説明

垂直オフセット構造体における高応力領域の緩和

【課題】垂直オフセット構造体を構成する代替方法を提供すること。
【解決手段】実施形態は、第1および第2の端部分(13、14)、第1および第2の端部分を連結する中間部分(70)、ならびに上側および下側の表面(48、15)を有する柔軟な層(12)を形成することを含む。中間部分における上側と下側の表面間の距離は、第1および第2の端部分における上側と下側の表面間の距離よりも小さい。第1の端部分は、基部部材(44)に接合される。柔軟な層の第2の端部分は、第2の端部分が基部部材と接するまでたわまされる。第2の端部分は、基部部材に接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権益の記述(声明)
本発明は、契約番号W31P4Q−07−D−0025に基づく政府支援が米国陸軍によって与えられて行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)またはマイクロシステム技術(MST)またはナノテクノロジーでの使用のための垂直オフセットシリコン構造体は、電圧Vを用いること、シリコン構造体5をエッチングされたガラス基板10にアノード接合すること(図1−1)、ハンドル材料をシリコンから取り除くこと、および次いで電圧Vを使用して第2のアノード接合を行う間シリコンの一部分を押してガラスと接触させること(図1−2)によって作製することができる。この第2の接合の形成中に、シリコン5は、ガラス10まで引き下げられ、高応力が、第1のアノード接合が生じた押し下げ構造体の固定部の近くで成長する可能性がある。これらの応力は、シリコン押し下げ構造体5内に破砕を引き起こすまたはさもなければ機構の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の好ましいおよび代替実施形態は、次の図面を参照して以下で詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1−1は、従来技術による垂直オフセットシリコン構造体の構成を例示する図である。図1−2は、従来技術による垂直オフセットシリコン構造体の構成を例示する図である。
【図2】図2−1は、本発明の代替実施形態による垂直オフセット構造体の構成を例示する図である。図2−2は、本発明の代替実施形態による垂直オフセット構造体の構成を例示する図である。
【図3】図3−1は、本発明の代替実施形態による垂直オフセット構造体の構成を例示する図である。図3−2は、本発明の代替実施形態による垂直オフセット構造体の構成を例示する図である。
【図4】図4−1は、本発明の代替実施形態による垂直オフセット構造体の構成を例示する図である。図4−2は、本発明の代替実施形態による垂直オフセット構造体の構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図2−1および2−2は、本発明の一実施形態により形成される微小電気機械システム(MEMS)装置の垂直オフセット構造体200の構成の側面図を例示する。構造体200は、シリコン層12および基部44から形成される。基部は別法として、シリコンオン酸化物(SOI)、シリコン−酸化物−シリコン−酸化物−シリコン(二重SOI)、またはシリコンオン金属(SOM)でできていてもよいが、一実施形態では、基部44はガラスでできている。加えて、代替実施形態および組合せでは、層12(本明細書の以下で論じられる層46もまた)および基部44は、導電性材料(例えば、シリコン、ポリシリコン、金、アルミニウムまたは他の金属)、非導電性材料(例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、その他)または半導電性材料(例えば、Si、InP、GaAs、その他)でできていてもよい。シリコン層12は、第1および第2の端部分13、14、第1および第2の端部分を連結する中間部分70、ならびに層12の長さにわたって広がる上側および下側の表面48、15を含む。中間部分70は、中間部分における上側と下側の表面48、15間の距離が、第1および第2の端部分13、14における上側と下側の表面間の距離よりも小さくなるように、シリコン層12をエッチングすることによって形成される。
【0006】
中間部分70が形成された後、第1の端部分13は、固定部40を形成するためにガラス基部44に接合される。シリコン層12およびガラス基部44の場合には、アノード接合が、層12を基部44に接合するために使用されてもよい。基部44およびシリコン層12が異なる材料でできているときは、当業者に既知のフリット、溶融、共融、エポキシ接着技術を含むが限定はされない、適切な接合が使用されてもよい。
【0007】
続いて、および図2−2で最もよく例示されるように、シリコン層12の第2の端部分14は、参照数字74によって示されるように、第2の端部分が基部44と接するまで、垂直距離64をたわまされる。たわみは、導電性または半導電性材料62、好ましくは高ドープシリコンによってもたらされてもよい。導電性材料62が第2の端部分14と接触している間に、電圧52が、第2の端部分14の基部へのアノード接合をもたらすために基部44と第2の端部分14の間に印加される。代替実施形態では、層12(本明細書の以下で論じられる層46もまた)と基部44の間の第1および/または第2の接合は、フリット、溶融、共融、エポキシ接着または他の適切な種類の接合技術の使用を通じてもたらされてもよい。
【0008】
従って、シリコン12をガラス44に接合する前に、固定部位置40の近くに中間部分70を作製するために、部分エッチングが、その位置における材料を薄くするために実施される。そうすることは、構造体を垂直方向により柔軟にする。加えて、ガラスと部分的にエッチングされたシリコンの表面の間のすき間は、アノード接合が固定部の近くで生じて、過度に高い応力を引き起こすことを防止するであろう。
【0009】
図3−1および3−2は、本発明の別の実施形態により形成される微小電気機械システム(MEMS)装置の垂直オフセットシリコン構造体300の構成の側面図を例示する。構造体300は、シリコン層46および基部44から形成される。一実施形態では、基部44は、ガラスでできている。シリコン層46は、第1および第2の端部分13、14を含む。導電性(例えば、金属の)層80は、ガラス基部44上に堆積される。シリコン層46は、導電層80および電圧源52に電気的に結合される。
【0010】
第1の端部分13は、固定部40を形成するためにガラス基部44に接合される。シリコン層46およびガラス基部44の場合には、アノード接合が、層46を基部44に接合するために使用されてもよい。基部44およびシリコン層46が異なる材料でできているときは、当業者に既知の適切な接合技術が使用されてもよい。
【0011】
続いて、および図3−2で最もよく例示されるように、シリコン層46の第2の端部分14は、参照数字92によって示されるように、第2の端部分が基部44と接するまで、垂直距離94をたわまされる。たわみは、導電性または半導電性材料、好ましくは高ドープシリコンによってもたらされてもよい。導電性材料が第2の端部分14と接触している間に、電圧52が、第2の端部分14の基部へのアノード接合をもたらすために、基部44と第2の端部分14の間に印加される。
【0012】
従って、ガラス44およびシリコン46を一緒に接合する前に、金属層80が、押し下げ湾曲部の下のガラス上に堆積される。この金属は、第1のアノード接合部40においてシリコン層46に電気的に接続される。第2のアノード接合中、金属およびシリコンは、同じ電位であろうし、固定部の近くでシリコンを下へ引っ張る力はないであろう。このことは、高応力が固定部40の近くで生じることを防止するであろう。
【0013】
図4−1および4−2は、本発明の別の実施形態により形成される微小電気機械システム(MEMS)装置の垂直オフセットシリコン構造体400の構成の側面図を例示する。構造体400は、シリコン層46および基部44から形成される。一実施形態では、基部44は、ガラスでできている。シリコン層46は、第1および第2の端部分13、14を含む。
【0014】
第1の端部分13は、固定部40を形成するために端部分49においてガラス基部44に接合される。シリコン層46およびガラス基部44の場合には、アノード接合が、層46を基部44に接合するために使用されてもよい。基部44およびシリコン層46が異なる材料でできているときは、当業者に既知の適切な接合技術が使用されてもよい。
【0015】
シリコン層46の第2の端部分14は、参照数字92によって示されるように、第2の端部分が基部44と接するまで、垂直距離114をたわまされる。たわみは、導電性または半導電性材料、好ましくは高ドープシリコンによってもたらされてもよい。導電性材料が第2の端部分14と接触している間に、電圧が、第2の端部分14の基部へのアノード接合をもたらすために、基部44と第2の端部分14の間に印加され、それによってシリコン層の湾曲部分110を形成する。
【0016】
続いて、および図4−2で最もよく例示されるように、第1の端部分13およびガラス基部の端部分49は、完成した構造体を作製するために、湾曲部分110に位置する切断平面112において取り除かれる。このようにして、ダイが個別化されるとき、固定部40は、層46のたわみに起因する関連した応力と一緒に取り除かれる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態が、上で述べられたように、例示され、説明されたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更を行うことが可能である。加えて、本発明の範囲は、好ましい実施形態の開示によっては限定されない。その代わりに、本発明は、次に来る特許請求の範囲を参照することにより全面的に決定されるべきである。
【0018】
排他的な財産または権利が請求される本発明の実施形態は、次の通りに定義される。
【符号の説明】
【0019】
5 シリコン構造体
10 エッチングされたガラス基板
12 シリコン層
13 第1の端部分
14 第2の端部分
15 下側の表面
40 固定部
44 基部
46 シリコン層
48 上側の表面
49 ガラス基部の端部分
52 電圧
62 導電性材料
64 垂直距離
70 中間部分
74 第2の端部分と基部との接触
80 導電層
92 第2の端部分と基部との接触
94 垂直距離
110 シリコン層の湾曲部
112 切断平面
114 垂直距離
200 MEMS装置の垂直オフセット構造体
300 MEMS装置の垂直オフセット構造体
400 MEMS装置の垂直オフセット構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直オフセット構造体(200)を構成する方法であって、
第1および第2の端部分(13、14)と、
前記第1および第2の端部分を連結する中間部分(70)と上側および下側の表面(48、15)とを含み、
前記中間部分における前記上側と下側の表面間の距離は、前記第1および第2の端部分における前記上側と下側の表面間の距離よりも小さい、柔軟な層(12)を形成するステップと、
前記第1の端部分を基部部材(44)に接合するステップと、
前記第2の端部分が前記基部部材と接するまで、前記柔軟な層の前記第2の端部分をたわませるステップと、
前記第2の端部分を前記基部部材に接合するステップとを含む方法。
【請求項2】
垂直オフセット構造体(300)を構成する方法であって、
第1および第2の端部分(13、14)を有する柔軟な層(46)を形成するステップと、
基部部材(44)上に導電層(80)を堆積させるステップと、
前記柔軟な層を前記導電層に電気的に結合するステップと、
前記第1の端部分を前記基部部材に接合するステップと、
前記第2の端部分が前記基部部材と接するまで、前記柔軟な層の前記第2の端部分をたわませるステップと、
前記第2の端部分を前記基部部材に接合するステップとを含む方法。
【請求項3】
垂直オフセット構造体(400)を構成する方法であって、
第1および第2の端部分(13、14)を有する柔軟な層(46)を形成するステップと、
前記第1の端部分を基部部材(44)の端部分に接合するステップと、
前記第2の端部分が前記基部部材と接するまで、前記柔軟な層の前記第2の端部分をたわませ、それによって前記柔軟な層の湾曲部分(110)を形成するステップと、
前記第2の端部分を前記基部部材に接合するステップと、
前記湾曲部分において前記第1の端部分および基部部材の端部分を取り除くステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−179452(P2010−179452A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−266466(P2009−266466)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】