説明

圧縮装置

【課題】被圧縮物の大きさ等に影響されずに、これを有効に圧縮可能とした圧縮装置を提供することを架台としている。
【解決手段】ローラー受け(3)によって架台(2)上に回動自在に配設された、中空であるとともに側壁部任意の箇所をメッシュ状にし、かつ前方に向けて下側に傾斜させた外側ローラー(4)と、該外側ローラー(4)を回動するための第1駆動手段(6)と、前記外側ローラー(4)内に回動自在に挿装された内側ローラー(7)と、該内側ローラー(7)を回動するための第2駆動手段(8)と、を備え、前記外側ローラー(4)内に圧縮対象となる被圧縮物を入れた状態で前記外側ローラー(4)及び内側ローラー(7)を同一方向へ回転することで、前記外側ローラー(4)内壁と内側ローラー(7)とにより前記被圧縮物を圧縮可能にしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮装置に係り、より詳しくは、特に食品類を圧縮するために用いる圧縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、食物、飲料等の製造に際しては、元となる素材を圧縮して所望する食物、飲料等あるいは中間物等を製造することがある。
【0003】
例えば、漉し餡の製造に際しては、粒餡を圧縮し、これにより粒餡の皮のみを残して中の餡のみを取り出すことが行われる。また、果汁飲料の製造に際しては果実を圧縮して果汁を絞り出すことが行われる。
【0004】
更にその他、生ゴミ等の食品残渣から水分を取り除くために生ゴミを圧縮することも行われている。
【0005】
そして、このように被圧縮物を圧縮する方法として従来は、複数本のローラーを用いて、このローラー間に被圧縮物を通過させて圧縮する方法が一般的に採用されていた。
【特許文献1】特開2005−205255号公報
【特許文献2】特開平11−32711号公報
【特許文献3】特開平10−234346号公報
【特許文献4】特開平10−179111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このように複数本のローラーを用いてこのローラー間に被圧縮物を通過させる方法では、被圧縮物の大きさによってはこれをローラー間に有効に引き込むことができない場合が考えられる。即ち、ローラー間の距離に対して被圧縮物が大きい場合には、被圧縮物がローラーに接する角度が小さくなってしまうために、ローラーの回転力のみでローラー間に被圧縮物を引き込むことができず、そのため十分に圧縮することができない、という問題点が考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、被圧縮物の大きさ等に影響されずに、これを有効に圧縮可能とした圧縮装置を提供することを架台としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の圧縮装置は、ローラー受けによって架台上に回動自在に配設された中空の外側ローラーと、該外側ローラーを回動するための第1駆動手段と、前記外側ローラー内に回動自在に挿装された内側ローラーと、該内側ローラーを回動するための第2駆動手段と、を備え、
前記外側ローラー内に圧縮対象となる被圧縮物を入れた状態で前記外側ローラー及び内側ローラーを同一方向へ回転することで、前記外側ローラー内壁と内側ローラーとで前記被圧縮物を圧縮可能にしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、回動自在とした中空の外側ローラー内に内側ローラーを回動自在に挿装し、外側ローラー内に被圧縮物を入れた状態で外側ローラー及び内側ローラーを同一方向へ回転することで、外側ローラー内壁と内側ローラーとで被圧縮物を圧縮可能にしている。
【0010】
このように、本発明の圧縮装置では、ローラー間に被圧縮物を通過させる方法と異なり、内側ローラーによって被圧縮物を押しつぶしていく方法を採用しているために、被圧縮物と内側ローラーとが接する角度が大きくなり、これにより、被圧縮物の大きさに影響されず、有効に被圧縮物を圧縮することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の圧縮装置では、中空の外側ローラーを有しており、この外側ローラーは、ローラー受けによって架台上に回動自在に配設されるとともに、第1駆動手段によって回動可能とされている。
【0012】
また、この外側ローラー内の底部には、外側ローラーの内壁との間に僅かな隙間を残して、内側ローラーが回動自在に配設されており、この内側ローラーは、第2駆動手段によって回動可能とされるとともに第2駆動手段によって支持されている。
【0013】
そして、外側ローラー内に圧縮対象となる被圧縮物を入れた状態で、第1駆動手段及び第2駆動手段によって外側ローラー及び内側ローラーを同一方向へ回転することで、前記外側ローラー内壁と内側ローラーとで、外側ローラー内に入れた被圧縮物を圧縮可能にしている。
【0014】
ここで、前記外側ローラーにおける側壁部任意の箇所をメッシュ状にするとよく、これにより、外側ローラーによって被圧縮物を漉すことが可能となり、漉し餡、果汁等の製造が容易になる。
【0015】
また、外側ローラー内にスクレーパーを配設してもよく、これにより、圧縮後のカスをまとめて取り出すことを可能として外側ローラー内に圧縮後の残渣等が散乱することを防止することができる。
【0016】
更に、外側ローラーを傾斜させてもよく、これにより、例えば果汁等を製造する際に、絞り取った果汁を一カ所で効率よく回収することができる。
【実施例1】
【0017】
本発明の圧縮装置の実施例について図面を参照して説明すると、図1は本実施例の圧縮装置の正面図であり、また図2は図1におけるA−A線一部断面図である。
【0018】
そして、図において1が本実施例の圧縮装置であり、また、図において2は前記圧縮装置1が装備された架台である。
【0019】
また、図において3はローラー受けであり、即ち、本実施例の圧縮装置1では、前記ローラー受け3によって前記架台2上に配設された、外側ローラー4を有している。
【0020】
そして、本実施例において前記ローラー受け3は4個備えられており、それぞれが、前記架台2に装着された支持部301と、この支持部301に回動自在に連結されるとともに前記外側ローラー4が載置される受け用ローラー302とで構成されており、これにより、前記外側ローラー4は、前記架台2に対して回動自在とされている。
【0021】
ここで、前記外側ローラー4について説明すると、本実施例において前記外側ローラー4は、ステンレス製の円筒形状としている。そして、前端側には内周側全域に、外側ローラー4の内周側に向けてリブ402が突設されており、後端は閉鎖されている。
【0022】
また、外側ローラー4の側壁部分はメッシュ状とされ、これにより、外側ローラー4の内部は外部に連通している。
【0023】
更に、外側ローラー4の後端部の外周には、外側ローラー4の外径よりもわずかに大径のローラー側ギヤ401が備えられており、このローラー側ギヤ401を介して、外側ローラー4を回動可能としている。
【0024】
なお、本実施例においては、多数個のパンチ孔を形成した平板のステンレス製板材を溶接により円筒状に丸めて外側ローラー4の原型を形成した後に、この外側ローラー4の原型の内周側にメッシュ材である金網を重ね合わせ、これにより外側ローラー4を形成している。但し、必ずしもこのようにして外側ローラー4を形成する必要はない。
【0025】
また、図に示す外側ローラー4は架台2に対して水平の位置としているが、ここで、外側ローラー4を前方に向けて下側に傾斜させてもよく、これにより、メッシュ状部分で漉したものを一カ所で回収することができる。そして、外側ローラー4を前方に向けて下側に傾斜させる場合には、例えば、外側ローラー4の後方側を支持する2個のローラー受け3を大径のものにすれば可能である。
【0026】
次に、図において6は、前記外側ローラー4を回動するための第1駆動手段であり、この第1駆動手段6は、第1モーター602の回転軸(図示せず)に連結された駆動側ギヤ601を有している。
【0027】
そして、この駆動側ギヤ601は、前記ローラー側ギヤ401と噛み合っており、これにより、前記第1モーター602を駆動することで、駆動側ギヤ601及びローラー側ギヤ401を介して、前記外側ローラー4を回動することを可能にしている。なお、このとき、前記第1モーター602をインバーター制御し、これにより、第1モーター602の回転速度を自在にするとよい。
【0028】
次に、図において5はスクレーパーである。即ち、本実施例では、前記外側ローラー4内の斜め上方部分にスクレーパーを配設し、これにより、圧縮後の残渣等を容易に回収可能としている。そして、本実施例において前記スクレーパー5は、長手方向に沿った一端部を前記外側ローラー4の内壁に当接あるいは近接させた長尺の平板状のスクレーパー本体501と、このスクレーパー本体501の長手方向に沿った他端部に外側ローラー4の内壁側に向けて連接した長尺の平板状の受け板502とで構成されており、スクレーパー本体501により外側ローラー4の内壁に張り付いた残渣等を剥ぎ取りつつ、この剥ぎ取った残渣等を受け板502で受けることとしている。従って、これにより、圧縮後の残渣等が外側ローラー4内に散乱することを防止することができる。
【0029】
なお、スクレーパー5の装着方法は特に限定されないが、図においては、外側ローラー4の後端部に図示しない取り出し口を形成しており、一方、外側ローラー4の後方側に支柱503を配置するとともに、この支柱503の上端部に、前記取り出し口を貫通したアーム504を連結し、このアーム504によってスクレーパー5を支持している。そしてこれにより、前記外側ローラー4内にスクレーパー5を配設できるとともに、アーム504を支柱503より取り外しつつスクレーパー5とともに外側ローラー4の後方側に引き出すことにより、スクレーパー5で剥ぎ取った圧縮後の残渣を容易に外側ローラー4から取り出すことが可能となる。
【0030】
次に、前記外側ローラー4内には、外側ローラー4より僅かに短い長さ寸法とした、ステンレス製の内側ローラー7が挿装されている。
【0031】
ここで、図2において8は、前記内側ローラー7を回動するための第2駆動手段であり、この第2の駆動手段8は、第2モーター802とこの第2モーター802の回転軸(図示せず)に連結された駆動軸801とを有している。そして、駆動軸801は、外側ローラー4の後部を回動自在に貫通しつつ前記内側ローラー7に連結されるとともに内側ローラー7を支持しており、これにより、前記外側ローラー4内に内側ローラー7を挿装するとともに、第2モーター802を駆動することで、内側ローラー7を回転可能としている。
【0032】
そして、内側ローラー7の挿装に際しては、外側ローラー4の内壁と内側ローラー7との間に僅かな隙間9が形成されるようにしており、これにより、この隙間9内に被圧縮物を引き込みつつ、外側ローラー4の内壁と内側ローラー7とで被圧縮物を圧縮可能としている。
【0033】
次に、このように構成される本実施例の圧縮装置1の作用について、粒餡から漉し餡を製造する場合を例にとって説明すると、本実施例の圧縮装置1を使用して漉し餡を製造する際には、まず、外側ローラー4内に粒餡を適量入れ、その後に、第1モーター602及び第2のモーター802を駆動して、外側ローラー4と内側ローラー7を同一方向へ回転させる。
【0034】
そうすると、粒餡は、外側ローラー4の回転に伴って、隙間9内に導かれつつ、内側ローラー7によって押しつぶされ、即ち圧縮されていく。
【0035】
そして、本実施例の圧縮装置1では外側ローラー4の側壁をメッシュ状にしているため、粒餡が圧縮されていく過程において、中身の餡はメッシュ状の部分で漉されて外側ローラー4の外部に出て行き、これにより、外側ローラー4の下方に回収容器を配置することで、この回収容器内に漉し餡を回収することで、容易に漉し餡を得ることができる。
【0036】
また、残った皮の部分は、外側ローラー4の回転とともに上方に移動していくが、スクレーパー本体5015によって外側ローラー4の内壁から剥ぎ取られつつ受け部502上に落下するために、これにより、外側ローラー4内に散乱させることなく、効率よく回収することが可能である。
【0037】
次に、果汁を製造する場合を例にとると、まず、外側ローラー4内に果実を適量入れ、その後に、第1モーター603及び第2のモーター802を駆動して、外側ローラー4と内側ローラー7を同一方向へ回転させる。
【0038】
そうすると、外側ローラー4内の果実は、外側ローラー4の回転に伴って、隙間9内に導かれつつ、内側ローラー7によって押しつぶされ、それとともに、絞り出された果汁は、メッシュ状の部分で漉された後に外側ローラー4の外部に出されて、図示しない回収容器内に回収され、これによって果汁を得ることができる。
【0039】
そしてこのとき、前記外側ローラー4を前方に向けて下側に傾斜させることにより、メッシュ状部分で漉したものを一カ所で回収することができ、効率よく所望する果汁等を回収することができる。
【0040】
このように、本実施例の圧縮装置1では、外側ローラー7内に被圧縮物を入れた状態で外側ローラー7及び内側ローラー7を回転させ、これにより外側ローラーの内壁と内側ローラーとで被圧縮物を押しつぶしていく方法を採用しているため、被圧縮物が各ローラーに接する角度が大きく、ローラー間に被圧縮物を通過させる方法と異なり、効率よく被圧縮物を圧縮することが可能である。
【0041】
また、外側ローラー4を前方に向けて下側に傾斜させることにより、メッシュ状部分で漉した結果物を一カ所で回収することもできる。
【0042】
但し、外側ローラー4は必ずしも傾斜させる必要はなく、架台2に対して水平に維持してもよい。
【0043】
また、前記外側ローラー4の側壁は必ずしもメッシュ状にする必要はなく、漉す必要のない被圧縮物を対象とする場合には、外側ローラー4と外部とを連通しない形態にしてもよい。
【0044】
更に、前記スクレーパー5は必ずしも必要なものではなく、これを備えない構成としてもよい。
【0045】
更にまた、外側ローラー4及び内側ローラー7の材質、回動の方法等は必ずしも前述には限定されず、外側ローラーと内側ローラーとを同一方向へ回動可能であればいずれの方法等を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、被圧縮物を効率よく圧縮することができるために、食品等の製造に限定されず、例えば生ゴミから水分を取り除く等、被圧縮物の圧縮全般に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の圧縮装置の実施例の正面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面構造を示す一部断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 圧縮装置
2 架台
3 ローラー受け
4 外側ローラー
401 ギヤ
5 スクレーパー
501 スクレーパー本体
502 受け部
503 支柱
504 アーム
6 第1駆動手段
601 駆動側ギヤ
602 第1モーター
7 内側ローラー
8 第2駆動手段
801 駆動軸
802 第2モーター
9 外側ローラーと内側ローラー間の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラー受け(3)によって架台(2)上に回動自在に配設され中空の外側ローラー(4)と、
該外側ローラー(4)を回動するための第1駆動手段(6)と、
前記外側ローラー(4)内に回動自在に挿装された内側ローラー(7)と、
該内側ローラー(7)を回動するための第2駆動手段(8)と、を備え、
前記外側ローラー(4)内に圧縮対象となる被圧縮物を入れた状態で前記外側ローラー(4)及び内側ローラー(7)を同一方向へ回転することで、前記外側ローラー(4)内壁と内側ローラー(7)とで前記被圧縮物を圧縮可能にしたことを特徴とする圧縮装置。
【請求項2】
前記外側ローラー(4)における側壁部任意の箇所をメッシュ状にしたことを特徴とする請求項1に記載の圧縮装置。
【請求項3】
前記外側ローラー(4)内にスクレーパー(5)を配設したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧縮装置。
【請求項4】
前記外側ローラー(4)を傾斜したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の圧縮装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−253187(P2007−253187A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80257(P2006−80257)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(592188911)株式会社菊地機械製作所 (1)
【Fターム(参考)】