説明

基板および基板の組付け構造

【課題】半田付けが行われるときに基板の層間接続用貫通孔部への熱の伝わり方を改善させる。
【解決手段】層間接続用貫通孔部17を有する第一基板10と、第一基板10に接続され層間接続用貫通孔部27を有する第二基板20と、を備える基板10,20の組付け構造に関する。半田付けが行われるときに第一基板10に設けられた層間接続用貫通孔部17への熱の伝わり方を改善させる熱伝導改善部18と、半田付けが行われるときに第二基板20に設けられた層間接続用貫通孔部27への熱の伝わり方を改善させる熱伝導改善部28と、のうち、少なくとも一方の熱伝導改善部18/28を有する。層間接続用貫通孔部17/27は、略丸孔状のスルーホール17/27として形成され、熱伝導改善部18/28は、スリット18/28として形成され、スルーホール17/27とスリット18/28との間隔は、スルーホール17/27の直径の略1/5以上とされた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板および基板の組付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図4〜図6は、従来の基板および基板の組付け構造の一形態を示すものである。
【0003】
基板に関する従来技術として、例えばソルダリング時のブリッジ及びクラックを抑制させたプリント配線基板というものがある(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
光ディスク装置に装備される光ピックアップ装置は、プリント基板510,520いわゆるPCB(Printed Circuit Board)510,520を備えて構成される。
【0005】
メインPCB510は、例えば基板本体511と、基板本体511にパターン印刷された複数の回路導体512と、基板本体511ならびに複数の回路導体512等を保護するレジスト513と、を備えて構成されている。メインPCB510の端部510aに、レジスト513が回路導体512上に形成されずに回路導体512が一部露出されて形成されたラウンド515が設けられている。メインPCB510のラウンド515の形状は、長方形とされている。実際には、メインPCB510の基板本体511に多くの回路導体512が配設される。このため、複数の回路導体512の長方形状をしたラウンド515の間隔は、狭く設定される。
【0006】
また、フロントモニタダイオード(front monitor diode:FMD)用PCB520は、例えば基板本体521と、基板本体521にパターン印刷された複数の回路導体522と、基板本体521ならびに複数の回路導体522等を保護するレジスト523と、を備えて構成されている。FMDは、レーザ光の一部が照射される受光素子とされる。FMD等の受光素子は、レーザダイオード(Laser Diode:LD)等の発光素子から出力されるレーザ光をモニタして、LDの制御のためにフィードバックをかけるものとされている。
【0007】
FMD用PCB520の端部520aに、レジスト523が回路導体522上に形成されずに回路導体522が一部露出されて形成されたラウンド525が設けられている。FMD用PCB520のラウンド525の形状は、長方形とされている。実際には、FMD用PCB520の基板本体521に多くの回路導体522が配設される。このため、複数の回路導体522の長方形状をしたラウンド525の間隔は、狭く設定される。
【0008】
この明細書におけるラウンド515,525とは、例えばPCB510,520等において半田530が付着する部分とされ、一般にランド515,525等と呼ばれている。
【0009】
FMD用PCB520とメインPCB510との半田付けが行われるときに、FMD用PCB520のランド525と、メインPCB510のランド515とを半田ごてにて加熱して、半田530を溶かして半田付けが行われる。
【0010】
半田付けが行われるときにグランド(Ground:GND)側部、正電源電圧(例:VCC)側部においては、電気的な抵抗を小さくするために、大きな面積を有するパターン部512/522のものがある。GNDとは、「Ground」の略称とされ、接地を意味するものとされる。
【0011】
二層構造、二層以上の多層構造のPCB510/520においては、例えば、スルーホール構造が多用されており、スルーホール517/527が用いられて各層が接続されてPCB510/520が構成される。
【0012】
また、一方のPCB510のランド515と他方のPCB520のランド525とを半田ごてを用いて半田付けを行うことにより、一方のPCB510と他方のPCB520とが通電可能に接続される。半田付けによる接続を行うときに、例えば半田ごてを用いてランド515及び/又はランド515の周辺近傍を加熱する。また、半田付けによる接続を行うときに、例えば半田ごてを用いてランド525及び/又はランド525の周辺近傍を加熱する。
【0013】
また、メインPCB510とFMD用PCB520とは、略直交して配置されている。具体的に説明すると、メインPCB510とFMD用PCB520とは、直角すなわち90°(度)に配置されている。メインPCB510とFMD用PCB520とが直角に配置された状態で、メインPCB510の複数のランド515と、FMD用PCB520の複数のランド525と、が半田530によって半田付けされることにより、メインPCB510とFMD用PCB520とが通電可能に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平9−293955号公報(第1,4頁、第1−6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来の従来の基板および基板の組付け構造あっては、例えばパターン部512/522の面積が大きく、スルーホール517/527が半田付けされる部分の近傍に位置し、他の層にも熱伝導されやすい構造のものとされた場合、半田ごてにてランド515/525及び/又はランド515/525周辺近傍を加熱しても、半田ごての熱が拡散されて半田530が溶けにくくなる。
【0016】
詳しく説明すると、例えばスルーホール517/527がランド515/525の近傍に位置する構造のPCB510,520同士を半田付けする場合、例えば、人による手作業にて、半田付けが行われる際に、熱せられている半田ごての先端部からパターン部512/522のスルーホール517/527を介して熱が伝導/発散され、これに伴って半田530が溶けにくくなり、その結果、半田不良が発生することが懸念されていた。
【0017】
このようなことから、FMD用PCB520とメインPCB510との半田付けが行われるときに、例えば、PCB510/520の半田パターン部512/522の形状について改良する必要性が生じてきている。
【0018】
また、例えば、ランド間隔が狭められたメインPCB510の複数のランド515と、ランド間隔が狭められたFMD用PCB520の複数のランド525とを半田付けさせようとすると、例えば溶融されている半田530の表面張力により半田530の橋渡し部533の中間部535が脹らんで太くなる傾向にある。例えば半田530の橋渡し部533の中間部535が脹らんで太くなると、隣り合う半田530の橋渡し部533が接するという例えば半田タッチ発生問題が懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る基板は、層間接続用貫通孔部と、半田付けが行われるときに前記層間接続用貫通孔部への熱の伝わり方を改善させる熱伝導改善部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項2に係る基板の組付け構造は、層間接続用貫通孔部を有する第一基板と、前記第一基板に接続され層間接続用貫通孔部を有する第二基板と、を備え、半田付けが行われるときに前記第一基板に設けられた前記層間接続用貫通孔部への熱の伝わり方を改善させる熱伝導改善部と、前記半田付けが行われるときに前記第二基板に設けられた前記層間接続用貫通孔部への熱の伝わり方を改善させる熱伝導改善部と、のうち、少なくとも一方の熱伝導改善部を有することを特徴とする。
【0021】
請求項3に係る基板の組付け構造は、請求項2に記載の基板の組付け構造において、前記第一基板は、半田材が盛り付けられる半田付け部を有し、前記第二基板は、前記半田材が盛り付けられる半田付け部を有し、前記第一基板に設けられた前記層間接続用貫通孔部と前記半田付け部との間に前記熱伝導改善部が備えられ、前記第二基板に設けられた前記層間接続用貫通孔部と前記半田付け部との間に前記熱伝導改善部が備えられることを特徴とする。
【0022】
請求項4に係る基板の組付け構造は、請求項2又は3に記載の基板の組付け構造において、前記熱伝導改善部は、貫通孔として形成されたことを特徴とする。
【0023】
請求項5に係る基板の組付け構造は、請求項2〜4の何れか1項に記載の基板の組付け構造において、前記層間接続用貫通孔部は、層間接続された略丸孔状のスルーホールとして形成され、前記熱伝導改善部は、層間接続されないスリットとして形成され、前記スルーホールと前記スリットとの間隔は、前記スルーホールの直径の略1/5以上とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、半田付けが行われるときに基板の層間接続用貫通孔部への熱の伝わり方を改善させることにより、半田付けが行われやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る基板および基板の組付け構造の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る基板および基板の組付け構造の一実施の形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る基板および基板の組付け構造の一実施の形態を示す説明図である。
【図4】従来の基板および基板の組付け構造の一形態を示す説明図である。
【図5】従来の基板および基板の組付け構造の一形態を示す斜視図である。
【図6】従来の基板および基板の組付け構造の一形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明に係る基板および基板の組付け構造の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
図1〜図3は、本発明に係る基板および基板の組付け構造の一実施の形態を示すものである。
【0028】
光ディスク装置に装備される光ピックアップ装置は、複数の基板10,20を備えて構成される。光ディスク装置に装備される光ピックアップ装置内の回路基板10,20の組付け構造は、複数の回路基板10,20を備えて構成されている。
【0029】
第一回路基板10は、例えば略板状の合成重合体を含む基部11と、略板状の合成重合体を含む基部11にパターン印刷された略箔状の複数の金属製導体部12と、略板状の合成重合体を含む基部11ならびに略箔状の複数の金属製導体部12等を、塵、埃などの他のものから保護する略薄層状の合成重合体製保護部13と、を備えて構成され、例えばメイン基板10として用いられる。略板状の第一回路基板10の端部10aに、略薄層状の合成重合体製保護部13が略箔状の金属製回路導体部12上に形成されずに金属製回路導体部12が一部露出されて形成された半田付け部15が設けられている。実際には、第一回路基板10の基板本体部11に多くの回路導体部12が配設される。このため、複数の回路導体部12の半田付け部15の間隔は、狭く設定される。
【0030】
また、第二回路基板20は、例えば略板状の合成重合体を含む基部21と、略板状の合成重合体を含む基部21にパターン印刷された略箔状の複数の金属製導体部22と、略板状の合成重合体を含む基部21ならびに略箔状の複数の金属製導体部22等を、塵、埃などの他のものから保護する略薄層状の合成重合体製保護部23と、を備えて構成され、例えばFMD用基板20として用いられる。略板状の第二回路基板20の端部20aに、略薄層状の合成重合体製保護部23が略箔状の金属製回路導体部22上に形成されずに金属製回路導体部22が一部露出されて形成された半田付け部25が設けられている。実際には、第二回路基板20の基板本体部21に多くの回路導体部22が配設される。このため、複数の回路導体部22の半田付け部25の間隔は、狭く設定される。
【0031】
この明細書における半田付け部15,25とは、例えば回路基板10,20等においてレジスト部13,23が設けられずに半田材30が付着可能な通電接合部とされ、例えばランド部15,25とされる。
【0032】
また、メイン基板10とFMD用基板20とは、略直角に配置されている。具体的に説明すると、メイン基板10とFMD用基板20とは、略90°(度)に配置されている。メイン基板10とFMD用基板20とが略直角に配置された状態で、メイン基板10の複数のランド部15と、FMD用基板20の複数のランド部25と、が半田材30によって半田付けされることにより、メイン基板10とFMD用基板20とが通電可能に接続される。
【0033】
また、多層のメイン基板10とされる第一回路基板10は、導体部12例えばパターン部12と、層間接続用貫通孔部17と、半田付けが行われるときに、パターン部12に備えられた層間接続用貫通孔部17への熱を伝わりにくくさせることにより熱伝導性を改善させる熱伝導改善部18例えば熱伝導遮蔽部と、を備えている。
【0034】
また、多層のFMD用基板20とされる第二回路基板20は、導体部22例えばパターン部22と、層間接続用貫通孔部27と、半田付けが行われるときに、パターン部22に備えられた層間接続用貫通孔部27への熱を伝わりにくくさせることにより熱伝導性を改善させる熱伝導改善部28例えば熱伝導遮蔽部と、を備えている。
【0035】
また、この回路基板10,20の組付け構造は、第一層間接続用貫通孔部17を有すると共に第一パターン部12が形成された第一回路基板10と、第一回路基板10に接続され第二層間接続用貫通孔部27を有すると共に第二パターン部22が形成された第二回路基板20と、を備えて構成されている。
【0036】
また、この回路基板10,20の組付け構造は、半田付けが行われるときに第一回路基板10に穿設された第一層間接続用貫通孔部17へ熱を伝わりにくくさせることにより熱伝導性を改善させる第一回路基板10に穿設された第一熱伝導改善部18と、半田付けが行われるときに第二回路基板20に穿設された第二層間接続用貫通孔部27へ熱を伝わりにくくさせることにより熱伝導性を改善させる第二回路基板20に穿設された第二熱伝導改善部28と、のうち、少なくとも一方の熱伝導改善部18/28好ましくは両方の熱伝導改善部18および28を有するものとされている。
【0037】
第一回路基板10は、第一パターン部12の端部12aに形成され、半田材30が盛り付けられる第一半田付け部15例えば第一ランド部15を有するものとされている。また、第二回路基板20は、第二パターン部22の端部22aに形成され、半田材30が盛り付けられる第二半田付け部25例えば第二ランド部25を有するものとされている。また、第一回路基板10に穿設された第一層間接続用貫通孔部17と第一ランド部15との間に第一熱伝導改善部18が備えられている。また、第二回路基板20に穿設された第二層間接続用貫通孔部27と第二ランド部25との間に第二熱伝導改善部28が備えられている。
【0038】
第一回路基板10の第一パターン部12に備えられた第一熱伝導改善部18は、通電可能に層間接続されない貫通孔形状をした例えば平面視略凹状もしくは逆凹状のスリット18として形成されている。また、第二回路基板20の第二パターン部22に備えられた第二熱伝導改善部28は、通電可能に層間接続されない貫通孔形状をした例えば平面視略半円湾曲状のスリット28として形成されている。
【0039】
詳しく説明すると、第一回路基板10の第一パターン部12に備えられた一対の第一層間接続用貫通孔部17,17は、通電可能に層間接続された平面視略丸孔状の一対の例えば第一スルーホール17,17として形成されている。また、第二回路基板20の第二パターン部22に備えられた第二層間接続用貫通孔部27は、通電可能に層間接続された平面視略丸孔状の例えば第二スルーホール27として形成されている。
【0040】
また、第一熱伝導改善部18は、例えば一対の第一スルーホール17,17を取り囲み、通電可能に層間接続されない例えば平面視略凹状もしくは逆凹状の第一スリット18として形成されている。また、第二熱伝導改善部28は、例えば第二スルーホール27を取り囲み、通電可能に層間接続されない例えば平面視略半円湾曲状の第二スリット28として形成されている。
【0041】
第一スルーホール17と第一スリット18との間隔は、第一スルーホール17を保護すると共に省スペース化を図るべく第一スルーホール17の直径の略1/5以上略5倍以下とされている。また、第二スルーホール27と第二スリット28との間隔は、第二スルーホール27を保護すると共に省スペース化を図るべく第二スルーホール27の直径の略1/5以上略5倍以下とされている。
【0042】
第一回路基板10、第二回路基板20等の複数の回路基板10,20を例えば手作業によって半田付けする際に、グランド側部(GND)、正電源電圧側部(VCC)等の大きい面積部分を有する第一パターン部12に一対の第一スルーホール17等の一対の第一層間接続用貫通孔部17が形成されている場合に、例えば第一層間接続用貫通孔部17の近傍に、第一層間接続用貫通孔部17へ熱を伝わりにくくさせることにより熱伝導性を改善させる例えば、平面視略半円状、略湾曲状、略凹状、略異形状等の第一熱伝導改善部18例えばスリット18を備えさせることより、半田付けが行われるときに第一回路基板10の第一層間接続用貫通孔部17へ熱が伝わりにくくなり、その結果、熱伝導性を改善させることができる。これにより、例えば半田ごてを用いて手作業によって半田付けが行われる作業たとえば手半田が行われやすくなる。
【0043】
また、第一回路基板10、第二回路基板20等の複数の回路基板10,20を例えば手作業によって半田付けする際に、グランド側部(GND)、正電源電圧側部(VCC)等の大きい面積部分を有する第二パターン部22に第二スルーホール27等の第二層間接続用貫通孔部27が形成されている場合に、例えば第二層間接続用貫通孔部27の近傍に、第二層間接続用貫通孔部27へ熱を伝わりにくくさせることにより熱伝導性を改善させる例えば、平面視略半円状、略湾曲状、略凹状、略異形状等の第二熱伝導改善部28例えばスリット28を備えさせることより、半田付けが行われるときに第二回路基板20の第二層間接続用貫通孔部27へ熱が伝わりにくくなり、その結果、熱伝導性を改善させることができる。これにより、例えば半田ごてを用いて手作業によって半田付けが行われる作業たとえば手半田が行われやすくなる。
【0044】
また、両方の熱伝導改善部18および28を有する回路基板10,20の組付け構造が構成されることにより、半田付け作業が一層改善される。
【0045】
また、図2および図3の如く、回路基板10,20の組付け構造は、第一回路基板10とされるメイン基板10と、メイン基板10に半田付けされて通電可能に接続され第二回路基板20とされるFMD用基板20と、メイン基板10とFMD用基板20とを通電可能に接続する半田材30と、を備えて構成される。メイン基板10を構成する基板本体部11に設けられた隣り合う複数の回路導体部12の終端部12aにおける第一ランド部15の先端部15aの幅部15bと、FMD用基板20を構成する基板本体部21に設けられた隣り合う複数の回路導体部22の終端部22aにおける第二ランド部25の先端部25aの幅部25bと、が共に細くされて狭められた構造とされている。
【0046】
このように回路基板10,20の組付け構造が構成されていれば、メイン基板10を構成する基板本体部11に設けられた隣り合う複数の回路導体部12の終端部12aにおける第一ランド部15と、FMD用基板20を構成する基板本体部21に設けられた隣り合う複数の回路導体部22の終端部22aにおける第二ランド部25と、が、例えば半田材30によって橋架けされつつ繋げられるように、第一ランド部15と第二ランド部25との間に多量の溶融状態の半田材30が盛り付けられても、例えば溶融されている半田材30の表面張力により半田材30の略中間部35が太くなるということは回避され易くなる。従って、隣り合う複数の太くされた半田材30同士が不用意に接するという不具合の発生は回避され易くなる。
【0047】
第二ランド部25の先端部25aに対向する第一ランド部15の先端部15aは、略鋭角状に形成されている。また、第一ランド部15の先端部15aに対向する第二ランド部25の先端部25aは、略鋭角状に形成されている。
【0048】
このように回路基板10,20の組付け構造が構成されることにより、半田材30の略中間部35が太くなるということは回避され易くなる。メイン基板10を構成する基板本体部11に設けられた隣り合う複数の回路導体部12の終端部12aにおける第一ランド部15と、FMD用基板20を構成する基板本体部21に設けられた隣り合う複数の回路導体部22の終端部22aにおける第二ランド部25と、が、例えば半田材30によって橋架けされつつ繋げられるように、第一ランド部15と第二ランド部25との間に多量の溶融状態の半田材30が盛り付けられても、例えば溶融されている半田材30の表面張力により半田材30の略中間部35が太くなるということは回避され易くなる。従って、隣り合う複数の太くされた半田材30同士が不用意に接するという不具合の発生は回避され易くなる。
【0049】
第二ランド部25に対向する第一ランド部15は、例えば水滴が落下するときの一般的な概念形状とされる先細り状先端部15aを有する略雫状いわゆるティアドロップ状に形成されている。また、第一ランド部15に対向する第二ランド部25は、例えば水滴が落下するときの一般的な概念形状とされる先細り状先端部25aを有する略雫状いわゆるティアドロップ状に形成されている。
【0050】
このように回路基板10,20の組付け構造が構成されていれば、半田材30の略中間部35が太くなるということは回避され易くなる。メイン基板10を構成する基板本体部11に設けられた隣り合う複数の略雫状に形成された第一ランド部15の先細り状先端部15aと、FMD用基板20を構成する基板本体部21に設けられた隣り合う複数の略雫状に形成された第二ランド部25の先細り状先端部25aと、が、例えば半田材30によって橋架けされつつ繋げられるように、第一ランド部15と第二ランド部25との間に多量の溶融状態の半田材30が盛り付けられても、例えば溶融されている半田材30の表面張力により半田材30の略中間部35が太くなるということは回避され易くなる。これにより例えば作業者が半田材30の増量できる範囲を容易に把握することが可能となる。
【0051】
メイン基板10の縁端部10aと、FMD用基板20の縁端部20aと、が着き合わせられて、メイン基板10の第一ランド部15における幅部15bが細くされて狭められた先端部15aと、FMD用基板20の第二ランド部25における幅部25bが細くされて狭められた先端部25aと、が着き合わせられている。
【0052】
このように回路基板10,20の組付け構造が構成されることにより、半田材30の略中間部35が太くなるということは回避される。メイン基板10を構成する基板本体部11に設けられた隣り合う複数の回路導体部12の終端部12aにおける第一ランド部15の幅部15bが細くされて狭められた先端部15aと、FMD用基板20を構成する基板本体部21に設けられた隣り合う複数の回路導体部22の終端部22aにおける第二ランド部25の幅部25bが細くされて狭められた先端部25aと、が、例えば半田材30によって橋架けされつつ繋げられるように、第一ランド部15と第二ランド部25との間に多量の溶融状態の半田材30が盛り付けられても、例えば溶融されている半田材30の表面張力により半田材30の略中間部35が太くなるということは回避される。メイン基板10の縁端部10aと、FMD用基板20の縁端部20aと、が着き合わせられて、メイン基板10の第一ランド部15における幅部15bが細くされて狭められた先端部15aと、FMD用基板20の第二ランド部25における幅部25bが細くされて狭められた先端部25aと、が着き合わせられた状態で、第一ランド部15と第二ランド部25との間に多量の溶融状態の半田材30が盛り付けられても、メイン基板10を構成する第一ランド部15の先端部15aの幅部15bが細くされて狭められ、FMD用基板20を構成する第二ランド部25の先端部25aの幅部25bが細くされて狭められているので、第一ランド部15と第二ランド部25とを繋ぐ例えば溶融状態の半田材30の略中間部35は、細い状態に維持される。従って、隣り合う複数の半田材30同士が接するという不具合の発生は回避される。これにより例えば作業者が半田材30の増量できる範囲を容易に把握することが可能となる。
【0053】
メイン基板10に対しFMD用基板20が交差して設置されている。具体的に説明すると、メイン基板10に対しFMD用基板20が略直交して設置されている。
【0054】
上記回路基板10,20の組付け構造が構成されていれば、メイン基板10に対しFMD用基板20が交差具体的には略直交するようにメイン基板10とFMD用基板20とが配設されても、メイン基板10を構成する基板本体部11に設けられた隣り合う複数の回路導体部12の終端部12aにおける第一ランド部15と、FMD用基板20を構成する基板本体部21に設けられた隣り合う複数の回路導体部22の終端部22aにおける第二ランド部25と、の半田付けによる接続作業は、不具合なく実行される。
【0055】
上記回路基板10,20の組付け構造が構成されて半田パターンたとえばレジスト形状などが改良されることにより、ランド間隔が狭められたメイン基板10の複数のランド部15と、ランド間隔が狭められたFMD用基板20の複数のランド部25と、が半田付けされるときに、例えば溶融されている半田材30に表面張力が生じても、半田材30の橋渡し部33の略中間部35は細い状態に維持される。例えば上記回路基板10,20の組付け構造が構成されていないと、半田材30の橋渡し部33の略中間部35が表面張力により脹らんで太くなり、その結果、隣り合う半田材30の橋渡し部33が接するという例えば半田タッチ発生問題が懸念される。
【0056】
しかしながら、上記回路基板10,20の組付け構造が構成されていれば、半田材30が用いられて、各ランド部15間が狭められて回路導体部12がパターン印刷されたメイン基板10に、各ランド部25間が狭められて回路導体部22がパターン印刷された相手側のFMD用基板20が半田付けされるときに、隣り合う半田材30同士が不用意に接するということは回避される。従って、例えば回路導体部12,22に電気が流されたときにショートが発生するという不具合の発生は回避される。
【0057】
回路基板10,20の基部11,21等を構成する材料等について説明すると、例えば、フェノール、紙フェノール、エポキシ、紙エポキシ、ガラス入りエポキシいわゆるガラエポ、ポリイミド等からなる群から選択される材料のうち少なくとも一種を含む材料が用いられて、回路基板10,20の基部11,21が形成される。詳しく説明すると、フェノール、紙フェノール、エポキシ、紙エポキシ、ガラス入りエポキシ、ポリイミド等からなる群から選択される材料のうち何れか一種の材料が主成分として用いられて、回路基板10,20の基部11,21が形成される。
【0058】
各種電子部品、各種電気部品などが通電可能に接続される回路基板は、例えば、PCB(printed circuit board)等と呼ばれたり、PWB(printed wired board / printed wiring board)等と呼ばれたりされている。
【0059】
各種電子部品、各種電気部品などが通電可能に接続される回路基板10,20を構成するものとして、例えば、ハロゲンフリー紙フェノール銅張積層板などが挙げられる。ハロゲンフリー紙フェノール銅張積層板として、例えばパナソニック電工社製:R−8500等が挙げられる。
【0060】
また、各種電子部品、各種電気部品などが通電可能に接続される回路基板10,20の基部11,21を構成する材料として、例えば、エポキシ等を含み環境に対応したハロゲンフリー基板用材料などが挙げられる。エポキシ等を含むハロゲンフリー基板用材料として、例えばパナソニック電工社製:「MEGTRON(登録商標) GX R−1515B」等が挙げられる。
【0061】
また、各種電子部品、各種電気部品などが通電可能に接続される回路基板10,20の基部11,21を構成する材料として、例えば、エポキシ、ガラス等を含み環境に対応したハロゲンフリーガラスエポキシマルチ多層プリント配線板などが挙げられる。例えばそのようなガラス布基材エポキシ樹脂多層プリント配線板として、パナソニック電工社製:GXシリーズR−1561等が挙げられる。
【0062】
回路基板10,20の基部11,21を構成するものとして、例えば環境に配慮されたハロゲンフリー材が用いられた。回路基板10,20の基部11,21を構成するものとして、環境に配慮されたハロゲンフリー材が用いられていれば、例えば、光ピックアップ装置、光ディスク装置などに装備された回路基板10,20が廃棄されるときに、自然環境に影響が及ぶということが回避される。
【0063】
また、例えば、各種電子部品、各種電気部品などは、回路基板(10,20)とされるフレキシブルプリント回路体(FPC:flexible printed circuit)などのフレキシブル回路基板(10,20)の各導体部(12,22)などに通電可能に接続される。
【0064】
FPC(10,20)に各種電子部品、各種電気部品などが半田付けされて通電可能に接続されるために、FPC(10,20)の基部(11,21)は、耐熱性に優れるポリイミド系樹脂などの耐熱性合成重合体が用いられて形成されている。FPC(10,20)は、例えば複数の回路導体部(12,22)が全芳香族系ポリイミド樹脂などの芳香族系耐熱性樹脂製の絶縁シート(11,21)に印刷等されて、例えば銅箔などの金属箔(12,22)が絶縁シート(11,21)に並設され、その上に例えば全芳香族系ポリイミド樹脂などの芳香族系耐熱性樹脂製の透明もしくは半透明の保護層(13,23)が設けられて構成される。FPC(10,20)は、例えば可撓性の薄い略帯状をしたシート物として形成される。
【0065】
全芳香族系ポリイミド樹脂などの芳香族系耐熱性樹脂製の絶縁シート(11,21)および/または保護層(13,23)を備えるFPC(10,20)が用いられることにより、FPC(10,20)同士の半田付けが良好に行われる。また、FPC(10,20)に対し、各種電子部品、各種電気部品などの半田付けが良好に行われる。FPC(10,20)は、例えば他の光ピックアップ装置に共通して使用可能な例えば規格化されたFPC(10,20)として構成される。
【0066】
ポリイミド樹脂が用いられて基部(11,21)が形成されたFPCとして、例えば、日東電工社製:ニトフレックス(登録商標)や、東レ・デュポン社製カプトン(登録商標)などが挙げられる。日東電工社製ニトフレックス(登録商標)の商品として、例えば、高精細FPC(両面)、高精細FPC、微細接続FPC、高絶縁信頼性FPC、高耐熱性FPC、高屈曲FPCなどが挙げられる。また、東レ・デュポン社製カプトン(登録商標)の商品として、例えば、Hタイプ、Vタイプ、SuperVタイプ、ENタイプ、KJタイプなどが挙げられる。東レ・デュポン社製カプトン(登録商標)は、約−269℃の極低温から約+400℃の高温までの広い温度範囲に使用可能なものとされている。
【0067】
半田材30として、例えば、糸半田材、クリーム半田材、リフロー半田材などが挙げられる。半田材30として、例えば環境に配慮された鉛を含有しない半田いわゆる鉛フリー半田が用いられた。半田材30として、鉛フリー半田が用いられていれば、例えば、光ピックアップ装置、光ディスク装置などに装備された回路基板10,20が廃棄されるときに、鉛により自然環境に影響が及ぶということが回避される。鉛フリー半田として、例えば、千住金属工業社製:エコソルダ(登録商標)などが挙げられる。具体的に説明すると、鉛フリー半田として、例えば、千住金属工業社製:エコソルダM30などが挙げられる。また、リフロータイプの鉛フリー半田として、例えば、千住金属工業社製:エコソルダL21などが挙げられる。なお、前記鉛フリー半田に代えて、通常の半田材が用いられたものも使用可能とされる。通常の半田材として、例えば、千住金属工業社製:スパークルペーストOZ(登録商標)などが挙げられる。
【0068】
光ピックアップ装置は、上記回路基板10,20の組付け構造を有している。上記回路基板10,20の組付け構造が光ピックアップ装置に構成されていれば、半田付けが不具合なく実行された光ピックアップ装置を構成させることが可能となる。これにより、光ピックアップ装置の歩留りを改善させることが可能となる。
【0069】
光ディスク装置は、上記回路基板10,20の組付け構造を有する光ピックアップ装置を備えている。上記回路基板10,20の組付け構造を有する光ピックアップ装置が光ディスク装置に装備されていれば、半田付けが不具合なく実行された光ピックアップ装置を備える光ディスク装置を構成させることが可能となる。これにより、光ディスク装置の歩留りを改善させることが可能となる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれるものである。
【0071】
例えばFMD用基板20に代えて、アクチュエータ用基板(20)が用いられてもよい。アクチュエータ(actuator)とは、例えばエネルギーを並進運動、回転運動等に変換させる駆動装置を意味する。
【0072】
また、メイン基板10とFMD用基板20とが略直角に配置された回路基板10,20の組付け構造に代えて、例えば、メイン基板(10)とFMD用基板(20)とが略水平に配置された回路基板(10,20)の組付け構造が用いられてもよい。メイン基板10とFMD用基板20との接続角度は、略直角のものだけでなく、メイン基板(10)とFMD用基板(20)との接続構造においては、両基板(10,20)が略水平状態または様々な接続角度に傾斜された状態にて回路基板(10,20)の組付け構造が構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
例えば、「CD」(Compact Disc)(商標)、「DVD」(登録商標)(Digital Versatile Disc)、「HD DVD」(High Definition DVD)(登録商標)、「CBHD(China Blue High−Definition)」、「Blu−ray Disc」(登録商標)等として挙げられる各種光ディスク等の各種メディアに記録されたデータ、情報、信号等を再生させたり、書込み可能もしくは書換え可能な各種光ディスク等の各種メディアにデータ、情報、信号等を記録させたり、書込み可能もしくは書換え可能な各種光ディスク等の各種メディアに記録されたデータ、情報、信号等を消去させたりすることが可能なピックアップ装置、ディスク装置、並びにこれらに備えられる基板および基板の組付け構造に適用可能とされるものである。
【符号の説明】
【0074】
10 メイン基板(基板)
10a,20a 縁端部(端部)
11,21 基板本体部(基部)
12,22 パターン部(導体部)
12a,22a 終端部(端部)
13,23 レジスト部(保護部)
15,25 ランド部(半田付け部)
15a,25a 先端部(端部)
15b,25b 幅部
17,27 スルーホール(層間接続用貫通孔部)
18,28 スリット(熱伝導改善部)
20 FMD用基板(基板)
30 半田材
33 橋渡し部
35 中間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間接続用貫通孔部と、
半田付けが行われるときに前記層間接続用貫通孔部への熱の伝わり方を改善させる熱伝導改善部と、
を備える
ことを特徴とする基板。
【請求項2】
層間接続用貫通孔部を有する第一基板と、
前記第一基板に接続され層間接続用貫通孔部を有する第二基板と、
を備え、
半田付けが行われるときに前記第一基板に設けられた前記層間接続用貫通孔部への熱の伝わり方を改善させる熱伝導改善部と、
前記半田付けが行われるときに前記第二基板に設けられた前記層間接続用貫通孔部への熱の伝わり方を改善させる熱伝導改善部と、
のうち、少なくとも一方の熱伝導改善部を有する
ことを特徴とする基板の組付け構造。
【請求項3】
前記第一基板は、半田材が盛り付けられる半田付け部を有し、
前記第二基板は、前記半田材が盛り付けられる半田付け部を有し、
前記第一基板に設けられた前記層間接続用貫通孔部と前記半田付け部との間に前記熱伝導改善部が備えられ、
前記第二基板に設けられた前記層間接続用貫通孔部と前記半田付け部との間に前記熱伝導改善部が備えられる
ことを特徴とする請求項2に記載の基板の組付け構造。
【請求項4】
前記熱伝導改善部は、貫通孔として形成された
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の基板の組付け構造。
【請求項5】
前記層間接続用貫通孔部は、層間接続された略丸孔状のスルーホールとして形成され、
前記熱伝導改善部は、層間接続されないスリットとして形成され、
前記スルーホールと前記スリットとの間隔は、前記スルーホールの直径の略1/5以上とされた
ことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の基板の組付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−142416(P2012−142416A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293771(P2010−293771)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】