説明

型内被覆組成物

【課題】1液で使用でき、容易かつ実用的に優れた型内被覆成形用組成物を提供する。
【解決手段】成分として、(A)変性ポリオレフィン、(B)少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー、不飽和ポリエステル樹脂、又はエチレン性不飽和モノマー、(C)カルボン酸金属塩、リン酸エステル金属塩又はソルビトール誘導体、(D)重合開始剤、及び(E)離型剤を有する。また、(A)/(B)=70/30〜6/94(質量部)、及び (A)/(C)=100/0.01〜100/5(質量部)を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型内被覆組成物に関する。特に、本発明は、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂の射出成形や、射出圧縮成形、射出プレス成形、圧縮成形に好適な型内被覆成形用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車や、弱電、建材関係などには熱可塑性樹脂成形品が数多く使用されるようになっている。特にポリオレフィン系樹脂は、成形性や、耐水性、耐薬品性等に優れた性質を有し、かつ安価であることから、広範に使用されている。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂成形品の大きな欠点は、耐候性や表面傷付性に劣り、用途によっては塗装を必要とする。このような欠点を解決するために、型内被覆が施されることがある。
しかしながら、従来の型内被覆用組成物は、熱硬化性成形材料を基材とする場合には充分な付着性を発現するものの、ポリオレフィン系樹脂のような非極性樹脂を基材とする場合には、付着性が不足し、十分な塗膜性能を得ることができない問題がある。
このような問題を解決するものとして、アクリル変性ポリオレフィンと、反応性オリゴマー及び/又は反応性モノマーと、ラジカル重合性開始剤とを特定の割合で含有するインモールドコート用塗料組成物が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に記載されているインモールドコート用塗料組成物では、型内塗装成形品を金型から取り出す際に、金型を冷却してから型開きするようにしなければ、塗膜が成形品から剥離するという問題がある。
【0003】
上記問題点を改良するものとして、融点が92〜112℃のアクリル変性不飽和ジカルボン酸グラフト化ポリオレフィンと、反応性オリゴマー及び反応性モノマーと、ラジカル重合性開始剤とを、特定の配合比で含有する塗料組成物を用いて、金型温度が高い状態で型開きしても塗膜が剥離しないようにする技術が提案されている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2の実施例を詳細に検討すると、金型温度を80℃に設定し、基材のプラスチックを成形した後、120℃に調整したキャビティ型と交換している。即ち、基材は80℃の温度に保持されており、基材はプラスチックであり、熱伝導に乏しく、キャビティ型の熱が基材に伝わり難く、成形品脱型時に冷却して取り出すことと大差ないと考えられる。
【0004】
また、水酸基含有ポリプロピレン系基材表面に、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーと、該オリゴマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーと、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンと有機過酸化物重合開始剤及びポリイソシアネート化合物からなる型内被覆成形体が提案されている(特許文献3)。
また、ポリオレフィン系樹脂との付着性に優れた型内被覆組成物として、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー、又は不飽和ポリエステル樹脂と、該オリゴマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーと、アクリレート基を有さない水酸基含有化合物と、塩素化ポリオレフィンと、有機過酸化物重合開始剤と、ポリイソシアネート化合物とからなる型内被覆成形体が提案されている(特許文献4)。
更に、特定のプロピレン共重合体に対して、不飽和カルボン酸及び/又はその無水物をグラフト重合した、質量平均分子量が10,000〜40,000で、190℃での溶融粘度が0.2〜3.5Pa・sの非塩素系変性ポリオレフィン組成物の型内塗装用樹脂組成物が提案されている(特許文献5)。しかしながら、これら特許文献3、4及び5に記載されているインモールドコート用塗料組成物では、ポリイソシアネート化合物を使用しているため、ポットライフが短くなったり、水分の影響を受けるため、専用の特殊な2液型内被覆組成物注入装置が必要となる等の問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−249680号公報
【特許文献2】特開2005−171048号公報
【特許文献3】特開2004−99884
【特許文献4】特開2003−138165
【特許文献5】特開2002−187922
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、従来技術の有する上記問題を改良した、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系熱可塑性樹脂の射出成形や、射出圧縮成形、射出プレス成形等に使用される型内被覆成形用組成物に関するものである。
即ち、本発明は、型内被覆のためにキャビティを取り替えることなく、基材の成形と同一型内で、型内被覆組成物の硬化温度と同一温度で金型から離型しても、ポリオレフィン系樹脂成形品の表面に強固に付着した塗膜が得られるポリオレフィン系樹脂用型内被覆組成物を提供することを目的とするものである。本発明のポリオレフィン系樹脂用型内被覆組成物は、1液型内注入装置が使用でき、従って、このポリオレフィン系樹脂用型内被覆組成物を使用することによって、容易かつ実用的に優れた被覆成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を達成するため、鋭意検討した結果、上記課題が、以下の構成によって達成できることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、以下の構成に基づく発明である。
(A)変性ポリオレフィン、
(B)少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー、不飽和ポリエステル樹脂、又はエチレン性不飽和モノマー、
(C)カルボン酸金属塩、リン酸エステル金属塩又はソルビトール誘導体、
(D)重合開始剤、及び
(E)離型剤、
を有し、
(A)/(B)=70/30〜6/94(質量部)、及び
(A)/(C)=100/0.01〜100/5(質量部)、
であることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂用型内被覆組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、型内被覆組成物の硬化温度と同一温度で金型から離型しても、ポリオレフィン系樹脂成形品の表面に強固に付着し、また、1液で注入できる被覆組成物を提供することが可能となり、この型内被覆組成物を使用することによって、容易かつ実用的に優れた被覆成形品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について、詳細に説明する。
(A)成分について
本発明の型内被覆組成物に使用される成分(A)は、ポリオレフィン樹脂成形品との付着性発現の目的で使用される、変性ポリオレフィンである。変性ポリオレフィンとしては、例えば、以下のものが好適に列挙できる。
【0010】
(1−1) 塩素化ポリオレフィン
(A)成分として、このような塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィンを塩素化することによって得られる。ポリオレフィンとしては、オレフィンの重合体又は共重合体である。塩素化ポリオレフィンにおける塩素含有率は、例えば、5〜50質量%、好ましくは、15〜35質量%であることが適当である。
【0011】
このような塩素化ポリオレフィンとしては、例えば、アイソタクテックポリプロピレンや、エチレン−プロピレン共重合物、アタクテックポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合物などの樹脂を塩素化したものが好適である。
塩素化ポリオレフィンの塩素含有量が、例えば、5質量%以上であれば、ビヒクル成分である以下で説明する(B)成分との相溶性が低下することもなく、型内被覆用組成物の良好な貯蔵安定性を有しかつ平滑な塗膜が得られる。一方、塩素含有量が50質量%以下であれば、成形材との良好な付着性が得られる。
【0012】
塩素化ポリオレフィンの数平均分子量は、例えば、一般に、5,000〜300,000、好もしくは10,000〜150,000を有することが適当である。数平均分子量が、5,000以上であれば、型内被覆用組成物から得られる塗膜の強度が低くなることもなく、良好な耐候性が得られる。一方、数平均分子量が、300,000以下であれば、成分(B)との良好な相溶性が得られ、また成形材との良好な付着性が得られる。
【0013】
塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィンに、α、β−不飽和カルボン酸及び/又はその無水物をグラフト共重合した後塩素化することにより得られる、カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィンであってもよい。ここで使用されるカルボン酸及び/又は酸無水物としては、例えば、マレイン酸や、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が好適に列挙される。これらの変性量は耐水性等を考慮して、例えば、0.5〜10%、好ましくは、1〜5%が適当である。更に、塩素化ポリオレフィンは、アクリル変性塩素化ポリオレフィンであってもよい。このようなアクリル変性塩素化ポリオレフィンの形成に使用されるアクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が好適に列挙できる。
【0014】
(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンは、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを、過酸化物の存在下で、塩素化ポリオレフィンにグラフト重合させて得られる、水酸基含有(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンであってもよい。ここで使用される水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が好適に列挙できる。
【0015】
(1−2) 酸変性ポリオレフィン
(A)成分として、このような酸変性ポリオレフィンは、任意の方法により、ポリプロピレンや、プロピレン共重合体及び/又はポリエチレン等に不飽和カルボン酸又はその誘導体をグラフト共重合させることにより得られる。例えば、ポリオレフィンと、不飽和カルボン酸とを、溶液状態で反応させる方法や、溶融状態で反応させる方法、スラリー状態で反応させる方法、気相状態で反応させる方法等種々の公知の方法が好適に挙げられる。
【0016】
酸変性ポリオレフィン樹脂の原料としては、例えば、ポリプロピレンや、ポリエチレンホモポリマー又はコポリマーが使用される。コポリマーとしては、プロピレンを必須成分とし、更にエチレンや、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等の炭素数2〜20のα−オレフィン、あるいはシクロペンテン、シクロヘキセン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、ジビニルベンゼン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等のポリエン、あるいはスチレン等を共重合させて得られる。
【0017】
上記プロピレン共重合体中のプロピレンの組成比は、例えば、30〜99質量%のものが用いられる。30質量%未満では、ポリプロピレン等のポリオレフィン基材への付着性が劣り易い。一方、99質量%を超えると、他の樹脂との相溶性に劣り好ましくない。
ポリオレフィン系重合体として使用しうるプロピレン単独重合体としては、任意の重合体が使用できるが、例えば、分子中にアイソタクティック性に富む結晶性の高いブロックと、非晶性の高いブロックが共存していることが特に好ましい。アイソタクティック部分の割合は、タクティシティで表示される。タクティシティの測定法としては、核磁気共鳴吸収、赤外線吸収スペクトルあるいは最大結晶化度の測定が代表的のものである。プロピレン単独重合体としては、赤外線吸収スペクトルから測定したタクティシティが、例えば、10〜80%のものが好適に挙げられる。10%未満では、ポリプロピレン等のポリオレフィン基材への付着性が劣り易い。80%を超えると、他の樹脂との相溶性に劣り好ましくない。
【0018】
また、本発明では上記のプロピレン共重合体とともに、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を併用して使用することができる。エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体としては、例えば、エチレン−無水マレイン酸共重合体や、エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、及びこれらと(メタ)アクリル酸又はそのエステルとの共重合体である。
プロピレン共重合体と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体との混合割合は、例えば、70:30〜99:1(質量比)である。この範囲よりもプロピレン共重合体が少ないと各種溶剤に対する溶解性や、ポリオレフィン系基材に対する付着性が低下し易く、好ましくない。この範囲より多いと粘着性が強くなり易い。
【0019】
グラフト反応においては、ラジカル開始剤の有無によらずできるが、反応を促進するために、有機過酸化物や、アゾニトリルなどが用いられる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイドや、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が好適に挙げられる。アゾニトリルとしては、アゾビスイソブチルニトリルや、アゾビスイソプロピルニトリルが好適に挙げられる。ラジカル重合開始剤の種類や、添加量は、特に制限されず、反応条件により適宜選択できる。有機過酸化物の添加量は、通常ポリオレフィン100質量部に対して、例えば、0.05〜5質量部程度使用することが好ましい。0.05質量部よりも少ないと、グラフト反応率が低下し易く、5質量部よりも多くてもグラフト反応率の低下や、内部架橋、低分子量化等の副反応が生じ易い。
【0020】
変性ポリオレフィンの質量平均分子量は、例えば、5,000〜150,000が適当である。5,000より小さいと、ポリオレフィン基材への付着力に劣り易く、150,000より大きいと、各種モノマーへの溶解性や、他樹脂との相溶性が低下し易いので好ましくない。
【0021】
(1−3)アクリル変性ポリオレフィン
(A)成分として、このようなアクリル変性ポリオレフィンは、酸性基又は塩基性基を有するポリオレフィンの主鎖に、塩基性基又は酸性基を有する(メタ)アクリル系重合体側鎖が、該主鎖の酸性基又は塩基性基と反応してイオン結合により結合した、(メタ)アクリル変性ポリオレフィンである。
主鎖をなす酸性基又は塩基性基を有するポリオレフィンとしては、モノオレフィンの単独重合体もしく共重合体及びそれらの誘導体が好適に挙げられる。例えば、ポリプロピレンや、ポリエチレンなどのホモポリマーや、そのコポリマー等が使用される。コポリマーとしては、例えば、プロピレンを必須成分とし、更にエチレンや、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等の炭素数2〜20のα−オレフィン、あるいはシクロペンテンや、シクロヘキセン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、ジビニルベンゼン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等のポリエン、あるいはスチレン等を共重合させて得られる。上記プロピレン共重合体中のプロピレンの組成比は、例えば、30〜99質量%のものが用いられる。30質量%より少ないと、ポリプロピレン等のポリオレフィン基材への付着性が劣り易い。99質量%を超えると、他の樹脂との相溶性に劣り好ましくない。
【0022】
なお、上記のプロピレン共重合体とともに、エチレン系化合物−不飽和カルボン酸共重合体を併用して使用することができる。ポリオレフィン系重合体として使用しうるプロピレン単独重合体としては、任意の重合体が使用できるが、例えば、分子中にアイソタクティック性に富む結晶性の高いブロックと、非晶性の高いブロックとが共存していることが特に好ましい。アイソタクティック部分の割合は、タクティシティで表示される。タクティシティの測定法としては、核磁気共鳴吸収や、赤外線吸収スペクトルあるいは最大結晶化度の測定が代表的のものである。本発明のポリオレフィン系重合体として使用しうるプロピレン単独重合体としては、赤外線吸収スペクトルから測定したタクティシティが、例えば、10〜80%のものが好適に挙げられる。10%よりも少ないと、ポリプロピレン等のポリオレフィン基材への付着性が劣り易い。80%を超えると、他の樹脂との相溶性に劣り好ましくない。
【0023】
酸性基又は塩基性基を有するポリオレフィン系重合体は、ポリオレフィン系重合体に酸性基又は塩基性基を導入することにより得られる。酸性基又は塩基性基を導入する方法としては、主にグラフト共重合が挙げられる。例えば、酸性基又は塩基性基の反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物をラジカル重合する方法が挙げられる。
具体的な酸性基を有するラジカル重合性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族モノ又はジカルボン酸が挙げられる。また、無水マレイン酸や、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物をグラフト共重合した後に水やアルコール等で開環してもよい。
【0024】
具体的な塩基性基を有するラジカル重合性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミドや、(メタ)アクリルジメチルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸のアミド又はアミノ置換アルキルエステルが挙げられる。
ポリオレフィン系重合体に酸性基又は塩基性基を有するラジカル重合性不飽和化合物をグラフト重合させる方法としては、例えば、溶液状態で反応させる方法や、溶融状態で反応させる方法、スラリー状態で反応させる方法、気相状態で反応させる方法等種々の公知の方法が挙げられる。例えば、ポリオレフィン系重合体を有機溶媒に溶解し、前記ラジカル重合性不飽和化合物及びラジカル重合開始剤を添加し、撹拌しながら加熱することによりグラフト共重合反応を行う。
【0025】
上記グラフト共重合に用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物や、アゾニトリルが用いられる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が好適に挙げられる。アゾニトリルとしては、例えば、アゾビスイソブチルニトリルや、アゾビスイソプロピルニトリルが挙げられる。ラジカル重合開始剤の種類や添加量は、特に制限されないが、反応条件により適宜選択できる。有機過酸化物の添加量は、通常ポリオレフィン100質量部に対して、例えば、0.05〜5質量部程度使用することが好ましい。0.05質量部よりも少ないと、グラフト反応率が低下し易く、5質量部よりも多くてもグラフト反応率の低下や内部架橋、低分子量化等の副反応が生じ得る。
【0026】
(メタ)アクリル変性ポリオレフィンは、酸性基又は塩基性基等の反応性基が導入されたポリオレフィン主鎖に、該反応性基と反応し、イオン結合を形成しうる反応性基を有する(メタ)アクリル系重合体側鎖がイオン結合により結合したものである。
イオン結合は公知の方法によって形成することができる。例えば、酸性基の反応性基を有するポリオレフィン系重合体と、該反応基と反応し、イオン結合を形成しうる塩基性基を有する(メタ)アクリル化合物を反応させイオン結合により結合した後、酸性基を有する(メタ)アクリル化合物を共重合させる方法が挙げられる。
得られるアクリル変性ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量は、例えば、5,000〜150,000が適当である。5,000より小さいと、ポリオレフィン基材への付着力に劣り易く、150,000より大きいと、各種モノマーへの溶解性や、他樹脂との相溶性が低下し易いので好ましくない。
【0027】
(B)成分について
本発明の型内被覆組成物に使用される成分(B)は、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー、不飽和ポリエステル樹脂、又はエチレン性不飽和モノマーである。
(2−1)少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー
(B)成分として使用される、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートや、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、及びシリコン(メタ)アクリレートのオリゴマーなどを挙げることができる。
これらのオリゴマーの質量平均分子量は、それぞれの種類により変動し得るが、一般に、約300〜10,000、好ましくは、500〜5,000とするのが適当である。上記(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーは、(メタ)アクリレート基を、1分子中に、少なくとも2個、好ましくは、2〜6個有することが適当である。
以下において、それぞれの少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーについて具体的に説明する。
【0028】
(2−1−1)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー
少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーとしてのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、(i)有機ジイソシアネートと、(ii)有機ポリオールと、(iii)ヒドロシキアルキル(メタ)アクリレートとを、NCO/OH比が、例えば、0.8〜1.0、好ましくは、0.9〜1.0となる存在比で混合し、通常の方法により製造することができる。水酸基が過剰に存在する場合や、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを多量に使用することにより、水酸基を多く有するオリゴマーが得られる。
【0029】
具体的には、(i)有機ジイソシアネートと、(ii)有機ポリオール等とを、例えば、ジブチル錫ラウレートなどのウレタン化触媒の存在下で反応させて、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを得る。次いで、ほとんどの遊離イソシアネート基が反応するまで、(iii)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させることにより、上記ウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーを製造することが出来る。なお、(ii)有機ポリオールと、(iii)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの割合は、後者1モルに対し、例えば、前者0.1〜0.5モル程度が適当である。
【0030】
上記反応に使用される(i)有機ジイソシアネートとしては、例えば、1,2−ジイソシアナトエタンや、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン等を使用することができる。これら有機ジイソシアネートは、単独で用いても、また、それらの2種以上の混合物として使用することもできる。
【0031】
上記反応で使用される(ii)有機ポリオールは、好ましくは、有機ジオールとして、例えば、アルキルジオールや、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール等を挙げることができる。アルキルジオールとしては、例えば、エチレングリコールや、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−エチルブタン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、4,8−ジヒドロキシトリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等を代表的なものとして挙げることができる。
【0032】
有機ジオールとしてのポリエーテルジオールは、例えば、既知の方法により、アルデヒドや、アルキレンオキサイド、グリコール等の重合により合成することができる。例えば、ホルムアルデヒドや、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、エピクロルヒドリンなどを適当な条件下でアルキルジオールに付加重合させることによって、ポリエーテルジオールが得られる。有機ジオールとしてのポリエステルジオールとしては、例えば、飽和又は不飽和のジカルボン酸及び/又はそれらの酸無水物と、過剰のアルキルジオールとを反応させて得られるエステル化反応生成物、及びアルキルジオールにヒドロキシカルボン酸及び/又はその分子内エステルであるラクトン及び/又は分子間エステルであるラクチドを重合させて得られるエステル化反応生成物を用いることができる。以上に挙げた有機ジオールは単独で用いても、それらの2種以上を併用しても良い。
【0033】
上記(iii)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。その他、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、1分子中に(メタ)アクリレート基及び水酸基を有する化合物と、有機ジイソシアネートとを、NCO/OHの比が、例えば、0.9〜1.0の割合で、例えば、ジブチル錫ジラウリレートなどのウレタン化触媒の存在下で反応しても製造することができる。
【0034】
(2−1−2)ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー
少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーとして使用されるポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば、水酸基を末端に有するポリエステルポリオールと、不飽和カルボン酸との反応によって製造することができる。このようなポリエステルポリオールは、代表的には飽和又は不飽和のジカルボン酸又はその酸無水物と、過剰量のアルキレンジオールとをエステル化反応することによって製造することができる。使用されるジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸や、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、マレイン酸等が代表的なものとして挙げられる。また、使用されるアルキレンジオールとしては、例えば、エチレングリコールや、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール等が代表的なものとして挙げることができる。ここで、不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸や、メタクリル酸等を代表的なものとして挙げることができる。
【0035】
(2−1−3)エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー
少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーとして使用されるエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、エポキシ化合物と、上記のような不飽和カルボン酸とを、エポキシ基1当量当たり、カルボキシル基当量、例えば、0.5〜1.5となるような割合で用い、通常のエポキシ基への酸の開環付加反応によって製造することができる。ここで使用されるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ、フェノール性ノボラック型エポキシ等を好適に挙げることができる。
【0036】
(2−1−4)ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー
少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーとして使用されるポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエチレングリコールや、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと、前述の不飽和カルボン酸との反応によって製造することができる。
【0037】
(2−1−5)シリコン(メタ)アクリレートオリゴマー
少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーとして使用されるシリコン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、アルコール性シロキサン化合物のヒドロキシル基と、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって製造される。シリコン(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に光安定性又は耐光性に優れており、長期間屋外で使用される場合に有効である。
【0038】
(2−2)不飽和ポリエステル樹脂
(B)成分として使用される不飽和ポリエステル樹脂は、例えば、有機ポリオールと、不飽和カルボン酸とを、公知の方法により反応させ、更に必要に応じて、飽和ポリカルボン酸を反応させて製造することができる。使用される有機ポリオールとしては、例えば、エチレングリコールや、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ビスフェノールA等が代表的なものとして挙げることができる。不飽和ポリカルボン酸としては、例えば、(無水)マレイン酸や、(無水)フマル酸、(無水)イタコン酸等を代表的なものとして挙げることができる。
なお、(B)成分としては、上記(メタ)アクリレート基含有オリゴマーと、不飽和ポリエステル樹脂とを併用してもよい。
【0039】
(2−3)エチレン性不飽和モノマー
(B)成分として使用されるエチレン性不飽和モノマーは、上記(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー又は不飽和ポリエステル樹脂と共重合することができるモノマーである。
このようなエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレンや、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート等が代表的なものとして挙げられる。
【0040】
エチレン性不飽和モノマーとしては、単独で使用してもよく、又はこれらの混合物として使用することができる。また、エチレン性不飽和モノマーとしては、上記のように、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーが含まれる。
【0041】
(A)成分と、(B)成分との関係は、(A)/(B)=70/30〜6/94(質量部)であり、好ましくは、(A)/(B)=50/50〜10/90(質量部)であることが適当である。
(B)成分として、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー又は不飽和ポリエステル樹脂成分対エチレン性不飽和モノマー成分の質量比は、使用される化合物等の種類にもよるが、通常、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー又は不飽和ポリエステル樹脂成分:エチレン性不飽和モノマー成分=70:30〜0:100、好ましくは、65:35〜5:95、より好ましくは、60:40〜10:90が適当である。この範囲であれば、適度な硬化特性と粘性を有する被覆組成物が得られる。
【0042】
(C)成分について
本発明で使用される(C)成分は、金型内で型内被覆用組成物がその硬化温度下でポリオレフィン成形品と強固な付着性を発現する目的で使用する。(C)成分としては、カルボン酸金属塩、リン酸エステル金属塩又はソルビトール誘導体が使用される。
カルボン酸金属塩におけるカルボン酸としては、芳香族カルボン酸や、脂肪族カルボン酸などが好適に挙げられる。芳香族カルボン酸としては、特に安息香酸が好ましい。安息香酸としては、炭素数1〜6のアルキル基で置換された安息香酸や、炭素数3〜10のアルケニル基で置換された安息香酸などが好適に挙げられる。
また、脂肪族カルボン酸としては、例えば、アジピン酸や、グルタル酸、ピメリン酸などが好適に挙げられる。
【0043】
カルボン酸金属塩の金属塩の金属塩を構成する金属としては、例えば、リチウムや、ナトリウム、カリウム、アルミニウムなどの金属が好適に挙げられる。特に好ましい金属は、ナトリウムや、アルミニウムなどである。
好適なカルボン酸金属塩としては、4−t−ブチル安息香酸アルミニウムや、アジピン酸ナトリウムなどが好適に挙げられる。
リン酸エステル金属塩におけるエステルを構成する有機基としては、例えば、4−t−ブチルフェニルや、2,4−ジ−t−ブチルフェニルなどの基が好適に挙げられる。
また、金属塩を構成する金属としては、例えば、リチウムや、ナトリウム、カリウム、アルミニウムなどの金属が好適に挙げられる。特に好ましい金属は、ナトリウムや、カリウムなどである。
好適なリン酸エステル金属塩としては、例えば、ナトリウム(4−t−ブチルフェニル)ホスフェートや、ナトリウム6,6−メチレン−ビス−(2,4−t−ブチルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
【0044】
ソルビトール誘導体は、ソルビトールとアルデヒド類との脱水縮合により得られるものである。アルデヒド類としては、例えば、ベンズアルデヒドや、4−メチルベンズアルデヒド、4−エチルベンズアルデヒドなどが好適に挙げられる。
使用するアルデヒド類の種類によって、ソルビトール誘導体の置換基は、メチル基や、エチル基、n− プロピル基、iso−プロピル基、n− ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基などが好適に挙げられる。
好適なソルビトール誘導体としては、例えば、ジベンジリデンソルビトールや、p−メチルジベンジリデンソルビトール、p−エチルジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。
【0045】
これら(C)成分は、(A)/(C)=100/0.01〜100/5(質量部)、好ましくは、(A)/(C)=100/0.1〜100/1.0(質量部)の範囲で使用することができる。0.01質量部よりも少ないと、型内被覆成形品を離型する際、被覆された塗膜が成形品表面から容易に剥離するため好ましくない。また、5質量部よりも多いと、型内被覆塗膜が脆くなる傾向にあり好ましくない。
【0046】
(D)成分について
(D)成分は、フリーラジカルを発生し、前記(A)成分及び(B)成分を重合させる。重合開始剤としては、例えば、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエートや、ターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ターシャリーアミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルオキシラウレート、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が代表的なものとして挙げられる。特に好ましくは、1分間半減期温度が、60〜140℃のものが好ましい。60℃より低いと、型内被覆組成物のポットライフが著しく短くなり、注入装置内でゲル化する恐れが高い。また、140℃よりも高いと、型内被覆組成物の硬化時間が著しく長くなり、成形サイクルと云う生産性を低下させるので好ましくない。
【0047】
重合開始剤の配合量は、例えば、(A)+(B)/(D)=100/0.5〜100/10(質量部)、好ましくは、100/0.5〜100/5(質量部)であることが適当である。この範囲内において、硬化反応が好適に発揮される。
【0048】
(E)離型剤について
離型剤は、硬化塗膜を金型からスムーズに離型させるために使用される。このような離型剤としては、例えば、ステアリン酸や、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸塩、大豆油レシチン、シリコーン油、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール二塩基酸エステル類などを好適に列挙できる。
離型剤の融点は、金型温度にもよるが、ポリオレフィンの成形温度を考慮し、例えば、140℃以下が好ましい。離型剤の配合量は、例えば、(A)+(B)/(E)=100/0.1〜100/5(質量部)、好ましくは、100/0.2〜100/3(質量部)であることが適当である。この範囲内において、離型効果が好適に発揮される。
【0049】
その他の成分について
本発明の型内被覆組成物は、更に必要に応じ顔料として従来から通常プラスチックス用、塗料用として使用されている各種着色顔料や、体質顔料、導電性顔料、粒子径が0.1μm以下のシリカや、アルミナ等の酸化物等を併用することができる。
着色顔料としては、例えば、白色系では、二酸化チタンなど、黄系では、ベンジジンエローや、チタンエロー、ハンザエローなど、橙系では、モリブデートオレンジや、ハンザジンオレンジ、赤系では、キナクリドンなど、緑系では、クロムグリーンや、フタロシアニングリーンなど、青系では、フタロシアニンブルーや、コバルトブルー、群青など、黒系では、カーボンブラックや、酸化鉄等の顔料を使用することができる。
【0050】
体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウムや、タルク、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー等を好適に挙げることができる。導電性顔料としては、例えば、カーボンブラックや、グラファイト、酸化亜鉛、二酸化チタン等の表面を、酸化アンチモンのような導電性金属酸化物でコーティングしたもの、カーボン繊維等が使用できる。
顔料は、成形物を着色し、美観を持たせたり、成形品表面の外観を改良したり、硬化塗膜に導電性を持たせ帯電防止の目的で配合したり、表面の傷つきを防止する。
【0051】
本発明の型内被覆組成物は、実質的に溶剤は含まない。溶剤を実質的に含まない方が、型内流動時に型内被覆組成物中に溶剤蒸気がとりこまれてピンホールが発生することもなく、これによって塗膜が脆弱となることもないので好ましい。なお、「実質的に含まない」とは、例えば、含まれるとしても、せいぜい被覆組成物の質量の1%未満、実質上は、0%であることを意味する。
【0052】
本発明の型内被覆組成物が適用される樹脂成形品としては、公知の各種ポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂成形材料を使用することができる。例えば、ポリエチレンや、ポリプロピレン、又はこれらポリオレフィンと、ポリアミド樹脂や、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等との各種アロイ材が挙げられる。
アロイ材とは、上記のような熱可塑性合成樹脂と、他の1種以上のポリマーが物理的に混合された複合材料であって、総合的な実用性能に相乗効果を有する材料と一般に理解されている。このような熱可塑性合成樹脂は、用途に応じた特性を満足するように、例えば、紫外線吸収剤や、酸化防止剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、可塑剤、ガラス繊維等の繊維強化剤、無機充填材等を含有することができる。
【0053】
型内被覆成形品の製造方法について
以下、本発明の型内被覆成形品の製造方法を実施するための成形機の構成、成形型及び被覆組成物注入装置を、図面を参照しながら、具体的に説明するが、本発明の範囲は、このような具体的な成形機、成形型及び被覆組成物注入装置によって何ら限定されるものではない。
図1は、熱可塑性樹脂成形材料の射出成形法の場合の態様を示すものである。図1において、符号1は射出成形機の型締め装置の固定盤、2は可動盤であり、それぞれ互いに対向する成形型部材である固定金型部3及び可動金型部4を備えている。可動盤2が型締めシリンダ5によって進退動作される構成になっている。そして、固定金型部3及び可動金型部4の嵌合個所には、所要形状のキャビティ6が形成されていて、このキャビティ6中に溶融もしくは軟化状態の熱可塑性樹脂成形材料を射出、充填し、固化させる。溶融樹脂成形材料を射出、充填する場合、上記キャビティ6には、スクリューを有する射出シリンダ7から、ノズル8及びスプルー9を介して、樹脂成形材料が射出できるようになっている。なお、図1中、符号10は、リブ部(ボス部)、符号11は離型時のエジェクタピンである。
【0054】
図1において型内被覆用組成物の注入手段としては、シャットオフピン12Aを備えたインジェクタ12、上記インジェクタ12に所定量の型内被覆用組成物を供給する計量シリンダ13及び型内被覆用組成物をその貯蔵部14から上記計量シリンダ13に供給するための供給ポンプ15が装備されている。なお、上記計量シリンダ13には型内被覆用組成物注入用のプランジャーレギュレータ13Aが備えられている。
【0055】
成形に際しては、先ず、型締めシリンダ5を動作して、金型(固定金型部3と可動金型部4)を閉じ、型締め圧を付加する。この型締め圧は、樹脂成形材料の射出圧力に対抗できる必要がある。通常この射出圧力は、ノズル8の部分で40〜250MPa(400〜2,500Kgf/cm2)の高圧である。この過程で、供給ポンプ15が作動し、計量シリンダ13に必要な量の被覆剤を供給しておく。
【0056】
次いで、溶融もしくは軟化状態の樹脂成形材料を射出シリンダ7からノズル8及びスプルー9を介してキャビティ6内に射出する。上記樹脂成形材料が金型内で適正に(型内被覆用組成物の注入圧力、流動圧力に耐える程度に)固化した段階で、上記型締め圧を減圧するか、又は下記の所望の硬化被膜厚よりも大きいが、固定金型部3と可動金型部4との嵌合を離脱させることがない距離だけ、好ましくは0.2〜5mmだけ可動金型部4を後退させる。次いで、シャットオフピン12Aを動作させてインジェクタ12の注入口を開放する。次いで、計量シリンダ13の型内被覆用組成物注入用のプランジャーレギュレータ13Aを動作させ、キャビティ6、即ち、固定金型部3の内壁と樹脂成形品の型内被覆する表面との間に所望の膜厚、好ましくは20〜1,000μmの硬化被覆が得られるだけの量の型内被覆用組成物を注入する。
【0057】
型内被覆用組成物を注入した後、再びシャットオフピン12Aで注入口を閉じ、必要に応じて型締めシリンダ5を動作させ、型締め操作を行い、型内で型内被覆用組成物を拡散させ成形品表面への被覆を行い、キャビティ6の成形品の表面上で型内被覆用組成物を硬化させる。次いで、型締めシリンダ5を動作させ、固定金型部3と可動金型部4を離間して、硬化被膜を有する成形品を金型から取り出す。
【実施例】
【0058】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明について更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
【0059】
(変性ポリオレフィンの調整)
塩素化ポリオレフィン(PP−1)の調製
攪拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備えた合成用フラスコ中に、塩素化度16質量%、質量平均分子量50,000の塩素化ポリプロピレン樹脂100質量部と、トルエン150質量部とを加え、温度を85℃に昇温し、溶解させた。これに無水マレイン酸10質量部を加えた後、ベンゾイルパーオキサイド10質量部をトルエン50質量部に溶解したものを30分かけて滴下し、その後85℃の温度下3時間攪拌した。温度を40℃に降下させた後、攪拌しながらアセトン500質量部加え、無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレンを析出させ、ろ過、乾燥させ黄色固体を得た。
この黄色固体50質量部をトルエン250質量部に溶解し、80℃、相対湿度95%雰囲気下に1日放置し、マレイン酸無水物基を開環させた。その後このトルエン溶液をエバポレーターを用い脱溶媒を行い、塩素化ポリオレフィンを得た。
【0060】
酸変性ポリオレフィン(PP−2)の調製
攪拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備えた合成用フラスコ中に、プロピレン成分95モル%、エチレン成分5モル%、質量平均分子量150,000であるプロピレン−エチレン共重合体100質量部をトルエン400質量部中に加熱溶解させた後、温度を110℃に保持し、攪拌しながらジクミルパーオキサイド1質量部を滴下し、1時間攪拌した。次に無水アコニット酸2質量部、アクリル酸オクチル4質量部、ベンゾイルパーオキサイド0.5質量部をそれぞれ3時間かけて滴下し、更に1時間反応させた。反応後25℃まで冷却した後、反応物を大量のアセトン中に投入して精製し、その後このトルエン溶液をエバポレーターを用い脱溶媒を行い、酸変性ポリオレフィンを得た。
【0061】
アクリル変性ポリオレフィン(PP−3)の調製
攪拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備えた合成用フラスコ中に、前記に示した酸変性ポリオレフィン化合物PP−1を100質量部とトルエン400質量部を加えて温度を80℃に昇温し溶解させた。この溶液にジメチルアミノエチルメタクリレート5質量部を加え攪拌した。その後、n−ブチルアクリレート50質量部、メチルメタクリレート45質量部及びトルエン350質量部を加え、窒素を溶液中に吹き込みながら80℃に保ちながら、アゾビスイソブチルニトリル1.3質量部をトルエン40質量部及びエタノール10質量部の混合溶液に溶解させたものを加えた。その後80℃温度下5時間反応を続け、(メタ)アクリル変性重合体のトルエン溶液を得た。このトルエン溶液をエバポレーターを用い脱溶媒を行い、(メタ)アクリル変性ポリオレフィンを得た。
【0062】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーUAC−1〜UAC−3の調製
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは各種公知の方法で重合して作成することができる。合成例として、表1に示す量の(X)成分に、(X)〜(Z)成分の合計量100質量部当たり、0.02質量部となる量のジブチル錫ジラウレートを仕込み、40℃に保ちつつ、表1に示す量の(Y)成分を滴下し、十分な時間反応させた後、表1に示す(Z)成分に(X)〜(Z)成分の合計量100質量部当たり0.1質量部となる量のハイドロキノンを溶解させたものを滴下して、更に十分な時間75℃で加熱攪拌を続け、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを得た。
表1
【0063】

【0064】
(X−1) 2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート
(X−2) イソホロンジイソシアネート
(X−3) ビス(4−イソシアネートフェニル)メタン
(Y−1) ポリプロピレングリコール(平均分子量1000)
(Y−2) ポリカプロラクトンジオール(平均分子量500)
(Y−3) 2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのエチレンオキサイド付加物(平均分子量1000)
(Z−1) 2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(Z−2) ヒドロキシエチルアクリレート
得られたUAC−1〜3の1分子あたりの(メタ)アクリレート基の数は、2個であった。
【0065】
(被覆組成物の製造方法)
HDDA(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)200質量部と、DCPA(ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート)100質量部とを、攪拌装置の付いたステンレス容器に秤量し、攪拌しながら、70℃に加温した。次いで、この混合溶液を攪拌しながら、上記で合成したPP−1、400質量部を徐徐に加え、得られた混合溶液に溶解した。次いで、上記で調製したUAC−1を300質量部、Zelec−NE(離型剤、中和性リン酸塩アルコール(デュポン社製))を2質量部、アデカスタブNA−11(リン酸エステル金属塩(旭電化社製):物質名:リン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム)を3質量部、カーボンブラックを15質量部加え、ゆるやかに攪拌し、ミルベースを調製した。次いで、3本ロールミル分散機を用い均一に分散した。得られた被覆組成物を、JIS K 5600−2−5 塗料の性状・安定性−第5節 分散度の試験方法に従って測定したところ、10μmであった。
【0066】
一方、パーカドックス16(重合開始剤、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(化薬アクゾ社製))を10質量部と、TXIB(可塑剤 2,2,4−トリメチル−1,8−ペンタンジオールジイソブチレート)10質量部とを、プラスチック製容器に秤量し、手攪拌にて3分間ゆるやかに攪拌し、約1時間放置した、得られた重合開始剤ペーストを、上記分散液102質量部に対し、2質量部加え、攪拌脱泡機を用い、約5分間攪拌脱泡し、被覆組成物を調製した。
【0067】
実施例1〜7、比較例1〜4
長さ300mm、幅200mm、高さ30mm、板厚2.5mmの箱形状で外径7mm、内径4mm、高さ10mmの大きさのボスを備えた樹脂成形品を得るためのキャビティを有する金型を用い、図1に示す態様に従って成形品に対する型内被覆を実施した。金型温度を100℃に設定し、バレル温度を180℃に加熱し、まずポリプロピレン樹脂を射出シリンダ内で加熱溶融させ、3000KNの型締め力で型締めされた金型内に約1.5秒かけて射出し、40MPaの保圧を5秒間かけた。型締め力をかけた状態で45秒間冷却し、得られた成形品の表面が型内被覆用組成物の注入、流動圧力に耐え得る程度に固化させた。次いで、可動型を約1mm離間した後、表2に記載した各被覆用組成物6cm3を金型表面と成形品の表面との間に約0.5秒間かけて注入した。注入完了後、型締め力を1秒かけて200KNまで加え、120秒間保持し、型内被覆用組成物を硬化させた。得られた成形品の外観(塗膜フクレの有無、塗膜剥がれの有無、)を目視にて評価した。また、初期の塗膜付着性、温水テスト後の付着性を以下の方法で評価し、それらの結果を表3に示す。
【0068】
<付着性>
JIS K 5600−5−6:付着性(クロスカット法)に従って初期の塗膜付着性試験を実施した。塗膜の付着性はJIS K 5600−5−6に記載の試験結果の分類に基づき下記の0〜5の6段階で評価した。
【0069】
<6段階評価>
0…カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない。
1…カットの交差点における塗膜の小さなはがれ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
2…塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点においてはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
3…塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
4…塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は数カ所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
5…はがれの程度が分類4を超える場合。
【0070】
<温水テスト後の付着性>
JIS K 5600−6−2:耐液体性(水浸せき法)に従って、試験片を40±1℃の温水中に240時間浸せきした。規定の試験期間終了後、試験片を取り出し、室温で24時間置き、塗膜の付着性をJIS K 5600−5−6に記載の試験結果の分類に基づき下記の0〜5の6段階で評価した。
【0071】
<6段階評価>
0…カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない。
1…カットの交差点における塗膜の小さなはがれ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
2…塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点においてはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
3…塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
4…塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は数カ所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
5…はがれの程度が分類4を超える場合。
【0072】
実施例8〜12、比較例5〜7
長さ300mm、幅200mm、高さ30mm、板厚2.5mmの箱形状で外径7mm、内径4mm、高さ10mmの大きさのボスを備えた樹脂成形品を得るためのキャビティを有する金型を用い、図1に示す態様に従って成形品に対する型内被覆を実施した。金型温度を100℃に設定し、バレル温度を180℃に加熱し、まずポリプロピレン樹脂を射出シリンダ内で加熱溶融させ、初期型開き量として5mm金型を開いた状態で金型キャビティにポリプロピレン樹脂を射出し、射出完了と同時に金型を閉じ、更に型締め圧を3000KNまで上昇させた。キャビティに充填したポリプロピレン樹脂は、型締め圧をかけた状態で45秒間冷却し、型内被覆用組成物の注入、流動圧力に耐え得る程度に固化させた。次いで、可動型を約1mm離間した後、表4に記載した各被覆用組成物6cm3を金型表面と成形品の表面との間に約0.5秒間かけて注入した。注入完了後、型締め力を1秒かけて200KNまで加え、120秒間保持し、型内被覆用組成物を硬化させた。得られた成形品について、実施例1と同様にして評価を行った。それらの結果を表5に示す。
【0073】
表2

【0074】
スーパークロン822S;塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製)
HDDA;1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
DCPA;ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート
アデカスタブNA−11;リン酸エステル金属塩(物質名:リン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム)(旭電化社製)
NC−4;ソルビトール誘導体(物質名:p−エチルジベンジリデンソルビトール)((三井化学社製)
パーカドックス16;重合開始剤、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(化薬アクゾ社製)
Zelec−NE;離型剤、中和性リン酸塩アルコール(デュポン社製)
TXIB;可塑剤、2,2,4−トリメチル−1,8−ペンタンジオールジイソブチレート
【0075】
表2(続き)




















【0076】
表2(続き)

【0077】
表3

【0078】
表3(続き)






【0079】
表4

【0080】
NKエステルAPG−700;ポリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学社製)




















【0081】
表4(続き)

【0082】
表5

【0083】
表5(続き)

【0084】
上記結果より、本発明の型内被覆成形用組成物を使用することにより、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂の型内射出成形を行う場合に、1液で使用でき、しかも、優れた塗膜特性を有するポリオレフィン樹脂成形品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の型内被覆組成物を使用して被覆成形物を形成するのに好適な1つの射出成形装置の構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0086】
1 型締め装置の固定盤
2 型締め装置の可動盤
3 固定金型部
4 可動金型部
5 型締めシリンダ
6 キャビティ
7 射出シリンダ
8 ノズル
9 スプルー
10 リブ部(ボス部)
11 エジェクタピン
12 インジェクタ
12A シャットオフピン
13 計量シリンダ
14 貯蔵部
15 供給ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)変性ポリオレフィン、
(B)少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー、不飽和ポリエステル樹脂、又はエチレン性不飽和モノマー、
(C)カルボン酸金属塩、リン酸エステル金属塩又はソルビトール誘導体、
(D)重合開始剤、及び
(E)離型剤、
を有し、
(A)/(B)=70/30〜6/94(質量部)、及び
(A)/(C)=100/0.01〜100/5(質量部)、
であることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂用型内被覆組成物。
【請求項2】
前記(A)成分の変性ポリオレフィンが、塩素化ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、又はアクリル変性ポリオレフィンである請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂用型内被覆組成物。
【請求項3】
前記(D)の重合開始剤が、有機過酸化物であり、その1分間半減期温度が、60〜140℃であり、(A)+(B)/(D)=100/0.5〜100/10(質量部)である請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂用型内被覆組成物。
【請求項4】
前記(E)の離型剤が、融点140℃以下であり、(A)+(B)/(E)=100/0.1〜100/5(質量部)である請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂用型内被覆組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−19073(P2009−19073A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180911(P2007−180911)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】