説明

地絡事故予知システムおよび地絡事故予知方法

【課題】零相電圧および零相電流の実効値や零相電圧と零相電流との位相差の演算を行うことなく電線路の樹木接触などによる地絡事故を予知することができる地絡事故予知システムおよび地絡事故予知方法を提供する。
【解決手段】地絡事故予知システム1は、地絡保護継電器4の地絡方向継電器4aから入力される瞬時出力信号S1に基づいて配電線3における微地絡の継続時間を算出するとともに、限時特性型地絡過電圧継電器6から入力される零相電圧検出信号SV0に基づいて微地絡発生時の零相電圧の電圧値を算出し、算出した微地絡の継続時間および零相電圧の電圧値に基づいて配電線3における地絡事故を予知する地絡事故予知装置24を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地絡事故予知システムおよび地絡事故予知方法に関し、特に、絶縁化された配電線が樹木などに接触して生じる地絡事故を事前に予知するのに好適な地絡事故予知システムおよび地絡事故予知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配電線(電線路)は絶縁化されてきており、配電線が裸で露出している箇所は少なくなってきている。このため、配電線の地絡接触は必ず絶縁物(配電線の被覆)が間に入るので、遮断器が遮断されるような地絡事故は微地絡(遮断器が遮断されない程度の地絡)の発生を伴うことが多く、また、微地絡の継続時間も数msから数百msというようにだんだんと長くなるケースが多くなってきている。
【0003】
下記の特許文献1には、配電線の樹木接触は地絡に至る前の段階では高抵抗接触であり、それによる漏洩電流信号は微弱であるために、配電系統に存在する残留零相電流や残留零相電圧から識別して樹木接触信号を検出し判定することは難しかったことに鑑み、零相電圧、零相電流および零相電圧と零相電流との位相差を設定周期で取得しておき、時系列的なデータの変化を監視することにより、これらのデータは数分から数十分のオーダで変化するため、零相電圧および零相電流の大きさの時間変化分の監視をするとともに、零相電圧と零相電流との位相差の変化分を監視して、樹木接触の有無を検出することを可能とした、配電線の樹木接触監視装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−304114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に開示された配電線の樹木接触監視装置では、配電変電所および配電線の適切な箇所に配備された複数の子局内に設けられた電圧測定センサーおよび電流測定センサーを用いて零相電圧および零相電流を測定する必要があるとともに、測定した零相電圧および零相電流の実効値の演算や、零相電圧と零相電流との位相差の演算を行う必要があるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、零相電圧および零相電流の実効値や零相電圧と零相電流との位相差の演算を行うことなく電線路の樹木接触などによる地絡事故を予知することができる地絡事故予知システムおよび地絡事故予知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の地絡事故予知システムは、母線(2)から分岐された電線路(3)に設けられた零相変流器(8)および該母線に設けられた零相変成器(9)に接続された地絡方向継電器(4a)と該零相変成器に接続された地絡過電圧継電器(4b)とを備えた地絡保護継電器(4)と、前記零相変成器に接続された、かつ、零相電圧の値に比例して復帰時間が長くなる限時特性を有する限時特性型地絡過電圧継電器(6)と、前記地絡方向継電器から入力される瞬時出力信号(S1)に基づいて前記電線路における微地絡の継続時間を算出するとともに前記限時特性型地絡過電圧継電器から入力される零相電圧検出信号(SV0)に基づいて該微地絡発生時の零相電圧の電圧値を算出し、該算出した微地絡の継続時間および零相電圧の電圧値に基づいて前記電線路における地絡事故を予知する地絡事故予知手段(24;24’)とを具備することを特徴とする。
ここで、前記地絡事故予知手段が、前記算出した微地絡の継続時間が前記地絡方向継電器の動作時限未満である場合には、前記電線路において連続して生じた微地絡ごとに算出した継続時間が単調増加しており、かつ、該電線路において連続して生じた微地絡ごとに算出した零相電圧の電圧値がすべて地絡の継続時間および零相電圧の電圧値の関係を示す地絡事故パターン(P)の電圧値幅(W)内に入っている場合に、前記電線路における地絡事故を予知してもよい。
前記地絡事故予知手段が、前記算出した微地絡の継続時間が前記地絡方向継電器の動作時限以上で前記地絡過電圧継電器の動作時限未満である場合には、前記算出した零相電圧の電圧値が地絡の継続時間および零相電圧の電圧値の関係を示す地絡事故パターン(P)の電圧値幅(W)内に入っている場合に、前記電線路における地絡事故を予知してもよい。
前記地絡事故予知手段が、所定の時間間隔で前記瞬時出力信号および前記零相電圧検出信号を取り込んで、該取り込んだ瞬時出力信号および零相電圧検出信号の状変情報を保管する子局側遠方監視制御装置(21)と、該子局側遠方監視制御装置と通信回線(22)を介して相互接続された親局側遠方監視制御装置(23)であって、前記電線路において微地絡が発生すると、該微地絡の継続時間を含む時間範囲の前記瞬時出力信号および前記零相電圧検出信号の状変情報の送信を要求する要求信号を前記子局側遠方監視制御装置に前記通信回線を介して送信し、該子局側遠方監視制御装置から前記要求した時間範囲の瞬時出力信号および零相電圧検出信号の状変情報を受信する親局側遠方監視制御装置(23)と、該親局側遠方監視制御装置から入力される前記瞬時出力信号および前記零相電圧検出信号の状変情報に基づいて、前記電線路における地絡事故を予知する地絡事故予知装置(24)とを備えてもよい。
前記地絡事故予知装置(24)が、前記瞬時出力信号の状変情報に基づいて前記地絡方向継電器の動作時間を求めることにより、前記微地絡の継続時間を算出し、前記零相電圧検出信号の状変情報に基づいて該零相電圧検出信号のパルス幅を求めることにより、前記零相電圧の電圧値を算出してもよい。
前記地絡事故予知手段が、前記地絡方向継電器から入力される瞬時出力信号および前記限時特性型地絡過電圧検出器から入力される零相電圧検出信号に基づいて前記電線路における地絡事故を予知する地絡事故予知装置(24’)を備えてもよい。
前記地絡事故予知装置(24’)が、前記瞬時出力信号の立上りエッジおよび立下りエッジを検出して、該検出した瞬時出力信号の立上りエッジおよび立下りエッジの時間差を求めることにより、前記微地絡の継続時間を算出し、前記零相電圧検出信号の立上りエッジおよび立下りエッジを検出して、該検出した零相電圧検出信号の立上りエッジおよび立下りエッジの時間差を求め、該求めた時間差に基づいて前記零相電圧の電圧値を算出してもよい。
【0007】
本発明の地絡事故予知方法は、母線(2)から分岐された電線路(3)に生じる地絡事故を予知するための地絡事故予知方法であって、前記電線路に設けられた零相変流器(8)および前記母線に設けられた零相変成器(9)に接続された地絡方向継電器(4a)と該零相変成器に接続された地絡過電圧継電器(4b)とを備えた地絡保護継電器(4)から出力される瞬時出力信号(S1)と、前記零相変成器に接続された限時特性型地絡過電圧継電器(6)から出力される零相電圧検出信号(SV0)とを地絡事故予知手段(24;24’)に入力する第1のステップ(S11,S12)と、前記地絡事故予知手段が、前記瞬時出力信号に基づいて前記電線路における微地絡の継続時間を算出するとともに前記零相電圧検出信号に基づいて該微地絡発生時の零相電圧の電圧値を算出し、該算出した微地絡の継続時間および零相電圧の電圧値に基づいて前記電線路における地絡事故を予知する第2のステップ(S13〜S17)とを具備することを特徴とする。
前記第1のステップにおいて、子局側遠方監視制御装置(21)が、所定の時間間隔で前記瞬時出力信号および前記零相電圧検出信号を取り込んで、該取り込んだ瞬時出力信号および零相電圧検出信号の状変情報を保管し、前記子局側遠方監視制御装置と通信回線(22)を介して相互接続された親局側遠方監視制御装置(23)が、前記電線路において微地絡が発生すると、該微地絡の継続時間を含む時間範囲の前記瞬時出力信号および前記零相電圧検出信号の状変情報の送信を要求する要求信号を前記子局側遠方監視制御装置に前記通信回線を介して送信し、該子局側遠方監視制御装置から前記要求した時間範囲の瞬時出力信号および零相電圧検出信号の状変情報を受信し、前記第2のステップにおいて、前記親局側遠方監視制御装置に接続された地絡事故予知装置(24)が、該親局側遠方監視制御装置から入力される前記瞬時出力信号の状変情報に基づいて前記地絡方向継電器の動作時間を求めることにより前記微地絡の継続時間を算出するとともに、該親局側遠方監視制御装置から入力される前記零相電圧検出信号の状変情報に基づいて該零相電圧検出信号のパルス幅を求めることにより前記零相電圧の電圧値を算出し、前記地絡事故予知装置が、前記算出した微地絡の継続時間が前記地絡方向継電器の動作時限未満である場合には、前記電線路において連続して生じた微地絡ごとに算出した継続時間が単調増加しており、かつ、該電線路において連続して生じた微地絡ごとに算出した零相電圧の電圧値がすべて地絡の継続時間および零相電圧の電圧値の関係を示す地絡事故パターン(P)の電圧値幅(W)内に入っている場合に、前記電線路における地絡事故を予知し、また、前記算出した微地絡の継続時間が前記地絡方向継電器の動作時限以上で前記地絡過電圧継電器の動作時限未満である場合には、前記算出した零相電圧の電圧値が前記地絡事故パターンの電圧値幅内に入っている場合に、前記電線路における地絡事故を予知してもよい。
前記第2のステップにおいて、前記地絡保護継電器および前記限時特性型地絡過電圧継電器に接続された地絡事故予知装置(24’)が、前記瞬時出力信号の立上りエッジおよび立下りエッジを検出して、該検出した瞬時出力信号の立上りエッジおよび立下りエッジの時間差を求めることにより、前記微地絡の継続時間を算出し、前記零相電圧検出信号の立上りエッジおよび立下りエッジを検出して、該検出した零相電圧検出信号の立上りエッジおよび立下りエッジの時間差を求め、該求めた時間差に基づいて前記零相電圧の電圧値を算出し、前記地絡事故予知装置が、前記算出した微地絡の継続時間が前記地絡方向継電器の動作時限未満である場合には、前記電線路において連続して生じた微地絡ごとに算出した継続時間が単調増加しており、かつ、該電線路において連続して生じた微地絡ごとに算出した零相電圧の電圧値がすべて地絡の継続時間および零相電圧の電圧値の関係を示す地絡事故パターン(P)の電圧値幅(W)内に入っている場合に、前記電線路における地絡事故を予知し、また、前記算出した微地絡の継続時間が前記地絡方向継電器の動作時限以上で前記地絡過電圧継電器の動作時限未満である場合には、前記算出した零相電圧の電圧値が前記地絡事故パターンの電圧値幅内に入っている場合に、前記電線路における地絡事故を予知してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の地絡事故予知システムおよび地絡事故予知方法は、地絡方向継電器の瞬時出力信号に基づいて算出した微地絡の継続時間と限時特性型地絡過電圧継電器の出力信号に基づいて算出した零相電圧の電圧値とを用いて地絡事故を予知するので、零相電圧および零相電流の実効値や零相電圧と零相電流との位相差の演算を行う必要がなく地絡事故を予知することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上記の目的を、地絡方向継電器の瞬時出力信号に基づいて微地絡の継続時間を算出するとともに限時特性型地絡過電圧継電器の零相電圧検出信号に基づいて微地絡発生時の零相電圧の電圧値を算出し、算出した微地絡の継続時間および零相電圧の電圧値に基づいて電線路における地絡事故を予知することにより実現した。
【実施例1】
【0010】
以下、本発明の地絡事故予知システムおよび地絡事故予知方法の実施例について、図面を参照して説明する。
本発明の第1の実施例による地絡事故予知システム1は、遠制情報を用いた地絡事故予知システムであり、図1に示すように、母線2から分岐された配電線3(電線路)に設けられたかつ地絡方向継電器(DG)4aおよび地絡過電圧継電器(OVG)4bを備える地絡保護継電器4と、配電線3に設けられたかつ地絡保護継電器4のトリップ信号SDGに基づいて配電線3を遮断する遮断器5と、母線2に設けられた限時特性型地絡過電圧継電器(V0/T)6と、子局側遠方監視制御装置(以下、「子局側テレコン」と称する。)21と、子局側テレコン21と通信回線22を介して接続された親局側遠方監視制御装置(以下、「親局側テレコン」と称する。)23と、親局側テレコン23に接続された地絡事故予知装置24と、地絡事故予知装置24に接続されたメモリ25とを具備する。
【0011】
ここで、配電線3には零相変流器(ZCT)8が設けられており、当該配電線3(1次側)において微地絡(遮断器5が遮断されない程度の地絡)や地絡事故(地絡により遮断器5が遮断される事故)が生じると零相変流器8により地絡保護継電器4の地絡方向継電器4aに零相電流(以下、「I0電流」と称する。)を供給するようにしている。また、母線2には零相変成器(GPT)9が設けられており、母線2の零相電圧(以下、「V0電圧」と称する。)を零相変成器(GPT)9により低電圧に変換して地絡保護継電器4の地絡方向継電器4aおよび地絡過電圧継電器4bと限時特性型地絡過電圧継電器6とに(2次側に)出力するようにしている。
【0012】
地絡保護継電器4は、2つの要素のV0電圧およびI0電流の大きさおよび位相により動作し、V0電圧が約8VかつI0電流が約3mAで位相が90度といったような整定は、実際に6,000Ωの地絡を基準に地絡させてそれぞれの特性により整定が行われている。
【0013】
地絡保護継電器4は、図2に示すように、地絡方向継電器4aと、地絡過電圧継電器4bと、第1のタイマ4cと、第2のタイマ4dと、トリップ信号生成部4eとを備える。
地絡方向継電器4aは、整定値を超えるI0電流およびV0電圧が入力されている間、ハイレベルの出力信号(以下、「瞬時出力信号S1」と称する。)を出力する。
第1のタイマ4cは、地絡方向継電器4aの動作時限を200msとするためのものであり、地絡方向継電器4aの瞬時出力信号S1が200ms以上継続すると、ハイレベルの出力信号を出力する。
地絡過電圧継電器4bは、整定値を超えるV0電圧が入力されている間、ハイレベルの出力信号を出力する。
第2のタイマ4dは、地絡過電圧継電器4bの動作時限を500msとするためのものであり、地絡過電圧継電器4bの出力信号が500ms以上継続すると、ハイレベルの出力信号を出力する。
トリップ信号生成部4eは、第1のタイマ4cの出力信号と第2のタイマ4dの出力信号との論理積をとる論理積回路からなる。これにより、地絡方向継電器4aの瞬時出力信号S1が200ms以上継続しかつ地絡過電圧継電器4bの出力信号が500ms以上継続した場合に、トリップ信号生成部4eからトリップ信号SDGが遮断器5に出力される。
地絡方向継電器4aの瞬時出力信号S1とトリップ信号SDGとは、子局側テレコン21に出力される。
【0014】
限時特性型地絡過電圧継電器6は、V0電圧(オープンデルタ)で動作し、V0電圧の値に比例して復帰時間が長くなる限時特性を有するものである。したがって、限時特性型地絡過電圧継電器6の出力信号(以下、「零相電圧検出信号SV0」と称する。)は、図3に示すように、V0電圧の値に比例してパルス幅が長い信号となる。したがって、零相電圧検出信号SV0のパルス幅に基づいてV0電圧の電圧値を検出することができる。
零相電圧検出信号SV0は、子局側テレコン21に出力される。
【0015】
子局側テレコン21は、SOE(Sequence of Events)機能を備えており、所定の時間間隔(たとえば、10ms)で、地絡方向継電器4aからの瞬時出力信号S1、地絡保護継電器4からのトリップ信号SDGおよび限時特性型地絡過電圧継電器6からの零相電圧検出信号SV0を取り込んで、取り込んだ瞬時出力信号S1、トリップ信号SDGおよび零相電圧検出信号SV0の状変情報を作成して保管し、親局側テレコン23のSOE要求に応じて、瞬時出力信号S1、トリップ信号SDGおよび零相電圧検出信号SV0の状変情報のうちの要求された時間範囲のものを表わすSOE状変記録信号SSOEを親局側テレコン23に通信回線22を介して伝送(たとえば、パケット伝送)する。
【0016】
親局側テレコン23は、監視制御所に設置されており、指定する時間範囲の瞬時出力信号S1、トリップ信号SDGおよび零相電圧検出信号SV0の状変情報の送信を子局側テレコン21に要求するSOE要求信号を子局側テレコン21に送信することによって、子局側テレコン21からSOE状変記録信号SSOEを取得する。
【0017】
地絡事故予知装置24は、監視制御所に設置されており、親局側テレコン23から入力されるSOE状変記録信号SSOEによって表わされる瞬時出力信号S1の状変情報に基づいて地絡方向継電器4aの動作時間を算出することにより、地絡の継続時間を求める。また、地絡事故予知装置24は、親局側テレコン23から入力されるSOE状変記録信号SSOEによって表わされる零相電圧検出信号SV0の状変情報に基づいて零相電圧検出信号SV0のパルス幅を算出することにより、V0電圧の電圧値を求める。
地絡事故予知装置24は、求めた地絡の継続時間およびV0電圧の電圧値をメモリ25に記憶するとともに、求めた地絡の継続時間およびV0電圧の電圧値に基づいて地絡事故を予知すると、たとえば地絡事故予知装置24に接続された端末装置(不図示)などに警報画面を表示したり、地絡事故予知装置24に接続されたスピーカ(不図示)から警報音声を発したりして、警報を発する。
【0018】
次に、本実施例による地絡事故予知システム1の動作(本発明の第1の実施例による地絡事故予知方法)について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、継続時間T1〜T3が200ms未満である微地絡が連続3回発生した場合について、図5に示すタイミングチャートも参照して説明する。
【0019】
図5に示す時刻t1に配電線3において継続時間T1が50msの微地絡が発生すると、微地絡が発生した配電線3においては他の回線からのI0電流が流れ込むとともに、母線2にはV0電圧が発生する。その結果、この微地絡の発生とほぼ同時に、地絡保護継電器4の地絡方向継電器4aが零相変流器8からのI0電流と零相変成器9からのV0電圧とにより動作を開始するとともに、地絡保護継電器4の地絡過電圧継電器4bが零相変成器9からのV0電圧により動作を開始するが、微地絡の継続時間T1が地絡方向継電器4aの動作時限(=200ms)および地絡過電圧継電器4bの動作時限(=500ms)よりも小さいため、地絡保護継電器4の第2のタイマ4dの出力信号はロウレベルのままである。したがって、トリップ信号生成部4eから出力されるトリップ信号SDGはロウレベルのままであるので、トリップ信号SDGは地絡保護継電器4から出力されない(図2参照)。ただし、地絡方向継電器4aは動作するため、地絡方向継電器4aの瞬時出力信号S1は地絡保護継電器4から子局側テレコン21に出力される。
【0020】
また、限時特性型地絡過電圧継電器6が零相変成器9からのV0電圧により動作を開始し、V0電圧の電圧値V1に応じたパルス幅を有する零相電圧検出信号SV0が限時特性型地絡過電圧継電器6から子局側テレコン21に出力される。
【0021】
子局側テレコン21は、瞬時出力信号S1、トリップ信号SDGおよび零相電圧検出信号SV0を取り込んで、取り込んだ瞬時出力信号S1、トリップ信号SDGおよび零相電圧検出信号SV0の状変情報を作成して保存する(以上、ステップS11)。このとき、トリップ信号SDGは地絡保護継電器4から出力されないため、トリップ信号SDGの状変情報は作成されない。
【0022】
この微地絡が回復すると、親局側テレコン23は、この微地絡の継続時間T1を含む時間範囲の瞬時出力信号S1、トリップ信号SDGおよび零相電圧検出信号SV0の状変情報の送信を子局側テレコン21に要求するSOE要求信号を子局側テレコン21に通信回線22を介して送信する。
子局側テレコン21は、このSOE要求信号を受信すると、保管されている要求された時間範囲の瞬時出力信号S1、トリップ信号SDGおよび零相電圧検出信号SV0の状変情報を表わすSOE状変記録信号SSOEを親局側テレコン23に通信回線22を介してパケット伝送する。親局側テレコン23は、SOE状変記録信号SSOEを受信すると、地絡事故予知装置24に出力する(以上、ステップS12)。
【0023】
地絡事故予知装置24は、親局側テレコン23から受け取ったSOE状変記録信号SSOEによって表わされる瞬時出力信号S1の状変情報に基づいて地絡方向継電器4aの動作時間を求めることにより、微地絡の継続時間T1を算出する。
また、地絡事故予知装置24は、親局側テレコン23から受け取ったSOE状変記録信号SSOEによって表わされる零相電圧検出信号S2の状変情報に基づいて零相電圧検出信号S2のパルス幅を求めることにより、V0電圧の電圧値V1を算出する。
地絡事故予知装置24は、算出した微地絡の継続時間T1およびV0電圧の電圧値V1をメモリ25に記憶する(以上、ステップS13)。
【0024】
このとき、地絡事故予知装置24は、算出した微地絡の継続時間T1(=50ms)が200ms(地絡方向継電器4aの動作時限)未満であり、また、微地絡の連続発生回数も1回と3回未満であるため、親局側テレコン23から次のSOE状変記録信号SSOEが入力されてくるまで待機状態となる(ステップS14,S15)。
【0025】
その後、時刻t2に配電線3において継続時間T2が100msの微地絡が発生すると、上述したステップS11〜S13の動作が行われることにより、この微地絡の継続時間T2およびV0電圧の電圧値V2が地絡事故予知装置24によって算出されたのちにメモリ25に記憶される。
【0026】
このときも、地絡事故予知装置24は、算出した微地絡の継続時間T2(=100ms)が200ms(地絡方向継電器4aの動作時限)未満であり、また、微地絡の連続発生回数も2回と3回未満であるため、親局側テレコン23から次のSOE状変記録信号SSOEが入力されてくるまで待機状態となる(ステップS14,S15)。
【0027】
その後、時刻t3に配電線3において継続時間T3が150msの微地絡が発生すると、上述したステップS11〜S13の動作が行われることにより、この微地絡の継続時間T3およびV0電圧の電圧値V3が地絡事故予知装置24によって算出されたのちにメモリ25に記憶される。
【0028】
このとき、地絡事故予知装置24は、算出した微地絡の継続時間T3(=150ms)は200ms(地絡方向継電器4aの動作時限)未満であるが、微地絡の連続発生回数が3回と3回未満でないため、メモリ25に記憶されている継続時間T1〜T3およびV0電圧の電圧値V1〜V3を読み出して、図6の微地絡検出プロット点A〜Cに示すように、読み出した継続時間T1〜T3が単調増加しており、かつ、読み出したV0電圧の電圧値V1〜V3が地絡事故パターンPの電圧値幅W内に入っている場合には、この配電線3において地絡事故が発生する可能性が大きいと判断し(ステップS16)、警報画面を表示したり警報音声で発したりして、警報を発する(ステップS17)。
なお、メモリ25に記憶された状変データ(継続時間T1〜T3およびV0電圧の電圧値V1〜V3など)は、一定期間(たとえば、1ヶ月)が経過すると消去される。
【0029】
次に、時刻tに配電線3において継続時間T4が地絡方向継電器4aの動作時限(=200ms)以上で地絡過電圧継電器4bの動作時限(=500ms)未満の微地絡が発生した場合について、図4に示したフローチャートおよび図7に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0030】
たとえば継続時間T4が300msの微地絡が配電線3において発生すると、配電線3においては他の回線からのI0電流が流れ込むとともに、母線2にはV0電圧が発生する。その結果、この微地絡の発生とほぼ同時に、地絡保護継電器4の地絡方向継電器4aおよび地絡過電圧継電器4bが動作を開始するが、微地絡の継続時間T4が地絡方向継電器4aの動作時限(=200ms)よりも大きいため地絡保護継電器4の第1のタイマ4cの出力信号はロウレベルからハイレベルに変化するが、微地絡の継続時間T4が地絡過電圧継電器4bの動作時限(=500ms)よりも小さいため、地絡保護継電器4の第2のタイマ4dの出力信号はロウレベルのままである。したがって、トリップ信号生成部4eから出力されるトリップ信号SDGはロウレベルのままであるので、地絡保護継電器4からはトリップ信号SDGが出力されない(図2参照)。ただし、地絡方向継電器4aは動作するため、地絡方向継電器4aの瞬時出力信号S1は地絡保護継電器4から子局側テレコン21に出力される。
【0031】
また、限時特性型地絡過電圧継電器6が零相変成器9からのV0電圧により動作を開始し、V0電圧の電圧値V4に応じたパルス幅を有する零相電圧検出信号SV0が限時特性型地絡過電圧継電器6から子局側テレコン21に出力される。
【0032】
子局側テレコン21は、瞬時出力信号S1、トリップ信号SDGおよび零相電圧検出信号S2を取り込んで、取り込んだ瞬時出力信号S1および零相電圧検出信号S2の状変情報を作成して保存する(以上、ステップS11)。このとき、トリップ信号SDGは地絡保護継電器4から出力されないため、トリップ信号SDGの状変情報は作成されない。
【0033】
この微地絡が回復すると、親局側テレコン23が上述したステップS12と同様の動作を行うとともに、地絡事故予知装置24が上述したステップS13と同様の動作を行うことにより、地絡事故予知装置24によって算出された継続時間T4およびV0電圧の電圧値V4がメモリ25に記憶される。
【0034】
また、地絡事故予知装置24は、算出した継続時間T4(=250ms)が200ms(地絡方向継電器4aの動作時限)以上かつ500ms(地絡過電圧継電器4bの動作時限)未満であるため、V0電圧の電圧値V4が地絡事故パターンPのV0電圧値幅W内に入っているか否かを調べる。その結果、図6に微地絡検出プロット点Dで示すように、V0電圧の電圧値V4が地絡事故パターンPのV0電圧値幅W内に入っている場合には、地絡事故予知装置24は、配電線3において地絡事故が発生する可能性が大きいと判断し、警報画面を表示したり警報音声を発したりして、警報を発する(ステップS14〜S17)。
【0035】
次に、本発明の第2の実施例による地絡事故予知システム1’について、図8を参照して説明する。
本実施例による地絡事故予知システム1’は、図8に示すように、子局側テレコン21、親局側テレコン23および地絡事故予知装置24の代わりに、地絡方向継電器4aから入力される瞬時出力信号S1および限時特性型地絡過電圧継電器6から入力される零相電圧検出信号SV0に基づいて微地絡の継続時間およびV0電圧の電圧値を算出して、算出した微地絡の継続時間およびV0電圧の電圧値をメモリ25’に記憶するとともに、算出した微地絡の継続時間およびV0電圧の電圧値に基づいて配電線3における地絡事故を予知する地絡事故予知装置24’を具備する点で、図1に示した第1の実施例による地絡事故予知システム1と異なる。
【0036】
ここで、地絡事故予知装置24’は、瞬時出力信号S1の立上りエッジおよび立下りエッジを検出して、検出した瞬時出力信号S1の立上りエッジおよび立下りエッジの時間差を求めることにより、微地絡の継続時間を算出する。また、地絡事故予知装置24’は、零相電圧検出信号SV0の立上りエッジおよび立下りエッジを検出して、検出した零相電圧検出信号SV0の立上りエッジおよび立下りエッジの時間差(すなわち、零相電圧検出信号SV0のパルス幅)を求め、求めた時間差に基づいてV0電圧の電圧値を算出する。
【0037】
なお、本実施例による地絡事故予知システム1’の動作(本発明の第2の実施例による地絡事故予知方法)については、上述した地絡事故予知装置24’における微地絡の継続時間およびV0電圧の電圧値の算出方法を除いては、図1に示した第1の実施例による地絡事故予知システム1の動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0038】
以上説明したように、本発明による地絡事故予知システムおよび地絡事故予知方法では、遠隔地の監視制御所に設けられた親局側テレコン23および地絡事故予知装置24において配電線における地絡事故を予知することができるとともに、各配電線における地絡事故に関する情報を一括管理することもできる。
【0039】
また、本発明の地絡事故予知システムおよび地絡事故予知方法は、6.6kVおよび22kVなどの配電線に限らず、22kV以上の送電線にも適用することができる。
さらに、配電線で現在用いられているDM遠方制御装置(配電自動化装置)を組み合わせることもできる。
【0040】
以上の説明においては、継続時間が地絡方向継電器4aの動作時限未満の微地絡が発生した場合には、微地絡の連続発生回数が3回以上となったときに地絡事故予知装置24,24’が地絡事故予知動作を行ったが、微地絡の連続発生回数が所定の回数以上となったときに地絡事故予知装置24,24’が地絡事故予知動作を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施例による地絡事故予知システム1の構成を示す図である。
【図2】図1に示した地絡方向継電器4の構成を示す図である。
【図3】図1に示した限時特性型地絡過電圧継電器6の限時特性を説明するための図である。
【図4】図1に示した地絡事故予知システム1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】継続時間が地絡方向継電器4aの動作時限未満の微地絡が発生した場合における図1に示した地絡事故予知システム1の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】地絡事故パターンPの一例を示す図である。
【図7】継続時間が地絡方向継電器4aの動作時限以上で地絡過電圧継電器4bの動作時限未満の微地絡が発生した場合における図1に示した地絡事故予知システム1の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】本発明の第2の実施例による地絡事故予知システム1’の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1,1’ 地絡事故予知システム
2 母線
3 配電線
4 地絡保護継電器
4a 地絡方向継電器
4b 地絡過電圧継電器
4c,4d 第1および第2のタイマ
4e トリップ信号生成部
5 遮断器
6 限時特性型地絡過電圧継電器
8 零相変流器(ZCT)
9 零相変成器(GPT)
21 子局側テレコン
22 通信回線
23 親局側テレコン
24,24’ 地絡事故予知装置
25,25’ メモリ
A〜D 微地絡検出プロット点
P 地絡事故パターン
1 瞬時出力信号
DG トリップ信号
V0 零相電圧検出信号
SOE SOE状変記録信号
S11〜S17 ステップ
t,t1〜t3 時刻
1〜T4 継続時間
1〜V4 零相電圧の電圧値
W 電圧値幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母線(2)から分岐された電線路(3)に設けられた零相変流器(8)および該母線に設けられた零相変成器(9)に接続された地絡方向継電器(4a)と該零相変成器に接続された地絡過電圧継電器(4b)とを備えた地絡保護継電器(4)と、
前記零相変成器に接続された、かつ、零相電圧の値に比例して復帰時間が長くなる限時特性を有する限時特性型地絡過電圧継電器(6)と、
前記地絡方向継電器から入力される瞬時出力信号(S1)に基づいて前記電線路における微地絡の継続時間を算出するとともに前記限時特性型地絡過電圧継電器から入力される零相電圧検出信号(SV0)に基づいて該微地絡発生時の零相電圧の電圧値を算出し、該算出した微地絡の継続時間および零相電圧の電圧値に基づいて前記電線路における地絡事故を予知する地絡事故予知手段(24;24’)と、
を具備することを特徴とする、地絡事故予知システム。
【請求項2】
前記地絡事故予知手段が、前記算出した微地絡の継続時間が前記地絡方向継電器の動作時限未満である場合には、前記電線路において連続して生じた微地絡ごとに算出した継続時間が単調増加しており、かつ、該電線路において連続して生じた微地絡ごとに算出した零相電圧の電圧値がすべて地絡の継続時間および零相電圧の電圧値の関係を示す地絡事故パターン(P)の電圧値幅(W)内に入っている場合に、前記電線路における地絡事故を予知することを特徴とする、請求項1記載の地絡事故予知システム。
【請求項3】
前記地絡事故予知手段が、前記算出した微地絡の継続時間が前記地絡方向継電器の動作時限以上で前記地絡過電圧継電器の動作時限未満である場合には、前記算出した零相電圧の電圧値が地絡の継続時間および零相電圧の電圧値の関係を示す地絡事故パターン(P)の電圧値幅(W)内に入っている場合に、前記電線路における地絡事故を予知することを特徴とする、請求項1または2記載の地絡事故予知システム。
【請求項4】
前記地絡事故予知手段が、
所定の時間間隔で前記瞬時出力信号および前記零相電圧検出信号を取り込んで、該取り込んだ瞬時出力信号および零相電圧検出信号の状変情報を保管する子局側遠方監視制御装置(21)と、
該子局側遠方監視制御装置と通信回線(22)を介して相互接続された親局側遠方監視制御装置(23)であって、前記電線路において微地絡が発生すると、該微地絡の継続時間を含む時間範囲の前記瞬時出力信号および前記零相電圧検出信号の状変情報の送信を要求する要求信号を前記子局側遠方監視制御装置に前記通信回線を介して送信し、該子局側遠方監視制御装置から前記要求した時間範囲の瞬時出力信号および零相電圧検出信号の状変情報を受信する親局側遠方監視制御装置(23)と、
該親局側遠方監視制御装置から入力される前記瞬時出力信号および前記零相電圧検出信号の状変情報に基づいて、前記電線路における地絡事故を予知する地絡事故予知装置(24)と、
を備えることを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載の地絡事故予知システム。
【請求項5】
前記地絡事故予知装置(24)が、
前記瞬時出力信号の状変情報に基づいて前記地絡方向継電器の動作時間を求めることにより、前記微地絡の継続時間を算出し、
前記零相電圧検出信号の状変情報に基づいて該零相電圧検出信号のパルス幅を求めることにより、前記零相電圧の電圧値を算出する、
ことを特徴とする、請求項4記載の地絡事故予知システム。
【請求項6】
前記地絡事故予知手段が、前記地絡方向継電器から入力される瞬時出力信号および前記限時特性型地絡過電圧検出器から入力される零相電圧検出信号に基づいて前記電線路における地絡事故を予知する地絡事故予知装置(24’)を備えることを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載の地絡事故予知システム。
【請求項7】
前記地絡事故予知装置(24’)が、
前記瞬時出力信号の立上りエッジおよび立下りエッジを検出して、該検出した瞬時出力信号の立上りエッジおよび立下りエッジの時間差を求めることにより、前記微地絡の継続時間を算出し、
前記零相電圧検出信号の立上りエッジおよび立下りエッジを検出して、該検出した零相電圧検出信号の立上りエッジおよび立下りエッジの時間差を求め、該求めた時間差に基づいて前記零相電圧の電圧値を算出する、
ことを特徴とする、請求項6記載の地絡事故予知システム。
【請求項8】
母線(2)から分岐された電線路(3)に生じる地絡事故を予知するための地絡事故予知方法であって、
前記電線路に設けられた零相変流器(8)および前記母線に設けられた零相変成器(9)に接続された地絡方向継電器(4a)と該零相変成器に接続された地絡過電圧継電器(4b)とを備えた地絡保護継電器(4)から出力される瞬時出力信号(S1)と、前記零相変成器に接続された限時特性型地絡過電圧継電器(6)から出力される零相電圧検出信号(SV0)とを地絡事故予知手段(24;24’)に入力する第1のステップ(S11,S12)と、
前記地絡事故予知手段が、前記瞬時出力信号に基づいて前記電線路における微地絡の継続時間を算出するとともに前記零相電圧検出信号に基づいて該微地絡発生時の零相電圧の電圧値を算出し、該算出した微地絡の継続時間および零相電圧の電圧値に基づいて前記電線路における地絡事故を予知する第2のステップ(S13〜S17)と、
を具備することを特徴とする、地絡事故予知方法。
【請求項9】
前記第1のステップにおいて、
子局側遠方監視制御装置(21)が、所定の時間間隔で前記瞬時出力信号および前記零相電圧検出信号を取り込んで、該取り込んだ瞬時出力信号および零相電圧検出信号の状変情報を保管し、
前記子局側遠方監視制御装置と通信回線(22)を介して相互接続された親局側遠方監視制御装置(23)が、前記電線路において微地絡が発生すると、該微地絡の継続時間を含む時間範囲の前記瞬時出力信号および前記零相電圧検出信号の状変情報の送信を要求する要求信号を前記子局側遠方監視制御装置に前記通信回線を介して送信し、該子局側遠方監視制御装置から前記要求した時間範囲の瞬時出力信号および零相電圧検出信号の状変情報を受信し、
前記第2のステップにおいて、
前記親局側遠方監視制御装置に接続された地絡事故予知装置(24)が、該親局側遠方監視制御装置から入力される前記瞬時出力信号の状変情報に基づいて前記地絡方向継電器の動作時間を求めることにより前記微地絡の継続時間を算出するとともに、該親局側遠方監視制御装置から入力される前記零相電圧検出信号の状変情報に基づいて該零相電圧検出信号のパルス幅を求めることにより前記零相電圧の電圧値を算出し、
前記地絡事故予知装置が、前記算出した微地絡の継続時間が前記地絡方向継電器の動作時限未満である場合には、前記電線路において連続して生じた微地絡ごとに算出した継続時間が単調増加しており、かつ、該電線路において連続して生じた微地絡ごとに算出した零相電圧の電圧値がすべて地絡の継続時間および零相電圧の電圧値の関係を示す地絡事故パターン(P)の電圧値幅(W)内に入っている場合に、前記電線路における地絡事故を予知し、また、前記算出した微地絡の継続時間が前記地絡方向継電器の動作時限以上で前記地絡過電圧継電器の動作時限未満である場合には、前記算出した零相電圧の電圧値が前記地絡事故パターンの電圧値幅内に入っている場合に、前記電線路における地絡事故を予知する、
ことを特徴とする、請求項8記載の地絡事故予知方法。
【請求項10】
前記第2のステップにおいて、
前記地絡保護継電器および前記限時特性型地絡過電圧継電器に接続された地絡事故予知装置(24’)が、前記瞬時出力信号の立上りエッジおよび立下りエッジを検出して、該検出した瞬時出力信号の立上りエッジおよび立下りエッジの時間差を求めることにより、前記微地絡の継続時間を算出し、
前記零相電圧検出信号の立上りエッジおよび立下りエッジを検出して、該検出した零相電圧検出信号の立上りエッジおよび立下りエッジの時間差を求め、該求めた時間差に基づいて前記零相電圧の電圧値を算出し、
前記地絡事故予知装置が、前記算出した微地絡の継続時間が前記地絡方向継電器の動作時限未満である場合には、前記電線路において連続して生じた微地絡ごとに算出した継続時間が単調増加しており、かつ、該電線路において連続して生じた微地絡ごとに算出した零相電圧の電圧値がすべて地絡の継続時間および零相電圧の電圧値の関係を示す地絡事故パターン(P)の電圧値幅(W)内に入っている場合に、前記電線路における地絡事故を予知し、また、前記算出した微地絡の継続時間が前記地絡方向継電器の動作時限以上で前記地絡過電圧継電器の動作時限未満である場合には、前記算出した零相電圧の電圧値が前記地絡事故パターンの電圧値幅内に入っている場合に、前記電線路における地絡事故を予知する、
ことを特徴とする、請求項8記載の地絡事故予知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−5552(P2009−5552A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166436(P2007−166436)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】