説明

基地局、送信パラメータの制御方法

【課題】低処理負荷により基地局の送信パラメータを適応的に設定することができるようにした、基地局、送信パラメータの制御方法を提供すること。
【解決手段】基地局が配下の移動局からフィードバックされるCQIを、移動局までの距離に応じた移動局での受信品質の劣化がキャンセルされるように補正し、補正したCQIに基づいて隣接基地局の干渉量が推定される。干渉量の推定結果に応じて、自局または隣接基地局のいずれかの送信パラメータ(例えば送信電力)が変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムにおいて基地局の送信パラメータを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信システムでは、予めサービスを提供する通信事業者がセルの領域、すなわち無線基地局(以下、単に「基地局」)毎の移動局に対するサービスエリアを決定し、そのサービスエリアが得られるように基地局に対して送信パラメータを設定している。この送信パラメータは例えば、基地局の各セルに対する送信電力、アンテナの高さ、指向方向、及びチルト角度等である。所定の送信パラメータを設定してシステムの運用を開始した場合、システムの運用条件の変更、無線環境の変化(例えば、新規の建造物によるパスロス(path loss)の変化)によって当初予定していたサービスエリアが後発的に得られなくなることがある。そこで通信事業者は、システムのユーザに対する通信サービスの品質を維持するため、基地局からの電波の受信電力を電波測定装置等で測定することにより、基地局のサービスエリアを測定している。その測定結果としてのサービスエリアと、当初予定していた目標とするサービスエリアとが比較され、必要に応じて送信パラメータの変更が定期的又は不定期に行われる。
【0003】
一方、送信パラメータとしての送信電力を適応的に設定するようにしたものが知られている。
例えば、移動局からの受信信号に基づいて、自基地局のサービスエリアの状態を判定する手段と、周辺基地局における総送信電力に基づいて、自基地局の総送信電力の状態を判定する手段と、サービスエリアの状態および総送信電力の状態に基づいて、自基地局における共通制御チャネルの送信電力を決定する手段と、決定された送信電力を設定する手段とを備えた基地局が知られている。
また、自セルに在圏する移動局から、自基地局がセル内に向けて送信する共通制御チャネルの受信品質の測定結果報告を取得する手段と、前記手段により取得された前記測定結果に基づいて、サービスエリアの状態を判定する手段と、当該基地局に隣接する基地局と前記サービスエリアの状態の判定結果を交換する手段と、当該基地局と隣接基地局のサービスエリアの状態に基づいて、共通制御チャネルの送信電力を制御する手段と、指定された送信電力で共通制御チャネルを送信する手段とを備える基地局が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−135673号公報
【特許文献2】特開2007−306407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基地局の送信パラメータを適応的に設定するに当たって、より処理負荷の低い新たな方式が要請されている。そこで、発明の1つの側面では、低処理負荷により基地局の送信パラメータを適応的に設定することができるようにした、基地局、送信パラメータの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点では、サービスエリア内の複数の移動局と無線通信を行って無線サービスを提供する基地局が提供される。
この基地局は、
(A)各移動局に対して参照信号を送信し、各移動局から前記参照信号に基づく下りの受信品質値を受信する第1送受信部;
(B)自局から各移動局までの距離に応じた各移動局での受信品質の劣化がキャンセルされるように、上記受信品質値を補正する補正部;
(C)補正された受信品質値について、自局からの距離が所定の閾値を超えるエリアに在る移動局の値が、自局からの距離が前記所定の閾値を超えないエリアに在る移動局の値、または自局のサービスエリア内の移動局全体の値と比較して劣化していると判断した場合には、自局、または自局に隣接する隣接基地局からの移動局に対する送信電力を含む複数の送信パラメータの少なくとも1つが変更されるように制御する制御部;
を備える。
【0007】
複数の移動局と無線通信を行って無線サービスを提供する基地局における送信パラメータの制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
開示の基地局、送信パラメータの制御方法によれば、低処理負荷により基地局の送信パラメータを適応的に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態の移動通信システムにおけるサービスエリアの状況の一例を示す図。
【図2】図1に関連して、基地局からの距離に応じたCQIと、その隣接基地局による干渉量との関係を示す図。
【図3】第1の実施形態の移動通信システムにおけるサービスエリアの状況の一例を示す図。
【図4】図3に関連して、基地局からの距離に応じたCQIと、その隣接基地局による干渉量との関係を示す図。
【図5】第1の実施形態の移動通信システムにおけるサービスエリアの状況の一例を示す図。
【図6】図5に関連して、基地局からの距離に応じたCQIと、その隣接基地局による干渉量との関係を示す図。
【図7】第1の実施形態において、隣接する2基地局間で送信パラメータを制御対象とする基地局を決定するためのシステム構成を示す図。
【図8】第1の実施形態の基地局の構成を示すブロック図。
【図9】第1の実施形態の基地局の送信電力の制御に関連した、移動通信システムの動作の一形態を示すフロー図。
【図10】第1の実施形態の基地局の送信電力の制御に関連した、移動通信システムの動作の一形態を示すフロー図。
【図11】第1の実施形態の基地局の送信電力の制御に関連した、移動通信システムの動作の一形態を示すフロー図。
【図12】第1の実施形態の基地局の送信電力の制御に関連した、移動通信システムの動作の一形態を示すフロー図。
【図13】第2の実施形態においてサービスエリアを複数のエリアに分割する例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態の説明において、基地局および移動局はそれぞれ適宜、eNB(evolved Node B)およびUE (User Equipment)と略記する。また、サービスエリア(またはセル)は、移動局が基地局と接続して基地局から無線サービスの提供を受ける地理的領域を意味する。
【0011】
(1)第1の実施形態
(1−1)移動通信システム
先ず、各基地局で送信パラメータとしての送信電力の制御を行わないとした場合の本実施形態の移動通信システムについて図1に例示する。
図1に示す移動通信システムは、基地局eNB1と、基地局eNB1に隣接して配置される基地局eNB2(以下、適宜、基地局eNB1の隣接基地局、という。)とを含む。図1では、基地局eNB1およびeNB2共に、送信電力が同一の値である場合を想定している。このとき、基地局eNB1およびeNB2によってそれぞれサービスエリアSA1、SA2(各基地局からセル端までの距離は、図1の例では1200m)が形成される。図1に示すサービスエリアは、各基地局が形成するセル全体のうち特定のセクタがサービスエリアSA1、SA2として示されている。斜線で示される領域は、各基地局からの送信信号について干渉が生ずる領域を示している。また、移動局UE1〜UE4はそれぞれ基地局eNB1に接続しており、基地局eNB1から無線サービスの提供を受けている。基地局eNB1からの距離が遠い移動局であるほどパスロスにより受信品質が劣化し、セル端の近傍では、隣接基地局eNB2による干渉(図中の斜線で示す領域)によってさらに受信品質が劣化する。各移動局は、基地局eNB1から受信する参照信号(例えば既知のパイロット信号)に基づいて、下りの受信品質値としてのCQI(Channel Quality Indicator)を測定している。下りの受信品質値は、移動局から基地局から受信する信号の品質を示す指標値である。各基地局はCQIをPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)またはPUCCH(Physical Uplink Control Channel)を用いて基地局eNB1へ送信しフィードバックする。図1に示す例では、基地局eNB1からの距離がそれぞれ400m, 800m, 1000m, 1200mの位置に在る移動局UE1、UE2、UE3、UE4が測定するCQIが13, 10, 7, 3[dB]である場合を示している。なお、ここではCQIは例えば、受信SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio;信号対干渉雑音比)、RSSI(Received Signal Strength Indicator)などの値、またはこれらの値を正規化した値でよい。
【0012】
図2は、図1に関連して、基地局eNB1からの距離に応じたCQIと、隣接基地局eNB2(隣接セル)による干渉量との関係を示す図である。図2では縦軸を対数表示で表しており、パスロスのみを考慮したCQI(理想値)は、基地局eNB1からの距離に応じて線形に低下する。隣接基地局eNB2による干渉量はセル端(基地局eNB1から1200mの位置)に近付くにつれて増加していく。その結果、図2に示すように、隣接基地局eNB2による干渉の影響を含むCQIは、セル端に近付くにつれて急激に低下していく。
【0013】
次に、基地局eNB1で送信パラメータとしての送信電力の制御を行った場合の本実施形態の移動通信システムについて図3に例示する。図3では、図1と比較して基地局eNB1の送信電力を低下させ、それによってセル端の近傍において、隣接基地局eNB2による干渉(図中の斜線で示す領域)が低下していることが分かる。
図4は、図3に関連して、基地局eNB1からの距離に応じたCQIと、隣接基地局eNB2(隣接セル)による干渉量との関係を示す図である。図4に示すように、基地局eNB1の送信電力を低下させたことで基地局eNB1のサービスエリアSA1の端までの基地局eNB1からの距離が1200mから1000mまで減少したものの、隣接基地局eNB2による干渉が低下したために、パスロスのみを考慮したCQI(理想値)と、干渉の影響を含むCQIとの乖離が少なくなっていることが分かる。この場合、基地局eNB1のサービスエリアSA1が図1の場合よりも狭くなるが、セル端に在る移動局は受信品質に応じて隣接基地局へのハンドオーバが行われるため、移動局への無線サービスの品質が低下することはない。
【0014】
次に、基地局eNB1の隣接基地局である基地局eNB2で送信パラメータとしての送信電力の制御を行った場合の本実施形態の移動通信システムについて図5に例示する。図5では、図1と比較して基地局eNB2の送信電力を低下させ、それによってセル端の近傍において、隣接基地局eNB2による干渉(図中の斜線で示す領域)が低下している。
図5は、図4に関連して、基地局eNB1からの距離に応じたCQIと、隣接基地局eNB2(隣接セル)による干渉量との関係を示す図である。図5に示すように、基地局eNB2の送信電力を低下させたことで基地局eNB2による干渉量は全体的に低下する。これによって、パスロスのみを考慮したCQI(理想値)と、干渉の影響を含むCQIとの乖離が少なくなっていることが分かる。
【0015】
以上説明したように、隣接する基地局間で、いずれかの送信電力を制御する(低下させる)ことによって互いの干渉が低下し、その結果、特にセル端近傍における受信品質の急激な劣化を防止することができる。なお、本実施形態では、送信パラメータの制御方法として、送信電力の制御方法の場合について示すが、他の送信パラメータ、例えばアンテナのチルト角を制御することによっても干渉の影響を抑制できることは勿論である。
【0016】
本実施形態の移動通信システムでは、隣接する2基地局が、2基地局間で互いの干渉が大きいと判断した場合には、干渉量が低下するように、いずれかの基地局の送信パラメータを制御する。このとき、いずれの基地局の送信パラメータを制御対象とするかについての決定方法は、隣接する2基地局間での通信による決定方法、または隣接する2基地局を管理する上位装置による決定方法のいずれかを採ることができる。図7に、隣接する2基地局間で、送信パラメータを制御対象とする基地局を決定するためのシステム構成を示す。
図7の(a)では、隣接する基地局eNB1, eNB2間がLTE(Long Term Evolution)で規定されるX1インタフェースで接続しており、基地局eNB1, eNB2が、基地局eNB1, eNB2間での通信によって制御対象となる基地局を決定している。図7の(b)では、隣接する基地局eNB1, eNB2が共にLTEで規定されるS1インタフェースによって上位装置3に接続しており、上位装置3によって制御対象となる基地局を決定している。図7の(b)では、例えばオペレータが制御対象となる基地局を決定している。
【0017】
(1−2)干渉量の推定および評価
次に、本実施形態の基地局で行われる干渉量の推定および評価方法について説明する。
本実施形態では、干渉量を推定するために、各移動局からフィードバックされるCQIの値に対して、基地局から各移動局までの距離に応じた各移動局での受信品質の劣化(いわゆるパスロスによる劣化分)がキャンセルするように補正を行う。パスロスによる劣化分は一般に距離による対数関数によって比較的精度良くモデル化できることが知られている。ここでは一例として、各移動局からフィードバックされるCQIの値に対し、以下の式(1)に従って補正後のCQIであるCQI_Cを算出する。
【0018】
CQI_C=10*log10(10(CQI/10) −10*log10 (DFAR 2 / DUE 2)) ・・・(1)
なお、
DFAR:基地局からセル端までの距離(以下、「セル端距離」ともいう。)
DUE:基地局から移動局までの距離
である。
なお、上記式(1)は、CQIを補正するための式の一例に過ぎず、基地局からの距離に応じて増加するパスロスをキャンセルできれば、如何なる式を適用してもよい。
【0019】
上記式(1)において、DUE(基地局から移動局までの距離)の取得方法として2通りの方法が考えられる。
第1に、移動局から基地局への上り信号の同期処理を利用して、基地局から移動局までの距離を推定する方法を採ることができる。移動局から基地局への上り信号の同期処理は概ね以下のとおりである。すなわち、基地局は先ず、自らの基準タイミングで同期チャネル(SCH)の信号を移動局へ送信する。移動局は、受信した同期チャネルの信号に応じて上り信号を基地局へ送信する。基地局は、移動局から受信した上り信号の受信タイミングと、基地局の基準タイミングとのずれを検出し、このずれ(タイミング補正値)を移動局へ送信する。移動局は、このタイミング補正値によって上り信号についての基地局との同期をとることができるようになる。このような処理の過程において、基地局は、各移動局との間のタイミング補正値、および空気中の電波の伝播速度から、各移動局との間の距離を推定することができる。
【0020】
第2に、移動局がGPS(Global Positioning System)信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて位置情報の算出機能を備えている場合には、基地局宛の制御信号を、算出した位置情報を逐次含むようにして送信する方法を採ることができる。この場合、基地局は、移動局から受信する制御信号から位置情報を得る。基地局が自局の位置情報を既知であるという前提の下、基地局は、基地局から移動局までの距離を算出することができる。
【0021】
上記式(1)において、DFAR(基地局からセル端までの距離;セル端距離)の推定方法として3通りの取得方法が考えられる。
第1に、セル端距離を、初期のセル設計で想定するセル半径またはセル端までの距離(固定値)とするようにしてもよい。上記式(1)は、移動局の距離に応じた相対的な補正値を算出するものであるので、セル端距離を固定値としても有用な値が得られる。つまり、後述するように、上記CQI_Cの値は距離に応じた差分値によって干渉量を評価するので、CQI_Cの絶対値は必ずしも必要ない。
【0022】
第2に、基地局の送信電力からセル端距離を算出するようにしてもよい。一般に、基地局の送信電力を基地局からの距離の2乗で除算した値は、パスロスを考慮した移動局における受信電力に概ね比例する。そこで、セル端にて期待する受信電力から逆算してセル端距離を算出するようにしてもよい。
第3に、移動局のセル間のハンドオーバのRACH(Random Access Channel)の処理において算出される上記タイミング補正値に基づいてセル端距離を算出するようにしてもよい。つまりRACHを用いて移動局がプリアンブル信号を基地局へ送信し、基地局が受信したプリアンブル信号によって基準タイミングのずれ(タイミング補正値)を検出する。これにより、ハンドオーバの対象となる移動局との間のタイミング補正値、および空気中の電波の伝播速度から、セル端距離を推定することができる。なお、基地局は、自局から隣接基地局への移動局のハンドオーバ、および/または隣接基地局から自局への移動局のハンドオーバにおいて、セル端距離を推定することができる。
【0023】
次に、図1に示した移動通信システムの各移動局におけるCQIの値を例として、補正後のCQIであるCQI_Cの算出例を説明する。図1の例では、基地局eNB1のセルのセル端距離は1200mである。
図1では、基地局eNB1からの距離がそれぞれ400m, 800m, 1000m, 1200mの位置に在る移動局UE1、UE2、UE3、UE4で測定されるCQIが13, 10, 7, 3[dB]である場合を示している。このとき、移動局UE1、UE2、UE3、UE4に対して算出されるCQI_Cは、上記式(1)に従って、10, 8, 8.5, 3[dB]となる。これらの値は、各移動局が報告するCQIの値から、基地局から各移動局までの距離に応じた各移動局での受信品質の劣化をキャンセルしたものとなっている。したがって、基地局から遠いエリア(例えば、セル端の近傍のエリア)にある移動局のCQI_C(補正後のCQI)と、基地局から近いエリアにある移動局のCQI_C、または基地局のサービスエリア内の移動局全体のCQI_Cとの差分によって、隣接基地局による干渉量を推定することができる。そして、この推定した干渉量(上記差分)が所定の閾値以上である場合に干渉が大きいと判断して、対象となる基地局、またはその隣接基地局のいずれかの送信パラメータの制御を行う。
【0024】
例えば、基地局のサービスエリア内の移動局全体のCQI_Cの平均値が6.6[dB]であるとした場合、上述した例では、セル端に在る移動局UE4のCQI_Cが3[dB]であるため、干渉量は3.6[dB]となる。ここで、干渉量の閾値が予め3[dB]と設定されていた場合には、基地局は干渉が大きいと判断する。
【0025】
(1−3)基地局の構成
次に、図8を参照して、本実施形態の基地局の構成について説明する。図8は、本実施形態の基地局の構成を示すブロック図である。
図8を参照すると、本実施形態の基地局は、受信機11、復調部12、復号部13、距離推定部14、CQI補正部15、制御部16、通信インタフェース17、符号化部18、変調部19、および送信機20を備える。本実施形態の基地局における送受信部31は、受信機11と送信機20を含む構成となっている。
【0026】
受信機11は、帯域制限フィルタ、ローノイズアンプ(LNA: Low Noise Amplifier)、ローカル周波数発信器、直交復調器、AGC(Automatic Gain Control)アンプ、A/D(Analog to Digital)変換器などを含む。受信機11は、アンテナ(図示せず)において移動局からRF信号を受信し、受信したRF信号をデジタルベースバンド信号に変換する。さらに受信機11は受信信号をデータ信号、制御信号および参照信号に分離する処理を行う。制御信号は、移動局での受信品質を示すCQIを含む。換言すれば制御信号は、移動局が基地局からデータを受信する品質を示す値であるCQIを含む。
復調部12および復号部13はそれぞれ、データ信号及び制御信号に対して復調処理および誤り訂正の復号処理を行う。このとき復調部12は、受信機11で分離された参照信号から得られるチャネル推定値に基づいて、データ信号及び制御信号についてのチャネル補償を行う。復号部13は、復号した制御信号(より具体的には、PUSCHまたはPUCCH)に含まれるCQI(すなわち、各移動局から報告されるCQI)を、CQI補正部15に与える。
【0027】
距離推定部14は、自局が接続している各移動局と自局までの距離を推定する。この推定には、上述したDUE(基地局から移動局までの距離)の取得方法を利用することができる。例えば、距離推定部14は、復調部12における受信信号のタイミングに基づき、移動局から受信した上り信号の受信タイミングと、基地局の基準タイミングとのずれを検出する。さらに距離推定部14は、このずれ(タイミング補正値)と、空気中の電波の伝播速度とから、各移動局との間の距離を推定する。あるいは距離推定部14は、位置情報の算出機能を備えた移動局が上りの制御信号を位置情報を含むようにして送信する場合には、復号部13で得られる制御信号から、その位置情報を取り出すようにしてもよい。この場合、基地局は、各移動局の位置と自局の位置(通常、既知である。)から、自局から移動局までの距離を推定(算出)する。
【0028】
CQI補正部15は、復号部13から与えられるCQIに対して、距離推定部14で推定された、自局から移動局までの距離によって、上記式(1)に従って補正する。つまり、CQI補正部15は、補正後のCQIであるCQI_Cを算出する。つまりCQI補正部15は、各移動局からフィードバックされるCQIの値に対して、基地局から各移動局までの距離に応じた各移動局での受信品質の劣化がキャンセルされるように補正を行い、CQI_Cを算出する。
【0029】
制御部16は、CQI補正部15で算出された各移動局のCQI_Cに基づいて、隣接基地局との干渉が大きいか否かを判断する。すなわち、制御部16は、基地局から遠いエリア(例えば、セル端の近傍のエリア)にある移動局のCQI_C(補正後のCQI)と、基地局から近いエリアにある移動局のCQI_C、または基地局のサービスエリア内の移動局全体のCQI_Cとの差分を算出し、この差分によって隣接基地局による干渉量を推定する。そして、この推定した干渉量が所定の閾値以上である場合に干渉が大きいと判断する。なお、基地局から遠いエリアとは、基地局から移動局までの距離が所定の閾値を超えるエリアであり、基地局から近いエリアとは、基地局から移動局までの距離が所定の閾値を超えないエリアである。
制御部16が干渉が大きいと判断した場合、制御部16は自局の送信電力を低下させるか、または隣接基地局の送信電力を低下させるかのいずれかの処理をすることが可能である。本実施形態の移動通信システムでは、制御部16が干渉が大きいと判断した場合、制御部16は通信インタフェース17を介して、隣接基地局との間のX1インタフェースによる通信、あるいは上位装置との間のS1インタフェースによる通信によって、自局の送信電力を低下させるか、または隣接基地局の送信電力を低下させるかのいずれかの処理をすることが可能である。
【0030】
制御部16は、自局の送信電力を低下させる場合には、所望の送信電力値を変調部19、あるいは送信機20に与える。この所望の送信電力値は例えば、現在の送信電力値から所定量低下した値でよい。
【0031】
符号化部18および変調部19はそれぞれ、各移動局宛の送信対象のデータ信号、制御信号、及び参照信号に対して符号化及び変調処理を行う。送信機20は、D/A(Digital to Analog)変換器、ローカル周波数発信器、ミキサ、パワーアンプ、フィルタ等を備える。送信機20は、データ信号、制御信号、及び参照信号を多重化し、多重化により得られた送信信号を、ベースバンド周波数から無線周波数へアップコンバートした後に、アンテナ(図示せず)から空間へ放射する。
【0032】
ここで、制御部16から与えられる送信電力値に基づいて変調部19が送信電力を変更する場合には、変調部19は処理するデジタル値を変更する。例えば、本実施形態の移動通信システムにおいて、下り信号にOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を採用する場合には、変調部19はIFFT(逆高速フーリエ変換)処理をする。そして、変調部19はIFFT処理により得られる時間領域のデジタル信号のレベルが調節して送信電力の変更を行う。なお送信電力は、基地局の送信パラメータの一つである。
また、制御部16から与えられる送信電力値に基づいて送信機20が送信電力を変更する場合には、送信機20が送信機20内のパワーアンプへの入力アナログ信号のレベル、あるいはパワーアンプの増幅率を調整して送信電力の変更を行ってもよい。
【0033】
(1−4)移動通信システムの動作
次に、基地局の送信電力の制御に関連した、移動通信システムの動作の様々な形態について、図9〜12を参照して説明する。なお、以下の説明では、例えば図1に示したように、互いに隣接する2基地局eNB1, eNB2がシステム内に含まれる場合が想定される。また、図9〜12に示す移動局UEは、基地局eNB1に接続されているものとする。
【0034】
図9は、互いに隣接する2基地局eNB1, eNB2と上位装置との間の通信の結果、オペレータにより基地局eNB1に対して送信電力の変更の指示が行われる場合のフロー図である。
図9を参照すると先ず、各移動局UEは、基地局eNB1から送信される参照信号(例えば既知のパイロット信号)に基づいて、移動局UEでの受信品質を示す受信品質値としてのCQIを測定し、このCQIを基地局eNB1へ通知する(ステップS10)。基地局eNB1では、CQI補正部15において各移動局UEから通知されたCQIを補正してCQI_Cを生成し(ステップS12)、この生成したCQI_Cに基づいて隣接基地局eNB2との干渉が大きいか否かを判定する(ステップS14)。なお、図示していないが、基地局eNB2においても同様にして基地局eNB1との干渉が大きいか否かを判定する。
【0035】
基地局eNB1は、セル端の干渉が大きいことを上位装置に通知し(ステップS16)、この通知に基づいて、上位装置を操作するオペレータが送信電力を低下させる基地局(この場合、基地局eNB1)を決定する(ステップS18)。その結果、オペレータの上位装置に対する操作入力によって、送信電力の低下指示が基地局eNB1に通知される(ステップS20)。この通知を受けて基地局eNB1では、制御部16が自局の送信電力を低下させるように制御を行う(ステップS22)。
なお、基地局eNBがセル端の干渉が大きいと判断する場合、基地局eNB2がセル端の干渉が大きいと判断する可能性が高い。その場合には、オペレータは、基地局eNB1, eNB2のうち、送信電力が高い方の基地局の送信電力を低下させるように決定してもよい。また、送信電力の変更対象となる基地局の決定、および送信電力の低下指示の通知は、オペレータを介さずに上位装置が自律的に行うようにしてもよい。
【0036】
図10は、互いに隣接する2基地局eNB1, eNB2の間の通信の結果、基地局eNB1が送信電力を変更する場合のフロー図である。図10を参照すると、ステップS10〜S14の処理は図9と同一である。
図10では、隣接する2基地局eNB1, eNB2の間では、X1インタフェースを利用して互いの送信電力についての情報を逐次交換する(ステップS24)。その結果、基地局eNB1の制御部16は、自局のみのセル端の干渉が大きいことが分かると、自局の送信電力を低下させることを決定し(ステップS26)、自局の送信電力を低下させるように制御を行う(ステップS28)。なお、ステップS24の結果、基地局eNB1, eNB2の双方がセル端の干渉が大きいと判断する場合には、基地局eNB1の制御部16は、基地局eNB1, eNB2のうち、送信電力が高い方の基地局の送信電力を制御し、低下させてもよい。
【0037】
図11は、互いに隣接する2基地局eNB1, eNB2と上位装置との間の通信の結果、オペレータにより基地局eNB2に対して送信電力の変更の指示が行われる場合のフロー図である。図11を参照すると、ステップS10〜S18の処理は図9と同一である。
図11の場合には、ステップS18において、上位装置を操作するオペレータが送信電力を低下させる基地局(この場合、基地局eNB2)を決定する。その結果、オペレータの上位装置に対する操作入力によって、送信電力の低下指示が基地局eNB2に通知される(ステップS30)。この通知を受けて基地局eNB2では、制御部16が自局の送信電力を低下させるように制御を行う(ステップS32)。
図11において、ステップS34〜S38は、ステップS10〜S14と同一の処理である。移動局UEは基地局eNB1宛のCQIの通知を逐次行う。ステップS32の基地局eNB2の送信電力の低下によって、前述した差分が閾値以下になると、その後に基地局eNB1は、ステップS38において干渉が低下したと判断する。そして、基地局eNB1は、セル端の干渉量が低下したことを上位装置へ通知する(ステップS40)。
【0038】
図12は、互いに隣接する2基地局eNB1, eNB2の間の通信の結果、基地局eNB2が送信電力を変更する場合のフロー図である。図12を参照すると、ステップS10〜S26の処理は図10と同一である。
この場合、ステップS26において、基地局eNB1の制御部16は、セル端の基地局eNB2による干渉が大きいと判断して基地局eNB2の送信電力を低下させることを決定すると、制御部16は基地局eNB2に対して送信電力を低下させることを要求する(ステップS50)。この要求は、X1インタフェースを介して行われる。この要求を受けて基地局eNB2では、制御部16が自局の送信電力を低下させるように制御を行う(ステップS52)。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の移動通信システムでは、基地局が配下の移動局からフィードバックされるCQIを、移動局までの距離に応じた移動局UEでの受信品質の劣化がキャンセルされるように補正し、補正したCQIに基づいて隣接基地局の干渉量が推定される。CQIの補正は、上記(1)式で示したように比較的簡易な対数演算で済むため、低処理負荷でもって行われる。よって、本実施形態の基地局によれば、低処理負荷により干渉量が推定され、当該干渉量に応じて基地局の送信パラメータを適応的に設定することができる。
【0040】
(2)第2の実施形態
セル間の干渉の状況は短期間で変動するものではないので、基地局の制御部16における干渉量が大きいか否かの判断は、比較的長時間(例えば、数時間〜数日)に収集したCQIの補正値(CQI_C)に基づいて行うのが好ましい。この場合、例えば、比較的長時間に収集したCQIの補正値について、平均処理等の統計処理がなされうる。
【0041】
CQIの補正値についての統計処理を行うに当たって、制御部16は、自局のサービスエリアを自局からの距離に応じた複数のエリアに分割し、エリアごとに統計処理を行うことが好ましい。サービスエリアを複数のエリアに分割する例を図13に示す。図13の(a)は、サービスエリアを距離に応じた複数のエリアAR1〜AR6に分割した例を示す。各移動局がどのエリアに属するかについては、距離推定部14によって決定される。図13の(b)は、サービスエリアを距離に応じた複数のエリアAR1, AR2, AR3-1〜3-2, AR4-1〜4-3, AR5-1〜5-4, AR6-1〜6-5に分割した例を示す。図13の(b)は、基地局からの距離が同一のエリアが複数存在するので、各移動局から位置情報が提供される場合に適用されうる。
【0042】
本実施形態においても第1の実施形態と同様に、制御部16は、基地局から遠いエリア(例えば、図13(a)のAR6、図13(b)のAR5-2, 5-3, 6-2, 6-3, 6-4)にある移動局のCQI_C(補正後のCQI)と、基地局から近いエリア(例えば、AR1, AR2)にある移動局のCQI_C、または基地局のサービスエリア内の移動局全体のCQI_Cとの差を、隣接基地局による干渉量として推定する。そして、制御部16は、この推定した干渉量が所定の閾値以上である場合に干渉が大きいと判断して、対象となる基地局、またはその隣接基地局のいずれかの送信パラメータの制御を行う。
【0043】
基地局のサービスエリア内の移動局全体のCQI_Cを算出するに当たっては、例えば、図13に例示したエリア毎の統計処理(例えば、平均値の算出処理)を行い、各エリアの平均値についてさらに平均処理を行ってサービスエリア内の移動局全体のCQI_Cを算出するのが好ましい。このような処理を行うことで、サービスエリア内のCQIの異常なサンプル(建物に隠れた移動局から報告されるCQI等、干渉要因以外で劣化したCQI)による影響を抑制することができるようになる。
なお、図1に示したように、隣接するセル(セクタ)間で干渉が生ずる領域は主として、各サービスエリアの端の近傍であって、かつ中央の領域(図13(b)の例では、AR5-2, 5-3, 6-2, 6-3, 6-4)であるため、図13(b)のように詳細なエリア分割を行った方が精度の高い干渉量の推定値が得られる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の基地局、送信パラメータの制御方法は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのは勿論である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、送信パラメータが送信電力の場合について詳述してきたが、アンテナのチルト角等の他の送信パラメータを制御対象としてもよい。アンテナのチルト角を制御対象とする場合、基地局は、制御信号に応じてアンテナのチルト角を調整可能に構成されるチルト角調整機構を備えてもよい。チルト角調整機構としては、公知の機構を利用することができる。アンテナを支持する部材をモータによって駆動することによって、実際に傾斜させるアンテナのチルト角を制御する機械的機構としては、例えば特開2005-051409号公報に開示されているものがある。また、鉛直方向に複数のアンテナユニットを設け、各アンテナユニットに対する給電の位相を制御することで、実際にアンテナを傾斜させることなく、実質的にアンテナのチルト角方向の指向性を調整する電気的機構としては、例えば特許4040042号公報に開示されているものがある。
【0046】
以上の各実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0047】
(付記1)
サービスエリア内の複数の移動局と無線通信を行って無線サービスを提供する基地局であって、
各移動局に対して参照信号を送信し、各移動局から前記参照信号に基づく下りの受信品質値を受信する第1送受信部と、
自局から各移動局までの距離に応じた各移動局での受信品質の劣化がキャンセルされるように、前記受信品質値を補正する補正部と、
補正された前記受信品質値について、自局からの距離が所定の閾値を超えるエリアに在る移動局の値が、自局からの距離が前記所定の閾値を超えないエリアの値、または自局のサービスエリア内の移動局全体の値と比較して劣化していると判断した場合には、自局、または自局に隣接する隣接基地局からの移動局に対する送信電力を含む複数の送信パラメータの少なくとも1つが変更されるように制御する制御部と、
を備えた、基地局。(1)
【0048】
(付記2)
前記隣接基地局との間で信号の送受信を行う第2送受信部をさらに備え、
前記制御部は、
自局の送信電力を変更するように制御するときには、前記第2送受信部を介して前記隣接基地局の送信電力の情報を取得し、自局の送信電力が前記隣接基地局のそれよりも大きい場合には、自局の送信電力を低下させ、自局の送信電力が前記隣接基地局のそれよりも小さい場合には、隣接基地局の送信電力を低下させるように第2送受信部を介して隣接基地局に要求する、
付記1に記載された基地局。(2)
【0049】
(付記3)
前記制御部は、前記自局のサービスエリア内の移動局全体の値を算出する場合には、サービスエリアを自局からの距離に応じて分割した複数のエリアの各々において、補正された前記受信品質値の平均値を算出し、さらに、各エリアの前記平均値を平均処理することで前記移動局全体の値を算出する、
付記1または2に記載された基地局。(3)
【0050】
(付記4)
複数の移動局と無線通信を行って無線サービスを提供する基地局における送信パラメータの制御方法であって、
各移動局に対して参照信号を送信し、
各移動局から前記参照信号に基づく下りの受信品質値を受信し、
自局から各移動局までの距離に応じた各移動局での受信品質の劣化がキャンセルされるように、前記受信品質値を補正し、
補正された前記受信品質値について、自局からの距離が所定の閾値を超えるエリアに在る移動局の値が、自局からの距離が前記所定の閾値を超えないエリアに在る移動局の値、または自局のサービスエリア内の移動局全体の値と比較して劣化していると判断した場合には、自局、または自局に隣接する隣接基地局からの移動局に対する送信電力を含む複数の送信パラメータの少なくとも1つが変更されるように制御する、
ことを含む、送信パラメータの制御方法。(4)
【0051】
(付記5)
前記自局の送信電力を変更するように制御することは、前記隣接基地局の送信電力の情報を取得し、自局の送信電力が前記隣接基地局のそれよりも大きい場合には、自局の送信電力を低下させ、自局の送信電力が前記隣接基地局のそれよりも小さい場合には、隣接基地局の送信電力を低下させるように第2送受信部を介して隣接基地局に要求すること、を含む、
付記4に記載された送信パラメータの制御方法。
【0052】
(付記6)
前記制御することは、サービスエリアを自局からの距離に応じて分割した複数のエリアの各々において、補正された前記受信品質値の平均値を算出し、さらに、各エリアの前記平均値を平均処理することで、前記自局のサービスエリア内の移動局全体の値を算出する、
付記4に記載された送信パラメータの制御方法。
【符号の説明】
【0053】
11 受信機
12 復調部
13 復号部
14 距離推定部
15 CQI補正部
16 制御部
17 通信インタフェース
18 符号化部
19 変調部
20 送信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスエリア内の複数の移動局と無線通信を行って無線サービスを提供する基地局であって、
各移動局に対して参照信号を送信し、各移動局から前記参照信号に基づく下りの受信品質値を受信する第1送受信部と、
自局から各移動局までの距離に応じた各移動局での受信品質の劣化がキャンセルされるように、前記受信品質値を補正する補正部と、
補正された前記受信品質値について、自局からの距離が所定の閾値を超えるエリアに在る移動局の値が、自局からの距離が前記所定の閾値を超えないエリアに在る移動局の値、または自局のサービスエリア内の移動局全体の値と比較して劣化していると判断した場合には、自局、または自局に隣接する隣接基地局からの移動局に対する送信電力を含む複数の送信パラメータの少なくとも1つが変更されるように制御する制御部と、
を備えた、基地局。
【請求項2】
前記隣接基地局との間で信号の送受信を行う第2送受信部をさらに備え、
前記制御部は、
自局の送信電力を変更するように制御するときには、前記第2送受信部を介して前記隣接基地局の送信電力の情報を取得し、自局の送信電力が前記隣接基地局のそれよりも大きい場合には、自局の送信電力を低下させ、自局の送信電力が前記隣接基地局のそれよりも小さい場合には、隣接基地局の送信電力を低下させるように第2送受信部を介して隣接基地局に要求する、
請求項1に記載された基地局。
【請求項3】
前記制御部は、前記自局のサービスエリア内の移動局全体の値を算出する場合には、サービスエリアを自局からの距離に応じて分割した複数のエリアの各々において、補正された前記受信品質値の平均値を算出し、さらに、各エリアの前記平均値を平均処理することで前記移動局全体の値を算出する、
請求項1または2に記載された基地局。
【請求項4】
複数の移動局と無線通信を行って無線サービスを提供する基地局における送信パラメータの制御方法であって、
各移動局に対して参照信号を送信し、
各移動局から前記参照信号に基づく下りの受信品質値を受信し、
自局から各移動局までの距離に応じた各移動局での受信品質の劣化がキャンセルされるように、前記受信品質値を補正し、
補正された前記受信品質値について、自局からの距離が所定の閾値を超えるエリアに在る移動局の値が、自局からの距離が前記所定の閾値を超えないエリアに在る移動局の値、または自局のサービスエリア内の移動局全体の値と比較して劣化していると判断した場合には、自局、または自局に隣接する隣接基地局からの移動局に対する送信電力を含む複数の送信パラメータの少なくとも1つが変更されるように制御する、
ことを含む、送信パラメータの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−70274(P2012−70274A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214296(P2010−214296)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】