説明

基体の表面に表面層を形成するための層組織及び層組織を製造するためのアーク蒸着源

【課題】摩耗を受ける基体、特に工具の表面に表面層を形成するための層組織を提供する。
【解決手段】組成(AlMgCrMeAXSi)α[N]β〔ここで、(a+b+c+d+e+m+k)=α、(u+v+w)=β、及び(α+β)=100、40≦α≦60、であり、Meは、元素周期表の第二亜族IVb、Vb、及びVIbの少なくとも一種類の元素であり、AXが、元素周期表の第一亜族Iaの元素、及びBe、Ca、Sr、及びBaの元素、及び第二亜族VIIb、VIIIb、Ib、IIb、IIIbの元素、及びランタノイド系の元素からなる群からの少なくとも一種類の元素であり、0.004≦m<60である〕の少なくとも一つの第一硬質層を含む層組織において、0.4≦a≦58、及び0.04≦b≦12、及び18≦c≦42であることを特徴とする、層組織。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体の表面を形成するための層組織(layer system)層組織を製造するための蒸着源(vaporization source)、及び基体にも関し、特に本発明によりる層組織を有する工具に関する。それらは全て特許請求の範囲の夫々の範疇の独立項の前文に従っている。
【背景技術】
【0002】
性能工具及び部品の製造は、主にそれらの表面の被覆により実現されている。そのような被覆基体の重要な種類は工具、就中、特にチップ形成用工具及び部品であり、就中、全ての可能な具体例で摩耗を受ける機械のための部品である。被覆される典型的な基体材料は、就中、工具鋼及び硬質金属であるが、全ての他の可能な基体材料もある。
【0003】
これらの材料の被覆で知られている問題は、両方共空気中で約500℃で比較的大きな酸化速度を有し、比較的低い温度(HSSでは約500℃、硬質金属では650℃)で既に軟化することである。従って、鋼のハード機械加工のためには、例えば、立方晶系窒化硼素に基づくセラミック切削用物体を用いることも好ましい。このように、最も多種多様なSiNセラミックが、例えば、アルミニウム合金及びねずみ鋳鉄を高速機械加工するために用いられている。これに関し、セラミックは金属工具材料と比較して実質的に一層耐久性があることが証明されている。それら工具に適当な被覆を与えることにより、更に性能の向上を達成することができる。
【0004】
これに関し、従来法から知られている硬質材料層は、TiN、TiNC、CrNのような古典的化合物に屡々基づいている。しかし、これらの既知の硬質層は、それらの使用分野に関し、就中、高温で機能を果たす能力に関し、限界を有する。一方、硬度は温度を上昇させると顕著に低下し、他方、酸化は比較的低い温度で既に始まり、使用温度では層の摩耗を増大する結果になることがある。
【0005】
これらの問題を無くすため、1000℃までの範囲で耐酸化性を有し、硬度に関する特性も改良されている本質的に二つの種類の層が開発されてきた。
【0006】
一方の種類の層は、AlTiN、及びAlCrNのようなアルミニウム含有基礎層に関し、それには必要に応じ付加的元素を合金化することができる。この分野からの典型的な化合物は、AlTiXNCO(式中、Xは、例えば、Cr又は他の金属である)の形の化合物である。
【0007】
被覆された工具の性能を向上させるための従来法に従う別の経路は、キャリヤー層としての古典的硬質材料層と、機能性層としての仕上げ層とを一緒にした組合せに存する。仕上げ層として、特にMeSiXNCO(ここでXは別の金属又はBである)型層の珪素高含有(10at%以上)(at%は、本願の内容では「原子%」を意味する)層を挙げることができるが、例えば、温度負荷に耐えるかなり改良された能力を有するTiSNである。
【0008】
更に、割り出し可能な(indexable)又は可逆切削差し込み工具に、特に旋盤加工中上昇した接触温度での摩耗過程に対抗できるよにするため、例えば、CVD法によりAlのような酸化物セラミック層を堆積することが更に知られている。
【0009】
更に、例えば、BC及び立方晶系BN層のような硼素系層は研究段階にある。しかし、立方晶系BNは、存在させるためには極めて複雑であると言う決定的な欠点を有する。これは、就中、層それ自身の成長が困難であるのみならず、それらの層に余りにも大きな固有の応力がもたらされることによる。
【0010】
高温材料の分野で、最近SiCNを基礎とする大きなセラミックが製造されてきており、それらは高い強度、及びSiC及びSiに比較して耐酸化性が改良された特徴を有する。それらの特別な特徴は、複雑な共有化学結合及びSiCNの無定形構造中での酸素の拡散速度が低いことに基づく。
【0011】
しかし、あらゆる従来の努力にも拘わらず、例えば、硬度、残留圧縮応力、及び靭性のような機械的特性、高温での付着傾向及び摩擦のような摩擦特性、耐酸化性、相安定性、及び他の特性、就中、極端な温度での特性についての益々大きくなる要求を満たすことができる被覆を与えることは一部でしか成功していない。
【0012】
更に、上に記載した高性能の層は、技術的方法の観点から非常に大きな困難を伴って製造することしか出来ず、それにより被覆された工具は非常に高価であり、そのため経済的観点から考えると、多くの場合、被覆することは価値がないか、又はそのような被覆された工具は、限られた市場しか持たない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、従って、特に従来法から知られている問題を解決し、特に摩擦で確実に起きる酸化に対する挙動及び相安定性を有し、改良された機械的性質を有し、就中、硬度及び残留圧縮応力に関するのみならず、改良された機械的性質を有し、極端な温度条件でも用いることもできる改良された被覆を基体、特に摩耗を受ける工具又は部品に対して与えることができるようにすることにある。
【0014】
本発明の更に別な目的は、新規な改良された硬質層を製造することができる蒸着源(vaporization source)を得ることができるようにすることである。
【0015】
これらの目的を満足する本発明の主題は、特許請求の範囲の夫々の独立項の特徴により、特徴付けられている。
【0016】
夫々の従属項は、本発明の特に有利な態様に関する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明は、基体の表面、特に工具の表面に、表面層を形成するための層組織に関し、この場合、その層組織は、組成(AlMgCrMeAXSi)α[N]β〔ここで、(a+b+c+d+e+m+k)=α、(u+v+w)=β、及び(α+β)=100、40≦α≦60、であり、Meは、化学元素周期表第二亜族、IVb、Vb、及びVIbからなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素である〕の少なくとも一つの第一硬質層を含む。成分AXは、第一亜族Iaの元素、Be、Ca、Sr、及びBaの元素からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素である。元素周期表の、第二亜族、VIIb、VIIIb、Ib、IIb、IIIb、の元素、及びランタノイド系元素、この場合、0.004≦m<60、好ましくは0.01≦m<50である。本発明に従い、0.4≦a≦58、及び0.04≦b≦12、及び18≦c≦42である。
【0018】
この配合物は、基体の表面、特に工具の表面に、表面層を形成するために層組織が提案されていると言うことに等しく、その層組織は、組成、(AlMgCrMeSi)Gの少なくとも一つの硬質層を有する。ここで、(a+b+c+d+e+m+k)=100であり、Gは、N、C、及びOからなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素である。Meは、化学元素周期表の第二亜族、IVb、Vb、及びVIbからなる化学元素群からの少なくとも一種類の金属であり、Aは、元素周期表の第一亜族、Ia、IIa、の元素、及び第二亜族、VIIb、VIIIb、Ib、IIb、IIIb、の元素、及びランタノイド系元素からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素であり、0.01≦m<100である。本発明に従い、1≦a≦97、及び0.1≦b≦20、及び30≦c≦70である。この式において、合計(a+b+c+d+e+m+k)は100に関係し、本願の請求項1の場合ではないが、αに関係する。式(a+b+c+d+e+m+k)=100は、群Gが一層狭く特定化されていない限り、本質的に(a+b+c+d+e+m+k)=αと同じであるが、疑わしい場合には、(a+b+c+d+e+m+k)=100は、明確さを欠くことがあるので、以下では、一層明確な式、(a+b+c+d+e+m+k)=αを用いるであろう。
【0019】
区別を一層よくするため、更に、記号AXは、式単位(AlMgCrMeSi)の成分Aのための記号Aの代わりに用いるであろう。
【0020】
従来法に比較して工具及び部品のかなり改良された性能が本発明により達成されるが、それは、対応する基体を、組成(AlMgCrMeAXSi)G〔ここで、Gは、窒素(N)、炭素(C)、及び酸素(O)からなる群からの少なくとも一種類の元素を含むそれ自体既知の組成物であり、従って、例えば[N]βを表し、Meは、元素周期表の第二亜族、IVb、Vb、及びVIbからの元素からなる化学元素群の少なくとも一種類の元素であり、Aは、元素周期表の、第一亜族Ia、IIa、の元素、第二亜族、VIIb、VIIIb、Ib、IIb、IIIb、の元素、及びランタノイド系元素からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素である〕の硬質層で被覆することによる。
【0021】
本発明の層組織の著しく改良された特徴、就中、硬度、残留圧縮応力、耐酸化性、及び1200℃以上までの温度での相安定性に関する特徴を、本発明に従い、アルミニウム(Al)の割合を0.4≦a≦58に限定し、同時にマグネシウム(Mg)の割合を0.04≦b≦12に限定し、クロム(Cr)の割合を、18≦c≦42に限定することにより達成することができた。
【0022】
金属Meを選択することができる第二亜族IVb、Vb、VIbは、元素周期表の第IVb族の元素、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、第Vb族の元素、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、及び第二亜族IVbの、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、及びタングステン(W)からなる。
【0023】
就中、式AXを選択することができる元素周期表の第一亜族Ia及びIIaは、既知のやり方で、第一亜族Iaの元素、水素(H)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、及びフランシウム(Fr)、及び第IIa族の、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びラジウム(Ra)からなる。
【0024】
第二亜族Ibは、化学元素、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、及びテルビウム(Tb)からなり、第二亜族IIbは、化学元素、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、及びジスプロシウム(Dy)からなるのに対し、第二亜族IIIbは、化学元素、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、及びアクチニウム(Ac)からなる。
【0025】
更に第二亜族VIIb及びVIIIbは、それらから式単位(AlMgCrMeAXSi)の成分AXを同様に選択することができるが、それらは、化学元素周期表の、化学元素、第二亜族VIIbのマンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、及び第二亜族VIIIbの鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)からなる。
【0026】
既知のやり方で、化学元素、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)は、ランタノイド系に属する。
【0027】
特に、耐酸化性の欠如及び相安定性の欠如のような、就中、高温で、例えば、高性能工具で操作状態で非常に屡々遭遇する、最初に言及した欠点を有する従来法からの既知の硬質層を、本発明の化合物(AlMgCrMeAXSi)Gで、アルミニウム、マグネシウム、及びクロムの含有量を上に記載したように限定することにより決定的に改良することができることが、今度、驚異的な仕方で示されている。本発明による化学組成の適当な選択により、耐酸化性、相耐久性、硬度、残留圧縮応力、及び他の明確なパラメーター、例えば、(AlMgCrMeAXSi)G層の結合強度のようなものを、同時に最適にすることに初めて成功した。
【0028】
これに関し、別に明確に述べない限り、本願の内容で化学元素についての指数又は化学元素を表す記号での指数により示した量についての記述は、全体についての原子%(at%)であると理解すべきである。即ち、例えば、(a+b+c+d+e+m+k)=100として0.01≦m<100と言う記述は、式単位(AlMgCrMeAXSi)で成分Aが1at%〜50at%の量で存在することを意味する。
【0029】
特に、本発明の層組織の複数の層を、層組織の中で既に既知の層と一緒にし、新しい層組織を有利に形成することもでき、その結果本発明により、従来法と比較して、殆どあらゆる点で改良された特徴を有する完全に新規な層組織を得ることができるようにされていることが示されている。
【0030】
例えば、本発明による層組織で、全く異なった機能を有する異なった層を、本発明による層組織で、第一硬質層と一緒にして優れたものにすることができ、例えば、層間又は基体との結合強度で起きる問題を起こすことなく、また、例えば、望ましくない拡散過程又は他の物理的化学的反応又は高温での故障及び操作状態での大きな機械的負荷により、本発明による層組織が時間の経過と共に劣化することもない。例えば、TiN、TiNC、CrN、等のような古典的化合物の層のような従来法から既知の慣用的層を、本発明に従い必要条件により、有利に第一硬質層と一緒にすることもできる。
【0031】
本発明による層組織の化学組成(AlMgCrMeSi)Gを有する第一硬質層の部分層を、Al、Mg、及びクロムの含有量の適切で特別な選択により、最も多様な機能を持つようにすることができる。このように、本発明による(AlMgCrMeAXSi)G層を、或る場合には、全層組織の基体への優れた結合を生ずる結合層にすることができるが、それは、例えば、基体の格子パラメーターを更に別の層組織に整合させるか、又は基体の特別な化学性を、更に別の層組織の化学性に整合させるからである。
【0032】
しかし、本発明による(AlMgCrMeAXSi)G層は、例えば、層組織中の修正された化学組成で、それ自体既知の機能性を有する中間層を形成することもできるが、しかし、熱的、機械的、及び化学的侵食に対し摩耗を受ける基体、例えば、工具又は部品を保護する被覆第一硬質層にすることもできる。
【0033】
実際に重要な一例として、成分AXは混合金属である。
【0034】
混合金属を形成するための成分AXとして、少なくとも一種類の希土類元素を使用することが特に有利であることが証明されている。これに関し、既知のやり方で希土類元素の群には、ランタノイド及びランタン、スカンジウム、及びイットリウムも含まれる。これに関し、希土類群の純粋な元素は、実際特別な特性に関し、例えば、融点及び気化点、蒸気圧、等に関して全く異なっているが、これらの元素は、あったとしても、それらの化学的性質に関しては異なっているよりもむしろ非常に類似しており、このことは、それらの分離が実際には非常に困難を伴う事実から既に明白になっている。
【0035】
このように、希土類は、前記混合金属の形でも屡々用いられており、即ち、例えば、合金化処理のために用いられている希土類群は純粋な金属ではなく、むしろ希土類群の二種類以上の元素を含む特定の混合物であり、恐らく予め定められた量の更に異なった化学元素を含んでいる。これに関し、非常にわずかな量の混合金属の添加でも、その組成により基礎物質の化学的及び物理的特性に大きな影響を与えることができることが知られている。
【0036】
これに関し、化学成分AXの成分として混合金属を使用することにより、混合金属の量が最小であっても、例えば、化学的性質又は格子構造に許容しなければならない対応する重大な変化を起こすことなく、本発明による層組織の希望の性質に甚だしく影響を与えることができることが示されている。これに関連して、「混合金属」の定義は、文献で必ずしも不明確なものではない。しかし、本願の内容では、用語「混合金属」とは、非常に広い技術的意味を持つものとして理解されるであろう。
【0037】
特定の混合金属のための特別な例として簡単に用いられ、本願のための用語「混合金属」の意味を何ら限定するものではないが、非常に狭い定義として、混合金属は、セリウム混合金属も、希土類の金属の金属合金である。それは、例えば、45%〜52%のセリウム、20%〜27%のランタン、15%〜18%のネオジム、3%〜5%のプラセオジム、及び1%〜3%のサマリウム、テルビウム、及びイットリウム、微量の他の希土類金属、カルシウム、及び珪素、及び5%までの鉄からなる。この組成は、例えば、出発鉱物モナズ石から直接得ることができる。鉄の割合が15%を越えている場合(主に50%まで)、屡々セリウム鉄とも呼ばれている。
【0038】
希土類の化学的性質の類似性の結果として、特定の性質について組成のずれは重要ではないのに対し、他の性質は化学組成の変化により実際に確かに影響を受けることがある。
【0039】
混合金属は、鋼の製造中添加剤として望ましくない鉄酸化物を減少することができ、それらは、酸素及び硫黄と結合して脱ガスを助けることができる。合金用金属として、それらは、鉄・クロム・アルミニウム材料の鋳造及び流動性及び高温酸化性ガス中での耐食性を改良するのに役立つことができる。
【0040】
次の表1は、混合金属の特別な五つの例を示しており、用語「混合金属」の定義は、表1の例に対しかなり広げられている。従って、表1の混合金属には、異なった希土類の外に、他の添加剤も含まれ、実際金属と非金属との両方、例えば、Fe、Si、Mg、S、及び燐が含まれる。ハフニウム(Hf)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、及び周期表の更に別の元素のような他の元素も混合金属中に存在させることができる。
【0041】
しかし、既に述べたように、表1は、本願の内容から用語「混合金属」の意味の一例に過ぎないとして理解されるべきであり、本発明による層組織の成分AXに有利に包含させることができる非常に異なった混合金属の種類について何ら限定的に働くものではない。
【0042】
【表1】

【0043】
アルミニウム(Al)の割合を20≦a≦42の範囲にあるように選択し、マグネシウム(Mg)の割合を0.02≦b≦6の範囲にあるように選択することが有利である。特に、La及びMgの割合を記載の範囲に選択することにより、耐酸化性及び相耐久性の最適化と、層の硬度、残留圧縮応力、及び靭性の同時増大との良好な妥協をもたらし、更に良好な摩擦特性も達成することができることが示されている。
【0044】
第一硬質層中、第二亜族IVb及び/又はVb及び/又はVIbからの金属Meが、4≦d≦54に相当する量で存在するのが好ましい。組成のこの選択により、従来法からの既知の硬質層と比較して、硬度の一層の増加を達成することができると共に、層の用途により、金属群Meの特別な組成の適切な選択により窒化物形成の最適化を達成することができる。
【0045】
特別な場合として、第一硬質層中にSiはせいぜいk=24の量で存在する。就中、窒素(N)は層組織の硬度に実質的に寄与し、珪素(Si)は耐酸化性にとって重要であるのに対し、硼素(B)の付加的使用は、熱負荷に対し構造の耐久性を著しく改良することになる。
【0046】
珪素含有量を記載の範囲に設定することにより、例えば、特定の範囲内で、層の耐酸化性及び靭性及び/又は硬度を同時に更に最適にすることができるが、それのみではなく、これら及び/又は他の対策に加えて最適することができる。
【0047】
非常に特別な場合として、(例えば)成分AXを形成する化学元素が、特定の理由から、一層小さな原子直径をもつ傾向がある場合、又は特定の化学的境界条件が満足されなければならない場合、成分AXは、排他的にLi及び/又はBe及び/又はCa及び/又はSiだけから形成することができる。
【0048】
これに関連して同じ又は他の理由から、更に特別な場合が可能である。例えば、別の場合としてAXを、Sc単独及び/又はY単独及び/又はLa単独にすることもでき、或はAXは、ランタノイド系の少なくとも一種類の元素単独、特にCe単独にすることができ、換言すれば他の元素は含まないようにすることができる。
【0049】
次に、本発明による層組織の幾つかの態様の例を論ずるが、それらは、簡単化のため、第一硬質層の一つの層組織として、特別な層パラメーターを決定するために最初に製造した。次の層組織のみならず、特に、本願に関連して与える全ての例を有利に組合せることもできることは分かるであろう。
【0050】
一つの態様として、AlCrMgSiN層を研究した。
【0051】
この第一硬質層を、それ自体既知のやり方で、同様に当業者に既知の対応する処理室中でアーク蒸着源により適用した。屡々簡単にカソードと呼ばれている、一つの使用したアーク蒸着源は、100mmの直径をもち、技術的に重要ではない汚染物を別として、次の化学組成を有する:68at%のAl、29.5at%のCr、1.5at%のMg、及び1at%のSi。
【0052】
次に、適用した層の組成を次のやり方で決定した:
REM:LEO、EDX:INCA、加速電圧15keV。
【0053】
この研究は、基体に適用した層に次の組成を与える結果になった:64.03at%のAl、33.93at%のCr、1.08at%のSi、及び0.96at%のMg。
【0054】
基体、この場合、高速度鋼を被覆するため、処理室中で先ず約500℃に加熱し、イオンクリーニングにかけ、次に約6.5Paのガス圧力、約150Aのカソード電流、約50Vのバイアス電圧でパルス状に被覆した。
【0055】
比較のため、従来法で既知のAlTiN層を製造したが、用いたカソードは55at%のAl及び45at%のTiを含んでいた。
【0056】
両方の層にとって必要な窒素は、処理室中の処理ガスにより得ることができた。
【0057】
次の表2は、そのようにして製造された二つの層の最も重要な層の性質を比較したものである。
【0058】
【表2】

【0059】
これに関し、表2によるマイクロ硬度は、30mmのボール直径及び60rpmの540軸回転を有するBAQ社のカロマックス(kaloMAX)NTを有するカロテスト(KALOTEST)で、研磨用エマルジョンを用いて、耐摩耗性による摩耗率を測定し、ヌープ法に従い、既知のやり方で決定した。表面抵抗は、約10mmの測定先端間の間隔にしたマルチメーターを用いて測定した。
【0060】
表2は、本発明のAlCrMgSiN層について、従来法で既知のAlTiN層と比較して、印象的な仕方で、著しく大きい硬度及び約1/3減少した摩耗率を実証している。本発明のAlCrMgSiN層の巨大な表面抵抗は顕著であり、既知のAlTiN層のものよりも約3000倍も大きい。このことは、本発明の層を、就中、表面電流の流れを阻止又は減少しなければならないか、又は表面電流の結果として磁場及び電場の発生を抑制又は阻止しなければならない用途の分野で、特に興味のあるものにしている。このように、本発明による層は、特に層の対応する電磁気特性、特に誘電特性が役割を果たす用途に特に良く適している。
【0061】
実際に非常に重要になる更に別の態様として、本発明による層組織は、組成[MSi]G〔ここで(k+l+m)=100であり、Gは、N、C、及びOからなる化学元素の群からの少なくとも一つの元素である〕を有する少なくとも一つの付加的硬質層を含む。これに関し、Mは、Al、及び元素周期表の第二亜族、IVb、Vb、VIbの元素からなる化学元素群からの少なくとも一種類の金属である。第二硬質層の成分Aは、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及び化学元素周期表の第二亜族IIIbの元素、及び第一亜族Ia、IIa、IIIaの元素、及びランタノイド系の元素からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素である。
【0062】
このことは、層組織が、組成[MSiAY]γ[N]δ〔ここで、(o+p+q)=γ、(r+s+t)=δ、及び(γ+δ)=100であり、40≦γ≦60であり、Mは、Al、及び元素周期表の第二亜族、IVb、Vb、VIbの元素からなる化学元素群からの少なくとも一種類の金属である〕の少なくとも一つの付加的第二硬質層を含むと言うことと本質的に同じである。成分AYは、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及び化学元素周期表の第二亜族IIIbの元素、及び第一亜族Ia、IIa、IIIaの元素、及びランタノイド系の元素からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素である。
【0063】
区別を一層よくするため、式単位[MSi]の記号Aは、式単位[MSiAY]γの記号AYにより置き換える。
【0064】
従来法と比較して、工具及び部品のかなり一層改良された性能が次のようにして達成された。対応する基体を、組成[MSi]G、一層正確には[MSiAY]γ[N]δ〔Gは、このように、窒素(N)、炭素(C)、及び酸素(O)の群からの少なくとも一種類の元素を含むそれ自体既知の組成物であり、即ち、Gは、例えば、化学構造[N]δを有し、Mはアルミニウム(Al)、及び元素周期表の第二亜族、IVb、Vb、VIbの元素からなる化学元素群からの少なくとも一種類の金属である〕の付加的第二硬質層で被覆した。
【0065】
本発明に従い、就中、硬度、残留圧縮応力、耐酸化性、及び1200℃以上の温度までの相安定性に関し、もう一度かなり改良された第二硬質層を有する層組織の特性を、次のようにして達成することができた。第二硬質層の化学組成を成分AYで補足し、ここでAYはマンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及び化学元素周期表の第二亜族IIIbの元素、及び第一亜族Ia、IIa、IIIaの元素、及びランタノイド系の元素からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素とする。それ自体既知のやり方で、元素周期表の第一亜族IIIaは、これに関し、元素、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びタリウム(Tl)からなる。
【0066】
第二硬質層の成分AYのために少なくとも一種類の希土類元素を使用することは、特に有利であることが証明された。これに関し、非常にわずかな量の混合金属の添加でも、その組成により第二[MSi]G硬質層の化学的及び物理的特性に大きな影響を与えることができることが見出されている。
【0067】
更に、第二硬質層に、一種類以上の希土類元素及び/又は第一亜族Ia及び/又はIIa及び/又はIIIaの一種類以上の元素の形の成分AYを添加することによりこれらの性質を確実に改良することができ、本発明は、化学組成を適切に選択することにより、更に耐酸化性、相耐久性、硬度、及び他の明確なパラメーター、例えば、結合強度及び残留圧縮応力のようなものを改良し最適にすることに初めて成功したことが驚異的な仕方で示されている。
【0068】
特に、第二硬質層の型の層を、既に既知の層及び層組織と一緒にし、新しい層組織を有利に形成することができ、その結果本発明により従来法と比較して殆どあらゆる点で改良された性質を有する完全に新規な層組織を得ることができるようにしていることも示されている。
【0069】
この事は、特に、本発明による層組織[MSi]G、即ち、[MSiAY]γ[N]δで成分AYを形成する化学元素を適切に選択するために、本発明の層組織は非常に大きな融通性を達成している事実による。なぜなら、例えば、成分AYのために原子直径の選択を広く適用することができ、それにより、例えば、化学結合の可能性に悪影響を与えることなく、格子パラメーターを整合することができるからである。
【0070】
部分層は、本発明による層組織の化学組成[MSiAY]γ[N]δを有する第二部分層はを含むことができ、成分AYの化学組成を適切に選択することにより最も多様な機能を持つようにすることもできる。このように、第二[MSiAY]γ[N]δ硬質層は、例えば、一つの場合として、全層組織の基体への優れた接着を生ずる結合層にすることができ、それは、例えば、基体の格子パラメーターを更に別の層組織へ整合させるか、又は基体の特別な化学性を、更に別の層組織の化学性に整合させることによる。
【0071】
しかし、第二[MSiAY]γ[N]δ硬質層は、層組織中の変性化学組成でそれ自体既知の機能を有する中間層を形成してもよいが、熱的、機械的、又は化学的侵食に対し、摩耗を受ける基体、例えば、工具又は部品を保護する被覆第一硬質層にすることもできる。
【0072】
好ましい態様として、第二硬質層の成分Aは、付加的に硼素(B)を含むことができる。窒素(N)は、就中、層組織の硬度に著しく寄与し、珪素(Si)は耐酸化性にとって重要であるのに対し、構造体の熱負荷に対する抵抗性は、Bを付加的に使用することにより、更に一層著しく改良することができる。
【0073】
必ずしも必要ではないが、第二硬質層中のSiの割合については、0.04≦p<30の範囲に設定するのが好ましい。
【0074】
珪素含有量を、規定した範囲に設定することにより、例えば、耐酸化性及び靭性又は硬度と同様、第二硬質層、従って、本発明による全層組織の残留圧縮応力を、予め定めることができる限界内で同時に最適にするか、又はそれらを更に他の対策に対し最適にすることができる。
【0075】
第二硬質層の式単位[MSiAY]γ[N]δ中の化学成分AYの割合は、それにより、0.004<q<6の範囲にあるのが好ましく、既に述べたように、その記載は原子%として理解すべきことは当然である。
【0076】
第二硬質層の成分AYを、規定した範囲以内で選択することにより、非常に高い温度でも、1200℃より高くても、本発明による層組織により相耐久性を、更に別のパラメーターに加えて、更に改良することができることが示されている。しかし、耐酸化性を、それにより一層増大することもでき、関連する格子パラメーターを同時に整合させ、その結果層組織の希望の固有の応力レベルを設定することができ、更に層組織の硬度を一層増大することができる。
【0077】
既に述べたように、第二硬質層の成分AYは、希土類群の元素で、特にY及びランタノイドからなる化学元素群の一つの元素、特にCe及び/又はLaであるのが好ましいが、必ずしもその必要はなく、更に詳細に上で記載したように、それは、本発明による層組織の利点をもたらす。
【0078】
既に述べたように、第二硬質層の成分AYは、混合金属を含むこともでき、化学成分AYの成分として混合金属を使用することにより、混合金属の量が最小であっても、例えば、化学組成又は格子構造に許容しなければならない対応する重大な変化を起こすことなく、本発明による層組織の希望の性質に甚だしく影響を与えることができる状況をもたらすことができることが示されている。
【0079】
非常に特別な場合として、例えば、第二硬質層の成分AYを形成する化学元素を、特別な理由から、もしあったとして、比較的小さな原子直径を有する傾向をもつべき場合、又は特別な化学的及び/又は物理的境界条件を満たさなければならない場合、成分Aは、排他的にBe単独及び/又はCa単独から形成することができる。
【0080】
これに関連して、類似又は同様な理由、又は別の理由から更に特別な場合が可能になる。例えば、第二硬質層の成分AYは、別の場合として、Sc及び/又はY及び/又はLaだけにすることもでき、且つ/又はAYは、ランタノイド系の少なくとも一種類の元素だけ、特にCeだけにすることができ、換言すれば如何なる他の元素も含まない。
【0081】
次に、第二硬質層を有する本発明による層組織の幾つかの態様の例について論ずるが、簡単化のため、特定の層パラメーターを決定するために第二硬質層のただ一つの層組織を製造した。
【0082】
次の層組織のみならず、特に本願に関連して与えた全ての態様を、多くのやり方で有利に組合せることもできることは分かるであろう。
【0083】
次に、本発明による態様として、或る割合のセリウム混合金属を含む第二TiSiN硬質層について論ずる。その層を、それ自体既知のやり方で、同様に当業者に知られている対応する処理室中でアーク蒸着源により適用した。屡々簡単にカソードと呼ばれている、使用したアーク蒸着源は、この例では、100mmの直径をもち、技術的に重要ではない汚染物を別として、次の化学組成を持っている:82.5at%のTi、17at%のSi、0.5at%のセリウム混合金属(Ce)、ここでセリウム混合金属は、54重量%までのCe、29重量%までのLa、13重量%までのNd、及び4重量%までのPrからなる。
【0084】
基体、この場合には高速度鋼を、被覆するため、先ず処理室で500℃へ加熱し、イオンクリーニングにかけ、次に約5Paのガス圧力、約130Aのカソード電流、及び約50Vのバイアス電圧で被覆した。
【0085】
比較のため、従来法で知られているAlTiN層を、同じ被覆条件で製造し、そのために55at%のAl、45at%のTiを含むカソードを用いた。両方の層のために必要な窒素は、処理室内の処理ガスから得ることができた。
【0086】
次の表3は、製造された二つの層の最も重要な層特性の比較を示している。これに関し、表3のCeは、前に定義したセリウム混合金属を意味する。
【0087】
【表3】

【0088】
表3によるマイクロ硬度は、30mmのボール直径及び60rpmの540軸回転を有するBAQ社のカロテスト(KALOTEST)N装置を用い、研磨用エマルジョンを用いて、耐摩耗性による摩耗率及びヌープ法に従い、既知のやり方で決定した。
【0089】
表3は、本発明によるTiSiCeN層について印象的な仕方で、従来法で知られていたAlTiN層と比較して、殆ど2倍に高い硬度、及び半分未満の大きさの摩耗率を実証している。
【0090】
X線回折研究では、本発明による層では、明らかに好ましい(200)格子配向が観察できたのに対し(III)配向は実際上観察されなかった。
【0091】
既に述べたように、第一硬質層を、本発明による層組織の好ましい態様として、層組織の末端被覆層にすることができるのに対し、別の態様では、第二硬質層が層組織の末端被覆層を形成する。
【0092】
特別な場合として、本発明による層組織は、機能性層、特に複合体層、好ましくはMet(ここで、x>0;y≧0;及びz>0であり、Metは、Al、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、HF、Mn、Fe;Co;Ni、Li、Be、Mg、Sc、Y、La、Ce、Nd、Smの群からの少なくとも一種類の金属であり、Eは、Si、B、C、Oの群からの元素である)の複合体層を含むことができる。
【0093】
これに関連して、例えば、元素Si及び/又はCを含む中間層を与えることができ、且つ/又は中間層の元素Si及び/又はC、第一硬質層の組成(AlMgCrMeAXSi)α[N]β及び/又は第二硬質層の組成[MSiAY]γ[N]δを含む傾斜混合層を与える。
【0094】
特別な場合として、本発明による層組織中に機能性層としてSi/Bが支配的な層が付加的に与えられるように、層の金属成分の割合を、機能性層中最小限にするか又は全て無くすことができる。
【0095】
SiBxセラミックスについては、製造が複雑な結果として、これまで比較的僅かなことしか知られていない。SiBの場合、斜方晶形格子前面の大きい材料について次の特性が与えられている、硬度約2600、弾性率290GPa、密度2.43g/cm、熱膨張係数4.6×10−6/℃、熱伝導度9W/mK、融点1950℃。特に、大きな耐酸化性を強調できるであろう:空気中1550℃まで安定。
【0096】
このSiBxセラミックスの高温安定性は、AlTiN、AlCrSiN、及びTiSiNのような古典的層組織では達成されない。そのような主要な性質は、硬度及び酸化性に関し、SiBx型の層で同様な形態で見出すことができ、PVD被覆によるこれらの層の実現は工業的関連性を有する。
【0097】
これに関し、SiBx機能性層の酸化に対する保護機構は、SiO/BO型の二重層の形成に関係する。生ずる外側のSiに富む層は、酸素が層内部に拡散するのを防ぐ。
【0098】
そのため、工具のための被覆材料として、新規な種類の被覆材料SiBx及び特に新規な種類の被覆材料SiBCNを使用することが既に提案されてきている。特に、既知の古典的硬質材料層と組合せて、SiB化合物又はSiBNCに基づく機能性層が、同様に、著しく改良された層特性をもたらすことが示されてきており、本発明では、同様に、もし必要ならば、そのような機能性層を本発明の層組織に統合することが提案されている。
【0099】
被覆すべき基体又は工具に与えられている必要条件により、特別な場合には、本発明による層組織の機能性層に、酸素をドープすることが有利なことがあり、例えば、それにより、就中、層の構造を予め酸化するか又は精密化することにより酸素の拡散を減少し、高温での耐酸化性を著しく増大するSiBNCO層を達成することができる。
【0100】
機能性層に酸素をドープすることは、更に粒子境界に酸素による占有をもたらし、その結果、上記又は他の二重層組織の少なくとも部分的形成により、多かれ少なかれ開口多孔質又は層欠陥を屡々有する層組織の構造転化の傾向を減少する。なぜなら、酸素をドーピングすることによって予め酸化が誘発されるからである。
【0101】
本発明に従い、これに関し、機能性層が少なくとも二つの元素Si及びBを有することを決定することにより、特に、保護二重層を形成することができる。即ち、本発明による層組織は、組成、SiMe(ここでa、b>0であり、33at%>c≧0、及びu、v、w≧0であり、Meは、金属であり、特別な場合には、本発明による層を堆積するためのターゲットを製造するために用いられる金属、例えば、Al又はSiCにすることができるが、しかし、意図的に配合させる金属元素にすることができる)の少なくとも一つの機能性層を持つことができる。
【0102】
これに関し、本発明による層組織の機能性層は、適当な金属中間層上に堆積することができるのが好ましいが、Si、SiC中間層の上にも、本発明による第一硬質層又は第二硬質層の上にも堆積することができ、金属又はセラミック工具材料の上に直接堆積するか、好ましくは硬質材料層で被覆された工具材料の上にも堆積することができる。
【0103】
本発明による層組織の機能性層は、殆ど無定形の状態で存在するのが好ましいが、必ずしもその必要はなく、この場合、特定の態様として、機能性層中に存在するナノ結晶領域を形成することができる。
【0104】
これに関連して、機能性層の層厚さは、約5nm〜50000nm、特別な場合には10nm〜2500nm、好ましくは100nm〜500nmの範囲にあり、下の層として、例えば、同じか又は別のプラントで堆積したアルミニウム系硬質材料層を含むことができる。
【0105】
これに関し、機能性層の金属成分Meは、Al、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、HF、Mn、Fe;Co;Ni、Li、Be、Mg、Sc、Y、La、Ce、Nd、Smの群からの一種類の金属である。
【0106】
特に好ましい態様として、少なくとも一つの複合体層を基体の表面に与え、好ましくはMe(ここで、x、y≧0及びz>0であり、Meは、Al、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、HF、Mn、Fe;Co;Ni、Li、Be、Mg、Sc、Y、La、Ce、Nd、Smの群からの少なくとも一種類の金属であり、Eは、Si、B、C、Oからなる群からの元素である)の複合体層を与える。
【0107】
特別な用途に対し、本発明による特別な層組織に、SiMeの付加的硬質層、特にSiMeの付加的硬質層、特にSiの付加的硬質層を与えることもできる。
【0108】
特に好ましい態様として、組成、(Al1−αβTiαXβ)(N1−γCOδBε)(ここで、0.2<α<0.6、0≦β<0.2、及びα+β>0.01、及び0≦γ<0.5、0≦δ<0.5、0≦ε<0.5、及びγ+δ+ε>0.01であり、XはZr、V、Cr、Nb、Ta;W;Mo;Hf、Mg、Si、Yからなる群からの元素である)を有するAlTi硬質層を与える。
【0109】
SiBに基づく機能性層を、9〜0.1の範囲のSi:Bの原子組成の範囲で堆積し、最も多様な組成物を傾斜層又は多重層内に与えることができる。硼素に富む機能性層を堆積するのが好ましく、即ち、Si含有量は硼素含有量より少ない。Si原子1つ当たり6原子の硼素を含む組成物が特に興味がある。なぜなら、その機能性層に、特に安定なSiB構造を、少なくとも局部的に形成することができる。
【0110】
N、C、Oの添加は、機能性層に最も多様な結合状態を形成することになり、それにより、B−N、B−C、Si−N、Si−C、Si−O、B−O結合が生ずるが、それらは複雑で定量に費用がかかる。共有結合成分(例えば、SiN及びBC)は大きな硬度をもたらす。これらの複雑な層の構造機構及び結合機構は、複雑な層特性に関し予測するには現在の知識状態では不適切である。
【0111】
好ましい態様として、機能性層の原子組成は、ほぼ同じ割合のSi及び硼素及びN及び/又はN、C、Oの混合物からなるべきである。SiBに関するN及びCの含有量に関する化学量論的量をこえる組成も価値があるが、それは技術的に製造するのに問題がある。例えば、ほぼ同じ割合のSi、B、及びCを有するが、Siの量の3倍に相当する割合のNを含むこの種の層組成は、大きなセラミックスに従い都合がよいであろう。
【0112】
機能性層の上に記載した好ましい組成では、少なくとも局部的に極めて安定な化合物を、Si又はSiBNCの形で、形成することができる。
【0113】
機能性層中の酸素含有量は、全組成に対し50at%よりかなり低く、好ましくは約10at%に限定される。なぜなら、一般に脆い材料挙動をもたらすイオン性結合の割合は制限するのがよいからである。
【0114】
機能性層中の金属の割合は、同様に50at%よりかなり低く設定されるのが都合が良く、これらは、中間層では、主に最大10at%までに限定される。それにより、それらの割合は、硬度の低い材料層に対し結合架橋として役立ち、或は標的結合剤から生ずる。
【0115】
それにより、機能性層の硬度は、約1000〜5000ビッカース、好ましくは2000〜3500ビッカースの範囲に亙る。適当な層の選択は、夫々の摩擦性に依存する。例として、摩擦は過度の加熱を防ぐための種々のマイクロ工具のための決定因子であり、既に都合が良いとされている約1000ビッカースの層硬度を有する摩擦減少用硼素酸化物が望ましい。摩擦隔壁層は重要である。空気湿分が存在すると、酸化硼素は硼酸に転化し、それにより低い摩擦値を達成することができる。
【0116】
Ti合金と接触しているボールミル(球状フライス盤カッター)の場合、その代わり、大きな硬度レベルを設定すべきである。
【0117】
元素Si及び/又はCからなる中間層は、基体に対するのみならず本発明の層組織、例えば、特に高負荷工具の別の層に対する結合特性を改良するために与えることができる。
【0118】
更に、別の態様として、中間層の元素Si及び/又はCを含み、第一硬質層の組成SiMe、特にSiMe、特別にSiを含む傾斜混合層を与えることができる。これに関し、傾斜混合層の組成は、その傾斜混合と接触している第一層の組成から、同様にその傾斜混合と接触している第二層の組成へ多かれ少なかれ連続的に変化することができ、その結果、例えば、格子構造、結晶性、熱膨張性、等のような化学的及び/又は物理的性質が異なった第一層と第二層とを互いに理想的に整合させることができる。
【0119】
SiMeNの酸素機能性層、特にSi酸素機能性層は、特に有利に与えることができ、それは特に被覆層として与えることができる。この被覆層は、例えば、層中への酸素の拡散を防ぐか又は最小限にすることができ(それのみならず)それにより、就中、耐酸化性を増大することができる。更に、被覆層は、外部、特に外側からの侵食に対し、特に化学的、熱的、及び機械的性質を与えることにより層組織を保護することができ、その結果、本発明の層組織は、例えば、特にその被覆層により高温に対し良く保護し、且つ/又は特に有利な機械的性質、又は特に良好な摩擦性を有する。前に記載した本発明の態様は、用途によりどのような適当な仕方で一緒に組合せてもよく、例として説明した層順序を別の仕方で特に実現することもでき、それら層の一つ以上を本発明による層組織の特別な態様で完全に省略することができ、或は別の態様では一つの同じ層組織で複数存在させることもできることは分かるであろう。
【0120】
特別な場合として、複合体層及び/又は中間層及び/又は第一硬質層及び/又は第二硬質層及び/又は傾斜混合層の層厚さは、0.1μm〜50μm、特に1μm〜15μm、好ましくは5μm〜8μmの範囲に存在することができる。
【0121】
第一硬質層及び/又は第二硬質層の硬度HK0.05は、好ましくは10Gpa〜50Gpa、特に25Gpa〜35Gpaの範囲にあり、 第一硬質層及び/又は第二硬質層の残留圧縮応力は、0.1Gpa〜10Gpa、特に1.5Gpa〜4Gpaの範囲にある。
【0122】
本発明による層組織の耐酸化性及び/又は相安定性は、これに関し、700℃より高い温度、特に1000℃より高い温度まで保証されている。
【0123】
本発明による層組織の用途に関し、本発明は、更に、カソードの気化表面(vaporization surface)上でのアーク放電による蒸気物質(vapor material)の蒸着により基体表面上に表面層を形成するため、カソードとして気化材料(vaporization material)を有する第一アーク蒸着源に関する。この構成では、気化材料は化学組成(Al’Mg’Cr’Me’B’AX’Si’)〔ここで、(a’+b’+c’+d’+e’+m’+k’)=100であり、Meは、化学元素周期表第二亜族、IVb、Vb、及びVIbからなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素である〕を有する。AXは、化学元素周期表の第一亜族、Ia、IIaの元素、及び第二亜族、VIIb、VIIIb、Ib、IIb、IIIbの元素、及びランタノイド系元素からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素であり、ここで、0.01≦m’<100、好ましくは0.012≦m’<80である。本発明により、Al、Mg、及びCrの含有量は、1≦a’≦97、及び0.1≦b’≦20、及び30≦c’≦70に限定される。
【0124】
特別な態様として、アーク蒸着源は、付加的にC及び/又はN及び/又はOを含み、実施で特に重要な態様では、成分Aは混合金属にすることができる。
【0125】
特別な態様として、アルミニウム含有量は50≦a’≦70の範囲にあり、マグネシウム含有量は0.5≦b’≦10の範囲に限定される。好ましくは、Meはアーク蒸着源中に10≦d’≦80に相当する量で存在するが、必ずしもそうである必要はなく、Si含有量は本発明のカソード中にせいぜいk’=40までの量になる。
【0126】
特別な場合として、成分Aは、Li及び/又はBe及び/又はCa及び/又はSiだけであり、且つ/又はAは、Sc及び/又はY及び/又はLaだけであり、別の態様として、Aは、ランタノイド系からの少なくとも一種類の元素だけであり、特にCeだけである。
【0127】
本発明は、更に、カソードの気化表面上でのアーク放電による気化材料の蒸着により基体表面上に表面層を形成するため、カソードとして気化材料を含む第二アーク蒸着源に関し、この場合、気化材料は化学組成[MSi]〔ここで(k+l+m)=100である〕、一層正確に述べれば、(M’Si’AY’)〔ここで、(o’+p’+q’)=100であり、Mは、Al及び元素周期表第二亜族、IVb、Vb、及びVIbの元素からなる化学元素群からの少なくとも一種類の金属である〕を有する。第二アーク蒸着源の成分Aは、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及び化学元素周期表の第二亜族IIIbの元素、第一亜族、Ia、IIa、及びIIIaの元素、及びランタノイド系元素からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素である。
【0128】
好ましい態様として、第二アーク蒸着源は、付加的にC及び/又はN及び/又はOを含むことができ、且つ/又は成分Aは、付加的に硼素(B)を含む。
【0129】
好ましくは、0.1≦p’<50、且つ/又は条件0.01<q’<10が適用される。
【0130】
実際上特に重要になる態様として、第二蒸着源の成分AYは混合金属であり、且つ/又はAYは、Y及びランタノイドからなる化学元素群からの元素であり、特にCe及び/又はLaである。
【0131】
特別な場合として、第二蒸着源の成分AYは、Be及び/又はCaだけにすることができ、且つ/又はAYは、別の態様として、Sc及び/又はY及び/又はLaだけにすることができる。
【0132】
特別ではあるが、重要な場合として、AYは、ランタノイド系からの少なくとも一種類の元素だけであり、特に成分AYはCeだけからなるようにすることができる。
【0133】
更に、本発明は、第一蒸着源及び第二蒸着源の気化材料からなる気化材料を有する併合蒸着源に関する。
【0134】
最後に、本発明は、本発明による層組織で被覆された基体、特に工具にも関する。
【0135】
この点で、本発明による工具は、元の工具、即ち、マスター工具、鋳型、プレス工具、チップ形成工具、特にドリル、フライス盤カッター、旋盤又はフライス加工又は平削り機のための割出し可能な切削差込み工具、再成形工具、又はマイクロ工具、特にマイクロドリル、割出し可能なマイクロ切削差込み工具、マイクロフライス盤又は他の工具又はマイクロ工具又はプラスチック工具にすることができる。更に、本発明により被覆した基体は、摩耗を受ける部品、特に空中又は地上用タービン、モーター、特に内燃機関のための摩耗を受ける部品、特にシール、歯車、ピストン、ピストンリング、引張り機械のための摩耗を受ける部品、又は他の摩耗を受ける部品にすることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体の表面上、特に工具の表面上に表面層を形成するための層組織で、組成(AlMgCrMeAXSi)α[N]β〔ここで、(a+b+c+d+e+m+k)=α、(u+v+w)=β、及び(α+β)=100、40≦α≦60、であり、Meは、化学元素周期表の、
− 第二亜族、IVb、Vb、及びVIb;
からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素であり、AXが、元素周期表の、
− 第一亜族、Iaの元素;及び
− Be、Ca、Sr、及びBaの元素;及び
− 第二亜族、VIIb、VIIIb、Ib、IIb、IIIb、の元素;及び
− ランタノイド系の元素;
からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素であり、0.004≦m<60、好ましくは0.01≦m<50である〕の少なくとも一つの第一硬質層を含む層組織において、
0.4≦a≦58、及び0.04≦b≦12、及び18≦c≦42
であることを特徴とする、層組織。
【請求項2】
20≦a≦42、且つ/又は0.02≦b≦6、且つ/又はMeが、硬質層中4≦d≦54に相当する量で存在し、且つ/又はSiが、硬質層中せいぜいk=24の量で存在する請求項1に記載の層組織。
【請求項3】
AXが、Li及び/又はBe及び/又はCa及び/又はSiだけであり、且つ/又はAXが、Sc及び/又はY及び/又はLaだけであり、且つ/又はAXが、ランタノイド系の少なくとも一種類の元素だけであり、特にCeだけであり、且つ/又はAXが混合金属である、請求項1又は2に記載の層組織。
【請求項4】
層組織が、組成[MSiAY]γ[N]δ、〔ここで、(o+p+q)=γ、(r+s+t)=δ、及び(γ+δ)=100であり、40≦γ≦60であり、Mは:
元素周期表の、
− Al、及び
− 第二亜族、IVb、Vb、VIbの元素;
からなる化学元素群からの少なくとも一種類の金属であり、
AYが、
化学元素周期表の、
− Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及び
− 第二亜族IIIbの元素、及び
− 第一亜族Ia、IIa、IIIaの元素、及び
− ランタノイド系の元素
からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素である〕の少なくとも一つの付加的第二硬質層含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の層組織。
【請求項5】
付加的第二硬質層AYが付加的に硼素を含み、且つ/又はAYが混合金属であり、且つ/又はAYがY及びランタノイド系からなる化学元素群からの一種類の元素であり、特にCe及び/又はLaである、請求項4に記載の層組織。
【請求項6】
0.04≦p<30、且つ/又は0.004<q<6であり、好ましくは0.01<q<10である、請求項4又は5に記載の層組織。
【請求項7】
第一硬質層が層組織の末端被覆層であり、且つ/又は第二硬質層が層組織の末端被覆層である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の層組織。
【請求項8】
更に、少なくとも一つの機能性層、特に複合体層で、好ましくはMet(ここで、x>0;y≧0;及びz>0であり、Metは、Al、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、HF、Mn、Fe;Co;Ni、Li、Be、Mg、Sc、Y、La、Ce、Nd、Smの群からの少なくとも一種類の金属であり、Eは、Si、B、C、Oの群からの元素である)の複合体が基体の表面上に与えられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の層組織。
【請求項9】
元素Si及び/又はCを含む中間層が与えられており、且つ/又は前記中間層の元素Si及び/又はC、及び第一硬質層の組成[AlMgCrMeAXSi]α[N]β、及び/又は第二硬質層の組成[MSiAY]γ[N]δを含む傾斜混合層が与えられている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の層組織。
【請求項10】
カソードの気化表面上でのアーク放電による蒸気物質の蒸着により基体表面上に表面層を形成するため、カソードとして気化材料を有するアーク蒸着源で、前記気化材料が化学組成(Al’Mg’Cr’Me’B’AX’Si’)〔ここで、(a’+b’+c’+d’+e’+m’+k’)=100であり、Meは、
化学元素周期表の、
− 第二亜族、IVb、Vb、及びVIb、
からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素であり、AXは、
化学元素周期表の、
− 第一亜族、Iaの元素、及び
− Be、Ca、Sr、Baの元素、及び
− 第二亜族、VIIb、VIIIb、Ib、IIb、IIIbの元素、及び
− ランタノイド系元素、
からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素であり、ここで、0.01≦m’<100、好ましくは0.012≦m’<80である〕を有するアーク蒸着源において、
1≦a’≦97、及び0.1≦b’≦20、及び30≦c’≦70であり、気化材料が、好ましくは、付加的にC及び/又はN及び/又はOを含むことを特徴とする、アーク蒸着源。
【請求項11】
50≦a’≦70、及び/又は0.5≦b’≦10、及び/又は10≦d’≦80であり、且つ/又はk’がせいぜい40に等しい、請求項10に記載のアーク蒸着源。
【請求項12】
AXが、Li及び/又はBe及び/又はCa及び/又はSiだけであり、且つ/又はAXが、Sc及び/又はY及び/又はLaだけであり、且つ/又はAXが、ランタノイド系の少なくとも一種類の元素だけであり、特にCeだけであり、且つ/又はAXが混合金属である、請求項10又は11に記載のアーク蒸着源。
【請求項13】
カソードの気化表面上でのアーク放電による気化材料の蒸着により基体表面上に表面層を形成するため、カソードとして気化材料を有するアーク蒸着源において、前記気化材料が化学組成(M’Si’AY’)〔ここで、(o’+p’+q’)=100であり、Mは、
元素周期表の、
− Al、及び
− 第二亜族、IVb、Vb、及びVIbの元素、
からなる化学元素群からの少なくとも一種類の金属であり、AYが、
化学元素周期表の、
− Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及び
− 第二亜族IIIbの元素、及び
− 第一亜族、Ia、IIa、及びIIIaの元素、及び
− ランタノイド系元素、
からなる化学元素群からの少なくとも一種類の元素である〕を有する、アーク蒸着源。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか1項に記載の気化材料を有する併合蒸着源。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の層組織で被覆された基体、特に工具であって、前記工具が、元の工具(マスター工具)、鋳型、プレス工具、チップ形成工具、特にドリル、フライス盤カッター、旋盤又はフライス加工又は平削り機のための割出し可能な切削差込み工具、再成形工具、又はマイクロ工具、特にマイクロドリル、割出し可能なマイクロ切削差込み工具、マイクロフライス盤又は他の工具又はマイクロ工具又はプラスチック工具であり、且つ/又は前記基体が、摩耗を受ける部品、特に空中又は地上用タービン、モーター、特に内燃機関のための摩耗を受ける部品、特にシール、歯車、ピストン、ピストンリング、引張り機械のための摩耗を受ける部品、又は他の摩耗を受ける部品である、基体。

【公開番号】特開2009−1905(P2009−1905A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−164144(P2008−164144)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(508190746)スルザー メタプラス ゲーエムベーハー (8)
【Fターム(参考)】