説明

基体への粉末材料の静電塗布方法及び装置

【課題】基体に粉末材料を静電塗布する装置及び方法を提供する。
【解決手段】上記装置は、それぞれが複数の基体を保持する複数のプラテンと、進路に沿って上記プラテンを搬送するコンベヤと、上記基体に粉末材料を静電塗布する塗布機とを備えている。上記方法は、各プラテンに複数の基体が保持されるように上記プラテンに基体を置く工程と、進路に沿って上記プラテンを連続的に搬送する工程と、上記プラテンに保持されている上記基体に粉末材料を静電塗布する工程とを備える。また、粉末材料が静電塗布される複数の基体を保持するためのプラテンが提供される。上記プラテンは、複数の基体を支持する複数の支持部を有したプラテン基部と、上記プラテン基部上に配置され上記プラテン基部の上記複数の支持部に対応して配置された複数の孔を有する導電性のプラテンシールドとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基体への粉末材料の塗布方法及び装置に関するものであり、特に固形製剤への粉末材料の静電塗布に関するものであるが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
「固形製剤(solid dosage form)」は、個別の単位に配分可能であることによって1単位の投与形態となるいかなる固形材料からでも形成可能である。固形製剤は、必然的ではないが、経口製剤であっても良い。医薬固形製剤の例としては、医薬錠剤のほか、ペレット剤、カプセル剤、小球剤、医薬ペッサリー、座薬、及び座剤を含む経口投与用の医薬製品が含まれる。医薬固形製剤は1単位の投与形態に分割される医薬基体から形成することが可能である。医薬外固形製剤の例としては、菓子類や洗浄剤、防虫剤、除草剤、殺鼠剤、及び肥料が含まれる。
【0003】
固形製剤への粉末材料の静電塗布は公知であり、そのような塗布を記述した特許明細書としては、特許文献1や特許文献2がある。
【特許文献1】国際公開第96/35516号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/49771号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粉末によって固形製剤をコーティングする場合、各固形製剤を粉末塗布機に対して適切な位置におくことが望ましく、各固形製剤を個別に取り扱う必要がある。また、固形製剤が所望の位置に保持された状態にあって、固形製剤の背中合わせとなる面のそれぞれに粉末を塗布しなければならない場合、その処理の間に固形製剤を反転させることができなければならない。研究所の段階では、このような固形製剤の取り扱いがさほど問題とはならないが、製品に求められているように、適度な速さで固形製剤に粉末を塗布する必要が生じた場合、固形製剤の取り扱いは問題となる。
【0005】
特許文献1において固形製剤は、固形製剤の表側をコーティングするために第1回転ドラムに保持され、次に裏側をコーティングするために第2回転ドラムに移される。このような方法は実行可能であることは判っているが、生産時、特に固形製剤のドラムへの載置及びドラムからの取り出し、及び一方のドラムから他方のドラムへの固形製剤の移動に損失が生じる。また、固形製剤の表面の処理が可能な進路の長さ(ドラムの円周)に制限があって、装置が順応性のあるものではないため、ある要求に従ってある固形製剤を取り扱うようにした構成から、別の要求に従って別の固形製剤を取り扱うようにした構成へと容易に適合させることができない。
【0006】
基体に粉末材料を塗布するための改善された方法及び装置を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴により提供される基体への粉末材料の静電塗布方法は、
各プラテン(platen)に複数の基体が保持されるように、プラテン上に基体を置く工程と、
進路に沿って上記プラテンを連続的に搬送する工程と、
上記プラテン上に保持されている上記基体に粉末材料を静電塗布する工程と
を備えている。
【0008】
プラテン上に複数の基体を保持することで、プラテンを誘導することによって基体をうまく動かすことができるので、大量の基体の取り扱いが極めて容易になる。このことは、例えば基体が医薬用であるような場合には良くあることであるように、基体がもろいときに特に価値のあるものとなる。
プラテンは上記進路に固定されるようにしても良いが、上記進路から離脱可能としても良い。このような場合、上記方法は、搬送されることになっている進路にプラテンを導入し、上記プラテンが搬送された進路から上記プラテンを取り外す工程を更に備えるのが好ましく、プラテンの導入及び取り外しは上記進路に沿った共通の位置で行われるのが好ましい。
【0009】
更に、上記方法は、少なくとも1つの処理ステーションで上記進路から上記プラテンを取り外す工程と、上記プラテンに保持されている基体を処理する工程と、上記プラテンを上記進路に戻す工程とを更に備えることが好ましい。進路に沿って連続的にプラテンを搬送する一方で、少なくとも1つの処理ステーションにおいて、上記進路からプラテンを取り外して基体を処理し、その後でプラテンを進路に戻して更に進路に沿って搬送することにより、単純な方法で、しかもコンパクトなスペースにおいて、上記方法を実行することが可能となる。また、装置の比較的小さな部分のみを変更することにより、別の粉末塗布工程及び/又は別の基体を使用可能な方法や装置に変更することも可能である。
【0010】
プラテン上にある基体、或いはプラテンの表面上にある基体に言及した場合、基体がプラテンの凹所内に部分的に又は完全に収容されることにより、必ずしもプラテンから全体的に又は部分的に突出するものではないとする説明の範囲内に含まれるものと理解すべきである。
プラテンは連続的に搬送されるので、上記方法における工程は一般的にプラテンのいくつか又は1つに順番に適用されるものであることは言うまでもない。例えば、1つのプラテンに基体が載せらていく一方で、別のプラテンが処理ステーションで進路から取り外され、更に別のプラテン上の基体が処理ステーションで処理されるようにしても良い。こうして、共通のプラテン上の基体が設定された順番で上述のような方法の工程を受ける際には、1つのプラテン上の基体が処理ステーションにある一方で、別の基体が別のプラテン上に載せられていくようにしても良い。上記方法は連続的に実行されるのが好ましい。
【0011】
以下に述べる本発明の実施形態において、粉末材料は少なくとも1つの処理ステーションにおいて基体に静電塗布されるようになっており、これは好ましい構成である。但し、この処理ステーションでは別の処理を行うと共に、進路に沿って基体が搬送される際に粉末材料を基体に静電塗布することが可能である。粉末の静電塗布は、単一の処理又は一連の処理によって行うようにしても良い。その内容が参照により組み込まれる特許文献2(国際公開第02/49771号)は、電界による基体への粉末材料の駆動が実質的に終了する程度に粉末材料源と基体との間の電界が弱まるまで、帯電された粉末材料の基体への塗布が継続されるようにした、粉末材料の静電塗装方法及び装置について述べている。このような手法が採用された場合には、粉末材料を静電塗布するために複数の工程を設けることが特に望ましい。
【0012】
本方法は、粉末材料が静電塗布された後に上記粉末材料を溶融させる工程を更に備えるのが好ましい。この溶融は、上記少なくとも1つの処理ステーションで行なうことが可能であるが、粉末材料の溶融はプラテンが進路に戻った後で行われることが好ましい。
本方法は、進路に沿って連続的にプラテンを搬送する工程の後に、
第1処理ステーションで上記プラテンを上記進路から取り外して上記基体の第1表面に粉末材料を静電塗布し、上記プラテンを上記進路に戻す工程と、
戻した上記プラテンを上記進路に沿って更に搬送する工程と、
第2処理ステーションで上記進路から上記プラテンを取り外して上記基体の第2表面に粉末材料を静電塗布し、上記プラテンを上記進路に戻す工程と、
上記第2処理ステーションから戻った上記プラテンを更に上記進路に沿って搬送する工程と
を備えるのが好ましい。
【0013】
このような方法を適用することにより、基体の背中合わせの面をそれぞれコーティングすることができる。上記方法は、上記粉末材料が静電塗布された後に上記粉末材料を溶融させる工程を更に有するようにしても良い。第1溶融工程は、戻された上記プラテンが上記進路に沿って更に搬送されるときであって、上記第2処理ステーションで上記進路から上記プラテンが取り外される前に行われるようにしても良いし、第2溶融工程は、上記プラテンが上記第2作業ステーションから戻り、上記進路に沿って更に搬送されるときに行われるようにしても良い。
【0014】
上記溶融工程は、上記プラテンを搬送し、上記進路に沿って連続的に配置された複数の溶融装置を通過させるものである。複数の溶融装置を設けることは溶融に必要な空間を増加させることになるが、別の観点から望ましい速度で基体を進路に沿って搬送できるようにするためには望ましいものである。
プラテンは、一連の工程において進路に沿って、好ましくは協調して搬送されるようにしても良い。プラテンは、全て一緒に1段階だけ移動し、再びもう1段階移動するまでその位置に静止した状態となるようにしても良い。プラテンが静止している期間は、移動する期間より長いことが好ましい。少なくとも1つの処理ステーションで進路からプラテンを取り外す工程と、進路にプラテンを戻す工程とがある場合、これらの工程はプラテンが静止している間に行われるようにするのが好ましい。
【0015】
上記プラテンが搬送される上記進路は、実質的に水平であるのが好ましい。上記プラテンは、上記少なくとも1つの処理ステーションで実体のある距離を垂直に移動するようにしても良い。このようなプラテンの水平方向及び垂直方向の移動の組合せにより、本方法を実行するのに必要な床面積が減少する。
プラテンが進路の一端から他端まで搬送されるものは本発明の範囲に含まれるものであるが、循環路に沿って上記プラテンが搬送されるようにするのが好ましい。本方法は、上記プラテンが搬送されることになっている進路に上記プラテンを導入する工程と、上記プラテンが搬送された進路から上記プラテンを取り外す工程とを更に備え、上記プラテンの導入及び取り外しは上記進路に沿った共通の位置で行われるようにするのが好ましい。上記プラテンが一連の工程において進路を巡回移動する場合、上記プラテンの導入及び取り外しは上記プラテンが静止しているときに行われるのが好ましい。
【0016】
本方法は、上記少なくとも1つの処理ステーションで上記進路から上記プラテンを取り外す上記工程の後であり、且つ上記進路に上記プラテンを戻す上記工程の前に、
上記プラテンを第1駆動機構に機能的に連結し、上記第1駆動機構を運転することにより上記プラテンを搬送する工程と、
上記第1駆動機構から上記プラテンを切り離し、上記プラテンを第2駆動機構に機能的に連結して上記第2駆動機構を運転することにより上記プラテンを搬送する工程と、
上記第2駆動機構から上記プラテンを切り離す工程と
を更に備えるのが好ましい。
【0017】
プラテンが処理ステーションを通る単一の循環路に沿って移動する場合であっても、2つの駆動機構を設けることにより、単純な方法で処理ステーションのいくつかの領域において異なる速度でプラテンが駆動されるように構成可能であることを見出した。
例えば歯付ベルトのような循環駆動部材を備えるようにしても良い第1及び第2駆動機構は、上記プラテンが上記少なくとも1つの処理ステーションで近接して移動する近接進路に沿って配設されるのが好ましい。上記第1及び第2駆動機構のうちの一方は、連続的にほぼ一定の速度vで駆動するのが好ましい。速度「v」への言及は、特定の速度を表すためというよりも単に速度の呼称として用いられるものであることは言うまでもない。上記第1及び第2駆動機構のうちの他方は、第1段階の間、上記速度vで駆動するのが好ましい。上記プラテンを上記第1駆動機構から切り離して上記第2駆動機構に連結する上記工程は、上記第1及び第2駆動機構のうちの上記他方の駆動が上記第1段階である間に行われるのが好ましい。この段階にある間、第1及び第2駆動機構が同じ速度で駆動を行うことにより、滑らかな移動が容易に行われるようになる。また、上記第1及び第2駆動機構のうちの上記他方は、第2段階の間、上記速度vより速い速度uで駆動するのが好ましい。この場合、第2駆動機構によってプラテンをより一層高速で駆動することができる。また、上記第1及び第2駆動機構のうちの上記他方は、第3段階の間、速度なしとなるのが好ましい。上記プラテンを上記少なくとも1つの処理ステーションで上記進路から取り外し、上記進路に戻す上記工程は、上記第1位及び第2駆動機構のうちの上記他方の駆動が上記第3段階にある間に行われるのが有効である。
【0018】
以下に述べる本発明の好ましい実施形態において、上記方法は、上記少なくとも1つの処理ステーションで上記進路から上記プラテンを取り外す上記工程の後であり、且つ上記プラテンを上記進路に戻す上記工程の前に、
第2駆動機構が速度なしとなっている間に上記プラテンを上記第2駆動機構に機能的に連結する工程と、
上記第2駆動機構により速度vで上記プラテンを駆動する工程と、
上記プラテンを上記第2駆動機構から切り離して上記第1駆動機構に機能的に連結し、上記プラテンを上記速度vで引き続き駆動する工程と、
上記プラテンを上記第1駆動機構から切り離して上記第2駆動機構に機能的に連結し、上記プラテンを上記速度vで引き続き駆動する工程と、
上記第2駆動機構により上記プラテンを上記速度vより速い速度uで駆動する工程と、
上記第2駆動機構により上記プラテンを速度なしで駆動し、上記第2駆動機構から上記プラテンを切り離す工程と
を備える。
【0019】
上記方法は、
複数の基体が露出表面に保持された第1プラテンの上記表面に、空の第2プラテンの表面を近接させて上記第2プラテンを配置する工程と、
上記複数の基体を上記第1プラテンから解放して上記第2プラテンの表面に保持する工程と、
上記第1及び第2プラテンの近接した上記表面を離間させる工程と
を備えるのが好ましい。
【0020】
このような工程により、それまで第1プラテンの露出表面にあった基体の表面を第2プラテン上で完全に露出させたり、或いはその逆を行ったりすることが可能となる。また、これらの工程は、このようなことを、基体が大きな衝撃を受ける必要のない簡単で確実な作業において達成可能とすることにより、もろい基体であってもダメージを受けることが回避可能となる。
【0021】
解放及び保持工程は、プラテンの物理的な移動なしで行うことが可能であり、例えば、プラテンに加えられる低い吸引圧力を停止することによって、一方のプラテンから基体を解放するようにしても良いし、他方のプラテンに低い吸引圧力を加えることによって、この他方のプラテンに基体を保持するようにしても良い。但し、重力の一部又は全部を利用し、第1プラテンの上記表面は、上記第2プラテンの上記表面が近接して配置されたときに上方を向いており、上記複数の基体を上記第1プラテンから解放して上記第2プラテンの上記表面上又は表面内に保持する工程は、上記第1及び第2プラテンを反転させることにより、少なくとも部分的に行われるようにするのが好ましい。上記第1及び第2プラテンの反転は、上記第1及び第2プラテンのほぼ半回転となるアーチ状の移動によって行われるのが好ましい。このアーチ状の移動は、ほぼ水平な軸周りに行うようにしても良い。
【0022】
上記第1プラテンから上記複数の基体を解放する上記工程では、上記第1プラテンを振動させるのが好ましい。このような振動は、基体が第1プラテンに付着しやすい場合に有用である。また、第2プラテンを振動させることも、第2プラテンの正しい位置に基体を落ち着かせるのに役立つので有効である。従って、上記複数の基体を上記第1プラテンから解放して上記第2プラテンの上記表面に保持する上記工程では、上記第1及び第2プラテンを協調して振動させるのが好ましい。
【0023】
第1及び第2プラテンは実質的に同じものであっても良い。この場合、基体のそれぞれ背中合わせとなる面に同様に粉末を静電塗布することが可能となり、背中合わせのそれぞれの面にほぼ同じコーティングを得ることができる(それぞれのコーティングは基体の中間線に沿って結合され、完全にコーティングされた基体が得られる)。或いは、上記第1及び第2プラテンは異なるものであり、上記第2プラテンに上記基体が置かれた状態は、上記第1プラテンに上記基体が置かれた状態とは異なるようにしても良い。後者の場合には、基体のそれぞれ背中合わせとなる面に、異なる特性を有するコーティングを行うことが可能となる。例えば、一方の面へのコーティングは基体の側面の全て又は一部を覆うようにする一方で、他方の面へのコーティングは当該他方の面のみに限定するようにしても良い。
【0024】
更に、本方法は、上記粉末材料が静電塗布された後、上記粉末材料を溶融させる工程を更に備え、上記溶融は赤外線(IR)放射によって行われるものであって、使用される放射の波長は、コーティング材料の赤外線スペクトルに存在する有効ピークに対応するものであることが好ましい。このピークは上記基体の赤外線スペクトルの有効範囲には存在しないものであることが好ましい。
【0025】
赤外線放射により粉末材料の溶融を行うのが好ましいものの、別の形式の電磁放射を使用するようにしても良い。通常、加熱の際のコーティングにおける変化は、単に粉末から液体への物理的な変化であって、その後の冷却によって固形コーティングへと変化するものであるが、これに代えて、例えば粉末コーティングは、ガンマ線、紫外線、又は高周波領域のエネルギ放射などにより処理工程の間に硬化して連続した架橋ポリマコーティングを形成するポリマからなるようにしても良い。
【0026】
粉末は、基体の分解が生じることなく溶融又は処理されうることが重要である。赤外線源が使用される際には、同じ振幅の場合、波長が短くなるほど(従って周波数が高いほど)、より迅速にコーティングを溶融させることができ、熱が基体に伝わる可能性を減少させることができることから、多くの場合ピーク値が2μmを下回るような短い波長のものを使用する傾向にある。また、コーティングを速く溶融させることができるほど、処理をより迅速に行うことができる。
【0027】
一実施形態では、上記溶融は3〜6μmの範囲の波長の赤外線放射によって行われる。
このような放射が使用されることにより、存在する活性材料に悪影響を及ぼすことなく特に効果的にコーティングを溶融させることが可能となる。即ち、コーティング中の可融性材料が選択的に加熱され、この効果は比較的長い波長の放射を用いる場合に生じうる不利益に勝るものである。
【0028】
この3〜6μmの範囲は、赤外線におけるカルボニル領域に対応するものである。粉末コーティング用の可融性材料に、CO基自体として又は例えばエステルのようにその一部としてカルボニルが含まれる場合、3〜6μmの領域の照射は可融性材料の加熱と溶融を促進する。また、比較的短い期間における3〜6μmの範囲の波長の使用は、基体自体よりも可融性コーティング材料の選択的的な加熱をもたらす。特に、3〜5μmの範囲の放射については言及する必要がある。
【0029】
使用される放射は、例えば特定の範囲に及ぶものであって、実質的にその範囲或いはその範囲の一部に制限され、その範囲外では実質的に放射が行われないようにしても良い。但し必要であれば、放射の一部がその範囲外にあって、ピークとなる放射が3〜6μmの範囲内となるようにしても良い。3μmを下回る成分を実質的に含まない波長帯域の使用については特に言及しておく必要がある。必要であれば、狭い波長帯域を使用するようにしても良い。
【0030】
各プラテンは、複数の基体を支持する複数の支持部を備えたプラテン基部と、上記プラテン基部上に位置し、上記プラテン基部の複数の支持部に対応して配置された複数の孔を有する導電性プラテンシールドとを備えるのが好ましい。
導電性プラテンシールドの存在は、粉末材料の静電塗布の際に有効なものとなる。
上記プラテン基部は導電性を有し、上記基体への上記粉末材料の静電塗布が行われている間、上記プラテン基部と上記プラテンシールドとの間に電位差が生じさせるのが好ましい。この場合、粉末の静電塗布をより一層効果的に管理することが可能となる。出願人による英国特許出願第0201036.1号は、好適なシールド構成、及びなぜ有効であるのかを詳細に述べており、その明細書の内容は参照によりここに組み込まれる。
【0031】
上記支持部は、上記プラテンに上記基体を保持する手順の少なくとも一部の間に、負圧源に接続されるのが好ましい。負圧源への接続により、基体の間及び/又は基体の周囲に空気流を生じさせることにより基体をプラテンに保持するように作用し、或いはプラテンへの基体の保持を補助する。このような保持効果は、基体に粉末材料を静電塗布する際に必要となるように、基体上方にあるプラテンで基体を保持したい場合に、特に重要なものとなる。また、基体の間を通過しプラテンに流入する空気流は、粉末コーティングが溶融させる際に泡立つのを防止することができるので、基体に塗布された粉末を溶融させる際にも有益なものとなる。
【0032】
粉末材料が塗布される基体は様々な形態をとることができ、医薬用基体及び/又は固形製剤であっても良い。基体が医薬用固形製剤である場合、これに限定されるものではないが、特に錠剤の核となるものとしても良い。
また、本発明の第1の特徴により、基体への粉末材料の静電塗布装置が提供され、この装置は、
それぞれが複数の基体を保持する複数のプラテンと、
進路に沿って上記プラテンを搬送するコンベヤと、
上記基体に粉末材料を塗布する塗布機
とを備えている。
【0033】
上記装置は、上記コンベヤから上記プラテンを取り外して上記プラテンに保持された上記基体を処理し、上記進路に沿って更に上記プラテンを搬送するために上記コンベヤに上記プラテンを戻す、少なくとも1つの処理ステーションを更に備えることが好ましい。
上記のように定義された装置は、本発明の第1の特徴による方法を実行するのに適しており、従って上記方法の好ましい工程のいずれかに対応する特徴を備えるようにしても良い。他の特徴のうち、上記少なくとも1つの処理ステーションは、上記基体に粉末材料を静電塗布する装置を備えるようにしても良い。上記装置は、上記少なくとも1つの処理ステーションで上記基体に静電塗布された粉末材料を溶融させる溶融機構を更に備えるようにしても良い。上記溶融機構は、上記少なくとも1つの処理ステーションから上記プラテンが戻った後に上記プラテンを搬送するコンベヤが沿設されている進路の一部に設けられるようにしても良い。各基体の第1表面に粉末材料を塗布する第1装置が、上記コンベヤから上記プラテンを取り外して上記プラテンに保持されている基体に粉末材料を静電塗布し、上記進路に沿って上記プラテンを更に搬送するために上記コンベヤに上記プラテンを戻すように構成されされても良い。上記塗布装置は、上記第1装置で上記基体に静電塗布された粉末材料を溶融させる第1溶融機構と、第2装置で上記基体に静電塗布された粉末材料を溶融させる第2溶融機構とを更に備えるようにしても良い。上記第1溶融機構は、上記第1装置から上記プラテンが戻った後で上記プラテンを搬送するコンベヤが沿設された進路の一部に設けられていても良く、上記第2溶融機構は、上記第2装置から上記プラテンが戻った後で上記プラテンを搬送するコンベヤが沿設された進路の一部に設けられていても良い。上記溶融機構の一方或いはそれぞれは、上記進路に沿って連続して配設された複数の溶融装置からなるようにしても良い。上記コンベヤは、上記プラテンを実質的に水平な進路に沿って搬送するようにしても良い。また、上記コンベヤは、上記プラテンを循環路に沿って搬送するようにしても良い。上記塗布装置は、上記コンベヤにプラテンを導入し、進路を巡って搬送されて戻ったプラテンを取り外すプラテン移動ステーションを更に備えるようにしても良い。上記プラテンは、上記少なくとも1つの処理ステーションにおいて実体のある距離を垂直に移動するようにしても良い。上記塗布装置は、複数の基体がその露出表面に保持された上記第1プラテンの上記表面に空の第2プラテンの表面を近接させて上記第2プラテンを配置し、上記基体を上記第1プラテンから解放して上記第2プラテンの上記表面に保持し、上記第1及び第2プラテンの近接した上記表面を離間させる機構を更に備えるようにしても良い。この機構は、露出上面に複数の基体を保持している第1プラテンの上記露出上面に空の第2プラテンの下面を近接させて上記第2プラテンを配置し、上記第1及び第2プラテンを反転させ、上記第1プラテンを上記第2プラテンから離間させるようにしても良い。上記第1及び第2プラテンは、ほぼ半回転となる共通の進路に沿ってアーチ状の移動を行うように据え付けられても良い。上記機構は、上記第1プラテンを振動させる振動機を有するようにしても良い。上記機構は、上記第1及び第2プラテンを協調して振動させる振動機を有するようにしても良い。上記第1及び第2プラテンは、実質的に同一であっても良いし、また上記第2プラテンに上記基体が置かれた状態が、上記第1プラテンに上記基体が置かれた状態とは異なるものとすることができるよう、上記第1及び第2プラテンは相違しても良い。上記少なくとも1つの処理ステーションには、上記プラテンを駆動し可変速度で上記処理ステーションを通過させる駆動装置を更に備え、上記駆動装置は、上記プラテンを駆動して上記処理ステーションの第1部位を通過させる第1駆動機構と、上記プラテンを駆動して上記処理ステーションの別の部位を通過させる第2駆動機構と、上記第1及び第2駆動機構の一方から上記プラテンを切り離して上記第1及び第2駆動機構の他方に連結する少なくとも1つの移動機構とを備えるようにしても良い。上記第1及び第2駆動機構は、循環駆動部材を備えるようにしても良い。上記循環駆動部材は、歯付駆動ベルトであっても良い。上記第1及び第2駆動機構は、近接進路に沿って配設されるようにしても良い。上記第1及び第2駆動機構の一方は一定速度で運転されるようにしても良い。上記第1及び第2駆動機構の他方は、可変速度で運転されるようにしても良い。上記少なくとも1つの移動機構は、上記プラテンを上記第1駆動機構から切り離して上記第2駆動機構に連結する第1移動機構と、上記プラテンを上記第2駆動機構から切り離して上記第1駆動機構に連結する第2移動機構とを備えるようにしても良い。上記移動機構は、上記処理ステーションに設けられたガイドトラック内で上記プラテンと共に移動するように装着された突出部材のカム係合によって移動を行うようにしても良い。上記粉末材料が静電塗布された後、上記粉末材料を溶融させる装置を更に備えていても良く、上記溶融は赤外線放射によって行われるものであって、使用される放射の波長は、コーティング材料の赤外線スペクトルに存在する一方で上記基体の赤外線スペクトルの有効範囲内には存在しない有効ピークに対応するものであることが好ましい。また、これに代えて或いはこれに加えて、上記粉末材料が静電塗布された後、上記粉末材料を溶融させる装置を備え、上記溶融は3〜6μmの範囲の波長の赤外線放射によって行うようにしても良い。各プラテンは、複数の基体を支持する複数の支持部を有したプラテン基部と、上記プラテン基部上に位置し、上記プラテン基部の複数の支持部に対応して配置された複数の孔を有する導電性プラテンシールドとを備えるようにしても良い。上記プラテン基部は導電性を有しており、上記プラテン基部と上記プラテンシールドとの間には絶縁コーティングが設けられていても良い。また、上記プラテンシールドの孔にも絶縁コーティングが設けられるようにしても良い。この絶縁コーティングは上記プラテン基部及び上記プラテンシールドと一体化するようにしても良い。上記プラテンシールドの孔には絶縁リングが設けられるようにしても良い。上記シールドは、上記プラテン基部に近接すると共にわずかな間隙で離れており、上記プラテン基部と上記シールドとの間隙は調整可能となっていても良い。上記コンベヤは、複数のプラテン支持部材を備えており、上記プラテンは上記支持部材に着脱可能であるようにしても良い。上記少なくとも1つの処理ステーションには、所定の進路を移動する複数の搬送台が設けられ、上記プラテンは上記搬送台に着脱可能であるようにしても良い。
【0034】
上述したように、本発明は、その好ましい形態で、本来新規で且つ発明性を有した特定の方法や装置からなっている。従って、上述した発明の第1の特徴に加え、以下に述べるような別の特徴を有する。
本発明の第2の特徴により、複数の基体の各々の背中合わせとなる面に粉末材料を静電塗布する方法が提供され、上記方法は、
それぞれが複数の基体を保持するように構成された第1及び第2プラテンを用意する工程と、
上記第1プラテンの表面に複数の基体を供給する工程と、
上記第1プラテンにある上記複数の基体のそれぞれの第1露出面に粉末材料を静電塗布する工程と、
上記第1プラテンの上記表面に近接して上記第2プラテンの表面を配置する工程と、
上記第1プラテンから上記複数の基体を解放し、解放された上記基体を上記第2プラテンの上記表面に保持する工程と、
上記第1及び第2プラテンの近接した上記表面を離間させる工程と、
上記第2プラテンにある上記複数の基体のそれぞれの第2露出面に粉末材料を静電塗布する工程と
を備える。
【0035】
また、本発明の第2の特徴により、基体に粉末材料を静電塗布する装置が提供され、上記装置は、
それぞれがその表面に複数の基体を保持する一連のプラテンと、
上記プラテンを進路に沿って搬送するコンベヤと、
上記プラテンに保持されている上記基体の露出面に粉末材料を静電塗布するステーションと、
その表面に複数の基体を保持している第1プラテンの上記表面に空の第2プラテンの表面を近接させて上記第2プラテンを配置し、上記基体を上記第1プラテンから解放して上記第2プラテンの上記表面に保持し、上記第1及び第2プラテンの近接した上記表面を離間させる移動装置と
を備える。
【0036】
本発明の第3の特徴により、複数の基体に粉末材料を静電塗布する方法が提供され、粉末材料の静電塗布に加え、上記方法は、
各プラテンに複数の基体が保持保持されるように、プラテンに基体を置く工程と、
上記プラテンを第1駆動機構に機能的に連結し、上記第1駆動機構の運転により上記プラテンを搬送する工程と、
上記プラテンを上記第1駆動機構から切り離して第2駆動機構に機能的に連結し、上記第2駆動機構の運転により上記プラテンを搬送する工程と、
上記第2駆動機構から上記プラテンを切り離す工程と
を備える。
【0037】
また、本発明の第3の特徴により、基体に粉末材料を静電塗布する装置が提供され、上記装置は、
それぞれがその表面に複数の基体を保持する一連のプラテンと、
上記基体に粉末材料を静電塗布する塗布機と、
可変速度で上記プラテンを駆動して上記装置内を通過させる駆動設備とを備え、
上記駆動設備は、
上記プラテンを駆動して上記装置の第1部位を通過させる第1駆動機構と、
上記プラテンを駆動して上記装置の第2部位を通過させる第2駆動機構と、
上記プラテンを上記第1及び第2駆動機構の一方から切り離して他方に連結する少なくとも1つの移動機構と
を備える。
【0038】
本発明の第4の特徴により、基体をコーティングする粉末を溶融させるための方法が提供され、上記方法において溶融は赤外線放射によって行われ、使用される放射の波長は、コーティング材料の赤外線スペクトルに存在する一方で上記基体の赤外線スペクトルの有効範囲には存在しない有効ピークに対応することを特徴とする。
また、本発明の第4の特徴により、基体をコーティングする粉末を溶融させるための方法が提供され、上記方法において溶融は3〜6μmの範囲の波長の赤外線放射によって行われる。
【0039】
また、本発明の第4の特徴により、基体をコーティングする粉末を溶融させるための装置が提供され、上記装置は、赤外線放射によって上記溶融を行い、使用される放射の波長は、コーティング材料の赤外線スペクトルに存在する一方で上記基体の赤外線スペクトルの有効範囲には存在しない有効ピークに対応するものであることを特徴とする。
また、本発明の第4の特徴により、基体をコーティングする粉末を溶融させるための装置が提供され、上記装置は、3〜6μmの範囲の波長の赤外線放射によって上記溶融を行う。
【0040】
本発明の第5の特徴により、粉末材料が静電塗布される複数の基体を保持するためのプラテンが提供され、上記プラテンは、
複数の基体を支持する複数の支持部を有したプラテン基部と、
上記プラテン基部上に配置され、上記プラテン基部の複数の支持部に対応して配置された複数の孔を有する導電性プラテンシールドと
を備える。
【0041】
本発明の1つの特徴に対する必須要素或いは任意要素として上述された特徴は、本発明の別の特徴に組み込むことが可能であることは言うまでもない。例えば、本発明の第3の特徴による方法は、本発明の第1の特徴による方法に対する必須要素として述べた特徴、或いは本発明の第1の特徴による方法における任意要素として述べた特徴を組み入れるようにしても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
添付図面を参照し、本発明の実施形態について述べる。
図1は、本発明のコーティング装置においてコーティングが施される固形製剤(solid dosage form)101の斜視図である。この例において固形製剤は、円周面102と2つの半球形端面103とを有する医薬用錠剤となっている。当然のことながら、固形製剤はそれぞれの用途に応じて適切な形状をとることができる。
【0043】
図2a,2b,2c,2d及び2eは、コーティング装置においてコーティングが施されることになっている(図1に示すような)固形製剤を保持するように設計されたプラテン(platen)201を示している。本実施形態においてプラテン201は、プラテン基部202とプラテンシールド203の2つの別部品からなっている。但し、実際にはこのようにしなくても良く、別の実施形態を以下に述べる。
【0044】
プラテン基部202は、図3a,3b,3c及び3dに更に詳細が示されている。図3aはプラテン基部202の平面図であって、図3b及び3cはプラテン基部202の立面図、図3dは図3aのIII−III線に沿った断面図である。各プラテン基部202の端部には2つの孔301が設けられ、各プラテン基部202の側部には3つの孔(2つの外側孔302と1つの中央孔303)が設けられていることが図3b及び3cから判る。孔301,302,303は、コーティング工程における様々な段階においてプラテン201をコーティング装置に解放可能に保持するためのものであって、詳細については後述する。
【0045】
図3aに示されるように、プラテン基部202の上面には、コーティングが施される固形製剤101を受容するための多数(本具体例では約460個)の円形凹所304が一様な間隔で設けられている。図3aのプラテン基部の凹所304は円形であるが、当然のことながら、コーティングを施される固形製剤の形状に適合する形状であればどのような形状とすることもできる。凹所の深さは、プラテン基部202の上面に対して固形製剤101の高さが所定の高さとなるように選定することが可能である。図15及び16に基づいて後述するように、高さの選定によって、固形製剤の円周面101を1度にどの程度コーティングするかが決定される。
【0046】
図3dは、図3aにおけるIII−III線に沿ったプラテン基部202の断面図である。この実施形態において、プラテン基部の各凹所304は断面において固形製剤101の半球状端面103に適合するように湾曲している。この断面は湾曲しなければならないわけではなく、コーティングが施される固形製剤の形状に依存するようにしても良い。実際には断面が固形製剤の形状に厳密に適合する必要はない。例えば、凹所304は半球状の固形製剤に対して円錐状であっても良い。各凹所304の中央部には、プラテン基部内を介して凹所304を後述する負圧供給源に接続する通路305が設けられている。
【0047】
図4にはプラテンシールド203がより詳細に示されている。プラテンシールド203は、上面401、2つの終端面402(図4では一方のみを示す)、及び2つの側端面404(図4では一方のみを示す)を有している。各終端面402には2つの小さい切欠403が設けられ、各側端面404には1つの大きな切欠405が設けられている。上面401には、プラテンが組み立てられたときにプラテン基部202の凹所304に合わせて並ぶように設計された多数の円形孔406が一様な間隔で設けられている。
【0048】
図2a,2b,2c,2d及び2eは、組み立てられたプラテンを示している。プラテンシールド203はプラテン基部202を覆うように配置され、例えばネジ(図示せず)のような固定手段によってプラテン基部に固定されている。プラテンシールド203の各終端面402の2つの小さい切欠403は、プラテンが組み立てられたときにプラテン基部202の端部にある孔301を露出させるような位置にある。同様に、プラテンシールド203の側端面404にある大きい切欠405は、プラテン基部202の側部にある外側孔302と中央孔303とを露出させるような位置にある。プラテンシールド203の孔406はプラテン基部202の凹所304に対応した位置にある。
【0049】
プラテンは使用されているとき、固形製剤101はプラテン基部202の凹所304内にある。プラテンシールド203の孔406は、コーティングを施される固形製剤101よりもわずかに大きい径を有することにより、固形製剤101の外面と孔406の内面との間に小さな間隙が生じるようになっている。この例では全般的に、各孔406の径を約10.4mm、各固形製剤の径を約10.1mmとすることにより、間隙は100〜150μm程度となっている。固形製剤が処理装置内に進入すると、プラテン基部202と固形製剤101は接地される。粉末材料は陽電気が帯電しており、接地された固形製剤に誘引される。プラテンシールド203も陽電気が帯電しているため、粉末材料はプラテンシールド203には寄りつかず、固形製剤の露出面のみを覆う。このようなシールドの使用は、前に言及した英国特許出願第0201036.1号の主題となっている。
【0050】
プラテンシールド203の下面には、接地された固形製剤101及びプラテン基部202を、陽電気が帯電したプラテンシールド203から絶縁するために、絶縁コーティングが施されている。絶縁コーティングは、シールド表面の電荷を拡散させることができなくなるので、プラテンシールド203の上面401或いは端面402,404まで拡大されていないのが好ましい。これにより、陽電気が帯電した粉末材料はプラテンシールド203上に誘引されることになる。上述のように、固形製剤の外面と孔406の内面との間には小さい間隙が存在する。この間隙は一般的に100〜150μmであって、固形製剤101が接地されると共にプラテンシールド203が陽電気を帯電しているので、この間隙に火花が発生する可能性がある。これを防止するため、このプラテンの構成に対し、孔406に小さい円形絶縁リング(図示せず)を装着するようにしても良い。別のプラテンの構成では、絶縁がプラテン本体と一体的にするようにしても良い。
【0051】
この具体例では、プラテンがチタンからなっている。絶縁コーティングはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)である。プラテンに用いられる代替物には銅、アルミニウム或いはステンレス鋼があり、コーティングの代替物にはポリキシレンフィルム或いはFEP過フッ化炭化水素がある。
上述したように、プラテンは図2a乃至2d,3a乃至3d及び4に関して述べた形態のものでなくても良く、これより代替実施形態について説明する。代替実施形態では、基部、絶縁コーティング、及びシールドは別体ではなく一体のプラテンを形成する。このことは、固形製剤のための凹所が形成される前に3つの層が構成されことにより、基部とシールドとの間に完全な相互位置関係を確保することができるため、有効である。通常、基部はアルミニウム、ステンレス鋼或いはチタンからなり、シールドは銅、ステンレス鋼或いはチタンからなる。1つの例では、医薬上は適切ではないが、絶縁コーティングがガラス繊維で補強されたポリエステルからなっている。
【0052】
3つの層が構成され、次に固形製剤用の凹所が形成されるような場合、その構造は適切な材料のシートを積層するか、公知のコーティング工程による積層の形成によって構成され、次に凹所が形成される。絶縁コーティングの厚さは、基部とシールドとが帯電されるときに適切に形成された電界を得ることができるように選定される。凹所は、シールドと絶縁コーティングとを貫通すると共に、基部の一部に穴をあけることにより形成されるようにしても良い。各凹所において、底部は固形製剤を受容するために、例えば断面が湾曲している。
【0053】
コーティング装置についての以下の説明において、上述した構造のプラテン、及び説明されていない別の構造のプラテンのいずれが使用されても良いことは言うまでもない。
図5はコーティング装置の平面図であり、図6はコーティング装置の斜視図である。コーティング装置は全般的に501で示されており、基体への粉末材料の静電塗布装置が組み込まれている。固形製剤を(図2乃至4を参照して前述したようにして)運ぶ各プラテン201は、出入口区域502においてコーティング装置に入り、矢印の方向に沿って装置内を進み、次に出入口区域502において装置から出る。プラテンは装置内を滑らかに移動するのではなく、いくつかの個別の工程においてステーションからステーションへと移動する(ステーションは図中でA乃至Nの記号が付されている)。具体例では、プラテン201は20秒ごとに1つのステーションを移動するようになっている。プラテンが1つのステーションから次のステーションに移動するにはほぼ3秒かかり、従ってプラテンは1つのステーションにほぼ17秒間静止することになる。このようなプラテンの構成と運転速度により、この装置はコーティングされた固形製剤を1時間あたり8万個以上生産する。
【0054】
出入口区域については、図7を参照して更に詳しく以下に説明する。図5及び6に示すように、固形製剤を載せたプラテン201は、ステーションAで装置に入った後、ステーションBに向けて前進し、次に区域503aで第1処理装置504aに移動する。区域503a及び第1処理装置504aでの作業については、図8乃至12を参照してより詳細に説明するが、固形製剤への粉末材料の静電塗布が含まれている。従って、第1処理装置は塗布機としても言及されるものである。プラテンは第1処理装置504aを通過した後にステーションBに戻り、次にコーティング装置501のステーションC,D,E及びFを備えた第1溶融区域505aに入る。第1溶融区域505aでの作業については、図13及び14を参照して詳細に説明する。第1溶融区域505aの後、プラテンは次のステーションGに移動する。ステーションG,H及びIは、半分がコーティングされた固形製剤を反転することにより、固形製剤の残りの半分が装置501の後半でコーティングできるようにようにするための反転機構506を有している。反転機構506については、図15及び16を参照してより詳細に説明する。反転機構506の後、固形製剤を載せたプラテンはステーションJに進み、次に区域503bにおいて第2処理装置504bに移動する。第2処理装置504bは第1処理装置504aと同様のものであって、塗布機としても言及されうるものである。プラテンは第2処理装置504bを通過した後にステーションJに戻り、次にコーティング装置501のステーションK,L,M及びNからなる第2溶融区域505bに入る。第2溶融区域505bの後、プラテンは、図7を参照して以下により詳細に述べるように、全体がコーティングされた固形製剤のプラテンとコーティングされていない固形製剤のプラテンとの交換が可能となるステーションAに戻る。図7には出入口区域502がより詳細に示されている。空のプラテン201には、積み降ろし巡回路701の入口側702で固形製剤101が載せられる。積み降ろし巡回路701は矢印で示す方向に移動するようになっている。プラテン201への固形製剤の積載はほぼ自動的に行われるようになっているが、もちろん手作業で行うようにしても良い。プラテンは全ての凹所304が固形製剤101で満たされているか、及び固形製剤101が適切に凹所304内に収まっているかを確認するためのチェックを(自動的又は手動により)受ける。1つ以上の凹所304が偶発的に固形製剤で満たされていなかった場合の影響については後で詳細に説明する。固形製剤で満たされたプラテンは、(既にコーティング装置を全て通過して)固形製剤で満たされたプラテンがステーションAに移動するのと同時にステーションXに移動する。次に移動テーブル704が半回転してコーティング前の固形製剤で満たされたプラテンを装置501のステーションAに移動させ、コーティング済みの固形製剤で満たされたプラテンを巡回路701のステーションXに移動させる。コーティング済みの固形製剤で満たされたプラテンは、次に巡回路701の出口区域703を通って移動し、出口区域703でコーティング済みの固形製剤がプラテン201から降ろされる。プラテン201からの固形製剤の荷降ろし作業はほぼ自動的に行われるが、もちろん手作業で行うようにしても良い。空のプラテン201は入口区域702で固形製剤101が再び積載されてコーティング装置内を再び通過可能な状態となる。プラテンへの固形製剤の積載及びプラテンから固形製剤を降ろす作業を行う機構は、それらが自動的に行われる場合には従来から用いられているもので良い。
【0055】
上述した装置の運転速度は、移動テーブルの回転を17秒以下とするものでなければならないことになる。
図8a及び8bには第1処理装置504aの詳細が示されている。図8aは第1処理装置504aの立面図であり、図8bは第1処理装置504aの平面図である。
いくつかの実施形態において、コーティング装置は処理装置の前に付加的な処理ステーションを有していても良い。この処理ステーションは、固形製剤を暖め乾燥させるために使用されるようにしても良く、このことはいくつかの場合に有効なものとなる。これとは別に、処理ステーションは固形製剤を湿らせるために使用されるようにしても良く、このことは別の場合に有効となる。また、処理ステーションは、固形製剤がコーティングを施される前に有用となる固形製剤の処理に使用されるようにしても良い。
【0056】
図5,6,8a及び8bに示すように、コーティング前の固形製剤で満たされ、移動テーブル704の回転によってステーションAに移動したばかりのプラテンは、引き続きステーションBに向けて進む。次に、コーティング前の固形製剤で満たされたプラテンは、(既に第1処理装置504aを通過して)半分がコーティングされた固形製剤で満たされたプラテンが第1処理装置の位置Y’(図示せず)に移動するのと同時に、位置B’へと横方向に移動する。次に移動テーブル801aが回転して、コーティング前の固形製剤で満たされたプラテンを処理装置504aの位置Y’に移動させると共に、半分がコーティングされた固形製剤で満たされたプラテンを錠剤コーティング装置501の位置B’に移動させる。次に、半分がコーティングされた固形製剤で満たされたプラテンがステーションBに向けて横方向に移動する一方で、コーティング前の固形製剤で満たされたプラテンが処理装置内のステーションYに向けて横方向に移動する。半分がコーティングされた固形製剤で満たされたプラテンは、溶融のためのステーションCに向けて移動する準備が整う一方、コーティング前の固形製剤で満たされたプラテンは処理装置504a内を移動する準備が整う。
【0057】
ステーションYでは、フレームに移動可能に装着され、プラテンの孔301,302及び303内に移動可能に適切に配置されてプラテンをフレームに固定する突起部によって、プラテンが機械的にフレームに保持される。フレームも、処理装置504aを通る循環路に沿って移動するために装着された搬送台に恒久的に保持され、搬送台の一部を形成している。
【0058】
搬送台は図8aに矢印で示す方向に処理装置504a内を巡回移動するようになっている。示されている例では、5つのプラテンが1度に処理装置504aに収容されるようになっている。
前述したように、固形製剤のコーティングは静電気によって行われる。粉末材料が固形製剤101に向けて上方に移動するよう、粉末材料の供給源は固形製剤101の下方にあるのが有効である。
【0059】
従って、搬送台802aが粉末材料供給源の上方で反転するようにするのであれば、搬送台802aが粉末供給源の上方で反転されて通過するときに固形製剤101がプラテン201から落下しないように、固形製剤101がプラテン201に保持されていなければならない。固形製剤を所定の位置に保持するため、搬送台802aは負圧パイプ803aにより真空ポンプ(図示せず)に接続されている。前述したように、プラテン201の各凹所304は、中央通路305によって真空ポンプに接続されることにより、搬送台802aが反転しても、凹所304にある固形製剤101がその位置に留まるようになっている。各プラテン201をフレームの所定位置に保持するため、前述したように、フレームはプラテン201に機械的に保持されている。この保持機構は、停電が発生して(負圧の供給ができなくなるために)プラテン201から固形製剤101が落下してしまうとしても、プラテン201がフレームから落下するようなことがないような機構となっている。
【0060】
処理装置は空の搬送台でも作動するように構成されている。このため、搬送台への負圧の接続は、プラテンがフレームに固定されていないときには自動的に閉じられるようになっている。仮にそうでないとすると、所定の場所にないプラテンにより負圧の供給が全て無駄になり、搬送台が粉末材料供給源の上方を通過する際に、処理装置内にある固形製剤が全て落下してしまうことになる。
【0061】
図示された処理装置には4台の同一の独立した処理機が設けられており(図8a及び8bには示されないが図12には概略図を示す)、各搬送台802aは各処理機の上方を連続して滑らかに通過するようになっている。当然のことながら、処理装置には異なる数の個別の処理機が設けられていても良く、これはそれぞれの適用形態に依存する。ある実施形態では、各処理装置に2つの個別の処理機が設けられる。図示された実施形態では、個別の処理機の大きさは固定されており、この例では、処理装置504aに4つの個別処理機を設けるということが、固形製剤101に必要なコーティングを得るのに十分な期間にわたり、固形製剤101を粉末材料供給源の近傍におくことが可能となるような搬送台の適正な速度を決定する。この例では、速度vの最大値は25mm/秒であり、速度vはこの最大値までの値が選択されるようになっている。速度vの最大値は、別の実施形態では異なる値となることは言うまでもない。処理機が500mm離れて配置されることによって、搬送台が20秒に1度ずつ処理機を通過する。処理機の数や設置間隔によって速度vを変更することにより、装置501全体の作業周期が異なるものとなることは明らかである。
【0062】
搬送台802aは一定速度vで確実に処理機を通過して移動し、この速度vは特定のコーティング工程に適切なものでなければならない。なお、搬送台が最後の処理機を通過した後は、できるだけ速やかにステーションYに戻るのが望ましい。これを実現するために、最初の処理機504aは内側ベルト804aと外側ベルト805aの2つの別個の駆動ベルトを使用している。
【0063】
これらは図8bに示されている。外側ベルト805aはほぼ毎秒25mmの一定速度で動き、搬送台802aが個々の処理機の上方を通過する際に連結されるのは、この外側駆動ベルト805aである。内側駆動ベルト804aは一定速度では動かない。実際には、搬送台が上方受け渡し区域806aにあるとき、及び搬送台が下方受け渡し区域807aにあるときにのみ、内側駆動ベルト804aは外側駆動ベルト805aと同速度で動く。これらの受け渡し区域の間では、内側駆動ベルト804aは周回の半分を迅速に移動し、次に完全に停止する。
【0064】
処理装置における搬送台の移動は以下の通りである。プラテン201は、移動テーブル801aを経由してコーティング装置501から処理装置504aに入る。このとき、搬送台は移動が可能となるように静止していなければならない。従って、搬送台は静止している内側駆動ベルト804aに連結される。移動が完了すると、内側駆動ベルト804aは外側駆動ベルト805aと同じ速度(速度v)で移動を開始し、2つのベルトが同じ速度で移動している間に、下方受け渡し区域807aにおいて、搬送台が内側駆動ベルト804aから外側駆動ベルト805aに移動する。次に搬送台は一定速度で個々の処理機の上方を通過し、上方受け渡し区域806aへと進む。上方受け渡し区域806aでは、内側駆動ベルト804aが外側駆動ベルト805aと同じ速度で動いており、搬送台は外側駆動ベルト805aから内側駆動ベルト804aへと戻る。内側駆動ベルトは次に速度を(速度uまで)上昇させ、外側ベルトが完全に停止して移動テーブル801aによりプラテン201をコーティング装置501に戻すことができるステーションYaまで、処理装置の巡回路の戻り部分を通って迅速に搬送台を動かす。この例では、処理機の数及び設置間隔は固定されているので、装置の作業速度はプラテンが1つのステーションを20秒ごとに移動するものとなっている。従って、外側駆動ベルト805aは処理装置の全ての巡回を40秒ごとに完了する。
【0065】
内側駆動ベルト804aには2つの搬送台位置があり、2つの駆動ベルトが同じ速度で動いている間に、下方受け渡し区域807aで搬送台が内側駆動ベルト804aから外側駆動ベルト805aに移動し、同時に上方受け渡し区域806aにおいて搬送台が外側駆動ベルト805aから内側駆動ベルト804aに移動するようになっている。このため、1度に外側駆動ベルト805aには4つの搬送台が存在すると共に、内側駆動ベルトには1つの搬送台が存在する。上方受け渡し区域806a及び下方受け渡し区域807aにおいて2つのベルト間で搬送台を移動するための移動機構については、図9,10,11a及び11bを参照してより詳細に説明する。
【0066】
図9はベルトフライト(belt flight)901の斜視図である。2個のベルトフライト901が内側駆動ベルト804aに固定され、互いに等間隔に配置されている。外側駆動ベルト805aには8個のベルトフライト901が固定され、駆動ベルト周りに互いに等間隔となるように配置されている。ベルトフライト901は、対応する駆動ベルトの表面に当接する下面902を有している。この例では、駆動ベルトの表面には歯が形成されており、これに対応して、ベルトフライトが駆動ベルトに装着されたときにベルトフライトと駆動ベルトの相対的な移動のおそれを実質的になくすようにベルトフライト901が形成されている。
【0067】
ベルトフライト901は、2つの側壁904と外壁905とを有したU字状開口を備えている。外側駆動ベルト805a上のベルトフライト901は、外壁905が駆動ベルトの外側に向くように配置されている。内側駆動ベルト上のベルトフライト901は、外壁905が駆動ベルトの内側に向くように配置されている。
図10はベルトチェンジャ1001の斜視図である。ベルトチェンジャ1001は各搬送台に配設されており、搬送台に対して横方向に移動可能となっている。各ベルトチェンジャブレード1001は、ベルトフライト901のU字状開口903と係合可能な形状のベルト移動ブレード1002を備えている。
【0068】
図11aはベルト移動ブロック1101の斜視図であり、図11bはベルト移動ブロック1101の平面図である。ベルト移動ブロック1101は、上方受け渡し区域806a及び下方受け渡し区域807aにおける内側駆動ベルト804a及び外側駆動ベルト805aの湾曲の半径に適合する半径で湾曲している。図8aにおいて、ベルト移動ブロック1101は上方受け渡し区域806aに見ることができ、もう1つのベルト移動ブロック1101は下方受け渡し区域807aに見ることができる。それぞれのベルト移動ブロック1101は、ベルト移動トラック1102を備えている。各搬送台は、搬送台が上方受け渡し区域806a或いは下方受け渡し区域807aを通過する際に、ベルト移動トラック1102に係合するように設けられた内方に向け突出するスパイク状カムフォロワ(図示せず)が組み込まれている。下方受け渡し区域807aでは、カムフォロワはベルト移動トラック1102と係合することにより横方向外方に向けて移動する一方、上方受け渡し区域806aでは、カムフォロワがベルト移動トラック1102と係合することにより横方向内方に移動する。
【0069】
処理装置504aを巡る搬送台の動きは以下の通りである。搬送台が内側駆動ベルト804a上にあるとき、搬送台にあるベルトチェンジャ1001のベルト移動ブレード1002は、内側駆動ベルト804aに固定されたベルトフライト901の一方にあるU字状開口903と係合している。このため、内側駆動ベルト、ベルトフライト及び搬送台の相対位置は固定されている。搬送台が下方受け渡し区域807aにあるとき、内側駆動ベルト804a及び外側駆動ベルト805aは一時的に同じ速度で動き、外側駆動ベルト805aのベルトフライト901は内側駆動ベルト804aのベルトフライト901と並んだ状態となる。搬送台のカムフォロワは、下方受け渡し区域においてベルト移動ブロック1101のベルト移動トラック1102内に係合し、これによって搬送台にあるベルトチェンジャ1001のベルト移動ブレード1002が横方向外方に移動する。こうして、ベルト移動ブレード1002が、内側駆動ベルト804aにあるベルトフライト901のU字状開口903と係合した状態から、外側駆動ベルト805aにあるベルトフライト901のU字状開口903と係合した状態へと移動する。この結果、搬送台は外側駆動ベルト805aにあって、外側駆動ベルト、ベルトフライト及び搬送台の相対的な位置が固定される。次に、搬送台は、外側駆動ベルト805aに固定された状態で、上方受け渡し区域806aまで一定速度で進む。
【0070】
搬送台が上方受け渡し区域806aにあるとき、内側駆動ベルト804a及び外側駆動ベルト805aは再び一時的に同じ速度で動き、内側駆動ベルト804aのベルトフライト901は外側駆動ベルト805aのベルトフライト901と並んだ状態となる。搬送台のスパイク状カムフォロワは、上方受け渡し区域806aにおいてベルト移動ブロック1101のベルト移動トラック1102内に係合し、これによって搬送台にあるベルトチェンジャ1001のベルト移動ブレード1002が横方向内方に移動する。こうして、ベルト移動ブレード1002が、外側駆動ベルト805aにあるベルトフライト901のU字状開口903に係合した状態から、内側駆動ベルト804aにあるベルトフライト901のU字状開口903に係合した状態へと移動する。この結果、搬送台は再び内側駆動ベルト804a上にあって、内側駆動ベルト、ベルトフライト及び搬送台の相対的な位置が固定される。次に、搬送台は内側駆動ベルト804aに固定された状態で、処理装置のステーションYに向けて進み、溶融のためのステーションCに進む準備が整う。
【0071】
各搬送台のベルト移動ブレード1002及びカムフォロワは各搬送台に対して横方向に移動可能となっているので、搬送台が処理装置504aを巡回する際に、ベルト移動ブレード1002とスパイク状カムフォロワのみが横方向に移動しながら、搬送台は横方向で同じ位置に留まる。前述したように、外側駆動ベルト805aのベルトフライト901は外壁905が駆動ベルトの外側を向くように配置されており、内側駆動ベルト804aのベルトフライト901は外壁905が駆動ベルトの内側を向くように配置されている。このため、2つの駆動ベルトにあるベルトフライト901の2つの外壁905は、ベルト移動ブレード1002がベルトフライト901間を移動する際の、ベルト移動ブレード1002の通路の範囲を画成する。
【0072】
前述したように、搬送台が処理機の上方を通過する際に、固形製剤101は負圧の供給によってプラテン201に保持されている。搬送台は、処理装置504aを巡回する間、負圧パイプ803aを介して負圧供給源に接続されている。従って、搬送台が処理装置504aを巡回する際に、負圧供給装置は搬送台802aと共に回転する必要がある。このことは図8aに示されている。、メイン負圧供給パイプ808aは固定されており、分離接続パイプ809aが負圧供給パイプ808aに対して回動可能となっている。上述したように、搬送台は処理装置の巡回路を一定速度では動かない。従って、負圧供給駆動ベルト810aの回動速度は、内側駆動ベルト804aの最高速度(搬送台が上方受け渡し区域806aと下方受け渡し区域807aとの間にあるときの速度u)と外側駆動ベルト805aの一定速度vとの中間の値となっている。更に、各搬送台に対する分離接続パイプ809aと負圧パイプ803aの間のパイプ(図示せず)は、このような速度変化を許容するために適度にたるませてある。当然のことながら、負圧供給駆動ベルトは、搬送台が作業を1サイクル完了するのと同時に1回転を完了するようになっている。
【0073】
個別処理機1201は図12に概略が示されている。処理機は公知のものである。この例では、4台の個別処理機が処理装置504a及び504bのそれぞれに設けられる。各処理機1201は粉末材料の貯蔵部を有しており、導電体であると共に電源(図示せず)に接続されたローラ1202に粉末材料を供給するように構成されている。処理機1201内の粉末材料はローラ1202に供給され、ローラ1202に移動する間に摩擦電気で帯電されるようになっている。
【0074】
固形製剤を載せたプラテンが第1処理装置504aを一旦通過し、移動テーブル801aを介して出てくると、半分がコーティングされた固形製剤のプラテンが第1溶融区域505aに進む準備が整う。
第1溶融区域505aはコーティング装置501のステーションC,D,E及びFからなっており、図13及び14により詳細に示されている。
【0075】
第1溶融区域505aでは、第1処理装置504aで固形製剤101の露出面に堆積した粉末材料が溶融される。粉末材料には、溶融して連続した薄膜状のコーティングを形成する成分が含まれている。粉末材料にはCOを含有する成分を含むのが有効である。例えば、好適なCO含有成分は、ポリアクリレート(例えばポリメタクリレート)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリユリア、ポリビニルピロリドン及びビニルアセテートなどの好適なモノマとビニルピロリドンの共重合体、生物分解性ポリマ(例えば、ポリカプロラクトン、ポリアンハイドライド、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリヒドロキシ酪酸、及びポリヒドロキシバレレート)、多糖(例えばセルロースエステル)、疎水性の蝋及び油(例えば、水素添加されたひまし油やカルナウバ蝋及び蜜蝋などの植物油及び水素添加された植物油(飽和及び不飽和脂肪酸))である。CO含有成分と共に存在してもよい、或いはCO含有成分の代わりとしてもよい別の溶融成分(非CO含有成分)は、例えばセルロースエーテル、糖アルコール(例えば、ラクチトール、ソルビトール、キシリトール、ガラクチトール、及びマルチトール)、糖(例えば、蔗糖、右施糖、果糖、木糖、及びガラクトース)、親水性の蝋、及びポリエチレングリコールである。1つ以上の溶融材料が存在するようにしても良い。一般的に好適な溶融材料は、粉末材料中の別の成分の結合材として機能する。
【0076】
CO含有ポリマー結合材(樹脂としても示される)の例としては、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート琥珀酸塩、及びメタクリレートポリマ(例えば、アンモニアメタクリレート共重合体であり、ユードラジット(Eudragit)の名称で販売されている)が含まれる。ポリマ結合材が不溶性物質である場合、例えば溶融性を向上させるために、このような結合材を例えばキシリトールや多の糖アルコールと共に使用することは特筆すべきものである。
【0077】
更に、コーティングの溶融材料は、ポリビニルピロリドンとポリアクリレート(水溶性)との混合物、或いはメチルメタクリレートを基本単位とした重合体又は共重合体からなっている。上述のCO含有コーティング材料は、例えば、ラクトース或いは他の糖、糖アルコール、セルロースを用いた充填剤、又は無機充填剤(例えばジカルシウムリン酸塩)を含んだ基体と共に用いられる。
【0078】
かくして粉末は、例えば結合材と、他の溶融材料、着色剤、乳白剤、分散剤、帯電調整剤、錠剤分解物質、蝋、造形剤、味覚修正剤、及び充填剤の中から選択された任意の1以上の材料とによって構成される。また、粉末材料は粉末粒子の外表面に存在する流動促進剤を含むようにしても良い。
粉末材料の溶融は、材料を溶融させるために十分な長さの期間にわたり、放射熱源に粉末材料を晒すことによって行われる。実際には20秒以上の期間が必要と考えられ、従って複数の溶融ステーションを設けると都合がよい。本具体例では、4つのステーションを設けている。このため、第1溶融区域505aは4つのステーションC,D,E及びFからなっている。
【0079】
図13は4つのステーションC,D,E及びFからなる第1溶融区域505aを示している。各溶融ステーションには溶融装置、即ち溶融機1301が一列に配列されている。4つの溶融機1301,1301,1301及び1301は同一のものである。図14を参照し、これより溶融ステーションC及び付随する溶融機1301について説明するが、溶融ステーションD,E及びFの働きは溶融ステーションCの働きと同一であることは言うまでもない。
【0080】
図14は、図13のXIV線に沿った第1溶融ステーションCの断面図である。(半分がコーティングされた固形製剤(図示せず)を載せた)プラテン201はステーションCに位置している。熱源(一般的にはセラミック素子であるが図示せず)を備えた溶融機1301が、プラテン201から距離xの位置にある。この例では、xは50〜70mmである。溶融機1301は双方向の矢印で示される方向に移動可能となっている。このため、xは個々の固形製剤及び粉末材料に応じて変更することができる。更に、溶融機1301は(破線で示す)最上位置、即ちxが最大となる位置に復帰するように力を受けている。これは、停電が発生した場合に、溶融機1301が自動的にその最上位置に復帰して、プラテン201の固形製剤が焼け焦げてしまわないようにすることを意味する(停電が発生した場合、溶融機の熱源は直ちに冷却するわけではなく、その結果として固形製剤は過度に熱せられる可能性がある)。
【0081】
プラテン201は20秒ごとに次のステーションへ向けて動く。前述したように、ステーションの間をプラテンが移動するのにほぼ3秒を要する。このため、プラテン201は17秒間だけ溶融ステーションCにあって、3秒間前進し、17秒間だけ溶融ステーションDにあって、3秒間前進し、というようになる。プラテンが一旦第1溶融ステーション505aを全て通過すると、固形製剤101上の粉末材料は完全に溶融し、固形製剤101は反対側をコーティングすることができるように反転可能な状態となる。この工程は以下に述べるとおりである。
【0082】
いくつかの実施形態では、溶融したコーティング及び固形製剤を冷却できるようにするために、コーティング装置が溶融ステーションの後に付加的なステーションを有するようにしても良い。この冷却は、例えばファンによる冷却空気によって行われるようにしても良い。
いくつかの固形製剤については、粉末材料を溶融するために固形製剤が加熱される際、気泡が固形製剤内に形成され、それが固形製剤の表面へと上昇していくと共に部分的に溶融した粉末材料の中で泡立ち、コーティングが形成された固形製剤にでこぼこの表面を生じさせることが判った。このような問題を解決するため、各溶融ステーションC,D,E及びFは、第1処理装置504aについて前述したような負圧供給源に接続されている。固形製剤101内に気泡が形成されると、この気泡は溶融している粉末材料の方よりもプラテン201の方に向けて移動することにより、溶融している粉末材料の気泡化を防止すると共に、固形製剤のコーティングに滑らかな表面を確保する。各溶融ステーションC,D,E及びFは、プラテンが当該ステーションに位置している間、負圧供給源に接続されている。プラテンがステーションの間を移動する際には、負圧供給源は溶融ステーションから一時的に切り離される。
【0083】
固形製剤101を載せたプラテン201が、一旦第1溶融ステーション505aを全て通り抜けると、固形製剤101は、固形製剤101の反対側がコーティング可能となるように反転する準備が整う。この反転は、装置501のステーションG,H及びIからなり図15及び16に詳細に示される反転機構506によって行われる。
図15は反転機構506の平面図であり、ステーションG,H及びIを示している。図16は反転機構のステーションG及びHの斜視図である。
【0084】
プラテン201上にある半分がコーティングされた固形製剤は、最後の溶融ステーションFからステーションGに入る。プラテン201は第1フレーム1501内に保持されている。空のプラテン201を保持した第2フレーム1502はステーションIに位置している。空のプラテンはステーションHにも位置している。第1フレーム1501及び第2フレーム1502はアーチ状のレール1503に連結されており、アーチ状のレール上を動くことにより、水平軸周りに回転すると共にアーチ状レールによって規定される垂直平面内の進路に沿って動くようになっている。これらフレームが回転する際には、アーチ状レールに対して直交方向に維持される(即ちフレームは常に径方向に沿った状態になっている)。
【0085】
反転工程の手順は以下の通りである。
1)空のプラテン201を載せた第2フレーム1502が、ステーションGにおいて、半分がコーティングされた固形製剤のプラテン201を載せた第1フレームの上で、上下逆さまとなった状態に位置するまで、アーチ状レール1503に沿って回転する。
2)ステーションIにおいて、第1フレーム1501が第2フレーム1502の上方で上下逆さまとなるような状態に第2フレーム1502が位置するまで、両フレーム1501及び1502がアーチ状レール1503に沿って共に回転する。このとき、ほとんどの固形製剤は、第1フレーム1501にあるプラテン201の凹所304から、第2フレーム1502にあるプラテン201の凹所304内に落下している。
【0086】
3)ここで、2つのフレーム1501及び1502が振動される。これにより、第1フレーム1501にあるプラテン201に留まっていた固形製剤は全て第2フレーム1502にあるプラテン201内に落下し、第2フレーム1502にあるプラテン201に正しく配列されなかったり一様に配置されなかった固形製剤は全て正しく位置決めされる。本具体例では、振動は電力本線の周波数、即ち50Hzで行われる。
【0087】
4)最後に、新たに空となったプラテン201を載せた第1フレーム1501がアーチ状レール1503に沿って回転し、ステーションGに戻る。
一旦反転工程が完了すると、プラテンが次のステーションへと進むことが可能な状態となるように、手順1)乃至4)は17秒以下で実行されるようになっている。このとき、半分がコーティングされた固形製剤のプラテンが溶融ステーションFからGへと動く。ステーションGの第1フレーム1501にある空になったプラテンはステーションHに向けて進む。ステーションHの空のプラテンは、ステーションIに向けて進む。ステーションIにある半分がコーティングされた固形製剤(反転機構により反転された状態にある)のプラテンはステーションJに向けて進む。
【0088】
次に、手順1)乃至4)が繰り返される。この工程において、ステーションHにあった空のプラテンは、ステーションIで第2フレーム1502の空のプラテンとして使用される。第1フレーム1501にあった現在は空のプラテンは、現在ステーションHに位置している。もう1度反転工程が完了すると、プラテンは次のステーションへと進むことが可能な状態となる。このとき、半分がコーティングされた固形製剤のプラテンは、溶融ステーションFからステーションGへと進む。ステーションGの第1フレーム1501にある現在は空になったプラテンはステーションHに向けて進む。ステーションHの(以前は第1フレーム1501内にあった)空のプラテンはステーションIに向けて進む。ステーションIの半分がコーティングされた固形製剤(反転機構により反転された状態にある)のプラテンは、ステーションJに向けて進む。このようにして、半分がコーティングされた固形製剤で満たされステーションFからステーションGに進むプラテンは、反転工程により、後の2つのステーションでは空のプラテンとして再使用される。
【0089】
前述したように、様々なプラテンの構成が可能である。この例では、固形製剤が2つの半球状端面103と周面102とを有していた。処理装置において固形製剤がコーティングを施されるとき、全ての露出面が粉末材料でコーティングされる。例えば、第1処理装置504aにおいて、一方の半球状端面103のみがコーティングされ、第2処理装置504bにおいて、残りの半球状端面103と周面102の両方をコーティングしたい場合には、それぞれの処理装置において異なる構成のプラテンが必要となる。例えば、第1処理装置504aのプラテンは、各固形製剤101の一方の半球状端面103のみが露出してコーティングされるようにするため、比較的深い凹所304を有し、第2処理装置504bのプラテンは、残りの半球状端面103と周面102とが露出してコーティングされるようにするため、比較的浅い凹所304を有するようにしても良い。このような構成の例は、一方の半球状端面103が第1の色の粉末材料でコーティングされると共に、残りの半球状端面103と周面102とが第2の色の粉末材料でコーティングされる場合に有用である。異なるプラテンの構成が使用される場合には、反転機構を有するステーションHにおいて適合するプラテンが交換される。このような交換機構について以下に述べる。
【0090】
ステーションG及びIで反転工程(上述の手順1)乃至4))が実行されると、ステーションHの空のプラテンは使用されなくなる。このとき、ステーションHにある第1構成の空のプラテンは、ステーションZにある第2構成の空のプラテンと交換可能になる。この交換は移動テーブル1504の回転によって行われる。次に、第1構成の空のプラテンは出入口区域502で積み降ろし巡回路701の入口区域702に移動可能となることにより、再利用可能となる。出入口区域502における積み降ろし巡回路701の出口区域703で装置から出てくる第2構成のプラテンは、交換機構に移動可能となることにより再利用される。このようにして、装置501の一方の側(ステーションB乃至G)では第1構成のプラテンを使用し、装置501の他方の側(ステーションI乃至N)では第2構成のプラテンを使用する。
【0091】
凹所304の深さの変更に代え、或いはこれに加え、プラテン基部202のシールド203の位置を変えて基部からのシールドの間隔を変更し、異なるプラテン構成を得ることも可能である。
このような交換機構は、プラテンの構成が装置501の両側で同じ場合であっても有用である。ステーションHにある空のプラテンはステーションZで別の空のプラテンと交換することができる。このことは、半分がコーティングされた固形製剤が反転工程において全てうまく移動したことを確認するためにプラテンをチェックすることができるという点で有用である。プラテンに残っている固形製剤はみな取り除くことが可能であり、プラテンが空になって再使用可能となるようにチェックすることができる。このようなチェックと除去は自動的に行っても良いし手作業で行っても良い。
【0092】
上述したように、プラテンがコーティング装置にはいると、各凹所304が固形製剤で満たされているのを確認するためのチェックが行われる。プラテン基部は固形製剤と同様に接地されており、粉末材料が基部自体に誘引され基部上で溶融してしまうので、このようなことは避けるべきであり、当然のことながら全ての凹所が固形製剤で満たされているのが好ましい。従って、コーティング装置の入口には、プラテンの1カ所以上の凹所が空になっていないかどうかを検出するセンサが設けられている。例えばこのセンサは、光センサやカメラ、或いはこの目的に適した別の公知であるいかなるタイプのセンサであっても良い。センサが空の凹所を検出した場合、プラテンはコーティング装置内を通過するものの、各処置ステーションでは処理が禁止される。例えば、プラテンが第1溶融ステーションCにあるとき、溶融機1301はその最上位置(図14に破線で示す)に戻る。同様に、溶融機1301,1301及び1301も、プラテンがステーションD,E及びFを通過する際にそれぞれの最上位置に戻る。このようにして、粉末材料が空の凹所を覆うものの、シールド上で溶融することはない。反転機構においてプラテンから固形製剤が取り除かれた後、ステーションHでプラテンがステーションZの新たな清潔なプラテンと交換可能となる。プラテンは粉末材料を全て除去することができ、後で再び使用可能な状態となる。
【0093】
固形製剤は、1度反転されるとステーションJに向けて進む。次にこの固形製剤は第2処理装置504bに移動する。第2処理装置504bは第1処理装置504aと同一のものであって、詳細の説明は行わない。同一部材は末尾記号をaの代わりにbとして同じ参照番号を用いて示される。
半分がコーティングされて反転された固形製剤で満たされ、ステーションJに移動したばかりのプラテン201は、次に、(既に第2処理装置504bを通過することによって)全体がコーティングされた固形製剤で満たされているプラテンが第2処理装置504bの位置Y’(図示せず)に移動するのと同時に位置J’へと横方向に移動する。次に、移動テーブル801bが回転し、半分がコーティングされた固形製剤で満たされているプラテンを、処理装置504bの位置Y’に移動させると共に、全体がコーティングされた固形製剤で満たされているプラテンを、コーティング装置501の位置J’に移動させる。次に全体がコーティングされた固形製剤で満たされているプラテンはステーションJに向けて横方向に移動する一方、半分がコーティングされた固形製剤で満たされているプラテンは処理装置のステーションYに向け横方向に移動する。半分がコーティングされた固形製剤で満たされているプラテンは第2処理装置504bを通過する準備が整う一方で、全体がコーティングされた固形製剤で満たされているプラテンは溶融のためのステーションKへと進む準備が整う。
【0094】
第2溶融区域505bは、装置501のステーションK,L,M及びNを備えている。第2溶融区域505bは第1処理装置505aと同一のものであり、詳細は説明しない。同一部材は末尾記号をaの代わりにbとして同じ参照番号を用いて示される。
固形製剤を載せたプラテンが一旦第2溶融区域505bを全て通過すると、固形製剤は全体がコーティングされ、装置501から出る準備が整う。プラテン201は溶融ステーションNからステーションAに戻る。次に、移動テーブル704が回転し、固形製剤で満たされたプラテンを装置501のステーションAに移動させると共に、コーティングされた固形製剤で満たされたプラテンを積み降ろし巡回路701のステーションXに移動させる。次に、コーティングされた固形製剤で満たされたプラテンは巡回路701の出口区域703から出て行き、そこでコーティングされた固形製剤がプラテン201から降ろされる。空となったプラテン201は、次に入口区域702で固形製剤101を再び載せることが可能となり、もう1度装置を通過する準備が整う。これに代えて、(反転機構に関して前述したように)2種類の構成のプラテンが使用される場合には、空のプラテンが、ステーションHで装置に再び投入されるために交換区域に移動することができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】コーティングが施される固形製剤の斜視図である。
【図2a】組み立てられたプラテンの平面図である。
【図2b】組み立てられたプラテンの端部立面図である。
【図2c】組み立てられたプラテンの側部立面図である。
【図2d】図2aのIID−IID線に沿う、組み立てられたプラテンの断面図である。
【図2e】図2aのIIE−IIE線に沿う、組み立てられたプラテンの断面図である。
【図3a】プラテン基部の平面図である。
【図3b】プラテン基部の端部立面図である。
【図3c】プラテン基部の側部立面図である。
【図3d】図3aのIII−III線に沿う、プラテン基部の断面図である。
【図4】プラテンシールドの斜視図である。
【図5】コーティング装置の平面図である。
【図6】図5のコーティング装置の斜視図である。
【図7】コーティング装置の出入口区域の拡大図である。
【図8a】第1処理装置の立面図である。
【図8b】第1処理装置の平面図である。
【図9】ベルトフライトの斜視図である。
【図10】ベルトチェンジャの斜視図である。
【図11a】ベルト移動ブロックの斜視図である。
【図11b】図11aのベルト移動ブロックの平面図である。
【図12】処理機の部分的な図である
【図13】第1溶融区域の側面図である。
【図14】図13のXIV−XIV線に沿う第1溶融区域の断面図である。
【図15】反転機構の平面図である。
【図16】反転機構の一部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0096】
101 固形製剤
201 プラテン
202 プラテン基部
203 プラテンシールド
304 凹所
501 コーティング装置
504a 第1処理装置
504b 第2処理装置
505a 第1溶融区域
505b 第2溶融区域
506 反転機構
701 積み降ろし巡回路
802a 搬送台
804a 内側駆動ベルト
805a 外側駆動ベルト
1001 ベルトチェンジャ
1002 ベルト移動ブレード
1101 ベルト移動ブロック
1102 ベルト移動トラック
1201 処理機
1301,1301,1301,1301, 溶融機
1501 第1フレーム
1502 第2フレーム
1503 アーチ状レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各プラテンに複数の基体が保持されるように、プラテンに基体を置く工程と、
進路に沿って上記プラテンを連続的に搬送する工程と、
上記プラテンに保持されている上記基体に粉末材料を静電塗布する工程と
を備えることを特徴とする、基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項2】
上記プラテンは上記進路に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項3】
上記粉末材料が静電塗布された後に上記粉末材料を溶融させる工程を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項4】
上記溶融工程は、上記プラテンを搬送し、上記進路に沿って連続的に配設された複数の溶融装置を通過させるものであることを特徴とする請求項3に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項5】
上記プラテンは上記進路から取り外し可能であることを特徴とする請求項1に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項6】
上記プラテンが搬送されることになっている進路に上記プラテンを導入する工程と、上記プラテンが搬送された進路から上記プラテンを取り外す工程とを更に備え、上記プラテンの導入及び取り外しは上記進路に沿った共通の位置で行われることを特徴とする請求項5に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項7】
少なくとも1つの処理ステーションで上記進路から上記プラテンを取り外す工程と、上記プラテンに保持されている上記基体を処理する工程と、上記プラテンを上記進路に戻す工程とを更に備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項8】
上記少なくとも1つの処理ステーションで上記粉末材料が上記基体に静電塗布されることを特徴とする請求項7に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項9】
上記プラテンは、上記少なくとも1つの処理ステーションで実体のある距離を垂直に移動することを特徴とする請求項7又は8に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項10】
進路に沿って連続的に上記プラテンを搬送する上記工程の後に、
第1処理ステーションで上記プラテンを上記進路から取り外して上記基体の第1表面に粉末材料を静電塗布し、上記プラテンを上記進路に戻す工程と、
戻した上記プラテンを上記進路に沿って更に搬送する工程と、
第2処理ステーションで上記進路から上記プラテンを取り外して上記基体の第2表面に粉末材料を静電塗布し、上記プラテンを上記進路に戻す工程と、
上記第2処理ステーションから戻った上記プラテンを更に上記進路に沿って搬送する工程と
を備えたことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項11】
上記粉末材料が静電塗布された後に上記粉末材料を溶融させる工程を更に備えたことを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項12】
上記溶融工程は、上記プラテンを搬送し、上記進路に沿って連続的に配置された複数の溶融装置を通過させるものであることを特徴とする請求項11に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項13】
上記粉末材料を溶融させる上記工程は、上記プラテンが上記進路に戻った後に行われることを特徴とする請求項11又は12に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項14】
戻された上記プラテンが上記進路に沿って更に搬送されるときであって、上記第2処理ステーションで上記進路から上記プラテンが取り外される前に第1溶融工程が行われ、上記プラテンが上記第2処理ステーションから戻り、上記進路に沿って更に搬送されるときに第2溶融工程が行われることを特徴とする請求項10に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項15】
上記少なくとも1つの処理ステーションで上記進路から上記プラテンを取り外す上記工程の後であり、且つ上記進路に上記プラテンを戻す上記工程の前に、
上記プラテンを第1駆動機構に機能的に連結し、上記第1駆動機構を運転することにより上記プラテンを搬送する工程と、
上記第1駆動機構から上記プラテンを切り離し、上記プラテンを第2駆動機構に機能的に連結して上記第2駆動機構を運転することにより上記プラテンを搬送する工程と、
上記第2駆動機構から上記プラテンを切り離す工程と
を更に備えることを特徴とする請求項7乃至14のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項16】
上記第1及び第2駆動機構は、上記プラテンが上記少なくとも1つの処理ステーションで近接して移動する近接進路に沿って配設されていることを特徴とする請求項15に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項17】
上記第1及び第2駆動機構のうちの一方は、連続的にほぼ一定の速度vで駆動することを特徴とする請求項15又は16に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項18】
上記第1及び第2駆動機構のうちの他方は、第1段階の間、上記速度vで駆動することを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項19】
上記プラテンを上記第1駆動機構から切り離して上記第2駆動機構に連結する上記工程は、上記第1及び第2駆動機構のうちの上記他方の駆動が上記第1段階である間に行われることを特徴とする請求項18に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項20】
上記第1及び第2駆動機構のうちの上記他方は、第2段階の間、上記速度vより速い速度uで駆動することを特徴とする請求項18又は19に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項21】
上記第1及び第2駆動機構のうちの上記他方は、第3段階の間、速度なしとなることを特徴とする請求項20に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項22】
上記プラテンを上記少なくとも1つの処理ステーションで上記進路から取り外し、上記進路に戻す上記工程は、上記第1及び第2駆動機構のうちの上記他方の駆動が上記第3段階にある間に行われることを特徴とする請求項21に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項23】
上記少なくとも1つの処理ステーションで上記進路から上記プラテンを取り外す上記工程の後であり、且つ上記プラテンを上記進路に戻す上記工程の前に、
上記第2駆動機構が速度なしとなっている間に上記プラテンを上記第2駆動機構に機能的に連結する工程と、
上記第2駆動機構により速度vで上記プラテンを駆動する工程と、
上記プラテンを上記第2駆動機構から切り離して上記第1駆動機構に機能的に連結し、上記プラテンを上記速度vで引き続き駆動する工程と、
上記プラテンを上記第1駆動機構から切り離して上記第2駆動機構に機能的に連結し、上記プラテンを上記速度vで引き続き駆動する工程と、
上記第2駆動機構により上記プラテンを上記速度vより速い速度uで駆動する工程と、
上記第2駆動機構により上記プラテンを速度なしで駆動し、上記第2駆動機構から上記プラテンを切り離す工程と
を備えることを特徴とする請求項15に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項24】
上記第1及び第2駆動機構は、循環駆動ベルトを備えることを特徴とする請求項15乃至23のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項25】
複数の基体が露出表面に保持された第1プラテンの上記表面に、空の第2プラテンの表面を近接させて上記第2プラテンを配置する工程と、
上記複数の基体を上記第1プラテンから解放して上記第2プラテンの上記表面に保持する工程と、
上記第1及び第2プラテンの近接した上記表面を離間させる工程と
を備えることを特徴とする請求項1乃至24のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項26】
上記第1プラテンの上記表面は、上記第2プラテンの上記表面が近接して配置されたとき上方を向いており、上記複数の基体を上記第1プラテンから解放して上記第2プラテンの上記表面に保持する工程は、上記第1及び第2プラテンを反転させることによって、少なくとも部分的に行われることを特徴とする請求項25に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項27】
上記第1及び第2プラテンの反転は、上記第1及び第2プラテンのほぼ半回転となるアーチ状の移動によって行われることを特徴とする請求項26に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項28】
上記第1プラテンから上記複数の基体を解放する上記工程では、上記第1プラテンを振動させることを特徴とする請求項25乃至27のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項29】
上記複数の基体を上記第1プラテンから解放して上記第2プラテンの上記表面に保持する上記工程では、上記第1及び第2プラテンを協調して振動させることを特徴とする請求項25乃至27のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項30】
上記第1及び第2プラテンは実質的に同一であることを特徴とする請求項25乃至29のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項31】
上記第1及び第2プラテンは異なるものであり、上記第2プラテンに上記基体が置かれた状態は、上記第1プラテンに上記基体が置かれた状態とは異なることを特徴とする請求項25乃至29のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項32】
上記粉末材料が静電塗布された後、上記粉末材料を溶融させる工程を更に備え、上記溶融は赤外線放射によって行われるものであって、使用される放射の波長は、コーティング材料の赤外線スペクトルに存在する一方で上記基体の赤外線スペクトルの有効範囲には存在しない有効ピークに対応するものであることを特徴とする請求項1乃至31のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項33】
上記粉末材料が静電塗布された後、上記粉末材料を溶融させる工程を更に備え、上記溶融は3〜6μmの範囲の波長の赤外線放射によって行われることを特徴とする請求項1乃至32のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項34】
各プラテンは、複数の基体を支持する複数の支持部を有したプラテン基部と、上記プラテン基部上に位置し、上記プラテン基部の上記複数の支持部に対応して配置された複数の孔を有する導電性プラテンシールドとを備えることを特徴とする請求項1乃至33のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項35】
上記プラテン基部は導電性を有し、上記基体への上記粉末材料の静電塗布が行われている間、上記プラテン基部と上記プラテンシールドとの間に電位差を生じさせることを特徴とする請求項34に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項36】
上記支持部は、上記プラテンに上記基体を保持する手順の少なくとも一部の間に、負圧供給源に接続されることを特徴とする請求項34又は35に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項37】
上記基体は、上記手順の少なくとも一部の間において、上記負圧供給源に接続されることにより、上記支持部の下向きの面に保持されることを特徴とする請求項36に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項38】
上記基体は、上記基体に上記粉末を静電塗布する間、上記負圧供給源に接続されることによって、上記支持部の下向きの面に保持されることを特徴とする請求項37に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項39】
上記プラテンが搬送される上記進路は、実質的に水平であることを特徴とする請求項1乃至38のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項40】
上記プラテンが搬送される上記進路は、循環路であることを特徴とする請求項1乃至39のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項41】
上記基体は、薬剤用基体であることを特徴とする請求項1乃至40のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項42】
上記基体は、固形製剤であることを特徴とする請求項1乃至41のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項43】
上記基体は、薬品錠剤の核であることを特徴とする請求項1乃至42のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項44】
それぞれが複数の基体を保持する複数のプラテンと、
進路に沿って上記プラテンを連続的に搬送するコンベヤと、
上記基体に粉末材料を塗布する塗布機と
を備えることを特徴とする、基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項45】
上記コンベヤから上記プラテンを取り外して上記プラテンに保持された上記基体を処理し、上記進路に沿って更に上記プラテンを搬送するために上記コンベヤに上記プラテンを戻す、少なくとも1つの処理ステーションを更に備えることを特徴とする請求項44に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項46】
上記少なくとも1つの処理ステーションは、上記基体に粉末材料を静電塗布する装置を備えることを特徴とする請求項45に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項47】
上記少なくとも1つの処理ステーションで上記基体に静電塗布された粉末材料を溶融させる溶融機構を更に備えることを特徴とする請求項46に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項48】
上記溶融機構は、上記少なくとも1つの処理ステーションから上記プラテンが戻った後に上記プラテンを搬送するコンベヤが沿設されている進路の一部に設けられていることを特徴とする請求項47に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項49】
各基体の第1表面に粉末材料を塗布する第1装置が、上記コンベヤから上記プラテンを取り外して上記プラテンに保持されている基体に粉末材料を静電塗布し、上記進路に沿って上記プラテンを更に搬送するために上記コンベヤに上記プラテンを戻し、各基体の第2表面に粉末材料を塗布する第2装置が、上記コンベヤから上記プラテンを取り外して上記プラテンに保持されている基体に粉末材料を静電塗布し、上記進路に沿って上記プラテンを更に搬送するために上記コンベヤに上記プラテンを戻すことを特徴とする請求項45に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項50】
上記第1装置で上記基体に静電塗布された粉末材料を溶融させる第1溶融機構と、上記第2装置で上記基体に静電塗布された粉末材料を溶融させる第2溶融機構とを更に備えることを特徴とする請求項49に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項51】
上記第1溶融機構は、上記第1装置から上記プラテンが戻った後で上記プラテンを搬送するコンベヤが沿設された進路の一部に設けられ、上記第2溶融機構は、上記第2装置から上記プラテンが戻った後で上記プラテンを搬送するコンベヤが沿設された進路の一部に設けられることを特徴とする請求項50に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項52】
上記溶融機構の少なくとも一方は、上記進路に沿って連続的に配設された複数の溶融装置からなることを特徴とする請求項47,48,50,及び51のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項53】
上記コンベヤは、上記プラテンを実質的に水平な進路に沿って搬送することを特徴とする請求項44乃至52のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項54】
上記コンベヤは、上記プラテンを循環路に沿って搬送することを特徴とする請求項44乃至53のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項55】
上記プラテンを上記コンベヤに載せる積載ステーションを更に備えることを特徴とする請求項44乃至54のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項56】
上記プラテンを上記コンベヤから降ろす荷降ろしステーションを更に備えることを特徴とする請求項44乃至55のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項57】
上記コンベヤにプラテンを導入し、進路を巡って搬送されて戻ったプラテンを取り外すプラテン移動ステーションを更に備えることを特徴とする請求項54乃至56のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項58】
上記プラテンは、上記少なくとも1つの処理ステーションにおいて実体のある距離を垂直に移動することを特徴とする請求項44乃至57のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項59】
複数の基体がその露出表面に保持された上記第1プラテンの上記表面に空の第2プラテンの表面を近接させて上記第2プラテンを配置し、上記基体を上記第1プラテンから解放して上記第2プラテンの上記表面に保持し、上記第1及び第2プラテンの近接した上記表面を離間させる機構を更に備えることを特徴とする請求項44乃至58のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項60】
上記機構は、露出上面に複数の基体を保持している第1プラテンの上記露出上面に空の第2プラテンの下面を近接させて上記第2プラテンを配置し、上記第1及び第2プラテンを反転させ、上記第1プラテンを上記第2プラテンから離間させることを特徴とする請求項59に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項61】
上記第1及び第2プラテンは、ほぼ半回転となる共通の進路に沿ってアーチ状の移動を行うように据え付けられることを特徴とする請求項60に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項62】
上記機構は、上記第1プラテンを振動させる振動機を有することを特徴とする請求項59乃至61のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項63】
上記機構は、上記第1及び第2プラテンを協調して振動させる振動機を有することを特徴とする請求項59乃至61のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項64】
上記第1及び第2プラテンは、実質的に同一であることを特徴とする請求項57乃至63のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項65】
上記第2プラテンに上記基体が置かれた状態が、上記第1プラテンに上記基体が置かれた状態とは異なるものとすることができるよう、上記第1及び第2プラテンは相違することを特徴とする請求項59乃至63のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項66】
上記少なくとも1つの処理ステーションには、上記プラテンを駆動し可変速度で上記処理ステーションを通過させる駆動機構を更に備え、上記駆動機構は、上記プラテンを駆動して上記処理ステーションの第1部位を通過させる第1駆動機構と、上記プラテンを駆動して上記処理ステーションの第2部位を通過させる第2駆動機構と、上記第1及び第2駆動機構の一方から上記プラテンを切り離して上記第1及び第2駆動機構の他方に連結する少なくとも1つの移動機構とを備えることを特徴とする請求項45乃至65のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項67】
上記第1及び第2駆動機構は、循環駆動部材を備えることを特徴とする請求項66に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項68】
上記循環駆動部材は、歯付駆動ベルトであることを特徴とする請求項67に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項69】
上記第1及び第2駆動機構は、近接進路に沿って配設されることを特徴とする請求項66乃至68のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項70】
上記第1及び第2駆動機構の一方は、一定速度で運転されることを特徴とする請求項66乃至69のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項71】
上記第1及び第2駆動機構の他方は、可変速度で運転されることを特徴とする請求項70に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項72】
上記少なくとも1つの移動機構は、上記プラテンを上記第1駆動機構から切り離して上記第2駆動機構に連結する第1移動機構と、上記プラテンを上記第2駆動機構から切り離して上記第1駆動機構に連結する第2移動機構とを備えることを特徴とする請求項66乃至71のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項73】
上記移動機構は、上記処理ステーションに設けられたガイドトラック内で上記プラテンと共に移動するように装着された突出部材のカム係合によって移動を行うことを特徴とする請求項66乃至72のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項74】
上記粉末材料が静電塗布された後、上記粉末材料を溶融させる装置を更に備え、上記溶融は赤外線放射により行われるものであって、使用される放射の波長は、コーティング材料の赤外線スペクトルに存在する一方で上記基体の赤外線スペクトルの有効範囲には存在しない有効ピークに対応するものであることを特徴とする請求項44乃至73のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項75】
上記粉末材料が静電塗布された後、上記粉末材料を溶融させる装置を更に備え、上記溶融は3〜6μmの範囲の波長の赤外線放射によって行われることを特徴とする請求項44乃至74のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項76】
各プラテンは、複数の基体を支持する複数の支持部を有したプラテン基部と、上記プラテン基部上に位置し、上記プラテン基部の複数の支持部に対応して配置された複数の孔を有する導電性プラテンシールドとを備えることを特徴とする請求項44乃至75のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項77】
上記プラテン基部は導電性を有しており、上記プラテン基部と上記プラテンシールドとの間には絶縁コーティングが設けられていることを特徴とする請求項76に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項78】
上記プラテンシールドの孔にも絶縁コーティングが設けられていることを特徴とする請求項76又は77に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項79】
上記絶縁コーティングは、上記プラテンシールドの孔に配設された絶縁リングによって設けられるものであることを特徴とする請求項78に記載のプラテン。
【請求項80】
上記絶縁コーティングは、上記プラテンと一体となっていることを特徴とする請求項78に記載のプラテン。
【請求項81】
上記シールドは、上記プラテン基部に近接すると共にわずかな間隙で離れており、上記プラテン基部と上記シールドとの間隙は調整可能となっていることを特徴とする請求項76乃至80のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項82】
上記コンベヤは、複数のプラテン支持部材を備えており、上記プラテンは上記支持部材に着脱可能であることを特徴とする請求項44乃至81のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項83】
上記少なくとも1つの処理ステーションには、所定の進路を移動する複数の搬送台が設けられ、上記プラテンは上記搬送台に着脱可能であることを特徴とする請求項45乃至82に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項84】
複数の基体の各々の背中合わせとなる面に粉末材料を静電塗布する方法であって、
それぞれが複数の基体を保持するように構成された第1及び第2プラテンを用意する工程と、
上記第1プラテンの表面に複数の基体を供給する工程と、
上記第1プラテンにある上記複数の基体のそれぞれの第1露出面に粉末材料を静電塗布する工程と、
上記第1プラテンの上記表面に近接して上記第2プラテンの表面を配置する工程と、
上記第1プラテンから上記複数の基体を解放し、解放された上記基体を上記第2プラテンの上記表面に保持する工程と、
上記第1及び第2プラテンの近接した上記表面を離間させる工程と、
上記第2プラテンにある上記複数の基体のそれぞれの第2露出面に粉末材料を静電塗布する工程と
を備えることを特徴とする、基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項85】
上記第1プラテンの上記表面は、上記第2プラテンの上記表面が近接して配置されたときに上方を向いており、上記複数の基体を上記第1プラテンから解放して上記第2プラテンの上記表面に保持する上記工程は、上記第1及び第2プラテンを反転させることにより少なくとも部分的に行われることを特徴とする請求項84に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項86】
上記複数の基体を上記第1プラテンから解放して上記第2プラテンの上記表面に保持する上記工程では、上記第1及び第2プラテンを協調して振動させることを特徴とする請求項84又は85に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項87】
それぞれがその表面に複数の基体を保持する一連のプラテンと、
上記プラテンを進路に沿って搬送するコンベヤと、
上記プラテンに保持されている上記基体の露出面に粉末材料を静電塗布するステーションと、
その表面に複数の基体を保持している第1プラテンの上記表面に空の第2プラテンの表面を近接させて上記第2プラテンを配置し、上記基体を上記第1プラテンから解放して上記第2プラテンの上記表面に保持し、上記第1及び第2プラテンの近接した上記表面を離間させる移動装置と
を備えることを特徴とする、基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項88】
上記移動装置は、露出した上面に複数の基体を保持している第1プラテンの上記露出上面に、空の第2プラテンの下面を近接させて上記第2プラテンを配置し、上記第1及び第2プラテンを反転し、上記第1プラテンを上記第2プラテンから離すことを特徴とする請求項87に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項89】
上記第1及び第2プラテンは、ほぼ半回転となる共通の進路に沿って移動するように装着されることを特徴とする特徴とする請求項88に記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項90】
プラテンに保持されている基体の露出面に粉末材料を静電塗布するステーションを更に備え、上記移動装置は、粉末材料を静電塗布する上記ステーションの間に配置されていることを特徴とする請求項87乃至89のいずれかに記載の基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項91】
複数の基体に粉末材料を静電塗布する方法であって、粉末材料の静電塗布に加え、
各プラテンに複数の基体が保持されるように、プラテンに基体を置く工程と、
上記プラテンを第1駆動機構に機能的に連結し、上記第1駆動機構の運転により上記プラテンを搬送する工程と、
上記プラテンを上記第1駆動機構から切り離して第2駆動機構に機能的に連結し、上記第2駆動機構の運転により上記プラテンを搬送する工程と、
上記第2駆動機構から上記プラテンを切り離す工程と
を備えることを特徴とする、基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項92】
上記第1及び第2駆動機構は、近接した進路に沿って配設されることを特徴とする請求項91に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項93】
上記近接した進路は、循環路であることを特徴とする請求項91又は92に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項94】
上記第2駆動機構が速度なしとなっている間に上記プラテンを上記第2駆動機構に機能的に連結する工程と、
上記第2駆動機構により速度vで上記プラテンを駆動する工程と、
上記プラテンを上記第2駆動機構から切り離して上記第1駆動機構に機能的に連結し、上記プラテンを引き続き速度vで駆動する工程と、
上記プラテンを上記第1駆動機構から切り離して上記第2駆動機構に機能的に連結し、上記プラテンを引き続き速度vで駆動する工程と、
上記第2駆動機構により上記速度vより速い速度uで上記プラテンを駆動する工程と、
上記第2駆動機構により上記プラテンを速度なしで駆動し、上記第2駆動機構から上記プラテンを切り離す工程と
を更に備えることを特徴とする請求項91に記載の基体への粉末材料の静電塗布方法。
【請求項95】
基体に粉末材料を静電塗布する装置であって、
それぞれがその表面に複数の基体を保持する一連のプラテンと、
上記基体に粉末材料を静電塗布する塗布機と、
可変速度で上記プラテンを駆動して上記装置内を通過させる駆動設備とを備え、
上記駆動設備は、
上記プラテンを駆動して上記装置の第1部位を通過させる第1駆動機構と、
上記プラテンを駆動して上記装置の第2部位を通過させる第2駆動機構と、
上記プラテンを上記第1及び第2駆動機構の一方から切り離して他方に連結する少なくとも1つの移動機構と
を備えることを特徴とする、基体への粉末材料の静電塗布装置。
【請求項96】
基体の粉末コーティングを溶融させる方法であって、溶融は赤外線放射によって行われ、使用される放射の波長は、コーティング材料の赤外線スペクトルに存在する一方で上記基体の赤外線スペクトルの有効範囲には存在しない有効ピークに対応するものであることを特徴とする、基体の粉末コーティング溶融方法。
【請求項97】
基体の粉末コーティングを溶融させる方法であって、溶融は3〜6μmの範囲の波長の赤外線放射によって行われることを特徴とする、基体の粉末コーティング溶融方法。
【請求項98】
基体の粉末コーティングを溶融させる装置であって、上記溶融は赤外線放射によって行われ、使用される放射の波長は、コーティング材料の赤外線スペクトルに存在する一方で上記基体の赤外線スペクトルの有効範囲には存在しない有効ピークに対応するものであることを特徴とする、基体の粉末コーティング溶融装置。
【請求項99】
基体の粉末コーティングを溶融させる装置であって、上記溶融は、3〜6μmの範囲の波長の赤外線放射によって行われることを特徴とする、基体の粉末コーティング溶融装置。
【請求項100】
粉末材料が静電塗布される複数の基体を保持するためのプラテンであって、
複数の基体を支持する複数の支持部を有したプラテン基部と、
上記プラテン基部上に配置され、上記プラテン基部の複数の支持部に対応して配置された複数の孔を有する導電性のプラテンシールドと
を備えることを特徴とするプラテン。
【請求項101】
上記プラテン基部は導電性を有し、上記プラテン基部と上記プラテンシールドとの間に絶縁コーティングが設けられていることを特徴とする請求項100に記載のプラテン。
【請求項102】
上記プラテンシールドの孔にも絶縁コーティングが設けられていることを特徴とする請求項100又は101に記載のプラテン。
【請求項103】
上記絶縁コーティングは、上記プラテンシールドの孔に配設された絶縁リングによって設けられることを特徴とする請求項102に記載のプラテン。
【請求項104】
上記絶縁コーティングは、上記プラテンと一体となっていることを特徴とする請求項102に記載のプラテン。
【請求項105】
上記プラテンシールドは、上記プラテン基部に近接すると共にわずかに離間しており、上記プラテンシールドと上記プラテン基部との間隙は調整可能となっていることを特徴とする請求項100乃至104のいずれかに記載のプラテン。
【請求項106】
上記支持部は、上記基体を上記支持部に保持するための共通の負圧供給源に接続可能となっていることを特徴とする請求項100乃至105のいずれかに記載のプラテン。
【請求項107】
各支持部は、上記プラテン基部の表面にある凹所によってそれぞれ画成されることを特徴とする請求項100乃至106のいずれかに記載のプラテン。
【請求項108】
上記支持部を上記負圧供給源に接続するための通路が、各凹所から延設されていることを特徴とする請求項106又は107に記載のプラテン。
【請求項109】
請求項100乃至108のいずれかに記載のプラテンと、上記プラテンが着脱可能に装着されるフレームとを備えたプラテン組立体。
【請求項110】
上記フレームは、上記プラテンを解放する係合解除位置と、上記プラテンの周縁部位に係合する係合位置との間で移動可能な複数のラッチ部材を有することを特徴とする請求項109に記載のプラテン組立体。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2006−527651(P2006−527651A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516440(P2006−516440)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002618
【国際公開番号】WO2004/112971
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(502189797)フォウカス ファーマスーティカルズ リミティド (6)
【住所又は居所原語表記】10 Kings Hill Avenue, Kings Hill, West Malling, Kent ME19 4PQ UNITED KINGDOM
【Fターム(参考)】