基地局装置および無線通信システム。
【課題】移動局装置にSIPプロトコルを実装することなく、コンテンツの検索、データ送受信などを行う技術を提供する。
【解決手段】小型基地局装置10は、SIPプロトコル非対応の移動局装置が使用するメッセージと、SIPプロトコル対応の基地局装置10が使用するSIPメッセージとを変換する変換部110と、移動局装置から他の装置との接続要求情報を取得する接続要求情報取得部100と、他の装置を検索する他装置検索部120と、他の装置とのセッションを確立する接続確立部130と、応答情報を移動局装置に送信する応答情報送信部140と、移動局装置から識別情報とともにデータを受信した場合に他の装置にデータを転送し、他の装置からデータを受信した場合に移動局装置にデータを転送するデータ転送部150とを備える。
【解決手段】小型基地局装置10は、SIPプロトコル非対応の移動局装置が使用するメッセージと、SIPプロトコル対応の基地局装置10が使用するSIPメッセージとを変換する変換部110と、移動局装置から他の装置との接続要求情報を取得する接続要求情報取得部100と、他の装置を検索する他装置検索部120と、他の装置とのセッションを確立する接続確立部130と、応答情報を移動局装置に送信する応答情報送信部140と、移動局装置から識別情報とともにデータを受信した場合に他の装置にデータを転送し、他の装置からデータを受信した場合に移動局装置にデータを転送するデータ転送部150とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置および無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
小型基地局装置(フェムトセルなど)を相互に連携したピアツーピア型のSIP(Session Initiation Protocol)による呼設定を行うネットワークにおいて、小型基地局装置に収容された移動局装置(ユーザ端末)が、コンテンツの検索、データ送受信などを行う技術が開発されている。上記ネットワークにおいては、移動局装置がSIPプロトコルを用いて小型基地局装置と通信し、小型基地局装置がSIPプロキシサーバとして通信先を検索する。
【非特許文献1】REsource LOcation And Discovery (RELOAD) Base Protocol, IETF draft, draft-ietf-p2psip-base-00
【非特許文献2】プロキシ型MOBIKEを用いたハンドオフ方式の提案と評価,” 情報処理学会, 研究報告, 2008-MBL-47 p.25-31
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記ネットワーク構成の場合、移動局装置は、小型基地局と通信するためにSIPプロトコルを実装しなければならないという問題がある(実装インパクト増大)。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、移動局装置にSIPプロトコルを実装することなく、コンテンツの検索、データ送受信などを行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するために、本発明の一態様である小型基地局装置は、SIPプロトコル非対応の移動局装置が使用するメッセージと、SIPプロトコル対応の基地局装置が使用するSIPメッセージとを変換する変換部と、移動局装置から他の装置との接続要求情報を取得する接続要求情報取得部と、SIPメッセージを用いて、他の装置を検索する他装置検索部と、SIPメッセージを用いて、他装置検索部によって検索された他の装置とのセッションを確立する接続確立部と、セッション確立後、接続要求情報に対する応答情報であって当該セッションを識別する識別情報を含む応答情報を移動局装置に送信する応答情報送信部と、移動局装置から識別情報とともにデータを受信した場合に、識別情報によって識別されるセッションを用いて他の装置にデータを転送し、他の装置からデータを受信した場合に、当該他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を送信した移動局装置にデータを転送するデータ転送部とを備えることを特徴とする。
【0005】
上記小型基地局装置は、テータ転送部によるデータの転送実績に応じて課金情報を生成する課金情報生成部を更に備えるようにしてもよい。
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様である無線通信システムは、SIPプロトコル対応の基地局装置とSIPプロトコル非対応の移動局装置とを含む無線通信システムであって、移動局装置は、他の装置との接続要求情報を基地局装置に送信する接続要求情報送信部と、基地局装置から、接続要求情報に対する応答情報であって他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を取得する応答情報取得部と、識別情報とともにデータを基地局装置に送信し、基地局装置からデータを受信するデータ送信部とを備え、基地局装置は、移動局装置が使用するメッセージと、基地局装置が使用するSIPメッセージとを変換する変換部と、移動局装置から接続要求情報を取得する接続要求情報取得部と、SIPメッセージを用いて、他の装置を検索する他装置検索部と、SIPメッセージを用いて、他装置検索部によって検索された他の装置とのセッションを確立する接続確立部と、セッション確立後、接続要求情報に対する応答情報であって識別情報を含む応答情報を移動局装置に送信する応答情報送信部と、移動局装置から識別情報とともにデータを受信した場合に、識別情報によって識別されるセッションを用いて他の装置にデータを転送し、他の装置からデータを受信した場合に、当該他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を送信した移動局装置にデータを転送するデータ転送部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動局装置にSIPプロトコルを実装することなく、コンテンツの検索、データ送受信などを行うことができる。また、基地局装置が課金情報を生成し、ユーザ管理(課金管理)を厳密に行うことができる。なお、コンテンツを送受信は基地局装置間において行われるため、基地局や網などを経由する送受信と違い、転送遅延やネットワーク負荷が生じ難い(効率的にコンテンツを送受信できる)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による無線通信システム1の模式図である。無線通信システム1は、図1に示すように、複数の小型基地局装置10(小型基地局装置10a、小型基地局装置10b、小型基地局装置10c、小型基地局装置10d。本発明の基地局装置の一例)、複数の移動局装置20(移動局装置20a、移動局装置20b、移動局装置20c、移動局装置20d)、課金サーバ30を備える。即ち、無線通信システム1は、P2P−SIPによるオーバーレイネットワークを構成し、小型基地局装置10間にてピアツーピア型ユーザ・コンテンツ検索を可能にしている。なお、小型基地局装置10は、「cdma2000 EVDO」のフェムトセルなどに適用可能である
【0009】
小型基地局装置10は、SIPプロトコルに対応している(SIPプロトコルを実装している)。一方、移動局装置20は、SIPプロトコルに対応していない(SIPプロトコルを実装していない)。
【0010】
小型基地局装置10間はIP通信可能である。小型基地局装置10間では、BittrentなどのDHTによるコンテンツのハッシュ表を参照し、分散的にユーザ管理やコンテンツ管理を実施する。また、小型基地局装置10間ではP2P−SIPにより、ユーザとのマルチメディアアプリケーションのセッション確立やファイル転送プロトコルなどを実現する。
【0011】
小型基地局装置10と移動局装置20間は、CDMAや無線LANなどの無線方式を用いる。例えばcdma2000のEVDOの場合、小型基地局装置10と移動局装置20間は、PPPが用いられ、PPP確立手順の中で、移動局装置20はIPアドレスなどを取得する。尚、小型基地局装置10は、接続時にオペレータのIMS(IP Multimedia Subsystem)により認証が実施され、暗号化に用いる鍵を取得する。なお、課金サーバ30は、例えば、IMS上に存在する。なお、図1において小型基地局装置の数は4個であるが、説明の便宜上であって、小型基地局装置の数は4個に限定されない。また、当然ではあるが、小型基地局装置と移動局装置は同数である必要もない。
【0012】
図2は、小型基地局装置10の機能構成図である。小型基地局装置10は、図2に示すように、接続要求情報取得部100、変換部110、他装置検索部120、接続確立部130、応答情報送信部140、データ転送部150および課金情報生成部160を備える。なお、小型基地局装置10は、アンテナ(非図示)、システムLSI(ASIC)(非図示)、メモリ(非図示)などのハードウェア資源を有し、これらの資源が協業して機能としての上記各部を実行する。
【0013】
接続要求情報取得部100は、移動局装置20から、他の装置(無線通信システム1上の他の小型基地局装置10または他の移動局装置20。図2の説明において同様)とのセッションの確立を要求する情報(以下、「接続要求情報」という)を取得する。接続要求情報を取得した接続要求情報取得部100は、当該接続要求情報を変換部110および応答情報返信部140へ供給する。
【0014】
また、接続要求情報取得部100は、接続要求情報に加え、移動局装置20から、他の装置とのセッションの切断を要求する情報(以下、「切断要求情報」という)を取得する。切断要求情報を取得した接続要求情報取得部100は、当該切断要求情報を変換部110および応答情報返信部140へ供給する。
【0015】
変換部110は、接続要求情報取得部100から接続要求情報を取得する。接続要求情報を取得した変換部110は、接続要求情報をSIPメッセージに変換する。即ち、変換部110は、SIPプロトコル非対応の移動局装置20が使用するメッセージ(例えば、接続要求情報、切断要求情報)と、SIPプロトコル対応の小型基地局装置10が使用するSIPメッセージとを変換する。例えば、変換部110は、移動局装置20からのHTTPのメッセージ、FTPのメッセージ、PPPのLCP制御メッセージ、ICMPのメッセージなどをSIPメッセージに変換する。接続要求情報をSIPメッセージに変換した変換部110は、当該SIPメッセージ(接続要求)を他装置検索部120へ供給する。
【0016】
また、変換部110は、接続要求情報取得部100から切断要求情報を取得する。切断要求情報を取得した変換部110は、切断要求情報をSIPメッセージに変換する。切断要求情報をSIPメッセージに変換した変換部110は、当該SIPメッセージ(切断要求)を接続確立部130へ供給する。
【0017】
他装置検索部120は、変換部110からSIPメッセージ(接続要求)を取得する。SIPメッセージ(接続要求)を取得した他装置検索部120は、SIPメッセージを用いて他の装置を検索する。他の装置を検索(発見)した他装置検索部120は、検索(発見)した他の装置を特定する情報を接続確立部130へ供給する。
【0018】
接続確立部130は、他装置検索部120から他の装置を特定する情報を取得する。他の装置を特定する情報を取得した接続確立部130は、SIPメッセージを用いて、当該他の装置とのセッションを確立する。他の装置とのセッションを確立した接続確立部130は、セッション確立を示す情報(以下、「セッション確立情報」という)を応答情報送信部140へ供給する。なお、セッション確立情報は、確立したセッションを識別する識別情報(例えば、ポート番号)を含む。なお、接続確立部130は、セッションを確立したときに、適当な識別情報を割り当てる。
【0019】
また、接続確立部130は、変換部110からSIPメッセージ(切断要求)を取得する。SIPメッセージ(切断要求)を取得した接続確立部130は、SIPメッセージを用いて、当該SIPメッセージによって示される他の装置とのセッションを切断(終了)する。他の装置とのセッションを切断した接続確立部130は、セッション切断を示す情報(以下、「セッション切断情報」という)を応答情報送信部140へ供給する。なお、セッション切断情報は、切断したセッションを識別する識別情報を含む。
【0020】
応答情報送信部140は、接続要求情報取得部100から接続要求情報または切断要求情報を取得する。また、応答情報送信部140は、接続確立部130からセッション確立情報またはセッション切断情報を取得する。
【0021】
接続要求情報およびセッション確立情報を取得した応答情報送信部140は、当該セッション確立情報をデータ転送部150に供給する。また、応答情報送信部140は、当該接続要求情報に対する応答情報(当該セッション確立情報に含まれる識別情報を含む)を、当該接続要求情報の送信元である移動局装置20に送信する。なお、当該応答情報を受信した移動局装置20は、以降、当該識別情報により識別されるセッションを用いて、他の装置とデータ通信を行うことができるようになる。
【0022】
切断要求情報およびセッション切断情報を取得した応答情報送信部140は、当該セッション切断情報をデータ転送部150に供給する。また、応答情報送信部140は、当該切断要求情報に対する応答情報(当該セッション切断情報に含まれる識別情報を含む)を、当該切断要求情報の送信元である移動局装置20に送信する。なお、当該応答情報を受信した移動局装置20は、以降、当該識別情報により識別されるセッションを用いて、他の装置とデータ通信を行うことができなくなる。
【0023】
データ転送部150は、応答情報送信部140からセッション確立情報を取得する。セッション確立情報を取得したデータ転送部150は、当該セッション(当該セッション確立情報に含まれる識別情報により識別されるセッション)を管理する管理情報(例えば、識別情報、IPアドレス、ポート番号)を記憶する。また、データ転送部150は、応答情報送信部140からセッション切断情報を取得する。セッション切断情報を取得したデータ転送部150は、該当するセッション(当該セッション切断情報に含まれる識別情報により識別されるセッション)の管理情報を削除(消去)する。
【0024】
また、データ転送部150は、移動局装置20からセッションを識別する識別情報とともにデータを受信する。データ転送部150は、移動局装置20からセッションを識別する識別情報とともにデータを受信した場合、保持している当該識別情報によって識別されるセッションに関する情報を用いて、接続確立部130がセッションを確立した他の装置に当該データを転送する。また、データ転送部150は、他の装置からデータを受信した場合に、当該他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を送信した移動局装置20に当該データを転送する。
【0025】
また、データ転送部150は、移動局装置20と他の装置と間のデータ転送実績情報(例えば、ユーザ情報、および、転送データ容量または接続時間)を課金情報生成部160へ供給する。なお、接続時間の一例は、セッションに管理情報を記憶していた時間である。
【0026】
課金情報生成部160は、テータ転送部150からデータ転送実績情報を取得する。データ転送実績情報を取得した課金情報生成部160は、データ転送実績情報を参照して(転送実績に応じて)、課金情報(通信履歴情報)を生成する。課金情報を生成した課金情報生成部160は、課金情報を課金情報送信部170へ供給する。課金情報送信部170は、課金情報生成部160から課金情報を取得する。課金情報を取得した課金情報送信部170は、当該課金情報を課金サーバ40へ送信する。
【0027】
図3は、移動局装置20の機能構成図である。移動局装置20は、図3に示すように、接続要求情報送信部200、応答情報取得部240およびデータ送受信部250を備える。なお、移動局装置20は、アンテナ(非図示)、システムLSI(ASIC)(非図示)、メモリ(非図示)などのハードウェア資源を有し、これらの資源が協業して機能としての上記各部を実行する。
【0028】
接続要求情報送信部200は、他の装置(無線通信システム1上の他の小型基地局装置10または移動局装置20。以下、図3の説明において同様)とのセッションの確立を要求する接続要求情報を、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10へ送信する。
【0029】
また、接続要求情報送信部200は、接続要求情報に加え、他の装置とのセッションの切断を要求する切断要求情報を、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10へ送信する。
【0030】
応答情報取得部240は、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10から、上記接続要求情報に対する応答情報(識別情報を含む)を取得する。なお、当該応答情報を受信した移動局装置20は、以降、当該識別情報により識別されるセッションを用いて、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10を介して、他の装置とデータ通信を行うことができるようになる。
【0031】
応答情報取得部240は、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10から、応答情報に加え、上記切断要求情報に対する応答情報(識別情報を含む)を取得する。なお、当該応答情報を受信した移動局装置20は、以降、当該識別情報により識別されるセッションを用いて、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10を介して、他の装置とデータ通信を行うことができなくなる。
【0032】
データ送受信部250は、上記切断要求情報に対する応答情報に含まれる識別情報とともにデータを、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10を介して他の装置に送信する。また、データ送受信部250は、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10を介して他の装置から、データを受信する。
【0033】
図4は、無線通信システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。移動局装置20aは、移動局装置20aを収容する小型基地局装置10aに接続要求情報を送信する(ステップS10)。例えば、移動局装置20aは、HTTPプロトコル、FTPプロトコル、PPPのLCP制御メッセージ、ICMPメッセージなどを用いて小型基地局装置10aに接続要求情報を通知する。なお、接続要求情報は、例えば、接続先のURI、メディア(ファイル、音声通信、動画など)、品質関連情報(品質レベルに関する情報など)、および、課金関連情報(接続時間の制限、データ容量の制限など)などから構成される。
【0034】
小型基地局装置10aは、SIPメッセージを用いて他の装置を検索する(ステップS20)。即ち、小型基地局装置10aは、分散ハッシュ表に基づき、対象となる他の装置のURIとメディアを特定する。なお、図4に示す例において、小型基地局装置10aは、小型基地局装置10dを検索(発見)している。
【0035】
小型基地局装置10aは、SIPメッセージを用いて、小型基地局装置10dとのセッションを確立する(ステップS30、50)。図4に示す例において、小型基地局装置10aは、移動局装置20dを収容した小型基地局装置10dとセッションを確立する。なお、ステップS30は確立要求であって、SIPメッセージには、メディアのみならず、品質情報なども含まれる。また、当該SIPメッセージは小型基地局認証時に取得した暗号に用いられる鍵が用いられる。ステップS50は確立要求に対する応答である。また、小型基地局装置10dは必要に応じて移動局装置20dと通信する(例えば、確立要求/応答メッセージの送受信)(ステップS40)
【0036】
小型基地局装置10aは、接続要求情報に対する応答情報(ポート番号を含む)を移動局装置20aに送信する(ステップS60)。例えば、動局装置20aからPPPのLCP制御メッセージやICMPメッセージによる接続要求情報を受信した場合、PPPのLCP制御メッセージやICMPメッセージを用いて応答情報を送信する。
【0037】
識別情報を用いて移動曲装置20aと小型基地局装置10dとがデータ通信を行う(ステップS70)。例えば、PPPのLCP制御メッセージやICMPメッセージが用いられた場合には指定されたポート番号へアクセスし、データを送受信する。この際、データは、小型基地局装置10aと小型基地局装置10dの間で一旦終端されたあと、移動局装置20aと小型基地局装置10aの間で送受信される。
【0038】
移動曲装置20aと小型基地局装置10dとがデータ通信が終了した場合、小型基地局装置10a、10dは、それぞれ課金情報(通信履歴)を課金サーバ40へ送信する(ステップS80、90)。
【0039】
即ち、無線通信システム1において、移動局装置20は、通常のHTTPアクセスやFTPアクセスにより、若しくは下位レイヤであるPPPリンクのLCP制御メッセージにより、小型基地局装置10(フェムトセル)内や他の移動局装置20内に存在するデータファイルなどのコンテンツ要求を、自身を収容する小型基地局装置10へ送信する。一方、小型基地局10は、移動局装置からのコンテンツ要求をSIPメッセージに変換し、P2P−SIPおよび分散ハッシュ表(DHT)を用いて、他の装置(接続先となる他の小型基地局20または移動局装置20)を特定(検索)する。SIPによる呼設定確立後のデータの送受信は、小型基地局装置10間で実行し、移動局装置20へは要求されたアプリケーション(HTTP、FTPなど)に従って実行する。データ送受信の完了後、小型基地局装置10は、IMS上の課金サーバ40に課金情報を送信する。
【0040】
以上、本実施形態によれば、移動局装置20にSIPプロトコルを実装することなく、コンテンツの検索、データ送受信などを行うことができる。また、小型基地局装置10が課金情報を生成し、ユーザ管理(課金管理)を厳密に行うことができる。なお、コンテンツを送受信は小型基地局装置10間において行われるため、基地局や網などを経由する送受信と違い、転送遅延やネットワーク負荷が生じ難い。
【0041】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態による無線通信システム1の模式図である。
【図2】小型基地局装置10の機能構成図である。
【図3】移動局装置20の機能構成図である。
【図4】無線通信システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0043】
1 無線通信システム 10 小型基地局装置10 移動局装置 30 課金サーバ 100 接続要求情報取得部 110 変換部 120 他装置検索部 130 接続確立部 140 応答情報送信部 150 データ転送部 160 課金情報生成部 200 接続要求情報送信部、240 応答情報取得部 250 データ送受信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置および無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
小型基地局装置(フェムトセルなど)を相互に連携したピアツーピア型のSIP(Session Initiation Protocol)による呼設定を行うネットワークにおいて、小型基地局装置に収容された移動局装置(ユーザ端末)が、コンテンツの検索、データ送受信などを行う技術が開発されている。上記ネットワークにおいては、移動局装置がSIPプロトコルを用いて小型基地局装置と通信し、小型基地局装置がSIPプロキシサーバとして通信先を検索する。
【非特許文献1】REsource LOcation And Discovery (RELOAD) Base Protocol, IETF draft, draft-ietf-p2psip-base-00
【非特許文献2】プロキシ型MOBIKEを用いたハンドオフ方式の提案と評価,” 情報処理学会, 研究報告, 2008-MBL-47 p.25-31
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記ネットワーク構成の場合、移動局装置は、小型基地局と通信するためにSIPプロトコルを実装しなければならないという問題がある(実装インパクト増大)。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、移動局装置にSIPプロトコルを実装することなく、コンテンツの検索、データ送受信などを行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するために、本発明の一態様である小型基地局装置は、SIPプロトコル非対応の移動局装置が使用するメッセージと、SIPプロトコル対応の基地局装置が使用するSIPメッセージとを変換する変換部と、移動局装置から他の装置との接続要求情報を取得する接続要求情報取得部と、SIPメッセージを用いて、他の装置を検索する他装置検索部と、SIPメッセージを用いて、他装置検索部によって検索された他の装置とのセッションを確立する接続確立部と、セッション確立後、接続要求情報に対する応答情報であって当該セッションを識別する識別情報を含む応答情報を移動局装置に送信する応答情報送信部と、移動局装置から識別情報とともにデータを受信した場合に、識別情報によって識別されるセッションを用いて他の装置にデータを転送し、他の装置からデータを受信した場合に、当該他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を送信した移動局装置にデータを転送するデータ転送部とを備えることを特徴とする。
【0005】
上記小型基地局装置は、テータ転送部によるデータの転送実績に応じて課金情報を生成する課金情報生成部を更に備えるようにしてもよい。
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様である無線通信システムは、SIPプロトコル対応の基地局装置とSIPプロトコル非対応の移動局装置とを含む無線通信システムであって、移動局装置は、他の装置との接続要求情報を基地局装置に送信する接続要求情報送信部と、基地局装置から、接続要求情報に対する応答情報であって他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を取得する応答情報取得部と、識別情報とともにデータを基地局装置に送信し、基地局装置からデータを受信するデータ送信部とを備え、基地局装置は、移動局装置が使用するメッセージと、基地局装置が使用するSIPメッセージとを変換する変換部と、移動局装置から接続要求情報を取得する接続要求情報取得部と、SIPメッセージを用いて、他の装置を検索する他装置検索部と、SIPメッセージを用いて、他装置検索部によって検索された他の装置とのセッションを確立する接続確立部と、セッション確立後、接続要求情報に対する応答情報であって識別情報を含む応答情報を移動局装置に送信する応答情報送信部と、移動局装置から識別情報とともにデータを受信した場合に、識別情報によって識別されるセッションを用いて他の装置にデータを転送し、他の装置からデータを受信した場合に、当該他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を送信した移動局装置にデータを転送するデータ転送部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動局装置にSIPプロトコルを実装することなく、コンテンツの検索、データ送受信などを行うことができる。また、基地局装置が課金情報を生成し、ユーザ管理(課金管理)を厳密に行うことができる。なお、コンテンツを送受信は基地局装置間において行われるため、基地局や網などを経由する送受信と違い、転送遅延やネットワーク負荷が生じ難い(効率的にコンテンツを送受信できる)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による無線通信システム1の模式図である。無線通信システム1は、図1に示すように、複数の小型基地局装置10(小型基地局装置10a、小型基地局装置10b、小型基地局装置10c、小型基地局装置10d。本発明の基地局装置の一例)、複数の移動局装置20(移動局装置20a、移動局装置20b、移動局装置20c、移動局装置20d)、課金サーバ30を備える。即ち、無線通信システム1は、P2P−SIPによるオーバーレイネットワークを構成し、小型基地局装置10間にてピアツーピア型ユーザ・コンテンツ検索を可能にしている。なお、小型基地局装置10は、「cdma2000 EVDO」のフェムトセルなどに適用可能である
【0009】
小型基地局装置10は、SIPプロトコルに対応している(SIPプロトコルを実装している)。一方、移動局装置20は、SIPプロトコルに対応していない(SIPプロトコルを実装していない)。
【0010】
小型基地局装置10間はIP通信可能である。小型基地局装置10間では、BittrentなどのDHTによるコンテンツのハッシュ表を参照し、分散的にユーザ管理やコンテンツ管理を実施する。また、小型基地局装置10間ではP2P−SIPにより、ユーザとのマルチメディアアプリケーションのセッション確立やファイル転送プロトコルなどを実現する。
【0011】
小型基地局装置10と移動局装置20間は、CDMAや無線LANなどの無線方式を用いる。例えばcdma2000のEVDOの場合、小型基地局装置10と移動局装置20間は、PPPが用いられ、PPP確立手順の中で、移動局装置20はIPアドレスなどを取得する。尚、小型基地局装置10は、接続時にオペレータのIMS(IP Multimedia Subsystem)により認証が実施され、暗号化に用いる鍵を取得する。なお、課金サーバ30は、例えば、IMS上に存在する。なお、図1において小型基地局装置の数は4個であるが、説明の便宜上であって、小型基地局装置の数は4個に限定されない。また、当然ではあるが、小型基地局装置と移動局装置は同数である必要もない。
【0012】
図2は、小型基地局装置10の機能構成図である。小型基地局装置10は、図2に示すように、接続要求情報取得部100、変換部110、他装置検索部120、接続確立部130、応答情報送信部140、データ転送部150および課金情報生成部160を備える。なお、小型基地局装置10は、アンテナ(非図示)、システムLSI(ASIC)(非図示)、メモリ(非図示)などのハードウェア資源を有し、これらの資源が協業して機能としての上記各部を実行する。
【0013】
接続要求情報取得部100は、移動局装置20から、他の装置(無線通信システム1上の他の小型基地局装置10または他の移動局装置20。図2の説明において同様)とのセッションの確立を要求する情報(以下、「接続要求情報」という)を取得する。接続要求情報を取得した接続要求情報取得部100は、当該接続要求情報を変換部110および応答情報返信部140へ供給する。
【0014】
また、接続要求情報取得部100は、接続要求情報に加え、移動局装置20から、他の装置とのセッションの切断を要求する情報(以下、「切断要求情報」という)を取得する。切断要求情報を取得した接続要求情報取得部100は、当該切断要求情報を変換部110および応答情報返信部140へ供給する。
【0015】
変換部110は、接続要求情報取得部100から接続要求情報を取得する。接続要求情報を取得した変換部110は、接続要求情報をSIPメッセージに変換する。即ち、変換部110は、SIPプロトコル非対応の移動局装置20が使用するメッセージ(例えば、接続要求情報、切断要求情報)と、SIPプロトコル対応の小型基地局装置10が使用するSIPメッセージとを変換する。例えば、変換部110は、移動局装置20からのHTTPのメッセージ、FTPのメッセージ、PPPのLCP制御メッセージ、ICMPのメッセージなどをSIPメッセージに変換する。接続要求情報をSIPメッセージに変換した変換部110は、当該SIPメッセージ(接続要求)を他装置検索部120へ供給する。
【0016】
また、変換部110は、接続要求情報取得部100から切断要求情報を取得する。切断要求情報を取得した変換部110は、切断要求情報をSIPメッセージに変換する。切断要求情報をSIPメッセージに変換した変換部110は、当該SIPメッセージ(切断要求)を接続確立部130へ供給する。
【0017】
他装置検索部120は、変換部110からSIPメッセージ(接続要求)を取得する。SIPメッセージ(接続要求)を取得した他装置検索部120は、SIPメッセージを用いて他の装置を検索する。他の装置を検索(発見)した他装置検索部120は、検索(発見)した他の装置を特定する情報を接続確立部130へ供給する。
【0018】
接続確立部130は、他装置検索部120から他の装置を特定する情報を取得する。他の装置を特定する情報を取得した接続確立部130は、SIPメッセージを用いて、当該他の装置とのセッションを確立する。他の装置とのセッションを確立した接続確立部130は、セッション確立を示す情報(以下、「セッション確立情報」という)を応答情報送信部140へ供給する。なお、セッション確立情報は、確立したセッションを識別する識別情報(例えば、ポート番号)を含む。なお、接続確立部130は、セッションを確立したときに、適当な識別情報を割り当てる。
【0019】
また、接続確立部130は、変換部110からSIPメッセージ(切断要求)を取得する。SIPメッセージ(切断要求)を取得した接続確立部130は、SIPメッセージを用いて、当該SIPメッセージによって示される他の装置とのセッションを切断(終了)する。他の装置とのセッションを切断した接続確立部130は、セッション切断を示す情報(以下、「セッション切断情報」という)を応答情報送信部140へ供給する。なお、セッション切断情報は、切断したセッションを識別する識別情報を含む。
【0020】
応答情報送信部140は、接続要求情報取得部100から接続要求情報または切断要求情報を取得する。また、応答情報送信部140は、接続確立部130からセッション確立情報またはセッション切断情報を取得する。
【0021】
接続要求情報およびセッション確立情報を取得した応答情報送信部140は、当該セッション確立情報をデータ転送部150に供給する。また、応答情報送信部140は、当該接続要求情報に対する応答情報(当該セッション確立情報に含まれる識別情報を含む)を、当該接続要求情報の送信元である移動局装置20に送信する。なお、当該応答情報を受信した移動局装置20は、以降、当該識別情報により識別されるセッションを用いて、他の装置とデータ通信を行うことができるようになる。
【0022】
切断要求情報およびセッション切断情報を取得した応答情報送信部140は、当該セッション切断情報をデータ転送部150に供給する。また、応答情報送信部140は、当該切断要求情報に対する応答情報(当該セッション切断情報に含まれる識別情報を含む)を、当該切断要求情報の送信元である移動局装置20に送信する。なお、当該応答情報を受信した移動局装置20は、以降、当該識別情報により識別されるセッションを用いて、他の装置とデータ通信を行うことができなくなる。
【0023】
データ転送部150は、応答情報送信部140からセッション確立情報を取得する。セッション確立情報を取得したデータ転送部150は、当該セッション(当該セッション確立情報に含まれる識別情報により識別されるセッション)を管理する管理情報(例えば、識別情報、IPアドレス、ポート番号)を記憶する。また、データ転送部150は、応答情報送信部140からセッション切断情報を取得する。セッション切断情報を取得したデータ転送部150は、該当するセッション(当該セッション切断情報に含まれる識別情報により識別されるセッション)の管理情報を削除(消去)する。
【0024】
また、データ転送部150は、移動局装置20からセッションを識別する識別情報とともにデータを受信する。データ転送部150は、移動局装置20からセッションを識別する識別情報とともにデータを受信した場合、保持している当該識別情報によって識別されるセッションに関する情報を用いて、接続確立部130がセッションを確立した他の装置に当該データを転送する。また、データ転送部150は、他の装置からデータを受信した場合に、当該他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を送信した移動局装置20に当該データを転送する。
【0025】
また、データ転送部150は、移動局装置20と他の装置と間のデータ転送実績情報(例えば、ユーザ情報、および、転送データ容量または接続時間)を課金情報生成部160へ供給する。なお、接続時間の一例は、セッションに管理情報を記憶していた時間である。
【0026】
課金情報生成部160は、テータ転送部150からデータ転送実績情報を取得する。データ転送実績情報を取得した課金情報生成部160は、データ転送実績情報を参照して(転送実績に応じて)、課金情報(通信履歴情報)を生成する。課金情報を生成した課金情報生成部160は、課金情報を課金情報送信部170へ供給する。課金情報送信部170は、課金情報生成部160から課金情報を取得する。課金情報を取得した課金情報送信部170は、当該課金情報を課金サーバ40へ送信する。
【0027】
図3は、移動局装置20の機能構成図である。移動局装置20は、図3に示すように、接続要求情報送信部200、応答情報取得部240およびデータ送受信部250を備える。なお、移動局装置20は、アンテナ(非図示)、システムLSI(ASIC)(非図示)、メモリ(非図示)などのハードウェア資源を有し、これらの資源が協業して機能としての上記各部を実行する。
【0028】
接続要求情報送信部200は、他の装置(無線通信システム1上の他の小型基地局装置10または移動局装置20。以下、図3の説明において同様)とのセッションの確立を要求する接続要求情報を、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10へ送信する。
【0029】
また、接続要求情報送信部200は、接続要求情報に加え、他の装置とのセッションの切断を要求する切断要求情報を、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10へ送信する。
【0030】
応答情報取得部240は、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10から、上記接続要求情報に対する応答情報(識別情報を含む)を取得する。なお、当該応答情報を受信した移動局装置20は、以降、当該識別情報により識別されるセッションを用いて、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10を介して、他の装置とデータ通信を行うことができるようになる。
【0031】
応答情報取得部240は、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10から、応答情報に加え、上記切断要求情報に対する応答情報(識別情報を含む)を取得する。なお、当該応答情報を受信した移動局装置20は、以降、当該識別情報により識別されるセッションを用いて、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10を介して、他の装置とデータ通信を行うことができなくなる。
【0032】
データ送受信部250は、上記切断要求情報に対する応答情報に含まれる識別情報とともにデータを、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10を介して他の装置に送信する。また、データ送受信部250は、当該移動局装置20を収容する小型基地局装置10を介して他の装置から、データを受信する。
【0033】
図4は、無線通信システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。移動局装置20aは、移動局装置20aを収容する小型基地局装置10aに接続要求情報を送信する(ステップS10)。例えば、移動局装置20aは、HTTPプロトコル、FTPプロトコル、PPPのLCP制御メッセージ、ICMPメッセージなどを用いて小型基地局装置10aに接続要求情報を通知する。なお、接続要求情報は、例えば、接続先のURI、メディア(ファイル、音声通信、動画など)、品質関連情報(品質レベルに関する情報など)、および、課金関連情報(接続時間の制限、データ容量の制限など)などから構成される。
【0034】
小型基地局装置10aは、SIPメッセージを用いて他の装置を検索する(ステップS20)。即ち、小型基地局装置10aは、分散ハッシュ表に基づき、対象となる他の装置のURIとメディアを特定する。なお、図4に示す例において、小型基地局装置10aは、小型基地局装置10dを検索(発見)している。
【0035】
小型基地局装置10aは、SIPメッセージを用いて、小型基地局装置10dとのセッションを確立する(ステップS30、50)。図4に示す例において、小型基地局装置10aは、移動局装置20dを収容した小型基地局装置10dとセッションを確立する。なお、ステップS30は確立要求であって、SIPメッセージには、メディアのみならず、品質情報なども含まれる。また、当該SIPメッセージは小型基地局認証時に取得した暗号に用いられる鍵が用いられる。ステップS50は確立要求に対する応答である。また、小型基地局装置10dは必要に応じて移動局装置20dと通信する(例えば、確立要求/応答メッセージの送受信)(ステップS40)
【0036】
小型基地局装置10aは、接続要求情報に対する応答情報(ポート番号を含む)を移動局装置20aに送信する(ステップS60)。例えば、動局装置20aからPPPのLCP制御メッセージやICMPメッセージによる接続要求情報を受信した場合、PPPのLCP制御メッセージやICMPメッセージを用いて応答情報を送信する。
【0037】
識別情報を用いて移動曲装置20aと小型基地局装置10dとがデータ通信を行う(ステップS70)。例えば、PPPのLCP制御メッセージやICMPメッセージが用いられた場合には指定されたポート番号へアクセスし、データを送受信する。この際、データは、小型基地局装置10aと小型基地局装置10dの間で一旦終端されたあと、移動局装置20aと小型基地局装置10aの間で送受信される。
【0038】
移動曲装置20aと小型基地局装置10dとがデータ通信が終了した場合、小型基地局装置10a、10dは、それぞれ課金情報(通信履歴)を課金サーバ40へ送信する(ステップS80、90)。
【0039】
即ち、無線通信システム1において、移動局装置20は、通常のHTTPアクセスやFTPアクセスにより、若しくは下位レイヤであるPPPリンクのLCP制御メッセージにより、小型基地局装置10(フェムトセル)内や他の移動局装置20内に存在するデータファイルなどのコンテンツ要求を、自身を収容する小型基地局装置10へ送信する。一方、小型基地局10は、移動局装置からのコンテンツ要求をSIPメッセージに変換し、P2P−SIPおよび分散ハッシュ表(DHT)を用いて、他の装置(接続先となる他の小型基地局20または移動局装置20)を特定(検索)する。SIPによる呼設定確立後のデータの送受信は、小型基地局装置10間で実行し、移動局装置20へは要求されたアプリケーション(HTTP、FTPなど)に従って実行する。データ送受信の完了後、小型基地局装置10は、IMS上の課金サーバ40に課金情報を送信する。
【0040】
以上、本実施形態によれば、移動局装置20にSIPプロトコルを実装することなく、コンテンツの検索、データ送受信などを行うことができる。また、小型基地局装置10が課金情報を生成し、ユーザ管理(課金管理)を厳密に行うことができる。なお、コンテンツを送受信は小型基地局装置10間において行われるため、基地局や網などを経由する送受信と違い、転送遅延やネットワーク負荷が生じ難い。
【0041】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態による無線通信システム1の模式図である。
【図2】小型基地局装置10の機能構成図である。
【図3】移動局装置20の機能構成図である。
【図4】無線通信システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0043】
1 無線通信システム 10 小型基地局装置10 移動局装置 30 課金サーバ 100 接続要求情報取得部 110 変換部 120 他装置検索部 130 接続確立部 140 応答情報送信部 150 データ転送部 160 課金情報生成部 200 接続要求情報送信部、240 応答情報取得部 250 データ送受信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIPプロトコル非対応の移動局装置が使用するメッセージと、SIPプロトコル対応の基地局装置が使用するSIPメッセージとを変換する変換部と、
前記移動局装置から他の装置との接続要求情報を取得する接続要求情報取得部と、
前記SIPメッセージを用いて、前記他の装置を検索する他装置検索部と、
前記SIPメッセージを用いて、前記他装置検索部によって検索された他の装置とのセッションを確立する接続確立部と、
前記セッション確立後、前記接続要求情報に対する応答情報であって当該セッションを識別する識別情報を含む応答情報を前記移動局装置に送信する応答情報送信部と、
前記移動局装置から前記識別情報とともにデータを受信した場合に、前記識別情報によって識別されるセッションを用いて前記他の装置に前記データを転送し、前記他の装置からデータを受信した場合に、当該他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を送信した前記移動局装置に前記データを転送するデータ転送部と
を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記テータ転送部による前記データの転送実績に応じて課金情報を生成する課金情報生成部を
更に備えることを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
SIPプロトコル対応の基地局装置とSIPプロトコル非対応の移動局装置とを含む無線通信システムであって、
前記移動局装置は、
他の装置との接続要求情報を前記基地局装置に送信する接続要求情報送信部と、
前記基地局装置から、前記接続要求情報に対する応答情報であって前記他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を取得する応答情報取得部と、
前記識別情報とともにデータを前記基地局装置に送信し、前記基地局装置からデータを受信するデータ送信部と
を備え、
前記基地局装置は、
前記移動局装置が使用するメッセージと、前記基地局装置が使用するSIPメッセージとを変換する変換部と、
前記移動局装置から前記接続要求情報を取得する接続要求情報取得部と、
前記SIPメッセージを用いて、前記他の装置を検索する他装置検索部と、
前記SIPメッセージを用いて、前記他装置検索部によって検索された他の装置とのセッションを確立する接続確立部と、
前記セッション確立後、前記接続要求情報に対する応答情報であって前記識別情報を含む応答情報を前記移動局装置に送信する応答情報送信部と、
前記移動局装置から前記識別情報とともにデータを受信した場合に、前記識別情報によって識別されるセッションを用いて前記他の装置に前記データを転送し、前記他の装置からデータを受信した場合に、当該他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を送信した前記移動局装置に前記データを転送するデータ転送部と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項1】
SIPプロトコル非対応の移動局装置が使用するメッセージと、SIPプロトコル対応の基地局装置が使用するSIPメッセージとを変換する変換部と、
前記移動局装置から他の装置との接続要求情報を取得する接続要求情報取得部と、
前記SIPメッセージを用いて、前記他の装置を検索する他装置検索部と、
前記SIPメッセージを用いて、前記他装置検索部によって検索された他の装置とのセッションを確立する接続確立部と、
前記セッション確立後、前記接続要求情報に対する応答情報であって当該セッションを識別する識別情報を含む応答情報を前記移動局装置に送信する応答情報送信部と、
前記移動局装置から前記識別情報とともにデータを受信した場合に、前記識別情報によって識別されるセッションを用いて前記他の装置に前記データを転送し、前記他の装置からデータを受信した場合に、当該他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を送信した前記移動局装置に前記データを転送するデータ転送部と
を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記テータ転送部による前記データの転送実績に応じて課金情報を生成する課金情報生成部を
更に備えることを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
SIPプロトコル対応の基地局装置とSIPプロトコル非対応の移動局装置とを含む無線通信システムであって、
前記移動局装置は、
他の装置との接続要求情報を前記基地局装置に送信する接続要求情報送信部と、
前記基地局装置から、前記接続要求情報に対する応答情報であって前記他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を取得する応答情報取得部と、
前記識別情報とともにデータを前記基地局装置に送信し、前記基地局装置からデータを受信するデータ送信部と
を備え、
前記基地局装置は、
前記移動局装置が使用するメッセージと、前記基地局装置が使用するSIPメッセージとを変換する変換部と、
前記移動局装置から前記接続要求情報を取得する接続要求情報取得部と、
前記SIPメッセージを用いて、前記他の装置を検索する他装置検索部と、
前記SIPメッセージを用いて、前記他装置検索部によって検索された他の装置とのセッションを確立する接続確立部と、
前記セッション確立後、前記接続要求情報に対する応答情報であって前記識別情報を含む応答情報を前記移動局装置に送信する応答情報送信部と、
前記移動局装置から前記識別情報とともにデータを受信した場合に、前記識別情報によって識別されるセッションを用いて前記他の装置に前記データを転送し、前記他の装置からデータを受信した場合に、当該他の装置とのセッションを識別する識別情報を含む応答情報を送信した前記移動局装置に前記データを転送するデータ転送部と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2010−153957(P2010−153957A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326825(P2008−326825)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]