説明

圧縮空気貯蔵発電システム及び圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法

本発明は、圧縮空気貯蔵発電システム及び圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法に関するものであり、より詳細には、深夜電気及び余剰に生産された電気を利用して地中に埋設された貯蔵タンクに高圧の空気を注入し、電力消費量が多い時間には、タンク内の高圧の空気を一定に排出して発電機を駆動させることでエネルギーを効率的に管理する圧縮空気貯蔵発電システム及び圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気貯蔵発電システム及び発電方法に関し、より詳細には、深夜電気及び余剰に生産された電気を利用して地中に埋設されたタンクに高圧の空気を注入し、電力消費量が多い時間には、タンク内の高圧空気を一定に排出して発電機を駆動させることでエネルギーを効率的に管理する圧縮空気貯蔵発電システム及び圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
深夜電気とは、電力使用量が少ない深夜時間である夜10時以降から翌日の朝8時、または、夜11時から翌日の朝9時まで使用される電気を意味し、この深夜電気は、余剰に生産された電力を供給するために使用料金が低廉である。
従って、深夜電気を利用する様々な方法が公知であり、代表的な装置としては、深夜電気を蓄積して使用する蓄熱式深夜電気ボイラー及び深夜電気温水器などがある。
このような装置は、夜間に深夜電気を蓄積し、昼間に蓄積されたエネルギーを使用して、一般に昼間に偏重される電力消費量を分散させることを意図したものである。
【0003】
また、深夜電気を利用する他の方法としては、地下空間に深夜電気を利用して圧縮空気を蓄積し、昼間には蓄積された圧縮空気をタービンに供給することで発電機を駆動して、昼間の電力消費を低減する方法が知られている。
【0004】
しかし、従来の深夜電気を利用した圧縮空気貯蔵(CAES:Compressed Air Energy Storage)システムは、図4に示したように、深夜電気を利用して駆動される圧縮機20によって圧縮された圧縮空気を貯蔵タンク30に注入し、この圧縮空気を電力消費量が多い時間帯に排出して、排出される圧縮空気を燃焼器50で燃料と混合燃焼させ、燃焼された燃焼ガスの圧力でタービン40を駆動することによって発電機を駆動するように設計されている。
【0005】
このような圧縮空気貯蔵システムは、深夜電気を利用して空気を圧縮し、エネルギーを変換して、必要な時に使用可能にするものであるが、圧縮空気が持続的に排出されることで貯蔵タンク30内の圧力が漸次的に低下され、排出される圧縮空気の圧力も漸次的に低くなり、タービン40の駆動効率が低下するという短所があった。
従って、貯蔵された圧縮空気を一定の圧力で持続的に排出できる装置の開発が切実に要望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、前述したような従来の圧縮空気貯蔵システムの問題点を解消するものであり、圧縮空気を貯蔵する貯蔵タンクを複数に分離して構成して、両方の貯蔵タンクの底部を連結管で連通し、両方の貯蔵タンクには貯蔵水を内包して内部空間を貯蔵水で分割することで、深夜電力を利用して空気を圧縮および貯蔵する時、圧縮機に連結された一方の貯蔵タンクに所望の圧力の圧縮空気が注入されると、圧力上昇を感知して連結管に装着された水圧ポンプで貯蔵水を強制移送して貯蔵タンク内の圧力を一定に維持し、同時に他方の密閉された第2貯蔵タンクが、密閉された空気の圧縮による水圧式エネルギーを貯蔵する蓄圧器としての機能を発揮するものである。
また、昼間にはタービンと連結された一方の貯蔵タンク内の圧縮空気が排出され、圧力減少を感知して連結管に装着された水圧ポンプは逆に水圧モーターとして作動しながら貯蔵水を圧縮空気の貯蔵タンクに供給して貯蔵タンク内の圧力を一定に維持し、同時に水圧モーターを介して蓄圧器に貯蔵された水圧式エネルギーを利用して発電をするものである。
【0007】
従って、本発明の目的は、貯蔵水の移動によって圧縮空気の貯蔵時および排出時に圧縮空気の貯蔵タンク内の圧力を一定に維持して、圧縮機とタービンの効率を極大化する機能を発揮し、同時に深夜は蓄圧器に水圧式エネルギーを貯蔵し、昼間は貯蔵された水圧式エネルギーを利用して発電するエネルギー貯蔵機能を同時に実現する圧縮空気貯蔵発電システム及び圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述したような課題を解決する本発明の圧縮空気貯蔵発電システムは、モーターの駆動で外部の空気を吸入して圧縮する圧縮機と、圧縮空気を貯蔵する貯蔵タンクと、貯蔵タンクに貯蔵された圧縮空気の供給を受けて燃料と混合して燃焼する燃焼器と、燃焼されたガスによりタービンを駆動させてタービンの駆動で発電する発電機とを備える圧縮空気貯蔵発電システムにおいて、貯蔵タンクが、第1貯蔵タンクと第2貯蔵タンクとから分離して構成され、第1貯蔵タンクと第2貯蔵タンクの底面を連結管で相互に連通し、第1貯蔵タンクの上側には流入口と排出口とを形成して圧縮機から圧縮空気を流入するとともに貯蔵タンク内の圧縮空気を排出し、第1貯蔵タンクと第2貯蔵タンクの下部に貯蔵水を湛水することで第2貯蔵タンクが密閉されて蓄圧器としての機能を発揮するように設計されていることを特徴とする。
【0009】
第1貯蔵タンクと第2貯蔵タンクとを連通する連結管に装着された水圧ポンプ/モーターが、ポンプ機能によって第1貯蔵タンクから第2貯蔵タンクに貯蔵水を強制移送するとともに、圧力平衡によって高圧状態の第2貯蔵タンクから低圧状態の第1貯蔵タンクに貯蔵水を移動させるように設計しても良い。
【0010】
また、第1貯蔵タンクに装着される圧力測定センサーが、センシング値と設定値を対比して水圧ポンプ/モーターを作動させるように設計しても良い。
【0011】
第1貯蔵タンクの内部が大気圧状態である場合に、第2貯蔵タンクに貯蔵された密閉空気を大気圧状態で貯蔵された第1貯蔵タンク内の圧縮空気36の気圧より大きな気圧に設定することで、貯蔵水が、第1貯蔵タンクの全容量の90%以上に湛水されるように設計しても良い。
【0012】
水圧ポンプ/モーターに第2発電機が更に装着され、水圧モーターの作動時に第2貯蔵タンクに貯蔵された貯蔵水の移動によって水圧モーターを駆動して発電が行われるように設計しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の圧縮空気貯蔵発電システムを概略的に示した概略図である。
【図2】本発明で用いる貯蔵タンク内の圧力変化を示した過程図である。
【図3】本発明で用いる貯蔵タンク内の圧力変化を示した過程図である。
【図4】本発明で用いる貯蔵タンク内の圧力変化を示した過程図である。
【図5】本発明の圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法のブロック図である。
【図6】従来の圧縮空気貯蔵発電システムを示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の圧縮空気貯蔵発電システムを詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の圧縮空気貯蔵発電システムを概略的に示した概略図であり、図2と図3と図4は、本発明で用いる貯蔵タンク内の圧力変化を示した過程図であり、図5は、本発明の圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法のブロック図である。
【0016】
図1に示したように、本発明の圧縮空気貯蔵発電システム10は、圧縮機20と、圧縮機20によって圧縮された空気を貯蔵する貯蔵タンク30と、貯蔵タンク30から排出された圧縮空気36で駆動されるタービン40とを備えている。
【0017】
圧縮機20は、深夜電気または余剰に生産された電気でモーターを駆動させ、モーターの駆動で外部の空気を流入して圧縮するように設計されている。
このような圧縮機20は、1つまたは複数を並列に設置して空気圧縮時間を短縮するように設計しても良い。
【0018】
次に、貯蔵タンク30は、外部に設置され、または、地中に埋設され、建物が密接した都市に建設する時は、地中に埋設して地上空間を活用できるようにするのが好ましい。
【0019】
このような貯蔵タンク30は、基本的に2つからなるもので、必要に応じて3つ以上で構成して容量を増加させたり、タンク自体の嵩を増加させて容量を増加させても良い。
【0020】
図示したように、貯蔵タンク30は、第1貯蔵タンク31と第2貯蔵タンク32とで構成され、第1貯蔵タンク31には、上部に圧縮機20から圧縮された空気を注入する流入口311とタンク内部の圧縮空気36を排出する排出口312とが形成され、第1貯蔵タンク31および第2貯蔵タンク32の底部には、これら第1貯蔵タンク31および第2貯蔵タンク32を相互に連通する連結管33が設けられている。
また、第1貯蔵タンク31および第2貯蔵タンク32の内側下部には貯蔵水34が一定量湛水されて、第1貯蔵タンク31および第2貯蔵タンク32の間で流動が行われるようになっている。
すなわち、密閉された第2貯蔵タンク32は、上部に密閉空気35が位置し、下部に貯蔵水34が位置し、連結管33によって貯蔵水34を流入すると、上部に位置する密閉空気35の体積を減少させるとともに密閉空気35を高圧化する蓄圧器としての機能を有している。
【0021】
前述した貯蔵水34を流通させる連結管33には、水圧ポンプを作動させるとともに、逆に水圧モーターを作動させる水圧ポンプ/モーター331が装着されている。
例えば、深夜時間には深夜電気を利用して水圧ポンプを作動させ、第2貯蔵タンク32に貯蔵水34を最大限移動させ、電力使用量が多い昼間には連結管33を開放して、高圧状態の密閉空気35の膨張によって第2貯蔵タンク32に貯蔵された貯蔵水34を第1貯蔵タンク31に移動させながら、第1貯蔵タンク31に貯蔵された圧縮空気36を持続的に排出するように設計されている。
勿論、前述した水圧ポンプと圧縮機20は、深夜電気だけを利用するのではなく、昼間も電力消費量が少ない時間及び供給された余剰電力を使用しても良い。
【0022】
また、第1貯蔵タンク31の排出口312を介して排出される圧縮空気36は、燃焼器50で燃料と混合された後、燃焼されてタービン40を駆動させ、タービン40の駆動によってタービン軸と連結された発電機で発電が行われるようになっている。
【0023】
並びに、貯蔵タンク30には、流入される圧縮空気36と排出される圧縮空気36のための冷却機21と再生機51とをそれぞれ装着しても良い。
貯蔵タンク30に流入される圧縮空気36は高熱を有しているので、冷却機21を通過させて嵩を縮小させた後に貯蔵を行うことで、貯蔵容量を増加させることができる。
また、排出される圧縮空気36は、再生機51を通過しながら再生機51でタービン40から排出される高温の排ガスと熱交換を行って、燃料との混合による燃焼が容易に行われるのは勿論、嵩膨張によってタービン40の駆動効率を増加させることができるようになっている。
【0024】
一方、第1貯蔵タンク31の内部には、圧力測定センサー313が更に装着されている。
圧力測定センサー313は、第1貯蔵タンク31内の圧力を感知して設定値と対比して、水圧ポンプ/モーター331の水圧ポンプを作動させるように設計されている。
すなわち、圧縮機20が深夜電力を利用して所望の圧力の圧縮空気36を第1貯蔵タンク31に貯蔵する時、圧力測定センサー313は、タンク内部の圧力上昇を感知して水圧ポンプを作動させて、第1貯蔵タンク31内の貯蔵水34を第2貯蔵タンク32に強制移送し、第1貯蔵タンク31内の圧力を一定に維持するようになっている。
反対に、昼間に第1貯蔵タンク31の圧縮空気36をタービン40に供給する時は、圧力測定センサー313は、タンク内部の圧力減少を感知して水圧ポンプ/モーター331を開放し、第2貯蔵タンク32内の貯蔵水34を第1貯蔵タンク31に移送することで、第1貯蔵タンク31内の圧力を一定に維持するようになっている。
水圧ポンプ/モーター331は、本実施例のように単一の装置で構成するか、水圧ポンプと水圧モーターとを分離して構成して個別的に設置して使用しても何ら構わない。
従って、圧縮空気貯蔵発電システム10では、水圧ポンプと水圧モーターとを制御する制御ユニットを更に設置して、これら水圧ポンプと水圧モーターとの間で円滑な駆動が行われるように設計されている。
【0025】
また、水圧ポンプ/モーター331は、水圧モーター軸に第2発電機60を設置し、第2貯蔵タンク32から貯蔵水34を密閉空気35の圧力膨張によって第1貯蔵タンク31に移動させながら、水車機能を有する水圧モーターを駆動させて第2発電機60により発電するようになっている。
つまり、水圧ポンプ/モーター331は、深夜電気を利用して第2貯蔵タンク32に水圧エネルギーを貯蔵し、電力消費量の多い昼間時間帯には第2貯蔵タンク32の貯蔵水34を第1貯蔵タンク31に移動させながら、水圧モーターを駆動させ、水圧モーター軸の第2発電機60により発電し、第1貯蔵タンク31に移動した貯蔵水34は、第1貯蔵タンク31の圧縮空気36を一定圧で排出し、タービン40を駆動させて発電を行うなど、水圧エネルギーと圧縮空気36を利用して二重に発電を行うことができる。
【0026】
上記のように構成された圧縮空気貯蔵発電システム10の貯蔵タンク30の圧力変化を一実施例を用いて詳細に説明する。
この際、タービン40を駆動させる圧縮空気36の要求圧力が約50Barである時を基準に説明する。
【0027】
図2は、圧縮空気貯蔵発電システム10を駆動させる前の基本的なセッティングを示しており、流入口311と排出口312とが形成された第1貯蔵タンク31には貯蔵水34が湛水され、密閉された第2貯蔵タンク32には密閉空気35が内包されており、これら第1貯蔵タンク31と第2貯蔵タンク32とは、連結管33によって連通されている。
連結管33には、水圧ポンプ/モーター331が装着されている。
【0028】
この時、第1貯蔵タンク31に湛水された貯蔵水34の圧力は50Barで、第2貯蔵タンク32の密閉空気35の圧力は51Barである。
このように第2貯蔵タンク32内の密閉空気35の圧力を一定量大きくして、待機中である時は、図示するように第2貯蔵タンク32の密閉空気35の圧力に押されて貯蔵水34が第1貯蔵タンク31に集まる。
【0029】
図3に示したように、図2の状態で深夜電気を利用して圧縮機20を駆動して、圧力が50Barである圧縮空気36を第1貯蔵タンク31に注入する。
第1貯蔵タンク31は、受容量以上の圧縮空気36が注入されると、圧力が上昇し、タンク内に装着された圧力測定センサー313が圧力上昇を感知し、水圧ポンプ/モーター331を作動させる。
【0030】
深夜電気で水圧ポンプ/モーター331の水圧ポンプが作動されると、第1貯蔵タンク31に湛水された貯蔵水34は、第2貯蔵タンク32に強制移送され、第1貯蔵タンク31の圧力を低減させて50Barにする。
また、第2貯蔵タンク32内の密閉空気35と貯蔵水34とは、漸次的に高い圧力を有することになり、第1貯蔵タンク31と第2貯蔵タンク32に湛水された貯蔵水34の水位が同じになる頃には、第2貯蔵タンク32の密閉空気35と貯蔵水34とは、それぞれ100Barになる。
【0031】
図4に示したように、水圧ポンプ/モーター331を継続して作動させると、貯蔵水34は更に移動して75%が第2貯蔵タンク32に湛水される。
このように水位が形成されると、第2貯蔵タンク32の密閉空気35は体積が減り、圧力は200Barになる。
また、第1貯蔵タンク31には圧縮機20が連続的に圧縮空気36を注入し、第1貯蔵タンク31の全体の体積のうち75%に50Barの圧縮空気36が受容される。
【0032】
これとは反対に、電力消費量が多く所要される昼間には、連結管33を開放して第1貯蔵タンク31と第2貯蔵タンク32との間の圧力差による圧力平衡作用で、第2貯蔵タンク32の貯蔵水34が、連結管33の水圧ポンプ/モーター331の水圧モーターを駆動させると、第1貯蔵タンク31に移動され、移動された貯蔵水34の嵩だけ第1貯蔵タンク31に貯蔵された圧縮空気36が排出口312を介して排出される。
【0033】
より詳細に説明すると、第4の状態で水圧ポンプ/モーター331を開放すると、高圧である第2貯蔵タンク32の密閉空気35が膨張しながら貯蔵水34を第1貯蔵タンク31に移動させ、貯蔵水34の移動によって第1貯蔵タンク31に受容された50Barの圧縮空気36は排出口312を介して排出される。
【0034】
つまり、第2貯蔵タンク32の密閉空気35の圧力と第1貯蔵タンク31の圧縮空気36の圧力とが等しくなるまで、第2貯蔵タンク32の貯蔵水34は第1貯蔵タンク31に持続的な移動が行われ、貯蔵水34の移動によって第1貯蔵タンク31に貯蔵された圧縮空気36が持続的に排出される。
【0035】
前述したように構成された本発明の圧縮空気貯蔵発電システム10を利用した発電方法を図5を参照して説明すると、次のとおりである。
【0036】
圧縮機20と、その底部を連結管33によって相互に連通された第1貯蔵タンク31および第2貯蔵タンク32と、連結管33に装着されて第1貯蔵タンク31と第2貯蔵タンク32との間で貯蔵水34を流動させる水圧ポンプ/モーター331と、第1貯蔵タンク31から排出される圧縮空気36で駆動されて発電するタービン40とで構成される圧縮空気貯蔵発電システム10を利用した発電方法において、本発明を利用した発電の工程は、圧縮空気注入段階S1と、ポンピング段階S2と、排出段階S3と、発電段階S4とから構成されている。
【0037】
圧縮空気注入段階S1は、深夜電気及び余剰に生産された電気を利用して圧縮機20を駆動し、第1貯蔵タンク31に圧縮空気36を注入する段階である。
【0038】
次に、ポンピング段階S2は、水圧ポンプ/モーター331のポンプ機能によって、第1貯蔵タンク31内に湛水された貯蔵水34を第2貯蔵タンク32に強制移送させて第2貯蔵タンク32の密閉空気35を加圧し、第1貯蔵タンク31に空間を確保することによって、圧縮機20を利用した圧縮空気36の流入量を増加させる段階である。
【0039】
排出段階S3は、第1貯蔵タンク31に貯蔵された圧縮空気36を排出してタービン40を駆動させるとともに、連結管33に装着された水圧ポンプ/モーター331を開放して排出される圧縮空気36の量だけ第2貯蔵タンク32の密閉空気35の圧力膨張によって貯蔵水34を第1貯蔵タンク31に移送する段階である。
【0040】
また、第1貯蔵タンク31の圧縮空気36の貯蔵圧力と排出圧力を一定にするために、ポンピング段階S2と排出段階S3では、圧力制御段階S5が並行して進行されるように設計しても良い。
【0041】
つまり、圧縮機20で第1貯蔵タンク31に圧縮空気36を注入する時、一定量以上である場合、第1貯蔵タンク31内の圧縮空気36の圧力が増加することになるのだが、この時、第1貯蔵タンク31内に設置された圧力測定センサー313が、圧力を測定したセンシング値を使用者が入力した設定値と対比して、設定値以上である場合、水圧ポンプ/モーター331のポンプ機能を駆動させて貯蔵水34を第2貯蔵タンク32に強制的にポンピングするようになっている。
【0042】
そして、電力消費量の多い時間帯に圧縮空気36を使用する時は、第1貯蔵タンク31の圧縮空気36が排出されて圧力が低下されることによって、圧力測定センサー313は、測定したセンシング値と設定値とを比較して圧力が低下される時、水圧ポンプ/モーター331を開放して第2貯蔵タンク32の貯蔵水34を圧力平衡作用によって第1貯蔵タンク31に移送されるようにし、第1貯蔵タンク31の圧縮空気36の圧力を一定に維持するようになっている。
【0043】
並びに、蓄圧器である第2貯蔵タンク32から第1貯蔵タンク31に貯蔵水34が移動される時、貯蔵水34は連結管33に装着された水圧ポンプ/モーター331のモーターを駆動させ、水圧モーター部分の駆動によって第2発電機60の発電を行う水圧発電段階S6が更に行われるように設計されている。
【0044】
次に、発電段階S4は、排出段階S3で排出された圧縮空気36が燃焼器50で燃料と混合燃焼され、燃焼ガスがタービン40に流入されてタービン翼にぶつかってタービン40を駆動させることによって発電を行う段階である。
【0045】
また、排出段階S3で排出された圧縮空気36は、熱交換段階S7が完了した後に発電を行うようになっている。
つまり、排出された圧縮空気36は、再生機51を通過しながら、タービン40で発生した高温の排ガスと熱交換が行われて高温状態で燃焼器50に投入され、この時に熱を加えられた圧縮空気36は漸次的に体積が増加され、燃焼と同時に体積が急激に増加してタービン40の出力が向上するようになっている。
【0046】
一方、前述したように記載した実施例は、本発明を説明するための一実施例にすぎない。
従って、本発明が属する技術分野に関する通常の知識を有する専門家が本実施例を参照して部分的に変更して使用したものも本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上で説明したように、本発明の圧縮空気貯蔵発電システム及び圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法は、圧縮空気を貯蔵する貯蔵タンクを複数に分離して構成し、両方の貯蔵タンクの底部を連結管で連通し、両方の貯蔵タンクには貯蔵水を内包させて両方のタンクの空間を分割することによって、連結管に装着された水圧ポンプが貯蔵水を強制移送して、一方の密閉された貯蔵タンクの空気を高圧状態にし、他方の貯蔵タンクには所望の圧力の圧縮空気を注入するように設計されている。
【0048】
従って、連結管に装着された水圧ポンプ/モーターを開放すると、圧力平衡によって密閉空気が膨張し、密閉空気の膨張によって貯蔵水が水圧モーターを通過しながら圧縮空気の入った他方の貯蔵タンクに移動され、他方の貯蔵タンクでは移動された貯蔵水の体積の分だけ圧縮空気が外部に排出されるように設計されている。
【0049】
このように両空間に分画された貯蔵タンク内で、内部の空気の圧縮状態によって貯蔵水を分画された貯蔵タンクの内部を移動させて、最終的に排出される圧縮空気の圧力と量を一定に維持することによって、圧縮機とタービンの効率を極大化することができ、同時に、深夜には蓄圧器としての機能を有する密閉された貯蔵タンクに水圧式エネルギーを貯蔵し、昼間には貯蔵された水圧式エネルギーを利用して発電をするエネルギー貯蔵機能を同時に発揮できる環境にやさしい圧縮空気貯蔵発電システム及び発電方法の提供が可能となる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターの駆動で外部の空気を吸入して圧縮する圧縮機と、前記圧縮空気を貯蔵する貯蔵タンクと、該貯蔵タンクに貯蔵された圧縮空気の供給を受けて燃料と混合して燃焼する燃焼器と、前記燃焼されたガスによりタービンを駆動させて該タービンの駆動で発電する発電機とを備える圧縮空気貯蔵発電システムにおいて、
前記貯蔵タンクが、第1貯蔵タンクと第2貯蔵タンクとから分離して構成され、前記第1貯蔵タンクと第2貯蔵タンクの底面を連結管で相互に連通し、前記第1貯蔵タンクの上側には流入口と排出口とを形成して前記圧縮機から圧縮空気を流入するとともに前記貯蔵タンク内の圧縮空気を排出し、前記第1貯蔵タンクと第2貯蔵タンクの下部に貯蔵水を湛水することで前記第2貯蔵タンクが密閉されて蓄圧器としての機能を発揮するように設計されていることを特徴とする圧縮空気貯蔵発電システム。
【請求項2】
前記第1貯蔵タンクと第2貯蔵タンクとを連通する連結管に装着された水圧ポンプ/モーターが、前記第1貯蔵タンクから第2貯蔵タンクにそのポンプ機能によって貯蔵水を強制移送するとともに、圧力平衡によって高圧状態の第2貯蔵タンクから低圧状態の第1貯蔵タンクに貯蔵水を移動させるように設計されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮空気貯蔵発電システム。
【請求項3】
前記第1貯蔵タンクに装着される圧力測定センサーが、センシング値と設定値とを対比して水圧ポンプ/モーターを作動させるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の圧縮空気貯蔵発電システム。
【請求項4】
前記第1貯蔵タンクの内部が大気圧状態である場合に、前記第2貯蔵タンクに貯蔵された密閉空気を大気圧状態で貯蔵された第1貯蔵タンク内の圧縮空気の気圧より大きな気圧に設定することで、前記貯蔵水が、前記第1貯蔵タンクの全容量の90%以上に亘って湛水されるように設計されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮空気貯蔵発電システム。
【請求項5】
前記水圧ポンプ/モーターに第2発電機が更に装着され、前記水圧モーターの作動時に第2貯蔵タンクに貯蔵された貯蔵水の移動によって水圧モーターを駆動して発電を行うようになっていることを特徴とする請求項2に記載の圧縮空気貯蔵発電システム。
【請求項6】
圧縮機と、その底部を連結管によって相互に連通された第1貯蔵タンクおよび第2貯蔵タンクと、前記連結管に装着されて第1貯蔵タンクと第2貯蔵タンクとの間に安置された貯蔵水を流動させる水圧ポンプ/モーターと、前記第1貯蔵タンクから排出された圧縮空気で駆動されて発電するタービンとを備える圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法において、
前記第1貯蔵タンクに圧縮機で圧縮空気を注入する圧縮空気注入段階と、前記連結管に装着された水圧ポンプ/モーターを深夜電気を利用して駆動することで前記第1貯蔵タンクに湛水された貯蔵水を第2貯蔵タンクに強制的にポンピングして第2貯蔵タンクの密閉空気を加圧するポンピング段階と、前記第1貯蔵タンクに貯蔵された圧縮空気を排出するとともに前記連結管に装着された水圧ポンプ/モーターを開放することで排出された圧縮空気の嵩だけ第2貯蔵タンクの貯蔵水を圧力平衡によって第1貯蔵タンクに移送する排出段階と、前記排出された圧縮空気を燃焼器で燃料と混合燃焼してタービンを駆動する発電段階とを備えていることを特徴とする圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法。
【請求項7】
前記ポンピング段階と排出段階で、前記第1貯蔵タンクに設置された圧力測定センサーのセンシング値を使用者により入力された設定値と対比して、設定値以上の場合、前記水圧ポンプ/モーターのポンプ機能を作動させて貯蔵水を第2貯蔵タンクにポンピングするとともに、設定値以下の場合、前記水圧ポンプ/モーターを開放して圧力差によって第2貯蔵タンクの貯蔵水を第1貯蔵タンクに移動する圧力制御段階が更に行われることを特徴とする請求項6に記載の圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法。
【請求項8】
前記排出段階では、前記第2貯蔵タンク内の貯蔵水を水圧エネルギーによって第1貯蔵タンクに移動させる際、前記水圧ポンプ/モーターの水圧モーターを駆動させて第2発電機で発電を行う水圧発電段階が更に行われることを特徴とする請求項6に記載の圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法。
【請求項9】
前記排出される圧縮空気を再生機を通過させながらタービンで発生する高温の排ガスと熱交換して高温状態で燃焼器に投入する熱交換段階が更に行われることを特徴とする請求項6に記載の圧縮空気貯蔵発電システムを利用した発電方法。
















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−501776(P2010−501776A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525485(P2009−525485)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際出願番号】PCT/KR2007/003911
【国際公開番号】WO2008/023901
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(598026264)韓国機械研究院 (12)
【Fターム(参考)】