説明

基板処理装置

【課題】処理液の取り替えサイクルを長くしたり、基板処理効率の低下を防止したり、基板処理コストを抑えることができる基板処理装置などを提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、貯留槽11と基板処理機構12と間で処理液を循環させる第1処理液循環機構20と、基板処理機構12における基板処理によって処理液中に含まれるようになった金属イオンを吸着する2つの吸着塔32,33と、貯留槽11内の処理液を吸着塔32,33のいずれか一方に選択的に供給して循環させる第2処理液循環機構34と、処理液の供給される吸着塔32,33が所定時間間隔で交互に切り換わるように第2処理液循環機構34の作動を制御する制御装置28とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理用の処理液中に含まれる金属イオン、特にインジウムイオン及びスズイオンを除去する処理液処理装置を備えた基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体(シリコン)ウエハ,液晶ガラス基板,フォトマスク用ガラス基板,光ディスク用基板などの各種基板を製造する工程では、これらの基板にエッチング液や現像液、洗浄液といった各種処理液を供給して当該基板を処理する工程がある。
【0003】
そして、このような工程に用いられる基板処理装置として、従来、例えば、特開2000−96264号公報に開示されたエッチング装置が知られている。このエッチング装置は、エッチング液を貯留する貯留槽と、エッチング液によって基板にエッチング処理を行う基板処理機構と、貯留槽に貯留されたエッチング液を基板処理機構に供給し、供給したエッチング液を当該基板処理機構から回収して、貯留槽と基板処理機構との間でエッチング液を循環させるエッチング液循環機構と、貯留槽に貯留されたエッチング液中の、エッチング処理に寄与する成分の濃度を検出する濃度センサと、濃度センサによって検出された濃度が所定の基準濃度から外れると、貯留槽内に新たなエッチング液を補給して当該エッチング液中の前記寄与成分濃度を一定濃度に維持するエッチング液補給機構とを備える。
【0004】
前記基板処理機構は、閉塞空間を備えた処理チャンバと、処理チャンバ内に配設され、基板を水平に支持して所定方向に搬送する複数の搬送ローラと、搬送ローラの上方に配設され、基板の上面に向けてエッチング液を吐出する複数のノズル体などからなる。
【0005】
前記エッチング液循環機構は、一端側が貯留槽に接続し、他端側が処理チャンバ内に設けられて当該他端側に前記各ノズル体が固設された供給管と、供給管を介して各ノズル体にエッチング液を供給する供給ポンプと、一端側が前記処理チャンバの底部に接続し、他端側が貯留槽に接続した回収管などからなる。
【0006】
このエッチング装置によれば、搬送ローラによって基板が所定方向に搬送されるとともに、供給ポンプにより、貯留槽に貯留されたエッチング液が供給管を介し各ノズル体に供給されて当該各ノズル体から基板上面に吐出され、かかるエッチング液によって基板がエッチングされる。
【0007】
そして、基板上面に吐出されたエッチング液は、回収管内を流通して処理チャンバ内から貯留槽内に回収される。貯留槽に貯留されたエッチング液中の前記寄与成分濃度は、濃度センサによって随時検出されており、当該濃度センサによって検出される寄与成分濃度が所定の基準濃度から外れると、エッチング液補給機構によって新たなエッチング液が貯留槽内に補給され、当該エッチング液中の前記寄与成分濃度が一定濃度に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−96264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、例えば、基板の上面に形成された酸化インジウムスズ膜などの金属膜に対してエッチングを行うと、当該エッチングにより、当該金属膜を構成するインジウムやスズといった金属がエッチング液に溶解する。したがって、エッチング液を貯留槽と基板処理機構との間で循環させるように構成された上記従来のエッチング装置では、エッチング液中に含まれる前記金属の濃度が徐々に上昇して、この金属濃度が一定レベル以上になると、エッチング速度が低下したり、精度の良いエッチング形状が得られないという不都合を生じる。
【0010】
このため、上記従来のエッチング装置では、貯留槽内のエッチング液を定期的に取り替えなければならず、また、エッチング液の取り替え中はエッチング処理を行うことができないため、基板処理効率が低下する。また、このような処理効率の低下やエッチング液の取り替えにかかる費用(取り替えたエッチング液の廃棄処理費用や、取り替えるエッチング液の購入費用)によって、エッチング処理のコストが上昇する。
【0011】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、基板の処理精度や処理効率を高く維持することができ、また、処理液の寿命の延命化を図ることで、処理液の使用量を低減し、基板の処理コストを抑えることができる基板処理装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明は、
蓚酸を含んだ処理液を貯留する貯留槽と、
処理チャンバと、この処理チャンバ内に配置され、前記処理液を吐出するノズル体とを有し、酸化インジウムスズ膜が形成された基板を、前記ノズル体から吐出された処理液によって処理する処理手段と、
前記貯留槽内の処理液を前記ノズル体に供給するための第1供給管と、前記第1供給管に設けられた第1供給ポンプと、前記貯留槽と処理チャンバとを接続する第1回収管とを有し、前記第1供給管及び第1供給ポンプにより前記貯留槽内の処理液を前記ノズル体に供給して吐出させ、吐出された処理液を前記第1回収管により該処理チャンバから前記貯留槽内に回収して、前記貯留槽と処理手段との間で処理液を循環させる基板処理用循環手段と、
並設された少なくとも2つの吸着塔を備え、該各吸着塔の内部には、前記処理液中のインジウムイオン及びスズイオンを吸着するキレート剤が充填された吸着手段と、
一端が前記貯留槽に接続するとともに、他端が分岐して前記各吸着塔に接続し、前記貯留槽内の処理液を前記各吸着塔に供給するための第2供給管と、前記第2供給管の一端部と分岐部との間に設けられた第2供給ポンプと、前記第2供給管に設けられ、前記各吸着塔への前記処理液の供給を制御する第1切換弁と、前記各吸着塔内を流通した処理液を前記貯留槽内に回収するための第2回収管とを有し、前記第1切換弁を切り換えることによって前記各吸着塔のいずれか1つに対し選択的に前記処理液を供給して循環させる除去処理用循環手段とを備えてなることを特徴とする基板処理装置に係る。
【0013】
この基板処理装置によれば、貯留槽に貯留された処理液が第1供給管及び第1供給ポンプによりノズル体に供給されてこのノズル体から吐出され、吐出された処理液によって基板が処理される。吐出された処理液は、第1回収管により処理チャンバから貯留槽内に回収され、このようにして、処理液が貯留槽と処理手段との間で循環せしめられる。そして、循環する処理液中には、処理手段における処理過程で、基板上の酸化インジウムスズ膜が溶解され、インジウムイオン及びスズイオンが含まれるようになる。
【0014】
一方、貯留槽に貯留された処理液は、第2供給管,第2供給ポンプ,第1切換弁及び第2回収管によって当該貯留槽と吸着塔のいずれか1つとの間で循環せしめられ、吸着塔内のキレート剤によって処理液中のインジウムイオンやスズイオンが吸着され、当該処理液中から除去される。
【0015】
処理液の供給される吸着塔は、例えば、キレート剤に吸着されたインジウムイオン及びスズイオンが略飽和状態に達したと判断されたときに第1切換弁が適宜操作されて切り換えられることにより他の吸着塔に変更されるようになっており、これによって、吸着手段における吸着能力が一定に維持される。尚、処理液の供給される吸着塔が切り換えられると、処理液の供給が停止された吸着塔は、キレート剤に吸着されたインジウム及びスズを溶離させる溶離液などを用いてキレート剤が適宜再生される。
【0016】
斯くして、本発明に係る基板処理装置によれば、貯留槽内の処理液を貯留槽と吸着塔のいずれか1つとの間で循環させることで、処理を行いながら処理液中のインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去しているので、処理液の延命化を図って処理液の取り替えサイクルを長くすることができるとともに、処理液の取り替えサイクルが長くなることにより、新しい処理液の購入費用や使用済の処理液の廃棄費用など、処理液に要する費用を低く抑えることができ、当該処理液を用いた基板処理にかかるコストを低くすることができる。
【0017】
また、処理手段によって基板を処理している間中、吸着塔に対し絶えず処理液を循環させるようにすれば、処理液中のインジウムイオン及びスズイオンの濃度を常に一定レベル以下に抑えることができる。これにより、エッチング不良が生じるのを防止したり、処理手段を停止させることなく連続的に稼働させることができ、歩留まりや基板処理効率を良くすることができる。
【0018】
また、処理液の供給される吸着塔を第1切換弁の切換により切り換えながら貯留槽内の処理液を循環させるようにしたので、吸着手段の吸着能力を低下させることなく処理液からインジウムイオン及びスズイオンを除去することができ、効率的に除去することができる。
【0019】
尚、前記基板処理装置は、前記各吸着塔のキレート剤に吸着されたインジウム及びスズを溶離させる溶離液を該各吸着塔に供給するための溶離液供給管と、前記溶離液供給管に設けられ、前記各吸着塔への前記溶離液の供給を制御する第2切換弁とを有し、前記第2切換弁を切り換えることによって前記各吸着塔のいずれか1つに対し選択的に前記溶離液を供給する溶離液供給手段と、前記各吸着塔内を流通した溶離液を回収する溶離液回収手段とを更に備え、前記第2切換弁を切り換えることにより、前記処理液の供給が停止され且つ前記キレート剤がインジウム及びスズを吸着した状態にある前記吸着塔に前記溶離液を供給するように構成されていても良い。
【0020】
このようにすれば、処理液の供給される吸着塔が除去処理用循環手段の第1切換弁によって切り換えられると、溶離液供給手段の第2切換弁が適宜操作されて切り換えられることにより、処理液の供給が停止された吸着塔に溶離液が供給される。吸着塔のキレート剤に吸着されたインジウム及びスズは、この溶離液によって溶離し、溶離したインジウムイオン及びスズイオンを含む溶離液が溶離液回収手段によって回収される。これにより、キレート剤を再生することができる。また、処理液中に溶解したインジウムは非常に高価であり、これを回収することができれば好都合であるが、上記のようにして回収した溶離液中のインジウムイオンを適宜回収することで、処理液に溶解した高価な金属を回収することもできる。
【0021】
また、前記基板処理装置は、前記各吸着塔の内部を洗浄する洗浄液を該各吸着塔に供給するための洗浄液供給管と、前記洗浄液供給管に設けられ、前記各吸着塔への前記洗浄液の供給を制御する第3切換弁とを有し、前記第3切換弁を切り換えることによって前記各吸着塔のいずれか1つに対し選択的に前記洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記各吸着塔内を流通した洗浄液を外部に排出するための洗浄液排出管とを更に備え、前記第3切換弁を切り換えることにより、溶離液供給後の前記吸着塔に前記洗浄液を供給するように構成されていても良い。
【0022】
このようにすれば、キレート剤に吸着された金属の溶離が終了すると、洗浄液供給手段の第3切換弁が適宜操作されて切り換えられることにより、溶離液供給後の吸着塔に洗浄液が供給される。この洗浄液によって吸着塔の内部が洗浄され、当該洗浄液は、洗浄液排出管から外部に排出される。吸着塔の内部に溶離液が残っていると、貯留槽内の処理液が当該吸着塔に供給されたときに当該処理液と溶離液とが混ざって、処理液を用いた基板処理に悪影響を及ぼす恐れがあるが、洗浄液によって、吸着塔内に残存している溶離液を洗い流すことで、このような不都合を有効に防止することができる。
【0023】
また、前記基板処理装置は、予め設定された時間間隔で前記第1切換弁を切り換える制御手段を更に備えて構成されていても良い。この場合、制御手段によって、所定の時間間隔で、即ち、吸着塔のキレート剤に吸着されたインジウム及びスズが略飽和状態に達したと推定される時間間隔で、除去処理用循環手段の第1切換弁が切り換えられ、処理液の供給される吸着塔が切り換えられる。したがって、このように構成しても、吸着手段における吸着能力が一定に維持されるので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0024】
或は、前記第1切換弁の切換制御は、処理手段によって処理された基板の枚数を基に行うようにしても良い。即ち、前記処理手段によって処理された基板の枚数を計数し、計数した枚数が予め設定された枚数となったときに切換信号を出力する計数手段と、前記計数手段から前記切換信号を受信したときに前記第1切換弁を切り換える制御手段とを設けても良い。
【0025】
この場合、処理手段における基板処理枚数が所定枚数となったときに、即ち、吸着塔のキレート剤に吸着されたインジウム及びスズが略飽和状態に達したと推定される枚数となったときに、第1切換弁が切り換えられ、処理液の供給される吸着塔が切り換えられる。したがって、このように構成しても、前記吸着手段における吸着能力が一定に維持されるので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0026】
更に、前記基板処理装置は、前記貯留槽に貯留された処理液中のインジウムイオン及びスズイオンのうち少なくとも一方のイオン濃度を検出する濃度検出手段と、前記濃度検出手段によって検出されるイオン濃度が予め設定された基準値よりも高くなったときに前記第1切換弁を切り換える制御手段とを備えて構成されていても良い。
【0027】
この場合、制御手段による除去処理用循環手段の第1切換弁の切換制御は、以下のようにして実行される。即ち、吸着塔のキレート剤に吸着されたインジウム及びスズが略飽和状態に達して吸着能力が低下し、貯留槽内の処理液中のインジウムイオン及びスズイオン濃度が上昇して、濃度検出手段により検出されるイオン濃度が所定の基準値よりも高くなると、第1切換弁が切り換えられて、処理液の供給される吸着塔が他の吸着塔に変更される。
【0028】
したがって、このように構成しても、吸着手段における吸着能力が一定に維持されるので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0029】
また、前記基板処理装置は、前記貯留槽に貯留された処理液中の、前記基板処理に寄与する成分の濃度を検出する寄与成分濃度検出手段と、前記寄与成分濃度検出手段によって検出される寄与成分濃度を基に、前記貯留槽に貯留された処理液中の前記寄与成分濃度を調整して予め設定された範囲内に維持する濃度調整手段とを更に備えて構成されていても良い。
【0030】
このようにすれば、貯留槽に貯留された処理液中の寄与成分濃度を所定の範囲内に維持することができるので、処理手段における基板処理などにより貯留槽内の処理液の寄与成分濃度が変動して所定の処理能力が得られなくなるといった不都合を防止し、処理液による基板処理能力を最適な状態に維持することができる。
【0031】
尚、前記基板としては、例えば、半導体(シリコン)ウエハ,液晶ガラス基板,フォトマスク用ガラス基板及び光ディスク用基板などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、前記処理液としては、例えば、エッチング液,現像液及び洗浄液などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
また、前記キレート剤とは、一般的には、有機系のアミノカルボン酸塩を総称したものであり、金属イオンを吸着し、吸着された金属は特定の溶液によって溶離するという性質を備えたものである。具体的には、EDTA(エチレンジアミン四酢酸),NTA(ニトリロ三酢酸),DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸),GLDA(L−グルタミン酸二酢酸),HEDTA(ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸),GEDTA(グリコールエーテルジアミン四酢酸),TTHA(トリエチレンテトラミン六酢酸),HIDA(ヒドロキシエチルイミノ二酢酸)及びDHEG(ヒドロキシエチルグリシン)などが一例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明に係る基板処理装置によれば、処理液中のインジウムイオン及びスズイオンを吸着,除去して当該処理液を再利用可能にすることができ、処理液にかかる費用、ひいては基板処理にかかる費用を抑えることができる。また、吸着能力を低下させることなく処理液からインジウムイオン及びスズイオンを除去することができ、効率的である。また、基板処理中、吸着塔に常に処理液を循環させるようにすれば、処理液中のインジウムイオン及びスズイオン濃度を一定レベル以下に抑えつつ基板処理を連続的に行うことができ、エッチング不良が発生するのを防止したり、より低コストで基板処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示した構成図である。
【図2】カラムに通液したエッチング液の量と、通液後のエッチング液に含まれるインジウムイオンの濃度との関係を示したグラフである。
【図3】カラムに通液した硫酸の量と、通液後の硫酸に含まれるインジウムイオンの濃度及びキレート剤に吸着されたインジウムが硫酸によって溶離した割合(溶離率)との関係を示したグラフである。
【図4】本発明の他の実施形態に係るエッチング液処理装置の概略構成を示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。尚、図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示した構成図である。
【0036】
図1に示すように、本例の基板処理装置1は、例えば、蓚酸濃度(重量%)が約3%のエッチング液Lを用いて、上面に酸化インジウムスズ膜(金属膜)が形成された基板Kにエッチング処理を行うもので、エッチング液Lを貯留する貯留槽11と、エッチング液Lによって基板Kをエッチングする基板処理機構12と、貯留槽11と基板処理機構12との間でエッチング液Lを循環させる第1エッチング液循環機構(エッチング処理用循環機構)20と、エッチング液Lに溶解したインジウムやスズ(金属)を除去する除去機構30などから構成される。
【0037】
また、前記基板処理装置1は、貯留槽11に貯留されたエッチング液Lの蓚酸濃度(エッチング処理に寄与する成分の濃度)を検出する濃度センサ24と、貯留槽11に貯留されたエッチング液Lの蓚酸濃度を調整する濃度調整機構25と、基板処理機構12,第1エッチング液循環機構20及び除去機構30などの作動を制御する制御装置28とを備えている。尚、前記制御装置28は、基板処理機構12及び第1エッチング液循環機構20を制御する第1制御部28aと、除去機構30を制御する第2制御部28bとを備える。また、上記構成では、前記貯留槽11,除去機構30及び第2制御部28bがエッチング液処理装置5として機能する。
【0038】
前記基板処理機構12は、閉塞空間を備えた処理チャンバ13と、処理チャンバ13内の下部に配設され、基板Kを水平に支持して所定方向(矢示方向)に搬送する複数の搬送ローラ14と、処理チャンバ13内の上部に配設され、第1エッチング液循環機構20によって供給されたエッチング液Lが流通する流通管15と、流通管15に固設され、搬送ローラ14によって搬送される基板Kの上面に向けてエッチング液Lを吐出する複数のノズル体16などからなり、処理チャンバ13内のエッチング液Lは、当該処理チャンバ13の底面に形成された排出口13aから外部に排出されるようになっている。
【0039】
前記第1エッチング液循環機構20は、一端側が貯留槽11に接続し、他端側が流通管15に接続した供給管21と、第1制御部28aによって作動が制御され、供給管21を介して流通管15内にエッチング液Lを供給する供給ポンプ22と、一端側が処理チャンバ13の排出口13aに接続し、他端側が貯留槽11に接続した回収管23などからなる。
【0040】
前記除去機構30は、基板処理機構12でのエッチング処理によってエッチング液Lに溶解し、当該エッチング液Lに含まれるようになったインジウムイオンやスズイオン(金属イオン)を吸着する金属イオン吸着機構31と、貯留槽11と金属イオン吸着機構31との間でエッチング液Lを循環させる第2エッチング液循環機構(除去処理用循環機構)34と、金属イオン吸着機構31によって吸着されたインジウムやスズを溶離させるための溶離液を供給する溶離液供給機構42と、溶離液を金属イオン吸着機構31から回収する溶離液回収機構48と、金属イオン吸着機構31を洗浄するための洗浄液を供給する洗浄液供給機構54と、洗浄液を金属イオン吸着機構31から回収する洗浄液回収機構58とを備える。
【0041】
前記金属イオン吸着機構31は、インジウムイオンやスズイオンを吸着するキレート剤(図示せず)が内部に充填された少なくとも2つの吸着塔(第1吸着塔32及び第2吸着塔33)を備える。尚、キレート剤(図示せず)とは、一般的には、有機系のアミノカルボン酸塩を総称したものであり、金属イオンを吸着し、吸着された金属は特定の溶液によって溶離するという性質を備えたものである。具体的には、EDTA(エチレンジアミン四酢酸),NTA(ニトリロ三酢酸),DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸),GLDA(L−グルタミン酸二酢酸),HEDTA(ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸),GEDTA(グリコールエーテルジアミン四酢酸),TTHA(トリエチレンテトラミン六酢酸),HIDA(ヒドロキシエチルイミノ二酢酸)及びDHEG(ヒドロキシエチルグリシン)などが一例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
前記第2エッチング液循環機構34は、一端側が貯留槽11に接続し、他端側が分岐して各吸着塔32,33に接続したエッチング液供給管35と、第2制御部28bによって作動が制御され、エッチング液供給管35を介して各吸着塔32,33の内部にエッチング液Lを供給する供給ポンプ36と、一端側が貯留槽11に接続し、他端側が分岐して各吸着塔32,33に接続したエッチング液回収管37と、エッチング液供給管35の他端側分岐部にそれぞれ設けられた第1供給側切換弁38及び第2供給側切換弁39と、エッチング液回収管37の他端側分岐部にそれぞれ設けられた第1排出側切換弁40及び第2排出側切換弁41などからなる。
【0043】
前記各切換弁38,39,40,41は、第1供給側切換弁38及び第1排出側切換弁40が開いているときには、第2供給側切換弁39及び第2排出側切換弁41が閉じるように、第2供給側切換弁39及び第2排出側切換弁41が開いているときには、第1供給側切換弁38及び第1排出側切換弁40が閉じるように、第2制御部28bによって制御される。
【0044】
この第2エッチング液循環機構34では、供給ポンプ36が駆動されると、エッチング液Lの供給される吸着塔32,33が供給側切換弁38,39により制御されつつ貯留槽11内のエッチング液Lがエッチング液供給管35を介して吸着塔32,33のいずれか一方に供給される。即ち、第1供給側切換弁38が開き、第2供給側切換弁39が閉じているときには、第1吸着塔32にエッチング液Lが供給され、第1供給側切換弁38が閉じ、第2供給側切換弁39が開いているときには、第2吸着塔33にエッチング液Lが供給される。
【0045】
そして、吸着塔32,33のいずれか一方に供給され、当該吸着塔32,33内を流通したエッチング液Lは、エッチング液回収管37を介して当該吸着塔32,33から貯留槽11内に回収される。
【0046】
前記溶離液供給機構42は、第2制御部28bによって作動が制御され、例えば、塩酸や硫酸からなる溶離液を供給する供給部43と、一端側が供給部43に接続し、他端側が分岐して各吸着塔32,33に接続した溶離液供給管44と、第2制御部28bによって作動が制御され、溶離液供給管44の一端側に設けられた溶離液供給弁45と、溶離液供給管44の他端側分岐部にそれぞれ設けられた第1供給側切換弁46及び第2供給側切換弁47などからなり、前記各切換弁46,47は、第1供給側切換弁46が開いているときには、第2供給側切換弁47が閉じるように、第2供給側切換弁47が開いているときには、第1供給側切換弁46が閉じるように、第2制御部28bによって制御される。
【0047】
前記溶離液回収機構48は、溶離液を回収する回収部49と、一端側が回収部49に接続し、他端側が分岐して各吸着塔32,33に接続した溶離液回収管50と、溶離液回収管50の他端側分岐部にそれぞれ設けられた第1排出側切換弁51及び第2排出側切換弁52と、第2制御部28bによって作動が制御され、溶離液回収管50の一端側に設けられた溶離液回収弁53などからなり、前記各切換弁51,52は、第1排出側切換弁51が開いているときには、第2排出側切換弁52が閉じるように、第2排出側切換弁52が開いているときには、第1排出側切換弁51が閉じるように、第2制御部28bによって制御される。
【0048】
この溶離液供給機構42及び溶離液回収機構48では、供給部43が駆動されると、溶離液の供給される吸着塔32,33が供給側切換弁46,47により制御されつつ溶離液が供給部43から溶離液供給管44を介して吸着塔32,33のいずれか一方に供給される。即ち、第1供給側切換弁46が開き、第2供給側切換弁47が閉じているときには、第1吸着塔32に溶離液が供給され、第1供給側切換弁46が閉じ、第2供給側切換弁47が開いているときには、第2吸着塔33に溶離液が供給される。
【0049】
そして、吸着塔32,33のいずれか一方に供給され、当該吸着塔32,33内を流通した溶離液は、溶離液回収管50を介して当該吸着塔32,33から回収部49内に回収される。尚、第1供給側切換弁46が開いているときには、第1排出側切換弁51が開いて、第2排出側切換弁52は閉じており、第2供給側切換弁47が開いているときには、第2排出側切換弁52が開いて、第1排出側切換弁51は閉じるようになっている。また、供給部43が駆動されると、溶離液供給弁45及び溶離液回収弁53が開くようになっている。
【0050】
前記洗浄液供給機構54は、第2制御部28bによって作動が制御され、例えば、純水からなる洗浄液を供給する供給部55と、一端側が供給部55に接続し、他端側が溶離液供給管44の分岐部と一端側との間に接続して、当該溶離液供給管44を介し各吸着塔32,33に接続した洗浄液供給管56と、第2制御部28bによって作動が制御され、洗浄液供給管56に設けられた洗浄液供給弁57と、前記第1供給側切換弁46及び第2供給側切換弁47などからなり、前記各切換弁46,47は、上記と同様、第1供給側切換弁46が開いているときには、第2供給側切換弁47が閉じるように、第2供給側切換弁47が開いているときには、第1供給側切換弁46が閉じるように、第2制御部28bによって制御される。
【0051】
前記洗浄液回収機構58は、洗浄液を回収する回収部59と、一端側が回収部59に接続し、他端側が溶離液回収管50の分岐部と溶離液回収弁53との間に接続して、当該溶離液回収管50を介し各吸着塔32,33に接続した洗浄液回収管(洗浄液排出管)60と、前記第1排出側切換弁51及び第2排出側切換弁52と、第2制御部28bによって作動が制御され、洗浄液回収管60の他端側に設けられた洗浄液回収弁61などからなり、前記各切換弁51,52は、上記と同様、第1排出側切換弁51が開いているときには、第2排出側切換弁52が閉じるように、第2排出側切換弁52が開いているときには、第1排出側切換弁51が閉じるように、第2制御部28bによって制御される。
【0052】
この洗浄液供給機構54及び洗浄液回収機構58では、供給部55が駆動されると、洗浄液の供給される吸着塔32,33が供給側切換弁46,47により制御されつつ洗浄液が供給部55から洗浄液供給管56及び溶離液供給管44を介して吸着塔32,33のいずれか一方に供給される。即ち、第1供給側切換弁46が開き、第2供給側切換弁47が閉じているときには、第1吸着塔32に洗浄液が供給され、第1供給側切換弁46が閉じ、第2供給側切換弁47が開いているときには、第2吸着塔33に洗浄液が供給される。
【0053】
そして、吸着塔32,33のいずれか一方に供給され、当該吸着塔32,33内を流通した洗浄液は、溶離液回収管50及び洗浄液回収管60を介して当該吸着塔32,33から回収部59内に回収される。尚、第1供給側切換弁46が開いているときには、第1排出側切換弁51が開いて、第2排出側切換弁52は閉じており、第2供給側切換弁47が開いているときには、第2排出側切換弁52が開いて、第1排出側切換弁51は閉じるようになっている。また、供給部55が駆動されると、洗浄液供給弁57及び洗浄液回収弁59が開くようになっている。
【0054】
前記濃度調整機構25は、例えば、蓚酸や純水などを貯留槽11内に供給する供給部26と、一端側が供給部26に接続し、他端側が貯留槽11に接続した供給管27と、濃度センサ24によって検出される蓚酸濃度を基に供給部26の作動を制御する前記第1制御部28aなどから構成される。
【0055】
前記第1制御部28aは、第1エッチング液循環機構20の供給ポンプ22を制御して、貯留槽11と基板処理機構12との間でエッチング液Lを循環させる。また、第1制御部28aは、濃度センサ24によって検出される蓚酸濃度を基に供給部26を制御して、貯留槽11に貯留されたエッチング液Lの蓚酸濃度を予め設定された範囲内に維持する。例えば、濃度センサ24による検出蓚酸濃度が前記予め設定された範囲よりも高い場合には、純水を貯留槽11に供給させ、濃度センサ24による検出蓚酸濃度が前記予め設定された範囲よりも低い場合には、蓚酸を貯留槽11に供給させて、エッチング液Lの蓚酸濃度を予め設定された範囲内とする。尚、第1制御部28aは、第1エッチング液循環機構20によるエッチング液Lの循環を開始したとき及び終了したときにその旨の信号(開始信号及び終了信号)を第2制御部28bに送信する。
【0056】
前記第2制御部28bは、第1制御部28aから前記開始信号を受信すると、第2エッチング液循環機構34の供給ポンプ36及び各切換弁38,39,40,41を制御して、エッチング液Lの供給される吸着塔32,33を予め設定された時間間隔で交互に切り換えながら、当該吸着塔32,33のいずれか一方に貯留槽11内のエッチング液Lを供給して循環させる処理を実行するとともに、エッチング液Lの供給される吸着塔32,33を切り換えると、吸着塔32,33の切換でエッチング液Lの供給が停止された吸着塔32,33に、まず、溶離液供給機構42の供給部43,溶離液供給弁45及び各切換弁46,47並びに溶離液回収機構48の各切換弁51,52及び溶離液回収弁53を制御して溶離液を所定時間供給した後、洗浄液供給機構54の供給部54,洗浄液供給弁57及び各切換弁46,47並びに洗浄液回収機構58の各切換弁51,52及び洗浄液回収弁61を制御して洗浄液を所定時間供給する処理を実行する。尚、第2制御部28bは、第1制御部28aから前記終了信号を受信すると、第2エッチング液循環機構34によるエッチング液Lの循環を停止する。
【0057】
以上のように構成された本例の基板処理装置1によれば、貯留槽11に貯留されたエッチング液Lは、第1制御部28aによる制御の下、第1エッチング液循環機構20の供給ポンプ22により供給管21及び流通管15を介して各ノズル体16に供給され、当該各ノズル体16から基板Kの上面に向けて吐出される。そして、基板Kの上面に吐出されたエッチング液Lは、処理チャンバ13の排出口13aから回収管23内を流通して貯留槽11内に回収され、このようにして貯留槽11内のエッチング液Lが当該貯留槽11と基板処理機構12との間で循環する。
【0058】
前記基板Kは、搬送ローラ14によって所定方向に搬送されており、各ノズル体16から吐出されたエッチング液L(当該エッチング液L中の蓚酸)によってエッチングされる。尚、このエッチング処理により基板Kの酸化インジウムスズ膜がエッチング液Lに溶解し、当該エッチング液L中にインジウムイオンやスズイオンが含まれるようになる。
【0059】
また、貯留槽11に貯留されたエッチング液Lは、第2制御部28bによる制御の下、第2エッチング液循環機構34の供給ポンプ36及び各切換弁38,39によりエッチング液供給管35を介して吸着塔32,33のいずれか一方に選択的に供給されるとともに、当該吸着塔32,33内を流通後、エッチング液回収管37を介して貯留槽11内に回収され、当該貯留槽11と吸着塔32,33との間で循環せしめられる。これにより、エッチング液L中のインジウムイオンやスズイオンが、吸着塔32,33の内部に充填されたキレート剤(図示せず)によって吸着される。
【0060】
エッチング液Lの供給される吸着塔32,33は、第2制御部28bによって第2エッチング液循環機構34の各切換弁38,39,40,41が制御されることにより、所定の時間間隔で、即ち、吸着塔32,33のキレート剤(図示せず)に吸着されたインジウムやスズが略飽和状態に達すると推定される時間間隔で交互に切り換えられるようになっており、エッチング液Lの供給される吸着塔32,33が切り換えられると、以下のような処理が第2制御部28bによって実行される。
【0061】
即ち、まず、第2制御部28bによって溶離液供給機構42の供給部43,溶離液供給弁45及び各切換弁46,47並びに溶離液回収機構48の各切換弁51,52及び溶離液回収弁53が制御されることにより、吸着塔32,33の切換でエッチング液Lの供給が停止された吸着塔32,33に(第1吸着塔32から第2吸着塔33に切り換わったときには第1吸着塔32に、第2吸着塔33から第1吸着塔32に切り換わったときには第2吸着塔33に)溶離液が供給部43から溶離液供給管44を介して供給され、供給された溶離液は、当該吸着塔32,33内を流通後、溶離液回収管50を介して回収部49内に回収される。これにより、当該吸着塔32,33のキレート剤(図示せず)に吸着されたインジウムやスズがこの溶離液によって溶離し、溶離したインジウムイオンやスズイオンを含む溶離液が回収部49内に回収される。
【0062】
この後、第2制御部28bによって洗浄液供給機構54の供給部54,洗浄液供給弁57及び各切換弁46,47並びに洗浄液回収機構58の各切換弁51,52及び洗浄液回収弁61が制御されることにより、前記溶離液の供給された吸着塔32,33と同じ吸着塔32,33に洗浄液が供給部55から洗浄液供給管56及び溶離液供給管44を介して供給され、供給された洗浄液は、当該吸着塔32,33内を流通後、溶離液回収管50及び洗浄液回収管60を介して回収部59内に回収される。これにより、当該吸着塔32,33の内部に残存した溶離液がこの洗浄液によって洗い流される。
【0063】
このようにして、エッチング液Lの供給が停止された吸着塔32,33に溶離液及び洗浄液が順次供給されると、当該吸着塔32,33は、この後、待機状態となる。また、このように、エッチング液Lが供給される吸着塔32,33が切り換えられることで、金属イオン吸着機構31におけるインジウムイオンやスズイオンの吸着能力が一定に維持され、エッチング液L中のインジウムイオン濃度やスズイオン濃度が一定レベル以下に抑えられる。
【0064】
尚、貯留槽11に貯留されたエッチング液Lは、その蓚酸濃度が濃度調整機構25によって所定範囲内に維持されている。また、第2制御部28bが開始信号を受信してから終了信号を受信するまでの間、即ち、エッチング処理が行われている間、吸着塔32,33にも絶えずエッチング液Lが循環せしめられており、エッチング液Lからインジウムイオンやスズイオンを除去しつつエッチング処理が行われる。
【0065】
斯くして、本例の基板処理装置1によれば、基板処理機構12で基板Kをエッチングしている間、第2エッチング液循環機構34により、貯留槽11内のエッチング液Lを、エッチング液Lの供給する吸着塔32,33を交互に切り換えながら吸着塔32,33のいずれか一方との間で常に循環させ、エッチング液L中のインジウムイオンやスズイオンを当該吸着塔32,33内のキレート剤(図示せず)に吸着させるとともに、エッチング液Lを供給する吸着塔32,33を切り換えると、溶離液供給機構42により、エッチング液Lの供給が停止された吸着塔32,33に溶離液を供給して、キレート剤(図示せず)に吸着されたインジウムやスズを溶離させ、当該キレート剤(図示せず)を再生する処理と、洗浄液供給機構54により、溶離液供給後の吸着塔32,33に洗浄液を供給して、当該吸着塔32,33の内部に残存した溶離液を洗い流す処理とを行うように構成したので、効率的にインジウムイオンやスズイオンを除去したり、エッチング液L中のインジウムイオン濃度やスズイオン濃度を一定レベル以下に抑えてエッチング不良が生じるの防止したり、基板処理機構12を停止させることなく連続的に稼働させたり、エッチング液Lの延命化を図ってエッチング液Lの取り替えサイクルを長くすることができる。
【0066】
また、このように、エッチング処理の連続的な実施によりエッチング処理効率が低下せず、また、エッチング液Lの取り替えサイクルが長くなることから、エッチング処理コストを低く抑えることもできる。
【0067】
また、エッチング液Lの供給が停止され、キレート剤(図示せず)がインジウムイオンやスズイオンを吸着した状態にある吸着塔32,33に溶離液を供給し、溶離したインジウムイオンやスズイオンを含む溶離液を回収部49内に回収するようにしたので、当該キレート剤(図示せず)を再生することができるとともに、この回収した溶離液中のインジウムイオンやスズイオンを適宜回収することで、エッチング液Lに溶解したインジウム(非常に高価な金属である)やスズを効果的に回収することができる。
【0068】
また、溶離液供給機構42による溶離液の供給後、洗浄液供給機構54によって、溶離液の供給された吸着塔32,33に洗浄液を供給し、当該吸着塔32,33の内部に残存した溶離液を洗い流すようにしたので、貯留槽11内のエッチング液Lが当該吸着塔32,33に供給されたときに、当該エッチング液Lと吸着塔32,33内に残存した溶離液とが混ざってエッチング液Lの成分が変わり、基板処理機構12でのエッチング処理に悪影響を及ぼすのを有効に防止することができる。
【0069】
また、濃度調整機構25によって、貯留槽11に貯留されたエッチング液Lの蓚酸濃度を所定の範囲内に維持するようにしているので、基板処理機構12でのエッチング処理などにより貯留槽11内のエッチング液Lの蓚酸濃度が変動して所定のエッチング能力が得られなくなるといった不都合を防止し、当該エッチング液Lによるエッチング処理能力を最適な状態に維持することができる。
【0070】
因みに、キレート剤として、キレスト株式会社製の「キレストファイバーGRY−L(商品名)」を用いて、金属イオンの吸着実験を行った結果を、以下に説明する。
【0071】
即ち、まず、内径が1.5cmのカラムを用意し、このカラム内に、重さが4g、高さが11cm、体積が19.4mLの前記キレート剤を充填した後、蓚酸含有のエッチング液であって、エッチング処理に供されて金属イオンを含むようになったエッチング液を、前記カラムの一方端側から他方端側に向けて、3mL/minの流速で所定量通液させた。
【0072】
このようにして、所定量通液した後に、前記カラムを通過したエッチング液をサンプリングして、金属イオンの含有濃度を測定したところ、通液前のエッチング液のインジウムイオン濃度が277ppm、スズイオン濃度が33.7ppm、アルミニウムイオン濃度が0.24ppmであったのに対し、カラム通液後のエッチング液のインジウムイオン濃度は8ppm、スズイオン濃度は0.1ppm以下、アルミニウムイオン濃度は0.1ppm以下と、いずれの金属イオンも極めて低い濃度に低下した結果が得られた。
【0073】
このことから、エッチング液中に存在する、インジウムイオン,スズイオン及びアルミニウムイオンといった金属イオンをキレート剤によって効果的に除去可能であることが分かる。
【0074】
また、上記と同じカラム及びキレート剤を用い、上記と同じエッチング液を上記と同じ流速でカラムに供給して通液させ、一定量通液する毎に通液後のエッチング液をサンプリングして、この通液後のエッチング液に含まれるインジウムイオンの濃度を測定した。その結果を図2に示す。尚、図2において、BV(Bed Volume(ベッドボリューム))とはカラム内に充填したキレート剤の体積のことであり、(mL)/(mL−fiber)とは、(カラムに通液したエッチング液の量)/(カラム内に充填したキレート剤の体積)のことである。したがって、横軸はキレート剤の体積に相当する量のエッチング液をどれぐらい通液したかを示すものである。
【0075】
この図2から、エッチング液の通液量が所定量(キレート剤の体積の約11倍に相当する量)に達するまで、通液後のエッチング液からインジウムイオンが検出されておらず、インジウムイオンがキレート剤によって完全に吸着されていることが分かる。また、エッチング液を多量に供給してもキレート剤の吸着能力が低下していないことが分かる。
【0076】
次に、上記のようにして金属イオンを吸着させたキレート剤から、当該金属イオンを溶離させる実験を行った結果を、以下に説明する。
【0077】
即ち、上記と同じカラム及びキレート剤を用い、上記と同じ流速で上記と同じエッチング液を所定量カラムに供給して通液させ、キレート剤にインジウムイオンを吸着させた後、このカラムの一方端側から他方端側に向けて、1.5mL/minの流速で、1規定の硫酸(1N−HSO)を通液させ、一定量通液する毎に通液後の硫酸をサンプリングして、この通液後の硫酸に含まれるインジウムイオンの濃度を測定した。その結果を図3に示す。尚、図3において、BV(Bed Volume(ベッドボリューム))とはカラム内に充填したキレート剤の体積のことであり、(mL)/(mL−fiber)とは、(カラムに通液した硫酸の量)/(カラム内に充填したキレート剤の体積)のことである。したがって、横軸はキレート剤の体積に相当する量の硫酸をどれぐらい通液したかを示すものである。
【0078】
また、前項におけるインジウムイオン濃度の測定において、通液後の硫酸にインジウムイオンが認められなくなるまでの各時点におけるインジウムイオン濃度とその時間帯の通液量との積を、それぞれの時点で溶離したインジウム量として計算するとともに、その積算値を全溶離インジウム量として求め、この全溶離インジウム量で各時点における溶離インジウム量を除して得られる値をそれぞれの時点での溶離率(キレート剤に吸着されていたインジウムが硫酸によって溶離した割合)と定義し、これを図3に併せて示す。
【0079】
この図3から、キレート剤に吸着されたインジウムが硫酸によって溶離し、また、硫酸の通液量が所定量(キレート剤の体積の約2.8倍に相当する量)に達すると、キレート剤に吸着されたインジウムが完全に溶離していることが分かる。また、インジウムを吸着したキレート剤を硫酸によって効果的に再生可能であり、また、キレート剤に吸着された金属を硫酸によって効果的に回収可能であることが分かる。
【0080】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0081】
上例では、エッチング液Lの供給する吸着塔32,33を所定の時間間隔で交互に切り換えるように構成したが、これに限られるものではなく、例えば、基板処理機構12でエッチングされた基板Kの枚数を基に吸着塔32,33の切換制御を行ったり、貯留槽11に貯留されたエッチング液L中のインジウムイオン濃度やスズイオン濃度を基に吸着塔32,33の切換制御を行うように構成しても良い。
【0082】
基板Kのエッチング枚数を基に切換制御を行う場合、前記基板処理機構12は、例えば、処理チャンバ13の外部又は内部などの適宜位置に配設され、処理チャンバ13内に搬入される基板K又は処理チャンバ13から搬出される基板Kを検出するセンサ(図示せず)を更に備えるように構成され、前記第1制御部28aは、基板処理機構12でエッチングされた基板Kの枚数を計数する計数手段としても機能するように構成されるとともに、前記センサ(図示せず)から得られる出力信号を基に、処理チャンバ13内に搬入された基板Kの枚数又は処理チャンバ13から搬出された基板Kの枚数(基板処理機構12でエッチングされた基板Kの枚数)を計数する処理と、前記開始信号及び終了信号の他、前記計数した枚数が予め設定された枚数となったときにその旨の信号(切換信号)を第2制御部28bに送信する処理とを更に実行するように構成され、前記第2制御部28bは、第2エッチング液循環機構34の供給ポンプ36及び各切換弁38,39,40,41を制御して、第1制御部28aから切換信号を受信したときにエッチング液Lが供給される吸着塔32,33を切り換えながら当該吸着塔32,33のいずれか一方に貯留槽11内のエッチング液Lを供給して循環させるように構成される。尚、第1制御部28aは、前記計数した枚数が予め設定された枚数になると、計数値をリセットして再び予め設定された枚数まで計数するように構成されている。また、第2制御部28bは、開始信号を受信してから終了信号を受信するまでの間、第2エッチング液循環機構34によりエッチング液Lを循環させる。
【0083】
このように基板処理装置1を構成すれば、計数した枚数が予め設定された枚数となったときに、即ち、吸着塔32,33のキレート剤(図示せず)に吸着されたインジウムやスズが略飽和状態に達すると推定される枚数となったときに、各切換弁38,39,40,41が切り換えられて、エッチング液Lの供給される吸着塔32,33が切り換えられる。
【0084】
したがって、このように基板処理装置1を構成しても、金属イオン吸着機構31におけるインジウムイオンやスズイオンの吸着能力が一定に維持され、エッチング液L中のインジウムイオン濃度やスズイオン濃度が一定レベル以下に抑えられるので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0085】
一方、インジウムイオン濃度やスズイオン濃度を基に切換制御を行う場合、前記エッチング液処理装置5は、貯留槽11に貯留されたエッチング液L中のインジウムイオン濃度及び/又はスズイオン濃度を検出する金属イオン濃度検出センサ(図示せず)を更に備えるように構成され、前記第2制御部28bは、第2エッチング液循環機構34の供給ポンプ36及び各切換弁38,39,40,41を制御して、金属イオン濃度検出センサ(図示せず)によって検出されるインジウムイオン濃度及び/又はスズイオン濃度が予め設定された基準値よりも高くなったときにエッチング液Lが供給される吸着塔32,33を切り換えながら当該吸着塔32,33のいずれか一方に貯留槽11内のエッチング液Lを供給して循環させるように構成される。
【0086】
このように基板処理装置1を構成すれば、吸着塔32,33のキレート剤(図示せず)に吸着されたインジウムやスズが略飽和状態に達してインジウムイオンやスズイオンの吸着能力が低下し、貯留槽11に貯留されたエッチング液L中のインジウムイオン濃度やスズイオン濃度が上昇して、金属イオン濃度検出センサ(図示せず)により検出されるインジウムイオン濃度及び/又はスズイオン濃度が所定の基準値よりも高くなると、各切換弁38,39,40,41が切り換えられて、エッチング液Lの供給される吸着塔32,33が切り換えられる。
【0087】
したがって、このように基板処理装置1を構成しても、金属イオン吸着機構31におけるインジウムイオンやスズイオンの吸着能力が一定に維持され、エッチング液L中のインジウムイオン濃度やスズイオン濃度が一定レベル以下に抑えられるので、上記と同様の効果を得ることができる。また、吸着塔32,33の切換制御を経過時間やエッチング枚数で行った場合には、基板処理機構12におけるエッチング条件やエッチング対象となる基板Kの種類などによりエッチング液Lに溶解するインジウムやスズの溶解量が異なって、吸着塔32,33のキレート剤(図示せず)に吸着されたインジウムやスズが略飽和状態に達するまでの時間やエッチング枚数が異なるために当該切換時間やエッチング枚数を設定し難いが、吸着塔32,33の切換制御を貯留槽11内のエッチング液L中のインジウムイオン濃度及び/又はスズイオン濃度を基に行うことで、吸着塔32,33の切換制御をより効率的に実施することができる。
【0088】
また、上例では、基板処理機構12で基板Kをエッチングしている間、吸着塔32,33に絶えずエッチング液Lを循環させるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、エッチング処理を開始してからの経過時間が所定時間になったり、基板Kのエッチング枚数が所定枚数になったり、貯留槽11内のエッチング液L中のインジウムイオン濃度やスズイオン濃度が所定濃度を超えたときにのみ、インジウムイオンやスズイオンを除去すべく吸着塔32,33にエッチング液Lを循環させるようにしても良い。
【0089】
また、上例では、エッチング液処理装置5を基板処理装置1に設けたが、これに限られるものではなく、例えば、図4に示すようなエッチング液処理装置6とすることもできる。このエッチング液処理装置6は、除去処理用の貯留槽70と、前記除去機構30と、前記第2制御部28bなどから構成されており、前記貯留槽70には、基板処理機構12に付設されたエッチング用の貯留槽11から使用済のエッチング液Lが適宜集められるようになっている。尚、図4に示したエッチング液処理装置6において、図1に示した基板処理装置1と同じ構成部分は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0090】
この場合、貯留槽70内のエッチング液Lが、第2制御部28bによる制御の下、第2エッチング液循環機構34によって、貯留槽70と吸着塔32,33のいずれか一方との間で循環せしめられ、エッチング液L中のインジウムイオンやスズイオンが、吸着塔32,33のキレート剤(図示せず)によって吸着,除去される。このとき、エッチング液Lの供給される吸着塔32,33は、例えば、所定の時間間隔で交互に切り換えられる。
【0091】
そして、吸着塔32,33に貯留槽70内のエッチング液Lを供給し始めてから一定時間が経過したり、貯留槽70内のエッチング液Lのインジウムイオン濃度やスズイオン濃度が予め設定された基準値よりも低くなると、エッチング液Lの循環が停止され、インジウムイオンやスズイオンの除去処理が終了する。この後、貯留槽70内の、除去処理後のエッチング液Lはエッチング用の貯留槽11に適宜戻される。
【0092】
尚、吸着塔32,33の切換でエッチング液Lの供給が停止された吸着塔32,33には、溶離液供給機構42によって溶離液が供給された後、洗浄液供給機構54によって洗浄液が供給され、供給された溶離液は溶離液回収機構48によって、供給された洗浄液は洗浄液回収機構58によってそれぞれ回収される。
【0093】
このようなエッチング液処理装置6によっても、貯留槽70内のエッチング液Lを貯留槽70と吸着塔32,33との間で循環させることで、エッチング液L中のインジウムイオンやスズイオンを吸着,除去して当該エッチング液Lを再利用可能にすることができるので、新しいエッチング液Lの購入費用や使用済のエッチング液Lの廃棄費用などを省いてエッチング液Lにかかる費用を抑えることができ、エッチング処理にかかるコストを低くすることができる。
【0094】
また、エッチング液Lの供給される吸着塔32,33を切り換えながら貯留槽70内のエッチング液Lを循環させるようにしたので、吸着塔32,33のインジウムイオンやスズイオンの吸着能力を低下させることなくエッチング液Lからインジウムイオンやスズイオンを除去することができ、効率的にインジウムイオンやスズイオンの除去を行うことができる。
【0095】
また、上例では、蓚酸濃度が約3%のエッチング液Lを用いて、上面に酸化インジウムスズ膜が形成された基板Kにエッチング処理を行うとともに、エッチング液Kに溶解したインジウムやスズを回収するようにしたが、エッチング液Lの種類や回収する金属の種類は、これらに限定されるものではない。
【0096】
また、上例では、基板Kにエッチング処理を行うように構成したが、現像処理や洗浄処理などを行うようにしても良く、また、基板Kには、半導体(シリコン)ウエハ,液晶ガラス基板,フォトマスク用ガラス基板及び光ディスク用基板などの各種基板Kが含まれる。また、前記金属イオン吸着機構31は、吸着塔32,33を3つ以上備えるように構成しても良い。
【0097】
また、更に、上例では、第2エッチング液循環機構34の各切換弁38,39,40,41、溶離液供給機構42の供給部43,溶離液供給弁45及び各切換弁46,47、溶離液回収機構48の各切換弁51,52及び溶離液回収弁53、洗浄液供給機構54の供給部54,洗浄液供給弁57及び各切換弁46,47、洗浄液回収機構58の各切換弁51,52及び洗浄液回収弁61の作動制御を第2制御部28bにより行うように構成したが、作業者が手動で操作するように構成しても良い。
【0098】
また、上例では、前記制御装置28を第1制御部28a及び第2制御部28bから構成したが、これに限られるものではなく、第1制御部28aの機能と第2制御部28bの機能を1つの制御部に持たせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0099】
1 基板処理装置
5 エッチング液処理装置
11 貯留槽
12 基板処理機構
20 第1エッチング液循環機構
24 濃度センサ
25 濃度調整機構
28 制御装置
28a 第1制御部
28b 第2制御部
30 除去機構
31 金属イオン吸着機構
32 第1吸着塔
33 第2吸着塔
34 第2エッチング液循環機構
35 エッチング液供給管
36 供給ポンプ
37 エッチング液回収管
38,39,40,41 切換弁
42 溶離液供給機構
43 供給部
44 溶離液供給管
45 溶離液供給弁
46,47 切換弁
48 溶離液回収機構
49 回収部
50 溶離液回収管
51,52 切換弁
53 溶離液回収弁
54 洗浄液供給機構
55 供給部
56 洗浄液供給管
57 洗浄液供給弁
58 洗浄液回収機構
59 回収部
60 洗浄液回収管
61 洗浄液回収弁
K 基板
L エッチング液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓚酸を含んだ処理液を貯留する貯留槽と、
処理チャンバと、この処理チャンバ内に配置され、前記処理液を吐出するノズル体とを有し、酸化インジウムスズ膜が形成された基板を、前記ノズル体から吐出された処理液によって処理する処理手段と、
前記貯留槽内の処理液を前記ノズル体に供給するための第1供給管と、前記第1供給管に設けられた第1供給ポンプと、前記貯留槽と処理チャンバとを接続する第1回収管とを有し、前記第1供給管及び第1供給ポンプにより前記貯留槽内の処理液を前記ノズル体に供給して吐出させ、吐出された処理液を前記第1回収管により該処理チャンバから前記貯留槽内に回収して、前記貯留槽と処理手段との間で処理液を循環させる基板処理用循環手段と、
並設された少なくとも2つの吸着塔を備え、該各吸着塔の内部には、前記処理液中のインジウムイオン及びスズイオンを吸着するキレート剤が充填された吸着手段と、
一端が前記貯留槽に接続するとともに、他端が分岐して前記各吸着塔に接続し、前記貯留槽内の処理液を前記各吸着塔に供給するための第2供給管と、前記第2供給管の一端部と分岐部との間に設けられた第2供給ポンプと、前記第2供給管に設けられ、前記各吸着塔への前記処理液の供給を制御する第1切換弁と、前記各吸着塔内を流通した処理液を前記貯留槽内に回収するための第2回収管とを有し、前記第1切換弁を切り換えることによって前記各吸着塔のいずれか1つに対し選択的に前記処理液を供給して循環させる除去処理用循環手段とを備えてなることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
予め設定された時間間隔で前記第1切換弁を切り換える制御手段を更に備えてなることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理手段によって処理された基板の枚数を計数し、計数した枚数が予め設定された枚数となったときに切換信号を出力する計数手段と、
前記計数手段から出力された前記切換信号を受信して、前記第1切換弁を切り換える制御手段とを更に備えてなることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記貯留槽に貯留された処理液中のインジウムイオン及びスズイオンのうち、少なくとも一方のイオン濃度を検出する濃度検出手段と、
前記濃度検出手段によって検出されるイオン濃度が予め設定された基準値よりも高くなったときに前記第1切換弁を切り換える制御手段とを更に備えてなることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記各吸着塔のキレート剤に吸着されたインジウム及びスズを溶離させる溶離液を該各吸着塔に供給するための溶離液供給管と、前記溶離液供給管に設けられ、前記各吸着塔への前記溶離液の供給を制御する第2切換弁とを有し、前記第2切換弁を切り換えることによって前記各吸着塔のいずれか1つに対し選択的に前記溶離液を供給する溶離液供給手段と、
前記各吸着塔内を流通した溶離液を回収する溶離液回収手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記第1切換弁を切り換えると、前記第2切換弁を切り換えて、前記処理液の供給が停止され且つ前記キレート剤がインジウム及びスズを吸着した状態にある前記吸着塔に前記溶離液を供給するように構成されてなることを特徴とする請求項2乃至4記載のいずれかの基板処理装置。
【請求項6】
前記各吸着塔の内部を洗浄する洗浄液を該各吸着塔に供給するための洗浄液供給管と、前記洗浄液供給管に設けられ、前記各吸着塔への前記洗浄液の供給を制御する第3切換弁とを有し、前記第3切換弁を切り換えることによって前記各吸着塔のいずれか1つに対し選択的に前記洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記各吸着塔内を流通した洗浄液を外部に排出するための洗浄液排出管とを更に備え、
前記制御手段は、前記溶離液の供給を終了すると、前記第3切換弁を切り換えて、溶離液供給後の前記吸着塔に前記洗浄液を供給するように構成されてなることを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記貯留槽に貯留された処理液中の、前記基板処理に寄与する成分の濃度を検出する寄与成分濃度検出手段と、
前記寄与成分濃度検出手段によって検出される寄与成分濃度を基に、前記貯留槽に貯留された処理液中の前記寄与成分濃度を調整して予め設定された範囲内に維持する濃度調整手段とを更に備えてなることを特徴とする請求項1乃至6記載のいずれかの基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−34593(P2010−34593A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258027(P2009−258027)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【分割の表示】特願2007−101392(P2007−101392)の分割
【原出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】