型枠間隔保持用セパレータ、フォームタイ及び型枠間隔保持構造
【課題】任意厚さの断熱パネルを支持し、フォームタイのめり込み及び浮きを防止し、解体が容易な、セパレータ、フォームタイ及び型枠間隔保持構造を提供する。
【解決手段】軸部(1a)と、断熱パネル内面に当接する断熱パッドとを備え、セパレータ孔(31c、32a)を通して一対のフォームタイ(9)に対して両端がそれぞれ連結されるセパレータ(1)において、軸部の一端に設けられた雄ネジ部(1a1)と、雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)、雄ネジ部と螺合する外側ナット(5B)、雄ネジ部を挿通させる筒状のスペーサー(8)、雄ネジ部と螺合しさらに外方に延びてフォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、一列に配置された外側ナット、スペーサー及び高ナットにより形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、スペーサーの長さ(JL)により調整可能である。
【解決手段】軸部(1a)と、断熱パネル内面に当接する断熱パッドとを備え、セパレータ孔(31c、32a)を通して一対のフォームタイ(9)に対して両端がそれぞれ連結されるセパレータ(1)において、軸部の一端に設けられた雄ネジ部(1a1)と、雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)、雄ネジ部と螺合する外側ナット(5B)、雄ネジ部を挿通させる筒状のスペーサー(8)、雄ネジ部と螺合しさらに外方に延びてフォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、一列に配置された外側ナット、スペーサー及び高ナットにより形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、スペーサーの長さ(JL)により調整可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネルである一対の型枠の間隔保持に使用されるセパレータ及びフォームタイ並びにこれらを設けた型枠間隔保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の鉄筋コンクリート壁の築造に用いられる型枠として、一対の型枠板の双方に合板を用いた一般的なもの以外に、一方の型枠板に替えて断熱機能を付加したを型枠兼用断熱パネル用いたものが用いられている。コンクリート固化後に合板の型枠板は除去されるが、型枠兼用断熱パネルはそのまま残され、コンクリート壁と一体化した断熱層として機能する。型枠兼用断熱パネル(以下、単に「断熱パネル」と称する場合がある)には様々な種類があるが、発泡プラスチック断熱材をそのまま型枠として使用する場合や、発泡プラスチック断熱材にボード材や各種補強材を貼り合わせたり組み合わせたりした断熱複合パネルを使用する場合が一般的である。
【0003】
型枠兼用断熱パネルを用いた型枠の間隔保持具として用いられるセパレータの従来技術として、特許文献1及び2等がある。特許文献1では、セパレータの一端の雄ネジに対し、両端に雌ネジを設けた円柱ジョイントを取付、断熱パネルに穿設したセパレータ孔に円柱ジョイントを挿入し、円柱ジョイントの他端の雌ネジにフォームタイを取り付けている。円柱ジョイントは断熱パネルの厚さより長く、断熱パネルの内面から突出している。
【0004】
図1の従来技術(1)は、特許文献1及び特許文献2中にその従来技術として記載されている一般的なセパレータ及びフォームタイによる型枠間隔保持構造を示す縦断面図である。
図1の従来技術(1)を参照して、施工方法の一例を説明する。一方の型枠板として断熱材31aと補強材31bを貼り合わせた断熱パネル31を用い、他方の型枠板として型枠合板32を用いる。セパレータ10は、予め、軸部10aの一端の雄ネジ部に略円盤状の断熱パッド10cを螺合し、断熱パッド10cの他端の雌ネジに軸足(丸棒の両端に雄ネジ部を設けたもの)10bを螺合するとともに、軸部10aの他端の雄ネジ部に円錐台状のプラスチックコーン(以下、「Pコン」)10dを螺合し、組み立てておく。Pコン10dの他端には雄ネジ部10d1が突出している。
【0005】
先ず、墨出し位置に合わせて、断熱パネル31を建込んで仮止めした後、断熱パネル31の所定の位置に穿設したセパレータ孔31cに、上記のように組み立てたセパレータ10の軸足10bを、断熱パネル31の内面側から貫通させる。断熱パネル31の外面側から突出した軸足10bに対し、座金23を付けたフォームタイ20の一端の雌ネジ部24を螺合し、固定する。フォームタイ20の一端に設けられたフランジ部25eは、断熱パネル31の外面に当接する。その後、断熱パネル31の外面側に縦バタ材33、横バタ材34を取り付け、フォームタイ20の座金23で締め付けナット22で固定する。断熱パネル31の両面にそれぞれ当接する断熱パッド10cとフランジ部25eは、当接面積を拡大することで軸力による断熱パネルの局所的変形を軽減する。
【0006】
一方、セパレータ10のPコン10d側には、返し型枠として一般的な型枠合板である型枠板32を建込む。型枠板32には、Pコン10dの位置に合わせてセパレータ孔32aが穿設されている。このセパレータ孔32aに、25mm程度の長さのPコンの雄ネジ部10d1を貫通させる。型枠板32の外面側から突出したPコンの雄ネジ部10d1に対し、上記と同様にもう一本のフォームタイ20を取付け、バタ材を固定する。型枠板32の両面にそれぞれ当接するPコンとフォームタイ20のフランジ部25eは、当接面積を拡大することで軸力による型枠板32の局所的変形を軽減する。
【0007】
なお、断熱パネル31と型枠板32のいずれから建込むかは、施工精度の優先順位や現場の状況で変わり、前述とは逆に、断熱パネル31を後に建込むこともあるが、施工順序が変わるだけで一連のセパレータ及びフォームタイの構成は同じである。
【0008】
次に、型枠建込み精度や締付状態等を確認した後、型枠間の空間にコンクリートを打設して、コンクリート壁を施工する。その後、所定の養生期間を経た後、型枠を解体するが、断熱パネル31については、フォームタイ20を緩めてバタ材33、34を取外した後、改めてフォームタイ20を取外し、その後、軸足10bを抜き取る。軸足10bの抜取り後のセパレータ孔31cは断熱欠損となるため、発泡ウレタン充填等で断熱補強する。断熱複合パネルの場合は必要に応じて、パテ材等で補強材31b部分の補修を行う。一方、型枠板32については、同様にバタ材33、34、フォームタイ20を取外した後、型枠板32もコンクリート壁から剥がす。続けて、一部がコンクリートに埋め込まれているPコン10dも取外し、Pコン取外し後の穴は、必要に応じてモルタルや専用のキャップ等で埋めて補修する。
【特許文献1】特許第3078766号公報(図9、図11)
【特許文献2】特許第3526562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図1の従来技術(1)に示した型枠間隔保持構造では、断熱パネル31の厚さに合わせて、軸足10bの長さを変えて調整を行っているが、市販の軸足は5mm単位の長さでしか販売されていない。一方で、断熱パネル31の厚さはユーザの要望する断熱性能に応じて1mm単位で製造販売されることも多く、断熱パネルの厚さと、軸足の長さが合わない場合も発生する。
【0010】
そして、断熱パネルの厚さと軸足の長さが合わない場合は、使用する断熱パネルの厚さに近い長さの軸足を使用するしか方法がない。例えば、厚さ53mmの断熱パネルを使用する場合は、断熱パネル50mm用の軸足(短すぎる軸足)か、断熱パネル55mm用の軸足(長すぎる軸足)を使わざるを得ない。
【0011】
図2は、断熱パネル31に対して短すぎる軸足10bを使用する場合の問題点を示す縦断面図である。図2に示すように、3mm厚さ分を余計に締め付けることができるため、フォームタイ20の締め付け時の力加減を誤ると、断熱パネル31にフォームタイ20がめり込んだり、断熱パネル31を破損するおそれがある(符号X1参照)。
【0012】
図3は、断熱パネル31に対して長すぎる軸足10bを使用する場合の問題点を示す縦断面図である。図3に示すように、軸足いっぱいまで締め付けても2mm空いてしまうので、型枠の建込み精度に影響を及ぼすおそれがある(符号X2参照)。
【0013】
図2に示した断熱パネル31へのフォームタイ20のめり込みを防止する手段としては、図1の従来技術(2)が、一応、有効である。図1の従来技術(2)を参照すると、断熱パッド11cの円盤面の中央から外側に延びる鞘管11c1が設けられ、セパレータ孔31c内に挿入されている。この鞘管11c1の長さが断熱パネル31の厚さと一致すれば、フォームタイ20を締めこんだ際の圧縮力を鞘管11c1が負担することで、断熱パネル31の破損が避けられる。しかし、市販品の鞘管付き断熱パッド11cは、鞘管部長さの種類に乏しいため、任意の厚さの断熱パネル31に対応する鞘管付き断熱パッド11cを用意するのは困難である。
【0014】
また、鞘管付き断熱パッド11cの鞘管11c1は、断熱パネル31の潰れは防止できるが、引張力は負担できないため、通常の断熱パッド10cと同様に、型枠強度を確保するために軸足10bを併用しなければならない。加えて、断熱パネル31に比べて軸足10bが長すぎる場合は、図3に示したように、どんなに締め付けてもフォームタイと断熱パネルの間が空いてしまう問題は解決できなかった。
【0015】
また、従来技術の断熱パネル31側の解体作業では、多くの場合、先ずフォームタイ20を取外した後、残った軸足10bを改めて取外さなければならない。フォームタイ20と軸足10bの螺合状態によっては、フォームタイ20を回し抜く際に、軸足10bも一緒に抜ける場合がまれにあるが、確実ではない。従って、作業者は、足場の悪い中で壁に向かってフォームタイと軸足を抜き取る作業をそれぞれ行わなければなければならない。フォームタイと軸足を、確実に一緒に回し抜くことができれば、その後にそれらを集めて、安全な作業場等でゆっくり分解することもできる。
【0016】
上記のような従来技術の問題点に鑑み、本発明の第1の目的は、1mm単位の断熱パネル厚さに合わせて長さ調節ができない従来の軸足を使用することなく、任意の厚さの断熱パネルを適切に支持するようにセパレータとフォームタイとを連結可能とすることである。
本発明の第2の目的は、引張力を負担する従来の軸足の機能と、断熱パネルへのフォームタイのめり込みを防止する従来の鞘管の機能とを兼用できる、長さ調節が容易な鞘管を具備する断熱パッドを実現することである。
本発明の第3の目的は、鞘管を抜き取る作業を、フォームタイの取外し作業と同時に行え、かつ余分な手間をかけずに行うことができる構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成する本発明の構成は、次の通りである。括弧内の数字は、後述する図面中の符号であり、参考のために付したものである。
本発明によるセパレータの第1の態様(スペーサ有り)は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備え、その両端が前記一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して該一対の型枠の各外面に位置する一対のフォームタイ(9)とそれぞれ連結されるセパレータ(1)において、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)を挿通させる筒状のスペーサー(8)と、
(e)前記スペーサー(8)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
(f)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)、前記スペーサー(8)及び前記高ナット(3)により形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、該スペーサー(8)の長さ(JL)を調整することにより調整可能であることを特徴とする。
【0018】
本発明によるセパレータの第2の態様(スペーサー無し)は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備え、その両端が前記一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して該一対の型枠の各外面に位置する一対のフォームタイ(9)とそれぞれ連結されるセパレータ(1)において、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
(e)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)及び前記高ナット(3)により鞘管部(1f)が形成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によるフォームタイの第1の態様(締付治具有り)は、上記いずれかのセパレータと連結されるフォームタイ(9)であって、
(a)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(b)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(c)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(d)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合する雄ネジ突起(9d)と、
(e)略環状の弾性体であって前記雄ネジ突起の周囲に装着され、該雄ネジ突起(9d)と前記高ナット(3)との螺合により、前記補強突起部と前記高ナットの間で弾性的に圧縮変形する締付治具(9e)と、を具備し、
(f)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする。
【0020】
本発明によるフォームタイの第2の態様(テーパーネジ有り)は、上記いずれかのセパレータと連結されるフォームタイ(9)であって、
(a)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(b)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(c)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(d)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合するテーパー付雄ネジ突起(9d’)と、を具備し、
(e)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする。
【0021】
本発明による型枠間隔保持構造の第1の態様(セパレータにスペーサー有り/フォームタイに締付治具有り)は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)を挿通させる筒状のスペーサー(8)と、
(e)前記スペーサー(8)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合する雄ネジ突起(9d)と、
(j)略環状の弾性体であって前記雄ネジ突起の周囲に装着され、該雄ネジ突起(9d)と前記高ナット(3)との螺合により、前記補強突起部と前記高ナットの間で弾性的に圧縮変形する締付治具(9e)と、を具備し、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)、前記スペーサー(8)及び前記高ナット(3)から形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、該スペーサー(8)の長さ(JL)を調整することにより調整可能であり、
(l)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(m)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする。
【0022】
本発明による型枠間隔保持構造の第2の態様(セパレータにスペーサー無し/フォームタイに締付治具有り)は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合する雄ネジ突起(9d)と、
(j)略環状の弾性体であって前記雄ネジ突起の周囲に装着され、該雄ネジ突起(9d)と前記高ナット(3)との螺合により、前記補強突起部と前記高ナットの間で弾性的に圧縮変形する締付治具(9e)と、を具備し、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)及び前記高ナット(3)により鞘管部(1f)が形成されており、
(l)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(m)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする。
【0023】
本発明による型枠間隔保持構造の第3の態様(セパレータにスペーサー有り/フォームタイにテーパーネジ有り)は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)を挿通させる筒状のスペーサー(8)と、
(e)前記スペーサー(8)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合するテーパー付雄ネジ突起(9d’)と、を具備し、
(j)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)、前記スペーサー(8)及び前記高ナット(3)から形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、該スペーサー(8)の長さ(JL)を調整することにより調整可能であり、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(l)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする。
【0024】
本発明による型枠間隔保持構造の第4の態様(セパレータにスペーサー無し/フォームタイにテーパネジ有り)は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合するテーパー付雄ネジ突起(9d’)と、を具備し、
(j)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)及び前記高ナット(3)により鞘管部(1f)が形成されており、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(l)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明のセパレータは、軸部の雄ネジ部に対し、断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとしての平板状部材を取付け、セパレータ孔内の外側ナットを取付け、外側ナットからさらに露出する雄ネジ部にスペーサーと高ナットを取り付ける。この高ナットにフォームタイを連結可能である。これらの外側ナット、スペーサー及び高ナットが、セパレータ孔内で鞘管部を形成し、その長さはスペーサーの長さにより調整できる。これにより、任意の厚さの断熱パネルを適切に支持する鞘管部を実現できる。すなわち、引張力を負担する従来の軸足の機能と、断熱パネルへのフォームタイのめり込みを防止する従来の鞘管の機能とを兼用できる。なお、鞘管部が最小長さとなる場合は、スペーサー無しとした場合である。
【0026】
上記本発明のセパレータとともに用いられる本発明のフォームタイは、断熱パネルの外面に当接するフランジ部から突出してセパレータ孔内に位置する補強突起部と、補強突起部から突出し高ナットと螺合する雄ネジ突起と、略環状の弾性体であって雄ネジ突起の周囲に装着される締付治具とを具備する。この締付治具は、雄ネジ突起と高ナットとの螺合により、補強突起部と高ナットの間で弾性的に圧縮変形する。圧縮変形した締付治具は、高ナットとフォームタイの双方に対して弾性押圧力を及ぼすことにより、高ネットとフォームタイを結合一体化させる。この結果、フォームタイを螺合時と逆方向に回すことにより、高ナットをセパレータの雄ネジ部から脱離させてフォームタイとともに抜き取ることができる。従って、フォームタイの取外し作業と、高ナットの取外し作業を別個に行う必要がなく、一度の作業で行うことができ、作業性が向上する。
【0027】
上記の本発明のセパレータ及びフォームタイを有する型枠間隔保持構造も、上記と同様の効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面に示した実施例を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。本発明によるセパレータ、フォームタイ及びこれらを用いた型枠間保持構造は、一例として、上述の図1で示したものと同様の型枠に適用される。すなわち、一対の型枠板のうち一方のみを型枠兼用断熱パネルとしたものである。また、別の例として、双方を型枠兼用断熱パネルとした型枠にも適用可能である。以下では、一方のみを型枠兼用断熱パネルとした実施例を中心に説明するが、双方が型枠兼用断熱パネルの場合は、双方のパネルに対し同じ構成(コンクリート壁を挟んで対称的な構成)を適用すればよい。
なお、以下の説明では、断熱パネル、もう一方の型枠板及び他の部品において、コンクリート壁側を「内側」、「内面」または「内方」とし、反対側を「外側」、「外面」または「外方」と称する。
【0029】
図4は、本発明によるセパレータ1の一実施例における断熱パネル側の一端近傍を示す図である。(a)は展開側面図であり、(b)は(a)を組み立てた状態の側面図である。セパレータ1は、築造するコンクリート壁の厚さにほぼ相当する長さである所定の径の棒状の軸部1aを備え、図1に示した断熱パネル側の一端から所定の長さの範囲は、雄ネジ部1a1となっている(後に示すが、他端には第2雄ネジ部がある)。雄ネジは所定規格であり、本発明における必要十分な長さに設定される。雄ネジ部1a1の基部には、内側ナット5Aと、断熱パッドとしての樹脂製円盤4と、外側ナット5Bが螺合される。ここで、外側ナット5Bの長さを「NL」と定義し、外側ナット5Bから露出した雄ネジ端露出長さを「SL」と定義する。
【0030】
図5は、樹脂製円盤4の正面図、側面図及びB−B’断面図である。樹脂製円盤4は、中心に貫通孔を有し両端面が円形の円盤である。図4に示すように、樹脂製円盤4は、内側ナット5A及び外側ナット5Bで固定され、後に示すように樹脂製円盤4の外面が断熱パネルの内面に当接する。樹脂製円盤4は、後述する本発明による可調整鞘管付断熱パッドの「断熱パッド部」に相当する。樹脂製円盤4は、柔らかい断熱材部分を支えるべく、一定以上の面積及び強度を要する平板状部材である。断熱パッド部の外形は円形に限られない。型枠組立て時には、当該箇所に対して電動工具による大きなトルクが加わるため、断熱パッドの位置が動かないよう強固に固定する必要がある。後に示すが、外側ナット5Bは、断熱パネルに設けたセパレータ孔内に位置することになる。
【0031】
図6は、断熱パッド部の別の実施例を示す図である。(a)の左図はC型留め輪6の正面図と側面図、右図は樹脂製円盤4の正面図である。(b)は、セパレータ1の断熱パネル側の一端近傍の展開側面図であり、(c)は(b)を組み立てた状態の側面図である。図4の実施例における内側ナットに替えて、C型留め輪6を用いている。外側ナット5Bの長さはNLであり、外側ナット5Bから露出した雄ネジ端露出長さはSLである。
【0032】
図7は、断熱パッド部のさらに別の実施例を示す図である。(a)は、断熱パッド部7の正面図、側面図及び背面図である。(b)は、セパレータ1の断熱パネル側の一端近傍の展開側面図であり、(c)は(b)を組み立てた状態の側面図である。一般のスカート付ナットを用いたスカート付ナット部7bと、平板状部材である樹脂製円盤部7aと、外側ナット部7cとを射出成型などで一体成形する。外側ナット部7cの長さはNLであり、外側ナット部7cから露出した雄ネジ端露出長さはSLである。
【0033】
図8(a)、(b)及び(c)は、それぞれ図4、図6及び図7に示した断熱パッド部の実施例について、組立状態におけるセパレータ1の全体を示した側断面図である。セパレータ1の全長ALは、コンクリート壁の厚さと断熱パネルの厚さに基づいて、所定の規格寸法の中から最も適切なものを選択して、決定する。セパレータ1の全長ALを一定とした場合、(a)、(b)及び(c)の各実施例において、外側ナットの部分の長さNL及び外側ナットから露出した雄ネジ端露出長さSLは、固定方法に依らず共通し、一定である。従って、外側ナットNLと雄ネジ端露出長さSLの和「NL+SL」もまた、固定方法に依らず共通し、一定である。このNL+SLの部分は、後述する断熱パネルのセパレータ孔内に挿入される部分である。
【0034】
また、セパレータ1の他端の第2雄ネジ部1a2の長さは、「ML」で定義するが、これも一定である。従って、「PL」で定義する中央の棒状部分の長さと、「QL」で定義する雄ネジ部1a1の全体長さについては、これらの和「PL+QL」は一定であるが、固定方法に応じて各々が相対的に異なることになる。
【0035】
図9は、上述の雄ネジ部1a1の露出部分に取り付けられるスペーサー8の正面図、側面図及び背面図である。スペーサー8は、正面図及び背面図に示すように、断面形状が所定の外径の点対称形状(円形、正多角形等)である。そして、上述のセパレータ1の雄ネジ部1a1が抵抗無く通る直径の貫通孔8aを有する筒状である。スペーサー8の外径は、セパレータ孔に対して抵抗無く挿入可能な大きさとする。スペーサー8は、その内側端面が図4及び図6の外側ナット5Bあるいは図7の外側ナット部7cの外側端面と隣接し、セパレータ孔内に位置することになる。スペーサー8は、後述する本発明による可調整鞘管付断熱パッドにおける「鞘管部」の一部である。そして、その鞘管部の長さは、スペーサー8の長さを調整することにより調整される。よって、スペーサー8は、任意の長さのものを準備できるようにする。ここで、スペーサー8の長さを「JL」と定義する。スペーサー8の形成方法としては、市販の適当な剛性の樹脂管や金属性の管を単に所望する長さに切断する方法や、市販の上記素材の棒状材を任意長さに切断して貫通孔をドリルで削孔する方法等がある。このような加工が容易であるので、従来の鋼製軸足を任意の長さに作製する場合に比べて、非専門的に行える。よって、製作コストも安価である。
【0036】
図10は、図9に示したスペーサー8に隣接して雄ネジ部1a1の露出部分と螺合する鋼製高ナット3の正面図、側面図及びA−A’断面図である。高ナット3は、正面図に示すように、柱体部3aの断面形状が点対称形状(円形、正多角形等)である。柱体部3aの軸上に設けた貫通孔は、雄ネジ部1a1と螺合する規格の雌ネジを設けた雌ネジ孔3bである。高ナット3の外径は、セパレータ孔に対して抵抗無く挿入可能な大きさとする。高ナット3は、その内側端面が図9のスペーサー8の外側端面と隣接し、セパレータ孔内に位置することになる。高ナット3もまた、後述する本発明による可調整鞘管付断熱パッドにおける「鞘管部」の一部である。高ナット3の長さは、一定の長さに設定される。ここで、高ナット3の長さを「TL」と定義する。
【0037】
高ナット3の一端面若しくは両端面には、電動工具のドライバビットが噛むようにビット溝3cを加工しておくことが好ましい。一端面にビット溝3cを設けた場合は、ビット溝3cが外側に向くように高ナット3を配置する。両端面にビット溝3cがある場合は、高ナット3の向きを意識せずに配置できる。また、高ナット3の長さが比較的長く(概ね30mm以上)設定された場合、雌ネジ孔3bの全長に亘って雌ネジ加工するとコスト高となるため、組立時に両端部に螺合される雄ネジに対し、所定の引張強度を得られる噛合長さの分だけ雌ネジ加工し、それ以外の部分は平滑面としてもよい。
【0038】
図11は、図10に示した高ナット3を、図4(b)に示したセパレータ1の一端に取り付けた組立状態を示す図である。(a)は、図9のスペーサー8を用いない場合の組立状態であり、(b)は図9に示したスペーサー8を用いた組立状態である。
【0039】
図11(a)では、樹脂製円盤4と外側ナット5Bを取り付けた雄ネジ部1a1の露出部分に、ビット溝3cを外側に向けて高ナット3を取付け、高ナット3が外側ナット5Bに当接するまで螺合させている。この場合、最終端において締め付ける必要はなく緩めに螺合させればよい。この状態で、断熱パッドとしての樹脂製円盤4と、外側ナット5Bと、高ナット3とが、可調整鞘管付断熱パッド1gを形成する。このうち、一列に配置された外側ナット5Bと高ナット3が鞘管部1fを形成する。ただし、これは、鞘管部1fが最小長さの場合に相当する。雄ネジ部1a1と高ナット3との噛合長さを「Lx」と定義すると、図11(a)における噛合長さLxは、最大値「Lmax」となり、雄ネジ端露出長さSLと一致する。このときの鞘管部1fの最小長さRLminは、NL+TLである。
【0040】
図11(a)において、高ナット3の他端は、雄ネジ部1a1の先端よりもさらに外方に延在している。高ナット3の他端側には、後述するフォームタイが螺合により連結されるので、雄ネジ部1a1の先端から高ナット3の他端までの長さは、少なくとも所定の引張強度をもってフォームタイを連結できるだけの噛合長さが必要である。
【0041】
次に、図11(b)に示すように、高ナット3と雄ネジ部1a1の噛合長さLxが最小値「Lmin」の場合は、鞘管部1fが最大長さの場合に相当する。最小値Lminは、所定の引張強度が確保できる最小の長さである。この場合、高ナット3を緩めただけでは、後に高ナット3にフォームタイを螺合する時に高ナット3も共回りしてしまうため、外側ナット5Bと高ナット3の間隙に図9に示したスペーサー8を挿入する。スペーサー8は、この間隙をちょうど充填する長さとなるように形成される。このときの鞘管部1fの最大長さRLmaxは、NL+SL+TL−Lminである。この状態で、断熱パッドとしての樹脂製円盤4と、外側ナット5Bと、スペーサー8と、高ナット3とが、可調整鞘管付断熱パッド1gを形成する。このうち、一列に配置された外側ナット5Bと、スペーサー8と、高ナット3とが鞘管部1fを形成する。
【0042】
鞘管部1fの最小長さRLminから最大長さRLmaxまでの中間長さRLの場合は、高ナット3と雄ネジ部1a1の噛合長さLxを変化させることで調整可能である。中間長さRLは、NL+SL+TL−Lxで表され、スペーサー8の長さJLを用いて表すと、NL+JL+TLとなる。任意長さJLのスペーサー8を用意し、鞘管部1fの長さRLを調整することになる。
【0043】
次に、本発明で用いるフォームタイについて説明する。
図12は、図1でも示した一般的なフォームタイ(以下、「一般フォームタイ」)20の正面図及び側面図である。一端から所定の長さのボールネジ部21を設けた棒状の軸部と、他端に設けられたフランジ部25、他端面中央から軸方向に穿設された雌ネジ部24とを有する。従来は、この雌ネジ部24を図1の軸足10bの雄ネジと連結していた。
【0044】
図13(a)は、本発明によるフォームタイ9の側面図である。(b1)及び(b2)は、フォームタイ9の作製方法例である。
図13(a)に示すように、フォームタイ9は、一端から所定の長さのボールネジ部9aを設けた棒状の軸部を有する点では、従来と同様である。フォームタイ9は、他端近傍に設けたフランジ部9bと、フランジ部9bから突出する補強突起部9cと、補強突起部から突出した雄ネジ突起9dとを有する。フランジ部9bは、断熱パネルの外面に当接するので、補強突起部9c及び雄ネジ突起9dは、断熱パネルのセパレータ孔内に位置することになる。雄ネジ突起9dは、所定の規格及び長さであり、図11に示した組立状態のセパレータ1における高ネット3の端部と螺合する。補強突起部9cは、雄ネジ突起9dの基部の補強用であり、フォームタイを落とした時などに雄ネジ突起9dが折れ曲がり難くする。補強突起部9cの外径及び長さは適宜である。補強突起部9cの長さを「HL」と定義する。本発明によるフォームタイ9は、このような雄ネジ突起付きフォームタイである。
【0045】
フォームタイ9を簡易に製造するに当たっては、図13(b1)に示すように、市販の一般フォームタイ20の雌ネジ部24に、所定寸法の全ネジボルト9d’を接着剤等を併用して強固に螺合固定し、フォームタイ9と一体化する。さらに、(b2)に示すように、補強突起部9cの形成にあっては、同程度の外径で所定の厚さのナット等を全ネジボルトに螺合するとよい。
【0046】
図14(a)及び(b)はそれぞれ、フォームタイ9の雄ネジ突起9cの周囲に装着される締付治具9eの実施例である。締付治具9eの外径は、断熱パネルのセパレータ孔に抵抗無く挿入可能な程度である。締付治具9eは、略環状の弾性体であって、図13の雄ネジ突起9dと図11の高ナット3との螺合により、補強突起部9cと高ナット3の間で弾性的に圧縮変形して所定の長さ(厚さ)となる。締付治具の圧縮変形時の長さを「BL」と定義する。(a)は、鋼製バネ座金の例であり、押し潰れたバネの復元応力がその両側に当接するフォームタイと高ナットを軸方向に押圧することにより摩擦抵抗を増大させてフォームタイと高ナットを一体化させる作用効果を奏する。(b)は、樹脂ワッシャーの例であり、鋼材に比べて柔らかい樹脂材が潰れることでバネ座金と同様の作用効果を奏する。この結果、フォームタイの取り外し時に螺合時と逆方向に回すと、高ナットがフォームタイとともに回り、高ナットをフォームタイとともに抜き取ることができる。これについては、図18で詳述する。
【0047】
以上の通り、本発明によるセパレータ1は、スペーサー8の長さ(スペーサー8の無い場合を含む)によりセパレータ孔内に位置する鞘管部の長さを調整できるので、一定の長さのセパレータ1と高ナット3を選択した場合であっても、所定の範囲内の任意の厚さ(「DL」と定義する)の断熱パネルに対して適用可能となる。
【0048】
図15は、一定の長さのセパレータ1と高ナット3を、最小厚さDLminの断熱パネル31に適用した場合の固定手順(a)と、固定状態(b)を示す図である。この場合、セパレータ1における可調整鞘管付断熱パッド1gの鞘管部1fは、最小長さRLminである。すなわち、図11(a)に示したスペーサー8の無い場合であり、外側ナット5Bと高ナット3のみから構成される。
図15(a)に示すように、セパレータ1の鞘管部1fに断熱パネル31の内面側を近づけ、鞘管部1fをセパレータ孔31cに挿入する。さらに、断熱パネル31の外面側からフォームタイ9をセパレータ孔31cに挿入し、雄ネジ突起9dを高ナット3に螺合する。
図15(b)に示すように、固定状態では、断熱パネル31は断熱パッドである樹脂製円盤4とフランジ9bにより挟持される。実際の施工では電動工具でフォームタイ9を締めるため、フォームタイ9には大きなトルクが加わるが、断熱パネル31の厚さDLminと、断熱パッド4とフランジ9b間の距離(RLmin+BL+HL)は等しいので、締めすぎて断熱パネル31を破壊することもなく、同様に緩むこともない。
【0049】
図16は、図15と同じ一定の長さのセパレータ1と高ナット3を、最大厚さDLmaxの断熱パネル31に適用した場合の固定手順(a)と、固定状態(b)を示す図である。この場合、セパレータ1における可調整鞘管付断熱パッド1gの鞘管部1fは、最大長さRLmaxである。すなわち、図11(b)に示したスペーサー8を用いた最大長さの場合である。
図16(a)に示すように、セパレータ1の鞘管部1fに断熱パネル31の内面側を近づけ、鞘管部1fをセパレータ孔31cに挿入する。さらに、断熱パネル31の外面側からフォームタイ9をセパレータ孔31cに挿入し、雄ネジ突起9dを高ナット3に螺合する。
図16(b)に示すように、固定状態では、断熱パネル31は断熱パッドである樹脂製円盤4とフランジ9bにより挟持される。同様に、実際の施工では電動工具でフォームタイ9を締めるため、フォームタイ9には大きなトルクが加わるが、断熱パネル31の厚さDLmaxと、断熱パッド4とフランジ9b間の距離(RLmax+BL+HL)は等しいので、締めすぎて断熱パネル31を破壊することもなく、同様に緩むこともない。
【0050】
図15及び図16からわかるように、断熱パッド4とフランジ9b間の調整可能な距離は、鞘管部1fの長さRLと、締付治具9eの長さBLと、補強突起部9cの長さHLとの和(RL+BL+HL)である。鞘管部1fの長さRLは、スペーサー8の長さ調整(無い場合を含む)により最小長さRLminとRLmaxの間で調整可能である。これにより、DLmin≦DL≦DLmaxの範囲の任意の厚さDLの断熱パネル31に対応可能である。なお、DLmin=RLmin+BL+HLであり、DLmax=RLmax+BL+HLである。
【0051】
図17は、型枠兼用断熱パネル31と、返し型枠であるもう一方の型枠板32とを含めた型枠全体の組立状態を示す側面図である。上述の内容は、断熱パネル31の固定手段に関するものであったが、壁の型枠には相対する返し型枠がある。上述の断熱パネルの固定では、雄ネジ突起を具備するフォームタイ9を用いたが、当該フォームタイ9は、従来の型枠板32の固定にも共通に使用できる。従って、一般フォームタイ20とフォームタイ9の双方を準備する必要はない。一般フォームタイ20(雌ネジ孔付き)を、型枠合板である型枠板32に用いる場合、型枠板32の内面を支持するために、図1に示した雄ネジ突起の突出したPコン10dを使うことが一般的であるが、図17に示すように、フォームタイ9(雄ネジ突起付き)を型枠板32に用いる場合は、雌ネジ付きの在来部材である梁用Pコン1eを使用すれば何ら支障は無い。梁用Pコン1eの雌ネジ部1e1の先端は、梁用Pコン1eの当接面と同じ位置にある。フォームタイ9の雄ネジ突起dは、セパレータ孔32aを貫通して梁用Pコン1eの雌ネジ部1e1と螺合する。
【0052】
なお、型枠板32の側において梁用Pコンとフォームタイ9を使用することは好適例であるが、必須ではなく、従来通り雄ネジ付きのPコンと雌ネジ付きの一般フォームタイ20を使用する場合も、本発明に含まれる。従って、本発明において、型枠板32の内面に当接させる「Pコン」の意味には、雄ネジ付きのPコンと雌ネジ付きの梁用Pコンの双方を含む場合がある。
【0053】
以上、本発明によれば、従来の任意長さの加工が困難な金属性部材(軸足)を製作することなく、加工が容易なスペーサーを使用して鞘管部1fの長さを調節し、所定範囲の任意の断熱パネル厚さに対して、しっかりと挟み付けて固定できる、可調整鞘管付断熱パッド1g及びフォームタイ9を得ることができた。
【0054】
図18は、コンクリート打設・固化後における型枠解体作業において、フォームタイ9を抜き取る工程を示した図である。図1に示した従来技術の場合、一般フォームタイ20の抜き取り時には、一般フォームタイ20だけが抜けることがほとんどであり、軸足10bも一緒に抜けるかは、あくまで偶然によるものであった。軸足10dが残った場合は、二度手間で軸足10bを抜き取る作業を行わなければならなかった。従来技術と同様に、本発明によるフォームタイ9も、ソケットを付けたインパクトドライバーで回し抜き取られる。互いに螺合したフォームタイ9と高ナット3の間には、弾性的に圧縮変形した締付治具9eが介在しており、フォームタイ9と高ナット3の双方に対し弾性復元力による押圧力を及ぼして双方を一体化させている。従って、図18に示すように、フォームタイ9を回し抜く際に高ナット3もフォームタイ9と一体に回ることになり、高ナット3は雄ネジ部1a1から脱離し、フォームタイ9とともに引き抜かれる。その後、作業し易い場所においてフォームタイ9と高ナット3を分離する。フォームタイ9と高ナット3はいずれも何度でも再利用できる。
【0055】
図19(a)、(b)及び(c)はそれぞれ、フォームタイ9の別の実施例を示す側面図である。(a)の実施例では、締付治具9eを、予めフォームタイ9の補強突起部9cに溶接9e1で固定している。(b)の実施例では、雄ネジ突起9dの基部に小径の胴細部9d1を形成して締付治具9eが抜けないようにしている。これらの実施例においては、締付治具9eを作業の都度取り付けなくともよく、作業が容易となる。
また、図19(c)の実施例では、フォームタイ9の雄ネジ突起の全ネジボルトを、テーパーネジ9d’とすることで、締付治具9eを使用せずに同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
図20は、高ナット3の抜取り後の断熱パネル31のセパレータ孔31aの処理方法を示した図である。セパレータ孔31cの内径に嵌合する円柱状の断熱補強材36を充填した後、適当な樹脂製キャップ37でセパレータ孔31cの開口を閉止する。樹脂製キャップ37の替わりに、市販のパテ材等を充填してもよい。これにより、セパレータ孔31aにおいて断熱欠損となることを防止する。
【0057】
以上、セパレータ孔に挿入される鞘管部長さを、一定の範囲で断熱パネル厚さに応じて調整できる、可調整鞘管部付断熱パッドと、これを用いて断熱パネルを固定する手段を示した。
これにより、5mm単位でしか長さ調整できなかった従来の軸足を使用せず、加えて、めり込んだり浮いたりせずに、断熱パッド部分とフォームタイフランジ部の大きな当接面積で断熱パネルをしっかり挟み込んで固定することができる。
加えて、型枠解体時のフォームタイ抜き取り作業と一緒に、高ナット抜き取り作業(在来工法では軸足抜き取り作業)が行え、従来技術の問題点を解決することができる。
【0058】
なお、図示した形状は実施例であって本発明はこれらに限定されるものではなく、当業者に自明であるような本発明と同等の作用効果を奏する変形態様及びそれらを組み合わせた態様もまた、本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0059】
以下、本発明の各構成要素の製造例及びこれらを用いたコンクリート壁の築造実施例を示す。各構成要素については、必要な個数を製造するものとする。
(1)高ナット3(図10参照)の製造例
(i)二面巾12mmの正六角形状の鋼材を長さ50mmに加工し、断面中心に直径8.0mmの貫通孔を削孔した。
(ii)次に、上記丸棒鋼材に、長さ14mm、2分5厘の雌ネジを、貫通孔の両端に加工した。
(iii)次に、上記鋼材の一端面に、ドライバービット溝となる、巾1.5mm、深さ3.0mmの溝加工を施した。さらに、後工程でクロメートメッキ処理を施した。
【0060】
(2)セパレータ1の軸部1a(図8参照)の製造例
(i)施工するコンクリート壁の厚さ180mmを想定し、所定外径の丸棒鋼材を長さ203mmに加工した。
(ii)次に、上記丸棒鋼材の一端側(断熱パネル側)の雄ネジ部の長さを48.5mm、他端側(型枠板側)の第2雄ネジ部の長さを8.5mmとし、ネジ径2分5厘でネジ加工した。さらに後工程でセパレータ軸部にレンチ用の2面プレス処理を行った。
【0061】
(3)樹脂製円盤4(図5参照)の製造例
ポリエチレン樹脂を用いて、外径40mm、厚さ3mm、中心に内径8.0mmの貫通孔を有する樹脂製円盤を射出成形した。
【0062】
(4)樹脂製円盤4の内側ナット5A及び外側ナット5B(図4参照)の製造例
(i)内側ナットとして、ネジ径2分5厘、二面巾13.6mm、厚さ6.5mmの六角1種ナットを作製した。
(ii)外側ナットとして、ネジ径2分5厘、二面巾13.0mm、厚さ5mmの六角3種ナットを作製した。
【0063】
(5)樹脂製円盤付きセパレータ1の組立て例(図4参照)
(i)上記(2)のセパレータの48.5mmの雄ネジ部に、上記(4)の六角1種ナットを根元まで螺合し、その上から上記(3)の樹脂製円盤を圧入し、その上から上記(4)の六角3種ナットを螺合し、樹脂製円盤を固定した。これにより、図4に示した形状の、樹脂製円盤付きセパレータを組み立てた。この時の雄ネジ端露出長さSLは、39mmとなった。
【0064】
(6)鞘管付断熱パッド1gの組立例(図15参照)
上記(5)の樹脂製円盤付きセパレータに、上記(1)の高ナットを螺合して、鞘管付断熱パッド(スペーサなし)を組み立てた。
【0065】
(7)フォームタイ9(図13参照)の製造例
(i)一端部に直径29mm、厚さ4mmのフランジ部と、外径11.5mm、高さ4mmの補強突起部を有し、他端部は外径13.2mm、長さ132mmのボールネジを有する長さ186mmのフォームタイ原型を各種プレス機で成形した。
(ii)次に、タッピングボール盤で補強突起部中心に、深さ10mm、2分5厘の雌ネジを加工した。
(iii)次に、長さ26mm、2分5厘の全ネジボルトを加工し、上記フォームタイ原型の雌ネジ部に無機系接着剤を塗布して螺合し、長さ16mmの雄ネジ突起を形成した。
【0066】
(8)締付治具9e(図14参照)のフォームタイ9への取付例
(i)厚さ2.0mm、外径12.5mm、内径8.4mmのバネ座金を製造した。
(ii)上記フォームタイの雄ネジ突起の基部に、バネ座金を点溶接して固定し、締付治具付きのフォームタイを製造した。
【0067】
(9)梁用Pコン1e(図8参照)の用意
市販の梁用Pコンを所定の個数、用意した。
【0068】
(10)型枠兼用断熱パネル31(図15、図16参照)の製造例
(i)幅923mm、長さ2720mm、厚さ54mmのビーズ法ポリスチレンフォームからなる断熱板の表面に、所定の量の接着剤をロールコーターで全面塗布し、その上に幅910mm、厚さ6mm、長さ2420mmのケイ酸カルシウム板6mmを貼り合わせて、プレスした後、1日乾燥養生して一体化した。
(ii)次に、上記貼合わせ物の四周を切断し、幅900mm、厚さ60mm、長さ2700mmの断熱パネルを製造した。
(iii)次に、上記断熱パネルの所定の位置に、断熱パネルを貫通する外径15mmのセパレータ孔を加工した。
【0069】
(11)型枠の建込み工程例(図21、22参照)
(i)セパレータ1の第2雄ネジ部1a2に、梁用Pコン1eを根元まで螺合し、取り付けた。
(ii)締付治具付きフォームタイ9のボールネジ部9aに、座金9fとナットを取り付けた。
(iii)次に、図21に示すように、施工面に墨出し台付38を取り付け、台付38の位置に合わせて、相対する断熱パネルのセパレータ孔と同位置に、外径15mmのセパレータ孔32aを削孔した合板型枠である型枠板32を直立させた。
(iv)鉄筋41に仮止めして固定した。
(v)2人の作業者を型枠板32の両側にそれぞれ配し、1人が上記セパレータ1の梁用Pコン1eの端面を型枠板32の内面からセパレータ孔に当接させ、もう1人が型枠板32の外面から、フォームタイ9をセパレータ孔に回し入れて、内面の梁用Pコンと螺合させ、インパクトドライバーで締め付けてしっかりと固定した。
(vi)次に、縦バタ材33、横バタ材34を取り付け、フォームタイ9のナットを締めて、座金9fで横バタ材34を固定し、転倒防止のパイプサポートで型枠を仮に支えて、型枠の一方側を組み立てた。
(vii)次に、図22に示すように、型枠板32に固定されているセパレータ1の可調整鞘管付断熱パッドの鞘管部1fに、断熱パネル31のセパレータ孔31cを合わせて、差し込みながら断熱パネル31を垂直に建て込んだ。
(viii)次に、断熱パネル31のセパレータ孔31cに、締付治具付きのフォームタイ9を回し入れて、高ナットと螺合させ、インパクトドライバーで締め付けてしっかりと固定した。この時、フォームタイはインパクトドライバーで強く締め付けたが、鞘管部1fと、フォームタイ9の締付治具及び補強突起部とがストッパーとなるため、断熱パネル31の補強材31bに、フォームタイ9のフランジ部がめり込んで破損することはなかった。 (ix)続けて、縦バタ材、横バタ材(図示せず)を建込み、フォームタイ9の座金を締め付けてしっかり固定した。これにより、型枠が完成した。
【0070】
(12)コンクリートの打設工程例
(i)上記(11)により完成した型枠内にコンクリートを打設し、所定の期間養生した。このとき、打設後の断熱パネルの状態を検査したが、断熱パネルが、その厚さと等しい長さの鞘管部等を介して、断熱パッドとフォームタイフランジ部でしっかり挟まれ固定されたことによって良好に打設されていたことを確認できた。
【0071】
(ii)次に、所定期間コンクリートを養生した後、型枠を解体した。インパクトドライバーの左回しで、締付治具付きのフォームタイを抜き取ったが、その際、締付治具の効果によって、鞘管部の高ナットがフォームタイと一緒に抜けることが確認できた。その結果、従来工法より解体時間を短縮することができた。
(iii)次に、高ナット抜取り後の断熱パネルのセパレータ孔に断熱補修材を押し込み、樹脂製キャップを入れて表面処理をした。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】従来技術の2例を説明する縦断面図である。
【図2】従来技術の問題点の1つを説明する縦断面図である。
【図3】従来技術の問題点の1つを説明する縦断面図である。
【図4】本発明によるセパレータ1の一実施例における断熱パネル側の端部の部分的構成を示す図である。(a)は展開側面図であり、(b)は(a)を組み立てた状態の側面図である。
【図5】樹脂製円盤の正面図、側面図及びB−B’断面図である。
【図6】断熱パッド部の別の実施例を示す図である。(a)の左図はC型留め輪の正面図と側面図、右図は樹脂製円盤の正面図である。(b)は、は展開側面図であり、(c)は(b)を組み立てた状態の側面図である。
【図7】断熱パッド部のさらに別の実施例を示す図である。(a)は、断熱パッド部の正面図、側面図及び背面図である。(b)は、セパレータの断熱パネル側の一端近傍の展開側面図であり、(c)は(b)を組み立てた状態の側面図である。
【図8】(a)(b)(c)は、それぞれ図4、図6及び図7に示した断熱パッド部の実施例について組立状態におけるセパレータ全体を示した側面図である。
【図9】雄ネジ部の先端側の露出部分に取り付けられるスペーサーの正面図、側面図及び背面図である。
【図10】図9に示したスペーサーに隣接して雄ネジ部の露出部分と螺合する鋼製高ナットの正面図、側面図及びA−A’断面図である。
【図11】図10に示した高ナットを、図4(b)に示したセパレータの一端に取り付けた組立状態を示す図である。(a)は、図9のスペーサーを用いない場合の組立状態であり、(b)は図9に示したスペーサーを用いた組立状態である。
【図12】図1に示した一般的なフォームタイの正面図及び側面図である。
【図13】(a)は、本発明によるフォームタイの側面図である。(b1)及び(b2)は、フォームタイの作製方法例である。
【図14】(a)及び(b)はそれぞれ、フォームタイの雄ネジ突起の周囲に装着される締付治具の実施例である。
【図15】一定の長さのセパレータ1と高ナット3を、最小厚さの断熱パネル31に適用した場合の固定手順(a)と、固定状態(b)を示す図である。
【図16】長さ調整できる鞘管付き断熱パッド(最大長さの状態)を、断熱パネルへ取付けた状態を説明する縦断面図である。
【図17】型枠兼用断熱パネル31と、返し型枠であるもう一方の型枠板とを含めた型枠全体の組立状態を示す側面図である。
【図18】コンクリート打設・固化後における型枠解体作業において、フォームタイを抜き取る工程を示した図である。
【図19】(a)、(b)及び(c)はそれぞれ、フォームタイの別の実施例を示す側面図である。
【図20】高ナット抜取り後の、鞘管挿入穴の表面処理の状態を説明する縦断面図である。
【図21】実施例における、型枠の建込み工程を説明する縦断面図である。
【図22】実施例における、型枠の建込み工程を説明する縦断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1:セパレータ、1a:軸部、1a1:雄ネジ部、1a2:第2雌ネジ部、1e:梁用Pコン、1e1:Pコン雌ネジ部、1f:鞘管部、1g:可調整鞘管付断熱パッド
3:高ナット
4:樹脂製円盤、4a:貫通孔
5A:内側ナット
5B:外側ナット
6:留め輪
7:断熱パッド部、7a:樹脂製円盤部、7b:スカート付ナット部、7c:外側ナット部
8:スペーサー
9:フォームタイ、9a:ボールネジ部、9b:フランジ部、9c:補強突起部、9d:雄ネジ突起、9e:締付治具、9f:座金
10:従来セパレータ
20:一般フォームタイ
31:断熱パネル、31a:断熱材、31b:補強材、31c:セパレータ孔
32:型枠板、32a:セパレータ孔
33:縦バタ材
34:横バタ材
41:鉄筋
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネルである一対の型枠の間隔保持に使用されるセパレータ及びフォームタイ並びにこれらを設けた型枠間隔保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の鉄筋コンクリート壁の築造に用いられる型枠として、一対の型枠板の双方に合板を用いた一般的なもの以外に、一方の型枠板に替えて断熱機能を付加したを型枠兼用断熱パネル用いたものが用いられている。コンクリート固化後に合板の型枠板は除去されるが、型枠兼用断熱パネルはそのまま残され、コンクリート壁と一体化した断熱層として機能する。型枠兼用断熱パネル(以下、単に「断熱パネル」と称する場合がある)には様々な種類があるが、発泡プラスチック断熱材をそのまま型枠として使用する場合や、発泡プラスチック断熱材にボード材や各種補強材を貼り合わせたり組み合わせたりした断熱複合パネルを使用する場合が一般的である。
【0003】
型枠兼用断熱パネルを用いた型枠の間隔保持具として用いられるセパレータの従来技術として、特許文献1及び2等がある。特許文献1では、セパレータの一端の雄ネジに対し、両端に雌ネジを設けた円柱ジョイントを取付、断熱パネルに穿設したセパレータ孔に円柱ジョイントを挿入し、円柱ジョイントの他端の雌ネジにフォームタイを取り付けている。円柱ジョイントは断熱パネルの厚さより長く、断熱パネルの内面から突出している。
【0004】
図1の従来技術(1)は、特許文献1及び特許文献2中にその従来技術として記載されている一般的なセパレータ及びフォームタイによる型枠間隔保持構造を示す縦断面図である。
図1の従来技術(1)を参照して、施工方法の一例を説明する。一方の型枠板として断熱材31aと補強材31bを貼り合わせた断熱パネル31を用い、他方の型枠板として型枠合板32を用いる。セパレータ10は、予め、軸部10aの一端の雄ネジ部に略円盤状の断熱パッド10cを螺合し、断熱パッド10cの他端の雌ネジに軸足(丸棒の両端に雄ネジ部を設けたもの)10bを螺合するとともに、軸部10aの他端の雄ネジ部に円錐台状のプラスチックコーン(以下、「Pコン」)10dを螺合し、組み立てておく。Pコン10dの他端には雄ネジ部10d1が突出している。
【0005】
先ず、墨出し位置に合わせて、断熱パネル31を建込んで仮止めした後、断熱パネル31の所定の位置に穿設したセパレータ孔31cに、上記のように組み立てたセパレータ10の軸足10bを、断熱パネル31の内面側から貫通させる。断熱パネル31の外面側から突出した軸足10bに対し、座金23を付けたフォームタイ20の一端の雌ネジ部24を螺合し、固定する。フォームタイ20の一端に設けられたフランジ部25eは、断熱パネル31の外面に当接する。その後、断熱パネル31の外面側に縦バタ材33、横バタ材34を取り付け、フォームタイ20の座金23で締め付けナット22で固定する。断熱パネル31の両面にそれぞれ当接する断熱パッド10cとフランジ部25eは、当接面積を拡大することで軸力による断熱パネルの局所的変形を軽減する。
【0006】
一方、セパレータ10のPコン10d側には、返し型枠として一般的な型枠合板である型枠板32を建込む。型枠板32には、Pコン10dの位置に合わせてセパレータ孔32aが穿設されている。このセパレータ孔32aに、25mm程度の長さのPコンの雄ネジ部10d1を貫通させる。型枠板32の外面側から突出したPコンの雄ネジ部10d1に対し、上記と同様にもう一本のフォームタイ20を取付け、バタ材を固定する。型枠板32の両面にそれぞれ当接するPコンとフォームタイ20のフランジ部25eは、当接面積を拡大することで軸力による型枠板32の局所的変形を軽減する。
【0007】
なお、断熱パネル31と型枠板32のいずれから建込むかは、施工精度の優先順位や現場の状況で変わり、前述とは逆に、断熱パネル31を後に建込むこともあるが、施工順序が変わるだけで一連のセパレータ及びフォームタイの構成は同じである。
【0008】
次に、型枠建込み精度や締付状態等を確認した後、型枠間の空間にコンクリートを打設して、コンクリート壁を施工する。その後、所定の養生期間を経た後、型枠を解体するが、断熱パネル31については、フォームタイ20を緩めてバタ材33、34を取外した後、改めてフォームタイ20を取外し、その後、軸足10bを抜き取る。軸足10bの抜取り後のセパレータ孔31cは断熱欠損となるため、発泡ウレタン充填等で断熱補強する。断熱複合パネルの場合は必要に応じて、パテ材等で補強材31b部分の補修を行う。一方、型枠板32については、同様にバタ材33、34、フォームタイ20を取外した後、型枠板32もコンクリート壁から剥がす。続けて、一部がコンクリートに埋め込まれているPコン10dも取外し、Pコン取外し後の穴は、必要に応じてモルタルや専用のキャップ等で埋めて補修する。
【特許文献1】特許第3078766号公報(図9、図11)
【特許文献2】特許第3526562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図1の従来技術(1)に示した型枠間隔保持構造では、断熱パネル31の厚さに合わせて、軸足10bの長さを変えて調整を行っているが、市販の軸足は5mm単位の長さでしか販売されていない。一方で、断熱パネル31の厚さはユーザの要望する断熱性能に応じて1mm単位で製造販売されることも多く、断熱パネルの厚さと、軸足の長さが合わない場合も発生する。
【0010】
そして、断熱パネルの厚さと軸足の長さが合わない場合は、使用する断熱パネルの厚さに近い長さの軸足を使用するしか方法がない。例えば、厚さ53mmの断熱パネルを使用する場合は、断熱パネル50mm用の軸足(短すぎる軸足)か、断熱パネル55mm用の軸足(長すぎる軸足)を使わざるを得ない。
【0011】
図2は、断熱パネル31に対して短すぎる軸足10bを使用する場合の問題点を示す縦断面図である。図2に示すように、3mm厚さ分を余計に締め付けることができるため、フォームタイ20の締め付け時の力加減を誤ると、断熱パネル31にフォームタイ20がめり込んだり、断熱パネル31を破損するおそれがある(符号X1参照)。
【0012】
図3は、断熱パネル31に対して長すぎる軸足10bを使用する場合の問題点を示す縦断面図である。図3に示すように、軸足いっぱいまで締め付けても2mm空いてしまうので、型枠の建込み精度に影響を及ぼすおそれがある(符号X2参照)。
【0013】
図2に示した断熱パネル31へのフォームタイ20のめり込みを防止する手段としては、図1の従来技術(2)が、一応、有効である。図1の従来技術(2)を参照すると、断熱パッド11cの円盤面の中央から外側に延びる鞘管11c1が設けられ、セパレータ孔31c内に挿入されている。この鞘管11c1の長さが断熱パネル31の厚さと一致すれば、フォームタイ20を締めこんだ際の圧縮力を鞘管11c1が負担することで、断熱パネル31の破損が避けられる。しかし、市販品の鞘管付き断熱パッド11cは、鞘管部長さの種類に乏しいため、任意の厚さの断熱パネル31に対応する鞘管付き断熱パッド11cを用意するのは困難である。
【0014】
また、鞘管付き断熱パッド11cの鞘管11c1は、断熱パネル31の潰れは防止できるが、引張力は負担できないため、通常の断熱パッド10cと同様に、型枠強度を確保するために軸足10bを併用しなければならない。加えて、断熱パネル31に比べて軸足10bが長すぎる場合は、図3に示したように、どんなに締め付けてもフォームタイと断熱パネルの間が空いてしまう問題は解決できなかった。
【0015】
また、従来技術の断熱パネル31側の解体作業では、多くの場合、先ずフォームタイ20を取外した後、残った軸足10bを改めて取外さなければならない。フォームタイ20と軸足10bの螺合状態によっては、フォームタイ20を回し抜く際に、軸足10bも一緒に抜ける場合がまれにあるが、確実ではない。従って、作業者は、足場の悪い中で壁に向かってフォームタイと軸足を抜き取る作業をそれぞれ行わなければなければならない。フォームタイと軸足を、確実に一緒に回し抜くことができれば、その後にそれらを集めて、安全な作業場等でゆっくり分解することもできる。
【0016】
上記のような従来技術の問題点に鑑み、本発明の第1の目的は、1mm単位の断熱パネル厚さに合わせて長さ調節ができない従来の軸足を使用することなく、任意の厚さの断熱パネルを適切に支持するようにセパレータとフォームタイとを連結可能とすることである。
本発明の第2の目的は、引張力を負担する従来の軸足の機能と、断熱パネルへのフォームタイのめり込みを防止する従来の鞘管の機能とを兼用できる、長さ調節が容易な鞘管を具備する断熱パッドを実現することである。
本発明の第3の目的は、鞘管を抜き取る作業を、フォームタイの取外し作業と同時に行え、かつ余分な手間をかけずに行うことができる構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成する本発明の構成は、次の通りである。括弧内の数字は、後述する図面中の符号であり、参考のために付したものである。
本発明によるセパレータの第1の態様(スペーサ有り)は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備え、その両端が前記一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して該一対の型枠の各外面に位置する一対のフォームタイ(9)とそれぞれ連結されるセパレータ(1)において、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)を挿通させる筒状のスペーサー(8)と、
(e)前記スペーサー(8)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
(f)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)、前記スペーサー(8)及び前記高ナット(3)により形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、該スペーサー(8)の長さ(JL)を調整することにより調整可能であることを特徴とする。
【0018】
本発明によるセパレータの第2の態様(スペーサー無し)は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備え、その両端が前記一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して該一対の型枠の各外面に位置する一対のフォームタイ(9)とそれぞれ連結されるセパレータ(1)において、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
(e)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)及び前記高ナット(3)により鞘管部(1f)が形成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によるフォームタイの第1の態様(締付治具有り)は、上記いずれかのセパレータと連結されるフォームタイ(9)であって、
(a)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(b)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(c)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(d)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合する雄ネジ突起(9d)と、
(e)略環状の弾性体であって前記雄ネジ突起の周囲に装着され、該雄ネジ突起(9d)と前記高ナット(3)との螺合により、前記補強突起部と前記高ナットの間で弾性的に圧縮変形する締付治具(9e)と、を具備し、
(f)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする。
【0020】
本発明によるフォームタイの第2の態様(テーパーネジ有り)は、上記いずれかのセパレータと連結されるフォームタイ(9)であって、
(a)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(b)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(c)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(d)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合するテーパー付雄ネジ突起(9d’)と、を具備し、
(e)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする。
【0021】
本発明による型枠間隔保持構造の第1の態様(セパレータにスペーサー有り/フォームタイに締付治具有り)は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)を挿通させる筒状のスペーサー(8)と、
(e)前記スペーサー(8)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合する雄ネジ突起(9d)と、
(j)略環状の弾性体であって前記雄ネジ突起の周囲に装着され、該雄ネジ突起(9d)と前記高ナット(3)との螺合により、前記補強突起部と前記高ナットの間で弾性的に圧縮変形する締付治具(9e)と、を具備し、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)、前記スペーサー(8)及び前記高ナット(3)から形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、該スペーサー(8)の長さ(JL)を調整することにより調整可能であり、
(l)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(m)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする。
【0022】
本発明による型枠間隔保持構造の第2の態様(セパレータにスペーサー無し/フォームタイに締付治具有り)は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合する雄ネジ突起(9d)と、
(j)略環状の弾性体であって前記雄ネジ突起の周囲に装着され、該雄ネジ突起(9d)と前記高ナット(3)との螺合により、前記補強突起部と前記高ナットの間で弾性的に圧縮変形する締付治具(9e)と、を具備し、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)及び前記高ナット(3)により鞘管部(1f)が形成されており、
(l)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(m)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする。
【0023】
本発明による型枠間隔保持構造の第3の態様(セパレータにスペーサー有り/フォームタイにテーパーネジ有り)は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)を挿通させる筒状のスペーサー(8)と、
(e)前記スペーサー(8)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合するテーパー付雄ネジ突起(9d’)と、を具備し、
(j)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)、前記スペーサー(8)及び前記高ナット(3)から形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、該スペーサー(8)の長さ(JL)を調整することにより調整可能であり、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(l)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする。
【0024】
本発明による型枠間隔保持構造の第4の態様(セパレータにスペーサー無し/フォームタイにテーパネジ有り)は、少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合するテーパー付雄ネジ突起(9d’)と、を具備し、
(j)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)及び前記高ナット(3)により鞘管部(1f)が形成されており、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(l)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明のセパレータは、軸部の雄ネジ部に対し、断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとしての平板状部材を取付け、セパレータ孔内の外側ナットを取付け、外側ナットからさらに露出する雄ネジ部にスペーサーと高ナットを取り付ける。この高ナットにフォームタイを連結可能である。これらの外側ナット、スペーサー及び高ナットが、セパレータ孔内で鞘管部を形成し、その長さはスペーサーの長さにより調整できる。これにより、任意の厚さの断熱パネルを適切に支持する鞘管部を実現できる。すなわち、引張力を負担する従来の軸足の機能と、断熱パネルへのフォームタイのめり込みを防止する従来の鞘管の機能とを兼用できる。なお、鞘管部が最小長さとなる場合は、スペーサー無しとした場合である。
【0026】
上記本発明のセパレータとともに用いられる本発明のフォームタイは、断熱パネルの外面に当接するフランジ部から突出してセパレータ孔内に位置する補強突起部と、補強突起部から突出し高ナットと螺合する雄ネジ突起と、略環状の弾性体であって雄ネジ突起の周囲に装着される締付治具とを具備する。この締付治具は、雄ネジ突起と高ナットとの螺合により、補強突起部と高ナットの間で弾性的に圧縮変形する。圧縮変形した締付治具は、高ナットとフォームタイの双方に対して弾性押圧力を及ぼすことにより、高ネットとフォームタイを結合一体化させる。この結果、フォームタイを螺合時と逆方向に回すことにより、高ナットをセパレータの雄ネジ部から脱離させてフォームタイとともに抜き取ることができる。従って、フォームタイの取外し作業と、高ナットの取外し作業を別個に行う必要がなく、一度の作業で行うことができ、作業性が向上する。
【0027】
上記の本発明のセパレータ及びフォームタイを有する型枠間隔保持構造も、上記と同様の効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面に示した実施例を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。本発明によるセパレータ、フォームタイ及びこれらを用いた型枠間保持構造は、一例として、上述の図1で示したものと同様の型枠に適用される。すなわち、一対の型枠板のうち一方のみを型枠兼用断熱パネルとしたものである。また、別の例として、双方を型枠兼用断熱パネルとした型枠にも適用可能である。以下では、一方のみを型枠兼用断熱パネルとした実施例を中心に説明するが、双方が型枠兼用断熱パネルの場合は、双方のパネルに対し同じ構成(コンクリート壁を挟んで対称的な構成)を適用すればよい。
なお、以下の説明では、断熱パネル、もう一方の型枠板及び他の部品において、コンクリート壁側を「内側」、「内面」または「内方」とし、反対側を「外側」、「外面」または「外方」と称する。
【0029】
図4は、本発明によるセパレータ1の一実施例における断熱パネル側の一端近傍を示す図である。(a)は展開側面図であり、(b)は(a)を組み立てた状態の側面図である。セパレータ1は、築造するコンクリート壁の厚さにほぼ相当する長さである所定の径の棒状の軸部1aを備え、図1に示した断熱パネル側の一端から所定の長さの範囲は、雄ネジ部1a1となっている(後に示すが、他端には第2雄ネジ部がある)。雄ネジは所定規格であり、本発明における必要十分な長さに設定される。雄ネジ部1a1の基部には、内側ナット5Aと、断熱パッドとしての樹脂製円盤4と、外側ナット5Bが螺合される。ここで、外側ナット5Bの長さを「NL」と定義し、外側ナット5Bから露出した雄ネジ端露出長さを「SL」と定義する。
【0030】
図5は、樹脂製円盤4の正面図、側面図及びB−B’断面図である。樹脂製円盤4は、中心に貫通孔を有し両端面が円形の円盤である。図4に示すように、樹脂製円盤4は、内側ナット5A及び外側ナット5Bで固定され、後に示すように樹脂製円盤4の外面が断熱パネルの内面に当接する。樹脂製円盤4は、後述する本発明による可調整鞘管付断熱パッドの「断熱パッド部」に相当する。樹脂製円盤4は、柔らかい断熱材部分を支えるべく、一定以上の面積及び強度を要する平板状部材である。断熱パッド部の外形は円形に限られない。型枠組立て時には、当該箇所に対して電動工具による大きなトルクが加わるため、断熱パッドの位置が動かないよう強固に固定する必要がある。後に示すが、外側ナット5Bは、断熱パネルに設けたセパレータ孔内に位置することになる。
【0031】
図6は、断熱パッド部の別の実施例を示す図である。(a)の左図はC型留め輪6の正面図と側面図、右図は樹脂製円盤4の正面図である。(b)は、セパレータ1の断熱パネル側の一端近傍の展開側面図であり、(c)は(b)を組み立てた状態の側面図である。図4の実施例における内側ナットに替えて、C型留め輪6を用いている。外側ナット5Bの長さはNLであり、外側ナット5Bから露出した雄ネジ端露出長さはSLである。
【0032】
図7は、断熱パッド部のさらに別の実施例を示す図である。(a)は、断熱パッド部7の正面図、側面図及び背面図である。(b)は、セパレータ1の断熱パネル側の一端近傍の展開側面図であり、(c)は(b)を組み立てた状態の側面図である。一般のスカート付ナットを用いたスカート付ナット部7bと、平板状部材である樹脂製円盤部7aと、外側ナット部7cとを射出成型などで一体成形する。外側ナット部7cの長さはNLであり、外側ナット部7cから露出した雄ネジ端露出長さはSLである。
【0033】
図8(a)、(b)及び(c)は、それぞれ図4、図6及び図7に示した断熱パッド部の実施例について、組立状態におけるセパレータ1の全体を示した側断面図である。セパレータ1の全長ALは、コンクリート壁の厚さと断熱パネルの厚さに基づいて、所定の規格寸法の中から最も適切なものを選択して、決定する。セパレータ1の全長ALを一定とした場合、(a)、(b)及び(c)の各実施例において、外側ナットの部分の長さNL及び外側ナットから露出した雄ネジ端露出長さSLは、固定方法に依らず共通し、一定である。従って、外側ナットNLと雄ネジ端露出長さSLの和「NL+SL」もまた、固定方法に依らず共通し、一定である。このNL+SLの部分は、後述する断熱パネルのセパレータ孔内に挿入される部分である。
【0034】
また、セパレータ1の他端の第2雄ネジ部1a2の長さは、「ML」で定義するが、これも一定である。従って、「PL」で定義する中央の棒状部分の長さと、「QL」で定義する雄ネジ部1a1の全体長さについては、これらの和「PL+QL」は一定であるが、固定方法に応じて各々が相対的に異なることになる。
【0035】
図9は、上述の雄ネジ部1a1の露出部分に取り付けられるスペーサー8の正面図、側面図及び背面図である。スペーサー8は、正面図及び背面図に示すように、断面形状が所定の外径の点対称形状(円形、正多角形等)である。そして、上述のセパレータ1の雄ネジ部1a1が抵抗無く通る直径の貫通孔8aを有する筒状である。スペーサー8の外径は、セパレータ孔に対して抵抗無く挿入可能な大きさとする。スペーサー8は、その内側端面が図4及び図6の外側ナット5Bあるいは図7の外側ナット部7cの外側端面と隣接し、セパレータ孔内に位置することになる。スペーサー8は、後述する本発明による可調整鞘管付断熱パッドにおける「鞘管部」の一部である。そして、その鞘管部の長さは、スペーサー8の長さを調整することにより調整される。よって、スペーサー8は、任意の長さのものを準備できるようにする。ここで、スペーサー8の長さを「JL」と定義する。スペーサー8の形成方法としては、市販の適当な剛性の樹脂管や金属性の管を単に所望する長さに切断する方法や、市販の上記素材の棒状材を任意長さに切断して貫通孔をドリルで削孔する方法等がある。このような加工が容易であるので、従来の鋼製軸足を任意の長さに作製する場合に比べて、非専門的に行える。よって、製作コストも安価である。
【0036】
図10は、図9に示したスペーサー8に隣接して雄ネジ部1a1の露出部分と螺合する鋼製高ナット3の正面図、側面図及びA−A’断面図である。高ナット3は、正面図に示すように、柱体部3aの断面形状が点対称形状(円形、正多角形等)である。柱体部3aの軸上に設けた貫通孔は、雄ネジ部1a1と螺合する規格の雌ネジを設けた雌ネジ孔3bである。高ナット3の外径は、セパレータ孔に対して抵抗無く挿入可能な大きさとする。高ナット3は、その内側端面が図9のスペーサー8の外側端面と隣接し、セパレータ孔内に位置することになる。高ナット3もまた、後述する本発明による可調整鞘管付断熱パッドにおける「鞘管部」の一部である。高ナット3の長さは、一定の長さに設定される。ここで、高ナット3の長さを「TL」と定義する。
【0037】
高ナット3の一端面若しくは両端面には、電動工具のドライバビットが噛むようにビット溝3cを加工しておくことが好ましい。一端面にビット溝3cを設けた場合は、ビット溝3cが外側に向くように高ナット3を配置する。両端面にビット溝3cがある場合は、高ナット3の向きを意識せずに配置できる。また、高ナット3の長さが比較的長く(概ね30mm以上)設定された場合、雌ネジ孔3bの全長に亘って雌ネジ加工するとコスト高となるため、組立時に両端部に螺合される雄ネジに対し、所定の引張強度を得られる噛合長さの分だけ雌ネジ加工し、それ以外の部分は平滑面としてもよい。
【0038】
図11は、図10に示した高ナット3を、図4(b)に示したセパレータ1の一端に取り付けた組立状態を示す図である。(a)は、図9のスペーサー8を用いない場合の組立状態であり、(b)は図9に示したスペーサー8を用いた組立状態である。
【0039】
図11(a)では、樹脂製円盤4と外側ナット5Bを取り付けた雄ネジ部1a1の露出部分に、ビット溝3cを外側に向けて高ナット3を取付け、高ナット3が外側ナット5Bに当接するまで螺合させている。この場合、最終端において締め付ける必要はなく緩めに螺合させればよい。この状態で、断熱パッドとしての樹脂製円盤4と、外側ナット5Bと、高ナット3とが、可調整鞘管付断熱パッド1gを形成する。このうち、一列に配置された外側ナット5Bと高ナット3が鞘管部1fを形成する。ただし、これは、鞘管部1fが最小長さの場合に相当する。雄ネジ部1a1と高ナット3との噛合長さを「Lx」と定義すると、図11(a)における噛合長さLxは、最大値「Lmax」となり、雄ネジ端露出長さSLと一致する。このときの鞘管部1fの最小長さRLminは、NL+TLである。
【0040】
図11(a)において、高ナット3の他端は、雄ネジ部1a1の先端よりもさらに外方に延在している。高ナット3の他端側には、後述するフォームタイが螺合により連結されるので、雄ネジ部1a1の先端から高ナット3の他端までの長さは、少なくとも所定の引張強度をもってフォームタイを連結できるだけの噛合長さが必要である。
【0041】
次に、図11(b)に示すように、高ナット3と雄ネジ部1a1の噛合長さLxが最小値「Lmin」の場合は、鞘管部1fが最大長さの場合に相当する。最小値Lminは、所定の引張強度が確保できる最小の長さである。この場合、高ナット3を緩めただけでは、後に高ナット3にフォームタイを螺合する時に高ナット3も共回りしてしまうため、外側ナット5Bと高ナット3の間隙に図9に示したスペーサー8を挿入する。スペーサー8は、この間隙をちょうど充填する長さとなるように形成される。このときの鞘管部1fの最大長さRLmaxは、NL+SL+TL−Lminである。この状態で、断熱パッドとしての樹脂製円盤4と、外側ナット5Bと、スペーサー8と、高ナット3とが、可調整鞘管付断熱パッド1gを形成する。このうち、一列に配置された外側ナット5Bと、スペーサー8と、高ナット3とが鞘管部1fを形成する。
【0042】
鞘管部1fの最小長さRLminから最大長さRLmaxまでの中間長さRLの場合は、高ナット3と雄ネジ部1a1の噛合長さLxを変化させることで調整可能である。中間長さRLは、NL+SL+TL−Lxで表され、スペーサー8の長さJLを用いて表すと、NL+JL+TLとなる。任意長さJLのスペーサー8を用意し、鞘管部1fの長さRLを調整することになる。
【0043】
次に、本発明で用いるフォームタイについて説明する。
図12は、図1でも示した一般的なフォームタイ(以下、「一般フォームタイ」)20の正面図及び側面図である。一端から所定の長さのボールネジ部21を設けた棒状の軸部と、他端に設けられたフランジ部25、他端面中央から軸方向に穿設された雌ネジ部24とを有する。従来は、この雌ネジ部24を図1の軸足10bの雄ネジと連結していた。
【0044】
図13(a)は、本発明によるフォームタイ9の側面図である。(b1)及び(b2)は、フォームタイ9の作製方法例である。
図13(a)に示すように、フォームタイ9は、一端から所定の長さのボールネジ部9aを設けた棒状の軸部を有する点では、従来と同様である。フォームタイ9は、他端近傍に設けたフランジ部9bと、フランジ部9bから突出する補強突起部9cと、補強突起部から突出した雄ネジ突起9dとを有する。フランジ部9bは、断熱パネルの外面に当接するので、補強突起部9c及び雄ネジ突起9dは、断熱パネルのセパレータ孔内に位置することになる。雄ネジ突起9dは、所定の規格及び長さであり、図11に示した組立状態のセパレータ1における高ネット3の端部と螺合する。補強突起部9cは、雄ネジ突起9dの基部の補強用であり、フォームタイを落とした時などに雄ネジ突起9dが折れ曲がり難くする。補強突起部9cの外径及び長さは適宜である。補強突起部9cの長さを「HL」と定義する。本発明によるフォームタイ9は、このような雄ネジ突起付きフォームタイである。
【0045】
フォームタイ9を簡易に製造するに当たっては、図13(b1)に示すように、市販の一般フォームタイ20の雌ネジ部24に、所定寸法の全ネジボルト9d’を接着剤等を併用して強固に螺合固定し、フォームタイ9と一体化する。さらに、(b2)に示すように、補強突起部9cの形成にあっては、同程度の外径で所定の厚さのナット等を全ネジボルトに螺合するとよい。
【0046】
図14(a)及び(b)はそれぞれ、フォームタイ9の雄ネジ突起9cの周囲に装着される締付治具9eの実施例である。締付治具9eの外径は、断熱パネルのセパレータ孔に抵抗無く挿入可能な程度である。締付治具9eは、略環状の弾性体であって、図13の雄ネジ突起9dと図11の高ナット3との螺合により、補強突起部9cと高ナット3の間で弾性的に圧縮変形して所定の長さ(厚さ)となる。締付治具の圧縮変形時の長さを「BL」と定義する。(a)は、鋼製バネ座金の例であり、押し潰れたバネの復元応力がその両側に当接するフォームタイと高ナットを軸方向に押圧することにより摩擦抵抗を増大させてフォームタイと高ナットを一体化させる作用効果を奏する。(b)は、樹脂ワッシャーの例であり、鋼材に比べて柔らかい樹脂材が潰れることでバネ座金と同様の作用効果を奏する。この結果、フォームタイの取り外し時に螺合時と逆方向に回すと、高ナットがフォームタイとともに回り、高ナットをフォームタイとともに抜き取ることができる。これについては、図18で詳述する。
【0047】
以上の通り、本発明によるセパレータ1は、スペーサー8の長さ(スペーサー8の無い場合を含む)によりセパレータ孔内に位置する鞘管部の長さを調整できるので、一定の長さのセパレータ1と高ナット3を選択した場合であっても、所定の範囲内の任意の厚さ(「DL」と定義する)の断熱パネルに対して適用可能となる。
【0048】
図15は、一定の長さのセパレータ1と高ナット3を、最小厚さDLminの断熱パネル31に適用した場合の固定手順(a)と、固定状態(b)を示す図である。この場合、セパレータ1における可調整鞘管付断熱パッド1gの鞘管部1fは、最小長さRLminである。すなわち、図11(a)に示したスペーサー8の無い場合であり、外側ナット5Bと高ナット3のみから構成される。
図15(a)に示すように、セパレータ1の鞘管部1fに断熱パネル31の内面側を近づけ、鞘管部1fをセパレータ孔31cに挿入する。さらに、断熱パネル31の外面側からフォームタイ9をセパレータ孔31cに挿入し、雄ネジ突起9dを高ナット3に螺合する。
図15(b)に示すように、固定状態では、断熱パネル31は断熱パッドである樹脂製円盤4とフランジ9bにより挟持される。実際の施工では電動工具でフォームタイ9を締めるため、フォームタイ9には大きなトルクが加わるが、断熱パネル31の厚さDLminと、断熱パッド4とフランジ9b間の距離(RLmin+BL+HL)は等しいので、締めすぎて断熱パネル31を破壊することもなく、同様に緩むこともない。
【0049】
図16は、図15と同じ一定の長さのセパレータ1と高ナット3を、最大厚さDLmaxの断熱パネル31に適用した場合の固定手順(a)と、固定状態(b)を示す図である。この場合、セパレータ1における可調整鞘管付断熱パッド1gの鞘管部1fは、最大長さRLmaxである。すなわち、図11(b)に示したスペーサー8を用いた最大長さの場合である。
図16(a)に示すように、セパレータ1の鞘管部1fに断熱パネル31の内面側を近づけ、鞘管部1fをセパレータ孔31cに挿入する。さらに、断熱パネル31の外面側からフォームタイ9をセパレータ孔31cに挿入し、雄ネジ突起9dを高ナット3に螺合する。
図16(b)に示すように、固定状態では、断熱パネル31は断熱パッドである樹脂製円盤4とフランジ9bにより挟持される。同様に、実際の施工では電動工具でフォームタイ9を締めるため、フォームタイ9には大きなトルクが加わるが、断熱パネル31の厚さDLmaxと、断熱パッド4とフランジ9b間の距離(RLmax+BL+HL)は等しいので、締めすぎて断熱パネル31を破壊することもなく、同様に緩むこともない。
【0050】
図15及び図16からわかるように、断熱パッド4とフランジ9b間の調整可能な距離は、鞘管部1fの長さRLと、締付治具9eの長さBLと、補強突起部9cの長さHLとの和(RL+BL+HL)である。鞘管部1fの長さRLは、スペーサー8の長さ調整(無い場合を含む)により最小長さRLminとRLmaxの間で調整可能である。これにより、DLmin≦DL≦DLmaxの範囲の任意の厚さDLの断熱パネル31に対応可能である。なお、DLmin=RLmin+BL+HLであり、DLmax=RLmax+BL+HLである。
【0051】
図17は、型枠兼用断熱パネル31と、返し型枠であるもう一方の型枠板32とを含めた型枠全体の組立状態を示す側面図である。上述の内容は、断熱パネル31の固定手段に関するものであったが、壁の型枠には相対する返し型枠がある。上述の断熱パネルの固定では、雄ネジ突起を具備するフォームタイ9を用いたが、当該フォームタイ9は、従来の型枠板32の固定にも共通に使用できる。従って、一般フォームタイ20とフォームタイ9の双方を準備する必要はない。一般フォームタイ20(雌ネジ孔付き)を、型枠合板である型枠板32に用いる場合、型枠板32の内面を支持するために、図1に示した雄ネジ突起の突出したPコン10dを使うことが一般的であるが、図17に示すように、フォームタイ9(雄ネジ突起付き)を型枠板32に用いる場合は、雌ネジ付きの在来部材である梁用Pコン1eを使用すれば何ら支障は無い。梁用Pコン1eの雌ネジ部1e1の先端は、梁用Pコン1eの当接面と同じ位置にある。フォームタイ9の雄ネジ突起dは、セパレータ孔32aを貫通して梁用Pコン1eの雌ネジ部1e1と螺合する。
【0052】
なお、型枠板32の側において梁用Pコンとフォームタイ9を使用することは好適例であるが、必須ではなく、従来通り雄ネジ付きのPコンと雌ネジ付きの一般フォームタイ20を使用する場合も、本発明に含まれる。従って、本発明において、型枠板32の内面に当接させる「Pコン」の意味には、雄ネジ付きのPコンと雌ネジ付きの梁用Pコンの双方を含む場合がある。
【0053】
以上、本発明によれば、従来の任意長さの加工が困難な金属性部材(軸足)を製作することなく、加工が容易なスペーサーを使用して鞘管部1fの長さを調節し、所定範囲の任意の断熱パネル厚さに対して、しっかりと挟み付けて固定できる、可調整鞘管付断熱パッド1g及びフォームタイ9を得ることができた。
【0054】
図18は、コンクリート打設・固化後における型枠解体作業において、フォームタイ9を抜き取る工程を示した図である。図1に示した従来技術の場合、一般フォームタイ20の抜き取り時には、一般フォームタイ20だけが抜けることがほとんどであり、軸足10bも一緒に抜けるかは、あくまで偶然によるものであった。軸足10dが残った場合は、二度手間で軸足10bを抜き取る作業を行わなければならなかった。従来技術と同様に、本発明によるフォームタイ9も、ソケットを付けたインパクトドライバーで回し抜き取られる。互いに螺合したフォームタイ9と高ナット3の間には、弾性的に圧縮変形した締付治具9eが介在しており、フォームタイ9と高ナット3の双方に対し弾性復元力による押圧力を及ぼして双方を一体化させている。従って、図18に示すように、フォームタイ9を回し抜く際に高ナット3もフォームタイ9と一体に回ることになり、高ナット3は雄ネジ部1a1から脱離し、フォームタイ9とともに引き抜かれる。その後、作業し易い場所においてフォームタイ9と高ナット3を分離する。フォームタイ9と高ナット3はいずれも何度でも再利用できる。
【0055】
図19(a)、(b)及び(c)はそれぞれ、フォームタイ9の別の実施例を示す側面図である。(a)の実施例では、締付治具9eを、予めフォームタイ9の補強突起部9cに溶接9e1で固定している。(b)の実施例では、雄ネジ突起9dの基部に小径の胴細部9d1を形成して締付治具9eが抜けないようにしている。これらの実施例においては、締付治具9eを作業の都度取り付けなくともよく、作業が容易となる。
また、図19(c)の実施例では、フォームタイ9の雄ネジ突起の全ネジボルトを、テーパーネジ9d’とすることで、締付治具9eを使用せずに同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
図20は、高ナット3の抜取り後の断熱パネル31のセパレータ孔31aの処理方法を示した図である。セパレータ孔31cの内径に嵌合する円柱状の断熱補強材36を充填した後、適当な樹脂製キャップ37でセパレータ孔31cの開口を閉止する。樹脂製キャップ37の替わりに、市販のパテ材等を充填してもよい。これにより、セパレータ孔31aにおいて断熱欠損となることを防止する。
【0057】
以上、セパレータ孔に挿入される鞘管部長さを、一定の範囲で断熱パネル厚さに応じて調整できる、可調整鞘管部付断熱パッドと、これを用いて断熱パネルを固定する手段を示した。
これにより、5mm単位でしか長さ調整できなかった従来の軸足を使用せず、加えて、めり込んだり浮いたりせずに、断熱パッド部分とフォームタイフランジ部の大きな当接面積で断熱パネルをしっかり挟み込んで固定することができる。
加えて、型枠解体時のフォームタイ抜き取り作業と一緒に、高ナット抜き取り作業(在来工法では軸足抜き取り作業)が行え、従来技術の問題点を解決することができる。
【0058】
なお、図示した形状は実施例であって本発明はこれらに限定されるものではなく、当業者に自明であるような本発明と同等の作用効果を奏する変形態様及びそれらを組み合わせた態様もまた、本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0059】
以下、本発明の各構成要素の製造例及びこれらを用いたコンクリート壁の築造実施例を示す。各構成要素については、必要な個数を製造するものとする。
(1)高ナット3(図10参照)の製造例
(i)二面巾12mmの正六角形状の鋼材を長さ50mmに加工し、断面中心に直径8.0mmの貫通孔を削孔した。
(ii)次に、上記丸棒鋼材に、長さ14mm、2分5厘の雌ネジを、貫通孔の両端に加工した。
(iii)次に、上記鋼材の一端面に、ドライバービット溝となる、巾1.5mm、深さ3.0mmの溝加工を施した。さらに、後工程でクロメートメッキ処理を施した。
【0060】
(2)セパレータ1の軸部1a(図8参照)の製造例
(i)施工するコンクリート壁の厚さ180mmを想定し、所定外径の丸棒鋼材を長さ203mmに加工した。
(ii)次に、上記丸棒鋼材の一端側(断熱パネル側)の雄ネジ部の長さを48.5mm、他端側(型枠板側)の第2雄ネジ部の長さを8.5mmとし、ネジ径2分5厘でネジ加工した。さらに後工程でセパレータ軸部にレンチ用の2面プレス処理を行った。
【0061】
(3)樹脂製円盤4(図5参照)の製造例
ポリエチレン樹脂を用いて、外径40mm、厚さ3mm、中心に内径8.0mmの貫通孔を有する樹脂製円盤を射出成形した。
【0062】
(4)樹脂製円盤4の内側ナット5A及び外側ナット5B(図4参照)の製造例
(i)内側ナットとして、ネジ径2分5厘、二面巾13.6mm、厚さ6.5mmの六角1種ナットを作製した。
(ii)外側ナットとして、ネジ径2分5厘、二面巾13.0mm、厚さ5mmの六角3種ナットを作製した。
【0063】
(5)樹脂製円盤付きセパレータ1の組立て例(図4参照)
(i)上記(2)のセパレータの48.5mmの雄ネジ部に、上記(4)の六角1種ナットを根元まで螺合し、その上から上記(3)の樹脂製円盤を圧入し、その上から上記(4)の六角3種ナットを螺合し、樹脂製円盤を固定した。これにより、図4に示した形状の、樹脂製円盤付きセパレータを組み立てた。この時の雄ネジ端露出長さSLは、39mmとなった。
【0064】
(6)鞘管付断熱パッド1gの組立例(図15参照)
上記(5)の樹脂製円盤付きセパレータに、上記(1)の高ナットを螺合して、鞘管付断熱パッド(スペーサなし)を組み立てた。
【0065】
(7)フォームタイ9(図13参照)の製造例
(i)一端部に直径29mm、厚さ4mmのフランジ部と、外径11.5mm、高さ4mmの補強突起部を有し、他端部は外径13.2mm、長さ132mmのボールネジを有する長さ186mmのフォームタイ原型を各種プレス機で成形した。
(ii)次に、タッピングボール盤で補強突起部中心に、深さ10mm、2分5厘の雌ネジを加工した。
(iii)次に、長さ26mm、2分5厘の全ネジボルトを加工し、上記フォームタイ原型の雌ネジ部に無機系接着剤を塗布して螺合し、長さ16mmの雄ネジ突起を形成した。
【0066】
(8)締付治具9e(図14参照)のフォームタイ9への取付例
(i)厚さ2.0mm、外径12.5mm、内径8.4mmのバネ座金を製造した。
(ii)上記フォームタイの雄ネジ突起の基部に、バネ座金を点溶接して固定し、締付治具付きのフォームタイを製造した。
【0067】
(9)梁用Pコン1e(図8参照)の用意
市販の梁用Pコンを所定の個数、用意した。
【0068】
(10)型枠兼用断熱パネル31(図15、図16参照)の製造例
(i)幅923mm、長さ2720mm、厚さ54mmのビーズ法ポリスチレンフォームからなる断熱板の表面に、所定の量の接着剤をロールコーターで全面塗布し、その上に幅910mm、厚さ6mm、長さ2420mmのケイ酸カルシウム板6mmを貼り合わせて、プレスした後、1日乾燥養生して一体化した。
(ii)次に、上記貼合わせ物の四周を切断し、幅900mm、厚さ60mm、長さ2700mmの断熱パネルを製造した。
(iii)次に、上記断熱パネルの所定の位置に、断熱パネルを貫通する外径15mmのセパレータ孔を加工した。
【0069】
(11)型枠の建込み工程例(図21、22参照)
(i)セパレータ1の第2雄ネジ部1a2に、梁用Pコン1eを根元まで螺合し、取り付けた。
(ii)締付治具付きフォームタイ9のボールネジ部9aに、座金9fとナットを取り付けた。
(iii)次に、図21に示すように、施工面に墨出し台付38を取り付け、台付38の位置に合わせて、相対する断熱パネルのセパレータ孔と同位置に、外径15mmのセパレータ孔32aを削孔した合板型枠である型枠板32を直立させた。
(iv)鉄筋41に仮止めして固定した。
(v)2人の作業者を型枠板32の両側にそれぞれ配し、1人が上記セパレータ1の梁用Pコン1eの端面を型枠板32の内面からセパレータ孔に当接させ、もう1人が型枠板32の外面から、フォームタイ9をセパレータ孔に回し入れて、内面の梁用Pコンと螺合させ、インパクトドライバーで締め付けてしっかりと固定した。
(vi)次に、縦バタ材33、横バタ材34を取り付け、フォームタイ9のナットを締めて、座金9fで横バタ材34を固定し、転倒防止のパイプサポートで型枠を仮に支えて、型枠の一方側を組み立てた。
(vii)次に、図22に示すように、型枠板32に固定されているセパレータ1の可調整鞘管付断熱パッドの鞘管部1fに、断熱パネル31のセパレータ孔31cを合わせて、差し込みながら断熱パネル31を垂直に建て込んだ。
(viii)次に、断熱パネル31のセパレータ孔31cに、締付治具付きのフォームタイ9を回し入れて、高ナットと螺合させ、インパクトドライバーで締め付けてしっかりと固定した。この時、フォームタイはインパクトドライバーで強く締め付けたが、鞘管部1fと、フォームタイ9の締付治具及び補強突起部とがストッパーとなるため、断熱パネル31の補強材31bに、フォームタイ9のフランジ部がめり込んで破損することはなかった。 (ix)続けて、縦バタ材、横バタ材(図示せず)を建込み、フォームタイ9の座金を締め付けてしっかり固定した。これにより、型枠が完成した。
【0070】
(12)コンクリートの打設工程例
(i)上記(11)により完成した型枠内にコンクリートを打設し、所定の期間養生した。このとき、打設後の断熱パネルの状態を検査したが、断熱パネルが、その厚さと等しい長さの鞘管部等を介して、断熱パッドとフォームタイフランジ部でしっかり挟まれ固定されたことによって良好に打設されていたことを確認できた。
【0071】
(ii)次に、所定期間コンクリートを養生した後、型枠を解体した。インパクトドライバーの左回しで、締付治具付きのフォームタイを抜き取ったが、その際、締付治具の効果によって、鞘管部の高ナットがフォームタイと一緒に抜けることが確認できた。その結果、従来工法より解体時間を短縮することができた。
(iii)次に、高ナット抜取り後の断熱パネルのセパレータ孔に断熱補修材を押し込み、樹脂製キャップを入れて表面処理をした。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】従来技術の2例を説明する縦断面図である。
【図2】従来技術の問題点の1つを説明する縦断面図である。
【図3】従来技術の問題点の1つを説明する縦断面図である。
【図4】本発明によるセパレータ1の一実施例における断熱パネル側の端部の部分的構成を示す図である。(a)は展開側面図であり、(b)は(a)を組み立てた状態の側面図である。
【図5】樹脂製円盤の正面図、側面図及びB−B’断面図である。
【図6】断熱パッド部の別の実施例を示す図である。(a)の左図はC型留め輪の正面図と側面図、右図は樹脂製円盤の正面図である。(b)は、は展開側面図であり、(c)は(b)を組み立てた状態の側面図である。
【図7】断熱パッド部のさらに別の実施例を示す図である。(a)は、断熱パッド部の正面図、側面図及び背面図である。(b)は、セパレータの断熱パネル側の一端近傍の展開側面図であり、(c)は(b)を組み立てた状態の側面図である。
【図8】(a)(b)(c)は、それぞれ図4、図6及び図7に示した断熱パッド部の実施例について組立状態におけるセパレータ全体を示した側面図である。
【図9】雄ネジ部の先端側の露出部分に取り付けられるスペーサーの正面図、側面図及び背面図である。
【図10】図9に示したスペーサーに隣接して雄ネジ部の露出部分と螺合する鋼製高ナットの正面図、側面図及びA−A’断面図である。
【図11】図10に示した高ナットを、図4(b)に示したセパレータの一端に取り付けた組立状態を示す図である。(a)は、図9のスペーサーを用いない場合の組立状態であり、(b)は図9に示したスペーサーを用いた組立状態である。
【図12】図1に示した一般的なフォームタイの正面図及び側面図である。
【図13】(a)は、本発明によるフォームタイの側面図である。(b1)及び(b2)は、フォームタイの作製方法例である。
【図14】(a)及び(b)はそれぞれ、フォームタイの雄ネジ突起の周囲に装着される締付治具の実施例である。
【図15】一定の長さのセパレータ1と高ナット3を、最小厚さの断熱パネル31に適用した場合の固定手順(a)と、固定状態(b)を示す図である。
【図16】長さ調整できる鞘管付き断熱パッド(最大長さの状態)を、断熱パネルへ取付けた状態を説明する縦断面図である。
【図17】型枠兼用断熱パネル31と、返し型枠であるもう一方の型枠板とを含めた型枠全体の組立状態を示す側面図である。
【図18】コンクリート打設・固化後における型枠解体作業において、フォームタイを抜き取る工程を示した図である。
【図19】(a)、(b)及び(c)はそれぞれ、フォームタイの別の実施例を示す側面図である。
【図20】高ナット抜取り後の、鞘管挿入穴の表面処理の状態を説明する縦断面図である。
【図21】実施例における、型枠の建込み工程を説明する縦断面図である。
【図22】実施例における、型枠の建込み工程を説明する縦断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1:セパレータ、1a:軸部、1a1:雄ネジ部、1a2:第2雌ネジ部、1e:梁用Pコン、1e1:Pコン雌ネジ部、1f:鞘管部、1g:可調整鞘管付断熱パッド
3:高ナット
4:樹脂製円盤、4a:貫通孔
5A:内側ナット
5B:外側ナット
6:留め輪
7:断熱パッド部、7a:樹脂製円盤部、7b:スカート付ナット部、7c:外側ナット部
8:スペーサー
9:フォームタイ、9a:ボールネジ部、9b:フランジ部、9c:補強突起部、9d:雄ネジ突起、9e:締付治具、9f:座金
10:従来セパレータ
20:一般フォームタイ
31:断熱パネル、31a:断熱材、31b:補強材、31c:セパレータ孔
32:型枠板、32a:セパレータ孔
33:縦バタ材
34:横バタ材
41:鉄筋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備え、その両端が前記一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して該一対の型枠の各外面に位置する一対のフォームタイ(9)とそれぞれ連結されるセパレータ(1)において、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)を挿通させる筒状のスペーサー(8)と、
(e)前記スペーサー(8)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
(f)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)、前記スペーサー(8)及び前記高ナット(3)により形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、該スペーサー(8)の長さ(JL)を調整することにより調整可能であることを特徴とする型枠間隔保持用セパレータ。
【請求項2】
少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備え、その両端が前記一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して該一対の型枠の各外面に位置する一対のフォームタイ(9)とそれぞれ連結されるセパレータ(1)において、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
(e)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)及び前記高ナット(3)により鞘管部(1f)が形成されていることを特徴とする型枠間隔保持用セパレータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセパレータと連結されるフォームタイ(9)であって、
(a)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(b)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(c)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(d)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合する雄ネジ突起(9d)と、
(e)略環状の弾性体であって前記雄ネジ突起の周囲に装着され、該雄ネジ突起(9d)と前記高ナット(3)との螺合により、前記補強突起部と前記高ナットの間で弾性的に圧縮変形する締付治具(9e)と、を具備し、
(f)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とするフォームタイ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のセパレータと連結されるフォームタイ(9)であって、
(a)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(b)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(c)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(d)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合するテーパー付雄ネジ突起(9d’)と、を具備し、
(e)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とするフォームタイ。
【請求項5】
少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)を挿通させる筒状のスペーサー(8)と、
(e)前記スペーサー(8)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合する雄ネジ突起(9d)と、
(j)略環状の弾性体であって前記雄ネジ突起の周囲に装着され、該雄ネジ突起(9d)と前記高ナット(3)との螺合により、前記補強突起部と前記高ナットの間で弾性的に圧縮変形する締付治具(9e)と、を具備し、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)、前記スペーサー(8)及び前記高ナット(3)から形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、該スペーサー(8)の長さ(JL)を調整することにより調整可能であり、
(l)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(m)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする型枠間隔保持構造。
【請求項6】
少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合する雄ネジ突起(9d)と、
(j)略環状の弾性体であって前記雄ネジ突起の周囲に装着され、該雄ネジ突起(9d)と前記高ナット(3)との螺合により、前記補強突起部と前記高ナットの間で弾性的に圧縮変形する締付治具(9e)と、を具備し、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)及び前記高ナット(3)により鞘管部(1f)が形成されており、
(l)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(m)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする型枠間隔保持構造。
【請求項7】
少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)を挿通させる筒状のスペーサー(8)と、
(e)前記スペーサー(8)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合するテーパー付雄ネジ突起(9d’)と、を具備し、
(j)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)、前記スペーサー(8)及び前記高ナット(3)から形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、該スペーサー(8)の長さ(JL)を調整することにより調整可能であり、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(l)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする型枠間隔保持構造。
【請求項8】
少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合するテーパー付雄ネジ突起(9d’)と、を具備し、
(j)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)及び前記高ナット(3)により鞘管部(1f)が形成されており、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(l)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする型枠間隔保持構造。
【請求項1】
少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備え、その両端が前記一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して該一対の型枠の各外面に位置する一対のフォームタイ(9)とそれぞれ連結されるセパレータ(1)において、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)を挿通させる筒状のスペーサー(8)と、
(e)前記スペーサー(8)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
(f)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)、前記スペーサー(8)及び前記高ナット(3)により形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、該スペーサー(8)の長さ(JL)を調整することにより調整可能であることを特徴とする型枠間隔保持用セパレータ。
【請求項2】
少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備え、その両端が前記一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して該一対の型枠の各外面に位置する一対のフォームタイ(9)とそれぞれ連結されるセパレータ(1)において、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
(e)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)及び前記高ナット(3)により鞘管部(1f)が形成されていることを特徴とする型枠間隔保持用セパレータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセパレータと連結されるフォームタイ(9)であって、
(a)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(b)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(c)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(d)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合する雄ネジ突起(9d)と、
(e)略環状の弾性体であって前記雄ネジ突起の周囲に装着され、該雄ネジ突起(9d)と前記高ナット(3)との螺合により、前記補強突起部と前記高ナットの間で弾性的に圧縮変形する締付治具(9e)と、を具備し、
(f)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とするフォームタイ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のセパレータと連結されるフォームタイ(9)であって、
(a)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(b)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(c)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(d)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合するテーパー付雄ネジ突起(9d’)と、を具備し、
(e)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とするフォームタイ。
【請求項5】
少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)を挿通させる筒状のスペーサー(8)と、
(e)前記スペーサー(8)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合する雄ネジ突起(9d)と、
(j)略環状の弾性体であって前記雄ネジ突起の周囲に装着され、該雄ネジ突起(9d)と前記高ナット(3)との螺合により、前記補強突起部と前記高ナットの間で弾性的に圧縮変形する締付治具(9e)と、を具備し、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)、前記スペーサー(8)及び前記高ナット(3)から形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、該スペーサー(8)の長さ(JL)を調整することにより調整可能であり、
(l)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(m)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする型枠間隔保持構造。
【請求項6】
少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合する雄ネジ突起(9d)と、
(j)略環状の弾性体であって前記雄ネジ突起の周囲に装着され、該雄ネジ突起(9d)と前記高ナット(3)との螺合により、前記補強突起部と前記高ナットの間で弾性的に圧縮変形する締付治具(9e)と、を具備し、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)及び前記高ナット(3)により鞘管部(1f)が形成されており、
(l)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(m)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする型枠間隔保持構造。
【請求項7】
少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)を挿通させる筒状のスペーサー(8)と、
(e)前記スペーサー(8)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合するテーパー付雄ネジ突起(9d’)と、を具備し、
(j)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)、前記スペーサー(8)及び前記高ナット(3)から形成された鞘管部(1f)の長さ(RL)が、該スペーサー(8)の長さ(JL)を調整することにより調整可能であり、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(l)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする型枠間隔保持構造。
【請求項8】
少なくとも一方が型枠兼用断熱パネル(31)である一対の型枠の間隔保持に使用され、棒状の軸部(1a)と、該軸部の一端側にて該型枠兼用断熱パネルの内面に当接する断熱パッドとを備えたセパレータと、前記一対の型枠の各外面に位置し該一対の型枠に穿設されたセパレータ孔(31c、32a)を通して前記セパレータの両端にそれぞれ連結される一対の棒状のフォームタイ(9)とを設けた型枠間隔保持構造において、
前記セパレータ(1)が、
(a)前記軸部(1a)の一端から所定の長さだけ設けられた雄ネジ部(1a1)と、
(b)前記断熱パッドとして前記型枠兼用断熱パネルの内面に当接するべく前記雄ネジ部に固定された平板状部材(4,7a)と、
(c)前記平板状部材(4,7a)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記雄ネジ部(1a1)と螺合する外側ナット(5B)と、
(d)前記外側ナット(5B)に隣接して前記セパレータ孔(31c)内に位置し、前記雄ネジ部(1a1)と螺合しかつ該雄ネジ部(1a1)の先端よりもさらに外方に延在して前記フォームタイと連結可能な高ナット(3)と、を具備し、
前記フォームタイ(9)が、
(f)一端から所定の長さのボールネジ部(9a)を設けた棒状のフォームタイ軸部と、
(g)前記フォームタイ軸部の他端側に設けられ前記型枠兼用断熱パネル(31)の外面に当接するフランジ部(9b)と、
(h)前記フランジ部(9b)から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置する補強突起部(9c)と、
(i)前記補強突起部(9c)より小径にて該補強突起部から突出して前記セパレータ孔(31c)内に位置しかつ前記高ナット(3)と螺合するテーパー付雄ネジ突起(9d’)と、を具備し、
(j)前記セパレータ孔(31c)内に一列に配置された前記外側ナット(5B)及び前記高ナット(3)により鞘管部(1f)が形成されており、
(k)前記セパレータ孔(31c)内に位置する前記鞘管部、前記締付治具及び前記補強突起部の各長さの和(RL+BL+HL)が前記型枠兼用断熱パネルの厚さ(DL)と等しく、
(l)前記セパレータ(1)と連結されている前記フォームタイ(9)を螺合時と逆方向に回すことにより、前記高ナット(3)を前記雄ネジ部(1a1)から脱離させて該フォームタイ(9)とともに抜き取り可能であることを特徴とする型枠間隔保持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−263878(P2009−263878A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111019(P2008−111019)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(592020585)岩倉化学工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(592020585)岩倉化学工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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