317e)または係合突起を絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の下面(317b)に形成し、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)と、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)と、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)とを組み立てた状態で、サイリスタチップ(113)のゲート電極(113b)および環状の導電性カソードスペーサ(14)の収容溝(14b)の上に載置したことを特徴とする請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、アノード端子バー(12)の外周面、絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)の外周面、絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)の外周面、導電性カソードスペーサ(14)の外周面、および、カソード端子バー(18)の外周面と嵌合してそれらの芯出しを行うための嵌合部(51a1,51a2,51a3,51a4)を外囲ケース(51)に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、放熱板(1)に冷却水流路(1a)を形成し、水冷によって放熱板(1)を冷却したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、サイリスタチップ(113)のアノード電極(113a)、ゲート電極(113b)およびカソード電極(113c)を約7〜9μmの厚さでアルミニウム蒸着したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、加圧板(19a)と、2本のネジ(19b)と、皿バネ(19c)と、皿バネ(19c)を芯出しするために皿バネ(19c)の内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材(19d)とによって圧接手段(19)を構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
【0018】
請求項8に記載の発明によれば、概略球状の凸部(19a1a)を有する第1加圧板(19a1)と、凸部(19a1a)と嵌合する概略円錐状の穴(19a2a)を有する第2加圧板(19a2)と、2本のネジ(19b)と、皿バネ(19c)と、皿バネ(19c)を芯出しするために皿バネ(19c)の内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材(19d)とによって圧接手段(19)を構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
【0019】
請求項9に記載の発明によれば、カソード端子バー(18)に電極片(31)を接合し、可撓性のカソード電極信号線(32)の一端を電極片(31)にファストンタブ(33)を介して接続し、カソード電極信号線(32)の他端を他の電極片(62)に接続し、他の電極片(62)を外囲ケース(51)に担持させたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)が設けられている。そのため、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、半田を用いる必要なく、サイリスタチップ(113)のゲート電極(113b)とコイルバネ型ゲート電極信号線(15)との電気接続の信頼性を向上させることができる。
【0021】
また、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)の上端が水平方向に延ばされ、その水平方向に延ばされた部分(15b)が絶縁被覆され、その水平方向に延ばされた部分(15b)を収容するための収容溝(317d,14b)が、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)および環状の導電性カソードスペーサ(14)に形成されている。
【0022】
換言すれば、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)の上端が、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたもののように導電性カソードスペーサの上面よりも上側に引き出されるのではなく、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の収容溝(317d)および環状の導電性カソードスペーサ(14)の収容溝(14b)を介して環状の導電性カソードスペーサ(14)の側方であって環状の導電性カソードスペーサ(14)の上面よりも下側に引き出されている。そのため、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりも、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の上下方向寸法を小型化することができる。
【0023】
更に、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)が、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)とカソード端子バー(18)との間に配置されている。そのため、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)の上端の絶縁被覆されていない部分とカソード端子バー(18)とが短絡してしまうおそれを回避することができる。
【0024】
また、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)および絶縁性第2ゲートスペーサ(317)が環状の絶縁性ゲートスペーサ(14)の穴(14a)と嵌合可能に構成されている。そのため、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)および絶縁性第2ゲートスペーサ(317)が環状の絶縁性ゲートスペーサ(14)の穴(14a)と嵌合可能に構成されていない場合よりも、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)と絶縁性第2ゲートスペーサ(317)と環状の絶縁性ゲートスペーサ(14)との組立性を向上させることができる。
【0025】
更に、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)の水平方向に延ばされた部分(15b)の根元側部分(15b2)が、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)の上面(316a)と絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の収容溝(317d)の天井面(317d1)とによって狭持されている。換言すれば、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)と絶縁性第2ゲートスペーサ(317)とコイルバネ型ゲート電極信号線(15)とが組み立てられると、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)の上面(316a)と絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の収容溝(317d)の天井面(317d1)とによってコイルバネ型ゲート電極信号線(15)の水平方向に延ばされた部分(15b)の根元側部分(15b2)が狭持され、それにより、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)が絶縁性第1ゲートスペーサ(316)および絶縁性第2ゲートスペーサ(317)に対して固定される。
【0026】
そのため、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、圧接型大電力用サイリスタモジュールの稼動中にコイルバネ型ゲート電極信号線(15)が移動するのに伴って、サイリスタチップ(113)のゲート電極(113b)とコイルバネ型ゲート電極信号線(15)との電気接続の信頼性が低下してしまうおそれを低減することができる。
【0027】
更に、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)が絶縁性第1ゲートスペーサ(316)および絶縁性第2ゲートスペーサ(317)に対して固定されていない状態で組み立てられる場合よりも、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)の組立性を向上させることができる。
【0028】
請求項2に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、概略四角形の導電性アノードサブスペーサ(181)の外周面と嵌合する穴(182a)と、係合突起(182b)とが、絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)に設けられている。更に、概略四角形の導電性カソードサブスペーサ(183)の外周面と嵌合する穴(184a)と、概略四角形のサイリスタチップ(113)の外周面と嵌合する突起(184b)と、絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)の係合突起(182b)と係合する係合穴(184c)とが、絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)に設けられている。
【0029】
そのため、請求項2に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、導電性アノードサブスペーサ(181)と、絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)と、サイリスタチップ(113)と、導電性カソードサブスペーサ(183)と、絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)とを組み立てた状態でアノード端子バー(12)上に載置することができ、圧接型大電力用サイリスタモジュールの組立性を向上させることができる。
【0030】
請求項3に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)の上面(316a)に形成された係合突起(316e)または係合穴が圧入される係合穴(317e)または係合突起が、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の下面(317b)に形成されている。
【0031】
そのため、請求項3に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)と、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)と、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)とを組み立てた状態で、サイリスタチップ(113)のゲート電極(113b)および環状の導電性カソードスペーサ(14)の収容溝(14b)の上に載置することができる。
【0032】
更に、請求項3に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)を絶縁性第1ゲートスペーサ(316)に対して水平方向に摺動させることにより絶縁性第2ゲートスペーサ(317)が絶縁性第1ゲートスペーサ(316)に対して係合せしめられる場合よりも、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の収容溝(317d)の天井面(317d1)とコイルバネ型ゲート電極信号線(15)の水平方向に延ばされた部分(15b)の根元側部分(15b2)との摺動抵抗を低減しつつ、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)を絶縁性第1ゲートスペーサ(316)に対して係合させることができ、それにより、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)と絶縁性第1ゲートスペーサ(316)との組立性を向上させることができる。
【0033】
請求項4に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、アノード端子バー(12)の外周面、絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)の外周面、絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)の外周面、導電性カソードスペーサ(14)の外周面、および、カソード端子バー(18)の外周面と嵌合してそれらの芯出しを行うための嵌合部(51a1,51a2,51a3,51a4)が、外囲ケース(51)に設けられている。
【0034】
そのため、請求項4に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、アノード端子バー(12)、絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)、絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)、導電性カソードスペーサ(14)、および、カソード端子バー(18)の芯出しを容易に行うことができる。
【0035】
請求項5に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、冷却水流路(1a)が放熱板(1)に形成され、放熱板(1)が水冷によって冷却される。そのため、請求項5に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、放熱板(1)が空冷によって冷却される場合よりも、放熱板(1)の冷却効率を向上させることができる。
【0036】
請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、サイリスタチップ(113)のアノード電極(113a)、ゲート電極(113b)およびカソード電極(113c)が、約7〜9μmの厚さでアルミニウム蒸着されている。そのため、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、サイリスタチップ(113)のアノード電極(113a)、ゲート電極(113b)およびカソード電極(113c)が、約1μmの厚さで金蒸着されている場合よりも、サイリスタチップ(113)のアノード電極(113a)、ゲート電極(113b)およびカソード電極(113c)の擦れに対する耐久性を向上させ、電気接続の信頼性を向上させることができる。
【0037】
請求項7に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、加圧板(19a)と、2本のネジ(19b)と、皿バネ(19c)と、皿バネ(19c)を芯出しするために皿バネ(19c)の内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材(19d)とによって圧接手段(19)が構成されている。
【0038】
詳細には、請求項7に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりもネジ(19b)の本数を削減する代わりに、皿バネ(19c)によって圧接力が補われている。更に、ネジ(19b)と皿バネ(19c)とを嵌合させるのではなく、ネジ(19b)とは別個に設けられた絶縁性芯出し部材(19d)によって皿バネ(19c)の芯出しを行うことにより、サイリスタチップ(113)に均一に圧接力がかけられている。
【0039】
そのため、請求項7に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりもネジ(19b)の本数を削減することにより、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の幅方向寸法および奥行き寸法を小型化しつつ、サイリスタチップ(113)に均一な圧接力をかけることができる。
【0040】
請求項8に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、概略球状の凸部(19a1a)を有する第1加圧板(19a1)と、凸部(19a1a)と嵌合する概略円錐状の穴(19a2a)を有する第2加圧板(19a2)と、2本のネジ(19b)と、皿バネ(19c)と、皿バネ(19c)を芯出しするために皿バネ(19c)の内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材(19d)とによって圧接手段(19)が構成されている。
【0041】
詳細には、請求項8に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりもネジ(19b)の本数を削減する代わりに、皿バネ(19c)によって圧接力が補われている。更に、ネジ(19b)と皿バネ(19c)とを嵌合させるのではなく、ネジ(19b)とは別個に設けられた絶縁性芯出し部材(19d)によって皿バネ(19c)の芯出しを行うことにより、サイリスタチップ(113)に均一に圧接力がかけられている。
【0042】
そのため、請求項8に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりもネジ(19b)の本数を削減することにより、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の幅方向寸法および奥行き寸法を小型化しつつ、サイリスタチップ(113)に均一な圧接力をかけることができる。
【0043】
更に、請求項8に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第1加圧板(19a1)の概略球状の凸部(19a1a)と、第2加圧板(19a2)の概略円錐状の穴(19a2a)とが嵌合せしめられている。そのため、請求項8に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、例えば2本のネジ(19b)の締め付け量が異なるのに伴って、第1加圧板(19a1)が第2加圧板(19a2)に対して平行にならない場合であっても、第2加圧板(19a2)に真っ直ぐ下向きの力を加えることができる。
【0044】
請求項9に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、電極片(31)がカソード端子バー(18)に接合され、可撓性のカソード電極信号線(32)の一端がファストンタブ(33)を介して電極片(31)に接続され、カソード電極信号線(32)の他端が他の電極片(62)に接続され、他の電極片(62)が外囲ケース(51)に担持せしめられている。
【0045】
つまり、請求項9に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、カソード電極信号線(32)の一端のファストンタブ(33)を接続するための電極片(31)が、カソード端子バー(18)に設けられている。詳細には、請求項9に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、汎用品のファストンタブ(33)を接続可能な電極片(31)が、カソード端子バー(18)に設けられている。
【0046】
そのため、請求項9に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、カソード電極信号線(32)の一端のファストンタブ(33)を接続するための電極片(31)がカソード端子バー(18)に設けられていない特開2006−114883号公報の図5に記載されたものとは異なり、汎用品のファストンタブ(33)を用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の圧接型大電力用サイリスタモジュールの第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの分解斜視図である。
【0048】
図1において、1は例えば銅製の放熱板を示しており、1aは放熱板1に形成された冷却水流路を示している。11,21は放熱板1上に配置された絶縁板を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1に示すように、絶縁板11,21として同一の部品が用いられている。
【0049】
また、図1において、12はアノード端子バーとしての機能とカソード端子バーとしての機能とを兼ね備えたコモンバーを示しており、22はアノード端子バーを示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1に示すように、コモンバー12が絶縁板11,21上に配置されている。
【0050】
更に、図1において、113,123は概略四角形のサイリスタチップを示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、サイリスタチップ113,123として同一の部品が用いられている。
【0051】
図2はサイリスタチップ113,123の詳細図である。詳細には、図2(A)はサイリスタチップ113,123の平面図、図2(B)はサイリスタチップ113,123の断面図、図2(C)はサイリスタチップ113,123の裏面図である。図2において、113a,123aはサイリスタチップ113,123の一方の面に形成されたアノード電極を示している。113b,123bはサイリスタチップ113,123の他方の面の中心部分に形成されたゲート電極を示している。113c,123cはゲート電極113b,123bの周りに形成されたカソード電極を示している。
【0052】
また、図1において、181,191はサイリスタチップ113,123よりも小さい概略四角形の導電性アノードサブスペーサを示しており、182,192は導電性アノードサブスペーサ181,191を包囲する絶縁性アノードサブスペーサホルダを示している。183,193はサイリスタチップ113,123よりも小さい概略四角形の導電性カソードサブスペーサを示している。184,194は導電性カソードサブスペーサ183,193を包囲する絶縁性カソードサブスペーサホルダを示している。
【0053】
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、導電性アノードサブスペーサ181,191として同一の部品が用いられており、絶縁性アノードサブスペーサホルダ182,192として同一の部品が用いられており、導電性カソードサブスペーサ183,193として同一の部品が用いられており、絶縁性カソードサブスペーサホルダ184,194として同一の部品が用いられている。
【0054】
図3は導電性アノードサブスペーサ181,191の部品図である。詳細には、図3(A)は導電性アノードサブスペーサ181,191の平面図、図3(B)は導電性アノードサブスペーサ181,191の断面図である。また、図4は導電性カソードサブスペーサ183,193の部品図である。詳細には、図4(A)は導電性カソードサブスペーサ183,193の平面図、図4(B)は導電性カソードサブスペーサ183,193の断面図である。図4において、183a,193aはサイリスタチップ113,123のゲート電極113b,123b(図2参照)に対向する位置に形成された円形の穴を示している。
【0055】
図5はサイリスタチップ113,123と導電性アノードサブスペーサ181,191と導電性カソードサブスペーサ183,193との関係を示した図である。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図5に示すように、導電性アノードサブスペーサ181,191の側(図5の下側)に突出しているサイリスタチップ113,123の外縁部のガラス部分(図5中のベタ黒部分)と導電性アノードサブスペーサ181,191とが干渉しないように、導電性アノードサブスペーサ181,191の幅寸法および奥行き寸法がサイリスタチップ113,123の幅寸法および奥行き寸法よりも小さくされている。また、導電性カソードサブスペーサ183,193の側(図5の上側)に突出しているサイリスタチップ113,123の外縁部のガラス部分(図5中のベタ黒部分)と導電性カソードサブスペーサ183,193とが干渉しないように、導電性カソードサブスペーサ183,193の幅寸法および奥行き寸法がサイリスタチップ113,123の幅寸法および奥行き寸法よりも小さくされている。
【0056】
図6は絶縁性アノードサブスペーサホルダ182(192)の部品図である。詳細には、図6(A)は絶縁性アノードサブスペーサホルダ182(192)の平面図、図6(B)は絶縁性アノードサブスペーサホルダ182(192)の正面図、図6(C)は絶縁性アノードサブスペーサホルダ182(192)の底面図である。図6において、182aは導電性アノードサブスペーサ181の外周面と嵌合するために導電性アノードサブスペーサ181と相補形状に形成された穴を示している。182bは絶縁性カソードサブスペーサホルダ184に対して絶縁性アノードサブスペーサホルダ182を位置決めするための係合突起を示している。182cは絶縁性アノードサブスペーサホルダ182のコーナー部を示しており、182c1は絶縁性アノードサブスペーサホルダ182のコーナー部182cに形成された壁部を示している。182dは絶縁性アノードサブスペーサホルダ182の円弧状部を示している。
【0057】
図7は絶縁性カソードサブスペーサホルダ184(194)の部品図である。詳細には、図7(A)は絶縁性カソードサブスペーサホルダ184(194)の平面図、図7(B)は絶縁性カソードサブスペーサホルダ184(194)の正面図、図7(C)は絶縁性カソードサブスペーサホルダ184(194)の底面図である。図7において、184aは導電性カソードサブスペーサ183の外周面と嵌合するために導電性カソードサブスペーサ183と相補形状に形成された穴を示している。184bは概略四角形のサイリスタチップ113の外周面と嵌合するための位置決め用突起を示している。184cは絶縁性アノードサブスペーサホルダ182の係合突起182bと係合するための係合穴を示している。184dは絶縁性アノードサブスペーサホルダ182のコーナー部182cの壁部182c1と嵌合せしめられる絶縁性カソードサブスペーサホルダ184のコーナー部を示している。184eは絶縁性カソードサブスペーサホルダ184の円弧状部を示している。
【0058】
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図3および図6に示すように、絶縁性アノードサブスペーサホルダ182の穴182aに対して導電性アノードサブスペーサ181の外周面を嵌合させることにより、導電性アノードサブスペーサ181が絶縁性アノードサブスペーサホルダ182に対して水平方向に位置決めされる。
【0059】
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図4および図7に示すように、絶縁性カソードサブスペーサホルダ184の穴184aに対して導電性カソードサブスペーサ183の外周面を嵌合させることにより、導電性カソードサブスペーサ183が絶縁性カソードサブスペーサホルダ184に対して水平方向に位置決めされる。
【0060】
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図2および図7に示すように、絶縁性カソードサブスペーサホルダ184の突起184bに対してサイリスタチップ113の外周面を嵌合させることにより、サイリスタチップ113が絶縁性カソードサブスペーサホルダ184に対して水平方向に位置決めされる。
【0061】
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図6および図7に示すように、絶縁性アノードサブスペーサホルダ182の係合突起182bと絶縁性カソードサブスペーサホルダ184の係合穴184cとを嵌合させることにより、絶縁性カソードサブスペーサホルダ184が絶縁性アノードサブスペーサホルダ182に対して水平方向に位置決めされる。
【0062】
つまり、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1に示すように、導電性アノードサブスペーサ181と、絶縁性アノードサブスペーサホルダ182と、サイリスタチップ113と、導電性カソードサブスペーサ183と、絶縁性カソードサブスペーサホルダ184とが、水平方向に相互に位置決めされ、組み立てられた状態でコモンバー12上に載置される。
【0063】
その結果、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図2および図5に示すように、導電性アノードサブスペーサ181と絶縁性アノードサブスペーサホルダ182とがコモンバー12上に配置され、サイリスタチップ113が導電性アノードサブスペーサ181および絶縁性アノードサブスペーサホルダ182の上に配置されている。また、導電性カソードサブスペーサ183と絶縁性カソードサブスペーサホルダ184とがサイリスタチップ113のカソード電極113cおよび絶縁性アノードサブスペーサホルダ182の上に配置されている。その結果、サイリスタチップ113のアノード電極113aが、導電性アノードサブスペーサ181を介してコモンバー12に電気的に接続されている。
【0064】
また、図1において、14,24は環状の導電性カソードスペーサを示しており、18はカソード端子バーを示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、導電性カソードスペーサ14,24として同一の部品が用いられている。
【0065】
図8は導電性カソードスペーサ14(24)の部品図である。詳細には、図8(A)は導電性カソードスペーサ14(24)の平面図、図8(B)は図8(A)のA−A線に沿った断面図である。14aはサイリスタチップ113のゲート電極113b(図2参照)および導電性カソードサブスペーサ183の穴183a(図4参照)に対向する位置に形成された円形の穴を示している。14bは導電性カソードスペーサ14の穴14aから外周面まで延びるように、導電性カソードスペーサ14の上面(図8(B)の上側の面)に形成された収容溝を示している。
【0066】
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図8に示すように、導電性カソードスペーサ14の表面のうち、収容溝14aが形成されていない面(図1および図8(B)の下側の面)が導電性カソードサブスペーサ183と対向するように、導電性カソードスペーサ14が導電性カソードサブスペーサ183および絶縁性カソードサブスペーサホルダ184の上に載置される。
【0067】
更に、図1において、316,317,326,327は絶縁性ゲートスペーサを示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性ゲートスペーサ316,326として同一の部品が用いられており、絶縁性ゲートスペーサ317,327として同一の部品が用いられている。
【0068】
図9は絶縁性ゲートスペーサ316,317(326,327)等の詳細図である。詳細には、図9(A)は絶縁性ゲートスペーサ316,317(326,327)の斜視図、図9(B)は絶縁性ゲートスペーサ316,317(326,327)の断面図、図9(C)はコイルバネ型ゲート電極信号線15を示した図である。
【0069】
図9において、316aは絶縁性ゲートスペーサ316の上面を示しており、316bは絶縁性ゲートスペーサ316の下面を示しており、316cは絶縁性ゲートスペーサ316の外周面を示している。316dはコイルバネ型ゲート電極信号線15のコイル部分15aと概略相補形状の円形の穴を示しており、316eは絶縁性ゲートスペーサ316の上面316aに形成された係合突起を示している。317aは絶縁性ゲートスペーサ317の上面を示しており、317bは絶縁性ゲートスペーサ317の下面を示しており、317cは絶縁性ゲートスペーサ317の外周面を示している。317dは絶縁性ゲートスペーサ317の下面317bに形成された収容溝を示しており、317d1は収容溝317dの天井面を示している。317eは絶縁性ゲートスペーサ316の係合突起316eと係合するために絶縁性ゲートスペーサ317の下面317bに形成された係合穴を示している。15bはコイルバネ型ゲート電極信号線15のコイル部分15aの上端から水平方向に延ばされた部分を示しており、15b1は水平方向に延ばされた部分15bの先端側部分を示しており、15b2は水平方向に延ばされた部分15bの根元側部分を示している。
【0070】
図10は絶縁性ゲートスペーサ316,317(326,327)とコイルバネ型ゲート電極信号線15との組立体を示した図である。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図9および図10に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線15の水平方向に延ばされた部分15bが絶縁チューブによって被覆されている。更に、コイルバネ型ゲート電極信号線15のコイル部分15aが絶縁性ゲートスペーサ316の穴316dに挿入され、次いで、コイルバネ型ゲート電極信号線15のコイル部分15aの上端および水平方向に延ばされた部分15bの根元側部分15b2が絶縁性ゲートスペーサ317の収容溝317d内に収容されるように、絶縁性ゲートスペーサ316の係合突起316eが絶縁性ゲートスペーサ317の係合穴317eに圧入される。
【0071】
詳細には、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図9および図10に示すように、絶縁性ゲートスペーサ316の係合突起316eが絶縁性ゲートスペーサ317の係合穴317eに圧入されると、コイルバネ型ゲート電極信号線15の水平方向に延ばされた部分15bの根元側部分15b2が、絶縁性ゲートスペーサ316の上面316aと絶縁性ゲートスペーサ317の収容溝317dの天井面317d1とによって狭持され、押し潰される。
【0072】
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図8および図10に示すように、絶縁性ゲートスペーサ316の外周面316cおよび絶縁性ゲートスペーサ317の外周面317cが環状の導電性カソードスペーサ14の穴14aと嵌合せしめられ、コイルバネ型ゲート電極信号線15の水平方向に延ばされた部分15bの先端側部分15b1が導電性カソードスペーサ14の収容溝14b内に収容されるように、絶縁性ゲートスペーサ316,317とコイルバネ型ゲート電極信号線15との組立体が導電性カソードスペーサ14上に載置される。更に、カソード端子バー18が導電性カソードスペーサ14および絶縁性ゲートスペーサ317の上に載置される。
【0073】
図11はカソード端子バー18が導電性カソードスペーサ14および絶縁性ゲートスペーサ317の上に載置された状態を示した図である。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図2および図11に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線15のコイル部分15aがサイリスタチップ113のゲート電極113b上に配置されている。その結果、コイルバネ型ゲート電極信号線15とサイリスタチップ113のゲート電極113bとが電気的に接続されている。また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図2および図11に示すように、カソード端子バー18とサイリスタチップ113のカソード電極113cとが、導電性カソードサブスペーサ183および導電性カソードスペーサ14を介して電気的に接続されている。
【0074】
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図2および図11に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線15のコイル部分15aと導電性カソードスペーサ14(24)との間に絶縁性ゲートスペーサ316,317(326,327)が配置されている。また、コイルバネ型ゲート電極信号線15のコイル部分15aとカソード端子バー18(コモンバー12)との間に絶縁性ゲートスペーサ317(327)が配置されている。更に、導電性カソードスペーサ14の収容溝14b内に収容されているコイルバネ型ゲート電極信号線15の水平方向に延ばされた部分15bが絶縁チューブによって被覆されている。その結果、コイルバネ型ゲート電極信号線15と導電性カソードスペーサ14(24)およびカソード端子バー18(コモンバー12)とが絶縁されている。
【0075】
図12は導電性カソードサブスペーサ183、絶縁性カソードサブスペーサホルダ184等を芯出しする方法を示した図である。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図12に示すように、導電性カソードサブスペーサ183、絶縁性カソードサブスペーサホルダ184等を芯出しするための嵌合部51a,51b,51c,51dが外囲ケース51に設けられている。更に、絶縁性カソードサブスペーサホルダ184等の周方向の位置決めを行うための切り欠き部51e,51fが嵌合部51aと嵌合部51bとの間および嵌合部51cと嵌合部51dとの間に設けられている。
【0076】
詳細には、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図12に示すように、コモンバー12が絶縁板11上に載置されると、コモンバー12の円弧状部の外周面が嵌合部51a,51b,51c,51dと嵌合せしめられる。また、導電性アノードサブスペーサ181と絶縁性アノードサブスペーサホルダ182とサイリスタチップ113と導電性カソードサブスペーサ183と絶縁性カソードサブスペーサホルダ184との組立体がコモンバー12上に載置されると、絶縁性アノードサブスペーサホルダ182の円弧状部182dの外周面と、絶縁性カソードサブスペーサホルダ184の円弧状部184eの外周面とが、嵌合部51a,51b,51c,51dと嵌合せしめられ、その組立体の芯出しが行われる。また、絶縁性アノードサブスペーサホルダ182のコーナー部182cと、絶縁性カソードサブスペーサホルダ184のコーナー部184dとが、切り欠き部51e,51fと嵌合せしめられ、その組立体の周方向の位置決めが行われる。
【0077】
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図12に示すように、導電性カソードスペーサ14が導電性カソードサブスペーサ183上に載置されると、導電性カソードスペーサ14の外周面が嵌合部51a,51b,51c,51dと嵌合せしめられ、導電性カソードスペーサ14の芯出しが行われる。また、カソード端子バー18が導電性カソードスペーサ14上に載置されると、カソード端子バー18の円弧状部の外周面が嵌合部51a,51b,51c,51dと嵌合せしめられ、カソード端子バー18の芯出しが行われる。
【0078】
更に、図1において、52は蓋体を示しており、31は例えば潰し加工、ビーム溶接等によってカソード端子バー18に接合された電極片を示しており、62は外囲ケース51に担持せしめられている電極片を示している。
【0079】
図13は電極片31と電極片62とを電気接続する手段を示した図である。詳細には、図13(A)は電極片31と電極片62とを電気接続する手段を概略的に示した図、図13(B)は図13(A)の一部の拡大図である。図13において、32は絶縁チューブによって被覆された可撓性のカソード電極信号線を示している。33はカソード電極信号線32と電極片31(図1参照)とを電気接続するためのファストンタブを示している。
【0080】
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図13に示すように、例えば半田によってカソード電極信号線32と電極片62とが接合されている。また、例えばかしめによってカソード電極信号線32とファストンタブ33とが接合され、かしめられた部分が、例えば熱収縮タイプの絶縁チューブによって被覆されている。更に、ファストンタブ33を電極片31(図1参照)と嵌合させることにより、ファストンタブ33と電極片31とが電気接続されている。
【0081】
また、図1において、19は放熱板1と絶縁板11とコモンバー12と導電性アノードサブスペーサ181とサイリスタチップ113と導電性カソードサブスペーサ183と導電性カソードスペーサ14とカソード端子バー18とを上下方向に圧接するための圧接手段を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1に示すように、加圧板19aと、2本のネジ19bと、2個の皿バネ19cと、皿バネ19cを芯出しするために皿バネ19cの内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材19dとによって、圧接手段19が構成されている。
【0082】
詳細には、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図12に示すように、絶縁性芯出し部材19dがカソード端子バー18上に載置されると、絶縁性芯出し部材19dの外周面が嵌合部51a,51b,51c,51dと嵌合せしめられ、絶縁性芯出し部材19dの芯出しが行われる。また、加圧板19aが皿バネ19c上に載置されると、加圧板19aの円弧状部の外周面が嵌合部51b,51dと嵌合せしめられ、加圧板19aの芯出しが行われる。
【0083】
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図2に示すように、サイリスタチップ113,123のアノード電極113a,123a、ゲート電極113b,123bおよびカソード電極113c,123cが約7〜9μmの厚さでアルミニウム蒸着されている。
【0084】
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図9に示すように、絶縁性ゲートスペーサ316に係合突起316eが形成され、絶縁性ゲートスペーサ317に係合穴317eが形成されているが、第2の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、代わりに、絶縁性ゲートスペーサ316に係合穴を形成し、絶縁性ゲートスペーサ317に係合突起を形成することも可能である。
【0085】
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図10に示すように、導電性カソードサブスペーサ183上に載置されている導電性カソードスペーサ14の上に、コイルバネ型ゲート電極信号線15と絶縁性ゲートスペーサ316,317との組立体(図10参照)が載置されるが、第3の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、代わりに、コイルバネ型ゲート電極信号線15と絶縁性ゲートスペーサ316,317との組立体(図10参照)を導電性カソードスペーサ14上に予め載置し、それらを導電性カソードサブスペーサ183上に載置することも可能である。
【0086】
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図10に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線15と絶縁性ゲートスペーサ316,317との組立体(図10参照)と同様に構成されたコイルバネ型ゲート電極信号線15と絶縁性ゲートスペーサ326,327との組立体が、導電性カソードスペーサ24の下側(図1の下側)から嵌合せしめられ、それらがコモンバー12上に載置される。また、導電性カソードサブスペーサ193と絶縁性カソードサブスペーサホルダ194とサイリスタチップ123と導電性アノードサブスペーサ191と絶縁性アノードサブスペーサホルダ192との組立体が導電性カソードスペーサ24上に載置される。また、アノード端子バー22が導電性アノードサブスペーサ191および絶縁性アノードサブスペーサホルダ192上に載置される。
【0087】
図1において、29は放熱板1と絶縁板21とコモンバー12と導電性カソードスペーサ24と導電性カソードサブスペーサ193とサイリスタチップ123と導電性アノードサブスペーサ191とアノード端子バー22とを上下方向に圧接するための圧接手段を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1に示すように、加圧板29aと、2本のネジ29bと、2個の皿バネ29cと、皿バネ29cを芯出しするために皿バネ29cの内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材29dとによって、圧接手段29が構成されている。更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、加圧板19a,29aとして同一の部品が用いられ、ネジ19b,29bとして同一の部品が用いられ、皿バネ19c,29cとして同一の部品が用いられ、絶縁性芯出し部材19d,29dとして同一の部品が用いられている。
【0088】
また、図1において、34は外囲ケース51に担持せしめられている電極片を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、サイリスタチップ113のゲート電極113b(図2参照)に電気接続されているコイルバネ型ゲート電極信号線15の上端の水平方向に延ばされた部分15bの端部(図9(C)の左端)が、可撓性のゲート電極信号線(図示せず)を介して電極片34に電気接続されている。
【0089】
更に、図1において、41は例えば潰し加工、ビーム溶接等によってコモンバー12に接合された電極片を示しており、44は外囲ケース51に担持せしめられている電極片を示している。
【0090】
図14は電極片41と電極片44とを電気接続する手段を示した図である。詳細には、図14(A)は電極片41と電極片44とを電気接続する手段を概略的に示した図、図14(B)は図14(A)の一部の拡大図である。図14において、42は絶縁チューブによって被覆された可撓性のカソード電極信号線を示している。43はカソード電極信号線42と電極片41(図1参照)とを電気接続するためのファストンタブを示している。
【0091】
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図14に示すように、例えば半田によってカソード電極信号線42と電極片44とが接合されている。また、例えばかしめによってカソード電極信号線42とファストンタブ43とが接合され、かしめられた部分が、例えば熱収縮タイプの絶縁チューブによって被覆されている。更に、ファストンタブ43を電極片41(図1参照)と嵌合させることにより、ファストンタブ43と電極片41とが電気接続されている。
【0092】
また、図1において、72は外囲ケース51に担持せしめられている電極片を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、サイリスタチップ123のゲート電極123b(図2参照)に電気接続されているコイルバネ型ゲート電極信号線15の水平方向に延ばされた部分15bの端部(図9(C)の左端)が、可撓性のゲート電極信号線(図示せず)を介して電極片72に電気接続されている。
【0093】
図15は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの外観図である。詳細には、図15(A)は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの平面図、図15(B)は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの正面図、図15(C)は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの右側面図である。
【0094】
図16は放熱板1の水平断面図である。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図16に示すように、放熱板1に冷却水流路1aが形成され、水冷によって放熱板1が冷却される。詳細には、サイリスタチップ113,123の真下の位置に冷却水流路1aが形成されている。第4の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、代わりに、冷却水流路1aを省略することも可能である。
【0095】
図17は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの等価回路図である。図17中の「K1/A2」が図1中のコモンバー12に相当し、図17中の「K2」が図1中のカソード端子バー18に相当し、図17中の「G2」が図1中の電極片34に相当し、図17中の「K2」が図1中の電極片62に相当している。また、図17中の「A1」が図1中のアノード端子バー22に相当し、図17中の「G1」が図1中の電極片72に相当し、図17中の「K1」が図1中の電極片44に相当している。
【0096】
第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、サイリスタチップ123の代わりにダイオードチップを用い、コイルバネ型ゲート電極信号線15と絶縁性ゲートスペーサ326,327との組立体を省略することも可能である。
【0097】
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1に示すように、2本のネジ19bが圧接手段19に設けられ、2本のネジ29bが圧接手段29に設けられているが、第6の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、代わりに、3本以上のネジ19bを圧接手段19に設け、3本以上のネジ29bを圧接手段29に設けることも可能である。
【0098】
図18は第7の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの圧接手段19の分解斜視図である。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1に示すように、加圧板19aと、2本のネジ19bと、2個の皿バネ19cと、皿バネ19cを芯出しするために皿バネ19cの内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材19dとによって、圧接手段19が構成されているが、第7の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図18に示すように、概略球状の凸部19a1aを有する第1加圧板19a1と、凸部19a1aと嵌合する概略円錐状の穴19a2aを有する第2加圧板19a2と、2本のネジ19bと、皿バネ19cと、皿バネ19cを芯出しするために皿バネ19cの内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材19dとによって圧接手段19が構成されている。
【0099】
つまり、第7の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図18に示すように、第1加圧板19a1の概略球状の凸部19a1aと、第2加圧板19a2の概略円錐状の穴19a2aとが嵌合せしめられている。そのため、第7の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、例えば2本のネジ19bの締め付け量が異なるのに伴って、第1加圧板19a1が第2加圧板19a2に対して平行にならない場合であっても、第2加圧板19a2に真っ直ぐ下向きの力を加えることができる。
【0100】
詳細には、第7の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図12および図18に示すように、絶縁性芯出し部材19dがカソード端子バー18(図1参照)上に載置されると、絶縁性芯出し部材19dの外周面が嵌合部51a,51b,51c,51dと嵌合せしめられ、絶縁性芯出し部材19dの芯出しが行われる。また、第2加圧板19a2が皿バネ19c上に載置されると、第2加圧板19a2の円弧状部の外周面が嵌合部51b,51dと嵌合せしめられ、第2加圧板19a2の芯出しが行われる。更に、第1加圧板19a1が第2加圧板19a2上に載置されると、第1加圧板19a1の概略球状の凸部19a1aと第2加圧板19a2の概略円錐状の穴19a2aとが嵌合せしめられ、第1加圧板19a1の芯出しが行われる。
【0101】
第8の実施形態では、第1から第7の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の圧接型大電力用サイリスタモジュールは、大電流の通電・遮断が繰り返される例えば溶接機のような装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの分解斜視図である。
【図2】サイリスタチップ113,123の詳細図である。
【図3】導電性アノードサブスペーサ181,191の部品図である。
【図4】導電性カソードサブスペーサ183,193の部品図である。
【図5】サイリスタチップ113,123と導電性アノードサブスペーサ181,191と導電性カソードサブスペーサ183,193との関係を示した図である。
【図6】絶縁性アノードサブスペーサホルダ182(192)の部品図である。
【図7】絶縁性カソードサブスペーサホルダ184(194)の部品図である。
【図8】導電性カソードスペーサ14(24)の部品図である。
【図9】絶縁性ゲートスペーサ316,317(326,327)等の詳細図である。
【図10】絶縁性ゲートスペーサ316,317(326,327)とコイルバネ型ゲート電極信号線15との組立体を示した図である。
【図11】カソード端子バー18が導電性カソードスペーサ14および絶縁性ゲートスペーサ317の上に載置された状態を示した図である。
【図12】導電性カソードサブスペーサ183、絶縁性カソードサブスペーサホルダ184等を芯出しする方法を示した図である。
【図13】電極片31と電極片34とを電気接続する手段を示した図である。
【図14】電極片41と電極片44とを電気接続する手段を示した図である。
【図15】第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの外観図である。
【図16】放熱板1の水平断面図である。
【図17】第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの等価回路図である。
【図18】第7の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの圧接手段19の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0104】
1 放熱板
11,21 絶縁板
12 コモンバー
14,24 導電性カソードスペーサ
14a 穴
14b 収容溝
15 コイルバネ型ゲート電極信号線
15a コイル部分
15b 水平に延ばされた部分
15b1 先端側部分
15b2 根元側部分
18 カソード端子バー
19,29 圧接手段
19a,29a 加圧板
19b,29b ネジ
19c,29c 皿バネ
19d,29d 絶縁性芯出し部材
22 アノード端子バー
31,34,41,44,62,72 電極片
51 外囲ケース
52 蓋体
113,123 サイリスタチップ
113a,123a アノード電極
113b,123b ゲート電極
113c,123c カソード電極
181,191 アノードサブスペーサ
182,192 アノードサブスペーサホルダ
183,193 カソードサブスペーサ
183a 穴
184,194 カソードサブスペーサホルダ
316,326 ゲートスペーサ
316c 外周面
316d 穴
317,327 ゲートスペーサ
317b 下面
317c 外周面
317d 収容溝
317d1 天井面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁板(11)を放熱板(1)上に配置し、
アノード端子バー(12)を絶縁板(11)上に配置し、
概略四角形の導電性アノードサブスペーサ(181)と、導電性アノードサブスペーサ(181)を包囲する絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)とを、アノード端子バー(12)上に配置し、
下面にアノード電極(113a)を有し、上面の中心部分にゲート電極(113b)を有し、ゲート電極(113b)の周りにカソード電極(113c)を有し、アノードサブスペーサ(181)よりも大きい概略四角形のサイリスタチップ(113)を設け、
サイリスタチップ(113)を導電性アノードサブスペーサ(181)および絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)の上に配置し、
ゲート電極(113b)に対向する位置に円形の穴(183a)を有し、サイリスタチップ(113)よりも小さい概略四角形の導電性カソードサブスペーサ(183)を設け、
導電性カソードサブスペーサ(183)と、導電性カソードサブスペーサ(183)を包囲する絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)とを、サイリスタチップ(113)のカソード電極(113c)および絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)の上に配置し、
ゲート電極(113b)に対向する位置に円形の穴(14a)を有する環状の導電性カソードスペーサ(14)を、導電性カソードサブスペーサ(183)および絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)の上に配置し、
コイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)をゲート電極(113b)上に配置し、
コイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)と概略相補形状の円形の穴(316d)と、環状の導電性カソードスペーサ(14)の穴(14a)と嵌合する外周面(316c)とを有する環状の絶縁性第1ゲートスペーサ(316)を設け、
環状の絶縁性第1ゲートスペーサ(316)を環状の導電性カソードスペーサ(14)とコイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)との間に配置し、
コイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)の上端を水平方向に延ばすと共に、その水平方向に延ばされた部分(15b)を絶縁被覆し、
コイルバネ型ゲート電極信号線(15)の水平方向に延ばされた部分(15b)の先端側部分(15b1)を、導電性カソードスペーサ(14)の上面に形成された収容溝(14b)内に収容し、
環状の導電性カソードスペーサ(14)の穴(14a)と嵌合する外周面(317c)を有する円形の絶縁性第2ゲートスペーサ(317)を、コイルバネ型ゲート電極信号線(15)および環状の絶縁性第1ゲートスペーサ(316)の上に配置し、
コイルバネ型ゲート電極信号線(15)のコイル部分(15a)の上端および水平方向に延ばされた部分(15b)の根元側部分(15b2)を、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の下面(317b)に形成された収容溝(317d)内に収容し、
コイルバネ型ゲート電極信号線(15)の水平方向に延ばされた部分(15b)の根元側部分(15b2)を、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)の上面(316a)と絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の収容溝(317d)の天井面(317d1)とによって狭持し、
カソード端子バー(18)を環状の導電性カソードスペーサ(14)および絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の上に配置し、
それらを圧接手段(19)によって上下方向に圧接したことを特徴とする圧接型大電力用サイリスタモジュール。
【請求項2】
概略四角形の導電性アノードサブスペーサ(181)の外周面と嵌合する穴(182a)と、係合突起(182b)とを絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)に設け、
概略四角形の導電性カソードサブスペーサ(183)の外周面と嵌合する穴(184a)と、概略四角形のサイリスタチップ(113)の外周面と嵌合する突起(184b)と、絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)の係合突起(182b)と係合する係合穴(184c)とを絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)に設け、
導電性アノードサブスペーサ(181)と、絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)と、サイリスタチップ(113)と、導電性カソードサブスペーサ(183)と、絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)とを組み立てた状態でアノード端子バー(12)上に載置したことを特徴とする請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュール。
【請求項3】
絶縁性第1ゲートスペーサ(316)の上面(316a)に形成された係合突起(316e)または係合穴が圧入される係合穴(317e)または係合突起を絶縁性第2ゲートスペーサ(317)の下面(317b)に形成し、
コイルバネ型ゲート電極信号線(15)と、絶縁性第1ゲートスペーサ(316)と、絶縁性第2ゲートスペーサ(317)とを組み立てた状態で、サイリスタチップ(113)のゲート電極(113b)および環状の導電性カソードスペーサ(14)の収容溝(14b)の上に載置したことを特徴とする請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュール。
【請求項4】
アノード端子バー(12)の外周面、絶縁性アノードサブスペーサホルダ(182)の外周面、絶縁性カソードサブスペーサホルダ(184)の外周面、導電性カソードスペーサ(14)の外周面、および、カソード端子バー(18)の外周面と嵌合してそれらの芯出しを行うための嵌合部(51a1,51a2,51a3,51a4)を外囲ケース(51)に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュール。
【請求項5】
放熱板(1)に冷却水流路(1a)を形成し、水冷によって放熱板(1)を冷却したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュール。
【請求項6】
サイリスタチップ(113)のアノード電極(113a)、ゲート電極(113b)およびカソード電極(113c)を約7〜9μmの厚さでアルミニウム蒸着したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュール。
【請求項7】
加圧板(19a)と、2本のネジ(19b)と、皿バネ(19c)と、皿バネ(19c)を芯出しするために皿バネ(19c)の内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材(19d)とによって圧接手段(19)を構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュール。
【請求項8】
概略球状の凸部(19a1a)を有する第1加圧板(19a1)と、凸部(19a1a)と嵌合する概略円錐状の穴(19a2a)を有する第2加圧板(19a2)と、2本のネジ(19b)と、皿バネ(19c)と、皿バネ(19c)を芯出しするために皿バネ(19c)の内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材(19d)とによって圧接手段(19)を構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュール。
【請求項9】
カソード端子バー(18)に電極片(31)を接合し、可撓性のカソード電極信号線(32)の一端を電極片(31)にファストンタブ(33)を介して接続し、カソード電極信号線(32)の他端を他の電極片(62)に接続し、他の電極片(62)を外囲ケース(51)に担持させたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−182152(P2009−182152A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19804(P2008−19804)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000227928)日本インター株式会社 (67)
【Fターム(参考)】