説明

地震警報装置

【課題】地震の発生が必然的に予知できない状況において、その被害を少なくするために地震の情報および対処手段を人々に如何に迅速に知らせるかが本発明の課題である。従来の手段では、テレビやラジオなどを通じて地震発生の情報が地震発生直後に放送されるが、この場合、受信している人々にしか知らせられなかったり、対処手段の情報の遅れなどが生じたりすることが考えられるので、被害を抑制する効果が十分に期待できないという課題が残っている。本発明では、地震発生の情報および対処手段をほぼ瞬時に音声で警報することで、前記の課題を解決する。
【解決手段】本発明の解決手段は、マイクロコンピュータが加速度センサーの情報を読込み、デジタル信号処理を行い、地震の有無または地震の強さを推定した結果に応じて、人々がパニックに陥らないように安全かつ冷静な行動をとるように、適切な音声内容で案内する手段である。ただし、警報音声の内容は、利用者が自由に予め記録装置に保存したメッセージである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震による災害から逃れるために、地震発生時に対して、地震発生の情報および地震への対処すべき行動を音声で人々に警報する地震警報装置に関するものである。
【背景の技術】
【0002】
地震情報の知らせシステムにおいては、地震発生直後に、テレビおよびラジオを通じて地震の震度などの情報が放送されているため、地震発生から放送されるまでの時間がかかってしまう。その間、地震による災害を受けてしまうことが考えられる。例えば、夜間に睡眠をとっている人々にとっては、地震発生に気がつくことができなく、地震への対処が取れないことが考えられる。
そこで、地震が発生しているときに、できるだけその瞬間的に人々に知らせる必要がある。
【特許文献1】特許公開平8−77475
【特許文献2】特許公開平8−263771
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
地震の発生が必然的に予知できないため、地震が発生している間もしくはその後の被害を如何に少なくするかが本発明の解決しようとする課題である。今まで、地震発生の情報をテレビまたはラジオなどを通じて、人々にお知らせる手段をとってきたため、地震の情報を伝えられなかったり、情報伝達の遅れが生じたりすることがあるため、被害を抑制する効果が十分に期待できないという課題が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の手段は、マイクロコンピュータが建物の揺れを検知する加速度センサーからの情報を読込み、地震の有無または地震の強さを推定するデジタル処理を行って、そして推定した地震の強さに応じて、人々がパーニックに陥らないように安全かつ冷静な行動をとるように、音声で警報する手段である。ただし、警報の音声の内容は、予め記録装置に保存されたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明では、地震発生の瞬時において、地震への対処すべき行動を迅速に取れるように、人々を警報音声で誘導することによって、地震による災害を抑えることができる効果がある。例えば、「ただ今、震度5程度の地震が発生、震度5程度の地震が発生、落ち着いてください。ものの倒壊に気をつけてください。ガスを止めてください。机の下に潜って安全な体制を確保してください。」というような警報音声で警報することが考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
地震警報装置においては、地震発生の情報をいかに迅速に警報し、人々に地震への対処を適切にとらせることによって、災害を受けるのを防ぐことが重要である。そのために、本発明では、マイクロコンピュータ4が地震発生を検知する加速度センサー(X−軸)1、加速度センサー(Y−軸)2、加速度センサー(Z−軸)3の出力信号から地震の強さを常に推定して、そして、推定した地震の強さに応じて、記憶装置5に保存されていた音声データを再生し、人々に速やかに知らせる地震警報装置を構築する。
【0007】
図1は、本発明の地震警報装置のブロック図である。マイクロコンピュータ4が前記加速度センサー1、2、3から読み込まれた時系列データを数1、2、3で処理する。
【数1】

【数2】

【数3】

ただし、axk,ayk,azkは、分子係数である。
xk,byk,bzkは、分母係数である。
n は、分子整数である。
m は、分母整数である。
(i),q(i),q(i)は、加速度サンサー1と加速度センサー2と加速度センサー3からの時系列データそれぞれである。
(i),p(i),p(i)は、x−軸とy−軸とz−軸の加速度の解析結果それぞれである。
【0008】
上記解析の結果から、地震発生の有無を数4で判定する。
【数4】

ただし、Lは、地震の有無のしきい値である。
数4の条件が成り立てれば、地震発生が無と判定し、そうでなければ、地震が発生していると判定する。また、地震の強さの判定は、数5で行う。
【数5】

ただし、kは1以上かつ7以下の整数である。
は、地震の強さのレベルKのシキイ値である。
数5の条件が満たされれば、地震の強さがレベルKと判定される。
【0009】
ここで、地震が発生したと判定した場合には、地震の強さに応じて、マイクロコンピュータ4が記憶装置5に制御信号を送って、記憶されている音声データを増幅器10に入力し、警報音声をスピーカー11で警報する。
【0010】
音声データの録音については、録音押しボタンスイッチ7を押すことによって、マイクロコンピュータ4が、利用者の音声を変換した音声変換装置6からの信号を記憶装置5にデジタルデータとして保存するように、記憶装置5を録音モードに制御する。また、停止押しボタンスイッチ8を押すと、音声の録音を停止させるように、記憶装置5を停止モードに制御する。再生押しボタンスイッチ9を押すと、記憶装置5が保存した音声データを増幅器へ出力し、スピーカー11で出力された音声の内容を確認することができる。音声の内容は、地震の強さおよび対処すべき行動を利用者に案内する内容である。例えば、「ただ今、震度5程度の地震が発生、震度5程度の地震が発生、落ち着いてください。ものの倒壊に気をつけてください。ガスを止めてください。机の下に潜って安全な体制を確保してください。」等々の音声内容が考えられる。
【0011】
マイクロコンピュータ4が地震発生の有無を無と判定しているときに、増幅器10の電源供給モードを省電力モードあるいはスタンバイモードに制御する。
【0012】
本発明の地震警報装置と他の装置との双方通信を行うために、マイクロコンピュータ4がインターフェース回路12を通じて、情報を送受信する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の地震警報装置の原理構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 加速度センサー(X−軸)
2 加速度センサー(Y−軸)
3 加速度センサー(Z−軸)
4 マイクロコンピュータ
5 記憶装置
6 音声変換装置
7 録音押しボタンスイッチ
8 停止押しボタンスイッチ
9 再生押しボタンスイッチ
10 増幅器
11 スピーカー
12 インターフェース回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震による建物の揺れを検知する加速度センサーからの情報をマイクロコンピュータの演算処理で、地震発生の有無および地震の強さを判定することを特徴とする地震警報装置。
【請求項2】
前記マイクロコンピュータで判定した地震発生の有無および地震の強さに応じて、記憶装置に予め保存した警報音声データを再生することを特徴とする地震警報装置。
【請求項3】
利用者の音声を音声変換装置で変換して出力したものを記憶装置に音声データとして保存することができることを特徴とする地震警報装置。
【請求項4】
前記マイクロコンピュータが前記警報音声を増幅する増幅器の消費電力モードを「スタンバイモード」にもしくは「動作モード」に適切に設定することを特徴とする地震警報装置。
【請求項5】
前記マイクロコンピュータがネットワーク通信ポートを通じて、外部の装置との情報通信を行うことを特徴とする地震警報装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−25281(P2009−25281A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213140(P2007−213140)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(506353585)学校法人国際技能工芸機構ものつくり大学 (4)
【Fターム(参考)】