説明

地震対応給水緊急遮断弁システム

【課題】
地震時に給水装置、貯水タンク類の転倒、配管損傷等による漏水二次災害防止と保有水の確保を目的とし、集合住宅等において個別対応が可能な給水緊急遮断弁システムを提供するもの。
【解決手段】
地震を感知する感震器と給水を遮断する電動弁それらを作動させる配線類、感震器作動状況を示す表示灯から構成された簡易な給水遮断弁システムを提供する。
地震時に給水装置、貯水タンク類の転倒、配管損傷による漏水二次災害の防止と保有水の確保が可能であり、新築はもとより、給水引込管や貯水タンク等の出口配管に遮断弁が未設置の既築集合住宅等においても取付けが容易であり、各住宅内で発生する漏水二次災害の防止に応用も可能である。
感知信号を取出してことで中央監視が可能となり、電話回線やインターネットの利用で遠隔監視に対応できるため、災害時のライフラインの迅速な復旧、被害状況の確認等に役立てることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震時に起こりうる給水装置、貯水タンク類の転倒および配管損傷による漏水二次災害の防止、保有水の確保目的とした地震対応給水緊急遮断弁システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震時に給水管が破損し、水が流出するのを防止し災害時の水を確保するための方法として、緊急遮断弁と感震器、流量計及び圧力センサーなどの制御部を組み合わせたシステムが存在する。
【0003】
前記のシステムは、集合住宅の高架水槽や受水槽に設置されるもので、高架水槽から二次側配管部分の水漏れが防止できないことと、システムが専用の遮断弁や各種高度な制御機能を組み合わせているため、コストが高額なものとなっている。
【0004】
また、給水装置からの水の流出を防止するため、給水弁と感震器を組み合わせたシステムが存在する。このシステムは、給水弁を感震器からの信号でスプリングとワイヤーを用いて操作するものであり、システムが大掛かりなものとなり、設置スペースを必要とするため、各戸別の設置がなかなか進まない状況である。
【0005】
漏水は当該者だけでなく、当該者以外の財産にも多大な被害を及ぼすことが予想され、漏水による二次災害の防止が急務である。これらの問題を解決するために、給水装置、貯水タンク類、また、各戸別に対応できるコスト的にも簡易なシステムを開発した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地震時に保有水を確保するために、高架水槽や受水槽の出入口配管に遮断弁を設置する方法がある。例えば、特開平9−53738号に開示される「受水槽用緊急遮断方式」が類似として考案されているが、既存の設備に追加するには高価であるため導入が進んでいない。実用新案第3015633号に登録される「電気温水器や貯水槽の緊急停止装置」では、設置スペース、取り付け工事が困難であると考えられ、給水装置、貯水タンク類、また、各戸別に対応できるコスト的にも簡易なシステムが必要である。
【特許文献1】特開平9−53738号「受水槽用緊急遮断方式」
【特許文献2】実用新案第3015633号「電気温水器や貯水槽の緊急停止装置」
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、地震を感知する鋼球落下式構造の感震器と給水を遮断する電動弁及び、それらを作動させるための接続ケーブル、接続器具から構成され感震器を保護する収納箱には感震器作動状況を示す表示灯が取付けられた簡易な給水遮断弁システムが本発明の特徴である。
【0008】
本発明は、汎用品を使用することで、早期に構築することが可能で修繕維持も容易であることを特徴とする。
【0009】
さらに、外部信号用のリレーの追加で中央監視、遠隔監視が可能となる。また、遮断用リレーの接点を複数にすることで同時に複数の遮断弁を作動させることが可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、地震時に起こり得る給水装置、貯水タンク類の転倒及び配管損傷による漏水二次災害の防止、保有水の確保が可能であり、新築はもとより、給水引込管や貯水タンク等の出口配管に遮断弁が未設置の既築集合住宅等においても追加取付けが容易であり、各戸別住宅内で発生する漏水二次災害の防止に応用も可能である。
また、電話回線、インターネットなどの利用で遠隔監視が可能となるため、災害時の迅速な復旧、被害状況の確認等に役立てることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面にしたがって本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1に本発明の実施形態に係る地震対応給水緊急遮断弁システムの概要を示す。図1において、給水装置1に接続されている給水配管2および給湯配管3の給水配管2に遮断弁4を配管取付けする。地震を感知する感震器5が収納された収納箱6は給水装置1が設置してある室の壁面に固定する。収納箱6と遮断弁4は接続ケーブル7で接続されており、感震器5により設定震度を感知した場合に通電し遮断弁4が給水配管2の給水を遮断と同時に表示灯8が点灯する。復旧については、漏水の有無を調査し安全を確認した後に収納箱6内の感震器5をリセットして復旧する。その際に表示灯8は消灯する。遮断弁4については、スプリングリターン電動ボール弁、電磁弁が望ましいが、特にこれに限定されるものではない。
【0013】
図2は、感震器5が収納されている収納箱6の拡大図であり、収納箱6内は、感震器5、端子台11、外部信号用リレー12が配置され、配線接続されている。また、外部から電源線9、接続ケーブル7、外部出力信号線10が端子台に接続される。
【0014】
外部信号用リレー12は、遮断弁4の通電回路として使用でき、中央監視、遠隔監視用の信号を出すこともできる。また、リレー回路を増設することで複数の遮断弁を同時に操作することが可能である。
【0015】
収納箱6に供給する電源は、遮断弁4、感震器5、外部信号用リレー12、の仕様をかえることで、直流、交流とも対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の地震対応給水緊急遮断弁システム作動状況を示す説明図
【図2】地震対応給水緊急遮断弁システムの収納箱内の配置状況を示す図
【符号の説明】
【0017】
1 給水装置
2 給水配管
3 給湯配管
4 遮断弁
5 感震器
6 収納箱
7 接続コード
8 表示灯
9 電源線
10 外部出力信号線
11 端子台
12 外部信号用リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本システムは、機械式の単純構造の感震器と市販の電気信号で開閉する弁(以下電動弁)を遮断弁として構成された簡易な給水遮断弁システム。
【請求項2】
感度震度を設定し、地震時に小型給湯機など(以下給水装置)及び接続配管等からの漏水による二次災害を防止し、給水装置や高架水槽や受水槽、給水タンク等(以下貯水タンク)の保有水を確保することができる給水遮断弁システム。
【請求項3】
給水配管の量水器の二次側に電動弁を設置することによって、隠蔽配管等からの漏水など、各戸別住宅全体の漏水に対応することができる給水遮断弁システム。
【請求項4】
1台の感震器から複数の電動弁を同時に作動させて給水を遮断することができる給水遮断弁システム。
【請求項5】
表示灯、外部出力用リレーを追加することで、現場監視・遠隔監視に対応することができる給水遮断弁システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−314951(P2007−314951A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142805(P2006−142805)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(591080678)株式会社中電工 (64)
【Fターム(参考)】