説明

基材の処理方法

一般式I
【化1】


(式中、各変数は次のように定義される:
1は、直鎖状または分岐状のC1−C20−アルキル、または直鎖状または分岐状のCO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C−19−アルキルから選ばれ、
2は、それぞれの場合において、同一であるか異なり、C1−C3−アルキルから選ばれ、
3は、直鎖状または分岐状のC1−C20−アルキル、または直鎖状または分岐状のCO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルケニルから選ばれ、
xは、3〜20であり、
yは、1〜20であり、
xとyがいずれもゼロでない場合は、
aは、1〜3である)
で示される化合物を水性バインダー含有組成物中で使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記一般式I
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、各変数は次のように定義される:
1は、直鎖状または分岐状のC1−C20−アルキル、または直鎖状または分岐状のCO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルキルから選ばれ、
2は、それぞれの場合において、同一であるか異なり、C1−C3−アルキルから選ばれ、
3は、直鎖状または分岐状のC1−C20−アルキル、または直鎖状または分岐状のCO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルケニルから選ばれ、
xは3〜20であり、
yは1〜20であり、
xとyがいずれもゼロでない場合は、
aは1〜3である)
で示される化合物を水性バインダー含有組成物中で使用する方法に関する。
【0004】
本発明はさらに、一般式Iの化合物を含む水性バインダー含有組成物に関する。本発明はまた、本発明の水性バインダー含有組成物を用いて基材を、特に織物を処理する方法に関する。本発明はさらに、本発明の方法で処理された基材に関する。
【背景技術】
【0005】
多くの織物などの基材の処理方法において、一種以上のバインダーを含む水性組成物が塗布されている。その例としては、印刷ペーストまたは染色液での印刷、特に織物の場合はパッド染色液での印刷や、織物の被覆があげられる。もう一つの例は、繊維不織布ウェブへの結合剤の塗布である。
【0006】
処理する基材、特に織物は、水性バインダー含有組成物を利用することが多い。織物が印刷される時には、このような水性組成物が、例えば印刷ペーストであってもよい。一般的に、実際の処理工程に続いて、一段以上の工程からなり、通常乾燥キャビネットあるいは乾燥装置中で実施される少なくとも一工程を含む熱処理が施される。熱処理前に全く汚れや斑点がないように見えても、熱処理後の基材が斑点や汚れを示すことがしばしば見受けられる。多くの場合、これらの斑点や汚れは柔軟剤が集まったものである。印刷後の基材に快適な手触りを付与するために、多くの水性バインダー含有組成物は、その中に一種以上の柔軟剤を含んでいる。この種の柔軟剤は、しばしば、エステル、特にジカルボン酸エステル、例えばアジピン酸やテレフタル酸のアルキルエステルである。これらのアルキル基は、いろいろな種類の直鎖および分岐状の、非置換又は置換のアルキル基から選ぶことができる。しかしながら、少なくとも一種の乾燥キャビネットまたは乾燥装置内に、通常最初の(または唯一の)熱処理工程が行われる乾燥キャビネットまたは乾燥装置内に、付着物の形成が見られることが多く、精密分析の結果、これが可塑剤またはその分解物の残渣であることが明かとなった。印刷熱処理後の基材上の斑点や汚れの中には、柔軟剤の集合したものも見つかる。このような斑点や汚れは、美観的に好ましくないうえに、堅牢性、例えば耐擦過性を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、斑点や汚れが少なく、手触りが快適で、耐擦過性などの堅牢性に優れる基材の処理用の水性バインダー含有組成物を提供することである。本発明の他の目的は、斑点や汚れが少なく、手触りが快適で、耐擦過性などの堅牢性に優れる基材を製造するための基材の処理方法を提供することである。本発明のもう一つの目的は、特定の化合物の水性バインダー含有組成物中での利用を提供することである。本発明の最後の目的は、上述の特性をもつ基材処理物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、本目的が、冒頭に述べた使用方法により達成されることを見出した。この冒頭に述べた使用方法は、下記一般式Iで示される化合物に関する。
【0009】
【化2】

【0010】
式中、各変数は次のように定義される:
1は、直鎖状または分岐状の、無置換または好ましくは例えばヒドロキシル基またはケト基で一置換または多置換されたC1−C20−アルキル、例えばC1−C10−アルキル、好ましくはC10−C18−アルキル、より好ましくはC13−C15−アルキルから選ばれ、
具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、neo−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、iso−アミル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシルであり;
好ましくはn−デシル、iso−デシル、n−ウンデシル、iso−ウンデシル、n−ドデシル、iso−ドデシル、n−トリデシル、iso−トリデシル、n−テトラデシル、iso−テトラデシル、トリイソブテニル、テトライソブテニル、n−ペンタデシル、iso−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、iso−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、iso−ヘプタデシル、n−オクタデシル、iso−オクタデシルであり、より好ましくは直鎖状または分岐状の、C13−C15−アルキル、例えばn−トリデシル、iso−トリデシル、n−テトラデシル、iso−テトラデシル、n−ペンタデシル、iso−ペンタデシル、
またはCO−C1−C19−アルキル、好ましくはCO−C10−C19−アルキルであり、
例えばアセチル(CO−CH3)、プロピオニル(CO−C25)、n−ブチリル(CO−n−C37)、イソブチリル、n−バレロイル(CO−n−C49)、CO−n−C1021
好ましくはCO−n−C1123、CO−iso−C1123、CO−n−C1327、CO−iso−C1327、CO−n−C1531、CO−iso−C1531、CO−n−C1735、CO−iso−C1735、CO−n−C1939、CO−iso−C1939であり、好ましくはラウリル基(CO−n−C1123)、ミリスチル基(CO−n−C1325)、パルミチル(CO−n−C1531)、およびステアリル基(CO−n−C1734)であり、
または分岐状または好ましくは直鎖状のCO−C2−C19−アルケニル、例えば(メタ)アクリル、特にオレイン酸由来のカルボキシル基(cis−9−オクタデセン酸)、リノール酸(cis,cis−9、12−オクタデカジエン酸)またはリノレン酸(all−cis−9,12,15−オクタデカトリエン酸)であり、
2は、それぞれの場合において、同一または異なり、C1−C3−アルキルから選ばれ、具体的にはエチル、n−プロピル、iso−プロピル、特にメチルであり、
3は、C1−C20−アルキルから選ばれ、具体的にはn−デシル、iso−デシル、n−ウンデシル、iso−ウンデシル、n−ドデシル、iso−ドデシル、n−トリデシル、iso−トリデシル、n−テトラデシル、iso−テトラデシル、トリイソブテニル、テトライソブテニル、n−ペンタデシル、iso−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、iso−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、iso−ヘプタデシル、n−オクタデシル、iso−オクタデシル、n−エイコシルであり、好ましくは分岐状または好ましくは直鎖状のC1−C8−アルキル基、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、iso−アミル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルであり、より好ましくはC1−C4−アルキル、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルであり、より好ましくはエチル、さらにより好ましくはメチルであり、
または直鎖状または分岐状のCO−C1−C19−アルキル、例えばCO−CH3(アセチル)、CO−C25(プロピオニル)、CO−n−C37(ブチリル)、CO−iso−C37(iso−ブチリル)、CO−n−C511(バレロイル)、CO−iso−C511(iso−バレロイル)、またはステアロイルであり、
または分岐状または好ましくは直鎖状のCO−C2−C19−アルケニル、例えば(メタ)アクリル、特にオレイン酸由来のカルボキシル基(cis−9−オクタデセン酸)、リノール酸(cis,cis−9,12−オクタデカジエン酸)またはリノレン酸(all−cis−9,12,15−オクタデカトリエン酸)であり、
xは、0〜20、好ましくは3〜10であり、
yは、0〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは最大5であり、
xとyがいずれもゼロでない場合は、
aは、1〜3、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1である。
【0011】
1とR3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0012】
本発明のある好ましい実施様態においては、R1が、CO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルケニルから選ばれる場合、R3は、CO−C1−C19−アルキルから選ばれる。
【0013】
本発明のもう一つの好ましい実施様態においては、R1が、CO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルケニルから選ばれる場合、R3は、C1−C20−アルキルから、特にC1−C8−アルキルから選ばれる。
【0014】
本発明の一実施様態においては、一般式Iで示される化合物中の変数が次のように選ばれる:
1は、直鎖状または分岐状のC10−C18−アルキルから選ばれ、
2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、C1−C3−アルキルから選ばれ、
3は、直鎖状または分岐状のC1−C8−アルキルから選ばれ、
xは、3〜20であり、
yは、1〜20であり、
aは、1〜3である。
【0015】
一般式Iの化合物の製造は公知であり、例えば、最初に式R1−OHのアルコール(またはアルコール混合物)を例えば酸性触媒または塩基性触媒を用いてエトキシ化し、次いで一般式IIの化合物と反応させる多段プロセスで行われる:
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、R2は上述の通りであり、最終的に式R3−OHのアルコールでエーテル化されるか、R3基を転位可能ないずれか他のアルキル化剤と反応させられる。)
本発明の他の実施様態においては、一般式Iの化合物の製造は、式R1−OH(式中、R1は、CO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルケニルから選ばれる)の脂肪酸(または、脂肪酸混合物)または適当な誘導体、例えば相当するメチルまたはエチルエステルを、例えば酸性触媒または塩基性触媒を用いてエトキシ化し、次いで一般式IIの化合物と反応させ、最後に、式R3−OHのカルボン酸(R3は、CO−C1−C19−アルキルから選ばれる)でエステル化するかR3基を転位可能ないずれか他のアシル化剤と反応させる多段プロセスで行われる。
【0018】
本発明のさらに他の実施様態においては、一般式Iの化合物の製造は、一般式R1−OHのカルボン酸(R1は、CO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルケニルから選ばれる)または適当な誘導体、例えば相当するメチルまたはエチルエステルを、式HO(CH2CH2O)x(CHR2CH2O)y−R3の一方を保護したポリアルキレンオキシド(式中、R3は、C1−C20−アルキルから、特にC1−C8−アルキルから選ばれる)と反応させて行われる。
【0019】
これらの製造方法の特徴は、一般式Iの化合物が通常混合物として生成することである。したがって、もちろん個々の化合物のxとyは整数値であるが、混合物であるため、平均値であるxとyは、整数でない値をとってもよい。本発明の目的においては、一般式Iの化合物は、それぞれまた何時でも、本発明において用いられる混合物を意味するものとする。
【0020】
本発明の一実施様態においては、水性バインダー含有組成物が、染色液、塗料組成物、繊維不織布ウェブ結合剤から、特に印刷ペースト、例えば捺染用印刷ペーストから選ばれる。
【0021】
なお、染色液、特にパッド染色液とは、少なくとも一種の顔料を含む水性バインダー含有組成物であって、基材中に、特に織物中に染みこませて、その後熱処理するものとする。
【0022】
本発明の目的のための染色液は、一種以上の添加物、例えば湿潤剤や、脱泡剤、移染防止剤、手触り改善剤、架橋剤を含んでいてもよい。
【0023】
有用な湿潤剤(乳化剤としても作用する)としては、例えば、ノニオン性、アニオン性またはカチオン性の界面活性剤、特に脂肪アルコールのエトキシ化及び/又はプロポキシ化物、またはプロピレンオキシド−エチレンオキシドブロックコポリマー、またオレイン酸のエトキシレート類またはアルキルフェノール類、アルキルフェノールエーテルスルフェート類、アルキルポリグリコシド類、アルキルホスホネート類.アルキルフェニルホスホネート類、アルキルホスフェート類またはアルキルフェニルホスフェート類があげられる。
【0024】
連続顔料染色に用いられる乾いた繊維織布、糸、フィラメント、編布、または繊維不織布ウェブは、多量の空気を含んでいる。したがって、脱泡剤の利用が有利である。脱泡剤としては、例えばポリエーテルシロキサンコポリマー系のものがあげられる。これらが、本発明の染色液中に0.01〜2g/lの量で含まれていてもよい。
【0025】
染色液はさらに移染防止剤を含んでいてもよい。有用な移染防止剤としては、例えばエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーで、分子量Mnが500〜5000g/molの範囲のもの、好ましくは800〜2000g/molの範囲のものがあげられる。
【0026】
染色液は、さらに一種以上の手触り改善剤を含んでいてもよい。手触り改善剤は、通常ポリシロキサンまたはワックスを含んでいる。なお、ポリシロキサンは耐久性の面での利点を有しており、ワックスは使用中、徐々に洗い流される。
【0027】
本発明の染色液は、一種以上の架橋剤を含んでいてもよく、具体的には、少なくとも一種のアミノ含有化合物と少なくとも一種のアルデヒドまたはジアルデヒドと、必要に応じて少なくとも一種のアルコールとの縮合物、特にN,N’−ジメチロール−4,5−ジヒドロキシエチレンウレア(DMDHEU);1当量以上のC1−C4−アルカノールまたは1当量以上のエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールでエーテル化したDMDHEUのエーテル化物;あるいはDMDHEUやDMeDHEUの二量体を含んでいてもよい。他の好適な架橋剤としては、脂肪族のジイソシアネート系のトリイソシアヌレート、特にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のトリイソシアヌレートや例えば、ジ−、トリ−またはポリエチレングリコールのモノ−、C1−C4−アルキルエーテルのモノ−、C1−C4−アルキルエーテルで親水化されたトリイソシアヌレートが、特にHDIなどの脂肪族のジイソシアネーがあげられる。
【0028】
本発明の染色液は、通常、弱酸性のpHを、好ましくは4〜6.5の範囲のpHを示すか、例えばアンモニアで調整されて弱アルカリ性pH、例えば7.1〜9.5の範囲のpHを示す。本発明の染色液の粘度は、好ましくは100mPa・s未満の範囲である。染色液の表面張力は、濡れが良好となるように調整される。例えば、23℃で50mN/m未満の表面張力が有用である。
【0029】
本発明の一実施様態においては、典型的な本発明の染色液は、1リットルあたり以下の成分を含んでいる。
【0030】
0〜500g、好ましくは10〜200gのバインダー、
0〜100g、好ましくは0.1〜10の湿潤剤、
0〜100g、好ましくは0.1〜10gの脱泡剤、
0〜100g、好ましくは1〜50gの移染防止剤、
0〜100g、好ましくは1〜50gのレベリング剤、
0.005〜25g、好ましくは0.01〜12gの顔料、
0.5〜20g、好ましくは最高15g、より好ましくは1〜10gの一般式Iの化合物。
【0031】
本発明の目的の塗料組成物は、材料を、好ましくは合成または天然の有機ポリマーを、好ましくは織物基材に強固に塗布するのに利用できる。例えば、「基材と繊維のコーティング、繊維布帛塗布処理の方法」(Substrat− und Textilbeschichtung,Praxiswissen fur Textil−,Bekleidungs− und Beschichtungsbetriebe),Andreas Giessmann,Springer−Verlag Berlin Heidelberg 2003を参照。プロセスの構成によっては、この材料を、好ましくは一種以上の合成または天然の有機ポリマーを、ペースト、分散液、乳化液、プラスチゾル、オルガノゾルまたは溶融物として、好ましくは織物基材に塗布することができる。ある塗布装置が用いられるが、その例としては、パッドマングル、ナイフオーバーロールコーター、フローティングナイフコーター、ゴムブランケットコーター、支持型ナイフコーター、卓上型ナイフコーター、ワイヤ巻きつけナイフコーター、箱型断面ナイフコーター、コンマバー、逆ロールコーター、コントラコーター、ロールコーター、ダイレクトグラビア印刷コーター、キスコーター、回転スクリーン印刷、粉体塗装、噴霧、浸漬と含浸、ドット塗装とダブルドット塗装、発泡塗装があげられる。塗装またはラミネーションは、美観上または機能上の理由で行われる。
【0032】
本発明の目的の仕上げプロセスは、基材、例えば前処理(漂白)、染色または印刷後の基材を、販売可能な最終製品状態に変換する繊維加工操作の一部となる。これらのプロセスは、通常連続シート状の織布または編布が連続処理にかけられる機械的な非耐久性で洗濯耐久性の仕上げプロセスである。最も重要な部分は、化学仕上げであり、樹脂仕上げまたはイージーケア仕上げとも呼ばれている。樹脂仕上げまたはイージーケア仕上げとしては、例えば無アイロン防しわ防収縮イージーケア・ウォッシュアンドウェア仕上げがあげられる。樹脂仕上げまたはイージーケア仕上げでは、自己反応性の化学物質、例えば少なくとも部分架橋したセルロース分子が用いられる。樹脂仕上げまたはイージーケア仕上げ用の化学物質としては、N,N’−ジメチロール−4,5−ジヒドロキシエチレンウレア(「DMDHEU」)、1当量以上のC1−C4−アルカノールまたは1当量以上のエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールでエーテル化したDMDHEUのエーテル化物、DMDHEUとDMeDHEUの二量体があげられる。
【0033】
発泡塗装を行う場合、塗料組成物には少なくとも一種の発泡剤が加えられる。特に好適な発泡剤としては、ステアリン酸アンモニウムと1,3−ビス(2,6−ジメチルフェノキシ)−2−プロパノールx18エチレンオキシドの混合物、例えば1:1の混合比(質量換算で)の混合物があげられる。
【0034】
本発明の印刷ペーストは、粘性変化のない水溶配合物であることが好ましい。本発明で用いる印刷ペーストの20℃での、DIN−ISO2555の方法による動的粘度は、例えば50〜150dPa・sの範囲であり、好ましくは60〜100dPa・sの範囲であり、もう一つの実施様態においては10〜55dPa・sの範囲である。
【0035】
本発明の目的の印刷ペーストは、種以上の着色剤を、好ましくは一種以上の顔料を含んでいてもよい。
【0036】
本発明の目的の顔料は、ドイツ工業規格DIN55944の定義に合致する、実質的に不溶性の分散微粉状の有機または無機着色剤である。好適な顔料は、無機顔料であってもよい。他の好適な顔料は、未変性または変性のカーボンブラックから選ばれる。
【0037】
無機顔料の具体例としては、
酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、鉛白、硫酸鉛、チョーク、二酸化チタン;
黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、クロムイエロー、クロム酸鉛、バナジン酸ビスマス、ネープルスイエローまたは亜鉛黄ウルトラマリンブルー、コバルト青、マンガン青、紺青、ウルトラマリングリーン、コバルトグリーン、酸化クロム(酸化クロムグリーン);
ウルトラマリンバイオレット、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット;
ウルトラマリンレッド、モリブデートレッド、クロムレッド、カドミウムレッド;
酸化鉄ブラウン、クロム鉄ブラウン、亜鉛鉄ブラウン、マンガンチタンブラウン;
黒色酸化鉄、鉄マンガンブラック、スピネルブラック、カーボンブラック;
オレンジスピネル、コランダム類、カドミウムオレンジ、クロムオレンジ、モリブデン酸鉛;
アルミニウムまたはCu/Zn合金があげられる。
カーボンブラック、黄色酸化鉄や酸化鉄ブラウン、黒色酸化鉄などの酸化鉄顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが好ましい。
【0038】
顔料は、好ましくは有機顔料または金属顔料から選ばれる。
【0039】
有機顔料の具体例としては、次のものがあげられる:
モノアゾ顔料:C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントオレンジ5、13、36、および67;C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、8、9、12、17、22、23、31、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、52:1、52:2、53、53:1、53:3、57:1、63、112、146、170、184、210、245、および251;C.I.ピグメントイエロー1、3、73、74、65、97、151、および183;
ジスアゾ顔料:C.I.ピグメントオレンジ16、34、および44;C.I.ピグメントレッド144、166、214、および242;C.I.ピグメントイエロー12、13、14、16、17、81、83、106、113、126、127、155、174、176、および188;
アントアントロン顔料:C.I.ピグメントレッド168(C.I.バットオレンジ3);
アントラキノン系顔料:C.I.ピグメントイエロー147および177;C.I.ピグメントバイオレット31;
アントラキノン系顔料:C.I.ピグメントイエロー147および177;C.I.ピグメントバイオレット31;
アントラピリミジン顔料:C.I.ピグメントイエロー108(C.I.バットイエローの20);
キナクリドン顔料:C.I.ピグメントレッド122、202、および206;
C.I.ピグメントバイオレット19;
キノフタロン顔料:C.I.ピグメントイエロー138;
ジオキサジン顔料:C.I.ピグメントバイオレット23および37;
フラバントロン顔料:C.I.ピグメントイエロー24(C.I.バットイエロー1);
インダントロン顔料:C.I.ピグメントブルー60(C.I.バットブルー4)および64(C.I.バットブルー6);
イソインドリン顔料:C.I.ピグメントオレンジ69;C.I.ピグメントレッド260;C.I.ピグメントイエロー139および185;
イソインドリノン顔料:C.I.ピグメントオレンジ61;C.I.ピグメントレッド257および260;C.I.ピグメントイエロー109、110、173、および185;
イソビオラントロン顔料:C.I.ピグメントバイオレット31(C.I.バットバイオレット1);
金属錯体顔料:C.I.ピグメントイエロー117、150、および153;
C.I.ピグメントグリーン8;
ペリノン顔料:C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.バットオレンジ7);C.I.ピグメントレッド194(C.I.バットレッド15);
ペリレン顔料:C.I.ピグメントブラック31および32;C.I.ピグメントレッド123、149、178、179(C.I.バットレッド23)、190(C.I.バットレッド29)、および224;C.I.ピグメントバイオレット29;
フタロシアニン顔料:C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、および16;C.I.ピグメントグリーン7および36;
ピラントロン顔料:C.I.ピグメントオレンジ51;C.I.ピグメントレッド216(C.I.バットオレンジ4);
チオインジゴ顔料:C.I.ピグメントレッド88および181(C.I.バットレッド1);C.I.ピグメントバイオレット38(C.I.バットバイオレット3);
トリアリールカルボニウム顔料:C.I.ピグメントブルー1、61、および62;C.I.ピグメントグリーン1;C.I.ピグメントレッド81、81:1、および169;C.I.ピグメントViolet1、2、3、および27;C.I.ピグメントブラック1(アニリン黒色);C.I.ピグメントイエロー101(アルダジンイエロー)、C.I.ピグメントブラウン22。
【0040】
特に好ましい顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントブルー15:3と15:4、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントオレンジ5、38、および43、さらにC.I.ピグメントグリーン7があげられる。
【0041】
他の好適な顔料は、金青銅や銀青銅などの金属性顔料、イリオジン顔料、雲母である。
【0042】
印刷ペースト中の顔料の平均径は、通常20nm〜1.5μmの範囲であり、好ましくは100〜300nmの範囲である。
【0043】
本発明の一実施様態においては、顔料が、球状または実質的に球状の粒子として存在し、最大径と最小径の比は1.0〜2.0の範囲であり、好ましくは最高1.5である。
【0044】
顔料は、好ましくは本発明の目的の印刷ペーストに顔料配合物の形で添加される。顔料配合物は、通常20〜60重量%の顔料と、水と一種以上の界面活性化合物、例えば一種以上の乳化剤、例えば多重にアルコキシル化されたC10−C30−アルカノールを含んでいる。
【0045】
本発明の目的の印刷ペーストは、さらに少なくとも一種の増粘剤(濃厚剤ともいう)を含んでいてもよく、水性の増粘剤が好ましい。天然または合成の増粘剤が使用できる。合成増粘剤の使用が、具体的には合成ポリマーを例えばホワイト油に溶解した一般に液状の溶液あるいは水溶液の使用が好ましい。これらの合成ポリマーは、アンモニアで完全中和にまたは部分中和された酸基を含んでいる。固定作業中にアンモニアが放出され、pHを下げて、実際の固定を開始させる。この固定のために必要なpH低下を、不揮発性酸の添加で、例えばクエン酸やコハク酸、グルタル酸、リンゴ酸の添加で行ってもよい。また、リン酸一水素塩やリン酸二水素塩、具体的にはリン酸一水素二アンモニウムも好ましい。
【0046】
本発明の目的の印刷ペーストは、特に20〜40重量%のホワイト油を含んでいてもよい。水性の増粘剤は、通常最高で25重量%のポリマーを含んでいる。増粘剤水性組成物を使用する場合には、通常アンモニア水を添加する。同様に、増粘剤の顆粒状固体配合物の使用により、廃棄物なしに顔料プリントを製造することが可能となるであろう。
【0047】
特に好ましい合成増粘剤の例としては、85〜95重量%のアクリル酸、4〜14重量%のアクリルアミド、および0.01〜1重量%の下記式III
【0048】
【化4】

で示される(メタ)アクリルアミド誘導体(分子量Mwが100000〜2000000g/molの範囲にあり、それぞれ式中のR4がメチルと特に水素から選ばれるもの)を含むコポリマーがあげられる。
【0049】
本発明の目的のバインダーは、エマルジョン状態または分散状態にあるフィルム形成性ポリマー(コポリマーを含む)である。
【0050】
有用なバインダーは、分散液や乳化液だけでなく、(コ)ポリマーのオルガノゾル、具体的にはポリアクリレート、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、これらのコポリマーのオルガノゾルである。ポリアクリレートやポリウレタンの分散液または乳化液が好ましい。
【0051】
好適なポリアクリレート、すなわち好適な本発明の目的のバインダーは、このようなコポリマーであり、特に、少なくとも一種の、モノエチレン性不飽和カルボン酸、またはマレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸または好ましくは(メタ)アクリル酸などのジカルボン酸と、少なくとも一種のコモノマーとの、具体的には、少なくとも一種のモノエチレン性不飽和カルボン酸またはジカルボン酸のC1−C10−アルキルエステル、特にメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレート、及び/又は例えばパラメチルスチレン、α−メチルスチレン、特にスチレンから選ばれるビニル芳香族化学物や、(メタ)アクリルアミドやメタ)アクリロニトリルなどの窒素系のコモノマーから選ばれる少なくとも一種の他のコモノマーとの乳化コポリマーである。
【0052】
本発明の一実施様態においては、バインダーとして有用なポリアクリレートは、グリシジル(メタ)アクリレートとアセトアセチル(メタ)アクリレートとN−メチロール(メタ)アクリルアミド共重体とから選ばれる少なくとも一種の反応性のコモノマーを含んでいる。
【0053】
好適なポリウレタン、すなわち本発明の目的に好適なバインダーは、少なくとも一種のポリエステロール(例えば、コハク酸、グルタル酸、特にアジピン酸などの脂肪族のジカルボン酸の縮合物)と、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコールまたはジエチレングリコールなどの少なくとも一種の脂肪族ジオールと、ジイソシアネートまたはポリイソシアネート、さらには適当なら他の反応物とを反応させて得られるヒドロキシル末端のポリウレタンである。好適なジイソシアネートは、脂肪族やシクロ脂肪族や芳香族のジイソシアネートであり、特に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)や、ドデカメチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトシクロヘキシルメタン(MDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)などの芳香族のジイソシアネートである。
【0054】
他の反応物の例としては、ジオール、特に1,4−ブタンジオールや、酸官能性分子、特に酸官能性ジオールや酸官能性ジアミン、例えば3,3−ジヒドロキシメチロールプロピオン酸や下記式VIIで示される化合物が挙げられる。
【0055】
【化5】

【0056】
本発明によれば、一般式Iの化合物は水性バインダー含有組成物に使用することができ、この組成物を用いて、いずれか所望の基材を、例えば木材や紙、高分子フィルム(例えば、ポリエチレンまたはポリエステルのフィルム)、皮革、人工皮革、厚紙や板紙を処理する(好ましくは塗布や印刷する)ことができる。
【0057】
本発明のある好ましい実施様態においては、水性バインダー含有組成物が、印刷ペーストを、特に捺染用印刷ペーストを含んでいる。本発明の目的の織物基材は、紡織繊維、織物中間体や最終製品、及びこれらから製造される加工製品であり、これらは、単にアパレル産業用の織物だけでなく、例えばカーペットなど家庭用織物や工業用織物構造物も含んでいる。これらは、ステープルのような不定形構造物、撚り糸やフィラメント、ヤーン、ライン、紐、レース、ブレード、コードなどの線状構造物、さらにはフェルトや織布、不織布、詰綿などの三次元構造物を含んでいる。織物は、綿、羊毛または亜麻のような天然物であっても、ポリアミド、ポリエステル、変性ポリエステル、ポリエステルブレンド布、ポリアミドブレンド布、ポリアクリロニトリル、トリアセテート、アセテート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステルマクロファイバー、ガラス繊維布などの合成物であってもよい。本発明の目的の織物は、好ましくはシート状の織物である。
【0058】
本発明の一実施様態においては、印刷ペーストが少なくとも一種のノニオン性界面活性剤を含んでいる。通常使用されるノニオン性界面活性剤は、例えば、エトキシ化モノ−、ジ−、およびトリ−C4−C12−アルキルフェノール類(エトキシ化度:3〜50)やエトキシ化C8−C36脂肪アルコール類(エトキシ化度:3〜80)である。従来より使用されているノニオン性界面活性剤は、例えばルテンソル(R)としてBASF社から販売されている。
【0059】
本発明の一実施様態においては、水性バインダー含有組成物が、ジカルボン酸のアルキルエステルを、特に脂肪族、シクロ脂肪族または芳香族ジカルボン酸のジ−C1−C20−アルキルエステルを含んでいない。本発明の目的の脂肪族やシクロ脂肪族、芳香族ジカルボン酸は、例えば、アジピン酸や、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸である。ジカルボン酸はまた、例えばメリット酸などのポリカルボン酸を含んでいる。本発明においては、ジカルボン酸のアルキルエステルは、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの重縮合で得られる、例えばアジピン酸またはコハク酸と1,2−プロパンジオールから得られる、Mwが好ましくは200〜5000g/molである低分子量ポリエステルを包含している。
【0060】
「ジカルボン酸のアルキルエステルを含まない」とは、該当する水性バインダー含有組成物中のジカルボン酸アルキルエステルの含有量が0.5重量%未満であること、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満、例えば、10重量ppm〜100重量ppmであることを意味する。
【0061】
上述のように、水性バインダー含有組成物中で一種以上の一般式Iの化合物を使用すると、一般的には非常に保存安定性の高い配合物が得られ、これを用いて、基材を非常に効率よく処理できるようになり、特に織物を斑点や汚れなしに印刷できるようになる。
【0062】
本発明は、さらに、下記一般式I
【0063】
【化6】

【0064】
(式中、各変数は次のように定義される:
1は、直鎖状または分岐状のC1−C20−アルキル、好ましくはC10−C18−アルキル、より好ましくはC13−C15−アルキルから選ばれるか、直鎖状または分岐状のCO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルケニルから選ばれ、
2は、それぞれの場合において、同一であるか異なり、C1−C3−アルキルから選ばれ、特にメチルであり、
3は、直鎖状または分岐状のC1−C20−アルキル、好ましくはC1−C8−アルキル、好ましくはC1−C4−アルキル、より好ましくはエチル、最も好ましくはメチルから選ばれるか、
直鎖状または分岐状のCO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルケニルから選ばれ、
xは、0〜20、好ましくは3〜10であり、
yは、0〜20、好ましくは最大10、より好ましくは最大5であり、
xとyがいずれも0でない場合は、
aは、1〜3であり、好ましくは1〜3の範囲の整数であり、より好ましくは1である)
で示される化合物を一種以上含む水性バインダー含有組成物、好ましくは印刷ペーストを提供する。
【0065】
これらの変数は、上述のとおりである。
【0066】
本発明の一実施様態においては、一般式Iの化合物中の変数は、それぞれ次のように選択される。
【0067】
1は、直鎖状または分岐状のC10−C18−アルキルから選ばれ、
2は、それぞれの場合において、同一であるか異なり、C1−C3−アルキルから選ばれ、
3は、直鎖状または分岐状のC1−C8−アルキルから選ばれ、
xは3〜20であり、
yは1〜20であり、
aは1〜3である。
【0068】
本発明の水性バインダー含有組成物の実施様態を、数多く上に述べた。
【0069】
本発明の印刷ペーストは、好ましくは粘度が変わらない水溶性組成物である。本発明で用いる印刷ペーストの、例えばDIN−ISO2555によって求められる20℃での動的粘度は、例えば50〜150dPa・sの範囲であり、好ましくは60〜100dPa・sの範囲であり、他の実施様態では10〜55dPa・sの範囲である。
【0070】
本発明の水性バインダー含有組成物、特に印刷ペーストの塗料組成物は、一種以上の増粘剤(濃厚剤)を含んでいてもよい。好適な濃厚剤の例は上述のとおりである。他の好適な濃厚剤の例は、WO05/12378に記載のようなエチレン性不飽和モノマーからなる水溶性ポリマーである。
【0071】
本発明の一実施様態においては、本発明の水性バインダー含有組成物、特に染色液または印刷ペーストは、一種以上の着色剤、特に一種以上の顔料を含み、これらの顔料は上述のとおりである。
【0072】
本発明の一実施様態においては、本発明の水性バインダー含有組成物、特に印刷ペーストが、一種以上のノニオン性界面活性剤を含んでいる。好適なノニオン性界面活性剤の例は、上述したとおりである。
【0073】
本発明の一実施様態においては、本発明の水性バインダー含有組成物、また特に本発明の印刷ペーストは、ジカルボン酸のアルキルエステルを含んでいない。なお、「ジカルボン酸のアルキルエステルを含まない」は、上述のとおりである。
【0074】
本発明の水性バインダー含有組成物、特に本発明の印刷ペーストは、上述の成分に加えて、一種以上の添加物、例えば堅牢性改善剤、手触り改善剤、脱泡剤、湿潤剤、レベリング剤、錯化剤などの水柔軟剤、定着剤、乳化剤、グリセロールや尿素などの保水剤、殺菌剤や難燃剤などの活性成分を含んでいてもよい。
【0075】
好適な堅牢性改善剤としては、例えば室温で液体のシリコーン油やポリシロキサン類があげられる。本発明のある好ましい実施様態では、堅牢性改善剤が過剰に用いられている。
【0076】
好適な脱泡剤としては、例えばシリコーン−含有脱泡剤、例えば式HO−(CH23−Si(CH3)[OSi(CH332で表される化合物で、非アルコキシル化のものまたは最高20当量のアルキレンオキシド(特にエチレンオキシド)でアルコキシル化されたものがあげられる。シリコーンを含まない脱泡剤も好適であり、その例としては、多重にアルコキシル化されたアルコール類、例えばアルコキシ化脂肪族アルコール類、好ましくは2〜50重にエトキシ化されたものがあげられ、より好ましくは非分岐のC10−C20−アルカノール類、非分岐のC10−C20−アルカノール類や2−エチルヘキサン−1−オールが挙げられる。他の好適な脱泡剤としては、は脂肪酸C8−C20−アルキルエステル類、好ましくはC10−C20−アルキルステアレート類であり、上記のC8−C20−アルキル、好ましくはC10−C20−アルキルは、非分岐状であっても分岐状であってもよい。
【0077】
好適な湿潤剤としては、例えばノニオン性、アニオン性またはカチオン性の界面活性剤があげられ、特にプロピレンオキシド−エチレンオキシドブロックコポリマーの脂肪アルコールのエトキシ化及び/又はプロポキシ化物、エトキシ化またはプロポキシ化油脂類またはオキソ法アルコール類、またオレイン酸エトキシ化物またはアルキルフェノール類、アルキルフェノールエーテルスルフェート類、アルキルポリグリコシド類、アルキルホスホネート類、アルキルフェニルホスホネート類、アルキルホスフェート類またはアルキルフェニルホスフェート類があげられる。
【0078】
好適なレベリング剤としては、例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーで、分子量Mnが500〜5000g/molの範囲、好ましくは800〜2000g/molの範囲にあるものがあげられる。極めて好ましくは、プロピレンオキシド/エチレンオキシドのブロックコポリマーで、例えば式EO8PO7EO8(式中、EOはエチレンオキシドであり、POはプロピレンオキシドである)で示されるものである。
【0079】
好適な錯化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸の四ナトリウム塩、ニトリロ三酢酸の三ナトリウム、および、アルカリ金属のホスホン酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩があげられる。
【0080】
好適な定着剤の例としては、アルコキシル化やアルコキシアルキル化、ヘミアミナール化されていてもよいメラミン誘導体類、親水化されたイソシアヌレート類、分子当たり2〜5個のグリシジル基を有するポリグリシジルエーテル類、カルボジイミド類、適当ならアミナール化またはヘミアミナール化していてもよい尿素または尿素誘導体類があげられる。
【0081】
極めて好ましい定着剤は、カルボジイミド類であり、特に高分子状カルボジイミド類である。高分子状カルボジイミドは、例えば、少なくとも一種の芳香族のジイソシアネート(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートまたは1,7−ナフチレンジイソシアネート)または少なくとも一種の脂肪族またはシクロ脂肪族カルボジイミド(例えば、イソホロンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、2,4−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)の縮合または重縮合により得られる。
【0082】
好ましい高分子状カルボジイミドは、少なくとも一種の芳香族のジイソシアネート(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、または1,7−ナフチレンジイソシアネート)と少なくとも一種の脂肪族またはシクロ脂肪族カルボジイミド(例えば、イソホロンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、2,4−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、および4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)の縮合または重縮合で得られるコポリカルボジイミドである。
【0083】
極めて好ましいのは、m−TMXDI、p−TMXDI、
【0084】
【化7】

あるいは、m−TMXDIとp−TMXDIの混合物の重縮合で得られる高分子状カルボジイミドであり、分子当たり2〜20個、好ましくは最大15個、より好ましくは最大10個の−N=C=N−基を有するものである。
【0085】
上記の高分子状カルボジイミドは、一種以上のジオールを組合わせると特に効果的であり、このようなジオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、平均分子量Mnが200〜5000g/molの範囲のポリエチレングリコール、平均分子量Mnが200〜5000g/molの範囲のポリプロピレングリコール、平均分子量Mnが200〜5000g/molの範囲のポリテトラヒドロフラン、エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー、特にエチレンオキシドとプロピレンオキシドブロックコポリマーがあげられる。
【0086】
他の適当なものとしては、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ビフェニルジオール、ヒドロキノンジ−(para−ヒドロキシベンゾエート)、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール類や、上記の芳香族ジオールのアルコキシル化物、特にエトキシ化物やプロポキシ化物、例えば一般式IV
【0087】
【化8】

【0088】
(式中、各変数は次のように定義される:
Aは、1〜40個の炭素原子を有する、好ましくは2〜30個の炭素原子を有する2価の有機基であり、好ましくは有機ジオール、特に好ましくは少なくとも一個の、好ましくは少なくとも2個のフェニル環を有し、置換基を有してもよい有機基、例えばpara−O−C64−O−、para,para’−O−C64−C64−O−、para,para’−O−C64−C(CH32−C64−O−であり、
AOは、C2−C4−アルキレンオキシドから選ばれ、例えばブチレンオキシド、特にエチレンオキシドCH2CH2O(EO)とプロピレンオキシドCH2C(CH3)O(PO)から選ばれ、
nは、それぞれ異なるか好ましくは同一であり、0〜50の範囲の、好ましくは2〜20、より好ましくは3〜15の範囲の数字から選ばれる)で示される化合物が挙げられる。
【0089】
下記式V
【0090】
【化9】

で示される化合物が好ましい。
【0091】
本発明の印刷ペーストは、一種以上の乳化剤を含んでいてもよい。好適な乳化剤は、好ましくはノニオン性である。ノニオン性乳化剤の例としては、一重または多重にアルコキシル化された、好ましくはプロポキシ化された、特に、多重に、例えば3〜100重にエトキシ化された脂肪アルコール類、オキソ法アルコール類、特にアリールポリグリコールエーテル類であり、例えば式VIa〜VIcで示されるものがあげられる。
【0092】
【化10】

【0093】
(式中、各変数は次のように定義される:
Ar:それぞれ異なるか、好ましくは同一であり、無置換またはモノ置換または多置換のC6−C14−アリール(例えばフェニル、ナフチルまたはフェナントリル)であり、特に、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル等のC1−C4−アルキルで置換されたもの、またはアルキルアリール、例えばスチリルで置換されたものであり;好ましい置換フェニル基は、C1−C4−アルキルでそれぞれ2,6置換または2,4,6置換されたものである。
【0094】
t:それぞれ異なって、または好ましくは同一であり、1〜100の範囲の数字、好ましくは2〜50、より好ましくは3〜20の範囲の数字から選ばれる。)
本発明の一実施様態においては、本発明の水性バインダー含有組成物、特に本発明の印刷ペーストは、0.01〜7重量%の、特に0.11%〜4重量%、より好ましくは0.5〜2重量%の一般式Iの化合物を含んでいる。
【0095】
本発明のある具体的な実施様態において、本発明の印刷ペーストは、以下のものを含んでいる:
0.01〜7重量%、好ましくは0.11〜4重量%、より好ましくは0.5〜2重量%の一般式Iの化合物、
0.0001〜15重量%の顔料、
最大10重量%、好ましくは0.001%〜8重量%の濃厚剤、
1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%のバインダー、および
全部で0.1〜6重量%、好ましくは0.5〜3重量%の他の添加物。
なお、重量%は、本発明の印刷ペースト全体に対する値である。残りは水であることが好ましい。
【0096】
本発明の一実施様態においては、本発明の水性バインダー含有組成物、特に本発明の印刷ペースト中の固体含量は、3〜20.5重量%の範囲、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
【0097】
本発明の一実施様態においては、本発明の水性バインダー含有組成物、特に本発明の印刷ペーストのpHは、7〜11の範囲、好ましくは最高で9である。
【0098】
本発明の印刷ペーストは、広い種類の基材の印刷に有用である。これらの基材の例としては、木材や、紙、例えばポリエチレンやポリエステル製の高分子フィルム、皮革、人工比較、厚紙や板紙があげられる。
【0099】
本発明のある好ましい実施様態において、本発明の印刷ペーストは、捺染用印刷ペーストを含んでいる。「織物」は、上に定義したとおりである。本発明の目的の織物は、好ましくはシート状構造の織物、別称ではシート状織物を含んでいる。
【0100】
本発明の印刷ペーストを基材は、特に織物の印刷に用いられると、斑点や汚れのない、優れた手触りと堅牢性、例えば耐擦過性を備えた印刷基材を提供することができる。
【0101】
本発明はまた、複数の、例えば少なくとも2種の、好ましくはそれぞれ色の異なる着色剤を含む本発明の印刷ペーストの組合わせを提供する。このような本発明の印刷ペーストの組合せにより、例えば多色印刷物の製造が可能となる。本発明はまた、少なくとも一種の本発明の水性バインダー含有組成物を用いる、基材、特に織物の処理方法(以下、本発明の処理方法と称す)を提供する。本発明の処理方法の様態の実施に関する詳細は、すでに述べたとおりである。
【0102】
本発明はさらに、少なくとも一種の本発明の印刷ペーストを用いる、基材、特に織物の印刷方法を提供する。本発明の基材の印刷方法を、以降、本発明の印刷方法とよぶ。
【0103】
印刷は、従来法で、例えばスクリーン印刷方法で実施できる。
【0104】
本発明の一実施様態の印刷プロセスを以下に記載する。
【0105】
本発明の印刷方法は、前処理のない基材あるいは従来どおりの前処理を行った基材を用いて実施される。例えば、綿基材は、前処理していても、特に漂白していてもよい。
【0106】
次いで、本発明の印刷ペーストを、例えばスキージーを用いて印刷する。印刷は均一であってもよいし、あるいは基材が一種以上の模様に印刷されてもよい。
【0107】
本発明の一実施様態においては、本発明の印刷ペーストで基材を実際に印刷後、一段以上の処理工程により熱処理する。例えば、熱的に乾燥し及び/又は熱的に固定し乾燥温度は70〜120℃の範囲が、乾燥時間は30秒〜30分の範囲が好ましい)及び/又は、適当なら乾燥運転の後に、固定する(温度は140℃〜200℃の範囲で、時間が30秒〜15分)ことができる。いずれの場合も、熱処理時間と温度は、印刷される基材に合わせる。上記の温度は、いずれの場合も、加熱媒体、例えば循環気流の温度である。
【0108】
この熱処理後に、水洗またはアイロンがけをすることができる。
【0109】
得られた印刷基材は、特に斑点や汚れがほとんどなく、好ましくは斑点や汚れがまったくなく、優れた手触りや堅牢性、例えば耐擦過性を示し、また同様に、本発明の対象の一部を形成する。本発明の印刷された基材は、印刷された織物を含むことが好ましい。本発明の織物は、例えばアパレル分野で有用であり、家庭用織物分野では、旗やペナントとしてまた装飾布として、または工業用織物分野で非常に有用である。
【0110】
本発明は、さらに水性バインダー含有組成物の、特に本発明の印刷ペーストの製造方法を提供し、この方法を、以降本発明の製造方法と称する。本発明の製造方法は、
少なくとも一種の一般式Iの化合物と、
少なくとも一種のバインダーと、
適当なら少なくとも一種の着色剤、好ましくは例えば顔料配合物の形の少なくとも一種の顔料とを、
適当なら濃厚剤とともに、また適当なら少なくとも一種の添加物と適当なら水で希釈して、
混合することにより、特に攪拌することにより実施される。
【0111】
本発明の印刷ペースの成分の添加順序は、自由に選択できる。一種以上の濃厚剤の使用が望ましい場合、これら一種以上の濃厚剤を、最後に添加するか水で希釈直前に添加することが好ましい。
【0112】
本発明の製造方法は、いかなる所望容器ででも、例えば攪拌容器ででも実施可能である。
【0113】
一種以上の濃厚剤の使用が望ましい場合は、高速攪拌器を用いて、例えばウルトラタラックスを用いて混合することが望ましい。
【実施例】
【0114】
本発明を、実施例を参照しながら説明する。
【0115】
注:以下の出発物質を使用した:
式1.1の化合物は、C13/C15オキソ法アルコール(R1−OH)、エチレンオキシド、プロピレンオキシド(R2=メチル)及びメタノール(R3=メチル)から調製した。残る変数は、次のとおりである:x=3、y=1、a=1。
【0116】
比較例は、それぞれ、ジイソノニルシクロヘキサン−1,4−ジカルボキシレートのシス/トランス異性体の1:1混合物を含む柔軟剤をV−W.2として使用した。
【0117】
以下の添加物を使用した:
乳化剤(Z.1):
【0118】
【化11】

【0119】
(Z.2):滴定により求めたNCO含量が6.7重量%であるmeta−TMXDI系のカルボジイミド。これは、約4.2カルボジイミド基/分子に相当する。
【0120】
濃厚剤(Z.3):アクリル酸(92重量%)とアクリルアミド(7.6重量%)、メチレンビスアクリルアミドV.1(0.4重量%)のコポリマー(アンモニア(25重量%水溶液)で完全中和、分子量Mw:約150000g/mol、水/ホワイト油乳化液、固体含量:27%)。
【0121】
バインダー(Z.4):10質量部のアクリル酸と30質量部のn−ブチルアクリレートと60質量部のスチレンのランダム乳化コポリマーのコポリマー分散液(固体含量:40重量%、pH6.8)
バインダー(Z.5):1質量部のN−メチロールアクリルアミドと、1質量部のアクリル酸、4質量部のアクリルアミド、26質量部のスチレン、68質量部のn−ブチルアクリレートのランダム乳化コポリマーのコポリマー分散液、pH:6.6、固体含量:40重量%。
【0122】
なお、バインダーに関わる質量部は、すべて全固形分当たりの値であり、そのコールターカウンターで求めた平均粒子径(重量平均)は172nmである。
【0123】
顔料配合物を次のように調製した:
以下の材料を、すべてドライス・スーパーフローDCP−SF12攪拌ボールミル中で粉砕した:
2640gのピグメントブルー15:3、
460gの1,2−ジエチルアミンのエトキシ化物(エチレンオキシド:1,2−ジエチルアミンのモル比:72:1)、
600gのグリセロール、
2300gの蒸留水。
【0124】
粉砕は、顔料粒子の平均径が100nmとなり、顔料配合物(P.1)を与えるまで行った。
【0125】
I.本発明の印刷ペーストの製造
攪拌容器中で、表1の成分を一緒に、次の順序で攪拌した。
【0126】
200mlの水を最初の投入し、乳化剤(Z.1)を添加した。pHが8未満のときには、25%アンモニア水を加えてpHを8.5とした。次いで、表1に示すように、(Z.2)とバインダー(Z.4)または(Z.5)を、撹拌下で投入した。次いで濃厚剤(Z.3)を添加し、最後に顔料配合物(P.1)を撹拌下で添加した。水で希釈して1リットルとし、次いでウルトラタラックス型高速攪拌器中で、約6000rpmで15分間攪拌した。
【0127】
この結果、表1に示すように本発明の印刷ペーストDP.1〜DP.4と相当する比較用印刷ペーストV−DP.5〜V−DP.6を得た。
【0128】
【表1】

【0129】
上記のすべての成分の量の単位はgであり、それぞれの固体のものであるが、顔料配合物(P.1)のデータのみは、全体の総質量である。
【0130】
II.織物の印刷
印刷に用いた基材は、無シルケット加工の漂白綿布であり、その坪量は196g/m2であった。
【0131】
印刷:8mmのスキージー、磁気的プルレベルは6、E55スクリーンゲージ
熱処理:二工程。工程1:乾燥:80℃の乾燥キャビネット中。
【0132】
続く熱処理(架橋)第二工程は、いずれの場合も、テンター上で熱風加熱により150℃まで5分間加熱して行った。
【0133】
この結果、それぞれ本発明の綿基材BW.1〜BW.4と、比較用基材V−BW.5〜V−BW.6を得た。いずれの場合も、印刷は新たな基材を用いて一度以上繰り返した。二台の異なる乾燥キャビネットを使用し、一方を比較試験に、他方を本発明の試験に用いた。
【0134】
本発明の印刷後の綿基材BW.1〜BW.4では、顕微鏡(倍率:1:75)下で、またに肉眼観察で斑点や汚れが認められなかったが、比較用基材V−BW.5〜V−BW.6には少量の斑点や汚れが認められた。他の性能試験の結果を表2に示す。
【0135】
【表2】

【0136】
耐擦過性(湿と乾)はそれぞれ、DIN−EN−ISO105−X12により求めた。手触りは、いずれの場合も評価者により決定された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式I
【化1】

(式中、各変数は次のように定義される:
1は、直鎖状または分岐状のC1−C20−アルキル、または直鎖状または分岐状のCO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルキルから選ばれ、
2は、それぞれの場合において、同一であるか異なり、C1−C3−アルキルから選ばれ、
3は、直鎖状または分岐状のC1−C20−アルキル、または直鎖状または分岐状のCO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルケニルから選ばれ、
xは、3〜20であり、
yは、1〜20であり、
aは、1〜3である)
で示される化合物を水性バインダー含有組成物中で使用する方法。
【請求項2】
一般式Iの化合物における変数が、それぞれ次のように選択される:
1は、直鎖状または分岐状のC10−C18−アルキルから選ばれ、
2は、それぞれの場合において、同一であるか異なり、C1−C3−アルキルから選ばれ、
3は、直鎖状または分岐状のC1−C8−アルキルから選ばれ、
xは、0〜20であり、
yは、0〜20であり、
xとyがいずれもゼロでない場合は、
aは、1〜3である、
請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
水性組成物が印刷ペースト、塗料組成物および染色液から選ばれる請求項1または2に記載の利用。
【請求項4】
印刷ペーストが一種以上の顔料を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用方法。
【請求項5】
バインダーがポリアクリレートとポリウレタンから選ばれる請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用方法。
【請求項6】
印刷ペーストが、ジカルボン酸のアルキルエステルを含まない請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用方法。
【請求項7】
下記一般式I:
【化2】

(式中、各変数は次のように定義される:
1は、直鎖状または分岐状の、無置換のまたはヒドロキシル基またはケト基でモノ置換または多置換されたC1−C20−アルキル、または直鎖状または分岐状のCO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルケニルから選ばれ、
2は、それぞれの場合において、同一または異なって、C1−C3−アルキルから選ばれ、
3は、直鎖状または分岐状のC1−C20−アルキル、または直鎖状または分岐状のCO−C1−C19−アルキルまたはCO−C2−C19−アルケニルから選ばれ、
xは、0〜20であり、
yは、0〜20であり、
xとyがいずれもゼロでない場合は、
aは、1〜3である)
で示される1種以上の化合物を含む水性バインダー含有組成物。
【請求項8】
一般式Iの化合物中の変数が、それぞれつぎのように選択される:
1は、直鎖状または分岐状のC10−C18−アルキルから選ばれ、
2は、それぞれの場合において、同一または異なって、C1−C3−アルキルから選ばれ、
3は、直鎖状または分岐状のC1−C8−アルキルから選ばれ、
xは、3〜20であり、
yは、1〜20であり、
aは、1〜3である、
請求項7に記載の水性バインダー含有組成物。
【請求項9】
印刷ペースト、塗料組成物および染色液から選ばれる請求項7または8に記載の水性バインダー含有組成物。
【請求項10】
ポリアクリレート及びポリウレタンから選ばれる少なくとも一種のバインダーを含む請求項7〜9のいずれか一項に記載の水性バインダー含有組成物。
【請求項11】
ジカルボン酸のアルキルエステルを含まない請求項7〜10のいずれか一項に記載の水性バインダー含有組成物。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか一項に記載の水性バインダー含有組成物の少なくとも二種以上の組合わせ。
【請求項13】
少なくとも一種の請求項7〜11のいずれか一項に記載の水性バインダー含有組成物、又は請求項12に記載の少なくとも2種の水性バインダー含有組成物の組合せを用いることを特徴とする基材の処理方法。
【請求項14】
基材が織物を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の方法で処理された基材。
【請求項16】
一般式Iで示される少なくとも一種の化合物を、水及び少なくとも一種のバインダーと混合する請求項7〜11のいずれか一項に記載の水性バインダー含有組成物の製造方法。

【公表番号】特表2010−507704(P2010−507704A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533811(P2009−533811)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061345
【国際公開番号】WO2008/049838
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】