説明

基板処理システムにおける材料蒸着方法及び装置

【課題】堆積チャンバ及び上記チャンバに結合されている蒸発器を備え、化学蒸着を遂行するための堆積システムを提供する。
【解決手段】1つの面において、蒸発器は、キャリヤーガスと液体前駆体とを混合するための比較的短い混合用通路を有している。混合用通路は、液体前駆体の細かいエアロゾル状の分散体を発生し、この分散体はホットプレートに280よって気化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路の製造の分野に関する。特定的には、本発明は、堆積処理システムにおいて材料を蒸着させるための改善された方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プラグ及びバイアのような相互接続のためにアルミニウムが集積回路内に広く使用されている。しかしながら、デバイスの密度が高くなり、動作周波数が高くなり、そしてダイスサイズが大きくなるにつれて、アルミニウムよりも低い固有抵抗を有する金属を相互接続構造内に使用することが要望されている。銅を堆積させるための、電気めっき、化学蒸着(“CVD”)、及び物理蒸着(“PVD”)を含む技術が十分に確立されている。CVDプロセスは、より順応的な堆積層を得ることができることが多いので、望ましいプロセスである。例えば銅の化学蒸着は、Cu(hfac)Lなる化学式を有するCupraselect(登録商標)として知られる液体銅化合物先駆物質を使用することによって達成することができる。Cupraselectは、カリフォルニア州カールスバッドのSchumacherの登録商標である。Cupraselectは(hfac)のような堆積制御化合物、及び熱安定化化合物(L)に結合された銅(Cu)からなっている。(hfac)はヘキサフルオロアセチルアセトナートを表し、(L)はトリメチルビニルシラン(“TMVS”)のようなリガンドをベースとする化合物を表している。
【0003】
Cu(hfac)Lを使用する銅のCVD中に、この先駆物質は気化(蒸発)し、ウェーハが配置されている堆積チャンバ内へ流入する。チャンバ内において、先駆物質はウェーハの表面における熱エネルギで浸出される。所望の温度において、以下の反応が発生するものと考えられる。
2Cu(hfac)L Cu+Cu(hfac)2+2L (式1)
生じた銅(Cu)が、ウェーハの上面に堆積する。反応の副産物(即ちCu(hfac)2及び(2L))は、ウェーハ処理中に典型的に真空に維持されるチャンバからパージすることができる。
【0004】
CVDにCupraselectを使用することに伴う1つの問題は、材料を、その液体貯蔵アンプルからCVDが行われる処理チャンバまで送給する際に発生し得る。
典型的には、液体Cupraselectを先ず気化させ、アンプルと処理チャンバとの間のアルゴン、ヘリウム、その他のガス(通常は、不活性ガス)のようなキャリヤーガスと混合させる。送給システム内には複数の蒸発器が組込まれており、典型的には、動作は2つの環境状態(温度または圧力)の一方を変化させることによって遂行される。多くの蒸発器は、先駆物質の温度を上昇させて所望の状態変化を確立する。不幸にも、温度を高くし過ぎると先駆物質が分解し、それ以後にアンプルと処理チャンバとの間の移送ラインにめっき(堆積)を生じさせる可能性がある。公知の蒸発器の1つの例は、先駆物質を気化させるために使用されるオランダのBronkhurst製GEM蒸発器である。不幸にもこれらのデバイスは、僅か約50−1500gのCupraselectを気化させただけで詰まってしまう。これらの詰まりは堆積レートを変化させ得る。多くのウェーハ製造応用の場合には、気化レートがウェーハ毎に再現可能であることが好ましい。
【0005】
気化の後、Cupraselectは適切なキャリヤーガスと共に処理チャンバ内へ頻繁にポンプされる。このポンピング動作は、高濃度のTMVSをCupraselectから引き出し、アンプル、送給システム、及び処理チャンバの間の移送ライン内に安定性の低い銅及び(hfac)を残す。これらの条件の下では、いろいろな位置に望ましくないめっきまたは堆積が発生する恐れもある。例えば、蒸発器、弁、処理チャンバのシャワーヘッドのオリフィス等々の付近にめっきが発生する可能性がある。めっきは、これらのシステム成分の寸法を変化させ、チャンバ及び得られる堆積層の性能を劣化させる恐れがある。更に、堆積プロセス中にめっきが望ましくなく剥落し、被処理ウェーハを欠陥にしたり、または使用できなくしてしまう可能性がある。処理チャンバを交換する、または清浄にするために処理チャンバに対して実行される保守サイクルが、ウェーハのスループットを低下させるようになる。
【0006】
1998年7月21日付コペンディング米国特許出願第09/120,004号(ドケットNo. 2460)に開示されているように、再現可能な堆積状態を得るためには、送給システム内のいろいろな点に堆積が発生する可能性を低下させるために、及び処理チャンバのパージングの時間及び費用を減少させるために、処理チャンバにできる限り近接した場所において先駆物質蒸気を発生させることが望ましいことが多い。上記特許出願では、蒸発器は処理チャンバの蓋の上に直接配置されており、先駆物質を送給するために使用される成分を短縮し、詰まりの機会を減少させ、そして必要になった時のシステムのパージングを容易にしている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一面においては、堆積プロセスシステムにおいて堆積材料を気化させる改善された方法及び装置が提供される。例えば、図示実施の形態においては、蒸発器は、出口及び陥凹した入口を有する空洞を限定するボディを含み、空洞出口は陥凹した空洞入口よりも大きくしてある。蒸発器ボディは、入口に結合され且つキャリヤーガスと液体先駆物質との混合流を空洞入口まで運ぶための第1の通路を更に限定している。通路は、小さい液体先駆物質の粒子を形成させ、液体先駆物質が大きい滴に再結合するのを禁止するように比較的短い長さと小さい幅とを有している。空洞は、キャリヤーガスと液体先駆物質との混合流が空洞入口から空洞出口まで流れる際に膨張させることができるような形状である。その結果、液体先駆物質はキャリヤーガスによって分散され、空洞全体に広がる。
【0008】
図示した実施の形態においては、蒸発器は、化学蒸着チャンバの蓋の上に配置されている。別の面においては、蒸発器は、シャワーヘッドと空洞出口との間に配置されているホットプレートを更に含み、分散された液体先駆物質を気化した材料へ気化させるようになっている。図示の実施の形態では、チャンバの蓋内に配置されているシャワーヘッドは、気化した材料を分配してウェーハまたは他の加工片上に堆積させるようになっている。
【0009】
図示した実施の形態の1つの面では、蒸発器の詰まりを減少させることができ、パージングまたは他の清浄が必要になるまでの堆積システムのスループットを増加させることができる。
【0010】
以上の説明は本発明の1実施の形態の単なる要約に過ぎず、以下に開示する実施の形態は本発明の思想または範囲から逸脱することなく多くの変化が可能であることを理解されたい。
【0011】
理解を容易にするために、全図を通して同一の要素に対しては、可能な限り同一の参照番号を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態によるCVD銅堆積システムの概要図である。
【図2】図1の蒸発器及びCVDチャンバの断面図である。
【図3】図2の蒸発器の拡大断面図である。
【図4】図3の蒸発器の通路及び空洞入口の拡大断面図である。
【図5】図2の蒸発器のホットプレートの5−5矢視上面図である。
【図6】堆積システムを作動させるための制御システムの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の図示実施の形態の特色は、堆積システムへ送給するための先駆物質材料(例えば、銅CVDの場合にはCupraselect)の改善された気化を含む。以下に、本発明の図示した実施の形態をCVDによって成長させる銅の薄いフィルムに関して説明するが、当業者ならば、得られるフィルムを改善し且つシステム内の汚染レベルを低下させるために、プロセス材料の制御された且つ再現可能な送給を維持することが望ましいような、如何なる薄いフィルム堆積プロセスにも適用可能であることが理解されよう。他の液体先駆物質または反応物は、制限するものではないが、TEOS、ホウ酸トリメチル、ホウ酸テトラエチル、燐酸テトラエチル、亜燐酸テトラエチル、テトラキス(ジメチルアミノ)チタンジエチル類似体、及び水を含む。Cupraselect以外の銅化合物先駆物質も使用可能である。
【0014】
特に図1を参照する。化学蒸着システム10は、蒸発器12を使用している。
蒸発器12は、蒸発器の詰まりを減少させるような手法で反応物液体を気化させる。液体の流量は、液体流コントローラ14と、プログラムされたワークステーションを含むシステムコントローラ17との間の閉ループシステムによって制御される。システム10においては、Cupraselectのような液体反応物11は、液体バルク送給槽16から熱またはプラズマ強化型のCVD処理チャンバ18へ供給される。チャンバ18は、詳細を後述するように、好ましくは蒸発器12がチャンバ18の蓋19に直接取付けられていることを除いて、普通のものである。
適当なチャンバ18の例は(上述した蓋の変更を除いて)、1991年3月19日付Adamikらの米国特許第5,000,113号、1987年5月26日付Fosterらの米国特許第4,668,365号、1986年4月1日付Benzingらの米国特許第4,579,080号、1985年1月29日付Benzingらの米国特許第4,496,609号、及び1980年11月4日付Eastらの米国特許第4,232,063号を含む。
【0015】
液体バルク供給槽16は、槽16内へ伸びている浸漬環20、及び液体を槽から駆動するためにヘリウムのような加圧されたガスを液体反応物11の上の槽16のトップの“ヘッド”空間26へ供給する源24を含んでいる。液体流コントローラ14は、液体バルク供給槽16と蒸発器12の液体入口30との間に接続されている。制御された量の液体が蒸発器12へ供給される。蒸発器12は液体を蒸気に変換し、その蒸気をヘリウム、窒素、またはアルゴンのようなキャリヤーガスによって処理チャンバ18へ運ぶ。キャリヤーガスを含むガス槽34が、ガス流量を調整する質量流コントローラ38を通して蒸発器12のガス入口36に接続されている。多くの応用においては、液体11は有毒及び/または腐食性であり得る。システム10及びその成分バルブ及び他の要素の点検を容易にするために、ガス槽34と液体流モニタとの間にパージラインが接続され、オペレータがシステム10を点検する前に、反応物液体11及びその蒸気をシステム10からパージすることができるようになっている。システム内の反応物の量を更に減少させるために、システムから液体及び蒸気を排出する真空ライン41がパージライン39と共に使用される。(真空ライン41は、CVD処理チャンバの真空システムに結合されている。)遠隔制御可能な(例えば、空気圧式)バルブ13が、各ラインに挿入されている。これらのバルブは、正常動作、及びパージ及び排気動作を可能にするように開閉する。安全性と障害許容範囲とを高めるために、遠隔制御バルブ13を有する各ラインは、遠隔制御バルブが故障した場合に手動で閉じることができる手動バルブ15をも有することができる。
【0016】
図2−4に、蒸発器12の1実施の形態を詳細に示してある。先ず図2を参照する。蒸発器12は、液体先駆物質11とキャリヤーガスとを混合する“噴霧器”ステージ200を含んでいる。キャリヤーガスは、急激に膨張できるようにされている。その結果、液体先駆物質は粉砕されてキャリヤーガス内に小さい粒子即ち小滴として分散され、蒸発器チャンバ202へ送られて気化される。用語“噴霧器”は、必ずしも噴霧器ステージ200が液体先駆物質を原子レベルに分散させることを意図しているものではない。しかしながら、噴霧器ステージ200は、蒸発器チャンバ202へのキャリヤーガスの流れの中に液体先駆物質をエアロゾル状分散体に分散させる。エアロゾル粒子は、例えば10-7から10-4cmまで(4×10-8乃至4×10-5インチ)の範囲の直径であることができ、乱流ガスは100倍大きい粒子を分散させることができる。1応用においては、図示実施の形態による噴霧器ステージは、蒸発器チャンバ202へのキャリヤーガスの流れの中に実質的に10ミル(0.010インチ)より小さいサイズ、及びエアロゾルサイズ粒子により近いサイズを有する殆どの液体先駆物質の粒子を分散させるようにCupraselect液体先駆物質を分散させるものと考えられる。勿論、粒子のサイズは応用に依存して変化する。
【0017】
噴霧器ステージ200は、液体入口30を通して液体先駆物質の流れを受け、またガス入口36を通してキャリヤーガスの流れを受けるバルブボディ204を含んでいる。液体入口30は、液体流コントローラ14(図1)からの液体先駆物質供給ライン208の一方の端を受けるカップラ206を含んでいる。ガス入口36は、制御バルブ13を介して質量流コントローラ38からのガス供給ライン212の一方の端を受けるカップラ210を含んでいる。カップラ206及び210は、特定の応用に適する公知の如何なるカップラ設計であっても差し支えない。ライン208及び212は、チャンバの蓋19を開閉し易いように、前記コペンディング出願に開示されているような柔軟なラインであることができる。
【0018】
次に図3及び4を参照する。噴霧器ステージ200のバルブボディ204は、流体通路220を含んでいる。この流体通路220は、第2の流体通路222によって液体入口カップラ206に結合され、第3の流体通路224によってガス入口カップラ210に結合されている。図4に示されているように、バルブボディ通路220は通路224(図3)からキャリヤーガスの流れ230を受け、図示した実施の形態では第1の通路220と直交するように配列されている通路222(図3)から液体先駆物質の流れ232を受ける。このような配列により剪断用T交差236が得られる。これにより、交差236においてキャリヤーガスの流れ230が液体先駆物質の流れ232を“剪断”し、(流れ232と230とが混合される部分232a及び230aによって表されているように)キャリヤーガスの流れとの混合を促進する。
【0019】
図示の実施の形態では、混合用通路220は、図4にWで示されているような比較的狭い幅を有している。通路220の幅を狭くすると、T交差236において液体先駆物質の流れ232がキャリヤーガスの流れ230によって剪断された時に、比較的小さい粒子即ち小滴の形成が容易になるものと考えられる。図示の実施の形態では、混合用通路は20−30ミルの範囲内の直径を有しているが、特定の応用に依存してより大きく、またはより小さくすることができる。
【0020】
混合用通路220は、T交差236の箇所に位置している1対の入口220a及び220bを有している。一方の入口220aは通路222に結合され、通路222から液体先駆物質を導入する。他方の入口220bは通路224に結合され、通路224からキャリヤーガスを導入する。図示の実施の形態では、図4にLで示されているように、混合用通路220は液体先駆物質入口220aから空洞入口262まで比較的短い合計長を有している。混合用通路の幅Wに比して混合用通路220の長さLを短くすると、キャリヤーガス及び液体先駆物質の混合流がT交差236から空洞入口262まで流れる際に、液体先駆物質の粒子がより大きい滴に再結合することを阻止するものと考えられる。図示の実施の形態では、混合用通路220の長さLとその幅Wとの比は、2:1から20:1までの範囲である。この比は、応用に依存して変化させることができる。
【0021】
混合用通路220の入口220bは、キャリヤーガス通路224の縮小された直径部分224aに結合されている。図示の実施の形態では、縮小された直径部分224aは混合用通路220と同一の幅を有している。
【0022】
ガス通路224のより大きい直径の部分224bから、混合用通路220までのキャリヤーガスの流速は、狭められたガス通路224aの前に位置決めされている狭め用ノズル部分240(図3)によって加速される。図示の実施の形態では、狭め用ノズル部分240は半球形であって、小さくされた直径の通路224a及び混合用通路220内へのガスの流れを滑らかに狭める。ガス流を狭めると、ガス流の速度が“ベンチュリ効果”によって加速されるものと考えられる。図示の実施の形態では、ノズル部分240はガス通路224の直径をほぼ1/10まで狭めている。混合用通路の前のノズル部分240はオプションであり、円筒形及び円錐台形を含む他のいろいろな形状を有することができる。
【0023】
同様に、液体通路222から混合用通路220までの液体先駆物質の流速も、混合用通路220の前の液体通路222内に位置決めされた狭め用ノズルによって加速される。図示の実施の形態では、狭め用ノズルは、図3内に244で概示されている“ゼロデッドボリューム(0死容積)”バルブによって実現されている。他の型のバルブを使用することもできる。バルブ244は、246で概示されているバルブ部材を含み、この部材が弁座に着座すると液体通路222が閉じられて混合用通路220への液体先駆物質の流れを阻止する。バルブ部材が弁座から変位する開位置では、バルブを通る液体の流れはガス流のそれと同様に狭められ、混合用通路内への液体先駆物質の流れが加速される。液体通路222から、開いたバルブ244を通って混合用通路220までの液体の流れの狭まりは、通路222の小さくされた直径のバルブ通路244aによって概示されている。図示の実施の形態では、通路244aはほぼ10ミルの直径を有しており、バルブ244は事実上液体通路222の直径をほぼ1/10まで狭めている。ゼロデッドボリュームバルブの構造の詳細は当分野においては公知であり、いろいろな形状をとることができる。しかしながら、バルブが閉じた位置にある場合に、混合用通路220と、バルブ244の弁座内に座しているバルブ部材246との間のバルブ244の閉じた通路の容積(“デッドレッグ(死脚)”通路244aによって表されている)は可能な限り小さくすることが好ましく、従って“ゼロデッドボリューム”と名付けられていることが理解されよう。バルブ通路のデッドレッグのデッドボリュームを減少させることによって、蒸発器12の清掃及びパージングが容易になる。図示の実施の形態では、バルブ244が閉じている時にパージされるデッドレッグ244aの容積は、0.1cc(cm3)より小さく、より好ましくは0.001ccより小さい。
【0024】
バルブの寸法は、応用に依存して変化させることができる。更に、若干の応用においては、バルブはオプションである。
【0025】
図3に示されているように、キャリヤーガスと液体先駆物質との混合体は、混合用通路220によって、バルブボディ204内に形成されている空洞260へ送られる。図示の実施の形態では、混合用通路220は、剪断用T236から空洞260まで比較的一定の直径を有しており、混合体は実質的な付加的な狭めを受けることなく空洞260へ送られるようになっている。背圧を低下させるために、若干の応用では小さくされた直径の通路の長さを最小にすることが望ましいかも知れない。しかしながら、キャリヤーガス及び液体先駆物質の混合流を膨張空洞の中心へ導くように、混合用通路は十分に長くすることが好ましい。
【0026】
空洞260は、半球形入口部分260aと、それに続くほぼ円筒形の出口部分260bを含んでいる。半球形入口部分260aは、空洞壁内へ陥凹していて混合用通路220の端に流体的に接続されている空洞入口262を限定している。
図示の実施の形態では、空洞260には注入チップまたは空洞内へ伸びる他の入口部材を設けてない。空洞260の反対側の端、即ち円筒形出口部分260bは、空洞入口262の内径より実質的に大きい内径を有する空洞出口264を限定している。図3に示すように、空洞の直径は、半球形部分260aから単調に増加している。その結果、空洞入口262において混合用通路220を出るキャリヤーガスと液体先駆物質との混合体は、それが半球形入口部分260aを通過する際に急激に膨張し、半球形入口部分260aによって狭められない。混合体流のこの急激な膨張が体先駆物質の分散を促進し、急激に膨張するキャリヤーガスの流れによって運ばれる極めて小さいエアロゾル状の流れにすると考えられる。
【0027】
図示の実施の形態では、空洞260の内径は、円筒形出口部分260bにおいて実質的に一定に留まっている。図示の実施の形態では、出口部分260bの直径はほぼ1/4乃至1/2インチである。噴霧器ステージの空洞260bは、図示し、説明した半球形及び円筒形以外のサイズ及び形状を有することができる。例えば、応用に依存して、円錐台形空洞を使用することもできる。しかしながら、空洞を絞ると、空洞の壁上への材料の堆積を増加させる可能性がある。
【0028】
図2に示すように、蒸発器12の蒸発器チャンバ202は、ほぼ円筒形の蒸発器チャンバ内部272を限定するハウジング270を含んでいる。液体先駆物質及びキャリヤーガスのエアロゾル状の分散体は、噴霧器出口264によって、蒸発器チャンバ202のハウジング270によって限定される中心入口274へ送られる。噴霧器ステージ200のバルブボディ204は、噴霧器200の出口が蒸発器チャンバ202の入口274と整列するように、蒸発器チャンバ202のハウジング270に取付けられている。噴霧器200と蒸発器チャンバ202との間の結合は、適当なシール276(図3)を用いて密封されている。
【0029】
図示の実施の形態では、蒸発器チャンバ入口274は、噴霧器空洞出口264の円筒形部分260bと同一の内径を有するほぼ円筒形の部分274a(図3)と、それに続く円錐台形に広がっているノズル部分274bとを含んでいる。チャンバ272の内部に配置され、蒸発器チャンバ入口274と対面しているのはホットプレート280である。ホットプレート280は、キャリヤーガスによってホットプレート280まで運ばれる液体先駆物質の粒子を気化させるのに十分な温度まで加熱されている。
【0030】
図示の実施の形態では、蒸発器チャンバ入口274の内径は、円筒形部分274aでは実質的に一定に保たれ、円錐台形部分274bでは線形に単調に広がっている。蒸発器チャンバ202の入口274は、図示し、説明した円筒形及び円錐台形以外の形状を有することができる。例えば、応用に依存して、半球形の入口を使用することもできる。しかしながら、入口において狭めると、入口の壁上への材料の堆積を増加させかねない。
【0031】
図5に示すように、ホットプレート280は、蒸発器チャンバ内部272内に配置され、環状外側ゾーン280aを有している。外側ゾーン280aは、外側ゾーン280aの周りに配置されている複数の通路282を限定している。各ホットプレート通路282はホットプレート280を貫通し、気化した材料がホットプレート280、及び処理チャンバ18の蓋19内の開口284を通過して処理チャンバ18の内部286へ流入できるようにしている。通路282のサイズ及び数は、応用に依存して変化させることができる。図示の実施の形態では、蒸気がホットプレートを通過する時に圧力が実質的に降下するのを減少乃至は排除するように、通路は十分に大きいサイズ及び十分な数にすることが好ましい。
【0032】
破線290(図2)によって示されている円錐台形部分274bの側に沿う視線は、ホットプレート280の上面の中央のディスク形ゾーンと交差している。
その結果、蒸発器チャンバ入口274の円錐台形部分274bの側は、分散した液体先駆物質材料の大部分をホットプレート280の中央ゾーン280b上に導いて気化させる。応用に依存して、他の角度を選択することができる。
【0033】
図2及び5に示すように、ホットプレート280の中央ゾーン280bは、噴霧器ステージ200から液体先駆物質の小滴を受けて蒸気に気化させるための複数の同心の溝288を有している。これらの溝は、小滴へ熱エネルギを伝えて小滴を気化させるためのホットプレートの実効表面を増加させる。更に溝は、即時に気化しない小滴を、それらが気化するのに十分なエネルギを受けるまで集める。流れを表す矢印289によって示してあるように、気化した材料はホットプレートの通路282、及び堆積チャンバ18の内部への蓋開口284を通過する。
【0034】
図示の実施の形態では、ホットプレート280の溝288は、1/16乃至1/8インチの範囲の幅と、1/4乃至1/2インチの範囲の深さとを有している。これらの寸法は、応用に依存して変化させることができる。溝は、ホットプレートのトップ表面を過大に冷却することなく、しかも良好な熱伝導を維持するようなサイズであることが好ましい。更に、溝のサイズは、製造コスト及び清浄効率にも影響を及ぼし得る。
【0035】
バルブボディ204、チャンバハウジング270、及びホットプレート280を含む蒸発器12は、蒸発器チャンバのハウジング270の外側、及びホットプレートの外側ゾーン280aの外側を包囲している加熱用ジャケット292によって加熱される。図示の実施の形態では、バルブボディ204、蒸発器チャンバハウジング270、及びホットプレート280を含む蒸発器12の成分はアルミニウム製である。他の高い熱伝導材料を含む他の材料を使用できることを理解されたい。図示の実施の形態では、液体先駆物質または蒸気と接触する可能性がある噴霧器ステージ200及びホットプレート280を含む蒸発器チャンバの成分の温度は制御されている。これらの温度は、液体先駆物質の気化を促進するように十分に高いが、薬品の劣化を回避するように十分に低いことが好ましい。液体先駆物質がCupraselectである図示の実施の形態では、これらの成分の温度範囲は70−75℃であることが好ましい。勿論、この温度範囲は、応用に依存して変化させることができる。加熱用ジャケットの代替として、限定するものではないが、遠隔加熱された流体との流体交換、ホットプレート280、チャンバハウジング270またはバルブボディ204内に/上に含まれる抵抗加熱素子、及びチャンバ内の加熱ランプ(図示してない)等のような公知の、且つチャンバ成分加熱のために受容される手段によって加熱を達成することができる。もしホットプレートの外側ゾーン280aへ、またはホットプレートの中へ熱を加えてホットプレートを加熱するのであれば、ホットプレートの内側ゾーン280bへ十分に熱を伝え得るように、ホットプレートの相隣る通路282の間の外側ゾーン280aに十分な材料を残すことが好ましい。
【0036】
蒸発器チャンバハウジング270はホットプレート外側ゾーン280b上に取付けられ、外側ゾーン280b自体は堆積チャンバ蓋19内の開口284と整列して蓋19に取付けられる。蒸発器ホットプレート280と堆積チャンバ蓋19との間の結合は、蒸発器ハウジング270とホットプレート280との間の結合のように、適当なシール300(図2)によって密封されている。堆積チャンバ18は、側壁302、床304、及び蓋19によって限定されている。蓋19には、堆積させる蒸気を分配する複数のオリフィス310を有するシャワーヘッド308が組み込まれている。堆積チャンバ18は、銅を堆積させることが望まれている半導体ウェーハのような基板316を保持するための加熱された基板支持体312を更に含んでいる。基板支持体312は、アルミニウムのような耐久性金属材料、または窒化アルミニウムまたは窒化ホウ素のようなセラミックで製造される。基板支持体312は加熱器またはヒートシンクとしても機能し、ウェーハ316を加熱し、またはウェーハ316から熱を引き出すための付加的な成分を含んでいる。例えば、基板支持体312には、電源に接続されている1つまたはそれ以上の抵抗加熱器コイル313を設けることができる。電源からコイル313へ供給される電流の流れは基板支持体312内に熱を生成し、この熱がウェーハ316へ伝えられる。環状の板314がチャンバ壁302に取付けられており、カバー環318のための支持体になっている。蒸発器12からの気化した先駆物質が加熱されたウェーハと接触すると、CVDによって基板316上に銅が堆積される。カバー環318は、堆積が望ましくない基板316の周縁部分及び下側チャンバ領域を保護する。圧力制御ユニット342(例えば、真空ポンプ)がバルブ338(例えば、絞りバルブ)を介して処理チャンバ18に結合されていて、チャンバ圧力を制御するようになっている。
【0037】
堆積チャンバのシャワーヘッドはオプションであり、公知のどのようなシャワーヘッドであることもできる。更に、シャワーヘッドは、前記コペンディング出願に記載されているように構成することができる。該出願に記載されているように、シャワーヘッド308は、気化した先駆物質及びキャリヤー材料のための分配板としてだけではなく、過剰な処理材料を捕捉して再気化させるための二次“ホットプレート”としても役立っている。シャワーヘッド308は、オプションでシャワーヘッド308の上面に形成されている複数の凹状セグメント326、及びオプションでシャワーヘッド308上に配置されているシャドウプレート324によってこの機能を遂行する。完全に気化した処理材料の流れは、蒸発器12からチャンバ18内へ流入する。流れ343は、シャドウプレート324内に設けられている複数のオリフィス344、及びシャワーヘッド308内の複数のオリフィス310を通過し続ける。シャドウプレートのオリフィス344は、シャワーヘッドのオリフィス310からずらされていて、液体先駆物質による汚染を減少させるようになっている。即ち、蒸発器12からの不完全気化(液体)材料の流れ345は、シャワーヘッド308のトップ上の凹状部分326の1つによって捕捉される。シャワーヘッド308及びシャドウプレート324は、液体先駆物質材料(即ち、Cupraselect)の気化に適する温度であるほぼ65℃に加熱されている。この加熱は、限定するものではないが、遠隔加熱された流体との流体交換、シャワーヘッド308及び/またはシャドウプレート324内に/上に含まれる抵抗加熱素子、及びチャンバ内の加熱ランプ等のような公知の、且つチャンバ成分加熱のために受容される手段によって達成される。これにより液体材料は気化し、シャワーヘッド308内の複数のオリフィス310の1つを通る通路347を辿ることになる。不完全気化材料の流れは通路350に沿っても発生することがあり得るがシャドウプレート324上で気化し始め、気化した流れとして通路352に沿って流れ続ける。シャワーヘッド308及びシャドウプレート324は、このよな液体を捕捉し、二次的に気化させることによって、ウェーハ表面への液体材料の流れを阻止するものと考えられる。
【0038】
ホットプレート280、ハウジング270、またはバルブボディ200のような、上述したいろいろな成分は各々、一体としてまたは単片構造として製造することができる。代替として、特定の応用に依存して、これらの成分は副成分からアセンブルすることができる。
【0039】
上述した装置及びプロセスは、プロセッサをベースとする制御システム17(図1)によって制御されるシステム内で遂行することができる。図6は、図1に示すような堆積システム10のブロック図であり、このような能力に使用することができる制御システム17を有している。制御システム17は、プロセッサユニット802、メモリ804、大容量記憶装置806、入力制御ユニット808、及びディスプレイユニット810を含み、これらは全て制御システムバス812に結合されている。
【0040】
プロセッサユニット802は汎用コンピュータを形成しているが、図示の実施の形態の銅のCVDを実施するためのプログラムのようなプログラムを実行する時には専用コンピュータになる。本明細書においてはこの実施の形態を、ソフトウェアで実現して汎用コンピュータ上で実行させるものとして説明するが、当分野に精通していれば、本発明は特定用途向け集積回路ASICまたは他のハードウェア回路のようなハードウェアを使用して動作させることができることは理解されよう。従って、本発明の実施の形態の制御面は、全部または一部を、ソフトウェア、ハードウェア、または両者で実現できることを理解すべきである。
【0041】
プロセッサユニット802は、メモリ内に格納されている命令を実行することができるマイクロプロセッサまたは他のエンジンの何れかである。メモリ804は、ハードディスクドライブ、ランダムアクセスメモリ(“RAM”)、読出し専用メモリ(“ROM”)、RAM及びROMの組合わせ、または別のプロセッサ可読記憶媒体からなることができる。メモリ804は、堆積システム10の動作を遂行させるためにプロセッサユニット802が実行する命令を含んでいる。
メモリ804内の命令は、プログラムコードの形状である。プログラムコードは、多くの異なるプログラミング言語の何れか1つに従う。例えば、プログラムコードは、C+、C++、ベーシック、パスカル、または多くの他の言語で書くことができる。
【0042】
大容量記憶デバイス806は、データ及び命令を格納し、磁気ディスクまたは磁気テープのようなプロセッサ可読記憶媒体からデータ及びプログラムコード命令を検索する。例えば、大容量記憶デバイス806は、ハードディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、テープドライブ、または光ディスクドライブであることができる。大容量記憶デバイス806は、それがプロセッサユニット802から受けた指令に応答して、命令を格納し、検索する。大容量記憶デバイス806によって格納され、検索されたデータ及びプログラムコード命令は、堆積システム10を動作させるためにプロセッサユニット802によって使用される。データ及びプログラムコード命令は、先ず媒体から大容量記憶デバイス806によって検索され、次いでプロセッサユニット802が使用するためにメモリ804へ転送される。
【0043】
ディスプレイユニット810は、プロセッサユニット802の制御の下に、図形ディスプレイ及び英数字の形状でチャンバのオペレータに情報を提供する。入力制御ユニット808は、キーボード、マウス、または光ペンのようなデータ入力デバイスを、チャンバオペレータの入力を受信させるためにプロセッサユニット802に結合する。
【0044】
制御システムバス812は、制御システムバス812に結合されている全てのデバイス間にデータ及び制御信号を転送する。制御システムバスは、プロセッサユニット802内のデバイスを直接的に接続する単一のバスとして示されているが、制御システムバス812はバスの集まりであることもできる。例えば、ディスプレイユニット810、入力制御ユニット808、及び大容量記憶デバイス806は、入力・出力周辺バスに結合することができ、一方プロセッサユニット802及びメモリ804はローカルプロセッサバスに結合することができる。ローカルプロセッサバス及び入力・出力周辺バスは互いに結合されて、制御システムバス812を形成する。
【0045】
制御システム17は、図示の実施の形態に従って銅CVD内に使用される堆積システム10の要素に結合されている。これらの各要素は、制御システムバス812に結合されていて、制御システム17と要素との間で通信を行う。これらの要素は、複数のバルブ814(図1のバルブ13及び15のような)、加熱素子(図2の加熱素子113及び加熱用ジャケット292のような)、圧力制御ユニット342、フローコントローラ(図1のフローコントローラ14及び38のような)、蒸発器12(図3のバルブ244を含む)、及び圧力源コントローラ(図1の圧力源24のような)を含んでいる。制御システム17は、チャンバ要素に信号を供給し、関連装置内においてこれらの要素に銅層を形成するための動作を遂行させる。
【0046】
動作を説明する。プロセッサユニット802は、メモリ804から受信したプログラムコード命令に応答して、チャンバ要素の動作を指令する。例えば、ウェーハが処理チャンバ内に配置されると、プロセッサユニット802はメモリ804から検索した命令(例えば、加熱素子313を付勢する、先駆物質及びキャリヤー材料の所望の流量を発生させるためにバルブ814を制御する、基板支持体312をCVDのための位置へ移動させる等)を実行する。これらの命令の実行により、堆積システム10の要素が作動して基板上に材料の層を堆積させる。
【0047】
以上に説明した新規な堆積システムは、気化した前駆材料をチャンバ内により完全に且つより均一に分散させることによって、改善されたCVD動作を提供することができる。更に、本堆積システムのさまざまな特色は、潜在的にチャンバ内に粒子を創出する、及び/またはシステム成分の早めの故障または過大な保守をもたらすような望ましくない詰まりまたは過剰、及びめっきを発生させる可能性を低下させることを含む。
【0048】
以上の説明は、単に本発明の若干の実施の形態を示しているに過ぎず、本発明の思想または範囲から逸脱することなく、以上の開示に従って上記実施の形態に多くの変更を考案できることを理解されたい。従って、以上の説明は本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0049】
10 CVD銅堆積システム
11 液体反応物
12 蒸発器
13 遠隔制御バルブ
14 液体フローコントローラ
15 手動バルブ
16 液体バルク供給槽
17 システムコントローラ
18 CVD処理チャンバ
19 チャンバの蓋
20 浸漬管
24 加圧ガス源
26 ヘッド空間
30 液体入口
34 ガス槽
36 ガス入口
38 質量フローコントローラ
41 真空ライン
200 噴霧器
202 蒸発器チャンバ
204 バルブボディ
206、210 カップラ
208 液体先駆物質供給ライン
212 ガス供給ライン
220、222、224 流体通路
230 キャリヤーガスの流れ
232 流体先駆物質の流れ
236 剪断T交差
240 狭め用ノズル部分
244 ゼロデッドボリュームバルブ
246 バルブ部材
260 空洞
262 空洞入口
264 空洞出口
270 ハウジング
272 蒸発器チャンバの内部
274 中心入口
276 シール
280 ホットプレート
282 通路
284 処理チャンバの開口
286 処理チャンバの内部
288 溝
289 気化した材料の流れ
292 加熱用ジャケット
300 シール
302 側壁
304 床
308 シャワーヘッド
310 オリフィス
312 サセプタ
313 加熱器コイル
314 環状の板
316 ウェーハ
318 カバー環
324 シャドウプレート
326 凹状セグメント
338 絞りバルブ
342 圧力制御ユニット(真空ポンプ)
343 処理材料の流れ
344 オリフィス
345、350 不完全気化材料の流れ
347、352 再気化した材料の流れ
802 プロセッサユニット
804 メモリ
806 大容量記憶装置
808 入力制御ユニット
810 ディスプレイユニット
812 制御システムバス
813 加熱素子
814 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリヤーガス源、液体先駆物質源、及び化学蒸着を遂行する堆積チャンバと共に使用するための蒸発器であって、
出口及び入口を有する空洞を限定しているバルブボディを備え、上記バルブボディは、上記空洞入口に結合され且つキャリヤーガス及び液体先駆物質の流れを上記空洞入口へ運ぶための第1の通路を更に限定し、上記第1の通路は液体前駆物質入口を有し且つ幅W及び上記液体前駆物質入口と上記空洞入口との間の長さLとを限定し、上記バルブボディは、上記第1の通路の液体前駆物質入口に結合され且つ液体先駆物質の流れを上記第1の通路へ運ぶための第2の通路と、上記第1の通路に結合され且つキャリヤーガスの流れを上記第1の通路へ運ぶための第3の通路とを更に限定し、上記第1の通路は、上記液体先駆物質入口を通過するキャリヤーガスの流れを方向づけて、キャリヤーガスの流れが上記液体前駆物質の流れを剪断して液体前駆物質を小滴にし、上記液体先駆物質の小滴と上記キャリヤーガスの両者が混合した流れが上記液体前駆物質入口と上記空洞入口との間で形成されるような形状とされ、上記液体前駆物質入口と上記空洞入口との間の上記第1の通路の上記長さLと上記幅Wとの比は20:1を越えることはなく、上記空洞は、上記キャリヤーガスが上記空洞により膨張して上記液体先駆物質の小滴を分散させることができるような形状であり、上記蒸発器は、更に、上記空洞出口に対面し、分散された液体前駆物質を気化した材料に気化するホットプレートを更に備える、
ことを特徴とする蒸発器。
【請求項2】
上記第1の通路の上記長さLと上記幅Wとの比は、少なくとも2:1であることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
【請求項3】
上記第1の通路の長さは、100ミルより短いことを特徴とし、ここで1ミル=1000分の1インチであり、1インチは約2.54cmである、請求項1に記載の蒸発器。
【請求項4】
上記第1の通路は、30ミルより小さいことを特徴とし、ここで1ミル=1000分の1インチであり、1インチは約2.54cmである、請求項1に記載の蒸発器。
【請求項5】
上記空洞入口は、陥凹していることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
【請求項6】
上記バルブボディは、上記第2の通路内に配置されているバルブを更に備え、上記バルブは開いた位置と閉じた位置とを有し、上記開いた位置にある時には上記第2の通路からの上記液体先駆物質の流れを上記第1の通路へ通過可能にすることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
【請求項7】
上記バルブは、ゼロデッドボリュームバルブであることを特徴とする請求項6に記載の蒸発器。
【請求項8】
上記第2の通路は、上記バルブが上記閉じた位置にある時に上記バルブと上記第1の通路との間にデッドレッグ部分を限定し、上記デッドレッグ部分は0.1ccまたはそれ以下の容積を有していることを特徴とする請求項6に記載の蒸発器。
【請求項9】
上記デッドレッグ部分は0.001ccまたはそれ以下の容積を有していることを特徴とする請求項8に記載の蒸発器。
【請求項10】
上記第3の通路から上記第1の通路を通るキャリヤーガスの流れが、上記第2の通路からの液体先駆物質の流れと上記第1の通路内を流れる上記キャリヤーガスとを混合させるように、上記第2の通路が上記第1の通路に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
【請求項11】
上記第1の通路は第1の流れ断面積を有し、上記第2の通路は上記第1の流れ断面積より小さい第2の流れ断面積を有していることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
【請求項12】
上記第1の通路は第1の流れ断面積を有し、上記第3の通路は上記第1の流れ断面積より大きい第3の流れ断面積を有していることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
【請求項13】
上記空洞は、上記空洞入口から上記空洞出口まで単調に増加する流れ断面積を有していることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
【請求項14】
上記ホットプレートは、上記空洞出口と対面し且つ複数の溝を限定している表面を有していることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
【請求項15】
上記ホットプレートの上記溝は、同心であることを特徴とする請求項14に記載の蒸発器。
【請求項16】
上記ホットプレートの上記溝は、1/16乃至1/8インチの範囲内の幅を有していることを特徴とし、ここで、1インチは約2.54cmである請求項14に記載の蒸発器。
【請求項17】
上記ホットプレートの上記溝は、1/4乃至1/2インチの範囲内の深さを有していることを特徴とし、ここで、1インチは約2.54cmである請求項14に記載の蒸発器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−64200(P2013−64200A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−260322(P2012−260322)
【出願日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【分割の表示】特願2001−65754(P2001−65754)の分割
【原出願日】平成13年2月1日(2001.2.1)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】