説明

基材型試薬、製造検査装置、分析装置、管理サーバ、製造検査方法、分析方法、管理方法、製造検査プログラム、分析プログラム、管理プログラム、および記録媒体

【課題】使用済みの基材型試薬に対する欠陥の有無に対する判断を容易におこなうこと。
【解決手段】カード型試薬100は、1回の分析ごとに用いられ、基材上に試薬を設けている。カード型試薬100は、カード基材110上に、分析領域120と、二次元バーコード130とを備える。分析領域120は、カード基材110上に試薬を設け、試料を分析するための領域である。二次元バーコード130は、少なくとも、製造時に撮影された分析領域120の画像情報を識別するための画像IDと、当該画像IDに関連付けられ、当該カード型試薬100を識別するためのカードIDとを記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1回の分析ごとに用いられ、基材上に試薬を設けた基材型試薬に関する。また、この基材型試薬の製造検査装置、この基材型試薬を用いた分析装置、この基材型試薬を管理する管理サーバに関する。さらに、製造検査方法、分析方法、管理方法、製造検査プログラム、分析プログラム、管理プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造現場において製品に対する品質の管理として、製造段階にて製品の画像を撮影することがおこなわれている。たとえば、半導体の製造プロセスにおいて、撮影した画像を解析することにより欠陥の有無を判断するようにした技術が提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
一方、従来、血液凝固検査や尿検査などの臨床検査においては、基材上に試薬を設けた基材型試薬を用いて分析をおこなう所謂モノテストが知られている。このような臨床検査のモノテストにおいては、1回の分析ごとに基材型試薬が用いられる。なお、基材型試薬の一例として、血液凝固検査では、カード型試薬が用いられる。カード型試薬は、カード基材上に試薬が充填された分析領域を設けた試薬であり、当該分析領域に試料(血液)を投入し、当該試料の分析をおこなうことが可能である。
【0004】
また、このようなカード型試薬では、カード基材上に、ロットごとに検量線等の情報を記録させたバーコードを設けたものが知られている。分析装置は、このバーコードに記録される検量線情報を分析前に読み取ることにより、被検試料の定量判定または定性判定の根拠とすることが可能になる。しかしながら、このようなカード型試薬や分析装置では、たとえば、分析結果にデータ異常が発生した場合であっても、この異常がカード型試薬の不良によるものか、または、測定者の人為的ミスや分析装置の不具合によるものかを即座に把握することができないといった問題があった。
【0005】
具体的には、このカード型試薬は、試薬が血液に反応することにより血液の分析をおこなうものであり、カード型試薬が一度分析に供されると、分析前の状態が不明になってしまうため、カード型試薬に対する欠陥の有無を検証することができない。つまり、当該製品の検品段階での状況を即座に把握することができないといった問題があった。そこで、このようなカード型試薬を製造する際に、たとえば、上述した特許文献1の技術を適用することにより、製造時における欠陥の有無の検証を可能にしたものが想定できる。
【0006】
【特許文献1】特開2001−155979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1の技術を用いてカード型試薬を製造する場合、製造時における製品の欠陥の有無を判断することは可能であるが、出荷後の製品に対する欠陥の有無を検証することができないといった問題があった。
【0008】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解決するために、分析時に不具合が発生した場合に、その原因が基材型試薬の製造業者側に起因するものか、または、分析装置の不具合や測定者の人為的ミスなどの測定者側に起因するものかの検証を容易におこなうことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる基材型試薬は、1回の分析ごとに用いられ、基材上に試薬を設けた基材型試薬において、前記基材上に試薬を設け、試料を分析するための分析領域と、前記基材上に、少なくとも、製造時に撮影された前記分析領域の画像情報を識別するための画像識別情報と、当該画像識別情報に関連付けられ、当該基材型試薬を識別するための試薬識別情報とを記録する記録領域と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、画像識別情報および試薬識別情報を付与したことにより、使用済みの基材型試薬について、使用前の状態を示した画像を容易に検索することができる。
【0011】
また、この発明にかかる基材型試薬は、上記発明において、前記基材が、カード状の基材であり、前記分析領域が、前記カード状の基材上に一定量の試薬を設けた領域であり、前記記録領域が、前記カード状の基材上に設けられた領域であることを特徴とする。この発明によれば、基材型試薬をカード状の試薬に適用することができる。
【0012】
また、この発明にかかる基材型試薬は、上記発明において、前記記録領域が、前記画像識別情報および前記試薬識別情報のほかに、当該基材型試薬の、分析項目情報、製造年月日情報、ロット番号情報、同一ロット品の分析データ、使用期限情報、検量線情報のうち、少なくともいずれか一つを記録することを特徴とする。この発明によれば、基材型試薬に付随する各種情報を記録領域に記録させることができる。
【0013】
また、この発明にかかる基材型試薬は、前記記録領域が、前記基材上に設けられたバーコードまたはICタグからなることを特徴とする。この発明によれば、簡単に記録領域を形成することができる。
【0014】
また、この発明にかかる製造検査装置は、1回の分析ごとに用いられる基材型試薬の、製造時に撮影された分析領域の画像情報を識別するための画像識別情報と、当該基材型試薬を識別するための試薬識別情報とを取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された前記情報を関連付ける関連付け手段と、前記関連付け手段によって関連付けられた前記情報を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、画像識別情報と試薬識別情報とを関連付けて出力することにより、基材型試薬に画像識別情報および試薬識別情報を記録させることや、外部サーバに当該情報を格納させることができる。したがって、使用済みの基材型試薬について、使用前の状態を示した画像を容易に検索することができる。
【0016】
また、この発明にかかる分析装置は、1回の分析ごとに用いられる基材型試薬を分析する分析装置において、前記基材型試薬に記録されている試薬識別情報を読み取る読取手段と、基材型試薬の分析領域に注入された試料を分析する分析手段と、前記分析手段による分析結果に異常があるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段によって前記分析結果に異常があると判別された場合に、前記読取手段によって読み取られた前記試薬識別情報と前記分析結果とを関連付ける関連付け手段と、前記関連付け手段によって関連付けられた前記情報を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、分析結果に異常がある場合に、基材型試薬の試薬識別情報と分析結果とを関連付けるようにしたので、当該基材型試薬に異常がある旨の情報を、測定者に通知したり、管理サーバに送信したりすることができる。
【0018】
また、この発明にかかる管理サーバは、1回の分析ごとに用いられる基材型試薬の、製造時に撮影された分析領域の画像情報と、当該基材型試薬を識別するための試薬識別情報と、前記試薬識別情報に関連付けられて前記画像情報を識別するための画像識別情報とを格納する格納手段と、前記試薬識別情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された前記試薬識別情報を用いて、前記格納手段に格納される前記画像情報を検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された画像情報を用いて、前記基材型試薬の分析領域を画像解析する解析手段と、前記解析手段による解析結果に基づいて、前記分析領域に異常があるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段による判別結果を提示する提示手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、基材型試薬の試薬識別情報を基に、当該基材型試薬の使用前の状態を示した画像を検索し、当該画像を解析することにより、当該基材型試薬に異常があるか否かを判別するようにしたので、使用前の基材型試薬に欠陥があったか否かを簡単に検証することができる。
【0020】
また、この発明にかかる管理サーバは、上記発明において、前記判別手段によって判別された判別結果を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶される前記判別結果を用いて、前記基材型試薬に所定数以上の同一ロット番号があるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記所定数以上の同一ロット番号があると判定された場合、当該ロット番号の基材型試薬に異常がある旨の警告をおこなう警告手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、同一ロット番号の基材型試薬について、分析領域に異常のあるものが所定数以上ある場合に、当該ロット番号の基材型試薬に異常がある旨を警告することができ、使用の中止や回収等の措置を講じることができる。
【0022】
また、この発明にかかる基材型試薬の製造検査方法は、1回の分析ごとに用いられる基材型試薬の、製造時に撮影された分析領域の画像情報を識別するための画像識別情報と、当該基材型試薬を識別するための試薬識別情報とを取得する取得工程と、前記取得工程にて取得された前記情報を関連付ける関連付け工程と、前記関連付け工程にて関連付けられた前記情報を出力する出力工程と、を含むことを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、基材型試薬に画像識別情報および試薬識別情報を付与したことにより、使用済みの基材型試薬について、使用前の状態を示した画像を容易に検索することができる。
【0024】
また、この発明にかかる分析装置の分析方法は、1回の分析ごとに用いられる基材型試薬を分析する分析装置の分析方法において、前記基材型試薬に記録されている試薬識別情報を読み取る読取工程と、基材型試薬の分析領域に注入された試料を分析する分析工程と、前記分析結果に異常があるか否かを判別する判別工程と、前記判別工程にて前記分析結果に異常があると判別された場合に、前記読取工程にて読み取られた前記試薬識別情報と前記分析結果とを関連付ける関連付け工程と、前記関連付け工程にて関連付けられた前記情報を出力する出力工程と、を含むことを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、分析結果に異常がある場合に、基材型試薬の試薬識別情報と分析結果とを関連付けるようにしたので、当該基材型試薬に異常がある旨の情報を、測定者に通知したり、管理サーバに送信したりすることができる。
【0026】
また、この発明にかかる基材型試薬の管理方法は、1回の分析ごとに用いられる基材型試薬の、製造時に撮影された分析領域の画像情報と、当該基材型試薬を識別するための試薬識別情報と、前記試薬識別情報に関連付けられて前記画像情報を識別するための画像識別情報とを格納する格納工程と、前記試薬識別情報を取得する取得工程と、前記取得工程にて取得された前記試薬識別情報を用いて、前記格納工程にて格納された前記画像情報を検索する検索工程と、前記検索工程にて検索された画像情報を用いて、前記基材型試薬の分析領域を画像解析する解析工程と、前記解析工程の解析結果に基づいて、前記分析領域に異常があるか否かを判別する判別工程と、前記判別工程による判別結果を提示する提示工程と、を含むことを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、基材型試薬の試薬識別情報を基に、当該基材型試薬の使用前の状態を示した画像を検索し、当該画像を解析することにより、当該基材型試薬に異常があるか否かを判別するようにしたので、使用前の基材型試薬に欠陥があったか否かを簡単に検証することができる。
【0028】
また、この発明にかかる製造検査プログラムは、上記製造検査方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0029】
また、この発明にかかる分析プログラムは、上記分析方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0030】
また、この発明にかかる管理プログラムは、上記管理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0031】
また、この発明にかかる記録媒体は、上記に記載のプログラムをコンピュータに読み取り可能に記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、使用済みの基材型試薬に対する画像情報に基づいて、分析時に不具合が発生した場合に、その原因が基材型試薬の製造業者側に起因するものか、または、測定者の人為的ミスや分析装置の不具合等の測定者側に起因するものかを容易に検証することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる基材型試薬、製造検査装置、分析装置、管理サーバ、製造検査方法、分析方法、管理方法、製造検査プログラム、分析プログラム、管理プログラム、および記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0034】
(実施の形態)
(カード型試薬の構成)
この発明の実施の形態にかかる基材型試薬(以下「カード型試薬」という)の構成について説明する。図1は、この発明の実施の形態にかかるカード型試薬100の構成を示す説明図である。本実施の形態にかかるカード型試薬100は、血液凝固検査に用いられ、1回の分析ごとに用いられるカード形状の試薬である。図1において、カード型試薬100は、カード基材110と、分析領域120と、記録領域としての二次元バーコード130とを備えて構成されている。
【0035】
カード基材110は、透明の合成樹脂から形成されている。分析領域120は、カード基材110上に設けられ、試薬充填部121と、検体投入部122と、空気孔123とを備えている。試薬充填部121は、試薬が充填され、表面がシールされている。さらに、試薬充填部121は、一端が検体投入部122に連通し、他端が空気孔123に連通している。
【0036】
検体投入部122からは、検体(試料)としての血液が投入される。投入された検体は、空気孔123から試薬充填部121内の空気が排出されることにより、試薬充填部121内に浸透する。
【0037】
二次元バーコード130は、水平方向と垂直方向に情報を持つ表示方式のコードである。この二次元バーコード130には、製造時に撮影された分析領域120の画像情報を識別するための画像ID(画像識別情報に相当)と、カード型試薬100を識別するためのカードID(試薬識別情報に相当)とを記録する。なお、二次元バーコード130への画像IDおよびカードIDの記録の詳細については、図8および図9に示す製造検査装置の説明にて後述する。また、二次元バーコード130に記録される情報は、このほかにも、カード型試薬100の、分析項目情報、製造年月日情報、ロット番号情報、同一ロット品の分析データ、使用期限情報、検量線情報が挙げられる。
【0038】
分析項目情報は、たとえば、人体の血液の機能(凝固線溶機能)に関与する物質に対する分析の項目の情報である。製造年月日情報は、カード型試薬100が製造された年月日を示す情報である。ロット番号情報は、製造時において製品を管理するために、一定の製造単位ごとに付した番号の情報である。
【0039】
同一ロット品の分析データは、製造時においてランダムに取り出したカード型試薬100に対して各種分析をおこなった際のデータである。使用期限情報は、使用期限を定めた情報であり、たとえば、製造時から18ヶ月を示した年月の情報である。検量線情報は、当該カード型試薬100を用いて分析結果を再現するための検量線に関する情報である。なお、本実施の形態においては、記録領域として二次元バーコード130を用いたが、これに限られるものではなく、RFID(Radio Frequency Identification)タグや一次元バーコードを用いることも可能である。
【0040】
(分析装置の構成)
つぎに、図2−1〜図2−3を用いて、本実施の形態にかかる分析装置200の構成について説明する。本実施の形態にかかる分析装置200は、図1に示したカード型試薬100に投入された血液を分析するためのものである。図2−1は、本実施の形態にかかる分析装置200の斜視図である。図2−2は、本実施の形態にかかる分析装置200の上面図である。図2−3は、本実施の形態にかかる分析装置200の正面図である。
【0041】
図2−1〜図2−3において、分析装置200は、カード挿入部201と、動作表示部202と、操作パネル203と、液晶表示部204と、プリンタ205と、プリンタカバー206と、スキャナ207とを備えて構成されている。
【0042】
カード挿入部201には、カード型試薬100が挿入される。動作表示部202は、LED(Light Emitting Diode)からなり、たとえば、分析中や待機中などに応じて、適宜、赤色や緑色に発光する。操作パネル203は、測定者からの操作入力を受け付け、たとえば、分析項目の選択や、プリンタ205による印刷の開始などを受け付ける。液晶表示部204は、LCD(Liquid Crystal Display)からなり、分析結果を表示する。
【0043】
プリンタ205は、操作パネル203に対する測定者からの操作に基づき、分析結果を印刷する。プリンタカバー206は、プリンタ205を覆うカバーである。スキャナ207は、カード型試薬100の二次元バーコード130を読み取るバーコードスキャナである。
【0044】
(分析装置の機能的構成)
つぎに、図3を用いて、本実施の形態にかかる分析装置200の機能的構成について説明する。図3は、本実施の形態にかかる分析装置200の機能的構成を示すブロック図である。図3において、分析装置200は、分析部301と、読取部302と、判別部303と、関連付け部304と、出力部305とを備えて構成されている。
【0045】
分析部301は、カード型試薬100の検体投入部122に投入された検体を分析する。読取部302は、カード型試薬100に設けられている二次元バーコード130を読み取る。読取部302は、図2−1〜図2−3に示したスキャナ207によって実現される。判別部303は、分析部301による分析結果に異常があるか否かを判別する。
【0046】
ここでいう「異常」とは、通常の分析では得られることのない結果であり、具体的には、たとえば、分析結果と検量線情報に基づく基準データとを比較して、分析結果が妥当でない場合を意味する。具体例を挙げると、成人に対する分析結果でしか得られることのない分析結果が乳幼児の分析結果として得られた場合に、分析結果が妥当ではないものと判別する。
【0047】
関連付け部304は、読取部302に二次元バーコード130を読み取らせるとともに、読み取らせた情報と分析部301による分析結果とを関連付ける。関連付け部304は、具体的には、スキャナ207が読み取ったカードIDと分析結果とを関連付ける。
【0048】
出力部305は、関連付け部304によって関連付けられた情報を出力する。出力部305は、図2−1〜図2−3に示した液晶表示部204やプリンタ205によって実現される。なお、出力部305は、分析装置200が後述する管理サーバ(図5参照)とオンラインで接続されている場合には、関連付け部304によって関連付けられた情報を管理サーバに送信することも可能である。
【0049】
上述した、分析部301と、読取部302と、判別部303と、関連付け部304と、出力部305とは、分析装置200に内蔵されるROM、RAM、磁気ディスクなどに記録されたプログラムやデータを用いて、CPUが所定のプログラムを実行し、分析装置200における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0050】
(分析装置がおこなうカード型試薬の分析処理の一例)
つぎに、図4を用いて、本実施の形態にかかる分析装置200がおこなうカード型試薬100の分析処理の一例について説明する。図4は、本実施の形態にかかる分析装置200がおこなうカード型試薬100の分析処理の一例を示すフローチャートである。
【0051】
図4において、分析装置200は、検体が投入されたカード型試薬100がカード挿入部201に挿入されると(ステップS401)、スキャナ207により二次元バーコード130の読み取りがおこなわれる(ステップS402)。読み取られた情報により、使用期限のチェックや、分析項目の把握や、検量線情報の取得がおこなわれる。なお、使用期限が切れている場合には、その旨が液晶表示部204に表示される。
【0052】
このあと、検体の分析がおこなわれる(ステップS403)。そして、分析結果の妥当性の判別をおこなう(ステップS404)。分析結果が妥当であると判別した場合(ステップS405:Yes)、液晶表示部204やプリンタ205から分析結果を出力し(ステップS406)、一連の処理を終了する。また、後述する管理サーバとオンラインで接続されている場合には、ステップS406において、分析結果が妥当な旨の情報と二次元バーコード130に記録される情報とを管理サーバに送信することも可能である。
【0053】
一方、分析結果が妥当ではないと判別した場合(ステップS405:No)、一回目の分析か否かを判断する(ステップS407)。ステップS407において、一回目の分析であると判断した場合(ステップS407:Yes)、再分析とし(ステップS408)、ステップS401に移行する。なお、ステップS408においては、液晶表示部204に再分析を促す旨の表示をおこなってもよい。
【0054】
一方、ステップS407において、一回目の分析ではないと判断した場合(ステップS407:No)、つまり、二回目以降の分析である場合、分析結果を出力するとともに、異常コメントを貼付し(ステップS409)、一連の処理を終了する。なお、ステップS409においては、分析結果と、カードIDなど二次元バーコード130に記録されている情報とが関連付けられて出力される。
【0055】
また、ステップS407において、一回目の分析であっても(ステップS407:Yes)、再分析をおこなわずに、分析結果を出力するとともに、異常コメントを貼付してもよい(ステップS409)。なお、この場合、一回目の分析時の妥当性の判断において、たとえば、比較する基準値を大幅に超える場合にのみ、異常コメントを貼付するようにしてもよい。
【0056】
また、後述する管理サーバとオンラインで接続されている場合には、ステップS409において、分析結果が異常である旨の情報と二次元バーコード130に記録される情報とを管理サーバに送信することも可能である。また、管理サーバとオンラインで接続されていない場合には、ステップS409の処理において、分析結果が異常である旨の情報や、二次元バーコード130に記録される情報や、異常コメントなどとともに、カード型試薬100の製造業者などの管理センタに対して連絡を促す旨の通知をおこなうことも可能である。
【0057】
上述した処理によれば、分析結果に異常がある場合に、カードIDと分析結果とを関連付けるようにしたので、当該カード型試薬100に異常がある旨の情報や二次元バーコード130に記録される情報を、測定者に通知したり、管理サーバに送信したりすることができる。
【0058】
(管理サーバの構成)
この発明の実施の形態にかかる管理サーバ500の構成について説明する。図5は、この発明の実施の形態にかかる管理サーバ500の構成を示す説明図である。管理サーバ500は、製造業者や販売業者などの管理センタに配置され、カード型試薬100の製造時に撮影された画像情報を格納する。この管理サーバ500は、PC501を備え、従事する操作者からの各種入力を受け付ける。
【0059】
(管理サーバの機能的構成)
つぎに、図6を用いて、本実施の形態にかかる管理サーバ500の機能的構成について説明する。図6は、本実施の形態にかかる管理サーバ500の機能的構成を示すブロック図である。図6において、管理サーバ500は、格納部601と、取得部602と、検索部603と、解析部604と、判別部605と、提示部606と、記憶部607と、判定部608と、警告部609とを備えて構成されている。
【0060】
格納部601は、カード型試薬100の、製造時に撮影された分析領域120の画像情報と、カード型試薬100を識別するためのカードIDと、カードIDに関連付けられて画像情報を識別するための画像IDとを格納する。画像情報は、代表的には静止画であるが、動画であってもよい。なお、格納部601は、カード型試薬100の二次元バーコード130に記録されている、分析項目情報、製造年月日情報、ロット番号情報、同一ロット品の分析データ、使用期限情報、検量線情報を格納するようにしてもよい。
【0061】
取得部602は、カードIDを取得する。取得部602は、PC501を介して操作者からの入力に基づいてカードIDを取得してもよいし、管理サーバ500が上述した分析装置200にオンラインにより接続されている場合には、分析装置200からの送信に基づいて、カードIDを取得してもよい。
【0062】
検索部603は、取得部602によって取得されたカードIDを用いて、格納部601に格納される画像情報を検索する。具体的には、検索部603は、カードIDに関連付けられている画像IDを検索することによって、当該画像IDに紐付く画像を検索する。
【0063】
解析部604は、検索部603によって検索された画像情報を用いて、カード型試薬100の分析領域120を画像解析する。解析部604は、具体的には、たとえば、製造時における分析領域120の試薬(試薬充填部121内の気泡など)を画像解析する。
【0064】
判別部605は、解析部604による解析結果に基づいて、分析領域120に異常があるか否かを判別する。具体的には、判別部605は、試薬充填部121内の気泡の程度や気泡の有無を判別し、解析結果が製品としての基準範囲内か否かを判別する。提示部606は、判別部605による判別結果を提示する。提示部606は、PC501のディスプレイによって実現される。
【0065】
また、記憶部607は、判別部605によって判別された判別結果(カード型試薬100の異常の有無)を記憶する。判定部608は、記憶部607に記憶される判別結果を用いて、カード型試薬100に所定数以上の同一ロット番号があるか否かを判定する。具体的には、判定部608は、判別部605により異常があると判別されたカード型試薬100のカードIDに基づくロット番号を用いて、当該カード型試薬100と同一のロット番号を有するカード型試薬100が所定の閾値以上あるか否かを判定する。
【0066】
警告部609は、判定部608によって所定数以上の同一ロット番号があると判定された場合、当該ロット番号のカード型試薬100に異常がある旨の警告をおこなう。異常がある旨の情報は、たとえば、当該ロット番号のカード型試薬100に対して使用の禁止を示す情報や、当該ロット番号のカード型試薬100の検査体制の見直しをおこなう旨の情報などである。異常がある旨の警告は、提示部606によって、音声または表示によりおこなわれる。
【0067】
(管理サーバがおこなうカード型試薬に対する管理処理の一例)
つぎに、図7を用いて、本実施の形態にかかる管理サーバ500がおこなうカード型試薬100に対する管理処理の一例について説明する。図7は、本実施の形態にかかる管理サーバ500がおこなうカード型試薬100に対する管理処理の一例を示すフローチャートである。
【0068】
図7において、管理サーバ500は、取得部602によりカード型試薬100のカードIDを取得する(ステップS701)。なお、取得するカードIDを有するカード型試薬100は、分析装置200による分析時に異常が生じた試薬である。また、上述したように、取得部602によるカードIDの取得形式は、PC501を介して操作者からの入力に基づくものでもよいし、分析装置200とオンラインにより接続されている場合には、分析装置200からの送信に基づくものでもよい。
【0069】
そして、検索部603が、カードIDを用いて、格納部601に格納される画像情報を検索する(ステップS702)。そして、検索された画像情報を用いて、解析部604がカード型試薬100の分析領域120を画像解析する(ステップS703)。このあと、判別部605により、解析結果が基準範囲内か否かを判別する(ステップS704)。ステップS704において、解析結果が基準範囲内であると判別した場合(ステップS704:Yes)、現状の基準にない異常を新たに検証する(ステップS705)。なお、ステップS705における検証は、操作者の目視によりおこなわれる。
【0070】
そして、新たな異常がある場合(ステップS706:Yes)、新たな検査基準の確立をおこない(ステップS707)、一連の処理を終了する。一方、新たな異常がない場合(ステップS706:No)、当該カード型試薬100、および現状の検査基準に異常がないものと判断し、一連の処理を終了する。なお、新たな異常とは、たとえば、気泡の形状や試薬充填部121のシールの状態などに生じる、従来にない異常である。
【0071】
また、ステップS704において、解析結果が基準範囲内ではないと判別した場合(ステップS704:No)、記憶部607が「異常あり」の判別結果を記憶する(ステップS708)。なお、この判別結果は、ロット番号ごとに計上されて記憶される。そして、判定部608が、同一ロット番号のカード型試薬100が所定数以上あるか否かを判定する(ステップS709)。
【0072】
ステップS709において、同一ロット番号のカード型試薬100が所定数以上あると判定した場合(ステップS709:Yes)、同一ロット番号のカード型試薬100の再確認、および検査体制の見直しをおこない(ステップS710)、一連の処理を終了する。なお、ステップS710においては、警告部609により、カード型試薬100の再確認や検査体制の見直しなどの警告がおこなわれる。
【0073】
また、ステップS709において、同一ロット番号のカード型試薬100が所定数以上ないと判定した場合(ステップS709:No)、一連の処理を終了する。なお、この場合、当該ロット番号に対する異常を示す回数として計上し、記憶部607により当該回数が記憶される。
【0074】
上述した処理によれば、カードIDを基に、当該カード型試薬100の使用前の状態を示した画像を検索し、当該画像を解析することにより、当該カード型試薬100に異常があるか否かを判別するようにしたので、使用前のカード型試薬100に欠陥があったか否かを簡単に検証することができる。
【0075】
また、所定数以上の同一ロット番号のカード型試薬100について、分析領域120に異常のあるものが所定数以上ある場合に、当該ロット番号のカード型試薬100に異常がある旨を警告することができ、検査体制の見直しや、使用の中止および回収等の措置を講じることができる。また、新たな異常がある場合には、新たな検査基準を確立することができるので、製造時における製品の高精度化を図ることも可能である。
【0076】
(製造検査装置の機能的構成)
つぎに、図8を用いて、本実施の形態にかかる製造検査装置800の機能的構成について説明する。図8は、本実施の形態にかかる製造検査装置800の機能的構成を示すブロック図である。なお、製造検査装置800は、カード型試薬100の凍結乾燥終了後、つまり、カード型試薬の製品が完成したあとに設けられる装置である。
【0077】
図8において、製造検査装置800は、取得部801と、関連付け部802と、出力部803と、図示外の撮影部と、を備えて構成されている。取得部801は、撮影部により撮影されたカード型試薬100の分析領域120の画像情報を識別するための画像IDと、当該カード型試薬100を識別するためのカードIDとを取得する。取得部801による取得形式は、たとえば、カード型試薬100の二次元バーコード130に予め記録されているカードIDの読み込みと、分析領域120の撮影時に付されたカードIDの入力に基づく。
【0078】
関連付け部802は、取得部801によって取得された画像IDとカードIDとを関連付ける。具体的には、関連付け部802は、カード型試薬100の二次元バーコード130に予め記録されているカードIDに、画像IDを関連付ける。出力部803は、関連付け部802によって関連付けられた情報を出力する。出力部803によって出力された情報は、二次元バーコード130に記録されるとともに、上述した管理サーバ500に送信することにより、管理サーバ500の格納部601(図6参照)に格納される。
【0079】
(製造検査装置がおこなう情報記録処理の一例)
つぎに、図9を用いて、本実施の形態にかかる製造検査装置800がおこなう情報記録処理の一例について説明する。図9は、本実施の形態にかかる製造検査装置800がおこなう情報記録処理の一例を示すフローチャートである。
【0080】
図9において、製造検査装置800は、製品が完成すると(ステップS901)、撮影部によりカード型試薬100の分析領域120を撮影する(ステップS902)。そして、撮影した画像にID(画像ID)を付与する(ステップS903)。このあと、画像IDと、二次元バーコード130に記録されるカードIDとを関連付けるとともに、画像IDを二次元バーコード130に記録する(ステップS904)。また、撮影した画像を管理サーバ500としての格納部601に格納する(ステップS905)。
【0081】
このあと、画像を拡大化し、複数人による目視チェックがおこなわれる(ステップS906)。そして、目視チェックにより出荷基準を満たす場合(ステップS907:Yes)、包装機へ送り(ステップS908)、一連の処理を終了する。一方、目視チェックにより出荷基準を満たさない場合(ステップS907:No)、画像を保存し、自社コントロールデータを取得する(ステップS909)。そして、分析領域120を画像解析することにより、当該分析領域120の状態が自社コントロールデータの基準範囲内であるか否かを判断する(ステップS910)。
【0082】
ステップS910において、当該分析領域120の状態が基準範囲内であると判断した場合(ステップS910:Yes)、目視チェックにおける出荷基準の見直しをおこない(ステップS911)、一連の処理を終了する。また、当該分析領域120が基準範囲外であると判断した場合(ステップS910:No)、カード型試薬100を廃棄し(ステップS912)、一連の処理を終了する。
【0083】
なお、ステップS907において、出荷基準を満たすと判断した場合であっても(ステップS907:Yes)、自社コントロールデータを取得し(ステップS909)、分析領域120の状態が基準範囲内か否かの判断をおこなうようにし(ステップS910)、基準範囲内であると判断した場合に(ステップS910:Yes)、包装機へ送る(ステップS908)ようにしてもよい。この場合、ステップS910において、基準範囲内ではないと判断した場合(ステップS910:No)、つまり、目視チェックにより出荷基準を満たしたものの画像解析により基準範囲外となった場合、チェック者に対するチェックの強化を促すよう、検査体制を見直すようにすればよい。
【0084】
上述した処理によれば、撮影した画像の画像IDとカードIDとを関連付けて、カード型試薬100を製造するようにしたので、使用済みのカード型試薬100について、使用前の状態を示した画像を容易に検索することが可能になる。また、目視チェックのほか、自社コントロールデータを用いて、画像を解析するようにしたので、目視チェックによる見落としを防止することができる。さらに、管理サーバ500にて得られたカード型試薬100の新たな異常に基づいて、随時コントロールデータを更新することにより、精度よく製品を製造することができる。
【0085】
上述した図2−1〜図9を用いた説明では、基材型試薬として、カード型試薬100を用いたが、カード型試薬100に限られることなく、たとえば、尿試験紙や他の検査用カードを用いることも可能である。以下に、カード型試薬100以外に本発明を実現することのできる他の基材型試薬について説明する。
【0086】
(尿試験紙の構成)
図10は、尿試験紙1000の構成を示す説明図である。図10において、尿試験紙1000は、紙基材1001と、分析領域としての試薬充填部1002と、記録領域としての二次元バーコード1003とを備えて構成されている。この尿試験紙1000は、試薬充填部1002を尿に1秒間浸すと、10秒から30秒後に、尿に含まれる成分によって試薬充填部1002が所定の色調に反応する基材型試薬である。そして、試験者が反応した色調と見本を見比べることにより、目的とする項目の濃度または比率が判明する。
【0087】
二次元バーコード1003は、製造時に撮影された試薬充填部1002の画像情報を識別するための画像ID(画像識別情報に相当)と、尿試験紙1000を識別するための紙基材ID(試薬識別情報に相当)とを記録する。また、二次元バーコード1003に記録される情報は、このほかにも、尿試験紙1000の、分析項目情報、製造年月日情報、ロット番号情報、同一ロット品の分析データ、使用期限情報、検量線情報が挙げられる。なお、記録領域としては、二次元バーコード1003以外にも、RFIDタグを用いることも可能である。
【0088】
このような尿試験紙1000を用いた場合であっても、判定結果に異常がある場合に、尿試験紙1000の二次元バーコード1003に記録された情報を用いて、使用済みの当該尿試験紙1000について、使用前の状態を示した画像を容易に検索することができる。したがって、判定結果の異常が尿試験紙1000に起因するものか否かを検証することができる。
【0089】
(インフルエンザウイルス用確認判定試薬の構成)
図11は、インフルエンザウイルス用確認判定試薬(以下「インフルエンザ用試薬」という)1100の構成を示す説明図である。図11において、インフルエンザ用試薬1100は、テストプレート1110と、分析領域1120と、二次元バーコード1130とを備えて構成されている。
【0090】
分析領域1120は、検体滴下部1121と、判定部1122と、確認窓1123とを備えている。このインフルエンザ用試薬1100は、検体滴下部1121に検体を滴下し、15分放置すると、判定部1122の「A」または「B」の部分に赤紫色のラインが検出され、かつ、確認窓1123の発色が検出された場合に陽性判定となる。
【0091】
二次元バーコード1130は、製造時に撮影された分析領域1120の画像情報を識別するための画像ID(画像識別情報に相当)と、インフルエンザ用試薬1100を識別するためのテストプレートID(試薬識別情報に相当)とを記録する。なお、記録領域としては、二次元バーコード1130以外にも、RFIDタグを用いることも可能である。
【0092】
このようなインフルエンザ用試薬1100を用いた場合であっても、判定結果に異常がある場合に、インフルエンザ用試薬1100の二次元バーコード1130に記録された情報を用いて、使用済みの当該インフルエンザ用試薬1100について、使用前の状態を示した画像を容易に検索することができる。したがって、判定結果の異常がインフルエンザ用試薬1100に起因するものか否かを検証することができる。
【0093】
(妊娠検査薬の構成)
図12は、妊娠検査薬1200の構成を示す説明図である。図12において、妊娠検査薬1200は、基材1210と、分析領域1220と、二次元バーコード1230とを備えて構成されている。分析領域1220は、検体滴下部1221と、判定部1222とを備えている。この妊娠検査薬1200は、検体滴下部1221に尿を滴下し、5〜10分放置すると、判定部1222の「T」の部分と「C」の部分の両方に赤紫色の線が検出された場合に陽性判定となり、「C」側だけに赤紫の線が検出された場合に陰性判定となる。
【0094】
二次元バーコード1230は、製造時に撮影された分析領域1220の画像情報を識別するための画像ID(画像識別情報に相当)と、妊娠検査薬1200を識別するための基材ID(試薬識別情報に相当)とを記録する。なお、記録領域としては、二次元バーコード1230以外にも、RFIDタグを用いることも可能である。
【0095】
このような妊娠検査薬1200を用いた場合であっても、判定結果に異常がある場合に、妊娠検査薬1200の二次元バーコード1230に記録された情報を用いて、使用済みの当該妊娠検査薬1200について、使用前の状態を示した画像を容易に検索することができる。したがって、判定結果の異常が妊娠検査薬1200に起因するものか否かを検証することができる。
【0096】
(アレルギー検査用カード型試薬の構成)
図13は、アレルギー検査用カード型試薬(以下、「アレルギー検査カード」という)1300の構成を示す説明図である。図13において、アレルギー検査カード1300は、基材1310と、分析領域1320と、二次元バーコード1330とを備えて構成されている。分析領域1320は、検体投入口1321と、展開液投入窓1322と、判定窓1323とを備えている。
【0097】
ここで、このアレルギー検査カード1300の使用例について説明する。まず、血液と検体処理液とを混和した処理検体を検体投入口1321に滴下し、処理検体が判定窓1323へ浸透した後に展開液を展開液投入窓1322に投入する。その後、20分間放置し、判定窓1323の「コントロール」に対応する部位に青色の発色ラインが検出された上で、判定窓1323の「スギ」、「ネコ」、「ダニ」のうち、対応する部位に発色ラインが認められた場合に、対応する項目について陽性反応と判定する。
【0098】
二次元バーコード1330は、製造時に撮影された分析領域1320の画像情報を識別するための画像ID(画像識別情報に相当)と、アレルギー検査カード1300を識別するための基材ID(試薬識別情報に相当)とを記録する。なお、記録領域としては、二次元バーコード1330以外にも、RFIDタグを用いることも可能である。
【0099】
このようなアレルギー検査カード1300を用いた場合であっても、判定結果に異常がある場合に、アレルギー検査カード1300の二次元バーコード1330に記録された情報を用いて、使用済みの当該アレルギー検査カード1300について、使用前の状態を示した画像を容易に検索することができる。したがって、判定結果の異常がアレルギー検査カード1300に起因するものか否かを検証することができる。
【0100】
以上説明したように、本発明にかかる基材型試薬によれば、画像識別情報および試薬識別情報を付与したことにより、使用済みの基材型試薬について、使用前の状態を示した画像を容易に検索することができる。したがって、分析時に不具合が発生した場合に、その原因が基材型試薬の製造業者側に起因するものか、または、分析装置の不具合や測定者の人為的ミスなどの測定者側に起因するものかの検証を容易におこなうことができる。
【0101】
また、本発明にかかる管理サーバは、基材型試薬の試薬識別情報を基に、当該基材型試薬の使用前の状態を示した画像を検索して、当該画像を解析するとともに、使用前の当該基材型試薬に異常があるか否かを判別する。したがって、分析時に不具合が発生した場合に、その原因が基材型試薬の製造業者側に起因するものか、または、分析装置の不具合や測定者の人為的ミスなどの測定者側に起因するものかの検証を容易におこなうことができる。また、異常が発生した基材型試薬の画像情報を蓄積することにより、従来では正常と判断されていた製品であっても、新たな異常を発見することができ、その後の製造における品質の安定化につなげることができる。
【0102】
また、本発明にかかる分析装置によれば、分析結果に異常がある場合に、基材型試薬の試薬識別情報と分析結果とを関連付けて出力するようにしたので、当該基材型試薬に異常がある旨の情報を記録領域に記録される情報とともに、測定者に通知したり、管理サーバに送信したりすることができる。
【0103】
また、本発明にかかる製造検査装置によれば、製造時に基材型試薬に画像識別情報および試薬識別情報を付与したことにより、使用済みの基材型試薬について、使用前の状態を示した画像を容易に検索することができる。また、管理サーバによって蓄積された異常時の画像情報の蓄積により、製造時における品質をより安定させることができる。
【0104】
なお、本実施の形態で説明した、管理サーバの管理方法、分析装置の分析方法、製造検査装置の製造検査方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、1回の分析ごとに用いられ、基材上に試薬を設けた基材型試薬に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】この発明の実施の形態にかかるカード型試薬の構成を示す説明図である。
【図2−1】本実施の形態にかかる分析装置の斜視図である。
【図2−2】本実施の形態にかかる分析装置の上面図である。
【図2−3】本実施の形態にかかる分析装置の正面図である。
【図3】本実施の形態にかかる分析装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態にかかる分析装置がおこなうカード型試薬の分析処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態にかかる管理サーバの構成を示す説明図である。
【図6】本実施の形態にかかる管理サーバの機能的構成を示すブロック図である。
【図7】本実施の形態にかかる管理サーバがおこなうカード型試薬に対する管理処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本実施の形態にかかる製造検査装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図9】本実施の形態にかかる製造検査装置がおこなう情報記録処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】尿試験紙の構成を示す説明図である。
【図11】インフルエンザウイルス用確認判定試薬の構成を示す説明図である。
【図12】妊娠検査薬の構成を示す説明図である。
【図13】アレルギー検査用カード型試薬の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0107】
100 カード型試薬
110 カード基材
120 分析領域
130 二次元バーコード
200 分析装置
201 カード挿入部
207 スキャナ
301 分析部
302 読取部
303 判別部
304 関連付け部
305 出力部
500 管理サーバ
601 格納部
602 取得部
603 検索部
604 解析部
605 判別部
606 提示部
607 記憶部
608 判定部
609 警告部
800 製造検査装置
801 取得部
802 関連付け部
803 出力部
1000 尿試験紙
1100 インフルエンザ用試薬
1200 妊娠検査薬
1300 アレルギー検査カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1回の分析ごとに用いられ、基材上に試薬を設けた基材型試薬において、
前記基材上に試薬を設け、試料を分析するための分析領域と、
前記基材上に、少なくとも、製造時に撮影された前記分析領域の画像情報を識別するための画像識別情報と、当該画像識別情報に関連付けられ、当該基材型試薬を識別するための試薬識別情報とを記録する記録領域と、
を備えることを特徴とする基材型試薬。
【請求項2】
前記基材は、カード状の基材であり、
前記分析領域は、前記カード状の基材上に一定量の試薬を設けた領域であり、
前記記録領域は、前記カード状の基材上に設けられた領域であることを特徴とする請求項1に記載の基材型試薬。
【請求項3】
前記記録領域は、前記画像識別情報および前記試薬識別情報のほかに、当該基材型試薬の、分析項目情報、製造年月日情報、ロット番号情報、同一ロット品の分析データ、使用期限情報、検量線情報のうち、少なくともいずれか一つを記録することを特徴とする請求項1または2に記載の基材型試薬。
【請求項4】
前記記録領域は、前記基材上に設けられたバーコードまたはICタグからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の基材型試薬。
【請求項5】
1回の分析ごとに用いられる基材型試薬の、製造時に撮影された分析領域の画像情報を識別するための画像識別情報と、当該基材型試薬を識別するための試薬識別情報とを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記情報を関連付ける関連付け手段と、
前記関連付け手段によって関連付けられた前記情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする基材型試薬の製造検査装置。
【請求項6】
1回の分析ごとに用いられる基材型試薬を分析する分析装置において、
前記基材型試薬に記録されている試薬識別情報を読み取る読取手段と、
基材型試薬の分析領域に注入された試料を分析する分析手段と、
前記分析手段による分析結果に異常があるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段によって前記分析結果に異常があると判別された場合に、前記読取手段によって読み取られた前記試薬識別情報と前記分析結果とを関連付ける関連付け手段と、
前記関連付け手段によって関連付けられた前記情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項7】
1回の分析ごとに用いられる基材型試薬の、製造時に撮影された分析領域の画像情報と、当該基材型試薬を識別するための試薬識別情報と、前記試薬識別情報に関連付けられて前記画像情報を識別するための画像識別情報とを格納する格納手段と、
前記試薬識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記試薬識別情報を用いて、前記格納手段に格納される前記画像情報を検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索された画像情報を用いて、前記基材型試薬の分析領域を画像解析する解析手段と、
前記解析手段による解析結果に基づいて、前記分析領域に異常があるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段による判別結果を提示する提示手段と、
を備えることを特徴とする管理サーバ。
【請求項8】
前記判別手段によって判別された判別結果を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶される前記判別結果を用いて、前記基材型試薬に所定数以上の同一ロット番号があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記所定数以上の同一ロット番号があると判定された場合、当該ロット番号の基材型試薬に異常がある旨の警告をおこなう警告手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の管理サーバ。
【請求項9】
1回の分析ごとに用いられる基材型試薬の、製造時に撮影された分析領域の画像情報を識別するための画像識別情報と、当該基材型試薬を識別するための試薬識別情報とを取得する取得工程と、
前記取得工程にて取得された前記情報を関連付ける関連付け工程と、
前記関連付け工程にて関連付けられた前記情報を出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする基材型試薬の製造検査方法。
【請求項10】
1回の分析ごとに用いられる基材型試薬を分析する分析装置の分析方法において、
前記基材型試薬に記録されている試薬識別情報を読み取る読取工程と、
基材型試薬の分析領域に注入された試料を分析する分析工程と、
前記分析結果に異常があるか否かを判別する判別工程と、
前記判別工程にて前記分析結果に異常があると判別された場合に、前記読取工程にて読み取られた前記試薬識別情報と前記分析結果とを関連付ける関連付け工程と、
前記関連付け工程にて関連付けられた前記情報を出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする分析方法。
【請求項11】
1回の分析ごとに用いられる基材型試薬の、製造時に撮影された分析領域の画像情報と、当該基材型試薬を識別するための試薬識別情報と、前記試薬識別情報に関連付けられて前記画像情報を識別するための画像識別情報とを格納する格納工程と、
前記試薬識別情報を取得する取得工程と、
前記取得工程にて取得された前記試薬識別情報を用いて、前記格納工程にて格納された前記画像情報を検索する検索工程と、
前記検索工程にて検索された画像情報を用いて、前記基材型試薬の分析領域を画像解析する解析工程と、
前記解析工程の解析結果に基づいて、前記分析領域に異常があるか否かを判別する判別工程と、
前記判別工程による判別結果を提示する提示工程と、
を含むことを特徴とする基材型試薬の管理方法。
【請求項12】
請求項9に記載の製造検査方法をコンピュータに実行させることを特徴とする製造検査プログラム。
【請求項13】
請求項10に記載の分析方法をコンピュータに実行させることを特徴とする分析プログラム。
【請求項14】
請求項11に記載の管理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする管理プログラム。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一つに記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−175031(P2009−175031A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14852(P2008−14852)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(591258484)株式会社エイアンドティー (23)
【Fターム(参考)】